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迷宮災厄戦⑫〜はらぺこオウガと金の卵

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦

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「皆さん、新しい予知を持ってきましたにゃー」
 迷宮災厄戦でせわしないグリモアベースに集まった猟兵達に声をかけてきたのはクゥ・チコット(光風のハーピスト・f03424)だ。
「今回予知したのは黄金ガチョウさんが黄金の卵を生んじゃうそんな不思議の国での予知ですにゃー」
 もう行ったことある人も居るかもですがこんな感じですにゃーとグリモアで予知の様子を投影してみると、敵と思われるオウガと猟兵が相対しだすとどこからともなくやってきた沢山の黄金ガチョウがこれまた沢山の黄金の卵を生み落としている光景が映し出された。
「どうやらこの黄金の卵は沢山所持したらこの国限定ですがパワーアップできるらしいですにゃー」
 それは猟兵もオウガも関係ないらくしオウガなんて卵をパクッと食べてパワーアップする気でやってきているらしい。
 なお、この卵ガチで中身も黄金でできているので食べたりして確保するのは猟兵にはオススメできないので注意が必要だ。
「オウガを強化させちゃうと倒すの大変ですからどんなふうに卵を確保させないか、それとどんな風に戦闘に支障が出ない様に卵を確保するかが大事ですにゃ」
 方法は任せますから各々の手法で卵を確保してくださいにゃと伝えつつあ、そうですにゃとちょっとした補足を付け加えるクゥ。
「この黄金の卵を沢山持っているとなんやかんやで体が黄金色に輝きだしますにゃー」
 如何にもパワーアップしている感じですにゃーと言いつつも、なのでオウガがすごく輝いていたら沢山卵持っていることになるので注意してみてくださいにゃと補足した。

「そして肝心のオウガについてですがジャバオウガと呼ばれるオウガ達が相手ですにゃー」
 グリモアに映し出されたのは羽の生えた動物っぽいオウガである。
 クゥいわくとてもお腹すいている要で卵を食べてパワーアップしてアリスや猟兵を食べようとしているのか黄金ガチョウがやってくるのを待っているらしい。
「使ってくるユーベルコードはこんな感じですにゃー」
 とその様子の予知を投影してみせる。
 まずは、自身から30cm以内の対象の対象目掛けて高速で噛みつく攻撃。顎の力が強いので噛みつかれたら痛そうだ。
 二つ目は鋭い爪での攻撃、こちらは翼を限界まで酷使して身軽になればスピードが加速して攻撃を見切るのが大変そうである。
 最後は視線を向けた対象に、額のクリスタルからビームを放つユーベルコードだ。ダメージは普通だが命中率が高いユーベルコードなので防御や回避は頑張ってほしい。

「敵は卵を使ってパワーアップする気満々ですがこちらも負けずに卵を利用して戦えば勝てると思いますにゃー」
 皆さん、頑張ってくださいにゃ! と伝えながらクゥはグリモアの力を引き出し集まった猟兵達を転送するのであった。


「ニァーガウガウ」
 ふよふよと広い原っぱの中央でお腹すいたなーと漂っているジャバオウガ達。
 獣としての野生の勘かここに居たらパワーアップできたり、アリスや猟兵など美味しそうなやつらを食べれると思って待ち構えているが一向に黄金ガチョウが現れない。
 ふてくされてゴロゴロと草の上を転がってたり、すぴーと眠っている個体までいる。
 これだけ見ていると平和な光景だが、彼らも立派なオウガなので油断してはならない。

 そんな待ちくたびれたオウガ達の元に転送された猟兵達がやってくるとさすがのジャバオウガもそれに気がつき戦闘態勢を取り始める。
「グァッガァー!!!!」
 猟兵とオウガの準備が整ったかと思うと予知で言われた通り突如どこからともなく現れる沢山の黄金ガチョウ達、さっそくあちこちで黄金の卵を無数に生み出して戦場が黄金の卵で埋め尽くされる。
「ガウガウ……」
 じゅるりと口元をぬぐいながらその黄金卵を目を輝かせ狙うジャバオウガ。
 彼らに卵を食べさせてパワーアップはさせてはならない、猟兵達も各々の手法を用いてこの卵争奪戦ならびにジャバオウガ討伐戦へと身を投じていくのであった。


