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迷宮災厄戦⑯〜リンゴを食べてオウガを倒そう

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦

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●大きなリンゴのその中に
 アリスラビリンスに、巨大なリンゴでできた国があった。
 その中に大きな盾を手にした女性型のオウガたちがうろつきまわっている。
「アップルビスケットってどうでしょうか……美味しいですかねぇ……」
「これだけリンゴがあれば、いくらでも作れちゃいますね……!」
 巨大リンゴを食べながら徘徊するのはオウガ、ビスケットシールダーだ。
 臆病そうに大きなビスケットの盾で身を守りながら移動する女性パティシエたちは、一見すると可愛らしく見えるかもしれない。
 しかし、そのビスケットに描き出された女性が、彼女たちの獲物となったアリスだと知れば、誰もが彼女たちの凶悪さを理解することだろう。
 リンゴの国に、自分たちが潜むべき洞窟を食べ掘りながら、オウガたちは猟兵たちの接近を警戒していた。

●リンゴを食べてオウガを倒そう
 アリスラビリンスにて迷宮災厄戦は続いていた。
「お疲れさまです。猟書家やオブリビオン・フォーミュラに少しずつ近づいているようですね。もっとも、敵をどの程度倒すかは難しいところではありますが」
 白金・伶奈(プラチナの先導者・f05249)はグリモアベースの猟兵たちに言った。
「なんにせよ、まだまだオウガを倒さなくてはどちらにもたどりつけません。敵の出現地点を予知いたしましたので、撃破をお願いいたします」
 伶奈が予知したのは『アップル・バトル・フィールド』に出現するオウガ。
 巨大なリンゴでできた国であり、食べ進むことで進路を切り開くことができる。
「オウガたちの群れは、このリンゴを食い荒らしながら潜伏しています」
 猟兵たちもリンゴを食べながら敵を探して、撃破しなければならない。
 もっとも、食べることで道が開けるということは、自分たちの自由にルートを決めて進むことができるということだ。うまくやれば敵の意図しない場所から奇襲できるだろう。
「今回わたくしが予知したオウガはパティシエ『ビスケットシールダー』です」
 巨大なビスケットの盾を構えたオウガたちの群れだ。盾から甘い不思議な粉を放つことで、敵をクッキーの盾に封印することができる。
 彼女たちの盾には少女の姿が刻まれているが、それらは盾に封印されたアリスたちだ。
「猟兵の皆様ならば一時的に行動を封印される程度ですむでしょうが、残念ながらアリスたちを救うことはできません」
 盾は非常に壊れやすく、攻撃を受け止めれば簡単にアリスもろとも壊れるだろう。
 そして、盾が壊れて身軽になれば、ビスケットシールダーの動きは加速する。
 また、クッキーの盾はもろいとはいえ、それによる突撃は敵を吹き飛ばすほどの威力があるようだ。複数のオウガが協力すればさらに威力を増す。
 気弱で臆病そうにふるまうオウガたちだが、平気でアリスを犠牲にする戦い方をする者たちだ。見過ごすわけにはいかないだろう。
「オウガ・オリジンも猟書家たちも、最終的には倒さなければなりません。今は、全力で目の前の敵を倒していきましょう」
 よろしくお願いしますと言って、伶奈は頭を下げた。


青葉桂都
 おはようございます、青葉桂都(あおば・けいと)です。
 今回はアリスラビリンスの戦争で、オウガとの戦いに参加していただきます。

●シナリオについて
 当シナリオはフラグメント1つだけで完結する戦争シナリオです。
 戦場は『⑯アップル・バトル・フィールド』になります。

 猟書家やオブリビオン・フォーミュラの元へ向かうために撃破する必要があるほか、戦力を余分に削ることでオブリビオン・フォーミュラの戦力を低下させることができます。

●パティシエ『ビスケットシールダー』
 集団戦で戦う敵で、アリスを封じたビスケットの盾を持つオウガです。
 なお、盾に封じられたアリスを助けることはできません。
 戦闘能力については、本文及びフラグメントをご参照ください。

●戦場について
 この戦場は巨大リンゴでできています。
 移動するためには巨大リンゴを食べて洞窟を掘りながら進む必要があります。
 また、リンゴを食べ進んで敵を奇襲する方法を考えることで、プレイングボーナスを得ることが可能です。

