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迷宮災厄戦⑪〜鏡よ鏡、教えておくれ

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦

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「突然だけど、オウガ・オリジンに戯れに殺された、かつての忠臣『鏡の女王』の怨念が籠もった国があってね?」

 グリモア猟兵の蛇塚・レモン(白き蛇神オロチヒメの黄金に輝く愛娘・f05152)が、グリモアベースに集まってくれた猟兵達に、アリスラビリンスで繰り広げられている迷宮災厄戦(ラビリンス・オウガ・ウォー)の作戦のひとつについてブリーフィングを始めた。

「そこには、至るところに『真実の鏡』が生えているよ! 地面は勿論、木や花や建物、もうそれはそれは鏡だらけの国でねっ? 凄いのは、この『真実の鏡』は、この不思議の国内部の事限定で何でも答えてくれる魔法のアイテムなんだよっ!」

 レモン曰く、その鏡を悪用している強力なオウガが、今回の討伐対象らしい。

「標的となるオウガの名前は『黒百合の女王・ミスト』だよっ! アリス達を保護する名目でお茶会などで支援をする素振りで近付いて、その後は油断したアリス達を捕食する悪い女王のオウガだよっ! ミストは皆の居場所を鏡を通じて特定してくる上に、ユーベルコードで自らの手を汚さず攻撃してくるのが得意なイヤ~な奴なんだよねっ! 近付いても、お茶会を強制的に開催して、こっちの動きを5分の1にまで激減してくるからとっても厄介っ! しかも常に動き回って皆の目から逃れようと必死という徹底ぶりっ!」

 生存性能が高すぎる女王様のようだ……。
 では、どうすれば対抗できるのだろうか?

「簡単な話だよっ! 猟兵の皆も、鏡を使って女王の居場所を探ればいいんだよっ!」

 そんなことでいいのか?

「勿論! でもむやみに質問するよりも、ビシッと1発、有効な質問を投げ掛けたほうが効果が高いっぽいっ! 女王は用心深い性格みたいだけど、うまく質問で居場所を探り当てて奇襲を仕掛けてほしいなっ! 頑張ってねっ!」

 レモンのグリモアが、真実を告げる鏡の間の世界へ猟兵達を誘う……!


七転 十五起
 アリスラビリンス戦争第5号、鏡の国です。
 なぎてんはねおきです。

●プレイングボーナス
 このシナリオフレームには、下記の特別な『プレイングボーナス』があります。
 これに基づく行動をすると有利になります。

 プレイングボーナス……鏡に有効な質問をする。

●余談
 本シナリオでは、猟兵のパーソナルデータ(身長・体重etc)に関する質問や個人のセンシティブな質問(胸の大きさや明らかに公序良俗に反する内容)がプレイングに明記してあった場合、プレイングが公開される事を鑑みて、すべて問答無用で却下させていただきますので、予めご了承下さい。

 コンビ、チームなど複数名様でのご参加を検討される場合は、必ずお相手の呼称とID若しくは【チーム名】を明記していただきますよう、お願い致します。
(大人数での場合は、チームの総勢が何名様かをプレイング内に添えていただければ、全員のプレイングが出揃うまで待つことも可能です)

 なお、本シナリオは速度重視のため、全てのプレイングを採用できない可能性があります。予めご了承くださいませ。

 それでは、鏡の国での鬼ごっこバトル、スタートです!
 プレイングをお待ちしております!
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第1章 ボス戦 『黒百合の女王・ミスト』

POW   :    私の愛しき騎士とメイド達、私の声に答えて
戦闘用の、自身と同じ強さの【レベル×5の剣や槍で戦う騎士】と【レベル×5の魔法や飛び道具で戦うメイド】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
SPD   :    私の狐達から逃げられるかしら?
【伸縮自在の髪の狐達の噛みつき】が命中した対象に対し、高威力高命中の【扇による一閃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ   :    さぁ遠慮せず、食べて飲んで楽しみましょう?
【メイド達が用意するお茶やお菓子】を給仕している間、戦場にいるメイド達が用意するお茶やお菓子を楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1にする。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は推葉・リアです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

杼糸・絡新婦
向こうはこちらがどこにいるか分かっとるんやねえ。
それでも一応は身を隠すようにしつつ、
敵を探すふりをする。

ほな鏡よ鏡よ鏡さん、
敵の攻撃が自分に当たるタイミングを教えてくれるかい?

