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迷宮災厄戦㉑〜大魔王の娘の復讐作戦

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦 #猟書家 #レディ・ハンプティ

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●魔王再臨?
『ああ、父様。魔女の肚から私を造った父様。私にも正体を見せなかった、いとしい父様。
 あなたの無念、このわたくしが果たします』
 蒸気に満ちた国で、レディ・ハンプティが胸に手を当てながら呟く。

 そして取り出したのは侵略蔵書と呼ばれる本。
『父様を想い、わたくしはこの『蒸気獣の悦び』をしたためました。
 わたくしの狙いは、『アルダワ魔法学園』の西方、諸王国連合。――魔導列車が横断し、蒸気魔法文明最も華やかなる、あの世界の要となる地。わたくしはその地で、父様の災魔を『蒸気獣』に変え、放ちます。
 きっと、大事故が起こりましょう! その被害を利用すれば、わたくしでも新たな災魔を産めるようになります。』

 天を仰げば、レディ・ハンプティが叫ぶ。
『ああ、父様。あなたの無念を思うだけで、乳房の下の口がわななきます。
 どうか、見守っていてくださいね――アウルム・アンティーカ父様……!』

●魔王再臨とか防がないと
「ようやく猟書家への道が開き、これで2体目かな。戦力を減らしていけるようになった。これが選択なのかなってのを感じるね」
 水島・可奈(少女自由に夢幻を掴め・f01117)が語り始める。
「実際のところこのままがっつりオウガ・オリジンの力削って戦わずして勝つ、とか速攻仕掛ける、って選択肢もあったと思うんだ。でもみんなはこれを選んだ。猟書家を倒す道をね。それはオウガ・オリジンの力を解放する諸刃の剣だ」
 ――だが、道を選んだ以上、信じるしかない。
「私も頑張るから、一緒に頑張ろう。そのためにもまずはこの作戦だ。あ、この依頼は『高難度依頼』に認定されているよ」
 ――というわけで話はレディ・ハンプティのことになる。

「魔導列車が走り回り、蒸気建築に埋め尽くされた、大都会のような国……一見すればアルダワ魔法学園世界に近い国が今回の舞台だ――猟書家は放置すると各世界に逃げるってのは聞いた? よね?」
 そこで一呼吸置くと。
「そう――彼女を放置すると、『アルダワ魔法学園世界』が侵略される。ようやく全てが終わって一呼吸なアルダワ魔法学園に、これ以上の災厄を齎すわけにはいかない。――それに、もたらされる災厄が厄介だ。

 ――アウルム・アンティーカ、って覚えてる?」
 その言葉に首をかしげる者もいればえっ、って顔をする猟兵も。
「知らない人に説明すると、アルダワ魔法学園世界で起きた戦争――アルダワ魔王戦争のボスの一体だ。実は彼には娘がいた――そう。それが、レディ・ハンプティだ。といっても普通な作り方じゃないみたいだけどね。身内なのに正体すら見せなかったみたいだし。
 ――で、そいつの災魔が、アルダワ魔法学園世界の諸王国連合で解放される」
 諸王国連合。あまり聞きなれない言葉だが、可奈も首を横に振る。
「あまりこの諸王国連合が何かっていうのはわからない。けどそこで大惨事が起きるのは間違いない――少なくとも、学園と国――おそらく単位が違う」
 これを悪用すればどうなるか。
「レディ・ハンプティが災魔を産めるようになる――らしい。詳細はわからない」
 もしそうなれば、平和な世界が侵食されることになる。
「故に倒せるなら倒したいわけ。オウガ・オリジンの力を奪ってくれているのはありがたいんだけどね」

 敵は『蒸気獣の悦び』という侵略蔵書を用いたり、牙だらけの『乳房の下の口』や肩の蒸気機関で攻撃してくるらしい。
「乳房の下の口ってなんなのか私もわかんないけど、アウルム・アンティーカも下の方に口があったからね……」
 割とあるあるなのかもしれない――もしかしたら。

