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迷宮災厄戦⑲〜悪意に君臨せし者

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦 #猟書家 #サー・ジャバウォック

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●グリモアベースにて
「やあやあ猟兵諸君。くるるちゃんの召集に集まってくれて感謝するねっ」
 グリモアベースに集まった猟兵達を前に腕を広げ、鏡繰・くるる(属性過積載型バーチャル男の娘・f00144)は愛らしい笑顔と共に元気よく切り出した。
「さて、今回もアックス&ウィザーズの、帝竜戦役に赴いてもらおう。今回の相手は……猟書家の一人、サー・ジャバヴォックだ!」
 オウガ・オリジンから現実改変の力を奪い、オブリビオン・フォーミュラなき世界に侵略を企てる謎の集団、猟書家。猟兵以外で明確に世界間を移動する力を持つ存在で、その王に至っては、猟兵の予兆を認識し謎めいた言葉を残してすらいる。
 そしてサー・ジャバヴォックはその一人……ヒーローズアースの侵攻を企てる存在だ。

「猟書家は『侵略蔵書』と呼ばれる書物を使って現実を改変する力を持っている。サー・ジャバウォックの侵略蔵書は『秘密結社スナーク』――実在しない悪を描いた、完全なる虚構の書物だよ」
 あまりに荒唐無稽な内容であるがゆえに、人はその存在を理論的に否定する事ができない。そこから生み出される怪物は、決して通常の手段で倒す事は出来ないのだ。
「スナークを倒すには、『スナークは実在しない』と言う事を証明しなければいけない。けれどそれを証明する事は出来ない。まったくもって酷い矛盾だとは思わない?」
 この矛盾を解決しない限り、スナークを倒す事は決して出来ない。強さではなく、知恵をもって敵を打ち倒さなければならないだろう。

「そしてスナークを抜きにしても、彼は『書架の王』を除けば、猟書家の中で最強だよ。手にした剣はヴォーパル・ソード――青白き斬竜の剣。その斬れ味は一切の例外なく、あらゆるものを断ち切ると言う」
 その剣技の冴えは尋常ではない。迂闊に近づけば間違いなく、その首を落とされる事になるだろう。かといって遠距離から攻撃しても、生半可な攻撃ではなす術なく切り払われてしまうだろう。
「そもそもヴォーバル・ソードって、物語ではジャバウォックを倒した剣なんだよね。それをジャバウォックを名乗る敵が持ってるってずるくない?」
 無論、サー・ジャバウォックが自らの剣で自らを打ち倒す事などあるまい。そう仕向けるとしても、それは容易な事ではないだろう。

「さらにサー・ジャバウォックは、人の悪意を身に纏う事で、自身を『竜人形態』に変化させる事が出来るんだ」
 そうなればヴォーバル・ソードの斬れ味はさらに増し、決して防ぐ事ができなくなる。その上高速で飛び回り、さらに黒翼に触れた者は五感を奪われなす術なく断ち切られる事になるだろう。
「てんこ盛り過ぎて酷いよね! まあでも付け入る隙があるとすれば、人間として剣を振るう時より技量の点では若干劣るかもしれない」
 人間の時は周囲全体を一瞬で斬り裂くほどの技を振るうが、竜人形態の時は単純にこちらへ近づいて斬り裂く傾向にある。
「まあ、切っ先が触れるだけですぱーんと行く斬れ味とか、自在に飛び回ってこっちの五感を奪う能力とかある時点で、隙と呼ぶには無理があるけどね!」
 くるるも、だんだん説明しながらうんざりして来たらしい。まあとにかく、それほどに尋常ではなく強いと言う事だ。

「猟書家最強の呼び声に一切の誇張はない。厳しい戦いになるだろう。けど……キミ達なら必ず勝てると信じているよ!」
 いつもどおりの、わざとらしいほど可愛い仕草の中に、僅かな緊張と期待を混じらせ、くるるは猟兵達を見渡す。
「だから、ばっちり解決してきてね。良い知らせを待ってるよ!」

