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迷宮災厄戦⑭〜ふわふわの獏とおやすみ夢の国

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦

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●夢のようなパジャマパーティ
 パジャマパーティ、なんて胸躍る言葉だろう! 我らは給仕ができて、アリス達は楽しくパジャマ姿でティーパーティ。夢のようだと飛び跳ねて、虹色雲の獏執事がいそいそと給仕の用意を急ぐ。
 いらっしゃい、いらっしゃい、アリス達! どうぞとびっきりのパジャマパーティを! 我らは邪魔をすることなく、用意されたお菓子やお茶が無くなったら給仕に参ります。
 そうして、終わる事の無いパジャマパーティを楽しんで――。
 いなくなったら、次のアリスに給仕を致しますから。

●略してパジャパ
「皆はパジャマパーティってしたことあるやろか?」
 うちはこないだしたで! と、八重垣・菊花(翡翠菊・f24068)が胸を張る。
「お気に入りのパジャマを着て、お菓子やお茶を持ち寄って、わいわいやるんや! でな、そういうパジャマパーティをしに行ってくれへんかなって」
 さて、この迷宮災厄戦というアリスラビリンスの危機の中、意味もなくそんな話をしているわけではない。
 数ある戦場となる国の一つが、そういう国なのだ。
「行ってもらうんはふわふわな夢の国でな。めちゃめちゃふわふわで、睡魔がヤバいんや」
 睡魔がヤバいとは。
「猟兵もオウガも何もかもが、強烈な睡魔に襲われるんやて。つまりは戦闘にならへんってことなんやけど」
 戦闘にならないのであれば、それは平和な国なのではないか。けれど、パジャマパーティをしている間だけは、睡魔に襲われずに行動できるというのだ。
「オウガはパジャマパーティのお手伝いをする為に動いとるよって、睡魔に襲われへんのやって!」
 現れるオウガは、『虹色雲の獏執事』と呼ばれるオウガ。アリスに害意を持たぬ珍しい個体達ではあるが、オウガはオウガ。親切で行うそれらは、アリスを永遠の眠りへと導いてしまうもの。
「この獏執事はな、皆がパジャマパーティをしとる間は給仕に向かうタイミングを窺って大人しく隠れとるんやって」
 けれど。お菓子とお茶が切れ、パジャマパーティーが終わりそうな頃に、終わらないパジャマパーティーをさせる為に給仕に訪れる。その瞬間を狙って倒すのだと、菊花が頷く。
「とにかくな、パジャマパーティーを楽しんでくれたらええんよ! この獏の執事たちは強い個体っちゃうからな、簡単にやっつけれるとはずやしな」
 だからたくさん楽しんで、そのついでに軽くオウガを倒してきてくれればいいと、菊花が柏手を打つように手を鳴らす。
 開いた道の先は、パジャマパーティの会場だ。
「会場自体は、獏執事たちが整えとってな。皆の理想のパジャマパーティー会場になっとると思うんよ。せやよって、パジャマとお菓子とお茶の用意だけは忘れんとしてってな!」
 忘れてしまうと、パジャマパーティを楽しむ暇もなくオウガに給仕をされてしまうから、どうか気を付けて。
 さあ、楽しいパジャマパーティーのひと時を!


波多蜜花
 閲覧ありがとうございます、波多蜜花です。
 パジャマパーティーの魅力には勝てませんでした、皆様のパジャマパーティを彩ることができればと思います。コメディでもシリアス風味でも恋の話でもどんとこい!
 今回は戦争ということもありますので、プレイングの受付はOP公開と同時になります。〆切はマスターページに案内された、シナリオ関連のお知らせをご覧くださいませ。

●プレイングボーナス
 このシナリオフレームには、下記の特別な「プレイングボーナス」があります。これに基づく行動をすると色々有利になります、逆にこれがないと採用が難しくなりますのでよろしくお願いします。
 =============================
  プレイングボーナス……パジャマパーティーをしながら戦う。
 =============================

●パジャマパーティーについて
 会場は獏の執事によって、ふわふわに可愛くデコられております。大きなベッド、ソファなど、こういう場所で行いたいとかあればプレイングにてどうぞ。
 特になければこちらで設定致します。
 ドレスコードはパジャマです、着ぐるみでもゆめかわ系でも大人系でもご自由に。☆印をプレイングのどこかに入れて下されば、勝手に着せます。どんなパジャマでも大丈夫な方向けです、ゆめかわな国なので!
 持ち物はお菓子とお茶(ジュースやコーヒー類、成人であればお酒もOK)、お好きなものを持ち寄ってくださいね。また、パジャパならこれも必要! とあれば持ち寄ってくださって構いません。
 皆様の考える、やりたいパジャマパーティーをどうぞ!
 プレイングが目一杯パジャパの内容でも、UCさえ設定してあれば獏執事は倒せますので、UCの設定はお忘れなくお願いします。
 公共良俗に反するプレイングや、未成年の飲酒が含まれるプレイングは一律不採用となります、ご了承くださいませ。

●同行者がいる場合について
 同行者がいらっしゃる場合は複数の場合【共通のグループ名か旅団名+人数】でお願いします。例:【夢3】同行者の人数制限は特にありません。
 プレイングの送信日を統一してください、送信日が同じであれば送信時刻は問いません。

 今回は戦争シナリオとなっておりますのでなるべく多くの執筆、また早くの返却を心掛けますが、人数によってはギリギリになる場合やお返しすることもあるかもしれません。
 プレイングに問題がある以外は全てこちらの都合によるものとご理解頂ければ幸いです。
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第1章 集団戦 『虹色雲の獏執事』

