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迷宮災厄戦⑪〜脅威、何処でもアイス工房(作者 古塔
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●その魔女は城の最上階で
「ふふ」
 至る所に鏡のある城の中、アイスの装飾に身を包んだ、濡れ羽鴉色の美しい髪を下げた魔女が、優雅にアイスの玉座に座っていた。
 その目の前にもやはり鏡。
「鏡よ鏡よ鏡さん、新しいアイスの材料になる子は今どこにいるかしら?」
 映し出されていく鏡の中には……。

●打ち倒す者達はグリモアベースにて
「ごきげんよう、ごきげんよう、予知を見たの。アリスさんの所なんだけど」
 ポーラリア・ベル(f06947)が集まった猟兵にオブリビオン(オウガ)の映像を見せる。
 舞台はアリスラビリンス、絶賛戦争中の場所である。
「えっとね、鏡がいっぱいある世界で、アリスさんでアイスを作っちゃうすっごい魔女さんがいるの。」
 その人がオウガさんで、やっつけちゃって欲しいの。と、その妖精は言う。
「ここの鏡がおかしな力をもっててー、『鏡よ鏡よ鏡さん』な質問をすると、質問に答えてくれるの。……オウガさんはこれでみんなの位置を聞いてくるんだって、気を付けてね。」

 転送先にはあちこちに姿見(猟兵の姿が丸ごと全部うつるサイズの鏡)が生えている、お洒落な西洋風の城である。
 映像が切り替わる。最上階、鏡とアイスと……卵?巨大な牛乳瓶?……様々な食材で囲まれた場所にそのオウガはアイスなデザインの玉座に腰かけていた。
 するとオウガは歌を歌いだし、何か指でクルクルとしている。
 映像が切り替わる……城の回廊、迷い込んでいた着ぐるみ姿の愉快な仲間がとてとてと走り込んでいる映像……。
 なんと愉快な仲間は突如襲ってきたアイスの津波に飲み込まれた!
 アイスの津波はぐるぐるとアイスらしい形を整えると、瞬時に現れた冷凍庫の中に吸い込まれ……。数秒後、開いた冷凍庫から城の床にころりと落ちる、愉快な仲間のようなデザインをしたアイス。

「わ、わ、……こんな感じで位置を知る度にみんなをアイスに変えようとしてくるの。そうなる前に最上階について、オウガさんをしばいてほしいのよ。」
 ポーラは悲鳴を上げるようなジェスチャーをしながら、暑さで持ってきたアイスに身を縮こませる。
「でもね、でもね、鏡はね、みんなも使う事ができるんだって!お城の中の事限定だけど、これでお話すると良い感じに何とか出来るかもしれないの!」
 鏡の態度は平等らしく、次に切り替わった映像……数秒後に犠牲になるであろう、アイスで出来たゴーレムに追いかけられている愉快な仲間が映し出されると、その愉快な仲間は見つけた鏡に何か語り掛け……ゴーレムの攻撃を何とか避けている姿が見えた。

「愉快なお仲間さんは逃げるので手一杯だけど、みんなならもっと何とか出来ると思うわ。……それじゃあ転送するね。」
 ポーラリアはベルの形をしたグリモアをしゃんしゃんと鳴らすと、転送の光を纏い、猟兵達を送り込もうとする。
「アイスになったら美味しそ…じゃなくて、大変だから気を付けてっ。がんばー!」


古塔
 ●クライマックス御中、通常戦場依頼で失礼します。古塔と申します。
 1章ボス戦で終了する、戦争依頼です。

●状況
 鏡の国の、鏡がいっぱいある西洋なお城の中に転送されます。
 最上階に居るオウガ『アイスメーカー『クリーメル』』を倒すのが本目的です。
 クリーメルは後述の鏡で猟兵の位置や状況を把握し遠隔攻撃を仕掛けてきます。
 何とかして掻い潜り、一発お見舞いしてやりましょう。
 ……どうやら城には愉快な仲間達が迷い込んでいる様ですが、特にシナリオで何かあったりはしません。モブです。
 助けるかはご自由に。オウガを倒せば食べられてない仲間達は大体復活するでしょう。

●仕掛けとプレイングボーナス
 戦場のいたる所に鏡が置いてあります。
 この鏡に話しかけると「鏡の国の内部事情」を何でも答えてくれます。
 それぞれの位置はもちろん、戦場にいる者の弱点、歴史、スリーサイズ、なんでも。
 ※味方に対するプライベートな情報を聞くのはお勧めしません。何かご都合な力が働くかも。

 クリーメルはこの鏡で常に侵入者の情報を聞いて把握し、攻撃してきます。
『この鏡を逆に利用して有用な情報を聞き出す』
 事で、情報に応じたプレイングボーナスが得られます。ぜひ活用を。

●補足
 執筆は締め切りギリギリまで粘ります。流れたらごめんね。
 グループで参加の場合は予め決めたグループ名をプレイングの冒頭にお願いします。
 この話でオウガの攻撃を喰らうと、体をアイスにされてしまいます。
 アイスにされるのが嫌ーな方は、プレイング冒頭、グループ名の後に【×】をお付けください。
 アイスを食べさせられて気分が悪くなるとか、アイスに変えられず衝撃で気絶したとか、そういうマスタリングを致します。
 もし宜しければ。
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第1章 ボス戦 『アイスメーカー『クリーメル』』

POW ●『アイスゴーレム』よ、私にアイスを持ってきて
自身の身長の2倍の【地形や対象を氷菓に加工するアイスゴーレム】を召喚する。それは自身の動きをトレースし、自身の装備武器の巨大版で戦う。
SPD ●『極上アイス』のお味はいかが
【(作者以外が食べるとアイス化する)アイス】を給仕している間、戦場にいる(作者以外が食べるとアイス化する)アイスを楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1にする。
WIZ ●『レッツ・アイスメイキング』♪
【アイス作りの歌とダンスを披露すると】【戦場と対象に歌詞通りの事が起こり】【アイスに作り変えられていく魔法】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ポーラリア・ベルです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●その魔女は城の最上階で
「ふふ」
 至る所に鏡のある城の中、アイスの装飾に身を包んだ、濡れ羽鴉色の美しい髪を下げた魔女が、優雅にアイスの玉座に座っていた。
 その目の前にもやはり鏡。

「それじゃあ、ミュージックスタート♪」

 ズンチャ♪ズンチャ♪
 城の中に可愛らしい音楽が鳴り響く。
「うわっ!」「なんだなんだ!?」
 甘い香りの不思議な穴につられて迷い込んだ愉快な仲間達。回廊を走る彼らの一部が城内アナウンスの如き音楽と声にざわつき始める。
「美味しいアイスを作りましょー♪美味しいアイスを作りましょー♪」
 城に響くはクリーメルの声だ。
「今日の材料はくまさん、猫さん!二段重ねのアイスクリンを、私と一緒にレッツ☆アイスメイキング♪」
 南無三!処刑宣告だ!

「い、いやだいやだ!?」
 回廊を走る熊のぬいぐるみと二足歩行猫さん(愉快な仲間)がピンチだ!
「アイスをつまみ食いしたかっただけなのに!アイスにされちゃうなんて楽しくない――よ――」
 大慌ての仲間の逃走スピードが急にがくんと落ちる。
 この城の掟の一つ。楽しんでない者の速度が5分の1になってしまう。
「(ま……まず……)」「(逃げな……くちゃ……)」
「さぁー!準備は万全に♪キッチンの上にはタマゴに砂糖に牛乳にー」
「((えっ!?))」
 なんという事だろう!彼らはいつの間にか城を走ってない!
 よくあるお家のダイニングキッチンの上を、ネズミの如き小人サイズとなって走っているではないか!
「作り手はもちろんこの私。アイス『クリー』ムを舐『める』でお馴染みクリーメルの、腕利きゴーレム♪」
 キッチンの傍からぬぅるりと、きょ、巨人が現れたぞ!
 巨人はピンクとバニラホワイトなアイスの色をしている。これはストロベリーバニラ味の、クリーメルの姿をした巨人だ!
 巨人はひょいと2体の愉快な仲間をつまみ上げると、手に持つボウルの中にころりと入れて。
「「うわわわわ!?」」
「卵黄、お砂糖、しゃーかしゃか♪」
「「うわー!?」」
 ボウルの上から降り注ぐ卵と砂糖の吹雪をどざばとかけられた仲間達!
 べとべと状態の身体に巨人による巨大な泡だて器が差し込まれると、なすすべもなく高速でかき混ぜられてしまう!
「あっという間に溶けちゃえばー♪あまーい卵にまっきっきー♪一人はあちら、一人はこのまま。クリーム入れて、味付けだー♪」
 卵黄と砂糖で液体の如き体となった仲間達。ぽいと一人が別のボウルに移しだされると、両方のボウルに、一方はチョコ、一方はバニラ。
 そこにクリームやメレンゲ、牛乳も滝のように降り注ぎながら、再び泡だて器でぐるぐるとかき混ぜられていく。
「「あっ、熱いぃぃ~!?」」
 どちらも湯せんで沸騰させるまで熱せられたクリームが混ざっているが、やけどする事なく不思議な力で2体の身体に馴染み、心身共に混ぜ合わされていく。
「形を整えころっころー♪」
 瞬間、2体がかき混ぜられていたボウルが消えると、瞬く間に現れた金属のボールが、かしゃんと愉快な仲間達を閉じ込める!
「溶けて染まったその顔はー、冷凍庫ーでかっちかち♪」
 ボールに閉じ込められた愉快な仲間達はアイスゴーレムに掴まれて、仕上げと言わんばかりにキッチンの冷凍庫に入れられると、魔法式マイナス200℃の表示と共にあっという間に冷えていき。
 扉とボールが開かれると、中には……。
「仕上げにコーンに乗せたなら、愉快なアイスのできあがり♪」

●恐るるべきはアイスの魔女
「持ってきたわね」
 鏡の城の玉座の間、ストロベリーバニラアイスで出来たクリーメルの巨人が、コーンにダブルで乗せられたおいしそうなアイスをクリーメルに献上する。
 何が何だか分からないままの表情で固まった熊のデフォルメチョコアイスクリンと、真っ白バニラの猫さんアイスクリンの2段だ。
 それをぺろりと、クリーメルは舐める。
「ん~♪今回もとっても素敵なアイス。でもこれで満足しないわ」
 彼女の後ろにはアイススタンドに立てられた沢山の愉快な仲間達アイス。
 出来上がりが気に入ったアイスは彼女のこの部屋に溶ける事なく保存されてしまうのだ。
 気に入らなければ?勿論、アイスとして固まったままの感情を抱きながら、クリーメルがじっくりと『尽きる』まで『味見』される末路を辿るのだ。

 彼らは幸いじっくり体を舐められ、少しばかり溶けたような姿で、再びアイスのクリーメル……アイスゴーレムに掴まれ、運ばれ、……先の犠牲者達と同じアイスコレクションの仲間入りを果たした。

「オリジン様に献上するアリスもいない今、愉快な仲間達で満足するしかないものね。ああ、誰かこのアイスを分かち合い、一緒に楽しく食べてくれる人が出てこないかしら!ねえ鏡さん?」
 クリーメルが鏡に語りかける。
 するとぼんやりと、鏡に城の光景が映し出された。
「あら?あらあら」
 それは先の愉快な仲間達……とは、雰囲気や佇まいの違う存在。

 転送された君達、猟兵が映し出された姿を捉えていた。
テフラ・カルデラ
※絡み・アドリブ可

あわわ…迂闊に進もうとするとアイスにされてしまうのですね…
一番危険なのはアイスの津波…あれに呑まれたら一巻の終わりです…
なので、鏡には『アイスの津波はいつ来るのか?』を聞きだします
そのタイミングを見計らって【あま~いちょこれーとらびりんす】を発動、どろどろチョコレートの壁で防ぎます!(多分…愉快な仲間達も巻き込まれそう…?)
あとはチョコレートの迷路を進んで一気にクリーメルの所へ…
しかし、相手の目の前に来た時に壁が破られてアイスの津波が…どうせやられるなら巻き込む覚悟でクリーメルを羽交い絞めにして…逃がしません!クリーメルちゃんもボクと一緒にアイスの像になるのですぅ…!!