鏡の答えに合わせ脱力し、あえて攻撃を受ける。
【オペラツィオン・マカブル】を放つ
自分の手はくださずとも、命令したんはお前さんやからな、
責任はもたなあかんで。
排し、返せサイギョウ。



 見渡す限り鏡、鏡、鏡だらけ。
 そんな不思議の国に転送されてきた杼糸・絡新婦(繰るモノ・f01494)は、ブリーフィングで得た情報を思い返していた。
「向こうはこちらがどこにいるか分かっとるんやねえ」
 討伐対象である黒百合の女王・ミストは、この不思議の国こと『真実を告げる鏡の間』の何処かに潜伏しながら鏡に猟兵の正確な居場所を質問して聞き出しているのだ。
「……嫌やわぁ。そう思ったら、誰かに見られてる気がしてきたわ」
 そう独り言ちながら、背中を大岩にぴったりくっ付けて隠れる素振りをみせる。
「女王さん、どっかで自分を見てはるんやろか? はよこちらも探さなあかんなぁ」
 岩陰からこっそり覗いて、敵を探すフリをする。
 勿論、これらの行動は、鏡越しに女王が覗き見していると踏んでの行動だ。つまり、相手の油断を誘う、杼糸の演技である。

 その頃、女王はまんまと彼の思惑にハマっていた。
「私はそこにはいませんよ? ふふっ、こっそり忍び寄って、死角からボロ雑巾のようにズタズタにしてあげましょう」
 真実の鏡から杼糸の居場所を特定した女王は、彼を自身のユーベルコードの射程圏内に収めるべく移動を開始した。

(そろそろ攻撃を仕掛けてくる頃合いですね……)
 腹の中で相手の出方を推測する杼糸は、手近に生えた真実の鏡へ向かって問い掛けた。
「ほな鏡よ鏡よ鏡さん、敵の攻撃が自分に当たるタイミングを教えてくれるかい?」
『あとジャスト1分で、伸縮自在の髪の狐達の噛みつきが左から来ますよ』
「おおきに。あと1分もあるんやったら余裕やねぇ」
 杼糸は心の中で秒数をカウント開始、岩に背中を付けたまま、ペタンと腰を下ろしてしまう。
 そこへ、女王の髪で作られた狐達が、杼糸の座る岩の左の影から飛び出してきた!
「あら、もう諦めちゃいましたか? そちらが無抵抗というのならば、此方は遠慮せず喰らわせていただきますね?」
 木陰から覗き見る女王は髪の狐達をけしかけ、杼糸の全身へ噛み付いた!
「やったわ! そしてこの扇の一撃でとどめです!」
 女王は漆黒の扇をブーメランのように投擲させた。扇は弧を描きながら空を裂き、杼糸の頭を強かに打ち付けて女王の手元へ戻ってきた。
「猟兵ってこの程度なのですか? はっきり言って拍子抜けですわね?」
 ニタリと邪悪な笑みを浮かべる女王は、杼糸の死亡を確かめるべく歩み寄る。
 ピクリとも動かない杼糸の傍らには、漆塗りと思わしき漆黒の行商箪笥が横倒しになっていた。
 女王は足元に転がるそれを、自身のパンプスで足蹴にした。
「邪魔ですね。やたら大きいですし。一体、何が入っているのでしょうか?」

