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迷宮災厄戦⑲〜虚構は語る

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦 #猟書家 #サー・ジャバウォック

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#サー・ジャバウォック


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●虚構の繰り手
「……ほう」
 ぱたり、と手に持った書を閉じて。猟書家『サー・ジャバウォック』は、こちらへ恐ろしい程の殺気が満ちていることに気付く。
 視線を凝らしても、その存在を認識することはできない。だが。
「視られているようですね。成程……書架の王が仰る、六番目の猟兵とやらがとうとう此処まで到達したようです」
 ばさりと赤黒い翼と尾を翻し、ジャバウォックは優雅にその場から立ち上がる。
「貴方たちの判断は実に正しい。われらが書架の王を除けば、私が最も強い事に異論はありません。まずは強者たる将を討ち取り、この戦いを有利に運ぶ。実に理知的な行動です」
 ジャバウォックは称賛する。しかし眼前に現れるだろう敵たちに、敬意を以て通告するだろう。
「ですが、脆弱な策略です。私の侵略蔵書『秘密結社スナーク』、そして『ヴォーパル・ソード』……この2つに、貴方たちは打ち勝てますか?」
 優しく微笑んだ老紳士は、モノクルの奥にある瞳の輝きを増大させる。その覇気は―――“ビブリオマニア”などという名称には似つかわしくないものだ。

「戦いの歴史は、いくら抗おうとも覆りはしないのですよ。かかってきなさい、六番目の猟兵たち」

●猟書家を討ち破れ
「皆、お疲れ様。とうとう猟書家の1人、『サー・ジャバウォック』に続く道が開かれた」
 集った猟兵たちの覇気は相当なもの。アイン・セラフィナイト(全智の蒐集者・f15171)が周囲に集う猟兵たちを見渡して、サー・ジャバウォックの情報を伝えていく。
「侵略蔵書『秘密結社スナーク』。存在しない非人道な組織について記載された虚構の書、それをジャバウォックはユーベルコードという形で使用してくる。それに加えて、竜さえも斬り裂く剣『ヴォーパル・ソード』の所持者だ。見た目こそ温和そうな老紳士だが、他の猟書家と比べてその戦闘力も桁違いだろう」
 魔法で投影された情報を掻き消して、アインは猟兵たちに通告する。
「ジャバウォックは先制攻撃してくる。『ユーベルコードに頼らない対抗策を練らない限り、厳しい戦いになる』だろう。どうにかして、ジャバウォックのユーベルコードの弱点を見出して反撃してくれ」
 ジャバウォックのユーベルコードは以下の3つ。
 架空の怪物、スナークの召喚。
 巨大なヴォーパル・ソードによる連続攻撃。
 そして、触れた者の五感を奪う形態変化。
 アインが杖を掲げる。転移の輝きに包まれた猟兵たちに、アインは激励の言葉を送る。
「ヒーローズアースまでも巻き込まれる事態、被害は最小限に食い止めなくちゃな……!頼んだぞ、皆!」
 転移先は、焼け焦げた森の国、燻る大森林の中だ。如何にして猟書家のユーベルコードを掻い潜るか。猟兵たちの知恵が試される。


夕陽
 猟書家『サー・ジャバウォック』。ブックドミネータを除く全猟書家の中で最強と謳う実力は如何に……!
 OPをご覧頂きありがとうございます。初めましての方は初めまして、すでにお会いしている方はこんにちはこんばんは、夕陽です。
 このシナリオは幹部戦となりますので、以下のプレイングボーナスが存在します。

 プレイングボーナス……敵の先制攻撃ユーベルコードに対処する。

 サー・ジャバウォックのユーベルコードに対して何の対策もなしにこちらのユーベルコードを使用した場合、『ジャバウォックのユーベルコードが先に発動』します。失敗判定はありませんが、『成功判定は厳しいもの』になるかもしれません。
 猟兵側がPOW判定によるユーベルコードを使用した場合、サー・ジャバウォックはPOWのユーベルコードを使用します。その他、SPD判定ならばSPD、WIZ判定ならばWIZのユーベルコードを使用してきますので、そのユーベルコードの対策をプレイングに明記してください。よろしくお願い致します。

 それでは、皆様のプレイングお待ちしております!
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第1章 ボス戦 『猟書家『サー・ジャバウォック』』

POW   :    侵略蔵書「秘密結社スナーク」
見えない【架空の怪物スナーク】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
SPD   :    ヴォーパル・ソード
【青白き斬竜剣ヴォーパル・ソード】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
WIZ   :    プロジェクト・ジャバウォック
【人間の『黒き悪意』を纏いし竜人形態】に変身し、武器「【ヴォーパル・ソード】」の威力増強と、【触れた者の五感を奪う黒翼】によるレベル×5km/hの飛翔能力を得る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

