15
迷宮災厄戦⑭〜おやすみからおやすみまで

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦 #挿絵

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アリスラビリンス
🔒
#戦争
🔒
#迷宮災厄戦
#挿絵


0




●もうパーティしたくないよぉ
 ふかふか綿毛のお布団。ふあふあの枕からは、おひさまと甘い花の香りがした。
 様々な形をした可愛らしいベッドたちが立ち並ぶ、とってもふわふわな夢の国。
 この国では床だって、柱だって、壁だって、ぜーんぶ眠ってしまえそうなほどふかふか。
 勿論ベッドなんて、パジャマパーティーをしていないと一瞬で眠ってしまいそうな程、素晴らしいものだ。
 そんな国に置かれた、ベッドのひとつ。
 天蓋から柔らかなレースが幾重にも重ねられたベッドから、密やかな話し声が漏れ聞こえてくる。
「あー……、もーー……もう、無理だよう……」
 ナイトキャップの中で耳がもぞもぞするのか、愛らしいパジャマを着込んだ一体のジャバオウガが頭をガリガリと掻き。深い深い溜息を零した。
「こんな格好してらんねェよう! それにオイラ、腹がへったよォ。パジャマパーティーの甘いものはもう嫌だよう……。アリスの柔らかい肉を喰いたいよォ……」
 泣き言、恨み言。話しながら突然すべてが嫌になってきたのだろう。
 ジャバオウガはそのまま三角の形をした可愛らしいキャップをかなぐり捨てて。
「アーーッ、もーーー、ホントに無理、無理無理! それになんでこんなにこの服フリフリポヨポヨしてんの!?」
 パジャマを着ている事すらも気持ち悪そうに、胸元を強く引っ張ると布地に押しつぶされていた毛並みがぼわっと膨らんで見えた。
「お、お前、駄目だろーーッ!? 早くパジャマを着ろーーッ! それを脱ぐと……ッ!」
 その様子に慌てたのは、可愛いナイトウェアを身に着けたジャバオウガだ。手を突き出してパジャマジャバオウガを制止するも――。
「そんなこ、と……い、わ……ぐー」
 既にパジャマジャバオウガは、話しながら八割程眠ってしまっている。
 ナイトウェアのジャバオウガがナイトキャップを拾い上げると、瞑った瞳が隠れるほどに強く押し込み、目覚まし代わりにとても大きな声で叫んだ。
「お前の好きな子、ダーーレだ!?」
「そりゃあ、かわいくておいしい……アリスだよォ……」
 ハッと意識を取り戻したナイトキャップのジャバオウガ。照れ照れ応じつつ、不思議な違和感にキョトキョト周りを見渡した。
「アレ? それより何? なんか暗くない? もう明かり消した?」
「うーん、そうかも〜」
 仲間の随分と寝ぼけた様子に、雑に応じ。ナイトウェアのジャバオウガは、まるですごいストレスから胃腸が痛んでいるかの様な表情で頭を振ってから、可愛いクッションを抱きしめて。
「あーーッ、もう誰でもいいから早く来てくれーーッ!」
「もう……もう……、パーティしたくないよぉ……、ぐう……」
「あーーっ、トランプしよーーっ♥♥」
「ふぁあぁ……、するぅ……」
 猟兵達を待ち伏せるジャバオウガたちはこの無限パジャマパーティーに、もはや限界を迎えつつあった。
 ここはすべてがとってもふわふわな夢の国。
 パジャマパーティーをしていないと、強烈な眠気に襲われて眠ってしまう、夢の国。

●グリモアベース
「センセ達はパジャマパーティーが得意だと思うっスけれど」
 小日向・いすゞ(妖狐の陰陽師・f09058)は、ね、と首を傾ぎ。
「そう言う訳で今回の戦場は、パジャマパーティーをしていないと強烈な眠気に襲われて動けなくなってしまう戦場っス!」
 めちゃくちゃな事を言っているようだが、事実なのだから仕方が無い。
 彼女が一歩踏み出すと、ぽっくり下駄が高らかにこーんと音を立てた。
「ま、ま、ま。センセ達はパジャマパーティーが得意な事でしょうから、なーんにも心配は要らないでしょうけれども……。パジャマパーティーを盛り上げつつ、待ち受けるオウガ達もばっちり倒して来て欲しいっスよォ!」
 それから狐のように笑ったいすゞは、頑張ってきてほしいっス〜。なんて、無責任そうに手を振った。


絲上ゆいこ
 こんにちは、絲上・ゆいこ(しじょう・-)です。
 どうしてもパジャマパーティーがしたくてやって来ました。よろしくおねがいします。

●プレイングボーナス
 パジャマパーティーをしながら戦う。
 睡眠が必要の無いと言う人も、パジャマパーティーをしていないと不思議な力で眠ってしまいます。
 例外は無いです。
 パジャマパーティーは絶対です!!

●戦い方について
 敵もパジャマパーティーを楽しんでいますが、パジャマパーティーのお菓子よりもアリスの肉のほうが好きなのでやけくそ気味に楽しんでいます。
 最早気力が失われているので、彼らのパジャマを奪ったり、他の事に気を逸らさせるだけで敵は無力化できます。
 おやすみなさい!!

●パジャマパーティーについて
 お菓子やドリンク、果物等があります。
 パジャマを着て、お喋りしたり、ネイルをしたり、恋の話をしたり、何かを食べたり、ゲームをしたり。
 パジャマパーティにありそうな物、できそうな物はきっとすべてがその場にあります。すべてです。
 一人だったとしても、楽しくなればそれはもうパーティ。
 一人パジャマパーティの他に、他のお一人様猟兵と楽しんだり、ジャバオウガとのパジャマパーティーを楽しむことができるかもしれません。その辺りはノリとキャラとハートで大まかカバーされます。
 パジャマパーティーの範疇で、パジャマパーティーをお楽しみ下さい。

●迷子防止のおまじない
 ・冒頭に「お相手のキャラクター名(または愛称)とID」または「共通のグループ名」の明記をお願いします。
 ・グループ名等は文字数が苦しい場合、無理に括弧で囲わなくても大丈夫ですよ!

●その他
 ・プレイングの大幅な齟齬、迷惑行為、指定が一方通行、同行者のID(共通のグループ名)が書かれていない場合などは採用出来ない可能性が高まります。
 ・もしプレイングを沢山頂けた場合は、元気の続く限り頑張ります! けれど、もしもの時は元気が足りなかったんだなと思って頂けると嬉しいです。

 それでは、すてきなパジャマパーティーを楽しみにしていまーす!
 よろしくおねがいしまーす!
323




第1章 集団戦 『ジャバオウガ』

POW   :    喰らいつく顎
【噛みつき】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    かきむしる爪
【爪】による素早い一撃を放つ。また、【翼を限界まで酷使する】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    燃え光る眼光
【視線】を向けた対象に、【額のクリスタルから放たれるビーム】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

キアラ・ドルチェ
ヤドリギ柄のパジャマでジャバオウガのパーティに乱入
「御機嫌よう、私も混ぜて下さいな♪」

そして大量のお菓子を皆さんに勧めます
「ふふ、やはりぱじゃぱ(パジャマパーティの略)はお菓子と…そしてコイバナですよね~!」
どんな方が好みですか? 背は高い低い? 可愛いと格好いいどちら?
マカロンもぐもぐしながら矢継ぎ早に周辺のジャバさんに質問(きらきらした瞳

しかし…皆さん折角素敵な毛並みあるのに、パジャマがおじゃまぽいです
窮屈そうですし脱いじゃいましょう、そうしましょう♪
さあさあ!(すぽーん
抵抗されたらネミの森の子犬たちで寄ってたかって脱がせますっ

「…あれ、みんなおねむでしたか?」
ではでは…良い夢を♪(一礼



●おやすみの魔法(物理)
「うう……楽しいなあー」
 やわらかな光を優しく遮る天蓋より、幾重にも重ねられたカーテンの奥より漏れる何処か苦しげな声。
「それはそうとさっきから4止めてるヤツ誰?」
 カーテンの隙間から伸びた小さな手が、蜂蜜のたっぷり掛かったビスケットをひっつかみ。
 その手が中へ引っ込んだかと思えば、半分齧った形でサイドテーブルの皿上へと戻ってくる。
「まあまあ、落ち着き給えよ」
「うう……楽しいなあー」
「だから4止めてるの誰!?」
 わいわい、がやがや。
 ふかふかのお布団の上に並んだトランプを囲む紫色の毛並みのジャバオウガ達は、円を描く形で顔を突き合わせ。惰性のままに気怠げなパジャマパーティを繰り広げていた。
「御機嫌よう、楽しそうですね~!」
 そこに。
 朗らかな挨拶と共に、持ち上げられたカーテン。
 柔らかそうな金糸の髪、きれいな青色の瞳をぴかぴかと輝かせて。
 ベッドを軋ませて推し入ってきたのは、ヤドリギ柄のパジャマ姿のキアラ・ドルチェ(ネミの白魔女・f11090)であった。
「私も混ぜて下さいな♪」
 なんて。
 彼女の手には、大量の菓子が乗った皿が収められている。
「うわあ! なんだなんだ、女は向こう行けよ!」
 突然の闖入者に慌てた一匹のジャバオウガは、持っていたトランプを投げ捨てると小学生男子みたいに喚き。
「うう……眠くなってきたなあ……」
「あ、4止めてたのお前かよ!」
 そのトランプを見た別のジャバオウガが、またわあわあと吠えるものだから。
 キアラは最初に騒いだジャバオウガの口へと、マカロンを一粒押し込んで勧めてあげる。
「うるせえ! 今それどころじゃない……んむっ!?」
「ふふふ、やはりぱじゃぱはお菓子と……」
 思わず、黙々とマカロンを咀嚼し始めたジャバオウガ。
 その様子に瞳を眇めたキアラは、もう一粒マカロンをつまむと一齧り。
 外側がさっくりで、中が少しもっちりしていて美味しいマカロンだ。
 こんなに美味しいお菓子のお供と言えば――。
「やっぱり、コイバナですよね~!」
「はあ!?」
「え、オイラのコイバナ?」
「眠いなあ……」
 こっくりこっくり。一匹のジャバオウガが、何をするまでもなく眠りだした横。
 こくこくと頷いたキアラは、まるでおひさまみたいに笑う。
「あなたはどんな方が好みですか?」
「えっ、えっ」
「オイラはね~」
 猟兵にそんな事を尋ねられるとは思っていなかったのであろう。勧められるがままにチョコレートを一粒受け取りながら、口籠るジャバオウガ。
 その横で別のジャバオウガはのんびりとマイペースに言葉を紡ぎ。
「背は高い方がお好みですか? それとも低めの方でしょうかっ?」
「えっ、えっ」
「お肉が柔らかくてねえ」
 矢継ぎ早に尋ねてくるキアラに、ジャバオウガは目をぐるぐる。
 別のジャバオウガはじゅるりとよだれを啜り。
「可愛いと格好いいのはどちらがお好みですか?」
「えっ、ええ!? えっと、お、俺は……」
「食べごたえがあるアリスがいいなあ」
「ふふふ、なるほど~! あなたは食べごたえ重視なのですね……!」
 キアラがぽん、と手を叩くと、テレテレと後頭部を掻くジャバオウガ。
 もう一匹は未だに考え中のようだけれど。
 とびきり悪戯げな表情を浮かべたキアラの視線と興味は、既にジャバオウガ達の纏う可愛らしいパジャマへと移っていた。
「……けれど皆さん素敵な毛並みですのに、そのパジャマが魅力を半減させていますね……?」
「はっ!?」
「これ窮屈だよねえ」
「そうですよねぇ、窮屈ですよねっ! ならば脱いじゃいましょうか、そうしましょうかっ♪ さあさあっ」
 言うが早いか。
 キアラが杖をくるくると回すと、もふもふでふかふかなコボルト人形が沢山現れて、ずらずらとジャバオウガ達を取り囲んだ。
 その圧にジャバオウガは思わず後ずさるが――。
「きゃーーっ、まって、まって!」
「やっぱこんなの脱いだほうがら、……ん、……んんっ? あれ? これって?」
 もう遅い。
 コボルト人形に囲まれ、パジャマをひん剥かれて。
 うなだれるジャバオウガと、身軽そうにベッドへと寝転がったもう一匹のジャバオウガは、そのまますうすうと寝息を立て始めてしまう。
「……あれ? 皆さん、おねむでしたか?」
 指を顎先に当てて小首を傾いだキアラは、不思議そうに瞳をぱちくり。
「……それでは、良い夢を~♪」
 それから眠る彼らにお布団を掛けてあげると、一礼してからベッドを離れるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雅楽代・真珠
下僕のメトロ(f19399)がぱじゃまぱぁてぃをするらしいよ
僕に似合うぱじゃまを選んだメトロは偉いね
うんうん頷いて僕は転がるよ
だってこんなにふかふかなんだ
怠惰に過ごしていい場所でしょう?

良い子にお座り出来て偉いね
僕とお揃いなお前も可愛いよ
…悪いことを考えてはいない?
いけないよ、メトロ
主の品格が問われるような事をしたら
僕はお前を捨ててしまうからね

『玉手箱』を開いて枕を沢山取り寄せる
ぐっすり眠れて、二度と目覚めない枕
ぽいぽい投げて配っておけば煩くする者も眠るだろう

…こいばな…?
僕は金魚であって鯉ではないよ、メトロ
違う?
好きなところは…そうだね…




…寝てた
話をしないといけないの?
僕もう飽きてきたよ


メトロ・トリー
真珠くん(f12752)とパジャマデートだよッ

きゃあ!もこもこウサギフード真珠くん!
かわい〜かわかわエ?
なんで真珠くんはごろんでぼくは正座なのかって?そりゃあ良い子だからだよ
お揃いパジャマだからね、汚しちゃメ!

オウガくんにジャム火炎瓶を投げて花火ごっこなんて絶対しないのさ
…ほんとほんとだよ
死んでも良いけれど真珠くんにポイされちゃうのはヤ!

恋話だなんてドキドキしちゃうモジモジ
真珠くんはぼくのどこが好きなんだい?

あれれ真珠くん?おネムなのかい?
かわい〜うんうん、うんもう!うるさいよオウガくんたち!
あっち行って!パジャマメトロくんパンチ!

ア!寝てる!
真珠くん〜!!!後生だからもう一回教えておくれ!