●焼け焦げた森の国
「ふむ、まず真っ先に私に挑んで来るとは。流石は猟兵、敵に対する恐れとは無縁なようですね」
 全てが黒く焼け落ちた森の中心。猟兵の侵攻を察知したサーは、悠然とした態度でこちらを見回した。自身の拠点に侵攻を受けたと言うのに、動じる様子は一切ない。恐れと無縁だとすれば、まずこの紳士自身がそうだ。
「ですが、実在する脅威への恐怖は無くとも、実在しない物への恐怖は如何でしょうか。私の侵略蔵書の事は、すでにご存知でしょう?」
 そう述べて書物を開けば、『何か』が姿を現す。見る事ができない、知る事ができない、ゆえに否定する事も打ち倒す事もできない。無敵の怪物が、猟兵達に迫る。
「それとも、やはり実在の脅威の方がやりやすいでしょうか。でしたら私がお相手しても構いませんが」
 そう言って彼は、青白い剣を手にする。――それだけで、一瞬死を確信し得るほどの、最強の殺気。
「どちらであっても私は一向に構いません。世界を滅ぼすのが先か、世界を守る者を殺すのが先か。大して違いはないでしょう」
 無敵の存在と戦うか、最強の存在と戦うか。どちらであっても、間違いなく死闘となるだろう。
「では、始めましょうか。新たな戦いの歴史の一ページ目を、ここに記すとしましょう」


一二三四五六
 初老のイケおじは浪漫。

 ごきげんよう。いきなり最強の猟書家との一戦をお届けします。一二三四五六です。

 本シナリオは一章完結の戦争シナリオとなっております。ボス敵はトミーウォーカーの公式フラグメントです。

 補足。
 ボス戦ではお馴染みのギミックですが、例によって例のごとく、サーは『猟兵の使用したユーベルコードに対応する能力値のユーベルコード』を先制使用して来ます。対抗策をプレイングに記載しましょう。
 ユーベルコードを複数個/複数回使用すれば、それに対応した数だけユーベルコードを撃ち込んで来ますので、お勧めしません。

 敵のユーベルコードについては以下のように扱います。この方針は他のMSのサー・ジャバウォックに適用されるものではありませんので、ご注意ください。

●侵略蔵書「秘密結社スナーク」(POW)
 スナークを倒す事ができれば、サーに有効打を与える事ができます。ただしスナークは決して倒す事が出来ません。攻撃も状態異常もフェイントも特殊能力も何もかも、一切通用しません。
 そんな『決して倒せない存在を倒す』ための理屈を付ける事が必要となります。単純な強さよりも知恵や屁理屈、あるいは極めて特殊な能力が必要となるでしょう。

●ヴォーパル・ソード(SPD)
 近づくと斬られます。非実体でも例外なく斬られます。遠くから攻撃するとその攻撃を斬られます。防御すると防御ごと斬られます。
 この最強の斬撃の結界をいかにして突破するかの策が必要となります。突破する事ができれば有効打を与える事ができるでしょう。

●プロジェクト・ジャバウォック(WIZ)
 単純にめちゃくちゃ強いです。飛ぶし剣は防げないし五感も奪って来ます。
 特別な事はあまりないので、一番分かりやすいかもしれません。ただとにかく強いです。

 リプレイは激戦を演出する感じになる予定です。敵を倒すのは容易ではなく、さりとてその死闘で確かな勝利を掴む――そんな戦いを楽しみましょう。

 それでは、皆様のプレイングを楽しみにお待ちしています。
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第1章 ボス戦 『猟書家『サー・ジャバウォック』』

POW   :    侵略蔵書「秘密結社スナーク」
見えない【架空の怪物スナーク】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
SPD   :    ヴォーパル・ソード
【青白き斬竜剣ヴォーパル・ソード】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
WIZ   :    プロジェクト・ジャバウォック
【人間の『黒き悪意』を纏いし竜人形態】に変身し、武器「【ヴォーパル・ソード】」の威力増強と、【触れた者の五感を奪う黒翼】によるレベル×5km/hの飛翔能力を得る。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

四季乃・瑠璃
敵の位置を視認する為、粉塵煙幕式ボムを散布。
姿の見えない怪物に粉塵を付着して大まかな位置を捉え、更にペイントボムで完全に補足。
更に凍結式ボムで足止めしつつ、UCとシスターズ起動。

「スナークは虚構であるがゆえに、誰もがスナークになり得る」ならば、決してそれは無敵じゃない。
現実に存在している者がスナークと定義できるなら、それは決して殺せないわけはない。
故に、スナークは無敵じゃない。
屁理屈でも良い、それを殺すのが私達だから

緋瑪「無敵の怪物でも、わたし達には関係無い!」
瑠璃「私達は殺人姫…全てを殺す者」
翡翠「殺せない姫は殺人姫じゃないから」

後は3人の連携で追い込みつつ、ノヴァで一気に消し飛ばすよ!