メンカル・プルモーサ
……さて、穏やかな老紳士の様に見えるけど……
こう言う輩が一番怖いんだよね…
…まずはその飛翔能力と威力増強を凌ぐ必要があるか…
…焼け焦げているとは言え、周囲にはまだ燃え残った木がある事だし…
これを盾…と言ってもすぐに破壊されるからむしろ、こちらから爆破して視界を遮るために使おうか…
…そして遅発連動術式【クロノス】により空中に近寄ったら発動する斥力障壁を多数設置、移動を阻害する罠として使うとしよう…
…稼いだ時間で【縋り弾ける幽か影】を起動…自爆ガジェットを最大脅威、つまりサー・ジャバウォックに殺到させる…
…これなら例え五感が封じられても関係なし…勝手に向かって行くからね…



●研究者 vs 虚構
 場に満ちる殺気に、ジャバウォックは口元をにこりと微笑ませた。
「ようこそ、六番目の猟兵とやら」
 焼け焦げた大森林、燻る草木を踏みしめて、1人の猟兵が猟書家最強の男と対峙する。
「……さて、穏やかな老紳士の様に見えるけど……お前みたいな輩が一番怖いって知ってる…」
「これはこれは。素晴らしい慧眼ですね、お嬢さん」
 眼鏡の奥の碧眼を細ませて、メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は、武器を構えずにその場でじっとジャバウォックを観察している。
「敵が麗しいレディと言えど、私も油断するわけにはいきません。さて、始めましょうか……!!」
 ばさり、と背中から巨大な黒翼を羽撃かせ、ジャバウォックは飛翔する。身体に纏わり付く瘴気のような黒の霞は人間の『黒き悪意』。【プロジェクト・ジャバウォック】によって活性化したヴォーパル・ソードを携えて、恐ろしい速度でメンカルへ肉薄した―――!
 圧倒的な暴風に、灰の髪がたなびく。襲い来る一撃を、とっさに後方へと跳躍することで回避、だが、ヴォーパル・ソードの切っ先がメンカルの服に触れた。
 刹那、周囲に存在する炭となった無数の木が連続で爆発した。蔓延する爆煙と、木屑に、ジャバウォックが黒翼で顔を覆う。
「五感を奪うなら、私の視界を奪う、ということですか。良い策謀です。ですが、貴女はもう木偶同然、もはや私の一撃を防ぐことなどできません!」
 爆煙を掻き分けて、メンカルが逃亡した先を追う。木々の合間をすり抜け、そして発見した少女は、全ての五感を奪われ地面にへたり込んでいた。
 ―――勝機。
 ジャバウォックが飛翔する。その刃を再びメンカルへ突き立てようと突撃したその瞬間だ。
「……!!なんですかこれは……!」
 その眼前に迫る数メートル前で、ジャバウォックが何かに阻まれた。切っ先を向けると、それに反発するように、何かの壁が存在するようだった。
「斥力……障壁……間に合った……かな……」
 たどたどしい言葉を連ね、メンカルはその術式を解放する。『遅発連動術式【クロノス】』。自身のあらゆるユーベルコード、術式を任意のタイミングで発現することができる魔法術式だ。
「見た目は少女ですが、その計略、軍師の1つに匹敵しますね。ですが、術式の効力はやがて消失する。五感を失われた貴女には、成す術など―――」
 ジャバウォックの言葉は、メンカルには聞こえていないはず。それだと言うのに。

 にこり、と笑った。

 その危機を察知できたのは、猟書家の頂点に立つ存在だからか。周囲に蔓延る不可視の音域。それが、こちらを追従してくる。

 連続した爆砕音。場を蹂躙する赤熱する熱波。

 飛翔して逃亡しようとしたジャバウォックは、すでに斥力障壁によって拘束されている。
 【縋り弾ける幽か影(ステルス・ボム)】。唱えられていたユーベルコードの超常は、余すことなくジャバウォックを蹂躙した。
「防御、反撃まで計算の内ですか……なんと恐ろしいお嬢さんでしょう」
 黒翼が傷つきながらもジャバウォックはその場に悠然と立ち続ける。転移の光に包まれた少女を見送って、老紳士は小さく呟いた。

 ―――見事。

大成功 🔵​🔵​🔵​

地籠・凌牙
【アドリブ連携歓迎】
書架の王を除けば最強だと自負してるだけはあるな……空気が死ぬ程ピリピリしてやがる。
だが、人の悪意をダシにしようとしてる奴にだけは負けるワケにはいかねえ!

【指定UC】で仲間を【鼓舞】、強化すると同時にみんなを「見えない怪物に攻撃されるという"不運"」を全て引き受け【おびき寄せ】る!
攻撃は可能な限り【第六感】で回避、受けたら【激痛耐性】で凌ぐ。
どんだけ相手が精密に見えない怪物を操作してこようが運は操作できねえだろ?さらにそれを逆手に取って【ダッシュ】で懐に飛び込み【怪力】【グラップル】でひっつけばもしかしたら俺が受ける攻撃に敵を巻き込めるかもな?不運も使いようって奴だ!


ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
アドリブ・連携OK


アンタが強かろうが弱かろうが、そんなものは大した問題じゃあないさ。
生きていくためには、戦うしかないんだからね。

さて、相手は見えない架空の怪物スナーク。
けどまあ、見えなくてもそこに居るんなら、
反響音を利用した反響定位で位置は分かるね。

そして、架空であるならユーベルコードで作られた生き物って事だし、
それなら古龍の戦斧でぶっ叩けばどんな生物として表れても倒せるはずだね。

スナークを倒したら、後は一気に走ってジャバウォックに接近。
【牙砕甲破】で、防御しようが構わず思いっきりぶん殴るよ。

戦いなんて生きてる限り無くなるもんじゃないけれど、
だったらわざわざ増やす必要も無いだろうさ。



●異形なるスナーク
「ふむ……次なる猟兵たちですか」
 背筋を伸ばしたその所作は、明らかに強者のそれだ。侵略蔵書を片手に持って佇むジャバウォック、地籠・凌牙(黒き竜の報讐者・f26317)はその覇気を肌で感じ取っていた。
「書架の王を除けば最強だと自負してるだけはあるな……空気が死ぬ程ピリピリしてやがる」
「殺気を感じるほどの実力はあるようですね」
「舐めるなよ、人の悪意をダシにしようとしてる奴にだけは負けるワケにはいかねえ!」
 ふっ、とジャバウォックが笑った。
 ぱらり、と侵略蔵書が開かれる。勝手に捲れていく書物のページが、そこで止まった。
「では、その悪意に打ち勝ってみなさい」
「―――!!」
 すでに、ジャバウォックのユーベルコードは発動している。後ろから何かを薙ぐような音。振り向いてすぐに回避を試みたが、どの方向から攻撃が来るのかが分からない。まともに攻撃を食らった凌牙が謎の存在『スナーク』の膂力によってふっ飛ばされ、近くにあった焼け落ちた木の幹に激突した。
「ぐ、お……!」
「ユーベルコードを使用する隙など与えませんよ、少年。どのような手段を取ろうと、スナークは君を確実に追い詰めるでしょう」
 途端に、凌牙の体が浮いた。謎の怪物スナークは“物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能”なのだ。
「その少年を私の元に連れてきなさい。せめて、私の剣で最期にさせよう」
「ぐ……こ、の……!!」
じたばたと藻掻く凌牙だが、触感から伝わるのは、巨大な手のような何か。それが、自分の体を包むように握りしめている。

 刹那。

 斬、と凌牙の横を戦斧の一撃が襲いかかった。謎の存在、スナークの声は聞こえないが、凌牙を捕らえていた手は離れたようだ。
「……ふむ」
「全く、随分と高慢な言い回しだね。アンタが強かろうが弱かろうが、そんなものは大した問題じゃあないさ。生きていくためには、戦うしかないんだからね」
 凌牙を庇うように立つのは、ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード(混沌獣・f07620)だ。
 異形の四肢を目の当たりにしたジャバウォックはしかし、再び、ふっと笑った。
「闘争を、戦いを必要としているなら、享受するのが私たちの仕事です」
「つべこべ煩いね。戦いなんて生きてる限り無くなるもんじゃないけれど、だったらわざわざ増やす必要も無いだろうさ」
 何かがこちらへと近づいてくる。ペトの視線がすでに“それ”を捉えていた。古竜の戦斧が翻り、とうとうのその怪物の胴体を捉えた。弾き飛ばされた謎の存在が、地面を削って近くの木へと激突、ひしゃげた木々へペトは踵を返して、ジャバウォックを睨む。
「目に見えない架空の怪物スナーク。だけど、見えなくてもそこにいるんなら対処法なんて簡単なのさ。反響音を利用すれば事足りる。この通りね」
「これはこれは……」
 ジャバウォックのセリフを遮り、超速の突進。圧倒的な膂力を持つ両足を投げ出して、全てを轢き殺すような一撃がジャバウォックへと降りかかる。回避しようとしたジャバウォックだが……
「逃さねぇぜ……!」
「!!」
 すでに、凌牙が猟書家の背後へと回っていた。四肢を拘束されたジャバウォックが眉間に皺を寄せる。
「くっ……!まさか、私の背後を取るとは……」
「喰らえッ!!」
 はっ、とジャバウォックが襲いかかってくるペトを視認する。衝撃波が迸り、ジャバウォックの体に強烈な一撃が放たれたかに見えた。
「いやはや、危ないところでした。翼で防御しなければ、存在を持っていかれていました」
 翼の鱗に破砕の痕が残っている。ヴォーパルソードを翻し、凌牙の拘束を振り切ると、そこにまた悠然と佇んだ。
「六番目の猟兵……なるほど、実に驚異的な存在ですね。ですが、私の悪意は尽きません。絶対にです」
 にこり、と微笑んだジャバウォック。傷つきながらも諦める様子を見せない猟書家の姿を見ながら、2人の猟兵は転移の輝きに包まれてグリモアベースに帰還したのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

天星・零
【戦闘知識+世界知識+情報収集+追跡】をし、戦況、地形、弱点死角を把握し、敵の行動を予測し柔軟に対応

※防御は【オーラ防御】で霊力の壁を作って威力軽減、防御

先制攻撃は上記技能を駆使し、※をしたり
地形を利用して回避
足元からグレイヴ・ロウを出しピストン要領で自分に当て瞬時に距離を取る
万が一の為【第六感】も働かせる

(僕はあんたのような奴は嫌いなんだよ)

遠距離は十の死とグレイヴ・ロウで戦況により対応
近接はØ

『飛翔しても無駄ですよ。この霧はどこまでも貴方を追い詰めますからね。』

指定UCを発動し強化、回復効果のプラス効果を反転し更に霧と武器で攻撃

更に武器で気をさらしてる間に虚鏡霊術で銃を作って急所に撃つ


オリヴィア・ローゼンタール
己を最強と称し憚らぬ、その増上慢を叩き斬る!