高月 渚
 お世話になってます。高月 渚です。
 オウガ達と卵争奪戦なシナリオです。この依頼は1章で完結する戦争シナリオとなっています。

 OPにも記載しましたが以下の行動がプレイングボーナスとして付与されます。

『プレイングボーナス……黄金の卵をオウガに取らせず、自分達が取る。』

『プレイグと執筆について』
 OP公開後、参加者様のタイミングで送信していただいて大丈夫です。誰かと一緒に参加する場合は文頭にグループ名や相手のお名前とIDなどを記入後、近いタイミングで送信をお願いします。
 執筆にはお時間を頂くことになるかもしれませんのでお急ぎの方はご注意ください。

『依頼の補足』
 本シナリオは集団戦です。
 基本はOPで説明した通り、卵を確保してパワーアップしてオウガ達と戦闘する感じです。
 黄金のガチョウさんについてですがなんか元気いっぱいに戦場をうろついてますので基本的には両陣営の攻撃も勝手に避けてくれると思うのでガチョウさんへのサポートは考えなくても大丈夫です。
 プレイングでは卵の確保と戦闘に集中していただければと思います。

 それでは長くなりましたが皆様のご参加お待ちしてます。
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第1章 集団戦 『ジャバオウガ』

POW   :    喰らいつく顎
【噛みつき】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    かきむしる爪
【爪】による素早い一撃を放つ。また、【翼を限界まで酷使する】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    燃え光る眼光
【視線】を向けた対象に、【額のクリスタルから放たれるビーム】でダメージを与える。命中率が高い。

イラスト:白狼印けい

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

三号・浄
キュイ!?ガチョウさん金の卵なんて産めるんでひゅ!?
中身まで金みたいでひゅね、これだと流石にギョクを握れそうにないでひゅ…
でももったいないでひゅから集めていきまひゅ

キュィ…なんだか怖い猫さんがいまひゅね
この前ネタを盗った猫さんとは別人でひゅが、ちょっと負けられないでひゅ!

まずは『ソウサラー式武闘術』のロッドとスケートを使ったローラーダッシュで先回りでひゅ
そのままロッドの後ろからルアーを投げて金卵をまとめて囲ったら一気に釣り上げるでひゅ!
妨害されそうなら頭のヨーヨーを振り回しながら金卵も囲んで巻き上げるでひゅ

これ以上は紐から零れ落ちて持てないでひゅね
なら猫さんのお腹をロッドでバッサリするでひゅ!



「キュイ!? ガチョウさん金の卵なんて産めるんでひゅ!?」
 予知でその光景は聞いていたが実際に戦場に現れた黄金ガチョウさんが卵を産む光景に少しばかり緊張して涙目になっているのは三号・浄(お供三号の泣き虫ソウサラー・f27082)である。
 実際に近くに転がってきた卵を手に取ってみれば金属の質感がするその黄金卵を確認すれば中身まで金なのがしっかりと解り、これじゃ流石にギョクを握れそうにないでひゅ……とちょっぴり落ち込んでしまう。
「でももったいないでひゅから集めていきまひゅ」
 予知によるとりょーへーのぱわーあっぷになるらしいでひゅからと頑張って集めようと決心した彼女に獰猛な鳴き声が……。

「ガウガウガー!!」
「キュィィィィィ!?」
 遠くの方から聞こえてきた声だが突然の声で悲鳴をあげてしま浄であるが声のした方を見れば複数のジャバオウガが待ってましたと嬉しそうに黄金卵を丸呑みして味わっている所だった。
「キュィ……なんだか怖い猫さんがいまひゅね」
 この前ネタを盗った猫さんとは別人でひゅが、ちょっと負けられないでひゅ! と決意を籠める。
 そうそうやる気を出していけば頑張れる子、寿司職人な一面もあって猫にネタを取られちゃうこともあったりするけど自信を持てるようになったらそんな悪い猫さんも追い払えるだろう。
 今日の戦いはその為の練習だ!

