花ざかりの海庭と寂しがり屋な魔女
●夏花彩る海の庭
見渡す限りどこまでも続く青々とした水の世界が広がっている。
サンゴやイソギンチャクが彩る海底を小さな熱帯魚たちが楽しそうに泳ぎ回り、その頭上を巨大な魚影がゆったりと通り過ぎていった。
そんなどこにでもありそうなサンゴ礁の楽園だったが、他とは少し趣が異なる。
赤いハイビスカス、青や紫色の朝顔、そして黄色いヒマワリ――。
海中だというのに花々が咲き誇る、不思議な海の庭。
『――ふむ、今度はあの島へ行ってみようか』
海中に沈む深海島へと1人のコンキスタドールが目を付けた。
この島の住人ならば、自身の願いを叶えてくれるかもしれない――そんな望みを胸に抱いていることなど、誰も夢にも思わないで。
●花ざかりの海庭と寂しがり屋な魔女
「ねぇ、みんな深海島って知ってる?」
集まった猟兵達の顔をぐるりと見回し、ユニ・エクスマキナ(ハローワールド・f04544)は慣れた手付きで手元の端末を操作する。
宙に浮いたモニターに映し出されたのは、空気の泡で包まれた巻貝や珊瑚で作られた町並みが美しい海の中に沈む島だった。
「ここが今回の舞台――チャイナローズ・アイランドなのね」
この海の中の島にもコンキスタドールの魔の手が迫っている――そう、ユニは告げるとグッと拳を握り締めて話を続ける。
「戦場も海の中になるかと思うけど、そこは心配しないで!」
深海島からは『空気の泡』がボコボコと大量に湧き上がっており、これを吸いながら潜れば、海の中で息ができない者でも問題なく戦えるという。
――それは、コンキスタドールも同じ。
「最初に集団でコンキスタドールが攻めてくるみたい。だから、まずは彼らを撃退してほしいのね」
このコンキスタドールの群れを率いていたボスが攻めてくるまでには少しの間猶予がありそうだとのこと。
なので、ボスが攻めてくるまでの間、しばしこの島の『名物』を堪能してはどうだろうかというのがユニの提案だった。
「海中にキレイなお花が咲いている場所があるんだって!」
夏の花に彩られた海の庭を可愛らしい魚たちと一緒に泳ぐことができるだなんてステキとユニはうっとりとした面持ちで語る。
そうして気分をリフレッシュした後は、島へ襲来してきたボスを倒してほしいというのが今回の依頼内容のようだ。
一通りの説明を終えたユニだったが、「あのね」と躊躇いがちに言葉を紡ぐ。
「コンキスタドールの群れを率いているボスのことなんだけど……何か、この島でやりたいことがあるみたいなのね」
――やりたいというか、叶えたいことというか。
詳しいことがわからなくてごめんなさい、とユニは両手を合わせて頭を下げた。
「とにかく、島を守ることが最優先なのね! それじゃ、みんな気を付けてね!」
いってらっしゃい、と見送るユニの手元で、グリモアが太陽の陽射しを受けてキラリと光る。
目指すは蒼い海の世界、グリードオーシャン――。
春風わかな
はじめまして、またはこんにちは。春風わかなと申します。
オープニングをご覧いただきありがとうございます。
●プレイング受付について
【8月28日(金)8時31分から】プレイングを受け付けます。
必要成功度に十分なプレイングを頂戴したら早めに受付を締め切る可能性があること、ご了承ください。目安は【5~6名】です。
なお、締め切りやリプレイに関するご連絡は、マスターページにて行います。
お手数ですが、送信前にご確認をお願い致します。
●シナリオの流れ
第1章:マンティコアキッズ(集団戦)
第2章:夏花揺蕩う海の庭(日常)
第3章:???(ボス戦)
●第1章について
腹ペコなマンティコアキッズたちとの集団戦です。
オープニングにある通り、海中での戦いになりますが、海の中でも皆様問題なく戦うことが可能です。(不利になるようなことはありません)
●第2章、第3章について
各章開始時に詳細を追加し、マスターページを更新いたします。
●共同プレイングについて
ご一緒される方のID(グループ名も可)を記載ください。
また、失効日が同じになるように送信していただけると大変助かります。
以上、皆さまのご参加を心よりお待ちしております。
第1章 集団戦
『マンティコアキッズ』
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POW : こいつをたおしたらご飯にしような!
【食欲】の感情を爆発させる事により、感情の強さに比例して、自身の身体サイズと戦闘能力が増大する。
SPD : もうちょっとだけがんばる!
【お昼寝の時間までがんばる気持ち】を一時的に増強し、全ての能力を6倍にする。ただし、レベル秒後に1分間の昏睡状態に陥る。
WIZ : 今がチャンスだけどおやつが食べたい…
あらゆる行動に成功する。ただし、自身の【おやつ】を困難さに応じた量だけ代償にできなければ失敗する。
イラスト:芳乃弥生
👑11
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ザブン、と白い水飛沫をあげて海の中へと飛び込む。
ゆっくりと潜りながら目を凝らしてみると、海の中に島が見えた。
――あれが、深海島に違いない。
話に聞いていた通り、島からは空気の泡がボコボコと沸き上がっている。
近づいて、そっと泡を吸い込んでみると、水中だというのにいつもと違わずに息を吸うことが出来た。
『あの島にいけば、何か美味いもんが食えるかなぁ』
『何があるだろう? すげー楽しみ!』
声の主はすぐにわかった――獅子のような下半身にサソリの尻尾を持った、子供たち。
彼らマンティコアキッズが深海島を襲撃しようとしているコンキスタドールに間違いないだろう。
『さぁ、早く島に行って美味いもんいーっぱい食ってやろうぜ!』
島に行けば何が食べられるのかと心躍らせ、腹ペコキッズたちは、本能のまま、島へ攻め込まんとしていた――。
ゾーヤ・ヴィルコラカ
青い海、美しい花たち、とってもとってもきれいね! こんなにきれいで不思議な海に入るのは初めてだから、なんだかすっごくワクワクしちゃうわ!
……ところで、水に囲まれてるってことは、氷属性を使う私にはもってこいの環境ってことよね? テンション上げて迎撃するわ!
「キミたちには悪いけれど、この島は諦めてもらうから!」
そう言って彼らをひと睨みして〈先制攻撃〉、【UC:絶対零度の眼差し(コキュートス・アイズ)】(WIZ) で生成した氷が彼らに向かって魚雷のように飛んでいくわ。
あとはダメ押しの〈属性攻撃〉〈高速詠唱〉、少ない空気でも発動できるように圧縮した呪文で彼らに氷を飛ばして撃退するわね。
天霧・雨吹
やれやれ……
他人様の住処を荒らすとは、随分と行儀が悪いね
反省して引き上げるなら善し
あくまで向かってくる気であれば、お仕置き、かな
それにしても塩気のある水というのも
人型のまま水中で動くというのも
何とも不思議な心地がするね
この心地を存分に堪能する為にも
お仕置きを済ませてしまおうか
水中で雷の技は相性が悪いかと
刀を振るうに専念を
腕を切り落せば、食べたくとも食べられまい
ああ、それよりも
首と胴が離れたら、食欲も要らなくなるだろう
ひもじい思いで他人様を襲わざるを得ないのも哀れなこと
さくり、さくりと斬って終わりにしよう
●
「どこまでも続く青い海、とってもとってもきれいね!」
海に潜り、天を仰げば、眩しい太陽の光を浴びてキラキラと輝く青い海が頭上いっぱいに広がっている。
珊瑚や巻貝で彩られた深海島からボコボコと上がる白い空気の泡を見つめ、ゾーヤ・ヴィルコラカ(氷華纏いし人狼聖者・f29247)は独り言ちた。
ゾーヤはワクワクしながら美しい花々が咲く海の庭はどこだろうかと目を凝らす。
海中にある島というのも初めてだし、こんなにきれいで不思議な海に入るのだって、ゾーヤにとって初めての体験だ。
一方、天霧・雨吹(竜神の神器遣い・f28091)はゾーヤとはまた異なる感覚に身を委ねていた。
(「塩気のある水というのも、人型のまま水中で動くというのも。何とも不思議な心地がするね……」)
深山幽谷の滝底から出でた竜神に、『海』は無縁の存在だった。
しかし、他人様の住処を荒らさんとする行儀の悪い輩がいると聞けば、放っておくのも気がひける。
「反省して引き上げるなら善し。あくまで向かってくる気であれば……お仕置き、かな」
雨吹がマンティコアキッズたちに向かって語りかけた。
……しかし。
『なぁ、アイツら食ったら美味いかな?』
『うーん、あんまり美味そうじゃないけど、腹ペコだから食っちゃう?』
『もう何でもいいから全部食っちゃおうぜ!』
反省する様子など微塵もみせないどころか、雨吹たちを食べるかどうかの議論に花を咲かせている。
「えぇぇっ、食べても美味しくないんですけど!?」
とんでもない! とゾーヤは慌てて顔の前でブンブンと大きく手を振った。
やれやれと肩をすくめ、雨吹はふぅと溜息をつく。
「お仕置き決定、だね」
――そうと決まればやるべきことに迷いはない。
この不思議な心地を存分に堪能するためにもさっさとお仕置きを済まそうかと、雨吹は静かに刀に手を添えた。
食欲に支配されたマンティコアキッズたちは、海中をものともせずに軽やかに動き、小さな身体からは想像もできない力でゾーヤたちへと殴りかかってくる。
「あぁー……もぅっ!」
寸でのところでマンティコアキッズたちの攻撃をかわしたゾーヤは、イラっとした様子で頬を膨らませるも、すぐにはっとあることに気が付き、顔を輝かせる。
「こうして水に囲まれてるってことは、氷属性を使う私にはもってこいの環境ってことよね?」
――これって、私にとってベストな環境じゃない!?
