1
迷宮災厄戦⑬〜断頭台の世界と硬すぎた石像

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アリスラビリンス
🔒
#戦争
🔒
#迷宮災厄戦


0




●静かな世界にて
『……』
 その世界は静かだった。多数の断頭台がある以外は、多数の石像が存在するだけだった。
 ただ一つ、怪しい点といえば、この石像が動くということ、お腹がかなり膨れているということ、そして――それらが、アリスの姿をしていることだろう。
『……』
 あ、やば、あの石像こっち見た。

●グリモアベースにて
「ごめん、もう一つ断頭台めっちゃある国見つけちゃった」
 水島・可奈(少女自由に夢幻を掴め・f01117)が申し訳なさそうに猟兵たちに語る。
「こっちにいるのは石像なんだけど、アリスの姿をしているってことは、まあ、うん……そういうことなんだろうね……」
 顔を俯ける可奈。デスゲームなアリスラビリンスでは日常茶飯事とはいえ……哀しい姿である。
「お腹もブクブクに膨れて、元のアリスにすることもできない……このまま壊しちゃうしかない」
 苦しいが、それが真実なのだからたちが悪い。
「で、この石像なんだけど、注意してほしい点があって――ぜんっぜん攻撃が通りにくい」
 そう、硬い。硬すぎる。ゲームで言えば防御が高すぎてダメージが0になってしまうのだ。
「タッチされたり近寄られると最悪石化の危険性があるけど、この個体はあまりそういうのはしないみたい」
 なぜか? それはここの存在の存在意義にある。
「ここはもともとオウガ・オリジンに食事を出すために使われていた場所だ。そんなんで石化したアリスでも出そうものなら――まあ、どうなるか」
 そりゃあ、アリスを出すなら石より生身の方がいいよね、という話で、それに適応するよう『進化』した結果、防御寄りになったらしい。
「危険性は薄いけど石化の危険性一応あるし攻略しとこうという話」

 ――さて、防御が高すぎて攻撃が通りにくいときた。ではどうすればいいか?
「もちろん、断頭台だ」
 どうにか石像を倒すかなんかして断頭台で首を切断。そうすれば一撃で死ぬという。
「みんなの作戦が試されるかな。力押しで血を流させて、っていうのは通用しにくいからなんか考えてみるといいよ。幸い、防御寄りのためなのか、動きはめっちゃぎこちないし遅い。それこそ『石像』みたいにね。その辺はこっちの有利に活かせるかも」
 そう言いながら展開したグリモアの先には、再び見える数多の断頭台、そして硬すぎる石像の大群が待っている。


結衣謙太郎
 少しアイデア力的にチャレンジングなシナリオかもしれない。
 結衣(戦争モード)です。
 硬すぎる石像をどうにか撃破してください。
 以下詳細。

●成功条件
 堕ちた犠牲者『アリススタチュー』をどんどん倒す。
 おそらく断頭台でしか倒せない。

●章構成
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「迷宮災厄戦(ラビリンス・オウガ・ウォー)」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 今回は集団戦となります。
 敵は硬すぎる石像です。
 正直、硬すぎます。防御が異常に高いです。石だもん。
 代わりに自分らの存在意義のためか、反撃してもあまり石化はさせない傾向にあります(石化性癖なかたがいたらごめんなさい、今回はあまりないと思います)。

 ――なお、可奈は石像の高すぎる防御について、「通りにくい」とか言っているのであり、「絶対通らない」とは言ってません。やる気ならできなくはないです、断頭台以外での撃破。すごい難しいと思うけど。かなり納得行けるプレイングじゃないと難しいと思うけど、やれるならやってみてください。それをやり通してしまったような驚きの展開を書くのもまた結衣の仕事です。アイデア力を止める権利は結衣にはありません。

 他この戦場ならではの注意点がいくつか。
 まず、断頭台で首をはねると問答無用で一撃必殺できます。ぜひこれを活用することをお勧めします。まあそうでなくても断頭台に乗せるだけでも特別プレイングボーナスが入ります。別に使わないで倒してもいいけどあまりお勧めしません――というか至難だと思います。

 次に、首をはねて一撃必殺を狙う時は、首をはねる攻撃は『断頭台の攻撃』でしか一撃必殺になりません。つまり猟兵の攻撃で首をはねても確定一撃必殺にはならないのでご注意を――と一応言っておきます。