●走る、走る。
 一目散に回廊を駆ける、黒褐色肌にして兎のキマイラ少女…の姿をした少年。
『テフラ・カルデラ(特殊系ドMウサギキマイラ・f03212)』
「はわわ!?」
 すると回廊の曲がり角にて、ぽてぽてと走る愉快な仲間達。
「あっ、先のお仲間さんですか!ちょっと――はわわ!」
「きゃー!?」「うわ゛ー!!」
 瞬間、ソーダバニラの色したアイスの波が後ろから飛び、攫われ、彼らは消えた。

「あわわ…迂闊に進もうとするとアイスにされてしまうのですね……」
 テフラはは必死に回廊を走っていた。

「それにしても鏡はどこでしょう……?ちょっと見つからないですね。」
 ふと回廊の脇を見ると、鏡の代わりにスタンドに立てられた、愉快な仲間達らしきアイスが、少ないながらも等間隔に立ち並んでいた。
「これが愉快な仲間さんだったらよかったのですけどね……」
 テフラは既にこれを舐めたり、ユーベルコードで解除を試みたりもした。
 だが普通にアイスだったし、美味しかったし、元にも戻りはしなかった。
 あるいは身も心も完全にアイスとなり、もう復活の仕様のない仲間達なのかもしれないが。

 ふと、空いている台座を見つける。
「はうぅ、ボクもここでアイスにされたら、最後にはここで飾られるのでしょうか……」
 彼はそれとなしに台座に立ち、ポーズを取る。
 意気揚々とこの先のオウガを自身の力でチョコに変え、倒そうとくくって現れたテフラだったが、
 万一やられたら、自分はどんなアイスにされるのだろう?
「…………こんなかんじでしょうか…………?」
 涙目で右手を咥えるように口に寄せ、内股でなよなよしい兎の少女……のような姿で、テフラは冷え切った回廊のアイスの一体にされる様を、呟き思い描いた。
 その時である。

『望み通りになる事は無い。クリーメルはかの者の最期の姿を好む』
「ひゃわっ!?」
 びっくりして台座から転げ落ちるテフラ。なんとすぐ傍には鏡があったのだ!
「ああ、これ鏡ですね。びっくりしました。……えっと、これに質問をかければいいのですよね?」
 テフラは辺りをきょろきょろと見回して安全を確認。
「えっと、最上階に居るでしたら場所は聞かなくても大丈夫ですね。ポーラさん(グリモア)の予知映像にあった、あのアイス津波が一番危険です……」
 そして質問をする。

「鏡よ鏡よ鏡さん、『クリーメルさんのアイスの津波はいつ来ます?』」
 鏡は答えた。
『速き者を捉える為に彼女は放つ』

「つまり、それって……」
 そう、あのアイス津波はSPD、楽しくアイスを放つものだったのだ。
 尚テフラが今宵選んだ戦法はWIZである。
「さ、作戦を間違えました……!?」
 しかしめげずにテフラは質問を続ける。
「あ、あの、もし『ゆっくり進んでたら何が来ますか?』」
 鏡は答えた。
『まずこの世界がかのオウガの意のままの空間に囚われ、体を一からアイスに作り替えられるであろう。』
「えっ、一から!アイスに!ゆっくりと?……はわわわわ♪」
 テフラは無意識に顔を赤らめ、何かしらと想像している。
 卵の黄身に覆われてドロドロとされるのであろうか。
 ゆっくりと凍らせながらかき混ぜられて、涼し気なアイスに身も心も囚われてしまうのだろうか。
 ああ、クリーメルは倒すべき存在であるというのに。
『特殊系ドMウサギキマイラ』なる称号は、かの兎獣人の想像、妄想を掻き立てるに十分な存在であった。

 そんな悶え恥じる彼を、不思議な力で見通す視線が一つ。

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 玉座の間。
 クリーメルは鏡越しに、鏡に質問しているテフラの様子を見ていた。
「素敵な時計兎……アイスにすればさぞかし可愛くなるでしょう」
 そしてクリーメルはくるくると指で宙に何事か描き出し。
「アイスの波に溺れたいのね。良いわ。特別。望みの甘味に、冷たくお閉じ込めと行きましょう。」

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「わ、ちょっとみなさん、こっちに!」
「え?わ、時計兎さん?」
「それと勘違いされたのは初めてかもしれないです。とにかくこちらへ」
「何何?僕達出口を探してるんだけど、『ウサギ穴』見つかった?」
 先の質問で何かを掴んだテフラは、とりあえず愉快な仲間達も避難させようと一か所に集まり始める。
「えっとですね、早く動くと津波に襲われて、遅く動くとどうしようも無くなってしまうのですが、津波に対して対策を持ってて……」
「わ、あの津波防げるの?」
「足並を揃えて誘発すればいいんだね!」
 愉快な仲間達は理解が早かった。
「(ゆっくり動いてアイスにされるのもいいですが……あまりやられてばっかりはよくないですよね。)」
 テフラはそうごちながら、杖を構えて走り出す。
 自身の、テフラの彫刻が先端に施されたその魔法の杖を構えて。

 ドドドドド……と、通路の奥から何か音がする。
「き、きました、ああっ」
 宣言通り、アイスの津波だ!WIZの作戦でSPDを待ち構えるなんて!
 ここから逃げ出そうとしてももう遅い。楽しまなければ時空をゆがめられ、やっぱりアイスに飲み込まれてしまうからだ。
「覚悟を決めましょう……魔法少女まじかる☆テフラ♪」
 テフラは杖を通して魔力を身に纏うと、たちまち可愛いうさ耳魔法少女に変身し。
「あま~いアイスにあま~いチョコレート、ですっ!【ちょこれーとらびりんす!】」
 自身の彫刻が先端に付いた可愛らしい杖を地面にこんこんこんっと当てる。
 すると、ドドドドド……と、地面が盛り上がり、チョコレートでできたお菓子の壁が、迷宮の如くそびえ立っていく。
 チョコの壁はアイスの津波をせき止め、あっという間にカチコチと固まりチョコアイスの壁ができてしまったではないか。

『成程、チョコね。ふぅん。チョコね。』
 玉座に響くクリーメルの声、なんだか嬉々としているようだ。
『素敵な素材の提供ありがとう!湯せんで溶けたチョコにな~れ☆』
 クリーメルが何事か呟き、指をくいくいっと動かすと。
 回廊では……何だって?天井が消え、上空から熱湯の洪水が襲い掛かってきたではないか!
「うえぇ!?」
 チョコレートの壁はあっという間にドロドロに溶け。
「ふえぇああぁ!!」
「きゃあぁ!チョコが!?」
「甘くてあついぃ~!?」
「こっちはつめたいよぉ~!!?」
 更にテフラを、愉快な仲間達を、溶けたチョコの波と、合流したアイス津波が次々に巻き込んでいく!

「クリーメルちゃんを羽交い絞めして……いっしょにアイスになる作戦がぁ~!」
 悲鳴を上げながらもチョコとアイスの津波に飲み込まれていくテフラ。
『あら、私のアイスが欲しかったの?』
 クリーメルが指をぱちんと鳴らす音が聞こえた。
「ふぇ?」
 すると、テフラの身体に纏いつくアイスとチョコが一瞬にして消える。
『そうね……それとあなたって、なんだかいつもチョコになってそうな体してるから~』
 しかしテフラの身体は動かない。彼の身体の周囲から突如、褐色めいた別の匂いの液体が渦となって取り囲み。
「はわ、はわわ!?一体なんです……っ、さ、寒っ!?ひ、冷えて……」
 謎の液体に包まれながらも、必死で抵抗し、もがき、天井に向かって手を突き出し伸ばすテフラ。
「……?!……だ……れ……」
 そうして動きを止めていくテフラの目の前には、美しい美女のような姿が見えた。
 だがそれまで。意識はたちまち冷たい氷に止められていき、体はたちまち、ぴしりぱきりと冷え固まっていき……。

●作品『可愛い兎と魔女のキャラメルクリームパフェ』
「持ってきたわね」
 玉座の間、鎮座するクリーメルに、2体のアイスゴーレムがアイスを持ってきた。
 そのアイスはいつもより沢山だ。
 1体の腕には、ドロドロのチョコレートに包まれた結果、どれもこれも逃げ出そうとしたような姿で固まった、愉快な仲間達のフィギュア状のチョコアイスクリームが、花束の様に纏めて抱えられていた。
 そしてもう1体の腕には……パフェのような器の上に、仲良く佇む2体のそれら。
 クリーメルの姿をしたアイスに、甘えるように抱き着いたテフラのアイスがあった。
「チョコを作ってくれてありがとう。でもあなたはちょっと趣向を変えてみたわ」
 クリーメルの姿をした(生物を材料としていない普通の)アイスは、魔法で小さなアイスクリームを持たされて、手を上に伸ばすテフラに合わせた、アイスで乾杯するかのような姿。
 テフラ達そのアイスはキャラメルアイスの色。
 しかし髪と兎耳は白いクリームで可愛くふわふわにコーティングされ、更に上から垂れるようなキャラメルムースが一筋二筋を残している。
 そんな、アイスの魔女との仲良しアイスオブジェと化した、テフラ。

