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迷宮災厄戦⑲〜竜をも斬るその剣

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦 #猟書家 #サー・ジャバウォック

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●全てがスナークとなる
 秘密結社スナーク……それはある秘密結社に纏わる情報が記された書。
 スナークは此の世に存在せず、記された文章はすべてが虚構。
 だがそれ故に「明らかな間違い」を見出すことができず、記された事実が「虚構」であると断定することができない。

 故に「スナークは存在するのでは」という疑念が生じ、やがてスナークを生み出す。
 待ちゆく人々、野を翔ける動物、海を泳ぐ魚、空を飛ぶ鳥、天から地を見下ろす神々、そして世界を滅ぼさんとするオブリビオン。
 虚構であるがゆえに、ありとありとあらゆる存在がスナークとなるのだ。

 そしてそれは、「己自身」も例外ではない。

●危険な書
「其れが、侵略蔵書“秘密結社スナーク”なのです」
 集まった猟兵達の前で「秘密結社スナーク」に纏わる情報を騙っていたのは人間に化けた竜神の荒覇・蛟鬼(鬼竜・f28005)。
 その口調は普通に聞くと穏やかだが、耳を澄ませるとどこか攻撃的だ。
「この書は危険なシロモノですぞ……世を蝕むどころか、滅ぼす力を秘めています。私見ではありますが、如何なる手を打ってでも消すべきでしょう」
 誰もがスナークになりうることは、誰もが誰かをスナークと疑う。
 疑念はやがて敵意となり、敵意は戦いを呼び起こす……それが繰り返されれば、世界は騒乱にまみれることになるだろう。
 治安を護る職に就くが故に、蛟鬼はこの書物を誰よりも危険視していた。

「前置きが長くなりましたが、本題に入りましょう。この書を所持しているのはジャバウォック卿ですな。猟書家最強と謳われる御方でございます」
 彼は架空の怪物『スナーク』を呼び出す書物“秘密結社スナーク”と、右手に持った青白い剣『ヴォーパル・ソード』を手にした竜人のような風貌を持った男だ。
 竜をも斬るその剣は鋭いのみならず長大化させることも可能で、範囲内に入った敵を一気に斬り伏せることも可能となる、途轍もない業物だ。
 他にも触れた者のあらゆる知覚を狂わせる「竜人の翼」を用いた空中戦も可能で、どこからどこまで隙がない。
 書物を用いた召喚術・実戦的な剣術・そして竜人の特徴を生かした戦法……猟書家最強というのも頷けるオールラウンダーといえよう。
「ですが、それ以上に気を付けなければならないのは、ジャバウォック卿は常に“先手を打つ”事でございます。少しでも気を抜けば、此方が手を出す前にあえなく倒されるでしょう」
 表情も変えず静かに語る語り口が、その危険性を物語るようだった。
 だが裏を返してしまえばそこをうまく攻略すれば勝てるということもである……相手の繰り出す先手を巧妙に防ぎ、強力な反撃に繋げることができるかがカギになるだろう。
「其れに今まで皆様は多くの難敵と戦い勝利を収めてきたのでしょう?なぁに、あなた達ならきっと勝てることでしょう。勿論気を抜かねばの話ですけれども」
 それは、自分達の先を行く猟兵達が此れ迄多くの戦いを制してきたことを確りと熟知していたが故に言える言葉だった。
 ただ「気を抜かねば」と付け足すのが彼らしい。

「因みにジャバウォック卿が狙っている世界はヒーローズアースですな。調べてみたのですが、比較的安定した世界のようで。ヒーローとヴィランを同時に消し去り、人と神の分離を成せれば更なる安定を図れるでしょう。まあでも実現は難しそうですが」
 実現するも何も……そのような事をすればただの「アース」になってしまうだろう。
 然もそれすら「更なる安定」と称するとは、まだ続きの話が存在するのだろうか……最も、聞いたところで何の得もしなさそうだが。

