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スターゲイザー・ストーリーズ

#グリードオーシャン #お祭り2020 #夏休み #挿絵

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●顧みられぬが故の美しさ
 グリードオーシャンの片隅にひっそりと浮かぶ『レイブンホード島』は、嵐の海を往く覚醒者のみぞ知る『美しい夜空が堪能できる島』であった。
 既にコンキスタドール――オブリビオンの脅威からは解放されたその島を、しかし日々戦に明け暮れる荒くれ者たちは然程興味を示すこともなく。

 故に、予知で視えたレイブンホード島には人っ子ひとりおらず。
 手つかずであればこその美しさを誇る海と浜辺。
 完全に、猟兵たちの貸し切り状態となった満天の夜空を楽しめる。

 ――こんな素敵な話を、どうして黙っていれようものか!

●星の数だけ、物語がある
「という訳でね、戦争もいよいよ佳境ってとこで空気読まずに悪いんだけど。せっかく素敵な島を見つけたから、息抜きしたい人がいればどうかしらと思って」
 普段はモコモコの上着を着込んでいるミネルバ・レストー(桜隠し・f23814)が、水着姿という浮かれっぷりでそう切り出した。
「レイブンホード島っていう島なんだけどね、海とビーチがとっても綺麗なの。昼間に行ってもいいんだけど、ここの夜空はとっても綺麗なのよ――満天、って感じ」
 そう言いながらミネルバが中空にビジョンを一枚展開させれば、なるほど確かに星の海が広がり、月も煌々と地上を程良く照らして雰囲気は抜群ではないか。

 折角だから、とミネルバは笑んだ。
「みんなを転送するのは、日が沈んで月と星が出た頃合いにしようと思うの。夜の海は危ないけれど、月明かりに照らされてるから波打ち際で遊ぶ程度なら大丈夫だわ、きっと」
 星を見ながら、何をしてもいい。
 語らったり、普段は言えないようなことを打ち明けてもいい。
 無邪気に遊んだり、火を起こして食事をしてもいいだろう。
「誰も、何もとがめやしないわ。月も星も、ただそこにあるだけ。気兼ねせずに、羽根を伸ばしてきてくれると、わたしもいつものお礼ができるみたいで、その……」

 氷雪の娘は、少しばかり頬を赤らめて、顔を背けてこう言った。
「……うれしいわ。気をつけて、行ってらっしゃい」

 ぷいと横を向いたまま、六花のグリモアをきらきらと輝かせる。
 親愛なる猟兵たちを、ひと時の休息へと導くために。


かやぬま
●ごあいさつ
 アバンチュール! かやぬまです!
 皆様のひと夏の思い出を作るお手伝いができれば幸いです。

 なお、このシナリオは既に猟兵達によってオブリビオンから解放された島となります。
 【日常】の章のみでオブリビオンとの戦闘が発生しないため、獲得EXP・WPが少なめとなりますこと、ご了承下さいませ。

●できること
 レイブンホード島という名前の、天体観測をするには絶好の穴場です。
 月も星も肉眼で十分楽しめるため、天体望遠鏡などの道具は不要です。
 時間は日が沈んだ夜、月明かりで照らされているため波打ち際で遊ぶ程度なら海に入っても大丈夫でしょう。
 行動指針としては「星空を見ながら○○をする」「星空のもとで○○する」という風に、一つに絞って頂いた方が描写が薄まらずイイ感じに出来そうかな、と思う次第です。

 なお、プレイングでご指名頂いた時に限りグリモア猟兵のミネルバがお邪魔します。
 一人でさみしい、一緒に遊ぼう、その他諸々何かありましたらお申し付け下さいね。

●リプレイについて
 頂戴したプレイング次第で、ギャグテイストにもしっとりテイストにもなります。
 かやぬまは前者の方が得意ですが、そこはお気遣いなく、やりたいことをやって下さい!
 また、頂戴したプレイングの数やかやぬまの事情によっては再送が発生する可能性がございます。申し訳ありませんが、それを踏まえておいて頂けますと有難いです。

●プレイング受付期間
 MSページとツイッターでお知らせ致します、ご確認頂ければ幸いです。
 同時に、MSページの記載も一通りお目通し下さいますと嬉しいです。

 それでは、満天の星空の下で、素敵な思い出を一緒に作りましょう!
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第1章 日常 『猟兵達の夏休み』

POW   :    海で思いっきり遊ぶ

SPD   :    釣りや素潜りを楽しむ

WIZ   :    砂浜でセンスを発揮する

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

灰神楽・綾
【梓(f25851)と】
浜辺でレジャーシートを敷いて
のんびり星空鑑賞会
そういえばここってどの世界が
落ちてきた島なんだろうね?
あとでこの島を探検して推理してみるのも良いかもね
…そうだね、今はただ
この穏やかな時間を大事にしようか

何処までも続く満天の星空を
ずっと首を曲げて眺めるのも疲れてくるし
思い切ってごろん
その場に大の字になって寝転んでみた
やっぱりこの方がよく見えるね

…あ、流れ星だ
一瞬のうちに光って流れて消えて
とてもじゃないけどあれが消える前に
願いを言うなんて出来なさそう
それでも、流れ星に願い事をするとしたら
梓だったらどんなのがいい?
俺が早死にするか長生きするかは梓の頑張り次第かな
俺?あはは、秘密


乱獅子・梓
【綾(f02235)と】
島民がいればその暮らしぶりから
何となくどの世界なのか予想がつくが
今じゃ人っ子ひとりいないらしいからな
島の内部にいけばその世界の
建築物とか残っているだろうか
…まぁ、今は細かいことは抜きにして
この星空を楽しむのがいいさ

思い切りがいいなお前…と綾を眺めていたら
つられるように焔と零もごろんと仰向けになって
…なんか俺だけ空気読めないみたいな図だな?
ええい、俺も寝転ぶか

星にお願い事か…
まぁ月並みだが、故郷が早く平和になりますように
とか言っておこうか
それか、無茶ばっかりするお前が
早死にしませんようにとかだな
で、そういうお前はどうなんだ?
人に言わせておいてそれはズルいだろう…!?



●星に願いを
 転移を受けて夜のレイブンホード島に降り立った灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)と乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)の二人は、月明かりを頼りに大きめのレジャーシートをばさっと広げ、並んで腰を下ろした。
 どちらともなく天を仰げば、確かに説明を受けた通りのきらめく夜空が目に飛び込んでくる。これなら、のんびりと星空鑑賞会と洒落込むことも容易いだろう。

「そういえば、ここってどの世界が落ちてきた島なんだろうね?」
「……島民がいれば、その暮らしぶりから何となくどの世界なのか予想がつくが」

 綾がふと口にした疑問ももっともだ、グリモア猟兵は予知の説明でそのことについて触れなかったのだから。
 ぶっちゃけた話これは完全にかの娘が言い忘れていただけであり、まっこと申し訳ないとしか言いようがない案件であった。
 今じゃ人っ子ひとりいないらしいからな、と嘆息した梓が海とは反対側に広がる森をちらと見遣るのに、綾も倣う。
「あとで、この島を探検してみて推理してみるのも良いかもね」
「そうだな、島の内部にいけばその『世界』の建築物とか残っているだろうか」

 ――もしも本当に二人が島内を探検したとしたら、建築物らしきものはほとんどない、強いて言うなら塹壕めいたものをまばらに目撃しただろう。
 レイブンホード島の正体は、かつてアックス&ウィザーズで幾多の騒乱の舞台となった古戦場でもあったのだ。
 故に『落ちてきた』当初から居住するものは誰一人としておらず、不毛なる地を覚醒者たちもコンキスタドールたちも敢えて求めず、捨て置かれていたのだ。
 星空を楽しむためだけに嵐の海を越えようなどと、そんな道楽に興じる余裕はないと。
 ……い、今とっさにでっち上げたとか、そんなんじゃないんだからね!

