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迷宮災厄戦⑮〜おかしなおうち

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦

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●アリスラビリンスにて
 ほんのりと甘い香りの漂う森の中。ぬいぐるみのような愉快な仲間達が、困惑した様子でおろおろと周囲を歩き回っている。その様子を木陰から見つめるものが数体。愉快な仲間達によく似た姿のそれらは、にやにやと悪い笑みを浮かべた。

●グリモアベースにて
「小休憩とまではいきませんが、一度争いから離れて、のんびりお菓子作りというのはどうでしょうか」
 集まった猟兵達に対し、桐島院・師走(シザーレッグズ・f20989)が唐突に提案を投げかける。「お菓子は別腹だ」という者もいれば、「糖質制限していてちょっと……」という者もいるかもしれない。
「今回皆さんに向かってもらうのは、広い森の世界です。そこではアリスや愉快な仲間達が、オウガから身を守るためにお菓子の家を建てていたのですが……」
 言葉尻を濁され、猟兵達は何となく事態を察する。
「お察しの通り、こんな状況になった影響で、お菓子の家はほぼ全壊してしまったようです。このままでは彼らの身が危険です。なので、皆さんには現地でお菓子の家の再建を行っていただきたいのです」
 ただし、と師走は付け加えた。
「森には、オウガによって洗脳された愉快な仲間達である、『邪悪な子供達』も潜んでいます」
 彼らは向こうから攻撃を仕掛けてくることは無いが、油断している猟兵達を妨害してくるのだという。砂糖と塩をすり替えるベタなものから、材料の小麦粉で粉塵爆発を起こそうとする非常に悪質なものまで、手段は様々だそうだ。
「用心していれば、あちらは手出し出来ないので、お菓子を作りつつも、警戒は怠らないようにお願いしますね」
 周囲に気を張りながらのお菓子作り。経験したことのある猟兵はそれ程多くないだろう。光を放つグリモアを見ながら、猟兵達はレシピを考える。
「それでは、よろしくお願いします。皆さんに、神の加護がありますように」


はんぺん
 うまい棒はコンポタ派です。はんぺんと申します。今回もアリスラビリンスでの戦争シナリオとなります。一章で完結する特殊シナリオです。お手柔らかにお願いします。以下は、シナリオの補足です。

●目的
 アリスや愉快な仲間達が身を隠せるよう、美味しいお菓子を作って、お菓子の家を再建してあげてください。周囲には、猟兵達の行動を妨害する邪悪な子供達がいるので、警戒は忘れずに。師走の説明通り、邪悪な子供達は油断さえしなければ襲ってこないので、撃破を狙う必要はありません。あくまでも再建を優先してください。

●特殊ルール
 以下に記述した行動をプレイングに盛り込むと、プレイングボーナスが発生します。有利になる効果があるため、積極的に盛り込むことを推奨します。

●プレイングボーナス
 美味しいお菓子のレシピを用意する。

 今回も戦争シナリオのため、全てのプレイングの採用と反映が難しいです。人数が集まり次第、プレイングは締め切らせていただきます。また、内容やタイミングによってはプレイングを流す場合があります。予めご了承ください。
 公開された時点でプレイングの受付を開始します。それでは、よろしくお願いします。
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第1章 冒険 『お菓子の家つくり』

POW   :    生地をこねたり伸ばしたり、オーブンの火加減を調節するなど下拵えや準備を担当する

SPD   :    正確に材料を計ったり、綺麗に角がたつくらいにホイップするなど、技術面で活躍する

WIZ   :    可愛い飾りつけや、トッピングで、お菓子を美味しそうにデコレーションする

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ネーヴェ・ノアイユ
UDCより調達してきたお菓子のレシピ本を持参して来てみたのはいいのですが……。お菓子作りの経験はほとんどないことに加え……、此度は洗脳を受けていらっしゃる方の妨害にも常に警戒をしていないといけない……。のですよね……。警戒することに気を取られお菓子作りそのものを失敗しないよう気をつけたい……。です。

警戒していたおかげか妨害は今のところ大丈夫……。ですね。お菓子の家の修復といえば……。これがあると便利かとレシピから選んだ長方形のビスケットも安定して作れるようになってきましたし……。少しでも多く焼いて復興に役立てていただきましょう。
あとは最後までお菓子作りも警戒も油断せぬように……。ですね。


メリー・アールイー
アドリブ歓迎
お菓子は作るより食べたい派なんだけどねぇ
人形の手も借りたい惨状みたいだからね、仕方ない
Re、あとで余ったのあげるからお仕事行くよ