POW   :    「邪魔が入るようですね。番兵さん、出番です」
自身が【自身や眠っているアリスに対する敵意や害意】を感じると、レベル×1体の【虹色雲の番兵羊】が召喚される。虹色雲の番兵羊は自身や眠っているアリスに対する敵意や害意を与えた対象を追跡し、攻撃する。
SPD   :    「お疲れでしょう。紅茶とお菓子はいかがですか?」
【リラックス効果と眠気を誘う紅茶やお菓子】を給仕している間、戦場にいるリラックス効果と眠気を誘う紅茶やお菓子を楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1にする。
WIZ   :    「外は危険です。こちらにお逃げください」
戦場全体に、【強い眠気と幻覚を引き起こす虹色雲の城】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

乱獅子・梓
【綾(f02235)と】
※梓と色違いのTシャツとスウェットパンツ姿

パジャマパーティーの国に来るのもかれこれ4回目だな…
最初は野郎二人組にこのゆるふわ感は
あまりに似合わないだろと落ち着かなかったが
今じゃ気にならなくなってきた
慣れってすごい

さて、ここもお菓子とドリンクの持ち込み必須か
というわけで今回も用意したぞ
缶ビールとつまみ各種
パーティーは「楽しむ」のが肝心だからな

二人でババ抜きするのか…!?
二人ならもっと他に色々あるだろうと思うが
まぁやってみるかと開始

…クッ、こいつ普段から笑顔を崩さないから
全く表情から読めない
しかも器用にババを避けていく
まさか何かイカサマしているんじゃ…
ああクソ、また負けた!


灰神楽・綾
【梓(f25851)と】
※梓と色違いのTシャツとスウェットパンツ姿

ねー、のんびりとくつろげるこの居心地の良さが
クセになってくるよねぇ
前までは血腥い戦場だけが俺の居場所だと思っていたのに
俺もすっかり丸くなったなぁなんてしみじみしつつ

またおじさんみたいなチョイスだねぇ…
オウガの執事はビールが無くなった場合でも
新しいビールを給仕してくれるのかなぁ
なんて想像してしまう

今回は俺もパーティーにぴったりな物を持ってきたよ
じゃん、トランプ
定番のババ抜きでもしようよ

…やってて分かったことは
梓は思った以上に顔に出やすい
サングラスで目は見えないけど
俺の手がババに近づくと眉毛がすぐ動く
おかげで楽勝だったね



●パジャマパーティーは慣れるもの
 ふわふわ綿あめのように夢心地なクッションにもたれ、テーブルを挟んで向かい合わせに座る男が二人。パステルピンクのクッションにもたれるのは、白地に炎のような赤い模様の入ったTシャツと黒のスウェットパンツ姿の乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)で、テーブルにいそいそと何やら並べている。
 向かい側には、黒地に蝶のような赤い模様の入ったTシャツと、梓と同じスウェットパンツ姿の灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)がトランプをシャッフルして遊んでいた。
「パジャマパーティーの国に来るのもかれこれ4回目だな……」
「そうだねぇ、戦争の為とはいえ結構来てるね」
 どこまでいっても女の子が好みそうな飾り付けがされた会場に、サングラスを掛けた野郎が二人。このゆるふわ感に、あまりにも似合わない……そう思っていた時期が二人にもありました。
 最初の頃は落ち着きなく、そわそわしていた二人だったけれど、四度目ともなれば余裕を滲ませているようにも見える。
「今じゃこのゆめかわ空間も気にならなくなってきたしな、慣れってすごい」
「ねー、のんびりとくつろげるこの居心地の良さがクセになってくるよねぇ」
 人を駄目にするとはこのことか? と思う程、この国のクッションや寝具は心地がいい。さすがおやすみの国。
 血腥い戦場だけが自分の居場所だと思っていたのに、俺もすっかり丸くなったなぁ……なんて思いながら、綾がしみじみとクッションを撫でた。
「さて、恒例のパジャマパーティーだ。今回もちゃんと用意してきたぞ」
 お菓子と美味しい飲み物は持参で。お酒も大丈夫だと聞いている、と梓が机の上にのせた缶ビールとおつまみ各種を指さす。
「またおじさんみたいなチョイスだねぇ……」
 机の上のおつまみ……サラミにチーズ、ナッツにさきいかを眺め、果たしてオウガの執事は缶ビールのお代わりも用意してあるのだろうか? と、綾が笑う。
「いいんだよ、パーティは楽しむのが肝心、そうだろう?」
「まぁね、今回は俺もパーティーにぴったりな物を持ってきたよ」
 先程から手慰みに遊んでいるとばかり思っていたトランプを綺麗に纏め、ジョーカーだけを綾が見せる。
「定番のババ抜きでもしようよ、パジャマパーティーにカードゲームは付き物だよね?」
「二人でババ抜きするのか……!?」
 確かにカードゲームは一般的だと思うけれど、二人ならもっと他に色々あったのではないかと梓がサングラスの奥の瞳を瞬かせる。
「……まぁやってみるか」
 二人でも、できなくはない。
「そうこなくちゃ」
 練習してきたんだよね、とカードを二山に分けて交互にパラパラと勢いよく重ねていく、リフルシャッフルと呼ばれるシャッフルを綾が数回繰り返す。
「へぇ、上手いな」
「意外とハマるんだよねぇ、これ」
 充分にシャッフルできたと、綾がカードを交互に配り、配り終えると二人で手札を確認する。同じ数字はペアにして机の中央に積み上げた。
「っと、折角の缶ビールだ。温くなる前に乾杯しようぜ」
 手元に残ったカードを伏せ、梓が缶ビールを開ける。それに倣って、綾も同じようにプルタブを引いた。
 ビールを飲み、適度にツマミを口に放り込み、お互いカードを一枚ずつ引いていく。
「あ、クソッ!」
「はい、俺の勝ちだね」
「もう一回だ!」
「はいはい」
 くすくすと笑って、綾がまたシャッフルをする。何度か繰り返すうちに、今度は俺がやると梓がシャッフルをしてカードを配るのだが、どうにも梓の負けが続いていた。
「んー、そうだなぁ……こっち……」
 綾の指先がカードに触れると、ぴくりと梓の眉が動く。
「やっぱりこっちにしようかな」
「……!」
 そうして、今回も梓の負けと相成った。
「……イカサマ、してるわけじゃねぇよな?」
「してないよ? 新しいトランプ出そうか?」
「いや、いい。悪かった、もう一回だ」
 イカサマを疑ってはみるが、綾がそんなことを自分にするわけもなし。それにイカサマをするような隙も無い。ううん、と唸りつつもう一度最初から勝負を開始する。
 綾の表情を読もうとするが、普段から笑顔を崩さない綾に表情の違いは見えない。それにお互いサングラスを掛けているのだ、余計に表情は窺い難い。だけど――。
 器用にババだけ避けていくんだよな、こいつ。うーん、とビールを飲み干すと、やっぱり綾は笑ったままだ。
「はい、俺の勝ち」
「ああクソ、また負けた!」
 首を傾げている梓を見ながら、梓って思った以上に顔に出やすいんだなぁと綾が口元に笑みを浮かべる。何せ、綾の手がババに近付くと梓の眉毛がぴくりと動くのだ。
 いつ教えてあげようか、でも面白いから暫くは内緒かな? なんて考えていると、突然二人以外の声が響いた。
「これはこれは、御二方! お飲み物がなくなっているご様子、さあさあこちらのお代わりをどうぞ」
 現れたのは虹色の獏執事、ババ抜きに集中していたからか、確かに机の上の缶ビールは全て空だ。
「やっとお出ましか」
「悪いけど、俺たちに給仕は必要ないからねぇ」
 立ち上がった二人が目を合わせ、頷く。
「歌え、氷晶の歌姫よ」
「紅く彩られながら、おやすみ」
 二人が同時に放ったのは肉体を傷付けることなく相手を倒す、ふわふわな夢の国にはお似合いの優しい子守唄のようなユーベルコード。
 氷竜である零の頭を撫でながら、梓がぱたぱたと眠るように倒れていく獏執事たちに背を向ける。
「よし! もう一回勝負だ、綾!」
「まだやる気? いいけど」
 パジャマパーティのお楽しみはまだまだ終わらないようだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ネーヴェ・ノアイユ