「見えない怪物なら、まずは炙り出すよ!」
 煙幕式の爆弾を投じ、粉塵をばらまく緋瑪。その行為にサーは、冷静に首を振る。
「無駄な事です。スナークが見えないのは、透明だからではない」
 あらゆる攻撃が通用しない。それは居場所を掴もうとする行為さえ。粉塵は何を捕らえる事もない。
「スナークは、虚構、故にどこにもいない。故に目に見えない。故に倒す事も出来ない」
「っ……!?」
 いないものを捕らえる事など出来ない。にも関わらず、緋瑪の身体を『何か』が裂く。正体の掴めぬ攻撃に傷をつけられ、血を溢れさせる。
「故にスナークはどこにでもいる。あなたを殺す事ができる」
「ふぅん、厄介だね、でも……確かに『いる』んだよね、現実に」
 次々と、『何か』に攻撃を受けながら、緋瑪は不敵に笑みを浮かべた。己の身体に刻まれる傷、それが何よりの証明。
「だったら、無敵の怪物でも、わたし達には関係無い!」
 相手の居場所が分からないなら、分からないままで良い。爆弾を投じ、周囲の空間を焼き払う。
「当てずっぽうの攻撃ですか? 無駄な事――」
「違うよ、そうじゃない」
 さらにそこへ、緋瑪の影から姿を現す瑠璃と翡翠。彼女達も爆弾を投じ、ひたすら周囲を爆破し続ける。
「私達は殺人姫……全てを殺す者」
「殺せない姫は殺人姫じゃないから」
 彼女達がする事は単純だ。スナークを『現実の存在』と定義し、そして存在する可能性のある全ての空間を殺し尽くす。『そこにいない』と言う可能性が0になるまで。
「殺せるなら――手段は選ばない!」
「ぐぅぅぅ……なんと、力押しにも程がある――だが理に適っています」
 特大爆弾の閃光が、戦場を包み込む。スナークが存在しうる全ての空間を焼き払えば、守る者もなく身を灼かれ、呻きを漏らすサー。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フランチェスカ・ヴァレンタイン
そういえば、こちらの香水。実はスナークと反応して香りが大きく変わる性質を持ってまして…
…はい? そんなわけがない?
――何を仰いますやら。或る動植物に本来ありえないはずの新発見があることなんて、世の常でしょう?
ええ、そちらの書物にこの驚異の新事実を追補する時間ぐらいは待って差し上げましてよ?

あら、おかしいですね…? ”スナークがいるはず”ですのに一向に香りが変わりません
これではスナークの存在に疑義が出てしまいますよ? こうなっては、その実在をアナタ自ら証明する必要があるのでは?

相手が実在を証明するなら、それはそれで実体は顕れるでしょうし
UCのランスチャージで諸共に穿ち貫いて差し上げましょう…!



「そういえば、こちらの香水。実はスナークと反応して香りが大きく変わる性質を持ってまして……」
「ふむ?」
 突然のフラニィの言葉に、眉を寄せるサー。
「スナークは何者でもない。それと反応する香水など――」
「あら。或る動植物に本来ありえないはずの新発見がある事なんて、世の常でしょう?」
 否定の言葉にも構わず、甘い香りと共に艶やかに微笑む。ますます眉を寄せるサー。
「そちらの書物にこの驚異の新事実を追補する時間ぐらいは待って差し上げましてよ?」
「……さて。何を企んでいるのか、興味はありますが」
 無論、追補はせず、代わりにスナークをフラニィにけしかけるサー。ざくり、と裂けるフラニィの肌。
「香水の香りは変わりましたか?」
「……いいえ、変わりません――おかしいですね?」
 だが、血を流しながらもフラニィはその笑みを崩さない。血の匂いで香水が隠れぬように、
「スナークと反応して香りが変わる筈なのに。これでは、スナークの存在に疑義が出てしまいますよ?」
「……なるほど。面白い事を考える」
 ようやく意図に気づいたサーが、先程とは別の意味で眉を跳ね上げる。ランスを構え、サーに狙いを定めるフラニィ。
「穿ち、貫いて差し上げましょう……!」
「っ、ぐっ……!」
 そうして音速をもってチャージを仕掛け、サーの肉体を深々と抉る。そのランスを掴んで怪力で強引に引き剥がすサーだが、当然穿った痕からは溢れる血。
「おやおや、やはりスナークはいないようですわね?」
「小手先の弁舌……にしては面白い策でした」
 スナークの実在を証明しなければ、倒すことができない――フラニィのやったのはその逆だ。『どこにもいない』と言う事実を強引に補強し、その存在を消す。
 流石に消えっぱなしとはならない物の、サーの身体に確かな傷を刻みつける。

大成功 🔵​🔵​🔵​

弥久・銀花
あの剣ならジャバウォックに通じる可能性が有るんですね……

なら、ユーベルコードのオルタナティブ・エネミーで使い手ごと用意しましょう!