「――そんなに中身が知りたいなら、御代は見ての通りやで?」

 杼糸の顔がむくりと起き上がると、すかさず彼の十指が忙しなく動き出す!
 彼の本体であり自身の名を冠した鋼糸が、反逆の狼煙となって振動を伝播。
 すると、行商箪笥の扉がガバッと開いた次の瞬間、その中から狩衣を着た狐人の姿をした戦闘用からくり人形にサイギョウが飛び出してきた!
 女王は目を見開いて驚愕!
「嘘でしょう? 生きていたのですかっ?」
 対して、杼糸は満面の笑みを浮かべていた。
「せやで? お前さんのような卑劣で性根の腐ったオブリビオン相手にぴったりなユーベルコードがあってやな? そのおかげで自分はピンシャンしとるさかい。今度はこちらの番やで?」
 サイギョウの両手の中に埋め込まれた赤い宝珠が瞬く。
「排し、返せサイギョウ。オペラツィオン・マカブル……!」
 そこから、狼と扇が杼糸へ与えたはずのダメージが、一気に女王へ向かって射出されたではないか! そのまま狼と扇の形の破壊エネルギーは、女王を容赦なくなぎ倒し、圧倒していった。
 慌てた女王は、後ろに生えていた真実の鏡に、目の前の現象について問うた。
「か、鏡よ鏡! あのユーベルコードは何なのです!?」
『あれは完全な脱力状態でユーベルコードを受けると、それを無効化して、からくり人形から排出する効果を持ちます。失敗すると術者のダメージは2倍ですが、今回は成功しています。ご注意下さい』
「注意するにも、もう間に合わないわよ! きゃあぁーっ!?」
 狼と扇から逃げ惑う女王は、杼糸に背中を向けてなりふり構わず逃げ出してゆく。
「自分の手はくださずとも、命令したんはお前さんやからな? 責任はもたなあかんで?」
 小さくなってゆく女王の背中へ、杼糸は手を振りながら大声を掛けるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オルヒディ・アーデルハイド
相手はこちらの居場所がわかるなら
逆を言えばこっちも相手の居場所を知る事は出来るよね

「鏡よ鏡よ鏡さん、相手の居場所と姿を映しておくれ」
相手の姿が映った鏡に向かって〔魔力溜め〕て〔ランスチャージ〕で〔串刺し〕
ホフヌングランツェは使い手の想像力に応じた進化を無限に行う白銀の槍
相手の姿さえ見えれば接近せずとも攻撃する事は可能
相手に穂先が刺さる想像させ出来ればいい話だから
攻撃さえ命中したなら後は槍騎士ムシャリンに任せておけばいい
『幻想彗星突撃槍』発動



