迷宮災厄戦⑰〜昨日の自分は今日の敵!?
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グリモアベースに、見慣れない蜥蜴型ドラゴニアンの青年が立っていた。
「はじめまして、先輩がた」
パーカーのフードを被った、優しい声音の蜥蜴頭の青年。
「ボクはベルゼルガ・グランツ。先輩たちの活動は報告書を読んでいるから……ある程度は把握してるよ。これから先輩がたと同じように活動していくから、以後お見知りおきを」
口角を少し上げて微笑んだ彼はベルゼルガ・グランツ(穏便派蜥蜴竜・f21703)と名乗った。
「ま、ボクの自己紹介は置いといて…っと。先輩がた、今アリスラビリンスで戦争が起こってるのは知ってるよね?」
展開した雷型のグリモアを指先で弄びながら、ベルゼルガは今回の戦場の説明を始める。
「この世界を見て欲しいんだけど……」
ベルゼルガが示した転送先は──古代ローマ風の闘技場の国。
「侵入者…つまり先輩がたの『昨日の姿』が、オウガとして現れるんだ。その昨日の自分と戦って、勝利して来て欲しいんだ」
侵入者として現れた『過去の自分』がオブリビオンとして出現するのでそれの撃破をすればいいと蜥蜴竜の青年は語る。しかし、言うのは易いがいざ実行するには骨が折れるだろう。
「そうそう。『昨日の俺は腹痛だった』とか『弱点を挙げた上で戦闘に挑む』と、結構簡単に倒せるかもしれないかもね?…はじめての予知だから、多少曖昧な表現になってしまうのは許してほしいかな」
少し困ったように頬を掻いて、ベルゼルガは説明を終える。
表情を切り替えて蜥蜴竜の青年は雷を足元に落とすと、そこから朗らかな光が放たれて。
「今までいろんな世界を救ってきた先輩がたなら絶対上手くやれるよ。頑張ってね」
君たち猟兵は、アリスラビリンスのローマ風闘技場へ飛ばされるのであった──!!
不知火有希哉
おはこんばんにちわーうるふ!
お久しぶりな不知火有希哉です!
今回はアリスラビリンスでの戦争シナリオをおひとつお送り致します♪
よく考えたらコレはじめてのアリラビシナリオでは……?
なお、今回のシナリオには条件を満たすと戦闘を有利に進められる『プレイングボーナス』がありますので、そちらも組み込んだプレイングをいただけたらと思います!
●プレイングボーナス
このシナリオフレームには、特別な「プレイングボーナス」があります。
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プレイングボーナス……「昨日の自分」の攻略法を見出し、実行する。
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はたして『昨日の自分』に勝つ方法……皆様の努力がどんな形になるのか楽しみです☆
楽しんでいただけるシナリオになるように全力で執筆させていただきます!
それでは、今回もよろしくおねがいしまーす♪
第1章 冒険
『昨日の自分との戦い』
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POW : 互角の強さであるのならば負けない。真正面から迎え撃つ
SPD : 今日の自分は昨日の自分よりも成長している筈。その成長を利用して戦う
WIZ : 昨日の自分は自分自身であるのだから、その考えを読む事ができるはず。作戦で勝つぞ
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ルク・フッシー
ここで勝てば、いよいよ猟書家との戦い…!…怖いです…
でも、行かなきゃ…平和のためですもんね…
昨日のボクに、勝てるもの…
…画力?
絵で対決!…とはいかないでしょうけど、勝てる気がしてきました!
【流星描画】!空に描いた星の絵を流れ星に変えて、昨日のボクとぶつけ合います!
同じ星の絵でも、毎日いっぱい練習してますから…少しでも上手くなれば、その分威力も上がるはずです!
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光から解き放たれて、拡がる光景はコロシアムのそれだった。
「ここで勝てば、いよいよ猟書家との戦い…!…怖いです……」
ぶるり、と小柄なドラゴニアンの少年が震えた。
緑の子竜はルク・フッシー(ドラゴニアンのゴッドペインター・f14346)。
「でも…でも行かなきゃ。平和のためですもんね……!」
武器である筆を握る力も籠もってしまう。ぎゅ、と音が聞こえるような気がした。
「いきます…!」
目の前には黒いモヤが広がっている。ルクはそのモヤに手をかざすと、みるみるうちに自分自身が構成されていった。
『こんにちは、ボク。早速だけど、ここで倒れてもらうね』
自分にしか聞こえない声が頭の中に響く。
己と影しかいない…人気のない闘技場で。戦闘開始の鐘がどこからか鳴り響いた───!
