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迷宮災厄戦⑮〜夏の煌めきゼリーハウス

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦

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●煌めきゼリーは零れ落ち
 そこは、甘やかな香りの漂う森の中。
 茂る木々に隠れるように、建てられた家が並んでいる。
 ぷるん。風に揺れるは透き通ったオレンジ色の壁。やわらかく弾むそれは、どうやらオレンジゼリーでできているようだった。
 けれど残念、見上げればその家には屋根がない。床には緑色のゼリーが潰れて広がっていて、どうやら屋根に使っていたそれが崩れ落ちたようだとわかる。
「大変だ、全部全部、壊されちゃった!」
「直さないと、今すぎに! オウガがまた来たら大変だ!」
 ひょこり、ひょこりと、顔覗かせたのは子供達。その身を包むは果物色の洋服と、果物を象ったような帽子で――そんな愉快な仲間達は口々に声上げて、せわしなくあちこちで動き出した。
 ここは、不思議な不思議なお菓子の国。この辺りの家は全て、ゼリーを冷やし固め、積み上げて作ったものだ。
 せっせせっせとゼリーの家を再建する、愉快な仲間達。けれどおかしい、どんなに懸命に作っても、またどこからか崩れているような――?
「なんだい、これは! おかしいぞ!」
「あっ、こっちもまた穴が開いてる!」
 わあわあ騒ぎながら、それでも懸命に。そんな健気に頑張る愉快な仲間達を、同じ衣服に身を包んだ子供が数人、邪悪な笑みで見つめていた。

●つくろう、ゼリーハウス!
「皆様、お疲れ様です! 迷宮災厄戦の次の戦場は……いえ、次は戦闘はないのですけど! ある意味戦いです!」
 周囲に集まる猟兵達へ、労いの言葉もそこそこに。アリア・アクア(白花の鳥使い・f05129)はそう告げると、頬を薔薇色に染めて微笑んだ。
「お菓子の家! お菓子の家がたくさんある国なのです! 私が見つけたのはその中でもゼリーの家が並ぶ地域なのですけれど……残念なことに、このお家は全て壊されてしまっているのです!」
 元々は、アリスと愉快な仲間達がオウガから身を守るために作った家。壊されたらいつものように、愉快な仲間達がせっせと修復することだろう。――けれど、今はそれがうまくいっていないのだと、白花のグリモア猟兵は語る。
「私の予知ですと、愉快な仲間達に紛れて、オウガに洗脳されてしまった子達がいるようです。その子達がこっそりと妨害をしているので、修復作業が進まないようですね」
 だから猟兵達が行うべき手助けは、こうだ。妨害に負けないスピードと量で、お菓子の家を建設する。――邪悪な子供達を倒す必要は、ないらしい。
「邪悪な子供達は、完成したゼリーを崩したり、作り途中の材料に毒を忍ばせたりするようですが、注意していれば悪さはしませんし……見事修復が完了してしまえば、どこかへ逃げてしまうようです」
 だから、そこまで気にせず皆様はお菓子作りに集中してください。アリアはそう語ると、にっこり笑った。
「現地に設備と材料はあります。こだわりのある方はぜひ持ち込みなどもしてください! ゼリー作り用の設備が一番豊富なようですけど、他の物も作れますので……皆様の手で、とっても素敵なお菓子の家を作り上げてください!」
 ああ、私も参加したかった――アリアがうっとりと呟くけれど、もしもその場に彼女の料理の腕を知る者がいたならば、きっと静かに首を振っただろう。無自覚に奇天烈料理をする彼女が、今回『予知する側』であったのはきっと幸いだ。
「それでは、ご案内します! お菓子作りの準備はどうぞ万全に!」
 そしてできれば、どんなお菓子の家を作ったか帰りに聞かせてくださいね。微笑みながらそう告げて、アリアはグリモア起動し猟兵達を送り出した。


真魚
 こんにちは、真魚(まな)です。

●お願い
 プレイングの受付につきましては、マスターページの「お知らせ」ならびにTwitterにて都度ご案内します。
 期間外に届いたプレイングは不採用とさせていただきますので、お知らせをご確認の上ご参加ください。

