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迷宮災厄戦⑪~鏡はあれどレッスンルームではない

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦

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「はい、バンバンバババンバ、バババンバーン!」
 ここはアリスラビリンスにあるひとつの世界、鏡の女王の怨念が漂う国。
 あらゆる場所に鏡が存在し、その鏡が問いかける者のありとあらゆる疑問に答えてくれるという。
 ただし、わかることはこの国で今現在わかること、つまりどこにいても鏡が尋ねた事象を映す鏡とシンクロして、あれやこれやで答えてくれるようなものだろう、多分。
 そんな中、鏡の前で大音量で、メロディとは言いがたい雑音をかき鳴らしていたのは一体のオウガ、名を人食いピアノという。
「最高の演奏終了、練習はばっちり、そしてここはレッスンルーム?」
「いいえ、ちがいます。普通の広場です」
 突然、レッスンルームで演奏練習していたはず、とかなんとかぶっ飛んだ事を言い出すが、近くにあった鏡が即座に否定。
 まあそうだろうよ、鏡があるだけでレッスンルームになってたまるか。
「では演奏を聴いてくれる、私のご飯はどこにいる?」
「今はいません。しかし見つかれば教えます」
 自分の居場所が違うなら、今度は捕食対象の居場所を尋ねるオウガ。
 現在の標的は不在なれど、見つかり次第、伝えるなんて言い出す鏡。
 これはいけない、乗り込んだら最後、耳障りな演奏を聞かされた挙句、人食いピアノのぺろりと食べられてしまうじゃないか。
「なるほど、なるほど、じゃあ最高の演奏を聞かせる練習をしなければいけません。
 ではここをレッスンルームにして、練習をしましょう」
「いいえ、ここは庭の跡地です、レッスンルームではありません」
 またしても耳障りな、騒音たるメロディを流すオウガ。
 そして否定する鏡さん。
 完全にかみ合わないやり取りをしながら、オウガは猟兵という捕食対象を待ち受ける。


「五月蝿い敵デスネ。あと話ガ通じていまセン」
 集まった猟兵を前にして、遠い目をしながらクラルス・フォルトゥナ(強化人間のスピリットヒーロー・f17761)が状況説明を開始していた。
 今回、彼女が予知したのは迷宮災厄戦のひとつ、鏡の女王の思念が残る世界に出現したオウガの情報である。
 どうやらこの国は、鏡の女王の思念によって各所に存在する鏡がこの国の出来事、現在進行形で起こっている事案に限り回答してくれるのだという。
「敵ハ此方ノ位置を鏡で把握シ、的確に攻めてきマス。奇襲するノハ難しイでショウ。
 タダ、此方も鏡に質問シテ、色々ト情報を集める事は出来ますノデ、上手く利用して下サイ」
 鏡に延々と猟兵の位置を訪ねるオウガ、人食いピアノ。
 何度も適時尋ねることで、猟兵側の位置情報を把握し奇襲に備え、また逆に奇襲を仕掛けようとしてくるのだが、位置情報を訪ねる事が出来るのは自分たちも同じ事。
 鏡を利用すれば双方が奇襲できないという条件下、どうやって攻めるのか。
 また、そういった情報以外にも鏡に尋ね、何か有用な情報を引き出すことが出来れば優位に戦うことが出来るという。
「敵ハどうやら演奏や、レッスンルームとイウ部分に固執シテいマス。
 マァ、ピアノなので仕方ないコト、その部分や捕食対象を探スと言う部分を利用シテ、罠を仕掛けタリ動きを探るノモありデスネ。
 ア、この世界ノ事、アト現在進行形の事ニハ答えてクレますノデ、ワタシを含メテ皆さんノ情報トカ聞いてモ答えてくれマス、需要は無さそうデスガ」
 相手がピアノ、そして演奏やらレッスンやらそういう単語に反応する特徴や、鏡が答えてくれる範囲を説明するクラルス。
 無意味に仲間内の情報で、鏡が映せる範囲のことは教えてくれるようではあるが、そこに需要はあるのだろうか、自分の情報とか聞いて、なんて首をかしげる素振りを見せつつ説明を終了。
 グリモアを起動させると同時に数多の氷塊が浮かび、冷気と共に猟兵を鏡の国へと送り出すのであった。


