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迷宮災厄戦⑲〜悪意の猟書家サー・ジャバウォック~

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦 #猟書家 #サー・ジャバウォック

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●アリスラビリンス・焼け焦げた森の国
「勿論、われらが「書架の王」を除けば、私が最も強い事に異論はありません。故に、強き人々の住む『ヒーローズアース』に向かうのは、私が最も適任でしょう」
 そう自身ありげに話す竜人の初老の男。かの男こそ、猟書家「サー・ジャバウォック」。アリス・オリジンの力を奪っている猟書家にして、その中でも最強の力を誇る男である。
 その侵略蔵書「スナーク」のページをめくりながら、焼け焦げた森の国の中を優雅に歩き続ける。そして己が持つ侵略蔵書について語りだす。
 「私はこの書……『秘密結社スナーク』を使うと致しましょう。これは、実在しない秘密結社スナークについて、その退廃的かつ猟奇的な全容を克明に記載した、完全なる虚構の創作物です。本書には一片の真実も無く、それ故に、人は本書から『実経験に基づく明らかな間違い』を見出すことができません」

 虚構であって真実はない。だが書物によって起こる波紋は何者にも止めることはできない。つまり人は誰しもがこう思うのではないだろうか?
『スナークは実在するのでは?』
 その波を止めることなどできるはずもない。そしてそれこそがサー・ジャバウォックの意図するところである。
「その疑念は、やがて本物のスナークを生み出します。ヒーローやヴィラン、偉大なるジャスティス・ワンやアトランティスの海底人、親愛なる隣人や、道端のしがない靴磨きまで。スナークは虚構であるがゆえに、誰もがスナークになり得るのです」
 それこそが秘密結社「スナーク」。誰もがなりうるし、存在しないかもしれないモノ。だからこそ人はその魅力に抗えない。

「何を信じ、誰と戦うか……。ヒーローズアースの歴史は戦いの歴史。歴史は、繰り返される事となるでしょう」
 サー・ジャバウォックは猟書家の力を持って示そうとしている。ヒーローズアースにおける新たなる戦いの波を。そしてその波を引き起こす者として、最強たる自分が相応しいと疑っていないのだ。

●グリモアベース・ブリーフィングルーム
「せっかくヒーローズアースも鋼神ウルカヌスが討伐されて落ち着いてきたのに、傍迷惑な奴じゃのー」
 焼け焦げた森の中を歩く猟書家の姿を捉えた電脳ウインドウを見せながら、グリモア猟兵メイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)は説明を始める。今回の相手は、このアリスラビリンスの戦争の原因ともなっている猟書家の一人が相手となのだから、表情には緊張の色も出ている。
「サー・ジャバウォック。侵略蔵書『秘密結社スナーク』の力と腰にある竜を斬る剣を駆使して戦ってくる強敵じゃのー。さらにこちらの攻撃の機先を制してくるので注意が必要じゃのー」
 猟書家としての力なのか、必ずこちらより先に攻撃してくるので、それによる対処が必要になってくる。この対処が適切であれば、サー・ジャバウォックとの戦いを優位に進めることができるだろう。
 さらに戦いの場所は焼け焦げた森の中ということで、そこまで身を隠せる場所があるわけではない。殺風景な場所での戦いになるので、地の利は活かしにくいかもしれない。だが力を示し、最強の猟書家を仕留めるにはこの機会をおいて他にない。
「ここで逃せば、オウガ・オリジンを逃がしてもヒーローズアースに侵攻されるけー、頼んだのー」
 そう言ってメイスンは転移術式を発動して、サー・ジャバウォックの元へと送る。猟書家最初の敵にして、最強。その戦いを前に、猟兵達は気合を入れて挑もうとしていた。


ライラ.hack
 猟書家最初の遭遇にして、最強現る。
 どうも皆様こんにちわ、ライラ.hackです。

 このたびはオウガ・オリジンの力を簒奪し、オウガ・フォーミュラとなって他世界に侵攻しようとしている猟書家の一人、サー・ジャバウォックとの決戦です。
 難易度は普通より高めなのでご注意ください。

 彼がいる国はヒーローズアースを狙う猟書家がいる、焼け焦げた森の国です。猟書家は、侵略蔵書「秘密結社スナーク」と、青白き斬竜剣「ヴォーパル・ソード」で戦います。
 なお敵は必ず先制攻撃をしてきますので、その点を注意して行動をお願いします。先手を取るのは不可能です。

 以下、特殊ルールとなります。
 プレイングボーナス…… 敵の先制攻撃ユーベルコードに対処する。

 以上です。猟書家最強の力を持つと豪語するだけあって、強力です。注意して戦いにお挑みください。
 それでは皆様の素晴らしいプレイングをお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『猟書家『サー・ジャバウォック』』

POW   :    侵略蔵書「秘密結社スナーク」
見えない【架空の怪物スナーク】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
SPD   :    ヴォーパル・ソード
【青白き斬竜剣ヴォーパル・ソード】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
WIZ   :    プロジェクト・ジャバウォック
【人間の『黒き悪意』を纏いし竜人形態】に変身し、武器「【ヴォーパル・ソード】」の威力増強と、【触れた者の五感を奪う黒翼】によるレベル×5km/hの飛翔能力を得る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

火土金水・明
「相手は『猟書家』の一人。『ジェネシス・エイト』の一人だった『鋼神ウルカヌス』とどちらが上ででしょうか?。」
相手の先制攻撃に対しては、【見切り】【野生の勘】【第六感】の技能を駆使して回避を試みます。
【SPD】で攻撃です。
攻撃は、【継続ダメージ】と【鎧無視攻撃】と【貫通攻撃】を付け【フェイント】を絡め【限界突破】した【銀の流れ星】で、『猟書家『サー・ジャバウォック』』を【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【残像】【オーラ防御】【勇気】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでも、ダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等は、お任せします。