●うれしい! たのしい! パジャマデート!
「ふうん、なかなか悪くない寝心地だね」
 ふかふかと寝心地の良いベッドへと寝転がる、もこもこふかふかウサギチャンフードのパジャマを纏った雅楽代・真珠(水中花・f12752)を前に。
「きゃあ~、真珠くんかわい~、寝転がっていてもかわい~! かわかわェ? かわい!」
 拳をきゅっと握って顔の前へと寄せたメトロ・トリー(時間ノイローゼ・f19399)は、ジャパニーズ正座したままその御姿を見守っていた。
 見上げる真珠の視線を、全身で今うけとめているのは……ぼーく!
 やだ! すごい! 真珠くんの視線を今独り占めしてるよぼく! ヤッター! 真珠くんに見られているぼくを見てご覧よ! やだ! やっぱり見ないで! ぼくの真珠くんの視線だぞ!? 独り占めさせろ! 見るなよ、ゆるさねェぞ!?
 ごろんと寝転がったまま、メトロの瞳を見上げる真珠は瞳を細めて。
「うん、うん。僕に似合うぱじゃまを選べてメトロは偉いよ、良い子にお座りも出来てるしね」
 ――お揃いなお前も可愛いよ、なんて。
 真珠のお褒めの言葉に、上半身を振ってやんやんするメトロ。
「わあ! そんなに褒められると嬉しくなってしまうよ! ぼくは良い子のうさぎで良かったよ!」
 そう、このパジャマは真珠くんとお揃いなんだよ。
 汚しちゃあ、メッ! だ!
 そう、そう。
 だから、オウガくんにジャム火炎瓶を投げて花火ごっこなんて、絶対、絶対しないのさ。
 ジャムと花火が飛び散ると、トランプ兵みたいに汚れてしまうからね。
 でも、慎重にやれば大丈夫かもしれないね? 遠くから投げる! なあんて名案だろう!
 薄紅色の瞳を瞬かせた真珠は、メトロの視線と視線をまっすぐに交わして。
「ねえ、メトロ。――悪いことを考えてはいない?」
 射抜くように紡がれた言葉に、メトロはどきーんと正座をしたまま2cmほど跳ねた。
 ベッドのスプリングがぽよんぽよん。
「いけないよ、メトロ。もし、主の品格が問われるような事をしたら……僕はお前を捨ててしまうからね」
「わああああ。しないよ! しない! ほんとほんとだよ。死んでも良いけれど、真珠くんにポイされちゃうのはヤ! やだ! まって! 捨てないで!!!!」
「するの?」
「しない!!!!」
「そう、お前は良い子だね」
「きゃあ! そんな、なんてこったい! そんなに褒められてしまうと、もっと褒めて貰いたくなってしまうのさ! もっと褒めて下さい! 言うのを耐えようと思ったのに言ってしまったよ!」
 さらに高速でメトロがやんやんしていると、ベッドの外がどうにも騒がしい。
 どうやらオウガ達が暴れているようだと判断した真珠は、少し億劫そうに眉を寄せてから玉手箱を片手で探りだし。
「ア!」
 しかし。
 こちとら年中思春期なので、ベッドの外の様子の事なんて構ってられない。
 ぴーんと本物の兎の耳を立てたメトロは、何かを思い出したように大きな声を上げた。
「ねえねえねえ、真珠くん! 恋バナ! こういう時パジャマパーティでは恋バナをするものじゃあないかい?」
 瞳に星をぴかぴかと瞬かせ、やんやんと上半身をドキドキモジモジするメトロ。
 取り寄せたばかりの、ぐっすりと眠れる枕をベッドの外へと放り捨てながら、真珠は瞳を細め。
 メトロの言葉を聞き流しながら、うつら、うつら。
「……こいばな? 僕は金魚であって、鯉ではないよ」
「ウンウン! そう! そうだけどそうじゃないよ! 真珠くんは……ぼくのどこが好きなんだい?」
「好きなところは、……そうだね……」
「うんうん、うんうん」
 高速で頷くメトロ。
 真珠がその口唇を更に開こうとした、瞬間――。
「やいやいやい、肉をよこ」
 ベッドへと飛び込んでくるオウガ!
「ア!? なんだい! 邪魔をしないでおくれよ、オウガくんたち! あっち行って!! 今ぼくはいそがしいんだ!」
 手首を返してスナップを効かせたパンチで叩き落とすメトロ!
「……」
 振り向けば寝ている真珠!
「アッ! 待って! 待って真珠くん~~!!! 後生だから続きを教えておくれよ!」
「……眠い」
 こんなにふかふかなのに、眠ってはいけない理由が分からない。
 うっすら瞳を開いて言葉を紡いだ真珠は、寝転がった体勢のままこっくりこっくり船を漕ぎ出して――。
「し、真珠くん~~~~ッッ!!!!」
 メトロはオウガを叩き落としながら、叫ぶ事しか出来ない。
 だってぼくは良い子だから、わあ! わあ! でも、でもでもでも、教えておくれよ~~!
 おや、や、や、や、や! でも、眠ってる真珠くんもかわい~~!!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵f02925と

宵と揃いのパジャマを着、タケノコ型のちょこれぃととトランプを持ち参加
勝負は先ずはババ抜きだな
ジョーカーは…俺か…
表情は変わらぬ方だが宵相手にはつい顔に出てしまうからな
甘味を口にし誤魔化しながら、一口食うか?と手にしたチョコを宵の口に向けてみよう
後懺悔、か?
…先日鍛錬の後、ミニュイが猫砂に催していたが湯浴みを優先してしまった事…か
お前が片してくれたのだろう?本当にすまんと声を投げつつ宵の笑みに照れとバツの悪さを滲ませながら視線を逸らす…も
宵の声に思わず情けない顔を向けてしまう
…否、プリンで宵が幸せになるならば俺は…

……次は、生くりぃむが乗った物を頼む…

※ゲーム勝敗はお任せします


逢坂・宵
ザッフィーロ(f06826)と

ザッフィーロと揃いのパジャマを着て
キノコ型のチョコやビスケットを袋に詰めて向かいましょう

ええ、定番のババ抜きですね
ポーカーフェイスには多少の自信がありますが
ザッフィーロは顔に出るのでわかりやすいんですよね

ふふ、僕はキノコ派ですがタケノコも美味しいですからと向けられたチョコを首を伸ばして食べ
ジョーカーがこちらへ来ても変わらぬ素振りでトランプを遊びましょう

……っふふ、素直に謝るきみのそういうところが好きですよと肩を震わせて笑い
ではこちらも懺悔を
冷蔵庫にあった3個パックの最後の1個のプリンを食べたのは僕です
また同じものを買ってきますから、ね
※ゲームの勝敗はお任せします



●懺悔
 揃いの寝間着に身を包んだ二人は、まあるいベッドに陣取って。
 きのこの形のチョコレートに、たけのこの形をしたチョコレートを一つずつ。ビスケットに、クッキー。
 ――それはUDCの日本ではポピュラーな、扱いを間違えれば戦争にも発展すると伝えられるチョコレート菓子達。
 そう、一歩間違えば愛し合っていようが戦争は起こるもの。
 例え愛しい相手だとしても、勝負をする時は真剣勝負。
 扇状に構えられたトランプ。
 しゃら、と音を立ててトランプがまた一対ベッドの上へと放たれて。
 ……逢坂・宵(天廻アストロラーベ・f02925)とザッフィーロ・アドラツィオーネ(赦しの指輪・f06826)は、トランプごしににらめっこ――否、ババ抜きをしていた。
 そもそもババ抜きを二人で行うと、どちらが今不利なのかは文字通り手にとるようにわかるモノだ。
 ならば。
 とれる対抗策としては、できるだけポーカーフェースに務める事程度。
 宵はポーカーフェイスには自信の有る方だ。
 なるべく表情を作らぬよう、紫水晶の瞳を揺らさぬよう。ザッフィーロの持つカードへと手を伸ばす。
 右側に指を添えると、彼の顔は普段通り。
 そのまま左側へと指をスライドさせると、眉を寄せてきゅっと険しくなったザッフィーロの視線がゆうらり泳ぐ。
 普段からザッフィーロだって、こんなにもわかりやすい表情筋を持ち合わせて居る訳では無い。
 ――愛しい相手が相手だからこそ、表情だって動いてしまうのだ。
 ならば、ならば。
 とれる対抗策を取るしかあるまい。
「宵、食うか?」
 タケノコ型のチョコレートを一つ口に放り込んだザッフィーロは、誤魔化すように宵にも一粒差し出して。
 必殺、話しかける事でなんとなく有耶無耶にする作戦。
「ふふ、頂きましょうか」
 僕はキノコ派ですが、タケノコも美味しいですから、と。
 チョコレートを唇で受け止めて笑った宵が、あえてジョーカーを抜いてやるとザッフィーロの眦が和らいだ。
 しかし、その眦の和らぎ。
 自らの変化に気がついてしまったザッフィーロは、表情が動いてしまう事に対して、更に取れる対抗策を取る事とした。
 ――懺悔をしてみる、か?
「……宵」
「ええ。何でしょうか、ザッフィーロ」
「……先日、鍛錬の後、ミニュイが猫砂に催していたが湯浴みを優先してしまったのだが――お前が片してくれたのだろう?」
 本当にすまん、なんて。
 ザッフィーロが頭を下げたものだから、宵は瞬きを一つ、二つ。
「……っふふ、ふ。そうですか……」
 突然の告白、……懺悔だろうか。
 肩を震わせて小さく吹き出した宵の笑み。バツの悪さからザッフィーロは視線を反らし――。
「気にしていませんでしたが……、素直に謝るきみのそういうところ、好きですよ」
 くつくつと笑いながら宵は小さくかぶりを振ると、真っ直ぐにザッフィーロを見つめて。
 その言葉と視線に思わず視線を交わし返してしまったザッフィーロの表情は、未だ眉を寄せた困った様子。
 それがまたおかしくて、宵はもう少し笑って。
 では、こちらも懺悔を一つ、と。
「……冷蔵庫にあった3個パックの、最後の1個のプリンを食べたのは――僕です」
「否、……プリンで宵が幸せになるならば俺は……」
「ふふ。……また同じものを買ってきますから、ね?」
 全てを包み込んでくれるような、宵の優しい視線。
 見つめ返されてしまえば、ザッフィーロはその瞳を覗き込み続ける事が出来ずに視線をまた少し反らして――。
「……次は、生くりぃむが乗った物を頼む……」
 ぽつりと言葉を零すと、宵の持つカードを一枚引いた。
「それはそうと、そちらジョーカーですよ」
「!」
 彼の指摘に慌ててカードを見れば、確かにジョーカーだ。
 ザッフィーロは自らの作に溺れて、目を丸くするのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

大紋・狩人
【仄か】
(レースと刺繍で彩られた丈長ナイティドレス)
パーティーならいつもの夜更かしより
少し贅沢をすればいいのかな

手作りの夜空でお茶会?
賛成、自由に星座が作れるなんてとても素敵だ!
光る石におはじき、ビーズ、スパンコール
星の元と夜色の画用紙は【灰白鳩】に願おう
(オウガの帽子もはがす灰のとり)

ベリーの香りの紅茶がおとも
おはじきのカシオピア
隣は一際綺麗な大粒の蒼いビーズ
スパンコールの星群は向日葵畑座?紫陽花座?
な、ラピタどんな星を作ってる?

あはは、ラピタ、星の子みたい
いいよ、綺麗でいっぱいだものな
(ばら型のビーズをきみの髪へ)
なら、沢山伝えられるようにもっと作ろう
幸せな星の隣なら
この五つ星も憩えるね


ラピタ・カンパネルラ
【仄か】
(普段は簡素な寝巻きだけど、今日はパーティなので。リボンとシフォンのナイトウェア)
贅沢な夜更かし、かあ
じゃあさ、壁や天井に僕達だけの星空を作ってしまおうよ!

折角のパーティだもの
いつもは温存してる魔力をしっかり義眼に通して、きらきらをたくさん見つける
この紅茶も、赤色綺麗だねえ
【灰燕が囀る】の燕たちとも一緒に星屑を飾ろう

わ、カロンすごい、きらきら、すごい
えへへ ごめん、スパンコールやおはじき見るのに夢中で……進んでない……(燕に背中や髪の毛にいっぱいきらきら飾られながら)
かろん、かろん、カロンが作った星空の事教えて
星座を作ったなら、神様の話も作れるね
その青い一粒は、きっととても幸せなんだ



●きみと、僕の空
 どこかから甘い花の香りがしている。
 ふかふかとした床は、まるで焼き立てのパンの真ん中みたいな柔らかな弾力。
 天蓋付きのベッドへと腰掛けるとそのまま沈んでしまいそうな程ふっくらとしているのに、しっかりと体を受け止めてくれる。
 サイドテーブルには、ぴかぴかと光る石、おはじきにビーズ、きらきら輝くスパンコール。
 それにお菓子にティポット。
 灰より生み出された鳥――灰白鳩を肩に留める大紋・狩人(黒鉛・f19359)は、足首程まで覆う美しいレースと刺繍に彩られたナイティドレスに身を包み。
 その横に腰掛けているラピタ・カンパネルラ(薄荷・f19451)は、シフォン生地のリボンが可愛らしいナイトウェア姿。
 ゆらゆらとあまいベリーの香りのする湯気の立つ、紅茶のカップを一口。
「ねえ、カロン。この紅茶、赤が、綺麗だねえ」
「うん、香りもとてもいい香りだ」
 今日はパジャマパーティ。
 いつもの夜更かしよりも、少し贅沢を。
 いつもの寝間着よりも、うんと綺麗で素敵なパジャマを着て。
 いつもよりもたっぷりと、ラピタの義眼に通された魔力も少しばかりの贅沢の一つ。
 ――この箱庭みたいな天蓋ベッドを彩って、僕たちだけの夜空を作ってお茶会をしよう、なんて。
 提案をしたのはラピタで。
 素敵な提案だと賛成した狩人が灰白鳩に願って、沢山の星の元を用意した。
 ついでにもっと頼めば、オウガの服だって剥いで来てくれるだろうけれど、それは後。
 今はこの何もない空を、彩る事が先だ。
 狩人が少し背伸びすれば、天蓋にだって手が届く。
 始めに飾るは、ぴかぴかのおはじきのカシオピア。
 隣には一際目を引く、青い大粒の綺麗なビーズを貼り付けて。
 ミルクを流したように連なる星々がミルキーウェイならば、スパンコールの星群は何と名付けようか。
 光を照り返して瞬く星々は、――向日葵畑か、紫陽花か。
 石を星に。
 星を星座に。
 きらきらぴかぴか。
 思うがままにベッドの箱庭を正座で繋ぎ、星々で彩どり。
 ふ、と気づいた様子で狩人は灰色の瞳をラピタへと向けて、首を傾いだ。
「な、ラピタ。きみは、どんな星を作ってる?」
 きっとラピタの事だから、素敵な星を作っているのだろうと。
 見下ろした狩人は、沢山の燕を群がらせたラピタの姿に目を丸くした。
「えへへ、ごめん」
 真っ赤な瞳に魔力をぱちぱち弾かせて、彼女は少し笑っていた。
「……光る石や、スパンコールがとっても綺麗で。……見るのに夢中で、進んでないんだ」
 普段はこんなに、魔力を流すことも少ないから。
 こんなにきらきらを沢山見つけられる事が、とても綺麗で、うれしくて、たのしくて。
 掌の中に収められた石だって、見上げた天蓋だってきらきらと瞬いている。
 本物よりもずっとずっと近くてずっとずっとよく見える、綺麗な星たち。
「わ、すごい、きらきら。カロン、すごい。カロンは星空をつくるのが、上手なんだねえ」
 ほう、と吐息を零して。
 二人だけの星空を見上げたラピタは、その赤色を星に負けないくらいぴかぴかと瞬かせて。
「あはは、いいよ。――それよりもラピタ、きみ、星の子みたいに綺麗にして貰ったね」
 狩人が目の丸くした、ラピタの姿。
 彼女が呼び出した燕は、彼女をぴかぴかのビーズやスパンコールで飾り付け。
 髪の毛も背中も彩られたラピタはまるで、光っているようにも見えて。それがとても綺麗に見えたものだから。
 狩人はそこにもう一つ。バラの形をしたビーズをラピタの髪に添えてやる。
「ああ、本当だ。僕も星みたいだね」
 ラピタはそのビーズへと掌を添えると、つるりとした感触にまた笑った。
「かろん。……かろん。カロンが作った星空の事、教えて。星座を作ったなら、神様の話も作れるだろう」
「うん。なら、沢山伝えられるように、もっと作ろうか」
 狩人の言葉に、大きく頷いたラピタは改めて空を見上げる。
 普段よりはいくらかクリアな朧な世界に、一際大きく輝く青。
「ねえ、カロン。あの大きな青い一粒の星は、きっととても幸せなんだよね?」
 ラピタは空を指差して、首を傾ぐ。
 それは寝る前にお話をせがむ子供のようにも、確信を持って尋ねるオトナのようにも聞こえる声音。
「そうだよ。――幸せな星の隣なら、この五つ星も憩えるだろうからね」
 大きく頷いた狩人は、唇の端に笑みを宿して。
 きみと僕のためだけの、星空のお話を紡ぎ出す。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リル・ルリ
🐟櫻沫

櫻宵!一緒にぱじまぱて、だ!
え?誘ったけどなんで照れるの?