紅葉茉莉
 こんにちは、紅葉茉莉です。
 今回も迷宮災厄戦のシナリオ、舞台となるのは数多の鏡が存在する鏡の国での物語。
 普通に敵の位置情報を上手く聞き出し、戦って勝利する……のが表の目的。

 聞くに耐えない騒音を撒き散らすオウガが猟兵を探し、演奏を無理矢理聞かせ、最後には捕食しようと鏡を利用して位置情報を確認し、探し、襲おうとしています。
 此方も敵の位置情報などを聞き出して、奇襲に備えて上手く立ち回り、これを迎撃してください。

 なお、鏡に尋ねる時は童話っぽい問いかけで聞いてもいいですし、普通に聞いても問題なく答えてくれます。
 また必要であれば何かそれっぽい、難解な問いかけとか古風な問いかけをして、それっぽい返しが欲しいのであればその旨をプレイングにご記載ください。
 鏡ががんばって、それっぽく返してくれます。

 まあつまり、戦闘は戦闘で真面目にやりますが、鏡に色々尋ねる際にコミカルに尋ねて盛大に問いかけ、返答で遊ぼう、というのが裏の目的になってるシナリオです。
 問いかけとか返答とかそういったやり取りをメインにしたい方ならば、正直戦闘はユーベルコードを使って派手に決める、とか。
 敵の攻撃と真正面からぶつけ合って押し切る、とか大雑把な方向だけかいて、後は全力で遊んで頂いて構いません。

 鏡に有効な質問をする、というのがボーナス条件ですが、はっちゃけてもまあ、いいじゃないですか。

 なお、鏡は、敵の位置や死角、ユーベルコードの弱点など、この国の内部にあるものの情報ならなんでも答えてくれます。
 が、あまりに他猟兵個人の情報を尋ねると、個人情報云々で濁してきます、ご注意ください。
 同時参加して、承諾がある、という旨のプレイングがある方や現場に案内するクラルスの情報なら答えてくるので、個人情報を尋ねて色々リアクションをしたい方は参考までに。

 以上の点から、普通に情報を聞いて戦っても良いですし、妙な質問で遊んでもいい、という事になります。

 では、ここまで長文を読んでいただきありがとうございました。
 ご縁がありましたら、よろしくお願いします。
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第1章 ボス戦 『人喰いピアノ』

POW   :    死の旋律
【見えない破壊音波】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    メメント・モリ
【自身が喰い殺したアリス】の霊を召喚する。これは【聞いた者の生命力を奪う童謡】や【生きているアリスに憑依し、操ること】で攻撃する能力を持つ。
WIZ   :    闇の幻想曲
【物悲しいピアノの曲を演奏すること】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【臨死体験の白昼夢による精神攻撃】で攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠守田・緋姫子です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

四季乃・瑠璃
緋瑪「他人の個人情報は難しいんだね」
翡翠「最近は厳しいからね。鏡業界でも…」
瑠璃「鏡業界?」

【破壊の姫君】で分身

居場所を把握してやってくるという事で、待ち伏せして罠を仕掛けて戦闘。
鏡には条件に適した遮蔽物や死角の多い最寄りの場所を確認。

感知式ボムをセットすると同時にラジカセを設置。
演奏に反応するみたいだし、ショパンでも掛ければ向こうから勝手に反応しそうだね。
後は感知式ボムと曲に翻弄されてる間にボム集中爆破で大爆発で消し飛ばすよ(最初はショパンだが何故か途中から曲が阿波踊り→更に盆回りへ)

緋瑪「OK、グーグル。この国の有名スイーツ店の場所」
瑠璃「グーグル!?」
翡翠「わたしがもっと目立つ方法を…」


シャルロッテ・ヴェイロン
(城の中に入るなり、聞くに堪えない騒音に苛まれる)
いや、何ですか、このでたらめな演奏(ヘッドフォンで雑音を抑えつつ)。
――で、そこら辺にある鏡に質問すればいいのですね?