こちらのサー・ジャバウォックが参戦する時には私が隙を作るべく前に出ます

と言っても大事な愛刀を叩き切られたら悲しいので『白雪桜の鞘』と左手の義腕『負ケジ乃腕』を盾にする感じで『見切り41』つつ『武器受け37』で全力で斬撃をいなして避けましょう

これだけで終わると言うのは猟兵として情けない限りですが、先ずはこれだけは確実に遂行して、後はサー・ジャバウォックの実力を信じて後を託します


オル・フィラ
ヒーローズアースには行かせませんよ、サー・ジャバヴォック
私は、貴方のような存在を殺すために生み出されたんですから

この戦場、焼け焦げた森を反撃の機会を得るため利用します
まずは命中率を高めるためにも、敵へ一直線に接近
ただし木々を背にしつつ向かうことが重要です
敵の斬撃が来る瞬間に急制動、焼けた木屑と灰を巻き上げます
背にした木々の景色と合わせて、私の姿を瞬間的に捉え難くさせるのが狙いです
斬撃を完全に回避できなくても、射撃が可能であれば問題ありません
相手が巨大な剣を振るった直後なら命中させる好機、【泥流弾】を撃ち込みます

その危ない剣も侵略蔵書とやらも使えないように、撃ち抜かないといけませんね



「ふむ。書ばかりに頼る訳にもいかないようですね」
 一旦書物を閉じ、青白い剣を猟兵に向けるサー。その切っ先を向けられるだけで、死を覚悟する程の殺気。
「あの剣ならジャバウォックに通じる可能性が有るんですね……」
 それに息を呑みながらも、剣を、サーを、じっと見つめるのは銀花。その存在を義眼に焼き付け、そしてその存在を写し取る。
「ならば、その使い手ごと用意するまでです!」
「……ほう?」
 姿を現したのは、銀花のユーベルコードで生み出した、もう1人のサー。己を目の前にして、彼は興味深げに視線を向ける。
「なるほど、私を倒すには私、それは道理です。ですが私の力をあなた1人で写すには、少々荷が重いでしょう」
「どうですかね……それに1対1ではありませんよ!」
 コピーが間合いを詰め、剣を振り上げ斬りかかる――それに合わせて、銀花も一気に間合いを詰める。その鞘を手に身を守り、剣の間合いに踏み込んで――。
「っ!?」
 次の瞬間、ゾクリ、と走る寒気。鞘は守りに足りず、咄嗟に身を守った義腕すら、深々と斬り裂かれた。剣の斬れ味、速さ、そしてその技量。どれをとっても桁が違う。
「こう見えても猟書家では最強を自認していましてね」
「くっ……ならばっ!」
 だがそれを知った上でなお、銀花は踏み込む。いくら全てが断ち切られるとはいえ、何かを斬れば切っ先が鈍る筈。
「猟兵としては、情けない限りですが……!」
「なんと……」
 捨て身で隙を作ろうと言う銀花に、サーは軽い驚きを示し、次の瞬間、咄嗟に後ろを振り向く。
「気づかれましたか、でも構いません」
 背後から一直線に接近するのはオル。気づかれても構わず、僅かたりとも速度を緩めない。その手には小型の自動拳銃。
「ヒーローズアースには行かせませんよ、サー・ジャバヴォック」
「あなたに許可を取る必要は、まあ、有りませんが」
 サーは冷静に、剣の結界をもってそれを迎え撃つ。踏み込めばオルの身体は、なす術なく断ち切られ――。
「ここです」
「むぅっ?」
 だがその直前で急制動をかけるオル。地面を擦るサンダルが、焼けた木屑と灰を舞い上げた。背にした木々を保護色に、瞬間的にその身を晦ませる。
「ぐっ……問題ありません」
 どうしても間合いの外からでは足りず、一歩分は踏み込んで、ゆえに一歩分はその身を斬られ。痛みと流血に呻くが、その動きは鈍らない。銃さえ撃てればそれで良い。
「好機――逃しはしません」
「……ぐぅっ!」
 続けざまの捨て身に対する動揺も重なり、サーほどの剣士をしてほんの刹那、オルの姿を見失った。それに紛れて拳銃の引き金を引けば、放たれるのは水と土を重ねた属性弾。乱雑な破壊が突き刺さり、肉片を飛び散らせる。
「……がっ!」
 そうして出来た隙を突き、複製のサーも剣を突き立てた。呻きながらも偽物を斬り捨てて、飛び退き、銃と剣の傷口を抑えるサー。
「なるほど、見事です。しかし、無茶をしますね……」
「当然です。私は、貴方のような存在を殺すために生み出されたんですから」
 オルの方も当然、斬られた部分から血が溢れる。だが、一切表情を変えず、冷静にサーの姿を見据える。
「その危ない剣も侵略蔵書も、全部撃ち抜いてあげましょう」
 戦いのために生まれた強化人間は、戦いが終わるまで、それ以外の全てをを省みるつもりはない。銃弾を追加で叩き込み、破壊を降らせていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
スナークは実在しないからその攻撃を防ぐ事も出来ないし倒す事も出来ない。
……て、子供のごっこ遊びかよ!?

