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迷宮災厄戦⑯〜魅惑のアップルクッキー

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦

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●敵は1人に在らず
「ふふふ、貴方のお蔭で食べ進むのが速くて助かるです♪」

 途方もなく大きな林檎の中。その中をパティシエ服の少女たちが大きなクッキーの盾を翳しながらどんどん進んでいた。不思議な事に、盾が突きつけられた先の林檎がどんどん減っていくのだ。まるで盾が林檎を食べているように。そしてそれはその通りだった。

『はいぃ♪ ビスケットシールダー様の為なら、いくらでも食べますぅ♪ しかも、その度に私がどんどんアップルクッキーとして美味しくなってくのがわかりますぅ♪』

 その声はクッキーの盾から聞こえていた。盾にはよく見れば、少女の姿がめり込むようにかたどられていた。それはパティシエ、ビスケットシールダーにより取り込まれたアリスのなれの果て。もう元には戻れない彼女は、精神もまたビスケットシールダーに従う従順なビスケットクッキーの盾になってしまっていた。

「ええ、どんどん美味しく香り高い素晴らしいアップルビスケットクッキーになっているです。私も鼻が高いです」
『あはぁ、ビスケットシールダー様に褒められて、私も幸せですぅ♪』
「そしてここに潜んでいれば、また迷い込んだ者達が現れるです」
『ご安心ください♪ 何せ私達は2人。奇襲を警戒する目も2人分あるんですから、こちらが逆に見つけてやるのが先ですよ♪』
「そうですね。そしてそうしたら、貴方の仲間を増やしてあげなきゃですね?」

 楽しそうに誰も嵌っていないからのクッキー盾の予備を撫でるビスケットシールダー。彼女の言葉に、クッキーアリスはこれから自分のようになる犠牲者の姿を考え、悲観などせず恍惚の満ちた声で答えた。

『はいぃ♪新しいアップルビスケットクッキーの友達ができるのが楽しみですぅ♪皆にもこの貴方に従う心地良さ、そしてビスケットクッキーになる快感を教えてあげないとぉ♪』

 同じようなやり取りが周囲から絶え間なく聞こえてくる。それは無事なアリス適合者にとっては恐怖の光景でしかなかったろう。

●いいか皆、ビスケットクッキーになるなよ!絶対だぞ!
「変態だ!! あ、間違えた。大変だ!! 林檎の中にアップルビスケットでパティシエがアリスをビスケットクッキーにして皆を狙ってるんだ!」

 全く分からない説明で切り出した九十九・サイレン(再誕の18不思議・f28205)ヘ猟兵たちの冷たい視線が向けられた。サイレンは気を取り直し、仕切り直すことにした。

「皆に行ってもらうのはアップル・バトル・フィールド。巨大な林檎の国で、皆にはここを喰い進んで先に進んで貰うよ! 喰い進まなくてもいいけど、食べた方がなぜか進みやすいかもね。ただ、当然ながらそれだけじゃ済まなくて、ここにはオウガも潜んでるよ。しかも厄介なのが。

 オウガはパティシエ『ビスケットシールダー』。いくつかの集団で林檎の中を掘り進んでて潜んでるみたいだね。で、コイツらはアリスをクッキー盾に封印して攻撃の盾にするって元々いやな連中なんだけど、この辺りの集団は更に変わってて、なんと盾クッキーにされてるアリスが完全にシールダーに服従してて、積極的に盾にされるしそれで欠けても喜ぶっていう、もう取り返しが付かない状態みたい。しかも、アリスも五感はそのままだから、シールダー達と一緒に周囲を警戒してる。つまり、ただでさえ集団で周囲を警戒してるシールダー達が2倍の数で警戒しているとみていいよ。

 でもだからこそ、奇襲できればより効果はあるよね。林檎を食べ進んで、奇襲する。今回のポイントはここだろうね。まあそこに囚われないで別の方法を探してみてもありだけどね!それじゃあ、中々アップルなテイストの場所だけど、皆よろしくね!」

 グリモアを取り出した所で、サイレンが「あ」と付け加えた。

「ちなみにだけど、クッキー盾にされてアップルまで盛り込まれると……すっごくキモチ良いらしいよ。猟兵の皆ならユーベルコードで戻れるけど、だからってだめだよ! 絶対なっちゃだめだぞ! 後アリスたちは残念ながら手遅れだから、遠慮なく一緒に倒してあげようね!」

 ギャグみたいな振りと一緒にしてはいけない残酷な忠告を混ぜてくれやがったピエロは猟兵らの抗議を耳にせずに転移を開始した。


タイツマッソ
 MSのタイツマッソです。今回、とても趣味に走っておりますのでご注意ください。

 今回は特殊裁定でやられプレイングでクッキー盾に取り込まれクッキーになるのを希望される場合は『盾』と文頭にご記載ください。その場合はプレイングボーナス『林檎を食べ進み、奇襲する』がプレイングで盛り込まれて成立していれば、成功以上判定とさせて頂き、依頼終了後に回復ユーベルコードで元に戻されたとします。リアクションは大分M的になるので、キャラ崩壊にはご注意ください。
 この場合はP・S・W、どの技でも最終的には盾に取り込まれる流れになります。

 勿論普通に戦闘プレイングもOKです。プレイングボーナスは同じく『林檎を食べ進み、奇襲する』です。如何に食べ進み、如何に2倍の警戒度を誇るシールダーと盾アリスの目を掻い潜り奇襲するかが問われます。

 プレイング募集はオープニング投稿後から開始し、ある程度集まってから執筆開始予定で、10日中の完結を目指します。

 それでは戦闘もやられもプレイング是非お待ちしております。
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第1章 集団戦 『パティシエ『ビスケットシールダー』』

POW   :    怖いですぅぅ~~!!
【アリスが封じられたクッキーの盾】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【複数のクッキーシールダー】の協力があれば威力が倍増する。
SPD   :    使い捨ての犠牲者
【アリスが封じられたクッキーの盾】による素早い一撃を放つ。また、【攻撃や防御によって盾が破壊する】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    貴方もクッキーに…!
【装飾がないクッキーの盾】から【甘い不思議な粉】を放ち、【クッキーの盾へ封印すること】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

シャーロット・キャロル
☆盾

集団で警戒しているのは厄介ですね。やはりここは奇襲が一番!
とにかく林檎を【勇気】と【気合】で食べ進んでやります!