 オルヒディ・アーデルハイド(アリス適合者のプリンセスナイト・f19667)は、乱立する『真実の鏡』の前から一歩も動こうとしない様子。
「この戦い、ボクが逃げ回る必要はないね。だって、相手はこちらの居場所を突き止められるなら、逆を言えば、こっちも相手の居場所を知る事は出来るよね」
 早くもオルヒディは、この鏡の国の攻略法に気が付いていた。
「鏡よ鏡よ鏡さん、相手の居場所と姿を映しておくれ」
 オルヒディの問い掛けに、目の前の『真実の扉』は鏡面にオウガの女王の姿を映し出しだした。
 その姿は既に負傷しており、他の猟兵に手痛くやられた直後だと推測できた。
 鏡に映し出された女王は、少し焦りながら、鏡へ問い掛ける。
『鏡よ鏡、この近くの猟兵の姿を映し出しなさい』
 すると、女王が覗き込む鏡面に、鏡を覗くオルヒディの姿が映し出された。
『見付けたわ。でも相手も鏡を使っていますのね……?』
 ならば、と女王はユーベルコードを発動させた。
『今回は私は此処に留まります! 猟兵が私の居場所を探っているなら、動き回るのは得策ではありませんわ! さあ、私の愛しき騎士とメイド達、私の声に答えて!』
 女王の声に応じた従者たちが、一同に集結・召喚される。
 剣や槍で戦う騎士団と、魔法や銃矢などの飛び道具で戦う戦闘メイド大隊の数は、一瞬で女王の目の前を人垣で埋め尽くした。恐らくは総勢1,000人弱はいるであろう。
『敵は、この鏡像に映るこの“少女”です! 私の愛しき者たちよ、かつてアリスだった者たちよ。斯の者を蹂躙しなさい!』
 大勢の従者集団が雄叫びを上げる。もはや軍隊である。
 大所帯がオルヒディの元へ襲撃しようと動き出した、まさにその時だった。
『が、ハッ……!? な、なんですか、これは……っ?』
 女王が、突如、口から血を吐き出した。
 その背中を貫き、白銀の槍の穂先が腹から飛び出しているではないか!
『こ、攻撃ですって……? ああ、待って……!』
 女王が狼狽する。
 彼女のユーベルコードは、自身が負傷すると解除されてしまう。実際、従者軍団が陽炎のようにフッと女王の目の前から掻き消えてしまった。
「びっくりした? まさか『鏡から槍が飛び出してくる』なんて、普通は思わないよね?」
 鏡面に映るオルヒディの姿が、鏡面から飛び出した槍を女王に突き刺している!
『馬鹿な、そんなはずが……!』
 鏡越しの奇襲を受けた女王が、驚愕と戦慄の色を顔に浮かべる。
「ずーっと一部始終を見させてもらったよ。さっきのユーベルコードだけど、キミは今までどれくらいのアリスを壊して自分の手駒にしてきた? ボクもこの世界に縁がある猟兵だから、そういうのを見せられるのは気分が良くないね」
 オルヒディは握る白銀の槍を、更にぐっと前へ突き出す。
『ぎゃああっ!』
 腹を抉られた激痛で女王が悲鳴を上げる!
「良いこと教えてあげる。このホフヌングランツェはね、使い手の想像力に応じた進化を無限に行う白銀の『槍(アリスランス)』。たとえ鏡越しでも、相手の姿さえ見えれば、接近せずとも攻撃する事は可能だよ。だって、相手に穂先が刺さる想像させ出来ればいい話だから」
『ぐ、うぐぐぁ……っ!』
 鏡の中の女王は、自ら歩を進めることで槍を身体から抜き去った。
『アリスランスですって……? 今までのアリスは、そんな使い方はしてきませんでしたわ!』
「ボクは出来るよ。想像力が足りないね、女王様?」
 腹を抑えて崩れ落ちる女王。
 その彼女が急に訝しがった。
『待って……? 何か近付いてくるわ……?』
 地鳴りと共に蹄の音が近付いてくる。
「あ、気が付いた? それ、ボクの放った“本命”のユーベルコードね」
 オルヒディの鏡にもようやく写り込んだそれは、ムシャリンという名の槍騎兵だ。
 馬に跨り、突撃槍を構えたまま猛スピードで女王目掛けて突っ込んでゆく!
「ボクの槍の一撃を見舞った相手へ、槍騎兵ムシャリンを放つ。これがボクのユーベルコード……『幻想彗星突撃槍(ターゲスアンブルフシュテルンシュヌッペ)』。ああ、それと、ひとつ訂正させて」
 鏡の向こうで狼狽える女王へ、オルヒディは告げた。
「ボク、女の子みたいに可愛いけど……男、だからね?」
『馬鹿なことを、そんなに可愛い男がいるわけ……』
「ムシャリン、とつげき」
『待って、ちょっと待って下さ、いやああぁー!』
 槍騎兵の猛烈なランスチャージが直撃した女王は、大ダメージを負って弾き飛ばされていってしまった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エメラ・アーヴェスピア
…居場所は別のアイテムで補足し、自分は逃げ回ったりお茶を飲んだり、
UCで自らの手を汚さずに攻撃してくるのが得意な嫌な奴…
…あの、私にも大部分が刺さってとても心が痛いのだけれど…
…これも仕事よ…頑張りましょう…

ここまで来たなら召喚兵同士の戦いと行きたいものね
とはいえ相手の方が出る数は多い…だから性能で勝負するとしましょうか
『焼き尽くすは我が灼熱の巨人』、炎による広範囲攻撃で対抗するとしましょう
相手のUCの弱点上、本体にまで炎が届けば非常に有利よ
そしてそれを成す為に鏡への質問は相手と同じ相手の居場所
それに加えて私もドローンで【情報収集】、【偵察】…お茶を飲む片手間に、ね

※アドリブ・絡み歓迎


アイリス・レコード
(到着後指定UCが自動発動、意識・存在がアイリスから「ハートのお姫様」に書き換えられた状態になります)
(以下姫様)

じゃあ私からは「相手の現在地と、そこに最も近い鏡の位置」かしら?相手が問いかけている真っ最中だとなおいいのだけど

場所などを認識できたなら私の「任意の無機物から殺戮刃物を生やす力」で
その近くの鏡から「部位破壊」の「鎧無視攻撃」を
問いかけようとした途端にその鏡に首を刎ねられたら滑稽だと思わない?