とはいえ、こっちには最強の武器がある。
傍のシャーリーと手を繋ぎ、二人分の【勇気】と【気合い】でスナークをブン殴る!
非実在の敵を倒せる根拠、それは
「そんなものより、俺はシャーリーと彼女との絆を信じている」からだ!
俺達がどんだけ修羅場をくぐり抜けて来たと思ってるんだ?

スナークを殴り倒し、その勢いでシャーリーと二人でジャバウォックに一斉攻撃!
シャーリーが奴を吹き飛ばしたところへ【神火の竈】の炎で奴の本を焚書にしてやるぜ!


シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
目に見えない架空の怪物を倒す手段は古今東西決まってるよね?
そう、【勇気】と【気合い】!
アーンド、強い絆!
ウィーリィくんと【手をつなぐ】ことでお互いを【鼓舞】し、二人の【勇気】と【気合い】を重ねてスナークを一撃でやっつけるよ!

え、そんな事出来る訳ないだろうって?
「ボクとウィーリィくんなら出来ない事はない」っ!
文句ある?

そんな訳でスナークを一撃でやっつけたら【エクストリームミッション】発動!
全速力で背後に回り込んで体当たりで【吹き飛ばし】、ウィーリィくんと挟み撃ちで【クイックドロウ】の【零距離射撃】だよ!



