迷宮災厄戦⑮〜お菓子の国も建築ラッシュ~
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「ちょいと頼みがあるんだけど、良いかい?」
サマードレスに身を包み、中御門・千歳(死際の悪魔召喚師・f12285)は猟兵たちへとそう声をかける。
千歳によればアリスや愉快な仲間たちがオウガから身を隠し寄り合い暮らす、お菓子の家が建ち並ぶ国があるという。
しかしそのお菓子の家が、オウガにより軒並み破壊されてしまったというのだ。
「どうやら破壊の限りを尽くしたオウガはもう居ないようだけどねぇ……さすがに住む場所が無いってのも可愛そうさね。そこで、お菓子の家を再建してもらえないかい?」
元々お菓子の国はアリスや愉快な仲間たちが身を隠すために建築したもの――故に彼らの今後の生活の為に、お菓子の家を再建する必要があるだろう。
破壊した元凶による妨害の懸念は当然……だが予知によれば、お菓子の家を破壊しつくしたオウガは既にその不思議の国を後にしたとのことだ。
つまりは戦闘の発生を心配すること無く、猟兵たちにはお菓子の家の再建に専念することが可能なようだ。
「オウガの妨害は無さそうだねぇ……でも、ちぃと警戒は必要みたいだよぉ?」
予知によればオウガの妨害は心配無い……だが、アリスや愉快な仲間たちの中に、オウガの洗脳を受けた者がいるようだ。
そうした者たち――邪悪な子供たちは猟兵たちの目を盗み、お菓子の家の建築を妨害しようとしたり、猟兵に危害を加えようとしたり、はたまたお菓子に毒を混ぜたりしようとするだろう。
相手はあくまで一般人であるが故、油断さえしなければ対処は可能であろうが……一応の警戒は必要なのだという。
「それじゃあ、美味しいお菓子の家をたーんと作ってあげておくれよ」
そう言いながら、老女は猟兵たちを送り出すのであった。
きみはる
●ご挨拶
お世話になります、きみはるです。
戦争依頼3作目は戦闘の無い平和依頼となります。
●依頼について
美味しいお菓子の家を建築する依頼となります。
その為、プレイングボーナスは下記の通りとなります。
プレイングボーナス……美味しいお菓子のレシピを用意する。
邪悪な子供たちは洗脳されているとは言え一般人、そこまで手の込んだことは出来ませんので、一応の警戒をしておいて頂ければ、問題無いこととします。
普通の子供たち(アリスや愉快な仲間たち)もおりますので、出て来る子供全員が邪悪というわけではありませんので、ご注意下さい。
仲良く交流頂いてもOKです。
また、プレイングに記載が無ければアリス以外は無理に登場はさせませんが、この世界に暮らす愉快な仲間たちは喋る動物のイメージです。
●プレイング募集について
OP公開から締まるまでプレイング募集期間とさせて頂きます。
その為、普段よりかはやや少なめの人数での進行を予定しております。
それでは、皆様のほんわかしたプレイングをお待ちしております。
第1章 冒険
『お菓子の家つくり』
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POW : 生地をこねたり伸ばしたり、オーブンの火加減を調節するなど下拵えや準備を担当する
SPD : 正確に材料を計ったり、綺麗に角がたつくらいにホイップするなど、技術面で活躍する
WIZ : 可愛い飾りつけや、トッピングで、お菓子を美味しそうにデコレーションする
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
テリブル・カトラリー
基本的なレシピを用いて家の壁に使うクッキーを作ろう。
私の様なものが下手にオリジナルな物なぞ作っても失敗するのは目に見えている。故にこれが私が用意できる美味しいお菓子レシピ。
壁を作る為の大きなオーブンに普通の厚さの生地を入れては焼いていく。
これらをクリーム等で接着し、厚みを増やして壁にする。
一度に大きなクッキー生地を焼くのは火加減が分からないからしないのだ。
そしてそこの子供、生地に毒を混ぜようとするな。
『爆破工作』爆破はしない。
ロボに見張らせておいた生地に異物混入を図る子供を掴まえる。