 ともすればこのまま星空のもとで大冒険が始まりそうな勢いを、梓が制した。
「……まぁ、今は細かいことは抜きにして、この星空を楽しむのがいいさ」
 な、と視線を向けてくる梓の瞳は月明かりの夜とは言えども抜かりなく愛用のサングラスに隠され。慣れたものだと綾もカラーレンズの丸眼鏡越しに笑んで見せた。
「……そうだね、今はただ、この穏やかな時間を大事にしようか」
 二人揃って、今まで戦いに身を投じてきた分に負けないくらい、今年の夏は色々なところに足を運んでは、二度とはないひと時を楽しんできた。
 だから、今回もせっかくだから。
 二人は、改めて何処までも続く満天の星空を見上げた。

「……」
「……」
 星は確かに綺麗で、いくらでも眺めていられる。
 だが、身体が。もっと具体的に言えば、首がそれを許してくれない。
「――疲れた!」
「な……っ!?」
 おもむろに綾が言い放つと、レジャーシートの上に大の字になって寝転んだ。
 大きなレジャーシートを用意して正解だったと思う一方で、随分と思い切りが良いなと綾を見遣る梓の懐から、もそもそと出てくる影が二つ。
「キュー!」
「……ガウ」
 人懐こい炎竜の『焔』と氷竜の『零』も、まるで綾に続くようにコロンコロンとむっちりしたボディを仰向けに転がせて、キャッキャウフフとし出すものだから。
(「……なんか、俺だけ空気読めないみたいな図だな?」)
 このままでは、実際そういうことになってしまう。同調圧力って怖いね!
(「ええい、俺も寝転ぶか!」)
 どさり。頭部を打たぬように気をつけつつ、しかし思い切って梓も仰向けに寝転ぶ。
 大の大人二人と、愛らしい仔竜が二匹、仲良く天を仰ぐ格好となった。

 きらり、と。ある星がひときわ瞬いて、次の瞬間には流れて落ちる。
「……あ、流れ星だ」
 綾はそれを見逃さず、しかし嘆息してこう続けた。
「一瞬のうちに光って流れて消えて、とてもじゃないけどあれが消える前に願いを言うなんて出来なさそう」
 しかも一説では『願い事を三回繰り返せ』とも言うから恐ろしい。無理ゲーが過ぎる。
 自分と梓との間に挟まってじゃれ合う仔竜たちを見て、それから梓を見て。
「それでも」
 他愛ないようで、しかし抉るような問いを。
「流れ星に願い事をするとしたら――梓だったらどんなのがいい?」
「……」
 何故だか、梓は綾を見返すことができなかった。代わりに手を伸ばして仔竜を撫ぜる。
「星に、お願い事か……」
 視線は満天の星空に向けたまま。これだけあるなら、願いを言い切るまで流れ続けてくれても良かろうに。
「……『故郷が早く平和になりますように』、とか」
 月並みな願いでお茶を濁すけれども、隠しきれない本音もあったものだから。
「それか、『無茶ばっかりするお前が、早死にしませんように』とかだな」
 梓の言葉を聞いた綾が糸目を崩して一瞬目を丸くしたのに、梓は気付いただろうか。
 すぐにくすくすという笑い声と共に、返事が返ってきた。
「俺が早死にするか長生きするかは、梓の頑張り次第かな」
 死と隣り合わせの生き様は、最早己の根幹を成すものでもあるが故に。
 そう容易くは捨てられないが、最大限の譲歩をするとしたら――それが、この答え。
 梓も長い付き合いでそれは良く分かっていたから、ため息だけで返事とした。

「で、そういうお前はどうなんだ?」
「俺? あはは――秘密」
「はぁ!? 人に言わせておいてそれはズルいだろう……!?」

 ――これが、梓と綾の、いつもの日常。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミカエル・アレクセイ
【満月・双葉(f01681)】
「双葉、身体が冷えるから夜の海に近づくな」
むすっとしつつも襟首をつかんで引き戻す過保護ぶりは我ながら呆れるな
でもまぁ風邪を引かれてからでは遅いし今の保護者に文句を言われては面倒くさいからと内心言い訳をする
「結構な量の星があるのだな」
星を眺める余裕ができたのが引退してからだから名前に詳しいわけではない
死んだ者が星になる世界もあった気もするがここはどうなのだろう
沢山見送ってきたが、星にでもなっているなら多少は…
「何見てんだクソガキ。目の保養にしかならんだろ」
弟子に心配されるとは俺も焼きが回ったかな
「やはり気になるな、その毛」
ぐいぐい引っ張って雰囲気を誤魔化してみる


満月・双葉
ミカエル・アレクセイ(f21199)
下駄を脱いで波打ち際を歩こうとすると引っ張り戻され
「暑いんですから多少冷えたって…」
と文句を言いつつ逆らいはしない
こうと決めたら譲らないのはよく知っている
「街中にいると見えないもんですね」
のんびり上を眺めることをあまりしてこなかったから暫く星を眺めて
ふと師匠を見てみれば何となく切なそうな雰囲気をしていたので心配になる
だから思わず見つめていたらふざけられてむっとしてしまう
そもそももうガキじゃないのにとさらにむっとしていたら拗ねたように揺れていたアホ毛を掴まれ
「師匠、抜いてもまた生えてくるから無駄ですよ」
後で絵にでも残しておくか



●生命の行き着く果ては
 素足で波打ち際を歩く程度ならば、平気だろうと、そう思って。
 満月・双葉(時に紡がれた星の欠片・f01681)は履いていた下駄を脱いで、海の方へと向かったところをミカエル・アレクセイ(山猿・f21199)に襟首を掴まれて引き戻された。
「双葉、身体が冷えるから夜の海に近づくな」
 むすっとした顔と声でそう言うミカエルに、双葉も不満そうに返す。
「暑いんですから、多少冷えたって……」
 返すも、逆らいはせずに大人しく言うことを聞く。

 ――面倒臭いと言いながら、何やかやで面倒見がいい。
 ――そして、一度こうと決めたら、決して譲らない。

 満月・双葉は、ミカエル・アレクセイたる存在の何たるかを良く知るが故に。
 だから大人しくその言葉には従うし、比較的背が高いと思われる己よりもさらに大きいアレクセイの横に並んで、星空へと目を向けた。
(「過保護ぶりは我ながら呆れるな」)
 ミカエルもまた、己の性根に内心で肩を竦めるのだが。
(「でもまぁ、風邪を引かれてからでは遅いし」)
 至極真っ当な配慮と、ほんの少しの言い訳をするのだ。
(「今の保護者に文句を言われては面倒くさいから」)
 せっかくだからと双葉の視線を追えば、飛び込んでくるのは満天の星空。
 思えば数えるのも疎ましいほどに生きてきたけれど、こうして星を眺めるという余裕が生まれたこと自体『引退』してからだなとぼんやり思う。

「……結構な量の星があるのだな」
「街中にいると、見えないもんですね」

 明るい星、暗い星、大きい星、小さい星。
 よくよく見ればひとつとして同じものがないのも不思議なもので。
(「名前に詳しいわけではないが」)
 人はそれらを結びつけ、名前と逸話を与え、親しんできたという。
(「死んだ者が星になる世界もあった気がするが、ここはどうなのだろう」)
 神という種族は不老不死であるが故に、ミカエルもまた『そうではない』ものたちを数えきれぬ程に『見送って』きた。
(「星にでもなっているなら、多少は」)
 ――救われる、というものではないだろうか?

「……師匠?」

 並び立って星を見ているうちに、黙り込んでしまった師の様子を見てみれば、常とは違う――何となく切なげな雰囲気を感じたものだから、思わずぽそりと呼び掛けてしまう。
「何見てんだクソガキ、目の保養にしかならんだろ」
「はぁ……!?」
 茶化すような言葉を受けて、実は本気で心配していた双葉は思わずムッとなる。
 言葉にも棘が混ざってしまうし、アホ毛だって荒ぶってしまう。
(「弟子に心配されるとは、俺も焼きが回ったかな」)
 内心で苦笑いを浮かべるミカエルの視界には、そもそももうガキじゃないのにとぷんすこする双葉の姿があった。
 それはまるで猫が不機嫌な時に尻尾を左右にゆっくり揺らすような、そんな動きを見せていた双葉のアホ毛を、気紛らしにミカエルがぐいと掴んで引っ張った。
「やはり気になるな、その毛」
 ぐいぐいと容赦なく引っ張るも、双葉は然程痛そうな様子を見せないのは何故か。
「師匠、抜いてもまた生えてくるから無駄ですよ」
 そのアホ毛、抜けるしまた生えてくるの!? 中々に衝撃の事実ですよ!?

