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迷宮災厄戦⑰〜ミラーマッチ・グラディエーター

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦

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「『人間の最大の敵は自分自身であり、常に自分自身との戦いが何より激しい戦いとなる』。これは一体誰の言葉だったか......」
 ダークスーツに身を包んだ年長のグリモア猟兵、ヒューベリオンはそう前置きすると、集まった猟兵たちに予知の内容の説明を始めた。
「諸君らに向かって貰いたい戦場は『過ぎ去りし日の闘技場』。国全体が古代ローマの闘技場のような形をした不思議の国だ」
 ヒューベリオンが名を告げた国は、猟書家たちの一角である『プリンセス・エメラルド』と『ブックドミネーター』の領域の手前に位置する国である。彼らとの戦いを挑むのならば、この国も制圧しておく必要がある。
「説明を続けよう。この地にはある特殊なオブリビオンが出現する仕掛けが施されている。それは......」
 ヒューベリオンは一呼吸置いてから、こう言った。
「『昨日の自分自身』だ。この戦場では訪れた猟兵自身の過去が敵として出現する。戦いは恐らく過酷なものとなるだろう」
 禅問答のような話だが、これは精神論ではなく現実に起こる戦闘だ。何とか攻略法を見いださなくてはならない。幸い、敵が誰であるかこちらには分かっているので、対策を考える時間はたっぷりある。
「強敵だが、己の弱点を見つめ、乗り越えることは来たるべきオウガ・オリジンや猟書家たちとの決戦にも必ず役立つはずだ。ここは試練だと思い、なんとか乗り越えてくれ。では、武運を祈る」


大熊猫
 こんにちは。大熊猫です。5本目の戦争シナリオとなります。昨日の自分(のコピーであるオブリビオン)と戦い、打ち勝ちましょう。依頼の担当グリモア猟兵は真面目そうなオッサンですが、トンチキプレイングでもガチバトルでもOKです。

●連携について
 シナリオの性質上、今回はいわゆる野良連携は発生しません。リプレイでの描写もグループ参加の場合を除いて一人ずつお返しする形になります。
 合わせプレイングの場合は対戦相手を仲間同士で入れ替えたり、連携攻撃で攻略してもOKです。

●ユーベルコードについて
 判定には選択ユーベルコードを使用しますが、プレイング上の合理性があれば複数のユーベルコードを使用するのは別に構いません。

●プレイングボーナス
「昨日の自分」の攻略法を見出し、実行する。

●文字数省略用記号
 アドリブ歓迎→☆、連携歓迎→★、何でも歓迎→◎(☆★と同じ)、ソロ描写希望→▲。童話っぽい文体で→♯。

●合わせプレイングについて
 グループ参加の場合は、迷子防止の為プレイング冒頭にグループ名をご記載下さい。3名以上の場合はどなたか合計人数をご記載頂けると助かります。

●プレイング受付について
 オープニング公開時からシステム的に閉まるまで受付いたします。リプレイ執筆開始は水曜日の予定です。

 以上です。皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『昨日の自分との戦い』

POW   :    互角の強さであるのならば負けない。真正面から迎え撃つ

SPD   :    今日の自分は昨日の自分よりも成長している筈。その成長を利用して戦う

WIZ   :    昨日の自分は自分自身であるのだから、その考えを読む事ができるはず。作戦で勝つぞ

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

メンカル・プルモーサ
◎▲
ふむ……なるほど昨日の自分…
…うん、今日だけは昨日と明確な差があるな…昨日の私も運が悪いことで…
…フード付きのローブに身を包んで……フードで顔を隠すことで一見正体を判らなくするよ…
…そうすることで汎用性のある【空より降りたる静謐の魔剣】を誘発…
…合わせてこちらも【空より降りたる静謐の魔剣】を発動…
昨日と違って、今日は以前より5本多く出せる様になったからね…
…剣同士を迎撃させて、余りの剣を昨日の私に殺到させよう…
…これで勝負あり…と言いたいのだけど…私ならこっそり数本、無事な物を迎撃された剣に紛れさせておいて…油断したところにグサリと行くから…
…きちんとその分を処理してからトドメと行こうか…