「キュィ! 卵は渡さないでひゅ!!」
「ガーウ?」
 キュィィィィィっと彼女の全身を覆うソウサラーと呼ばれる武器の数々からロッドとスケートの合わせ技による高速移動で地面をこぐように移動すればたちまちジャバオウガ達との距離を詰められる。
「いくでひゅ!!」
 パチンっと音がしたかと思うとシュパン! っとロッドの後輪が射出されたかと思うとそれは輪を大きくしながらあらゆる物を掴み取るルアーへと変じた。
 そしてジャバオウガ達がこれから食べようと集めていた黄金卵の山をその輪っかでしっかりと固定してひょいっと一瞬のうちにかっさらってみせるのであった。

「ガ……ニャァァオガウガウガー!!!!」
「キュィィィ!!! やっぱし怒りまひゅよね~!?」
 よくも横取りしたなと言わんばかりに血相を変えて襲い掛かるジャバオウガ達、こうなるのは解っていたけど敵を強化しないためにはこうするしかないと覚悟を決めて実行した浄であったが敵の怒り様に思わずびびってしまいロッドをせわしなく動かしながらローラーダッシュで逃走劇を繰り広げる。

「ガウ!」
「キュィィィ!?」
 翼を限界まで酷使してスピードを上げたジャバオウガの攻撃が浄の体に襲い掛かるがその爪による攻撃は彼女の着るソウサラースーツによって防御はできていた。
 でも、衝撃までは防げないので浄の目にさらに大粒の涙が……。

 だが、彼女は折れたりしなかった敵は強いけど負けられないと決意したんだ、その小さな勇気が妨害してくるジャバオウガ達に反撃する力を与えてくれる。
「ま、負けないでひゅから!!」
 キュインっと彼女の髪飾りが回転しジャバオウガに向かって飛んでいく、この髪飾りの名はソウサラーヨーヨー彼女の意思で自在に動く暗器である。
 追いかけてくるジャバオウガ達を切り飛ばしながらもソウサラールアーも囲んで一気に卵達を釣り上げてみせた。

「キュィィィ、卵確保できまひゅた」
 大量の黄金卵を確保できて一息ついた彼女の体が黄金色に輝きその身をパワーアップさせていく。
 湧き上がる力に吃驚して少し涙目になった浄だがこの力を使えばあの猫さんも倒せると勇気が湧いてきてロッドを握りしめる手に力がこもる。
「キュィィィ!! 覚悟でひゅ!!」
 ヨーヨーに弾き飛ばされてよろけていたジャバオウガに素早く近づいた浄はソウサラーロッドを巧みに操ると相対していたジャバオウガの群れをその鋭い刃による一撃でお腹をバッサリ一刀両断してみせた。

「キュィィ……なんとか勝てたでひゅ」
 無事に戦闘が終わってほっとしたのか思わず座り込んでしまう浄であったがその表情には少しばかり自信がついた明るい笑顔が浮かんでいた。

成功 🔵​🔵​🔴​

黒柳・朔良
金のガチョウの卵を持つと金色に輝きだす
つまりは輝いていないものは金の卵を持っていない、あるいはそれほど所持していないということにもなる
……これは私の普段の戦い方(隠密行動と暗殺)と非常に相性が悪いな
体が光らない程度に金の卵を確保して、オウガを倒していくのがいいだろう

選択UCで『存在』をなくし、体が光っていないオウガを狙ってヒット&ランで駆け抜ける
卵を確保しに降りてきたところに隙ができるだろうから、出来ればそこを狙って妨害していきたい

私自身は隠密行動をとっているから、卵をあまり確保できない
その代わりといっては何だが、他の猟兵達が卵を確保できるように、オウガどもを減らしていこう



 ガチョウの卵を沢山持てば輝きだす、逆に言うなら輝いてない者は金の卵を持っていない、あるいはそれほど所持していないということにもなる……これは困ったな私の普段の戦い方と相性が悪すぎると気配を消しながらガチョウの卵があふれる戦場で悩んでいるのは黒柳・朔良(「影の一族」の末裔・f27206)だ。
 普段の戦闘スタイルが隠密行動と暗殺を得意としている彼女としては卵を集めて体が輝いたりしたら暗殺が成り立たなくなるので卵を集めることには向いてない。
 しばし、思考を巡らせるが要は敵を強化しなければいいだけだ、輝いてないジャバオウガを狙って討伐することで他の猟兵の卵集めの手助けをしようといつもの戦い方で貢献することにした。

「さて、『影』(わたし)の獲物は何処にいる?『影』に殺されるのは誰だ?」
 己の存在を代償に武器の殺傷力を高めるユーベルコード・影に潜む暗殺者を発動させ、より一層と影の様に戦場に朔良という人間の痕跡を溶ける様に消していく。
 存在を支払う代償は一見怖く感じるが彼女は代償すらも強みに変えて暗殺スキルとしていた。
 音もなくまだ体が輝きだしてないジャバオウガに近づくと今まさに卵を食べようとしたその口ごと切り裂くように愛用の小太刀・鴉丸でジャバオウガの命を狩ってみせる。

