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迷宮災厄戦⑲~サー・ジャバウォック

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦 #猟書家 #サー・ジャバウォック

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●アリスラビリンス
「どうやら、時が来たようですね。ヒーローズアースを攻め込む前の肩慣らしには丁度いい。猟兵とやらの実力を試すイイ機会ですから、なるべく楽しませてもらいましょうか」
 猟書家『サー・ジャバウォック』は、焼け焦げた森の国を拠点にしていた。
 サー・ジャバウォックは、ヒーローズアースを狙う猟書家。
 彼が持つ侵略蔵書『秘密結社スナーク』は、実在していない組織について書かれた書物。
 故に、その書物に書かれているのは、完全なる虚構の創作物であった。
 退廃的かつ猟奇的な全容を克明に記載した本書には一片の真実も無く、すべてが偽りであった。
 だが、スナークは虚構であるが故に、誰もがスナークになり得る可能性があった。

●ガジルからの依頼
「みんなに頼みたい事があるんだよ」
 ガジル・コリアンダー(キマイラのスカイダンサー・f00907)が真剣な表情を浮かべ、今回の依頼を説明した。
 今回の目的は、猟書家『サー・ジャバウォック』を倒す事。
 猟書家『サー・ジャバウォック』は、猟書家最強の男。
 それ故に苦戦は、必死。
 必ず先制攻撃に対抗する手段を講じておかなければ、返り討ちに遭うのがオチである。
 しかし、仲間達と協力し合う事が出来れば、サー・ジャバウォックに勝つ事も難しくはないだろう。
 それでも、サー・ジャバウォックは、猟書家最強と謳われる存在。
 油断をすれば、こちら側に勝ち目はない。
 そう言った事も踏まえた上で、サー・ジャバウォックを倒す事が今回の目的である。


ゆうきつかさ
 この依頼は戦争シナリオです。
 敵は必ず先制攻撃を仕掛けてくるので、対抗手段を考えておきましょう。
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第1章 ボス戦 『猟書家『サー・ジャバウォック』』

POW   :    侵略蔵書「秘密結社スナーク」
見えない【架空の怪物スナーク】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
SPD   :    ヴォーパル・ソード
【青白き斬竜剣ヴォーパル・ソード】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
WIZ   :    プロジェクト・ジャバウォック
【人間の『黒き悪意』を纏いし竜人形態】に変身し、武器「【ヴォーパル・ソード】」の威力増強と、【触れた者の五感を奪う黒翼】によるレベル×5km/hの飛翔能力を得る。

イラスト:カキシバ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ネミ・ミミーニーズ
いろいろおまかせ

正体不明で青白剣だって!
だいたいいつもやられてる奴じゃん!
舐めんな! ネミさん舐めんな!
そういうのうちの業界じゃ日常茶飯事だから!

●SPD
とりあえず相手の攻撃に合わせてユーベルコード!
今こそ! 【ネミ先生のミラクル占い】の真の力を見せるとき!
さて、独楽LookしつつLookした結果はそのまま戻します。そのまま戻すとどうなるかって?
そりゃーそのまま攻撃もらいます。めっちゃ痛い!
めっちゃ痛いけど未来を垣間見たら奇跡とか起きるハズ!
勝手に暴れ始める相手の3回攻撃が相手にも当たったりとか!

いけ! ティラノ先生のバトル独楽!
キマイラフューチャーで奇跡を巻き起こせ!


夕月・那由多
●先制対策
【念動力】もちょびっと加え相手の攻撃の威力に対抗しつつ、【怪力】での【武器受け】をしよう
悪意という邪なもの【結界術】も効くかの?

もし五感を奪われたなら…その纏う悪意は結界に与える影響も大きかろう
『体を纏う蜃気楼』も五感以外の第六のセンサーとして使い【情報取得】で対処したい
位置と速度は解るんじゃないかの

攻撃をしのげば次はこちらの番じゃ

その虚構、在ると思へば其処に在り
概念や信仰に基づく、わらわみたいじゃのう…
その想像からの創造は、未来を創る人の子らが得意とするチカラじゃ
死せるモノたちも未来を想像し、創造を託していったのじゃ
悪用はさせぬよ


天星・零
【戦闘知識+世界知識+情報収集+追跡】をし、戦況、地形、弱点死角を把握し、敵の行動を予測し柔軟に対応

※防御は【オーラ防御】で霊力の壁を作って威力軽減、防御

先制攻撃は上記技能を駆使し、※をしたり
地形を利用して回避
足元からグレイヴ・ロウを出しピストン要領で自分に当て瞬時に距離を取る
万が一の為【第六感】も働かせる

(本当に、あんたみたいな人は嫌いだ)