「ううっちょっと食べ過ぎたかもですがマイティガール参上!」
奇襲でも名乗りは忘れない、ヒーローの鉄則です。

オウガの集団を補足したら【マイティヒートヴィジョン】の目からビームで纏めて片づけてやりますよ!

ですが流石に林檎を食べ進める作戦は無理がありましたか途中で動きが鈍く……

その隙に集団に追い詰められると抵抗空しく盾へ取り込まれてそして……

※アドリブ大歓迎。M的なリアクションもキャラ崩壊もどんとこいなのでお好きなように手加減無しにやっちゃってください!



●ビスケットシールダー新作クッキー一品目:ヒーロー風焼きアップルクッキー

「集団で警戒しているのは厄介ですね。やはりここは奇襲が一番!」

 正義のヒーロー、マイティ・ガールことシャーロット・キャロル(マイティガール・f16392)は勧められた通り、奇襲を開始しようとしていた。そしてそのためにはやはり。

「とにかく林檎を【勇気】と【気合】で食べ進んでやります!」

 正義の心さえあれば、林檎だって食べていける! そう、正義の心さえあればカロリーとかお腹がでっぱり出るかもしれないなんて事を気にしない勇気がわいてくる!

「そういう勇気じゃないです!! ハッ、いけない、ついセルフツッコミを。ばれないようにしないと……では、いきます!!」

 シャーロットは気を取り直し、林檎を丸かじりで食べ進み始めた。女性がやるには中々きつい行動ではあるが、機械で掘り進むよりはよほど音は静かであり、なぜかその方が進みが早いフィールドなので致し方ない。そして全部丸かじりという訳でもなく。

「怪力しぼり! 怪力しぼり! 怪力しぼり!」

 なんとその余り溢れる怪力を活かし、目の前のリンゴの壁を握りつぶして圧縮しては口に放り込んでいるのである。握力自慢が林檎を握りつぶすアレのようなもの。今回は林檎が大きすぎるので全部を握りつぶせはしないが、壁の一部を壊すことは十分にできる。

「けぷ……サイボーグとはいえ、流石に食べ過ぎたかも……」

 流石に胃の容量が増える改造は(多分)されていないシャーロットもそろそろ限界に近付いてきた。だが幸いな事に、近くからがやがやと声と進む音が聞こえてきた。恐らく敵の集団に間違いないだろう。

「ここまでくれば奇襲には十分ですよね。では……ううっちょっと食べ過ぎたかもですがマイティガール参上!」

 境目の林檎を怪力で粉砕し、シャーロットは飛び降りた。奇襲推奨とはいえ、名乗るのはヒーローのお約束故仕方ない。それにほとんど変わりはしない。敵の1人が此方を見たのを確認してから、シャーロットは目にエネルギーを集中して。

「食らえッマイティヒートヴィジョン!!」

 目から熱光線が発射され、盾を構える前にシールダーとその盾アリス数人を吹き飛ばし消滅させた。

「よ、よくも!!」

 残りのシールダー達が盾を構えてシャーロットに突撃してくる。シャーロットはすかさず第二射を放とうとした。

「うっ! お、お腹が……」

 だがここまで気合で林檎を大量にお腹に一気に入れてきたのが災いしたのか、ここでシャーロットにお腹の張れ具合による動きにくさが出てしまい、一瞬動きが遅くなってしまった。

「今です! シールダー、クッキー変化突進の陣!」

 シールダー達がその隙を付き、シャーロットを包囲するように移動すると、盾クッキーアリスを構えてそのまま突っ込んできた。シャーロットはかわそうとしたが、やはり食べ過ぎによる圧迫感が災いし、避け損ねてしまい。

「うぐっ!!」

 前後左右、全てから盾クッキーによる挟み込みを受けてしまった。全方位から盾クッキーに挟み込まれ、身動きが取れなくなってしまう。そしてそれだけではない。

『よくも仲間を……と言いたい所だけど、でもそんな事は言わないわ♪』
『ええ。なぜなら貴方も新しいおともだちになるんですもの♪』
「ど、どういう事です……えっ!?」

 聞き返そうとしたシャーロットだったが、その身に起きてきた変化に驚愕した。なんと、盾クッキーに触れている部分から自分の身体がどんどんクッキーと同じ色に変化していっているのだ。しかも

「うひぃ……何ですかこれ……!?」

 その部分からとてつもないキモチよさがシャーロットに伝わってきている。その範囲はどんどんと広がり、更に感覚も鋭敏になっていく。

『貴方の身体が私達と同じクッキーになっていっているのよ』
『そして全身がクッキーになった時、貴方はビスケットシールダー様の素晴らしい盾クッキーになるのよ♪そう、心からね♪』
「あ、あぁあ……」

 まさにその通りなように、シャーロットの頭に次々とシールダーへの忠誠心、そしてクッキーになる事への喜びが刻み込まれていき、彼女のヒーローコスチュームもろともどんどんクッキーに変わっていっている。かつては身体改造でサイボーグにされたシャーロットだったが、今度はクッキーに改造されていき、更に今度はその精神までもが浸食されていっていた。

「ま、負けません……わ、私は正義のヒーロー、マイティガール……く、クッキーなどに、屈したりはしません……!」

 シャーロットはそう言い、きりっとした顔でシールダーや盾アリス達に言い切った。



「完成ですぅ」
『完成したわぁ♪ さあ、名乗ってみて?貴方は?』
『フッ。言われるまでもありません。私はそう……』

 そう名乗りをあげようとするシャーロットの声は今までとほとんど変わらないように思えた。だが……。

『正義のクッキーヒーロー! マイティガール・クッキーです!』

 そう名乗ったシャーロットは、ヒーロー然とした腕組みポーズでありながら、その身体は半分ほどがクッキー盾に埋まっており、その全身もクッキーと化しており、そしてそれをシャーロットは何の不思議にも思っていないのであった。