シュバルツ・ウルリヒ
サー・ジャバウォック。お前には特に因縁や恨みなどはないが。……だが、ヒーローズアースを再び混乱の渦へとさせる訳にはいかん。……ここで倒させて貰うぞ。

敵の攻撃は……普段なら身を物陰に身を隠したりして避けるが……この場所では無理か。

……ならば、何とか耐えるしかないな。幸い、敵の攻撃手段は情報収集済みだしな。残像を出しながら、敵に接近。その最中の攻撃は魔斧で武器受け、激痛耐性で耐える。……だが、これだけでは厳しいだろうな。

……出番だ、黒のローブ。黒野ローブに動いて貰う、敵の攻撃をそっちに少しでもおびき寄せさせる。

そして、奴に近寄ったら、UC:発動だ…!僕の全てをぶつける!(封印を解く、鎧砕き、力溜め



 その焼け焦げた森の上を優雅に闊歩する紳士。その佇まいはこんな荒廃した土地に不似合いでありながらも、なぜかしっくりくる破滅の臭いを漂わせる。
 猟書家「サー・ジャバウォック」。アリスラビリンスで膨大な力を持つ「オウガ・オリジン」から力を奪い、オウガ・フォーミュラとなってヒーローズアースに渡ろうとする者である。
 その手にある侵略蔵書「秘密結社スナーク」は、猟書家としての要となりうるので大切に持ち歩いているが、その表情は穏やかである。この破滅した状況をかの世界にて再現しようとでも言わんばかりだ。
「相手は『猟書家』の一人。『ジェネシス・エイト』の一人だった『鋼神ウルカヌス』とどちらが上ででしょうか?」
 そう問いかけるのは火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)。黒いマントを翻しながらもゆったりとした姿で、サー・ジャバウォックの前に立つ。
 かの敵に奇襲など無意味であることはこの国に踏み入れた時点で分かっていたことだ。だからこそ明は単純な興味を口にした。
「さあ、どうでしょう。ですがオウガ・フォーミュラとなれば間違いなく私の方が上でしょう」
「サー・ジャバウォック。お前には特に因縁や恨みなどはないが……だが、ヒーローズアースを再び混乱の渦へとさせる訳にはいかん」
 優雅に紳士的な微笑みを崩さない猟書家に、シュバルツ・ウルリヒ(黒剣・f14572)が凄まじい敵意をぶつける。だがシュバルツがそれをするということは、相手が容易ならざる敵だという証明である。
 何よりもせっかくジェネシス・エイトやクライング・ジェネシスの争乱より立ち直って来たヒーローズアースに行かせるわけにはいかない。その決意を感じとり、サー・ジャバウォックは薄く笑う。
「止められますか? アリス・オリジンの力を得た私を」
「……ここで倒させて貰うぞ」
 シュバルツのその言葉と共に明も動き出す。だがやはりサー・ジャバウォックの方が動作が早い。青白き斬竜剣ヴォーパル・ソードがありえないほど巨大化し、二人とも纏めて薙ぎ払ってしまおうという勢いで振るわれる。
 さっそく最初に動いた明がそのヴォーパル・ソードに両断されるが、サー・ジャバウォックに手ごたえがない。よく見ると明の両断した姿が霞のように消えていく。
「なるほど、残像ですか。これはレベルが高い」
 最初に明がサー・ジャバウォックの前に立ったのはすでに魔力によって作り出した残像だったのだ。すでに斬られる前提で配置し、明は焼け焦げた森の大地を進む。
 一方、サー・ジャバウォックの視界に入ったシュバルツが次に狙われる。シュバルツの本来の戦法であれば身を物陰に身を隠したりして避けるが、遮蔽物が少ない上に脆い焦げた木では気休めにもならない。
「……ならば、何とか耐えるしかない」
 自身の残像を生み出しながらも果敢に接近するシュバルツ。それをすべて吹き飛ばすように巨大なヴォーパル・ソードは振るわれる。
 それでも魔斧を盾替わりとして受けきる覚悟で前進する。その巨大なる竜を斬る剣は、シュバルツの耐性をもってしても意識を持っていかれそうになるほどの衝撃に襲われる。このままでは戦闘に支障の出るレベルまで負傷するだろう。
(……やはり、これだけでは厳しい。だが出番だ、黒のローブ!)
 闇の呪詛が籠められた外套が意志を持って動き、ヴォーパルソードとシュバルツの間の緩衝材となって衝撃を緩和する。その際に黒のローブもかなり損傷することになるがそれでもシュバルツはサー・ジャバウォックの初撃を躱すことに成功する。
「この斬竜剣を凌ぐとは、さすが猟兵。ですが二の太刀はどうですかな……!」
「それをやらせるとお思いですか?」
 斬竜剣ヴォーパルソードの攻撃を潜り抜け前進してくるシュバルツにもう一度振るおうとするサー・ジャバウォックの側面を明が突く。繰り出されるは手に持つ銀の剣から繰り出される「銀の流れ星(ギンノナガレボシ)」だ。
 超高速で繰り出された限界を突破した二連突き。的確にヴォーパルソードを持つ右肩を貫いて、サー・ジャバウォックの追撃を封じる明。そして次の出番はついに魔斧の間合いまで接近してきたシュバルツだ。
「……今、全てを解放してやる。その力、全て寄越せ…!」
 能力「解放(カイホウ)」を満を持して発動するシュバルツ。魔斧の真の力を解放していき、己の寿命が削られて行ってもシュバルツは何の躊躇もない。
 ヒーローズアースのヒーローとして、サー・ジャバウォックを止める。その力を振るう為にここに来たのだから。
「僕の全てをぶつける!」
「ぬうううううううう!」
 そしてすべての力を込めた魔斧の一撃とサー・ジャバウォックのヴォーパルソードがぶつかる。猟書家の筋肉が軋み、明に開けられた穴から血が噴き出す。そしてサー・ジャバウォックの斬竜剣を吹き飛ばし、その身体に大きな傷を刻み込むシュバルツ。
「……やりますね。やはりヒーローは手強い」
 そう言って二人に賛辞を送りつつも翼を広げて距離を取り始めるサー・ジャバウォック。その傷は深いものなれど、竜人故の高速再生と侵略蔵書「秘密結社スナーク」の力をもって傷を治す腹積もりだ。