OK鏡さん――
「今流れてる騒音の元凶は何です?」
「敵の現在位置を教えてください」
「敵の能力を知ってる範囲で教えてください」
「あなたも実際迷惑してるでしょう?」
(とか質問してる間に【指定UC】で解析&強化(攻撃力重点))

で、戦闘になったら、破壊音波を【オーラ防御】【激痛耐性】でしのぎつつ、【ATTACK COMMAND(「破壊」属性付与)】で撃破しましょう。【一斉発射・制圧射撃・鎧無視攻撃】

※アドリブ・連携歓迎



 鏡の場内に鳴り響くピアノの音色、されどそれはでたらめに鍵盤を叩き、また音色の強弱やテンポも無茶苦茶。
 楽曲とは程遠い、耳障りな雑音を大音量で垂れ流す、そんな状況であったのだ。
「いや、何ですか、このでたらめな演奏」
 聞くに堪えない演奏とかけ離れた雑音を前に、入城と同時に顔をしかめるのはシャルロッテ・ヴェイロン(お嬢様ゲーマーAliceCV・f22917)
 ため息混じりに、普段はゲームで愛用する、光る猫耳飾りがついたゲーミング仕様のヘッドフォンを被って雑音を抑えこむ。
 関係ないけど、最近、なんでも光ってればゲーミングって名前がついてる製品が多い、多くない?
 まあそんな部分はさておいて、鏡に質問を開始だシャルロッテ。
「OK鏡さん――今流れてる騒音の元凶は何です?」
「この奥の、庭の跡地で演奏しているオウガです」
「敵の現在位置を教えてください」
「あなたの位置を他の鏡に聞いて移動、現在は城と庭の間から、このホールを目指しています」
 こんな感じでテキパキと、しっかり敵情報を鏡から聞いていくシャルロッテ。
 しっかりと準備を始める最中、ちょっとずれた会話が聞こえてきたのはその時であった。
「他人の個人情報は難しいんだね」
 おう、そうだよ緋瑪さん、注意を言ってただろぅ、案内したグリモア猟兵も。
「最近は厳しいからね。鏡業界でも……」
「鏡業界?」
 そんな現代の厳しい制限について語っていた緋瑪と瓜二つ、別人格が乗り移った人形な翡翠が謎の発言。
 というかそんな業界があってたまるか、主人格ってか本体の四季乃・瑠璃("2人で1人"の殺人姫・f09675)も頭の上にクエッションマークを浮かべてるじゃないか。
「ちょっと鏡さん、相手がこっちに来る間に、罠を仕掛けるのにちょうどいい場所教えてよ」
 とりあえずボケてはいたが、敵が既に動いているならと緋瑪が鏡に問いかけて、死角の多い最寄の場所や遮蔽物のある場所を聞き出して。
 崩れた壁のある廊下や、外れかけたドアの後ろなどなど、玄関ホールに向かう道中に存在する、死角ありきのポイントを聞き出してラジカセ、及び感知式爆弾を設置にかかる。
「敵の能力を知ってる範囲で教えてください」
「音を操り無差別破壊攻撃を行ったり、存在を認める相手に臨死体験の白昼夢を見せて苦しめます。
 また、過去に食い殺したアリスの霊を呼び出し童謡を歌わせて生命を奪う、生けるアリスに憑依させる、という力があります」
 トラップを仕掛けに3人娘が移動する中、敵の位置情報をつかんでいたシャルロッテは更なる質問を鏡に継続。
 敵の攻撃手段を戦わずして把握することで解析を始め、強化プログラムの生成を開始。
 事前強化を施すことで優位に立ちつつ、ふと小さな疑問があったのでそれも鏡に聞いてみるシャルロッテ。
「あなたも実際迷惑してるでしょう?」
「はい、大迷惑です。音波で鏡が割れたりしますし、そもそもが聞くに堪えない騒音です。
 また、私に質問はしますが、回答に対して、自分勝手に答えを変更して解釈しています」
 鏡にとっても迷惑な存在ではなかろうか、そう思って尋ねてみたら、即答で大迷惑なんて返答された。
 まあそうでしょうね、回答しても無理矢理勝手な解釈でレッスンルームとか言ってるし、それに演奏の音波、その衝撃で仲間の鑑が割れるわで存在そのものが大迷惑だろう。
 ああ、やっぱりかぁ、なんて感じでため息つきつつ、現在位置を再確認。
 既に3人娘が罠を仕掛けた位置へと近づきつつある事を把握してシャルロッテも移動を開始。
 そして、オウガとの激戦が始まろうとしていた。