『素晴らしいわ♪ 貴方の使命は?』
『はい! ビスケットシールダー様の為にも、素晴らしく美味しいアップルクッキーヒーローになる事です! あぁ、クッキーとして在る事の正義が、こんなにもキモチよかったなんて知りませんでした……!』

 そういうシャーロットの顔はとても幸せそうであり、今までの正義としての真面目さをクッキーに浸食されそのまま維持されているようであった。

「じゃあ私達は先を進むので、貴方はここで林檎を食べ続けて素晴らしいアップルクッキーになって下さいです」
『後で美味しいアップルクッキーになる頃になったら戻って来て、貴方を誰かが装備してあげるわ♪』

 そう言って、シールダー達は進んでいき、後にはクッキー盾となったシャーロットが残された。

『はい!では、クッキーとしての正義を開始します! 今日もクッキーな良い事をして、少しでも美味しくならなければ!』

 そう言って、クッキーシャーロットは動けない状態でありながら目の前の林檎をもぐもぐと食べ始めた。林檎がクッキーの中に消えていき、体全体に混ざっていく。

『あ、あ、林檎が、林檎が混ざって、アップルクッキーになっていきますうぅ!!』

 キモチよさと共にリンゴがシャーロットに混ざっていくと、黄色い部分がまるでシャーロットの髪や肌のように浮き出てきて、皮の赤い部分が元々のコスチュームのように赤く浮き出てくる。

『な、なんて心地良さ……これがクッキーヒーローとしての正義の素晴らしさなのですね! た、たまらないです!』

 興奮のあまり、目から熱光線がじわじわと身体に広がっていくと、林檎やクッキーが香ばしい匂いを漂わせていく。熱により、彼女は焼きクッキーになっていっているのだ。どんどん焦げ目がついていくシャーロットクッキー。

『あぁあ、焼きクッキーになっていくのもまた、格別に気持ちいいぃ! もっと、もっと美味しくならなければ! そう、クッキーとしての正義のヒーローになる為にぃぃ!!』

 そしてシャーロットは林檎を食べて身体に含みつつ、熱により香ばしくなっていく。元々トレーニングが好きなのがこうしてクッキー化にも表れているのか、どんどん自分を変えていく事に余念が無かった。このままでは人間をクッキーに化していく事にも躊躇いが無くなっていくだろうが……幸いにも、この後彼女は大事になる前に救出される事になる。だが発見された時の彼女は、とても香ばしい焼きアップルクッキーであり、とても気持ちよさそうな顔になっていたという。

成功 🔵​🔵​🔴​

美波・蜜香
『盾』
チェルノさん(f06863)と一緒

このリンゴおいしー☆いくらでも食べられちゃう!
あ、使命は忘れてないデスヨ?

チェルノさんが敵を見つけたらむんっ、と【気合い】を入れて【スーパー・ジャスティス】でパワーアップして、【怪力】でリンゴを突き破って奇襲攻撃!
敵のシールドアタックも【ダッシュ】と【ランスチャージ】で真っ向から打ち砕くよー!

でもカウンターで甘い不思議な粉を浴びてクッキーの盾に封印されてチェルノさんと一緒にビスケットシールダー様のものに
おいしいリンゴをいっぱい食べて、おいしいクッキーになりまぁす☆
(向かい合わせで口移しで舌を絡める様にしながらリンゴを食べさせあう)

※アドリブOK・NGなし


在原・チェルノ
『盾』

蜜香ちゃん(f20221)と一緒にりんごを食べ進みながら【聞き耳】と【第六感】で林檎の中に潜んでいるオウガ達を捜索
発見したら林檎の壁越しに【念動力】でオウガ達の装備を動かして注意を逸らし、林檎越しに【先制攻撃】でフォースセイバーを突き刺して【暗殺】!
後は蜜香ちゃんと一緒に突入して残りのオウガを【雷刃無尽】の範囲攻撃で蹴散らすわよ!

って、まだ一体残ってた!?
しまっ…!
(油断していたところをクッキーの盾に封じ込められて)

んっ…あむっ、林檎、おいひぃ…
蜜香ちゃあん、どんどん食べておいしくなろうねぇ…
(盾に封じられたまま互いに口移しで林檎を食べさせあっている)

※NGなし・アドリブOKです



●ビスケットシールダー新作二品目:ビッグサイズ仲良し蜜たっぷりアップルクッキー

「もぐもぐもぐ……このリンゴおいしー☆いくらでも食べられちゃう!チェルノさん、どう?聞こえる?」
「しゃくしゃくしゃく……まだかなぁ?」

 美波・蜜香(ブルーメンリッター・f20221)と在原・チェルノ(流星忍姫チェルノ・f06863)の二人は共にリンゴの中を食べ進めていた。大変な食べ進めも2人がかりで分担してなら個人分はそこまで負担になってはおらず、仲良く食べ進めて林檎内を進んでいた。

「あ、待って。声、聞こえてきた。……うん、あたしの勘もこれだって囁いてる!」
「よっし。それじゃ、やっちゃおっか! チェルノさん、お願い!」
「おっけー! そーれ、念動力ーー」

 チェルノが林檎越しにフォースを発動し、向こう側が持つ盾を動かす。

『あ、あーれー!? シールダー様ーーー!?』
「ど、どこに行くんです私の盾アリスちゃーん!?」

 その動揺する声に、味方ではない事を改めて確認し合った2人は即座に行動を開始した。
 まずはチェルノがフォースセイバーを取り出し、1番リンゴを挟んで近くにいるシールダーに狙いを定める。

「一体どうなっ……うぐっ」

 注意が完全に逸れていたシールダーは背中をリンゴ越しに突き刺され、そのまま絶命。がくっと項垂れ、アリス盾と離れたままにリンゴに倒れ掛かるように尻もちを付く。チェルノはセイバーをゆっくりと抜き去り、蜜香と共に少し移動する。