洗脳の解きかたは分からないが、ショック療法はどうか。
最大限手加減し、子供の腕を軽く弾く。所謂しっぺ。
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「私の様なものが下手にオリジナルな物なぞ作っても失敗するのは目に見えている……故にこれが私が用意できる美味しいお菓子レシピ」
テリブル・カトラリー(女人型ウォーマシン・f04808)は、遠い目をしながら一心不乱に生地をこねる。
銀河帝国に生れ落ちてから101年――ウォーマシンとは言え、男性と良く間違えられるとは言え、分類上は女であることを自負しているテリブル。
こうした菓子作りと言えば、少し背伸びをしてこじゃれたモノへとチャレンジしようとするのが良くある女子なのだと、彼女はデータベースの中で良く知っていた。
しかし、戦場傭兵たるテリブルは良く理解していた……日々の反復こそ、百の、千の訓練を経て、ヒトは実力を発揮出来るのだと。
つまりは己が身の丈に合わぬチャレンジなどしても碌なことにならぬのだと……そう理解しているからこそ、彼女は最も基本たるお菓子レシピ――クッキー作りに取り組むのだ。
「よし、壁を作る為には数を稼がねばな……」
巨大なオーブンへと次々と整形した生地を入れては焼いていく。
こうしたクッキーを横だけでなく厚み方向にもクリームで接着し繋げることにより、屋根といったような重量物が乗っても崩れぬ強固な壁が完成するのだ。
本来であれば巨大な一枚で作ってしまった方が容易……しかしテリブルは良く理解していた。
美味しくないお菓子の家など、お菓子の家では無いということを。
一度に焼いた巨大なクッキー生地は火の通りも不均一となり、時にぼそぼそと、時に生っぽいものとなるのだ。
横着をせず、丁寧な仕事に邁進するテリブル。
下手などと謙遜するものの、基本に忠実なその手際は、決して他者に劣らぬ見事なクッキーを焼き上げていった。
「そこの子供、生地に毒を混ぜようとするな」
そんな菓子作りに集中しながらも、テリブルは近くで動く何かを感知していた。
辺りに放っていた小型ロボのセンサーにより感知された熱源――その場を見ればそこにいたのは目が据わった小柄な少年――そしてその手に握るのは、怪しげな小瓶だ。
手早く取り上げお仕置きとばかりに“最大限”手加減をされたしっぺを繰り出せば、少年は目に大粒の涙を溜め鳴き声をあげる。
さすがにいたたまれないものの、その少年の瞳孔の開き具合から、視線の動き方からどうやら洗脳が解けたことを察したテリブルは、ホッとしたように息を吐きながら少年の髪を撫でる。
「もう大丈夫ですよ?」
ゆっくりと辺りを見回し他の猟兵の姿が無いことを確認しながら――そっとマスクを外し、しゃがむことで少年を視線を合わせ……ゆっくりと微笑みながら。
大成功
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アルデルク・イドルド
ディルク(f27280)と
なるほどお菓子の家か…そう言う絵本もあったしお菓子が好きなやつにとってはちょっとした夢みたいなもんだろうな。
じゃあ、俺達もお菓子を作るか。
そうだな「ステンドグラスクッキー」にするか。
一応キルケには辺りの【偵察】をさせておこう。
材料を測ったら混ぜるのは力作業だしディルクに任せよう。頼んだぜディル。
俺はグラス部分に使う飴でも砕くか。
赤に黄色にと…。
ん、クッキーの真ん中に穴を開けて焼いてさらに一手間飴を置いて焼けば。
ほら、綺麗なクッキーの出来上がりだ。
みてみな赤はディルクの目の色で綺麗だろ?
こっちは…うん俺の目の色。こっち食べるか?
美味か。なら良かった。
ディルク・ドライツェーン
アル(f26179)と
よーしっ、お菓子の家いっぱい建てような!
…ちょっとだけ味見はしてもいいよな?
お菓子作りは初めてだけどアルが言う通りに作ってくぞ~
細かい作業は苦手だけど、材料混ぜてクッキー生地をこねたり
クリーム泡立てたりなら出来そう!
妨害はアインに【野生の勘】で見張ってもらって
邪魔するようなら近づかない様に吠えて【恫喝】してもらう
アルそろそろお菓子焼けたか?