お気に入りのぱじまは、館の浴衣
ふふ
お揃いだ
難しい漢字のくしよん、を抱える櫻宵に首を傾げ

櫻って…爪もすごく綺麗
細い指を絡めとるみたいに握って紅の長い爪みやる
そうなの?僕にとっては綺麗な紅
柘榴みたいに赤くて綺麗な龍の爪
指先に口付けひとつ

僕の爪も綺麗にしてくれる?
やった!
どういうのにしてもらおうかな
わくわくしながら彩られていく爪をみる
薄いブルーに、水面が揺らいで…ヨル!
僕の爪にヨルのお顔が描かれて満面の笑みが咲く
嬉しくなって櫻に抱きついて頬に、ちう
真っ赤になって可愛いな

オウガと目が合った
だめだよ
可愛い櫻は僕の櫻

ふふ
恋の歌を歌ってあげる


誘名・櫻宵
🌸櫻沫

可愛い恋人魚とつまり誘われているわね
やだリルったら!
照れちゃう
纏うのは迎櫻館の温泉浴衣…寝間着ね
お揃いだなんてますます……
「是」と書かれたハートのクッションをキャーと抱きしめて流し目でリルをみる
…全然効いてないわ

まぁいいわ
そっと身を寄せれば指が絡んで…こういうとこ大胆よね
…これ?
塗ってる訳じゃない
龍の爪だから元からこの色なの
不気味?
指先に落された愛に鼓動がはね
誤魔化すように手を握る

リルの爪も綺麗にしたげる
氷や海で遊ぶ、ヨルを綺麗な爪に描く
喜ぶ顔が嬉しくて―ひゃ?!
頬に触れた感触に真っ赤になり顔を覆う

可愛いのはリルの方よ

嫌だわ見ていたの?
桜にして食べてあげる
人魚の方がずうと美味しいけれど



●是否枕
 柔らかな床、柔らかな柱。
 天蓋より吊り下げられた薄布が淡い光を透し、ベッドへと落ちる光すら優しい。
 ここは全てがふわふわと柔らかな、夢の国――おやすみなさいの国。
 そこに。
 かの世界に在る千本桜の鳥居を潜り抜けた先。
 白亜に彩られた館の温泉にて、湯上がりに利用されている浴衣を本日は寝間着代わりに。
 ベッドの上に腰掛けた誘名・櫻宵(貪婪屠櫻・f02768)は枕をきゅっと抱きしめながら、自らの少し熱っぽい頬を両掌で包み込んでいた。
 ……今日は可愛い恋人魚に、二人きりのパジャマパーティに誘われた。
 それってつまり、――そういう事でしょう?
 細く息を吐いた櫻宵は、『是』と書かれたハート型のクッションを更に強く抱き寄せて。
 艶の宿った薄紅色の視線を、お揃いの浴衣姿で尾鰭を揺らすリル・ルリ(『櫻沫の匣舟』・f10762)へと向けた。
「……どうしたの、櫻宵?」
 櫻宵より感じる視線は、何処かしっとりとしてる。
 その上、何やらクッションをぎゅうぎゅうに抱きしめてやんやんしているものだから、リルは首を傾げて。
 なんだかほっぺたも赤くなっているようだし、もしかしてお腹でも痛いのかな。
「何か、調子でも悪い?」
「いいえ、大丈夫よ」
 櫻宵は両頬を掌で覆ったまま、視線を逸らした。
 ……ああ、そうね。そうだったわ。識っていたけれど、……識っていたけれども。
 ――全然効いて無いわね。
 まぁ、いいわよ。
 そう、リルってばこういう人魚だもの。
 解っていたことに、小さく肩を竦める櫻宵。
「……櫻って、さ」
 その様子をじっと見つめていたリルは、櫻宵の頬を包んでいる掌へと、掌を重ねて。
「爪もすごく、綺麗だ」
 勿論、君は全てが美しいのだけれど。
 そのまま絹布の上を滑るように。すべやかな手の甲を撫でると、リルは指先に指先を絡めて握る。
 細い指の先を鮮やかで綺麗に彩る、紅色の長い爪。
 重ねられた掌の温度に、櫻宵は眦を和らげて言葉を紡ぐ。
 もう。
 ――リルってば、本当にこういう所は大胆なのに。
「……別にこれは、塗っている訳じゃないわ。元からこの色なのよ」
 櫻宵は桜の龍だ。爪先がこの紅色に彩られている事は、櫻宵にとっての当たり前だ。
 ふ、と唇に柔く笑みが宿る。
「不気味でしょう?」
「ううん。僕にとっては綺麗な色だよ」
 まるで柘榴みたいに鮮やかで、真っ赤で綺麗な龍の爪。
 リルは眺めている内にまるで引き寄せられてしまったかの様に、その指先へと口付けを落とした。
 なんだかそうしなければいけないような、美しさを感じたのだ。
「!」
 そんなリルの行動に、肩と心臓を大きく跳ねた櫻宵。
 早鐘を刻みだした鼓動が、胸裡を混ぜっ返す。
 本当に、本当にそういう所よ、リル!
 櫻宵は本当に染まってしまった頬の熱を誤魔化すように、絡め取られた指先を絡め返すときゅっと握って。
「ふふ。ねえ、リルの爪も綺麗にしたげるわ」
「わ、やった! どういうのにしてもらおうかな? 色は櫻が紅だから、僕は青かな?」
 上手にいつも通りの顔は、出来ていただろうか。
 ゆるゆるとかぶりを振った櫻宵は視線をリルの細くて綺麗な指先に落とすと、ベッドに設置されていたネイルセットへと手を伸ばす。
 形を整えて、ベースコートを塗って――、リルの指先を彩る、淡い青。
「わあ、綺麗な色だな」
「これからもっと綺麗になるわよ」
 揺らぐ水面のように色を重ねて、一度硬化。
 期待にぴかぴかと瞬く、リルの青い瞳と視線を重ねてから。櫻宵は爪先に、ペンギン――ヨルを慎重に描き出す。
「……わっ、ヨルだ!」
 ぱっと花咲くように笑みを零すリル。
 櫻宵の手によって爪が、氷や海で遊ぶ可愛らしいヨルでどんどん彩られ。
「すごいね、櫻! 本当に上手だ!」
「ふふ、リルの喜ぶ顔の為なら――」
 櫻宵の言葉を最後まで待つこと無く。
 ぴぴぴよと鰭の先を歓喜に跳ねたリルは、そのまま櫻宵へと抱きついて頬に口づけを落とした。
「ひゃっ?!」
 それに櫻宵は本当に驚いてしまった。
 心臓なんて、先程の倍は跳ねただろうか。
 口づけされた頬が熱い。
 大きく跳ねた胸から、ときときと全身が震えているようにすら感じる。
 きっと顔なんて、先程よりずっと真っ赤になってしまっている事だろう。
 櫻宵はふるふるとかぶりを振って、そんな顔を覆い隠すように両掌で頬を包み込み。
「ふふ、真っ赤になって可愛いな」
 そんな様子が愛おしくて、リルはまた笑った。
 そう、そう。
 櫻ってば、こういう龍なのだ。
 積極的に来られると、照れて可愛くなってしまう。
 愛おしい、愛おしい、僕の――。
「もう! 可愛いのはリルの方よ?」
 慌てて言葉を重ねた櫻宵が、ぷいと横を向くと。
「!!!」
「……あら、嫌だわ見ていたの?」
 天蓋より重ねられた薄布の間から覗き込んでいたオウガと、目が合ってしまった。
 そう。
 あまりの甘い空気に、オウガも蹴撃に入るタイミングを完全に失ってしまっていたのであった。
「えっと、……その……」
 硬直したまま、二人を見上げるばかりのオウガに――。
「ふふ、だめだよ、君。――可愛い可愛い櫻は、僕の櫻なんだから」
「ねえ、桜にして食べてあげるわ」
 人魚の方がずうと美味しいけれど、なんて。
「あーーっ、ちがうんです、部屋を間違えたんですゥ!」
 綺麗に笑んだリルと櫻宵の圧に、オウガはその毛をぴゃっと逆立てた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

佐那・千之助
クロト(f00472)そなたパジャマに馴染みが無いのじゃろ
折角の機会パジャマ選びから楽しむべし
大きな風呂敷包みを開いて古今東西のパジャマを羅列

躊躇している暇などない
早く選ばねば眠ってしまうぞ(せかす(見たい
私は着物風ナイトガウンで優雅に鑑賞の姿勢

部屋着、いい…(卒倒寸前
普段と違うゆるかわ具合が私に効く

猫耳クロト最高、動いて尻尾を揺らせば更に高得点
あつい?スムージー飲んであと5分、はいどうぞ

苺クロトかわい…血がとっても甘そ…
マイストロベリーフォーエヴァー…
美味しそうすぎてオウガが食欲そそられるのでは?

え…?おそろい?そ…そなた、可愛すぎ、では
…着方、わかる?ここはこう…

オウガ達…。
もう楽におなり


クロト・ラトキエ
千之助(f00454)もご存知の通り、
僕、寝巻きは…

風呂敷包みに目を丸め。
成る程、パジャマ(を選ぼう)パーティー。

オウガ?
取り込み中です、その辺で待ってて下さい!

仮の簡素なルームウェアに着替え、和気藹々。
露出は少ないの方いい…
得物も隠せるし…

…?
このもふもふ、なして猫耳が?
え、着るの?
あっ。暑…。

苺柄?
流石に四十前の男のこれは見たくないのでは!?(でも着た)

薄手は夏に良いけど隠し難い…
脱ぎ着し易さなら一枚物?

オウガ?
まだ取り込み中で(略)

選び選ばれ着ては悩み
…女物混ざってませんでした?

結局。
今、君が着てるそれが良いな…とか。

オウガ?
だから取(略)
…って見飽きました?気力0?
では…おやすみなさい



●パジャマ(を選ぼう)パーティー。
 ――大きな風呂敷包みを抱えてきているとは、思っていたが。
 とりあえず渡されたルームウェアを身に纏ったクロト・ラトキエ(TTX・f00472)は、佐那・千之助(火輪・f00454)がベッドの上に広げた衣服の山にその青い瞳をどんぐりのように丸くした。
「……成る程」
「ああ。躊躇している暇など無いぞ、早く選ばねば眠ってしまうかもしれんからの」
 千之助は着物風のナイトガウンで悠々と。大量の衣服の山――古今東西のパジャマが並ぶ横で足を組んで、からからと笑った。
 幾度目かのおやすみなさいの国。
 しかし。
 クロトは未だに、自らで寝間着を決めてはいなかった。
 ――常在戦場。
 寝る時は精々装備を軽くする程度。
 クロトがそんな調子である事は、千之助にとっては先刻承知の事ではある。
 その結果、千之助は大量のパジャマを持ち込みする事に至ったのであった。
 ほう。しかし、そうじゃの。
 とりあえずパジャマパーティの体を取るために渡したルームウェアも、普段と違うゆるかわ具合で良いものだ。実に私に効く。
 普段とは違う方向性の服を着るだけで、こんなにも新鮮味があるとは。
 え~、かわゆ~。
 千之助は顔を背けて、口に手のひらを当ててぷるぷる。
「そうですね、露出は少なめで……、薄手生地は季節にはあっていますが……」
 そんな彼に気づいているのか居ないのか。
 クロトは真剣な表情でパジャマを手にとってしげしげと眺めながら、素材感を確認中。
 ――せめて得物を隠す事ができる程度の布は欲しいモノだ。
 脱ぎ着のしやすさなら、一枚物でも良さそうだが。
「……?」
 そこでふ、と手を止めたクロトは――。
「あの、千之助?」
「うん?」
 困惑に近い声。千之助へと向けられる訝しげな視線と、厚手のもふもふしたパジャマ。
「このもふもふしたパジャマ、猫耳がついていませんか?」
「ふむ、付いておるの」
「……なぜ?」
「一度試してみてはどうかの?」
「えっ? いや、あの」
 困惑するクロトに、千之助は真剣な表情。
「試してみては、どうかの?」
 千之助は彼の困惑の声にも負けず、二度目の提言。
「あの……」
 クロトは困惑しながらも、心は既に押し切られている。
 猫耳もふもふパジャマへと袖を通そうとした――その瞬間。
「お邪魔しまー……」
「今は取り込み中ですので! その辺りで待ってて下さい!」
 尋ねてきたジャバオウガが、一瞬で鋼糸に絡め取られて床に転がされ。
 うかうかしていると敵がどんどん訪れるであろう、と。慌てたクロトは猫耳もふもふパジャマに着替え始める。
 そう。
 これは焦らされると思考能力がどんどん低下する現象である。
「あ、暑くありませんか……?」
「うん、最高じゃ。大変最高。一億人に一人の逸材。可愛い」
 速やかな動作で暑さ対策にスムージーを差し出した千之助は、真顔でこくこく頷き。
「え、は、はい」
「あとはそのまま一回転……、そうじゃ。尊い!!」
 千之助に言われるがままにクロトが一回転すれば、尻から伸びる尾がゆらゆらして最高に可愛くて尊い。語彙力は捨ててきた。頼むからあと5分ちょっと我慢して欲しい。
「あっ、でもこっちのイチゴ柄も試してくれんか?」
「……流石に四十前の男のこれは見たくないのでは!?」
 でもクロトは千之助が言うなら着る。着てしまう。
「えっ……、何……? 妖精……? 可愛い……、マイストロベリーフォーエヴァー……!? ちょっと、ちょっと、いかん。美味しそうすぎてオウガも食欲がそそられるのでは??? 血がとってもスイーティで甘そう……、ダメじゃろ……危険……クロトは私が守ろう……!」
 千之助もその度にちょっと脳がゆるゆるになってしまうもので。
 クロトのパジャマ選びは、(主に千之助の語彙がダメになっていく方向で)ヒートアップして行く。
 だいぶ女性向けのパジャマ混ざってましたね?
「あの、すみません、そろそろ……」
「今は取り込み中ですので!! その辺りで待ってて下さい!!」
 そんな中でもオウガが尋ねて来て、鋼糸でぐるぐる巻きにしてポイされる事しばしば。
 そうして。
 もたらされた結論は――。
「……うん、コレが良い、ですね」
「……え、それって」
「はい、君が着ているそれが良いな、って」
 ひらひらしていて暗器も隠しやすそうですし。
 なんて、視線を落とすクロト。
 そんな彼の様子に千之助は、こくりと喉を鳴らす。
「……そなた」
 え、ええー。お揃い?
 お揃いがいいの?
 か、かわいすぎでは????
 大丈夫?? 桜にさらわれちゃわない?
 千之助がだいぶ限界の時の顔をしている横で、クロトはナイトガウンを体へと纏い始め。
 彼へと向かって、小さく首を傾いだ。
「その、……着方を教えて頂いても良いですか?」
「ああ、勿論」
 二人がお揃いのパジャマに着替える頃――。
 放置されたジャバオウガ達は、放置されすぎてすやすやと眠っていた。
 ――おやすみなさい。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