 まあそんなアホ毛を引っ張られながら、双葉は思う。
(「さっきの師匠、心配ないなら良いんですが」)
 憂いを帯びた横顔は、それだけを切り取れば確かに『絵になる』。悔しいけれど。
(「……後で、絵にでも残しておくか」)

 これは、数えきれぬ命を見送った男のほんの少しの感傷と。
 命を断つ瞳を持つその弟子との物語。
 星空はただ何も言わず、そんな二人の上で輝き続ける。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

雪華・風月
【月里】
わぁ~水着コンテスの方には参加したのですが…はい、海を楽しむ機会は無かったので
小さい頃に別荘に何度か連れてきてもらっていたのですが、流石に家を出てからは……
この星空はそこで見た星空よりもとても素敵で綺麗です…


戦争の方も色々慌ただしくなってきましたが
今回はそれは忘れて楽しむとしましょう…
といっても、月や星を眺め、波の感覚を足で楽しむ位ですが


千里さんの言には了解ですと返し、見かけたミネルバさんには手を振り
同い年ですから、以前よりお誘いしてみたかったのですよね!ご一緒に如何ですか?


千里さんが焼いた食物をもきゅもきゅと
はい、良い焼き加減です(笑みを見せないながらも頬張りながら)


六道銭・千里
【月里】
おぉー綺麗な星空やな
去年と変わらず今回もお守り役、まぁこう綺麗な景色見てのんびり出来るんやったら悪くないか…

色々慌ただしくなってきたしここらで一息ってな
俺等の世界は猟書家以前にやしな?
はてさて、UDCの平和はいつになるんやろね…


因みに今回は海パンに上を羽織ってBBQの準備中や
おぉ、ミネルバや。一緒に食うか?

水際で遊んでる風月に深いところに行きすぎんなよ~と注意しながらも
魚介に肉にと楽しそうに焼いて…



そういえば、ミネルバ…俺、今年受験生なんやけどな…これどうするべきやろな……(遠い目をしつつ)



●星空が示す道
 レイブンホード島の夜空は、いつでも誰かを待っている。
 本当はこうしてずっと、誰かに見てもらいたかったのかも知れない。
 それとも、それはただの人間の感傷か――誰にも分からないけれど。

 連れ立って海辺へ向けて歩いてきた六道銭・千里(冥府への水先案内人・f05038)と雪華・風月(若輩侍少女・f22820)の二人は、共に夏の海を楽しむ水着姿で。
 深い青のサーフパンツに灰色のラッシュパーカーを身に纏い、手には即席のバーベキューを楽しむ為の道具を持った千里。
 青と白のツートンが爽やかなビキニに、桜のワンポイントが愛らしいパレオを巻いた、涼しげな印象を与えてくれる風月。
「おぉー、綺麗な星空やな」
「わぁ~、水着コンテストの方には参加したのですが……」
 二人揃って星空を見上げて、想像以上の光景に感嘆の声を上げる。
「……海を、楽しむ機会は無かったので」
 ぽそりと、風月がつぶやいた。
「小さい頃に別荘に何度か連れてきてもらっていたのですが、流石に家を出てからは」
「別荘なぁ……改めて風月がええとこのお嬢さんだって思い知らされるわ」
 嫌味ではなく、純粋な感心を込めて千里がそう返しつつ、ひとつ背伸びをする。
「去年と変わらず今年もお守り役」
 そう、去年の今頃もまた別の年下の知人を連れて海辺で戯れたことを思い出す。
「まぁ、こう綺麗な景色見てのんびり出来るんやったら悪くないか……」
 そして、そんな平和なひと時が今年も巡ってきたことを、嬉しく思うのだ。

 千里は手にしていたバーベキューセットをがしゃんと開き準備にかかる。
「色々慌ただしくなってきたし、ここらで一息ってな」
 それを見てとっさに風月も手伝おうとするけれど――何しろ箱入りのお嬢様、何をどうして良いかに迷ってしまう。
 色々と察した千里が「ええよ」と言う代わりに手をひらひらさせれば、風月はちょっと申し訳なさげにぺこりと頭を下げた。揺れる青いリボンが愛らしい。
「……戦争の方も色々慌ただしくなってきましたが、今回はそれは忘れて楽しむとしましょう……」
 とはいえ、月や星を眺め、波の感覚を足で楽しむくらいだけれど。
 一足先に夜の海辺へと歩を進める風月をちらと見守りながら、千里は手際良く炭に火を付け網を温めにかかる。
(「俺等の世界は猟書家以前に、やしな?」)
 思いを馳せるのは己が故郷、UDCアースの今後の行方だ。
(「はてさて、UDCの平和はいつになるんやろね……」)
 グリモアベースで常に事件が持ち込まれ、最もその件数が多いことで知られるかの世界。
 ひとたび戦争が起きれば、今回のアリスラビリンスでの戦争の猟書家なる存在に再びの危機を示唆されぬ限りは、基本的に平穏な日々がやってくる――はずなのだが。
 赤くなっていく炭を、千里はどこかぼんやりと眺めていた。

「――あら、千里に風月じゃない」
「おぉ、ミネルバや。一緒に食うか?」
 グリモアベースで見せた浮かれた水着姿そのままに、ミネルバ・レストー(桜隠し・f23814)がすべての希望者の転移を終えたのか、ふらりと顔を見せたのだ。
 せっかくだからと千里が持ち込んだ食材が入ったクーラーボックスを開いて見せれば、ミネルバは少し目を丸くする。
「風月、深いところに行きすぎんなよ~」
「了解です……あっ」
 千里の言葉に振り返った風月も、ミネルバの姿を認めて大きく手を振った。
(「同い年ですから、以前よりお誘いしてみたかったのですよね!」)
 きっと本人が聞いたら喜ぶだろうことを思いながら、風月もまたミネルバを誘う。
「ご一緒に如何ですか?」
「え、っと」
 頭数が増えては、一人あたりの取り分が減ってしまうのではないかと懸念したミネルバだったが。焼けた網に次々と魚介やら肉やらを並べていくさまを見て、考えを改めた。
「……それじゃ、少しだけごちそうになろうかしら」
「せや、遠慮せんでええ。バーベキューは大勢でやってこそなんぼってな」
 手際良く、そして何より楽しそうに食材を焼いていく千里のもとに風月も戻ってくる。
「おかえり、風月。そろそろ第一陣がいい感じに焼ける頃よ」
「わ、本当ですか! それじゃ、いただきますね!」
 様子を見ていたミネルバが冷静に状況を告げると、風月はぱああと顔をほころばせて紙皿と割り箸を手に取って臨戦態勢に入った。
「焼いてくれてるお礼、千里の分は私が取り置いてあげる」
 基本的に淡々として感情を表に出さない娘が、慣れない笑顔で精一杯の感謝を告げる。
「おぉ、悪いな。助かるわ……どうや、風月?」
「はい、良い焼き加減です」
 お行儀良く、しっかりともっきゅもっきゅ肉を適量頬張ってよく噛み、そして返す。
 それは何よりと頷く千里だが、すぐにやや難しい顔でミネルバの方を見た。

「そういえば、ミネルバ……」
「何よ、どうしたの?」
「俺、今年受験生なんやけどな……」
「うっっっそ、千里もう成人してるかと思ってたわ」

 結構ひどいやり取りが繰り広げられ、その果てに千里は遠い目をして星空を仰いだ。
「これ、どうするべきやろな……」
「どうも何も、千里の後悔がないようになさいな。大学行くだけが人生じゃないし」
 わたしは普通の人間じゃないから知らないけど、とは言いつつ。
「……千里が大学に進学するとして、学部とかどうするの」
「えっ」
「話聞くだけなら聞いてあげるって言ってんのよ! ほら、さっさと答えなさい!」

 この後、今後のためにと話の輪に交ざった風月も含めた三人で、熱い進路相談会が開かれたそうな。なお、食材は全て美味しくいただきました。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リューイン・ランサード
【竜鬼】

この世界って本当に海が綺麗だ♪

子供の頃は勉強や修行に明け暮れていたし、アルダワ魔法学園に入り、猟兵になってからは依頼でいっぱいいっぱいだったし、今みたいに恋人と海でデートできるなんて、去年の夏は思いもよらなかったなあ。