●シナリオの流れ
 第1章:冒険(お菓子の家つくり)
 当シナリオは第1章のみです。

●お菓子の国について
 場所は森の中、オウガから身を守るため多くのお菓子の家が建設されていましたが、全て破壊されています。
 本シナリオで扱うエリアは、ゼリーでできた家が並んでいたようです。
 住人である愉快な仲間達は、果物モチーフの服を着た子供達。中にはオウガに洗脳されてしまった邪悪な子供達も紛れていますが、特に油断していなければ妨害にはうまく対処できます。

●お菓子作りについて
 ゼリーをメインに想定していますが、それ以外のお菓子や、ゼリーと他のお菓子を合わせた家を作っていただいても構いません。冷菓子、焼菓子、氷菓、何でも作れますし家の材料にできます。
 設備・材料については、特にプレイングへの記載がなくても持ち込めた、現地に用意があったものとして扱います。気にせずお好きなものを作ってください。完成までに時間がかかるものでも、不思議の国の不思議な効果でシナリオ中に完成できます。
 持ち込むレシピについては、製作手順等の詳細は不要です。お菓子の名前と重点を置きたいところのみ書いていただければ、こちらで調べたりして何とかします。
 また、作りながら味見……ということで食べる行動も可能です。少しなら持ち帰ることもできます。

●プレイングボーナス
 このシナリオフレームには、下記の特別な「プレイングボーナス」があります。これに基づく行動をすると有利になります。
 =============================
 プレイングボーナス……美味しいお菓子のレシピを用意する。
 =============================

●その他
 ・ペアやグループでのご参加の場合は、プレイングの冒頭に【お相手のお名前とID】か【グループ名】をお書き下さい。記載なき場合は迷子になる恐れがあります。プレイング送信日を同日で揃えていただけると助かります。
 ・許容量を超えた場合は早めに締め切る、または不採用とさせていただく場合があります。

 それでは、皆様のご参加、お待ちしております。
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第1章 冒険 『お菓子の家つくり』

POW   :    生地をこねたり伸ばしたり、オーブンの火加減を調節するなど下拵えや準備を担当する

SPD   :    正確に材料を計ったり、綺麗に角がたつくらいにホイップするなど、技術面で活躍する

WIZ   :    可愛い飾りつけや、トッピングで、お菓子を美味しそうにデコレーションする

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

一ノ瀬・はづき
「おっきぃゼリーのお家ってロマンだよね!」
 この事件に対してこう感じ、猟兵として参加します。

 ユーベルコード「オルタナティブ・ダブル」を使い、分身を召喚するよ。
スピードが大切みたいだから少しでも人数増やしたほうがいいよね。
この際だから愉快な仲間達の子が楽しんで過ごせるようなアトラクションを用意したいかな…。
ゼリーとソーダが混ざり合って流れるウォータースライダーを建設するよ。
ザバーっと滑ったらきっとシャキッと爽快な気分になるね。

あとはフルーツポンチの流れるプールも作っちゃおう♪
えっ、家はだって?
そっちは誰かにおまかせするよー。

 




 辿り着いた森の中、並ぶは崩れたゼリーの家。
 あちらのライムゼリーの家は壁が崩れ、こちらのオレンジゼリーの家は屋根がない。けれど壊れてたってお日様を受け煌めく、その家々の姿はとっても素敵で。
「おっきぃゼリーのお家ってロマンだよね!」
 紫色の瞳を輝かせ、お菓子の家を眺めて。一ノ瀬・はづき(人狼の正義の味方・f29113)は困っている愉快な仲間達へと笑いかけると、ユーベルコードを操った。
 ドロン、と現れるのは、もうひとりの自分。スピードを出すためには人手が必要と、召喚したそれにフルーツの服着た子供達は興味津々寄ってくる。
「わあ、おねえさんが二人いるぞ!」
「そっくりだね、二人ともゼリーは作れる?」
 期待に満ちた瞳向けてくる愉快な仲間達に、頷いて。はづきはぷるんと弾むゼリーを作っていく。分身と共にせっせと作るそれは――階段と、くるくる回る滑り台。
「ここに、ゼリーとソーダを……」
 何ができるのかと見上げる子供達の視線感じながら、一番高い所から流し込むのはゼリーとソーダ。それらは滑り台の上を流れ落ちて――ウォータースライダーの出来上がりだ。
 さっそく、子供達を誘って試してもらう。階段昇った上から、滑り落ちてくるくる進み。どぼんとゼリーとソーダのプールへ落ちれば、フルーツの子供達はきゃっきゃと声上げて喜んだ。
「ザバーっと滑ったらきっとシャキッと爽快な気分になるね」
「うん、なるね!」
「楽しい! 楽しい! おねえさんありがとう!」
 夏に涼を感じられる、とっても楽しい遊具。夢中な子供達ににっこり笑って、はづきは更に建造物を増やすことにする。
「あとはフルーツポンチの流れるプールも作っちゃおう♪」
 色とりどりのフルーツと一緒に、ゆったり流れることのできるプールはきっとどれだけいたって飽きないから。
 ――えっ、お菓子の家はどうしたって? それは、他の誰かにお任せしよう。居住地以外の娯楽だって、無邪気な彼らには必要なのだから。