 強化前なら問題なく倒せそうだ……。
 実際に一匹狩ってみせて確かな手ごたえを感じた朔良は戦場を駆け走る。
「ガウガウ~ガァッ!?」
 夢中になって転がる卵を追いかけていたジャバオウガの羽を掴み鴉丸で切除、何が起こったか解らないままのジャバオウガの喉元に素早く刃を突き立ててその口からもう何も食べれない状態に変えると亡骸をその場に残し次の獲物を求めて駆け抜ける。

 戦場のあちこちで次々とジャバオウガ達は暗殺されていくが卵に夢中な彼らの仲間には気がついてもらえてなかった。
 次の獲物は……と周囲を見渡していた彼女の目に卵が集まっている個所に降り立つ2匹のジャバオウガが見えた。
 その体は微かに輝きだしており、彼らの目の前には大量の卵が……放置すれば仲間の危機につながると判断した朔良は瞬時に毒を塗ったワイヤーフックを放ちながら距離を詰める。

 放たれたワイヤーフックはジャバオウガの頭蓋を撃ち抜き、額の宝石部分に返しのフックが引っ掛かり抜けにくくなってしまい頭を撃ち抜かれた衝撃と仕込まれた毒により絶命するジャバオウガを見て、もう一匹が焦りだす。

「ガウガウガウ」
 敵の攻撃なのは解るがどこにも敵が見当たらない、手当たり次第に自慢の噛みつき攻撃をあらゆる方向に向けて繰り出すが空を噛むばかりだ。
 そんな見えない敵に苦戦するジャバオウガの背後に存在を消した朔良が音もなく忍び寄ると鴉丸による素早い一撃でその首を跳ね飛ばしてみせた。
 訳も解らないまま首と胴体が別たれたジャバオウガは敵を探すように噛みつく動作をするがその顎は何も噛み付けずそのまま地面に落ちるとともに体を消滅させていった。

 無事に強化しかけのジャバオウガ達を倒した朔良は少しだけほっとすると……よし次の獲物だと他の猟兵達の立ち回りを良くするために獲物を求めて戦場を再び走るのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メンカル・プルモーサ
ふむ…これは卵争奪戦…いかに敵の邪魔をしつつ金の卵を確保できるか、か
…これなら足止めをしつつまずは金の卵の回収だね…
…丁度、敵も視線を介した攻撃をしてくるようだし…
【鳴りやまぬ万雷の拍手】による閃光と轟音でまずは目つぶしと足止めを行おう…
…その隙に飛行式箒【リンドヴルム】に乗って移動をしつつ金の卵を圧縮格納術式【アバドン】で回収…戦闘力の増強を行うよ…
…金の卵を集めて戦闘能力が高まったなら攻めに転じようか…
…引き続き【鳴りやまぬ万雷の拍手】で視界をつぶしつつ…黎明剣【アウローラ】を構えて魔力を通すことにより長大な光の刃を形成…周囲の敵をまとめて切り裂くよ……



「ふむ……これは卵争奪戦……」
 戦場で卵を取り合う他の猟兵やオウガ達を観察しながら思考を巡らせているのはメンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)だ。
 今回の依頼ではいかに敵の邪魔をしつつ金の卵を確保できるかが肝心だ。
 幸い卵の大量確保については考えがある彼女はまずは敵の足止めから始めようと決めて大量に集めた卵を目をキラキラ輝かせて食べようとしているジャバオウガ達の所に向かう。

「ニャー……ガゥ? ガウガウ!」
「フシャァァァァ!!!!」
 ゆったりとした歩みではあるがメンカルが近づいてきたことで卵を取られると判断したジャバオウガ達が一斉に威嚇行動に移りながら額のクリスタルに力を溜めてビームを放つ。
 だが、それらのビームは彼女には当たらなかった。当ててくるなら避けるすべもあったがあくまでジャバオウガ達は威嚇に止めたらしい。
 メンカルの大人しそうな雰囲気から威嚇で十分と判断したのだろうか?