と、ウキウキした気分で、ひかるさんと手を繋いで波打ち際を歩き、ひかるさんの言葉に耳を傾けます。

「僕もこんなに綺麗な海と星空を楽しむのは初めてです。二人でならこれからも楽しめますよ♪」と笑顔で返す。

ひかるさんのおねだりは快く了承します。
彼女をお姫様抱っこして、翼で空中散歩。
ひかるさんが星空と水面に見入っている所を見て幸せな気分になり、少しだけぎゅっと抱き締めるのでした♪


荒谷・ひかる
【竜鬼】

戦争の最中とはいえ、気分転換も必要です。
というわけで行きましょう、リューさんっ♪

波打ち際をゆっくりお散歩しながら、海やお星様を眺めます
こんな綺麗な海と星空をゆっくり楽しむのは、初めてかもしれません
わたし、きまふー育ちですから……あの世界は海も星空も、人工物が多かったので
ふふ、この世界だと精霊さん達も元気いっぱいです
あの、リューさん。お願いがあるんですけれど……

もっと近くで見てみたくて、彼におねだりして空中散歩
暗く吸い込まれるような水面と、宝石を散りばめたような星空が対照的で、とっても綺麗……
抱きしめてくれる彼の温もりも嬉しくて、幸せで
甘えるように頬ずりをして返すのです♪



●夜の海と星空が見守るもの
 星空の下、自由に振る舞って良いと言われたならば。
 リューイン・ランサード(竜の雛・f13950)と荒谷・ひかる(精霊寵姫・f07833)のように、手に手を取って二人きりの時間をゆっくりと過ごしたく思う者たちも現れよう。
「この世界って、本当に海が綺麗だ♪」
 昼の海ならば、きっとまた別の顔を見せただろう夜の海辺を見遣ってリューインが呟く。
 今は月に照らされ星を映して、まるでもう一つの星空のようにどこまでも広がる夜の海。
 その波打ち際の前に、愛しいひとと共に立つ。
 ざざーん、ざざーん。寄せては返す波の音にリューインは思いを馳せる。

(「子供の頃は勉強や修行に明け暮れていたし、アルダワ魔法学園に入り猟兵になってからは依頼でいっぱいいっぱいだったし」)
 武人の名家に生まれたものの定めとばかりに、がむしゃらに頑張ってきた日々。
 心折れたりもしたけれど、引くに引けない事情を背負いそれでも頑張っていたら、その報いとばかりに今ではこんなに愛らしい恋人が誰よりも近い場所に居てくれる。
(「……今みたいに恋人と海でデートできるなんて、去年の夏は思いもよらなかったなあ」)
 そう思ったところで、ふと互いの手が触れ合った。偶然か、必然か。
 ハッとリューインがひかるの方を見遣れば、手を引っ込めるどころかそっと絡めてくるひかるの姿があった。
「……戦争の最中とはいえ、気分転換も必要です」
 まるで許しを与えるようにそう囁いて、ひかるはきゅっと互いの手を繋いだ。
「というわけで行きましょう、リューさんっ♪」
「……はい、ひかるさん」
 絡まる細指が心地良く、それをとても大切そうに、リューインは繋ぎ返した。
 心が弾む、二人揃って一歩踏み出し波打ち際を歩き出す。
 ――ここにはきみとぼくのふたりきり、だれにもじゃまはされないから。

 ちょっぴり恐ろしくもある夜の海や、満天の星空を交互に眺めながら、ひかるが呟く。
「こんな綺麗な海と星空をゆっくり楽しむのは、初めてかもしれません」
 歩を進めるたび、足首あたりがひんやり濡れる感覚さえも。
「わたし、きまふー育ちですから……」
 ひかるが人生の大半を過ごした世界のことを愛称で呼ぶのも慣れたし、愛らしい。
 かの世界にも海や星空はあったけれど、どうしても人工物であることからは逃れられなかったことを思い出す。
「……ふふ、この世界だと精霊さん達も元気いっぱいです」
「それは良かったです、やっぱり天然の自然からの方がより力を得られるんでしょうか」
 ひかるが笑えば、リューインも何よりだと笑顔で返す。
 そうして、繋いだ手にいっそう力を込めるのだ。
「僕も、こんなに綺麗な海と星空を楽しむのは初めてです」
 一度破顔一笑、そして開いた瞳はどこまでも青く澄んで。
「――二人でなら、これからも楽しめますよ♪」
「リューさん……」
 今夜を限りとはすまい、この手を離す気はないし、だからこれからもずっと一緒。
 少年の実直な瞳は、少女の柔らかい心を捉えて離さない。
 きゅう、と。胸が甘く締めつけられる気がして、ひかるは知らず身を寄せた。

「あの、リューさん。お願いがあるんですけれど……」

「わ……っ!」
 リューインの腕にお姫様抱っこをされて、ドラゴニアンの雄々しい翼で舞い上がったひかるが思わず声を上げる。
 星空を、出来る限り近くで見てみたかったものだから、愛しいひとにおねだりをしてみたら快諾を受けてこの通り。この二人ならではの、空中散歩のデートだ。
 今や遥か眼下の、暗く吸い込まれるような水面。
 ぐっと近づいた、宝石を散りばめたような星空。
 それらがあまりにも対照的なものだから、しっかりと目に焼き付けておきたくて。
「とっても、綺麗……」
 ともすれば身を乗り出してしまいそうで心配だったこともあり、リューインは腕の中のひかるを愛おしげにきゅっと抱きしめる。
 その温もりが何よりも嬉しくて、幸せで、ひかるもまた甘えるように頬ずりをして返す。

 好き。大好き。ずっと一緒に居たい。
 その一途で純粋な想いが、どうかいつまでも続きますように。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

黒鵺・瑞樹
アドリブOK

ござに簡単なつまみとウィスキーの小瓶を持ち込んで。
浜を見渡せる草地で一人で酒盛りだ。星も波打ち際で遊ぶ人もつまみになる。
去年はエンパイアの戦争と言う事もあって心身ともにひどく疲れて、さらに戦争以外でもしんどさもあってただひたすら苦いものだったけど、今年は…わりと水みたいだな。
味を感じないだけでアルコール度数はあるから酔いはするんだが。
未練らしい未練も無くなったし、正直最近は惰性で生きてるような気がする。
味をあまり感じないのもそれが原因だろうな。

一瓶空にしたらごろ寝。
酔いつぶれても世話してくれる人もいないし、あとは水を飲みながら空を眺めて過ごす。
何か目的が見つかればいいのにな。



●誰も何も言わず、ただ
 浜を見渡せる草地にござを敷いてよいしょと腰を下ろし、黒鵺・瑞樹(境界渡・f17491)は簡単なつまみとウィスキーの小瓶を取り出した。
 月と星空の下、一人で酒盛りと洒落込もうというのだ。
 何なら、空に輝く月や星だってつまみの一品に加えられるだろう。

 くい、と一口呷って広がるアルコールの風味に文字通り酔う、のが普通なのだが。
(「去年はエンパイアの戦争と言う事もあって心身ともにひどく疲れて」)
 縁深い地が戦乱の舞台になるというのは、当然ながら心穏やかではいられまい。
(「さらに戦争以外でもしんどさもあって、ただひたすら苦いものだったけど」)
 心の在りようで食事の味が変わるのと、きっとそれは同じこと。
「今年は……わりと水みたいだな」
 アルコールが入っている飲み物を摂取しているのだから身体は当然反応するし酔いもするのだが、けれども『酒を味わっている』という道楽がそこにはなく。
 片膝を立てた格好でもう一口酒――であるはずの液体を呷って、嘆息する瑞樹。

(「未練らしい未練も無くなったし、正直最近は惰性で生きてるような気がする」)

 味をあまり感じないのも、それが原因だろうなと自己分析する。
 ヤドリガミたる瑞樹が、モノからひとへとその身を授かったのは何のためか。
 肉体を、精神を、与えられたのは何のためか。
 それを考えるには、今の瑞樹はしばしの休息が必要なのかも知れない。

 そうして、一瓶分を空けたらばござの上にごろんと寝っ転がる。
(「酔いつぶれても、世話してくれる人もいないし」)
 だから、ふて腐れる訳ではないけれどちまちま水を飲みながら満天の星空を眺めて過ごすのだ。
 思い知る。星空自体は何も言わぬが、そこに星座などという意味を与えたのはやはり人間の感傷なのだと。
 ただ、沈黙が心地良いことだってある。変に何かを言われるより、ただ黙ってそこにいてくれた方が良いことだってある。

「――何か、目的が見つかればいいのにな」

 せっかくの人のいのちだもの。
 まっすぐに生きてさえいれば、いつか、きっと。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アコニィ・リード
うーん、勢いで来ちゃったけど
だって夏なのに海なのに何もしないのは寂しいって
だけど、何をすればいいのかしら

(ちらりとミネルバの方を見て)
……ね、何か食べない?