白き翼の姿に変身、飛翔(空中戦)
一方的に上を取られていては不利、こちらも飛んで対抗
大きな尾はバランスを取るのに有用だが、方向転換時に【見切り】易くなる筈
翼に直接触れぬよう、聖槍を【破魔】の力で覆い(オーラ防御)、【怪力】を以ってヴォーパル・ソードと斬り結ぶ

打ち合う間も聖なる力で槍をコーティングし続け(属性攻撃)、臨界を越えたたら(限界突破)、全霊の力(全力魔法)を以って【赫怒聖煌剣】で【蹂躙】する
聖煌剣よ! 悪意に塗れた邪竜を斬り裂けええええ!!



●悪意を断つ
「……これはまた」
 燻る木々の奥から現れる影に、ジャバウォックはまたにこりと微笑んだ。現れたのは、金の髪の少年。幼さの残る顔立ちながら、その佇まいは、修羅場を潜り抜けてきた戦士のそれに似て。
 ジャバウォック同様に、薄く微笑んだのは天星・零(零と夢幻、真実と虚構・f02413)だった。だが、猟書家最強の老紳士に向ける視線は、只々冷淡の一言に尽きた。
「ようこそ、少年。しかし……どういうことでしょう。なぜそれほどまでに私を敵視しているのか、理由を聞いても?」
 ジャバウォックの洞察力は飾りではない。零の温和そうな表情に潜む影は、それほどまでに強烈だった。
 ふっ、と小さく笑って、零は口を開く。
「わざわざ言う必要はないでしょう。僕は貴方を倒しに来たんです」
「成程、実に明快です。では……」
 ばさり、と黒翼が開かれる。ヴォーパルソードが活性化し、ジャバウォックが飛翔した。
あらゆる五感を封じる翼を眼前に羽撃かせ、そして通告する。

「悉く、斬り捨てましょう」

 零が大きく目を開く。こちらへと接近するその時間は、1秒に満たない。金の瞳の瞳孔が窄まり、その攻撃を見切ろうと、零はほぼ条件反射に等しい動作で『グレイヴ・ロウ』を発動させた。
 それは、ジャバウォックにではなく、自分自身に。グレイヴ・ロウが零の足元を突き上げると、その勢いを利用して刃が触れる数ミリのところで回避、超速で後方へ跳躍して回避する。
 もしジャバウォックの妨害に使用していれば、ヴォーパルソードによって零ごと叩き斬られていたことだろう。
 ふぅ、と小さく息を吐いて、それでも闘争の意志は緩めない。見事に斬竜剣の一撃を回避してみせた猟兵に、ジャバウォックは手を叩く。
「素晴らしいですね。私の一撃を回避するとは」
「貴方のユーベルコードはすでに知っています。それに対する対策を練るのは当然のこと」
「ふむ、少々見くびっていたようです。ならば……次の攻撃は見切れますか?」
 轟!と大気が斬り裂かれた。零へと超速飛翔で接近したジャバウォックが、再びその生命を狙おうと斬竜剣を振り上げる。

 ―――割り入った影は、ジャバウォックと対比するかのように、純白の閃き。

 甲高い音を立てて、斬竜剣と『破邪の聖槍』が拮抗する。蒼と金の光が迸り、その激突は斥力となって両者を弾いた。
「私の一撃を受け切るとは……!」
「少々出遅れましたが、あなたの横暴を食い止めることはできたようですね」
 純白の双翼がきらりと煌めく。銀の長髪がオーラによってゆらりと揺れ、オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)は聖槍の切っ先をジャバウォックへと突き付けた。
「己を最強と称し憚らぬ、その増上慢を叩き斬る!」
「ふふ、面白いお嬢さんですね。増上慢などではありません、周知の事実、というものですよ」
 再び、両者の刃がせめぎ合う。一撃ごとに蒼と金が弾け飛び、その度にオーラが爆ぜる。
ジャバウォックのその言葉は真実だった。斬り結んでいるように見えるが、斬竜剣の猛攻を防ぐだけで精一杯である。
 しかし後ろに控えていた猟兵は、その隙を見逃さない。確かに、その老紳士の実力は本物だった。最強の称号は真実だろう。それでも。
(僕はあんたのような奴は嫌いなんだよ)
 眼前に指を突きつける。白翼の猟兵と斬り結ぶジャバウォックに、告げた。
「貴方は、虚構という噂を語ることで世界を混乱に陥れようとしているようです。それなら、僕も“噂”で貴方を止めますよ」
「……なんですって?」
 オリヴィアの気合の一撃によって後ろへ後退したジャバウォックは、その少年の言葉を聞き逃さなかった。
 人差し指が、零の唇の前に当てられる。お伽噺を話すかのように、言の葉は紡がれた。

