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海賊旗をはためかせろ

#スペースシップワールド

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#スペースシップワールド


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●蘇るジョリー・ロジャー
「野郎ども!集まったな!」
 薄暗い中にディスプレイや計器の光で、仄かに赤い光を帯びた帝国戦艦の艦橋。
 そこに集まったクローン騎兵たちへ、指揮官の帝国騎士が叫ぶ。
 妙に、柄が悪い。
「集まりましたぜ、アドミラル!」
 それに応え、クローン騎兵たちが熱線銃を掲げる。
 やはりこちらも柄が悪いのだが、騎士はそれを一顧だにしない。
「よし、いい気合だ!さて、そんなお前らに朗報だ……次の獲物が決まった!」
 剣を抜き、艦橋の前方を指し示すと、その先にホログラムディスプレイが現れる。
 クローン騎兵の視線を集める中、映ったのは一隻の宇宙船。ドーム状の居住区画と思しきブロックや、いくつもの接舷誘導用の照明が点いた、宇宙港らしき設備があることを考えると、都市宇宙船なのだろう。
 部下たちから、わずかにどよめきが漏れる。
「見ての通りの大物だ!資源も金目のものもたんまりあるに違いねえ!皇帝陛下への献上品もよりどりみどり、ってなもんだ!」
「おおー!!」
 仮面の奥の瞳が、ヘルメットに隠れた瞳たちが、眼前の欲望にギラギラと光る。
「さあ、フラッグをはためかせろ!いつも通り、奪い、殺し、沈めてやれ!」
 艦橋にどっと歓声が沸く。
 そして、艦長席の後ろの壁に、席を挟むように、2枚の旗が掲げられる。
 1枚は帝国の紋章が描かれ。
 もう一枚には、髑髏と交差する骨が描かれている。
 それは遥か昔、ジョリー・ロジャーと呼ばれた意匠であった。

●海賊を二度沈めろ
「集まってくれてありがとう。ところで『私掠船』って聞いたことはあるかしら?」
 グリモアベースに集まった猟兵たちに、クリスティーヌ・エスポワール(廃憶の白百合・f02149)はそう切り出した。
 同時に、彼女が操るホログラムディスプレイに、大型の帆船が映し出される。
 荒くれの船乗りたちが乗った帆船は、別の船を容赦なく襲っていた。
「まぁ、単純に言えば国家公認の海賊ね。敵国の船を襲わせるのが目的ってわけ」
 映像の中の荒くれたちは、襲った船から金銀財宝を持ち出し、自分の船に積み込む。
 やがて襲われた船から火の手が上がり、荒くれの帆船はゆっくりと去っていった。

「で、ここからが本題。都市宇宙船が、銀河帝国の私掠船に襲われたの」
 ディスプレイの映像が、宇宙に浮かぶ都市宇宙船に切り替わった。
 警察や自警団の鎧装騎兵が抗戦しているが、クローン騎兵の銃撃で次々と倒れていく。
 一方的と言ってもいい。
「今行けば、まだ都市区画は無事だから、被害は少なくて済むんだけど……問題は、サブの火器管制システムが帝国側に制御を奪われてるの。だから、助けるには、まず都市宇宙船自体の対空砲火を切り抜けないといけない、って本末転倒な事になってるわけ」
 居心地悪そうに、クリスティーヌはズレかかった眼鏡の位置を修正した。

「まぁ、避けては通れない以上、みんなには小型宇宙船を使って、都市宇宙船に突入してもらうわ。操縦は単純だから、他の世界の人でもすぐ操縦には慣れられるはずよ」
 非武装だが、その分は猟兵自身の武装やユーベルコードで補うことになる。
「弾幕の対処法はみんなに任せるわ。砲台を壊しても大丈夫」
 反撃で砲台を潰すのもいいし、防御や回避で被害が及ばないようにしてもいい。
 攻撃パターンが分析して、その隙を突くのもいいだろう。
「うまく突入できたら、敵兵を倒しながら、占拠されたサブコントロールルームを目指して。そこにいる指揮官を倒せれば、依頼は達成ね」
 指揮官は、正規の帝国騎士でもあるバール卿。
 部下には古語での艦隊指揮官の敬称「アドミラル」を付けさせているという。
 その部下は、あえて荒くれ者をベースにしたクローン騎兵。
「どっちも柄は悪いけど、実力はあるから油断しないで。チンピラとはわけが違うわよ」

「……まぁ、説明はこんなところかしら。大変なお願いだけど、吉報を待っているわ」
 クリスティーヌは猟兵たちに微笑んで、彼らを送り出した。


西野都
 はじめまして、西野都と申します。
 この度、MSとして皆様の冒険のお手伝いをすることになりました。
 どうか、よろしくお願い致します。

 さて、今回はスペースシップワールドでの都市宇宙船救出任務となります。
 イメージしにくい方は、海賊もので船を襲撃する話、と脳内変換して頂ければ良いかもしれません。
 第一章は、言わば銃弾や矢などを回避しつつ、接舷するまでの話というわけです。  もちろん、船には船員も船長も待ち構えていますので、ご注意を。

 では、皆様の熱いプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『弾幕との戦い』

POW   :    豪快に反撃する、防御を固めながら突破を試みる

SPD   :    的確に反撃する、素早くかわして突破を試みる

WIZ   :    魔法で反撃する、パターンを分析して突破を試みる

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

レイチェル・ケイトリン
わたしが得意な念動力技能でサイコドライブをつかって加速し
すばやくかわして突破をこころみるよ。

突破に集中して身軽になればさらに加速できるけどしないの。

飛んでくる銃弾や矢を念動力と吹き飛ばしの技能でふっとばしてふせぐ。

かばう技能もつかってほかの猟兵さんの船に飛ぶ銃弾や矢も
できるかぎりふせいですすむね。

わたしのはやさはよけるだけじゃない。
ほかの猟兵さんをまもってあげられるとこにいるためにもある。

わたしだけ突破しても意味ないもの。

わたしの力は心の力。

みんなで突破して、みんなでたたかって、みんなでたすけるよ!

そうしたいって想うきもちがいまのわたしの心だもの。


……ところで、とんでくる「矢」ってなんだろね?


黒岩・りんご
さすがにこの銃弾はユーベルコードではないですよねぇ…
銃弾受け止めて撃ち返す喜久子さんとか見てみたかったんですけど

ま、冗談はさておき、海賊退治頑張りましょうか
「戦巫女の舞を御見せしますわ。いざ、参りましょうか」
…巫女として活動すること多いのになぜ毎回わたくし女医スタイルなのかしらね?

【巫覡載霊の舞】を使います
角や長髪が白銀に輝く神霊体の姿になり、正面から突破します
なぎなた…神龍偃月刀から放つ衝撃波で銃弾を叩き落とし、そのまま逆に敵を衝撃波で切り裂きつつ行きます
「鬼の巫女はこの程度では止まりませんわよ?」
多少の傷はなんのその

立ち往生してる仲間とかいたら援護しつつ、ドンドン進みましょう

絡み歓迎です


ドロレス・コスタクルタ
「都市区画の気密が破れたら全滅の危険もあります。最大出力で参りますわ!」
こちらを補足しての攻撃か、事前に定められたパターンに基づいたものか、文字通りの弾幕で法則性はないのか等を
分析し、最も到達の可能性が高い即興の回避機動アルゴリズムを小型宇宙船に打ち込み、全速力での突入を試みる。
但し、回避機動がワンパターンなものに陥ってこ動きを先読みされないよう、敢えてランダムな回避も織り交ぜる。

小型宇宙船が受ける多少のダメージは覚悟の上。
致命的な攻撃が予測される場合はサイキックブラストでその攻撃を放つ砲台の動きを一瞬止めて、弾幕の隙間を潜り抜ける。
「完全回避が無理なら多少の傷は覚悟の上。時間優先ですわよ!」



●光芒の雨を越えろ
有史以前いや宇宙開闢から漆黒に満たされていた宇宙空間。
そこを、眩い光が尾を引いて切り裂いていく。
流星?いや。
「いくよ。この船で」
それはレイチェル・ケイトリン(心の力・f09500)の小型宇宙船がまとう、サイキックエナジーの光だ。
速度ゲージはとうの昔に振り切れている。が、その心の力が続く限り、加速は続くのだ。
故に、集中すれば更に速度は上がるのだが、レイチェルはそうしない。
「わたしのはやさはよけるだけじゃない。ほかの猟兵さんをまもってあげられるとこにいるためにもある」
仲間たちを守りたい。
その一念が、レイチェルを突き動かしていた。
そして、少し前まで点にしか見えなかった都市宇宙船の細かい造作が見えてきたその時。
速度を保ったままレイチェルの小型宇宙船が突如旋回する。
それと、無数の蒼い光芒の矢がレイチェル機を狙い、殺到するのはほぼ同時だった。
だが、数が多いとは言え、ほとんどの「矢」はレイチェル機の速度に、心の力に追いつけない。数瞬前の過去の座標を貫くだけだ。
わずかにレイチェルをかすめる攻撃もあったが、念動力の守りの前には吹き飛ばされるしかなく、蒼い光の矢は、そのまま宇宙の暗黒へと消えていった。
そうして一難を退けたレイチェルに、一つの疑問が浮かぶ。
「……ところで、とんできた「矢」ってなんだろね?」
質問に答えられる猟兵は、近くにはいそうになかった。

「さすがにこの弾はユーベルコードではないですよねぇ……」
冗談めかしてため息をつくのは、黒岩・りんご(禁断の果実・f00537)。
彼女の宇宙船の横をかすめた青い光は、都市宇宙船を外敵やデブリから守るため、無数に設置された対空砲から放たれる、荷電粒子ビームだ。
りんごの傍らにいるハイカラな戦闘用絹糸人形「喜久子さん」で無効化し、排出する姿が見てみたかったりんごとしては、残念な結果である。
「ま、冗談はさておき」
りんごが立ち上がると、宇宙空間とコクピットを隔てていた二重外壁が開いていく。
真空中に身を乗り出したりんごは、藍色の髪をなびかせつつ、「神龍偃月刀」の銘を持つなぎなたを中段に構えた。
「戦巫女の舞を御見せしますわ」
その言葉と同時に、藍の髪と黒い角が、輝く白銀に変わっていく。
寿命と引き換えに、敵意と脅威を退ける神霊体となったのだ。
「いざ、参りましょうか!」
気合の一言とともに、神龍偃月刀を横一文字に振り抜く。
その軌跡は星間物質をも震わす衝撃波となり、りんごに殺到する荷電粒子ビームを吹き散らした。
開けた進路へと、迷いなくりんごは飛び込んでいく。
「…巫女として活動すること多いのに、なぜ毎回わたくし女医スタイルなのかしらね?」
羽織った白衣をはためかせて。