 最後に、集団でうじゃうじゃいる中での断頭台ですが、別に断頭台いくら使っても一撃必殺した偽アリスが合体したりはしないのでご安心ください。これは完全に余談です。

 それでは戦争シナリオということで。皆様の魂のこもったプレイングをお待ちしております。
81




第1章 集団戦 『堕ちた犠牲者『アリススタチュー』』

POW   :    石像擬態
全身を【物言わぬ石像】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD   :    石呪灰煙
レベル分の1秒で【口から石化ガス】を発射できる。
WIZ   :    石化接触
【本体の身体のどこか】が命中した対象に対し、高威力高命中の【石化の呪い】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

テリブル・カトラリー
かつてはアリスだった。だが、今はオウガ。
倒すしかあるまい。

機械刀を使い、手短な石造に超高熱の刀を突き立て属性攻撃を試す。
…ただの石なら溶断できるが、UC製なら難しいか……

仕方ない、面倒だが此処は力仕事といこう。
『戦争腕・停滞』腕部換装完了。ステイシスフィールド、展開。
するまでもないだろうが、一応。…逃げられても困るしな。

直接触らない為ガントレット装備、換装した腕の怪力で石像を持ち上げ、
断頭台へ投擲。投げ飛ばして刃を落す。

さて、できるだけ、早めに終わらせよう。
容赦はしないが、気分の良いものでもない。



●怪力無双ここにあり
「かつてはアリスだった。だが、今はオウガ。倒すしかあるまい」
 淡々とした機械声――否、変声機でそうしているだけか――でそう告げるテリブル・カトラリー(女人型ウォーマシン・f04808)だが、この石像にその言葉が届いているかどうか。
 とりあえず、まずは硬さの確認だ。機械の刀で石像の一つに高熱の刃を突き立ててみる。キュイイイインという音と共に石像と刀が触れ合う――が、刀も石像も傷つく様子はない。
「……ただの石なら溶断できるが、UC製なら難しいか……」
 完全に中のアリスごと斬るつもりだったようだが、それが運命であり、彼女の見切りだから致し方あるまい。
「仕方ない、面倒だが此処は力仕事といこう」
 カトラリーの腕の一部が取れたと思いきや別のパーツが入る。
「『戦争腕・停滞』、腕部換装完了。ステイシスフィールド、展開」
 素手だと石化されるとみてガントレットを装備して怪力で強引に石像を持ちあげるカトラリー。
「するまでもないだろうが、一応。……逃げられても困るしな」とのこと。
 そしてそのまま断頭台へ向かって石像をシューーッ! 石像が表情変えずにズザザーっと断頭台を滑れば、石像が断頭台のふちに激突、その衝撃で刃が石像を斬首! おお、スパッと斬れるではないか!

「ふう、容赦こそできないが、気分の良いものでもないな」
 斬られて消えていく石像を見てカトラリーは呟いた。
「さて、他の石像もできるだけ、早めに終わらせよう」
 まだまだ石像はある。それを見てカトラリーは次の石像に歩みを進めるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ミスツ・シューパリツェ
言っとくが俺は元ヴィランだからな
元アリスだろうが殺る時は殺るからな

戦車『暴れ牛』と同化し◆運転
主砲で牽制しながら断頭台を探す

見つけたらUCで次々に触手で◆捕食
身体に取り込んで触手の先端や戦車の一部に断頭台を作れるようにする
『乗せる』ってのも発想次第だ
こうすりゃわざわざ敵を運んだりしなくてもこっちから行けばいい話だよな!!

戦車でつっこみ◆蹂躙
砲弾や突進ではね上げて乗せた車体部分に断頭台部分を作りそのまま首ハネだ
取り込んだ断頭台使ってるんだからありだよな?

無敵になって動かせねえのは触手を後ろに回り込ませてそこで断頭台部分を作り首ハネ
直立してようがこうすりゃ『断頭台に乗ってる』だろ?
横から見りゃな!



