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迷宮災厄戦⑲〜虚構の魔獣

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦 #猟書家 #サー・ジャバウォック

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●指貫と配慮とフォークと希望
 焼け焦げた森の国、切り株の一つに初老の男が座し、書を読み進めている。
『やれやれ、私が最初ですか。このような場合一番手は手酷く敗北するのが常というもの』
 一人ごちる男の背には黒翼と竜の尾。少し考えこんだ後、手に持った虚構のみで構成された本を閉じ、青白い竜の剣の柄に手をかけ立ち上がる彼の名はサー・ジャバウォック。
『――いいでしょう。最強の猟書家としての矜持を猟兵共に見せて差し上げましょうか』

「みんなちょっと力を貸して! 猟書家の一人『サー・ジャバウォック』の居場所が分かったの!」
 どしどしと音のしそうな剣幕の祓戸・多喜(白象の射手・f21878)が語るのは他の世界を侵略せんとするオブリビオンについての予知だ。
「猟書家最強らしいサー・ジャバウォックのいるのは焼け焦げた森の国で、焦げたばかりのような木々が立ち並ぶ中アタシ達猟兵を待ち構えているわ。猟書家最強というだけあってとっても強い……こっちが仕掛けようとしてもその前に攻撃してきて止められないからどうにか対策を練っていった方がいいわ」
 そして多喜は討つべき猟書家についての説明に移る。
「戦場は焼け焦げた森の中の広場、周囲の焦げた木々以外に障害物になりそうなものはないわね。それでジャバウォックの攻撃手段は三つ、ジャバウォックの持つ侵略蔵書『秘密結社スナーク』と同じ名前の見えない架空の怪物スナークを放って遠くの相手を攻撃してくるのが一つ。二つ目は青白い斬竜剣『ヴォーパルソード』を振るい一定距離内の相手全てを三回斬りつけてくる。もし向こうに仲間がいたなら斬られる回数は少なかったんだろうけどたった一人でいるからそれも期待はできないわね。そして三つ目、竜人形態に変身して剣を強化したり触れた者の五感を奪う黒翼で高速飛行能力を得て襲い掛かってくるわ」
 どれもシンプルに厄介で強いけど攻略法は必ずあるはず、と多喜は言う。
「……サー・ジャバウォックが狙っているのはヒーローズアース、どんな風に侵略しようとするのかはわからないけどきっと碌な方法じゃないと思う。もしできるならここで痛手を与えておきたいよね」
 それじゃ皆、宜しくね! そう締めくくり白象の猟兵はグリモアを取り出し、焼け焦げた森へと猟兵達を転送するのであった。


寅杜柳
 オープニングをお読み頂き有難うございます。
 猟書家一番手、魔獣の名を持つおじさまでし。

 このシナリオは焼け焦げた森の国の猟書家『サー・ジャバウォック』と戦うシナリオとなります。
 相手は必ず先制攻撃を行ってくるため、そのユーベルコードへの対処が重要となります。
 また、下記の特別なプレイングボーナスがある為、それに基づく行動があると判定が有利になりますので狙ってみるのもいいかもしれません。

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 プレイングボーナス……敵の先制攻撃ユーベルコードに対処する。
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 それでは、皆様のご参加をお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『猟書家『サー・ジャバウォック』』

POW   :    侵略蔵書「秘密結社スナーク」
見えない【架空の怪物スナーク】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
SPD   :    ヴォーパル・ソード
【青白き斬竜剣ヴォーパル・ソード】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
WIZ   :    プロジェクト・ジャバウォック
【人間の『黒き悪意』を纏いし竜人形態】に変身し、武器「【ヴォーパル・ソード】」の威力増強と、【触れた者の五感を奪う黒翼】によるレベル×5km/hの飛翔能力を得る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