同じ頃。
ドロレス・コスタクルタ(ルビーレッド・f12180)もまた荷電粒子ビームが飛び交う戦場の中にいた。
「今のは単なる弾幕?いえ、パターンを組んでますの?」
濃密な光弾の密集をバレルロールで回避しながら、ドロレスは凄まじいスピードで、手元のコンソールを叩き続ける。
「3時方向から射撃……!」
天頂方向に機首を上げ、加速。
機体下部スレスレ、ほんの数秒前までドロレスの宇宙船がいた座標を、ビームが通り過ぎていった。
「捕捉攻撃も織り交ぜてますわね……ですが、これで完成です!」
言葉と同時に最後の一文字を叩くと、デジタル計器のディスプレイに「complete」と表示される。
そう、濃密な対空砲火を分析し、都市宇宙船への到達可能性を最大化させる、即興の回避機動アルゴリズムを組んでいたのだ。
更には敵の先読みに備え、ランダムな回避パターンまで織り交ぜている周到さである。
これで、ドロレス自身は全速力での突入に集中できる。
「都市区画の気密が破れたら全滅の危険もあります。最大出力で参りますわ!」
そうして放棄された宇宙船の事例には事欠かないのが、この世界である。
この都市宇宙船はそうさせまいと、ドロレスはスピードを上げた。
一撃が死に繋がりかねない青い火線が殺到するが、組まれたアルゴリズムは最適な回避を積み重ね、綱渡りのように都市宇宙船への距離を詰めていく。
だが、近づけば砲火の濃密さは増す。
光の驟雨は豪雨となり、完全な回避は望めなくなっていた。
「完全回避が無理なら多少の傷は覚悟の上。時間優先ですわよ!」
光が走る度にいくつもの焦げ跡が付き、穴が開くが、止まるわけにはいかない。
何度めかの一斉砲撃の兆候。
周囲の砲台に一斉に光が灯り、アルゴリズムが回避不可能とエラーを吐く。
「仮称砲台Fに若干のタイムラグ……でしたら、その動きを!」
眼下に、雷鳴が放たれた。サイキックブラストの高圧電圧。
砲台の制御系がショートし、その機能を一時的に停止させる。
だが、包囲網に空いた僅かな穴は、潜り抜けるにはあまりに狭い。
それでも行かねばならないと、ドロレスが覚悟を決めようとしたその時。
「援護しますわ!」
声と同時に、衝撃波が吹き荒れ、放たれた荷電粒子ビームの半分を吹き散らす。
白銀の髪と角の戦巫女……りんごである。
コクピットを開いて仁王立ちで神龍偃月刀を構える姿は、神々しくもある。
そして、残りの半分は。
「だいじょうぶ、たすけるよ!」
天頂から眩く輝く流星――レイチェルが間に割って入ることで、その全てを引き受けた。
纏った念動力が大部分のビームを吹き飛ばしたため、多少のダメージは負っているものの、航行に支障はなさそうだ。
死の顎から逃れたことを実感し、ドロレスは一息ついた。
「……礼は言いませんわよ?」
「構いませんわ、たまたま通りかかっただけですから♪」
「みんなで突破して、みんなでたたかって、みんなでたすける。そうしたいって想ったから。きにしないで」
ドロレスの言葉に、二人の猟兵は微笑み、頷く。
「……先程、ハッチらしいものを一瞬ですが視認しましたわ。付いて来てくださいませ!」
目尻に熱いものを感じながら、ドロレスは先導すべく機体を旋回させた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

アララギ・イチイ
弾幕を掻い潜り敵艦に突入して、艦内戦闘ってある意味浪漫よねぇ
とりあえず、邪魔な物を片付けましょうかぁ

装備品のアクア・アララギ号を使用するわぁ
召喚・機械人形ズで艦内の搭乗員を増やし、魚雷発射室、発令所、機関室に人員を分散配置、艦の効率的な運用をするわぁ
(※本来は2~3人乗りくらいの攻撃機ですが、今回は中型の潜水艦のサイズくらいまでUPしてます)

(騎乗・操縦)で操作しつつ、(迷彩)で隠れて、艦首の対艦魚雷(誘導弾)を連続発射して敵砲台を潰すわぁ
再装填が必要だから(早業)の技能で装填速度を上げるわぁ

砲台を減らして弾幕が薄くなったら機関全開で突入、艦首ドリルで外壁を破壊して内部に突入するわよぉ


水心子・静柄
この小型宇宙船って何も付いていないのね…私の持ち物の中に火器類はないし、ユーベルコードは近距離ばかりだから近づかないといけないのよね。よし、ここは一つ覚悟を決めて、この宇宙船を武器にするわ。一度やってみたかったのよね、カミカゼアタックを!本体を守りきればいけるわよね?

出来れば管制室を狙いたいけど、流石に外周にはないわよね?あとは火器の制御コントロールが集中している所かサブコントロールルームに繋がるハッチかしらね。そこはもう第六感と野生の勘に頼るわ。

もう、まさにこれは捨て身の一撃よね。これで瀕死になったら戦場の亡霊を呼び出して、さらに亡霊に暴れさせるわ。



●眼下の猟兵
「弾幕を掻い潜り敵艦に突入して、艦内戦闘ってある意味浪漫よねぇ」
 アララギ・イチイ(ドラゴニアンの少女・f05751)は、潜水艦機能を持つ汎用宇宙攻撃機『アクア・アララギ号』の発令所で楽しそうに笑った。
 中型潜水艦レベルにまでサイズを拡大した『アクア・アララギ号』は、既に都市宇宙船の防空圏に入っている。
 だが、時折流れ弾がかすめる程度で、本格的に狙われる様子はない。
 機体に施された光学及び電子的迷彩が、敵の索敵機能を欺瞞している……つまり、気づかれていないのだ。
 勿論、この機を逃すアララギではない。
「とりあえず、邪魔な物を片付けましょうかぁ。対艦魚雷、用意してねぇ」
 アララギの号令一下、ユーベルコードで召喚された機械人形たちが一糸乱れぬ動きで艦を動かす。例外なく、その胸には数字の刻印された金属製銘板が埋め込まれている。
 機関出力、安定。
 誘導対艦魚雷、1番発射管から6番発射管まで、装填。
 目標、対空荷電粒子ビーム砲台、ロックオン。
 最大限の運用効率で、攻撃準備が整う。必要なのは一つだけ。
「魚雷、全門斉射よぉ」
 発射命令と同時に、艦首から六発の対艦魚雷が一斉に放たれる。
 防空システムも、流石に魚雷の接近は感知し、近辺の砲台が一斉に砲門を向けようとする。
 しかし。
「遅いのよねぇ」
 放たれた魚雷は、白い航跡を描いて都市宇宙船の外壁に着弾。
 六基の砲台が、蒼い荷電粒子ビームを放つことのないまま、赤い炎を上げて爆発した。
『アクア・アララギ号』は、迷彩を活かして、まさに必殺の距離にまで踏み込んでいたのだ。
「再装填急いでねぇ。どんどん撃つわよぉ」
 未だ迷彩の欺瞞能力は健在だが、発射位置から座標を特定される可能性はある。
 アララギは回頭を命令し、次の獲物へと向かっていった。

「この小型宇宙船って何も付いていないのね…」
 脇差のヤドリガミ、水心子・静柄(剣の舞姫・f05492)はコクピットで独りごちる。
 猟兵に提供された小型宇宙船は、操縦の容易さが最大の利点だが、一方で火器の類は一切装備されていない。
 そのため、攻撃は猟兵のそれに依存するのだが、彼女のユーベルコードは近接戦に特化しており、近づけなければそもそも攻撃できない。
 現在の状況は、決して良いとは言えなかった。
 が、その時。都市宇宙船の外壁に、幾つもの炎の華が咲いた。
 静柄には、それがアララギの攻撃によるものとは知る由もないが、砲台が破壊され、対空砲火の薄い部分が発生しているのは見て取れた。
「よし、ここは一つ覚悟を決めて、この宇宙船を武器にするわ。一度やってみたかったのよね、カミカゼアタックを!」
 すなわち、宇宙船による特攻である。
 決断した静柄は、即座にスロットルを最大解放。
 エンジンが唸りを上げ、急加速が静柄の身体を圧迫するが、その操作に淀みはない。
「出来れば管制室を狙いたいけど、流石に外周にはないわよね?」
 こうした艦の管制室は、通常は艦体の奥深くに据えられている。実際、それらしきものは見えないので、その考えは放棄する。
 機体上部を荷電粒子ビームがかすめる。
「あとは火器の制御コントロールが集中している所かサブコントロールルームに繋がるハッチかしらね」
 だが、こうしたシステムの知識は静柄にはない。
 故に、自らの第六感と野生の勘を信じ、突っ込むのみと彼女は割り切った。
「さぁ、行くわよ!」
 舵を固定し、そのまま最大速度で突っ込んでいく。
 生きている砲台が反応し、ビームを放つ。
 命中。サブエンジンが一つ蒸発する。
 だが、速度も進路も変更はない。本体さえ守りきればいいのだ。
 何発もの命中弾を受け、火を吹きながら、静柄機は速度を落とすことなく……。
 ハッチを吹き飛ばし、内側の駐機場に止められていた宇宙船を何機もなぎ倒し、床を大きく削って、ようやく停止した。
「な、何とかなったみたいね……」
 ボロボロになりながら、静柄は微笑んだ。
 捨て身の一撃ながら、都市宇宙船への突入に成功したのだ。

「猟兵どもが来やがった!野郎ども、血祭りにあげるぞ!お宝はあとだ!」
 クローン騎兵たちが怒号をあげ、ハッチ方面へ殺到する。
 ハッチ内側の駐機場は、彼らの目から見ても酷い有様であった。もはや残骸の宇宙船が突っ込み、駐機した機体が何機も横転し、破壊された、まさに事故現場だ。
 その事故現場に、何者かが立っている。
「それ」は、煙が無理矢理人の形をしているようで、詳細な目鼻立ちは分からない。
 だが、鞘に収めたままの脇差を握っているのだけは、はっきりと分かった。
 コクピット内で瀕死の静柄が召喚した、戦場の亡霊であった。
「ええい、バケモンでも撃ちゃ死ぬはずだ……げふぅ!?」
 クローン騎兵の一人の鳩尾に、脇差の鞘が突き込まれた。
 腹から響く衝撃に意識を刈り取られた騎兵を顧みることなく、亡霊は隣に立つ別のクローン騎兵の下顎めがけて脇差を振り上げる。
 尋常ならざる力で叩き上げられたクローン騎兵は、そのまま壁へと吹っ飛び、動かなくなった。
「う、撃て、撃てぇ!」
 恐慌に陥りかけていたクローン騎兵たちが、我に返って熱線銃を構え。
「突入するわよぉ!」
 突如壁を破った大質量になぎ倒され、撃つことは叶わなかった。
 その正体は、艦首ドリルで外壁を貫通し、突入した『アクア・アララギ号』だ。
 クローン騎兵の怒号が止み、沈黙に包まれた駐機場。
『アクア・アララギ号』から降り立ったアララギは、愉快そうに笑う。
「まさかあの宇宙船で突っ込むなんて、いいわぁ、そういうの嫌いじゃないわぁ」
「そっちこそ、外壁ぶち抜くなんて正気の沙汰じゃないわね……」
 ようやく起き上がった静柄が、呆れたように言う。
 外壁どころか、駐機場の壁まで突き破って突っ込んできた『アクア・アララギ号』は、進路上を滅茶苦茶に破壊し尽くしていた。
 なぎ倒されたクローン騎兵たちは、詳細を書くのもはばかられるような状態だ。
 気密区画外のため、空気が漏れていくことがないのが、せめてもの幸いか。
「これじゃ、流石におやつにもならないわねぇ」
 クローン騎兵の残骸を一瞥したアララギは、残念そうに呟くのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

シン・ドレッドノート
浪漫の無い海賊なんて、ただの盗人ですよ。
「海賊と聞いたから少しは期待したのに…ただの強盗・追いはぎの類でしたか」

自前のスペースバイク『ノーブル・スカーレット』で宇宙空間に飛び出します。

「ブースト・オン、行きますよ、ヘブンズ・スカーレット!」
【天翔ける紅彗星】を起動、ウィングを展開した高速機動モードに変形。
赤い軌跡を残して宇宙を駆け抜けます。

敵の砲撃を見切って回避しつつ、カウンターで『スカーレット・ブラスター』を砲口に撃ち込んで沈黙させます。

「ハッチはあそこですね…」
接舷ポイントの周辺の砲台を沈黙させたら、『怪盗の単眼鏡』でハッキング、ロックを解除し、ハッチ内部の状況を確認してから突入します。


片桐・公明
「宇宙戦争って浪漫有るよね。私が元居た世界はSFで架空の物みたいだったけど。それじゃ、ド派手に行ってみようかしら。」

【POW】一番速度が優れている小型宇宙艇で豪快に突っ込んでいく。通常時の戦闘経験から、3割程度の弾幕は感覚で回避できる。残りの7割はUC[サイコキネシス]で強引に弾道を曲げて切り開く。
「困ったときは力技♪母さんの教えよ。」

都市宇宙船に移ることを第一。砲台は内部から破壊して、後続に備える。乗り込んだら2丁拳銃とUCでモブと応戦する。
「確か昔見た映画でこんなことしていた気がする。念動力握撃。」
キュッとして、ドカーン

「色々こわしちゃうけど仕方ないよね。コラテラルダメージってやつよね。」


ヘスティア・イクテュス
むっ…帝国の海賊だというなら
他の海賊に襲われたって文句はないわよね…
SkyFish団出航よ!