成功 🔵​🔵​🔴​

リュヌ・ミミティック
・心情
ん、おー?
たべ、る、ほうがす、き、だけ、ど……
今日は、お手伝い、する、よー!

・行動
猫憑き季月とダフィットと、一緒に壊そうとしている子がいないか、気を付けてみながら、他の猟兵さんのお手伝いするよー
ゼリーでしょう?僕、ちゃんと調べてきたよ!
まずは、オレンジジュースを中心に、果物のジュースと、ゼラチンを混ぜて薔薇の形の奴にいれて固めるね
薔薇の形、これを飾りにつけたらかわいいかなって
ん、高いところはダフィットに飾ってもらおう
ねぇねぇ、どこがいいかな?
狐のぬいぐるみさんたちにも手伝ってもらって、いーっぱい、飾り付けるよ


・捕捉
ん、ん。が口調の最初に必ず付き、変な所で区切ってしゃべるのが癖
絡み大歓迎




 降り立った森の中、崩れたゼリーの家を前にトンテンカンテン懸命に修復する愉快な仲間達。その姿見れば、リュヌ・ミミティック(狐薊の鳴き声・f02038)の狐耳はぴこんと動いた。
「ん、おー? たべ、る、ほうがす、き、だけ、ど……。今日は、お手伝い、する、よー!」
 気合十分、腕には猫憑き季月を抱きしめ、背にはダフィットを連れて。リュヌがとことこ近付けば、フルーツの服着た子供達が振り向いた。
「わあ、狐に猫にドラゴン! 仲良しだね!」
「ねえねえ、一緒にゼリーを作っておくれよ!」
「ん、お手伝い、する、よー」
 こくんと頷き答えれば、喜ぶ子供達に迎え入れられて。リュヌは事前に調べてきた通り、ゼリーを作ろうと材料を確認する。
 メインに使うのはオレンジジュース。鍋の中で果物ジュースと混ぜるのは、風味に深みを与えるため。火にかけ温め、水でふやかしたゼラチンを加えれば、ゼリー液が出来上がる。
 後はこれを型に入れて冷やすだけ――そこで妖狐の少年が取り出すのは、薔薇の形の型だった。
「ん。これ、を、飾りに、つけ、たら、かわいい、かな、って」
「うん! かわいい! とってもいいね!」
 リュヌが語れば愉快な仲間達も嬉しそうに。その中に一人、薔薇の型に悪さしようとする子供がいることにも気付いたけれど、さりげなく遠ざけたらそれきり何もしてこなかった。
 冷やし固めて型より取り出せば、オレンジ色のぷるぷる薔薇ゼリーの完成。ゼリーの壁に空いた穴を埋めるようにぺたぺた配置すると、まるで壁に薔薇が咲いたようだ。
「ん、高い、ところ、は、ダフィットに、飾って、もらお、う」
 お願い、とゼリー託せば、白きドラゴンはその翼で飛翔し、屋根の上にも薔薇のゼリーを咲かせていく。
 さらに人手が欲しいと、リュヌが呼び出すのは子狐のぬいぐるみ達で。
「ねぇねぇ、どこ、がいい、かな?」
「窓にも飾ろうよ! 華やかになって楽しいよ!」
 無邪気な子供達があっちあっちと指差す先に、子狐達は飛んで行って薔薇を飾る。たくさんの協力受けて、作り上げる薔薇ゼリーの家は日差しにキラキラ輝いて。
「ん、でき、たー!」
 満足げに声上げれば、腕の中で猫憑き季月もぴょこんと跳ねる。そうしてすっかり仲良くなったリュヌと愉快な仲間達は、余ったゼリーを食べながらしばし楽しい時を過ごすのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