●発想の勝利
「言っとくが俺は元ヴィランだからな、元アリスだろうが殺る時は殺るからな」
 アリスとヒーローを混同していないかミスツ・シューパリツェ(バイオモンスターのバーバリアン・f17654)?
「うるせぇ! 同じようなもんだろ!」
 一緒くたにするのもどうかと思うが……とか言っている間に石像が視界内に。
「ようし、石像はあったな! あとは断頭台だ!」
 同化操縦型六門砲装軌車両『暴れ牛』に下半身を接続したシューパリツェ。ちなみにこれコードによる同化なので食べないといけないわけだが、どう食べているかは、下半身はこいつ触手だらけなんだよということだけ言っておいて想像にお任せする、として。
「おらおら、断頭台どこだ!」
 主砲で石像を牽制しながら断頭台を探すシューパリツェ。断頭台壊すなよー?
「壊さねーよ……いや壊さないといけないのか?」
 シューパリツェ、どういう意味だ?
「こういう意味だ」
 ……!? 見えた断頭台を……触手で、食べてる……!? そうか、そのコードを使えば……!
「ああ……こんな芸当ができんだよ!」
 シューパリツェの合体した戦車から、次々に断頭台が生えていく!! それだけじゃない、シューパリツェ自身の触手の先端にも断頭台らしきものが!
「『乗せる』ってのも発想次第だ――こうすりゃわざわざ敵を運んだりしなくてもこっちから行けばいい話だよな!!」
 そのまま戦車で石像を轢けば、少し浮いたその瞬間に断頭台で石像の首をはねる! 取り込まれたとはいえここ産の断頭台だ、特攻効果十分! 石像は首がサヨナラして消えていく!

 そのまま多数の石像をはねていきまさに蹂躙する断頭台モンスターシューパリツェだったが、ここで、ゴッ、という音と共に戦車が止まった。
「あ?」
 そこにあったのは腹がでっぷり膨れて、自重で地面にめり込んだまま無敵になったのだろう石像。これでは動かせないか!
「へっ、大丈夫だ――この触手を使えばな」
 触手が石像の裏に回り、顔を後ろから掴むようにすれば、断頭台がそこに形成される――まさか!
「ああ――直立してようが、こうすりゃ『断頭台に乗ってる』だろ?
 横から見りゃな!」
 つまりだ。触手で押さえた後頭部部分を地面とみて、そこに回っている部分に刃を作れば、顔を傾ければ「乗ってる」ように見えるのだ。これは触手の有効活用だ! さてこの触手が食べた断頭台はどこ産でしょう? そう――ここ産だ! つまり、効果はてきめん! それがたとえ無敵だろうと関係なし――首が飛んでいく! めり込んだ体と飛んだ頭が消えていく。

「さあ、どんどん行くぜ!」
 ――えー、ここでみなさんお知らせです。
 この方、顔は可愛い顔です。ついでに女です。可憐な顔に、触手の詰まった異形の下半身、中身は粗野でヤクザなある種モンスター、それがミスツ・シューパリツェです。
「今関係あるかそれ!?」
 いやー、こう、これ把握したうえでまたセリフ読み直すと、なんか、こう、来ない?
「くんなよ気持ち悪ぃから!」
 えー。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メアリー・ベスレム
ふぅん
まだまだあるのね、悪趣味な断頭台は
まだまだいるのね、人喰いのオウガが
だったらメアリは殺すだけ

……物を食べるようには見えないけれど
あの硬いお口でごりごりと、アリスをすり潰してしまうのかしら?

歯が立たない、刃も通らない
そんなお堅い相手を殺すなら
こういう趣向はどうかしら?

【私を食べて】で大きくなって
動きの遅いオウガを捕まえて、断頭台にセットする
これじゃお人形遊びみたいね?
処刑ごっこ? それとも料理ごっこかしら?
どちらにしてもオウガにぴったりな殺され方じゃないかしら
いつもアリスをお遊びみたいに殺すオウガが
自分もお遊びみたいに殺されるだなんて!

……ちょっとだけ、掴んだ掌が硬くなった気はするけれど



●世界は私のおもちゃ箱
「ふぅん、まだまだあるのね、悪趣味な断頭台は」
 メアリー・ベスレム(Rabid Rabbit・f24749)が解釈したそれは、つまり、
「まだまだいるのね、人喰いのオウガが」
 ということをも意味しており、而してそれに思うことは一つ。
「だったらメアリは殺すだけ」