箒星・仄々
架空を在るとして実体化とは
剣呑な力です

そして
まだないものを創り上げるのは
未来も同じ

ジャバさんを倒し
望む未来を創りましょう

UC発動
文字通り地を滑走
残像分身を棚引きながらジャバさんへ向かいます

三回攻撃に対しては
疾風を纏っての瞬間加速で一足早くすり抜け
炎を噴射しての超機動で剣の間合いから外れ
激流の盾&UCでツルっと受け流し
躱します

そのまま更に風を重ねて加速
残像伴う動きで間合いに入り
暴風や火の粉、水飛沫で感覚を封じ
手の何方かをぺろ
剣か本を取り落としてもらいましょう

更にそれを牽制として
早業で抜刀
見切った急所に摩擦0の超速の刺突
柄頭の鈴がちりん
刃から魔力放出しチェックメイトです!

事後に鎮魂の調べ


月待・楪
は、強奪上等!
ケドなァ…あの世界に手ェ出そうっつーなら話は別だ
ジャバウォック、バンダースナッチ…どいつもこいつもココで紙屑になっちまえ

最初からトップスピードだ
【戦闘知識】で攻撃範囲を【見切り】ながら【念動力】でブーストして【ダッシュ】で回避
危ないところは念動力で【カウンター】した勢いで弾いて時間稼ぐ隙に避ける
一撃目を避けたらカルタとガランサスで【魔弾・疼木】を【クイックドロウ・2回攻撃】
この魔弾、そう簡単に避けられると思うなよ?
テメェを貫くまでその弾丸は追いかけて来るからなァ!