UDCでは一人カラオケや……。一人焼肉なるものが流行っているとお聞きしました……。なので……。私もパジャマパーティーに一人で挑戦してみます。

そのために……。UDCにて購入してきたこのトランプ……。と、いうカード……。これは一人で遊ぶための物ではなかったのですね……。せっかく『トランプの遊び方』と、いう本と一緒に買ってきましたのに……。

ついうとうとし始めたタイミングで執事様が給仕に。
お菓子とお茶をご馳走になりながら一つ提案を……。
あの……。よければ一緒にトランプ……。しませんか? この本に記された遊び……。全て遊んでみたいのです。
このあとひたすらトランプにて執事様を遊び倒します。



●一人パジャパ!
 ふかふかで、天蓋の付いたまるでお姫様のベッドのようなその上に、ミントブルーの裾がひらりと広がるネグリジェを着てネーヴェ・ノアイユ(冷たい魔法使い・f28873)が一人座っていた。
 先日、パジャマパーティというものを大人数にて体験したけれど、どうも一般的なパジャマパーティではなかったことに気が付いてしまい、本物のパジャマパーティとはいったいどのようなものなのか……と、色々体験してみたけれど、一人で出来るものなのだろうか? と興味が湧いてしまったのだ。
「UDCアースでは、一人カラオケや一人焼肉……一人遊園地なるものが流行っているとお聞きしました……」
 で、あれば。一人でパジャマパーティーに挑戦するのもきっと間違いではないはずだ、とネーヴェが頷く。
「ちゃんとパジャマも着てきましたし……それに、UDCアースにて購入してきたこのトランプと遊び方の本があれば……!」
 一人でもきっと立派にパジャマパーティができる、とトランプを傍らに置いてぺらぺらと本を捲った。
「ええと、ババ抜きは……二人から、ですか……」
 ポーカー、七並べ、スピード……本を捲れば捲るほど、一人で遊べるものではないのではないか? と、ネーヴェの表情が曇っていく。
「少し……落ち着きましょう」
 紅茶を淹れてきた水筒に口を付け、ほっと一息吐く。一緒に持ってきたクッキーを食べれば、ほんのりとした甘さとサクサクとした歯応えに曇った表情も明るくなる。
「他に……遊び方は……」
 ぺらり、と捲った手が止まる。そこには、一人でも遊べるトランプの文字が――!
「ピラミッド……ですか。そういう建築物が、UDCアースにあると聞いたことはあります……」
 本の説明の通り、トランプをシャッフルして裏向きに、段になるように並べていく。少しずつ重ねたカードは、なるほど並べ終わる頃にはピラミッドのような三角形を描いていた。
「こうして……こう……」
 途中までは順調に取り除けていたカードが、とうとう手札が全部なくなっても取れなくなってしまう。
「ううん……中々難しいものです……」
 いわゆる詰みという状態になって、うとうとし掛けたネーヴェが溜息混じりに水筒を飲み干した。
「おや、おや、お嬢様! 飲み物がなくなったのですね、ではどうぞこちらを……」
「あの……」
「はい?」
 すっと給仕にやってきた獏執事に、声を掛ける。
「よければ一緒にトランプ……しませんか? この本に記された遊び……全て遊んでみたいのです」
 給仕ばかりが執事のお仕事ではないはず、と期待を込めてネーヴェが言うと、お茶の用意をしようとしていた獏執事の動きが止まった。
「ええ、ええ、よろしいですよ! やりましょう、やりましょう」
 パンパン、と小さな手を叩くと、獏執事が一匹、獏執事が二匹、合計三匹! 集まった彼らと、彼らが用意した紅茶やお菓子。改めてパジャマパーティー、トランプ大会の始まりだ。
 こっそりと獏執事が給仕する間に六花の万華鏡を使っていたネーヴェは、眠ることなく楽しい時間を過ごしたのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シャト・フランチェスカ
◎☆