一気にテンションがあがったゾーヤは、マンティコアキッズたちに向かってピシリと指をさすと堂々と口を開いた。
「キミたちには悪いけれど、この島は諦めてもらうから!」
そして、キッとマンティコアキッズたちを一睨みするのを合図に、ゾーヤの周囲にいくつもの氷塊が出現する。
「この咎人め! これでも食らいなさい!!」
サッとゾーヤが手を振ると、氷塊はまるで魚雷のように次々とマンティコアキッズたちを追撃した。
『わっ、何だこれ!?』
氷の塊から逃げようと泳ぎ回るマンティコアキッズたち。一気に形勢は逆転したかのように見える。
「――ふむ、氷の術か」
得意の氷を操る攻撃で次々とマンティコアキッズを撃退するゾーヤを雨吹は感心した面持ちで見つめていた。
「私の雷の技も披露したいが……生憎と水中では相性が芳しくないな」
残念そうな表情を見せるも、一瞬のこと。
氷塊に気を取られたマンティコアキッズの腕をスパンと切り落とす。
「腕を切り落せば、食べたくとも食べられまい」
ああ、それよりも、首と胴が離れたら、食欲も要らなくなるだろうか。
刀を振るう雨吹の姿は、まるで舞を踊っているかのように優雅で、美しく。
彼が刀を振るうたびに、さくり、さくりとコンキスタドールを斬り伏せていった。
(「ひもじい思いで他人様を襲わざるを得ないのも、哀れなこと」)
「これで、終わりねっ!」
ゾーヤの放った氷塊と、雨吹の一太刀によって最後のマンティコアキッズの姿が消える。
静寂を取り戻した海では、空気の泡が昇る音だけが、辺りに響き渡っていた――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
マクベス・メインクーン
グラナトさん(f16720)と
前にも深海にある島に行ったけど
やっぱ海の中にある島って不思議な感じするよなぁ
デートを楽しむ為にも、アイツらに暴れられたら困るし
さっさとやっつけてやろうぜっ、グラナトさん!
水の精霊を使役して、海ん中でも問題なく動けるようにするぜっ
グラナトさんも水苦手だろうけどこれなら大丈夫そう?
銃に風の精霊を纏わせて【先制攻撃】でUC使用
風【属性攻撃】【範囲攻撃】【2回攻撃】で数を減らしにいく
今だよ、グラナトさんっ
へへっ、オレが渡した精霊が役に立ったならよかった♪
いつもはグラナトさんの加護にオレが守られてるけど
今回グラナトさんを助けられたの、嬉しい
グラナト・ラガルティハ
マクベス(f15930)と
海中で戦闘か…影響がない事はわかっているのだが前にも言ったがやはり属性的に落ち着かんな…。
だがマクベスもいるしマクベスにもらった水の精霊もいるから大丈夫のはず…いや大丈夫だ。
マンティコアとは恐ろしい怪物だったように思うのだが…まぁ、子供だしな。
尻尾の蠍の尾に少し親近感が湧かんでもないがコンキスタドールを島に入れさせるわけにはいかんからな。
せっかくだ頼らせてもらおう。
UC【リヴァイアサン召喚】
海中はお前の領分だ存分に力を発揮するといい。
まぁ、マクベスにもらった指輪と精霊が居なければ呼ぶことすらできんのだが。
ん?マクベスには普段から助けられているぞ。ありがとうマクベス。
●
しっかりと繋いだ手をぎゅっと握り締め、二人同時にバシャンと勢いよく海へと潜る。
ボコボコと島から湧き上がる空気の泡に触れたと思った瞬間、息苦しさは消え、地上にいるのと何ら変わりない感覚に戻っていた。 早速、マクベス・メインクーン(ツッコミを宿命づけられた少年・f15930)は水の精霊を使役し、スイスイと難なく水中を動き回る。
一方、火炎を司る神であるグラナト・ラガルティハ(火炎纏う蠍の神・f16720)の気持ちは落ち着かない。
これならば海中での戦いであっても懸念はないと断言できると確証を得ることはできたのだが、ザワザワと胸騒ぎがするのだ。
と、そこへ物珍しそうに海の中を散策していたマクベスが戻ってきて、グラナトに話し掛けた。
「前にも深海にある島に行ったけど、やっぱ海の中にある島って不思議な感じするよなぁ」
好奇に満ちた青い瞳を輝かせていたマクベスだったが、すぐに普段と違うグラナトの様子に気づいたのか、心配そうに耳を伏せる。
「グラナトさん、水、苦手だよな?」
「いや、……心配ない」
マクベスに心配をかけまいとグラナトは首を横に振った。
でも……と心配そうな視線を向けるマクベスを元気づけるようにグラナトは力強く頷くと、アクアブルーの石が嵌め込まれた大切なシルバーリングを掲げて見せる。
「マクベスもいるし、マクベスにもらった水の精霊もいるからな」
グラナトの言葉にマクベスは嬉しそうにパッと顔を輝かせると声を弾ませて言った。
「デートを楽しむ為にも、アイツらに暴れられたら困るし、さっさとやっつけてやろうぜっ!」
最初に動いたのはマクベスだった。
愛用の魔装銃に風の精霊を纏わせると、素早く態勢を整えてマンティコアキッズたちへと向かって銃弾を放つ。
「てめぇにゃ、コイツをお見舞いするぜっ!」
両手に握った魔装銃から撃たれた風の精霊の力を籠めた弾は、銃弾の雨となってコンキスタドールへと降り注いだ。
『むむむっ、やったなー!』
予期せぬ先制攻撃に怯んだ事実を隠そうと、マンティコアキッズたちはガァッと両手をあげて威嚇するが、イマイチ迫力が感じられない。
「マンティコアとは恐ろしい怪物だったように思うのだが……」
グラナトの知っているマンティコアとは似ても似つかぬマンティコアキッズを前にして思わず頭を捻るも、「子供だしな」と独り納得をする。
マンティコアキッズたちの攻撃にあわせてぴょこぴょこと揺れる蠍の尻尾にも、親近感が沸かないといえば嘘になるのだが……。
「もー、グラナトさんってば、何、ぼんやりしてるの!?」
つい思いに耽るグラナトに、思わずマクベスが声をかけるや否や、好機と思ったのかマンティコアキッズがグラナトへと襲い掛かる。
「グラナトさんっ!!」
だが、戦の神は狼狽える様子もなく、蠍の剣でマンティコアキッズの攻撃を落ち着いて受け流すと、紺碧の指輪を天に掲げた。
「せっかくだ。頼らせてもらおう」
グラナトは碧い指輪に祈りを込めると水の精霊リヴァイアサンを召喚する。
「海中はお前の領分だ。存分に力を発揮するといい」
青く輝く竜に似た鱗を持った水の精霊は、召喚主の願いを聞くとマンティコアキッズたちへと襲い掛かった。
リヴァイアサンの攻撃から逃げようとするマンティコアキッズたちの退路を塞ぐように、マクベスもまた魔装銃の狙いを定め、広範囲に風の銃弾を撃ち散らす。
「今だよ、グラナトさんっ」
マクベスの言葉にグラナトは小さく頷くと、短くリヴァイアサンへと攻撃を命じた。
「コンキスタドールを島に入れさせるわけにはいかん――お前の力を見せてやれ」
マンティコアキッズたちを一掃し、マクベスは満面の笑みをグラナトに向ける。
「グラナトさん、すごく格好良かったっ」
特にあのリヴァイアサンを召喚してコンキスタドールを一掃したとことか、と矢継ぎ早にグラナトを褒め称えるマクベスに、グラナトは意外そうに口を開いた。
「そうか? マクベスにもらった指輪と精霊が居なければ呼ぶことすらできんのだが」
「へへっ、オレが渡した精霊が役に立ったならよかった♪」
嬉しそうにマクベスは言うと「だって」と言葉を紡ぐ。
「いつもはグラナトさんの加護にオレが守られてるけど、今回グラナトさんを助けられたの、めっちゃ嬉しい」
マクベスの言葉にグラナトは意外そうな顔を向けると、むむっと首を傾げた。
「ん? マクベスには普段から助けられているぞ」
思い掛けないグラナトの言葉に、マクベスは「えっ」と思わず息を呑む。
「そっか……オレ、グラナトさんのこと、助けることできてるんだ」
「ああ。いつもありがとう、マクベス」
優しい眼差しを向ける金色の瞳に、マクベスは太陽にも負けない眩しい笑みを浮かべて大きく頷くのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
スピーリ・ウルプタス
「なんと。海の中に潜れると。
湿ったとしてもそれはそれで新たな感覚を得られそうです」
海中戦に意気揚々と参戦
腰に括りつけてる『本体=本』は果たして無事であろうか
無事でも無事でなくとも喜ぶであろう変人
「ダイ様(召喚大蛇)にも是非この冷たさと浮遊感を楽しんで欲しいですね!」
UC発動。すっかりウミヘビ状態な大蛇
「さすがダイ様!素晴らしい泳ぎです!」
「おっといけない…息苦しさも愛おしくてつい」
時々水泡で息するの忘れては、いそいそ呼吸したり
キッズにかじられそうなお仲間様いれば、かばってかじられたり(不可でもOK
「がじがじされる、これは新鮮な痛みですね!」
悦ぶだけな変人
自分を囮にし、大蛇に攻撃させるスタイル
ズァイ・コッペ
海の世界のお話なら参加したいカニィ!