 アイスゴーレムに渡されて、クリーメルは目の前でそのアイスをうっとりと眺める。
「ふふふ。たまらないわ。とても可愛い時計兎さん。私と一緒にアイスになれて、幸せかしら?」
「……………………」
 テフラは何も語らない。嬉しいような恐怖に染まっているような、複雑に崩れたその表情は、冷凍庫の様に冷たきこのアイスの玉座ではただただ冷たく凍り付いたままだ。
 かりっ。
「……ん……美味し……ふふ、齧っちゃった♪」
 ほんの少し、体が欠けるテフラ。
 クリームとキャラメルムースの絶妙なまったり甘さが絡み合うそれは、今この場では、クリーメルだけが味わえる極上の代物。
「あなたはオリジン様にも渡すには惜しくてよ。食べるアイスは飾るに値しないものばかりと決めていたけど……特別に、一日ひと齧り。じっくり、じいっくり、私に体の全てを味合わせて、ね♪」
 にっこり微笑むクリーメルは、それをアイスゴーレムに渡す。
 アイスゴーレムはその見事なアイスの数々を運び、二度と溶けないような冷たきアイスの飾り棚へ……。

 猟兵アイスが1体、アイスの魔女のコレクションに加わった瞬間だった。
 
「さあ、アイス作りはまだまだ続くわ。次はどんなアイスが現れるかしら?」
 クリーメルは再び玉座から鏡を見、次なる獲物の居場所を探り始めた。
失敗 🔴🔴🔴

リアン・ブリズヴェール
【ソロ希望】【アドリブ歓迎】

鏡には
「クリーメルの攻撃するタイミング」を聞きます、タイミングを聞いてそのタイミングは全員で回避することに専念します

「みんながいればアイスになんかなりません」
まずは【オルタナティブ・ダブル】と【魔物幽霊娘軍団召還】を使ってファムと魔物娘とラミアを召喚します

そのまま、みんなで一気にクリーメルの元へと向かいますが……【『レッツ・アイスメイキング』♪】によって次々とみんなが様々なアイスにされてしまい、そしてファムもリアンも別々のアイスにされてしまいます

そして最後は全部のアイスを使ったアイスウェディングケーキにされてしまいそうです


●かくして少女は迷い込む
「あ、アイスにされちゃう魔女さんですか……?」
 うっかりかの冬妖精のグリモアの光に転送されてしまった彼女はリアン・ブリズヴェール(微風の双姫・f24485)。
 白肌に藍の瞳、髪も衣装もリボンも緑づくしな、風を感じる長髪の、姫のような魔法少女のような女の子。
 ぶっちゃけ迷い込んでしまった感じだ。

『さあさあ、どんどんアイスを作りましょう♪次はそこの――』
 ふと見上げればスピーカーからはアイスの魔女クリーメルの声。
 横を見れば音楽に合わせてどこからともなくメタンタンク大の卵黄が飛び交い、後ろを見れば愉快な仲間達が冷たいアイスの津波に襲われていた。

「ど、どうすればここから出られますでしょうか……!?」
『この城の主を倒せば城の出口が開き、致命傷を負えば恐らくは汝の転移光が場所を移すだろう。』
「あっ、この声は……!」
 ふと横を見ると、そこには鏡。
 クリスタルの様に地面にザクリと立てかけてある姿見(人がすっぽり全身見れる)程度のサイズの鏡があった。
「これなら何とかなるかも……鏡よ鏡よ鏡さん、魔女さんの攻撃タイミングを教えてください。」
 鏡は答えた。
『全ては魔女の気の向くままであるが、聞こえる限りは合図をしよう。』
「あ、ありがとうございます。」
 おどおどした様子でぎこちなく鏡にお辞儀をすると、その瞬間。
『否、来る。魔女は気づいた。右の回廊から波が来る』
「え――」

 ふと横を見ると今まさに襲いかかる魔法のアイス津波!
「来るのが分かっているなら……!」
 リアンは飛ぶ。だが。
「ふぇっ!?」
 津波も飛んだ!
 ホーミングめいて竜の如く、猟兵パワーで飛び上がったリアンに向かい飛び上がり、アイスの塊はあっという間にリアンを飲み込んでしまわれた!
 全ては魔女の気の向くまま。
 攻撃タイミングが分かっていても、クリーメルの楽しむ機嫌次第で、その攻撃は如何様にも変わっていく。

「……!!……!…………」

 アイスの塊はぎゅるぎゅると空中で回転し、何かの形を形成しつつ、あっという間にリアンを冷やし固めて行く。

「…………」

 どすん、と、音を立てて巨大なアイスの塊が地に落ちた。
 それは【Eat me!】(私を食べて)と台座に彫刻された巨大なハート形アイスのオブジェ。
 黄色っぽい白のバニラと爽やか薄緑のメロン味が混ざったバニラメロンのアイスの塊。
 そのハート型オブジェにはうっすらと、何かに閉じ込められて『出』のようなポーズで、冷たく、絶望の表情を浮かべて浮きあがるリアンのアイス彫刻が刻まれていた。

「…………」

 リアンは冷たく甘そうなハート型アイスのオブジェとなったまま動けない。

「…………」

 猟兵達はクリーメルの対処に精一杯で、誰も助けに来る事は無く。

「…………」

 永遠とも思える時間、その場で冷たいアイスとなっていた。

「…………」

●オルタナティブ・ダブル
 ふよふよと、そんなハート型アイスの近くに、ハートが飛んでくる。
 それは風のような黄緑色をしている、リアンのプリンセスハートだった。
「…………」
 ハートが光を放ち、人の形を作り出す。
 その姿は今まさに目の前でアイスオブジェと化している、リアンそっくりの少女だった。
 違う所といえば、無愛想な表情をして無口な所だろうか。
「…………」
 あとでリアンが語る事になるだろうが、その少女の名は【ファム】と言い、多重人格者リアンのユーベルコードで作り出される、もう一人のリアン的存在であった。
「…………あむ…………」
 ファムは突如リアンのアイスを、脇の方からさくりと噛む。
 噛んで、食べる。
「………はむ………ん………」
 しゃくしゃくと、食べる。

 バニラメロンハートアイスの脇の所が、くぼみになったような凹みとなる。
 口にアイスをつけたファムは、そのままリアンの形をしたアイス彫刻の脇をひっつかみ。
「……ん……くっ……!」
 無理矢理、猟兵パワーの怪力を駆使して、ハートオブジェからリアンをぼろりとひっぺがした。

「…………あむ…………」
 キスをするように、リアンに口づけをし、その口のアイスをかじり取る。
 表面のアイスが食べ取られた、氷の様に冷たいリアン。
 突如、はひゅう、はひゅうと息を吐きだして。
「…………んあっ……か……く……っは!!」
 口づけで魔力か生気を貰ったのか、口が動けるようになって意識的に抵抗できたか。
 リアンはボロボロと、体を凍らせていた表面のアイスを崩して元に戻り、立ち上がった。

「あ、ありがとう、ファム……」
 ファムはこくりと頷いた。
「ファムと一緒なら、もうアイスにはなりません。」
 ファムは複雑そうな顔をした。
「……え?もっと力が無いと二人でもアイスにされそう……?だから仲間をもっと呼ぶって……」
 ファムは祈り出す。
 その胸元からは淡い草色の光が溢れ出し、周囲にはじけて散った。

 そして何も起こらなかった。
「どうしたのでしょう、ファム。」
「…………」
 どうやらファムは何かユーベルコードを使ったようなのだが、使い召喚した存在が、複雑な城の構造で別の場所に呼び出され、今来ようとしてる所らしい。
 それをリアンはファムの頷きで理解した。
「それは仕方がありません。今は二人で行きましょう。」
 そしてリアンは鏡に質問をする。クリーメルがどこにいるのかを。

●双姫と頼もしい仲間達
 鏡に場所を教えてもらい、リアナとファムはいそいそと玉座へと続く階段を上っている。
『可愛い姉妹が現れたわね。貴女達、パピコは好きかしら?』
 魔女の、クリーメルの声が響き渡る。
「あ、あなたが魔女さんですね……!姿は見えませんが、覚悟をしてください!」
『兄弟姉妹、近しい間柄はつい「つがい」で作りたくなっちゃうわよね。』
「あ、アイスになんてなりません、なりませんから……!」
 きゅっと身を固めながらも走るリアンと、同意するかのようにうなずくファム。
『活きがいいわね。二人の仲はどれくらいかしら……楽しいアイスの時間の始まりよ!』
 彼女らの目の前にごろんごろんと、アイスクリームのボール塊が転がってくる!
 巨岩レベルだ!当たれば巻き込まれたちまちアイスに飲み込まれそうだ。
「なりませんってばあぁ……!」
 リアンとファムは横に飛び退く。
 飛び退いた先からも更にごろごろとアイスの塊が!
 横に、上に、時には距離を置いて。
 沢山の転がり落ちるアイスの塊を避ける二人。

「な、なんだか楽しくなってきました……!?」
 まるでアトラクションのアスレチックコースのようだ。
「い、いえいえ駄目です。こんなので『楽しんでいる場合ではありません』。早くクリーメルさんを倒――」
 その時だった。
 ぐにゃりと時間の感覚が鈍化し、リアンの動きが鈍くなったのは。

「――あ――」

 クリーメルのユーベルコードだ。
 少しでも彼女のアイスが楽しくないと思えば……動きが鈍くなる。
 そのままリアンは目の前に来たソーダアイスの塊に巻き込まれ――。
「きゃ……っ……」
 ようとしたとき、ファムがリアンを蹴飛ばした!
「ふぁ……む……」
 ファムはアイスの塊に巻き込まれ、雪だるまのようにゴロゴロと階段を転がり落ちていく。
 底の先まで落ちる事は無かった。
『ああ、いい友情を見せてもらったわ……!』
 転がるすぐ先に突如ぷしゅうと雪だるま型冷凍庫が現れ、開く。
 あっという間にファムを巻き込んだアイスは冷凍庫の中に入り、扉が閉じ、冷気の煙が辺りに噴き出る。
「あ……ああ!ファム!ファム……!」
 クリーメルの意思か、鈍化が解けたリアンは冷凍庫に駆け寄ろうとすると、冷凍庫はすぐに扉が開いた。
 中からは――。

「…………」
 等身大サイズの、腕は枝の代わりにスティッククッキーが刺さる、チョコチップソーダとバニラストロベリーの2段雪だるま型アイスが、コーンに乗せられお目見えだ。
 上段で涙目になりながら口を開き悶えるファムのアイス顔は、抵抗する力さえ見せる事無く、無力にもコーンな下半身がごろりと階段に転がり落ちる。
「あ……あ……あぷっ!?」
 リアンもまた、後ろから転がってきたオレンジチーズのアイス塊に巻き込まれた!
「ふぁ……ふぁ……っ……」
 アイスに一度冷え固められた寒さからか、口が回らない。
 リアンは、そのまま雪だるま型冷凍庫の中へと、ファムと同じ末路を辿る為、無抵抗のまま転がり入っていく……。

 と思われたその時!
 ばしーん!と、冷凍庫がビンタらしきもので跳ね飛ばされた!
「あ……っ!?」
 跳ね飛ばした主はそのままリアンとファムを拾い、とても大きな口をあんぐりと開けると。
「な、何、何……っ」
 そのままリアンとファムのアイスをまぐりと丸呑みしてしまった。

 そこにいたのは、超巨大な、蛇の女。
 下半身が蛇、上半身が少女の姿をした、ラミア。
 その体躯は島一つかという程に巨大で、肩や胸に何かが乗っていた。
 その容姿は黄緑色の長髪に……何という事か、世が世なら悪夢か。リアンとうり二つの少女の容姿ではないか!
 黄に近い緑の魔法少女なドレスで着飾る服も、頭の緑のリボンも、所々の風のアクセサリも似通っている!
 だが巨大で、下半身が蛇なのだ!