 二人はさすがにこれ以上の追撃は無理だと思い、サー・ジャバウォックの姿を見送る。だが強大な敵に対しても決して引けを取るものではなかった。
 侵略蔵書の力も竜人の力も無限ではない。初戦は見事な戦いっぷりを示して、サー・ジャバウォックに猟兵侮るべからずを刻み込んだのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アイン・セラフィナイト
存在しないスナークを記した書物、秘密結社スナーク……真実を記し管理する書架の管理者として、許しておくわけにはいかないよ。虚構は、誰かを貶めるために使うものじゃない。

敵の高機動は、『暁ノ鴉羽』を周囲に拡散させて、擬似的な壁を形成することで阻害、拘束するよ。『第六感』『オーラ防御』で回避を試みるけど、致命傷が避けられればそれでいい!

【魂魄転換】を発動、たとえ五感が失われようと、周囲から無差別に魔力へと転換するオーラを回避する術はないはず……!極限まで転換した魔力を『境界術式』の魔導書の束で全方位に『リミッター解除・範囲攻撃・属性攻撃・全力魔法』だ!

キミの虚構語り、絶対に阻止してみせる!


ミレア・ソリティス
作戦目標「サー・ジャバウォック」を確認、戦闘を開始します
【WIZ】
可変翼グライフフリューゲルを装備、足を止めず回避に集中します
避けられぬ攻撃へは即座に可変翼を副腕形態へ変形、攻撃を武器受け後機体から切り離して自爆させ五感剥奪の影響を避けます

凌げばその隙にUCで簡易装備のミレアを展開
攻撃は互いに庇わせ、他機体がブラスターで攻撃
私自身もランス+シールドで応戦します

私自身の戦闘継続が困難ならば敵に組み付き足止めを仕掛け、
残しておいた簡易機に負荷による自壊覚悟で「ノヴァ・バスター」を撃たせ「私諸共」範囲砲撃で吹き飛ばします

この場の「ミレア・ソリティス」全356機、その全てが貴方を討つ為の捨て駒です


桐嶋・水之江
◆なんでもOK
猟書家さん達には各世界に成長を促す起爆剤となってほしかったのだけれど
私達の手が届いた時点で願いは潰えた
もう貴方に利用価値は無いわ

さて先手に対処しなきゃいけないわね
弾幕を張って全速後退しましょう
そもそも接近戦なんて論外だしミサイルを雨霰と飛ばせば迎撃にUCを使わせられるかも
足りなければDプラスを全機犠牲にして止めるわ
やり過ごしたら私の番ね
相手は一人だけ…人形機兵隊でDプラスを増産して押し潰しましょう
斬竜剣の情報はさっきので収集させて貰ったわ
連撃は3回まで…じゃあ4連目は?
Dプラス軍団に4段回に分けて波状攻撃させるわ
そして最後の一波に合わせてワダツミの艦砲射撃をズドン
これで終幕よ



 さきほど猟兵達につけられた傷の再生を行いながら猟書家サー・ジャバウォックは考える。これほどまでに力を得た自身が撃ち負けた理由を。
 アリス・オリジンから簒奪した力は絶大だ。自身が持つ斬竜剣ヴォーパル・ソードは強化され、侵略蔵書「秘密結社スナーク」は現実離れした力を持つに至った。
 だがそれを上回る猟兵達の力。グリモアという予知の力だけではない、底知れぬ実力に最強の猟書家たるサー・ジャバウォックも興味を寄せる。
「猟書家さん達には各世界に成長を促す起爆剤となってほしかったのだけれど」
 そう言って空中を飛ぶサー・ジャバウォックを捕捉した桐嶋・水之江(機巧の魔女・f15226)。ワダツミ【ワダツミ級強襲揚陸艦】に搭乗し、作戦室モニターからその姿を見据えている。
 世界に侵攻すると豪語する猟書家達。それが齎す世界の影響を水之江は考えていたが、すでに敵として出会ってしまった。ならばやることは一つである。
「私達の手が届いた時点で願いは潰えた。もう貴方に利用価値は無いわ」
「私ですら利用するとは……いやはや、猟兵という存在は思いの他、強欲のようだ」
 苦笑しながらもサー・ジャバウォックは斬竜剣ヴォーパル・ソードを巨大化させ、ワダツミごと切断して撃沈させようとする。あの竜すら断つ刃ならばそれは可能と言えるだろう。
「そもそも接近戦なんて論外だし、全力後退!」
 そしてその敵の先手に対して水之江が取った戦法は、ヴォーパル・ソードの攻撃範囲からの離脱だ。勿論ただの後退ではすぐに追いつかれて攻撃されるので、ミサイルや砲台による弾幕を張っての威力牽制を加えた後退だ。
 だがそれでもやはりサー・ジャバウォックは最強と呼ばれる所以を見せる。水之江が張る弾幕を潜り抜け、さらにミサイルも一振りで撃ち落としてワダツミへの距離を詰める。予想以上の追撃に、水之江は決断する。
「ミサイルの雨霞でも止まらないとはね。なら、Dプラス発進!」
 虎の子であるウォーマシン型ドローン「Dプラス」3機を迎撃に向かわせる水之江。ビームライフル・ビームソード・シールドを装備したウォーマシンに近い個体ではあるが、それでもサー・ジャバウォックのヴォーパル・ソードが相手では分が悪い。
 だがその3機を落とすのはさすがのサー・ジャバウォックであっても骨の折れることだった。故にそれこそが水之江の反撃のチャンスとなる。
「3機撃墜とか経費が……でも次は私の番よ」
 能力「機巧の魔女の人形機兵隊(マリオネットソルダート)」を発動させ、さきほどのDプラスの量産型を増産して部隊を編成する。さすがの量にサー・ジャバウォックも驚きを隠せない。
 さらに言えば水之江は撤退の合間にヴォーパル・ソードの攻撃の情報を分析完了していた。その為にDプラス量産型を4部隊に編成して順次突撃を開始させる。
「連撃は3回まで…じゃあ4連目は?」
 そう言って水之江は戦局を見守る。Dプラス軍団に4段回波状攻撃を叩き落す為にヴォーパル・ソードを振るうが、最後の4回目となると手が止まる。さすがのサー・ジャバウォックも巨大斬竜剣の4連撃は無理なのだ。
 そして4番目のDプラス部隊のレーザービーム斉射と共に、ワダツミの艦砲射撃を合わせて撃つ水之江。まさしくエネルギーの弾幕射撃がサー・ジャバウォックの身体を射抜く。
「これで終幕よ」
「やられました……ここは、一時離脱です」
 竜翼をやられ、焼け焦げた大地へと墜落していくサー・ジャバウォック。最後に水之江の戦法を拝借と言わんばかりにヴォーパル・ソードを振るって、威力撤退をしていく。その顔が笑っていると水之江が確認した時、彼女もまた笑っていた。
「私が終幕、という意味だけどね」