かにさんの出番…だったらいいなぁカニィ…。
基本水中不利は無いみたいだけど、「水泳」や「高速泳法」「水中機動」
「水中戦」技能は使えるなら使って有利を取っていきたいカニィ。
銭湯方針に関しては、機動で優ってからの、技能「気絶」「目潰し」や
「継続ダメージ」で相手を動かせない、強化状態を凌いで過ごす
方針で行きたいカニィ。
なので、ゆーべるこーどは相手の動きを阻害する、蟹光線でじゅわじゅわ
するカニィ。
●
「なんと。海の中に潜れると……」
思わず感嘆の声をあげるスピーリ・ウルプタス(柔和なヤドリ変態ガミ・f29171)だったが、最後まで台詞を言い終わる前に海の中に潜って……いや、落ちていた。
だが、細かいことは気にしないのがスピーリのいいところ。
黒い大蛇を召喚すると、さっそく嬉しそうに海中の感想をあれやこれやと語りだす。
「ダイ様にも是非この冷たさと浮遊感を楽しんで欲しいですね!」
しかし、当のダイ様はというと、面倒そうにスピーリを一瞥し、すいすいと体をくねらせて器用に海中を漂っていた。
「さすがダイ様! 素晴らしい泳ぎです!」
パチパチと涙を流さんばかりにダイ様を褒め称えるスピーリと、そんな彼には慣れっこなクールなダイ様。
時折、ダイ様を褒めるのに夢中になったスピーリが空気の泡に触れるのを失念しては、ガボッと苦しそうに顔を歪めるのだが、彼はそれすらもどこか嬉しそうに見える。
奇妙な一人と一匹を、怪訝そうに一人の少女――ズァイ・コッペ(かにさん・f08081)がじっと見つめていた。
「不思議な人たちがいるカニィ……」
バチン、と鳴らすズァイの腕は蟹のハサミ。
北の冷たい海で育まれたその身はプリプリと良く締まっており、見るからに美味しそうだ。
――そんな、美味しそうなものを腹ペコなマンティコアキッズたちが見逃すわけがない。
『見ろよ! 蟹がいるぞ!』
『美味そう……早く食べようぜ!』
『待てよ、オレが先だってば!』
我先にとズァイの蟹のハサミを食べんとマンティコアキッズたちは一斉にズァイに襲い掛かった。
「!?!? 大勢で襲い掛かるのは卑怯カニィ……!」
幸い、泳ぎには自信のあるズァイ。
右に、左に、前、後ろと、巧みにマンティコアキッズたちをかわしながら水中を器用に逃げ回る。
「ややっ、レディの悲鳴が聞こえましたぞ! 参りましょう、ダイ様!」
ズァイの声を聞き付けたスピーリは、じたじたと両手両足をバタつかせてゆっくりと彼女の方へと泳いで行く。
すーいすい、と慣れた様子で泳ぐダイ様に見守られながら、スピーリは四苦八苦しながらようやくズァイへと追いつき、そこで初めて気が付いた。
「蟹のレディ……!? あぁぁっ!」
だが、スピーリの台詞はまたしても最後まで紡がれることはなく。
『なんだよー、これ、マズイ!』
マンティコアキッズに足をがじがじと噛まれ、スピーリは新たな快感に堪え切れず喘ぐ。
「これは……新鮮な痛み、ですね……イイっ!!」
囮となったスピーリが悦んでいる間に、体勢を整えたズァイは、ぷぅっと頬を膨らませるとマンティコアキッズを睨み付けた。
『あ、フグだ!』
「違うカニィ! かにさんカニィ!!」
キィー! と怒ったズァイは蟹のハサミをビシッとマンティコアキッズに向かって突き付ける。
「そちらが茹で上がるカニー!」
ズァイは両腕の蟹バサミを構えると、マンティコアキッズに向かって熱線を放った。
『あっつー!』
程々の熱さの熱線により、マンティコアキッズたちは思わず攻撃する手を止め、冷たい水を求めて泳ぎ回る。
ズァイはマンティコアキッズたちの動きを封じるため、休む間もなく、蟹バサミから熱線を放ち続けていた。
(「こ、これは……!」)
マンティコアキッズたちがのたうち回るとは、一体どれほどの熱さなのか。
スピーリはその身をもって確かめたいという気持ちを抑えることができず、偶然を装って、自然に、ナチュラルに、不運な事故ですよ~という感じでマンティコアキッズの前へと躍り出る。
「あっ! 危ないカニィ! 避けるカニィ!」
咄嗟の判断でズァイが熱線の軌道をずらすも、そこはスピーリの執念の方が勝った。
修正された軌道にあわせて身体をずらし、彼は目的を果たすことに成功する。
「あっつーっ!」
ズァイの熱線が命中したのは、スピーリの腰の部分、まさに腰に括りつけられた『本体』だった。
散々海中を泳ぎ回り、湿り気を帯びた本には熱線の跡がくっきりとついている。
しかし、スピーリはその事実に気づいているのかいないのか、今は熱線の熱さを思い出しては悦びに体を震わせていた。
「……変な人カニィ」
ボソっと呟いたズァイの言葉に、またスピーリは快感を覚えずにいられない。
ズァイは冷めた眼差しでスピーリをチラと見ると、無言のままマンティコアキッズに向き直った。
「手伝ってくれるカニィ?」
マンティコアキッズ退治の協力に快く応じたダイ様と共に、スピーリは放置して粛々とコンキスタドールを撃退していく。
「おや……ダイ様? レディ?」
ようやくスピーリが現実に戻ってきた時には、マンティコアキッズはおろか、ズァイもダイ様の姿も見えなかったのだった……。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
フリル・インレアン
ふわぁ、あそこが深海島なんですね。
海の中に島があるなんて、すごいです。
ふぇ、そうでしたね。
コンキスタドールさんが襲撃しようとしているから、まずはコンキスタドールさんを追い払わないといけませんね。
マンティコアキッズさん達、なんだか眠そうなのにとても強いです。
お昼寝までの我慢って
ではこれでどうですか?