遠距離は十の死とグレイヴ・ロウで戦況により対応
近接はØ

『この霧はどこまでも貴方を追い詰めますよ。貴方が存在する限りね』

指定UCを発動し強化、回復効果のプラス効果を反転し更に霧と武器で攻撃

更に武器で気をさらしてる間に虚鏡霊術で銃を作って急所に撃つ


メイスン・ドットハック
猟書家との最初の戦いが最強とはのー
これは奴は我々の中でも一番の小物とかは使えんパターンじゃのー

先制対策
電脳魔術による自身のホログラム残像を大量にばらまき、接触対策をしていく
さらに焼け焦げた木々をプログラム映像として投射することで、幻影を生み出して実物を組み合わせた攪乱戦術で、敵を惑わす

先制後は、UC発動で帝竜ワームに乗って分身体と共に雷雲に隠れてジャバウォックを視界から消える
そして分身体が噛み付き攻撃で体当たりしていて捕捉しようとしている好きを付いて、雷雲の中から特大のブレス攻撃を放つ
その際自身の電脳ゴーグルの力で竜の雷を増強魔術を付与して、強化しておく

竜人でも帝竜のブレスに耐えきれるかのー?


ユージィーン・ダイオード

―ム。猟書家最強の男相手にとって不足なし…と言いたいが…
さて、届くといいな。僕たちの力が…。。


先制攻撃…。
―緊急防御!!
アサルトライフルで『弾幕』を貼り接近を防ぎ、攻撃を逸らす…ぐッ(一回目)
バギーを『怪力』でひっくり返し、車底を盾に(二回目)
右手なのにレフトなレフトアームで『武器受け』(三回目)

ぐッ!!


レフトアーム破損…強制排除(パージ)
戦闘続行!!

―武装展開(オープン・コンバット)
欺瞞装置(『目立たない』『迷彩』)を作動。
ステルスモードに移行…

狙撃モード(『スナイパー』『誘導弾』)
―ヘッドショット…狙いは頭部(『部位破壊』)Hitを確認。


他猟兵との連携
アドリブ
ok


トゥーリ・レイヴォネン(サポート)
ああ、全く…嫌だ、嫌だな。お前みたいなのが居るから、本当に…

行動指針
・他に行動指示等を行う猟兵が居る場合、「人を助ける」行為から外れるもの以外には従う
・真っすぐ歩いて目標に向かう
・攻撃を躱す運動性は無く、必中の技も無い。ただ、デッドマン、ゾンビとしての耐久性を持って、当たるまで殴る、死ぬまで切り潰す、それを繰り返す
・基本的に敵の境遇、存在そのものにそれほど興味を持っていない。ただ、唾棄すべき人格の相手であれば、皮肉の一つも言うかもしれない

見た目と性格
基本的にはゾンビの女の子。肌を見せたがらない為常にコートとブーツを履いている
大雑把でがさつ。物事に頓着しない
人並みの痛覚を持つ


朧月・咲楽(サポート)
格好つけたがりな赤髪青年、口調などはちょっと荒めです。

武器は刀を2本。
他にナイフを投げたり、「桜火」という触れると燃える桜の花びらなどを使います。
灼狐という上から目線ののじゃロリ狐の式神もおり、魔術系はそちらに対応させるのが良いかと。
基本方針は戦闘なら仲間と連携、役割分担を重視。

日常系の方針は、積極的に楽しむことを重視。
ただ、何かしらの調査の場合、周りのテンションに合わせてください。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は構いません。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


セシリア・サヴェージ(サポート)
「私の力が必要なら喜んで手を貸しましょう」
「人々を傷つけるというのであれば、私が斬る」
「護る為ならば、この命惜しくはありません」

◆性質
『暗黒』と呼ばれる闇の力を操る黒騎士。闇を纏った冷たい風貌から誤解されがちですが、人々を護り抜くという強い信念を持っている隠れ熱血漢。味方には礼儀正しく優しく接しますが、敵には一切手加減せず非情です。無茶な行動や自己犠牲も必要と判断すれば躊躇しません。

◆戦闘
『暗黒剣ダークスレイヤー』と共に力任せに暴れます。ダメージや怪我を恐れず、代償を伴うユーベルコードの使用を躊躇しません。非戦闘員が戦場にいる場合は護衛・救出を優先します。