●トリニティ・ウィッチVSトリニティ・ウィッチ
「あれじゃ正体が判別できないな……」
 私は闘技場の中心に立っている敵を入口から観察しながらぼやいた。敵は正体を隠す為か、フード付きのローブを目深く被って姿を隠している。用心深いことだ。
(……ここは汎用性の高い術式で……)
「停滞せしの雫よ、集え、降れ。汝は氷雨、汝は凍刃。魔女が望むは数多の牙なる蒼の剣。『空より降りたる静謐の魔剣』(ステイシス・レイン)」
 敵の正体が分からない以上、うかつに近づくのは危険だ。私は攻撃範囲の広い術式で様子見をすることにした。
 すると……。
「停滞せしの雫よ、集え、降れ。汝は氷雨、汝は凍刃。魔女が望むは数多の牙なる蒼の剣。『空より降りたる静謐の魔剣』(ステイシス・レイン)」
 なんと、敵は私と全く同じユーベルコードを発動し、こちらの『静謐の魔剣』を迎撃してきた。
 パキンパキンパキンパキンパキンパキンパキンパキン!
 乱れ飛ぶ互いの氷剣が空中で激突して砕け散り、ガラスがひび割れるような音を奏でた。
(『ミレナリオ・リフレクション』系統の術式……? 断定はまだできないけど、ともかく相殺されたか。なら、次の手は……)
 私は頭脳をフル回転させ、次の術式を放とうとしたが――。
 それよりも早く、相殺された氷の剣の後ろに隠れていた、全く同じ軌道の氷剣が私の全身を串刺しにした。
「がはっ……」
 鮮血を吹き出し、私はどさりと地面に倒れた。こちらよりも向こうの出した剣の方が五本だけ多かったのだ。
(くそ、読み負けたか……)
 かろうじて致命傷は避けている。とはいえ、状況は最悪に近い。
(真っ向勝負はもう無理だな……。賭けになるけど……)
 私はそのまま死んだふりをすることにした。大半の氷剣は激突で破壊されたが、何本かは弾かれただけなのでまだコントロールが可能だ。
(こちらの生死を確認しにきた時に後ろから……)
 咳き込みそうになる自分を抑え、身じろぎ一つせずに私は息を潜める。最後まで諦めない。しかし現実は非情で――。
「我が剣よ、歌え、踊れ。汝は残星、汝は晨明。魔女が望むは彼誰煌めく星嵐。『暁天踊る集い星』(デイブレイク・ストーム)」
 「メンカル・プルモーサ」が放った自律稼働する極小の刃の群れが、隠していた氷剣諸共、「私」を細切れにした。

「今日だけは昨日と明確な差があったからね……。昨日の私も運が悪いことで……」
 『昨日の自分』を無傷で倒してのけたメンカルは、乱れ飛ぶ刃の結界の内側に身を隠したまま、消滅していくオブリビオンの姿を見送ったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シャルロット・シフファート
昨日の自分の台詞描写不可。あくまでも『現象』として描写してほしい。
それ以外は☆でおねがいね。

昨日の自分ということは過去に干渉するユーベルコードがあれば突破口はありそうね。
という訳で火水風土時幻空の七属性のうち『時属性を主体とする』ことで『このユーベルコードを充分に使いこなした未来の自分の経験値の前借り』をして昨日の自分とアドバンテージをとって対決するわ。

「さぁ、見なさい!これこそが時属性と他の六属性を連結して放たれる神話魔術--『偉大なる時の管理者の四大たる幻想にして空想(アクエリアンエイジ)』よ!」
と、四大エネルギーを合成し空間と認識をずらして未来から放たれる魔法弾が放たれるわ。