おお~っ、美味しそうなお菓子がいっぱいだ!!
この真ん中にアメの入ったクッキーは宝石みたいで
キラキラして綺麗だな~っ♪
アル、これ味見してもいいか?
へへ~っ、やった~♪(嬉しそうにもぐもぐ)
うんっ、やっぱりアルのお菓子が1番美味しいなっ!
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「なるほどお菓子の家か……そう言う絵本もあったしお菓子が好きなやつにとってはちょっとした夢みたいなもんだろうな」
かつてはさぞ幻想的な雰囲気であったのだろうと、アルデルク・イドルド(海賊商人・f26179)はその廃墟と化したお菓子の家の残骸たちを眺めながら言う。
お菓子の家と言えば童謡の中でも定番。
そうした物語に心躍らせる少年少女も多いことだろう――そう、傍らに少年少女とは言い難い年齢なものの、心を躍らせている者がいるくらいなのだから。
「よーしっ、お菓子の家いっぱい建てような! っと……ちょっとだけ味見はしてもいいよな?」
そんな相棒たるアルデルクの優し気な視線に気づくことなく、お菓子の家跡地を眺めディルク・ドライツェーン(琥珀の鬼神・f27280)は童のようにはしゃぎまわる。
再建へ向けて気合十分なディルク。
ついつい崩壊したお菓子の家を味見しようと手を伸ばすものの、せっかくならば新しく作ったものを窘められ、早く作らねばと熱意を新たにするのであった。
「じゃあ、俺達もお菓子を作るか……そうだな“ステンドグラスクッキー”にするか」
ステンドグラスクッキーとは通常のクッキーにひと手間加え、キャンディを溶かしたものを中心に据えることでステンドグラスのような煌きを加えたクッキーのこと。
手慣れた手つきで材料を軽量していくのは、細やかな作業に慣れたアルデルクの担当。
早く自分の出番がこないかと、わくわくと後ろから手元を覗き込む相棒にくすりと笑みをこぼしながら、料理には計量が最も重要だということを理解しているアルデルクは、丁寧に材料を測り分けていく。
「さぁて、次は……頼んだぜディル」
「うんっ、これなら出来そう!」
ようやく出番が来たと、ディルクは楽しそうに、力強くクッキー生地をこね、クリームを泡立てる。
羅刹として力の強さには自信のあるディルク――しかしその半面、細かい作業は苦手としていた。
故に力仕事なら任せてくれとその瞳を輝かせ、美味しいクッキーを目指し目を輝かせながら己が仕事に全力を尽くすのだ。
「おっ?」
ふと気付けば、アルデルクの相棒たる蒼い羽のオウム――キルケがけたたましく鳴き、ディルクの相棒たる銀色の毛並みの狼――アインが雄々しく吠えていた。
「どうやら大丈夫そうだな」
一匹と一羽が追い払っていたのは小さな少年――恐らくグリモアベースで説明を受けた件の邪悪な子供たちというやつだろう。
あくまで洗脳された一般人である子供たちには戦闘能力は皆無――涙目になって走り去るその様子を見れば、とりあえずは優秀な相棒たちに任せておけば一安心だと、二人はお菓子作りに邁進する。
「赤に黄色にと……」
ディルクの作業を見守りながら砕いておいたキャンディを中心に、そしてその周りにディルク力作のクッキー生地を並べていく。
そうしてしっかりと焼き上げたなら、ステンドグラスクッキーが出来上がっていく。
「ほら、綺麗なクッキーの出来上がりだ」
「おお~っ、美味しそうなお菓子がいっぱいだ!! この真ん中にアメの入ったクッキーは宝石みたいでキラキラして綺麗だな~っ♪」
これまたディルクが一生懸命に泡立てた生クリームで接着しながら、ステンドグラスクッキーでお菓子の家を作っていく二人。
空から降り注ぐ陽光を照り返し、キラキラと輝くクッキー。
そうして己が力作を眺めたならば、味見をしたくなるというのが人情というものだろう。
「アル、これ味見してもいいか?」
「みてみな赤はディルクの目の色で綺麗だろ? こっちは…うん俺の目の色。こっち食べるか?」
クッキーの壁を作り上げる為に格闘していた生クリームを頬につけたディルクに笑みを浮かべ、そっと拭ってやりながらアルデルクはクッキーを進める。
己は綺麗な赤色のものを、ディルクには金色のものを。
互いの色のクッキーを食べながら、ふたりは自然と笑顔を浮かべる。
「へへ~っ、やった~♪ うんっ、やっぱりアルのお菓子が1番美味しいなっ!」
「美味か。なら良かった。」
穏やかな風を受けながら、ふたりは汗を冷やすように一休み。
そこには満開の花畑のような笑顔が咲き乱れ、優しい時が流れていくのであった。
大成功
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ラブリー・ラビットクロー
マザー
お菓子の国だ!