ルエリラ・ルエラ(サポート)
じゃーん。アーチャーでシーフで芋煮な私だよ。
ソロでも負ける気はないけど、戦闘で得意なのは皆の援護。
なんでも貫く【アインス】や集団に有効な【フィーア】とか役に立てると思うよ。

探索系でもトラップ解除とかハッキングとかもできるのでちょっとは役に立てるはずだよ。

日常系は芋煮売るよ。売らなくても配るよ。芋煮はいいものだからね。
美味しい芋煮で皆が笑顔。いいよね

コミカルな感じなら【芋煮ビット】なんかで芋煮ぶっかけに言ったりするよ。

そんな感じで、基本マイペースの私だったよ。
後はお任せするね。
失敗とかは気にしないので色々させてもらえたらなって思うよ。
ただ、エッチなのは遠慮しているよ。水着ぐらいのお色気は大丈夫。


グァンデ・アォ(サポート)
《アドリブ、連携、苦戦描写、ユーベルコード詠唱変更、その他何でも歓迎です》

「おや? あれは何だろう……ねーねー、そこのオネーさん、これは何なの?」

通常はだいたいイラストの通りのキャラクターです。
好奇心の向くまま、あちこちウロチョロ飛び回っては、なんやかんやで状況を動かします。
念動力でその場にあるものをなんやかんやしたり、ウロチョロ飛び回ってなんやかんやしたり、危険な行為に勇気を出してなんやかんやします。