悪意?絶望?…く、はは、結構なことだ
んなモン、ヴィランの俺からしたら、日常の一部だっての
もっと面白いモンになって出直せ



 焼け焦げた木々の臭いが転送された猟兵達の鼻腔に広がる。
 そんな猟兵達の前にはかっちりとした身なりの紳士がいた。その左肩には黒竜の翼、右手には青白き鋭い剣を持ち左手に禍々しい虚構の書物を抱える彼の名はサー・ジャバウォック。
『私の侵略を止めないでほしいのですがね。虚構から生まれる疑念による戦い――悪意と絶望の歴史をもう一度繰り返すだけなのですが』
 現れた猟兵達に邪悪な事をまるで日常の出来事のように猟書家は語る。
「は、強奪上等! ケドなァ……あの世界に手ェ出そうっつーなら話は別だ」
 月待・楪(Villan・Twilight・f16731)はヴィランである。ヒーローにあこがれていた少年は強化改造によりヴィランに生まれ変わり、憧れと嫉妬はうたかたへと消えている。そのはずだ。
 だが、そんな彼でもヒーローズアースにこのような形の危機の訪れには思う所がある。
「悪意? 絶望? んなモン、ヴィランの俺からしたら、日常の一部だっての」
 猟書家の謳う悪意も絶望も楪にしてみればそんなもので、今更他所からわざわざ持ち込まれて増やされるようなものでもない。
 だからヴィランの青年は不要だと、猟書家の野望をバッサリと切り捨てる。
(「架空を在るとして実体化とは……剣呑な力です」)
 黒の毛並も艶やかなケットシー、箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)は相対した猟書家の手の書物に注意を向ける。
 それは不可視の実在しない架空の怪物を放つ力を持つ侵略蔵書、すべてが架空故に現実にあり得るかもしれないとの疑念を生じさせ、本物を生み出してしまう恐ろしい虚構の創作物。
 だが存在しないモノを創り上げる――それは未来も同じ事。
 戦乱の繰り返しを創り出す猟書家か、はたまた未知の未来を創り出す猟兵か。
「ジャバウォック、バンダースナッチ……どいつもこいつもココで紙屑になっちまえ」
 獰猛なるヴィランの笑みを浮かべた楪がカルタとガランサスの双銃を構えサー・ジャバウォックに相対し、「ジャバさんを倒し、望む未来を創りましょう」
 細剣を構えた仄々の言葉と同時、ジャバウォックが青白き刃を巨大化させる。それが振るわれる前に二人の猟兵は逆方向へ駆け出す。
 楪の速度は念動力のブーストで最初からトップスピード、それにより頭痛がずきずきと悪化するが斬られるよりはマシだ。あれに切り裂かれれば一撃で体力の大半を削り取られかねない。
 そして猫の身長の仄々は地を滑るように身を低くし、長靴で焼け焦げた草を踏みしめながらぐるりと迂回するように回り込む。風と炎、そして水の精霊の力を借りる準備は既にできている。
 左右に分かれた猟兵達に、独楽のように優雅に回転して振るわれるヴォーパルの刃、その巨大な斬竜剣は猟書家を起点に無数の斬撃を周囲に刻み込む。
 一つ目の刃、楪はその災害のような刃の嵐から斬竜剣のレンジと軌跡を見切り、その恐ろしく鋭い斬撃の嵐から紙一重で逃れる事に成功。
 仄々の方も突風を纏い瞬間的に加速、刃の軌跡からギリギリの所をすり抜けて回避。 
 即座に次の刃が振るわれるが、回避した直後の楪が双銃から弾丸を二連で速射。これはまだ牽制、彼がユーベルコードを使用するには少々まだ時間がかかる。
 その弾丸こそ斬竜剣に弾き飛ばされたが、剣の軌道に僅かなずれが生じる。それを見出した楪は二度目の斬撃も回避、さらも仄々も真正面から迫る刃を見切り真下に火炎を噴射しその反動で刃の真上へと逃れる。
 しかしそこに最後の刃が鋭角に切り返す形で振るわれる。空中のケットシーはそれに激流の壁をぶつけると同時、左腕をぺろりと舐める。
 斬竜の刃は激流の盾にほんの一瞬止められるがすぐに突破、黒猫を切り裂かんとするが彼は左腕を刃に斜めに合わせ、極端に摩擦の減った部分で刃を立たせず滑らせ回避する。
 しかしジャバウォックはその真逆の位置の楪へと一歩深く踏み込み刃を叩きつける。
 一気に踏み込んできたジャバウォックに、この距離では体勢を保ったままの完全回避は不可能と判断した楪は念動力を刃と自身の双方に働かせる。
 高速で迫る刃に対し彼の身体はそれよりも早く後方へとすっ飛んでいく。
 しかしその回避の直後、楪のユーベルコードの準備が整う。
「先見とは違うけどな……この魔弾、そう簡単に避けられると思うなよ?」
 サイキックエナジーにより視覚が強化され灰色の瞳に映る視界は鮮明になっている。阻むであろう刃もこの状態なら問題はない。
 一方、通り過ぎた刃にくるくると回転させられた彼は綺麗に着地、その回転の勢いすらも利用して地を滑走してジャバウォックへと迫る。
 風による加速を合わせ残像すら伴う速度の仄々をジャバウォックの巨大な刃は捉えられない。
 そこに楪の双銃の弾丸が四発ジャバウォックに飛来。攻撃直後は本来隙が生じるものだがジャバウォックも強者、その剣で即座に弾丸を弾かんと反応するが楪の放った弾丸は魔弾だ。
「甘ェ! テメェを貫くまでその弾丸は追いかけて来るからなァ!」
 弾かれた瞬間に念動力により軌道が捻じ曲げられ再びジャバウォックの身体へと向かっていく。
 そこに仄々の精霊の力を借りた魔法により生じた火の粉を巻き込んだ暴風がジャバウォックを包み込むと、更に水流がその顔に叩きつけられる。
 それは傷にすらならない程度、しかし一瞬感覚を誤魔化すには十分。
 ジャバウォックの刃を握る右手の甲に、ぺろりと冷たい感覚。それが仄々の舌が触れた感覚だと気づいた瞬間、手全体の摩擦が極限まで減り握りしめた斬竜剣が手からすっぽ抜けそうになる。
 取り落としこそはしなかったものの楪が放った魔弾を止める為の余裕はなくなり、四発の魔弾がジャバウォックの胴を貫く。
「もっと面白いモンになって出直せ」
 楪の言葉に呻きを漏らす猟書家、しかし仄々の『ねこのつめ』の細身の刃の追撃が続く。
「チェックメイトです!」
 細剣のナックルガードに刻印された箒星のように鮮やかな高速の刺突は、ジャバウォックの左眼を貫き鈴が一鳴り、魔法剣より放たれた魔力がジャバウォックの体を駆け巡る。
『やりますね……ですが!』
 それでもジャバウォックは斃れない。摩擦を極限まで減らされたままに剣を腕力で抑え込んだまま振るい、二人の猟兵を弾き飛ばす。
 しかしダメージは間違いなく通っている、吹き飛ばされた二人は体勢を立て直す為一旦後退した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