 それでは、ご参加いただければ幸いです。
 どうぞよろしくお願いいたします。
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第1章 集団戦 『パティシエ『ビスケットシールダー』』

POW   :    怖いですぅぅ~~!!
【アリスが封じられたクッキーの盾】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【複数のクッキーシールダー】の協力があれば威力が倍増する。
SPD   :    使い捨ての犠牲者
【アリスが封じられたクッキーの盾】による素早い一撃を放つ。また、【攻撃や防御によって盾が破壊する】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    貴方もクッキーに…!
【装飾がないクッキーの盾】から【甘い不思議な粉】を放ち、【クッキーの盾へ封印すること】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

水鏡・怜悧
詠唱:改変、省略可
人格:ロキ
辺り一面リンゴの香りですねぇ…とりあえず一口分切り取って食べてみます。味覚がないので味はわかりませんが普通のリンゴのようですね。流石に自分の体積より多いリンゴを食べるのは難しいので、木属性の触手でリンゴに干渉し穴を明けながら進みます
リンゴ内の情報を触手を通して把握、相手の頭上より奇襲。氷属性の触手で凍らせマヒ攻撃。そのまま砕きます
クッキーに閉じ込められそうになったら水属性の触手でクッキーの盾を濡らして壊します
速度が上がったら氷の触手で床のリンゴを凍らせて転ばせます。盾が重いならバランスが変われば転びやすくなるでしょう。床ごと氷って頂きます


リアナ・トラヴェリア
固まって動いてると厄介な相手だね。
何とかして一体一体個別に撃破できるようにしたいけど…。

小さい道に誘いこんで個別撃破を狙ってみようかな。
オウガたちの進む道の途中に人一人が通れるくらいの穴を黒剣に食べさせて掘っておこう。いきなり相手がそこに飛び込むことはないと思うけど、私がそこら飛び出して攻撃して引き付けよう。

私が掘った穴は道の途中で四方八方に伸びてるよ。ここに足を踏み入れて、はぐれたオウガから不意打ちして撃破。

まとめて相手をするのは厳しいけど、個別なら大した相手じゃない。
あなたたちにお菓子にされたアリス達の代わりに、倒させてもらうよ!