サン・ダイヤモンド
【森】ふんわり白いヴィンテージネグリジェ

ブラッドを抱き締め共に透明化し接近
がおー!と突然現れ敵のパジャマ脱がし無力化

寝転んだ黒の上に跨ってしげしげ見詰め
ブラッド、熊みたい
でもこの熊は怖くない

将来の夢?
んー…わかんない

ゆっくりと体を倒し重なって

外の世界は楽しいけれど…一人だと、楽しくないの
僕は何も知らないから
皆に、迷惑かけちゃう

記憶喪失故の幼い中身
皆にはまだ馴染めず追いつけず
街で独り立ち竦みふと思う
ここに己の居場所はないと

黒の胸に顔を埋めた


ふふ
ありがとぉ、ブラッド

温泉、楽しかったね
小人の国も、恐竜に乗せて貰ったのも、ロボットバトルも
ハロウィンもクリスマスも

どんな道も、あなたと一緒なら歩んでゆける


ブラッド・ブラック
【森】熊の着ぐるみパ

透明化で敵へ接近寝巻きを奪う
抵抗するなら大食いで丸呑みに

ベッドに寝転び、乗ってきたサンを受け止める
これもパジャマだそうだ

さて、パジャマパーティーらしい話か
ふむ、サン
大人になったらやりたい事や、将来の夢等はあるか?
外の世界で楽しかった事や、もっとやってみたいと思った事でもいいぞ


予想外の答えに言葉失い
…いや、薄々気付いていた
目を逸らしていた
美しいお前なら全て大丈夫だと

胸の上感じる愛し子の熱と孤独
俺はこの孤独を知っている

…俺には居場所が無かった
だが今は違う
俺の帰る場所は大樹の森だ
其れはお前が居るからに他ならない

サン、俺は何時でもお前の居場所だ

嗚呼、もっともっと伴に世界を見に行こう



●ここにいる
 陽の光よりも淡い光。
 どこか眠気を誘う暖かい光に満ちた国。
 この国はどこもかしこもふかふかで、気を抜いたら眠ってしまう程に居心地が良いもので。
 顔を突き合わせてカードを並べてるジャバオウガも、大あくび。
 そんなオウガの座っているベッドの横。
 柔らかな床が重さを受け止めて、音もなくふかふかと沈んだ。
 ――いくよ、ブラッド。
 ……ああ。
「がおーっ!」
「きゃーっ!」「おばけ!?」
 白くてふかふかとした、ヴィンテージのネグリジェが突如ふうわりと揺れて。
 思わずカードを投げ出してオウガが叫ぶ。
 それは透明にして忍び寄ってきたサン・ダイヤモンド(apostata・f01974)の姿。
 驚いて目をどんぐりみたいにまあるくして叫んでいるオウガ達に、しゅるりと巻き付いた黒いモノ。
 サンの透明化の恩恵に与って、ベッドの反対側より現れたブラッド・ブラック(LUKE・f01805)が着込んだクマの着ぐるみパジャマの隙間から伸ばした柔らかな体で、オウガ達のパジャマを巻き取る様に脱がしてやる。
 すぽーんと景気よく脱げたパジャマがひらひらと落ち。
「何を、す、……あー……」「ぐー」
 カードにも、パーティにも飽きていたのであろう。
 腕を振り上げるもパジャマを脱がされた途端、抗えぬ眠気に囚われたオウガ達はその場で丸まって眠りだしてしまう。
 しゅるりと触手のように伸ばした体を蠢めかせて、常の姿にブラッドが戻った瞬間――。
「やった! 大成功!」
「!」
 そこにぴょーんと跳ねて抱きついてきたサン。
 彼が転げ落ちぬように腕を伸ばして受け止めて、そのまま押し倒されるような形でベッドへとブラッドは寝転がり。
 上に跨ったサンは悪戯げに笑って、じっとブラッドの顔を見つめる。
「ふふ。ブラッド、まるで熊みたい」
「嗚呼、これもパジャマだそうだ」
「面白いパジャマだねぇ」
 眠る時に熊になるなんて、と。
 ブラッドの上にゆっくりと体を倒したサンは、そのふわふわとしたパジャマの触り心地を全身で確かめるように。
「……でも、この熊は怖くないよ」
「そうか」
 ぺた、とブラッドの文字通り武骨な頬に手を伸ばしたサン。
 花色の彩を真っ直ぐに見据えながら、あまい蜂蜜色の眦を和らげて。
「……サンは、大人になったらやりたい事や、将来の夢等はあるか? 外の世界で楽しかった事や、もっとやってみたいと思った事でもいいが」
 パジャマパーティらしい話をしようと思考を巡らせた結果、久々に子どもと遊ぶ事になった距離感を測りかねている父親みたいな質問になってしまったブラッド。
 けれどサンはどんな言葉でも、ブラッドの言葉ならば真っ直ぐに応えるだけだ。
 瞳をぱちぱちさせて、ブラッドの瞳を見つめたまま。
「んー……わかんない」
 頬に当てた掌を滑らせて、ブラッドの胸の上へと当てた。
「外の世界は楽しいけれど、……一人だと、楽しくないの」
 選ぶように、サンはぽつぽつと言葉を零す。
 サンには昔の記憶が無い。
 体の大きさに対して、随分と幼い言動。
 自覚している、理解している。
 外の世界は残酷だ、外の世界は恐ろしい。
 街で独りで立つ――独りで立ち竦んでしまった時、ふと感じるのだ。
 嗚呼。ここは僕の居るべき所では無いのだろう、と。
 ――感じてしまうのだ。
 蜂蜜色の視線の温度は変わらず、じっと花色の彩を見据えている。
「僕は何も知らないから。――皆に、迷惑かけちゃう」
 そうして体をブラッドの上へと倒したサン、長い睫毛を揺らして瞳を閉じた。
「……」
 ――サンの言葉に、ブラッドは言うべき言葉を失ってしまっていた。
 ああ、いいや。
 本当は、――本当は薄々気づいていた。
 その孤独から、目を逸していたのだ。
 美しく穢れの無い彼ならば、全て大丈夫であろうと思い込もうとしていたのだ。
 呼吸に体を小さく上下させる白の、熱と孤独。
 ブラッドはその孤独を、――識っている。
 居場所の無い孤独。
 世界に色など無く、自らの心を置く場所も無い。
 ――ブラッドはその孤独を、体験した、理解した、識っている。
「サン」
「ん?」
「――俺は、何時でもお前の居場所だ」
「……ふふ。ありがとぉ、ブラッド」
 今のブラッドは、居場所を識っている。
 帰る場所は、大樹の森。
 サンの横。
 サンがいるから、あの森に帰るのだ。
 黒の腕が白を抱き、白は小さく身を捩って。
「ねぇ、ブラッド」
 ぽつり、と彼の名を呼ぶ。
「ああ、何だサン?」
 しっかりと彼は応じる。
「……温泉、楽しかったね」
「そうだな」
 ふ、と彼が胸の上で息をするのを感じる。
「小人の国も、恐竜に乗せて貰ったのも、ロボットバトルも」
「ああ」
 頬を寄せて、長い睫毛を揺らして。
「ハロウィンもクリスマスも。……楽しかったね」
「……ああ」
 サンはブラッドの瞳を見つめて、小さく微笑んだ。
 ねえ、僕ね。
 どんな道も、あなたと一緒なら歩んでゆけるよ。
 ――嗚呼。
 もっともっと伴に、世界を見に行こう。
 俺の、
 僕の、
 居場所は、ここにあるのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

都槻・綾
f09129/ユルグさん

寝間着は藍の浴衣

無理矢理な覚醒も
強制的な就寝も
何方も本意ではないですねぇ

でも偶には
眠りの底に浸ってみるのも良いかしら
とも思えど
どうせ何れ涯ては永い眠りに就くのだから
やはり起きて居なくては勿体ない

なんて
常から睡眠をとらない理由も
言い訳めいて

宴に飽きたオウガ達に
寝ないで済むよう物語を聞かせましょうか

などと穏やかに笑みつつも
紡ぐ童話は
もこもこ羊の夢物語
すやすや眠りの国を旅する冒険譚

ひつじがいっぴき
ひつじがにひき

次第に数を数えてみたり
ユルグさんと共に
敢えて欠伸をしてみたり
仕上げは馨遙で更に深い睡眠へ誘おうか
ふわふわの夢にお休みなさい

おや、
醒めて一番に聲を聞けるだなんて
贅沢だこと


ユルグ・オルド
f01786/綾と
態々誂えたのは絵に描いたような黒のパジャマ
寝ンのも起きるのも好きにしてェわと欠伸して

眠れンのも今の内だよ
なんて枕一つを投げてよこし
一緒に寝ちまえと沈み込む
まァ俺は宵っ張りですケド

横んなってブランデーに火を落としコーヒー注いで
寝物語と一緒に夜更かしする準備は万全
寝たい、寝たくない、そんなカップの中身と羊の話

えれえ長閑に広がる光景と声と羊が三匹
噛み殺した欠伸は演技でなくって
ああでもおやすみは云ってやんなけりゃア
落ちる瞼を撫でるのが、冷たい刃で悪いけど

ふわふわなうちに一緒に寝ちまう?
永遠には程遠い、底からだって叩き上げる
醒めて一番の挨拶を送るよ



●もこもこ羊の大冒険、羊増量バージョン
 藍色の浴衣の裾が、ゆうらりゆれて。
 都槻・綾(糸遊・f01786)はふかふかの床の上をゆっくりと歩む。
 ここはどこもかしこもふかふかで、パーティをしていないと眠たくなってしまうほど。
 床も、柱も、壁さえも、寝心地の良い夢の国。
「くぁぁ……」
 ベンチ代わりに設置されている柔らかな光を遮る薄布の重ねられたベッドに、この日の為に誂えたいかにもパジャマな真っ黒なパジャマを纏ったユルグ・オルド(シャシュカ・f09129)は腰掛けながら、大欠伸。
「しっかし、寝ンのも起きるのも好きにしてェわ」
 そのまま眦をこすって、首を左右に揺らすユルグ。
「そうですねぇ。無理矢理な覚醒も強制的な就寝も、何方も本意ではないところです」
 肩を小さく上げて同意を重ねた綾は、青磁色の瞳に睫毛の影を落とし。
「でも、偶には眠りの底に浸ってみるのも一興かも知れませんね」
 なんて、冗句を口に。
 ふくふくと笑う綾は、そもそも常より余り睡眠を取っていない。
「そうネ、偶にはイイんじゃァない?」
 ユルグはえいやっと綾に枕を投げてよこしてやると、カップを二つベッドのサイドテーブルへと置いて。
「あは。それでもどうせ、何れ涯てには永い眠りに就くのですから。――起きて居なくては、勿体ないでしょう?」
「やァね、眠れンのも今の内だよ」
 どこか言い訳めいた言葉と共に、枕を抱いてベッドへ腰掛けた綾にユルグはゆるゆるかぶりを振って。
 カップへブランデーを注ぐと火を落としてから、コーヒーを注ぎながら、――赤い視線を向ける先。
「綾はそっちのお客サンと一緒に寝ちまえよ、偶には眠りの底に浸ってみるのもイインでショ?」
「おや、宴が始まる前に眠ってしまうのは寂しいですね」
 でしょう? と。
 綾は柱の向こう側から覗いでいるパジャマ姿のオウガ達に、首を傾いで尋ねてみせる。
「あなたたちも眠らないで済むようにいらっしゃったのでしょう。ひとつ、物語は如何?」
 隠れていたつもりなのであろう。
 すこしぎょっとした様子のオウガは牙を剥き出しにして。
「ええ!? 結構だけど!? でもパーティしてないと寝ちゃうのでお願いします!」
「きくの?」「本気?」
「だって寝ちゃうじゃん」
「そうねえ」「そうだなー」
 オウガ達の返事に柔らかく笑んだ綾は、物語を紡ぎ出す。
 漂うはあまい馨。穏やかな馨。
 それはもこもこのひつじの夢物語。
 すやすや眠りの国を、ひつじたちが数を増やしながら旅を続けてゆく冒険譚。
「んふふ、そうね。ンじゃ、一緒に宵っ張りといっとこ」
 ユルグはブランデー入りのコーヒーを一口啜ってから。
 腰掛けたまま片刃の彎刀をしゃらりと抜けば、じゃれつくように飛び込んでくるオウガ達の攻撃を捌いて弾いて。
「ひつじがいっぴき。ひつじがにひき。ひつじたちはどんどんその数を増やして、数をかぞえてゆきます」
 更に綾は眠りに誘う馨を漂わせながら、物語を紡ぐ。
 仲間を増やしたひつじたちは、増えて、増えて。
「ひつじがさんびき、ひつじがよんびき――なァんてネ」
 増えて、増えて。
 次ぐように数を数えたユルグが、くわあ、とまた大きな欠伸を零して瞳をこする。
 綾も眠たげに欠伸を一つ。
「ひつじがごひき……、その話なんだかすごくねむ……くあ……」
「んー……、」「おなかすいたよおー、ふわわわ……」
 二人につられたようにオウガまで数を数えながら欠伸をする姿は、なんだかとても長閑に見える。
 抗えぬ眠気に、その牙も、爪も、どうにも動きのキレが悪くなってきたようで。
「さァて、……そろそろ、お開きの時間かしら」
 とん、とユルグが跳ねて、地を蹴った。
「ふあぁ……、ッ?!」
 オウガが半分以上眠りながら振り下ろした爪を、そのままユルグはカチあげ。彼らを眠らせる馨を止めた綾が、小さく頷いた。
 ――おやすみなさい。
 オウガの落ちる瞼を撫でるは、冷たい刃。
 刃の落ちたその身は溶けるように解けるように、彼の海へとおやすみなさい、おかえりなさい。
 素早く薙ぎ払ってから彎刀を鞘に収めたユルグは、改めてベッドへと戻ってくると残っていたコーヒーを全て飲み干し。
 そのままぼふんと、ベッドへと体を沈めてしまう。
 柔らかな布団は、ふかふかと彼の姿を呑み込んで。
「なァ、綾。――ふわふわなうちに一緒に寝ちまう?」
 それから。
 ユルグは今日一番の悪戯げな笑みを唇に宿すと、綾を見やり。
「おや、醒めて一番に聲を聞けるだなんて贅沢だこと」
 唇に三日月を。花笑みで応じた綾は睫毛を揺らした。
「あーァ、そうネ。永遠には程遠い、底からだって叩き上げる――醒めて一番の挨拶を送るよ」
「えぇ、えぇ、それは楽しみですねぇ」
 なんて。
 ユルグの横で寝転がった綾は、甘やかに瞳を眇めて――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

逢月・故
トキジちゃん(f23050)と

ナイトウェアに着替えて、ナイトキャップを付けたらパジャマパーティーの準備完了っと!
トキジちゃん準備出来たー?