「サポートAI、『大人の』グァンデです。よろしくお願いします」

マシンヘルムに変形して誰かに装着してもらう(攻性ユニット化)場合に限り、口調と人格が大人のそれになり、装着者の行動をアシストします。



●焼け焦げた森の国
「まさか猟書家との最初の戦いが最強とはのー。これは『我々の中でも一番の小物』とかは使えんパターンじゃのー」
 メイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)は複雑な気持ちになりながら、仲間達と共に焼け焦げた森の国にやってきた。
 森の国は、あちこちで真っ黒な煙が上がっており、焼け焦げたニオイが鼻についた。
「―ム。猟書家最強の男相手にとって不足なし……と言いたいが……。届くといいな。僕たちの力が……」
 ユージィーン・ダイオード(1000万Gの鉄面皮・f28841)が、何処か遠くを見つめた。
 焼け焦げたニオイに混じって、漂ってきたのは、血のニオイ。
 そのニオイを辿るようにしながら、刃物の如く神経を研ぎ澄ませた。
「……何かが、いるよ」
 その途端、グァンデ・アォ(敖 広徳・f10200)が、警戒心をあらわにした。
 上手く気配を隠しているようだが、猟兵達に大半は気づいていた。
 煙の中に潜む何者かの存在を……。
「やれやれ、苦しませる事なく、一瞬で終わせるつもりでしたが……。気づかれてしまいましたか。まあ、こうなっては仕方がありませんね。楽に死にたいのであれば、無駄な抵抗はしないでください。いま私に言える事は、それだけです」
 猟書家『サー・ジャバウォック』が少し残念そうにしながら、真っ黒な煙の中から姿を現した。
 おそらく、真っ黒な煙に紛れて、猟兵達の背後に回り込み、先制攻撃を仕掛けるつもりでいたのだろう。
 猟兵達が気づかなければ、誰かの首が飛んでいた。
「ああ、全く……嫌だ、嫌だな。お前みたいなのが居るから、本当に……」
 トゥーリ・レイヴォネン(タナトスのオートマトン・f26117)が、嫌悪感をあらわにした。
 答えは、既に決まっている。
 故に、答えるまでもない。
 しかし、目の前の男は、それでも答えを求めていた。
 猟兵達に対して、非情な選択をさせるためだけに……。
「まさか、そう言われて、『はい、分かりました』って答えると思っているのか? そんな訳がないだろ。別に死ぬために来たわけじゃないんだから……!」
 朧月・咲楽(焔術剣士の桜と九尾・f11790)が、呆れた様子で溜息を漏らした。
「つまり、悶え苦しみながら、死ぬのが望み……という事ですか。やれやれ、これは愉快、愉快。わざわざ情けを掛けてやったというのに……」
 サー・ジャバウォックが猟兵達を見下し、フンと鼻を鳴らした。
 よほど自分の力に自信があるのか、まるでゴミを見るような感じで、猟兵達を見つめていた。
「仲間を傷つけるというのであれば、私が斬る」
 その視線に気づいたセシリア・サヴェージ(狂飆の暗黒騎士・f11836)が、サー・ジャバウォックの前に陣取った。
「おやおや、これは勇ましい。猟書家最強と謳われた私を斬る……と。果たして、そんな事が出来ますかね? あなた達の力で……」
 サー・ジャバウォックが小馬鹿にした様子で、挑発的な言葉を吐いた。
「確かに、私一人で戦ったら、勝てなかったかもね。でも、みんながいるから、私は負けない!」
 ルエリラ・ルエラ(芋煮ハンター・f01185)が、躊躇う事なく答えを返した。
 おそらく、一対一で戦えば、勝ち目はない。
 それは揺るぎない現実。
 だが、ルエリラには、仲間がいる。
 例え、どんなに相手が強くても、仲間達がいる限り、負ける事はない。
「……でしたら、死んでもらいましょうか」
 すぐさま、サー・ジャバウォックが侵略蔵書『秘密結社スナーク』を開き、架空の怪物スナークを解き放った。
 しかも、スナークの身体は、透明。
 肉眼では見る事が出来ないため、まるで真空の刃が襲い掛かってくるような感じであった。
「そう簡単に死ぬ訳がないだろ。つーか、俺がいる限り、誰も死なねえよ」
 その事に気づいた咲楽が、【桜花一閃(オウカイッセン)】を仕掛け、桜の花弁を舞い散らせ、スナークの尻尾を切断した。
 しかし、致命傷にはならず、スナークは健在。
 飛び散った血も、時間が経つにつれて、透明になった。
「ハハハハハッ、無駄です、無駄! 諦めて死になさい」
 サー・ジャバウォックが勝ち誇った様子で、高笑いを響かせた。
 その間もスナークは猟兵達を嘲笑うようにして、執拗に攻撃を仕掛けてきた。
「だから嫌だって言っているよね? しつこい人は嫌われるよ」
 それに合わせて、ルエリラがリミッター解除(リミッターカイジョ)し、自らが操縦するメカ・シャーク号の装甲とスピードと浮力とサメ度を増強した。
 それはサメでありながら、サメを超えるほどのサメであり、見ているだけでサメの可能性を感じてしまう程、サメ度の高いサメだった。