 グリモアを展開しつつ可奈がつぶやく。
「言った通り、こいつを弱らせることはオウガ・オリジンに力を取り戻させることにつながる。
 そして、忘れないで。私達の勝利条件は、オウガ・オリジンの討滅だ。猟書家はオプションにすぎない」
 それでもなお、真なる平和のために、全ての脅威を払いたいと言うなれば。
「いくらでも私は道を開く。ガンガン倒して、オウガ・オリジンも倒して。なるべく平和になるようにしてあげよう。それがアリスラビリンスだけじゃなく、アルダワ魔法学園世界の――ひいては、全ての世界のためになると思うから」
 ――少し、首を振った。
「猟書家をこれからやるぞーって時にごめんね。でもそれだけは忘れないでほしかった。――いってらっしゃい」


結衣謙太郎
 まさかの娘!? そしてアルダワ魔法学園世界に新展開!?
 結衣(戦争モード)です。
 猟書家の一人、レディ・ハンプティの討滅をお願いします。
 以下詳細。

●メイン目標
 レディ・ハンプティの討滅。

●章構成
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「迷宮災厄戦(ラビリンス・オウガ・ウォー)」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 今回は猟書家戦です。
 現場はアルダワ魔法学園世界なみに蒸気文明に満ちています。
 レディ・ハンプティ戦に使えそうなオブジェクトはないですが使われそうなオブジェクトもありません。つまりガチンコだ。

●重要な注意(いつもの)
 レディ・ハンプティは先制攻撃を行います。
 これは、『猟兵が使うユーベルコードと同じ能力(POW・SPD・WIZ)のユーベルコード』による攻撃となります。
 こいつを攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
 対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
 対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性が高いので注意してください。

 さらに1つ。
 先制攻撃は『ユーベルコード1回につき1回』繰り出されます。よって、2つ以上のユーベルコード使用、あるいは1つのユーベルコードの複数回使用は推奨されません。それだけ先制攻撃が飛んできます。

 高難度依頼や超ボスシナリオはいつもより判定が一段階厳しくなります。
 失敗判定やシナリオ失敗の可能性があることはご了承ください。

 それではついに猟書家戦ということで。皆様の魂のこもったプレイングをお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『猟書家『レディ・ハンプティ』』

POW   :    乳房の下の口で喰らう
【乳房の下の口での噛みつきと丸呑み】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    アンティーカ・フォーマル
【肩の蒸気機関から吹き出す蒸気を纏う】事で【武装楽団形態】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    侵略蔵書「蒸気獣の悦び」
【黄金色の蒸気機関】で武装した【災魔】の幽霊をレベル×5体乗せた【魔導列車】を召喚する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

黒城・魅夜
彼の大魔王は希望を喰らうものでした
つまり娘であるあなたにさえ希望を抱いてはいなかったのですよ、哀れな魔女
私は希望の依代、希望を繋ぐもの
故に、魔王の系譜を受け継ぐものよ
あなたもまた希望の名のもとに父の元へ送ってあげましょう

残像を使い幻影を映し出し、攻撃を誘惑
それだけで誤魔化せはしないでしょうから
早業・範囲攻撃で鎖を全面に展開し、オーラも使用して防壁と為しつつ
見切りと第六感で致命の一撃だけは避けましょう