んふふ、折角だしジャバオウガたちにちょっかい出しに行こっか
あーそびーましょー、ってね
ほらほら、眠気覚ましに枕投げでもしようよ
命中率はそれなりに良いんだよねぇ
ほらほら、遊びついでにナイトキャップ弾き飛ばしちゃえー
トキジちゃんパース!
あは、ナイスキャーッチ!

やっぱ、こういう遊びも醍醐味だよねぇ
これだけ枕が飛び交ってたら、ちょーっとくらいトランプ混ざってても分かんないかなー
トランプ遊びもしよー、サクサクサクッと
あ、マフィンあるじゃーん
トキジちゃんおやつ食べるー?


宵雛花・十雉
故ちゃん(f19541)と

おう、オレも準備完了だぜ
着慣れた浴衣姿で参加
お、故ちゃんの着てるやついいなぁ
こだわりのパジャマって感じ
なんていうモンなんだい?

おうおう、随分と辛気臭ぇツラしてんじゃねぇのジャバオウガさんよ
オレ達もパーティーに混ぜてくれよ
言って問答無用で枕投げ開始
パスされたナイトキャップをキャッチすれば得意げに笑って

いやぁ、やっぱパーティーは面子が多い方が楽しいわ
お、いいねぇトランプ遊び
…って、トランプ遊びってババ抜きとか神経衰弱とかじゃねぇの!?
思ってたのと違って驚いちまったけど、まぁこれはこれでいっか

お、甘いもん?食う食うー!
パーティーといやぁやっぱこれだよな



●パーティは突然に
 パーティをしていないと眠たくなってしまう程に居心地が良い、暖かな光。
 この国はどこもかしこもふかふか。
 床も、柱も、壁さえも、寝心地の良い夢の国。
 そんなもっちりと柔らかな床を、跳び跳ねるように。
 大きなうさぎの耳がぴょんと跳ねると、長い白黒の髪とナイトキャップもゆうらり揺れて。
「あーっそび、まーしょーっ」
 ナイトウェアを着込んだ逢月・故(ひとりぼっちのワンダーランド・f19541)は、そこら中に設置されているベッドの一つの前へと立つと、天蓋から下がった薄布のカーテンをぱーんと開いた。
「きゃーーっ!?」「なんですか!?」「えー? 何ー?」
 眠たげのごろごろしながらお話をしていたパジャマ姿のジャバオウガ達が、闖入者に口々に悲鳴を上げて。
「おうおう、随分と辛気臭ぇツラしてんじゃねぇのジャバオウガさんよ」
 そこに重なる威勢のよい声。
 枕を手にした宵雛花・十雉(奇々傀々・f23050)は、肌に馴染んだ浴衣姿で、すぱーんとジャバオウガに枕を叩き込むと、唇を三日月に擡げて笑った。
「オレたちもパーティに混ぜてくれよ」
「うんうん、眠気覚ましにも良いでしょー?」
 勝手にジャバオウガ達のマカロンを一粒齧りながら、故がにんまり言葉を重ねるとジャバオウガ達はぴゃっと肩を跳ねて。
「あーっ、何ですかー!」「ごちそうじゃん」「確かにー」
 ほとんどいじめっ子の登場方法だったが、ジャバオウガ達だって人食いのオウガだ。
 ただやられている訳では無く、枕をぽーんと投げ返し――。
 枕を投げたその時点で、二人のペースに乗せられているともいうのだけれど。
 まあ、それはそれだ。
「んふふ、とーった! トキジちゃーん」
 そんな彼らの前にぴょんと飛び込んだ故は、枕を拾い上げるモーションから速やかなフェイントをかけて、彼らのパジャマの帽子やパジャマを剥いで。
「パース!」
 丸めて投げると、十雉は上手に受け止める。
「あは、ナイスキャーッチ!」
「いやぁ、やっぱパーティーは面子が多い方が楽しいわなぁ」
「うんうん、やっぱこういう遊びも醍醐味だよねぇ!」
 爽やかに笑み合う二人の横で、ジャバオウガ達は阿鼻叫喚。
 だってパジャマを着ていないと、着ていないと。
「ああー、返してー返してー」「なんてひどいことをー」「……ぐう……」
 もうパーティには飽き飽きしていたのであろう。
 一瞬で訪れた抗えぬ眠気に、瞳を瞑って眠りだすジャバオウガ。
 あわあわと枕を手にするジャバオウガ。
 牙を剥き出しにして、ナイトキャップへと飛びかかってくるジャバオウガ。
 もはやメチャクチャだが、やることは敵への対応に決まっている。
 枕も、牙も、爪も――、二人へと向かって殺到する攻撃。
「よ、っと」
 さっと枕をキャッチした十雉は、冷静に飛びかかってきたジャバオウガの攻撃を全て枕で受け止めて。
 裂かれた枕が爆ぜるように羽毛と綿が溢れさせる。
「ねえ、ねえ、トランプ遊びもしよーよ」
 そこに。
 撒き散らされた羽毛の合間を縫って、鋭くトランプがジャバオウガへと放たれた。
 悪戯げに首を傾いだ故は、続けてトランプを一枚、二枚。
 そのカード達は鋭い刃の如く、ジャバオウガのパジャマを切り裂きゆく。
「ぴゃっ」
 ごろんと転がると眠さの限界を迎えたのであろう、寝息を立てるジャバオウガ達。
 その様子に十雉は目をまん丸くして。
「……トランプ遊びってババ抜きとか神経衰弱とかじゃねぇの!?」
「んんん、遊び方にも色々あるよねー」
 故は肩を竦めて、ねー、なんて首を傾ぎ。
 ジャバオウガを雑にベッドの横に転がすと、マットレスへとぼふんと腰掛けた。
「まぁ、いっけどさ。アリスラビリンスのトランプ遊びってのは随分激しいんだなぁ」
「あは、そうだよー。トランプにはオレ以外だーれも触れないの」
 十雉の言葉にベッドに刺さったトランプを拾い上げながら、故は笑う。
 それから顔を上げると――。
「あ、マフィンもあるじゃーん。トキジちゃんおやつ食べるー?」
 サイドテーブルのアフタヌーンティースタンドへと手を伸ばした。
「お、甘いもん? 食う食うー!」
 ぴかぴか笑顔で応じた十雉が、受け取ったチョコチップマフィンを一口。
「パーティーといやぁ、やっぱごちそうだよな。……そういやさぁ、故ちゃんの着てるパジャマってなんていうモンなんだい?」
「ん? これはねー」
 戦いながらだって、パーティができるのだから。
 戦い終わった後だって、もちろんパーティの時間。
 慣れた様子でティポットから紅茶を注ぐ故は、くすくすと笑いながら十雉を見やって――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

守田・緋姫子
【黒玉と参加】
不思議の国でパジャマパーティー!(ハイテンション)
ボードゲームをたっぷり持って行こう(リュックにギチギチに詰める)
お菓子は黒玉に任せるぞ!

私のイチオシはスマホゲームのダーク・シャドウだ。一晩で黒玉を決闘者に育て上げてやるぞ、フフフ...

そういえばオウガがいるんだったな!
今いいところなんだ。
『邪魔するな!』

さて、せっかくのパジャマパーティーだ。黒玉には何か浮いた話でもないのか? ないか。残念。じゃあ好みのタイプは?
そ、そうか、雄ですか...。
私は...頼りがいのあるイケメンがいいな。同世代はダメだ。ガキ過ぎる。まあ、このナリだから私に彼氏はできないだろうが(青白い顔を髪で隠す)


日輪・黒玉
【緋姫子と参加】
他の世界にはそのような催しで盛り上がる風習が
緋姫子さんに頼まれましたので、私はお菓子を用意しましょう
さて、どんな物が好みだったでしょうか……

いや、緋姫子さんがなるのではないですね……私は別に構いませんが
ゲームでもやる以上は最強を目指しますよ、私は

ああ、オウガ退治もしないといけませんか
見え見えの一撃など怖くもありません
射程外から高速移動で攪乱、こちらを見失った所で一気に接近し、蹴り裂きます

浮いた話、と言いますと?
番の話でしたか、そういうものはまだですね
好みといえばやはり強い雄がいいですね


緋姫子さんは可愛らしい身なりをしていますので、会う機会があれば求めてくる雄も多いのでは



●デュエル・スタンバイ
 なんだか眠たくなってしまいそうな柔らかな光が降り注ぐ、お布団の海。
 枕からは心が落ち着きそうな、甘い香りが漂っている。
 こつんと突くと光の消える、ぷかぷか浮く星型の灯り。
 ここはパーティでもしていないと、眠たくなってしまいそうな夢の国。
 お布団の上にたっぷりと広げられたのは、チョコレートにおせんべい。
 ゲームをしながらでも手の汚れないという謳い文句のスナック菓子に――。
 沢山のボードゲームの山!
「フフフ、私のイチオシはこのダーク・シャドウだ!」
 守田・緋姫子(電子の海より彷徨い出でし怨霊・f15154)が、布団の上へと鞄がはち切れてしまいそうな程詰め込まれていたボードゲームを丁寧に広げてから。真っ直ぐに差し出したのは――スマートフォンであった。
 物々しい雰囲気のタイトル画面とにらめっこをした日輪・黒玉(日輪の子・f03556)は、いつもの半眼に瞬きを一度。
「そちらのボードゲームでは無いのですね」
「勿論ボードゲームもするぞ! しかし、このダーク・シャドウは実によく出来たカードゲームなんだ。是非クロタマにはプレイして欲しくてな。――クロタマの事は、一晩で立派な決闘者に育て上げてやるぞ!」
 にんまり笑う緋姫子に、相も変わらず動かぬ表情筋の黒玉。
「緋姫子さんが決闘者になる訳ではないのですね……、いえ、別に構いませんが」
 前の乙女げーむとやら程、勝敗の分かりづらい物でも無いようですし、と。
 スマートフォンを覗き込み。
 それから――ぴぴぴ、と獣の耳の先を揺らして、冴えた青色を一度眇めた黒玉は細く息を吐いた。
「せっかくやる以上は最強を目指しますが――、先に退治をしなければいけないモノがいるようですね」
「ああ、そのようだ。……折角クロタマがやる気を出したんだ」
 『邪魔を、するな!』
 黒玉が地を蹴ると同時に振り向いた緋姫子は、腕で大きく宙を薙ぎ払うように宣言を重ね。
「ミャッ!?」
 布団に潜り込み迫ってきていたジャバオウガを、長い前髪の下で輝く瞳で睨めつければ死の印を刻み込む。
「……!」
 それと同時。
 一瞬で距離をジャバオウガへと詰めた黒玉が、柔らかい布団を固めるようにぎゅっと踏みしめる。
 刻印に背く痛みに、一瞬遅れるジャバオウガの動き。
 その横から飛び出してきた別のジャバオウガが牙を剥き出し、黒玉へと襲いかかり――。牙が肩口に掠めたか、掠めていないか。
 ステップで躱した黒玉は、食らいついて来た敵のサイドへと眼にも見えぬ速度で回り込み。
 鋭い鞭のように足を撓らせて蹴りを叩き込むと、纏めて敵をパジャマごと蹴り裂いた。
「ナイスキックだ、クロタマ!」
「チームで狩りにやってくるのは悪くなかったですが、私たちを狙ったのは失敗だったようですね」
 クッションを抱いて、既に観戦体勢に入っていた緋姫子はやんややんや。
 黒玉は当然ですよ、なクールな表情を保ちつつ。耳をぴこぴこさせながら彼女の横に腰掛ける。
「そう言えば、クロタマには何か浮いた話は無いのか?」
「……浮いた話、と言いますと?」
 スナック菓子を一口齧った所で、緋姫子は『パジャマパーティ』らしい話題を思いついた表情。
 黒玉は言葉の意味を飲み込めない様子で、浮き? 釣り? 風船? と、スマートフォンを操作する指を止めてしまう。
「ほら、色恋沙汰とか、恋愛とかそういう話だな。クロタマは誰か気になる相手は居ないのか?」
「番の話でしたか、……そういうものはまだですね」
 ああ、と納得した黒玉は、左右に首を振り。
 番……と思いはせど、口にはしない緋姫子。
「そうか、無いか。……残念だな。じゃあ、好みのタイプは?」
「好みといえば、やはり強い雄がいいですね」
 人狼ですから。
 黒玉は表情も変えずに、当然でしょうと言わんばかりの口調で即答する。
 男じゃなくて……雄なんだ……って思いはせど、口にはしない緋姫子。
「そ、そうか……、雄ですか……」
 あっ、言っちゃってる。
 別段気にした様子も無く、カードデッキをセットしだす黒玉。
「あっ、そのカードは入れておいたほうが良いぞ。環境だ」
「はい、分かりました。……そういう緋姫子さんの、好みの雄のタイプはどのようなタイプなのですか?」
「うん? 私は……、まあこのナリだから彼氏はできないだろうが……」
 無意識にだろうか。
 緋姫子は生気の感じられぬ青白い顔を、前髪で覆うように顔をうつ伏けて。
 ぽつりぽつりと言葉を紡ぎ出す。
「……頼りがいのあるイケメンが良いな。同世代はダメだな。ガキすぎて相手にならん」
「――?」
 黒玉は緋姫子の様子の変化に、首を傾ぐ。
「緋姫子さんは可愛らしい身なりをしていますので、会う機会があれば求めてくる雄も多いのでは?」
 本当にそう思っているのであろう。自然に言葉を紡ぐと、スマートフォンをタップして。
「……雄か」
「雄ですね」
 前髪を一度撫でた緋姫子は黒玉の言葉をなぞり、黒玉も復唱。
 それから、ふ、と緋姫子は息を漏らした。
「フフフ……そうか、まあ、そうか。あっ、クロタマ! そこはスキルを使ったほうが良いぞ!」
「はい、分かりました、これですか?」
「そう、それだ。流石飲み込みが早いな」
 ふかふかのお布団の海の中。
 いい匂いのする枕に、柔らかな光。
 好みを考えて大切に選ばれたお菓子に、楽しんでもらいたくて厳選したボードゲームの山。
 少女たちのパジャマゲームパーティは、まだまだ続くのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

終夜・嵐吾
せーちゃん(f00502)と

ぱじゃぱ、というものはしたことなかったの
酒飲んでそのまま爆睡はあったが…
えっ、わしだけ?そいえば次の日は尻尾がつやつやと…
あれはせーちゃんの仕業か…!
せーちゃんはねこさん柄
そんな気がしてわしも狐の尻尾柄にしといた
耳もおっけーなナイトキャップつきじゃよ

さてなにしよか~
オウガとトランプするか?
トランプにはちと自信がある
ふふ、やつらを負かして剥いでやろうではないか!