ガジェットショータイムです。
これはベッドやハンモックのガジェットさんです。
お昼寝にピッタリですよね。
ふわあ、気持ち良さそうに眠っている姿を見ると、なんだか私まで眠くなってきました。
●
深い濃青に澄んだ水の中。
コポコポと白い空気の泡は絶え間なく湧き、ゆっくりと天へと向かって昇っていく。
フリル・インレアン(大きな帽子の物語はまだ終わらない・f19557)がキョロキョロと周囲を見渡すと、すぐに大きな島が目に入った。
「ふわぁ、あそこが深海島なんですね」
フリルの視線の先にあるのは大きな空気の泡で包まれた島――チャイナローズ・アイランド。
巻貝や珊瑚で彩られたその町は、一見すると美しい海辺の町にしか見えない。
でも、この島の全体が大きな空気の泡で包まれていて、島から天を仰ぐと目に映るのは空ではなく、無限に続く海なのだ。
「海の中にある島なんて――すごいです」
珍しそうに何度もこくこくと頷いてしまうフリルだったが、島を目指すコンキスタドールたちの姿が目に入るとキリリと表情を引き締める。
「ふぇ、そうでした。まずはコンキスタドールさんを追い払わないといけませんね」
フリルはマンティコアキッズをキッと睨み付けた。
フリルの頭の上ではガジェットのアヒルさんもやる気満々といった様子でマンティコアキッズに嘴を向ける。
……しかし。
『ちょっと眠くなってきたね……』
マンティコアキッズは、とろんとした目をごしごしと擦ると、小さく欠伸を一つ零した。
『お昼寝の時間まで、もうちょっとだけがんばろう!』
仲間の声に気持ちを奮い立たせ、マンティコアキッズは、キラリと鋭い爪を輝かせてフリルへと斬りかかる。
思いがけず素早い動き。
ギリギリのところで攻撃をかわすフリルだったが、矢継ぎ早に繰り返される攻撃に、防戦を強いられていた。
欠伸を噛み殺しながら、必死に攻撃を繰り出すマンティコアキッズを見て、フリルはパチパチと目を瞬かせる。
「マンティコアキッズさん達、なんだか眠そうなのにとても強いです」
(「お昼寝までの我慢って……」)
思わずクスっと笑みを零すフリルの脳裏にふと名案が閃いた。
「――では、これでどうですか?」
パチンとフリルが合図をすると同時にポンッと現れたのは、ベッドやハンモックのガジェットたち。
これを見たマンティコアキッズはキラキラと瞳を輝かせて嬉しそうに叫ぶ。
『……お布団!』
戦いそっちのけで今すぐにでもお昼寝を始めそうなマンティコアキッズに、フリルはにっこりと笑みを浮かべて言葉を紡ぐ。
「どうでしょう、お昼寝にピッタリじゃないですか?」
お布団の甘い誘惑にマンティコアキッズが勝てるわけもなく。
マンティコアキッズはベッドやハンモックに横になると、静かに目を閉じた。
「気持ち良さそうに眠っている姿を見ると、なんだか私まで眠くなってきました……」
ふわぁとつられてフリルも思わず欠伸を零す。
――おやすみなさい。覚めることのない、良い夢を。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 日常
『夏花揺蕩う海の庭』
|
POW : 海の生き物たちと戯れる
SPD : 海中探索、泳いで回ろう
WIZ : 海に浮かぶ花を楽しむ
イラスト:青谷
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
コンキスタドールの群れを撃退することに成功した猟兵たちを、深海島の住民たちは笑顔で出迎える。
『みなさん、チャイナローズ・アイランドへようこそ!』
海の中に浮かぶ島とは聞いていたが、見た目は普通の島と変わらないように思えた。
ただ、天を見上げても空は見えず、無限に続く深い青の海がどこまでも広がっている。
『ねぇねぇ、いいもの見せてあげようか?』
島に住む子供たちが、嬉しそうな表情で猟兵たちに話しかけた。
こっちに来て! と彼らに手をひかれるまま行った先は、島の一角にある砂浜。
『ここの海はね、私たちの自慢の海なの!』
特別に見せてあげる、という子供たちの言葉に甘えてゆっくりと海の中へと潜っていく。
海中ではサンゴやイソギンチャクが彩る海底を小さな熱帯魚たちが楽しそうに泳ぎ回り、その頭上を巨大なマンタがゆうらりと通り過ぎていった。
そんな幸せそうなサンゴ礁の楽園では、綺麗な夏の花々が満開を迎えている。
赤いハイビスカス、青や紫色の朝顔、そして黄色いヒマワリ――。
海中だというのに美しい花々が咲き誇る、不思議な海の庭。
これが、このチャイナローズ・アイランドの名物らしい。
『ね、綺麗でしょ?』
ドヤ顔で猟兵たちを見上げる子供たちの言う通り。
可愛らしい熱帯魚や大きなマンタと一緒に海中散歩を楽しんでもいいし、海に揺蕩う花々を愛でてもよい。
この海庭でも空気の泡があちこちから昇っているため、海を満喫する上で何も支障はなさそうだ。
魚や珊瑚たちを傷つけることさえしなければ、写真撮影なども自由にして良いのだと、子供たちは教えてくれた。
コンキスタドールが攻めてくるまでの、暫しの時間。
貴方は何をして過ごすのだろうか――。
天霧・雨吹
己が故郷を誇る子供達の目映さに頬が緩む
では、世にも希な水中花を堪能させて貰うね
子供達の好きな花、誇る花をふわふわゆらりと眺めては
見知った花に、懐かしき光景を垣間見て
見知らぬ花に、踏み出した歩の彼方を思う
人の姿しか取れぬ身に、思うところがなかったわけではないのだけれど
やはり、人の世界は儚くも美しく、どうにも愛おしい
咲う花々も、泳ぐ魚も、はしゃぐ子供らも見守る大人たちも
全てを守るほどには強くなくても
せめて
そう、せめて手の届く世界は守れるように
もう少し……人の身に慣れないといけないね
●
島に客人が訪れたことが嬉しかったのか、それともこの島の『名物』を見せることが出来たのが嬉しかったのか。否、もしかしたらその両方なのかもしれない。
そんなことが頭に浮かびつつ、天霧・雨吹(竜神の神器遣い・f28091)は、笑顔を浮かべる島の子供たちを眩しそうに見つめて頬を緩めた。
「では、お言葉に甘えて、世にも希な水中花を堪能させて貰うね」
柔らかな口調で告げる雨吹の手を我先にと取りあうように引っ張って、子供たちは海の中へと誘う。
『あのね、こっち来て! 一番いい場所を教えてあげる!』
そうして子供たちに手を引かれるままに雨吹がやって来たのは、島から少し離れた場所。
『ここはね、いろんなお花が見れる場所なの!』
赤、黄色、青、白、紫――。
淡いピンク色のサンゴ礁の上でふわふわと海に浮かぶ色も種類も異なる花々の間を、可愛らしい熱帯魚がすいすいっと器用に泳いでいった。
『ね、ね、お兄さん。あのお花の名前、わかる?』
ツンツンと雨吹の服の裾を遠慮がちに引っ張りながら、一人の子供が問いかける。
彼女が指差しているのは、青い花。あれは雨吹にも見覚えがあった。
夏の風物詩ともいえる花の名前と共に、脳裏に蘇る懐かしい記憶に想いを馳せ、雨吹は少女に向かってにこりと笑みを浮かべて口を開く。
「あれは、朝顔だね。その隣の紫色の花は、桔梗かな?」
『ピンポーン! 大正解~!』
頭上に手で大きく丸を作ってにっこり笑顔を浮かべる少女につられて、雨吹も嬉しそうに目を細めた。
『じゃぁ、あの花は? 知ってる?』
指差し名前を問うのは、白い花びらが青い海に映える大振りの花。
名前を思い出せぬ雨吹だったが、堂々としたその佇まいに好感を持ったと素直に感想を述べる。
『あれは、クレマチスっていうんだよ』
テッセンという異名も教えて貰い、雨吹は新たな知識を得たことに素直な悦びを感じた。
人の姿しか取れぬ身となって、どれだけの月日を過ごしただろうか。
歯がゆく、口惜しく思ったこともないとはいえない。
だが――。
(「やはり、人の世界は儚くも美しく、どうにも愛おしい」)
この、美しい海の庭に咲く花々も、魚たちも。
雨吹の傍で遊ぶ子供たちも、島の住民も、皆。
全てを守るほどには強くなくても、せめて。
雨吹の藍色の瞳に映る世界や、手の届く世界は――守れるように、なりたい。
そう、強く心に念じた雨吹の想いが無意識のうちに零れ落ちた。
「もう少し……人の身に慣れないといけないね」
己にだけ聞こえるような声で呟いたつもりだったが、子供たちは耳ざとい。
『え? それ、どういう意味?』
『お兄さん、ヒトじゃないってこと!?』
人ではないなら、その姿を見せてほしいとせがむ子供たちに苦笑いを浮かべ、雨吹はどう答えたものかと思案する。
そして。
「うーん、本当の姿は他人に見せてはいけないんだけどね……よし、わかった。特別に、次に会った時に見せてあげられるように準備しておこう」
それでいいかい? と茶目っ気を交えて答えると、子供たちは『特別』という言葉に目を輝かせて嬉しそうに頷き、小指を掲げた。
『いいよ! それじゃ指切りしよ~っ!』
一人の子供と指切りをかわせば、他の子らも『ずるい!』『私も!』と集まってくるのは想像に違わず。
結局、雨吹はその場にいる子供たち全員と指切りをする羽目になったのは、言うまでもない。
大成功
🔵🔵🔵
グラナト・ラガルティハ
マクベス(f15930)と
海中の花園か美しいな。夏の花は特に鮮やかだからな海の中でも目を引く。
あぁ、あそこの朝顔の青もいいし向日葵の黄色もいい。
マクベスが見ているのはハイビスカスか。
マクベスは本当に赤が好きだな(その中に自分が含まれていることも好ましいと)
そうだ…写真の撮影も良いのだったな。
この間買ったスマホで写真を撮るか。
使い方はマクベスに教わったが。
恥ずかしがってなかなかマクベス自身は撮らせてくれないからな。
(ハイビスカスを見る様子をこっそりと撮影をして)
うむ、いい写真が撮れた。
ん?私と一緒のものも撮るのか?
なるほど確かに少し面映いものだな…。
あぁ、後で送ろう。
マクベス・メインクーン
グラナトさん(f16720)と
おお~っ、思ってたより凄い花園だな
今の季節は夏だから夏の花が多いけど、他の季節は別の花が咲くのかな?
どれも綺麗だけど…やっぱりオレは赤い花が好きかな
このハイビスカスは大きくて華やかだし
ふふっ、オレが1番好きな赤は決まってるけどね?
夢中になって見てるとふと撮影音が聞こえて
ちょ、グラナトさん…いま撮ったでしょ?
スマホ買ったらオレ撮りたいって言ってたけどさ…
せっかくだし、グラナトさんも一緒に写ろ?
それならオレも嬉しいし…(照れながら)
後でオレにも画像送ってね?