ふふ、苦しいですか?
喰われた私の肉の中にはたっぷりと呪詛を込めてありますから

さあ今度は私の牙を味わってもらいましょう
ダンピールたるこの私にも牙には多少の自負はあるのです
父と同じ技で骸の海へ沈みなさい



●希望を……あれ?
「彼の大魔王は希望を喰らうものでした」
 黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)がつかつかとレディ・ハンプティのもとへと歩みを進める。
「つまり娘であるあなたにさえ希望を抱いてはいなかったのですよ、哀れな魔女」
 ……が、あれ? 希望……?
『わたくしの父様、希望とか言ってましたっけ……?』
「え……?」
 ねぇ、魅夜、もしかして……ウームー・ダブルートゥと誤解してない?
「……」
 ……
「私は希望の依代、希望を繋ぐもの」
 あ、押しきるんだ。
「故に、魔王の系譜を受け継ぐものよ――あなたもまた希望の名のもとに父の元へ送ってあげましょう」
『生意気なことを! わたくしは父様のもとにはまだ行けないのです!』
 レディ・ハンプティの乳房の下の口が開くと魅夜を丸呑みにする――が、感触がない。
「それは幻影です」
 魅夜はそのまま鎖を展開して、簡単な防壁を作り上げる。――が。
「おっと……」
 少し、腕の肉が絡まった。そのわずかなスキを見逃すレディ・ハンプティではない。
『鎖にも嫌われましたね、わたくしを倒すなどというからです』
 そのままレディ・ハンプティの乳房の下の口が魅夜の白い肌を噛む――!

 ――だが。
 なんということだろうか。

『ぐっ……』
 赤い滴を前にレディ・ハンプティの動きは止まっていた。
「ふふ、苦しいですか? 私の肉の中にはたっぷりと呪詛を込めてありますから」
 そう――絡まったのも実はあえて。
 あえて自分の肉を食わせ、その呪詛で相手を苦しめる、まさに肉を切らせて骨を切るやり方――!
「さあ、今度は私の牙を味わってもらいましょう。ダンピールたるこの私にも牙には多少の自負はあるのです」
 口元の牙が鈍く光った。苦しむレディ・ハンプティだがそれはむしろ好都合だ。
「父と同じ技で骸の海へ沈みなさい」
 それは肉体と魂の双方を穿ち破壊する牙。身も心も運命さえも貫き通す欲望の輝き。それが乳房に刺されば、呪詛で苦しむレディ・ハンプティの力を奪っていく。
『このっ――離しなさい!』
 無理やり赤い滴を垂らしながら押しのけるように魅夜を突き飛ばすが、力が減衰しているのは間違いなかった。息が荒かった。
「おや? もしかして私に」
『んなわけないです!』

成功 🔵​🔵​🔴​

ネーヴェ・ノアイユ
ハンプティ様……。あなた様を倒せば……。きっとオリジン様が力を取り戻してしまうのでしょうね……。ですが……。それでもこのアリスラビリンスより……。他世界のへとご迷惑をおかけするわけにはいきませんので。

ハンプティ様の攻撃をリボンに魔力溜めしていた魔力を使用し作り上げた氷壁にて受け止めます。
徐々に氷壁をUCへと変化させていき……。受け止める際に既に見たという条件も合わせて相殺を狙います。
此度の戦いではUC状態にした氷壁の盾受けとかばうにて味方猟兵様への被害を抑えるよう立ち回ります。
攻撃手を守りきることが此度の私の戦いです。

この力を得た際に……。私は決めたのです。全てを守る……。その為に戦うと……!


亞東・霧亥
丸呑みね。
出来るもんならな。

先制対策
・グラップル、ダッシュ、忍び足、残像、見切り、殺気
緩急自在の歩法で数多の残像を作り、反撃の機会を得られるまで体術を駆使してひたすら見切る。
多少の傷は無視するが、その分、敵に対する殺意を募らせる。

