迷宮災厄戦⑬〜晩餐の終焉
●骸の間隙
「……?」
いつもの様に餌を貪っていたオウガ達の手が止まる。尽きることのないアリス達の叫喚と、絶えず降り注ぐ自らを肥やす血肉がぴたりと止んでいる。
不意に餌を失った獣程愚かで残酷な生き物はいない、飽和する程の死を、断頭台から噴き出す血飛沫を求めて少女の姿をしたモノ達は断頭台の下に集まり、中身のない言葉で相談をし始める。
「心臓なくなっちゃったねー」
「「ねー?」」
「「どうしようか?」」
「「どうしようね」」
「「お腹いっぱいでも、まだ食べたい!」」
「「「「まだ食べたい!」」」
●
「あー集まったか? よし、じゃあ戦場の説明をさせて貰おう」
七獄・椿(怨嗟の炎と恋の華、嘘か真は焔の向こう・f17232)が煙管を吹かしながら依頼の概要を説明する。
「こういう依頼をするのは初めてでどうも調子が掴めないが……まぁいいや、戦場になるのはオウガ共の“台所”だ。 アリスたちが送り込まれ、断頭台で“調理”されて奴らの食卓に運ばれるってわけだ。 悪趣味極まりないね、幸いにも今は止まってるのが救いだ」
椿はため息をついてボリボリと頭を掻く。ふぅと煙を吐くと、煙が集まり中空に大量のギロチンと、その下に群がるでっぷりと腹だけが膨らんだウサギ耳の少女の群れが映し出される。
「ここからが本題。見てくれ、厄介なことにだ、餌をたらふく食って肥え太ったオウガ達はどうにも手強い。ああだけど問題ないだろう、奴らの“調理器具”を逆手にとってくれ。 あと、餌の供給が止まって随分と気が立ったいるらしい、それなりに気をつけてくれ」
断頭台は幾多ものアリスの血に染まり、ただの刃ではなくなっている。怨念、悲嘆に染まったそれはオウガを仕留めるのに大いに役に立つだろう。
「勿論、普通に倒す分にも問題はないだろうが……意趣返しというのも悪くはないだろう?」
ケラケラとわざとらしく椿は笑い、冷淡な声音で言い放つ。
「一首を斬る者は爵一級、官と為らんと欲する者は、五十石の官と為す。二首を斬る者は爵二級、官と為らんと欲する者は、百石の官と為す……とはいかないがね。存分に斬り落として行くといい。少しは、これで怨みも晴れればいいんだがね……」
群がるオウガは断頭台にて首を斬られれば即座に絶命する、それはせめてそこで死んでいったアリス達の慰めになるだろうか? 気休めにもならない事を考えながら椿は皆を送り出した。
ぶんぶん
はじめまして、ぶんぶんと申します。今回が初マスターですが頑張って書かせていただきます。
今回のシナリオは『迷宮災厄戦』、戦争シナリオとなり、一章で完結するものとなります。
プレイングボーナスですが【オウガを断頭台に乗せる】というものになります。特に手段は問いませんが、断頭台でオウガの頸を落とす事が出来れば戦闘で有利になります。
また都合により再送をお願いする可能性もあるためご了承下さい。
第1章 集団戦
『ゆらゆらびっと』
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POW : さあ、あなたのワインを注いで
技能名「【部位破壊(三半規管)】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。
SPD : まだまだあるはずだよ
技能名「【部位破壊(三半規管)】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。
WIZ : 心臓寄越せ
【ゆらゆらしていないモード】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
イラスト:透人
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
メアリー・ベスレム
あら、素敵な趣向じゃない?
人喰いのオウガを調理し返してやるだなんて!
殺したところで食べれたものではないけれど!
【逃げ足】活かして立ち回り
ゆらゆら揺らされ覚束ない足元は
【足場習熟】バランス取って
それでも対抗しきれず揺さぶられ
追い込まれていく無様な【演技】
自慢のお尻をゆらゆら【誘惑】し
断頭台へと誘い込む
揺れる視界に
肥え太った醜いオウガ達
悪趣味極まるこの国も
反吐が出る程気持ち悪い
その苦痛を糧に復讐を
【雌伏の時】はもうお終い!