化野・花鵺
「せぇらぁ・エレファント・アーチャー…イケてる!こんなイケてる哺乳類さんは久しぶり…ハッ!」
狐、萌え過ぎて今回も話半分だった

「先に殴られるけどリカバリしろってことぉ?どんなに早かろうが殴りに来るなら近接するしぃ、術はカヤが居るだけで発動するしぃ、一撃死さえしなきゃ虫の息でも何とかなると思うぅ。ちょっとでもイイトコ見せてせぇらぁさんにオトモダチになってもらうんだぁ」
狐、頬に手を当てクネクネした

「行けぇ管狐!妾の未来がかかっておるぞ!」
敵の攻撃は野生の勘で回避
衝撃波で刃そらしオーラ防御
ダメージ低減試みる

敵が術範囲に入ったら
服が絡んで失速する
鞘が自分を強打する等
不幸を連続プレゼント
他者の攻撃補助する



 森に剣の嵐が吹き荒れる少し前、広場から離れた場所に転送された一人の妖狐がのたうっていた。
(「せぇらぁ・エレファント・アーチャー……イケてる! こんなイケてる哺乳類さんは久しぶり……」)
 完全に自分の世界に入り込んでいるこの化野・花鵺(制服フェチの妖狐・f25740)は根っからの制服好き、子狐の頃に制服の猟兵に助けられた事で刷り込まれた溢れる萌えのせいでこうなっていた。
 しかし巨大化した刃の嵐が近くの木々を切り飛ばせば流石の彼女もハッと現実に帰る。説明も話半分にしか聞いていなかったけれど、最低限重要な部分は抑えている、はず。
 先に殴られるからリカバリーする、それは一番重要な点だ。どれだけ早くても殴りに来るならば向こうは近づいてくる。そして花鵺の術はいるだけで発動するもので一撃でやられさえしなければ虫の息でもなんとかなる。
 うん、十分だ。やたらストロングスタイルだけれどもツッコミは入らない。
(「ちょっとでもイイトコ見せてせぇらぁさんにオトモダチになってもらうんだぁ」)
 待っててねー、と花鵺は頬に手を当てクネクネし、それから刃の中心、広場へと駆け出した。
 辿り着いたのは二人の猟兵が後退するタイミング、
『新手ですか。ならばこちらでどうでしょう』
 猟書家の身体に黒い靄のようなモノが纏わりつき、その体つきが竜人の形態へと変化していく。
 まるで悪意を象ったような背の黒翼は五感を奪う作用すらある、という話だったかと花鵺が思い出せば、ジャバウォックはその翼を羽搏かせ花鵺へと突進する。
 恐ろしい速度で接近するジャバウォックに、花鵺は野生の勘を働かせその鋭き致命的な刃に符より衝撃波を放ちつつオーラで身を包むことにより太刀筋をずらし回避する。
 翼もオーラにより直接の接触を防いだことで感覚は残っている。そして花鵺は通り過ぎ背を見せたジャバウォックに取り出した竹筒を向けてユーベルコードを起動、
「行けぇ管狐! 妾の未来がかかっておるぞ!」
 管に封じられた管狐が空中で反転したジャバウォックに飛び掛かる。最初の衝撃波で剣を逸らした事をトリガーにし、管狐が高速で飛行するジャバウォックに噛み傷を刻み込んだ。
「ヌシは狐の恐ろしさを知らんようじゃ。とくとその身で味わえ!」
 そして不幸は訪れる。運悪くコートが黒翼に絡みつき姿勢制御が乱れ墜落。
 高速で地面を数度バウンドした猟書家が立ち上がろうとするも、落下の衝撃で摩擦を失った右手からヴォーパル・ソードがすっぽ抜け空へ、そして立ち上がろうとしていたジャバウォックの右肩にサクッと突き刺さり右の黒翼まで運悪く斬り飛ばされてしまう。
 そしてさらに猟兵達が到着し、戦いは佳境へと移っていく。