乱獅子・梓
【綾(f02235)と】
一人旅が長かったから飯を作るのは
そこそこ自信があるが…
お菓子作りは正直未知の領域
まぁ既存のレシピ通りに作れば何とかなるだろう
「ゼリー 簡単 レシピ」とかでスマホで検索

なるほど、少しでも多くの家を
再建する必要があるし、賛成だ
じゃあ俺はコーヒーゼリーを作ってみようか
邪悪な子供達の警備はドラゴンの焔と零に頼む
相手は子供だから攻撃はしないようにな

コーヒーの粉とゼラチンを溶かして
冷やし固めるだけの単純なレシピだが
ゼラチンが溶け残らないように
しっかり混ぜるのが大事、と
最後に生クリームとミントの葉を添えて完成

じゃあ遠慮なく綾のも一口
ん、お前のも美味いな
焔と零にも分けていいだろうか


灰神楽・綾
【梓(f25851)と】
梓と一緒にスマホぽちぽちしながら
自分達でも作れそうな簡単レシピを探す
こういうのは自分の背丈に合った
レシピを見つけるのが実は一番大事な気がする

ふむふむ、ゼリーって案外簡単に作れそうだね
二人で一つのものを作るよりも
効率良く別々のものを作るのはどう?
俺はフルーツゼリーにチャレンジしてみようかな

砂糖とゼラチンを溶かした液を型に流し入れて
そこに苺・蜜柑・キウイ・パイン等
色とりどりのフルーツを並べる
冷やし固めて型から取り出す
この瞬間って凄くワクワクするね
SNS映え?ってやつもバッチリだね