 そしてそれをサー・ジャバウォックはすぐに理解することになる。その墜落地点にはすでに二人の猟兵が待ち構えていたのだから。
「存在しないスナークを記した書物、秘密結社スナーク……真実を記し管理する書架の管理者として、許しておくわけにはいかないよ」
 そう決意の表情を浮かべながら杖を構えるアイン・セラフィナイト(全智の蒐集者・f15171)。その視線はサー・ジャバウォックというより、その手の侵略蔵書「秘密結社スナーク」に向けられている。
 その隣にはミレア・ソリティス(軍団たる「私」・f26027)が戦闘準備を整え、作戦行動に移ろうとしていた。機械めいた口調ではあるが、敵性存在を撃滅するという仄かな情熱がこもっているのはおそらく気のせいではないだろう。
「作戦目標『サー・ジャバウォック』を確認、戦闘を開始します」
「休む間も与えず、ですか。効率的ですが、心地良い悪意です」
 そう言って二人が攻撃に移る前に、サー・ジャバウォックは己の力を解放する。つまりそれは人間の『黒き悪意』を纏いし竜人形態の顕現である。
 この形態で斬竜剣ヴォーパル・ソードの強化はもちろんのこと、触れた者の五感を奪う黒翼の出現は二人に大きなプレッシャーを与える。
「虚構は、誰かを貶めるために使うものじゃない!」
 だがそれでもアインは怯まずに黒翼を羽ばたかせて飛翔するサー・ジャバウォックを迎撃する。極光の如き輝きを放つ鴉羽の嵐『暁ノ鴉羽』を周囲に拡散させて、擬似的な壁を形成することで阻害、拘束しようとする。
 攻撃を弾き返す鴉羽に触れないように飛び回りアインに迫ろうとするが、それを守るのがミレアだ。可変翼グライフフリューゲルを装備して、空を飛翔。高速機動で先回りをし、鴉羽から逃げようとするサー・ジャバウォックの前に立ち塞がる。
「逃がしません」
 サー・ジャバウォックもミレアの身体に触れることで五感を奪い、その隙に離脱しようとする。だがそれも対策済みと言わんばかりに可変翼を副腕形態に変えてヴォーパル・ソードを受け止める。
 そこから五感を奪おうとするサー・ジャバウォックであるがミレアもそうはさせない。即座に機体から切り離して五感のはく奪を回避、さらに自爆させることで敵を後退させる。
「随分と荒っぽいことを……」
 だがミレアの本領発揮はここからだ。能力「コード・レギオン:α(コードレギオンオプションアルファ)」を発令し、簡易兵装型のミレア達を周囲に展開する。
 攻撃は互いに庇わせ、他機体がブラスターで攻撃するという布陣。そして本体のミレアはランスとシールドをもって応戦する。
「簡易兵装機生成。リンク完了。作戦を開始します」
 そしてサー・ジャバウォックの削り合いの戦闘が開始される。356機による数の圧倒、同個体による連携など、サー・ジャバウォックが戸惑う場面も見られたが、五感を奪ったり、ヴォーパル・を撃墜したりをしてその数を着実に減らしていく。
 その刃はついにミレア自身にも届く。シールドは破壊され、身体にヴォーパル・ソードが食い込むのを確認すると、ミレアはそれに臆することなく指令を下す。
「指令『ノヴァ・バスター』を発射命令、自爆コードを起動」
「なに!」
 さすがのサー・ジャバウォックもミレアの行動は不可解であった。簡易個体ならばともかく、本体が足止めをして攻撃を撃たせ、さらに自爆をするなどという愚行。
 だがさすがのサー・ジャバウォックも知らない。ミレアは自己複製とデータ同期により一機居れば“ミレア”の維持は可能なため、本体が犠牲になることなど躊躇はないことに。
「この場の『ミレア・ソリティス』全356機、その全てが貴方を討つ為の捨て駒です」
 そして放たれた簡易個体達の対要塞・大型目標用の大型ランチャー「ノヴァ・バスター」の集中砲火。そしてミレア自身の自爆により、さすがのサー・ジャバウォックも深手を負い、態勢が崩れる。