成功 🔵​🔵​🔴​

クロス・シュバルツ
連携、アドリブ可

猟書家ジャバウォック……尋常ならざる相手なのは確かですが、戦わない選択はない。どうにか乗り越えるとしましょう

不可視の敵は厄介ですが、そこに存在するのであれば気配は探知できる
『戦闘知識』と『第六感』で動きを読み、『追跡』することで攻撃の回避を試みる

その後【悪食の大顎】を発動し、鎖と黒剣を強化。
機を見計らってスナークに鎖を放ち『串刺し』に。腕輪と繋いで敵の位置と動きを察知しつつ、鎖を通してスナークを喰らっていく

ジャバウォックには黒剣で攻撃
強敵だけあって容易には攻め込めないだろうから、敵の『体勢を崩す』為に『フェイント』を混ぜて撹乱しつつ慎重に立ち回り、隙を作った所で一気に攻め込む


カグラ・ルーラー
俺のアリスラビリンスから、漸くこないだ鋼神ウルカヌスを黙らせたヒーローズアースに行きてェと。
まるで俺のために売られた喧嘩だな。買った。

まずは殺気・覇気・存在感を放ちながら、タコヤキに騎乗して突撃だ。
スナークが見えなくても、さすがに奴のユーベルコード発動の瞬間は見えるだろ。本から出る以上、見逃がさねェ。
それを見切り、俺はタコヤキの口の中に潜り込む。
……喰うんじゃねェぞ?

そのままジャバウォックのオッサンに突撃させる。
俺が無事でもタコヤキはスナークに殴られるよなぁ。
痛ェよなぁ。
殴り返すしかねェよなァ!
「マグマ・コンヴィクション・アジテーター」発動だ!
スナークもオッサンも、文字通りタコ殴りにしてやれ!


セルマ・エンフィールド
戦いの歴史なのはあの世界に限ったことではありません。人の歴史こそ戦いの歴史と言うべきでしょう。
ですが……いえ、だからこそ、束の間かもしれない平和を乱させはしません。

ただ見えないだけであれば……!
袖口から引き抜いた複数のスローイングナイフをばらまくように『投擲』し、スナークの位置を探ります、ナイフが刺さればよし、弾かれても位置は分かります。
位置が分かったらフィンブルヴェトからの氷の弾丸をスナークに、体は見えずとも体についた氷は見える。こうなっては透明の意味などありません。