「昔の話です。その街はとある夜に濃い霧に包まれて皆死んでしまったんだって…」

 ユーベルコードの超常が発現する。【噂綴・壱「永眠街」(ウワサツヅリ・エイミンガイ)】。紡がれた噺は、空間に伝播する濃霧に転じて、ジャバウォックへ襲い来る―――!
 危険なものだと判断したジャバウォックの行動は速かった。すぐに飛翔し、放たれた濃霧から距離を取ろうと黒翼を展開する、が。
「―――!この霧、私を追跡……ッ!」
「飛翔しても無駄ですよ。この霧はどこまでも貴方を追い詰めますからね」
 濃霧は意志を持つかのようにジャバウォックに纏わり付く。と。
 びきり、とジャバウォックの翼と片腕の竜鱗にヒビが入っていく。あまりの激痛にジャバウォックが小さく呻いた。
「こ、れは……!私の強化を……反転しているのですか……!」
「貴方にとっては致命的なユーベルコードになるはずです。噺によって闘争を謀るなら、噺によってその身を滅ぼせばいい」
 少年の猟兵が踵を返した。隣に立つ純白の猟兵に、小さく「後は頼みます」と伝えて。

 ぶわり、と光の螺旋がオリヴィアの片手に纏わり付く。それは剣へと変化し、極光の如き瞬きが天を穿つかの如く閃く。
「聖煌剣よ!」
 その光は爆ぜた。万物全てを斬り裂く波動を内包した聖なる剣【赫怒の聖煌剣(レイジング・フォトンカリバー)】を前に、それでもジャバウォックの不敵な笑みは消えない。
「絢爛たる勝利の煌きで天地を照らし、怒りの刃で遍く邪悪を斬り伏せよ!」
ゆっくりと構える。ゆらり、と立ち上がったジャバウォックに向けて、その光の奔流は。

「悪意に塗れた邪竜を斬り裂けええええ!!」

 放たれた。
 すべてを飲み込む極光、それに呑まれながらも、斬竜剣が光を斬り裂き、その破滅を緩和していく。
 やがて沈静化した光の中、身体を燻ぶらせたジャバウォックは、弱々しくにこりと微笑んだ。
「全く……油断も隙もあったものではないですね」
 瞳の奥の輝きは、未だに失われてはいない。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

水鏡・怜悧
詠唱:改変、省略可
人格:アノン
「疑心暗鬼、って言うんだっけか。自分で戦わなくて何が楽しいのか知らねェが。まァ今はオレと殺し合おうぜ」
UDCを纏い狼耳と尻尾を生やす。手足にもUDCを纏って獣人のような姿になる(UCではなくアイテムとしての使用)
敵UCの1撃目は野生の勘で回避しそのままUDCの空中浮遊で飛ぶ。2撃目は空中戦の要領で躱し、3撃目は地上に降りて前方に飛び込みながら回避。そのまま肉薄するぜ。カウンターでUC発動、右手に雷属性の爪を構築、属性攻撃のマヒ攻撃。避けられても空中放電しながら追いすがり雷光で目つぶし。少しでも怯んだら柔らかそうな部位を狙って喰い千切ってやる(部位破壊)



●人獣一体
「疑心暗鬼、って言うんだっけか。自分で戦わなくて何が楽しいのか知らねェが。まァ今はオレと殺し合おうぜ」
「おや、まだ邪魔者がいるようですね」
 UDCの力を発現し、全身に黒く玉虫色に輝く流体金属を纏わせる黒髪の少年、水鏡・怜悧(ヒトを目指す者・f21278)。その力で狼耳と尻尾が生えた姿は、まるで獣人のそれだった。
 人格は普段の人格から変化し、アノンの人格が表に顕れている。獰猛な獣のような気配に、ジャバウォックは目を細めた。
「異端の力を行使し、自身の力を強化しましたか。しかし、無駄なことです」
 ジャバウォックのユーベルコードが発動する。片手に持った斬竜剣『ヴォーパル・ソード』が巨大化、自身の広範囲を薙ぎ払うために、軽々と振るわれたそれが怜悧―――アノンへと襲いかかる。
左から真横に振るわれるそれを、アノンは獣の勘によって見事に回避、2撃目は空中に翻り、既のところで避ける。そして3撃目は―――
 眼前に迫る刃。死の予感にその本能が警告を発する。それでもアノンは止まらない。瞳を大きく見開き、刃の軌道を的確に見極める。
 髪先が刃に触れて散った。全ての連撃を回避した猟兵に、ジャバウォックはほう、と小さく呟いた。
「成程、素晴らしい身のこなしですね。獣と成った本能全てを行使した回避、称賛に値します」
「お喋りしてる暇なんてないぜ……ジャバウォック!」
 四肢に力を込めて、前方に回避した身体をそのまま前へと押し出す。狼の狩猟に似た特攻に、ジャバウォックの目が微かに見開かれた。
 アノンの両腕に、UDCの液体金属が纏わり付く。液体だった金属の渦は雷電を纏う爪の篭手へと変化し、空間に雷撃の奔流が迸った。
 ばちり、と大気を裂き、振りかぶった雷の爪によって拡散、全てを焼き切る程の電流がジャバウォックの眼前を覆い隠した。
「……!目眩まし……ッ!」
 獣が咆えた。片腕で防御したジャバウォックの龍鱗が引き千切られる。鮮血が迸り、『秘密結社スナーク』の書に老紳士の血痕が刻まれる。
「……獣としての本能も、そして人間としての理性もある。実に厄介な存在です」
 龍鱗がアノンの口の中でばぎり、と折れた。深い紫の目の奥に隠れた獰猛性、その本性を見抜いたジャバウォックの苦渋の表情が、アノンの目から焼き付いて離れなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