 ……ということで現地に来たのだが、メアリーは石像たちを見て首をかしげる。確かに腹膨れてたりはするのだが――
「……物を食べるようには見えないけれど」
 石像のうちの一つに接近すればじっくり眺める。口ですりつぶすのか、それとも? この石像がどうやって食べているのかは謎である。そしてそのうえで防御が高い――歯が立たない、刃も通らない。それはつまり、どこを攻撃すれば手痛い一撃を喰らわず済むかがわかりにくいということも有す。
「なら、こういう趣向はどうかしら?」
 メアリーが出したのは不思議なケーキ。「EAT ME!」と書かれたそのケーキを石像どもには渡さんとばかりに丸呑みすると、メアリーの身長がどんどん大きくなるではないか!
「ふふ、これじゃお人形遊びみたいね?」
 石像の一つを右手で掴んで、まるで人形遊びのように断頭台にセット。
「処刑ごっこ? それとも料理ごっこかしら? どちらにしてもオウガにぴったりな殺され方じゃないかしら」
 ちょん、と断頭台をつつけば巨人メアリーの指の圧力が断頭台にその刃を落とさせる。その先にあるのはもう片方の手で動かないようつままれた石像。そして包丁のように石像が斬られて消える!
「いつもアリスをお遊びみたいに殺すオウガが、自分もお遊びみたいに殺されるだなんて! 皮肉なものね!」
 もはやメアリモードになっていたメアリーはそのまま次の石像をつまむと別の断頭台においては刃を落とす。
「いいわね、調子出てきたわ。次はコードの力で一気にやっちゃおうかしら」
 もともとこのコードの力は範囲攻撃だ。準備として人形のような石像を断頭台に置けば、コードの力を振るうように一斉に断頭台に圧力をかけ、刃を落とす! 視界に広がる飛び交いながら消えていく石の頭、見下ろせば消えていく断頭台に残された石像の体。確かな感触はあった。というかこの場はもはやメアリーのおもちゃと化していた。

 ……が、少し懸念点はあった。
「……ちょっとだけ、掴んだ掌が硬くなった気はするわね」
 石化の危険性は少ないとはいえ、ゼロではない。違和感を感じたまま【遊戯】をするのは色んな意味で危険だと判断した巨人メアリーはまだ石像が残っている中、地響きと共にこの場を後にした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夕月・那由多
ふつうに攻撃して蹴散らせぬのは手間じゃのう
とりあえず、さくさく断頭台へ乗せて切り落としていきたいところ


UCで筋力が人間以上の、腕が生えたリヤカーを作るのじゃ

あとは石像をなるべく無力化…
『オオカムヅミ(仮称)』投げて爆発の【気絶攻撃】か、それとも手作り団子の『ヨモツヘグイへの誘い』を食わせての【催眠術】か、武器越しに触るようにするとか…なんにせよ反撃には注意して風向きとか身体の命中とか気をつけたいところ
無力化したら創造したリヤカーに運んでもらってそのままセット
これを地道にやっていく感じじゃろうか



●神は戯れる
「ふつうに攻撃して蹴散らせぬのは手間じゃのう」
 なんか腕が生えたリヤカーをごろごろと引っ張りながら夕月・那由多(誰ソ彼の夕闇・f21742)が参入してくる。
「石化の危険性が低いとはいえ零じゃないようじゃからの、わらわではなくこの腕に掴んでもらうとしよう」
 そのためにはなるべく石像を無力化したいところだが……
「どれ、『オオカムヅミ(仮称)』でも投げてみようかの」
 神の霊威を意味する(自称)の桃っぽい物体を適当に投げればなぜかそれが爆発する!? 石像たちが驚いたようにゴトン、と地面に倒れればリヤカーの腕が回収する。

「よし、これでまずは数体じゃの」
 ザシュッという音と共に刃が降りる。抵抗なくリヤカーで運ばれた(実は気絶している)石像が持ち運ばれては断頭台の刃で斬られていく。すると次の石像をリヤカーの腕が断頭台にセットする。一つ一つ地道ではあるが、自分が石化を受けないためには仕方ない。
 と、不意にリヤカーの腕が両手を広げた。那由多がリヤカーの中を見れば、中は空っぽ。つまり石像は皆斬首したことだ。
 だが、まだまだ石像はいる。さて、同じようにするのも興がない。
「では、次はこの団子を食わせるかの」
 取り出したのは『ヨモツヘグイへの誘い』というお手製お団子。しかし、それは食べてから体外に出るまで催眠がかかるという面倒な代物。
「……あやつがどう食べるか、気になるしのぅ」