睡魔がヤバいのはヤバいんだ
なんせ物書きには締め切りがあるからね

とはいえパーティーなんて響きは甘美なものだ
ゆめかわのふわふわには
とっておきのもふもふで応じようか

ねこによるねこのための《Catastrophe》
炎猫のおこめ
氷猫のこむぎ
もちもち猫のおもち
三匹の猫が天蓋つきのベッドにすっ飛んでいく

僕は右手で羽ペンを空中に走らせ
左手には梅酒のロック
ときおりマシュマロをぱくり
ほろ酔いの穏やかな眠気
描くのは猫、猫、猫
猫の手も借りたい、締め切りを倒すためにはね

あれ、違うものを倒しに来たんだったかな?
猫の勘や嗅覚は侮れないよ
鋭い爪も隠した頼れる子たちだ

いつもより少し饒舌なのは酒のせい
さあ、まだまだ遊ぼうか



●締切り前の睡魔はヤバい、それはそれとして、猫は可愛い
 パジャマパーティーさえしていれば睡魔に襲われない国、と聞いて、シャト・フランチェスカ(侘桜のハイパーグラフィア・f24181)は一も二もなく参加を決めていた。
「睡魔がヤバいのはヤバいんだ」
 パステルカラーに包まれたゆめかわな世界で、郷に入っては郷に従えとばかりに紫陽花カラーのワンピース風パジャマに身を包んだシャトが頷く。
「何がヤバいって、何せ物書きには締め切りがあるからね」
 桜の精の文豪であり、物書きとしての名を嗣洲沙熔とする彼女が頭上の桜を揺らしてしみじみと呟いた。こんな夢かわな国にきてまで締切りの話はやめてほしい、僕だってしたくはないが目の前の締め切りを倒す為には背に腹は変えられないのだ。何の話だ。
「とはいえ、パーティなんて響きは甘美なものだ。ゆめかわのふわふわには、この僕のとっておきのもふもふで応じるとしよう」
 夢可愛いに負けないくらい、可愛いふわふわと言われたら何を想像するだろうか。甘い綿菓子? パステルカラーに彩られたカップケーキ? まあそんなもの、一つしかないのだけれど――!
「ねこによるねこのための《Catastrophe》」
 高らかにシャトが声を紡げば、現れた三匹の猫が幾重にもレースが重ねられた、天蓋付きのベッドへとすっ飛んでいく。
「おこめ」
 にゃ、と炎猫が返事をする。
「こむぎ」
 尻尾を優美にしならせ、シーツを叩いて氷猫が返事をする。
「おもち」
 返事の代わりに、もちもち猫が欠伸を一つ。
 可愛い彼らの後を追うように、シャトもベッドの上へ上がった。
 猫を侍らせ、シャトが右手に持った羽根ペンを空中に走らせる。通常の物より幾分か大きなそれを難なく操り、左手には丸い氷の浮かんだ梅酒のロック。
「少しくらいお酒を入れた方が、ペンの動きが滑らかになるんだよ」
 誰に言うでもなく呟いて、時折傍らのマシュマロを摘まみながらシャトの締切りに間に合わせようパジャマパーティは続く。アルコールによるちょっとしたほろ酔いの穏やかな眠気に身を任せながら、描くのは猫、猫、どこを見ても猫、だ。
「猫の手も借りたいって言うだろう? 締め切りを倒すためにはね、猫の力も必要なんだ」
 そう言って、ふと思い出す。あれ、違うものを倒しに来たんだったかな? いやでも最初から締め切りギリギリのあれそれを持ち込んで、やっつけてしまおうと思っていたのだから間違いではないか。
「おや、梅酒がなくなってしまったね」
 空になったグラスが、カランと氷とグラスがぶつかる音がする。途端、何かの気配を感じ取った猫達が耳をぴくりと動かして立ち上がった。
「猫の勘や嗅覚は侮れないよ、呼んだ覚えのない執事さん」
「これはこれは! グラスの中身が空でございましょう? 遠慮なくお代わりをお召しになってください!」
 給仕をするタイミングを窺っていた虹色雲の獏執事が、梅酒を片手にシャトへとにじり寄る。それを阻止するように、おこめ、こむぎ、おもちが獏執事へ体当たりをするように突進した。
「どうかな? 可愛いだけじゃない、鋭い爪も隠した頼れる子たちだ」
 猫たちの猛攻を受け、たまらず獏執事が逃げていく。
「さあ、まだまだ締め切りは残っているからね」
 終わるまで、終わらないパジャマパーティーと洒落込もうか。
 シャトの言葉に三匹の尻尾が揺れた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜奏・光花
○☆
パジャマパーティーですか?!
なんだかとっても楽しそうです!