小型宇宙船を使って突入、伊達に船長じゃないんだから!【操縦】

アベルにお願いして砲台の位置から薄いとこを把握【ハッキング&情報収集】サポートをお願いして砲撃を回避して突撃よ
艦の後方とか下方は火力が薄いっていうのはよくあるわよね…


同時期に突入する人がいるならその人達にも情報の提供
狙いが分散すればその分突入しやすくなるってね
…向こうで無事会いましょう

【ティンク・アベル】
ヘス-お嬢様呼び
執事のような喋り方



●海賊と怪盗と灼滅者の矜持
「むっ……帝国の海賊だというなら、他の海賊に襲われたって文句はないわよね……」
ヘスティア・イクテュス(SkyFish団船長(自称)・f04572)の思考は、海賊団の長(自称)らしいものだ。
海賊もまた、他の海賊に襲われるリスクを負っている。手傷を負っているなら尚更だ。
それは、国家公認の通商破壊戦を担っていた私掠船も例外ではない。
ならば、彼女としてすることは一つだ。
「SkyFish団出航よ!」
一人乗りの小型宇宙船のコクピットで、彼女はそう号令をかけた。

「海賊と聞いたから少しは期待したのに……ただの強盗・追いはぎの類でしたか」
シン・ドレッドノート(真紅の奇術師・f05130)は、帝国私掠船の所業に失望を隠せなかった。
盗賊稼業の自覚はある。だからこそ、怪盗という「浪漫」を抱く。
それなくば、ただの盗人に堕ちる……そう信じる。
そして眼前のオブリビオンは、彼にとって浪漫のない、ただの盗人に相違なかった。
「ブースト・オン、行きますよ、ヘブンズ・スカーレット!」
未練を振り切るような声で、シンはユーベルコードを起動。
スペースバイク「ノーブル・スカーレット」は大型のウイングを展開し、高速機動に特化した純白の鳥、エアロモードへと変形する。
赤い軌跡を描いて、シンは戦域へと飛び込んでいく。

「宇宙戦争って浪漫有るよね。私が元居た世界はSFで架空の物みたいだったけど」
都市宇宙船の周囲で繰り広げられる戦闘を見て、片桐・公明(人間のフォースナイト・f03969)は感想を漏らす。
どこか他人事なのも、無理はない。
彼女の世界では、こうした光景はアニメや映画でしか見られないものだったのだから。
宿敵の因縁、三次元陣形で展開した艦隊同士の戦い、敵戦艦への戦闘機での肉薄。
物語として、それは確かに浪漫に違いない。
けれど、今蒼い光と赤い爆発の中では、戦闘が行われている。
命を賭けた、本物の。
公明も、それは分かっていた。
だから。
「それじゃ、ド派手に行ってみようかしら」
提供された中で、最も速力に優れた小型宇宙船を駆り、公明は弾幕へ突っ込んでいった。

防空圏に入った途端、ヘスティア機は、荷電粒子ビームの洗礼に晒されていた。
だが、ヘスティアは慣れた手付きで操縦桿を動かし、蒼い荷電粒子ビームを受け流す。
「上げ舵!」
機首を上げる。機体下部を荷電粒子ビームが通り過ぎる。
彼女の操船は、確かな技量を感じさせるものだった。
「アベル、状況把握。指示、お願いするわ」
『承知致しました、お嬢様。至急、砲台の位置と射撃状況から、弾幕の薄い場所を算出致します。5秒、お待ち下さい』
余裕すら感じさせるヘスティアの声に、別の声が答えた。
彼女の家と言える宇宙船「ソードフィッシュ号」の管理AIであり、彼女のユーベルコードでもある「ティンク・アベル」である。
コクピットの疑似キャノピー型モニターに、各種オブジェクトが四角いマーカーが次々と取り付けられ、キャノピーの端では猛烈な勢いで数字が流れていく。
「下げ舵55!」
ヘスティア機は急下降。
コクピットブロックの両端を、荷電粒子ビームが通り過ぎる。
「取り舵35!」
下降した位置を狙ったビームを、間一髪で回避する。
ヘスティアの背に冷たいものが走った。判断が遅れれば宇宙の藻屑だったかもしれない。
「アベル、まだ!?」
「お待たせして申し訳ございません、お嬢様。算出は今終わりました」
「それで、結果は!?」
画面脇に、自分を中心とした平面の地図が表示され、都市宇宙船の周囲が赤から青のまだら模様で表示される。
「あいにく、船体が大きいため、こうした艦船にありがちな弾幕の薄くなりがちな場所はございませんでした。ですが」
「あるのね、弾幕の薄い場所?」
「ご明察です。先行した猟兵がいくつも砲台を破壊しているため、彼らの突入したハッチ周辺が、弾幕の空白地帯となっております。また、遠距離においても密度にムラが生じております。このように」
アベルは、平面地図の一部を示した。真っ赤な弾幕の密度が濃い部分の中で、曲がりくねった青い道のような、弾幕の薄い部分が見て取れた。
よく見ると「弾幕回廊」という呼称まで付けられている。
ヘスティアは、相棒の完璧な仕事に笑みを浮かべた。
「分かったわ!アベル、航行制御補助をお願い!それと、近くに猟兵がいたら今の情報を送ってあげて!『向こうで無事会いましょう』って電文も添えてね!」
「承知致しました、お嬢様」
ヘスティア機はスピードを上げると、防空圏の奥へと突っ込んでいった。

同時刻。
今まさに都市宇宙船の防空圏内に突入しようとしていた公明機に通信が入った。
「すっごい、こういうの作ってる人いたんだ」
加速度はそのままに、ヘスティアから送られた弾幕濃度地図をディスプレイに映し、公明は微笑む。
全ての弾幕を、勘での回避とユーベルコードで切り抜けるつもりだったが、労力が減る分には歓迎である。
「でも、回廊まで少し距離があるわね」
地図の弾幕濃度を、疑似キャノピー型モニターに三次元で反映させる。視界全てが赤と青に染まるが、一番近い青い部分、回廊の入口までは現在の速度でも30秒はかかる。
短い時間ではあるが、その間に何発もの荷電粒子ビームが飛ぶかは想像もつかない。
「まあ、いいかな。どっちにしろ突っ込むつもりだったんだし!」
進路を回廊の入口方面に修正し、そのままの速度で公明機は防空圏に突っ込んだ。
同時に、画面一面を投射された荷電粒子ビームの光が埋め尽くす。
それを公明は旋回し、機体を回転させながら回避していく。
「灼滅者」を名乗っていた、父と母から受け継いだ感覚の賜物だ。
だが、それでも回避できるのは全体の3割。残りの7割は。
「困ったときは力技♪母さんの教えよ」
公明機に殺到する荷電粒子ビームが、直前で「曲がった」。
ユーベルコード【サイコキネシス】。
本来はサイキックエナジーで遠隔地の物質を掴んだり、攻撃をするものだが、公明はビームの進路を歪めるという、まさに力技で回廊への進路をこじ開けていったのである。
他の者が見れば、蒼い光が乱れ飛ぶ中、公明機の周辺だけが宇宙の静穏を保っているように見えただろう。

一方、シンはというと。
「ターゲットロック……目標を狙い撃つ!」
飛び交うビームの飛来した方向へ、赤いラインの入った粒子砲「スカーレット・ブラスター」を構え、紅き光弾を放つ。
僅かなタイムラグを経て、その度に宇宙船外壁に紅い華が咲く。
その度に、蒼い光の密度が僅かに低下していく。
シンは、スカーレット・ブラスターの射程に入った段階で、対空砲火に対してカウンターを放ち、砲台を一つ一つ沈黙させていたのだ。
ノーブル・スカーレットが外壁の接舷ポイント周辺に辿り着く頃には、周囲の砲台は完全に破壊され、沈黙していた。
シンは、機上でモノクル型の電脳ゴーグル「怪盗の単眼鏡」をサーチモードに切り替え、周囲を見回す。
その一部が赤く染まり、シンの探していたものを告げた。
「ハッチはあそこですね……。では、行きましょうか」
すぐ近くにあったハッチにたどり着くと、外側にある緑と赤のランプが付いたロックの制御ボックスに触れる。
同時に、怪盗の単眼鏡の画面端に、猛烈な勢いで乱数が流れていく。
制御ボックスの2つのランプがデタラメに点灯と消灯を繰り返し……。
緑のランプだけが点灯すると、ゆっくりとハッチが開いていった。
「ハッキングは成功ですか。さて、中は……」
開き幅を僅かにし、肉眼と、怪盗の単眼鏡のサーチモードで、扉の奥を伺う。
どう動くにせよ、周囲の状況を確認しなければ始まらない。
が。
「くそっ、引け、引けぇっ!」
熱線銃を撃ちながら、少し向こうの廊下をクローン騎兵たちが交代していく。
それを追うように、多数の実弾が飛ぶ。
何発かはクローン騎兵に当たり、銃弾の慣性で身体が後方へ飛んでいった。
「てめえっ、なめんなっ!」
一人のクローン騎兵が踏みとどまり、熱線銃を乱射した。足止めをしようというのだろうか。
だが、その動きはすぐに止まる。
表情はヘルメットで分からないが、細かく震えながら、首に手をやっている。
不自然に身体が持ち上がり、足が離れていく。
足が、既に離れた床を求めてバタバタと動く。
「確か昔見た映画でこんなことしていた気がする。念動力握撃」
廊下の反対側から現れたのは、拳銃を持った公明だ。
何かを握るように、指ぬきグローブを着けた手を掲げている。
その動きは、苦しむクローン騎兵と連動しているようで。
「キュッとして、ドカーン」
絞め落とされ、クローン騎兵が動かなくなると同時に、壁の一角が突如火を吹き、吹き飛んだ。
完全に巻き込まれたクローン騎兵は……影も形もなくなっていた。
「色々こわしちゃったけど仕方ないよね。コラテラルダメージってやつよね」
公明は軽く言っているが、一瞬だけ表情が引きつったのを、シンは見逃さなかった。
恐らく、砲台などの破壊活動を行っていたのだろうが、自分の言葉と同時に爆発が起きるとは、思わなかったのだろう。
そして、空いた手にもう一丁拳銃を持つと、壊れた壁の前を足早に駆け抜けていった。
「どうやら、僕も行った方が良さそうですね」
シンはハッチを大きく開くと、ひらりと身を翻し、油断なくスカーレット・ブラスターを携え、都市宇宙船内へ飛び込んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『クローン騎兵』

POW   :    ジェノサイダー
【自身の寿命】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【ジェノサイドモード】に変化させ、殺傷力を増す。
SPD   :    インペリアル・インテリジェンス
【銀河帝国式戦術ドローン】を召喚し、自身を操らせる事で戦闘力が向上する。
WIZ   :    ブラスターレイン
【熱線銃(ブラスター)】を向けた対象に、【連続射撃】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●荒くれCAVALRY
「敵の侵入を許しただと!?てめえら、何やってやがった!」
リーダー格らしいクローン騎兵が、怒号を上げ、目の前の別の騎兵を熱線銃の銃把で殴りつけた。
殴りつけられたクローン騎兵は、低重力環境故に、くるくると回転しながら吹き飛んでいく。
「で、ですが、敵は数こそ少ねえですが、極めて強力!接触した小隊が次々と全滅してやす!」
別のクローン騎兵が、リーダーに答える。
「ちっ、噂の解放軍だか猟兵だかって奴か……」
帝国に対し、抵抗活動を繰り広げている組織らしきものがあることは、帝国でも知られていた。
彼らは幾人もの帝国騎士を倒し、幾つもの帝国の計画を阻止してきたという。
ならば。
「野郎ども、サブコントロールルーム前の廊下に戦力を集中させろ!略奪に回ってる部隊も戻せ!アドミラルの手を煩わせるな、ここで奴らを一網打尽にする!」
「ア、アイアイサー!」
私掠船の荒くれクローン騎兵部隊は、急ぎ戦闘態勢を整えていった。
パル・オールドシェル
既に防衛線を引いている……粗暴ですが、戦術も練度も装備も正規軍と劣らないということでしょうか。
何にせよ、油断なく攻勢に加わります。第一目標は戦友の皆さんを突破させること。
第二目標は、彼らを拘束・無力化すること。殺しはしません、それは僕の運用目的から外れた行為ですから。

敵正面で盾受けに徹し、味方の攻撃開始まで時間稼ぎを行います。
敵部隊の射撃の隙間を縫ってカウンター攻撃として、両のケーブルアームを伸ばして敵をなぎ払い、陣形を崩した後各個に拘束。制圧用電撃腕を起動し、気絶攻撃によって無力化します。
この高圧電流であれば、機械化したクローン騎兵であれスタンさせられる筈です……!