 迷惑極まりない騒音をかき鳴らし、自画自賛をしながら猟兵めざし突き進むオウガ。
 その耳、いや、外見的にはどこが耳かわからぬが、とりあえず音を感知できる能力がある巨大な人食いピアノに聞こえてきたのは、瑠璃たちが仕掛けたラジカセから聞こえる、ショパンの音色。
「むっ、なんだ、この演奏! だめですね、わたしの演奏の雑音になる」
 思わず反応、だが誰しも、お前の演奏の方が雑音だと言いたい耳障りなピアノの音色をかき鳴らし。
 音の出所、外れかけたドアに向かって進んでいくがそれこそが猟兵による罠である。
「はーい、騒音の出所はここで終わりにしちゃおうね~♪」
 ノリノリで緋瑪が言えば、ドア付近に仕掛けられた感知式爆弾が敵を認識。
 音楽に反応する特徴を突かれてしまったオウガはそのまま爆風、そして飛び散るドアや鏡の破片に飲み込まれ、猟兵に不意打ちを仕掛けるはずが自分が不意打ちを受ける形に。
「おおおっ、どういうこと! 私の演奏が、騒音だなんてっ!」
 納得いかないとばかりに激しいメロディかき鳴らし、見えないならばと周囲一体を破壊する音波を放って攻撃開始。
 だがその攻撃はお見通しだとばかりに、破損した瓦礫の裏からシャルロッテが飛び出して。
「攻撃プログラム展開。敵に直接コマンド入力といきますよ!」
 実態化した膨大な量の文字列がオウガを包み込む様に展開、相手が周囲へ破壊音波を放つならば、此方もそれを抑えこむ様に伸びる文字列。
 先端部分が音波によって阻まれて、歪み弾け飛んでいき。
 互いの攻撃を相殺し合い、音波も文字列も消失すれば爆発ダメージのみのオウガが残るも猟兵の攻撃は終わらない。
「音が止んだ……追い討ちだよ」
「オッケー、あんな耳障りな音はもうこれっきりにしてほしいね」
 攻撃の合間を逃さず、翡翠と瑠璃が手にした爆弾を投擲。
 そんな中、何故かラジカセからの音楽がクラシックなピアノ演奏だったのに、阿波踊りなミュージックと共に、えらいやっちゃ、えらいやっちゃの掛け声が。
「えぇぇ……なんでそうなりますか」
「や、面白いと思って」
 ピアノな敵を釣り出す、という目的でクラシックだったが、目的を果たしたならお遊び要素は必要だったんだろう、多分。
 怪訝そうな顔で思わず口にしてしまったシャルロッテに、こういう変化があれば面白いはず、なんて確信していた緋瑪が返答。
 明らかに空気が変わったその中で次々と爆弾が爆発し、爆風に呑まれる中でオウガの奏でる雑音もかき消され。