 けぷ、と、二人を食べ終わった巨大ラミアリアンは、一間置いてげふりと、2人を吐き出した。
「……ぅ……ぁ……生きて、ます……?」
「……………………………」
 リアンとファムの二人は体のアイスをきれいさっぱり落として(代わりにラミアリアンの唾液で濡れて)階段に落ち立った。
「あっ、巨大なリアン……これはもしかしてさっき呼んでいた。」
「…………」
 こくりと、ファムがうなずいた。
 よくラミアリアンを見ると、肩やぺたんこな胸と服の隙間には、様々なリアンが乗っていた。
 それは一見リアンだが、様々な種族をしていた。
 下半身が魚のマーメイドリアン、獣耳獣尻尾が生えたコボルトリアン、翼の生えたハーピーリアン、牛っぽいミノタウリアン……。
 総勢390体くらいのリアンが……違うんだ。筆者がおかしくなったわけではない。
 それはリアンの、そしてファムのとっておきユーベルコード【魔物幽霊娘軍団召還(コールレギオン)】。
「こんなに沢山の仲間がいれば……きゃっ!」
 何より今二人に微笑みを交わし、二人を拾って頭の上に乗せた、この巨大ラミアリアンなら。

 間髪入れずにアイスの津波が襲い掛かる!
 だがラミアリアンはびくともせず強引に突き進んでいく!
 ユーベルコードなせいなのか、アイスを食べてもちょっとやそっとではアイスにならない!

 この巨大ラミアリアンなら、アイスにならずにクリーメルの下へとたどり着けるだろう……!
 ラミアリアンはずりずりと、皆を乗せて階段を上っていった。

●クリーメルのスーパーメイキングタイム
「あら、いらっしゃい。まさかやってくるなんて思わなかったわ。」
 最上階、玉座の間、無数の鏡とアイスに囲まれて魔女のクリーメルが微笑んだ。
「目の前までやってきました。もうあなたは怖くありません。リアン・ブリズヴェール、そして……」
「…………」
「ファムと、このリアンレギオン(魔物娘軍団)が、お家に帰る為魔女さんをやっつけます!」
「まあ!」
 クリーメルはアイスを口にしながら驚いた。
「『怖くない』って……怖い思いをしてきたのね。そんな事ではいけないわ。ミュージックスタート!」

 ズンチャ♪ズンチャ♪

 クリーメルがパチンと指を鳴らすと、突如戦場に音楽が鳴り響く。
「アイスは楽しむもの。そして甘く味を味わうもの。ほらほらそんな♪おびえた顔せずに♪」
「っ……来ます!」
「楽しいアイスになりましょう♪」
 びゅん!と、ラミアリアンの尻尾がクリーメルに襲い掛かる!
「くるくる渦巻き大蛇さん、くるくる渦巻きそこ座りー♪」
 だがラミアリアンの尻尾は強制的にとぐろを巻くように曲げられてしまう。クリーメルの魔法か何かか。
「なっ」
「良い事思いついたわ!あなたはー♪スポンジ―♪土台に雪がーちらちら落ちて来るーわー♪」
「!!!?」
 突如ラミアリアンが身もだえる!
 なんと尻尾の先からじゅうじゅうと熱で焼かれ、その体がスポンジケーキの様になっていく!
 そして戦場には雪どころか吹雪のような雪が……違う、これは!
「雪のクリーム♪雪のクリーム♪それはラミアをケーキに変えてくのー♪」
「ちょっ…ちょっと!」
 たちまちとぐろを巻いたラミアリアンは、とぐろを巻いた分の段に分かれた巨大ケーキへと様変わりしていく。
 このままではラミアリアンが危険だ!
「!!!!」
 ラミアリアンの上にいる無数のリアンが飛び降り、一斉にクリーメルに向かっていく!
「うふふ、皆を乗せれば巨大ケーキの飾りになるわよね!アイスメーカー・クリーメル、腕が鳴るわ!」
 クリーメルは立ち向かう。ぐるんと腕巻いて飛び掛かる魔物娘リアン達に――。

 マーメイドリアンが立ち向かう!
「お人魚さんは、つるり、つるり、滑って爽やかアイスに凍っーちゃう!」
 一瞬でソーダアイスの如き青い氷に凍り付き、クリーメルに押されてつつーと壁まで滑っていく。

 コボルトリアンが立ち向かう!
「ほろにがどっさり、チョコにどっしり、ヘビーなアイスにどっしーん♪」
 ぼんと煙を起こし、一瞬でチョコアイスのオブジェと化すと、ずしんとその場に落ちて動かなくなる。

 ハーピーリアンが立ち向かう!
「真っ白ミルクが柔らか鋭くあなたの身体をコーティング!」
 一瞬クリーメルから白い光線が横なぎされると、鋭く美しい羽を広げた真っ白なミルクアイスとなって、そのまま地面に落ち刺さった。

 ミノタウリアンが!
「大きく重たくショコラでずっしーん♪」
 コボルトリアンの隣で重たいチョコアイスフィギュアに!

 スライムリアンが!
「ぷよぷよ魔法を注入すれば、無力なグミのアイスが出来上がりー♪」
 触れられた瞬間おいしそうな色に変わってぷよんとその場を跳ねた後、冷たく凍り付いていく。

 ガーゴイルリアンが!リッチリアンが!ドラゴリアンが!クラゲリアンが!
 魔物娘リアン達は次から次へとクリーメルによってアイス菓子へと変貌し、390体もいた全てが物言わぬおいしそうなものとなって、ひえひえ冷気と甘い匂いを放つだけの存在となった。


「そ、そんな……」
 もう頭以外がケーキとなり、更に地面から這う氷の様に侵食するアイスによってアイスケーキとなっていくラミアリアンに乗るリアンとファムは、狼狽えた。
 そんな二人の間に突如、ぽつりとハートが浮かび上がった。
「えっ、これは――しまっ!」
「頭の上のお二人さんはいい感じに仲良しね。丁度いい位置、ウェディングケーキみたい。……愛のハートにくっつかせてあげるわ♪」
 クリーメルは泡だて器を手にした。
「二人の愛よ、混ざれよ混ざれー ケーキの上で、しゃーかしゃか♪」
「!!」
「わ、ちょ、あっ……!きゃああぁ!!」
 そのハートが高速で回転を始めると、強烈な竜巻が発生!リアンとファムが巻き込まれ、ぎゅるぎゅると混ざり合っていく!
 BGMは教会で聴くようなパイプオルガンと麗しく壮大な曲を放ち、まるで二人を祝福するかの様。
「さあ、クライマックスよ!愛を確かめるには……そう!」
 緑と山吹の協奏曲。バニラの薄黄とメロンの緑。竜巻は極度零下へと冷え込んで、二人を何かに形作り、冷やし、固め、凍らせ、作り上げていく。
「そしてケーキもご祝福!真っ白アイスはラミアのケーキ!凍って、柔らかくて、冷たくて、美味しそうーにー♪」
 更に周囲には凍てつくようなアイスクリームの吹雪が、最早全身がスポンジケーキと化したラミアリアンに襲い掛かり、抵抗する間も無く真白のアイスへと凍り作り変えられていく……。

 吹雪と、竜巻が晴れる。
「さあアイスゴーレム達よ、現れなさい。仕上げの飾りつけタイムよ。」

●作品『ウィンド・プリンセス・ファンタジアのマリアージュ』
 玉座の間、クリーメルのすぐ背後。
 アイスコレクションの立ち並ぶ棚をかき分けて、中央にでかでかと現れた『それ』。
 間違いなく今宵のクリーメルの最高傑作となったであろう『それ』。

 『それ』は、巨大な3段重ねのアイスケーキ。
 ウェディングケーキと呼ばれる豪華な代物であった。
 ベースはとても薄い緑のかかった、メロン風味のラミアリアンアイスケーキ。
 頭部が最上段となり、組んだ腕の2段目は真っ白な崖の様に埋まり、とぐろを巻いた3段目。どれも上からアイスでコーティングされ、冷たくほんのり。
 全部食べ切る者がいるならば、その身の奥はサクサクに凍ったスポンジケーキである事を確かめられただろう。
 そんなラミアケーキの段に豪華に立ち並べられ、飾られるのは様々な、魔物娘リアン。
 ミルクアイスのハーピー、ソーダアイスのマーメイド、ショコラアイスのミノタウロスにミルクチョコアイスのコボルト、オレンジシャーベット状のスライム娘……。
 どれも見事なアイスで作られていた、職人の逸品である。

 その頭頂部、最上段に佇むのは、それら魔物娘のオリジンとなったであろう、風を感じられるような容姿をした二人の少女。
 かつてリアンだった、メロンアイスのアイス彫像と、かつてファムだった、バニラアイスのアイス彫像が、幸せそうにお互いの唇を重ね合わせ、愛を誓う姿で佇んでいた。
失敗 🔴🔴🔴

箒星・仄々
アイスは最高ですけれど
他者を変じる非道は赦しません
愉快な仲間さん達救出の為にも
骸の海へお還ししましょう


鏡さん
クリーメルさんの居場所や弱点

アイスの魔女になられた理由
最早元へは戻して差し上げられませんが
せめてその想いを汲み取れたら


竪琴を奏で歌い
魔女さんの歌や音楽に干渉し減弱
シンフォニアの力です

風の魔力で
疾風の如き速さと空中浮遊で回避運動

そして炎の矢!
何本かはゴーレムさんやアイス空間を攻撃
残りは魔女さんへ

狙う先は鏡さんが教えてくれます!