まさかこんな海にまであんなフラペチーノ的なドリンクがあるなんてね
どれにする? わたしはバニラとえっと……キャラメルとかが混ざってるの
あなたは――何て呼べばいい? わたしはアコニィ

訳あってこの世界に来たんだけど
戦い以外にこんな所があったのね
いつもは海や海の中ばかりだったけど
夜空に広がる星も綺麗!
私のいた所、アポカリプスヘルもね
何も無いからこんな感じなの。同じ星の空
なんて、本当にそうだったりして!

で、何頼むの?
今のは呪文でしょ?
いや、まさか……


パラス・アテナ
連携歓迎
希望者にドリンク振舞います
ミネルバさんと

星空の下
色々一式用意して簡易バーを開くよ
いつもの店(旅団)みたいにはできないがね
まあなんとかするさ
星と月の下でも仕事なんてどんなワーカホリックだい?
自分でおかしくもあるが、楽しいんだから仕方がない

通りがかりのミネルバに声を掛け
久しぶりだね

「ミネルヴァ」に伝えといたよ
戦いばかりの人生でも
人は幸せになれるんだってね
死人がそれを許すかは別の話だが
少なくともアタシは救われた心地がしたよ

…先日(かくれんぼ)に続いて湿っぽい話をしちまったね
詫びと礼を兼ねて好きなのを作らせて貰うよ
何がいい?

一段落ついたら自分の分を持って砂浜へ
満天の星を見上げて静かに過ごそうか



●幸せは星空の彼方に
「キッチンテーブルを持ち込んでもいいか、ですって?」
 グリモアベースで転移を行う直前に、パラス・アテナ(都市防衛の死神・f10709)からそう問われたミネルバは、別にいいけどと返事をしつつパラスを見た。
「結構な大荷物よね、大丈夫? 一人で持てる?」
「平気さね、そちらこそ転移先を間違えないようにね」
 問われたパラスは慣れたものだと薄く笑んで返し、ひらひらと手を振った。

 そんな訳で、星空の下、砂浜に広げられたキッチンテーブルにはシロップやリキュールの瓶がずらりと並べられ、クーラーボックスに入った氷の準備も万端。
 これがパラスの簡易バーカウンターだ。ガスシリンダー式の炭酸注入器も完備。
「いつもの店みたいにはできないがね、まあなんとかするさ」
 ――星と月の下でも仕事なんて、どんなワーカホリックだい?
 自分でもおかしいと思ってしまうが、これが楽しいんだから仕方がない。

「うーん、勢いで来ちゃったけど……」
 そう呟くアコニィ・リード(偽神暗姫・f25062)の格好は、黒いビキニに透け感が絶妙にセクシーな青いパレオと、完全に夏の海をエンジョイする気満々で。
「だって、夏なのに海なのに何もしないのは寂しいって」
 ――だけど、何をすればいいのかしら?
 そんなアコニィの前に、本当に都合良く、ふらりと桜色の髪の少女が現れた。
「どうしたの、何か困りごと?」
「……」
 アコニィは眼前の少女ことミネルバをちらりと見て、こう提案した。

「……ね、何か食べない?」

 アコニィの視界に抜かりなく捉えられていたのは、パラスの簡易バー。
 ここならばかの有名な『ふらぺっち』もあるのでは!? と思ったのだ。
「どれにする? わたしはバニラとえっと……キャラメルとかが混ざってるの」
「あの、言いづらいんだけど……ふらぺっちを作るにはミキサーが必要でね?」
 ウッキウキだったアコニィがピシリと固まった。声だけが辛うじて発せられる。
「まさか……それじゃ」
「ここではふらぺっち的な飲み物は……飲めないのよ……」
 ミネルバが首をゆるりと横に振れば、アコニィがわっと絶望に顔を覆う。
 近しい背格好のアコニィの(それでも胸のサイズは全然違ったけれど)背中をさすって落ち着くのを待ちながら、ミネルバはせめてもの慰めになればと声を掛けた。
「パラスなら、ノンアルコールの素敵なドリンクを出してくれるわ、だから、ええと」
 この少女たちは、互いをどう呼んだら良いのかを知らない。だから、口ごもるのだ。
「あなたは――何て呼べばいい? わたしはアコニィ」
 落ち着きを取り戻したアコニィが名乗れば、ミネルバもまたその顔を見て、告げた。
「わたしはミネルバ、ネリーでいいわ」
 愛称で呼ばれることを好む少女は、そっと笑って名乗った。

 簡易バーに二人並んで向かいながら、ミネルバはアコニィの話を聞いていた。
「訳あってこの世界に来たんだけど、戦い以外にこんな所があったのね」
 グリードオーシャンは略奪と闘争の世界にして、そこから弾き出された場所があろうとは、流石に余程のことがない限りは気付けないことかも知れない。
「いつもは海や、海の中ばかりだったけど、夜空に広がる星も綺麗!」
 今にもひとつやふたつ降ってきてもおかしくないくらいの星空を見上げて、アコニィが両手を広げてくるりと一回転すれば、青いパレオがひらりと舞った。
「私のいた所、アポカリプスヘルもね、何も無いからこんな感じなの――同じ星の空」
「そう……わたしはまだアポカリプスヘルには行ったことがないけど、そうなの」
 ミネルバの言葉にひとつ頷いて、アコニィは笑った。
「なんて、『本当にそう』だったりして!」
「UDCアースとカクリヨファンタズムの関係性みたいに? 否定はできないわね」
 荒唐無稽な話とも言い切れず、ただ興味深くミネルバは頷いた。
 この幾多の世界の繋がりを、自分たちはまだ完全に把握できていない。
 その全てを知った時、いつかこの会話をどう思い起こすことになるのだろう。

「――久しぶりだね」
 バーテンダー姿のパラスが待ち受けていたのは、あの簡易バーカウンター。
 ふらぺっちこそ提供できないけれど、ドリンクやモクテルならば任せておけというもの。
「元気そうで良かったわ、パラス。こっちはアコニィ、飲み物をご所望よ」
「え、ええっ!?」
 突然初対面の相手に紹介されて、おもむろに飲み物を頼めと言われても、普通は焦る。
 だからアコニィの反応は至極真っ当なものだったのだが、ミネルバは首を傾げる。
「どうしたの? 先頼んじゃうわよ――ゆずシトラスティーのパッション変更って、できる?」
(「待って待って、今のってあの『呪文』でしょ? いや、まさか……」)
 パラスは慣れた手つきで指定された茶葉やら氷やらを取り出して準備にかかる。
「誰に言ってるんだい? アンタが紅茶派なのは良く知ってる」
 熱湯で一気に浸出させてから、氷で冷やす。シロップも底に沈める。そんな工程を踏みながら、顔を合わせることもなくパラスは独り言のように言った。
「『ミネルヴァ』に伝えといたよ。戦いばかりの人生でも、人は幸せになれるんだってね」
 黙って聞いていたミネルバだったが、当時の己を思い出して少しばかり顔を赤くする。
「死人がそれを許すかは別の話だが、少なくともアタシは救われた心地がしたよ」
「……そう」
 完成したドリンクをそっと受け取って、ミネルバは珍しく笑ってみせた。
「なら、良かったわ」
「……先日に続いて湿っぽい話をしちまったね、それは詫びと礼を兼ねてのモノだ」
「ありがと、アコニィもそろそろ決まった? だいたい何でも出てくるわよ」
 何でもは言い過ぎさと眉尻を下げるパラスに、おずおずとアコニィがオーダーをした。
「あ、青い飲み物って……あるかしら!? シュワシュワして、海の青みたいで」
「――それで、アンタの髪の色みたく綺麗なドリンクだね? 任せておきな」
 ふらぺっちは、またの機会にいつか一緒に飲みましょうね!