朱酉・逢真
見えない怪物かィ。見えねえってだけで触れんわけじゃねえと。ンで、ユーベルコードを使用する場合は向こうが先に使うと。ほォん。ならこうしよう。
《獣・鳥・虫》を群れでバラまく。地上地中空中ぜんぶ埋めてやる。これでどこにいるかわかンだろ。スナーク・本体の攻撃も妨害できる。
わかりゃあとは簡単さ。ここは森だったんだろう。植物ってなァそう簡単にくたばらねえと教えてやらァ。
大地を突き破って伸びる植物がスナークどもをからめとって敵の兄さんに叩きつけるだろうさ。もちろん兄さんの方も植物は襲うのさ。イバラの海に溺れちまえ。



●疫毒の加護
「へぇ、見えない怪物かィ」
「……む」
 帽子を片手に、にこり、と感情を映さない笑みで微笑んだ新たな猟兵に、ジャバウォックは目を細める。
 彼岸花の紫色の羽織をひらりと翻した朱酉・逢真(朱ノ鳥・f16930)は、その評定のままジャバウォックへ語りかける。
「さァて。世界への侵略で世界に害を与えるってんのは別にどうでも良いんだ。だが許せねェのは……」
 帽子の陰から覗いた目は、昏い真紅に輝いている。
「勝手に“減らされちゃあ”困るんでねェ。要するに、お前さんは俺の敵ってわけだ」
 ふ、とジャバウォックが笑った。
「成程、私は知らぬ間に悪意を露呈してしまったということか。ならば、相応にその悪意を以て君を潰そう」
 ぱらぱら、と侵略蔵書『秘密結社スナーク』のページが開かれる。何かの気配、見えざる仮想の怪物『スナーク』が現れた証拠だ。
 ふぅ、と逢真が小さく息を吐く。
「見えねえってだけで触れんわけじゃねえと。そういうことだよなァ……ほォん。ならこうしよう」
 ばさり、と羽織が風によって大きくたなびく。
 ……いや、風ではない。うぞり、と。逢真の背後から這い出てくるのは、数多の獣。数多の鳥。数多の虫。場を蹂躙する疫病の使いたちが、総じて全ての空間を塗り潰した。
 逢真の紅の目がそれを見抜く。走りさった虫が、何かをよじ登るように大きく虚空を走ったのだ。それは人の形か、はたまた二足歩行の大きな腕の何かか。“秘密”を暴いた逢真がにやり、と口を歪ませた。
「ここは森だったんだろう?植物ってなァそう簡単にくたばらねえと教えてやらァ」
「……何!?」
 ばきり、とジャバウォックとスナークの地面が割れる。現れたのは葦のような植物の群れだ。転じてイバラの怒濤へと転じた植物の群れが、猟書家、スナーク全てを覆い尽くす。
 【《植》(マツロワヌモノ)】。スナークを軽々と持ち上げた植物たちが、ジャバウォックを覆い尽くしているイバラの上へとなんの躊躇いも投擲した。
 植物の蔦が切れる音と、地面が抉れる爆砕音。薄煙をヴォーパル・ソードで薙いで姿を表したジャバウォックの姿は、満身創痍に等しい。
「……スナークを見破られるとは驚きましたよ。全く、猟兵というのは実に興味深い存在です」
 口元から血を流す老紳士は、それでもにこりと笑っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レイチェル・ノースロップ
●POW
ドーモ、ブックドミネーターのサー・ジャバウォック=サン
貴方には何もGrudgeはありまセーン
けど、ほっとけば折角落ち着いたヒーローズアースがまた面倒な事になりマース
お姉さん好みの渋いイケオジだ・け・ど、心をOGERにしてSEIBAIしちゃうわよ

SAMONしたスナークは、ニンジャ【暗視】アイで熱探知【情報収集】するわ
消えていてもお姉さんの目は誤魔化せないわ
けどアンブッシュされちゃ困るから、イケオジ猟書家=サンを相手にする前にザンテツブレードの【カウンター】ギリで大人しくして貰うわよ
成功したら、透明のスナークを足場に【礼儀作法】のアイサツをしてっと
テンチュウ・ダイナミック、決めちゃうわよ?