梓、折角だからお互いのゼリー味見しよ
おぉ、結構オトナな味わい
でも生クリームの甘さとよく合うね




 二人が森に入ると、フルーツの服着た子供達がわらわら寄ってきて大歓迎。
「ようこそ! おにいさん達もゼリー作ってくれるのかい?」
「助かる! とっても助かる! こっちへどうぞ!」
 ぴょこぴょこ跳ねる子供達へ導かれ、辿り着いた作業台にはお菓子作りに必要そうな器具に材料が一通り揃っている。それらを前に何作ろうかと、乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)は思案した。
(「一人旅が長かったから、飯を作るのはそこそこ自信があるが……」)
 お菓子作りに関しては、正直未知の領域だ。梓はスマートフォンを取り出して、検索ワードを入力していく。
「まぁ既存のレシピ通りに作れば何とかなるだろう」
 『ゼリー 簡単 レシピ』で検索。ずらりと並ぶゼリーのレシピを開いて確認していけば、隣の灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)もスマホをぽちぽち。こちらも、自分達でも作れそうな簡単なレシピを探している。
(「こういうのは、自分の背丈に合ったレシピを見つけるのが実は一番大事が気がする」)
 そう考える綾は正しい。自分達の技術で可能なレシピを用意できれば、その時点でほぼ成功は約束されたようなものなのだ。だからこそ、選択は慎重に。二人は複数のレシピを見比べて、ゼリーの基本的な作り方を理解していく。必要なのは水やジュース、そこに砂糖を溶かして、あらかじめ別の水でふやかしたゼラチンを加える。そうしてできたゼリー液を型に流し込んで冷やし固めれば、ゼリーの完成だ。
「ふむふむ、ゼリーって案外簡単に作れそうだね。二人で一つのものを作るよりも、効率良く別々のものを作るのはどう?」
「なるほど、少しでも多くの家を再建する必要があるし、賛成だ」
 言葉交わせば、二人の方針は決定する。後は、各々がお菓子作りに集中するのみ。邪悪な子供達を警戒する役割は、梓のドラゴンである『焔』と『零』に頼んで――子供だから、万が一の時にも攻撃はしないように言ってだ――見つけ出したレシピに倣い、材料を揃えていく。
 綾が用意するゼリー液は、水に砂糖とゼラチンを溶かしたもの。透明な液を型に流し入れて、そこに入れるのは色とりどりのフルーツ達だ。イチゴ、ミカン、キウイ、パイン――切り方も見映えに影響するから、レシピ確かめ丁寧に。配置だって重要だ、型から外した姿を想像しながら、あちらにこれ、こっちはこれとフルーツを置いて――。
 梓が作るのは、コーヒーゼリー。まずは濃いめにコーヒーを煎れて、そこに砂糖とゼラチンを溶かす。簡単なレシピだけれど、ゼラチンが溶け残っては食感に影響する。水戻ししたゼラチン加えた後は丁寧に丁寧に混ぜて、それから型に流し入れ。添えるための生クリームを、冷やしている間に泡立てていく。
 ――そして、冷やし固める時間が少し。レシピの通りだと待つ時間が長いようだけれど、愉快な仲間達が『できた! できた!』と二人を促したから、きっとこの国では早く固まるのだ。
 取り出す時は、大きな型使った綾は特に慎重に。
「この瞬間って凄くワクワクするね」
 赤いサングラスの奥でにっこり笑いながら、型を外せば透き通るゼリーがぷるんと現れる。煌めく透明の中に閉じ込められたフルーツ達は、まるで宝石のようで――。
「SNS映え? ってやつもバッチリだね」
 笑って言う綾は、写真なども撮るだろうか。出来栄え見つめるその横で、梓は取り出した深い色味のゼリーにもう一工夫。生クリームとミントの葉を添えて、まるでお店で出されるような一皿に仕上げていく。
「梓、折角だからお互いのゼリー味見しよ」
「じゃあ遠慮なく綾のも一口」
 出来上がったものをお互いに確認して、そっとスプーンを入れていく。綾のフルーツゼリーは、ぷるぷる弾むゼリーの食感とフルーツ達の味を楽しめる爽やかな味。梓のコーヒーゼリーは、コーヒーの苦みがオトナな味わい。添えた生クリームを一緒に口に運べば、甘さが溶け合い更に美味しくて。
「焔と零にも分けていいだろうか」
 ここまで警備を務めてくれた仔ドラゴンにも、お裾分け。二体は『キュー』『ガウ』と鳴きながら、二人のゼリーを嬉しそうに食べていく。
 さあ、美味しいゼリーが出来上がれば、後は組み立て家とするだけだ。壁はコーヒーゼリーでシックな雰囲気、窓や扉にフルーツゼリーをはめ込んで、日を受けきらりと輝くように。積み上げ家を修復する二人を、愉快な仲間達も手伝って。そうして出来上がったゼリーの家は、香りも見た目も楽しめると子供達に喜ばれるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

空葉・千種
アドリブ歓迎

ゼリー作り…それなら寒天とグラニュー糖をいっぱい用意しないとね!
材料を『固まったときに震えなくなる』まで煮詰めて、
最後はグラニュー糖をまぶし、オブラートを貼り付けたら
『おばあちゃんちによくあるゼリー』の完成!
スーパーの和菓子コーナーで見かけるよくお仏壇に備えられてるやつね
なんだか思ったより邪魔が入らなかったからたくさんできちゃった!

ふふ、ぷるぷるしたやつよりこっちのほうが耐久力があるからいい感じでしょ?
え?こっちのゼリーは正直そこまで好きじゃない?
というか邪悪な子供達からはこれがゼリーと認められてない!?
だから邪魔されなかったの!?
…私はあれ、好きなんだけどなぁ…。