 少女たちが各々ドリンクを手に星空鑑賞へと向かった後、パラス自身もシェイカーを振って作ったお気に入りのカクテルを手に砂浜へと足を運んだ。
 誰かと一緒に見上げるのも悪くはなかったけれど、今は一人静かに過ごしたい。
 それこそが、パラス・アテナという女にして猟兵の、ささやかな幸せなのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

御桜・八重


星空の下、波打ち際を水着でネリーちゃんとお散歩。
会話が途切れたら、ん、と意を決し。

「あのね、今日はお礼を言いたかったんだ」

ウチの家訓って言うか、ずっと胸に残っている言葉がある。

伸ばせる手は伸ばす。
届いた手は掴む。
掴んだその手は、離さない。

昔からご近所回りのこととか頑張ってきたけど、
猟兵になって、もっと沢山の人に手が届くようになった。
大変なことも辛いこともあったけど、
掴むことが出来た手がいっぱいあった。

でもそれは、ネリーちゃんやグリモア猟兵のみんなが
予知してくれるおかげ。

「だからね、手を届かせてくれてありがとう!」

それに…頑張っていれば、
いつかきっと、わたしの親友にも手が届くって信じてるから。



●いつかはその手に
 星空の下、波打ち際をゆっくりと歩く二人の少女の姿があった。
 一人はミネルバ、もう一人は御桜・八重(桜巫女・f23090)。
 かたや水色の、かたや桜色のフリルトップスが良く似合っている。

「まさか、同じ仕立て屋さんに水着をお願いしてたなんて、驚いたわ」
「ね、びっくりしちゃった! ネリーちゃん、何だかんだで楽しんでたし」
「そ、それは仕立て屋さんが色々おまけしてくれたからで……!」

 ――そんな、他愛もない会話を交わすという経験も、中々なかったかも知れない。
 何せいつもはグリモアベースで依頼をする側と受ける側という立場で終わり、雑談をする余裕などそうそうないのだから。
 なればこそ、少なくともミネルバは今のこのひと時が内心とても嬉しかったのだ。
 性格上、決して表には出さないけれど。素直になれないのは悪い癖だ。

「……」
「……」

 ぱしゃん、ぱしゃん。一定のリズムで波を蹴る音だけが響く。
(「――ん」)
 そこで八重の方が先に意を決して、息を吸うと口を開いた。

「あのね、今日はお礼を言いたかったんだ」
「お礼……?」
 怪訝な顔をするミネルバに向き直り、八重は桜の浮き輪を背に持ちミネルバを見る。
「ウチの家訓って言うか、ずっと胸に残っている言葉があるの」

 ――伸ばせる手は伸ばす。
 ――届いた手は掴む。
 ――掴んだその手は、離さない。

「……ああ、それで」
 ミネルバは、八重が関わった報告書の中でも忘れることができないある事件を思い出す。
 予知したグリモア猟兵さえも諦めていた『救い』を、その手で掴み取った物語を。
「昔からご近所回りのこととか頑張ってきたけど」
 埒外の存在であるとかそういう以前に、この世に生を受けた時点で『御桜・八重』という少女は『そうあるもの』なのだろう。性根はそう感嘆には曲げられぬ。
「猟兵になって、もっと沢山の人に手が届くようになった」
 力を得てから、今までも多くの役目を果たしてきたことは一目見ればすぐに分かる。
「大変なことも辛いこともあったけど、掴むことが出来た手が、いっぱいあった」
 耳元を飾る桜の髪飾りはまるで夜桜のように浮かび上がり、幻想的で。
 月明かりを受けて煌めく青い真摯な眼差しは、きっとこれからも澄んだままだろう。

「でもそれは、ネリーちゃんやグリモア猟兵のみんなが予知してくれるおかげ」
「……そんな、大仰なものじゃ」

 言われるミネルバの側からすれば、気恥ずかしいにも程がある。
 何しろ自分は面倒事を視るだけ視て、解決を他人に押し付けるばかりなのだから。
 そうとばかり思っていたのにお礼だなんて、素直に受け入れられる訳がなく。

「だからね、手を届かせてくれて――ありがとう!」
「……っ」

 切欠を作った、それは確かだ。
 ならば、それによって信念を貫くことができたというのならば。
「もう……そんなこと言われたら、これからも面倒ごとを押し付けちゃうわよ」
 ミネルバは、泣きそうなのか笑っているのか曖昧な笑みで、そう返すのが精一杯で。

 ――いつか、こうやって頑張っていれば。
 ――きっと、わたしの親友にも手が届くって、信じてるから。

 八重はそっと、満天の星空に手を伸ばす。
 そのままぐっと握りこめば、本当に掴めてしまいそうな星空へと。

大成功 🔵​🔵​🔵​

木常野・都月
夜と昼で雰囲気が変わるのは、森も海も同じか。

チィはご飯の時間か。
今は猟兵だけだ。
空飛んでも平気だ。

あ、でも、その、番いの猟兵もいるかも?
激しく光って、邪魔しないように。
わかるな?
さぁ、いっておいで。

ご飯も食べるけど、月光浴が1番な所を見ると、やっぱりチィは精霊様の子だな。

俺は獲物を捕まえよう。
浅瀬の岩場を少し探せば、小魚やカニ、タコがいるかも。

狩れなきゃ砂浜で星見ながらふて寝したい。

狩れたら狩りたてをそのまま…

…いや、俺は大人の妖狐だ。
ダガーで捌いて、UC【狐火】で軽く炙って食べたい。

海水の塩気と溶けた脂の旨味、ハラワタの苦味がアクセントで丁度良い。

やっぱり狩りたては生命力、精気が違うなぁ!



●自然の恵みをありがたく
(「夜と昼で雰囲気が変わるのは、森も海も同じか」)
 根っからの森育ちでもある妖狐の木常野・都月(妖狐の精霊術士・f21384)は、底知れぬ深さを思わせる暗い海と、対照的に月と星々とが瞬く夜空とを見比べていた。
「チィ!」
 その時、鳴き声を上げながら、月明かりに誘われたかのように月の精霊の子『チィ』が都月の懐から顔を出した。
 それを軽く撫でてやりながら、都月は目を細めて微笑む。
「チィはご飯の時間か」
 掌に乗れるほどの大きさをした、青白い月の色をした子狐という外見のチィを包み込むようにしながら、都月が慈しむように語り掛ければ精霊の子はひとつ頷く。
「今、ここにいるのは猟兵だけだ。空飛んでも平気だ」
 そう言って、送り出すように両手を天に向けて差し出すと、チィは元気良く空へ――月へと宙を舞っていく。
 そこではたと都月はあることに思い当たる。
(「あ、でも、その……番いの猟兵もいるかも?」)
 チィが激しく光って、いい雰囲気のカップルの邪魔になってはいけないと。
「――チィ!」
「チィ?」
 ちょっと不思議なやり取りではあるが、双方の間では意思の疎通は取れている。
 こそこそと周囲に配慮をするようにと狐耳に手を添えて言い含めると、都月は今度こそチィを解き放つ。
「さぁ、いっておいで」

 普通の食事もするけれど、やはり月光浴が一番というチィの姿を見るに、やはり精霊様の子なのだなと改めて思わせられる。
 まんまるお月様の光を存分に浴びて宙を泳ぐように喜ぶさまを微笑ましく眺めて、都月も夜の海を堪能することにした。
 これでも狐だ、狩りは……得意なつもりだ。
 浅瀬の岩場を少し探せば、小魚やカニ、それにタコもいるかも知れない。
 ふと見上げれば、月だけでなく満天の星空が目に飛び込んできて、ああもし狩れなかったら仰向けになって星を見ながら不貞寝だな、なんて思ったりして。
 いざ狙ったポイントに身ひとつで乗り込んでみれば、本来ならばきちんと竿で釣るような30cm前後の大きさの魚が数匹と、小さなカニをひとすくい程度手に入れることができた。
「……じゅるり」
 よだれが出そうになるのも無理はない、思った以上の釣果? は野生ならば最高の贅沢だから。いっそ思い切って狩りたてにそのままかぶり付いてしまいたいけれど。

「……いや、俺は大人の妖狐だ」

 ぶんぶんと首と尻尾を振って、誘惑を断ち切る。
 愛用のダガーで器用に魚をさばいて、小さなカニはそのまま、ユーベルコードで生み出した炎で軽くあぶって、文明的な食べ方をすることにした。
 その辺に流れ着いていた適当な木の枝は魚を刺すのにちょうど良く、あぶったまま串の代わりに片手で持ってかぶり付く。
「ん~~~……」
 海水の塩気と溶けた脂の旨味、一応取り払ったけれどもほんのりと残るハラワタの苦味が良いアクセントで、絶妙なハーモニーを奏でる。
「やっぱり狩りたては生命力、精気が違うなぁ!」
 特に魚介類は鮮度が命、味だけでなく妖狐が求める要素にも関わってくるのだろう。
 すっかりご満悦の都月は、カニをバリバリとワイルドに口内へと放り込んでいった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

スピーリ・ウルプタス
(宜しければミネルバ様と!)