●大きなリンゴのその中で
 ありえないほど巨大なリンゴの国、アップル・バトル・フィールド。
 その中に潜むオウガたちを討つべく、猟兵たちは内部へと侵入していた。
「辺り一面リンゴの香りですねぇ……」
 呟いたのは、水鏡・怜悧(ヒトを目指す者・f21278)だ。
 正確に言えば、彼に宿る人格のうち1つ、『ロキ』の発言だった。
 とりあえず、漆黒の刃を持つ医療用メスで一口分切り取って、彼は口に入れた。
「味覚がないので味はわかりませんが、普通のリンゴのようですね」
 サイズはともかくとして。
 人が歩けるほどの大きさを有していても、いちおうはただのリンゴのようだ。
(「しかし、流石に自分の体積より多いリンゴを食べるのは難しいでしょうね」)
 あるいは猟兵の身体能力があれば可能なのかもしれないが、とりあえずのところ怜悧はごく常識的な判断として、食べながら進むのは無理だと考えた。
 銃型の魔道兵器を構えて、そこに木の属性を設定する。
「触手ちゃんはこういうことも出来るんですよ?」
 引き金を引くと、木属性の触手が出現して、リンゴを食い荒らし始める。
 敵の気配を探しながらしばらく歩いていくと、やがてロキは別の食い荒らされた穴へとたどりついた。
「あなたも猟兵だよね? 気をつけて、敵が近くにいるみたいだよ」
 奇妙にねじくれた黒剣を手にしたドラゴニアンの少女は、リアナ・トラヴェリア(ドラゴニアンの黒騎士・f04463)だった。
「敵がいるのですか。ちょっと待ってください……確かに複数のビスケットシールダーが近くにいるようですね」
 触手を通じて、怜悧はリンゴに残された敵の情報を得る。
「固まって動いてると厄介な相手だよね。何とかして一体一体個別に撃破できるようにしたいから……」
 リアナが首を傾げた。
「小さい道に誘いこんで個別撃破を狙ってみようと考えてるんだ。穴の途中で、四方八方に伸びるように穴を掘ったんだよ」
「掘ったんですか」
「うん。黒剣に食べてもらってね」
 黒剣――使い込んだ黒鱗剣は、ずいぶんと巨大で、そして自動的にその形を変えているようだった。
「なるほど。いいやり方だと思います。誘い込めなかった敵は私に任せてください」
 ロキの言葉にリアナはうなづいた。
 そして、彼女はビスケットシールダーへと近づいていく。
 オウガたちは、自分たちが掘ったものではないリンゴの穴を見て、警戒している。
「猟兵さんたち……来てるんですかぁ?」
「怖いですぅ。でも、やっつけないと……」
 おびえた様子を見せつつも敵は探る視線を穴へと向けている……が、いきなり飛び込んでくるほど考えなしではないようだった。
 リアナは黒鱗剣を構えて飛び出した。
 1体に切りつける……が、その敵は盾で素早く攻撃を受け止めた。
 ビスケットでできた盾が砕ける。
 だが、リアナはもちろんあわてなかった。
(「そのままついてきてもらうよ」)
 穴へと引き返すと、シールダーたちが追ってくる。
 黒剣で穴を走り回って、リアナは敵の混乱を誘った。
 1体の敵が、オウガたちの群れからはぐれる。
 それを確かめて、リアナは横から回り込み、不意をついて攻撃をしかける。
「さあ、食事の時間だよ!」
 黒鱗剣から力が流れ込んでくる。リンゴを食べたおかげですでに剣と彼女自身の力は増している。
 オウガはアリスが封じられた盾で受け止めようとするが、遅い。
 シールダーの体をリアナの剣はたやすく両断した。
 残ったオウガたちは、仲間がやられたことに気づいてざわめいている。リアナは、次の敵を狙うためにまた穴の中へと姿を消した。
 オウガたちの中にはもちろん分散しなかった者もいた。
 しかし、3体いたそのシールダーたちも、リアナに注意を集中していて頭上には注意を払っていなかった。
 オウガたちの頭上にあるリンゴが砕け、ロキのままの怜悧が彼女たちへ襲いかかる。
「あなたがたも封じ込めてから砕いてあげましょう」
 銃に込めている属性は、氷に変えてある。
 氷の触手がシールダーたちを襲って、氷の中に閉じ込める。
 回避できたのは1体だけだった。
「貴方もクッキーに……!」
 その1体が甘い不思議な粉を飛ばしてくる。
 ロキの体が、クッキーの中へと封じ込められていく……だが、その直前にロキは銃に水の属性を設定していた。
 水の触手が濡らしたおかげで、盾に封じられていたのは短い時間だけですんだ。
 追撃を加えてこようとしていたビスケットシールダーへ、逆に氷の触手を浴びせてロキはオウガを砕く。
 触手で周囲の状況をうかがうと、他の敵はリアナがほとんど倒していた。
 最後の1体がリアナへ盾で突進しているのが、リンゴの穴の向こうに見えた。
 リアナが突進の勢いに後退する……が、1体だけのオウガでは猟兵を倒せるほどの威力は得られない。
「まとめて相手をするのは厳しいけど、個別なら大した相手じゃない。あなたたちにお菓子にされたアリス達の代わりに、倒させてもらうよ!」
 リンゴの壁を蹴って距離を詰めたリアナが黒鱗剣を一閃すると、最後のシールダーも床の上に倒れた。
「とりあえずここにいる敵は片付きましたね」
「うん。でも、これだけじゃないはず。他の敵もうまくおびき寄せなきゃね」
 リンゴの中を見回しても、他のシールダーがどこにいるかはわからない。しかし、オウガの戦力はこの程度ではないはずだ。
 ロキとリアナは、次なる敵を探して移動していった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

筒石・トオル
りんごを食べるにしても種類によって適した食べ方があるから……普通に美味しいなら、ルーンソードでうさぎさんとか、形を可愛くして食べたい。
でも多くの量を処理するなら熱を加えて加工するのが妥当かな?
使うのは酸味の強い物。熱を加えると甘味が増すから、元々の酸味がいい風味を出すんだ。
『トリニティ・エンハンス』でソードに炎の魔力を這わせ、料理用の熱源とする。無難なのはジャムかな?ことこと煮込むのに時間は掛かるけど、煮込む事で嵩は減るからいいんじゃないかな?【料理】駆使してりんごを処理する事で道を拓くよ。

料理の邪魔するなら【見切り、第六感、怪力、鎧砕き】で敵の盾を壊して反撃する。不衛生はNGだよ!