「以上で説明を終了します。改めて言いますが、この書はかなり危険です。もし彼を倒せねば、ヒーローズアースは再び戦乱に巻き込まれます」
 淡々としつつも、強調するような語り口である。
 二度も語ることから、彼がそれだけこの書物を危険視していることが感じ取れた。
「其れでは……あっ、少々お待ちを」
 説明を終え、転送を始めようとした蛟鬼が何を思い出したように手を止める。
 一呼吸置くと被っていた帽子を脱ぎつつ軽く頭を下げ、静かに激励の言葉を与えた。
「兵(つわもの)に幸あらんことを」


甘辛カレー
 こんにちは。今でも童話を読むことがある甘辛カレーです。
 でもアリスはあまり読んだことありません。本当に。

●敵
 敵は必ず、敵の先制攻撃ユーベルコードを仕掛けます。
 それらに対抗する手段を用いて反撃に繋げることができれば、プレイングボーナスが期待できるでしょう。

 敵が用いるのは猟兵側が設定したユーベルコードと同じ種類のものとなります。
(例:蛟鬼がプレイングで『一撃必殺(POW)』を設定→ジャバウォックは『侵略蔵書「秘密結社スナーク」(POW)』を使用)
 この点も重大な攻略ポイントになるかも……!?

 其れでは虚構に塗れた三文芝居を終わらせてしまいましょう。
 兵に、幸あれ!

●他
 プレイングは即日受付、断章はありません。

 また可能な限り全採用を目指しますが、基本はスピード重視です。
 不採用になってしまった場合はご容赦ください。
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第1章 ボス戦 『猟書家『サー・ジャバウォック』』

POW   :    侵略蔵書「秘密結社スナーク」
見えない【架空の怪物スナーク】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
SPD   :    ヴォーパル・ソード
【青白き斬竜剣ヴォーパル・ソード】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
WIZ   :    プロジェクト・ジャバウォック
【人間の『黒き悪意』を纏いし竜人形態】に変身し、武器「【ヴォーパル・ソード】」の威力増強と、【触れた者の五感を奪う黒翼】によるレベル×5km/hの飛翔能力を得る。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

亞東・霧亥
あらゆる技術を用いて、奴の攻撃を凌いでみせる。

・先制対策
【目立たない、残像、ダッシュ、忍び足、早業、足場習熟】
まずは戦場に立ち、足場を見定める。
そして、緩急自在の歩法を用いて様々な姿勢の残像を作る。
敵の攻撃は視認出来ぬが、本物と変わらぬ残像なら目眩ましにはなる。
後は数多の残像を盾に気配を絶ち、攻勢の機会を窺う。

【UC】
過去の激闘から「帝竜女禍」に変身し、抗体霊波光線(POW)を使用。
これは【宝珠から、知性ある生命体全てを殺す光】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。

「最強を名乗るなら耐えてみせよ。耐えられぬ時は全てを頂く。」

※絡み歓迎


サフィリア・ラズワルド
WIZを選択

【瑠璃色の精霊竜】を召喚、精霊竜様に幻覚を無差別にばら蒔いてもらいましょう、敵も私も他の猟兵も幻覚を見ることでしょう、襲いかかってくる大量の猟兵の幻覚を!

幻覚というのは同じものでも見る人によってプラスにもマイナスにもなるんです。敵が多数の貴方にとってはマイナスに、敵が一人の私達にはプラスに。

ペンダントを竜騎士の槍に変えて突撃します。

『貴方も竜人なんですね、とっても強そうだから純粋に力比べをしたかった』

私の五感が駄目になっても誰かの攻撃が貴方に届けばそれで十分です。

アドリブ協力歓迎です。



●竜三匹
 かつて此の地は、木々が青々と茂る美しき地だった。
 されど其れも過去の話……此の地にあった木々は一本残らず焼き尽くされ、今は黒ずんだ焼跡と風に舞う灰のみが此の地を覆いつくしている。