「スナークは実在しないからその攻撃を防ぐ事も出来ないし倒す事も出来ない。……て、子供のごっこ遊びかよ!?」
「ふむ。得てして論理問題とは、子供の謎掛けに似るものですよ」
 ウィーリィの叫びにも、冷静な態度を返すサー。
「ふん、まあいいさ。こっちには最強の武器がある」
「そう、目に見えない架空の怪物を倒す手段は古今東西決まってるよね?」
 その澄ました顔を睨みつけ、ウィーリィはシャーリーと手を握る。互いの手の感触を強く感じ、その体温を確かめ合う2人。
「俺たち二人分の勇気と気合で! スナークをブン殴る!」
「アーンド、強い絆も忘れずに!」
 自信満々の、堂々たる宣言。今度はサーも冷静には返さず、代わりに僅かな呆れを伴う視線を向けてくる。
「……まあ、試してみれば良いのでしょう」
「言われずともっ!!」
 その手を握ったまま、一気に間合いを詰める2人へと、スナークが襲いかかる。真っ直ぐに拳を突き出し、目に見えぬ相手を打ち砕こうと――。
「ぐぅっ!?」
「きゃあっ!?」
 だが、流石に無謀が過ぎたか。拳は空を切り、代わりにスナークの『何か』が2人を傷つける。血を流し呻きを漏らす2人へ、講釈するように告げるサー。
「そもそも私は、強き人々の住む世界を侵略するつもりなのですよ。かの英雄達の世界に溢れる全ての勇気と気合より、あなた方のそれが上とでも?」
「ボクとウィーリィくんなら出来ない事はないっ! 文句あるっ!?」
 だがそれでも、シャーリーは一切揺らがない。拳が空を切ろうと、血を流そうと――無論、ウィーリィも同じ事。
「俺も、非実在の敵とやらより、シャーリーと彼女との絆を信じているっ!!」
「まあ、良いでしょう。なら好きに試す事です」
 幾度となく拳は空を切り、2人の身体から血が溢れる。その姿を冷たく見つめるサー。
 ――だが。
「なんと……?」
「俺達が、どんだけ修羅場をくぐり抜けて来たと思ってるんだ!」
 いくら通じずとも血を流しても、2人は止まらない。その拳が次第に、スナークを捕らえ始める。
「私達の絆で、絶対にやっつけるよ!」
「なるほど。絆……!」
 スナークの真の恐ろしさは、誰もがスナークになり得ると言う事。それは疑念を生み、疑念は心を鈍らせる。
 だが2人は、決して相手を疑わない。一欠片の疑念もないその拳は、ゆえに決して鈍る事はなく――。
「そこだぁっ!」
「いっけぇっ!」
 渾身の拳がついにスナークを完全に捕らえ、吹き飛ばした。邪魔する者が消えれば、当然そのままサーへと間合いを詰める。
「絆の力、思い知った!? その身体にも……教えてあげるっ!」
「ぬぅっ……うぐっ!?」
 迎え撃とうとするサーが剣を抜くより早く、サメ型パワードスーツを身に纏って加速するシャーリー。一気に背後に回り込んで、その背に体当たりを喰らわせて。
「たっぷりやってくれたお返しだよ!」
「その本、焚書にしてやるぜっ!」
 背後からは全力の熱線の雨、正面からはウィーリィの包丁から迸る厨師の業火。その竜翼で書物を守るも、翼が、守りきれぬ肉が激しい熱に灼かれる。
「ぐっ……焚書は困りますね……!」
 一旦体勢を立て直すべく、炎を振り払って後ろに飛んでいく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

露木・鬼燈
こーゆーの好きじゃないんだけどなぁ。
確かに優れた戦士である僕は頭も使う。
でもそれは戦闘単位でのことだから。
謎解きやギミックみたいなのは…
今回みたいなのも苦手なんだよね。
実在しない悪を描いた、なんて言ってるんだから実在しない。
なんて単純な話じゃないんだよね。
悪魔の証明、みたいな?
…スナークには何もかも一切通用しない、ね。
確かに実際に試して本当に一切通用しなかった。
つまり「スナークである」とゆーことが証明された。
スナークは侵略蔵書によって生み出された虚構の存在である。
サー・ジャバウォックが自分で言ってたことだよね。
とゆーことは…スナークは虚構の存在であり、実在しない。
そーゆーことなので…死ねっ!



「こーゆーの好きじゃないんだけどなぁ。」
 おそらくどこかにいるであろうスナークを前に、深い溜息を漏らす鬼燈。
「確かに僕は優れた戦士であるから頭も使う。けどそれは戦闘単位でのことだから」
 とはいえ、このままぼーっと殺されるつもりもない。魔剣を連結刃に変えて周囲の空間を薙ぎ払い――。
「うぐっ……!!」
 刃はスナークを捕らえないが、スナークの攻撃は鬼燈を捕らえる。何に攻撃されたのやら、血だけが溢れ眉を寄せる。
「スナークは実在しない。そのような剣で捕らえる事は出来ませんよ」
「実在しない悪を描いた、なんて言ってるんだから実在しない……なんて、単純な話じゃないんだよね」
 実在しないがゆえにこちらの攻撃は当たらない。だが存在するがゆえにこちらは攻撃を受ける。理不尽な言葉遊びにその身を削られる。
「この理不尽さ……僕を襲ってるのは間違いなくスナークだという事が証明された」
 だが、血を流しながらも、鬼燈は怯まず、堂々と言い放つ。存在しないが存在する、不可視にして不可知の存在に、言葉を叩きつける。
「そしてスナークは実在しない。実在しないと言う事は僕の邪魔をする事はない!」
 屁理屈の域にすら達していない、強引過ぎる物言いだ。だが、鬼燈はそれを心の底から宣言する。スナークに力を与えるのは人々の心、だとすれば心のあり方次第。
「強引な……」
「強引でも屁理屈でも事実は事実。そっちが自分で言ったことっぽい!」
 あとはまあ、本当の力押しだ。弱らせさえすれば、力で押し切ってしまうだけ。
「そーゆーことなので……死ねっ!」
「ぐっ!?」
 重力で射出される、極超音速の刃。それが弱ったスナークを突き抜けサーの肉体に突き刺さる。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒玻璃・ミコ
※美少女形態