おーい、ばばぬきしよ~!
ふふ、このやる気のなさなら隙をみて脱がし…
虚の腕で全部叩き潰してしまお!

それまではトランプを楽しみ…
あっ、せーちゃんわしにババまわしてきおった…!(顔に出る)
くっ、この箱容赦ない!!


筧・清史郎
らんらん(f05366)と

ぱじゃぱ、か
よくは分からないが、初めての事は心躍るな
酒を飲んで寝るのはいつもらんらんだけだろう?
まぁその間、尻尾をもふらせて貰っているがな(微笑み

冬はトナカイさん着ぐるみが寝間着だが
UDCアースの寝具売場で勧められた気に入りの夏用ぱじゃまで参ろう(ゆるかわ猫さん総柄パジャマ)
あとは共に勧められた、るーむしゅーずと帽子
この滑り止めの肉球と猫さん耳が良い逸品だ(ご満悦
おお、らんらんの狐さん尻尾柄も良いな

ばばぬきならば先日ルールを覚えたばかりだ(きり
楽しく遊びつつ、さり気に桜吹雪舞わせオウガにはご退場を

さあ、次はらんらんが引く番だ
ふふ、俺は残りあと1枚だぞ?らんらん(微笑み



●かわいいパジャマの成人男性達
 パジャマパーティを予知には見た事があるが、――実際に自分が体験する事は初めてだ。
 冬用のトナカイさん着ぐるみでは暑いだろうと、今回の為に誂えた猫さん柄の可愛いパジャマ。
 合わせた猫耳帽子でかわいく着飾った筧・清史郎(ヤドリガミの剣豪・f00502)は、朗らかな笑みを唇に宿し。
 歩くとぷきゅと音のする猫ちゃんルームシューズで一歩踏み出せば、ふかふかの床が体重をふっくらと受け止めてくれる。
 そのまま周りをぐるり見渡すと、柔らかな光の差す布団の海。
 重ねられた薄布が、光を更に和らげ。
 壁も、柱も、床も、ぜーんぶふかふのもっこもこ。
 ベンチ代わりのベッドに、並べられたお菓子や軽食。
 柔らかなクッションに、枕、お布団だってそこら中に敷き詰められている。
「ふむ、ふかふかのもこもこだな」
 なんともご機嫌な風景に、清史郎はこっくりと一度頷いて。
「そじゃね、ふかふかのもこもこじゃ。この辺りはこんな感じなんじゃね」
 同意の言葉を重ねた狐の尻尾柄の可愛い可愛いパジャマ姿の終夜・嵐吾(灰青・f05366)は、ナイトキャップの耳穴から獣耳をぴょいと立てて。
 以前訪れた辺りとはまた違った、お布団の海具合にほうと感心したように息を漏らす。
「しっかし。せーちゃんとは酒を飲んでそのまま爆睡した事はあったが……、ぱじゃぱは初めてじゃの」
「ふむ? 酒を飲んで寝てしまうのは、いつもらんらんだけだろう?」
 ふかふかの可愛いひよこちゃん型クッションを拾い上げた清史郎は雅やかに微笑むと、嵐吾の蜂蜜色と視線を交わして。
「まぁ、らんらんが寝てしまった後は、いつも尻尾をもふらせて貰っているがな」
「えっ? わしだけ寝て……えっ? そういえば寝落ちした日は妙に尻尾がつやつやしとると思ったが……、えっ??? あれせーちゃんの仕業? せーちゃんの仕業なんか!?」
 清史郎がただにっこり微笑んだのは、きっと肯定の笑みなのだろう。
 いいや、抱きしめたひよこちゃんクッションが嬉しかっただけかも知れないけれど。
 尻尾もふもふの妖精だか妖怪みたいな話に、嵐吾はなんとなく自分の尾を見下ろして、ゆらゆら。
 そこへ。
 脇のベッドからぴょーいと飛び出してきたのは、数匹のジャバオウガたちであった。
「やいやい、お前たち。ここをただで通ろうと言う訳じゃァないだろうな!」「だろうなー!」
「えっ、まって、何でオイラが勝ってたのにトランプ投げてでてくの? おかしくない?」
「うるさい! 敵だ!」「うるさーい!」
「なんでえ!?」
 わちゃわちゃとするジャバオウガたちを、きりりと睨めつけた嵐吾は一度顔をうつ伏けて。
「ふむ……」
 飛んできたトランプを一枚拾い上げると、ぴしっと差し出した。
「つまりトランプで勝負かの!」
「ああ、ばばぬきなら先日るーるを覚えたばかりだ」
 涼やかに同意を重ねた清史郎。
 そんな二人に、ジャバオウガたちは眼をぱちくり。
「いや……オレたちはもうカードは……」「やろうやろう!」「またオイラが勝つんだからな!」
 嫌がるジャバオウガを尻目に、何故か乗り気の仲間たち。
「えっ?」
 困惑するジャバオウガ。
 清史郎と嵐吾は、既に先程までジャバオウガ達がカードゲームをしていたベッドを陣取り、腰掛けてしまっている。
「それでは勝負だな」
「わしは……結構強いからの!」
 猟兵仲間内で、ばちばちと散る火花。
 ついでにはらはらと舞う桜吹雪。
「よっしゃ、始めるぞう!」「オレ……お腹すいたんだけど……」「やろうやろう!」
 渋々と流されるジャバオウガも席につけば、始まる猟兵オウガ混合ばばぬき大会。
 しゃらしゃらとカードの擦れる音が響く中。
 暗躍するは嵐吾の眼窩よりこぼれ落ちた虚の姿。
 影が蠢いたかと思うと、パジャマが引き裂かれ――。
「……おい、何寝てんだ?」
「ぐう……」
 はた、と気づいたジャバオウガが仲間を揺り動かすが、既にぐっすり。
「おや、ゲーム中に寝てしまうとは仕方がないの」
 しれっとした様子で嵐吾が肩を竦めていると、ひいらりひらり。
 桜の花弁が舞い散って――。
「っていうか、パジャマが脱げ……? ……ん、んん、ん……ぐう……」
 文句を言っていたジャバオウガも、一瞬で抗えぬ眠りに飲み込まれる。
 桜の花弁でジャバオウガのパジャマを裂いた清史郎は、キリリと嵐吾と視線を交わして。
「オウガ達が眠ってしまった今、――次はらんらんが引く番だな」
 手に持った最後の1枚。
 トランプを口元に寄せて唇に三日月を宿して笑む、清史郎。
「くっ……この箱……っ! 真面目に仕事をしている事を逆手にとってきおった……!」
 涼しい顔の清史郎の容赦無い戦法に、嵐吾はぎりりと奥歯を噛む。
 この箱ずるい。ずっこい!
 差し出されたジョーカーを受け取るしか無くなってしまい、虚の腕でベッドをばんばん叩き。
「せーちゃん、もっかいじゃ! 今のはノーゲームじゃろ!」
「ふふ、良いぞ。受けて立とう」
 本物の獣耳と偽物の猫耳が突き合わされ、視線の間でばちばちと散る火花。
 二人のカードバトルはまだまだ続くようで――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

トゥール・ビヨン
【王都ロワ】

アドリブ歓迎

/
パジャマパーティーってボク初めてだからすごくわくわくしてるよ。
攻略のためもあるけどみんなで楽しんで行こう!

/
ロワのみんなとパジャマパーティーだ!

パジャマは折角だからアリスラビリンスの雰囲気にあうように可愛いのを用意していこう。
ウサ耳フードがついた真っ白なパジャマ、時計ウサギみたいでしょ。

お菓子をみんなで持ち寄って美味しく食べながらトランプをしよう。
ロワに美味しいカップケーキを出すお店があるからそこで買って行くね。

ゲームは神経衰弱だ。
うーん、スペードの3は……これだ!
あちゃー、外れだ

/
あ、ジャバオウガ達を倒さないと……寝てるね
倒す必要があるならパンデュールを持ってくるよ


クレア・オルティス
【王都ロワ】

アドリブ歓迎

みんなとパーティー…!思いっきり遊んじゃおう…!
ふあふあの世界だ…!クッションの海にダイブ!

私のパジャマは綿あめみたいなもこもこ羊さんきぐるみ風パジャマだよ
ちゃんとくるくる角も付いてるの

面白いお菓子を買ってきたんだ…!
口の中にいれるとパチパチ弾けるキャンディーだよ
ちょっとびっくりしちゃうかも?
皆のお菓子はどんなの?いっぱい食べたいな…!

神経衰弱…?記憶力が試されるゲームなんだね
ふふふ、負けないよ…!あれれ?どのカードだったっけ…?

ジャバオウガさん気持ちよさそうに寝てるね…
もし起きることがあるなら…安らかに眠らせてあげるよ…
羊が一匹羊が二匹…おやすみなさい…(指定UC)


パルピ・ペルポル
【王都ロワ】

みんなでパジャパ、楽しみね。
わたしのパジャマは形状は普通のデフォルメ羊がちりばめられた柄よ。
みんな可愛いの着ててなごむわねぇ。

お菓子はアップルパイ作ってみたわ。美味しい林檎が手に入ったから。
(巨大な林檎の国産なのである意味現地調達)
いつものドライフルーツや干し肉や鮭とばもあるわよ。
お茶も何種類か用意したわ。

お菓子つまみつつ神経衰弱で遊ぶとしましょう。これならカード持たなくていいし。
えーと確かこっちのカード…あっ、隣だったかしら…?

ジャバオウガは邪魔してこなければ放置しておくけど。
邪魔するならハンモック(という名の捕獲網)用意してあげるからさっさとおやすみなさいな。



●パジャマ・ティ・パーティ!
 柔らかな床に、柔らかな壁、柱も、机さえも、ふかふかもこもこ。
 お布団の海に、いい匂いのする枕にクッション。
 見渡す限り全てがふわふわ、もこもこの世界。
 そこら中に掛けられた薄布のカーテンが、降り注ぐ柔らかな光を更に和らげている。
 パーティでもしていないと、とてもじゃないけれど起きては居られなさそうな居心地の良さげな夢の世界。
 そんな世界を象徴するみたいな綿あめみたいにふかふかもこもこの羊さんが、ぴょーんとクッションの海に飛び込んだ。
「わあ……、ふあふあ、ふかふかだあ……!」
 くるくるの可愛らしい角まで付いた羊の着ぐるみパジャマを着込んだクレア・オルティス(天使になりたい悪魔の子・f20600)は、柔らかなクッションをぎゅうっと抱きしめて。
 そこに続いて飛び込んできたのは、羊さんのちりばめられたパジャマを纏った小さな妖精。
 透けるほど美しい翅をはらはらとはためかせたパルピ・ペルポル(見た目詐欺が否定できない・f06499)が、クッションに沈むクレアの横のクッションにころんと転がった。
「ふふ、本当だわ。……もふもふは良いものねぇ」
 クレアの言った通り、クッションの山はふかふかもふもふ。
 焼き立てのパンの白い部分に飛び込んだならば、きっとこんな感触なのだろう。
 ころんと転がったパルピとクレアは、顔を見合わせると眦を和らげあい。
「ふたりともー、パーティ会場はこの辺りで良いかな?」
 たっぷりごちそうの詰め込まれたバスケットを下げたトゥール・ビヨン(時計職人見習い・f05703)は、どこか時計ウサギめいたうさ耳フード付きの真っ白パジャマ姿。
 パンデュールで運んでくるべきだったかな、ちょっと妖精の体には積載量オーバーかもしれない。
「よいしょっ」
 耳がぴょんぴょん、体はふらふら、ひぃらひら。
 なんとか机の上にバスケットを軟着陸させると、バスケットの持ち手に腰掛け少しばかり翅休め。
「わ……、トゥールありがとう!」
「あっ、手伝えば良かったわね、大丈夫?」
「うん、大丈夫大丈夫。女の子に荷物を持たせる訳にはいかないからね」
 クッションを抱いたまま体を起こしたクレアとパルピの言葉に、トゥールはぱっと笑ってはたはた翅をはためかせる。
「それに、パジャマパーティーって初めてだから。ボク、すごくわくわくしてるんだ!」
「うんうん、今日は思いっきり遊んじゃおう……!」
「ふふ。それにしてもパジャマ姿がみんなとっても可愛くて、なごんじゃうわねぇ」
 楽しげに笑うトゥールに、クレアが同意を重ねれば。
 パルピもくすくす笑って空を跳て、クレアの肩の上へと腰掛けて。
「そうそう。今日は腕によりをかけて、アップルパイを作ってみたのよ」
「わ、本当? 美味しそうな匂いがすると思ったんだよね」
 巨大な林檎の国で美味しいりんごが手に入ったから、なんてパルピが言葉を紡げば。
 歓声をあげたトゥールがバスケットの上に重ねられた布巾を持ち上げると、あまあい香りが周りに漂った。
「あ、いつものドライフルーツや干し肉や鮭とばもあるわよ?」
 それに、スモークサーモンも、と。パルピが立ち上がったクレアの肩から飛び立ち、バスケットからいろんな食べ物や、お茶を取り出しはじめ。
「わあ、パルピさんの領地でとれた手作りのヤツだよね? ボクはね、カップケーキを持ってきたよ。ほら、ロワのあのお店の、さ」
「わっ……! あのカップケーキが美味しいって有名なお店? ……えへへ、食べるのが楽しみだな」
 花笑むクレアがアップルパイとカップケーキを並べ終えると、次に取り出したのはぴったりとした小さな袋。
「わたしはね、面白いお菓子を買ってきたんだ……口の中に入れるとぱちぱちって弾けるキャンディーだよ」
 ふたりとも、ちょっとびっくりしちゃうかも? と。
 クレアが悪戯げな笑みを唇に宿して、器にキャンディーを入れる。
「えっ? わっ! ホント、ぱちぱちするわね、これ」
 器にあけられたキャンディを、早速口にしたパルピは眼をどんぐりみたいにまあるくして。
「ふふふ、パジャマパーティらしくなってきたね……!」
「そう、ん、う。……まだぱちぱちするわね……」
 アップルパイを皿に取り分けるクレアに合わせて、口の中をもごもごさせているパルピがティポットにお茶を淹れはじめ。
 トゥールはよいしょと、バスケットの一番底に入っていた箱を引っ張り出した。
「それじゃ、沢山食べながら――ゲームをしようか!」
「ゲーム?」
「まあ、何をするのかしら」
 紅茶の芳しい香りがふんわり漂うテーブルの上へと、彼はトランプをテーブルに並べだし。
「パジャマパーティといえば、カードゲームらしいからね」
 微笑んで宣言するトゥールの先導で、始まるゲームは神経衰弱だ!
「あっ、これこれ! うん、コレがペアのはずだよ!」
 はたはたと翅をはためかせた、トゥールが自信満々でカードをひっくり返し。
「……あれ?」
 不思議な事に、ハートのエースと、スペードの5がお目見えして空中で首を傾ぐトゥール。
「あちゃー、外れちゃったな」
「ふふふ、トゥール! 抜かったわね! エースのカードは、……こっちよ!」
 またまた自信満々の妖精登場。
 とうっ、とパルピがひっくり返したカードは、キングのカード。
「……? こっちだったと思ったけれど、あらら……?? あっ、隣だったかしら…?」
「あはは、……あれ?」
「あれれ、ど、どのカードだったっけ……?」
 トゥールが笑いながらもこんがらがってしまった記憶に、首を傾げて。
 自分の番を待っていたクレアも、トゥールと同じ方向に首を傾いで瞳をぱちぱち。
 なんとも記憶力を試されるゲームに、みんな四苦八苦。
「えーっと……、これが、あれで……」
 真剣にカードに向き合っていたクレアは、はたと思い出した。
「――あっ、そう言えば、さっきオウガたちが来ていなかった?」
「えっ。あっ。そういえば少し待ってって言った覚えがあるや!」
 トゥールも思い出した様子で周りを見渡すと、パルピが人差し指を口に当てて、しいーっと微笑んでいる。
 その目線の先、テーブルの下を見下ろすと――。
 待ってと言われてカードゲームが終わるまで礼儀正しく待ってくれていたのであろう。
 待ち飽きてしまったオウガたちが、ぐうぐう眠っていた。
「……ふ、ふふっ」
 一度顔を見合わせた三人はくすくす笑い合って、カードゲームを再開する。
「よーし、負けないよ!」
「ふふふ、……わたしも負けないからね」
「……それにしても、このカード勝手に動いたりしてないわよねえ?」
 お供には温かいお茶に、美味しいごちそう達。
 暖かな光に、ふかふかのクッションに、おふとん。
 オウガ達をなんとなく撃退した猟兵たちのパジャマパーティは、まだまだ続くようだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