 そこに鴉羽が殺到しサー・ジャバウォックを包囲し、一時的に拘束することに成功する。だが時が経てた必ず脱出してくると確信しているアインはこの隙に「聖霊封呪・解:魂魄転換(ソウル・イーター)」を発動する。
 焼け焦げた大地に魔力変換できるものは少ない。だがそのオーラを身に纏い、自分の鴉羽やミレアの残骸すらも魔力へと変えて、膨大な魔力を蓄えていく。己の黒翼すらも魔力へと変えようとしてくる波動を感じたサー・ジャバウォックは高速で近づきヴォーパル・ソードで斬りつけようとする。
「キミの虚構語り、絶対に阻止してみせる!」
 極限にまで高められた魔力を『境界術式』の魔導書に込める。数百を超える書物の束は、極限の魔力放射を持って全方位を埋め尽くすように発射される。
 いかに高速移動をできるといってもすべての範囲を攻撃されては避ける箇所などない。サー・ジャバウォックは身体が焼かれる苦痛に襲われながらも、アインの放射が終わるまで耐える。
「ハァハァ……」
 そして集めた魔力を使い切ったアインが肩で息をしている。周囲はアインの魔力砲によって焼き尽くされて更地となっている状態だ。その中で全身が焼かれながらもその大地に立っているサー・ジャバウォック。
 すでに高速再生も始まっているが、連続して傷を負い過ぎた。このまま無理をすれば「スナーク計画」にも支障が出ると判断し、疲労しているアインに背を向ける。
「……痛み分けですな」
 それは強がりかもしれない。だが本当かもしれないと思いながらもアインはそれを見送るしかなかった。これ以上の魔力は少しも残っていなかったからだ。
 そしてそれを確認して水之江のワダツミが、アインと残ったミレアの機体を回収する為に接近を始める。これからは優雅に空から撤退できることだろう。
 倒すことは叶わなかった。だが強烈なダメージを刻み、すでにサー・ジャバウォックは倒せる位置にまで引きずり下ろすことができた。それに満足して、後を任せて艦内で眠ろうとするアインであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

シーザー・ゴールドマン
【POW】
ハハハ、なかなかのご高説だ。君の言う通り、歴史は繰り返すだろう。
だが、それに君が関わることはない。
君はヒーローズアースの地を踏むことなく、ここで消えるのだからね。

先制対策
見えない怪物スナーク、それが襲い掛かる瞬間を第六感で見切り、周囲に衝撃波を放つことで滅します。
(第六感×見切り→衝撃波×範囲攻撃)

次は私の番だよ。

『ウルクの黎明』を発動。最高速度の飛翔能力で間合いを詰めると同時に、すれ違いざまにジャバウォックをオーラセイバーで斬り裂きます。
そして間髪入れずに、大上段からの唐竹割&そこから発生する衝撃波で痛撃を。

アドリブ歓迎です。


死之宮・謡
アドリブ歓迎

ジャバウォック…正体不明の怪物、だったかな?此奴は不明でも無さそうだけど、そう言うものか…
まぁ良い。強いのだろう?貴様。ならば良し。私と踊ろうじゃないか。死ぬまで続く、愉しいダンスをな?

衰退の「呪詛」を籠めた黒霧(全力魔法)を展開して見えないスナークの居場所をとらえてレ・フィドラで「なぎ払い」
その後【天翔る狂気】を発動して攻撃開始
ヴォーパル・ソードの間合いは外してレ・フィドラを振るって槍の間合いから切り刻む。
同時に黒雷と黒焔(呪詛・属性攻撃)も多重展開して叩き込む
多少の傷は「生命力吸収」で誤魔化して只管攻撃


メフィス・フェイスレス
【心情】
お前が猟書家ね
今度はアンタ達が喰われる番よ
お前を倒せばアリス達の自由への解放に一歩近づく
【対先制】
「鬼眼」でスナークの位置と移動の軌跡を特定、「骨身」で迎撃、骨刃に仕込んだ「微塵」を注入し内部から破壊
スナークの捕捉を悟らせないため周囲に「飢渇」を膜状にして展開、防御のふりして目線を遮断する

【行動】
爆煙に紛れ大量の「飢渇」をけしかけ、自身は液状化して死角から奇襲を狙う
攻撃を受けたら腐食性を付与した「血潮」を「乱れ撃ち」し、「目潰し」「マヒ攻撃」を行いつつ「経戦能力」で戦闘続行
「捨て身の一撃」で「飢牙」で喰らい付いて動きを止め、全ての「飢渇」分身を纏わり付かせて「微塵」に変換し起爆する