鏡さんへ適宜
命中するルートを尋ね
それに合わせ矢の軌道を修正したり
障害物を貫き抜けさせたりしながら届かせ
魔女さんを槍衾に
熱で溶解

終幕
鎮魂の調
穏やかに休まれますよう


●静かに憤慨する者
 鏡とアイスのお城の中で、ブーツの音が鳴り響く。
 彼の名は箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)。
 称号の通り、お洒落な西洋服に身を包んだ、人の様に生きる黒猫の戦士である。
「お菓子に変えるオブリビオンであればこれまでにも何度か相対した事はありますが、今回もその類でしょうか。」
 するとふと目先に、クリーメルに目をつけられたかケットシーのような愉快な仲間達がアイスに変えられようとしている現場に出くわした。
「うわーっ!」「た、助け……」
 愉快な仲間達がアイスの津波にさらわれようとする。
「させませんよ」
 割り込んだ仄々。カッツェンナーゲルによる縦に降り下ろした風の一太刀によって、アイスの津波はたちまち切り裂かれる。
「う、わ……!?」
 愉快な仲間達の両横にアイス津波が流れ飛び、何とか無事に生き延びた。
「あ、ありがとう」「いきなりすごいのが飛んできてびっくりしたよ!?」
 慌てる愉快な仲間達に。
「大丈夫ですか?」
 仄々が声をかける。

「ここのオウガさんは僕達に目をつけているんだ」
「いつもならアリスを迷わせるって言ってたけどー……いやいや!それもやだけどさー!」
「そうですね。」
 仄々は道すがら、城からの脱出経路を案内し、愉快な仲間達を導いていく。
「アイスは最高ですけれど、他者を変じて食すは非道です。赦しません。」
 細剣を振って、剣に付いたアイスを飛ばしながら。
「クリーメルさん、是非ともここは骸の海に還って頂きたい。」
 目の前に見つけた鏡に、質問を問いかけようとしていた。

「鏡よ鏡。クリーメルさんの場所の居場所をお聞きしたいです」
 すると鏡はぼんやりと歪み、映像を映し出す。
 最初は仄々のいた場所、そこからスクロールしていき、クリーメルの待つ玉座の間への最短ルートを導き出していく。
「成程です。もう一つ質問を宜しいでしょうか。クリーメルさんの弱点が知りたいです。」
 すると鏡は答え出す。
『友達である』と。

「友達……?クリーメルさんは友達がいないのでしょうか。」
 もしくは過去に友達がいて、何らかのトラブルに見舞われたか。
「では更に質問を。クリーメルさんがアイスの魔女になられた理由を」
 鏡は答える。
『クリーメルはアイス屋の魔女である』と。
「……?答えになってないような……。アイスの魔女でなく、アイス『屋』の魔女。ふむ」
 仄々は首を傾げ、何事か考察し、更に質問を続けていく。
 鏡は正直。真実を告げる。この城に居る者に対し、どんな事でも。
 プライベートな質問も勿論受け付けてしまう。それが例えこの城を支配し牛耳るオウガの魔女に対してであっても。

 =======================================

 玉座の間。
 クリーメルは頬杖をついて鏡越しに、その黒猫が鏡に如何としている姿を見ていた。
「中々個性的な愉快な仲間ね。」
 するとクリーメルは立ち上がり、パチンと指を鳴らす。
 ズンチャ♪ズンチャ♪ ……城内に愉快な音楽が流れ出す。
「黒い毛皮はココアの味に。レモンの様な帽子を被り――」

 クリーメルが踊り出す。
 質問を続ける仄々はまさに恰好の餌食。
 アイスディッシャー(イラスト右手に持っている、アイスの詰まった容器からアイスクリームを掬うやつ)が輝く時、アイス工房が再び稼働する。

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●レッツ☆アイスメイキング攻略法
 城内に音楽が響き渡る。
 仄々をアイスに変えようとする、処刑宣告にも似た音楽が。
「おや、この音は……。」
『美味しいアイスを作りましょー♪美味しいアイスを作りましょー♪』
 クリーメルの声だ。
『今日の材料は真っ黒ねこさん!ほっこり一段、ほろにが特製ショコラアイスを――私と一緒にレッツ☆アイスメイキング♪」
「させませんよ」
 仄々は竪琴を取り出した。

「歌には歌を合わせましょう。ケットシーのシンフォニア、その力を今こそ見せる時です。」
 仄々は竪琴を弾き、流れ出るミュージックに合わせて、歌う。
『キッチンの上に黒猫一匹』
「物陰でこっそり材料見上げ」
 合わせたようでいて、少しずらしていく。旋律はクリーメルに都合の良いものでなく、仄々にとってのアイス賛歌に。
『くるりとボウルに掬ってしまえば――』
「ショコラに卵、砂糖に牛乳。黒猫は傍で匂いを嗅ぐぞ」
 飛び交う材料、誘導されていく調理器具。
 それらはしかし、メインの材料となる『黒猫』仄々を尽く除外して調理されていく。

『くるくる混ざって、蓋すれば、あっという間に氷点下ー♪』
 高級料理に出されそうなボウル状の蓋が、作られたアイスに蔽いかぶさると、しゅっと冷気が吹き上がり。
『出来たわ!召し上がれ!黒猫風味のショコラアーイスー♪』

「ありがとうございます。……ふむ。ほろにがと言った割に少々に抑えられ、メインは濃いチョコの味。被さるレモンアイスの帽子の酸味は、甘さに染まった舌にアクセントを引き立てる……隠し味にメロンを入れてますか。上手い!」
 蓋開き出来上がったアイスを、現れたアイスゴーレムが手に取る前に仄々はかっさらい、味見をし。
「ではそういう事で」
 クリーメルの歌で出来上がった台所空間からそそくさと出ていくのであった。
『……あら?』

●盲点
 あっけにとられたクリーメルをよそに仄々は階段を駆け上がり、ついに魔女の居座る玉座の間へと着いた。
『美味しいですね。このアイス』
「あら、さっきの黒猫さん……まあ!それは私のアイスじゃない!」
『そのまま作ればこんなにも最高のアイスが出来るのに、あくまでも愉快な仲間さんをアイスに変えるのですね』
「今は緊急事態だからというのもあるわね。でも……私のアイスを味わってくれる者は好きよ。もっと食べる?」
 仄々は少々記憶をさかのぼり、あの鏡の言葉を反芻する。
『(クリーメルの弱点は友達、ですか……いえ。)』

「いえ、ここまでです。アイスは最高ですけれど、他者を変じる非道は赦しません。」
 仄々はコーンまで丁寧に食べ終わり口を拭いた。
「他者を変じたアイス、ねえ。……それも最高よ?可愛いし、その人の味がこもってるし、何より魂の味がね。」
 クリーメルもデッシャーに冷気を込める。戦闘態勢待ったなしだ。
「魂のアイスは全て没収です。骸の海へお還ししましょう」

「さーあショウタイムの始まりよ!現れなさいアイス工房!」
 クリーメルの玉座の間はいい感じの愉快な……ハイテンポのBGMと共に、子供向けおりょうり番組に近いクッキング会場へと作り替えられていく!
「そこの黒猫は最上級のショコラ。きっと噂に聞く猟兵だわ!その魂の味はきっとこれまでのアイスよりも極上の物となるでしょう!」
 クリーメルの軽やかなステップと共に地面の一部がアイスに染まり、盛り上がり、アイスで出来たクリーメル姿のゴーレムが複数現れる!
「そぉれ!アイス合戦の開幕よ!巻き込まれなさーいっ!」
 アイスゴーレムは手に持つ巨大デッシャーを地面に突き刺し、転がすと、巨大な岩レベルのアイスクリームが地面を剥いで作り上げられ、ぼんぼんと仄々に投げつけられる!
「甘いです。【トリニティ・エンハンス】、風の加護よ!」
 仄々は風を纏い、ホバーボードの様にそのブーツ足がふわりと宙に浮く。
 そのまま滑走するような動きで走り進み、飛び掛かる巨大アイス玉をするりと滑らかに回避していく!
「ぐるぐる黒猫、次第に卵に染まったらー」
 クリーメルが歌うと、仄々の身体が卵の黄身の様にドロドロになっていく。
「ふさふさ黒猫、あっという間に風が卵を飛ばしましょうー」
 仄々が琴を奏で、対抗歌であっという間に黄身を吹き飛ばし元に戻る。

「ちょこまかと動くわね!氷上に転がるアイスみたい!」
 クリーメルが後ろや前やと周囲を回り攪乱する仄々に、蛇龍の様にアイスを作り飛び掛からせるも。
「そのアイス表現もここまでにしてあげましょう」
 それを全て躱しながら、カッツェンナーゲルを指揮棒の様に振り、宙に炎の矢を作り上げていく。
「【トリニティ・ブラスト】、炎の矢を!」
 トリニティ・エンハンスの派生技であろうこのコードは、仄々が武器を振るう軌道線上に炎の矢を生成し続けていく。
 合計435本の魔法属性矢、クリーメルに向けられ……放たれた!

「ゴーレム!」
 クリーメルがゴーレムを操り、全弾身代わりに防ごうとする!
「――アイス空間で見えませんが、そこにあるのでしょう?」
 ちらりと、変な方向に仄々が目配せし、質問する。
『居る』
 そこにいた存在は確かにそう答えた。
「『鏡』さん、クリーメル本体に直接当たるルートを教えてください!」
『正面は見ての通り。回り込み右肩後ろ、左踵、更に――』
 仄々の放つ炎の矢の100発程が急に矛先を変え、軌道を捻じ曲げる。
 アイスゴーレムから逸れたその炎の矢は、鏡の宣言通り、クリーメルの死角の様々な部位に直撃するように飛んでいく!

「……ふふ」

 だが!

     ・・・・・・・・・・・・・・・
「鏡よ鏡。あの矢を避ける方法を教えなさいな」
「にゃ!?」
 真面目な人として振る舞っていた仄々が思わず猫の声を上げる。
 放たれた絶対予測のその魔法の炎矢――。
『横になる様に捻り、飛ぶ。後転し、左に三歩、更に――』
 それは鏡の言葉通りの動きをしたクリーメルに、あっさり全て避けられてしまった!

「詰めが甘かったようね!アイスの様に。」
 クリーメルはアイス空間外の何処かから取り出したアイスをぺろりと舐めながら、悠々と仄々に近寄る。
「この戦場の事を一番理解しているのは誰?私よ。あなたが当てる方法を鏡に話すなら、私は当たらない方法を教えてもらうだけ。」
「むむ、盲点でした。鏡は私にもクリーメルさんにも作用を――ですが!」

 カッツェンナーゲルとクリーメルのデッシャーが打ち鳴らす。
 至近距離まで近づいた、猫と魔女の一騎打ちだ。
「鏡よ、魔女さんの隙はどこに生まれますか!」
 仄々が質問した鏡が応え、その通りに剣を走らせる。
「鏡よ、攻撃はどこから来そうかしら?」
 デッシャーを弾き、隙を突いて放たれる一撃が、突如魔法で作った宙に浮くアイスで防がれる。
 何度も打ち合い、何度も質問し、何度も攻撃を放つが、その度に対処されてしまう。
 鏡の質問は絶対。誰に対しても。
 ……そして依存してしまえばもう一つの欠点も浮かび上がってしまう。

「鏡よ、次に魔女の心臓を突ける機会は――」
 仄々は後ろ手にカッツェンランツェ(槍)を取り出そうとする。
「あら、心臓を刺すつもりなのね!……もう質問しなくても良いわ。やってごらんなさい?」
「!!!」
 仄々は勝負を焦り、質問で手の内をバラしてしまった!
 しかし突如攻撃が止み、自信満々に胸を差し出すはクリーメル。何かが危険だ!
「鏡よ鏡、クリーメルは一体――」
 仄々は質問を
「等と言うならその隙にかかるわよ!」
 かける前にクリーメルがアイスの棒をメリケンサック状に挟み飛び掛かってくる!
「くっ!」
 仄々は、カウンター気味に炎を纏ったカッツェンランツェの槍の一撃を……放つ!