大切な2人の思い出なんだし
●
「おお~っ、思ってたより凄い花園だな」
海中に揺蕩う色鮮やかな花々を見つめ、マクベス・メインクーン(ツッコミを宿命づけられた少年・f15930)が感嘆の声をあげれば。
グラナト・ラガルティハ(火炎纏う蠍の神・f16720)も美しい花園をじっと見つめ、「美しい」と呟きを零す。
「夏の花は特に鮮やかだからな。海の中でも目を引く」
綺麗に咲き誇る花々の美しさに感心するグラナトの傍らで、マクベスはうーん、と首を傾げた。
「今の季節は夏だから夏の花が多いけど、他の季節は別の花が咲くのかな?」
「確かに。それは……どうだろうか」
彼の疑問に答えるべく島民に聞いてみようかとグラナトは考えたが、すぐに思い直してマクベスに向き直る。
「それは、他の季節にもここへ遊びに来て確認してみるのはどうか?」
「グラナトさん、それって……!?」
思い掛けないグラナトの言葉が嬉しくて。
マクベスはぐにゃりと頬を緩ませ、満面の笑みを浮かべて何度も、何度も頷いた。
二人は暫し海に咲く夏の花々を堪能する。
海に溶け込むような青い色の朝顔も、太陽を思わせる黄色い向日葵も。
どの花も皆、綺麗でサンゴ礁や熱帯魚たちと共にこの海の庭を彩っていた。
「どれも綺麗だけど……やっぱりオレは赤い花が好きかな」
大振りで華やかな赤いハイビスカスへとそっと手を伸ばすマクベスを見て、グラナトは柔らかな笑みを浮かべる。
「マクベスは本当に赤が好きだな」
「うん、でも――オレが1番好きな赤は決まってるけどね?」
ふふっと目を細めて笑うマクベスの答えは、聞かずともわかる。
答えを問う代わりに、グラナトがそっとマクベスを傍へと引き寄せれば。
マクベスは嬉しそうにグラナトに身を委ね、海中に浮かぶハイビスカスの花を手にとり、優しく口づけた。
愛おしそうに赤いハイビスカスを見つめるマクベスを見守っていたグラナトだったが、「そうだ」と青色のカバーが付いたスマートフォンを取り出す。
「この間買ったスマホで写真を撮るか」
スマートフォンの使い方は以前マクベスに教わったものの、恥ずかしがってなかなか彼自身の写真は撮らせてくれなかったのだ。
マクベスがハイビスカスの花に夢中になっている今は、まさに絶好のシャッターチャンスといえよう。
グラナトはスマートフォンを構えると、カシャリとシャッターを切る。
カメラが切り取ったマクベスの姿を見て、グラナトは満足そうに独り言ちた。
「うむ、いい写真が撮れた」
上出来だと悦に入るグラナトだったが、視線に気づき顔をあげると、いつのまにか目の前にマクベスが立っている。
「ちょ、グラナトさん……いま写真撮ったでしょ?」
シャッターの音が聞こえた、と小さく口を尖らせるマクベスに、グラナトは正直に先程撮った写真を見せた。
「確かに、スマホ買ったらオレ撮りたいって言ってたけどさ……」
照れ臭そうにスマートフォンの液晶画面に映る自分を見つめていたマクベスだったが、「そうだ」と悪戯っ子のような笑みを浮かべてグラナトの腕を掴む。
「せっかくだし、グラナトさんも一緒に写ろ?」
マクベスからスマートフォンを受け取りながら、グラナトは意外そうな表情で答えた。
「ん? 私と一緒のものも撮るのか?」
「うん、それならオレも嬉しいし……」
ほんのりと頬を赤く染めて頷くマクベスの希望とあってはグラナトも断ることはできない。
二人で顔を寄せ合い、ポーズを決めるとカシャッとシャッターを切る。
「どう? 撮れた?」
画面を覗き込むマクベスにスマートフォンを見せながら、グラナトは照れ臭そうに呟いた。
「なるほど確かに少し面映いものだな……」
だが、貴重な体験と共に、かけがえのない想い出を残すことが出来たのも、また事実。
「後でオレにも画像送ってね?」
「あぁ、勿論」
大切な夏の想い出の中の二人は、美しい花々にも負けない笑顔で輝いていた――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
フリル・インレアン
ふわぁ、アヒルさん、深海島に到着ですよ。
あれ?マンティコアキッズさん達のお昼寝姿につられてお昼寝してしまったみたいですね。
しょうがないですね、私はアヒルさんが起きないようにゆっくり島をお散歩してます・・・ね。
・・・あれ、ここは島の入り口、空気の泡に揺られてお昼寝してしまったのは私の方だったのですね。
島についたからアヒルさんが起こしてくれたんですね。
ありがとうございます。
それじゃあ、島のお散歩に出発ですね。
ふえ?そんな時間はないって、コンキスタドールさんが来るまで時間があるはずでは?
ふええ、コンキスタドールさんがもうすぐ来るから起こされたんですね。
そんなぁ、島でのお散歩を楽しみにしてたのに。
●
「ふわぁ、アヒルさん、深海島に到着ですよ」
堪えきれずに欠伸を一つ。フリル・インレアン(大きな帽子の物語はまだ終わらない・f19557)はアヒルさんに声をかける。
「……あれ?」
しかし、アヒルさんの反応はない。
(「マンティコアキッズさん達のお昼寝姿につられてお昼寝してしまったみたいですね……」)
コンキスタドールといえど、目の前であんなに気持ち良さそうに眠っている姿を見ては、つられて眠ってしまうのも無理はない。
しょうがないですね、と呟き、フリルは優しくアヒルさんを抱き上げ、歩き出した。
アヒルさんを起こさないように気を付けながら、フリルはのんびりと島を歩いてみることにする。
砂浜から離れ、道なりに沿って歩くと島民たちの賑やかな声が聞こえてきた。
(「ふえぇ……!?」)
思わずビクリと肩を大きく振るわせ、フリルは一歩、二歩とゆっくり後ろへ後ずさる。
そぉっと賑やかな方に視線を向けると、そこは島のメインストリートのようだった。
大きな通りには様々な店が並び、人々で賑わっている。
なるほど、とフリルは小さく頷くと、人気の少ない裏道を選び、散歩を再開するのだった。
ピンク色の珊瑚や立派な巻貝で装飾された町並みは美しく、ただゆっくりと散歩をしているだけでもフリルには楽しい時間だった。
四方を海に囲まれた島だからか、柔らかな風が吹くたびに潮の香りを運んでくる。
(「……風?」)
この島は巨大な空気の泡に包まれているのに風が吹くことを、意外に思ったフリルだったが。
何か胸騒ぎを覚え、慌てて風が吹いている方へと向かって走り出す。
(「この風は、もしや……!?」)
これは、自然の風ではなく、何かが人為的に起こしている風だとしたら。
その原因は一つしか考えられない。
ツンツン、と何か硬いものがフリルの足を突くが今は気にかけている暇はない。
風を辿って行き、砂浜へと着いたフリルは急いで天を仰ぐ。
風の主を確認せねばと思うのに、変わらず何かが足を突いている。
(「邪魔をするのは、誰です……っ!?」)
突いているものを確認しようとフリルが振り返った、その時――。
「……あれ?」
パチリと目を開けると、フリルの目の前にアヒルさんがいた。
慌てて身を起こすと、そこは島の入り口。最初に到着した砂浜だった。
どうやら空気の泡に揺られて昼寝をしてしまったのは、フリルの方だったようだ。
「島についたからアヒルさんが起こしてくれたんですね」
ありがとうございます、とアヒルさんに笑顔で礼を伝え、フリルはゆっくりと立ち上がる。
身体についた砂を払い落とし、ぐっと大きく伸びをして、再びアヒルさんに話しかけた。
「それじゃあ、島のお散歩に出発ですね」
だが、アヒルさんは静かに首を横に振る。
「ふえ? そんな時間はないって、コンキスタドールさんが来るまで時間があるはずでは?」
わたわたと状況を確認し、フリルは現実に気づいた。
コンキスタドールがもうすぐやってくるから、自分は起こされたのだ、と。
「そんなぁ、島でのお散歩を楽しみにしてたのに」
しょんぼりと肩を落とすフリルの頭を慰めるように、アヒルさんはコツンと優しく突くのだった。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『『災厄になれなかった魔女』ニュンペー』
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POW : はは、失敗作だから無理に食べなくて良いよ
【周囲に気まずい空気が漂うほど下手な手料理】を給仕している間、戦場にいる周囲に気まずい空気が漂うほど下手な手料理を楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1にする。
SPD : それじゃあ、甘いケーキはどうかな?
【此処から去って欲しくないと言う切ない思い】を籠めた【鍋型メガリス『魔女の大鍋』によるケーキ】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【闘争心や冒険心、何より故郷への郷愁】のみを攻撃する。
WIZ : ささ、遠慮なくキュケオーンをお食べ?