恋鯉に乗ったReが悪い子探して巡回中
悪戯しようとしたら、しつけ針でチクリとお仕置きだ

【桜花泳夢】で
『魔法菓子が上手に作れるエプロンドレス』に変身
予め調べて置いたレシピ通りに作ってみよう
ミックスナッツをオーブンで焼いて
チョコを刻んでテンパリング
チョコにナッツとドライフルーツを混ぜて
バットに流して固める

最後の仕上げに彩玉をチョコの上で振る
食べるまで溶けない氷の魔力と
邪悪な力では割れない光の魔力をひとふりずつ
贅沢チョコバーの完成だ
ドアでも屋根にでも、使っておくれ


ミア・ミュラー
ん、けっこう長くこの世界にいるけど、お菓子の家を作るのは、初めて。頑張って甘いお菓子の家を、作るよ。

お菓子を作る前に、【プリンセス・ホワイト】で白鳥さんたちを呼んで、周りを見張ってもらう、よ。ん、これでお菓子作りに集中できる、ね。
んー、どんなお菓子の家にしよう、かな。せっかくだからいろんな種類のお菓子を作ってみたい、な。壁はビスケットで屋根とかドアはチョコレート、窓は飴。何種類も作るのは大変かもだけど、この世界のみんなのために、頑張る。
お菓子作りは初心者だから、愉快な仲間たちや白鳥さんに、休憩がてら作ったお菓子を食べてもらって、感想を聞きながら美味しいお菓子を、作るよ。



●心は桜色
「お助けだ~」
「ありがたや~」
「受け取ってください~」
 到着して早々、ネーヴェ・ノアイユ(冷たい魔法使い・f28873)、メリー・アールイー(リメイクドール・f00481)、ミア・ミュラー(アリスの恩返し・f20357)の三人は、ぬいぐるみのような愉快な仲間達に取り囲まれた。中には既に謝礼(採れたての木の実)を手渡そうとするものまでいる。
「き……気が早いです……」
「まだ、だよ……」
「何もしちゃいないんだけどねぇ」
「そうでしたっけ~」
 三人が苦笑いを浮かべると、愉快な仲間は手に持った謝礼を引っ込めた。呑気な様子からは、とても危険な状況下にあるとは思えない。
「ちなみに……被害はどのような感じでしょうか……?」
 改めて、周囲を見回してみる。
 クッキーの屋根は粉々に崩れ、チョコレートの窓枠は外れ、ウエハースの壁は倒れて横たわっている。材料の違いはあれど、どれも事前に聞いていた通りの惨状であった。

「お菓子は作るより食べたい派なんだけどねぇ。人形の手も借りたい惨状みたいだからね、仕方ない」
 そう言うと、メリーは桜色の布を引っ張り出し、くるりと一回転させる。すると、布は魚の形となってひらひらと泳ぎ出し、メリーの姿が可愛らしいエプロンドレスに変化していた。
「こういうのは、まず形から入るのが大切だろう?」
「わあ……可愛いです……」
「似合ってる、ね」
「二人の分もちゃんとあるよ」
 空中を泳ぐ恋鯉が、ネーヴェとミアの周囲をくるくると舞い、桜色のエプロンドレスを身に纏わせる。
「えっ……私が着るには可愛すぎませんか……?」
「わたしには、似合わない、かな?」
「いや、二人ともよく似合っている。素材が良いのだね」
 メリーが胸を張ると、続けて愉快な仲間達も二人を褒めちぎる。
「お似合い~」
「素敵~」
「……ありがとう……ございます……」
「……どうも」
 ネーヴェは頬を桜色にほんのり染めて礼を言い、ミアは僅かに口角を緩めた。

(楽しそう)
(家壊れたのに楽しそう)
(腹立つ)
 木陰から虎視眈々と様子を窺うぬいぐるみ達。『邪悪な子供達』と呼ばれる彼らは、楽し気な雰囲気に嫉妬し、ファスナーの牙をきりりと鳴らした。

●初心者応援キャンペーン
「みんな、頑張って、ね?」
 ミアは呼び出した白鳥に指示を送り、周りを見張ってもらうことにした。
「あとで余ったのあげるから」
 続けてメリーが相棒であるからくり人形のReを恋鯉の背に乗せ、空中へと放つ。
「ん、これでお菓子作りに集中できる、ね」
「あいつらは手出しできないはずさ」
「頼もしいです……私……実はお菓子作りもほぼ未経験で……警戒もしないといけませんし……」
「わたしも、初心者、だよ」
 過去の記憶が無いアリス適合者の二人にとっては、お菓子作りもまた未知の領域といえよう。
「そうだったか。それなら安心してくれ。このエプロンには魔法菓子が上手に作れるまじないがかかっている。試しにちょっと見ていてよ」