わたしは一口カップケーキと小さなフルーツゼリーにします。
あと、読書出来るように童話の本も持っていきましょう。

わぁ‥とっても可愛いです!
あっ、大きなふわふわのソファーで気持ちよさそうです。

(お菓子と本を出し、持ってきたアイスココアを飲みながら)やっぱりアリスラビリンスはこの童話みたいにいつでも色んな不思議な事が起きるのでしょうか?
出来事がみんな危なくなければいいのでしょうけど…。

(獏の執事が現れたら)
給仕お疲れ様です‥流石は執事ですね?
ですが、もういいですよ。
お休みなさい。



●読書パーティ!
 夢可愛いおやすみの国でパジャマパーティ、この言葉に胸躍らぬ少女がいるだろうか?
「パジャマパーティーですか!? なんだかとっても楽しそうです!」
 十四歳の少女である夜奏・光花(闇に咲く光・f13758)も、パジャマパーティというなんだかわくわくする言葉に惹かれ、このおやすみの国へとやってきた一人であった。
 一人でだって準備は万端! 丁度良さそうな大きくてふわふわのソファーを見つけ、猫耳と尻尾が愛らしいピンク色の着ぐるみパジャマに身を包んだ光花が近くにあったハートの形をした机を寄せて居心地のいい場所を作る。
 パステルカラーに彩られた生クリームと鮮やかなフルーツが載った一口カップケーキ、そしてキラキラ煌めく小さなフルーツゼリーを机に置いて、水筒に詰めたアイスココアをグラスに注ぐ。
「準備はバッチリです!」
 整えた場所に満面の笑みを浮かべるとふわふわソファーに身を沈め、持ってきた鞄から童話の本を取り出した。
 一口サイズのカップケーキを口の中に放り込み、その甘さと美味しさに目を細めては物語のページを丁寧に捲っていく。ハードカバーのそれには幾つかの物語が綴られていて、ひとつ読み終えてはアイスココアを飲み、ひとつ読み終えては持ってきたお菓子に手を伸ばす。
「今読み終わったのは人魚のお話だったから……水色のカップケーキにしましょう」
 パステルブルーのクリームに、人魚の涙を鏤めたような真珠色のアラザン。しっかりと味わってから食べ終わると手を拭き、また物語の世界へと旅立った。
 赤い頭巾を被った女の子の話、不思議の国へ迷い込んだ女の子の話、どれも心惹かれる不思議な話。最後のページを捲って、ぱたんと本を閉じると思わず溜息が零れた。
「やっぱりアリスラビリンスでは、この童話みたいにいつでも色んな不思議な事が起きるのでしょうか?」
 出来事が皆危なくなければいいのでしょうけれど……と考えてから、危ないことからアリスを守るのが役目でしたと思い直す。
「今は、迷宮災厄戦の真っ只中ですけれど」
 少しでも、自分に出来ることをしなくては。閉じた本を鞄に仕舞い、ココアを飲み干せば現れたのは虹色雲の獏執事だ。
「おやおや、カップが空ですね? 今すぐ新しいお飲み物を用意いたしますよ! それとも、ココアの方がよろしいですか?」
 絶妙なタイミングで現れた獏執事に向かい、光花が座り心地の良いソファーから立ち上がる。
「給仕お疲れ様です……流石は執事ですね?」
「いえいえ、皆様に快く過ごして頂くのが我らの喜びです。どうぞ、お気になさらず、パジャマパーティーを続けてください。さあ、さあ!」
 そうして、永遠に終わらぬパジャマパーティを! そう言い掛けた獏執事を遮って、光花が口を開く。
「ええ、ですが……もういいですよ」
 ぱちりと瞬くと、光花の金色の瞳が妖しく揺らめいた。
 それは魅了の眼差し、獏執事が動けなくなったところを一息に噛み付き、獏執事を自身の眷属へと変え、隷属させる。
「おやすみなさい」
 良い夢を。
 そうして静かになったパーティ会場で光花は再びソファに身を預けると、鞄からもう一冊の本を取り出した。
「今度は全部ハッピーエンドで終わるお話です」
 夢のような国の、夢のようなお話はハッピーエンドで終わらなくては、と光花が微笑んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

千家・菊里
【宴5】
お供のおたまとふわも狐寝巻(狐耳on狐耳帽)(全く動じてない)

いやぁ良いお揃い姿ですね、実に愉快な気分になりますねぇ
ええ、存分にどうぞ清史郎さん(もふもふ)
おや伊織、そんな顔で拗ねてると睡魔にやらたり――寝落ちてる間に可愛い髪型にされたり動物達の敷布団になったりしても知りませんよ

あ、此方も準備は万端です
(お菓子の山にジュースの海広げ)
ふふ、女性陣に負けてはいられません
清史郎さん、何から攻略します?