 また視認した標的狙い、白昼夢による精神攻撃を仕掛けようにも爆風で視界が塞がれ、さらには阿波踊りのメロディで位置情報も乱されて。
「ちょ、鏡さん、敵の詳しい場所はどこでしょう?」
「あなたから後方5メートルに一人、前方8メートルに二人、上方3メートルに一人です」
 手近な鏡に何処に敵が居るのか聞いて、反撃に移ろうとするオウガだがまともに攻撃できない、こんなチャンスを猟兵側が逃すはずもなく。
 追加の爆弾とばかりに緋瑪がぽぽいっと爆弾投擲、その爆風に紛れる形で再度、数多のプログラムを実態化させたシャルロッテ。
「レッスンルームはここではありませんので。しっかりと認識を書き換えましょう」
 再度放たれた文字列の帯、二度目のそれは無防備なオウガに次々と命中、蓋や鍵盤を跳ね上げて、多量のダメージを与える最中、その異変は発生した。
 度重なる爆発と無差別音波、それらによって床面の耐久力が限界を迎えてしまい、崩落したのである。
 轟音と共に落下していくオウガと床、そして流れる盆回し。
 あれですよ、あれ、人によっては人類滅亡のテーマ、っていった方がわかる、隕石が地球にぶつかって滅ぶ映像と共に流れるBGM。
 何故かそんなBGMをラジカセにセットしていた三人娘、こうもタイミングよく崩落と重なるなんて。
「えぇぇ……二度目ですけどえぇぇ……」
 何でまたこうも、都合よく変わるのだろうとうへぁ、みたいな顔になるシャルロッテ。
 同じ様に、面白いと思ったから、なんて返答を聞いて額を押さえる彼女を置いて、三人娘は別の会話で盛り上がる。
「OK、グーグ○。この国の有名スイーツ店の場所」
「○゛ーグル!?」
 唐突に緋瑪が鏡に、というか鏡を別の製品に見立てて質問を。
 思わずツッコミする瑠璃であったが、まあ鏡じゃない、別の存在に問いかけたので鏡は反応してくれず。
 沈黙する鏡を余所に、翡翠がこっそり質問を。
「わたしがもっと目立つ方法を……」
「残念ですが、現状では二人にキャラを食われています。出番が必須な特徴を出すことを提案します」
 ああ、翡翠ちゃん、もっと目立ちたかったのね。
 でも鏡も、どうしようもないって感じだし。
 活発にひっぱるのはメインの二人だし、ちょっと影から動く翡翠ちゃんでは普通にやると無理だって見抜いてた。
 出番必須な特徴が必要と、淡々と返答し。
 オウガと猟兵の緒戦は猟兵側が圧倒、崩落した床と共にオウガを地下に落とす形となっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