浮世・綾華
セト(f16751)と

寝巻は浴衣

ふふ、元気
よいしょと傍らのベッドに転がり
まじだ、めっちゃ寝心地いい

嗚呼、いいな
俺のこと?そうだなぁ

俺はヤドリガミだから
みんなが…セトが家族って呼ぶような存在はいないかも
あ。でも今一緒に住んでる奴がいるから…
そいつは生まれた時から一緒だし
まあ家族みたいなもんかもな
何か考えているセトには目を細め首を傾げ

セトの家族とか育った場所のことはお邪魔したし分かる
優しい人達がいっぱいいるとこだった
セトが良い子に育つわけだと納得できるような

あ、そうそ
こういう時は恋バナ?とかするらしいよ
セト、好きな女の子とかいないの

え、ほんと?
あはは、じゃあ出来たら教えてよ
相談乗るし!

攻撃は花弁で


セト・ボールドウィン
綾華(f01194)と

いつも着てる生成り色のシャツにハーフパンツ
無地で飾りもないけど着心地が抜群

目についたベッドに走ってダイブ
あっ、すげーふかふか!綾華も早く!

さて。何しよっか
のんびりお喋りでもする?

そうだ。俺、綾華のこと聞きたいな
家族のこととか、育った場所のこととか
クッション抱えてごろり上目で

家族、居ないんだ
…寂しくなったりしないのかな
でも、綾華は友達いっぱい居るから、そんなことないのかな
一緒に住んでる…前に聞いた、兄弟みたいなヒトのことかな
仲良いのかなあ

ふんわり考えながら聞いてたら
不意に振られた話題にどぎまぎ

すっ…!?
おれ、そんなのいないしっ!ほんとだし!!

攻撃はUCで作った枕をぶん投げる



●やさしいことば
 布団の海、クッションの山。
 ベンチ代わりに置かれている様子の沢山のベッドに、柱から柱に向かって掛かる薄布。
 降り注ぐ柔らかな光は、なんとも眠たくなる絶妙な明るさだ。
 床も、柱も、壁も、どこもかしこもふっかふか。
 栗色の髪を揺らして掛けてきたセト・ボールドウィン(木洩れ陽の下で・f16751)は、生成り色のシャツにハーフパンツ姿。
 ふっかふかの床をきゅっと踏み込むと、大きなまあるいベッドに飛び込んだ。
「あっ! すげー! このベッド、すっげーふかふか! 綾華、綾華も早く!」
 飛び込んだ勢いでお布団に沈み込んだセトが、お布団魔人と化しながら浮世・綾華(千日紅・f01194)へとぶんぶん腕を振る。
「ふふ、元気」
 お布団の魔人になっちゃってるなあ、と。
 唇に笑みを宿した綾華も、合わせてベッドへとごろんと寝転がり。
「わ、まじだ。めっちゃ寝心地いいね。たしかにこれは……パーティでもしていないと眠っちゃいそうネ」
「ね。ちょっとやべー感じするよね。なーんにもしないでこのまま寝ちゃいたい気持ち、わかるなー」
 沈み込んでいたお布団の中から、やっとの事で顔を出したセトが悪戯げに笑う。
 でも今日はお仕事だ、そういう訳も行かない訳で。
 ころんと転がるように、セトはお布団を纏ったまま上半身を持ち上げる。
「さて。何しよっか。のんびりお喋りでもする?」
「嗚呼、いいな」
「へへっ、それなら俺、綾華のこと聞きたいな!」
「……俺のこと?」
「そう! 綾華のこと! 家族のこととか、育った場所のこととかさー」
 ねえ、と瞳をぴかぴか輝かせたセトは、傍らのクッションを拾い上げてぎゅっと抱きしめて。
 赤い赤い瞳を眇める綾華が、そうだなぁ、とベッドの天蓋を見上げた。
「俺はヤドリガミだからさ、みんな――セトが家族って呼ぶような存在はいないかも」
「え。……居ないんだ」
 綾華の答えにセトは、思わずトーンを下げた言葉をほろりと零してしまう。
 家族がいない、なんて。
 セトには想像がつかないことだった。
 だって、セトには優しい家族がいつだって居てくれたものだから。
 ……――綾華は寂しくなったりしないのかな。
 でも、綾華には友達がいっぱい居るから、そんなことないのかな。
 なんとなく口にし難い考えがぐるぐると頭をよぎって、セトはただ綾華を見上げて――。
「うん、まあ、そーネ。でも、今、一緒に住んでる奴がいるから。……そいつは生まれた時から一緒だし、まあ家族みたいなもんかもな?」
 なんだかしょげてしまったように見えるセトに、綾華は瞳を細める。
 ああ、きっと、この優しい子は俺の事を考えてくれているのだろう。
「そっかぁ」
 前に聞いた兄弟みたいなヒトのことかな、なんて想像を巡らせたセトは瞬きを重ねて。
 仲良いのかなあ。
 ……きっと、仲が良いんだろうなあ。
 だって俺だって綾華の事は、とっても大好きだもん。
 ずっと一緒に住んでるなら、きっと仲良しなんだろう。
 なんて。
 自分の想像だけど、セトはすこうし笑って。
「――……」
 綾華は独りで百面相を始めたセトに、首をただ傾いだ。
 きっと、きっと。
 セトは今、綾華の答えた言葉に対して、いっぱい悩んでくれているのだろう。
 なんたって。
 綾華はセトの家族にも会った、育った場所にも訪れた。
 彼が良い子に育った理由がたっぷりつまった優しい人たちと、優しい場所に出会ったのだから。
 唇に笑みを宿した綾華は、眦を和らげて。
「あ、そうそ」
「ん?」
「そういえば、こういう時は恋バナ……とか、するらしいよ。ね、セト、好きな女の子とかいないの」
「すっ……!?!!? っ、えっ、す……えっ、お、おれ、そんなのいないしっ!」
 不意打ち気味の質問に、眼をまんまるにしたセトはぴゃっと体を跳ねて。
 考えていた事が一気にぽーんと吹っ飛んでしまう。
「え、ほんと?」
「ほ、ほんとだしっ!」
 どぎまきしてしまったセトが、頬を真っ赤に染めてぷるぷる首を振り。
 綾華は肩を竦めて、慌てすぎてお布団虫になりつつあるセトの背をぽんぽんと叩いて。
 その焦りっぷりに――ふふ、と思わず溢れる笑い声。
「あはは、じゃあ出来たら教えてよ。相談なら乗るし、ネ」
「えっ、うーっ」
 ――セトは良いものを見つける事が得意な良い子だから。
 言葉にすればきっと彼はもっと慌てて照れるだろうから、言葉にはしないけれど。
 きっと、きっと。
 そんな相手が出来たとしたら、いい子なんだろうな、なんて。
 綾華はくすくすと笑いながら、睫毛を揺らす。
 ――さあて、次は何の話をしようかな。
 まだまだパジャマパーティは、始まったばかりなのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

五曜・うらら
【シーらら】
なんと、寝間着で語り合わねば寝てしまうとは……不思議な世界ですねっ!
そういえば私、誰かとお泊まりする機会ってなかった気がします。
シーラさん、寝間着会合楽しみましょうねっ!

むむ、私の襦袢、変でしょうか?
桃色で可愛らしいと思うのですが……
シーラさんはなんというか、格好良さと緩んだ感じを併せ持った感じで素敵ですっ!

ふふ、こんな時間にお菓子を食べてしまうなんて、ちょっといけない感じがします!
こうしてごろごろしてしまうの、だらしないけど楽しいですっ!
この後には戦も待っておりますし……これは眠れませんね!
でもでも、きっと、起きていたいけど寝てしまう、そんな寝間着会合も素敵だと思いますっ!


シーラ・フリュー
【シーらら】
初めてのパジャマパーティをこんな形で体験するとは思いませんでした…。
せっかくですし、うららさんと一緒に楽しんで帰りたいですね…。

ええと…Tシャツにズボンのルームウェアみたいな物で大丈夫でしょうか…?シンプルで動きやすい物が好きなので…。
うららさんのパジャマは和、という感じで色も合っていて…とても可愛くてお似合いだと思います…!

パーティですし、時間を気にせずお菓子を食べてのんびり過ごすのも…あ、このクッキー美味しい…って、のんびりしすぎるのは良くないですね…!?
敵の事もどうにかしないと…。近くに居る敵には、リボルバーで他の方に弾が当たらないように気を付けつつ、ご退場願いましょう…!



●ぱじゃまぱーてぃ・はじめてだいさくせん
 きゅっと地面を踏み込むと、ふっかりとした弾力。
「このお布団、本当にふかふかですねっ!」
 桃色の襦袢を纏った五曜・うらら(さいきっく十二刀流・f00650)が勢いよくお布団の海へとダイブすると、お布団たちがふかふかもふもふと体を跳ね返してくれる。
「えぇ、パーティをしていないと眠ってしまうというのは、本当のようですね」
 ほう、と吐息混じり。
 シンプルなルームウェア姿のシーラ・フリュー(空夜・f00863)は大きなクッションに体を沈み込ませたまま、夢の国の魔力をしみじみと実感した様子。
 そう。
 ここはパジャマパーティをしていないと眠ってしまう、夢の国。
 そこら中に設置されたベッドに、お布団の海。
 日夜問わず柔らかな光に満ちた世界は、どこもかしこもふかふかもこもこ。
 薄布のカーテンが柔らかな光を更に和らげれば、明るいのになんとも瞼を重たくさせる。
 クッションの山に、あまあいお菓子と美味しそうな軽食。
 ふんわり漂う、芳しい紅茶のかおり。
 暖かなお茶だって、ティポットに満たされている。
 布団の山の上でごろんと転がったまま。なんとか腕を伸ばしてサイドテーブルに置かれたマカロンを一つ摘んだうららは、楽しげに笑って。
「寝間着姿で語り合うなんて初めての事ですから、とても楽しみにしていたのですよっ!」
 なんたって、うららにとってコレが初めてのお泊り会。
 ぐぐっと拳を突き上げるけれど、その体は未だほとんど布団に埋まったままだ。
「なるほど、……私もパジャマパーティは初めてですね……」
 初めてのパジャマパーティがお仕事という形で体験する事になるとは、思っていなかったけれど。同意を口に、シーラは瞬きをぱちぱちと二度重ねると。
「わあっ、そうなのですかっ? ではでは、シーラさん! 今日は寝間着会合をたっぷり楽しみましょうねっ!」
 布団にうまったままの腕だけが、ぶんぶんと応じてくれる。
 クッションに腰掛けたままのシーラは、うららの今の姿はお布団の怪獣みたいだなあ、なんて思うけれど、思うだけ。
 滅多なことは、口にしてはいけないものだ。
 それからお茶が満たされたカップを啜るとほうと吐息を零して、シーラは言葉を紡ぐ。
「はい、今日は時間を気にせずお菓子を食べてのんびり……、……あっ、ええと……、オウガもどうにかしないと、ですけれど」
「ええ! これは……今日は眠れませんねっ!」
 こんなに楽しい会合に、戦まで待っているなんて。
 ぴょーんとお布団の間から飛び出し。
 やっとの事でお布団の中から生まれる事ができたうららが立ち上がると、シーラの横へと腰掛けてクッキーを一口。
「うふふ、眠るつもりが無いとはいえこんな時間にお菓子を食べてしまうのは、ちょっといけない感じがしますけれど……。あっ、このくっきー美味しいですねっ!?」
 うららの勢いにつられたように、シーラもクッキーをさくりと一口。
「あ、本当ですね……、美味しいです……」
 背徳感は何よりのスパイス、なんて言うけれど。
 こんなに甘くて美味しいクッキーを夜に食べる背徳感は、二人の胸をときめかせるよう。
「そういえば……」
 はた、と気づいたように。うららはシーラと自分の服を交互に見やりだす。
「シーラさんの寝間着は、洋服のようですね。……むむむむ。もしかして、私の寝間着が襦袢なのは、変なのでしょうか……?」
 桃色の襦袢の裾を見ながら、腕を上げ下げ。
 ああいう服のほうが、寝間着として大衆的なのだろうか、と。
 うららは一瞬で、難しい顔になってしまう。
「あ、……いえ、私は、その。……動きやすい物が好きなので……。うららさんのパジャマは、うららさんらしくて……、色も合っていてとてもかわいくてお似合いだと、思いますよ……!」
 そんなうららの様子に、シーラが少し慌てて言葉を紡ぐとクッションをきゅっと抱きしめたうららがぱっと花笑んで。
「本当ですかっ? シーラさんの寝間着と形が随分違って、どきどきしてしまいましたっ! ふふ、シーラさんの寝間着はなんというか――、格好良さと緩んだ感じを併せ持った感じで素敵ですねっ!」
 突然のお褒めにシーラは照れ照れ、うららはぴかぴか笑顔。
 なんとなく視線を反らしてしまったシーラが、『ソレ』を見つけると思わず眉を寄せて。
「それはそうと、……そこに転がっているのは何ですかね……?」
 うららもその指差す先へと視線を向けると――。
「……あっ、……オウガが、…………寝ていますね?」
「……やっぱりアレ、オウガ、ですよね?」
 二人が何もしていないのに、パーティに疲れたオウガ達が眠ってしまっている。
 肩を竦めた二人は、顔を見合わせて――。
 吹き出して、くすくすと笑いあった。
 さあさあ、夜はまだこれから。
 オウガ達が眠たくなってしまうくらい、今日は沢山語り合いましょう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

花川・小町
【宴】
品良い浴衣姿で清宵ちゃんと酒宴の矢先

あら本当に良い据膳
でも今日は無垢なお嬢さんもいるから取って食ったりしちゃ駄目よ?