「ほう……遂にお出ましのようですね」
 其処に待ち受けていたのは右手に剣、左手にぶ厚い書物を所持した『竜人』の如き姿を持った男。
 彼こそが猟書家最強と謳われる竜人の如き紳士・ジャバウォックだ。
「貴様がジャバウォック……猟書最強と謳われる男」
「ふむ、よく御存じで」
 そこに立ち塞がる猟兵が二人。一人は真っ黒な衣服を身に纏い、刀を携えた青年亞東・霧亥(峻刻・f05789)。
 眼前に立つは『最強』と謳われ、気配からその力強さを感じ取れる戦士。だがそれでも、霧亥の『敵』に対する威圧的な態度は変わらずにいる。
「貴方も竜人なんですね、とっても強そうだから純粋に力比べをしたかった」
 もう一人は、藤色の竜翼と角を有したドラゴニアンの少女サフィリア・ラズワルド(ドラゴン擬き・f08950)。自身と似たような特徴を持ち、それのみならず自身よりも『上』を行くジャバウォックと尋常の戦いを挑めないことを若干惜しんでいた。
「ふむ。そうだとは言い切れませんが、似たようなものでしょう……ですが」
 自身を“竜人”と呼んだサフィリアに対し、ジャバウォックは静かに否定とも肯定とも取れぬ答えを返す。されどその声はすぐさま低く、冷たい声に変わっていき。
「そのような暇を与えるわけにはいきません……御覚悟を」
 手にした『秘密結社スナーク』を手に、見えざるものを嗾ける……いよいよ戦いの始まりだ。
 
「(奴が来るか……ならあらゆる技術を用いて、奴の攻撃を凌いでみせる)」
 見えざるモノに対し、霧亥は自らが有する力を最大限に用いて戦いに挑む。
 緩急自在の歩法を用いて、素早い動きから様々な残像を作りだしていく。
「(さあ、どれがホンモノか見分けて貰おうか?最強の猟書家)」
 遠くから仕掛けようとする構え、走り抜け斬り伏せんとする構え、周囲を警戒するような構え……ありとあらゆる姿を見せる事で、本体を狙わせず仕掛ける機会を伺う作戦だ。
 果てさて何処で仕掛けるべきか……姿勢を変えつつ、霧亥は様子を伺い続ける。
「精霊竜様、どうかご協力を」
 動く者はまだ一人……サフィリアだ。
 静かな詠唱と共に瑠璃色の鱗を持った霊竜を呼び出すと、現れた瑠璃の霊竜は幻覚を無差別に放っていき、ジャバウォックはおろかサフィリア達猟兵をも巻き込む。
「幻影……其れも無数。まあいい、本体さえ見つければ」
 現われたのは、自身に立ち向かう大量の猟兵たち。何れも霧亥とサフィリアの姿と動きを模していた。
 されどジャバウォックはそれらが幻影と初めから見抜いており、スナークを嗾け本物を探らんとした。
「(幻覚というのは同じものでも見る人によってプラスにもマイナスにもなるんです。敵が多数の貴方にとってはマイナスに、敵が一人の私達にはプラスに)」
 ところがこれがなかなか上手く行かない。霊竜の生み出した幻影たちは猟兵ふたりの動きもコピーしていたため、残像を見せつつ動き回る霧亥のデコイがより一層増えて見えるようになっている。
 此れでは「見えない」というアドバンテージを持つスナークでも機を衒って討つのは難しく、まるで攻撃を当てられずにいた。
「(スナークは戸惑っている……なら此方も準備を整えるか)」
 召喚された敵が残像と幻影に惑わされている好機を霧亥は見逃さなかった。更に増えた自身のデコイに紛れつつ、ひそかに時を遡る力を解放していった。