俺は怪談ならしってますよ
伊織が何かと一枚足りなくて(二枚目に及ばぬ三枚目だとか、一枚上手の相手に延々敵わないだとかで)夜な夜な泣く系の…

ふふ、楽しみ明かせそうですね(もふもふもぐもぐ大満足)


呉羽・伊織
【宴5】雛&亀と
浴衣…の心算が雛風ふわもこぱじゃま&まんまる亀枕+動物達も夢かわ帽子

嗚呼…清史郎お揃いだネ…完璧に着こなしてるネ…!
どうせ可愛がるなら俺も膝枕とかで甘や…何でもないヨ!(女子の笑顔&亀の涙目&雛のジト目に完敗)
これ以上玩具にされて堪るか~!

気を取り直してヤケ食…いや英気養お、清史郎!
この量、貘が出る幕あ…るよな~
ウン、速攻で平らげちゃうよネ君達
(貘は過労死確定だなと南無南無)

で、こーいう時は恋ばなが定番だケド、誰か…ないの?
そんな恐怖はヤメテ!?アリガト清史郎…(ほろり)
惚気なーハハハ(亀から目反らし)

何この天国(癒しの動物や空間)と地獄(愉快な仲間達の狂宴)!(でも楽しげ)


鳳来・澪
【宴5】猫の福と
姐さんとお揃ネグリジェ&福とお揃猫耳帽でうきうきと!

流石姐さん、見繕うのも着こなすのもお見事!
双子雛も狐耳祭も可愛えね!
うちも普段は襦袢やし、色々新鮮で一層わくわくするなぁ
(不満げな伊織ちゃんに笑顔向け)何、髪型も夢かわが良かった?

はーい、そしたら早速乾杯しよ!
(可愛い品や動物デコレーション品揃えて賑やかに)
ふふ、食も話も華やぎそやね!
ふわふわ甘々空間なんて幸せ
しかも給仕付なんて贅沢よねぇ

何その怪談!(ころころ笑い)
うちはペットーク(?)したーい!ゆるかわチャームポイントとか語り尽くしたい!
(福は早速自らアピールに突撃した!)

美味しくて楽しくて可愛くて、寝るなんて勿体無いよね!


筧・清史郎
【宴5】
ひよこのポポ丸連れ

やはりふわもこは着心地が良いな
(着ぐるみひよこぱじゃま着用でご満悦
ふふ、伊織とお揃いだな
伊織は流石の着こなしだ(微笑み
菊里も流石の狐さん、是非もふらせてくれ
女性陣は今宵も麗しく、洋装の寝巻もよく似合っている(雅に微笑むひよこ

ああ、存分に英気を養おう(微笑み
俺もひよこな菓子を持ってきた
そうだな、では一等甘い物から頂こうか(にこにこ
おお、獏さんも有難う(目一杯遠慮なく紅茶とお菓子楽しみ

伊織は何か足りないのか?
俺のでよければ、お裾分けしよう(全く分かっていない天然
ペットトークか、それは良い
福も今日も愛らしいな(おいでと声を

友や動物達との時間は楽しく
眠るなどむしろ勿体無いな


花川・小町
【宴5】
澪ちゃんと揃いのネグリジェで上機嫌に

最高ね貴方達(伊織ちゃん菊ちゃんに色々渡した犯人)
あら、折角伊織ちゃんが一番輝く衣装を選んだのにご不満?
清史郎君とお揃いで更に可愛く映えてるわよ
(反論は笑顔で封じ)ちょっと、亀ちゃんが泣きそうよ
早く可愛いペットちゃん達の笑顔を拝む為にも、宴で盛り上がりましょ

(人間用から動物用まで甘味も飲物も盛大に並べ)
流石美食家健啖家揃いね、壮観だわ
それじゃ幸福も口福もぱあっと分け合いましょう
(有難く容赦なく給仕利用)

私も伊織ちゃんの玉砕話なら沢山しってるけど(綺麗な笑顔)
ふふ、ペットちゃん達の惚気も良いわね(亀ちゃんに目配せ)