夕月・那由多
●鏡への質問
敵の弱点…というか隙になる指摘が可能なポイントを聴いてみるのじゃ

例えば…ここの音がずれてるとか
こんなにズレてて楽器として恥ずかしくないんかの?
とか煽ってみたりして隙を作りたい


白昼夢って幻影とかの類かの
【破魔】や【催眠術】への知識で対処できんかの?
『白銀の大鎌』あたりを薙ぎ払って解除できりゃいいのう
ていうか死の世界はわらわ馴染みがあるゆえ、そんなにメンタルダメージは…
んじゃ死後の世界からお返じゃとUC使用
幽霊の皆さんよろしくおねがいしますのじゃ



「ほほう、派手にやっておるのう。有利な時の追い討ちは基本じゃ。
 敵の弱点……というか隙になる指摘が可能なポイントはあるのかの?」
 盛大に崩落していったオウガ、人食いピアノの様子を眺めつつ夕月・那由多(誰ソ彼の夕闇・f21742)が近くの鏡に訪ねていた。
 まあこういうチャンスは逃してはいけないからね、人食いピアノには悪いけど追撃されても仕方ないね。
「はい、落下の衝撃でミの音と、シの音が出なくなっています。
 調律も狂った様で……失礼、もともと調律などあってない様なもの、演奏センスそのものが最低です」
 鏡さん、しっかりと駄目になったポイントを那由多に説明。
 まあ途中から相手への悪口になっていた気がするけど、散々酷い演奏を聞かされ続けて、挙句お仲間が衝撃で割られたしここぞとばかりに辛辣な事を伝えるのも仕方の無いことなのだ。
「ほうほう、実に使える情報じゃな。あと途中から悪口じゃったな。
 わらわ、そういうのには敏感なのじゃ、言葉というのは色々と、信仰心や知名度に影響するのでな」
 きっちり情報を聞き出しながら、神様っぽく鏡の返答に応じてみたり。
 なんだかんだと楽しんでる那由多はオウガを煽る文言を考えながら、崩落した地下へと飛び降りて。
 バラバラと落下する石ころを避けながら、闇から姿を見せる人食いピアノと相対していた。
「演奏妨害、大迷惑! けどここは地下だし、練習にはもってこい、はい、バンババ……ピン、バンババーン」
 猟兵に攻撃された事に悪態ついて、だがここなら演奏できるとばかりに騒音を撒き散らそうとする人食いピアノ。
 だが、先に聞いた情報どおり微妙に音が出なかった、その現場を見た那由多はすかさずピアノを煽っていく。
「音ズレ、そしてそもそも出せぬ音があるとは……楽器として恥ずかしくないんかの?」
「出せなくしたのは、そっちのせいだー! ババーン、バンバババーン!」
 煽り文句に即、反応。
 そもそもこうなったのは猟兵のせいだと怒りに飲まれ、騒音鳴らし蓋を開け閉めしながら近づくピアノ。
 普通に学校の音楽室で、こんなことをすればかなり怖い学校の怪談として語り継がれる光景だろうが、相手は神でもある那由多であり、また戦場は不思議なことなど日常茶飯事な不思議の国。
 大して重圧もかけれぬままに、物悲しいメロディをかき鳴らす人食いピアノ。
 一瞬、顔をしかめた那由多。そして彼女の眼前には、花畑とか、川とか、まあよく聞く臨死体験で見える物が浮かんでくる。
「むっ、なんじゃ……死後の世界が見えておるのか……しかしのう」
 体を蝕み、生命力を吸い上げられる感覚を覚えつつ。
 見える光景を前にして那由多はため息一つつき。
「死の世界はわらわ馴染みがあるゆえ、そんなにメンタルダメージは……」
 そうなのだ、この人、過去に討伐されて封印された神であり、またそっち側というか、死の世界側の存在を呼び出して戦う関係上、あの世な光景を見慣れているわけで。
「ええい、鬱陶しいのう、邪魔じゃ」
 ぶおんと白銀の大鎌を一振り、幻影を薙ぎ払えば代わりに見える、不快な音色を奏でるピアノ。
「ああ、もう。騒音公害というやつじゃな。ならば幽霊の皆さんよろしくおねがいしますのじゃ」
 流石に何度も、音程外れでしかも幾つか音が出ない、滅茶苦茶な演奏を聞かされうんざりした那由多。
 呼ばれた傭兵の幽霊たちも、出てきて顔をしかめつつ。雇い主のオーダーを達成すべく、それぞれが手馴れた武器を構え突撃。
 近接、遠距離、レンジを問わぬ猛攻でピアノの破損は更に拡大していくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

大宝寺・朱毘
・鏡への質問
「ピアノ野郎が仕掛ける白昼夢の内容を教えてくれ」
あらかじめ知っておければ、多少は精神的に耐えやすくなるだろうという目論見。

・戦闘
「ここはテメーのレッスンルームじゃねえ。あたしの支配するライブハウスだ。たった今から、な」
戦場を花火やらスポットライトやらが乱舞するステージに変える。
レッスンルームというのにこだわりがあるなら、激高して雑に襲って来そうなもの。そこを【全力魔法】の【衝撃波】を【カウンター】で放って迎撃したい。
【闇の幻想曲】に対しては魔力を込めた【楽器演奏】で相殺ないし減衰させたいところ。まあ無理なら無理で根性で耐える。
「音楽ってのは楽しいモンだろが。テメーの音はダサ過ぎだ」