「流石に量が多すぎる……やはり私自ら行く必要があるようですね」
 このままスナークに戦わせても見つけ出すのは難しいと断じたジャバウォックは、竜人の翼を羽ばたかせ猟兵たちに斬りかかった。
 霊竜は幻影を見せているだけ……なれば召喚している者をピンポイントでを討てば勝てる。
「見つけましたぞ」
 竜人の幻影の中で、生の気配を感じ取れる者がいた。間違いない、本物のサフィリアはあれだ。
 小癪な真似も、最早これまで。右手の「ヴォーパル・ソード」を構えジャバウォックは肉薄する。
「来ましたね!なら此方も……!」
 待ち構えていたのは、サフィリアも同じだった。
 首にかけた自在に変わるペンダントを槍に変えると何も恐れることなく幻影の間を通り抜け、迫りくるジャバウォックの身体を貫かんとする。
「グッ……!」
「私の五感がダメになっても、誰かが繋げられれば……!」
 相打ちになるのも、翼に触れるのも恐れズサフィリアはその一撃をジャバウォックに叩き込み、鋭い槍の一撃を叩き込みつつ、翼の力を真に受けて倒れ伏した。
 だが、其れを真に受けたジャバウォックは体勢が崩れ、片方の膝が地に付く。
「まだ終わりではない、ジャバウォック」
「なっ、あれは……!」
 だが、これで終わりではなかった。振り向いた先には異様な黄色の鱗と、二つの澄んだ宝玉を持った三匹目の竜……その正体は、依然戦った者の姿に化けた霧亥だ。
 手にした宝玉から眩い光が放たれると、ジャバウォックの身体が包み込まれる。
「最強を名乗るなら耐えてみせよ。耐えられぬ時は全てを頂く」
 ぎらぎらと光る其れは時が経つにつれみるみる光度を増していき、ジャバウォックの身体を一気に包み込んでいき、其の姿を消し去るように包み込んでいく。
 光が完全に彼を覆ったその時、彼の姿は完全に消えていた。

 光が消えていくと霧亥も人の姿に戻り、五感を一時的に奪われていたサフィリアも目覚める。
 ジャバウォックが消えたその先で、二人はある事実に気づく。
「……逃げられたな」
「まさか、最初からそうするつもりで……?」
 そう、ジャバウォックは『光を受けて消滅した』のではない。
 致命傷を受ける前に放たれた光を利用し、さっと其の場から離れたのだ
 恐らくは光を目にしたその時から、翼を羽ばたかせ光から逃れたのだろう。
「あれだけの力を持っていて、この判断力……」
「伊達に『最強』と呼ばれてはいない、というわけだな」
 相手は最強と謳われる力を有しつつも、決して力に溺れぬ心を有している。
 ジャバウォックの力量をひしひしと感じ取りつつ、二人は焼け焦げた森を後にした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シリン・カービン
【WIZ】

ただでさえ厄介な強さだというのに変身までするのですね。
しかし、必ず隙はあるはず。

牽制射撃を繰り返しながら攻撃を回避。
五感を奪うあの翼には絶対触れられるわけにはいかない。
が、苛烈な剣の攻撃も喰らうわけには…
剣を避けて大きく飛び退ったところに伸びた黒翼が触れ、
五感を失った私は無様に転がる…

と、ここまでが仕込み。

サーに近づかれる前に【シャドウ・ダブル】を発動し、
気づかれないように遊離した影を潜ませます。
影の五感を共有し状況を把握、
サーが私の直前まで近づいたら、死角から影が不意をついて狙撃。
術が解けた瞬間、地に転がったまま瞬時に精霊猟銃を構え、
下から脳天を撃ち抜きます。

「あなたは、私の獲物」



●影の銃弾
「これは……」
 焼けたような匂いと、灰が風に乗って飛び散る荒野に立ったシリン・カービン(緑の狩り人・f04146)は思わぬ言葉を失った。
 青々と茂っていた森が、たった一つの炎によって焼き尽くされ、あっという間に荒野に姿を変えた。
 森に住み、精霊と共に生きるエルフである彼女にとってはさぞ痛ましい光景だったであろう。
「ふむ、また新手が来たようですね」
 そこに竜人の姿で翼を広げつつ、滑空していたジャバウォックが降り立ってきた。
 先程の戦いで撤退を決め込み、空へ逃れていたのである。
「あなたが、サー・ジャバウォック……まさかこの森もあなたが?」
「フフ、如何にも。よき舞台でございましょう」
 含みを込めた笑みを浮かべ、片手を横に振るいつつ告げるジャバウォック。
 おぞましき所業を行った者に対してシリンはその冷静さを一片たりとて崩すことなく、両手で静かに『精霊猟銃』を構えた。
「分かりました。なら、遠慮はいりませんね」