「ガーウガウガガ!」
 それ以上近づいたら今度は撃つぞと言わんばかりに吠えるジャバオウガ。
 だが、そんな忠告を素直に聞くメンカルでもないなぜなら既に魔術の射程に入っているのだ、敵が油断しているなら遠慮などいらないだろう。
「観測せし虚像よ、沸け、轟け。汝は観客、汝は賞賛。魔女が望むは舞台を止めし大喝采」
 地面に展開するように魔法陣が現れたかと思うと詠唱によって紡がれたのは彼女が編み出した三世界の技術を統合した彼女だけのオリジナルの術式だ。
「フニャー!?」
「ガウォォォォォォ!?」
 突然目を瞑りながら苦しみだすオウガ達、それもそのはずメンカルが使用した鳴り止まぬ万雷の拍手は『相手を照らす閃光と喝采に似た轟音の幻覚』を高負荷で与え続ける魔法だ。
 ジャバオウガ達の目には七色の閃光がピカピカと映り目を開けられず、耳からは轟音のごとき喝采が聞こえてきてその負荷は動物的には想像を絶するストレスになるだろう。
 お得意のビームを放とうにも目を開けられず、ふらふらとよろけながら原っぱに倒れ伏すジャバオウガ達だった。

「うまくいったね、それじゃあこの隙に」
 パチンと袖口に仕込んだ、圧縮格納術式【アバドン】を発動したメンカルはジャバオウガが集めていた黄金の卵を圧縮しその術式内部に収納してみせた。
 だが、まだ強化には足りないのか体が輝く変化が訪れない……それならばと飛行式箒【リンドヴルム】を手に空へと舞い上がる。

 心地よい風を浴びながらの飛行であるがこんな空高くにも黄金の卵が産み落とされた勢いで飛び跳ねているのは不思議の国らしい光景だ。
 少しばかりこんな高さまでどの様な作用が働けば黄金が跳ねてくるのかと知識欲を刺激されるメンカルだったが他のジャバオウガが来る前にと再びアドバンを起動させ周囲にある黄金卵を回収してみせる。

 すると、予知で提示された通り自分のうちから力が漲り身体も黄金色の輝きに包まれる。
「よし、攻撃に転じようか……」
 リンドヴルムを操り地上に戻ればそこには未だにユーベルコードの影響で苦しむジャバオウガ達が苦しそうにゴロゴロ悶えていた。
 そんな彼らを一掃するべくメンカルは濃紺の刀身を持つ黎明剣【アウローラ】を構え、手に入れた黄金の輝きを自身の魔力と同調させて剣に流し込む。
 アウローラは夜明けの如く東雲色を経て白色く眩い輝きを放ちながら長大な光の刃を形成しだす。

「それじゃこれでお終いだ」
 ブンっとその光の刃の一閃をジャバオウガ達に向けて放てば地面すらも切り裂きながら苦しんでいたジャバオウガ達全てを消滅させてみせたのであった。
「……この卵の力再現できないかな?」
 申し分ない力で敵を殲滅できた力を見て、この国限定だと言う黄金卵の力を再現できないかと少し考えてしまうメンカルであった。
 彼女のこう言うところが様々な術式開発に繋がるのだろう。
 帰ったら研究だと思いながら彼女の戦闘は無事に完了したのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

城野・いばら
せっかく生まれて来たのに丸のみだなんて…
大丈夫よ、ガチョウさん
いばらが皆を守るからね

原っぱでも広いなら、イロイロな所に隠れているかも
高い所や隙間にかくれんぼな卵さんは蔓を伸ばして取るわ
地形の利用で探すの
見つけたら髪の白薔薇を蕾に変えた【薔薇の庭園】に吸い込んでいくね
ガチョウさんもお庭へご招待
欲ばりなオニさんが、ムリに生ませようとするかもしれないし…
安全になるまで隠れていてほしいってお願いするわ
ふわふわな葉っぱと花弁もあるからね、生んでくれても大丈夫よ

欲ばりなオニさんに出会ったら
伸ばした茨で邪魔しちゃう
アリスも皆も食べちゃダメなのよっ
捕縛したらそのまま生命力吸収
食べた後は、ゆっくりおやすみなさい



「せっかく生まれて来たのに丸のみだなんて……」
 ぷくーっとほっぺたを膨らませながらジャバオウガ達の悪行に怒るのは城野・いばら(茨姫・f20406)であった。
 中まで黄金の卵からも黄金のガチョウが生まれるのか少々疑問であるがここは不思議の国だしそういうこともあるだろう。
 そう考えると今回のオウガ達中々酷いことをしているな、同郷のいばらが怒るのも無理もない。
「大丈夫よ、ガチョウさんいばらが皆を守るからね」
 絶対に助けてみせると固い決意を胸にいばらは卵とガチョウさんを保護する為に戦場を駆け始めた。