「確かに、素晴らしいサメだ! だが、私のスナークには勝てない。そもそも、何の策もなしに突っ込んで、どうにかなる程、スナークは弱くない! 何故ならスナークは最強! 私の最高傑作なのだから! さあ、無駄な抵抗を止めて、肉の塊になりなさい!」
 サー・ジャバウォックが興奮した様子で、スナークを嗾けた。
「本当に何の策もなしに、ぼくらが突っ込んでいたと思っているのかい? だとしたら、愚かなのは、キミの方だ」
 次の瞬間、トゥーリがサー・ジャバウォックの死角で、【ただ、その瞬間を(ワスレエヌオシエ)】を発動させ、手入れの足りない肉切り包丁で、侵略蔵書『秘密結社スナーク』を真っ二つに切り裂いた。
 それと同時に、スナークの気配が、跡形もなく消え去った。
「な、なんだと!」
 その途端、サー・ジャバウォックが、信じられない様子で目を丸くさせた。
 だが、スナークの気配は、既に無い。
 その事実がサー・ジャバウォックの心に絶望の種を植え付けたが、スナークの消滅を悲しんでいる暇などなかった。
「よほど、死にたいようですね、あなた達は……。ならば、青白き斬竜剣ヴォーパル・ソードの餌食になってもらいましょうか」
 サー・ジャバウォックが自らの怒りを糧にして、青白き斬竜剣ヴォーパル・ソードを巨大化させ、勢いよく振り上げた。
「うわっ、自信満々に出したと思ったら、それなの? いかにも、やられキャラが持っていそうな剣じゃん! 舐めんな! ネミさん舐めんな! そういうの、うちの業界じゃ日常茶飯事だから! 格好いいと思っているのは、本人だけだから!」
 ネミ・ミミーニーズ(蒸気打ちの妖精・f00595)が、ムッとした様子でサー・ジャバウォックを叱りつけた。
「な、何も分かっていないようですね、この剣の恐ろしさを……。そんじょそこらのナマクラ剣と一緒にしてもらっては困まります。これこそ唯一無二の剣……」
 サー・ジャバウォックがこめかみを激しくピクつかせ、ヴォーパル・ソードの凄さを語り始めた。
 内心、ムカッとして、ハラワタが煮えくり返っているのだろう。
 聞いてもいない事をベラベラと喋り、今が戦闘中である事を忘れているようだった。
「と、とにかく、この剣は最強! 最強の私が持つのに、相応しい剣! いまから、その証拠を見せて差し上げましょう!」
 その不安を振り払うようにして、サー・ジャバウォックがヴォーパル・ソードを振り下ろそうとした。
「今こそ! 【ネミ先生のミラクル占い】の真の力を見せるとき!」
 すぐさま、ネミが【ネミ先生のミラクル占い(ソノトキフシギナコトガオコッタ)】を発動させ、占い独楽で未来を確認した。
 しかし、避けない。
 あえて避けない、強い子だから……!
 それは死亡フラグとガッチリ握手を交わすほど危険な行為であったが、ネミは頑張った。
 気合と根性で、何とか……耐えた!
 もちろん、普通であれば、死亡レベル。
 しかし、特殊な訓練(?)を受けているネミには、鈍器で殴られた程度のダメージだった。
「ば、馬鹿な! この攻撃を喰らって、無事な奴がいるとは……」
 それを目の当たりにしたサー・ジャバウォックが心底驚いた様子で、ネミを凝視した。
 おそらく、完全にネミを仕留めたと思い込んでいたため、そのショックを隠す事が出来ないのだろう。
 それでも、表面上は落ち着こうとしているものの、動揺しているせいで口調が荒っぽくなっていた。
「いや、めっちゃ痛かったけど! 涙目なんだけど! それに、痛くなかったわけじゃないから! 本当に死ぬと思った程だから!」
 ネミがズタボロになりながら、恨めしそうな表情を浮かべた。
 その上、3発ともクリティカル。
 ネミが熟練された猟兵で無ければ、今頃は地面に突っ伏しているところである。
「ならば、死ねええええええええええええ!」
 サー・ジャバウォックが半ばヤケになりながら、ヴォーパル・ソードを振り回した。
「ねえねえ、これって避けていいんだよね? 当たったら痛いし、避けちゃうよ」
 即座に、グァンデが【スカイステッパー】を駆使して、勢いよく追い飛びながら、サー・ジャバウォックの攻撃を次々と避けた。
 それはサー・ジャバウォックの苛立ちを増幅させるほど、華麗で軽やかな回避であった。
「……一体、何処を狙っている。それとも、剣の力を過信するあまり、己の鍛錬を怠っていたのか? それでは私達は倒せない」
 その間に、セシリアが【闇の制裁(ダークリプライザル)】で、暗黒剣ダークスレイヤーを暗黒の力で強化し、サー・ジャバウォックに斬り掛かった。
「クッ!」
 サー・ジャバウォックが身の危険を感じ、ヴォーパル・ソードを盾代わりにした。
 その途端、盾代わりにされたヴォーパル・ソードが、悲鳴にも似た音を響かせた。
「いけ! ティラノ先生のバトル独楽! キマイラフューチャーで奇跡を巻き起こせ!」
 それに合わせて、ネミが某漫画の主人公の如く格好よくポーズを決め、ティラノ先生のバトル独楽を投げつけた。
 その攻撃もヴォーパル・ソードによって防がれたものの、度重なる攻撃によってヒビが入り始めていた。