 射撃で牽制するん制するシリンに対し、ジャバウォックは右手に持った剣を構えて斬りかかった。
「(ただでさえ厄介な強さだというのに、変身までするのですね)」
 翼で飛べるのみならず、剣の腕も相当なもの。まさにオールラウンダーと呼ぶに相応しい。されど必ず隙は存在する……其処をつけば、勝つことは可能だ。
 しかしジャバウォックはやはり強く、弾を剣で弾きつつ更に接近を図ってくる。
「(五感を奪うあの翼には絶対触れられるわけにはいかない……)」
 だが遅きに失していた。ジャバウォックは既にシリンに肉薄し、剣を構えて今まさにその身体を断ち斬らんとしている。
 翼も厄介だが、メインの剣の一撃を喰らってしまえばアウトだ。シリンはすぐさま銃で其の身を護るように構えるのだが……
「おおっと、隙ありです」
「なっ……フェイント!?」
 その時、ジャバウォックの腕の動きが突如として変わった。
 振るおうとした瞬間に剣を持った手をスッと戻し、代わりに翼で攻撃した。
 予想外の一撃に困惑するシリンはその動きに惑わされ、五感を奪う翼の一撃を真に受けてしまう。
「……っ、眼が……」
 視界が暗くなり、戦場の音も徐々に消え、痛みも消えていく……まるで死神に魂を吸われたかのように、シリンはその場に倒れ伏した。

 倒れて動けなくなったシリンにゆっくりと近づくジャバウォック。五感を奪われた以上は反撃することなど最早出来ない……この戦いは最早決まったようなものだ。
 ジャバウォックは剣を振るいあげ、シリンの其の首を切り落とさんとする。
「さようなら狩人殿……その死が、どうか安らかであらんことを………ぐっ!?」
 ところがその直後、背後から頭部を撃たれたような感触が彼を襲った。
 一体何が起こったのだろうか……ふと振り返ったジャバウォックの眼前にいたのは……!
「影……ま、まさか!?」

 背後にいたのは、シリンと似たような姿を持つ影がいた。
 それは、ほんの刹那の出来事……剣を振るおうとするフェイントを見せつけ、シリンの五感を奪わんと翼を振るったときだ。
「(闇よ来たれ、影よ行け)」
 何と今まで起こった全ては、シリンの筋書き通りに進んでいたことだった。
 彼女は翼の一撃を受けてすぐさま闇の精霊が形作る『自身と同じ強さの影』を密かに生み出し、翼の力では消し去れない『意識』を用いて影をけしかけ死角に潜り込ませていた。
「かかりましたね、サー・ジャバウォック」
 更にこの影は互いの五感を共有することができるため、現在置かれている状況も把握できる……最初から彼の動きは筒抜けに久しい状態だったのである。
 彼が眼前に存在することを感知したシリンは地に伏しつつ銃を構えた。
「あなたは、私の得物」
 引き金が引かれ、荒野にドンと轟音が響く。情報を共有しつつ狙いを定めた銃口はジャバウォックの脳天を完璧に捉えていた。
「ば、バカな。そのような状態で……グォォ!!」
 放たれた銃弾がジャバウォックの脳天を貫く……至近距離から強烈な一撃を受けた彼の身体は大いに吹き飛び、其の身に大きなダメージが与えられた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ガルディエ・ワールレイド
虚構なのか、実は存在するのか……
そんな事は重要じゃ無ぇ。
虚実いずれであろうと、諸共斬り伏せるのみ。
竜をも斬る剣はテメェだけの特権では無いと教えてやろう。