【UC】
過去の激闘から「ベルセルクドラゴン」に変身。
溜め込んだ殺意を解き放つ事で、身体サイズと戦闘力を増強する。

・グラップル、怪力、部位破壊
持てる力を全投入して、フルボッコタイムに突入する。



●万華鏡は竜を映す
「ハンプティ様……あなた様を倒せば……きっとオリジン様が力を取り戻してしまうのでしょうね……ですが……」
 ネーヴェ・ノアイユ(冷たい魔法使い・f28873)の心には固い決意があった。
「それでも、このアリスラビリンスより……他世界へとご迷惑をおかけするわけにはいきませんので」
『ならば、わたくしを止めるとでも言うので? やれるものならやってみなさい』
 レディ・ハンプティのもとに一つの本が現れる――!
(まさか、あれが――)
 息をのむネーヴェ。その予想は現実となる。
『侵略蔵書、解放! 走れ、「蒸気獣の悦び」!』
 開いたページが光れば走りだすは黄金の魔導列車。
『災魔も乗せたこの列車、止められるとお思いで?』
『モフー!』
 幽霊災魔も乗っているのだが何か今可愛い災魔の声しなかった? が、それは問題ではない! 問題は、これがネーヴェに向かっているということ――そう、人身事故の被害者がどうなるかは、想像に難くない――!
「危ない……!」
 ネーヴェがリボンに触れれば氷の魔力が手に宿り、氷の壁がネーヴェの前に現れる! 魔導列車がぶつかれば激しい音が鳴り響く……!
「ぐっ……うう……!」
 目をしかめてしまうほどの勢い。押し負けそうだが、ここで負けるわけにはいかない。それに、自分には秘策がある――!
『どうしたの、先ほどまでの威勢は……押されているではないですか。やはり、ただの虚勢――』
「……違う、断じて違う」
『?』
「この力を得た際に……私は決めたのです。全てを守る……その為に戦うと……!」

「……へえ」
 ネーヴェのそんな様子を後ろから見つめる一人の男の影。
「あんた、相当覚悟あるんだな――いいぜ、やってやるか」
「ええ……待ってました。私も……このままではジリ貧……攻撃役の方を……お待ちしてました。お名前は?」
「亞東・霧亥(峻刻・f05789)だ」
「霧亥様……私は、ネーヴェ・ノアイユです」
「ああ、任せろネーヴェ」
 その時、列車から災魔の幽霊たちが二人に襲い掛かる! だがそれを傷を無視しつつ残像を作るような華麗な拳裁きでネーヴェに近寄らせない霧亥!
「こいつらは俺に任せろ! ネーヴェはこのまま防御し続けるんだ! 機を見てやつへ反撃する!」
「お任せします! 私も秘策を出します――!」

 しっかりと列車の方を向き、今一度、
「はぁぁぁぁーーーー!!」
 気合を入れなおせば氷の壁が崩れ――否、壊れた部分が徐々に重なり、模様を形成していく――!
「風花舞いて……一つになれば、其は全てを守る煌めきの盾……六花の万華鏡(カレイドクリスタル)!」
 氷壁は氷雪の万華鏡のような美しい盾となり、魔導列車を徐々に、徐々に押し返していく! 攻撃手を守りきることが此度のネーヴェの戦いなれば、これが壊れた時が敗北――信頼もされている中で、崩れるわけにはいかない――!
「くっそ、どんどんわいてくるな」
 霧亥もわいてきた災魔幽霊からネーヴェを後ろから狙われないように必死だ。傷もできているがそれを気にする余裕はない。イラつきと応戦で殺気を高めていく。