弱点を実証することで【氷鎖】でスナークを封じたら『スナイパー』の技術でサー・ジャバウォックを氷の弾丸で狙います。



 右腕を負傷したサー・ジャバウォックは左手にヴォーパル・ソードを持ち替え猟兵達に相対する。
 これだけ負傷してなお発する威圧感は尋常ではない。しかし戦わない選択肢はクロス・シュバルツ(血と昏闇・f04034)にはなかった。
(「どうにか乗り越えるとしましょう」)
 闇はまだ遠いこの森で、白のロングコートを纏い黒剣と呪鎖をクロスは構えた。
「ほーう、俺のアリスラビリンスから漸くこないだ鋼神ウルカヌスを黙らせたヒーローズアースに行きてェと」
 炎の如き真紅のオウガブラッドの少女、カグラ・ルーラー(バスバリス・f21754)は敵意むき出しだ。
 それもそのはず、先の戦争の残党を半年程度かけて漸く滅ぼしたのにまた新たな災厄を齎そうというこのジャバウォックの行動は徹頭徹尾彼女の勘を逆撫でするもの、喧嘩を売っているも同然。
 そしてそんな風に売られた喧嘩を買わない彼女ではない。メガリスを喰らい飛行能力を得た蛸であるタコヤキに騎乗したまま拳を鳴らす。
『ええ、不和と不信による戦乱こそが目的ですから。あの戦いの歴史の世界にはそれが相応しい』
「戦いの歴史なのはあの世界に限ったことではありません。人の歴史こそ戦いの歴史と言うべきでしょう」
 カグラに対するジャバウォックの言葉を聞いていたセルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)、他の世界を見渡しても過去を見ればどの世界にも何らかの戦いの歴史はあった。
 発端や経緯は其々異なるにせよ、歴史が戦いに彩られてしまうのは人という存在の業かもしれない。
「ですが……いえ、だからこそ、束の間かもしれない平和を乱させはしません」
 だが、平和である今の世界に新たな火種を放り込む事をセルマは強く否定しマスケット銃を構える。
『ほう、ならば私はその束の間を今終わらせましょう』
 そして彼の手にしていた侵略蔵書が彼の前に浮かび、ページが自動で捲られていく。
『さあ行きなさい、スナークよ』
 その言葉と同時、周囲に殺気や覇気を放ちながらカグラとタコヤキが飛び出す。彼女の発する存在感に不可視の怪物であるスナークは反応するはず。
 しかし侵略蔵書を開かれユーベルコードも起動しているようだが、そこから何も出てきたようには見えない。
 発動の瞬間ですら不可視なのか、そう気づいた瞬間彼女は即座にタコヤキの大きな口の中へと体を滑り込ませる。
 喰うんじゃねェぞ、と言いかけた瞬間何かに衝突した衝撃とタコヤキの暴れる揺れ。
 蛸の口から外を覗いてみれば蛸足の一部が何かに齧られたようになっており、他の無事な蛸足が不可視の何かに巻き付いているように見える。
 しかしそのなにかはするりと抜けたようで絡みついていた蛸足が空を切った。
 一旦退くべきか? いや、売られた喧嘩は買うのがカグラの流儀。
 そして真紅のオウガブラッドとタコヤキはそののダメージを無視しジャバウォックへと突撃する。
 その途中で不可視のスナークが横から突撃、その衝撃にタコヤキとカグラは森の中へと大きく弾き飛ばされてしまった。

 対してクロスはスナークの気配を探り対抗しようとする。架空の怪物であるが故に既存の知識が当てはまるとは限らないが、生物としての根本的な習性は共通するものもあるはず。
 それにそこに存在するのであればその気配までは容易に消せるものではない。
 第六感を研ぎ澄まし膨らんだ殺気を察知し飛びのけば、そこに生えていた焦げた草が何かが通り過ぎ飲み込まれたように抉られる。
「封印解除、その悉くを喰らいつくせ」
 即座にユーベルコードを起動。自身の血液を代償に罪茨と黒羽の封印を解き強化、罪茨の制御用の腕輪を介して呪われた鎖を抉られた草の周囲に放った。
 何かを捕らえ串刺しにした感触、その鎖を振り上げ捕えたスナークをぐるぐる巻きにして地面に叩きつける。
 封印を解かれた呪われし鎖はユーベルコードごと敵を喰らうもの。
 味わうならどんなものなのだろうかとちらりと考えながら、黒剣を構えクロスはジャバウォックへと飛び込みその斬竜剣と切り結ぶ。
 一方で、セルマは袖口から取り出したスローイングナイフをジャバウォックとの間にばらまくように投擲していた。
(「ただ見えないだけであれば……!」)
 殆どは何かに当たった様子もなく地面に突き刺さるが一本だけ、固い甲羅のような何かに当たったように空中で弾かれた。
 その瞬間、セルマはマスケット銃を構えその弾かれた辺り――移動も考えやや手前側に向けて氷の銃弾を放つ。
 姿の見えない架空の怪物、形状も大きさもわからないけれども存在することに変わりはなく、氷の弾丸が何かに突き刺さり奇妙な悲鳴が響く。
 そして弾丸の命中した位置には氷がしっかりと張り付いている。
「これなら透明であることの意味などありません」
 セルマのその言葉と共に彼女のユーベルコードが発動。ジャバウォックの身体とその正面に浮かぶ侵略蔵書に、虚空より出現した氷の鎖が絡みつき縛り上げる。
「三分ほどで溶けるのでご心配なく……それまではどうやっても溶けませんが」
 淡々と事実のみを告げる彼女。出現した氷の鎖はユーベルコードを封じるもので、これにより新たなスナークは三分間出現しない。
 この効果が続いているうちに畳みかける、セルマはクロスを支援する為の氷の弾丸をジャバウォックへと放つが、巧みな体捌きで致命傷は上手く避けられてしまう。
 猟書家最強と自認しているだけはある――しかし随分弱っていることも事実。狙撃手としての冷静さを保つセルマは冷静に支援射撃を継続する。