●現象との対峙
「驚いたわ。本当にそっくりね」
 目の前に出現した自身と寸分違わぬ姿のオブリビオンを見て、シャルロット・シフファートは呟いた。単に姿を真似ているだけの人形ならば恐ろしくはないのだが、その実力のほどはどうだろうか。
 シャルロットはエレメンタルロッドを振り、火の魔術で様子を伺う。すると、オブリビオンは同じようにエレメンタルロッドを振り、風の魔術で攻撃を無効化してきた。
 水、風、土と他の属性も試し、独自に開発した複合属性の魔術まで試してみたが、結果は全て同じだった。どうやら、昨日の自分というのは本当らしい。
「このままだと無駄に魔力を消耗するだけね……」
 シャルロットが一旦手を休め、次の手について思案していると、オブリビオンは日本刀型の電脳剣を手に、一気に距離を詰めてきた。
 ガキィン!
 シャルロットはオブリビオンの斬撃を同じく『白桜』で受け止め、鍔迫り合いをしながら自分と互角の力量を持つ相手を必殺する戦術を模索する。
「昨日の自分ということは、過去に干渉するユーベルコードがあれば突破口はありそうね……!」
 ガキン、ガキンと激しく切り結びながら、シャルロットはユーベルコード発動の為の呪文を詠唱した。
 「創世は七つの日を以て開闢するならば、この七曜を以て万象から両義、四方へと神代の理を人界に流出する」
 オブリビオンもシャルロットと同じく、斬撃を繰り出しながら『七曜司どりし起源の天光』(グレイトフル・セブンス)の呪文を詠唱するが、シャルロットには敵を撃ち破る秘策があった。
 それは、ユーベルコードを構成する火水風土時幻空の七属性のうち、「時」を主軸として魔術を構成することで、未来の自分からの経験値を前借することだ。
「さぁ、見なさい!これこそが時属性と他の六属性を連結して放たれる神話魔術--『偉大なる時の管理者の四大たる幻想にして空想(アクエリアンエイジ)』よ!」
 詠唱の完成と共に、空が七色に瞬く。
 四大のエネルギーを合成し空間と認識をずらして未来から放たれた魔法弾は、オブリビオンがユーベルコードを解放するよりほんの少し早く発動し、その体を跡形も無く消し飛ばした。
 なんとか自身と互角の相手を打ち破り、シャルロットは安堵の息を吐く。
「修行サボったりしたら取り立て人が現れるのかしら……。なんてね」

成功 🔵​🔵​🔴​

紫谷・康行
自分のことは自分が一番分かっている
そう思いがちだ
自分から自分は見えない
一番自分を知らないのは自分かもしれない

苦手は本当に苦手なのか
得意は本当に得意なのか
ただ個性があるだけ
思っていることと出来ることは違う

乗り越えることが明日を作る
嘘を本当に
願いを本当にするとは
そう言うこと

剣で戦う
俺は体力が無い
そこを突く
相手の苦手は自分の苦手
苦しくなるだろう
自分の弱さを知る方が勝つだろう
人の持つ全ての心の弱さをきっと俺は持っている
誤魔化すことは出来ない

昨日は剣を光に当てていない
俺は有利ではない
剣に有利さに固執しないため
弱さを力にするため
右手に込めたルウォルビルの炎が本当の一撃
昨日より俺は弱さを知っている
それだけ