◆基本
《怪力/2回攻撃》を活かす魔槍斧ジレイザと魔剣レギアの二刀流
《武器受け/見切り》での弾き返しや受け流しで防御

◆先制対策
聴覚と《第六感》を使い大雑把にでも良いからスナークの位置を把握。
防御しやすい位置へダッシュで移動しながら立ち回るぜ。

◆反撃
UCが使用可能になれば【聖剣リューテール】使用。
極大光刃の特性を活かして遠方から直接斬るぜ。
この時点になれば、スナークからある程度のダメージを受けるのも許容して《捨て身の一撃》で振り抜く。


御剣・刀也
遠距離戦もできるのか
遠、近、中と隙は少なさそうだ
こういうオールラウンダーは厄介だな。ま、それでも俺のやることは変わらない
前に出て、斬り捨てるだけだ

侵略蔵書「秘密結社スナーク」による遠距離攻撃が先にやってくるのはわかっているので、勇気で被弾を恐れず、ダッシュで一気に間合いを詰め、避けれるものは第六感、見切り、残像で避けつつ、避けきれないものは武器受けで弾き、一気に距離を詰めて、捨て身の一撃で斬り捨てる
「近付く迄は苦労したが、ここは、俺の距離だ!」



●剣士と騎士・捨て身の攻防
「遠距離戦もできるのか……隙がなさそうだ」
 一振りの刀を携えた剣士御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)。彼は眼前に立つジャバウォックに対し相手が有する戦術の多様さを警戒していた。
 右手に持った剣のみならず、左手に持った書物による攻撃。翼を活かした空中戦。
 ありとあらゆる状況に対応できるオールラウンダーであり、地上での白兵戦をメインに戦う己にとっては極めて厄介な相手に違いない。
「ま、それでも俺のやることは変わらない」
 刀による攻撃を届けるべく前に出て、斬り捨てる。いつも通りのことだ。
「虚構なのか、実は存在するのか……そんな事は重要じゃ無ぇ」
 立ち塞がる戦士はもう一人。右手にハルバート『ジレイザ』、左手に魔剣『レギア』を手にし漆黒の鎧を纏った騎士ガルディエ・ワールレイド(黒竜の騎士・f11085)だ。
 虚実いずれであろうと、諸共斬り伏せるのみ……立ち塞がるジャバウォックに対しガルディエは二振りの武器を構える。

「……どうやら、貴方達で最後のようですね」
 痛烈な一撃を受け其の身に大きなダメージを負ったものの、未だ倒れずにいるジャバウォック。
 目の前に立ち塞がる二人の戦士を相手に、左手の書物を持ち直し猛然とした戦意を見せた。
「相手が戦士であれば、近づかれる前に討たせて頂きましょう」
 立ち塞がる二人の戦士にジャバウォックは見えざるスナークを召喚し、『奴等を討て』と嗾ける。
「(奴は何処から現われる……?)」
 騎士のガルディエは攻撃の機会を伺うべく護りに徹した。聴覚と第六感を常時巡らせ、見えない場所から仕掛けてくるスナークの居場所を大雑把にでも把握する作戦である。
 何処から来るか……見逃さないように感覚を研ぎ澄まし続けて、そして。
「横からかッ!」
 姿はなくとも異様な気配は感じ取るとすぐさまその場から離れ、気配を感じ取りつつ防御しやすい場所に逃れ、その一撃を槍で受け止めてみせる。
「(何とか躱せたが、敵の攻撃が激しい。今暫くはこれを繰り返すしかないか)」
 だが敵は一度受け止めると再び別の咆哮から仕掛けてくる……やはりそう易々と好機与えて貰えなさそうだとガルディエは感じ取っていた。