ビーチの砂に寝そべり中途半端に埋もれている
「本当に素晴らしき星空ですね。今にも私が星へ落ちていきそうです」

(あわよくば寝そべっている変人に気付かずミネルバ様には是非踏んでほしい。悦びます。
不可でしたら普通にご挨拶します)

「今晩はレディ。いや、こんな姿勢で失礼しました。
 砂山に埋まるという事をしてみたかったのですが、自分ではどうやら上手く出来ずで」

話し相手になってくれれば、嬉々として喋る(埋もれたまま)
「目一杯の砂に埋まったことはございますか?」
YESなら羨ましそうな目に

もしも砂を盛って埋めてくれたら、大層感謝
「ああ……この身動き取れぬ閉塞感……成程」(うっとり)



●今回のとびきりヤベーやつ枠でございます
「みんな、楽しんでるかしら」
 ここレイブンホード島に一通り希望の猟兵たちを転移し終えたことを確認したミネルバが、独りごちながら夜の浜辺を歩く。
 そう、時刻はすっかり日が落ちた夜。いくら月明かりがあるとはいえ、それでも足元がうっすら暗いのには変わりがなく。

(「本当に素晴らしき星空ですね、今にも私が星へ落ちていきそうです」)

 故に。
 砂浜に寝そべって、恐らくは自らを埋めようと試みて中途半端に終わったであろうスピーリ・ウルプタス(柔和なヤドリ変態ガミ・f29171)の姿を。
 ミネルバがうっかり見落として盛大に踏んづけてしまうのも、無理からぬことだった。
「おうっっっっふっっっっ」
「きゃあ!!!??」
 スピーリは半分露出していた腹部を踏まれてたまらず歓喜の声を上げ。
 ミネルバはサンダル越しでも流石に分かる『人を踏んだ』感触に悲鳴を上げ。
 思わず後方へ飛び退るミネルバに、黙っていれば完璧なアラフォーのイケおじなスピーリが、首だけ向けてあくまでも物腰穏やかに挨拶をした。
 ……ここまで冷静に状況のみをお伝えしましたが、これ十分事案ですよね?

「今晩はレディ。いや、こんな姿勢で失礼しました」
 丁寧な挨拶だけならパーフェクトジェントルなのに、踏まれて悦ぶ変態だなんて。
「別に失礼じゃないけど、びっくりして死ぬかと思ったわよ……」
 アバター時代には見抜きさせてくれと頼まれたこともあるにはあったが(当然ことごとく断ったが)さすがに踏まれて悦ばれたのは初めてで困惑するミネルバ。
「砂山に埋まるという事をしてみたかったのですが、自分ではどうやら上手くできずで」
 ははーん、このヤドリガミさてはバカだな? ミネルバは眉根を寄せた。
「……しょうがないにゃあ、って言うんでしたっけ、こんな時」
「何ですって、レディ……?」
 返事の代わりにスピーリに向けて砂をひと蹴り、浴びせるようにして。
「砂に、埋もれたいんでしょ? 手伝ってあげる」
 あくまでも表情は変えぬまま、しかしミネルバはスピーリの傍らにしゃがみ込んで砂を両手ですくった。
「ああ……ああ!」
 まだ自由が利く身体が、歓喜に打ち震える。
 己はこれから、この娘の手で、砂に埋もれてその重さに包まれるのだ――!
 そう思えば、どうして悦ばずにいられよう。
 スピーリはピシッと身体を伸ばして、さあ埋めてくれとばかりにミネルバを見た。

 嬲るつもりは毛頭なかったのだが、一度にかけられる砂の量にも限りがある。
 よって事実上スピーリを埋める速度は遅く、しかしそれがまた快感であった。
「真綿で首を絞められるようにじわじわと埋められていく……たまりませんな」
「筋金入りね……どうしてそんなにドMになっちゃったの」
「私、本体は固く縛られ厳重に保管されていた禁書にございますれば。人の身体を得て『痛み』という感覚に快楽を見出してしまったのでございます」
「……思ったより業が深かったわね……」
 聞かなきゃ良かったという後悔をほんのりと抱きつつ、ミネルバはしかし着実に変態という名の紳士ことスピーリの上に砂山を作り上げていく。
「して、ミネルバ様は目一杯の砂に埋まったことはございますか?」
「ないわ。ないし、これからもその予定はないわね」
 ズバンと斬って捨てられて、スピーリはちょっぴり残念そうな顔をした。

 その気になれば海水でガッチリ固めつつ本気の砂山を作ることも出来ただろうけれど、それをやったらさすがにヤドリガミ相手でもヤバいと思い、普通に砂を盛り上げた。
「ああ……この身動き取れぬ閉塞感……成程」
 天を仰いではいるが、この変態紳士に星空は目に入っているのかどうか怪しい。
 目の焦点が合っているかどうかさえ怪しい。大丈夫かこれ……!?
「手伝いができたなら何よりよ、自力で出られないなら帰りに助けてあげるから」
 ふいとミネルバが踵を返して、その場を立ち去っていく。
 その背中を見送って、スピーリは改めて恍惚とした息を吐いた。

 ※良い子はマネしないでね!!!

大成功 🔵​🔵​🔵​

星野・祐一
【まゆちゃん(f27638)と一緒に】

まゆちゃんに誘われて星空を見に来たぜ
こんなに沢山の星が輝く夜空を見るのは初めてだ

星は宇宙で腐る程見てきたけれど
地上で星を眺めるのは俺の世界じゃできなかったからさ
この得難い機会を大切にして行きたいと思う訳よ

おっと夜の海は危ないから手を繋いでこうぜ
んー?…本当だ、空も海もどっちの月も綺麗だな…

ふと無口になったまゆちゃんの横顔に見惚れてると
不意の問いに頬を赤くしながら
え?あーそうだなぁ、宇宙バイクで初めて宇宙に出た時にさ…
と若干捲し立てる様に思い出話をしたり

ん、何か言った?
とまゆちゃんの呟きにそう問いかけた後に
…俺もだよ
そう小さく呟くように答えて

アドリブ歓迎です


花澤・まゆ
【祐一さん(f17856)とご一緒に】

祐一さんとのんびり星空を見に来たよ
こんな満天の星空を見るのは初めて

そっか、祐一さんは宇宙で星は見てるけど
こうして地面から星空を見る機会ってそんなにないのかあ
あたしも、桜が見えない空って珍しいもの
気持ちはよくわかるなあ

砂浜を二人並んで、星空を見ながら歩くよ
手を繋ごうって言われて照れながら手を差し出して
いつもより火照った手を隠すように喋るんだ
海も綺麗だね
ほら、月の影が海に映ってる