「これは……いけませんね」
 そう呟きながら猟書家サー・ジャバウォックは現在の己の姿を嘆く。身体のあまりの蓄積ダメージの為に黒翼の竜人形態が維持できなくなってしまったのだ。
 人間の悪意というのはやはり深く凶悪なものであるようで、サー・ジャバウォックの力をもってしてもコントロールが難しい。扱いを誤ればそれは自分に返ってくる。
 だからこそ最強の竜人形態こそ可能なのだが、それも今は無理のようである。だがそれでも斬竜剣ヴォーパル・ソードは健在、さらに侵略蔵書「秘密結社スナーク」もある。
「お前が猟書家ね。今度はアンタ達が喰われる番よ」
 ある吸血鬼がヒトの死肉のデッドマン、メフィス・フェイスレス(継ぎ合わされた者達・f27547)は大いに高揚していた。アリスラビリンス世界を救うにも絶好の機会。
「お前を倒せばアリス達の自由への解放に一歩近づく」
 そのメフィスの強い視線と高潔な精神にサー・ジャバウォック微笑む。肉体的余裕はなくても、精神力であればまだまだ追い詰められてはいない。
 至って冷静に猟兵達に対処する。それこそが猟書家達の中で最強と呼ばれる所以でもあるのだろう。
「私一人でこの世界のアリスが救えるとは思いませんが……。誰かがいなくなっても誰かが変わりになる。そうスナークのようにね」
「ハハハ、なかなかのご高説だ。君の言う通り、歴史は繰り返すだろう」
 そう言ってサー・ジャバウォックの会話に割り込んできたのは、赤き伯爵シーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)だ。その強者の微笑みはある意味畏怖と恐怖を与えるものだろう。
 そして力を持って威圧すると共に、決して獲物を逃すまいとする獰猛な猛禽類を想起させる視線を投げかける。これにはさすがのサー・ジャバウォックも警戒する。
「だが、それに君が関わることはない。君はヒーローズアースの地を踏むことなく、ここで消えるのだからね」
「ジャバウォック…正体不明の怪物、だったかな? 此奴は不明でも無さそうだけど、そう言うものか…」
 そしてメフィスやシーザーとは別方向から死之宮・謡(狂魔王・f13193)も現れる。ジャバウォックの意味について深く考えているようだが、その思考も目の前に敵が現れれば消える。
 その願いは殺戮と破壊。なればこそ、相手に不足がない猟書家という獲物であるならば、謡も思う存分その力を振るうことができる。
「まぁ良い。強いのだろう? 貴様。ならば良し。私と踊ろうじゃないか。死ぬまで続く、愉しいダンスをな?」
「随分と身勝手な方々だ。そして強いとくれば、我が侵略蔵書の出番ですな」
 謡をはじめ、シーザーやメフィスの視線を受けても飄々としているサー・ジャバウォック。だがその余裕の源こそ、手に持つ侵略蔵書「秘密結社スナーク」だ。
 実体のない秘密の結社だからこそ、いるかもしれないという疑念。その人々の疑念が、見えない怪物を生み出す。人の数だけスナークは現れ、攻撃していくだろう。
「見えない怪物、だけど私の鬼眼は見逃さない」
 それぞれに不可視の怪物が迫る中で、メフィスは自身の鬼眼で周囲を看破する。夜の支配者である吸血鬼の瞳であるならば、スナークの現在地と移動の軌跡を特定するのもわけはない。
 そしてその痕跡が自身の側面からくるとわかったなら、後は迎撃である。スナークの捕捉を悟らせないため周囲に「飢渇」のタールを膜状に展開し、視線を特定させないようにする。
「そこだ!」
 「飢渇」の膜を突き破って攻撃しようとしてくるスナークに、合わせるように体から生やす血肉を削り命を啜る骨刃「骨身」を叩きこむ。重い衝撃がメフィスを襲うが、ある程度体格は予想できていたので対処は可能だ。
 さらに骨刃に仕込んだ黒タールの爆弾「微塵」を体に突き刺したと同時に体内に送り込む。そして攻撃を弾き飛ばしたと同時に起爆させ、不可視の怪物をそのまま吹き飛ばすメフィス。

 メフィスがスナークを爆破したと同時にシーザーの方向にもスナークが迫っていた。だが研ぎ澄まされた感覚が、わずかに聞こえる音や気配を感知する。
「それで隠れているつもりかい?」
 持前の第六感も駆使してシーザーはスナークの攻撃方向を察知し、大振りの攻撃に身を翻して回避する。
 そしてカウンターとして繰り出されるのはオドの魔力の拡散放射。腕を振るい、扇状に強大な衝撃波を放つことで隠れることも逃げることもできないように見えないスナークを粉々していく。

 一方の謡は自身の戦法故にメフィスとシーザーからは距離を取って、スナークを迎え撃とうとしていた。その魔力は大いなる呪詛を呼び起こす。
「霧よ」
 謡の言葉と共に、呪詛が宿った黒霧が周囲に散布し始める。呪詛の効果は「衰退」。侵されれば動きは緩慢になるし、力も衰えていく恐るべき呪詛の力。
 いくら強大で不可視の怪物といえども、力が弱まれば怖くはない。さらに黒霧への侵入は謡の領域に入るようなもの。呪殺神槍レ・フィドラを振るってスナークを一閃で滅ぼし、その矛先をサー・ジャバウォックに向ける。
「スナーク、何するものぞ。サー・ジャバウォック、この程度か」
「なるほど、素晴らしい力だ。だがスナークは一体ではありませんよ?」
 そういうと侵略蔵書の力を解放し、スナークを大量に放つサー・ジャバウォック。その戦法を観察し、まずはメフィスに狙いを定めたのか、スナークの多くを殺到させる。メフィスもそれを感じたのか、タール爆弾を生成し迎撃へと向かう。
「次は私の番だよ」
「ならば私が死を運ぼう!」
 だがその隙を狙い、シーザーと謡が動く。シーザーが能力「ウルクの黎明(デウス・ポテスタース)」で輝く真紅のオーラを纏い、謡が能力「天翔る狂気(ブラッディ・タイム)」で触れたモノにダメージを与える赤黒いオーラを纏う。
 それぞれが強力な力を得るオーラを纏った後、サー・ジャバウォックに迫る。襲い掛かるスナークはシーザーはオーラセイバーで斬り殺し、謡はレ・フィドラの一突きで絶命させる。
「さあ、楽しませて貰おうか」
 まずはシーザーが最高速度に乗った状態でサー・ジャバウォックへと突撃する。片腕は侵略蔵書「秘密結社スナーク」を発動させている為に、もう片方の腕のヴォーパルソードで迎撃する。
 高速移動からくるすれ違いざまの斬撃と斬竜剣が激突する。スピードに乗った斬撃を見事に殺し切ったのは、さすが最強と呼ばれる猟書家の実力というべきか。
「さすがだ。だが脇が甘いぞ」
 だが次の謡が間髪いれずに攻撃を仕掛ける。シーザーの突撃斬撃の衝撃から立ち直れていない隙をついて、レ・フィドラの槍の間合いからその身を斬り裂く。
 ヴォーパル・ソードの間合いには入らないように配慮をしつつ、同時に黒雷と黒焔を同時展開して叩き込む。黒い雷と焔がその身体を蝕み始める。
「ぐっ……、だがこの程度で私は倒れませんよ」
 だがサー・ジャバウォックもしぶとい。雷と焔に身体を焼かれようとも、謡の槍をさばき切り、さらにヴォーパル・ソードで払って、スナークを仕掛けるコンボで窮地を凌ぐ。
 謡も生命力吸収で傷を誤魔化しながら仕掛けようとしたが、スナークと挟み撃ちとなれば思わぬ傷を負わされるかもしれない。なればこそ、スナークに集中する。
「さて、次は私だよ」
 そして簡単に謡が諦めたのも、高速移動していたシーザーを発見していたからだ。通りざまの攻撃の後、すぐに方向転換をして戻って来たシーザー。
 謡の連撃を凌いだと思ったサー・ジャバウォックを襲う大上段からの唐竹割。さらにそれにオドによる魔力の衝撃波を乗せた一撃は、その強靭な身体を容赦なくえぐり取る。
「ぐおおっ!」
「ようやく突破できた、よ。次はお前だ」
 シーザーの強烈な攻撃に血が噴き出す身体に無理を承知で距離を取るサー・ジャバウォック。だがその先には大量のスナークを爆破させ、その爆煙に紛れて能力「隙間に滲む(スキマニニジム)」による液状化によって死角へと回り込んだメフィスがいた。
 メフィスの爆破能力を発揮させないためにも、間合いの外からヴォーパル・ソードによる一閃でメフィスの身体を引き裂く。かなりの深い傷ではあるが、デッドマンである彼女は一切怯まない。
「食らえ」
 体内で予め生成しておいた毒性を伴う血液「血潮」を浴びせるようにサー・ジャバウォックへと放つ。その浸透力も驚異的で腐食して皮膚を焼き、身体の機能の麻痺や掛かった目を潰す役割を果たす。
「この血は……!」
「食らうまでもない。弾け飛べ」
 そしてその隙をついてメフィスはその牙をサー・ジャバウォックへと突き立てる。そして黒タールを自身にまとわりつかせて、それを「微塵」の爆弾へと変換する。
 巻き起こるは焼け焦げた大地を吹き飛ばすほどの大爆発。さすがのシーザーも範囲外へと高速移動し、退避する。そして爆煙の中で飛んでくるメフィスを受け止める。
「大丈夫かね?」
「……一応。でも逃がした」
 メフィスは舌打ちをして悔しがる。あれだけの捨て身にもかかわらず、サー・ジャバウォックを倒したという感触は得られなかった。恐らく生きているはいるのだろう。
 謡を足止めしているスナークがまだ起動しているのを見ると、その予感は外れというわけではないだろう。シーザーは改めて最強の猟書家に心から賛辞を送りつつ、腕の中のメフィスを丁重に扱うのだった。