もし相手のUCが来ても関係ないわ
どうせ対象となるのは「私の行動速度」
アンタを刻むのは私じゃなくて私に跪いた「世界」そのものだもの
カップ、ポット、好きなところから刃を生やして
みんな「クビ」よ!


城田・紗希
なるほど、質問をうまく使えばいいんだね?
想定してる質問は2つ、「オウガの狙うべき弱点(物理)」「弱点を猟兵に共有する方法」。
まぁ共有は、ウィザードミサイルで確認してからだけど。

とりあえず、弱点が狙えるまで隙を伺いつつ紅茶を…
(砂糖壺の底に当たる感触に首を傾げつつ覗き込み)
……私の砂糖を返せー!(怒りで作戦消し飛んだ)
一口飲んでから砂糖の量を決めるつもりだったけど、これじゃ全部ストレートじゃない!
クッキーも砂糖入れてないでしょ、甘さが足りないよ!(遅延回避で頬張りつつ殴る)
(1割ぐらいは準備したメイドに襲うかも知れないけど放置

うー、まだ口の中が苦い…。
鏡よ鏡、美味しいお茶はどこ?(共有消し飛んだ



 エメラ・アーヴェスピア(歩く魔導蒸気兵器庫・f03904)とアイリス・レコード(記憶の国の継ぎ接ぎアリス・f26787)、そして城田・紗希(人間の探索者・f01927)の3名は、任務中に偶然にも合流を果たし、かの女王を斃すべく共同戦線を張ることにした。
 そして相談の場を設けるために、彼女たちは鏡の前で優雅にお茶会をし始めた。
 ……唐突過ぎる展開だが、城田の強い要望とエメラの嗜好、そしてアイリスの高ぶった気持ちを抑えるべく催されたので、特に不自然なことはないのだ。
「それにしても、討伐対象の女王って、聞けば聞くほど、いけ好かないわね?」
 エメラが熱々のアッサムチィーの香りを楽しみながら語り出す。
「……此方の居場所は別のアイテムで捕捉し、自分は逃げ回ったりお茶を飲んだり、そのくせユーベルコードで自らの手を汚さずに攻撃してくるのが得意って、本当に嫌な奴ね……」
「確かに、とても陰湿な手口よね?」
 アイリスが紅茶を啜りながら同意する。
「そんなオウガは、アイリスの、私達のアリスの代わりに、私がやるわ。そういう事で、今の私は『ハートのお姫様』よ。よろしくね?」
 彼女は自身が、かつて『オウガに取り込まれたアリス』の断片であると自己紹介をした。ユーベルコードによって、今は主人格である臆病なアイリスに変わってこの戦闘任務に参加しているのだと告げる。
「なるほど、この鏡を利用してくるのかぁ……。ユーベルコードで自分は高みの見物? いい身分だねー?」
 城田は紅茶の温度にこだわり抜き、最高の状態で茶葉を花開かせていた。
 アイリスと城田の言葉に、エメラの表情が次第に曇ってゆく。
「……今、気付いたのだけれども。私も蒸気魔導兵器を多用して敵を探索するし、遠隔操作で手を直接下さずに敵を葬るさまを後方で見物するのよね……」
「それは……」
「えっと……」
 2人はエメラの告白に目をそっと横へ逸した。
「……あの、私にも大部分が刺さって、とても心が痛いのだけれど……」
「自分を客観視するって、大事よね……?」
「無自覚ブーメラン発言ほど痛いものはないなぁ」
 さり気なく遠回しにフォローの言葉をかける2人へ、エメラは肩を落として天を仰いでしまう。
「………これも仕事よ………頑張りましょうか……」
 とても微妙な空気の中、3人はお茶会という名の作戦会議を本格的に始めた。