「ゼリー作り……それなら寒天とグラニュー糖をいっぱい用意しないとね!」
 お菓子の国へ到着するなり、明るい声でそう言って。空葉・千種(新聞購読10社達成の改造人間・f16500)は愉快な仲間達にも協力求めて、まずはたくさんの材料を作業台に並べていく。
 グラニュー糖と水を火にかけて、水で戻した寒天を加えて。それから、じっくりじっくり煮詰めていく。
 水分少なめに仕上げたそれは、型に入れて冷やせば『ぷるんと震えなくなる』ほど固くなる。仕上げにグラニュー糖をまぶして、オブラートを貼り付ければ――。
「『おばあちゃんちによくあるゼリー』の完成!」
 千種曰く、スーパーの和菓子コーナーでよく見かける、お仏壇に供えるお菓子なのだとか。邪魔が入らなかったからたくさんできたと、上機嫌の少女はフルーツの服着た子供達にも試食を勧めていく。
「ふふ、ぷるぷるしたやつよりこっちのほうが耐久力があるからいい感じでしょ?」 色とりどりの半生菓子は、食べれば口の中で確かな弾力感じさせて、広がる味は砂糖の甘さ。にっこり笑って千種が感想求めると、しかし子供達はうーん、と眉寄せていて。
「ねえ、これおいしい?」
「うーん……微妙。やっぱりゼリーはぷるぷるしてないと!」
 無邪気ゆえの、遠慮ない感想。それはつまり、『そこまで好きじゃない』と言うことで。しょんぼりした少女は、さらにある事実に気付く。
「っていうかこれゼリー?」
 つんつんしてもぷるぷるしないぞ? と怪訝な顔する子供がいて、だから千種は理解したのだ。これだけたくさんの固めゼリーを作っても、何一つ妨害がなかった理由――。
「というか邪悪な子供達からはこれがゼリーと認められてない!? だから邪魔されなかったの!?」
 そう、邪悪な子供達はきっと他に『ゼリーを作っている人』がいればそちらを優先してしまったのだろう。
「……私はあれ、好きなんだけどなぁ……」
 落ち込みつつも、もう一口。食べる固めゼリーは、広がる甘さで心を慰めて。
――でも、確かにこれは丈夫な家になる! そう愉快な仲間達が口々に言ってくれたおかげで気を取り直した千種は、たくさんの固めゼリー使ってたくさんの家を修復していったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

千々波・漣音
ちぃ(f28195)と

オレはよーく知ってる
ちぃが超不器用って事をな…!(だがそこも可愛い

オレ様はお菓子作り大得意だぜ、神格も高いし!(どや
適温のお湯で粉ゼラチン溶かしてくれよ、ちぃ
…って、熱っ!?(熱湯に被弾
お湯熱すぎたり、ちゃんと溶かさないと、固まらねェからな!?
愉快な仲間達、ちぃを頼んだ…

オサレで映えるし果物入れるか
色んな形に果物抜いて愉快な仲間も一緒に作業
皆で作ると楽しいだろ!
パインやキウイは固まんないから缶詰の使う
ちぃが抜いた形が斬新すぎる…(でも不器用なの可愛い
悪戯には目光らせ、喚んだ大将にも対応頼む
って入れるなってばよ!?

余った分は皆で食べようぜ
美味くて映えるゼリー沢山作る!(ぐっ


尾白・千歳
さっちゃん(f28184)と

キラキラかわいいお家
みーんなゼリーで出来てるんだ!スゴイ!

私たちもゼリー作るの手伝ってあげよう
私だって出来るよ!さっちゃんがお菓子作るのいっぱい見てたし!(ふんす
適温…?よくわかんないけどお湯に入れればいいのかな
(大量の熱湯に粉ゼラチンどばぁ
もー大事なことは最初に説明してよ
やり直しになっちゃった
愉快な仲間さんと一緒に楽しく作るもーん(ぷぃ

型抜き楽しそう!これは私もやったことあるよ(ドヤ
動物の形にしよう
む、ウサギの耳が欠け…ゾウの鼻も切れた…
わかるからいいかな!
キウィは大きいからキレイにカエル出来た~!
え、これ使わないの?何で!?(ムカッ
…勿体ないから入れちゃおうっと