(応酬スルーし上機嫌に)
有難うウェリナちゃん
貴女も良く似合って愛らしいわ
ふふ
じゃあ二人で盛り上がってる子達は置いといて、私達もお菓子と女子会を楽しみましょ

あら貴方達(敵)は甘味食傷?
なら此方は如何?多分新感覚よ
だから邪魔せず黙ってて頂戴
(毒&山葵特盛団子を問答無用であ~んと)

伊織ちゃん?寝言は寝て言いなさい
まぁ今は寝かせないけれど
あまり寝惚けるなら貴方も団子よ(笑顔で渡し)
大丈夫、毒は抜いてあるわ

ええ、鬼はオウガで当たりよ
そして枕も大当たり続きね、有望だわ(微笑ましく拍手)


呉羽・伊織
【宴】
羽毛の様な極上心地
…の妙な🐥着ぐるみ寝巻

ウェリナは流石癒し度最高だな!
…で、俺のは何?
妙なウケは無用だ!
(酷い笑顔と純粋な目にくらり)
っ…よし遊ぶかウェリナ!
(と近くの枕に手を―)


(伸ばせばまたも黒毛玉
放ると同時に早業で枕投げ)
教育に悪い邪魔狐めあっちいけ幼気なウェリナに寄るな!

寧ろ盛り下がってるヨ
こんな敵満載の危険地帯で寝て堪るか!
ココは気分上げ直す為に姐サンが膝枕とかあ~ん…ハイ良い子にお菓子頂きマスネ
えっつまり山葵は…(安らかに眠れ~と敵のおかわりに回した)

嗚呼…色んな意味でわるい連中から、純粋なウェリナとピエールを守らないと…!
ってホント力持ちだな凄いー!?(枕の勢い二度見)


千家・菊里
【宴】
ウェリナさん&伊織とゆるりと浴衣で

ふふ、ウェリナさんはとても素敵なお召物ですね
伊織のは
女子受け抜群!夢見るぴよちゃんパジャマ☆
らしいですよ
いやぁ完璧ですよね✨
新調してあげた甲斐がありました

(まさかウェリナさんの前で変な言動しないですよね?という笑顔でふわも狐枕抱え)
まぁ兎も角宴を始めましょう

(のんびり甘味広げ枕投げ観戦し)
ウェリナさんはどのお菓子が好きですか?
では是非わけっこを(のほほん)
あ、大当たりお見事で賞に竜さんまじぱんもどうぞ

おや伊織に寝落ちの危機ですか?
ご安心を
こんな事もあろうかと、耳元で優しく囁いてくれるこけし目覚ましも準備万端ですよ(囁きに敵が呪われ魘されてるのは気のせい)


佳月・清宵
【宴】
小洒落た浴衣に酒器携え小町と悠々酒宴
その傍ら敵の隙を窺っていれば――

また肴が転がり込んできたな?
おいおい
俺はアリスに餓えた鬼共とは違うぜ
場の作法に則り楽しく遊んでやるだけだ

(という訳で愉しく合流へ)

――おいてめぇ、人を何だと思ってやがる
(またも掴まれた尾を揺らし枕はさらりと避け――敵へ流弾が直撃しても無視し)

折角賑やかしにきてやったのに、人を除け者にする方が宜しくねぇよぁ、ウェリナ?
然し見事な腕だな、此もおまけにピエールと分けると良い
(賞&御近付きに竜焼菓子差入)

膨れ面してると睡魔にやられるぜ雛野郎?
寧ろ別の鬼(小町)にやられる方が先か
(ウェリナに拍手し笑いつつ
問答無用で敵に毒酒も勧め)


ウェリナ・フルリール
【宴】
ふわふわな竜きぐるみパジャマで!

さすが菊里なのです、伊織のパジャマかんぺきなのです!
すごくおにあいですよっ

小町のゆかたすてきです!
リナ、小町とじょしかいするですっ
おかしたべて、じょしとーく、するのです!

まくらなげてあそぶのですか?
リナはちからもちなので、えいっ!てぜんりょくでなげます!(ノーコン脳筋
あっ、オウガにおおあたりです!
はわ、おかし…!
えとえと、リナはケーキがすきなのです
菊里、はんぶんこしましょうっ
えへへ、おおあたりしょうもらったのです

はい、清宵もいっしょにあそぶのです(にぱっ
(菓子に嬉し気に懐く幼女と竜
おにさん?オウガのことです?(きょと
はわ、伊織はねたらだめなのです!(枕投げ



●その笑顔を守りたい
「ねえ、ねえ、ピエール。きょうはリナも、ピエールとおそろいですよっ!」
 銀糸のような美しい髪を覆う、デフォルメされた竜の頭を模したフード。
 白木蓮を咲かせた翡翠色の竜が、横でぴょんと跳ねて同意をするかのよう。
 ふわふわ竜の着ぐるみパジャマを纏ったウェリナ・フルリール(ちいさな花騎士さん・f13938)は、くるくると回って。
「ふふ、とても素敵なお召物ですね」
 常と比べると随分と身軽そうな浴衣姿の千家・菊里(隠逸花・f02716)は、その唇に笑みを宿して頷いた。
「わーい、ありがとうなのですっ、菊里もすてきですよっ」
「……あの」
 声を上げかけた呉羽・伊織(翳・f03578)に、くるりと振り向いたウェリナはにぱっと微笑んで。
「それに伊織のパジャマもかんぺきなのです! さすが菊里なのです!」
「ええ、ええ。いやぁ、完璧ですよね。頑張って新調してあげた甲斐がありましたよ」
 うんうん、としみじみと頷く菊里は満面の笑み。
 めちゃくちゃ嫌そうな顔をした伊織が、憎らしい笑みをただただ睨めつけた。
 伊織の纏うパジャマは、まるで羽毛の様に極上の着心地。
 そう。
 まるで羽毛を纏っているかのような――。
 いや、これ羽毛だなあ。
 コレは何の冗談だろうか、と。
 ひよこちゃんの着ぐるみ型のパジャマを着せられた伊織は苦言すら幼子のぴかぴかの笑顔に封じられ、眉間にシワをぎゅっと寄せるばかり。
「女子受け抜群♥ 夢見るぴよちゃんパジャマ☆ いやあ、実に良くお似合いですね」
 伊織が何も言わないものだから、菊里は上機嫌でぴかぴかの笑顔を浮かべている。
「妙なウケは無用ですケド!?」
「はいっ、とってもとってもおにあいですっ!」
 ぶんぶんと首を振った伊織は、まるでぴょこぴょこするひよこさんの動きを見事に再現しているようで。
 ウェリナはその再現性に驚きぱちぱちと拍手を重ねて、自分もぴょんぴょんと跳ねた。
「う、ううっ、ウェリナは流石癒し度最高だナー!」
 伊織のは苦しみに似た声を漏らす。決してにんまりしながらふわふわもこもこの狐枕を抱き上げている菊里の方は、見ない様にする事を心に誓いながら。
 大丈夫、まだ泣いてないよ。男の子だからネ。
「まぁ兎も角、宴を始めないと眠ってしまうようですから。――始めましょうか?」
「イヤ、俺だって別にこんなやり取りしたかったワケじゃないケド!?」
 誰のせいでこんな茶番をする羽目になっているのか、と。
 菊里に伊織が吠えるも、菊里はそれはもう全く心当たりがないという顔で不思議そうに首傾げるばかり。
「……よし遊ぶか、ウェリナ!」
「わぁい、まくらをなげてあそぶのですか?」
 かぶりを振ってから気を取り直した伊織が、近くの枕に手を伸ばすと――。
「……まーた、肴が転がり込んできたな?」
「あら、本当に良い据え膳ね」
 聞き覚えのある邪悪な声音に、耳慣れた艶っぽい声音。
 そう。
 もうここまで来れば花守ファンの皆さんは、展開が読めているであろう。
「でも今日は無垢なお嬢さんもいるようだから、取って食ったりしちゃ駄目よ?」
 品の良い浴衣を身に纏い、鈴を転がすように笑う艶っぽい声。
 ベンチ代わりに設置されているベッドに腰掛けてぐい呑みを傾ける花川・小町(花遊・f03026)は、酒気を帯びた吐息を零して。
「――そりゃ勿論。……しかし、てめぇ。人を何だと思ってやがる?」
 そして、そして。
 花守ファンの皆さんなら既に、ご理解頂けているだろうが。
 もちろん伊織が掴んでいるのは、小洒落た浴衣を身に着けた佳月・清宵(霞・f14015)の大きくてふかふかの黒い尾であった。
「…………!」
 掴んでしまった清宵の尾を伊織は結構なる勢いで放り捨て。
 しっかりと確認してから掴み直した枕を、思い切り引き絞った上半身の力を全力で振り抜いて彼へと向かってブン投げなおした。
「ええい、教育に悪い邪魔狐め!! あっちいけ!! 幼気なウェリナに寄るな! 帰れ! 立ち去りたまえ!」
 伊織のめちゃくちゃな言い分に、唇にわるーい笑みを浮かべた清宵は彼を真っ直ぐに見やり。
「おいおい。俺はアリスに餓えた鬼共とは違うぜ? 場の作法に則り楽しく遊んでやるだけだ」
 そうして軽く横に一歩動くだけで枕をサッと避けた清宵は肩を竦め、竜のきぐるみ少女に視線を向けた。
「折角賑やかしにきてやったのに、――人を除け者にする方が宜しくねぇよぁ、ウェリナ?」
 声を掛けられたウェリナは、無邪気に手を上げ。
「はいっ! 清宵もいっしょにあそぶのです! ……えいっ!」
 それから伊織に倣って、清宵へと向かって枕を投げつけた。
 しかし、彼女はめちゃくちゃノーコン!
 あらぬ方向へとブッ飛んで行った枕の豪速球が、迫ってきていたジャバオウガの頭にぱーんと叩きつけられる。
「ぴゃっ!?」
「おお、見事な腕だな」
「えへへ……っ」
 清宵を狙っていたハズだが、ジャバオウガを上手に倒して褒められてしまったウェリナは照れ照れ、にこにこ。
「おお、大当たりですね。お見事で賞でお菓子をどうぞ」
 菊里は竜さんまじぱんを差し出しながら。
 どれが好きですか、と、たっぷりテーブルに広げていた菓子を示した。
「はわ……おかし! えと、えと、リナはケーキがすきなのです!」
 ピエールをぎゅっと抱き上げたウェリナが、立ち並ぶ菓子に瞳をぴかぴかと瞬かせ。
「それではこちらをご進呈です」
 菊里が皿に、ケーキを盛り、盛り。
「へぇ。じゃァ、此もおまけにピエールと分けると良いさ」
 何も清宵は酒だけを持っているわけでは無い様子、ケーキの盛られた皿へと竜の形をしたクッキーを並べてやる。
「わあっ、えへへ、おおあたりしょうありがとうなのですっ! でもでも、リナとピエールだけじゃこんなにたべきれませんから、はんぶんこ……さんぶんこ……? ……――みんなでいっしょににたべるのですっ!」
「まあ、では私もご相伴に与ろうかしら」
 ころころと笑った小町も、お菓子祭りに参戦だ。
「ねえ、ウェリナちゃん、二人で盛り上がってる子達は置いといて女子会しましょ?」
「イヤイヤイヤ、寧ろ盛り下がってるヨ」
 しかし小町は伊織のツッコミは上手にスルーできる体なもので、小町はにっこり微笑むだけ。
「はーいっ! じょしかいするですっ、じょしとーくだってリナはできますからねっ」
 ピエールをきゅっと抱きしめこくこくと頷くウェリナは、『女子会』のお誘いにすっかり夢中。
 女子会なんて、なんだかちょっぴりオトナな響き。
 ウェリナは女子会っぽいじょしとーくを、少しだけ眼を瞑って考えて――。
「えっと……、きょうの小町のゆかた、とってもすてきですね」
「ふふ、有難う。ウェリナちゃんもパジャマが良く似合って、愛らしいわ」
「えへへ、ありがとうなのですーっ」
 二人で盛り上がってる子の独り――肩を竦めた清宵が、頭を抱えている伊織を見下ろし。
「膨れ面してると睡魔にやられるぜ、雛野郎?」
「こ、こんな敵満載の危険地帯で寝て堪るか! いやモウ、ホント、オレ帰りたいんだケド!? あー……ココは気分上げ直す為に姐サンが膝枕とかし」「伊織ちゃん、寝言は寝て言いなさい」
 こういうときは良く聞こえる小町の耳。
 食い気味に突っ込まれて、しゅんとする伊織に、菊里がぴっと寄ってくる。
「おや伊織に寝落ちの危機ですか?! ご安心を。――こんな事もあろうかと、耳元で優しく囁いてくれるこけし目覚ましも準備万端ですよ」
「ホント、そのこけし何処で買ってくるの!?!?!?!」
 ぴゃっと肩を跳ねた伊織を尻目に、菊里は遠くを睨めつけて。
「おや、……お客さんですか」
 こけし目覚ましを勢いよく放り投げた。
「うわっ、なにこれ、なにこれ!? なんで!? なに!? 怖ッ! なんかいってる!」
「えっ、まって、こっち持ってくんなや!」
「う、うわーん!」
 近づいてきていたジャバオウガの耳元で優しく囁くこけし。
「はわ……、伊織、ねたらだめです!」
 会話が耳にはいったのだろうウェリナが枕を伊織に向かって投げれば、阿鼻叫喚の様相を呈していたオウガ達へと枕がクリーンヒット。
「よう、折角だ、飲んでいけよ」
「むが、むがががが!?」
 くっと笑って拍手をした清宵が、一瞬で敵達へと距離を詰めればどぼどぼと毒酒をオウガたちにご馳走して。
 ゆうらり近寄った小町も、団子を片手に。
「ふふ、ウェリナちゃんたら有望ね。……ねえ、貴方達。せっかくの宴だもの、楽しくいきましょうよ」
「えっ、何、やめっ」
 一気に仲間たちが異様な事になり、怯えるジャバオウガがじり、と後ずさり――。
「新感覚の甘味はどうかしら?」
「辛ッッ!?」
 逃げ出そうとしたオウガに向かって、小町が素早く押し込んだのは毒とワサビがたっぷりの新感覚団子。
 ジャバオウガはちょっと泣いてる。
 いいや、めちゃ泣いてる。
「伊織ちゃんも、あまり寝惚けるならならお団子を上げるわよ?」
 大丈夫、毒はぬいてあるわ、なんて小町が微笑めば。
「……イエ、ハイ。良い子にシマス」
 すごいワサビの匂いに、伊織はぷるぷると首を振って。――そうして、伊織は空に誓う。
「嗚呼……色んな意味でわるい連中から、純粋なウェリナとピエールを守らないと……」
「えーいっ!」
 そこに思いっきりウェリナが投げつけた枕が、伊織の頬を掠めて――。
「うわっ、えっ!?」
 ずばあんと枕にあたったオウガ達が、強かに地を転げてゆく。
 誓ったばかりだが、伊織はふるふるとかぶりを振った。
 ――オレにホントに守れるのだろうか、この力持ちを。
 そうして。
 伊織はとりあえず、哀れな敵の惨状に手をあわせるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月17日


挿絵イラスト