「私としては、ここまで来たなら召喚兵同士の戦いと行きたいものね」
 エメラは自分と同じ戦術を用いる相手に、真っ向から向かってゆく腹積もりらしい。
「とはいえ相手の方が出る数は多い……だからこちらは性能で勝負するわ」
「じゃあ、鏡への質問は『相手の現在地と、そこに最も近い鏡の位置』でいいかしら? 相手が問いかけている真っ最中だと尚更いいのだけど」
 アイリスは此方の質問内容案を提示してきた。
 これにエメラも同意を表する。
「私もほぼ同じ質問内容を想定していたわ。質問はアイリスさんにお願いできるかしら?」
「ええ。お安い御用よ」
「それじゃあ、私は『オウガの弱点が何処か?』を質問しようかな?」
 城田はようやく自分の満足の行く紅茶を煮出すことに成功し、お湯で温めておいたティーカップにダージリンを注いでゆく。
「猟兵間の情報共有の方法も質問するつもりだったけど、親切な2人のおかげで手間が省けたね」
「それは重畳だったわ。さぁ、早速だけど鏡に質問しましょ? どうせあっちも、このお茶会の様子を覗き見しているはずよ」
 エメラは虚空を睨みつけながら言葉を発した。
 アイリスと城田が質問をすると、標的である女王ミストは意外にも目と鼻の距離に陣取っていた。
『まぁ! あちらも鏡で私を見ているのですね? でしたら、ここからは互いのユーベルコードで雌雄を決しましょう』
 鏡越しで猟兵達へ宣戦布告を仕掛ける女王。
 彼女の周囲に、一個中隊に近い人数の騎士団とメイド隊が召喚される。
『さあ、私の愛しいアリスたち! あちらでお客様がお待ちですよ。出迎えて差し上げなさい!』
 女王の命令を受け、大勢の元アリスの家臣団が猟兵目掛けて突撃を開始。
「一個中隊……大体300人弱ってところかしら? こちらはたった一機だけど……やってみましょうか」
 エメラはブローチに装着している超高度コンピューター『エメラルドユニット』からユーベルコード発動プロトコルを起動させた。
 次の瞬間、燃え盛る20m級の巨大魔導蒸気巨人兵が天から降下、地響きとともに着地した!
「魔導蒸気巨人兵、投下準備完了……『焼き尽くすは我が灼熱の巨人(ゴーレムタイプトロイド)』よ。さあ、灰になる覚悟はできたかしら?」
 突如として投下された炎熱兵器搭載魔導蒸気巨人兵が、向かってくる家臣団へ容赦なく広範囲の爆炎を浴びせ始めた。
 ユーベルコードで武装されているとはいえ、初戦は人間サイズの家臣団。燃え盛る巨人の暴虐無道な攻撃になすすべもなく瞬時に灰舞ってゆく。
 だが、家臣団のうちメイド隊は、巨人兵を迂回して猟兵達の背後へ現れたのだ。
「失礼致します。女王ミスト様の名により、お茶会の給仕を行わせていただきます」
「あら? 助かるわ! お願いできるかしら?」
 アイリスはこれを平然と受け入れた。
 ぎょっとするエメラであったが、アイリスはすぐに説明してくれた。
「この女王のユーベルコード、メイドさんのお茶会を楽しんだ者の行動速度に影響を及ぼすのよ。それに給仕されるお茶やお菓子に毒はなさそうだし、アンタも食べたらどう?」
「そういうことなら……」
 エメラもメイド隊に給仕されることになった、かと思いきや、彼女はすかさず魔導蒸気マスケット銃でメイドの頭を撃ち抜いた! 凄まじい銃声の音量に、城田が椅子から飛び上がって地面に転がってしまうほどだ。
「私に近付いて、魔法で寝首を掻こうだなんて、まったく百年早いわ」
 エメラは接近してきたメイド隊の殺気を感知し、暗殺される前に先手を打って排除したのだ。
「……2人に手を出したら、こうなるわよ?」
 銃を構えて威圧するエメラに、給仕に専念していたメイド達が戦慄する。
 と、その時だった。
「あー! 私の紅茶が! 温度にこだわり抜いてやっと注いだ私のダージリンが!」
 城田のティーカップがひっくり返ってしまい、中身が全部こぼれていた。