【鍋型メガリス『魔女の大鍋』による麦粥】を披露した指定の全対象に【使用者と一緒に毎日食べ続けたいと言う強い】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
イラスト:キイル
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「黒玻璃・ミコ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
コンキスタドール襲来の報を聞き、まず、猟兵たちは島民を安全な場所へと避難させる。
そんな中、深海島へとやってきたのは、4枚の羽をもつ若い女性――魔女『ニュンペー』だった。
ニュンペーは、大きな鍋のようなものを抱えて深海島へと降り立つ。
『よいしょっと、ここでいいかな――』
抱えていた大きな鍋をおろし、ニュンペーはぐるりと腕を回してふぅと息を吐いた。
そして、島をぐるりと見回すと、怪訝そうな声で呟きを漏らす。
『あれ? マンティコアキッズたちがいないな。お腹が空いているだろうからキュケオーンをあげようと思ったのに』
キョロキョロと周囲を見回すニュンペーの視線の先にいたのは、――部下のマンティコアキッズではなく、猟兵たち。
『なぜ、猟兵がここに!?』
慌てふためくニュンペーだったが、マンティコアキッズがいない事実を悟り、覚悟を決めるまでそう時間はかからなかった。
『いいよ……ここで出会ったのも何かの縁。君たちに私の料理を振る舞うまでさ』
――とはいっても、実は料理がめちゃくちゃ下手なニュンペー。
誰でも美味しい料理を作ることができるメガリス『魔女の大鍋』を持っているらしいので、この『魔女の大鍋』を使った料理を食べれるか、それとも彼女の手料理を味わうことになるかはわからない。
ニュンペーは料理を食べてもらいたいだけで、島民に危害を加える気はなさそうだ。
しかし、相手はコンキスタドール。
このまま島民たちと共に暮らすということは難しい以上、彼女を退治する以外の道はない。
けれども、せめて彼女の願いを――料理を食べて貰いたいという願いを叶えてあげるくらいはできるかもしれない。
貴方の決断は――。
スピーリ・ウルプタス
「なんとも麗しい御方がご降臨されました!」
UC発動し周囲を守ろうとしていた変人
ころっと警戒解いて敵さんへお名前尋ねたり
敵意どころか闘争心やそれこそ郷愁なんぞ持ち合わせていない変人
毒など入っていた日には一発で昇天であろう程、嬉々として食す。
「ああ…思いの籠った手料理とはかくも美味なものですね」
常識的に『不味い』であろうはずの料理にはむしろ感動
「口内に広がるピリピリした刺激、
気道に沿って体に巡るゾクゾクとした感覚、
素晴らしいです!」
褒めてる。真心込めて褒めてる
見かねたUCの蛇、変人を巻き付け引き剥がす
「おや?フジ様、いかがなさいましt(フェードアウト)」
他お仲間様が闘い出せば蛇さんが頑張る
●
「ややっ、これは一大事ですぞ!?」
コンキスタドールの襲来の報を受け、魔の手から島の人々を守らんと、スピーリ・ウルプタス(柔和なヤドリ変態ガミ・f29171)は淡藤色の大蛇――フジ様を召喚する。
だが、実際に対面した魔女を見たスピーリの警戒心はあっさりと解除された。
「なんとも麗しい御方がご降臨されました!」
心の声駄々洩れで、スピーリは用心する素振りなど微塵もなく、足早にニュンペーへと近づいていく。
万が一ここで敵の不意打ちを受けてもご褒美と受け取りかねないスピーリではあったが、幸いにもニュンペーも笑みを浮かべ、友好的な雰囲気を醸し出していた。
「……レディ。失礼ですが、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか」
柔らかな物腰でスピーリが恭しくニュンペーに話し掛ければ、魔女は口元に手を添え、可笑しそうにクスクスと笑う。
『なかなか興味深い御仁だ。――私の名はニュンペー。魔女『ニュンペー』と呼ぶ人もいたかな』
「ニュンペー……美しい貴女にピッタリの名前ですね」
嬉しそうに魔女の名を呟くスピーリを見て、ニュンペーは機嫌よく手料理へと手を伸ばした。
『ところで、御仁。お腹は空いていないか? 部下のために用意しておいた料理が余っているんだが……』
ニュンペーは、鍋に入っている料理らしきものを皿によそう。
何とも形容しがたい香りが周囲に漂い、一瞬にして辺り一面を居心地の悪い空気が包み込んだ。
――食べちゃダメだ。
まともな人間ならば、絶対に手を出すことのできない料理を見ても、スピーリは顔色一つ変えることはない。
「ありがとうございます、とても美味しそうですね!」
スピーリはニコニコと満面の笑みを浮かべ、嬉しそうにニュンペーから器を受け取ると、礼儀正しく一礼をする。
そして、行儀よく「いただきます」と言うと魔女の手料理を口に運んだ。
『あ!? それじゃない、違……!』
ニュンペー、どうやら別の料理を振る舞う予定が間違ったものを渡してしまったらしい。
魔女は急いでスピーリが食べぬように制止しようとするも、時すでに遅し。
魔女の料理を食べたスピーリの手から、カランと音を立ててスプーンが落ちる。
「!!?? これは……!!!」
『すまない、食べて貰いたかったのはそっちの失敗作ではなくて……』
「素晴らしい!!!!!」
申し訳なさそうに弁解しようとしたニュンペーの発言を遮るようにスピーリが感動の声をあげた。
『…………え?』
思い掛けない展開に、ピシリと身を固めたまま動けないニュンペーを横目に、この焦げ茶色の髪の紳士は貪るように失敗作を食べている。
「ああ……口内に広がるピリピリした刺激、気道に沿って体に巡るゾクゾクとした感覚、素晴らしい! 実に素晴らしいです!」
スピーリ本人としては真心をこめて褒めているつもりなのだが、他人が聞くと全くそうは聞こえない。
しかも、時折ビクリと身体を震わせたり、顔面蒼白になって、彼の頭上を魂らしきものがふよふよと漂っていたりする。
だが、スピーリにとって、ニュンペーの料理を味わうことは至福の時間を過ごすことに他ならなかった。
『あ、あの……本当は、こっちを食べて貰おうと思ったのだが……』
口に合うかな、とニュンペーがそっと差し出したのは、甘い香りの美味しそうなケーキ。
見事に失敗作を完食したスピーリは、そっとナプキンで口元を拭うと笑みを浮かべてニュンペーに礼を言う。
「こんな素敵な料理の後にデザートまでご用意くださるとは。お気遣いいただき恐縮です」
そして、丁寧な仕草でケーキを切ると、口元に運び、ゆっくりと噛み締めた後に静かに呟いた。
「ああ……思いの籠った手料理とはかくも美味なものですね」
しみじみと嬉しそうに呟くスピーリだが、彼には敵意はもちろんのこと、闘争心や、それこそ郷愁などというものはない。
何しろ、彼の正体は『とある禁書』のヤドリガミだ。
それでも、幸せそうにケーキを堪能するスピーリは、傍らの大蛇が呆れた様子で頭を持ち上げたことに気づかない。
大蛇は音も立てずにすすっとスピーリに近付くと、召喚主にくるりと己の身体を巻き付けた。
「おや? フジ様、いかがなさいまし……」
グッと身体に力を込めてスピーリを締め上げると、そのまま慣れた様子で召喚主を魔女から引きはがす。
「あぁっ、フジ様! イイっ! もっと!!」
召喚主の声は聞き流しつつ、大蛇は周囲を伺うようにキョロリと頭を動かした。
そして仲間の猟兵の姿を見つけると、無言でじっと見遣る。
――後はよろしく頼む。
大蛇はちょこんと頭を下げると、スピーリを締め上げたままズルズルと召喚主を引き摺り、去って行ったのだった。
大成功
🔵🔵🔵
キアラ・ドルチェ
…コンキスタドールとは思えない望み
よし、『はらぺこキアラちゃん(母命名)』が相手ですっ
まずはキュケオーン…どんなお味なんでしょ?
「おかわりっ!」
ケーキも良いですね、種類は指定できますか? チーズケーキ好き♪
「おかわりっ!!」
手料理も食べたい~。不味い? 真心こもった手料理にそう言う方は白魔女さんが神に代わってお仕置きですっ
「お、おかわりぃ(意地」
皆の機先を制し「美味しかった、です」と近寄り、ありがとう、と笑いかけ
…そして口だけ動かして「にげて」と
森王の槍をあえて外して撃ち込み逃げる隙を作ります
…猟兵として失格かもしれない。でもね、こんな子倒せない
無駄な足掻きかもしれない、でもこれが私の意思!