 腹の膨れた石像がそこにはいた。
 その石像が那由多の団子に気づいた。
 周りを見渡し、それを口元に寄せれば、団子が石化していきもぞもぞと動けば石像と一体化していく。なるほどこうして彼女たちは摂取をしていたのか。
 そしてまた一つ腹を膨らまして――異変に気づいた。体が思うように動かない。
「ふ、それを食した時点でもうわらわの術の中よ」
 那由多が引くリヤカーが、まるで食あたりしたかのように動けない石像を腕で回収していった。まるで救急車のように。
「さ、病院へ行くぞ? ただ、安楽死専門の病院じゃけどな」
 もちろん病院とは断頭台のことである!
 石像をリヤカーの腕が断頭台の腕にセットすると、わざとらしく咳払いする。
「では、これから手術を始めるでの」
 そして手を断頭台に寄せ――
「メス」
 刃が落ちる! いやメスってレベルじゃないし首切ってるから!
「ふっ、よく切れるメスでいいのう」
 メスじゃなくて断頭台の刃なんだってこれ!
「さ、次の患者を探しに行くぞ」
 もはや戯れのように次の石像を探しに行く那由多。少しずつではあるが、確実にその戯れは石像を減らしていっているのは確かだった。
 ――ちなみにこのリヤカーは後程「よう頑張ったな」と労われてまんざらでもない感情だったとか。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フィランサ・ロセウス
ふーん、これが例の石像?なんだか生きてるみたいね?
これだけ硬いと確かに普通に楽しむのは大変かも
じゃあはじめましょうか

石化の危険は低いって言っていたけど、
念のためいつもの三点セット(※咎力封じ)で縛り上げて引きずってて行こうかしら
断頭台に着いたら、石像をしっかり固定してっと…
これより悪い子を処刑しまーす!はい、ストン!
すごいすごい、石像も真っ二つになっちゃったわ!

…って、もうおしまい?あっさり終わっちゃった、つまんないの
それじゃあもっとたくさん連れて来て、どんどん刎ねちゃおうねー♪
(冒頭に戻る)



●いつになく真面目なフィランサ
「ふーん、これが例の石像?」
 過去5件ほど断頭台の国を回ってきたフィランサ・ロセウス(危険な好意・f16445)は石像の一つをぐるっと回りながら観察する。あ、今少し石像が動いた気がした。
「なんだか生きてるみたいね?」
 一応オウガだしね、生きていても不思議じゃない。とりあえずその辺の石を投げてみるが、軽い音がしただけで全く傷ついた様子はない。
「うーん、これだけ硬いと確かに普通に楽しむのは大変かも」
 いつもの♥のない真面目なモードで呟く。今回は真面目な――というか、戯れるには相手が不味いようだ。
「じゃあはじめましょうか」
 フィランサが手枷と猿轡と拘束ロープの三点セットで石像をがっちりと縛り上げればそのまま引きずって断頭台へ。
「石化の危険は低いって言っていたけど、用心に越したことはないからね」
 そう、石化の力はコードによるものなので、これで封じてしまえばなんてことはない。ついでに言えばこの石像、石化ブレスを吐こうとしていたが猿轡とコード封印のせいでできなくなったようだ。モゴモゴと震えているのが見える。
「断頭台に着いた、石像をしっかり固定してっと……」
 縛られて猿轡と手枷がつけられた石像が断頭台に固定される。慣れた手つきなのは今まで何度も断頭台を使ってきたからだろうか。皆さん、こんな真面目なフィランサを見たことがあったでしょうか? 少なくとも結衣はないです。と、フィランサはモゴモゴと石像が震えているのに気づいた。主に口元が。それを見て――にやりと笑ったフィランサは断頭台の刃に手をかけると、
「これより悪い子を処刑しまーす! はい、ストン!」
 ><みたいな顔であっさりと刃を落として石像の首を真っ二つ!
「すごいすごい、石像も真っ二つになっちゃったわ!」
 すっかりいつものテンションに戻ったフィランサ、しかし斬首された石像はその前で消えてしまう。それにフィランサは心底がっかりしたように、
「って、もうおしまい? あっさり終わっちゃった、つまんないの」
 と呟けば、口元に怪しい笑みが見える。
「それじゃあもっとたくさん連れて来て、どんどん刎ねちゃおうねー♪」
 すっかりテンションが上がったフィランサはその後大量の石像を拘束して連れてきてはアゲアゲなまま斬首していった。作業ってのは、一度テンションが乗ってしまえば、その後一気にやれちゃうもんだ。いや作業って言う割には生死(石化)と隣り合わせでみんな必死だけど。でもフィランサにはそれをガンガンやれるだけのテンションとノウハウがあった。
「石像なんてもう怖くないわ! どんどん首をはねちゃおうねー♥」
 ある意味ハートの女王より怖いよこいつ。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月16日


挿絵イラスト