●リンゴ料理はいかが
 巨大なリンゴの中で、少年は思案していた。
 瑞々しい果肉の壁を眼鏡の奥から見つめ、あごに手をやり筒石・トオル(多重人格者のマジックナイト・f04677)は真剣な表情をしている。
「りんごを食べるにしても種類によって適した食べ方があるから……普通に美味しいなら、ルーンソードでうさぎさんとか、形を可愛くして食べたい」
 少年が考えているのは、いかにこのリンゴを料理するかだった。
「でも多くの量を処理するなら熱を加えて加工するのが妥当かな?」
 魔法剣を壁の前で構えて、どのように加熱すればいいかを考える。
「使うのは酸味の強い物がいいな。熱を加えると甘味が増すから、元々の酸味がいい風味を出すんだ」
 少しリンゴの壁をくりぬいて一口食べてみる。
 ――悪くはない。
 確かめたトオルは、ユーベルコードを発動した。炎の魔力を強化して、手にしていたルーンソードへと炎をまとわせる。
「無難なのはジャムかな? ことこと煮込むのに時間は掛かるけど、煮込む事で嵩は減るからいいんじゃないかな?」
 考えながら、トオルはリンゴの壁を剣で加熱していく。
 そして、料理をしながら彼は穴を掘り進めていった。
「そこのあなた……なにをしてるんですか!?」
 やがてトオルに声をかけてくる者がいた。巨大なビスケットの盾を構えた女性。
「見てわからない? 料理をしてるんだよ」
 こともなげに少年は答える。
「私たちを探してるんですか? こ、怖いですぅ……でも、そんなことさせません! みんな! 戦いましょう!」
 呼びかけると、数体の仲間たちが出現した。複数のビスケットシールダーが、少女の姿の刻まれた盾を構えて、トオルのほうへと突っ込んでくる。
 第六感を駆使してトオルは回避しようとするが、リンゴを掘った狭い道では見切っても回避はしきれない。
 少年の体が盾の衝撃によって吹き飛ばされる。
 だが、強烈な衝撃ではあったが、一撃で倒れるほど彼も脆くはない。むしろ、壊れそうになっているのは突撃してきたててのほうだ。
「料理の邪魔するなら倒させてもらう。不衛生はNGだよ!」
 ルーンソードに力を込めて、トオルはシールダーたちのヒビの入った盾を破壊する。
 苦戦はしつつも敵を殲滅した少年は、再びリンゴの壁を料理し始めた。

成功 🔵​🔵​🔴​

パルピ・ペルポル
敵の居場所の近くまでは敵の作った道を利用して、手前から脇道を掘り進めるとするわ。
干し肉と鮭とば持ち込んでたまに口直ししつつ。
気付かれぬように敵の背後あたりにそっと穴をあけて、そこから事前に折り紙で作った小さなネズミをたくさん送り込むわ。
で、元の道のほうからはこの1辺15mの折り紙で作った芋虫を送り込むわ。
一斉に敵を攻撃させて混乱してる間に頭上あたりまで通路を掘って穴を開けてそこからもネズミを送り込んで。
わたしは敵の背後をとって短剣で急所狙ったり風糸で首を絞めたり確実に片付けるわ。
前面の守りを固めてる連中って背後まで気が回ってないこと多いからね。


テリブル・カトラリー
『換装・邪神眼』両腕に付けたガントレットに付与した生命力吸収で触れた箇所の生気を喰らい、怪力で掻き分け泳ぐようにリンゴ内を掘り進む。

奇襲を掛けるのなら、囮が必要だ。
敵の掘った洞窟へ目立たないように入り、洞窟内に装甲車を転送。
遠隔操縦で砲撃を行わせ、敵をおびき寄せる。

私は再度地面を掘って潜伏。
装甲車の視界を元に敵の背後から距離を取って出る。

救えないのなら、オウガ達に利用されないよう破壊するしかないか…
『換装・邪神眼』の視線による範囲攻撃、複数体から失った体力を補充し、
アームドフォートで敵集団を吹き飛ばし先制攻撃。
スナイパーライフルで、鎧無視攻撃。盾を貫通し、敵を仕留める。
逃がすつもりは、ない。