「?どうしたんです?そんな所で項垂れて……」
「何か様子が変です……」

 まだ消滅していない仲間の異常に他のシールダーたちが気を取られた。まさにそれこそ2人が待っていたタイミングだった。

 蜜香がユーベルコード【スーパー・ジャスティス】を発動し、自前のアリスランス「シュテンペランツェ」を構えると飛翔能力のままにリンゴを突き破った。

「なっ!?」
「遅いよ!」

 横の林檎を突き破られ、更に盾アリスを離されて注意が逸れていたシールダーを構える暇も与えずに槍で貫き一気に消滅させる。いきなりの奇襲にシールダー達が動揺する。

「闇を斬り裂け、雷の刃よ!【雷刃無尽】!」

 そこを更にチェルノが、蜜香にわざと遅れて飛び出し襲撃する。雷撃でできた355本の手裏剣が、シールダー達と盾アリス達に発射され、その身を切り刻んでいく。

「くっ、シールドアタック!」
「無駄だよ!」

 離れていたシールダーが盾アリスでの突撃をするが、蜜香のランスチャージアタックはそれすら真っ向から粉砕し、盾アリスは無残にもバラバラに砕け散り、シールダーも貫かれて消えていく。

「よっし、こっちは完了!後は蜜香ちゃんのフォローに回って……」
「もらった、です!」

 チェルノが全滅させたと思い視線を外した時、他の仲間や盾アリスを遮蔽にして残った数人のシールダーが、何も入っていないクッキー盾をチェルノに向けると、クッキー盾から不思議な甘い粉を発射した。

「しまっ……!」

 チェルノの全身が粉に包み込まれたと思えば、その身体が何もないクッキー盾に吸い込まれて行ってしまった。その盾に、手足を取り込まれたクッキーでできたチェルノの姿が新たに現れた。

「ふふ……仲間やアリスちゃんを倒したのは許せないですけど、新しいクッキーになってくれるなら帳消しにしてあげるです……どうです?」
『アッハアアア♪き、キモチ良いいいぃぃぃ♪』

 一気にクッキーにされたせいか、あっという間に精神を浸食されてしまったチェルノは、すっかり快楽、そしてシールダーへの忠誠心に取り込まれてしまった。


 一方、それに気づいていない蜜香は槍による突撃で更にまたシールダーの数を減らしていた。盾を向けての突進も正面から突き破り粉砕していく。その背へと同じ様に突撃してくる足音が聞こえてきた。

「性懲りもなく……え?」
『蜜香ちゃぁん♪』

 振り向きざまにまた槍で粉砕しようとした蜜香の手が止まった。なぜならその先にあった盾にいたのは、さっきまで共に戦っていたはずのチェルノの姿のクッキーだったからだ。流石に突くことはできず、躊躇った隙にシールドの突撃を喰らってしまった。

「あうっ!」
『つーかまえた♪』

 盾からチェルノの腕だけが出てくると、彼女は蜜香をハグして捕まえてしまった。ここでやっと彼女は悟った。チェルノはクッキー盾に取り込まれてしまったのだと。

「チェ、チェルノさん、お願い、正気に戻って……」
『正気だよぉ? 正気で、今の自分が幸せなのぉ♪ シールダー様のクッキーになれた自分がね? だから、その喜びを蜜香ちゃんにも教えてあげる♪』

 恍惚とした顔でチェルノがそう言うと、蜜香を抱きしめたままその口に顔を近づけていき。

「う、むん、ん、んーーーーっ!!」
『んんん♪』

 唇と唇をつけ、がっつりと顔を近づけた。それだけではなく。クッキーチェルノは蜜香の中に何かを吹きだした。そしてそれが蜜香の中を駆け巡っていく。

(な、なにこれ、私の身体が、中から、なんか、変わってくーーー!)
『んぱっ♪ 今のは私を変えてくれた甘い粉♪ つまり、蜜香ちゃんは身体の中からクッキーになってっちゃうの♪』
「そ、そん…………がっ……」

 抱きしめられたままの蜜香の身体が固まり、顔がぽかんとした表情になる。今まさに彼女は身体の中からクッキーにされていっているのだ。そして頭にもクッキーとしての喜びやシールダーへの忠誠心が植え付けられていく。

「あ、あああああ、あた、あたし……」
『ふふっ♪ さぁ……ずうっと一緒のクッキーになぁろ♪』

 チェルノが改めて蜜香を抱きしめると、二人の身体が光に包まれていった。



『モグモグモグ……美味しいぃ♪ あたしたち、どんどん美味しくなってってるぅ♪ 蜜香ちゃんもどう?』
『しゃくしゃく……あたしも美味しくなってるぅ♪ ほら見てぇ♪』

 林檎の中の掘り進んだ穴の1つ。その中にひときわ大きなクッキーが合った。クッキーには2人分の身体が足の先から生えており、その2人はクッキーの素材でできていた、そして正面向きで抱き合ったままもぐもぐと林檎を咀嚼していた。チェルノの体に手裏剣型のクッキーができると、それが飛んでいき林檎を削り、削った欠片が二人に落ちてくる。それを二人で咀嚼し食べていき、穴を掘り進んでいるのだ。しかも――

『ああぁ♪ 林檎蜜、いっぱい出ちゃうよぉ♪』

 蜜香の全身クッキーから林檎の蜜から抽出したトロトロの蜜が流れてくる。蜜は蜜香のみならず、抱き合っているチェルノも包んでいく。

『あん♪ 蜜香ちゃんの蜜、包まれるのもキモチいぃい♪』

 チェルノもまた嬉しそうな顔で包まれていき、二人のクッキーは蜜の匂いただようクッキーとなっていった。蜜を出す仕組みは、『蜜』香の名前にちなんでシールダーに追加されたものだった。

『チェルノさん♪』
『蜜香ちゃん♪』

 2人は林檎を口に含んだままお互いに口をつけると、互いにクッキーの舌を動かして林檎を交換し互いに口移しをした。そんな行為も彼女らには喜びと気持ち良さ溢れるもののようだ。