 だが三人が刻み込んだ傷はサー・ジャバウォックにとっては致命的であった。もはや自然治癒だけでは完全に回復できるものではない。
 故にサー・ジャバウォックは異世界の侵入を諦めて、雌伏することを考えるかもしれない。だがそれを逃がすことがないのは猟兵という存在である。最後の追撃戦を、残る猟兵に託す三人であった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

黒影・兵庫
【蜂皇族】
虚構に対する疑念から生まれた怪物
まるで感染型UDCみたいな存在ですね
(「そうね、今回は姿が見えないのが厄介だけど」と頭の中の教導虫が話しかける)
はい!せんせー!気を付けます!
じゃ始めるよ!クロリア!

●防御
架空の怪物と言えど攻撃の瞬間は存在するはず!『オーラ防御』壁で身を護りながら『第六感』を『限界突破』レベルまで高めて攻撃を予測し、触れた瞬間に{皇糸虫}を『念動力』で操作して『捕縛』後『衝撃波』で迎撃してやります!

●反撃
(UC【光殺鉄道】を発動し黒影の影から芋虫が出現する)
光学兵さん!皆さんの光の刃で奴を焼き切ってください!
見えるけど回避不可の光速の刃だ!とくと味わえ!


播州・クロリア
【蜂皇族】
なるほど感染型UDC
そう思えばさほど脅威には...
おっと、油断はダラキュです
(肩幅ほどに足を開き、両手で太ももをなぞりながらゆっくりと上体を起こした後{紅焔の旋律}で『ダンス』を始める)

●防御
『オーラ防御』壁で身を護りながら『催眠術』による認識阻害で生み出した『残像』を攻撃するよう『誘惑』することで回避し{紅焔の旋律}で生み出した炎と『衝撃波』で『属性攻撃』を行い迎撃します

●反撃
(UC【蠱の腕】を発動し{錆色の腕}を刃の鞭に変化させ『怪力』で鞭を振るい『念動力』で操作し攻撃する)
光の刃と鞭、大変ですね
あ、そことそこ...光の刃が通過しました
(ダンスで光の刃を回避しながら)