 先程の銃声で、城田が飛び跳ねた際にひっくり返ってしまったのだが、彼女はこれをメイド隊が来たからひっくり返ったんだと錯誤した。
「……私の砂糖を返せー! 一口飲んでから砂糖の量を決めるつもりだったけど、これじゃ全部ストレートじゃない! 苦くて仕方がないよ!」
 怒れる城田の背中の影から、75匹の餓鬼が這い出てくる。
 彼女が空腹を感じると、半自動的にユーベルコードが発動してしまうのだ。
「というか、給仕してくれたこのクッキーも全然甘くないよ! 砂糖入れてないでしょ、甘さが足りないよ!」
 文句を言いながらバリボリとクッキーを頬張る城田。矛盾の塊である。
「メイド隊は襲わないって考えてたけど、駄目だね! メイド隊は蹴散らして、そのまま女王をぶん殴る!」
 餓鬼の群れがメイド隊をボカスカ殴り飛ばしてゆく光景は、まさに食べ物の恨み!
「鏡よ鏡ー! 今、女王はどこ? あと女王の弱点って何処だっけ?」
『女王はこの先300m先を左です。女王の弱点は頚椎です』
「ありがとう鏡さん! ってことでカチコミだー!」
 城田は誤解を抱いたまま、餓鬼の群れとともに女王ミストの居場所へ乗り込んだ!
「砂糖がないと紅茶が飲めないでしょうが!」
 腰元の愛刀『紅時雨』を鞘から抜くと、城田は怒りに任せて餓鬼と共に大暴れ!
 その剣閃が届く前に、家臣団を蹴散らした炎の巨人がヌゥ……と女王を見下す。
「へ? ちょっと待ってください! それは絶対に無理ですってば!」
 制止する女王の声を無視した炎の巨人兵は、その燃える拳を無慈悲に女王へ叩き付けた!
 すると、周囲に蔓延っていた家臣団の残党が、霞のように消失してしまった。
「ダメージを受けると失敗する類のユーベルコードだね? だったら私の怒りも喰らえー!」
 首を刎ねようと刀を振り乱し、その身体を引き裂いてゆく城田。
 たまらず女王は別の鏡にすがり、猟兵の弱点を聞き出そうと問い掛けんとした、まさにその時だった。
「え、ちょっと、これは一体!?」
 突如、真実の鏡からギロチン刃が生成されると、女王の手足を地面から突き出したナイフで縫い付けてしまう。
『これが私のユーベルコード、断章「ひび割れハートのお姫様」(フラグメント・アリス・ザ・リッパー)よ!』
 鏡面にアイリスの顔が浮かび上がる。その表情はまさに愉悦に満ちていた。
『私のユーベルコードは任意の無機物から殺戮刃物を生やす力よ! あなたが鏡に質問する瞬間を待っていたわ! 問いかけようとした途端にその鏡に首を刎ねられたら滑稽だと思わない?』
 アイリスは鏡だけに飽き足らず、女王が楽しんでいたであろうお茶会のカップやソーサー、更にはポットまで凶悪な殺戮刃物を生やしてゆく。
「アンタを刻むのは私じゃなくて私に跪いた『世界』そのものだもの。たとえ私の行動速度を5分の1になっても、ユーベルコードには影響がないのよ」
「嫌だ! やめて! そうだ、私がたらしこんで食い殺した家臣団のアリスたちの魂を解放するわ! それで許してください!」
 懇願する女王。
 だがその言動は、アイリスことハートのお姫様の逆鱗に触れてしまう。
「ふざけないで! やっぱりアンタは『クビ』よ!」
 アイリスが手を叩けば、生成された刃が一斉に女王の全身へ殺到!
「いやああぁぁぁ――!」
 断末魔を上げて輪切りになった女王の最期に、アイリスの中のハートのお姫様は鏡越しに満足そうな笑みを浮かべていた。

 こうして、この国でのオウガ討伐は成功した。
 アリスラビリンスでの大規模作戦もいよいよ大詰め。
 猟兵達は休む間もなく、次の戦場となる不思議の国へと赴くのであった。

「鏡よ鏡、美味しいお茶はどこ? うー、まだ口の中が苦い……」
 そして城田が甘くて美味しい紅茶に出会えるまでの冒険譚が、密かに始まっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月22日


挿絵イラスト