『んっ…あむっ、林檎、おいひぃ…蜜香ちゃあん、どんどん食べておいしくなろうねぇ…』
『もちろぉん♪ ビスケットシールダー様の為にも、おいしいリンゴをいっぱい食べて、おいしいクッキーになりまぁす☆』
『ずっと一緒に♪』
『うん、一緒♪』
『『ふふふふふふふふふ♪』』

 抱き合い、同じ大元であるクッキーとなった2人。食べ進め、林檎の中を進んでいった彼女らも、猟兵らによりまた救出される事になる。
 その姿はとても仲良しで、そして蜜だらけの甘くとろけるような姿だったという。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リルラ・メローメイ
【盾】【アドリブ歓迎】【ソロ希望】

まずは【艶獣化】を使って天使のような羽を持つ大人の人魚に変身するよぉ
「このおいしそうなリンゴを食べて奇襲するとか、楽勝っしょ♪」
軽い気持ちでリンゴを食べ進めて奇襲しようとするけど、リンゴに夢中になってて逆に奇襲されちゃうかも……
盾に封印されそうになったら涙を浮かべながら抵抗するしぃ……



●ビスケットシールダー新作クッキー三品目:ティアードロップマーメイドアップルクッキー

「このおいしそうなリンゴを食べて奇襲するとか、楽勝っしょ♪」

 リルラ・メローメイ(マジカルメロウ・f06017)は林檎を見詰めながら余裕そうな顔でそう言うと、気合を入れて林檎に向き直り。

「へんしぃ~ん♪【艶獣化(アダルティックローレライ)】!」

 その姿が急成長し、大人びた姿になっていき、有る部分も発育が良くなっていく。そして翼が生え、下半身が魚の姿に変化する。母親から受け継いだハーピイとマーメイドの血に覚醒したその姿は正にキマイラと呼べる姿でもある。

「そんじゃあ、頂きまーす♪ うん、おいしーい♪」

 林檎を食べながら、まるで海の中を泳ぐように進んでいくリルラ。だがリンゴの美味しさに夢中のあまり、静音性にはほとんど気を使っていなかった。故に、突き進む音を感知したシールダーがそちらに向き直り、何が来てもいいように盾を構えた。やがて食べ進んできた林檎を突き破り、リルラが出てくる。シールダーは盾を構えて防ごうとする。だが、奇襲には失敗していたがその勢いはまさに海を泳ぐ人魚の如し。故に、シールダーの盾クッキーアリスはその勢いを殺しきれず、儚く粉砕され。

「ぐえっ!!」

 シールダーもまた人魚リルラの突進をもろに受けて、そのまま林檎に叩きつけられるとやがてその姿を消していった。

「やったぁ♪林檎食べるのに夢中になったけど、結果おーらぁい……」
「そうはいかないですぅ!」

 林檎に叩きつけた以上、リルラは全身が林檎から出てしまっている。つまり、もうそこから動くことはできない。そこをシールダーが包囲し、盾で一気に押し潰していく。

「シールダー、クッキー変化突進の陣!」
「あひぃいん!!」

 人魚姿のリルラが全方位からクッキーを押し付けらてて固定される。そして触れた部分からどんどんクッキーへと変わっていった。

「ひいっ! く、クッキーになっちゃう、や、やだぁ!!」

 成長していたリルラの顔が一気に元の少女に戻ってしまう。だが、人魚部分や翼の部分だけはクッキーになってしまい元に戻らず、身体のバランスが一部悪い状態になってしまった。涙目になりながら逃げようと体を動かすリルラだったが、抵抗は空しくその身体はどんどんクッキーになっていく。

『ふふ、泣いちゃってる♪ でも安心して。きっと心から喜んでクッキーになれるわ♪』
『お友達になりましょお♪』

 優しく声を掛けてくる自分に押し付けられたアリス達からの言葉に、リルラは更に怯える。

「やだ、やだぁ! アタシ、クッキーになんてならないんだからぁ!!」

 林檎の中に泣き叫び抵抗するリルラの声が響いた。



 置き捨てられた、一つのクッキー盾があった。そこには人魚の姿をした少女が、盾の装飾のように埋め込まれていた。彼女はその抵抗で、ついにビスケットシールダーへの忠誠や快楽には打ち勝ち、恭順することなくその場に置いていかれたのだ。
 だが……。

『おいしい……おいしい……林檎、おいしい♪』

 その人魚は涙を流しながら、目の前のりんごをもぐもぐと食べ続けていた。抵抗のあまり、彼女は目の前の美味しい林檎を食べ続けるという行動に囚われ、もうそれしかできなくなってしまっていた。そして林檎を食べた彼女のクッキーでできた体にはリンゴの果肉が肌や鱗のように現れていく。彼女は抵抗していながらも、アップルクッキーとしてはどんどん完成していってしまっているのだ。

『おいしい♪ おいしい♪ おいしくって、涙が止まらないの』

 彼女の目からは、クッキーの粉と林檎蜜が混ざった涙がとめどなく流れ続けている。それは彼女自身の身体をどんどんと包んでいき、辺りに甘い匂いを漂わせていくのだった。

 結局救出が一番困難を極めたのは、皮肉にも精神だけは抵抗を続けた彼女だった。何故なら、彼女の周囲には触れただけで容易にクッキー化を施すであろう程大量の、クッキー粉の混ざった涙だらけだったのだから。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

水野・花
☆『盾』

警戒が厳重なら陽動作戦を仕掛けましょう。
「分け身の術」で出した分身ちゃんにとにかく派手に林檎を食べてもらって注意を引いてもらいます。
ビスケットシールダー達が分身ちゃんに気とられてる隙にこっそり近づいて奇襲をしかけましょう。林檎の中という状況なら奇襲を仕掛けやすいと思います。警戒の目が多いなら逆に陽動にも引っかかり安いかもしれませんしね。

クッキーにされてされてしまったアリスまで倒す必要があるなんてやりにくいですね。本人はすごくキモチ良いらしいのがせめてもの救いでしょうか。クッキーにされてアップルを盛り込まれるキモチ良さっていうのもどういう物かちょっと興味ありますが……。


全会原・タイガ


奇襲ってのはガラじゃねぇが……そうも言ってられねぇな!
【大食い】でリンゴの中をガンガン喰い進んでやるぜ!