「う、ふふ、うふふふふ。」
 笑ってはいるが、直撃だった。
 クリーメルのどて腹に、見事に炎の槍が突き刺さり、貫通。
 その身を溶かす様に、クリーメルの全身に炎を回らせていた。
「……何をしたかったかは分かりませんが、これで終わりです。穏やかに休まれますよ――」
 ケジメの台詞を言い終わる前に気づいた。仄々は、ハッとする。
 クリーメルのこの身体は……どこか氷の様に無機質で……。

「黒猫さんの、差し出す棒は、キャンディアイスがとってもお似合い。」
 串刺しにされたクリーメルが形を変えていく。
「今日の気分はグレープアイス。爽やか紫、四角くなってー♪」
 ガチン!と、仄々の槍が巨大なアイスバーに固まってしまう!
「アイスゴーレム!?いつの間にすり替わって!」
 アイスバーは槍よりはるかに重く、また炎さえも消し飛ぶ魔力を込められていた。
 仄々はずしんと槍(だったアイスバー)を落としてしまう。

「鏡に気を取られ過ぎたようね。」
 アイスゴーレムの後ろから、本物のクリーメルがゆっくりと、近づく。
 クリーメルが指を鳴らすと、仄々の足元がアイスで出来た沼になり、沈む。
「しまっ……」
「ここは私のアイスの工房。鏡も空間も、全ては私の物……」
 クリーメルのデッシャーが、魔法の杖の様に、狼狽えながらも、精一杯抵抗する仄々の瞳を捉え。

「さあ、レッツ☆アイスメイキング♪」

●作品『黒猫ショコラアイススペシャル~グレープアイスバーを添えて~』
 クリーメルの玉座の間。
 氷も解ける事が無い氷点下の一室で、アイス屋の魔女の手には新しいアイスが握られていた。

 黒猫の可愛らしい頭の形状をした、おいしそうな黒いショコラのアイスだ。
 レモン味の爽やかな帽子を乗せられ、目やコーン周りの服だった部分はアクセント際立つメロン味。
 その隣には同じサイズに縮小された、槍の形の変わったグレープアイスバーが添えられていた。

 クリーメルは黒猫のアイスを舐める。
 ほろにがい味わいの中にショコラの甘さを兼ね備え、帽子を舐めれば酸味がアクセントになり、目を舐めればまったりメロンが舌を魅了する。
 一舐め、二舐め、する度に、クリーメルは仄々だったアイスの中の、魂の味を確かめた。
「ああ、美味しい……これこそ私の愛するアイス。冷たくアイスにされたまま、誰かの口にこれから入れられる。誰かに貴方の全てを『味』として受け入れられる。……そんな運命を待ち続ける気分はいかが?」
 ふふりと微笑むクリーメル。
「…………」
 アイスは何も返さない。

「さあ、次はどんなアイスが現れるかしら?」
 舐めた所が凍り、またただのアイスに戻った後、仄々のアイスはゴーレムに手渡され、アイスコレクションの仲間入りとなる為運ばれる。
 クリーメルは再び玉座から鏡を見、次なる獲物の居場所を探り始めた。
苦戦 🔵🔴🔴

神楽坂・神楽
相手と同じことをさせてもらいましょうか

鏡にクリーメルがいる部屋を映してもらい、併せてその位置を教えてもらいます
部屋の様子、そして精確な距離と方角が分かればOK
UCを使用し、その場に転移します

アイスを一緒に食べてくれる人を探している、でしたっけ?
でもさすがに、貴方が一度舐めたものを食べたいとは思う人はいないと思いますよ?
それとも、それだけ自分の魅力に自信があるということでしょうか

なら、その思い違いごと、打ち砕かせてもらいます
敵に向かってダッシュ……と見せかけてUCで間合いを詰めて一撃を放ちます

貴方が舐めたアイスを食べたいとは思いませんが、その代わりに――
この刻印で貴方自身を食べてあげます


●シーケンス・ブレイク
 =======================================

 玉座の間。
 クリーメルは新たな標的を探しに鏡を覗き込む。
「鏡よ鏡、新しい侵入者はどこにいる?」
 映しだしたのは少し結わえた黒髪の女性。鏡に向かって何かを話している所だった。
「またアリスがやってきたのかしら。今日は盛況ね!それじゃあ――」
 だが。

 その女性は突如、鏡で見ているクリーメルの方を向き、睨む。
 すると一瞬でその場から消滅する。
「え」
 そう言葉を発した瞬間、クリーメルの眼前に、拳。
 瞬間的に玉座の間に現れたその女性の一撃がクリーメルの頭を殴り抜いたのだった。

 = = = = = = = = = = = = = = = = = = = =

「ぎゃーっ!?」
 頭部から顔まで一閃するかのような拳の殴りつけ。
 クリーメルはアイスな帽子をふきとばされ、自身も地面にめり込む様に叩きつけられた後、バウンドして玉座ごと後方に吹っ飛んだ。

●真打登場!~アイス屋の魔女とは~
「っ……ったぁ……な、何、何が起きたの。誰!?」
 目の前に立って拳をこきこきと鳴らすその女性は名乗った。
「私は神楽坂・神楽(UDCエージェント・f21330)。……アイスを一緒に食べてくれる人を探している、って?」
「そ……そうよ!よく私の心が読めたわね。」よろけて立ち上がろうとするクリーメルは自信満々に言い放つ。
「読めたわけじゃないけれど……あなたのアイスを食べたいと思うひとなんて誰もいないと思いますよ。」
 だって、と。
「鏡に聞きましたけど、あなたは作ったアイスを全部一度舐めたとか。口にしたとか。人が食べた物を他の誰かが食べたいと?正気で?」
「…………」
 クリーメルはぽかんと口を開けてあっけに取られている。
「それとも、それだけ自分の魅力に自信が――」
「貴女の言うとおりだわ!」
 えっ、と逆にあっけにとられた神楽の目の前で、クリーメルは突如指を鳴らす。
 するとスライドするようにテーブルが目前に滑り来て、クリーメルは即座に白いテーブルクロスをかける。
「そうよ!そう。私のアイスを食べるのは大抵オリジン様じゃなく、いつも醜く貪欲なオウガばかり。」
 そっと指で神楽を椅子に座ってと言いたげなサインを送りながら、宙に舞った材料を取り出したボウルに入れしゃかしゃか。
 いつの間にか隣に現れた冷凍庫に即座に入れてぷしゅうと冷やす。
「だったらいっそ食べられる前に自分で一口……なんて思ってどれくらい経ったかしら。そうよね普通はお出しするアイスは!」
 冷凍庫を開けると等間隔に並べられたガラスの器に、色とりどりのアイスが出来上がり。
 どこからか取り出した紅茶を入れながら、はいどうぞ!と神楽に差し出した。
「つまみ食いなど一切抜き。こんな風に作りたてを提供しなくちゃいけなくってよ。……さあどうぞ召し上がれ!お代は特別に要らないわ。」
 これが【アイス屋魔女】クリーメルの本領と言わんばかりに、お店で出るアイスよりも一段際立ったアイスがずらり。

「い、いりません!急にまともになられたとしても主な材料は愉快な仲間。こんな――」
 しかし神楽の目の前に出された美味しそうなアイス。思わず手を出しそうなのをぐっとこらえていると。
「いいから!食べないと戦闘にだって持ち込ませてあげないわ!アイスを一緒に食べてくれる人なんでしょう?」
 後ろに回ったクリーメルが強制的に神楽を座らせる。いけない!相手のペースだ!
 それにしても何か様子が変ではあるが。
「私は魔女。アイス屋の魔女クリーメル。こんな見た目をしているけどアリスではなくってよ。生まれつきこういう姿をした過去の骸なだけ。」
 目の前のアイスをぐっとこらえる神楽。だが手が次第に伸びていく。
「アイスの修行を、アイスの魔法を延々と。こうして得たアイスの力は、全てはお客様に食べてもらう為。自分だけのアイスを作る為……」
「例えその材料に生きた人間を使っても、ですか?」
「ええまあ。でもそれ嫌いなんでしょう?まずは基本から。メインディッシュはその後。…きっとおいしいと言ってくれるわ!」
 本当、何処からそんな自信が湧いてくるのか。
 そう呆れながらも、しかし神楽は意を決した。
 アイス屋魔女のオウガ・クリーメルのアイスは極上の味、しかし食べればアイスになってしまうという情報をグリモアで見ていた神楽。
 しかし、先に使ったあるユーベルコードのせいで実はお腹がそれなりに減ってしまっていたのだ。

「……いえ、これは試すチャンスでもあります。私がこれから使う力がクリーメルの魔法をも食べてしまえるならば……!頂きます。」
 さくり、アイスにスプーンを通して一口。
「……!お、美味しい……!」
 とろけるようでいて、しゃきっと冷たく舌から体に通っていくアイスの食感と甘さ。
 神楽はもう手が止まらなくなっていた。
「さあさあどんどん食べて。こっちはバナナ味、これはストロベリーミント。こっちは一押し!綿菓子風味のコットンキャンディよ!」
 神楽は黙々と、アイスを食べ、紅茶をすすり、優雅な時間を過ごしていく。
 成程腕に自信あり、本当に極上のアイスを提供するクリーメルの、魔法のような魔法のアイス。
 まるで友達……とまではいかないが、料理を提供する者とされる者との間柄ができかけていた。
 だが神楽の眼は甘く美味しいアイスを食べながらも、注意深くいつでも戦闘できる気配を残していた。

●神楽の策略
「さあ、私のアイスに慣れてきた所で、こちらも食べてみない?」
 クリーメルは意気が乗ったか、後ろのアイスコレクションの棚からアイスを持ってくる。
 特別にオウガに渡す手はずだったという、トラっぽい可愛らしい頭がコーンに乗ったかのような、愉快な仲間達アイスだ……!
「……そうですね。いただきましょう。喜んで。」
 !? これはどうした事か!
 神楽は先まで嫌っていた、クリーメルの舐めたアイスを丁寧に受け取ると、アイスを食べてもらって幸せそうなクリーメルの目の前で、アイスにされた愉快な仲間達を食べようとしているではないか!
 クリーメルのアイスは魔法のアイス……まさか、アイスを食べている内に心までアイスの様に甘くとろけてしまったのか!?