食を平らげ敵も平らげ一石二鳥
本当極楽ね



●ふわもこ宴はペットと共に!
 キングサイズよりも大きなふかふかベッドに、猫や狐、ひよこに亀などを模した大きなふわふわクッション。満場一致でここにしよう! と決めた場所で、着ぐるみひよこパジャマを着た筧・清史郎(ヤドリガミの剣豪・f00502)が嬉しそうに微笑んでいた。
「やはり、ふわもこは着心地が良いな。何よりポポ丸と揃いだ」
 頭上のポポ丸も、主の姿に満足気に胸を張っている、ように見える。
「ええ、よくお似合いですよ清史郎さん」
 喜ぶ清史郎に頷く千家・菊里(隠逸花・f02716)も、ふわもこの着ぐるみだ。お供のおたまとお揃いの、彼流に言えばふわも狐の寝巻。頭には、彼の狐耳をすっぽり隠すような、狐耳帽子。
「菊里もおたまとお揃いだな、よく似合っている」
 うんうん、と満足そうに頷く清史郎の横、彼と同じく薄黄色の着ぐるみひよこパジャマに身を包んだ呉羽・伊織(翳・f03578)がどこか遠い目をして笑っていた。
「浴衣……粋な浴衣でくるつもりだったんだがな……」
 黒地に煙のような流線形の模様の入った、お気に入りの一枚。ゆめかわふわふわなおやすみの国で、かっこいいと乙女が頬を染めるような、そういう……だがしかし悲しいかな現実は可愛いひよこの着ぐるみパジャマにまんまる亀枕だ。
「ぴよこと亀も、可愛らしくどれすあっぷ……いや、ぱじゃまあっぷをしているのだな」
 パステルカラーの小さくて可愛いナイトキャップを被ったぴよこと亀に清史郎の頬が緩む。
「ふふ、それに伊織は俺とお揃いだ。流石の着こなしだな」
 俺ではそうはいかぬと、清史郎が手放しに着ぐるみパジャマ姿の伊織を褒めた。
「嗚呼……清史郎お揃いだネ……そういうキミの方が完璧に着こなしてるネ……!」
 ぽやんふわんとした清史郎の雰囲気に、ポポ丸風ひよこ着ぐるみパジャマはばっちり似合っている。
「いやぁ良いお揃い姿ですね、実に愉快な気分になりますねぇ」
 清史郎のほわほわ笑顔に癒され、伊織のおもしろ百面相に笑いそうになったりと、菊里はとても満足そうだ。
「菊里も流石の狐さんだ、是非もふらせてくれ」
「ええ、存分にどうぞ清史郎さん」
 これはよい狐着ぐるみパジャマだと、清史郎の笑みが深まる。
「最高ね貴方達」
 そんな男三人とペット達の様子をご満悦で眺めていた花川・小町(花遊・f03026)が楽しそうに笑う。何を隠そう、この三人にそれぞれのペット達と同じ着ぐるみパジャマを選んで渡したのは彼女なのだ。
 そんな彼女は鳳来・澪(鳳蝶・f10175)と揃いのネグリジェ姿。ロングのワンピース風のそれはレースをふんだんに使っていて、シースルーの五分袖が涼やかで、どこか甘さを含んでいた。
「二人だけ着ぐるみパジャマじゃない……!?」
「あら、それぞれが一番輝く衣装を選んだのに……ご不満?」
「いや、そんなことは決してないヨ!」
 伊織の反論を秒で封じ、小町が優雅に微笑む。
「清史郎君とお揃いで、更に可愛く映えてるわよ」
「流石姐さん、見繕うのも着こなすのもお見事! 双子雛も狐耳祭も可愛えね!」
 澪が楽しそうに言うと、それでもまだ諦めきれぬ伊織が呟く。
「どうせ可愛がるなら俺も膝枕とかで甘や……何でもないヨ!」
 綺麗どころのお姉さま方がいるところで……という伊織の妄想は女子の無言の笑顔と亀の涙目、そして可愛いぴよこのじっとりとした視線によって霧散した。
「妄想するくらい、いいと思うヨ!?」
「ちょっと、亀ちゃんが泣きそうよ」
「伊織、亀を泣かすのはだめだぞ?」
「おや伊織、そんな顔で拗ねてると睡魔にやられたり――寝落ちてる間に可愛い髪型にされたり、動物達の敷布団になったりしても知りませんよ」
「何、今すぐに髪型も夢かわにしてあげよか?」
 四人とペット達の圧に完敗した伊織が天を仰ぐ。見えるのはきらきらのお星さまを模したガーランド、いっそオレもお星さまに……なんて一瞬思ったりもしたけれど、これ以上玩具にされて堪るかと気を取り直してパジャマパーティを前向きに楽しむことにした。
「よし! 気を取り直してヤケ食……いや、英気を養おう清史郎!」
「ああ、存分に英気を養おう」
「はーい、そしたら早速乾杯しよ!」
 いつもは襦袢で寝ているけれど、今日は姐さんと慕う小町とお揃いのネグリジェと愛猫の福とお揃いの猫耳帽子で、常よりテンションの上がっている澪がふわふわベッドの上でもバランスを崩さない机を置く。それもまたゆめかわなレースで彩られた丸型のテーブルだ。
「こちらも準備は万端です」
 菊里がお菓子の山にジュースの海を広げると、澪が可愛い猫のデコレーションがされたドーナツやパステルカラーに彩られたゆめかわなマカロンを並べるその横で、小町がペット達が食べられる可愛くて美味しいお菓子も忘れずに甘味も飲み物も盛大に並べる。
「俺もひよこな菓子を持ってきた」
 ひよこの顔が可愛い小さなカップケーキや、ひよこの形の焼き印が押されたどら焼きなどなど、清史郎のポポ丸愛が見えるようなお菓子が並べられていく。
「あら、とっても美味しそうね。早く可愛いペットちゃんたちの笑顔を拝む為にも、宴で盛り上がりましょ」
 それぞれにドリンクの注がれたグラスが行き渡ると、五人がグラスを掲げた。
「それじゃ……可愛い着ぐるみの清史郎ちゃんと伊織ちゃん、菊ちゃんに」
 小町が悪戯っぽく言うと、雅に微笑むひよこ……清史郎が答える。
「今宵も麗しく、まるで異国の姫君のように可愛らしい女性陣に」
 それに続いて、澪が笑う。
「可愛い帽子を被った愛しのペット達に!」
 管狐のおたま、ぴよこに亀に、福とポポ丸に伊織と菊里が柔らかい視線を向けて、乾杯! とグラスを鳴らし合った。