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戦闘は唐突に始まる。
ルクの幻影は素早く手に持った筆でインクを撒き散らしながらこちらの行動を阻害してくる。
「っ……!」
考える暇がない。昨日の自分自身に勝てる手段なんてあるのだろうか?
撒き散らされたインクをかき消すように、こちらも反撃に出る。
「えいっ!」
びしゃり、と反撃にでたルクの一撃は、奇しくも幻影の一撃と重なって。
インク同士がぶつかり合い、大規模な爆発が巻き起こる。
昨日の自分に、勝てるもの……?
「画力なら…画力なら昨日のボクに負けません!」
確かな自身。それは今まで自分が積み上げていた努力の結晶。
「思い描くは、ボクの想い!!」
ルクは日々積み上げてきた努力を、秘める想いを。思うもの全てをユーベルコード『流星描画』に込めて、空へ描き出す。目の前の困難を乗り越えるために。その先へ進むために。
ルクは同じ星の絵でも、毎日いっぱい練習しているのだ。
少しでも上手くなれているなら、その分威力も上がるはずと考えたのだ。
「これはボク達の祈り。未来を拓く願い星!」
遠く拡がる黒い空へ描いた『星の絵』を『流れ星』に変えて、幻影目掛けて叩き落とすと。
先程のとは比べ物にならない大きな爆発が、幻影を吹き飛ばす勢いで着弾した。
土煙が晴れると、ボロボロになった幻影は膝をついて息を荒げていて。
『ふふふ。やっぱりすごいね…流石ボクだ』
ルクの幻影はそう告げると、穏やかな表情のまま倒れ伏し黒い霧となって消えてしまったのだった。
成功
🔵🔵🔴
メガ・ホーン
・おー、昨日の俺ちゃんじゃねーか。昨日聞いた曲は良かったよなー! 聞いて即耳コピして練習したしな!
・楽しい音楽ブリキロボが2体揃えばやるこた決まってるだろ。そう、今この場で即興セッションだ! 曲は昨日聞いたあのハードロックでいいだろ? ここにいる観客たちを俺達の演奏と歌唱、パフォーマンスで熱狂させてやろうぜ!
・でよー、実はあの後寝て起きた後にこういうアレンジ思いついたんだぜ。即興にアレンジはつきものだが、昨日の俺ちゃんはついてこれるかー? さあ、メインはこのまま今日の俺が張るぜ!
・昨日の俺ちゃんがいたから、今日の俺がいる。そして、このアレンジも思いつけた。感謝するぜ(UCを音楽に込めて)
先程の緑竜の少年が自身の幻影に討ち勝った頃。もうひとりの猟兵が姿を表した。
メガ・ホーン(サウンドマシーン・f13834)と名乗る彼は錻力の玩具のような姿をしたウォーマシンの猟兵。
「んーと、このモヤに手をかざせば良いんだっけか」
彼は仲間の少年がやってみせたように、黒いモヤに手を翳してみせる。すると───。
その姿は全く自分と同じ姿であるのだ。
「おー、昨日の俺ちゃんじゃねーか」
表情の変化はわからないものの、彼の声音は純粋に嬉しそうで。
「昨日聞いた曲は良かったよなー! 聞いて即耳コピして練習したしな!」
幻影の肩をばしばし叩きながらも、メガは笑ってみせた。
「楽しい音楽ブリキロボが2体揃えばやるこた決まってるだろ?」
がしゃんがしゃんと自分の装甲を叩く音が、自分以外誰もいないコロシアムに響く。
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「そう、今この場で即興セッションだ!」
なんかこのノリ、別の猟兵さんもやってたような…?
「曲は昨日聞いたあのハードロックでいいだろ?」
自分とその影しかいない。観客も誰もいない空間にただ…己と対峙するメガ。
「ここにいる観客たちを俺達の演奏と歌唱、パフォーマンスで熱狂させてやろうぜ!」
だからこそ、『聴きたかった』、『行けばよかった』と思われるようなアクションを。
両胸に内蔵されたスピーカーを最大音量で響かせて、『先日練習し続けた楽曲』を奏で続ける。
幻影も同じ行動で攻撃を相殺しようとしてくる。
「はははっ やるじゃねぇか!!」
お互いの音と音がぶつかり合うと、途端に大きな衝撃波が2人の間に生じた。
機械の体の中に秘める熱い想いが、どんどん自分の力になっていくような。
他の猟兵がいたら吹き飛ばされてしまいそうな、音の重圧が広がっていく。
それでもメガは奏で続ける。己を超えるために。昨日よりもっと上手になるために。
前を向きながら音を奏で続ける。
『───!?』
互角だったはずの音圧に圧されて、幻影の方の足が半歩ずるりとズレると。
「実はあの後寝て起きた後にこういうアレンジ思いついたんだぜ…!」
即興にアレンジはつきものだが、昨日の自分ははついてこれるだろうか?