あわれな獲物を喰らおうと
追い付いて来たおバカなオウガ
そのまま断頭台へと引き倒し
首を落としてあげるから!
だけれど
殺されたアリス達の復讐は
一匹程度じゃ足りやしない
次の獲物はどこかしら
セルマ・エンフィールド
人が他の動物を調理し食べるように、オウガは人をそうする。それだけのことです。
ですが、それ故に。
人とオウガは共存などできない。一体たりとも生かして残しません。
力は増しているようですが、その分完全に理性は失われているようですね。であれば、断頭台に誘導する方が確実ですか。
【氷雪の迷宮】を使用。断頭台では一度に多数の敵を処理できませんし、敵を分断しつつ、吹雪で視界を制限します
私は断頭台のそばで待機、こちらを探す敵を「スナイパー」の「視力」で先に発見し、フィンブルヴェトで銃撃を
耐久力も上がっていますし倒せはしないでしょうが、こちらに気づき向かってきたところにタイミングを合わせ断頭台の刃を落とし仕留めます
リプレイ
「あら?あらあら?世界が揺れるわ?いいえ揺れているのは私?まぁそんなのどうでもいいかしら」
オウガの能力により三半規管を乱され揺れる世界の中、メアリー・ベスレムはオウガの群れの中で事も無げにステップを踏み、舞うようにそれらの攻撃を避ける。
「この復讐はきっと、甘くて素敵なものになるわ……きっとそうよ、ねぇアリスたち?」
揺れる視界に映る醜悪な光景、肥え太った醜いオウガ達、悪趣味極まる断頭台の並ぶ光景、全てが彼女の『復讐』を彩る色となっていく。それが彼女のUC《雌伏の時》の力であった。
「あぁ……なんて景色なのかしら、反吐が出る程気持ち悪いわ。ええ、でも復讐ってそういうものでしょう?」
ふらふらと揺れるような動きはオウガ達には絶好の餌に見えるらしい、一向に攻撃が当たらないのにも関わらず必死でメアリーを追いかける。群れに死地に誘われていることに気づかない、突出した一匹が飛び出した瞬間、ふわりと跳び上がったメアリーがその背中を蹴り飛ばす。体の制御を失ったオウガの頭は呆気なく断頭台に嵌まり込む。
「さようなら、さようなら!ああ、復讐の刃に首を落とされるなんて、ドラマチックな死に方だわ、あなた達には勿体ないわね?」
朗々と、歌うようにメアリーは刃を振り下ろした。
「さぁ、復讐はまだまだよ。次の演者は誰かしら?」
断頭台がまるで舞台であるかのようにメアリーは踊る。主演女優を狙うのは無数の飢えたオウガ達。
「赤ずきんにしては狼さんが多すぎるかしら?私も含めてだけれど」
ケラケラと笑いながら踊りと処刑は繰り返される。しかし何度も続けていけばおのずと囲むオウガの数は増えていく。
一つ、二つ、三つと首を落としていくがオウガの数は増えるばかり。
「むむむ、困ったわね……こんなに熱烈に来られちゃうと流石に困っちゃうわ」
ふわりふわりと避けながら流石に手が足りなくなってきたとメアリが思ったその時、突然眼前のオウガ達が氷の迷宮に閉じ込められる。
「────先に一人で行くからです、手伝いますよ」
セルマ・エンフィールドのUC《氷雪の迷宮》が集まってた群れを吹雪の吹き荒れる迷宮に閉じ込めたのだ。入り口を一つに制限されたオウガ達の攻撃は散発的なものとなり、途端に対処が平易となる。
「あら、随分楽になったわ。ありがとうね?」
「いえ、どういたしまして。さて……オウガ達よ、ここは狩場、私は狩人、あなたは獲物……猟の始まりです」
高所に存在する断頭台に陣取ったセルマは類稀な視力にて迷宮内部に囚われたオウガ達の位置を正確に把握。フィンブルヴェトによる狙撃により迷宮の外へ的確にオウガを誘導する。
メアリーの処理能力を超えず、なおかつ最も効率の良い範囲でオウガ達の気を引く、あるいは追い立てることで少しずつ迷宮内部のオウガ達を断頭台へ繋がる“正解”の道へ誘導していく。
「一つ、二つ、三つ……これで最後」
「おしまい! 助かったわ!」
「いえ、こちらこそ」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
仙洞寺・高菜
アドリブやら絡み自由
ふーん、なるほど
そういうのは良くありませんねぇ…?