 そうだ、と呟くと、メリーは愉快な仲間達に呼びかけた。
「さっきの謝礼、やっぱり今くれないかい?」
「喜んで~」
 愉快な仲間達は両手からごろごろと木の実を取り出す。
「ありがとね」
 貰った木の実を用意されたオーブンに入れて炒ると、すぐさま香ばしい匂いが周囲に広がった。
 続けてチョコレートを湯煎で溶かし、手際よく温度を調整していく。今度は甘い香りが周囲に放たれる。
「ほら、全くの素人でも大丈夫だよ」

「私も……頑張らないと……」
 ネーヴェもメリーの様子を見て、持参したレシピ本を広げる。本は力をくれると、以前学習したのだ。エプロンのおかげか、すらすらと内容が頭に入ってくる気がする。
 ボウルを取り出し、中に薄力粉と砂糖を入れ、バターを加えながら手でほぐしていった。ド素人とは思えない順調な滑り出しだ。
「大丈夫な……気がします……」

「わたしも」
 続いてミアも材料の用意を始める。
 水飴にチョコレートに薄力粉。ミアは一度に色んな種類のお菓子を作ることにしたようだ。
「何種類も作るのは大変かもだけど、この世界のみんなのために、頑張る」
 二人の手順を見様見真似で再現し、チョコレートとビスケットの下ごしらえをしていく。もちろん、飴が焦げないように確かめるのも欠かさない。
「どう、かな?」
「味見します~」
 チョコレートを、愉快な仲間達と見回り帰りの白鳥に一口ずつ分けてやる。
「美味しいですよ~」
 愉快な仲間達と白鳥は大きく頷く。
「なら、良かった」
 彼女もまた、順調にお菓子作りを進めていった。
 
●甘いだけじゃないんです
(いい匂い)
(美味しそう)
(腹立つ)
 お菓子作りの様子に耐え切れなくなった『邪悪な子供達』が、そろりそろりと調理台に近づく。
(ボウルにタバスコを入れてやろうか)
(水飴に接着剤を混ぜてやろうか)
(それともオーブンに頭を突っ込ませようか)
 その時だった。

 ぶすり。

(ぶすり?)
 振り返ると、そこには恋鯉に乗ったReの姿。手に持ったしつけ針が、一体のお尻にちくりと刺さっていた。
「いったあああああい!!!???」
「針は痛い!!」
「綿が出るのはイヤ!!」
 一体が悲鳴を上げたのに続いて、残りの数体も一目散に逃げていく。しかしこれでは終わらない。

 ぐさり。

「またいたあああい!!」
「お尻もイヤだけど、頭もやめてー!!」
「綿がー!綿がー!」
 白鳥の群れが、『邪悪な子供達』の頭をつついていく。最早ここまで来ると妨害どころではない。どうにか逃げ切ろうと走り回る。
 だがやはり、これでも終わってくれない。

 つるり。

「えっ?」
 皆が足元を見ると、スケートリンクのようにきれいに氷が張られている。
「うわああああああ!!!!」
 『邪悪な子供達』は一斉に滑り、団子状になって森の奥へと転がっていった。

●おいしくなあれ
「罠……仕掛けておいて良かったです……」
「あれで懲りてくれる、かな?」
「洗脳されているだけで、中身は愉快な仲間達と変わらないみたいだから、案外あれで正気に戻るかもしれないねぇ」
 三人の背後には、完成間近のお菓子の山が積まれている。フルーツとナッツがどっさり入ったチョコバーと、バターが香るさくさくのビスケット。それから窓に使える彩り豊かな飴だ。これだけあれば、充分過ぎる数の家を建てられるだろう。

「そろそろ仕上げといこうか」
 三人は頷くと、魔法をお菓子に込めていく。邪悪に負けない光の魔法、食感と通気性を良くする風の魔法、そして保存性を高める氷の魔法だ。
「よし、これで完成だね」
「……頑張った」
「お疲れ様……でした……」
「やった~」
 愉快な仲間達が嬉しそうに飛び跳ねる。
「建築は僕らでやっておくので、余ったものでお菓子パーティーしませんか~」
 三人は顔を見合わせる。
「いいんじゃないかい?疲れた時には甘いものがお約束だしね」
「みんなで、食べよう、ね」
「こういうの……なんだかわくわくします……」
 肯定的な返事を受け取り、愉快な仲間達は更に嬉しそうに跳ねた。

 甘い香りの森の中。楽しいお茶会が幕を開ける。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月09日


挿絵イラスト