「頂きます。……グールドライバー!」
 その時、神楽の内側から何か光のような輝きが放たれた。
 刻印だ。それは『喰刻印(ドライバー)』と呼ばれている、万物を喰らう魔術の輝き。
 その輝きは両手に収束され、双頭ドラゴンの頭の如き形を取ると、愉快な仲間アイスを……喰らう!
「え、ちょっ、何で急に食べ方を変え――」
 狼狽えるクリーメルの目の前でドラゴンのような光に喰われ、消滅るアイス!次の瞬間!
「……う、う~ん……??ここ、は、どこ?」
 そこにはアイスでなく、トラのきぐるみのような愉快な仲間がしりもちをついていた。
「……なっ……」
「ご馳走様でした。あなたのアイスと、あなたの魔法。」
 これが神楽が狙っていた最大の作戦。
 神楽はグールドライバーを通し、クリーメルのアイス化の力だけを綺麗に食べたのだ……!
「そんな……アイスを材料に戻すだなんて!分かったわ。もう一度そのアイスを食べたいのでしょう。」
「そんなわけないじゃないですか。」
 神楽は両手に喰刻印の輝きを秘めながら、クリーメルに詰め寄っていく。
「これで証明されました。私の力なら皆を助けられます。全部食べてあげましょう。あなたのアイス、あなたがアイスにしてきたもの、そして……あなた自身を。」
 グールドライバーがクリーメルの作る、魅惑のアイスのアイス化効果をも食べた。だから最初のアイスも平然と平らげた。
 こうなれば神楽はこの場で無敵も同然だ。

●この状況でただ一つ、存在していた甘き油断
「駄目よ。駄目……今のはサービス。全部を食べさせるわけにはいかないわ。折角お友達になれたと思ったのに。」
 クリーメルがアイスの巨人を作り上げ、神楽に襲い掛からせる。
「言ったでしょう。一度舐めたアイスを人に食べさせてはいけません。」
 神楽は巨人の振りかざす攻撃を、かざしては拳を振るう。振るった軌道の巨人の腕が、足が、神楽の喰刻手に喰らわれ、えぐり消えていく。
「だって、だってとっても美味しいのよ!普通のアイスよりも断然!そろそろわかってくれるかなーって、一瞬期待した私がいけなかったわ!」
 クリーメルは更に更に、アイスの武器で武装した巨人を何体も作り上げる!
「でしょうね。どこまで行ってもオウガはオウガ。その思い違い、御身と共に打ち砕かせてもらいます」
 神楽は輝きを更に強くして……瞬間、消えた!

 これが神楽のユーベルコード【時空操作Ⅲ】。
 時空をゆがめた瞬間移動で、クリーメルの眼前に神楽が、拳が現れる!

 クリーメルは目を閉じて勝ち誇った笑みを浮かべていた。
「そう来ると分かっていたわ」

「あっ…!?」
 一瞬の出来事だった。クリーメルの合図なポーズと共に、一瞬で現れた神楽が一瞬で人型のアイスに包まれた。
「……!!」
 バキン!そんな氷が出来上がる音と共に、包んでいるアイスが凍り付く。
「最初のあれ、瞬間移動でしょう?インパクト強かったからすぐに気づいたわ。そしてもちろん、決めに来る時は必ず使って正面から殴りに来ると……予測していたわ。」
「……!!…………!!!」
 見切られて、いた……!
 神楽の瞬間移動の位置に合わせて、更なるアイスの巨人を召喚。
 座標を重ねて、神楽をアイスの巨人の中に同化、閉じ込めたのだ。
 甘く冷たい、凍った体の中に閉じ込められた神楽は、身動きを取れず、全身を駆け巡る冷たさに意識が遠のきかけていた。

「さあ、名残惜しいけど友達だったあなたも、レッツ☆アイスメイキングよ。」
 クリーメルがデッシャーを指揮棒の様に振るう。
 アイスの巨人が形を変え、アイスで出来た神楽の姿へと変わり……全てをアイスメーカー・クリーメルに捧げるような、もの欲しそうな艶やかなポーズの彫像へと作り替わっていく。
「貴女は友達になろうとして裏切った罰よ。これからアイスの巨人に変わっていく貴女を、すべて、舐めて、食べて、私のものにしてあげる。……うふふふふ」
 この場にて、オレンジとブルーベリーにチーズがそっと混ざり合う、素敵なアイスの彫刻が出来上がろうと――。

●メイキング・ブレイカー!
「そんな、のは……」
 だが、何と……何という事か。
 形を変えていくアイスの巨人に、突如言い知れぬ恐るべきオーラの光が纏われる。
「そんなのは……」
 そしてアイスの巨人が、ひび割れていく……!
「お断り、しますっ!」
 体に十重の覇気を纏った神楽の気魄!!
 それを体の内側から集中し、開放することで、必殺の波動を全方位に放ったのだ!
「そ、そんな……こんな事ーっ!!?」
 神楽を閉じ込めていたアイス巨人が粉微塵に吹き飛んだ瞬間であり、もうクリーメルに打つ手がなくなった瞬間であった。

「覚悟はいいですね?」
 飛び散ったアイス巨人の欠片を喰刻印で吸収しながら、神楽はクリーメルに歩み寄った。
「覚悟?出来てるわけないじゃない……!」

「レッツゴー!イエーガーアクション!ベイビー!行きますよ♪あなたの全てを喰らってあげます!」

 神楽が急襲し、クリーメルに拳を放つ!
「させるものですか!」
 クリーメルは咄嗟にアイスゴーレムを盾にする!
 アイスゴーレムは神のオーラ手に喰われて消滅!

 神楽が急襲し、クリーメルに拳を放つ!
「まだまだあるわよ!あなたの嫌いなもの!」
 クリーメルは咄嗟に愉快な仲間達アイスを投げてぶつける!
 愉快なアイスは神のオーラ手に喰われて消滅!地面に愉快な仲間達が転がり落ちる!

 神楽が急襲し、クリーメルに拳を放つ!
「他には…これなんかどうかしら!?」
 クリーメルは咄嗟に手に取ったキャラメルパフェを魔法杖に、キャラメルクリームの激流を放つ!
 激流は神のオーラ手の乱打にたちまち喰われ、キャラメルパフェを掴み、神楽が一口で喰らう!
 キャラメルパフェは口内の喰刻印に食べられ消滅!
「ひにゃあぁ!?寒……甘……なんですぅ!?」
 地面に兎のキマイラ、テフラが転がり落ちる!

 神楽が急襲し、クリーメルに拳を放つ!
「これも!これも!これも!これも!えーいっ!」
 手当たり次第のアイスを投げ、魔法を放つクリーメル!
 それらすべてを龍頭となった神の手で次々と喰らい尽くし、次々と元に戻していく!
「ふにゃっ!?た、助かりました!槍も大丈夫ですね」
 その中で喰刻印が食べたスペシャルなショコラアイスから仄々が復活し、体勢を立て直そうとする。

 神楽が急襲し、クリーメルに拳を放つ!
「あと残りは……このケーキ!?重っ!等身大で作るんじゃなかったわ!…あっやば」
 その拳はクリーメルにめり込み、遂に一撃を捉えた!
「あ゛っぐぎゃあぁ!!?」
 ケーキから逸れてバウンドしたクリーメル。体の肉がそぎ落とされている。が、そこに指をかざすと、もこもことアイスが盛り上がり、肉体を補完していき、体を治していく。
「まだ生きてますか……傷が浅かったみたいですね。」
 再生したクリーメルの口からは一筋、血が流れていた。
「……一時しのぎよこんなの。不味いわ。アイスは美味しいけど。こんなの一体どうすれば――」

 神楽が急襲し、クリーメルにとどめの一撃を放とうとする!
 だがその時!

「っっっ~~~!!?」
 神楽は一体どうしたのか!?突如鋭い頭痛で悶え、その場に膝を着いた。
「こ、これは……まさか!しまった、た、食べすぎ……!」
 説明しよう。アイスクリーム頭痛である。
 神楽は喰刻印とはいえ、この戦いで立て続けにアイスを食べ過ぎた。
 そのたたりがよりにもよってこんなクライマックスの土壇場で起こってしまったのだ!

「い、今がチャンスよ!撤退!撤退!」
 クリーメルはどの様な魔法なのか、突如全身がアイスになって、地面にスライムの如く溶け出し、下に溶け落ちていく。
「……もう容赦はしなくてよ。体勢を立て直し、今度こそあなたたちをアイスにしてあげるわ……覚悟なさい。」
「何を……くっ」
 神楽のアイスクリーム頭痛はしばらく溶けそうにない。
 だが溶けたが最後、この場に残る鏡を使えば――。

 ――突如、音楽が鳴り響く。

「鏡よ鏡よ鏡さんーは、砂糖の様に砕け散りー」
 鏡が突如、砂糖菓子になり。
「私のアイスの調味料。素敵な鏡のキャンディチップ!さあ次は?これを使って?素敵なアイスにコーティングーよー♪」
 ガラス砂の様に砕け散った!玉座の間の鏡は全滅した……!

●そして追撃へ
「狡い真似をしてくれましたね」
 仄々が言う。
「まさかもう一度アイスになれる機会が……いえいえ!クリーメルさんはどこに行ったのでしょうか……?」
 テフラがおどおどしている。クリーメルはここから歌でまた遠隔攻撃をしてくるだろう事を警戒している。
「みんなー!」
 その声に聞き覚えはない!
 だがそれは玉座の間へと駆け寄る声だった。見るとそこには愉快な仲間。
 二足歩行で歩く白鳥だ!……翼の両手で何か抱えてるぞ?
 
 ……鏡ではないか!

「突然城中の鏡が崩れそうになって!慌てて皆で鏡を抱えたんだよおー!」
 どうやら残った鏡は愉快な仲間達が持っているらしい。
「これを使えば、猟兵さん達ならオウガさんを倒せると思って。や、役に立てて欲し」
 すると愉快な仲間の足元が突如アイスの坂になり。
「え?」
 そのまま玉座の間から下へと、滑り堕ちていった!
「うわーっ!?」

「き、聞きました?今の……?」
 テフラがおどおどと話すと。
「愉快な仲間達、グッジョブです。持っている仲間を探し出して―」
 仄々はすぐに駆けだした。
「今度こそ、あのクリーメルさんを完食させて頂きましょうか。」
 神楽も体勢を立て直した。
 必要なのは正確な距離と方角。
 玉座の間が最上階ならば、おそらく彼女は、地下だろうか――。

 猟兵は猟兵の如く、手負いのオウガにとどめを刺すべく。
 その闘劇はクライマックスを迎えようとしていた。
大成功 🔵🔵🔵

凍雪・つらら
【アドリブ大歓迎です】

アイスの津波でカチカチにされるなんて、凄く寒そうです...
鏡に「クリーメルが接近してくるタイミング」を聞いて、【至凍の吐息】で不意打ち、逆に凍らせる作戦で行きますっ!

そしてクリーメルの元へ向かいますが...やっぱり寒いいっ!
『レッツ・アイスメイキング』♪で、アイスの甘い香りと凍りつくような寒さの中、じわじわ蜂蜜や練乳のかかった甘~いアイスにされて...さ、さむいです...からだが...