 猟兵の攻撃でピアノがボロボロになっていく間。
 別の場所で鏡から情報を引き出していた大宝寺・朱毘(スウィートロッカー・f02172)
「ピアノ野郎が仕掛ける白昼夢の内容を教えてくれ」
「内容は臨死体験、普遍的なイメージの花畑と川、そして先に亡くなった知り合いが見えることもあります」
 精神攻撃の内容はよくある形の映像、人によっては親しかった故人が見えたりするようだが大まかに内容さえわかったならば。
 相手の放つ白昼夢に襲われても、これは夢だと自分に言い聞かせ、押さえ込む事の一助にはある。
「なるほど、ならそういうのが見えれば別の光景で上書きしちまえばいいな」
 鏡から伝え聞いた敵の攻撃、詳細きいて対処法を見出せば、後は最後の抵抗続ける人食いピアノ、それを破壊するだけである。
 崩落し、地下室に落ちたピアノが騒音を鳴らすその場所へ朱毘はふわりと飛び降りて。
「ここはテメーのレッスンルームじゃねえ。あたしの支配するライブハウスだ。たった今から、な」
「なんですって、それは許せない、誰の許可でそうするのだ」
 挑発的に言葉を紡げば、猟兵を退けた後にまだレッスンをしようと思っていたピアノ。
 そんなことはさせないと悲しげなメロディ、されど一部の音が鳴らずに不快感を与えるメロディを鳴らしていくが、その音色をかき消すように。
 崩落した瓦礫の一部、それが突如、吹き上げ式の花火に変化。
 シューッと激しい音と共に数多の火花を噴出して。
 続けて天井の一部は眩いばかりの光を照らすスポットライトに姿を変えて、主役とばかりに朱毘の姿を照らし出す。
 音を響かせ、独りよがりの演奏をしていた人食いピアノにとっては明らかな異物である花火に、自分ではない対象を照らし出すスポットライトなど不要物。
「わ、わたしのレッスンルームに、よくもよくも!」
 不愉快なメロディがさらにその音を強め、怒り任せに突っ込んでくる人食いピアノ。
 それと同時に朱毘の視界が歪み、きれいな花畑や川のせせらぎが浮かんでくるがこれは事前に鏡に聞いた、臨死体験のイメージであり幻影。
 ならばその幻影を打ち払うとばかりにエレキギターをかき鳴らし、相手のメロディラインを食い尽くし、音をかき消しギターソロ。
 激しい音色と共に、朱毘が体を揺らし自らの音を高めていけば、それに応じて眼前に広がるイメージも薄れていって、やがては自分を狙い、その大きく開いた口から覗く醜悪な歯を見せて。
 丸呑みにしてやろうと迫る人食いピアノの姿が見えるが、すでに勝敗は決していた。
「音楽ってのは楽しいモンだろが。テメーの音はダサ過ぎだ」
 フィニッシュとばかりにエレキギターをピックスクラッチ。
 手にしたピックを弦に立て、貼り付けながら鳴らした音色は長く伸び、それと同時に放たれたのは音を乗せた衝撃波。
 大きく開いた口に飛び込むそれは、その開口部分を限界以上に開かせて。
 大きく吹き飛ばせば、壁に激突。同時に各種のパーツが脱落し。
「え、演奏、レッスン、わたし、メロディー……」
 最後の最後まで独りよがりな思いを言いつつ、体を崩落させながら人食いピアノは消滅し。
 ここに、鏡の国の一角で発生したはた迷惑な音楽ショーは終わりを迎えるのであった。

 激闘は終わり、制圧地域を順調に増やす猟兵。
 だが相対する敵もより強力に、また特殊な力を持つ者が増えていく。
 此れより先の戦争がどのような展開を見せていくのか、今はまだわからない。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月19日


挿絵イラスト