らぶここに永住する
【移住許可は確認できません】
そんなの知らねーのん
らぶはお菓子が大好きなん
だからお菓子の国がピッタリなん
【好きな事ばかりに逃げていると困難に立ち向う事が出来なくなりますよ?】
うぎゅ…
兎に角お菓子のお家なんな!
レシピなら今まで読んだ雑誌に沢山載ってたのん
記事をマザーで撮ってあるから他の人とも共有出来るぞ
レシピはあってもアポヘル(略した)には素材が無かったから作れるなんて感動なん
ししょーのパフェよりも大きいパフェタワー作っちゃお
いくら悪い子でもUCを使う程らぶは大人気なくないなん
あ!
もぉー!
あんまりイタズラするとUCでこわーいモヒカンのお菓子を作っちゃうなん!
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「マザー、お菓子の国だ! らぶここに永住する」
そう力強く宣言するのは、お菓子の国が良く似合うピンクカラーに身を包んだ少女――ラブリー・ラビットクロー(とオフライン非通信端末【ビッグマザー】・f26591)だ。
廃墟となりつつも地面に広がるお菓子の山に目を輝かせ、此処こそが我がユートピアとばかりに永住を希望する。
「移住許可は確認できません」
しかしラブリーがマザーと呼ぶ相棒――オフライン非通信端末【ビッグマザー】は抑揚の無い機械音声でそう回答する。
「そんなの知らねーのん。らぶはお菓子が大好きなん……だからお菓子の国がピッタリなん」
しかしそんなマザーの意見など聞いていないとばかりに、ラブリーは己が決意を表明する。
あんな荒地とゾンビとモヒカンだらけの世界に比べ、このお菓子に包まれた世界のなんと素晴らしいことか。
お菓子好きな自分にとって、この世界ほど適した世界は無いのだと、そう力説するのだ。
「好きな事ばかりに逃げていると困難に立ち向う事が出来なくなりますよ?」
「うぎゅ……」
しかしそんな彼女を説得するのは、ラブリーの思考など十分に熟知したビックマザー。
どういった言い方をすれば根が真面目なラブリーが納得するのか……それを良く理解しているビックマザーのたった一言でぐうの音も出ない状態へと追い込まれたラブリーは、とぼとぼとお菓子の国へと足を踏み入れるのであった。
「兎に角お菓子のお家なんな! レシピなら今まで読んだ雑誌に沢山載ってたのん。記事をマザーで撮ってあるから他の人とも共有出来るぞ」
気を取り直し、お菓子の家を再建すべく取り組むラブリー。
非通信端末とは言え、ビックマザーの中には大量のデータが眠っている――その中にはもちろん、アポカリプスヘルの日焼けした雑誌記事に乗っていた様々なお菓子のレシピが撮影されたものもあるのだ。
「レシピはあってもアポヘルには素材が無かったから作れるなんて感動なん……ししょーのパフェよりも大きいパフェタワー作っちゃお」
ラブリーが思い出すのは己が師匠と慕う青年と物資に乏しい出身世界の姿。
冷蔵庫が無いことは同じでありながらも、不思議なことにこちらの世界の方が物資は豊富――なれば大切な想い出であるあの日のパフェを超えたパフェタワーを建築して見せると、UCを活用しながら全力でお菓子作りへと取り組むのだ。
「あ! もぉー! あんまりイタズラするとUCでこわーいモヒカンのお菓子を作っちゃうなん!」
度々現れる悪戯大好きな子供たちを追い払うことも忘れずに。
大成功
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仁科・恭介
【KH】
「お菓子作りは専門じゃない。ちょっとインスピレーションをくれないか」