・人物
普段は緩いひと、今回は珍しくやる気、というよりは殺る気
気分の悪い話で実は結構気が立ってる
・行動とか心情
「余りこういうのは聞かないようにしてたんですけれど…
聞いてしまったからには、ね
さっさと終わらせてお酒でも呑みましょ」
直接斬り合いはあんまりしません、勝てるかわからないので
【忍び足】で近寄って【剣刃一閃】で足を斬り飛ばしてそのまま断頭台まで連行、ですかね理想は
数もいそうだし駄目そうならチクチク削ってますか
「さて、自分達のやってたことを…って、わかりませんか、まあわからないでしょうねえ」
「はあ、本当に嫌なお仕事です」
アイリ・ガングール
ん。断頭台に乗せる、ねぇ。そうや。追い立ててやろう。いくで、赤狼衆。鷹狩ならぬ兎狩りやてな。
早く動く者を無差別に攻撃するんやったら、馬に乗った赤狼衆は丁度良かろう。兎の攻撃は回避に専念して、とりあえず断頭台におびき寄せるのを第一にするよ。
そいで金狐霊糸で縛り上げて動きを封じ、首をズドンと落そうかね。
屠殺される側にでもなってみるといいよ。なぁに、喰らって肥え太ったんやったら、首の分だけ減量するといいさ
メラニー・インレビット
心臓を寄越せ?
醜く肥え太った豚共め、お前達にくれてやるものは何もない
ああ、ただ一つを除いてはな
まずはユーベルコードを乗せた魔法弾を放つ
これ自体は見た目通りの分厚い脂肪の塊に阻まれ効果は薄いだろうが、
本命は同時に刻みつける【時兎の刻印】だ
その印を刻まれた者は急激に老いが進む
肥満体を支える下半身には途轍もない負荷がかかるそうだが、
衰えていく脚はいずれ限界を迎え、ただ立っている事すら難しくなるだろう
そうしたら逃げられない様に縛り上げ、断頭台にその首を乗せ刎ねてくれる!
お前達に与えられるのは、この断罪の刃だけだ
自らの罪を理解する頭も無いだろうが、数多のアリス様を喰らった報いを受けてもらうぞ!
リプレイそのに改
「心臓を寄越せ? 醜く肥え太った豚共め」
メラニー・インレビットがその幼い容貌とは裏腹な冷徹な表情でオウガの群れの前に立つ。死を齎らすモノとして、一切の慈悲を持たず、少女は殺戮の荒野に立とうとしていた。
「貴様達にくれてやるものは何もない ──ただ一つを除いては、だがな。ふん、肥え太ったその身には酷だろう?」
メラニーは無造作に杖を振うと彼女のUCを乗せた魔法弾が放たれた。球は放たれると中空で一つ二つと分裂し雨となって群れに襲い掛かった。しかし、突き刺さる魔法弾は強化されたオウガの肉体の体表を傷つけるが絶命に至る一撃とはならない。
「────故に、だ。これで……いや、これでいい」
傷をつけられたオウガ達の歩みが急激に鈍化する。見れば、傷を負った箇所に紋章が浮かんでいる。時を喰む死神の刻印、彼女のUC《時兎の刻印》であった。
「喰らった分、精々苦しむことだな」
餌を喰らい、溜め込んだ肥満体の肉体がその質量を保ったまま老化を始める。全身を構成する骨の強度は失われて、機敏な動きを担保していた強靭な筋繊維は細胞死と再生のバランスを崩壊させ始める。
「如何にオウガといえど、概念時間加速による老いは耐えられまいよ」
しかし、既に餌を求めて走り始めたオウガ達は自らに起こった変化を理解することが出来ず、遮二無に此方へ殺到しようとする。自重に耐えきれず折れた脚を引きずりながら群れの総体は歩みのスピードを殆ど変えずに迫り来ていた。老化による崩壊により散発的な襲来がペースを崩され一塊になってしまったのである。
「……おっと、困った」
とはいえ総崩れな事に変わりはない、先頭集団は後続に潰され、その後続ですら自重で潰れている。しかし群衆の質量というものは一人で防ぐにはあまりに心許ない。