 一方で剣士の刀也は、護りを棄て見えざる一撃を恐れぬ勇気で刀を構えた。
 遠くから来るのは分かっている……其の脚で一気に距離を詰めて斬り伏せるのみ。
「その意気に敬意を払いましょう……ですが!」
 正面から来ると分かっているなら、それにぶつけるよう放てば確実に当たる。
 そう踏んだジャバウォックはスナークを嗾ける……『斜め右』から仕掛けろと。
「(俺としたことが……!)」
 一撃を受けた左肩から血が噴き出る。襲ってくる相手に対し、感覚を研ぎ澄ませつつ敵の動きを受け止めんとしていた刀也であったが、あと一歩間に合わず肩にその一撃を受けたのだ。
 やはり『見えない』相手の攻撃を武器で食い止めるのは、如何なる達人であろうとも至難の技。
「……だが、引くつもりはない!!」
 だが此処で足を止めれば、届けられる攻撃も届かなくなるだろう。尚も仕掛けてくるスナークを第六感で感じ取りつつ接近し、更に距離を縮めていく刀也。

「なんという気迫……!まさに真の戦士というべきか」
 激しい攻防の末に、遂に刀也はジャバウォックの懐に肉薄した……此処から一気に仕掛ければ、刀は届くだろう。刀也は残像をも見せる速さで刀を上段に構えて斬りかかる。
「近付く迄は苦労したが、ここは、俺の距離だ!!」
 この切っ先に一擲をなして乾坤を賭せん……持てる力を振り絞って上段から振り下ろされた一太刀がジャバウォックの身体を脳天から一刀両断にする。
 研ぎ澄まされた達人の一撃によってジャバウォックの身体に一直線の太い刀傷が入り、遂には右手に持った青白い「ヴォーパル・ソード」をも真っ二つに断ち切った。
「その一撃、流石の一言……ですがまだ終わるわけには参りません」
 だがジャバウォックはその一撃に耐え抜いた。斬られた部位を抑え見えざるスナークを背後から嗾け、刀也に再び構えられる前に鋭い一撃を深々と喰い込ませる。
「グッ……」
 さすがの刀也も身体のダメージを誤魔化すことはできず、ついに倒れ臥した。
 然れど、その闘志が潰えることは決して有り得ない……意識が闇に包まれようとも刀から手を離していないことが、それを物語っている。

「次は貴方です……御覚悟を」
 剣を斬られ、足もとをふらつかせつつも遠方に立つガルディエに再び仕掛けんとするジャバウォック。しかしガルディエもまた、攻撃の好機を掴んでいた。
「(仕掛けるなら、今しかねぇな……!)」
 この機を逸してはならない……ガルディエは咄嗟に 右手のハルバート『ジレイザ』、左手の魔剣『レギア』を分解させ、武器の封印を解かんとする。
 素早い詠唱と共に、二振りの武器が蒼き光刃の聖剣に姿を変えていく!
「その聖剣は既に過去のもの。なれば過去を絶つに不足無し!今再び現世に来たれ、聖剣リューテール!」
 現われた聖剣リューテールを両手に構えたガルディエは、防御を棄てて剣を両手で構える。
 スナークの気配は正面から感じ取れる……だが攻撃の機会は今しかない。
 手にした長大な光刃を、ガルディエは中距離から一気にその刃を振り下ろす。
「終わりだ、ジャバウォック!!」
「させません……!」
 振り下ろされた刃がジャバウォックの身体を捉える。
 見えざる怪物が背後からガルディエを討たんとする。
 聖剣の一撃と、透明な一撃が交差した。
「……っ!」
 防御を止めたことで一瞬の隙を突かれたガルディエが膝をついた。
 その様に微かな手ごたえを感じるジャバウォックであったが、突如激しい激痛が其の身を襲い、全身が塵の如く崩れていく。
「そんな、莫迦な……『最も強き力』を持つこの私が……」
 スナークが一撃を入れていたその時に、ガルディエのオブリビオンのみの断ち切る聖剣がジャバウォックのその身体を斬り伏せていたのだ。
 斬られた身体はみるみる塵と化していき、断末魔をあげることもなく風に舞う灰と共に散る。
 その最期を見取ったガルディエは立ち上がり、かつて「最強の猟書家」と呼ばれた竜人に告げた。

「覚えておけ……『竜をも斬る剣』はテメェだけの特権では無いとな!」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月16日


挿絵イラスト