敵が見えたらUCを思い切りブチ込んでやる!

しかし奇襲が成功したことで油断したためか眼前の集団にばかり気をとられ、背後から近づく敵に気付かず……

※アドリブ/無様/キャラ崩壊なんでもOK



●ビスケットシールダー新作四品目・五品目:ツインフォックスサンドアップルクッキー&ヒップガールアップルクッキー

「奇襲ってのはガラじゃねぇが……そうも言ってられねぇな!」

 全会原・タイガ(男は度胸!女でも度胸!・f23916)は男らしい叫びをあげると、気合で大食いしまくり林檎をどんどんと掘り進めていった。静音性もあったものではないが、その分進んでいく速度は速い。やがてリンゴの向こうに複数の気配を感じ、タイガは一気に突き破ろうとしたのだが。

「待って下さい」

 後ろから自分が掘って来た穴を追って来た少女、水野・花(妖狐の戦巫女・f08135)に呼び止められると慌てて体を制動した。

「今の音で相手も気づいて、向こう側でこちらに向かい迎撃体勢を整えているはずです。このまま突入するのは危険です」
「つってもしょうがねえだろ! オレは元々こういうのは性に合わねえんだ、なら一気に突入してぶちかましてやるしか……」
「なら、私がお手伝いします。秘術・【分け身の術】!」

 花が念じると、うり二つの分身花が現れ、タイガの横に移動してくるとその横方向に派手な音をたてながら林檎を食べ進み始めた。その勢いで一気に二人から離れた処まで進んでいく。

『シールダー様、音が向こうの方へ!』
『回り込むつもりですぅ! 総員、迎撃体勢のまま移動ー!』

 あわただしい声と共に足音と気配が遠ざかっていくのを林檎ごしに2人は感じた。分身が立てた音に釣られて、移動して行ったのだ。

「これで隙だらけのところを奇襲できます」
「……ありがとな。倒せるってんなら、オレだって選り好みはしねえさ!」

 タイガは腕を振りかぶると、怪力を込めて林檎の壁を一撃で粉砕する拳を叩きつけた。分身に釣られて背を向けていたシールダーたちが振り向く前に飛びあがり、敵向けて跳躍した。

「なっ、後ろ――」
「【秘威流苦羅津朱(ヒールクラッシュ)】!!」

 頭上からタイガ渾身のかかと落としが叩きつけられ、ガードが間に合わなかったシールダーを一撃で粉砕、さらにそのまま叩きつけた一撃は林檎を大きく粉砕させ周囲のシールダーも吹き飛ばす、またはリンゴのクレーターへとそのまま落下させていく。

「ぐえっ!!」
「ど、どうし、あぐっ!!」

 更にその衝撃に動揺したり、吹き飛ばされていたシールダーが、次々と射かけられた弓矢に急所を射抜かれていく。言うまでも無く、タイガとはまた別の場所から現れた花が弓で発射したものだった。

「おらおらぁ、どうしたぁ!!」

 タイガもまたすかさず近接戦に入り、シールダー達を蹴散らしていく。タイガがツッコミ、アーチャーである花が遠距離武器でフォローする。即席ではあるがそれは良いコンビネーションではあった。

「くっ、横から狙って……」
『させません』
「ぐはっ!」

 更に、分身も林檎から薙刀を持ち飛び出して花を狙おうとしていた敵を斬り裂く。シールダーも今までの襲撃で数が減ってきており、鎮圧は時間の問題に思えた。

『はっ!』

 分身の薙刀の一撃、それをシールダーが盾で受ければ、クッキー盾が破壊さればらばらになった。

『シ、シールダー様ぁ! わたし、美味しいアップルクッキーになれて、幸せでしたぁぁぁぁ』

 粉々になる間際のアリスの言葉に、花はふと考えてしまった。

(クッキーにされてされてしまったアリスまで倒す必要があるなんてやりにくいですね。本人はすごくキモチ良いらしいのがせめてもの救いでしょうか……クッキーにされてアップルを盛り込まれるキモチ良さっていうのもどういう物かちょっと興味ありますが……)

 それはちょっとした好奇心。花に芽生えたそんな興味。それが、わずかな隙になった。

「今ですぅ!」
『なっ!?』

 クッキー盾を破壊されたばかりのシールダーが見違えるような素早い動きで分身の薙刀をかわし、一気に花に接近してきたのだ。少し思案してしまった花はその接近に対処が間に合わず。

「くっ!」
「ふふ、捕まえたです」

 後ろから花を羽交い絞めにした格好になったシールダーは、その手で花の身体を撫でまわし始める。

「きゃっ、なにをっ……えっ!」

 そのなで回された部分が、どんどんとクッキーに変わっていっているのだ。撫でた花の柔らかい肉が硬いクッキーに次々と変わっていく。

「こ、これは一体」
「これぞクッキーの残骸を粉にして手に付着させ、そしてそれで撫でまわす、クッキー成型の技ですぅ!」

 羽交い絞めの必要が無くなる程に固くなった花の身体を、更にシールダーが撫でまわしていく。その度にクッキーにされる感触、そして快感が花を襲い、頭にはシールダーへの忠誠心とクッキーとしての喜びが刻み込まれていく。