 夏の日差しをキラキラ受けるゼリーの家は、その大部分が修復出来てきた。さあもうひと頑張り、と励む愉快な仲間達のところへ、やってきた尾白・千歳(日日是好日・f28195)は緑色の瞳をゼリーに負けないくらいキラキラさせて。
「みーんなゼリーで出来てるんだ! スゴイ! 私たちもゼリー作るの手伝ってあげよう」
 後ろ振り返り声掛ければ、そこにいた幼馴染――千々波・漣音(漣明神・f28184)は微妙な表情を浮かべていた。彼自身は、お菓子作りが大得意である。ゼリーなんて簡単にできる――それは、千歳も知っているから。
「私だって出来るよ! さっちゃんがお菓子作るのいっぱい見てたし!」
 ふんすと鼻息荒く、声に出さぬ漣音の不安を否定するけれど。
(「オレはよーく知ってる。ちぃが超不器用って事をな……!」)
 だからこその不安、なのだけれど千歳は自覚していない。否、そんなところも可愛いのだ――などと思ってしまう時点で漣音は弱い。自分がフォローして一緒にゼリー作りをしようと材料選び始めれば、にっこり笑顔の千歳が隣に並んで。
「適温のお湯で粉ゼラチン溶かしてくれよ、ちぃ」
 言って彼女の前に漣音が置いたのは、袋に入った粉ゼラチンと、ガラスのボウル。首を傾げた千歳は、自分なりに考えて。
「適温……? よくわかんないけどお湯に入れればいいのかな」
 ざーっと粉ゼラチンをボウルに流し込み、お湯を沸かしたヤカンに手を伸ばして。勢いよく入れれば――飛び散る熱湯は隣の漣音に襲い掛かる。
「……って、熱っ!? お湯熱すぎたり、ちゃんと溶かさないと、固まらねェからな!?」
「えー? もー大事なことは最初に説明してよ。やり直しになっちゃった」
 ぷうっと頬を膨らませ、ご機嫌斜めの千歳。
「愉快な仲間さんと一緒に楽しく作るもーん」
 ぷいっとそっぽ向けばフルーツの服着た子供達がちょこちょこ寄ってきて、千歳にゼラチンの溶かし方を教えてくれる。
 やることが雑になりがちな千歳に、漣音の説明は確かに言葉足らずだったかもしれない。それを心の中で反省した竜神の男は、けれど素直に謝れないからそっとため息を零すのだ。
「愉快な仲間達、ちぃを頼んだ……」
 そっと頼めば任せて!とばかりに飛び跳ねる子供達。けれどもしかしたらその中に悪い子がいるかもしれない。手乗りカエルの『大将』に見張りを頼んで、漣音はフルーツに手を伸ばす。
「オサレで映えるし果物入れるか」
 リンゴにイチゴ、バナナにスイカ。パインやキウイはゼリーを固まりにくくするから、缶詰のものを用意して。それを型抜きしやすい厚さに、手早く切っていく。
「これを色んな形に抜くんだ。皆で作ると楽しいだろ!」
 広げる様々な抜き型見れば、わっと子供達も歓声上げて。同じように瞳輝かせた千歳が、得意げに手を挙げる。
「型抜き楽しそう! これは私もやったことあるよ」
 さっそくかき集めたのは、動物の型。リンゴ、バナナ、それぞれに型を押し当てて、くり抜けばいい、のだけれど。
「む、ウサギの耳が欠け……ゾウの鼻も切れた……。わかるからいいかな!」
「斬新すぎる……」
 速度だけはかなりのもので、どんどん出来上がっていく欠損あり動物達に、漣音は思わず感想をぽつり。そんな不器用さも可愛らしいのだけれど、これを建材にするのはいかがなものか?
 さすがに避けようかとすれば、『何で!?』とまた不機嫌そうな千歳の顔。子供達もせっせと型抜きに協力してくれて――やがてできるのはたくさんの煌めきゼリー達。
 壁にも、窓にも、屋根にも。花や動物の型浮かぶゼリーをはめ込み、積み上げれば、一帯のゼリーの家は全ての修復が完了した。喜ぶ愉快な仲間達を誘って、漣音は余ったゼリーを千歳と共に食べていく。
「って、なんだよこのカエル!」
「あー、それ私が作ったの! キウイは大きいからキレイにできたよ~!」
 得意満面の千歳の言葉で、欠けた動物達がこっそり建材に紛れていることも判明したが――それだって、探す楽しさができたと子供達は笑っている。


 不思議な国の、不思議な森。
 そこに煌めくゼリーの家達は、愉快な仲間達と猟兵達の力でできている。
 透き通るゼラチンの中に閉じ込めたのはジュースや果物だけじゃなく、楽しい思い出や優しい心もきっと一緒。
 この色とりどりの住処で、戦争の後も子供達が楽しく暮らせますように――。
 猟兵達はそんなことを願いながら、森を後にするのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月27日


挿絵イラスト