◆行動
最初に出会う猟書家が最強とは中々に燃えますね
とは言え三千世界に蔓延る竜種は滅ぶべし……慈悲はありません

存在しない獣の爪牙を躱す事は至難
ならば重要な臓器はその位置をずらした上で即死だけは避けましょう
人の身に擬態するのは慣れたもの、敢えて攻撃を誘導して魅せます
大丈夫、脳内麻薬全開で痛覚は麻痺してます
身体が半分でも残れば上々なのです

この身で味わいましたがスナーク恐るべし
ですが……操ってるのは竜種である貴方ですよね?
つまり『スナークも竜種に纏わるもの』に他なりません

ならば【黄衣の審判】は主従共に有罪の判決を下しましょう
空間の断裂と言う名のギロチン刑です

※他猟兵との連携、アドリブ歓迎



「最初に出会う猟書家が最強とは中々に燃えますね……」
 サーの殺気をその身に感じ、武者震いとばかりに身を震わせるミコ。
「とは言え三千世界に蔓延る竜種は滅ぶべし……慈悲はありません」
「竜殺し、ですか。なるほど、この身に纏いし悪意もまた竜」
 逆にミコから帰り来る殺意に、サーは動じる様子もない。書物を繰り、『何か』をけしかける。
「ですがスナークは何者でもない。無論、竜でもありません」
「……ぐっ!!」
 その『何か』がミコの身体を裂く。爪か、牙か、他の何かか。ただ、傷と言う結果が残る。
「なるほど、これを躱すのは至難ですね――ぐっ!?」
 今度は脇腹をごっそりと削り取られた。本来内臓のあるべき場所。
「なるほど、恐るべしスナーク」
「あなたの方は……ふむ、内臓の位置をずらしているのですね」
 ミコはブラックタールであり、少女の姿はただの形に過ぎない。それを活かして致命の傷を避ける。無論、これはあくまで延命処置に過ぎない、が。
「ですが……何者でもない、と言うのは誤りでしょう」
「ふむ?」
 身体の随所を奪われ、しかしミコは不敵に笑う。その身から溢れるは、彼女が崇拝せし相手、黄衣の王の力。
「例えスナークが何であれ、操っているのは、竜種である貴方だ」
 その力は竜に纏わる者、その尽くを鏖殺する。例えスナークが何者でもないとしても、竜種に操られし獣である、それは否定出来ぬ、純然たる事実。
 そして、定義づけられたスナークは、すでに『何か』ではない。
「なれば主従共に有罪の判決を下しましょう」
「……ぐっ。見事――」
 『竜種』と『竜種の従者』に対し、等しく力を振るい、空間を断裂する。定義付けられた怪物が真っ二つに断ち切られ、サーもまたその身から竜の血を溢れさせた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シン・ドレッドノート
アドリブ可。

先制の攻撃は盾ごと切られないよう、真紅のマントを翻してフェイントで回避。切られたマントの影から召喚したビット達を放ちます。

「剣は一本…斬撃は同時に一閃!」
直線上に並ばないようにビットを制御、サーを包囲するように配置したら、
視界を塞ぐようにライフルビットから高輝度のビームを発射。同時にその影からソードビットを一斉に突撃させます。

「本命は…この一撃です!」
ビットの攻撃と同時に気配を消してサーの死角に移動。全てのビットが切り払われるのも計算の上で、剣を振り切ったタイミングに合わせてサーの手に真紅銃の一撃を撃ち込み、剣を握る力を削ります。

「せめて、斬撃の結界に孔を穿てれば良いのですが…」


フレミア・レイブラッド
サーと称えられる方には姫として最低限礼儀を示さないとね。
ごきげんよう、おじ様。
残念だけど、おじ様の望みは叶えられないわ。
この地がおじ様の最後の地となるのだから。

【念動力】で敵の動きをピンポイントに妨害しつつ、「シュテル」を用いた凍結と雷撃の魔力弾【属性攻撃、高速・多重詠唱、全力魔法、誘導弾】で攻撃。
魔力弾を斬られても、斬られた凍気や雷は周囲や敵の剣に絡みつく。
その蓄積で敵の動きを鈍らせていくわ。

後は動きを鈍らせた隙に【神滅の焔剣】を発動。

真祖の魔力で覚醒し、斬られるのを想定に神焔の炎を目晦ましに超高速で接近。
全力の神焔剣レーヴァテインによる斬撃から串刺しにし、そのまま神焔で焼き尽くすわ!