「……その剣こと、撃ち抜く」
 その隙をつくようにして、ユージィーンがアサルトライフルを構え、【ヘッドショット】で、サー・ジャバウォックを狙い撃った。
「そんな攻撃、この剣で!」
 サー・ジャバウォックがケモノの如く吠えながら、再びヴォーパル・ソードで攻撃を防ごうとした。
 だが、ポッキリ。
 サー・ジャバウォックの期待を裏切り、ヴォーパル・ソードの刃先が宙を舞った。
 その上、ユージィーンの放った弾丸が、眉間に命中!
 まるで白毫の如く、額にズブリと、めり込んだ。
 それはサー・ジャバウォックにとって、屈辱の証。
「うぐ……ぐぐぐっ! し、仕方がありませんね。この姿を見せるつもりはなかったのですが……」
 サー・ジャバウォックが必死に怒りを堪えながら、額の傷(?)を隠すようにして、人間の『黒き悪意』を纏いし竜人形態に変身すると、触れた者の五感を奪う黒翼を生やした。
 その影響で折れてしまったヴォーパル・ソードの威力が増大し、猟兵達を飲み込む勢いで禍々しいオーラが漂ってきた。
「見た目が変わったところで、僕らは怯みませんよ」
 天星・零(零と夢幻、真実と虚構・f02413)が全く怯む事なく、落ち着いた様子でサー・ジャバウォックに語り掛けた。
 サー・ジャバウォックは、竜人形態に変身した事で、明らかに戦闘力が増しているものの、焦りの色が見え隠れしているせいで、大して強くなったようには見えなかった。
「ならば、思い知るがいい! 本当の恐怖とは何か、知るにはイイ機会だ!」
 サー・ジャバウォックが内側から湧き上がるケモノの感情を剥き出しにするようにして、荒々しく息を吐き捨てた。
 おそらく、普通の人間であれば、それだけは死を覚悟する事だろう。
 しかし、その程度の事で屈する程、猟兵達の心は弱くない。
「確かに、凄まじい気迫じゃのう。じゃが、何か勘違いをしていないか? わらわ達は、戦うために、この場所に来たのじゃ、死ぬ気も無ければ、倒されるつもりもない」
 すぐさま、夕月・那由多(誰ソ彼の夕闇・f21742)が自らの身を守るため、全身を覆うユラユラした蜃気楼で纏って結界術を展開した。
「それで、どうにかなると思ったら、大間違いですよ……!」
 サー・ジャバウォックが含みのある笑みを浮かべ、ヴォーパル・ソードを振り回した。
 すぐさま、零がオーラ防御で霊力の壁を作りつつ、足元からグレイヴ・ロウ(十字架の墓石)を出現させ、ピストン要領で自分に当てて、瞬時に距離を取った。
「なかなか強力な攻撃ではあるが、それだけじゃ……。力技だけで、わらわ達に勝てると思ったら、大間違いじゃぞ」
 その間に、那由多が念動力でヴォーパル・ソードの威力を抑え、力任せに攻撃を受け止めた。
 それでも、ズッシリとした重い一撃が全身に圧し掛かってきたものの、何とか耐えられるレベルであった。
「この霧は、どこまでも貴方を追い詰めますよ。貴方が存在する限りね」
 次の瞬間、零が【噂綴・壱「永眠街」(ウワサツヅリ・エイミンガイ)】を発動させ、回復及び強化効果を負傷弱体に反転する濃霧を放った。
「……これは面白い。単なる目眩ましのようですか? これで私を足止めしたつもりですか?」
 だが、サー・ジャバウォックは、濃霧の恐ろしさを全く理解しておらず、躊躇う事なく歩き出した。
 その途端、強化されていた肉体が反転効果によって蝕まれ、まるでメッキが剥がれるようにして、所々ヒトであった頃の姿があらわになった。
「こ、これは……」
 その事に気づいたサー・ジャバウォックが、身の危険を感じた様子で、濃霧から逃げ出そうとした。
「いまさら気づいたところで、手遅れじゃ。夕暮れの逢魔時……その力を今見せようぞ。カモン! 黄泉の国の傭兵の皆さん!」
 その行く手を阻むようにして、那由多が【逢魔時の門-黄泉平坂-(オウマガドキノモン)】で、黄泉の国の傭兵達を召喚した。
「あれだけ大口を叩いていたのだから、覚悟は出来ているじゃろー」
 それと同時に、メイスンが【23の雷雲の無限竜を制し者の権能(インフィニティドラゴン・ワーム)】で雷雲の海と共に、帝竜ワーム培養体と分身体を召喚した。
「……うぐ……ぐぐぐ!」
 サー・ジャバウォックが悔しそうにしながら、表情を強張らせた。
 この状況で、勝ち目はない。
 ……まさに絶体絶命。
 出来る事と言えば、命乞いくらいであった。
「自分の力を過信し過ぎたのが、間違いでしたね」
 その隙をつくようにして、零が虚鏡霊術で銃を作り、サー・ジャバウォックの眉間を撃ち抜いた。
「何故、そこを……。わざわざ、そこを……」
 サー・ジャバウォックが、恨めしそうに零を見た。
 しかし、既に意識は混濁、脳裏に浮かぶ走馬燈。
 その中でサー・ジャバウォックは、有難い感じで観光客達に拝まれていた。
 そこでサー・ジャバウォックの意識は途絶え、糸の切れた人形の如く崩れ落ちるのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2020年08月14日


挿絵イラスト