「────嘗て汝らは勇猛であった。敵を食い破るその牙は我が誇り。例え冥府魔道に浸されようと、穢れぬ誇りを此処に顕せ。生者の道を死者が拓く」
迫るオウガの群れの前に豪奢な着物を着た妖狐が一人、いつのまにか現れる。厳かに呪言を唱え発動されたUC、《冥門開錠・飢狼強襲・赤狼衆》により呼び出されるのは死霊の群れ。群衆の前方には自らの手札の中でも機動力に優れた騎兵隊である赤狼衆を、後方に赤狼衆弓兵を配置する。大弓の一斉射撃はオウガの濁流を押し留め、留まった集団に騎兵を擁する赤狼衆が突撃、分断する。
「流石は赤狼衆じゃの、合戦の花形は騎兵とはよく言ったもんじゃの。各個分断後、追い立てい」
「助かった、感謝する」
「よいのよいの、ババァのお節介と思っておくれ」
そう言って鷹揚に笑うアイリはぱんぱんと手を鳴らして赤狼衆に指示を出す。
「ほれほれいくで、赤狼衆。鷹狩ならぬ兎狩りやてな。精々死地に追い込んでやりな」
くい、と指先を動かせば騎兵隊は戦場を自在に駆け回る。羊の群れを操る牧羊犬の様にオウガの群れは続々と自らの死地たる断頭台の下へ誘導されていく。無論、迷い込めば即座に処刑台に引き摺り込まれる。アイリの操る金狐霊糸は分断され小分けに送り込まれたオウガ達を自在に縛り上げ次々に断頭台に送り込み、首を切断した。
「屠殺される側にでもなってみるといいよ。なぁに、喰らって肥え太ったんやったら、首の分だけ減量するといいさ」
酷薄な笑みを浮かべ次々と迫り来るオウガ達を“処理”していると段々とこちらに迫るオウガのペースが遅くなっている事に気づく。
「……おや?」
だが視界に入るオウガの数は特に変わらない、ちらりと横目を見遣るとメラニーが何やら細々とした刃物でオウガを裁断しながら斬首を続けているが、それは先程から変わりはない。はて?と前方に視界を戻すと、アイリは群れの異変に気づいた。
「ああ、そういう。寡黙な働き者やねぇ」
壊死や折れたのではない、明らかに鋭く鮮やかな技によって下肢を絶たれたオウガが散らばっていたのだ。気がつけば赤狼衆の追い立てから逸れたオウガの殆どは這いずるようにしか動けなくなっているか、あるいは両腕すら落とされ転がされていた。
「んーちょっと怒ってただけで、普段はそんなじゃないわよ?」
すたり、と血に濡れた小太刀を持った仙洞寺・高菜が一仕事終えた様子でアイリの側に現れた。
「ま、あまり気分がいい話じゃなかろうしな。そうなるのも仕方ないかもやけど……あんまり怖い顔するもんじゃないよ?」
「あ?そんな顔してた?にゃー……ダメね、さっさと終わらせてお酒でも呑みますか」
「ええじゃないの、よかったら一緒にいこか?」
そう会話しながら淡々とオウガを倒していると、先程までオウガを断頭台に詰め込んでいたメラニーがじとーっとした視線を投げかける。
「……余裕なのはいいが、真面目にだな」
「いいのよ雑で。こんなの殺すなら適当に潰してやる方がスッキリするでしょう? 自分達のやってたこともわからない獣相手にはね?」
「ま、戦争じゃしね?」
「ふむ、一理ある。では早急に屠殺を続けるとしよう」
会話を切り上げ、三者は皆オウガの討伐を再開する。既に群れの半数は崩壊、残った物も赤狼衆に追い立てられているか、地面を這いずる死に体が殆ど。趨勢は変わらずに半刻を経たずして群れは壊滅、多くのアリスを食んだ惨劇の舞台は獣の骸の山に埋め尽くされる事となった。
大成功
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