「ああ、これが、クッキーになる、快感……私は、クッキー……♪」

 顔がだんだんとろけていく花に分身は危険を感じ、すぐに駆けつけようとする。

「させないですぅ!」
『きゃっ!! そんな、本体だけでなく、私まで……!』

 その隙を付き、潜んでいた盾なしシールダーが一気に襲撃。分身を組み伏せ、本体と同じ要領で撫でまわして体をクッキーに変えていく。

『ああ、だめ、私、まで……』
「ふふ、成程、こいつらは本体と分身の間ですね。それなら……」

 シールダーはクッキーに変わっていく分身の身体を持ち、本体である花の所に持っていく。

「少し前の2人みたいにくっつけたクッキーにしてあげましょう。でもちょっと趣向を変えて」
『や、やめて、これ以上は……』
「私達、耐えられ……」

 そして二つのビスケットが何かを挟んで合わせられ、激しい光を放った。

「『きゃぁぁぁ♪ き、気持ち良過ぎますぅぅぅうう♪』」


「!? やけに援護がこねえと思ったら、しまった!」

 タイガは遠くでした光に気付いた。さっき世話に成った者がやられたと察する事が出来た。タイガは急ぎ助けに向かおうとする。だが、その時――

「うわっ!」

 踏み込んだリンゴが崩壊し、タイガは顔を思いきり林檎に突っ伏し、うつぶせの状態になってしまった。さっきのタイガの一撃は、林檎を大きく抉り、更にその周りも余波で脆くしてしまっていたのだ。そこを運悪くタイガは踏み込んでしまった。

「くそっ、今ので足が埋もれて……」
「ふふふ、よくもやってくれたです……」
「っ!?」

 なんとか足を引き抜こうとしたタイガだったが、後ろに何かが立った気配に背筋が寒くなった。言うまでも無く、それは攻撃をなんとか切り抜けたシールダー。それがクッキー盾を手に佇んでいた。

「丁度いい格好になっていますね……貴方はそれはもう暴れてくれましたから、とっても無様なクッキーにしてあげます……」
「お、おい待て、何する気だ、やめろ!」
「やめる訳ないです。安心してください。貴方も、それをきっと喜べるようになります」

 そしてシールダーがクッキー盾を振りかぶった。タイガは焦った。自分のこの状態で盾にされたら……とても嫌な予感がする。タイガはなんとか出ようともがいたが……無駄だった。

「や、やめ、やめろ……あ、うぁ、あ、ああああああああああああああん♪」

 そして男らしいタイガとは思えない、甲高い嬌声が林檎内に鳴り響いた。



『んぐ、んぐ……美味しいですね、本体♪』
『ええ、美味しいです、分身♪ あぁ……これが林檎を食べて盛られていく快感♪ こんなに素晴らしいものだったなんて♪』

 響く声は殆ど同じ声色。そこにあったのは奇妙な2枚の盾。盾はそれぞれ外側を向き、その間にはリンゴの切り身がいくつも挟まれ、クッキーサンドとなっていた。更に盾にはそれぞれ二人のうり二つの狐少女が埋め込まれ、盾から伸びた尻尾それぞれ1本が足のように林檎の中で立っていた。そしてそれぞれの外側の少女がリンゴを食べると、挟まれた切り身が大きくなり、更に外側の少女たちの体も林檎が現れて綺麗に彩り、甘い香りを漂わせていく。
 言うまでも無く、これは花と維持されたまま共にクッキーにされた分身花であった。彼女らは1枚ずつのクッキーで林檎を挟んだクッキーサンドにされ、二人で1つのクッキー作品にされてしまっていた。

『知れて良かったですね、本体♪』
『ええ、知れないままで良かったです、分身♪ ああ、もっと美味しく香しくなりたいという欲求が止まらない♪ 移動はできても身体は動けないこのクッキーになった感覚、堪らないです♪』

 幸せそうな顔の2人。そして二人はちらとある方を見やった。

『あと、ああはならなくてよかったですね、本体♪』
『ええ、全くですね、分身♪ フォローなんてしてあげなければよかったですね。ふふ、あれもアレで楽しそうではありますけど♪』


 2人が見やった方、そこにはリンゴの穴が開き、そこにも盾があったが、それは今までのクッキー盾とはまた違うものだった。なぜなら、穴から外に向いている面にあるのは、顔や体では無く、大きな女性の尻部分だったからだ。そして盾は微妙に動きながら穴へと徐々に進んでいく。その、進んでいく方には……

『あはぁ♪ 林檎美味しい♪ わたし、どんどん美味しくなってくぅ♪ とっても気持ちいいのぉ♪ もっと美味しくなって、もっと見てみて、わたしの、情けないお尻部分クッキー♪』

 それは、痛めつけられた仕返しにと、尻を突き出した体制のままクッキーにされ、それはもう変貌させられ貶められたタイガのクッキー盾だった。本来は裏部分にあたるところに、タイガの顔と大きい胸がこれでもかと出され、クッキータイガは浅ましくも林檎を食べ進んでいっている。しかも林檎は尻部分にだけどんどん追加され、肉付の良かった尻部分が更に大きくなっていってるように見えていく。
 そしてタイガ自身もまた、快楽によりすっかり女へと人格が堕ちきってしまい、口調もすっかり変わり果ててしまっていた。

『ああ、シールダー様に、そしていろんな人たちにわたしの立派なお尻盾、見て貰うのが楽しみぃ♪ 見て貰ったら……き、きっとそれはもう、キモチよすぎちゃうよぉ♪ 今でもすっごいのにぃぃ♪ わたしのこの姿、いっぱい見られちゃうぅぅ♪』

 林檎の汁まみれの顔を恍惚に歪め、タイガは更に林檎を食べ進めていく。それによりどんどん自分が酷いデザインのクッキーになっていっているとわかっていながら。

 そんな姿を花サンドクッキーたちはくすくすと見やり、そして自分達も林檎を食べて快楽に耽っていくのだった。


 ちなみに救出された時、花はともかく、タイガは一体どんな有様になっていたのかは……本人の為にもここは記さないでおこう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

リコリス・ガレシア
基本人格はおっとりした穏やかな少女。

帽子を静かに脱ぐ
「……絶対に許せません」
夜のような黒髪、血のような赤眼、彼岸花の着物、帽子の代わりに般若の面を斜めに被ったクールな少女へ人格が切り替わる
「これをこのまま食べるのか?面倒だ」
般若の面を正面に被り直しUC使用。少女を心臓に周りの林檎を取り込み喰らいながら蛇神を降臨させる
「やはり『含んでいる』か。丁度良い」
魔力類を含む物質を摂取し霊力を回復し稼働時間を伸ばしながら、8つの頭で掘り進む。