●弱さを乗り越えて
 自分のことは自分が一番分かっている。そう思いがちだ。
 自分からは自分は見えない。
 一番自分を知らないのは自分かもしれない。
 苦手は本当に苦手なのか、得意は本当に得意なのか。
 ただ個性があるだけ。思っていることと出来ることは違う。
 乗り越えることが明日を作る。
 嘘を本当に、願いを本当にするとはそう言うこと。
 そんなことを考えながら、柴谷・康行は過ぎ去りし日の闘技場への門をくぐる。
 中央で敵が来るのを待っていると、鉄の格子の奥から自分と寸分違わぬ姿の「昨日の自分」が姿を現した。
 康行が使うと決めた武器は剣だ。
 だが、昨日は剣に光を当てていない。だからクロウネルは使えない。
 康行は有利ではない。剣に有利さに固執しないため、弱さを力にするため、あえて剣を選んだ。
 魔法使いである康行にさほど体力はない。だからそこを突く。
 康行は一気に距離を詰め、昨日の自分に接近戦を挑んだ。
 昨日の自分は風の刃でこちらの接近を拒んできたが、康行は敵の魔法を相殺し、なんとか剣の間合いにまで踏み込むことに成功した。
 この間合いでの魔法の行使は悪手と見て、昨日の自分も剣を抜いた。
 ここから先は体力勝負だ。
 自分自身との戦いである以上、相手の苦手は自分の苦手でもある。苦しくなるだろう。
 だが、体力の勝負であると同時に、これは精神力の勝負でもある。
(自分の弱さを知る方が勝つだろう。人の持つ全ての心の弱さをきっと俺は持っている。誤魔化すことは出来ない)
 長い剣戟が続いた後、康行は受け止めた相手の剣諸共、己の剣を宙へと弾き飛ばした。
「闇の奥底に眠り心に炎を灯すものルウォルビルよ。我が誓いによりその深い眠りより目覚めよ。今こそ我が手に宿り心を灯す光となれ」
 信念を込めた言霊を宿す、右手が炎に包まれる。右手に込めたルウォルビルの炎が本当の一撃だ。
 そして、炎に包まれた互いの拳が交差し――。
 昨日の康行は大地に崩れ落ちた。
 勝者となった康行は呼吸を整えながら、消えていく自分の過去に向けて呟く。
「昨日より俺は弱さを知っている。違ったのはそれだけだ」

成功 🔵​🔵​🔴​

アリス・セカンドカラー
お任せプレイング。お好きなように。
汝が為したいように為すがよい。
え?昨日の自分?こういうのは今の自分が最大効率で立ちはだかるとかそういうのじゃないの?正直劣化版で試練になるのん?
ついさっき『迷路実験の主』の『心因性の負荷課題』のトラウマ乗り越えたばっかだしなぁ。
ディメイションアタック?ああ、昨日はお気にいりだったわねぇ、でも本人に使われても共感しかできないわ。さて、語りに夢中なとこに踏み込んで念動力を纏った拳で腹パン。体勢を崩したとこに手刀で切り込み意識を略奪。結界術で夢の世界に閉じ込めて、過去の私が語っていた内容を実践しましょ♪ま、いつもの情熱の炎で料理して捕食するあれですな♡