●忍者・スタイル
「ドーモ、ブックドミネーターのサー・ジャバウォック=サン」
「……おや、次は麗しいレディですか。ですが、私はブックドミネーターではありません」
 レイチェル・ノースロップ(ニンジャネーム「スワローテイル」・f16433)の忍者装束に少し目を見開いたジャバウォックだったが、それでもこちらへ敵意を向けているのは分かったようだ。
 近代の装備を身に着けた女忍者は、続けて口を開く。
「貴方には何もGrudgeはありまセーン。けど、ほっとけば折角落ち着いたヒーローズアースがまた面倒な事になりマース」
 ザンテツブレードを構えて、得意気に微笑む。
「お姉さん好みの渋いイケオジだ・け・ど、心をOGERにしてSEIBAIしちゃうわよ」
「全く、猟兵というのは面白い者たちばかりです。ですが、ヒーローズアースは悪意に満ちる。誰にも邪魔などさせませんよ」
 侵略蔵書が開かれる。ぱらぱらと捲れているページがぴたり、と止まると、不可視の存在が姿を現した。
 何も見えず。その姿形も全てが不明だ。だが。
「スナークをSAMONしたのデスね!でもワタシにはノープロブレム!」
 レイチェルの眼光、瞳の奥の瞳孔が小さく細待った。レイチェルの生まれ持った視覚と、熱探知による周囲の索敵。
 にっ、とレイチェルが笑った。
「消えていてもお姉さんの目は誤魔化せないわ!」
 こちらへ巨大な腕を振り上げてくる。それを身軽な身のこなしで躱すと、ザンテツブレードを中空で一閃させた。他の人が見れば、虚空を斬るような一瞬の動作だっただろう。不可視の存在が斬り裂いた箇所から霧散し掻き消えていく。
 消えゆく頭を足場にして高く飛翔したレイチェルは、静かに言った。

「サー・ジャバウォック=サン、ハイクを……っていうのはやめにしておくわ」

 目が据わった。雰囲気の変化した女忍者の攻撃を防御しようとしたジャバウォックがすぐに退避行動に移る。身体に刻まれたザンテツブレードの傷によって、がくりと膝をついた。
「……これは不甲斐ない。敵の本質を見誤るとは」
 ザンテツブレードを鞘に差し入れるレイチェルの姿は、先程までの快活な雰囲気とかけ離れていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

アハト・アリスズナンバー
アドリブ連携歓迎

ジャバウォック、ですか。"それ"に打ち倒された獣が持つべき剣では無いでしょう。
――参ります。

相手のUCが起動されたのなら、こちらもUCを発動。
プロジェクト・ジャバウォック。使わせてもらいますよ。

こちらも同じく竜人形態になり、ヴォーパルソードにてお相手します。
空中を【ダッシュ】し、先に翼に触れさせて相手の五感を奪い、翼の【部位破壊】を狙います。
また、攻撃は可能な限り【第六感】【見切り】で回避しつつ【カウンター】を狙います。
後はレーザーライフルで【破魔】属性弾、【誘導弾】、【グラップル】弾を【一斉発射】。
グラップルを利用して【鎧無視攻撃】です。



●とある少女の物語
 ジャバウォックが片手の感覚を確かめるかのように、ぐっと右手を握りしめている。
(……そろそろ頃合いかもしれませんね)
 前方から歩いてきた少女の猟兵に、それでも老紳士は優しく微笑む。
「ジャバウォック、ですか。"それ"に打ち倒された獣が持つべき剣では無いでしょう」
「なに、起源が同じなら、私が持つべきだとは思いませんか、お嬢さん」
 ばさり、と黒翼が広がった。竜人と化していくジャバウォックを見つめ、アハト・アリスズナンバー(アリスズナンバー8号・f28285)はアリスズナンバーランスの柄を握り込む。
「―――参ります」
 ジャバウォックが凄まじいスピードで近接してくるのと、アハトがユーベルコードを発発現するのはほぼ同時だった。
「―――!!その本、私たちの真似事ですか……!」
「真似事かどうか、貴方自身が確かめればいいでしょう」
 とある空飛ぶ戦艦内で手に入れた白紙の書。どんな者が見ても、ただの本にしか見えないそれを、アハトは見出した。名を、【メガリス【童話語り】(メガリス・ストーリーテラー)】。
 対象のユーベルコードを記載する、未知のメガリスにして神秘の書だ。
 アハト自身もまた同様に、ジャバウォックの姿となって飛翔する。ヴォーパル・ソードが打ち鳴らされ、空に激突の線が引いた。白と黒。重なり合う攻防が虚空を割き、天を覆い、振り撒かれる黒と白の羽根が焼け焦げた大森林に降り注ぐ。
 ジャバウォックの刃の軌跡が衝撃波となってアハトを襲った。降り注ぐ死を同様に形成した仮想の斬竜剣にて相殺する。肉薄してくるジャバウォックに、片腕でその刃を受け止める―――!!
「真似事だというのに、私と同格……!!なんということでしょう!」
「貴方と同じように、私は死を恐れない。なぜならば……」
 まだ、“私”という存在は残っている。
 翼が触れたのはどちらが先だったのか。五感が奪われ、天地不明の感覚に両者が天空から墜落する。
 五感喪失のまま、アハトは勘を頼りにレーザーライフルはその先へ撃ち鳴らした。音も光もない無の世界、穿たれたのは天か、悪意か。
 森の木々に身体を打たれ、地面に横たわった両者は、それでも敗北を認めない。
(まだ、生きていますか……)
 全身に打撲を負いながら、アハトが転移の光に包まれて退避する。やがて五感を取り戻したジャバウォックが、肩口に空いた孔に手を置いた。
「……賭けに負けたのは、私でしたか」
 老紳士の、弱々しい声が燻る木々の合間に反響した。