●
――コンキスタドールとは思えない、望み。
それが、魔女ニュンペーの『願い』を聞いたキアラ・ドルチェ(ネミの白魔女・f11090)の正直な感想だった。
「――よし!」
グッと両手を握り締め、キアラは意を決すると、小さな身体を大きくググッと伸ばしてニュンペーに向かって胸を張る。
「『はらぺこキアラちゃん』が相手ですっ」
『はらぺこ? なんだ、お前もお腹が空いているのか?』
きょとんとした顔でキアラを見つめるニュンペーに、慌ててキアラは首を横に振った。
「えっと、そうではなくて、これは小さい頃に母が私につけたあだ名で……」
必死に弁解するキアラを、ニュンペーが笑いを噛み殺しながら一瞥する。
『まぁ、良い。ようするに――キュケオーンが食べたいんだな?』
そんなことを言った覚えは微塵もないキアラだったが、すぐにキリリと表情を引き締め、ニュンペーへと向き直った。
「いいでしょう――いただきます!」
早速、キアラはニュンペーが作ったというドロッとした麦粥をスプーンですくって口へ運ぶ。
実はキアラもキュケオーンを食べるのは、これが初めてだった。
どんな味なのだろうかとわくわくしながら食してみると、なるほど、これは意外に美味しいものかもしれない。
気づけばスプーンを口に運ぶ速度が増し、キアラはあっという間にキュケオーンを全てたいらげてしまった。
そして、満面の笑みを浮かべて元気よく空っぽの器をニュンペーに向かって突き付ける。
「おかわりっ!」
ニュンペーは一瞬驚いたような表情を浮かべるが、すぐにパッと顔を輝かせると、キアラのためにおかわりのキュケオーンを差し出した。
キアラの食べっぷりをニュンペーは目を細めて嬉しそうに見つめている。
『あぁ、そういえば、ケーキもあるんだ。食べるかい?』
ケーキと聞くと、キアラも嬉しそうに顔をあげて「いいですね!」と頷いた。
「種類は指定できますか? 私、チーズケーキが好きなんです♪」
『なるほど、ではチーズを使ったケーキをあげよう』
鍋型メガリス『魔女の大鍋』で作ったというケーキもまた、程よい甘さで美味しくて。
食べ始めたキアラの手は止まることなく、あっという間にケーキも完食してしまう。
「おかわりっ!!」
『す、すごいな……』
キアラの食べっぷりに脱帽といった感じで、ニュンペーもただ感心することしかできなかった。
『すまないが、後は私の作った手料理しかないのだが……』
「手料理? いいですね~、食べたい~」
にっこりと笑顔を浮かべ、キアラはニュンペーにリクエストする。
『いや、でも私の手料理は本当に不味いから……』
「不味い? 真心こもった手料理にそう言う方は、白魔女さんが神に代わってお仕置きですっ」
躊躇うニュンペーを強引に押し切り、キアラは彼女の手料理を皿によそってもらう。
確かに、先程までのキュケオーンやケーキに比べると見目も悪いし、そもそも料理から漂う香りからして嫌な予感しかしない。
だが、キアラは躊躇せずに料理を口に運ぶ。
そして……。
「お、おかわりぃ……」
意地と根性で見事完食をしたキアラは、震える手でニュンペーに空っぽの皿を突きつけたのだった。
心行くまでニュンペーの料理を堪能したキアラは、彼女へと近づくとにこりと笑いかける。
「美味しかった、です」
ありがとう、と感謝の言葉を告げると同時、声は出さずに口だけを動かしてニュンペーに語り掛けた。
『え?』
思い掛けないキアラの言葉に、ニュンペーは思わず目を見張る。
だが、その次の瞬間、突如地面から生えた無数の植物の槍を、慌ててニュンペーは空中へと飛んで躱した。
「…………」
キアラはギュっと唇をかみしめると哀しそうに目を伏せる。
無駄な足掻きかもしれない、けれども。
(「お願い、逃げて――」)
――猟兵としては失格かもしれないが、それが、ネミの白魔女の望みだった。
大成功
🔵🔵🔵
フリル・インレアン
ふええ、なんてことでしょう。
ただお食事会の待ち合わせをしていたマンティコアキッズさん達をお昼寝させて間に合わなくさせていたなんて、どうしましょうアヒルさん。
ふえ、責任を取ってマンティコアキッズさんに代わって私があの料理を食べるのですか。
でも、しょうがないですよね。
あれ?でもこの料理、いろいろもったいないことをしていますね。
調味料の配分や煮込み方とかいろいろ直せば美味しくなる気がします。
えっと、お世辞の魔法でニュンペーさんのやる気を持ち上げて再度お料理のし直しです。
メガリスの力を使わず美味しくなった手料理のお味はどうですか?
●
魔女ニュンペーが鍋の中の料理をおたまでぐるりと混ぜる。
どろりとした謎の料理を見て、フリル・インレアン(大きな帽子の物語はまだ終わらない・f19557)はどうしようかと一人慌てふためいていた。
(「ふええ、なんてことでしょう……」)
先程、マンティコアキッズたちを昼寝させてしまったことで、ニュンペーとの食事会に間に合わなくさせていただなんて――。
フリルは頭の上のアヒルさんを下すと、「どうしましょう」とこっそり話し掛ける。
「ふえ、ここは責任を取って、マンティコアキッズさんに代わって私があの料理を食べるのですか」
アヒルさんに言われ、フリルは勇気を出してチラリと鍋を見た。
グツグツとよく煮過ぎてドロドロになった料理は、もはや素材の原型を留めていない。
これでは、中に何が入っているのかを知ることは難しそうだ。
辺りに漂う何とも形容しがたい香りからは、この料理を口にすることは危険だと本能に訴えかける以外は何のヒントも得られそうにない。
でも――。
「でも、しょうがないですよね」
キリリと表情を引き締め、フリルはグッと拳を握り締める。
マンティコアキッズたちが来ないのは自分にも責任があることは、変えようのない事実だ。
ゆえに不在のマンティコアキッズに代わり、フリルが料理を食するのは自然の流れ、そうでなくてはニュンペーが気の毒に思う。
そう結論付け、ニュンペーに自分がその料理を食べると申し出ようとしたフリルだったが。
「……あれ?」
パチパチと目を瞬かせ、フリルは改めて鍋の中を覗き込んだ。
「このお料理、いろいろもったいないことをしていますね……」
思わず漏らしたフリルの呟きに、ニュンペーが意外そうな顔を向ける。
『もったいない?』
きょとんとした顔のニュンペーに、フリルはコクコクと頷いた。
「はい、素材の選び方、調理の仕方、調味料の配分……色々直せば美味しくなる気がします」
予想外のフリルの言葉に今度はニュンペーが目を瞬かせる。
『調理の仕方……? でも、私は自分では煮込み料理しか作ったことがないし……』
「煮込み料理に適した材料を選ぶとか、材料にあった煮込み時間にするとかだけで、美味しくなると思いますよ」
――もう一度、一緒にお料理を作ってみませんか?
思いがけないフリルの提案に、戸惑いを隠せないニュンペーだったが、思わずコクリと頷いてしまった。
フリルはニュンペーの返事を聞くと、小さく笑みを浮かべて口を開く。
「では、さっそく始めましょう」
フリルの指導のもと、再びニュンペーは料理作りを始める。
実際に出来上がった料理から覚悟はしていたが、ニュンペーの料理下手はフリルの想像を超えていた。
「あぁっ、それはまだ入れちゃダメですっ」
なかなか進まぬ料理に呆れるアヒルさんを横目に、フリルは根気強くニュンペーの料理を手伝う。
ニュンペーの心がくじけそうになると、フリルはとっておきの『魔法』を使って彼女のやる気を持ち上げることを忘れない。
「――うん、さっきよりもずっと美味しいものが出来たと思いますよ」
ニュンペーが作った料理はお世辞にも上手とはいえなかったが、先程のような異臭もなく、食すことが可能なレベルにまでは達するものを作り上げることが出来た。
『これが、私の作った料理……』
初めて作ったまともな手料理を見て、ニュンペーは暫し言葉を失う。
そして、フリルに促されるまま、出来上がった料理をゆっくりと口に運んだ。
「メガリスの力を使わず美味しくなった手料理のお味はどうですか?」
フリルに問われ、ニュンペーはしみじみと呟く。
『美味しい……。――あぁ、この料理を皆にも振る舞いたかったな』
それは、魔女ニュンペーの心からの呟きにほかならなかった。
大成功
🔵🔵🔵
天霧・雨吹
うーん
捧げられるというものには弱いんだよ
込められている祈りが、心が伝わるからね
無碍にするのは忍びない
お酒以外は殆ど口にした事がないので
よく分からないまま口に運びます
舌が痺れようと、噎せ返る甘みだろうと
または天にも昇る美味であろうとも
全てはあるがまま、そのようなものなんだよね、食事とやらは
つまり
味などよりも、美味しく楽しく食べて欲しい、という心根こそが滋養というもの
とはいえ
業の効果には眉を潜めざるを得ないね
人の心を無遠慮に踏み躙るとは
折角の心根が台無しだ
僕に出来るのは
僕の力で守れるものを守ることだけ
だからこれでお別れだ
馳走になったね、ありがとう
ふわりと寄せた夜光珠に
さぁ、『凍て砕け、冰雷』
●
天霧・雨吹(竜神の神器遣い・f28091)は困っていた。
彼の前に置かれていたのは、初めて見る食べ物。
魔女ニュンペーはこの食べ物を『キュケオーン』と呼んでいたので、そのような名前なのだろう。
(「うーん、これは……」)
先程から雨吹はキュケオーンをジッと見つめたまま、どうしたものかとずっと考えあぐねていた。
『おや、食べないのかい? 大丈夫、毒など入っていないよ』