ごちそうさま☆



●ドリーム・マッチ
「え? 昨日の自分? こういうのは今の自分が最大効率で立ちはだかるとかそういうのじゃないの? 正直劣化版で試練になるのん?」
 開口一番、余裕をぶっこいたアリス・セカンドカラー。
 通常、昨日の自分と今日の自分ではほぼ互角の性能同士で戦うことになるので、かなりの接戦になることが予想されるが、彼女からはそんな不安は微塵も伺えない。よほど自信の成長性に自信があるようだ。
「ついさっき『迷路実験の主』の『心因性の負荷課題』のトラウマ乗り越えたばっかだしなぁ」
 堂々とした足取りでコロシアムの門をくぐり、闘技場へ。アリスが対戦相手を待っていると、彼女と寸分違わぬ姿のオブリビオンが姿を現した。
「「さあ、愉しみましょう♡」」
 どちらともなく妖艶な笑顔を浮かべ、二人のアリスは戦いに突入する。
「バッタ並に脚力を強化するスキル発動! とう!」
 バキャッ!
 いきなり昨日のアリスの飛び膝蹴りがアリスの顎にクリーンヒットし、アリスの頭部を粉々に吹き飛ばした。
「あら、弱過ぎない?」
 しかし、よくよく見てみると粉砕されたのは闘技場に設置されていた大理石の柱であり、アリスではなかった。
「今のは私ではない。柱だ」
「あら、残念♡」
 ウインクし、再び仕切り直す二人のアリス。
 今度はアリスが突然山のように巨大化し、昨日のアリスを手で掴んでパクリと捕食した。
 だが、コロシアムの観客席でパチパチと拍手の音が鳴り、アリスが振り向くとそこには倒したはずの昨日のアリスが脚を組んで座っていた。
「いつから私がイリュージョンしていないと錯覚していた?」
「まだまだ楽しめそうね♡」
 ここまでの遣り取りの間、実は二人共、まだ戦闘が開始してから一歩も動いてはいない。これまでの奇っ怪なやりとりは、全て精神世界の出来事だったのだ。
 幻の掛け合いでは決着は着かないと悟ったサイキッカー同士の戦いは、ユーベルコードの撃ち合いに移行する。
「dlrow lartsa llewd tcartnoc ni siht tirips eht ydob 我が意識は幽界にあり。『アストラルプロジェクション』♡」
「不可説不可説転もの数多の我が煩悩の内一不可思議を代償に、六欲天が最上位・他化自在天を顕現せん。我こそは、第六天魔王波旬が化身なり。『欲界顕現・他化自在天』♡」
 二人のアリスはパンジャンドラムに跨ってコロシアムを周回しながら、ユーベルコードを撃ち合った。
 互いのユーベルコードの遣り取りと、無数のスターゲイザーパイがコロシアムに飛び交い、両者の間に千を超える火花を生んだが――。
 デッドヒートの末についに二台のパンジャンドラムはクラッシュ事故を起こし、二人を巻き込んで木端微塵になった。
「ごほごほ。さすがは私。意外と食い下がってくるわね。でもそろそろ決着を付けましょうか」
「げほげほ。ええ、いいでしょう。貴女の妄想(おもい)、全て受け止めてあげる♡」
「行くわよ♡ ■■■■。■■■■。ピー。ピー。ブブー。(あまりもアレな妄言なため削除されました)」
 「ディメイションアタック?ああ、昨日はお気にいりだったわねぇ、でも本人に使われても共感しかできないわ」
 アリスは妄想語りに夢中になっている昨日の自分に鋭く踏み込むと、全体重と念動力を乗せた腹パンを叩き込んだ。
「かはっ」
 体がくの字に曲がった瞬間、首筋に手刀が叩き込まれ、昨日のアリスの意識はブラックアウトした。

 昨日のアリスが目を覚ますと、そこは不思議の国よりも不思議な世界でした。アリスは夢の世界に閉じ込めた昨日のアリスに向かって邪悪な笑みを浮かべて言いました。
「さあ、貴女の妄想を私が形にしてあげましょう。情熱の炎でじっくりことこと料理して、おいしく捕食してあ・げ・る♪ 魂まで吸い尽くしてあげるわ♡」

成功 🔵​🔵​🔴​

ユーイ・コスモナッツ
【FH】

昨日の自分と戦う、それも一興ですが……
どうでしょう唐草さん
ここはひとつ、
昨日のユーイ・コスモナッツと戦ってみませんか?

言うや位置を入れ替えて、
互いに迎え撃つ相手を交換します
コピーとはいえ、見知った仲間との真剣勝負!
ふふっ、燃えてきましたよー!

敵の能力を的確に分析して、
柔軟に対応することに長けている唐草さん
長引かせれば私が不利なのは明らか
こちらの行動パターンを読まれきる前に、
短期決着を狙いたい

そしてそれは、
彼女と対照的な、私の得意分野でもある

リロードの隙を狙い、
【流星の運動方程式】で急接近
回避行動をとられても、
得意の「騎乗」技能で急旋回して追いすがる
「ランスチャージ」で初撃勝負ですっ


唐草・魅華音
【FH】☆
戦い方(敵):基本は動き回って情報収集しながら戦ってパターン分析し、それを元に武器を選択して攻撃に移る。

戦略的にも適切でいいですね。…わたしも、ユーイさんと本気でぶつかってみるのは大変興味があります!
ユーイさんとタイミングを合わせ、敵ユーイさんへ駆け出します。わたしが相手になりますよ、昨日のユーイさん?