「ふふ、食も話も華やぎそやね!」
 なんて幸せなふわふわ甘々空間なのだろうとはしゃぎながら、どのお菓子も美味しそうだと笑い合う澪と小町を眺め、菊里が清史郎に向き合う。
「ふふ、女性陣に負けてはいられません。清史郎さん、何から攻略します?」
「そうだな、では一等甘い物から頂こうか」
 甘党を自負する清史郎らしい返事に、菊里が猫デコレーションのドーナツを取り分ける。
「これは砂糖の甘みがじゅわっと口の中に広がって……美味いな」
「ええ、しつこくない甘さで、これなら幾つでも入りそうです」
 あれもこれも美味しい、と嬉しそうに微笑む清史郎の横で、伊織がマカロンをツマミながらところ狭しと並べられた大量のゆめかわスイーツを前に、思わず呟く。
「この量、獏が出る幕あ……るよな~~」
 沢山あったドーナツの半分が既にないのを見て、獏執事の出る幕などなさそうだと言おうとしたのを改めた。ペット用のお菓子も、順調に消えている。
「ウン、速攻で平らげちゃうよネ、君達」
 これでは獏たちは過労死確定だな、と思いつつ伊織も無くなる前に一つはとドーナツに手を出した。
「流石美食家健啖家揃いね、壮観だわ」
 食べ切れない量を持ってきたと思うのだけど、これの倍は持ってきてもよかったのではと小町も思う。
「美味い菓子には目が無くてな。それに皆が一緒だと思うと、つい食も進む」
 まだ食えるぞ? と清史郎が微笑むと、虹色雲の獏執事が足りないようであればと、あれもこれもと世話を焼き始めた。
「おお、獏さんも有難う」
 伊織の予想通り、獏の給仕もてんてこまいだ。
「で? こーいうぱじゃまぱーてぃとやらには恋ばなが定番だケド、誰か……ないの?」
 お菓子を食べるばかりがメインではなかったはずだと、伊織が皆に問い掛ける。
「俺は恋ばなはしりませんけど、怪談ならしってますよ」
「怪談? 恋ばなと真逆だネ!」
 予想外なんだけど、という伊織をスルーして、菊里が己の知る中で一番怖い怪談を……と唇の端を持ち上げた。
「伊織が何かと一枚足りなくて――」
「オレ!?」
「二枚目に及ばぬ三枚目だとか、一枚上手の相手に延々敵わず、夜な夜な泣く系の……」
「待ってそれ怪談? 違うよネ!?」
 伊織の反応に小町も目を妖し気に輝かせ、菊里にのるように口を開く。
「私も伊織ちゃんの玉砕話なら沢山しってるけど。どこぞのお嬢さんやら、ねえ?」
「そんな恐怖はヤメテ!?」
 それはオレだけが怖い話ではないか、と伊織が悲鳴に近い声を上げる。正しく怪談であった。
「何その怪談! もっと聞きたいなぁ、他にはないやろか?」
 ころころと笑って、更に伊織の違う話をねだる澪に、小町がそっと耳打ちすれば鈴が鳴るような澪の笑い声が響く。
「伊織は何か足りないのか? 俺のでよければ、お裾分けしよう」
 他意も悪意もない清史郎の言葉に、伊織が安堵したように息を吐く。
「アリガト清史郎……!」
 オレの味方は清史郎だけだヨ! と伊織が叫べば、よくわかっていない清史郎が何を言うんだ、ここに居る皆が味方だろう? と首を傾げた。
「て、天然~~!」
「良いことです、清史郎さんはずっとそのままでいてほしいものです」
 伊織は少し改めるべきですけど、と菊里が目を細めて笑う。
「そうか? 俺は俺だからな」
 変わらぬよ、と清史郎が微笑むと、澪がはい! と右手を上げた。
「怪談も夏らしてええけど、うちはペットトークしたーい! ゆるかわチャームポイントとか語り尽くしたい!」
「ペットトークか、それは良い。皆愛らしくて甲乙付けられるものではないな」
 そんな澪と清史郎の声に、福がいち早く反応して清史郎に向かって突撃していく。
「おお、皆もだが福は今日も愛らしいな」
 おいで、と広げた懐に向けて福が飛び込むと、ペット用のお菓子を食べていたペット達が我もとアピールしだす。
「おたまはやはりこの毛並みでしょうか。ふわもこですよ、ふわもこ」
「そうね、おたまちゃんみたいにふわふわで触り心地の良い毛並みは中々ないわ」
 小町が楽しそうにおたまを撫でる。
「ふふ、ペットちゃん達の惚気も良いわね」
 惚気と言えば、と小町がおたまを撫でながら伊織と亀を見る。その視線を受ける前から、亀は伊織に猛アタックだ。
「惚気なー、ハハハ」
 乾いた笑いを浮かべ、伊織が亀のハートマークが飛んできそうな視線から目を逸らす。そうでなければ、どこに連れ込まれるかわかったものではないので。
「ポポ丸もぴよこも、おたまとはまた違ったふわふわですねぇ」
 二匹を手の平にのせ、菊里が指先でそのふわふわを楽しむと、澪がうちも! と指先を伸ばす。
「ほんまにふわふわで可愛えね」
 ペットトークも山盛りお菓子のパジャマパーティも、終わる気配はまだまだ見えない。
 亀の視線をビシバシに感じながら、伊織が何この天国と地獄! と小さく叫ぶ。癒しの動物とゆめふわ空間、そして愉快な仲間達の終わらない狂宴に、それでも伊織は楽し気に笑う。
「美味しくて楽しくて可愛くて、寝るなんて勿体無いよね!」
「そうだな、眠るなどむしろ勿体無いな」
 澪と清史郎が、顔を見合わせて頷き合っている。
「食を平らげ敵も平らげ一石二鳥、本当に極楽みたいね」
 不埒な動きをしようとした獏執事を皆が知らぬうちに、軽く成敗した小町が扇を片手に艶やかに笑うと、菊里が今夜は楽しみ明かせそうですと手元に戻ったおたまを撫でた。
 ペット達の満足そうな様子に、また五人の宴は盛り上がりをみせるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月18日


挿絵イラスト