ころころと無邪気に笑うニュンペーに苦笑いを浮かべつつ、雨吹は誰にも見られぬ様こっそりと溜息をつく。
実は、今まで雨吹は酒以外を殆ど口にしたことがなかった。
だから、この料理が美味しいのか、それとも美味しくないのか、ということが判断できない。
そもそも、自分にとって好きな味か否かということを想像するということが困難だった。
しかし――。
「捧げられるというものには弱いんだよ……」
雨吹はうーんと腕を組んで再び考え込む。
人間たちからお供え物を受け取ることが当たり前に過ごしていた頃からずっと、捧げものに込められた祈りや、心も一緒に受け取ってきた。
ゆえに、このニュンペーが振舞ってくれたキュケオーンにも彼女の心を感じ、無下に突き放すことは、雨吹にはできない。
「――よし」
雨吹は気持ちを固めると、キュケオーンへとそっと手を伸ばした。そして、恐る恐るこの初めて見る食べ物を口に運ぶ。
ニュンペーの料理は不味いという話も聞いていたので、例えば舌が痺れるような感覚を味わうことも覚悟していたが、そのような心配は無用だった。
「ふぅん、麦粥って、こういう味なんだね」
初めて食べたよ、と呟く雨吹の表情から好意的に受け入れられたと解釈し、ニュンペーはホッと胸を撫で下ろす。
(「噎せ返る甘みだろうと、または天にも昇る美味であろうとも。全てはあるがまま、そのようなものなんだよね、食事とやらは」)
キュケオーンを味わいながら、雨吹は「つまり」と自分なりに結論付けた。
「味などよりも『美味しく楽しく食べて欲しい』という心根こそが、滋養というものだね」
うんうん、とひとり納得して頷く雨吹だったが――ここに酒もあれば最高だったのにな、という思いが脳裏を過ったことは、心のうちに秘めておくことにするのだった。
キュケオーンを食べ終えた雨吹は、空の器を前にして礼儀正しく手を合わせる。
「馳走になったね、ありがとう」
雨吹は、もてなしてくれたニュンペーに素直に感謝の言葉を告げるが、同時に眉をひそめ、口を開いた。
「とはいえ、料理を使って人の心を無遠慮に踏み躙るとはいただけないね。折角の心根が台無しだ」
『そ、それは……!』
反論しようとするニュンペーを遮り、雨吹は静かに首を横に振る。
「悪いけど、その先の言葉を聞くことは出来ないよ」
今、雨吹に出来ることは。
雨吹がやるべきことは。
彼の力で守れるものを、守ることだけ。
だから――。
雨吹は夜光珠をふわりと寄せると、まっすぐにニュンペーへと指先を向けた。
「さぁ――、『凍て砕け、冰雷』」
雨吹が言葉を発するのを合図に、夜光珠から放たれた氷の雷がニュンペーの身体を貫かんと襲い掛かる。
「これで、お別れだよ」
氷の雷は、ニュンペーを襲うことを諦めず、幾度となく繰り返し放たれ。
夜を映した滝の雫が、氷に反射してキラキラと輝いていた。
大成功
🔵🔵🔵
グラナト・ラガルティハ
マクベス(f15930)と
ニュンペーか何処ぞの神話にいた精霊やら女神やらだったか。昨今は魔女としての認識が強いようだが…。
食事を食べれば満足してくれるなら食べよう。
なに、戦うばかりが道ではない。
俺が言うのも何だがな…。
キュケオーン…麦粥か…不味くはないし確かに朝食にはいいかもしれんが…やはり毎日食べるならマクベスの作った食事がいいな。
あぁ、マクベスに麦粥を作って貰えば解決だな。
馳走になった。
これは礼だ受け取っておけ。
コンキスタドールは倒さねばならんのでな。
UC【業火の槍】
あぁ、マクベスの料理楽しみにしている。
マクベス・メインクーン
グラナトさん(f16720)と
まさか料理薦めてくる敵とか予想してなかったな
どっちみち倒すんだけど
まぁ1回くらい食べてやってもいいかもな
キュケオーンは食べるの初めてだな
見た目はオートミールみたいな感じ…
美味しくなる鍋で作ってるだけあって確かに美味しいな
けど、オレも毎日食べるならグラナトさんと一緒がいいな
流石に麦粥は作らねぇけど
食べてもらったら満足だろ?
銃でUC使用して炎【属性攻撃】【2回攻撃】で
グラナトさんの攻撃に合わせて撃ち出すぜっ
帰ったらいっぱい美味しいご飯作るからね、グラナトさん♪
●
猟兵たちに料理を振る舞うため、ニュンペーはいそいそと器を並べている。
「まさか料理薦めてくる敵とか、予想してなかったな」
ひそひそと囁くマクベス・メインクーン(ツッコミを宿命づけられた少年・f15930)に頷き返しながら、グラナト・ラガルティハ(火炎纏う蠍の神・f16720)は己の記憶を辿っていた。
(「ニュンペーか何処ぞの神話にいた精霊やら女神やらだったか。昨今は魔女としての認識が強いようだが……」)
「ね、ね、グラナトさん、どうする?」
マクベスにツンツンと腕を突かれ、グラナトはハッとした顔で彼を見遣る。
「すまん、マクベス。……で、何だったか」
「もう、ちゃんと話聞いててよ。料理だって、どうする?」
ちょっぴり拗ねた様子で口を尖らせるマクベスに謝りながら、グラナトは、ふむと顎を撫でた。
「食事を食べれば満足してくれるなら食べよう。何も戦うばかりが道ではない」
グラナトは自分で言いつつも、戦の神である己の発言に矛盾を感じ、思わずポリポリと頭を掻く。
(「俺が言うのも何だがな……」)
しかし、グラナトの言い分にマクベスは「そうだね」と素直に頷いた。
「まぁ、1回くらい食べてやってもいいかもな」
どっちみち倒すんだけど、とあっけらかんとした様子で告げるマクベスの言葉は聞こえていなかったのか。
ニュンペーは料理を盛った器を二人に向かって差し出す。
『ささ、遠慮なくキュケオーンをお食べ?』
ニュンペーに押し付けられるように器を受け取ったマクベスは珍しそうな声をあげてしげしげと器の中身を見つめた。
「へぇー、これがキュケオーンか。食べるの初めてだな」
初めて見たキュケオーンの見た目はオートミールに近いもののように見える。
マクベスはふーん、と呟きながらグルグルとスプーンでキュケオーンを掻き混ぜ、ドロリとした中身をすくいあげた。
「ね、グラナトさん……って、早っ! もう食べてる!」
驚くマクベスを意外そうな顔で見つめ、グラナトはモグモグとキュケオーンを食べる。
「不味くはないし確かに朝食にはいいかもしれんが……」
グラナトの言葉を聞いて安心したのか、マクベスもドロッとしたキュケオーンをスプーンですくうと、パクっと口に入れた。
美味しい料理が作れるというメガリス『魔女の大鍋』を使ったとだけあって、確かに味は美味しい、けれども。
「オレ、毎日食べるならグラナトさんと一緒がいいな」
ポツリと本音を漏らすマクベスに、グラナトは目を細めて嬉しそうに応える。
「あぁ、やはり毎日食べるならマクベスの作った食事がいいな」
そうだ、とグラナトはニヤリと笑みを浮かべて手を叩いた。
「マクベスに麦粥を作って貰えば解決だな」
「いや、流石に麦粥は作らねぇけど」
グラナトの思いつきは間髪入れずにマクベスのツッコミによって却下されるのだった。
『ほら、好きなだけ食べるといい。おかわりの分も、まだまだたっぷりあるぞ』
ニュンペーはキュケオーンを勧めるも、グラナトもマクベスも首を横に振って丁重に断る。
グラナトはマクベスの器を受け取ると、空っぽになった二人分の器をニュンペーへと差し出した。
「馳走になった。これは礼だ、受け取っておけ」
チラっとニュンペーに気づかれぬようにグラナトはマクベスと視線をかわす。
これを合図に、マクベスは素早く手にした二丁の魔装銃の銃口をニュンペーに向けた。
「てめぇにゃ、コイツをお見舞いするぜっ!」
ニュンペーに攻撃をかわす隙を与えず、マクベスは息つく間もなく連続で魔装銃に込めた炎の弾を撃つ。
一方、いつの間にか炎を纏っていたグラナトからもまた、ニュンペーに向かって炎の槍が放たれた。
「コンキスタドールは倒さねばならんのでな」
悪く思うな、と告げるグラナトの背後から、マクベスもひょこっと顔を出すとニュンペーに向かって叫ぶ。
「食べてもらったら満足だろ?」
確かに、マクベスの言う通り、食事を振る舞いたいというニュンペーの願いは叶った。
だが、料理を食べて貰えれば、もう少し一緒にいてほしいと願ってしまう気持ちも否定はできず――。
寂しがり屋な魔女は、キュッと唇を噛み締めるとグラナトとマクベスの息の合った連携攻撃を避けることはせず、静かに目を閉じた。
『――久しぶりに料理を振るまう楽しみを味わえた気がするよ』
それは、遠い遠い昔――彼女がコンキスタドールとなる前の記憶かもしれない――の懐かしい日々みたいな時間で。
グラナトとマクベスが放った炎に身を包まれ、魔女ニュンペーは小さく口を動かす。
彼女の言葉は誰にも届くことはなく、魔女は静かに姿を消した。
コンキスタドールが消滅すると、「ねぇねぇ」と甘えるようにマクベスはグラナトの腕にぎゅっとしがみつく。
「帰ったらいっぱい美味しいご飯作るからね、グラナトさん♪」
「あぁ、マクベスの料理楽しみにしている」
嬉しい申し出にグラナトは頬を緩め、その大きな手でマクベスの頬を優しく撫でた。
帰ったら、何の料理を作ろうか。
大切な人と共に食べる幸せな食事に思いを馳せ、猟兵たちは深海島を後にするのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
最終結果:成功
完成日:2020年09月12日
宿敵
『『災厄になれなかった魔女』ニュンペー』
を撃破!
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