突進してくるユーイさんを回避し攻撃するのを繰り返し、当てられる攻撃タイミングを【情報収集】【学習(力)】。
UC発動させタイミングを合わせて正面から【弾幕】を張り盾を使わせわたしを見えなくする死角を生み出し、そこへ【ダッシュ】【スライディング】して掻い潜り、不意打ちの一撃を打ちこみます。



●スイッチ・バトル
 出現したオブリビオンたちの自分たちと全く同じ姿にユーイ・コスモナッツと唐草・魅華音(戦場の咲き響く華・f03360)は互いの顔を見合わせた。
「昨日の自分と戦う、それも一興ですが……。どうでしょう唐草さん。ここはひとつ、昨日のユーイ・コスモナッツと戦ってみませんか?」
「戦略的にも適切でいいですね。…わたしも、ユーイさんと本気でぶつかってみるのは大変興味があります!」
 作戦決定。ユーイと魅音はタイミングを合わせ、互いの友人の昨日の姿へ向かって駆け出した。
「わたしが相手になりますよ、昨日のユーイさん?」
「貴女の相手は私です、昨日の唐草さん」
 こうして、対戦相手を入れ替えた、互いの友人の昨日の姿とのスイッチ・バトルが始まった。

●ユーイVS昨日の魅音
 ドゥルルルルル!
 昨日の魅音はコロシアムを駆け回りながら、ユーイに向かってアサルトライフルを乱射してきた。片手で反動を制御しているにも関わらず、その精度は相当なものだ。
「コピーとはいえ、見知った仲間との真剣勝負! ふふっ、燃えてきましたよー!」
 ユーイはシールドをどっしり構え、激しく動き回りながら発砲してくる魅音の攻撃を防ぐ。
 すると、魅音はガーターベルトからグレネードを引き抜き、ユーイに投げてよこしてきた。
「!」
 ドゥン!
 なんとか爆風もシールドで遮ったユーイは煙を吸ってごほごほと咳き込んだ。
 ドゥルルルルルル!
 再びユーイに向けてアサルトライフルを撃ってくる魅音。ユーイはその銃撃を必死に防ぐ。
 魅音は敵の能力を的確に分析して、柔軟に対応することに長けており、銃火器や日本刀、爆弾など、相手の弱点を的確に突く為の攻撃手段も豊富だ。
 対して、ユーイは近距離での白兵戦と盾による高速機動に特化した騎兵タイプである。
(長引かせれば私が不利なのは明らか。こちらの行動パターンを読まれ切る前に、短期決着を狙いたい)
 そしてそれは、彼女と対照的な、ユーイの得意分野でもある。
 ユーイが全力で防御に専念し、ひたすら魅音の銃撃を防いでいると、魅音のアサルトライフルが十数秒で弾切れになった。
 魅音は急いでリロードを試みるが、ユーイはその隙を待っていた。
「ブースト・オン!」
 ユーイは反重力シールドに飛び乗り、ランスを構えて魅音に向かって突進する。
「!」
 魅音は大きくジャンプしてユーイのチャージの回避を試みた。
 しかし、ユーイは盾の後端を強く踏み、突進の軌道を上へと大きく曲げた。
「突撃ィー!!」
 もはや回避が不可能だと判断した魅音は、なおも日本刀を振るい、ユーイを迎撃せんとするが、苦し紛れの斬撃ではユーイの高速突撃を防ぐことは叶わず、昨日の魅音はユーイのランスに貫かれ、消滅した。