もうアイスになりかけですが、油断したクリーメルが近づいてきた瞬間、ずっと冷気を溜め込んでいた【至凍の吐息】ですっ!せめて一緒に凍って下さいっ!


●不安を歩く寒狐
「アイスの津波でカチカチにされるなんて、凄く寒そうです…」
 歩いた床には氷が張り、もこもこした暖かそうな防寒着は極寒の冷気が充満する、己の冷気の力で凍り続ける猟兵が回廊を歩いていた。
 彼女は凍雪・つらら(凍える雪狐・f14066)。
「でも唾液で溶けるアイスの匂いとか、蜂蜜の様に甘ったるい匂い…寒い…寒いけど…嗅いでみたい…」
 妖狐の力か、己の鼻で場の空気くんくんと吸うと、周囲に何があるかを察知していく。
「愉快な仲間もクリーメルさんもアイスもさっきから見かけないけど…道…間違えた…?」
 やや不安になりながらも探索を続けると、ある匂いがつららを刺激した。
 磨かれた鉱石の様な匂い。鏡の匂いである。
 匂いの下へと駆け付けたつららは。
「鏡ぃ…これで何か分かるかな…?」
 鏡に早速質問をする。

「鏡よ鏡よ鏡さん…クリーメルさん…こっちに近づいて…来たり…しません…?」
 鏡は答えた。

『真上だ。今から汝の真上から来る』

●魔女と魔法は唐突に
「え…?」
 ふるふると自身の寒さで震えながら上を見る。
 天井だ。
 だが……その天井が……突如アイスのような色と……質感と……冷気を持っていく。
「…ふえぇ…?」
 天井から染み出たアイスは塊となり、巨大で丸いアイスクリームへと変化し、そして!
 巨大アイスクリームが天井から離れ、つららに落ちて来るではないか!
「あっふぁ!」
 巨大アイスクリームがつららに激突!
 つららはぼふんとアイスの塊に飲まれ、顔を出すも、全身がアイスクリームに埋まってしまった!
「さ…寒いぃ…っ!な…なんでぇ…」
 アイスの冷気も混ざって更なる寒さに身を震わせるつららの横で、アイスクリームから何かが盛り上がる。
 それは頭から順に体を生成していき……なんと!クリーメルのアイス像になったではないか!
「ク、クリーメルさん…!?もうアイスになってるぅぅ…??」
「…………」
 赤みを帯びるようなピンクのラズベリーにホワイトチョコレートが混ざるラズベリーホワイトチョコアイス像のクリーメル。
 パフェに突き刺さるポッキーの如く、巨大アイスクリームに突き刺さった様になって動かない、クリーメルのアイス像とつらら。
「…いい匂い…甘いチョコとアイスとベリーがいい刺激…ちょっと…だけぇ…」
 もそもそとアイス状態から体を伸ばし、んー…っと、クリーメルの唇に、口づけを交わそうとするつらら。
「…はぁ…はふ…」
 ほんの少し隙間を見せるクリーメル・アイスの口元から漂う甘い匂いにもう昏倒しそうな程である。

 甘く冷たく溶けそうなアイスのオブジェに、ちょっとだけ、唇が当たった。
 その瞬間。
「……っは……あ、あら?まだ地下に落ちてない?なんでこんな……誰かに当たっ」
 アイスが溶ける氷の如く肌を取り戻し、元のクリーメルの姿に戻っていくではないか!
「はわぁぁ…!?クリーメルさんがぁ!」
 そのつららの言葉にクリーメルはぎょっとした。
「うわっ、近……なんてこと!接触事故なんて!」
 そんなつららの口元には少しアイスが付いていて、なんかハァハァしていた。
「…いい匂い…」
 顔は赤くならないが、アイスに埋もれる状態でも隠し切れない嬉しさがあった。
「しょうがないわ。折角当たってくれた愉快な仲間達ですもの。……合ってるわよね?狐で寒そうなへんてこりんな恰好だし。こほん!……地下にある鏡の玉座に到達する前に英気を養うわよ!」
 クリーメルはどんな魔法を使ったのか、突如アイスの塊から抜け出し、回廊の床に身を翻すと、指を鳴らして音楽をかけた!
「わ…抜け出さないと、アイスになっちゃ…」
 もがくつららが突如浮き出すと。
「今日のゲストはコールドな狐さん!美味しい氷菓にレッツ☆アイスメイキング♪」
 クリーメルのアイスメイキングが開始された……!!

●レッツ☆アイスメイキング♪~雪狐編~
「どんな場所でもアイス工房。此処は雪国キッチンよ♪」
 クリーメルがそう言うと突如巨大化し、つららは手のひらサイズでキッチンの上に立ち、巨大なクリーメルが見下ろしていた。
 しかし背景は屋外で、雪積もり、所々に雪だるまのアイスが転がる極寒の世界であった。
「ひああぁ…も、もう寒いぃぃっ!」

「お水に溶けて、形成開始!アイスの材料、加えたら~」
「ひゃあん…!?」
 つららは突如ボウルの上に立ったかと思うと、体がどろりと溶け出して、液状化した!
 さらにそこに卵黄や砂糖など、アイスの材料が加えられ…。
「(つ、冷たいぃ…どうなっていくのおぉ…)」
 しゃかしゃかと泡立てかき混ぜられていく!

「今日はまるでポップコーンよ。ふっと吐息をかけたなら~ボンっとアイスが吹き上がる~わ~♪それ!」
 ボンッ!
 ボウルの中のつららは突如爆発して膨れ上がると、ボウル一杯の大きな、つららの姿をしたアイスとなって立ち上がった!
 その色はや黄色がかったバニラ味のアイス像で、彼女にとっては恥辱かもしれぬ如く、服は下着しか着ていない。
「(寒いぃ…動けないぃ…)」
 つららはデッシャー(アイス掬うやつ)に下部分を救われると、そのままアイスの皿に盛り付けられてしまう。
「此処からいっぱい着せていくわよ!しゅわっとソーダが風を運~べば~♪」
 突如突風が吹くと、バニラアイス一色のつららに、髪、目、手の部分がソーダアイスの青色に染まっていく。
「もこもこミント、ドバっと透過よ!」
 別に作っていたミントアイスがつららアイスに雪崩の如く降りかかり、防寒着を着た女の子のアイスの様にトッピングされていく。
「仕上げにアイスのクリームかけるわ。ふわっふわ~♪ふわっふわ~♪」
 ホイップクリームを出すような器具をから、真っ白なミルクアイスが服の端々に塗りつけられていくと……。
「完成!寒がり女の子アーイス♪」
 そこには見事な色合いと完成度のつららアイスが出来上がっていた!
「…………」
「おまけもかけていこうかしら。あま~いバニラとソーダとミント、そしてミルクのアイスの上に~」
 二つの小瓶を取り出すと、とろとろとお皿の、つららアイスの上にかけていく。
 黄色い液体、はちみつだ!
「(ひああぁぁ…!)」
 白い液体、練乳だ!
「(ひああぁぁ…!甘い感覚が全身に伝わっていきますぅ…!)」
 打たせ滝の如く、白と青のアイスハーモニーに、美味しそうな黄色と白のハーモニーが合わさり。
 更に極寒のキッチンで作られたそれはみるみるうちに冷たく冷えて、アイスの一部になろうとしている。
「(わ、わたしぃ…甘い…孤に…寒い…冷たい…甘い…匂い…好き…ぅぅ…)」
 寒気と歓喜の感情を、動けないアイス彫像の状態で心の内に秘め続けるつらら。
 そのせいか、とろけかかった蜂蜜や練乳は氷柱の様に垂れ下がり、凍り固まっていった。
「うん!いい感じだわ!新しいアイスコレクション1号。オリジン様も大歓喜してご馳走になられるでしょう!」

●アイス魔女の失態
 しかし、と。
 クリーメルは思わず涎が垂れてしまった。
 アイスメイキング空間はさっとなくなり、元の回廊に戻るが。
 目の前に手に取ったそのつららアイスを……クリーメルは……。
「う、ん……いい、わね。なかなか……完成度が高く……」
 先にて舐めたアイスをお出しするのは失礼とされたクリーメル。
 だが彼女はアイス屋の魔女で、アイスの魔女で、何よりも彼女自身もオウガであった。
「……う、うん!先の戦闘でカロリー消費したし、この子は……私が食べれば問題ないわよね!」
 クリーメルはスプーンを出した!
「う、ふふふ……かちかち寒がりアイス……こんな見事に出来上がってしまえば……」
 加えて今までつまみ食いしていた経験もある。
 目の前のアイスに……クリーメルは遂に、どうしようもない口にする感情を捨てきれずにいてしまった。

「悪く思わないでね。可愛いアイスになったあなたがいけないのよ!」
 クリーメルはつららのアイスにスプーンを突き立てた!
 その時!

 ぷしゅうぅ……と、突き立てた所から凄まじい冷気が噴き出たではないか!
「え、ちょっ、何、これ、は……!」
 つららはアイスにされている間、冷たく甘い存在に作り替えられている自身に欲を掻き立て、思わずユーベルコードを発動していた。
 その名も【至凍の吐息】。
 口に極寒で絶対零度で、しかしほのかに匂い立つ吐息をずっと溜め込んだままアイスにされたつららは、アイスの中にその冷気を延々と溜め込んでいたのだ。
 蜂蜜練乳つららアイスの甘ったるい香りは、アイスの中から噴き出る冷気で更に強く甘ったるい冷気となって、周囲の存在……クリーメルに襲い掛かる!

「しま……っ……」
 クリーメルは慌ててスプーンを手前にひっこめ……ようとした姿でその、冷凍ガスの様に辺り一面を覆い尽くす冷気に直撃し、物言わぬ、しかし甘ったるい氷像と化してしまったのだった。


「…………」
「…………」


●焦りさえも凍てついて
 つららの姿をした甘すぎるアイスが盛られた皿、を持ったまま、今に食べようとしているが驚き顔のクリーメル、が、絶対零度の冷気で凍てついた氷像。
 ファンシーな回廊に突如現れた氷の世界が、そんなクリーメルを佇ませ続け……。

「(だ、だめよ!このままアイスになっていたら他の猟兵達が来ちゃう!)」
 クリーメルの氷像は徐々に時間をかけて、自身のアイスの魔法でアイスになっていく。
 カチカチ氷がほんのりやわらかアイスになれば、アイスを司る魔女のクリーメルは後はどうにでも復活できる。

 突然の猟兵のハプニングで凍てついたクリーメルは、時間との勝負に挑んだ……。
 玉座の間からここまでの道のりは、短い!

「……っはぁっ……!」
 その身がコーヒーレモンのアイスになって、ぼろりと氷をはがし
 意外な足止めを喰らったクリーメルが元に戻った時、そこには猟兵達が駆け付けていた!
成功 🔵🔵🔴