「原っぱでも広いなら、イロイロな所に隠れているかも」
 きょろきょろと辺りを見渡しながら世界の知識やアリスラビリンスの地形の特徴などを考えて探してみる。
 確かに原っぱではあるが全くの障害物がないわけでない。木が植えてあったり低木なんかもある。
 彼女はそういった場所を重点的に探してみることにした。

「グァグァ?」
「ガチョウさんこんにちは怖くなかった?」
 木の枝に隠れる様に卵を産んでいたガチョウを見つけるといばらは優しく語り掛けながらその卵とガチョウさんを蔓を伸ばして絡め取るとそのそまま抱き寄せる。
 猟兵の予知では気に駆けなくて大丈夫と聞いていたがやっぱし怖かったりしたのだろう抱きしめられるガチョウさんの体はプルプルと少しだけ怯える様に震えていたのであった。
 いばらはそんなガチョウさんを優しく撫でながら頭の白薔薇を蕾へと変化させユーベルコードを使う準備を進める。

「ガチョウさん怖かったよね、でも安心していばらの庭園に招待してあげる」
 ガチョウさんに断りを入れてから卵を一つその頭の蕾に吸い込んでみせるいばら。
「この蕾の中はとっても安全なのよ、欲張りなオニさんも居ないから安心して産んでほしいわ」
 中にはふわふわの葉っぱと花弁もあるからね安全に隠れていて頂戴ねと優しく語り掛けてくる彼女の言葉にガチョウさんも落ち着いたのか彼女を信じて卵と共に美しい薔薇の庭園へと入っていった。
「……少しでも、楽しんでもらえたら嬉しいわ」
 さぁ、まだ隠れているガチョウさんもいるだろうから探さないとと捜索を再開する。
 こういう彼女は怯えて隠れていた卵やガチョウさんを次々と庭園に招待していくのであった。

 しばらくは安全に捜索できていたがやっぱし邪魔は入るもので……。
「ガウガウガウガウ!!」
「まぁ、欲張りオニさんの登場ね!」
 周囲の卵が全然ないことに何か原因があると探し回っていたジャバオウガ達がいばらのことを見つけたのだ。
 ガウガウと怒ってビームを茨に放つがいばらは負けじと咄嗟に武器である薔薇の挿し木に魔力を籠めて急成長させて防いでみせた。
「アリスも皆も食べちゃダメなのよっ」
 薔薇の庭園の中で安心してガチョウさんが卵を産んだことでいばらの体も黄金色に輝きだしその力を高めている。
 彼女の想いに応える様に薔薇の挿し木は素早く茨を伸ばして集まったジャバオウガ達を絡め取っていく。
「ガウ……ガァァァ……」
 絡みつかれた茨のトゲが体に刺さり、そこから生命力を吸収されてしまうジャバオウガ、急激な吸われるその行為によりしおしおと体が痩せこけてぐったりと体の力が抜けていく。
「オニさんもゆっくりおやすみなさい」
 倒すべき相手にすら優しく最後には語り掛けながらいばらによってジャバオウガ達は覚めない眠りへと誘われるのであった。

 こうしていばらが倒し終える頃周りのジャバオウガ達も討伐されて沢山いたガチョウさんもいつの間にか居なくなっていた。
 猟兵達の勝利である。
「ガチョウさんもう出てきて大丈夫よ」
 と優しく蕾に声をかければガチョウさんと大量の卵が再び外にやってくる。
 それらを安全な隠し場所に一緒に運びながら最後に薔薇の挿し木でより安全な隠れ家に変えれば安心して卵を育てられるガチョウさんの隠れ家の完成だ。
「これてもう大丈夫ね、安心して育ててね」
 それじゃあねとガチョウさんに別れを告げながらいばらは思うのだ。
 ガチョウさん達にの為にもこの不思議の国の滅亡は必ず防がないと……と。
 別の戦場で戦う活力をガチョウさん達に頂いたいばらの活躍はまた別の話であるがきっと今日の様に優しくも強い戦いを見せてくれることだろう。

 こうして今回の猟兵達の戦いは無事に勝利で終わるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月09日


挿絵イラスト