ヘスティア・イクテュス
海賊SkyFish団よ!
大人しく抵抗をやめるなら命だけは助けてあげるわ!

一度言ってみたかったのよね(ぼそり)



近接戦闘は苦手なの
前衛は他の猟兵に任せて後方から援護するわ

アベルに敵の動きを読ませて
ミスティルテインで撃ち抜くわ
あら?うちのAIの方がそっちのドローンより優秀みたいね?

特に前衛に攻撃しようとする敵を優先して攻撃【援護射撃&武器落とし】
攻撃はこっちで阻止するから貴方は気にせず戦いなさい

こちらへの攻撃はティターニアを噴かせて回避ね【見切り】


水心子・静柄
あなた達(クローン騎兵)、ついさっき(ヘロドトスで)見たわね!あの時は多勢に無勢でいい様にされたけど、今回は人数もいないみたいだし憂さ晴らしさせてもらうわよ!!

戦場の亡霊を使った後だから本来なら回復に努めないといけないところだけど、同じ顔(クローンだからね!)を見てると居合で首チョンパーしたくなるわね。でも、ここはサブコントロールルームへの道を確保する為にグラウンドクラッシャーで暴れさせてもらうわ。特に目的はないけど、サブコントロールルームに立て込まれないように徹底的に通路を壊させてもらうわ!



●あの騎兵を撃て!
「海賊SkyFish団よ!
大人しく抵抗をやめるなら命だけは助けてあげるわ!」
ヘスティア・イクテュス(SkyFish団船長(自称)・f04572)は、前方で簡易陣地を構築するクローン騎兵たちに投降の呼びかけを行う。
もっとも、本気ではなく、
(一度言ってみたかったのよね)
という割と軽い理由なのだが。
もちろん、それが通用するわけもなく、
「ざけんな!アドミラルの前でみっともない所を見せられるか!」
「てめぇらこそ降伏しろ!」
という罵声が返ってくるのみ。
『お嬢様、相手を下手に刺激する必要はなかったのでは?』
理由が理由だけに、アベルのツッコミにどう返答するか困るヘスティアであった。

「既に防衛線を引いている……粗暴ですが、戦術も練度も装備も正規軍と劣らないということでしょうか」
パル・オールドシェル(古き戦友・f10995)は、敵をそう分析した。
事実、荷物運搬用の四足型ロボットや壊れた大型機械などが廊下のあちこちに配置されていた。
その影に、幾人かのクローン騎兵が見え隠れしている。
簡易的なバリケード、或いは塹壕の代わりかもしれない。
態度とは裏腹に、戦術的には堅実そのものだ。
「攻めるタイミングが難しいですね」
「そうかしら?割と簡単だと思うけど」
水心子・静柄(剣の舞姫・f05492)は、手にした扇でクローン騎兵たちの布陣した廊下を指し、
「あのバリケードを破壊したら、敵もこっちと条件が同じになるわ。違う?」
脇差のヤドリガミは、そう事もなげに言った。

障害物で臨時陣地を構築し、待ち構えていたクローン騎兵たちの前に現れたのは、3人の猟兵。
無数の熱線銃の銃口に対し、わずか3人で対抗する。
「数の差に諦めて的になりに来たかぁ?」
いくら猟兵が一騎当千とは言え、クローン騎兵たちには無謀としか思えず、嘲笑の言葉が漏れる。
勿論、猟兵にそんなつもりはない。
「パル・オールドシェル、攻勢に加わります。頼みます、戦友」
言葉とほぼ同時に、静柄とパルが臨時陣地へとまっすぐ駆け出した。
猟兵の行動に対し、クローン騎兵の反応は早かった。即座に熱線銃の機能封印を解き、統制された連続射撃を前衛の二人に浴びせかける。
だが、
「第一目標は戦友の皆さんを突破させること。そのために僕が盾になります!」
ツーマンセルの前方を走るパルが、蒼光に縁取られた、黒金の盾を構える。
並の金属なら溶解するはずの熱線の雨が、焦げ跡一つ付けることも叶わず、散り消えた。
「馬鹿な、ジェノサイドモードの出力でも傷がつかないだと!?戦艦の装甲か、あれは!?」
その盾が、文字通り戦艦の装甲から作られていることを、彼らは知る由もない。
そして、その隙をパルは見逃さなかった。
「暴徒鎮圧システム、オーバーロード。あなたを捕縛します。どうか、抵抗しないで」
パルの腕が「解けた」。
解けてフラットケーブル状になった平たい腕が蛇のように伸び、四足型ロボットの陰から射撃のために身を乗り出したクローン騎兵の腕に絡みつく。
何かが弾けるような音と短い悲鳴が上がり、その騎兵が倒れた。
「第二目標は、彼らを拘束・無力化すること」
制圧用電撃腕。
スタンガンやテーザーのように、敵を無力化するパルの固有兵装である。
クローン騎兵が倒れたのを確かめて、パルは腕を戻す。
「殺しはしません、それは僕の運用目的から外れた行為ですから」

「ええい、猟兵のいいようにやらせるな!撃て、撃て!」
胴間声が戦場に響き渡り、クローン騎兵たちは統制を取り戻す。
「戦術ドローンを使え!確実に当てて数を減らせ!」
次々と銀河帝国式戦術ドローンが召喚され、クローン騎兵に装着される。
総合的な戦闘能力を向上させるドローンは、当然ながら命中率も向上させる。
命中率の高い飽和射撃は、それだけで斬り込む猟兵の脅威になる、はずだった。
「ぎゃっ!」
「ぐわっ!?」
「銃がっ!?」
パルや静柄を撃とうとしたクローン騎兵たちの銃が、突如爆散した。
爆発の衝撃で倒れ込んだり、手を押さえてうずくまるクローン騎兵もいる。
「あら?うちのAIの方がそっちのドローンより優秀みたいね?」
『当然です、お嬢様。このアベル、量産型などに遅れを取りはいたしません』
ビームライフル「ミスティルティン」の銃口から陽炎を立ち上らせ、ヘスティアは不敵に笑う。
ピンポイントで前衛を狙う熱線銃を撃ち抜いたのだ。
AI「ティンク・アベル」の演算能力が、戦術ドローンのそれを上回るからこそできる芸当である。
「攻撃はこっちで阻止するから貴方たちは気にせず戦いなさい!」
妖精の羽のようにジェットパック「ティターニア」のスラスターを吹かせ、敵の銃撃を回避しながら、ヘスティアは次々と前衛を狙うクローン騎兵の熱線銃を破壊していく。
その支援の前に、前衛への注意が、逸れた。
「さぁ、徹底的に通路を壊させてもらうわ!」
静柄が大振りに、本体の脇差を振りかぶる。
「あんたたち、あの時は多勢に無勢でいい様にされたけど、今回は人数もいないみたいだし憂さ晴らしさせてもらうわよ!!」
前の依頼の憂さも込めて、鞘に収まったままの脇差を、床へと叩きつける。
その点を中心に、円形に床が、壁が、障害物がひしゃげる。
巻き込まれたクローン騎兵が吹き飛んでいく。
暴風の後、敵前衛と呼べるものは全てが歪み、潰れ、戦術的な意味を為さなくなった。
「ふぅ、多少はすっとしたわ。さて、ここから先は頼むわよ」
肩に脇差を掛け、静柄は後続に後を託した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

シン・ドレッドノート
さて、一気に制圧させていただきますよ。

「ターゲット・マルチロック、目標を乱れ撃ちます!」
【乱舞する弾丸の嵐】で複製したブラスターを前面に配置、弾幕を張りながら通路を押し進みます。
弾幕を抜けてくる攻撃に対してはビームシールドで受け流し。攻撃がクローン兵自身なら、カウンターの零距離射撃を撃ち込みます。

多少は壊れてもいい、とは言うものの。
「この船で生きている人もいるのですから…」
なるべく船を傷つけないよう、正確にクローン兵を狙って攻撃しますね。

「さぁ、貴方達のボスはどちらですか?」
最後に残ったクローン兵に対し、複製したブラスターの銃口を全て向けて問います。
答えがあってもなくても、始末しますけどね。


片桐・公明
戦力を集中してくれているの?あちこち巡って掃討する手間が省けたわ。
ところで知ってる?赤壁の戦いで曹操軍が負けた理由。
彼ったら波の揺れを押さえるために船を密集させていたの。それで周瑜の火計に対応できなかったの。
え?何が言いたいのかって?密集陣形は、私のとっておきが一番効果を発揮するということよ。

【WIZ】敵軍と遭遇したら物陰に隠れてUCの発動準備。整ったら物陰から出て攻撃。全滅を狙うが残ったら接近して戦う。
「周囲は全部敵。一番戦いやすいわね。」
「銃撃はね、銃口の向きを把握して動き回っていれば当たらないわ。」

UC:通常詠唱省略。代わりに発動時「曹魏の大群を破った猛炎。あなた達に耐えられるかしら。」


レイチェル・ケイトリン
敵はわたしたちを攻撃するには熱線銃を連続してむけてなきゃいけない。

なら、「心のなかで時間よ、とまれ」

念動力と吹き飛ばしの技能で刹那の想いをつかって
熱線銃を向けてきた敵から攻撃してどんどんふっとばしたり、
その敵よりこっちがわにいる敵や敵が出したドローンをふっとばして
その連続射撃の前に立たせてうけとめさせるね。

かばう技能もつかえるから、ほかの猟兵さんをねらった敵も
ふっとばしで、まもってあげるの。

低重力環境だから吹き飛びやすい……
なら、わたしの吹き飛ばしもききめがいっぱいだよね。

あとで便利そうだし、どんどんやっつけるよ。



●レッドバレット&レッドクリフ with モーメンタリーハート
「飽和攻撃だ!盾を構える暇がないほどに撃ち続けてやれ!」
帝国軍の前衛は、バリケードもろとも猟兵によって粉砕された。
だが、故に帝国軍たちは、火力を集中させて猟兵の行軍を阻む。
それは必殺の攻撃であり、バリケードを失った帝国軍にとって防御の手段でもあった。
「寄せ付けるな!銃身が焼ける前に全員ぶっ殺せば、俺たちの勝ちだ!」
もしかしたら、それは怯えでもあったのかもしれない。
ともかく、無数の銃口と熱線が、猟兵たちに集中していた。

「戦力を集中してくれているの?あちこち巡って掃討する手間が省けたわ」
廊下の影に隠れて二丁拳銃を構える片桐・公明(Mathemの名を継ぐ者・f03969)の呟きは、一つの真理である。
もちろん、そこには古の賢者が言うところの「武器効率が同じ場合、戦闘力は兵員数の二乗に比例する」という法則を乗り越える必要があるのだが。
「とっておき、用意を始めましょうか」
公明には、その手段があるようだった。