『なぜです……なぜ、わたくしの侵略蔵書が勝てない! わたくしがしたためたこの「蒸気獣の悦び」が! あんなたかが猟兵2つごときに!』
 レディ・ハンプティはイライラを募らせていた。さっさと轢いて終わりかと思えば、意外に応戦――しかも、押されているではないか。自分の書に誤りがあったか――? 否――そんなことはない。
 それはなぜなら――
「奴等が――途切れた!」
 霧亥という攻撃と。
「仕掛けます、一気にハンプティ様の元まで!」
 ネーヴェという防御。
 その2つの噛みあいが絶妙だっただけの話なのだから。
「六花の万華鏡……彼の力を映し出せ!」
 瞬間、大きく盾を押し出したかと思えば――!
『そんな!?』
 魔導列車が、大きく跳ね返され、グワシャァァン、と大きな音を立てて地面に落ちた。
「お願い……します……!」
「ああ!」
 肩で息をするネーヴェの横を霧亥が抜けていき、徐々に消えていく魔導列車に跳び乗れば踏み台にしてさらに跳躍。
『ちっ! 丸呑みにしてやりますわ!』
「丸呑みね。出来るもんならな!」
 乳房の下の口が開いて霧亥を丸呑みにしようと構えれば、霧亥はフェイントでレディ・ハンプティを蹴り飛ばして着地。
「我、生きずして死すことなし。理想の器、満つらざるとも屈せず。これ、後悔と共に死す事なし」
 霧亥の身から時を遡る力が迸り、彼を殺気と共に包む――!
「やがて一つの因果は、その意志を俺へと回帰させ、記憶の深淵に刻まれた戦いの意識を思い起こさせるだろう。 故に、俺は行く――」
 ――そしてその身が、
「――『屍山血河』を!」
 一瞬輝くと、なんとその姿は黒と赤の竜――かつてベルセルクドラゴンと呼ばれたそれになっていた!
『――なっ!』
 これでは大きすぎて丸呑みできないではないか! 牙がベルセルクドラゴンに突き刺さるも大した傷にならない!
「丸呑み不可能な事象に驚愕しているか消滅した魔導列車も興味深く研究に値するが消滅してしまったものを探求することはできず故にそれを呼び出した彼の本こそがより研究に値するものであり同時に目の前の存在の武器の一つなれば戦力減少も兼ね略奪するのが得策か」
 瞬間、レディ・ハンプティの『蒸気獣の悦び』にその手が伸び――否、攻撃する!
『この本は――!』
 しかし思いっきり力を籠めて振るった攻撃はレディ・ハンプティを吹き飛ばし、『蒸気獣の悦び』が手を離れてどこかに飛んでいってしまった!
『そんな――!』
「吹き飛ばしてしまったか後程回収するとしようやはり体格差力の差があっては略奪が難しいのは道理か否かの存在の戦力を削っただけでもよしとすれば目の前の存在に追撃を浴びせるが得策か」

 レディ・ハンプティは戦慄した。
 この竜に狂気的な攻撃を喰らうのだと。
 そしてそれは残虐に行われる。怪力の攻撃は、例え素手だけとはいえ彼女に殴られたような傷と内出血を生み出す。例えるなら格闘技のパンチやキックを喰らい続ける感じだ。しかもそれがドラゴンによるものとなれば――お分かりいただけるだろうか。
「興味深い未だ倒れぬか書をなくしたところで力は健在かならばどこまで耐えられるか研究を開始――否時間切れか」
 と、時間切れなのかベルセルクドラゴンが元の霧亥の姿に戻った。

 目の前のレディ・ハンプティは苦痛に顔を歪ませているが、それでも。
『くっ、まだやれます! アウルム・アンティーカ父様のためにも負けられません!』
 やる気はまだあった。
 さてどこまで体がついてこれるか――

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ナギ・ヌドゥー
正体を見せない父親でも愛しく感じられるものなのか?
所詮アンタも大魔王の駒の一つに過ぎなかったのだろう
……まぁ親子愛などオレには分からぬ感情か

【ドーピング】により【限界突破・リミッター解除】し超スピードアップ
【第六感】による【読心術】で攻撃を読み【見切り】回避もしくは【オーラ防御】
何とか凌ぎながらこっそり足元から武器・邪絞帯を這わせ奴の足を捕る【捕縛】

さぁこの一瞬が勝負だ
UC【九忌怨刃】発動
【2回攻撃】×9の18連続【切り込み】で奴の蒸気機関を【部位破壊】
あの肩の蒸気機関が破壊されれば攻撃・機動に大きな異常を来すだろう
そうなれば後は互いの肉を削ぎ合う消耗戦に持ち込める