●ビスケットを砕け
 リンゴの中で、オウガたちとの戦いは続いていた。
 潜んでいるビスケットシールダーは猟兵たちの攻撃によって、その数を減らしている。
「猟兵さんたちが怖いですぅ~」
 盾に身を潜めるオウガたちの声が、リンゴに空いた洞窟内に響く。
 その声を聴きながら、パルピ・ペルポル(見た目詐欺が否定できない・f06499)は干し肉をフェアリーの小さな口に放り込んだ。
「さすがにリンゴばかり食べていたら飽きちゃうものね」
 口直しをしながら、敵の後方に回り込むべく彼女は穴を掘り進んでいた。
 やがて、近くから別の音が聞こえてきた。
 リンゴを砕く音。
 そしてパルピの10倍近いサイズを持つ巨大な女性が姿を見せた。
「どうやら、味方のようだな」
 口元をマスクで覆ったウォーマシンの彼女は、テリブル・カトラリー(女人型ウォーマシン・f04808)だ。
 片目を邪神の眼球クランケヴァッフェへと換装した彼女のガントレットには、生命力を喰らいつくす力が宿っているのだ。
 瑞々しいリンゴの壁をガントレットで食らいながら、彼女は突き進んでいたのだ。
「そうね。後ろから回り込むつもりでリンゴを食べてるのよ」
「狙いは同じということか。奇襲には囮が必要だが、用意しているのか?」
「ええ。ちゃんと用意してるわ。道具は使い方次第よね」
 パルピが取り出したのは折り紙セットだった。高い強度を持った折り紙の束。
 ……そして、しばし後、洞窟内にビスケットシールダーたちの悲鳴が響く。
「きゃー! 虫がたくさん来ましたよぉ~」
「待ってください、それよりもあの車をどうにかしなきゃ……」
 遠隔操縦の装甲車を囲むようにして、折り紙でできた芋虫たちが近づいてきたのだ。
 浮足立つオウガたちの群れに、猟兵が背後から忍び寄る。
 まず彼女たちが気づいたのは足元を駆け抜ける影。
「今度はネズ……!?」
 折り紙のネズミに気を取られた瞬間、そのシールダーの首に細い糸が絡みついた。
 蜘蛛の糸よりも細い糸が締め上げられて、オウガの口から空気の漏れる音が出て――そして、動かなくなった。
「前面の守りを固めてる連中って背後まで気が回ってないこと多いからね」
 呟きながら、パルピは次のオウガを狙って動き出した。
 テリブルは妖精よりも後方で、地面から飛び出した。
 邪神の眼球には、武器だけでなく視線にも生命を奪う力を与えてくれる。だが、その力を発動する前に、混乱するシールダーたちの盾が視界に入った。
「救えないのなら、オウガ達に利用されないよう破壊するしかないか……」
 盾に刻まれた少女の姿。それは、ビスケットに閉じ込められたアリスの姿だという。
 けれど、そうと知ってもしてやれることは決して多くない。
 視線による攻撃で、失った生命力を奪い取って回復する。
 アームドフォートによる砲撃が、リンゴの壁とともにシールダーたちを砕いた。
「や、やめてくださいよぉ……」
 気弱そうに言いながら、オウガたちはアリスを封じた盾を構えてパルピやテリブルへ向けて突っ込んできた。
 だが、妖精が手にした細身の短剣が盾を貫いて突進してきた敵を倒す。
 テリブルの大型狙撃銃も、容赦なくシールダーたちを砕いていく。
「逃がすつもりは、ない」
 ウォーマシンが静かに宣言する。
 リンゴの香りが充満する洞窟の中、残っていたオウガたちは猟兵たちの攻撃によって次々に倒れていった。
 大人しげな顔でアリスたちを容赦なく犠牲にしていたビスケットシールダーたちは、1体たりとも残ることなく、やがてリンゴの国にすべて倒れていた。
 オウガたちの群れを踏み越えて、猟兵たちはアリスラビリンスの迷宮を進んでいった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月16日


挿絵イラスト