成功 🔵​🔵​🔴​

ユージィーン・ダイオード

―ム。
たとえどんな強敵であろうと…
敵は全て殲滅(ターミネイト)するのみ…
それが僕に課せられた二つの使命(あと一つは借金返済)


先制攻撃…。
―緊急防御!!
アサルトライフルで『弾幕』を貼り接近を防ぎ、攻撃を逸らす…ぐッ(一回目)
バギーを『怪力』でひっくり返し、車底を盾に(二回目)
右手なのにレフトなレフトアームで『武器受け』(三回目)

ぐッ!!


レフトアーム破損…強制排除(パージ)
戦闘続行!!

―武装展開(オープン・コンバット)アサルトライフルを装備に選択(セレクト)
掃討火鼠…発動

装備した武装で『爆撃』し『制圧射撃』を行う。
全てを…殲滅する!!


他猟兵との連携
アドリブ
ok



●殲滅(ターミネイト)
よろり、とよろめきながら、ジャバウォックは現れた猟兵に柔らかく微笑んだ。
「……それでも、貴方達は私の普遍の悪意を否定するのですね」
「―ム。たとえどんな強敵であろうと…敵は全て殲滅(ターミネイト)するのみ…」
 大型銃器を肩に置いて、巨漢の男がジャバウォックと相対する。銃器の金属音を響かせて、その銃口を目の前の猟書家に突き付けたのはユージィーン・ダイオード(1000万Gの鉄面皮・f28841)だった。
「それが僕に課せられた2つの使命」
「ほう、もう1つの使命とはなんですか?」
「……お前に言う筋合いはない」
 確かに、とジャバウォックがふっ、と笑う。肥大化していくヴォーパル・ソードを軽々しく奮って、ジャバウォックの視線が猟兵を射抜く。

「私の竜滅の攻撃、防ぎ切ることはできますか?」

 大気を斬る、恐ろしい音が聞こえる。サングラス奥の紅の眼光を瞬かせ、ユージィーンがその先制攻撃に対処すべく、片手に持ったアサルトライフルを撃ち鳴らした!
 強烈な弾幕によって接近しようとしたジャバウォックが距離を取る。ヴォーパル・ソードの一撃がユージィーンの眼前を通り過ぎた。
「…ぐッ」
 真横に存在していた『武装バギー』をサイボーグ特有の怪力でひっくり返し防御……したが、あまりの鋭い一撃に両断、危険を察知したユージィーンがバギーから離れると、刹那爆発。黒煙が周囲を覆う。
「やりますね……ですが、これならどうでしょう!」
「―――!!」
迫りくるヴォーパル・ソードの刃、黒煙を斬り裂くように突き付けられた一撃。回避しようがない。

 だが。

「……まさか」
「僕のレフトアームは、強化型駆動システムを内蔵した強力な機械腕。たとえこの腕が砕けようと……ッ!」
 ユージィーンの機械腕が見事にその一撃を受け止めた。白い煙を吐き出して、レフトアームが強制パージされた。しかも、ヴォーパル・ソードを掴んだまま。

「武装展開(オープン・コンバット)……選択(セレクト)……掃討火鼠…発動」
 ジャバウォックは、すでにユージィーンにて捕捉されている。逃げ切ることなど出来はしない。
「敵存在(ターゲット)を視認。これより全てを…殲滅する!」
 ユージィーンの持つ全ての銃器が放射される。場を蹂躙するほどの銃弾の驟雨を受けて、ジャバウォックの翼も龍鱗も、その全てが打ち砕かれた。
 銃撃音が沈静化した後、爆発によって燻っている木の1つにもたれかかるように、ジャバウォックは沈黙していた。
「……私の完敗のようです。見えざる悪意……かの世界に再び闘争が戻ることを願っていましたが……残念です」
 ざあ、と塵となって消え失せていく老紳士の猟書家。踵を返しユージィーンがグリモアベースへと帰還する。沈静化した不思議の国に、ジャバウォックの斬竜剣が遺されていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月16日


挿絵イラスト