敵を発見したら不意打ち、盾ごと飲み込む
「何を驚く。貴様らもアリス達を食い物にしてきただろう」
止めを刺した残骸を嚥下した後、残りのオウガを右左後ろから別の頭部で不意打ち



●クッキーシールダーの新作披露会はこれにて終了となります

「…………」

 後発してきた猟兵、リコリス・ガレシア(多重人格者の神器遣い・f28348)はこれまでの戦場を後から追い、猟兵たちが作ってきた道をたどりながらシールダーを追っていた。その過程で、砕け散ったアリスたち、そしてクッキーにされた猟兵の姿を見た。回復猟兵に後を任せ、シールダーを追っていく。そんな被害者たちを見てきての彼女に去来するものは。

 やがて最後の戦場地点に辿りつく。ここからは後を追えば迎撃されるだけだろう。別のルートから攻めなければならない。リコリスには既にその手段があった。彼女は被っていた帽子を脱ぎ去ると、林檎を見据えながら。

「……絶対に許せません」

 数多のアリスをクッキーにし、いつかは自分で食し、戦闘では遠慮なく盾にし、そしてその人格や尊厳をも破壊しつくした。そんなオウガへの憤りの心。その心のままに、彼女は自身の身体に宿った『神器』を起動した。
 彼女の左腕が剣、天叢雲剣に変化していくと、彼女の髪も黒色に染まり、瞳は血の如き赤色へ染まる。衣服もまた彼岸花の衣装ある着物に変化し、帽子を脱いだ頭には、代わりに般若の仮面が被さった。

「――出番か」

 般若の仮面を顔に被り直したその人格はリコリスではなく、剣に宿る鬼少女のもの。彼女も今の状況は理解をしており、目の前の林檎の壁を見据える。

「これをこのまま食べるのか?面倒だ。【封印解放『ヤマタノオロチ』】」

 彼女がユーベルコードを発動させると、剣から魔力が周囲に吹き荒れ、周囲の林檎を削っていくとそれを素材にした身体がリコリスを囲むように次々と集まっていく。それはさながら、リコリスを心臓にでもあてはめたかのようなそんな身体が形成されていく。
 やがてそれはリンゴを思い出す赤と黄で彩られた、8つの首を持つ巨竜ヤマタノオロチへと変化した。剣の力を励起する事で現れたオブリビオンの姿。その稼働には魔力を代償とする。だが、リコリスはそこにも算段はあった。

「「やはり『含んでいる』か。丁度良い」

 彼女はこの巨大な林檎の国自体が、魔力を含んでいるのではないかと読んでいた。なにしろ普通ではありえないリンゴの大きさ、そして不思議の国というこの世界の性質からすれば、リンゴに魔力が含まれているのは当然の話ではあった。リコリスはその魔力を取り込み変身する事で、通常よりもさらに発動時間を延ばす事に成功したのだ。

「では、頂くとしよう」

 8つの首が目の前の林檎に喰らいつけば、異常なスピードで食べ進んでいく。なにしろ人間よりも大きく咀嚼量が多い蛇の巨頭が8本。その差はかなりのものである。更に、魔力を含んだリンゴを取り込むことで、魔力を代償とした発動時間もプラマイが発生し、魔力消費の節約を可能としていた。
 やがてシールダー達の近くまで接近する。

『ん、今、あちらから音が……』

 流石に巨体の進む音。その気配と音は隠しきれはしない。だが、まだまだ奇襲は出来る範囲ではあった。

「総員、迎げあがああああっ!!」
『シ、シールダーさまあああああっ!』

 向き直ったシールダーがその穴から飛び出した蛇の頭に喰らいつかれ、あっという間にクッキーアリスごと呑み込まれた。鬼少女にアリスへの慈悲はない。元に戻せないなら遠慮なく喰らい尽し嚥下し、その惨めな姿を終わらせるまでだった。

「よ、よくも仲間を!」
「何を驚き、そして憤る。お前達もアリス達を食い物にしてきただろう、文字通りにな。因果応報、という奴だ」
『私達は喜んで美味しくなり食べられるのよ!』
「その時点でお前達はもう殺されていると言っている。生きていた頃の尊厳も人格も否定されつくりかえられた、生きた屍だ。故に、ここで纏めて終わらせてやろう」

 蛇の頭1つに盾を向け迎撃を整えた、残った数少ないシールダーたち。だがそれは鬼少女の策の内。これでこちらに注意を向けさせ、そしてそれぞれの位置を把握。その間に――。

『!?シールダー様、周りから震動が!』
「なっ、まさか――」
「丁度あと7体で助かったぞ。では、『いただこう』」

 そして瞬間、残ったシールダー全ての足元の林檎を突き破り、残り7頭のオロチ頭が飛び出し、そして喰らいついた。盾を向ける時間も無く、シールダーもクッキーとなったアリスたちもまるごと喰らいつかれ、咀嚼音とともにごちゃ混ぜにされ、そしてオロチたちの喉に呑まれて消えていく。
 わざわざ1本の頭だけが奇襲したのは、それだけと見せて他の7本の頭で狙う敵と場所を把握し、注意が1本に集中している間に周りを喰い進めるだめだったのだ。

「『美味であった』、等とは言ってはやらぬ。それが貴様らに相応しい最高の言葉であろう。『最低の味であった』」

 それはビスケットシールダーへの侮蔑の言葉であり、そして在り方を変えられたアリスへの、もしかしたら慈悲の言葉ではあったのかもしれない。



 こうしてビスケットシールダーらは全滅。クッキーにされた猟兵らも救出され、回復ユーベルコードによって元に戻った。人格や肉体への影響は……多分無い。そこは個人差あるからね!

 林檎を抜けた先にあるのは、今だに力の膨大を表すオウガ・オリジン、そして猟書家たち。戦いの先に待つのは、林檎の如き甘き勝利か、それとも苦き敗北か。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2020年08月24日


挿絵イラスト