「ごきげんよう、おじ様」
「おや、これはご丁寧に。ごきげんよう、プリンセス」
 優雅なカーテシーで一礼するフレミアに、こちらも優雅に礼を返すサー。さながら舞踏会のような光景――されど当然、ぶつかり合うのは敵意。
「残念だけど、おじ様の望みは叶えられないわ。この地がおじ様の最後の地となるのだから」
「それは困りますね。ではそうなる前に、あなた方を排除するとしましょう」
 斬竜の剣を手に刃を振るうサー。その剣を咄嗟に念動力で逸らそうとする――が、その力ごと断ち切っていく。
「無駄ですよ。私の剣は阻めない」
「っ……そのようね!」
 表情を歪めて跳び下がりつつ、魔杖から魔力弾を次々と叩き込むフレミア。そしてその尽くを斬り落としながら、それを追っていくサー。
「それも無駄な事です。――さて、そちらの貴方も、断ち切らせてもらいましょうか」
「っ……!」
 さらに前進しながら、シンを剣の間合いに収めるサー。迫りくる剣を前に、咄嗟に自身の真紅のマントを突き出し、囮にする。
「急速展開、包囲……そして、発射です!」
「むっ……!?」
 そして裂かれたマントの影から、大量のビットが召喚される。サーを取り囲むように展開されたライフルビットから迸るのは、高輝度のビーム。
「凄まじい剣の冴えですが、少なからず、視覚には頼っているでしょう?」
「なるほど、悪くない手です」
 その輝きは目を焼くほどで、サーも片眼鏡越しに眉を細める。だがその状態でもなお、迫りくるビームすら全て斬り裂く絶技。
「ですが、視覚に頼らずとも斬れぬ事はない」
「っ、ならば。剣は一本……斬撃は同時に一閃!」
 それでも、少しは感覚が鈍っている筈。それを狙い、続け様にソードビットを繰り出していく。ライフルビットの影から、全く同じタイミングで急襲する、蒼く透き通る刃。
「これなら如何です!?」
「ふむ……」
 全方位からサーに迫る、無数の剣。到底防ぎきれぬそれを――しかしサーは、全く同時に切り払う。
「特に問題はありませんね」
「そうかしら?」
 だが。その剣を振り切った手を引き戻すのが、僅かに鈍る。はっと己の剣に目を向けるサー、そこに絡みつくのは、魔弾を斬る度に纏わりついたフレミアの魔力。
「ただ闇雲に攻撃していた訳じゃないのよ!」
 無論、サーも普段なら気づいていたかもしれないが、目眩ましのせいで僅かに気づくのが遅れる。そして五感の一つが鈍っている今、その僅かな違和感は大きく広がって。
「そして私も、本命は……この一撃です!」
「っ、ぐっ!?」
 元よりビットが切り払われるのは計算のうち。シンの手にした純白のライフルから、刻まれたラインと同じ真紅の粒子ビームが放たれる。剣を戻しきれぬその手に、突き刺さる一撃。
「さあ、今ですっ!」
「ええっ!」
 完全に剣が止まらずとも、斬撃の軌道がずれ、結界に孔が開く。その一点めがけ、真祖の魔力に猛る焔の剣を手に突き進むフレミア。
「まだです……」
「いいえ――」
 この状況でなお強引に立て直し、剣を切り返すサー。迫るフレミアを斬り落とさんと迫る刃、だが流石に、完全な斬れ味には至っておらず。
「終わりよ!」
「っ……!」
 神焔を目眩ましにその斬撃を掻い潜ったフレミアは、そのまま、サーを切り裂き……そして、串刺しにした。
「ぐ……この私が敗れるとは、これが猟兵の力――」
 呻きを溢れさせ、口元から血を流すサー。その血すら、焔に蒸発していく。
「これも歴史の流れと言う事ですか。敗れた私は、素直に退場しましょう――」
「ええ。さようなら、おじ様」
 ゆっくりと、よろめくように後ろに下がり。突き刺さった剣が抜けると同時に、サーの全身は焔に包まれ、そして、灰すら残さず消滅した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月16日


挿絵イラスト