……主役の座は幻影なんぞにくれてやるものか。
「昨日の俺ちゃんがいたから、今日の俺がいる」
彼から弾けた色音は、自分の胸から拳に流れてくるような感覚として全身を駆け巡っていく。
「そして、このアレンジも思いつけた。感謝するぜ」
ぴぴぴ!と特有の電子音で反応してから、腕に握り拳が入って。
彼の練習していたBGMが尚更テンションを引き上げてくれる。
だからこそ───乗り越えられる壁があるのだ。
メガはユーベルコード『クイエムアタック』を発動させると。
「お前の───いや、『俺の』心を貫く!」
残滓となった自分の影を屠るべく…その胸に想いを打ち込んだ。
ごん!と重い音を立てた直後に装甲共々何かが内側で弾ける音がして…幻影は行動を止めて、骸の海へと消えていった。
成功
🔵🔵🔴
メルティア・サーゲイト
「ははっ、同キャラ対決ってか? いいぜ、一度やってみたかったんだ」
右肩にミサイルユニット、左肩に巡航ミサイル、右手にガトリングカノン、左手にリニアレールカノン装備。
「さあ、思いっきり撃ち合いを楽しもうぜェッ!」
私は電力の続く限り弾薬も変えパーツも補充できる。継戦能力は高い。だが、戦闘出力を出し続けられる程ではねェ。
「その為の手品だよなァ? 来いよ、雷獣!」
異界の力による電力の増幅、それが雷獣の力だ。より派手に撃ちまくれる。だがな、出来るのは電力の増幅であって、発電じゃない。
「無限に無制限の動力なんて訳にはな」
昨日はソレ、知らなくてな。慣れない手品をぶっつけでやるモンじゃねーぜ。
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喜々として戦場に舞い降りる猟兵はどこにでもいるものだ。
「ははっ、同キャラ対決ってか? いいぜ、一度やってみたかったんだ」
転送の光から出てきたゴーレムユニットの中にいる女性の声がコロシアム内に響いた。
現れた『彼ら』メルティア・サーゲイト(人形と鉄巨人のトリガーハッピー・f03470)は2つで1人の猟兵である。
「あのモヤに触らなきゃならねェのかよ…… チッ、めんどくせェなァ」
毒づきながら、メルティアはゴーレムユニットから降りて黒いモヤと交感すると。
モヤはむくむくと大きく膨れ上がり、自分の装備と全く同じ姿を模した己の影が形成された。
こちらは右肩にミサイルユニット、左肩に巡航ミサイル、右手にガトリングカノン、左手にリニアレールカノン装備。
もちろん己の影ということもあって、幻影である向こうも同じ装備だが。
「さあ、思いっきり撃ち合いを楽しもうぜェッ!」
最初から弾丸を全て撃ち尽くす勢いで弾幕を張る。大規模な爆発があちこちで起きているのか、壁が倒壊したり瓦礫の山が出来上がるまでそう時間は掛からなかった.
あくまで此処は戦場なのだ。このコロシアムを完膚なきまで破壊したところで、誰も怒りはしないだろう。
(『私』は電力の続く限り弾薬も変えパーツも補充できる)
正直な話、己の継戦能力が高い自覚はある。だが……戦闘出力をいつまでも出し続けられる程ではない。無限機関を搭載しない限りは。
「その為の手品だよなァ? 来いよ、雷獣!」
ユーベルコード『CODE RAIJU(コードライジュウ)』を発動させて、骸魂【雷獣】と合体することで一時的にオブリビオン化する悪魔の所業。
異界の力による電力の増幅……それがこの『雷獣の力』。此のように戦場が瓦礫と化すまで派手に撃ちまくれる。
……けれど、出来るのは電力の増幅であって、発電ではないのだ。
「無限に無制限の動力なんて訳にはならねェんだよ」
昨日はソレを知らなかったのもあって。
同じユーベルコードを発動していた幻影は、内蔵電力を全て消耗したのか沈黙している。
その隙を見逃すはずがなく、幻影に向かって残りの弾丸全てを叩き込んでやった。
「……へ、慣れない手品をぶっつけでやるモンじゃねーぜ」
己の弱点を克服し幻影を消し炭にしたところで、彼女らは戦場を後にするのだった。
大成功
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