「心のなかで時間よ、とまれ」
その言葉と同時に、レイチェル・ケイトリン(心の力・f09500)に殺到する熱線は、その速度を急激に落とした。
同時に、眼前のクローン騎兵たちも、目に見えて動きが遅くなる。
スローで再生された映像のようだ。
減速した時間の中、レイチェルは悠々と歩き、熱線の間をすり抜けていく。
だが、クローン騎兵の見たものは異なる。
「あ、あの小娘、何だあの速度……!」
彼が見たのは、猛然と降り注ぐ熱線の中を、早回し映像のような速度ですり抜け、歩き、迫り来るレイチェルの姿だった。その姿に、畏怖すら覚えた。
次の瞬間、装甲に衝撃が走り、クローン騎兵は宙に舞う。
低重力環境のため、衝撃が簡単に運動エネルギーに変換され、浮き上がってしまうのだ。
「馬鹿、射線塞ぐんじゃねぇ!」
その背中を、同僚の放った幾条もの熱線が貫き、その意識は闇に落ちた。
ユーベルコード【刹那の想い】。
レイチェルの異常とも思える回避速度が、体感速度を減速させ、精密操作を可能とする念動力の副産物であることに、クローン騎兵は最期まで気づくことはなかった。

「レイチェルさんはうまくやってますね。では行きますよ。準備はいいですか?」
「もちろん。とっておきも準備できたしね。
 じゃ……ゴー!」
シン・ドレッドノート(真紅の奇術師・f05130)と公明は、廊下を挟んで頷きあうと、一斉に曲がり角の影から駆け出した。
新たに現れた猟兵たちに、一部のクローン騎兵が熱線を撃つが、
「まもってあげるよ!ふっとんじゃえ!」
レイチェルの念動力でクローン騎兵やドローンが次々と射線上に吹き飛ばされる。
彼らは、シンや公明の盾となって、放たれた熱線を受け止める羽目となった。ある意味では同士討ちである。
それでも一部はシンや公明のもとに到達するが、大幅に密度を減らした熱線は、二人にとって容易に回避、あるいはビームシールドで受け流せるものでしかなかった。
「感謝します!さて、一気に制圧させていただきますよ!」
シンの背後に、何丁もの銃が現れる。
手にした純白に赤いラインの粒子砲「ノーブル・スカーレット」。
23丁召喚されたそれらは、まるで不可視の射手がいるかのように構えられ。
「ターゲット、マルチロック…目標を乱れ撃つ!」
23発の粒子ビームが乱れ飛び、次々とクローン騎兵に突き刺さり、もんどり打って倒れる。
発射された銃は、宙に浮いたまま、誰が触れるともなくリロード。
シンはゆっくりと歩きながら、第二斉射。
「ぎゃっ!」
「がぁっ!」
先程までのクローン騎兵たちの熱線銃の弾幕密度にも劣らない一斉射撃。
熱線が命中する度、クローン騎兵が倒れていく。
その狙いは正確無比。的確に急所を貫き、倒れた者は誰も動かない。
「この船で生きている人もいるのですから……」
シンは制圧後の事を考えていたのだ。

一方、二丁拳銃を構えた公明も、クローン騎兵たちと銃撃戦を繰り広げていた。
「周囲は全部敵。一番戦いやすいわね」
公明は左右の別対象に向け、手を広げてトリガーを引く。
銃弾を受け、二人のクローン騎兵が倒れる。
「ざけんなてめえっ!」
別のクローン騎兵が反撃。狙うは眉間。
公明は前転。背中に熱線の輻射熱を感じるが、無視して回りきる。
「なっ!?」
「銃撃はね、銃口の向きを把握して動き回っていれば当たらないわ」
クローン騎兵の足元から、二丁を同時射撃。胸に2つの穴を穿たれる騎兵。
崩れ落ちる前に、ホットパンツから伸びる健康的な脚線美を鳩尾に叩き込む。
死したクローン騎兵は別のクローン騎兵をなぎ倒した。
その死体の上から踏みつけることで、なぎ倒されたクローン騎兵を押さえつける。
ここで、公明は倒された騎兵に問いかけた。
「ところで知ってる?赤壁の戦いで曹操軍が負けた理由」
「セキ……ヘキ?ソーソー?わけの分からねぇこと言ってんじゃねえぞコラ!」
「あー、そこからかー」って顔を浮かべる公明。
三国志の故事も、この世界では既に忘れ去られているようだ。
「まあいいや。水の上で、船で戦ってことさえ覚えててくれればいいよ。で、彼ったら波の揺れを押さえるために船を密集させていたの。それで周瑜の火計に対応できなかったの」
「てめぇ……何が言いたい?」
話の意図が掴めないクローン騎兵。無理もない事だが。
だが、何か不穏なものを、目の前の女が抱えている。それだけは分かる。
「密集陣形は、私のとっておきが一番効果を発揮するということよ。曹魏の大群を破った猛炎。あなた達に耐えられるかしら」
押さえられたクローン騎兵の頭の上を、豪炎が疾った。
公明の二丁拳銃から放たれた炎、いやその形を取ったエネルギーが、後方のクローン騎兵たちを大蛇のように取り巻いた。
炎は締め付けるように狭まり、火柱となり、吹き上がった。
悲鳴を上げる間もなく、巻かれたクローン騎兵たちは、灰となって、消えた。
後に残る、猛烈なまでの熱で焦げ、溶けた外壁に、内心でシンはため息をついた。

「さて、交代してもらえますか?」
今度はシンが騎兵の上に現れた。
背に浮くものも含め、全ての銃を突きつけ、問う。
「さぁ、貴方達のボスはどちらですか?」
「へっ、答えると思うか?」
銃を突きつけられながら、クローン騎兵は口を割らない。
だが、その視線が一瞬だけ奥のコントロールルームの方に向くのは見逃さなかった。
「そうですか。では」
23条の熱線が同時に突き刺さり、そのクローン騎兵は動かなくなった。
「なにか、わかった?」
首をこくりと傾げながら、レイチェルがシンに問う。
戦場の中でありながら、その姿は魅力的に映る。
怪盗は廊下の奥に視線を向けると、少女に答えた。
「この奥にボスがいる、ってことだけですね」
「分かりやすくていいよね」
公明はため息を付き、肩をすくめた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

アララギ・イチイ
この騎兵は食べ飽きた(殺し飽きた)のよねぇ
本日の気分は延々と続けられる椀こ蕎麦よぉ

武装は速射砲・機関砲・擲弾銃を引っ張り出して射術・全力射撃(攻撃回数重視)のUCを使用、【一斉発射】を敵に叩き込むわぁ
砲弾は榴弾を装填、爆風による【範囲攻撃・吹き飛ばし】の被害を与えるわねぇ

一般人や敵が居ないか【聞き耳】などで周囲警戒、一般人が居た場合は建物内に隠れる様に、負傷していたら【毒使い】の能力で痛覚に【マヒ攻撃】で痛み止め、【医術】で応急手当よぉ

艦内の状況を【ハッキング】して、敵の配置など調べておきましょうか、多数の敵が居る場所が本陣でしょうねぇ
あと、隔壁を閉鎖させて相手の移動を妨害しておきましょうかぁ



●別動隊を撃て
「この騎兵は食べ飽きたのよねぇ。本日の気分は延々と続けられる椀こ蕎麦よぉ」
心底うんざりした顔で、アララギ・イチイ(ドラゴニアンの少女・f05751)は、目の前に浮かぶ触手の生えた球体――戦術支援用ドローンR-01型が投影する映像を見つめる。
映像は幾つもの小さな画面に細分化されていて、それぞれに「E-46」などのナンバリングがされている。この周囲のカメラをハッキングしているのだ。
画面の幾つかでは、クローン騎兵の姿がある。
彼らは時に走り、時に周囲を伺い、徐々に集まりつつあるようだ。
幾つかのカメラにはマイクも付いているのか、彼らの声も拾われていた。
「畜生、あんな奴らにやられてたまるか!」
「動ける野郎どもを集めろ!今度こそぶちのめしてやるぜ!」
数はかなり少なくなったが、戦意は未だ高いようだ。
いい加減降伏して、アドミラルとやらのもとに案内して欲しいのだが、そういうわけにも行かないようだ。
減少するやる気と戦いながら、アララギはカメラの画像を精査する。
どうやら、最大の集団はサブコントロールルームの手前の廊下周辺に集まっているようだ。
だが、それだけではなかった。
「……あら?こっちにも映ってるわねぇ」
別のカメラにも、クローン騎兵の集団が映っている。それも、サブコントロールルームからは離れた所を、足早に移動している。周囲を伺いながらも、敗走にありがちな疲れた様子はない。
明らかに、何らかの意図をもって動いているのだ。
「回り込むつもりかしら。よくやるわねぇ」
だが、前後から同時攻撃されるのも、それはそれで厄介だ。
ドローンの映す画面を注視しながら、アララギはゆっくりと歩き出した。

「くそっ、なんでこんな遠回りしなきゃなんねえんだ!」
「前に、あんな隔壁降りてたか?」
「知るか!とにかくあいつらの後ろに回り込めば」
「回り込んで、勝てるつもりかしらぁ?」
前方の通路の角から女の声が上がる。
「猟兵だ!撃て、撃てぇ!」
その角に、クローン騎兵たちが一斉射撃を加える。封印の解かれた熱線銃の一撃は、壁すらも溶解させ、射撃の焦点となった角は、あちこち溶け崩れた無残な姿となった。
「やったか?」
「もちろん、まだに決まってるわよぉ」
再び女――アララギの声。
それと同時に、クローン騎兵たちの背後、左右に唐突に鋼鉄の隔壁が落ちた。
重々しい音とともに、クローン騎兵たちの周囲は鋼鉄の檻となる。
一方を除いて。
それにクローン騎兵が気づいた時。
その一方に、アララギが立っていた。手には、速射砲、機関砲、そして擲弾銃。
物騒極まる重火器ばかりだ。
「うふふぅ、乱れ撃つぜぇー♪」
銃爪が、引かれた。
速射砲から大口径の榴弾が連続で、機関砲が唸りを上げて大量の銃弾を吐き出し、擲弾銃から思い思いの弾道でグレネードが放たれ、檻の中の哀れな犠牲に襲いかかった。
破裂した砲弾が装甲を穿ち、弾けた銃弾が肉を引き裂き、グレネードの爆発が挽肉を量産する。三方を隔壁で塞がれることで、クローン騎兵の退路はなく、前からはひたすら銃弾を吐き出すアララギに阻まれ、進むことも叶わない。
幾秒かの後。
クローン騎兵たちは、原型を留めない有機物と金属の混合物に成り果てていた。
「はぁ、もう流石にお腹いっぱいよぉ」
今まさに晩餐を終えたかのように、アララギは一息ついた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒岩・りんご
ふふ、一網打尽にされるのはどちらかしら?
先と変わらず【巫覡載霊の舞】の神霊体、銀髪に白銀の角の姿になり
同時にキャリーバッグから相棒の絹糸傀儡『喜久子さん』を取り出して一気に立たせますよ
わたくしより一回り小柄な黒髪のはいから少女
球体関節を着物と袴に隠して、わたくしとお揃いの薙刀で構えます

もちろんわたくしの十指から操作の糸は伸びているのですが、それを操りながらもわたくし自身も神龍偃月刀を振るい、喜久子さんとツーマンセルで
わたくしが偃月刀を振るい、と同時に指先の微妙な動きで喜久子さんも連動して追撃しての2回攻撃です

敵のユーベルコードはわざと無防備で受けて【オペラツィオン・マカブル】で跳ね返しますわ


ドロレス・コスタクルタ
まずは突入しているはずの他の猟兵との合流を目指す。

挑発も込めて戦闘前に一言。
「わたしくしの知る宇宙海賊とは義侠心と反骨心に溢れた好漢のこと。その名を騙るだけの無法者など一秒たりとも見たくないですわ!」

『フルバースト・マキシマム』を使い敵の頭数を減らすことを第一にする。普段はサイボーグの皮膚装甲の下に隠れているレーザーやマイクロミサイルを惜しみなく放つ。
「頭数が多いだけでは、ただ的が多いのと同義ですわよ!」