●魅音VS昨日のユーイ
 ゴウッ!
 ドゥルルルル!
 反重力シールドに乗って突撃してくる昨日のユーイのチャージ攻撃を宙返りで避けた魅音は、空中で逆さになったままアサルトライフルを放った。
 しかし、ユーイはシールドを急加速させ、一瞬で銃撃の射線から離れていった。教科書のようなヒット・アンド・アウェイだ。
 魅音はシールドをサーフボードのように操り、ランスで突撃してくるユーイの突撃をギリギリで躱しつつ、何度も攻撃をするが、ユーイを捉えることはできなかった。
 ドゥルルルル!
 攻撃を回避した直後にまたアサルトライフルを発砲。
 しかし、ユーイは反重力シールドを巧みに操り、ジグザグ機動で銃弾を回避しつつ、ある程度距離が空くと再びシールドで突撃してくる。
 普段は肩を並べて戦っているユーイだが、敵に回るとこれほど厄介とは。気を抜けば、すぐさまあの大きな槍が胴を貫くだろう。
(普通に狙えば盾の機動力で回避されてしまう。確実に当てるにはカウンターを狙うしかない)
 そう判断した魅音は何度もチャージ攻撃の直後に攻撃を仕掛け、戦闘補助ドローンにチャージ攻撃の解析を急がせる。
 そして、ついにドローンが解析を終えた。
 ゴウッ!
 ユーイの超高速ランスチャージがまた迫ってきた。
「我はこの戦場に適応し、制する…流法(モード)、機略縦横」
 魅音はユーベルコードを解放し、アサルトライフルと拳銃で薙ぎ払うように弾幕を張りながら、ユーイと正面衝突するコースで突撃していく。
 ユーイは弾幕を嫌い、盾を跳ね上げて上空に回避するコースを取った。
「今です!」
 魅音は両手の武器を放り投げながら、すかさずスライディングで盾の真下に通り抜けると、ヘアピンナイフを抜いて振り向きざまにユーイへと投擲した。
 ストン、と小さな音が鳴り、ナイフがユーイの心臓に突き刺さる。
 急所を撃ち抜かれた昨日のユーイは、溶けるように消滅していったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アニカ・エドフェルト
☆(行動台詞共に歓迎)

昨日と、今日…
簡単に、ひっくり返りそうな、わずかな差、です。
自分の力を、信じて、全力を、出すのみ、ですっ

先手、取った方が、有利に、なりそう、ですから、
暫くは、お互い、相手を、様子見と、相手を掴んでは切られての、繰り返しに、なりますが…
一瞬の隙を、つかれて、投げ飛ばされ、ちゃいます。

なんとか、距離を離して、立ち上がりますが、追撃が、来て…
でも、昨日の、わたしには、なかった、ミラーマッチの、実戦経験が、生きたの、でしょうか。(※プレ送信日基準)
次の、相手の攻撃、ミリ単位まで、読み切れ、ました。
かわして、《翻弄天使》…投げ倒してからの、関節極めで、戦意喪失、狙っちゃいますっ



●昨日を乗り越えて
 アニカ・エドフェルトが闘技場に入場すると、全く同じ姿をした昨日の自分が現れた。
「昨日と、今日……。簡単に、ひっくり返りそうな、わずかな差、です。
 自分の力を、信じて、全力を、出すのみ、ですっ」
 何も恐れることはない。アニカにとってこの不思議の国でのミラー・マッチは二回目。互角の力量、同じ体格の相手との格闘のコツは昨日掴めたはずだ。
 アニカはじりじりと慎重に昨日の自分との距離を詰めていった。
 アニカの戦闘スタイルは蹴りと掴み技を中心したグラップリング。先手を取った方が有利だ。
 間合いにまで踏み込んだアニカは一気に踏み込んで相手に掴みかかるが、昨日の自分もそう易々と技に入らせてはくれない。すぐに振り払い、キックで牽制してきた。
ぐるぐると時計回りに回り、慎重に様子を伺っていると、今度は向こうがこちらの腕を掴もうとしてきた。
 アニカはすぐさま体を回転させ、クラッチを拒否する。
 互いの位置を入れ替えながら、そんなやりとりをしばらく続けていたが――。
 一瞬の隙を突かれ、アニカは飛行機のように投げ飛ばされてしまった。
「しまっ……!」
 ズガァン!
 剥き出しの土の上に叩きつけられ、背中に鈍い痛みが走る。最低限の受け身は取ったが、完全には衝撃を殺し切れなかった。
 アニカはよろよろと起き上がる。絶好の好機と見て、昨日の自分がすぐに追撃してきた。
「……見え、ます……!」
 昨日の実験経験が活きたか。アニカには昨日の自分の次の手がはっきりと予測できた。
 顔を狙って飛んできた昨日の自分の『舞踏天使』を髪の毛を触らせるぐらい紙一重で躱し――。
『翻弄天使(プレイングエンジェル)!』
 空中にいる相手を両手で掴み、頭から地面へと叩きつけた。
 畳みかけるように、すぐさま地面に倒れた相手の関節を極める。
 敗北を悟った昨日のアニカは、静かに消滅していったのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