あまりに星空が綺麗で、つい無口になっちゃう
祐一さん、星の思い出話とかってある?
そんなことを問いかけて

…二人で見られてよかった
呟きを聴かれたら赤い頬で空を眺めるんだ

アドリブ歓迎です



●星の海と桜の娘
 ――星を見に行こう。
 花澤・まゆ(千紫万紅・f27638)にそう誘われて、星野・祐一(スペースノイドのブラスターガンナー・f17856)がやって来たのはレイブンホード島。
 二人揃って波打ち際で天を仰げば、伝え聞いた通りの見事な星空が広がっていた。
「わ、こんな満天の星空を見るのは初めて」
 まゆが両手を軽く合わせて感嘆の声を上げると、祐一もひとつ頷いて返す。
「こんなに沢山の星が輝く夜空を見るのは初めてだ」
 その言葉にまゆが意外と言いたげに祐一の方を見た。白い翼が月明かりを受けて美しく浮かび上がるようだった。
「ん、いや……星は宇宙で腐る程見てきたけれど、地上で星を眺めるのは俺の世界じゃできなかったからさ」
 居住可能な惑星が現時点では失われたスペースシップワールドの宇宙船で生まれたスペースノイドの祐一らしい視点であった。
 なるほど、とまゆが青い瞳を瞬かせて唇に人差し指を当てる仕草をする。
「そっか、祐一さんは宇宙で星は見てるけど、こうして地面から星空を見る機会ってそんなにないのかあ」
 そうして思うのは、生まれ故郷のこと。幻朧桜舞う、サクラミラージュの光景。
「あたしも、桜が見えない空って珍しいもの。気持ちはよくわかるなあ」
 祐一がまゆを見て、なるほど確かにと柔らかく笑えば、まゆもつられてくすりと笑う。
 人によっては当たり前の景色が、別の人には特別な、非日常の景色になり得る不思議。
「……この得難い機会を、大切にして行きたいと思う訳よ」
 そういった祐一は、少しだけ照れくさそうな顔をしていたのだが。
 ぷいと顔を背けながら言ったものだから、まゆは気付くことができなかった。

 せっかくだから少し歩こう、と。
 寄せては返す波に沿って二人歩き出せば。
「おっと、夜の海は危ないから」
 そう言いながら、おもむろに己の手をまゆに向けて差し出して。
「……手、繋いでこうぜ」
「……うん」
 差し伸べられた手が照れくさくて、それ以上に嬉しくて、そっとその手に応える。
 月明かりがあるとはいえども夜は夜、赤くなった顔は見られぬ限り悟られまいが。
 繋いだ手から火照りが伝わってしまいやしないかと、それを必死に隠すべく喋る。
「あ、あのね! 海も綺麗だね! ほら、月の影が海に映ってる」
「んー?」
 まゆのどこか急いた声に、しかしそうとは気付かず祐一が素直に海へと視線を向けると、そこには確かに暗い海に浮かぶ月の影があった。
 これまた地上からではないと拝めない光景だと、感心したように言葉を返す。
「……本当だ、空も海もどっちの月も綺麗だな……」
 海を見遣る祐一と、空を見上げるまゆ。
 互いに見ているものは違っても、それを『綺麗だ』と感じる思いは同じ。
 あんまりにも綺麗なものだから、まゆが星空を見上げたまま黙り込んでしまって、それを不思議に思った祐一がおもむろに視線をまゆに向けた時。
「……っ」
 息を呑む。
 この娘は、こんなに綺麗だったろうか。
 何なら、今自分たちが綺麗だと思った海より、月より、星空より――。

「……祐一さん、星の思い出話とかって、ある?」
「な……っ」

 その横顔に見惚れていたなんてとても言えないで、不意のまゆの問いに頬を赤らめながら、祐一はそれでも何とか答えを探す。
「え? あーそうだなぁ、宇宙バイクで初めて宇宙に出た時にさ……」
 星の海とは良く言ったもので、今でこそそれは当たり前の感覚ではないのかも知れないけれど、あの時は本当に海を泳ぐ代わりにあの星の海を自由に飛んでいたのだと。
 そんなとりとめのない話を、若干まくし立てるようにつらつらと並べ立てる。
 まゆはにこにことした笑顔で、それを聞いているばかり――であったが。

「……二人で見られて、良かった」

 言葉の合間に、そっと。
 聞かせるつもりなどまるでないかのような、絶妙なタイミング。
 星空の中で生きてきた青年と、桜吹雪の中で生きてきた少女と。
 交じり合うことなど本来はなかったかも知れない、この奇跡に。

「ん、何か言った?」
 祐一がふと長台詞を切ってまゆに問うけれど、まゆは曖昧に笑うばかり。
「……俺もだよ」
 少しだけ顔を近づけて、聞こえるか聞こえないかの優しい声音で呟いた。
「……っ」
 聴かれてた、そう思うとこれ以上ないというくらいに顔を赤らめたまゆが、せめてのも照れ隠しにと空を仰ぐ。
 そんなまゆの様子に、祐一は繋いだままの手にそっと力を込めた。

 ――願わくば、この手が二度と離れませんようにと。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

氏家・禄郎
ネリーを指名で

星空の下、砂浜でデートと洒落込もう

大分、忙しそうな夏休みだったね
君のことだ、引く手あまただったろう?
まあ、それはいいんだ
僕の女が人と触れ合っていくのは嬉しいからね

さて、ネリー
空を見上げれば満面の星空
君が生まれた世界でこんな照明にお目にかかったことはないかい?
僕もあまりない
帝都はなんだかんだで、不夜の街だからね
だからね、君とこうやって星空を独占できる機会というのはなかなか無いもんだ

で、これからが本番なんだけど
来年も再来年もこれから先も
一緒に星空を見る機会があればいいな?

どうだいネリー?



●最後から二番目の約束
 満天の星空をひとり、氏家・禄郎(探偵屋・f22632)が見上げていた。
 砂浜に佇んでただ星を見るのは、時間潰しを兼ねてのことでもあった。
「――禄郎」
「やあ、お疲れ様」
 己の名を呼ぶ声に顔を向ければ、そこには小さな恋人の姿。
 用事が全部済んでからで構わないからと、逢瀬の約束をしたのだ。

「大分、忙しそうな夏休みだったね」
 その場におもむろに腰を下ろし、隣を軽く叩くとミネルバにも座るようにと促す。
「君のことだ、引く手あまただったろう?」
「そうでもないわ、でも声をかけてもらえるのはうれしかった」
 途中事案が起きかけたことは黙っていようと心に誓い、禄郎の隣に腰を下ろしながらミネルバは返す。
「まあ、それはいいんだ」
 それはもう当然のような流れで、禄郎がミネルバの肩に手を回してその身を引き寄せた。
「――『僕の女』が人と触れ合っていくのは、嬉しいからね」
「……やきもち焼かないのね、随分と余裕出てきたじゃない」
 そう返すのはいつもの憎まれ口か、それとも照れ隠しか。
 禄郎は敢えて追求せずに、天を仰いだ。

「さて、ネリー」
 せっかくの星空なのに、さっきからうつむいてしまっているミネルバに声を掛ける。
「空を見上げれば満天の星空、君が生まれた世界でこんな照明にお目にかかったことはないかい?」
 禄郎の言葉に、自然とミネルバも星空へを視線を向ける。
「……ないわ、ええ。一度も」
「僕もあまりない。帝都はなんだかんだで、不夜の街だからね」
 年中途切れることなく舞い散る幻朧桜に、遮られてしまうということもあるだろう。
 こうして澄んだ星空を見られるというのは、実は運が良いことなのかも知れない。
「だからね、君とこうやって星空を独占できる機会というのは、なかなか無いもんだ」
「……そう」
 穏やかな声音で、事実だけを告げる。それだけ、貴重なことなのだと。
 返された言葉はひどく素っ気なかったけれど、少しばかり震えていた。

 華奢な肩に回した手から伝わる体温は低い。そういう娘だとは知っていた。
「――で、これからが本番なんだけど」
「何よ、あらたまって」
 ぐっ、と。抱き寄せる力を少し強めながら、禄郎は告げた。
「来年も、再来年も、これから先も。一緒に星空を見る機会があればいいな」
「……っ」
 息を呑む気配を感じ、ただじっと答えを待つ。
 これは、二度目の誓いの言葉。
 ――今度は、決して違えまい。
「どうだい……ネリー?」
 沈黙は長く、思わず顔を覗き込みながら禄郎が問えば。

「こ、ここで断るほど空気読めないわけないじゃない……!」
 顔を見るなと言わんばかりにぷいと横を向きながら、ミネルバはそう返すのが精一杯。
「……いいんだね」
 もう片方の腕を回して、禄郎はミネルバをその胸にかき抱く。

 ――来年も、再来年も、これから先も。
 ――一緒に星空を見られるように、すべてのひとにさいわいを。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月21日


挿絵イラスト