●最初から狙いは部位
「正体を見せない父親でも愛しく感じられるものなのか? 所詮アンタも大魔王の駒の一つに過ぎなかったのだろう」
『あなたにはわかるはずもありますまい、わたくしのアウルム・アンティーカ父様への愛は!』
(……まぁ、わかってたが、親子愛などオレには分からぬ感情か)
 冒頭から挑発で相手を怒らせるナギ・ヌドゥー(殺戮遊戯・f21507)には幼少期の記憶が改造のせいでない。以来は奴隷として、そしてその後もダークセイヴァー世界で生きてきたため、親の愛なんて感じたことはなかったのだ。

「さて、やるか」
 ケースから薬物を取り出すと自分の体に投与。あくまで強化人間としての自分を安定させ強化するためのものであり、いたって健全だからね? ……多分。
「ああ、この感触だ……見える」
 レディ・ハンプティが肩の蒸気機関を震わせて武装楽団形態となるが、しかしブーストした――というかドーピングした――ナギにはそんなものは直感的読心と見切りでどうにかなる。
『消えなさい!』
 レディ・ハンプティが接近戦を仕掛けてくる。それを軽々と、時としてギリギリで回避しつつ、ナギはこっそり足元から武器である邪絞帯に己が血を吸わせればそれを這わせる。

『――なっ、ばかな!』
 そしてそれがレディ・ハンプティの足に絡みつき、動きを鈍らせた! この瞬間を待っていた!
「さぁ、この一瞬が勝負だ――苦悶の闇に堕ちし時、殺戮の宴が始まる」
 鋸の様な刃を持った鉈が濁った眼に輝き、飛び出せばまずは胸に一撃、そしてそれを踏み台に、狙うは――
『――まさか!?』
「ああそうだ目的は最初から――」
 鉈による連撃が背中の蒸気機関に当たり――
「――その蒸気機関だよ!」
 レディ・ハンプティの後ろでガラガラと崩れ落ちる蒸気機関。これで侵略蔵書に次いでレディ・ハンプティは蒸気機関も失ったことになる。つまり――もはや肉弾戦しかできない。
 故に、
「それとも、直で互いの肉を削ぎ合う方がよかったかぁ?」
 その言葉は、衝動と自信にあふれており、そして絶望をも意味していた。
 肉弾戦『に持ち込む』選択肢しかない、肉弾戦『しかできない』のだから――!
「はははは、楽しませてくれよ!」
 身一つで応戦するレディ・ハンプティにもはや余裕そうな表情は見えなかった。
 ――決着の時が、近づいてきている。

成功 🔵​🔵​🔴​

御桜・八重
【POW】

なんだかすごいバイーンが来たよ。
…うん、色々嫌だけど、この手で行こう。
勇気を振り絞って、覚悟を決めて。
「いざ突貫!」

真正面から桜色のオーラを纏い突撃。
得意の体当たり攻撃だ!

わたしの身長だと、頭から突っ込むと
ちょうど胸の下の口に当たるくらい。
当然丸かじりが来るわけで。
頭にオーラ防御を集中、気合いで堪える!
でも…
「わわっ、これじゃ保たな」
ガチーン。わたし終了。

と思わせて【桜吹雪化身ノ舞】を発動。
頭だけを桜の花弁に変えてコッソリレディの後ろへ。
大きな胸に隠れて頭がどうなっているかは見えないはずだよ。
油断しているところを、後頭部に思いっきり頭突き!
動揺した隙を狙い口の隙間に二刀を突き込むー!



●桜の巫女は負けられない
「なんだかすごいバイーンが来たよ」
 どこか抜けた調子の御桜・八重(桜巫女・f23090)が驚いたような顔で立ちすくむが、すぐ頬を叩き冷静さを取り戻す。そしてしばし考えた末―― 
「うん、色々嫌だけど、この手で行こう」
 考えた作戦は――勇気を振り絞って、覚悟を決めて。
「いざ突貫!」
 真正面から桜色のオーラを纏い突撃する、得意の体当たり攻撃! ちなみに、八重の身長で頭から突撃すると、ちょうど――
『飛んで火にいる夏の虫……!』
 ――ちょうど胸の下の口に当たるくらいだ! 口が大きく開かれ、八重に応戦する! その間にもナギの攻撃は来るが、ここは耐えるしかない!
「もってくれよわたしのあたま――!」
 気合を集中させ、丸かじりの痛みに耐え続ける八重――!