挑発しつつも冷静に戦場を観察し、部分的にでも隠れられる遮蔽物があれば利用し、足を止めず敵の照準から逃げ回りながら戦う。
自分または味方が孤立したり集中砲火を受けないように注意する。



●ザ・ラストクローンキャバリア
「ちっ、ついにこれだけになっちまったか……」
サブコントロールルームに通じる通路の一角。
そこを占拠する最後のクローン騎兵の一団の中で、右肩の装甲が赤いクローン騎兵は、吐き捨てるように言う。
「俺達アドミラル・バールの手下が、こんな連中にいいようにやられるなんてな。私掠船団、宇宙海賊の名が泣くぜ……!」
「語るに落ちましたわね!」
赤い肩のクローン騎兵に指を突きつけたのは、ドロレス・コスタクルタ(ルビーレッド・f12180)である。
挑発も兼ね、高らかに声を上げ、断じる。
「わたくしの知る宇宙海賊とは義侠心と反骨心に溢れた好漢のこと。その名を騙るだけの無法者など一秒たりとも見たくないですわ!」
その堂々さ故か、或いは思うところがあったのか。
赤肩のクローン騎兵は、見事にドロレスの挑発に乗ったのだった。
「反逆者の分際でさえずりやがって……!いいぜぇ、この人数で一網打尽にして、てめぇは商品として売りさばいてやる!」
「ふふ、一網打尽にされるのはどちらかしら?」
ロレスの隣に、白衣をはためかせて黒岩・りんご(禁断の果実・f00537)が並び立った。
彼女は、大きなキャリーバッグを携え、もう片方の手に薙刀「神龍偃月刀」を手にしている。
「それでは、行きましょうか」
視線を交わし、ドロレスとりんごが頷き合う。
同時に、ドロレスは跳躍、りんごは手から神龍偃月刀を手放した。
刀が落ちる、その前に。
「喜久子さん!」
ピアニストが鍵に指を叩きつけるように、りんごは十指を振り下ろす。
その指先に、かすかに糸の輝きが見える。
キャリーバッグが弾けるように開き、中から何かが飛び出すと、りんごの前に着地した。
りんごよりは一回り小柄だろうか。着物と袴の組み合わせがハイカラな少女。
だが、よく見ると指の関節は球体関節になっている。傀儡なのだ。
その手には、りんごのとお揃いの薙刀が握られていて。
高い金属音が響き、地面に落ちようとしていた神龍偃月刀が再び回転し舞い上がる。
自ら蹴り上げ、回転したそれを手に取り、振り下ろして切っ先を地面に向けた。
同時に、自らを神霊体化し、銀髪と銀角に自らを染める。
「では、黒岩・りんごと喜久子さん、参りますわ!」
「ドロレス・コスタクルタ、撃ち抜きますわ!」
二人の猟兵と一体の人形は、クローン騎兵たちへと駆け出した。

「人形が一体増えたところで、てめえらの運命が変わるかよ!」
赤肩のクローン騎兵の声と同時に、他のクローン騎兵が一斉に熱線銃を発射する。
ドロレスとりんご&喜久子さんは左右に分かれて跳躍、ドロレスは横っ飛びからサイコキャノンを発射、胸に一撃を受けたクローン騎兵がもんどり打って倒れる。
「てめえっ!」
クローン騎兵たちが熱線銃の火線をドロレスに集中させるが、彼女は廊下の角に滑り込んでいて、銃撃は床を焦がすだけで終わる。
「あらあら、よそ見をする余裕があるのですか?」
足を止めた隙に、りんごはクローン騎兵たちの懐へ飛び込み、薙ぎ払う。
首を裂かれたクローン騎兵がまた一体倒れ、別のクローン騎兵が銃把で殴りかかる。
だが、喜久子さんがその打撃を薙刀の刀身で受け止める。
高い金属音。華奢な人形には一切の揺るぎもない。
そのまま刀身を振り上げて銃把を払い、薙刀を回転させ、石突きで鳩尾を突く。
腹に一撃を食らったクローン騎兵は膝をついて崩れ落ちた。
一人と一体の流麗なコンビネーションに、思わず一歩後退するクローン騎兵たち。
「りんご、下がってくださいまし!」
後ろからドロレスの声。りんごと喜久子さんはバックジャンプし、後退。
そのドロレスは、サイコキャノンとアームドフォートを構え、クローン騎兵の集団をきっと見据えていた。
「頭数が多いだけでは、ただ的が多いのと同義ですわよ!」
ユーベルコード【フルバースト・マキシマム】発動。
サイコキャノンのサイキックエナジーの奔流やアームドフォートの砲弾を叩き込んでいく。
更に、手足の軍服や黒タイツが弾ける。
そこから覗くのは肌ではない。彼女の肉体を覆う皮膚装甲の更に下、そこに眠っているレーザー発振器にミサイルラックの群れ、群れ、群れ。
「追加でこれも差し上げますわ!」
惜しみ無しの一斉射撃。
サイキックエナジーが打ち据え。
砲弾が打ち砕き。
レーザーが貫き。
ミサイルが吹き飛ばす。
兵装の唸りが収まった時、戦場に立つクローン騎兵は、赤肩一人となっていた。
「てめぇぇぇぇぇぇっ!」
赤肩のクローン騎兵は、破壊をもたらしたドロレスに熱線銃を構える。
3点バーストでの発射。ジェノサイド・モード化して威力も上げられている。
「しぶといですわねっ!」
再びドロレスは横っ飛びで回避を試みようとする。
だが。
「それには及びませんわ」
ドロレスの前に立つのは、りんごの絹糸傀儡、喜久子さん。
だが、薙刀は持っているだけで切っ先は地面につき、首も前に倒れている。
完全な脱力状態だ。
「ヤキが回ったなぁ、人形使い!」
「そんな、わたくしの盾に!?」
赤肩のクローン騎兵は、喜久子さんの破壊を確信した。
だが。
「違いますわよ。これも立派な攻撃ですわ」
りんごの言葉とともに、熱線のエネルギーが霧散した。
いや、破壊の手が喜久子さんに及ぶと思われた時、エネルギーが喜久子さんの全身を覆う形で拡散、そのまま全身に吸収されたのだ。
ユーベルコードを無効化して反射する、【オペラツィオン・マカブル】である。
主人のりんごは、宣言する。
「さぁ、借りたものを返して差し上げなさい、喜久子さん!」
喜久子さんが、首を上げ、きっと赤肩のクローン騎兵を睨みつけた。
先程の吸収を逆回しにするかのように、全身から熱線のエネルギーが放たれ、喜久子さんの目の前に3つのプラズマ球として具現。
プラズマ球は三発の熱線となって、赤肩のクローン騎兵に吸い込まれた。
当たる度に、身体がガクガクと震え……。
「許してくだせぇ、アドミラル……」
膝をつき、床に倒れ伏した。

かくして、都市宇宙船を襲撃した私掠船の尖兵、クローン騎兵は全滅したのであった。
残るは私掠船の長たる、アドミラル・バールのみ。
果たして、猟兵たちは都市宇宙船を救うことができるのだろうか?

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『帝国騎士』

POW   :    インペリアルブレイド
【念動力を宿した「飛ぶ斬撃」】が命中した対象を爆破し、更に互いを【念動力の鎖】で繋ぐ。
SPD   :    ダークフォースバリア
自身に【鮮血の如きオーラ】をまとい、高速移動と【赤黒い電撃】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    インペリアルフラッグ
【念動力で形成した帝国の旗】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を『帝国の領土』であると見る者に認識させ】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●パイレーツ・イン・スペースシップ
「……野郎どもはやられたか。もう少し、利口に立ち回っても良かったのによ」
都市宇宙船のサブコントロールルーム。
無数のモニターが様々なステータスを映し出し、コンピューターが演算を続ける。
そこに、一人の男が立っていた。
黒い甲冑に、赤いフォースソード。
強大な念動力の気配をまとった帝国騎士にして私掠船長。
その名を、アドミラル・バール。
「だが、ここまで来たなら仕方ねぇ!俺自ら、相手してやろうじゃねぇか!」
裂帛の気合とともに、彼は念動力で形作られた旗を掲げる。
図案は、帝国の紋章。
そして、重なるように描かれた、髑髏と交差する骨。
ジョリー・ロジャー。
「さぁ、来やがれ猟兵!
 皇帝陛下とジョリー・ロジャーの旗にかけて、てめぇらを切り刻む!」
バールは、フォースソードを向け、猟兵への制裁を宣言した。
片桐・公明
「私掠船とか、帝国公認とか言っているけど所詮海賊。法と秩序から外れたチンピラ。ルールの中で戦えない敗北者じゃない。そんなものに負ける道理はないわ。」

【POW】趣向を変えてフォースセイバーと拳銃[Mathem842]で戦う。拳銃で牽制しながら接近し鍔競り合いに持っていく。
「実は私ね、長物を使った戦闘は父さんより強かったりするのよ。」
相手が離れようとした場合UCで無理矢理引き寄せて叩っ斬る
相手の飛ぶ斬撃は剣であえて受けて利用する。引き寄せるならその勢いを利用して接近
振り回されたら壁の適当な突起を掴んでやり返す

普段や先の戦いとは異なり、いつになく真剣な表情
余裕がないわけではなく、わずかに殺意がある




サブコントロールルームは、全体を見ると円形の部屋だ。
中央に柱状の大型コンピューターが鎮座しており、その外周に据え付けられたコンソールとディスプレイが据え付けられ、様々なステータスを映し出している。
そう広いとは言い難いが、大型コンピューターの周囲は障害物等がない。
ある程度の立ち回りはできそうではあった。
その大型コンピューターの前に、一人の男が立っている。
紅光のフォースソードを構える、黒鎧の騎士。
帝国と髑髏の旗を背負い、荒くれを束ねる提督。
アドミラル・バールであった。

「私掠船とか、帝国公認とか言っているけど所詮海賊。法と秩序から外れたチンピラ。ルールの中で戦えない敗北者じゃない。そんなものに負ける道理はないわ」
いつになく真剣な表情をするのは、片桐・公明(Mathemの名を継ぐ者・f03969)。
普段なら両の手に拳銃を握り、この都市宇宙船でもそれで戦ってきた彼女が、今は片手にフォースセイバーを握っていた。
刃のサイキックエナジーの光が、黒い指ぬき手袋を照らしている。
その光は、公明の目の光に似て、どこか恐ろしく冷たいものを感じさせた。
「ふん、いい殺気だ。チンピラ如きを相手にするには随分剣呑じゃねえか、ああ?」
仮面の下で、バールが笑う。どこか楽しそうな声で。
油断なくフォースセイバーを構え、値踏みするような視線を向ける。
「まあ、いいぜ。その言葉、どこまで言えるか試してやる。
 ……来なっ!」
同時に、公明が駆け出した。
父の異名を冠した拳銃[Mathem842]を連発し、距離を詰めていく。
「牽制のつもりか!私掠船稼業とは言え、帝国騎士にそんな豆鉄砲が通じるかよ!」
バールが紅のフォースセイバーが振るう度、空気を裂いて唸る。
縦に、横に、或いは円弧を描くように。
一振りの度に、銃弾が切り払われ、バールには届かない。
「通じるとは思ってないよ。そもそも牽制だし」
言葉とともに、片手持ちとは思えない程の衝撃が、フォースセイバーを持つバールの手に響いていく。二人のサイキックエナジーがぶつかりあい、紫電を放つ。
「……やるじゃねえか」
「実は私ね、長物を使った戦闘は父さんより強かったりするのよ」
二人の鍔迫り合いは、一進一退。
バールが押せば、公明が押し返す。公明が刀身を滑らせて斬り込もうとすれば、バールはフォースセイバーを返して、その意図を挫く。
膠着状態に陥りそうになったその時。
「ただの帝国騎士なら圧倒できたろうが……俺相手には足りねえな!」
バールは、筋肉を軋ませ、強引にフォースセイバーを振り抜いた。
斬撃は念動力を帯び、その斥力、そして爆破をもって、公明を弾き飛ばす。
細い体は後方へと飛んでいくが、
(それを待ってたのよね)
爆発の中、公明は非実体の腕を伸ばす。サイキックエナジーの腕を。
そして掴む。同じくサイキックエナジーでできた、念動力の鎖を。
「この手応え……っ!」
引き寄せられる。鎖を手繰られ、体が浮く。
態勢が崩れ、踏ん張ることができなくなる。
その隙を逃す、公明ではなかった。
光刃一閃。
「ぐぁぁぁぁっ、てめぇぇぇぇっ!」
バールの胸を、鎧ごと深く切り裂いた。
膝をつきはしなかったが、態勢が一瞬乱れる。
「だから言ったわよね、負ける道理はないって」
冷ややかな瞳で、公明はそう言い放った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レイチェル・ケイトリン
念動力は心の力。帝国騎士にも心、そして想いがあるんだよね。