 最強の猟書家にして、強者が集うヒーローズアースに侵攻しようとしたサー・ジャバウォック。竜人であるが故に力も絶大、斬竜剣ヴォーパル・ソードや侵略蔵書「秘密結社スナーク」も携え、準備は万端だったはずだった。
 だが現在の在り様は敗軍の将そのものであった。すでに竜人形態には移行できずに、身体には癒しきれないほどの傷を負い、大きく疲労もしている。
 この状態ではとてもではないがヒーローズアースへたどり着いてもオウガ・フォーミュラとして君臨することなどできない。故にここは一度戦場からの撤退をし、再び力を蓄えることも思案するサー・ジャバウォック。
「虚構に対する疑念から生まれた怪物。まるで感染型UDCみたいな存在ですね」
「なるほど感染型UDC。そう思えばさほど脅威には……」
 そんなサー・ジャバウォックの前に虚構の怪物スナークについて討論しながら近づいてくる黒影・兵庫(不惑の尖兵・f17150)と播州・クロリア(リアを充足せし者・f23522)。
 二人はコンビを組んでサー・ジャバウォック対策を練ったりもしていたが、奇しくもその相手がとどめを刺せるかもしれない状態で出会うことができた。
「随分ボロボロだな」
「おや、手負いの獣は何とやらを知らないのですか?」
 兵庫がそう漏らすも、サー・ジャバウォックは一切悲愴な顔を見せることはない。むしろ気炎を上げて兵庫とクロリアを討とうと死力を尽くそうとするのが感じられる。
「おっと、油断はダラキュです」
(クロリアの言う通りです。スナークは感染型に似ているとはいえ、今回は姿が見えないのが厄介なので気を付けて)
「はい! せんせー! 気を付けます! じゃ始めるよ! クロリア!」
 クロリアと脳の中の教導虫の進言で気を引き締める兵庫。油断が突けなくて残念と思うも、サー・ジャバウォックはそのまま架空の怪物スナークを生み出し、二人に解き放つ。
 不可視の怪物な上に、人々の噂や疑念から生まれた怪物はどんな形状かすらもわからない。つまり攻撃の間合いもタイミングもスピードも察することのできないものである。
「架空の怪物と言えど攻撃の瞬間は存在するはず!」
 兵庫はそう覚悟を決めて、スナークの攻撃の瞬間に注力する為、オーラによる防御壁を張る。そして脳の中の教導虫にも協力して貰い、勘と呼ばれる周囲の機微に反応できる感覚を最大限に高める身体能力向上を図る。
 そしてスナークがオーラ防御壁を突破しようとした瞬間、その行動に即座に反応する。皇糸虫の軽量だが頑丈な糸を兵庫の念動力で動かし、スナークを絡めとる。そしてそのまま締め上げて衝撃波で首らしき所を折って怪物退治を成し遂げる。
「兵庫やりますね。私も負けていられません」
 一方のクロリアは肩幅ほどに足を開き、両手で太ももをなぞりながらゆっくりと上体を起こした後、「紅焔の旋律」のダンスをし始める。天を衝かんと燃え上がり、鎮まることなく燃え広がる炎を表現した情熱と欲望のリズムを刻み、防御態勢を整えながらもスナークを待ち構える。
 だがその踊りの中にもすでにクロリアは仕掛けを施している。陽炎のように揺らめく所作は催眠術のようなものを引き起こし、まるでそこにクロリアがいるかのように何もないところに攻撃を誘導する。何もないところで地面が炸裂する。
「そこです!」
 その炸裂音を聞いたクロリアが「紅焔の旋律」によって生み出していた焔を薙ぎ払うかのような蹴りと共にその方向に放つ。衝撃波に乗った炎は辺り一帯を焼き尽くし、不可視の怪物に炎が取り付いて輪郭を現す。
 叫び声すら上げることない怪物ではあるが、その頭部らしき部分にクロリアが強烈なかかと落としを喰らわせて沈黙させる。紅焔と共に頭を焼き尽くし、頭蓋を砕き切ったようだ。

「初手はやられましたか。だがまだですよ」
 だがサー・ジャバウォックが生み出せるスナークは各自一体ではない。次々と生み出して数で圧倒して、兵庫とクロリアを圧し潰す気でいるようだ。
「させませんよ」
「おっしゃ、一気にいくぜ。光学兵の皆さん!」
 スナークが大量に生み出される前にサー・ジャバウォックを叩く。二人の意志は一致していた。まずはダンスからの旋律を刻みながら、クロリアは能力「蠱の腕(コノウデ)」を発動させる。
 意思に従い千変万化する鋼より硬い錆色の腕は、刃の鞭に変化させ、自身の念動力によって変幻自在に操っていく。不規則で高速の刀の鞭がサー・ジャバウォックの周辺を乱舞し、スナークを斬り刻むと共に、彼自身の身へと迫る。
「なんという鞭、いや刃の乱舞か」
 斬竜剣ヴォーパル・ソードで応戦するも、身体が疲労と負傷している為にうまく捌くことができない。そこに兵庫の能力「光殺鉄道(コウサツテツドウ)」が生み出した鉄道虫達が襲い掛かる。
「皆さんの光の刃で奴を焼き切ってください!」
 その号令と共に数百を超える鉄道虫から光学レーザーが放射される。触れれば肉を斬り裂き骨を断つ威力のレーザー。それが数百を超えて振るわれるとなればもはや悪夢である。
「う、うおおおおおおおお!」
「見えるけど回避不可の光速の刃だ! とくと味わえ!」
 サー・ジャバウォックもスナークを生み出し続けて盾として展開するも、圧倒的手数のレーザーの刃を前になすすべもなく両断されていく。サー・ジャバウォックの逃げ場が徐々になくなっていく。
「光の刃と鞭、大変ですね。あ、そことそこ...光の刃が通過しました」
 クロリアは兵庫の鉄道虫のレーザー斬撃の中でもダンスを刻みながら回避して、刃の鞭の腕を振るい続ける。ヴォーパル・ソードによる受けを誘い、兵庫の鉄道虫に集中させない為だ。
 そしてついに限界は訪れる。サー・ジャバウォックのヴォーパルソードの防御を突破したクロリアの刃の鞭がその頸動脈を斬り裂く。そして一瞬躊躇して侵略蔵書「秘密結社スナーク」を落とし、盾のスナークが増産されなくなる。
「これで、終わりだ!」
 鉄道虫の数百のレーザー刃がサー・ジャバウォックの身体を切り刻んでいく。もはや無事な箇所など存在しないくらいに血まみれとなったサー・ジャバウォックの命運はここに尽きる。
「私が、ここで終わるとは……これが、オブリビオン・フォーミュラを倒し続ける猟兵の、力、か……」
 最後に猟兵の力を思い知ったサー・ジャバウォックは倒れ、その肉体は骸の海へと帰っていく。すでに猟書家としての力は残っていないのか侵略蔵書も跡形もなく消え去っていく。

 かくして最強の猟書家にして、ヒーローズアースへの侵攻を計画したサー・ジャバウォックはアリスラビリンスから出る間もなく、猟書家最初の撃破者となった。
 力は確かにあったが、猟兵の力がそれを上回ったということだろう。だがサー・ジャバウォックが奪った力は、オウガ・オリジンの元へと戻った。これからさらなる激闘が予想される。
 だが猟兵達ならば負けることはないだろう。その力を油断することなく振るい続ければ、きっと救いは見えるのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月16日


挿絵イラスト