 そして弾き飛ばされたタコヤキが起き上がる。受けたダメージは相当なものとなっている。
「痛ェよなぁ。……殴り返すしかねェよなァ!」
 だが、そんなタコヤキにカグラが語り掛ける。見えない相手に理不尽に攻撃される、それにより恐怖を覚える場合もあるのだけれど、ここでカグラは怒りの方向へと扇動した。
「あんたの中で煮え滾るマグマを解き放つ力を貸してやる。思うまま殴り付けてやれ!」
 そう言ってユーベルコードを起動すれば、タコヤキの全ての足に信念のマグマを噴出する籠手が取り付けられる。
 再びスナークが衝突したようにタコヤキがぐらつくが、今度は即座に蛸足の数本が絡みつき捕獲。
 拘束されたスナークを残りの籠手のついた足がガンガン殴りながら怒り狂ったようにジャバウォックへと躍りかかっていく。
 ヴォーパルの剣を左手に持ち替えジャバウォックはクロスを迎え撃ち鍔迫り合いになっていたが、横合いからの突撃を視認したクロスが虚をつくバックステップでジャバウォックの態勢を崩す。
 そこにカグラのタコヤキがマグマを噴出する籠手で殴り掛かるが、ジャバウォックはヴォーパルの剣を構え直し飛行蛸を切り裂かんとする。
 しかし、構えたその左腕に氷の弾丸が突き刺さる。セルマの放ったその弾丸は反撃を封じるには十分、ぱきぱきと音を立ててジャバウォックの左腕が氷に包まれていく。
 腕を封じられた猟書家が逃れようとするがもう間に合わない。タコヤキの乱打を辛うじてその竜の尾と上手く動かぬ斬竜剣で凌ぐが手数の多い蛸、その一本の蛸足がジャバウォックを横薙ぎに殴り飛ばす。
 そこにクロスが飛び込み極薄の黒剣を振るうと、ジャバウォックの剣持つ左腕が宙を舞った。
 しかしここでセルマのユーベルコードの効果が切れる。侵略蔵書を縛った氷の鎖が溶け、再びページが開かれ――、
『……足りませんでしたか。それにとことん運も悪い。最後にブー……』
 猟書家はそう呟きかけて、前触れもなく突然静かに消えうせた。
 まるで最初から存在しない、彼の侵略蔵書の架空の怪物のように姿を消したジャバウォックは、既に限界だったのだろう。
 肩透かしを食らったような呆気ない終わり方、勝利の実感はすぐには湧かなかったが周囲に何もいない事を確認する内に、猟兵達の間に徐々に勝利の喜びが広がっていく。

 そして、猫の楽士の竪琴の鎮魂の調べが焼け焦げた森に響き渡り。
 一時の休息の後、猟書家を打ち破った猟兵達はグリモアベースへと帰還したのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月16日


挿絵イラスト