ほかの猟兵さんたちの後ろにしずかに立って
念動力と吹き飛ばしの技能をつかって
やっつけたクローン兵士の体をあやつって
敵に突撃させるね。
攻撃はサイコエッジをしこんどくの。

さっきまでは銀河帝国に忠誠を誓う帝国騎士の忠実な部下。
でも、いまはわたしが使い捨てにするただの道具だよ。

敵の攻撃はかばう技能もつかってクローン兵士の体で
受け止めさせ、ひきつけるの。

敵が旗や鎖やバリアを出したらサイコエッジで斬り裂きふっとばすね。


人から勝手にうばう忠誠、祖国への想いなんか尊重しない。
その決意をいだいたわたしの心がこの刃。
銀河帝国の忠誠の絆だって平気で斬り裂くよ。


アララギ・イチイ
私達の相手ねぇ
それじゃ、私もこう返答してあげるわぁ
バカめだ、バカめと言ってあげるわぁ

サブコントロールルームはそんなに広くは無いでしょうから、近接戦闘重視で行きましょうかぁ
カタナを装備して切り込むわぁ
相手の攻撃範囲を【見切り】って【フェイント】を交えた回避行動、回避が困難な場合はシールドビットで【盾受け】しつつ、可能なら【カウンター】を仕掛けましょうかぁ

攻撃は【ダッシュ】で移動しつつ、素早く連続攻撃【2回攻撃】、カタナの刃に【毒使い】の技能で補正した【マヒ攻撃】の毒を付与しておくわぁ

相手の懐に飛び込めたら【UC:主砲・集束砲撃】を口から【零距離攻撃】で砲撃、時間は無いから最小チャージだろうけどぉ



●馬鹿が海賊船でやって来た
「バカめだ、バカめと言ってあげるわぁ」
アララギ・イチイ(ドラゴニアンの少女・f05751)は、バールの挑発に対し、更に挑発を投げかける。凶暴な笑みを浮かべ、そのまま跳躍し、ビーム粒子をまとったカタナを振りかぶる。
「分かってんじゃねえか。俺たちは所詮海賊稼業。バカの集まりよぉ!」
バールは上段でフォースセイバーを横に構え、その一撃を受け止める。
サイキックエナジーとビーム粒子の奔流がぶつかり、互いの力から発生した力場がぶつかりあい、均衡を作り出す。だが、その均衡は一瞬で崩れ、二人の距離は弾かれるように離れた。
「でなきゃ、他の帝国騎士みてえに、真面目に騎士ごっこしてんぜ!」
吼えつつ踏み込み、再び上段から斬りかかる。力任せの一閃。
アララギは右へと体を揺らし、回避しようとする。
だが、その剣閃が、直角に曲がった。
鍛え上げた膂力とサイキックエナジーの力が成し得る業である。
「真面目じゃねえから、こういうこともできるがなあ!」
「だから、バカめと言ったのよぉ」
右に揺らしかけた身体が、左へと傾いていた。
「フェイントよぉ、こんな手に引っかかるなんてねぇ」
バールが舌打ちをするより早く、アララギはその懐へと駆ける。
刃には、先のビーム粒子とは違う、ぬめりとした輝きが纏わりついていた。
袈裟懸けからの斬り上げ。二閃の輝きがバールの黒鎧に吸い込まれる。
浅いが、確かに手応えはあった。
「ちいっ、やるじゃねえか……しかも毒入りかよ、えげつねえな」
バールは、指先の感覚が鈍いのを、感じ取っていた。アララギが刀に仕込んでいた麻痺毒が、早くも効果を発揮し始めていたのだ。
「そして、やっぱりバカめと言ってやるわぁ。これで終わりなわけないわねぇ」
アララギの口内に、魔力が収束していく。兇暴な光が刹那、太陽のように輝き。
魔力砲撃が放たれた。
「このぉ、アマぁぁぁぁっ!!」
最低限のチャージ速度では威力は限定的だが、それでもバールの足を浮かせることは十分に可能だった。黒鎧が舞い上がり、同時に魔力の奔流が爆発する。
その閃光に、バールの身体が包まれ、消えた。
だが、その向こうからバールの仮面越しの声が、聞こえた。
「攻撃を見切って、一矢報いたつもりだろうが……甘いぜっ!」
横一線の、紅い斬撃が爆発を裂いた。それはまっすぐにアララギの首めがけて飛んでいる、それだけは分かる。
そして再びの光の爆発。今度はアララギのもとで、だ。
だが、その斬撃を放った主は、肩を、フォースセイバーを握った拳を、震わせていた。
赤い光の爆発が晴れる。
アララギは五体満足で立っていた。シールドビットを展開してはいたが、その動きは間に合っていない。
その足元に、金属の欠片が、黒い強化グラスが転がる。
それは、クローン騎兵のヘルメットの欠片だった。
「俺の部下を盾に使いやがったな、そこの猟兵っ!」

バールの視線の向こう。
アララギの更に後ろに立っていたのは、レイチェル・ケイトリン(心の力・f09500)であった。その瞳には、強い命の輝きが宿っている。
「そう。さっきまでは銀河帝国に忠誠を誓う帝国騎士の忠実な部下。
 でも、いまはわたしが使い捨てにするただの道具だよ」
あえて冷たく、言う。
「可愛い顔して、えげつないわねぇ」
アララギが肩をすくめる。
爆発の一瞬前、前の戦いで倒されたクローン騎兵が、斬撃と自分の前に割り込んで来たのだ。強い念動力で投げられ、盾にされたのである。
その五体は完全に四散。当たれば無事には済まなかったであろう。
「ひとつ、聞かせて。
 念動力は心の力。帝国騎士にも心、そして想いがあるんだよね」
レイチェルは、青い瞳を向けて、バールに問いかけた。
「当たり前じゃねえか。俺にだって譲れねえもんのひとつやふたつある」
バールは仮面の奥の瞳をまっすぐレイチェルに向ける。
「奪った宝で陛下のお褒めを頂き、奪った酒を浴びるように飲み、奪った肉を共に喰らう。俺はバカだから、そういう在り方しかできねえし、こいつらはクローンになっちまったが、昔も今も、そんな日々が譲れねえのは変わらねえ……」
徐々に、バールの声が低くなっていく。
フォースセイバーの刀身を構成するサイキックエナジーが、不安定に揺れる。
「……てめえらが、その譲れねえもんを奪っちまったがなあ!」
バールが手を突き出し、五指を大きく開く。その掌から、獲物を喰らう蛇のように、赤い念動力の鎖がレイチェルめがけて伸びていく。
鎖の先は、あたかも蛇の頭のような三角。絡みつき、喰らうバールの心の在り方か。
だが、その牙が届くことはなかった。
何かに斬り飛ばされ、霧散して消える。
「『鎖』をっ!?そうか、てめえの念動力かっ!」
然り。
それはレイチェルのユーベルコード、【サイコエッジ】の一撃であった。
「うん、わかったよ。
 わたしは、人から勝手にうばう忠誠、祖国への想いなんか尊重しない。
 その決意をいだいたわたしの心がこの刃。
 銀河帝国の忠誠の絆だって平気で斬り裂くよ」
凛とした声。10歳という年齢で、その決意を抱く心の強さは、どこから来るのか。
その答えは、バールも、アララギも持っていない。
だが、それはアララギにとってはどこか面白く。
「だったら!俺は、てめえらの大事な宝を奪い尽くす!
 奪うか、斬るか!二つに一つだ!」
バールにとっては、心を揺るがされるものだった。
戦いは、加速しつつあった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ヘスティア・イクテュス
ようやっとお頭の登場ね
海賊なら逆に奪われる覚悟もできてるでしょうね
貴方が奪った平和を逆に奪い返させて頂くわ


格闘戦は少々苦手だけど…旗をかけられちゃ逃げるわけにはいかないわ!

ビームセイバーを両手に近接戦…
ティターニアを噴かしてスピードはカバー【空中戦&ダッシュ】
ホログラムによる分身で敵を翻弄【残像】
卑怯とは言わせないわよ

流石にわたしの腕じゃ倒すまではいかないかしら…
けれど強力な攻撃の【時間稼ぎ】になったらまぁ十分ね…

後はお願いね


シン・ドレッドノート
重ねて言いますが、浪漫が無いのですよ、貴方達には。
宇宙海賊なら、圧制への反抗、自由と解放、隠された財宝…そう言ったものを追い求めて欲しいものです。

「快盗・紅の影、人々の嘆きの声に応え、此処に参上。貴方の未来、いただきます」
頭に乗せた真紅の狐の面で顔の左半分を隠して真紅のマントを翻し、真紅熱線銃の銃口を敵に向けて宣言。

『紅影の予告状』…怪盗の単眼鏡による高速演算で導き出された敵の行動の未来予測に対し、派手に翻るマントの残像をフェイントにして、攻撃を回避しつつ、カウンターの射撃を撃ち込みます。

「帝国の手先に、ジョリー・ロジャーは似合いません!」
隙を見て出力最大、念動力の旗ごと敵船長を撃ちぬきます。



●虚ろなる海賊の矜持に
「海賊なら逆に奪われる覚悟もできてるでしょうね。貴方が奪った平和を逆に奪い返させて頂くわ」
自身も海賊団の船長(自称)であるヘスティア・イクテュス(SkyFish団船長(自称)・f04572)は、声高らかに、決然とバールに指を突きつける。
彼女の父は、強い正義感を持つ海賊であり、それは彼女の標にもなっている。
故に、財物を、尊厳を、生命を奪い尽くすバールの海賊としての在り方を許すことはできなかった。父とは違いすぎる、悪逆の海賊。それが目の前に立っている。
「なるほど、ご同業か。だが、随分甘ちゃんみてえだなあ?」
バールは真っ直ぐなヘスティアの言葉を嗤う。
「海賊ってのは、誰かから『奪って』生きるもんだ。その本質からは逃げられねえ。だが、奪う事を唯々諾々と承知する奴なんていやしねえ。だから、その生き方を貫くなら、ましてそれで部下を養うなら、平和や正義なんて甘っちょろいお題目なんて邪魔なだけだ、違うか!」
「違うわ!海賊って生き方と、正義は否定し合うものじゃない!」
この男を肯定しては、父を否定することになる。
それだけは、ヘスティアにはできない。
だが、バールの言葉にも重みがある。海賊として生き、銀河皇帝の勅許を得て私掠船となり、骸の海に沈みながら、再び還って来た、その年季が、重い。
「ええ、ヘスティアさんの言葉に間違いも嘘偽りもありません。間違っているのは貴方です」
その重さを、吹き飛ばす軽やかな声。それとともに真紅のマントをはためかせ、颯爽と現れたのは、シン・ドレッドノート(真紅の奇術師・f05130)だ。
「間違っている、だと?酔狂者に何が分かる!」
バールの言葉に、シンは肩をすくめる。
「分かります。浪漫が無いのですよ、貴方達には」
「浪漫、だと?」
「宇宙海賊なら、圧制への反抗、自由と解放、隠された財宝……そう言ったものを追い求めて欲しいものです」
バールは爆笑した。これまた甘い。甘すぎる。
お題目を、ここまで公然と掲げる者は久しぶりに遭った、そう思ったからだ。
だが、ヘスティアの表情は真剣そのもの。
シンは、顔だけは微笑ませていたが、目が笑っていなかった。
「あなたは笑うけど、お父様はそうして、立派に海賊をしてるわ。正義と夢を掲げてね」
「結局、貴方は『奪う』ことで自分の非道を正当化しているだけです。単なる堕ちた盗人に過ぎないのですよ」
バールの主張を、快刀乱麻に切り捨てる。
切り捨てられたバールは、口の端を歪めて笑った。
だが、その瞳には昏い輝きがある。それは憤怒か。
……あるいは羨望か。
「口では何とでも言える。だが、甘っちょろい正義や浪漫を貫くと言うなら、力を見せろ!この俺の掲げる、海賊旗を切り裂けるぐらいにな!」
バールの背後に、念動力の紅い海賊旗が掲げられる。
立ちふさがる黒鎧の海賊騎士に対し、シンは真紅のマントを翻した。
どこからともなく取り出した、真紅の狐の面で顔の左半分を隠し、真紅のラインの熱線銃、「ノーブル・スカーレット」を構えてバールの挑発に応える。
「快盗・紅の影、人々の嘆きの声に応え、此処に参上。貴方の未来、いただきます」