浅葱・シアラ
昨日の私
穏やかに笑い、誰にでも手を差しのべる貴女
騎士を名乗る彼女は誰かを救うと決意した
きっと、落ち着いたその心は今日の私より強い

だけど!
負けるわけがない……そんな風に笑って、何も失わずに進めると信じる甘い貴女なんかに!
今日の私は覚悟が違う!

「蝶夜華誉」、彼女は美しい……
私が守るべき姫は、誰より愛され、誰より守られるべき存在であるのです!

だから私は!
(真の姿に変身して昨日の私へと対峙する)

この誓いは本物!この身を賭けて!この命を賭けて!
私は彼女を救い守るのだから!
(剣を振るい、魔法を放ち、全力で正面から昨日の自分と戦う
その身は騎士としての誓いに支えられながら……)



●誓いをここに
 古代ローマを彷彿とさせる巨大なコロシアムの中心に、小さな妖精の騎士が佇んでいる。
 それは紛れもなく、浅葱・シアラの昨日の姿だった。
(昨日の私……)
 穏やかに笑い、誰にでも手を差しのべる貴女。
 騎士を名乗る彼女は誰かを救うと決意した。
 きっと、落ち着いたその心は今日の私より強い。
 そんな風に考えながら、シアラは剣を抜き、昨日の己と対峙した。
 ガキィン! ガキィン!
 激しい剣戟と魔力の炸裂音がコロシアムに響く。
 シアラは剣を振りかざし、胡蝶を放ち、全身全霊で昨日の自分と戦う。
 シアラが地獄の炎を解き放てば、昨日の自分もまた同じように黄金の炎を放つ。
 全力で戦う二人はお互いの身を激しく傷つけていく。
 技量は互角。けれど、二人の表情は決定的に異なっている。
 敵を討たんと、闘志を剥き出しにして剣を振るうシアラに対し、昨日のシアラは微笑みを浮かべたままだ。
 己を信じ、勝利を微塵も疑わないのは、一つの強さ。けれど。
「だけど! 負けるわけがない……。そんな風に笑って、何も失わずに進めると信じる甘い貴女なんかに! 今日の私は覚悟が違う!」
 だが、きっと違う。それは本当の強さではなく、甘さだったのだと、シアラは吠える。
 今日のシアラには、覚悟がある。
 それは、あの少女を守り抜くという騎士の誇りであり、誓いだ。
「『蝶夜華誉』、彼女は美しい……。私が守るべき姫は、誰より愛され、誰より守られるべき存在であるのです!」
 守りたいものの姿が脳裏に瞬き、シアラの姿が変わっていく。
 姫を、守る。たとえ、どんなことがあっても。
「だから私は!」
 騎士の誓いを胸に抱き、シアラは真の姿へと変身した!
 シアラが真の姿になれば、昨日の自分もまた真の姿へと変わる。二人の技は同じだからだ。
 でも、お互いにもう余力がない。次が最後の一撃となるだろう。
 血まみれになったシアラの身を支えるのは、譲れない騎士の誓いだ。
「この誓いは本物! この身を賭けて! この命を賭けて! 私は彼女を救い守るのだから!」
 真の姿となった二人の剣が交差する。
 シアラの剣が、昨日の自分の剣をへし折り、そのまま胴を両断し――。
 昨日のシアラは過ぎ去りし日の闘技場の風となった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月16日


挿絵イラスト