 ――嗚呼、でも。
 それで耐えられるほど猟書家は甘くない。
「わわっ、これじゃ保たな」
 ガチーン、と音がして、彼女は某黄色の魔法少女みたいなことになり地に倒れ伏す……
『やれやれ、無鉄砲な方もいたものです……と』
 地に落ちた八重だったものを蹴飛ばして呟くレディ・ハンプティ。シーンエンド……

「ガチーン。わたし終了。
 と思ってた?」

 レディ・ハンプティの後頭部に鈍い衝撃が――!
『なっ!?』
 慌てて後ろを見れば、そこには――八重の頭があるではないか!?
『い、いつのまに!? というか、そんな、人間業じゃないことを――!?』
「ふっふーん、わたしもびっくりだけど、というかこの感覚未だに慣れないけど、でも、いいでしょ?」
 ――巫女として、そして親友を探すために、帝都で学んできた、あるいは修行の一つだろうそれを軽く笑い飛ばす八重。その裏にどんな感情があるか知る由もない――が、それはまた別の話、機会があればとして。
「そんなパイーンじゃ、私がこんなことしたなんて見えなかったでしょ?」
 そう、巨乳の存在というのは、えてして自分の足元が胸のせいで見えないなんてこともある。巨乳ならではの弱点であるが、それを利用したのだ。
 怯んだすきに倒れた体が起き上がり、陽刀・桜花爛漫と闇刀・宵闇血桜が口の中に入れられる――!
「終わりだよ、レディ・ハンプティ! 思いっきり、割れちゃえ!」
『あっ、ぐう、そんな、やられたら――』
 二つの刀がむりやり口を押し広げようとし――
『裂けてしまいます――!!!』

 ――二つの刀は振り抜かれ。
 裂かれた乳房の下の口から赤い飛沫が飛んでいく。

『ああああああああああああああああああああああああ!!!』
 苦悶に満ちた呻きが響き、乳房の下の口からは赤い液体が垂れ続ける。
「その口でいったいどれだけのものを食べてきたのかな?」
 飛頭蛮、あるいはデュラハンのような状態から合流しもとに戻った八重は頬を叩いて感覚を確かめると、構えている刀でとどめを刺しに行く――!
「これで、仕舞いだーーー!!!」
 乳房の下の口に刀が入れられ、そしてそのまま上下に振り切られていく――!
『うぁぁあああ……ああ……』
 十字に斬られた乳房の下の口から赤い液体を垂らし続けながら、最後まで肉弾戦に持ち込み続けた男を見ながら、そして意表をついた作戦で己の口に致命傷を与えた勇猛果敢な少女を見ながら。
 後ずさりしていくレディ・ハンプティは天に手を伸ばし――
『アウルム・アンティーカ父様……『書架の王』……申し訳……ありません……!』
 その身が――塵となって消えていった。

「――うん、おーわりっと!」
 八重は刀をしまい、この場を後にする。
「あの子のためにも、負けられないからね!」
 ――ノヲトに書く日々の事がまた増えた。きっとその旅は今は蒸気のような煙の中の五里霧中なれど、いつかは見えると信じている。故に――こんなところで負けるわけにはいかなかった。

 ――決意の少女により、猟書家『レディ・ハンプティ』――討滅。
 侵略蔵書の処分は失敗したが、全部位破壊(或いは紛失)――完全勝利。
 ――そして、『原初』にまた一つ、力が戻る。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2020年08月17日


挿絵イラスト