まず飛び出したのはヘスティアだ。
上下二対のジェットパック「ティターニア」を妖精の羽のように輝かせ、その速力をもってぶつかっていく。
手には2本のビームセイバー。銃器に比して近接戦闘は不得手だが、
「旗をかけられちゃ逃げるわけにはいかないわ!」
海賊の矜持を胸に、速度と高さを活かして、斬りかかった。
「気合は褒めてやる。だが、やはり慣れてねえことはするもんじゃねえなあ!」
紅いフォースセイバーを一閃。
斬り上げて、その羽をもいで落とさんとする。
しかし。
「手応えがねえ……!」
斬ったはずのヘスティアの姿が揺らめき、消える。
ホログラムで造られた、残像だったのだ。
「卑怯とは言わせないわよ」
「はっ、卑怯上等!そういうところは海賊らしいな、てめえも!」
バールの周囲に、ヘスティアが何人も現れる。
1人が2人、2人が4人、4人が8人。
8人のヘスティアが、バールを取り囲んだ。
「「蝶のように舞い……蜂のように……!」」
一斉にティターニアの出力を全開にし、突き刺しに行く。
避ける余地などない、はずだった。
「本物が分からねえなら、全部潰せばいいだけだ!」
叫んだバールが、鮮血の如きオーラを立ち上らせ、手を天に掲げた。
赤黒い雷が四方八方に伸び、次々とヘスティアを捉えていく。
そして最後の一人が。
「……っ!」
羽ばたかせるようにティターニアを前に向け、反転。赤黒い雷を切り払う。
「流石にわたしの腕じゃ……」
「半端な腕で俺に挑んだのが運の尽きだ!」
バールは勝ち誇る。そう、こんなものだ。
夢や希望など語った所で、全てが絶望に、更に強い力に蹂躙される。
それが世の常だ。世界の法則だ。
だがその驕りが、ヘスティアの言葉への反応を遅らせた。
「後はお願いね」
「任されました。今はゆっくり休んでください、ヘスティアさん」
シンだ。
マントの残像をフェイントに、シンが高速で背後へと回り込んでいたのだ。
そう、ヘスティアの攻撃の全ては、このための時間稼ぎに過ぎなかった。
それをバールが悟る頃には、致命的なまでに時間を浪費していた。
リミッター解除、出力最大。チャージ時間、攻撃命中率に問題なし。
「怪盗の単眼鏡」による高速演算と未来予測が必中を弾き出す。
「帝国の手先に、ジョリー・ロジャーは似合いません!」
高出力の赤いビームは、念動力の海賊旗ごと、後ろからバールを貫いた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ドロレス・コスタクルタ
「期待するだけ無駄ですが、死んだ部下を悼む気持ちもないとは…」
名ばかりの騎士の罵声に幻滅しつつ、【戦闘知識1】で帝国騎士を分析し、己の戦闘行動を最適化しながら戦う。

「純粋なパワーでは勝てませんが…これなら!」
敵の攻撃を真っ向から受けずUCの剣で「いなす」。
踊るように回転しながら【2回攻撃】。手数とスピードを生かし、無視することも振り払うこともできないように、極上の織物のように柔らかく敵に纏わりつきながら剣の輪舞を続ける。

傷を負っても、しつこく食い下がることで敵に苛立ちと隙を生じさせ、その隙を味方と共に突く。
「これが、信頼できる仲間と共に戦うということですわ!」

戦闘後は救助と復旧に協力する。


パル・オールドシェル
アドミラル、その称号はもっと気高いものです。
星海の覇者たる提督を名乗るには、あなたは……キミはあまりにも粗暴に過ぎる。
乗組員すら失ったキミは船長ですらない。ただ一人の、賊に過ぎません。

バール卿を排除します。
先程拘束したトルーパーらから接収した銃火器で射撃、牽制を加えつつ接近。
敵の迎撃はシールドで盾受けしつつ、援護射撃を念頭に味方の攻撃を支援。
インペリアルブレイドによって拘束を受けた場合は、ヒューマン・カウルを展開。人型機動兵器の出力で逆にバール卿を振り回し、床や天井に叩きつけて打撃を加えましょう。
室内戦のため全力展開が困難であれば、武装腕部スレッジハンマーのみ展開します。



●野望(ゆめ)、見果てたり
戦いは、終局に近づいていた。
帝国私掠船長、バール卿。
その黒鎧はあちこちが無残に裂け、融解し、あるいはパーツが欠落している。
更には、背に掲げていた念動力の海賊旗も、髑髏の眉間辺りが霧散し、存在そのものが揺らぎ始めていた。
それでも、バールは倒れない。
「今更、倒れられるかっ!まだ奪い足りねえ、まだ捧げ足りねえんだよ!この俺が!アドミラル・バールが!こんな所で終われるか!」
その叫びは、まさに妄念であった。
「アドミラル、その称号はもっと気高いものです」
パル・オールドシェル(古き戦友・f10995)は、静かに言う。
彼女の中に記録されたアドミラル(提督)は、人格も戦い方も多様である。だが、少なくとも、その平均値と目の前のバールとは、80%以上の項目で不一致を起こしていた。
特に、その中でも不一致率が大きかったのは。
「星海の覇者たる提督を名乗るには、あなたは……キミはあまりにも粗暴に過ぎる」
暴力性、という一点であった。
海賊ではあっても、アドミラルと呼ばれるには値しない。
「乗組員すら失ったキミは船長ですらない。ただ一人の、賊に過ぎません」
故に、パルは断言する。切り捨てる。
目の前のオブリビオンは、虚勢を張るだけの者でしかないのだと。

「くははははっ……!海賊でもねえのに、俺から何もかも奪いやがって……!」
バールは哄笑する。猟兵への賛嘆と自嘲を込めて。
仮面に覆われた顔を更に手で覆い、天を仰ぐ。
「情けねえなぁ……。荒くれどもを率いた俺が、もはやただの賊かよ。気がついたら、だあれもいねえ。あいつらがいれば、ちったぁ格好もついたのによ」
「期待するだけ無駄ですが、死んだ部下を悼む気持ちもないとは……!」
その言葉に激昂するのは、ドロレス・コスタクルタ(ルビーレッド・f12180)。
飛びかかり、徒手空拳で……いや、手刀が輝くエネルギーの刃で伸びている。
「ああ、勘違いしてんじゃねえぞ、猟兵の小娘ぇっ!」
バールの、未だ衰えぬ紅剣が、手刀を軽々と受け止めた。
ドロレスは飛ばされるように離れ、着地するが、その圧は足を踏みしめてもなお、床をこすり、後退せしめるものであった。
「大方、あいつらを俺が勲章か何かの飾りみたいに思ってんだろうが、あいつらがそんなタマかよ!力がなけりゃ従わねえ連中だ!」
上段から振り下ろす。持ち手の心に応えて、フォースソードが光を増す。
ドロレスは紅の刀身の側面に手刀を滑らせ、回避。
そのまま回転し、脇腹を薙ぎ払う。浅い。
バールはその痛みを無視する。
「だからこそ、俺はあいつらとバカやり続けたかったんだよ!そういうギリギリの所で暴れるのが楽しいからよ!」
反撃で横薙ぎに大振りの一撃。剣閃がドロレスの胴を両断せんと迫る。
だが、舌打ちをしてバールはその一撃を止める。
側面から飛んできた熱線を弾く。弾かれた熱線は床や天井に穴を穿った。
「戦友、あなたを援護します」
熱線の主は、大盾を構えたパルだ。
空き手には、クローン騎兵から接収した帝国軍の制式熱線銃が握られている。
走りながら射撃し、一気に距離を詰めていく。
「今のうちに攻撃を」
「分かりましたわ!純粋なパワーでは勝てませんが……これなら!」
ドロレスは、再び手刀で斬りかかる。
一撃一撃は、鎧を薙ぐ程度の浅いものだが、何度も、何度も、バールの紅剣をかいくぐって切り傷を増やしていく。
「ちぃ、ちょこまかと動きやがって……!」
バールの一撃は、少しずつドロレスの傷も増やしていた。
だが、それでも彼女の速度は衰えない。一撃は浅くとも、手数が侮れない。
極上の織物のように、柔らかく纏わりつき、剣の輪舞を踊るドロレスを、バールは無視できない。
更に、パルによる熱線の援護射撃も、バールにとっては厄介だ。
支援に徹しているのが幸いだが、こちらは一撃が重い。
どちらを先に叩くか。戦場での経験が、バールを迷わせなかった。
「てめえの支援、面倒なんだよっ!」
放つのはインペリアルブレイド。
紅い剣閃が、盾に当たって爆発する。
「よし、取った!」
同時に放たれた念動力の鎖が、パルの腕に絡みついていた。
恐るべき力で引っぱられる。出力の限りをもって抵抗するが、いつまで持つことか。
ならば、パワーで抗するしかない。
「ヒューマン・カウル展開」
手にした帝国制式熱線銃を核にして、鋼鉄が奔流となり、弾けた。
奔流はパルの体を覆い、外骨格へと変化していく。
人の柔らかさを模した皮膚は、黒金に。
「主機関イグニッション。FCSオンライン」
黒金の腕に力が漲り、ディスプレイには現在の状況に最適化された項目が追加。
「アクチュエータ正常」
手が時計回りに一回転し、握り、開く。
そして、その手が念動力の鎖を、掴む。
バールの前に現れたのは、先のパルよりも倍ほどに巨大になった、黒金の対装甲戦闘用人型機動殻。パルの纏うロボットである。
青い光を放つ内蔵型カメラアイユニットがバールを睨みつけると。
「……僕は、あなたを撃破します」
バールの膂力を軽々と上回る出力で、パルはバールを天井に叩きつけた。
「げはぁっ、こんな、バカなぁっ……!」
天井を構成する金属板が、氷のように煌めいて散る。
衝撃で内蔵が損傷し、吐き出された血が仮面の端から漏れる。
「合わせてください、戦友。とどめを」
「もちろん!真っ二つにしてさしあげますわ!」
手刀二刀を構え、ドロレスが跳躍する。
そして、パルは鎖で繋がったままの、バールを振り下ろし……。
「これが、信頼できる仲間と共に戦うということですわ!」
すれ違いざまに二閃の剣光が煌めく。
その身体が地面に達するよりも早く。
「俺が、この俺が、みんな奪われるってのか……!」
私掠船長、バール卿はその命脈を絶たれていた。

その後。
この都市宇宙船では、帝国の尖兵を倒し、多くの人々を救うことにも尽力した『解放軍』が、老若男女を問わず、しばらく語り草になったという。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月08日


挿絵イラスト