と、知り合いに連絡
ハルト君もいるしこんなのはどうだろう
串にさしたヘーゼルナッツをカラメルにつけ引き上げる
冷やせばスパイク状だ
クッキーの支柱をたてスポンジの壁にカラメルでフォンダンショコラを埋めていく
更にブラウニーを張り付けて…と
これで壁を壊されても熱いショコラで撃退できるかな
あとは窓枠と屋根にスパイクのナッツをつければ、
見た目も防御もパンクだね
あれ?屋根はどんな風に作るか決めてたっけ、ハルト君
おやおや、罠にかかった子供がいるね
そんな子には…これでお仕置きだ
と口に杏飴を放り込んでいく
「さてさて、手伝ってくれるかな」
日埜・晴翔
【KH】アドリブ◎
襲われないように、防犯対策はしっかりしなきゃな!/UC
UCで人手を集めて家の周囲に水堀を作る
水路には色とりどりのゼリーを浮かべ、水に強い最中で多い…綿菓子で可愛らしい目隠しフェンスに
綿菓子には食べると口の中でパチパチ弾けるキャンディーが仕込んでいるから、うっかりつまみ食いすると危ねーぞ?
そして、塀を無理によじ登ろうとしたら最中が壊れて水路にドボン
水に反応して電流のようにバチバチっといく寸法だ
屋根?なんか固くて薄い…どこかの祭りで食ったな
水を少なめに練った煎餅生地を小さな球体にして、重しをして鉄板でじっくり焼く
これでトンカチでもなけりゃ割れない煎餅のできあがりだ!
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「襲われないように、防犯対策はしっかりしなきゃな!」
小型戦闘用高機能AI搭載人型ロボを周囲に配置しながら、日埜・晴翔(嘘つき×快楽主義・f19194)はお菓子作りの準備を始める。
今回は女子力に懸念が残る男二人のお菓子作り。
美味しいお菓子を作る為には全力を尽くす必要があり、とてもでは無いが邪魔をするであろう邪悪な子供たちへ注意を割いている余裕など無いのだ。
故に警戒は高性能な小型ロボたちへ完全お任せ。
警戒を任せると共にお菓子の家の建築予定地をぐるりと囲うように、水路掘りの指示を出す。
「お菓子作りは専門じゃない……ちょっとインスピレーションをくれないか?」
そんな晴翔が準備をしている間、仁科・恭介(観察する人・f14065)は知り合いへと連絡を取る。
正直お菓子作りが得意とは言えない恭介……アイデアは多い方が良いとばかりに、このお菓子作りへと参加している様々な猟兵たちへと連絡を取り、意見を貰っていたのだ。
やはり他人の意見は参考になると、満足気に集めた情報をメモした紙を見つめる恭介。
「ハルト君もいるしこんなのはどうだろう……」
二人の技量と上手くいきそうなアイデアの組み合わせを考え、やるべき事を抽出しお菓子の家建築計画立てるのであった。
「オウガから隠れ住むなら防衛能力も無きゃな」
小型人型ロボたちが掘った水路へと、色とりどりのゼリーを流し込む晴翔。
そうした水路を隠すように乗せるのは水に強い最中――綿菓子で目隠しフェンスを作れば、見事な落とし穴の完成だ。
「おっ、美味しそうな綿菓子」
「あ、口の中でパチパチ弾けるキャンディーが仕込んでいるから、うっかりつまみ食いすると危ねーぞ?」
思わず綿菓子を口に含んだ恭介がその刺激に目を瞑る様子に笑い声あげながら、晴翔は防衛機能を完成させていく。
「さぁて、串にさしたヘーゼルナッツをカラメルにつけてと……」
お菓子の家の周囲を晴翔に任せ、恭介はお菓子の家本体に取り組んでいく。
クッキーの支柱にスポンジの壁をフォンダショコラで塗り固めれば、要所要所に先ほど作成したカラメルスパイクを固定していく。
「いやぁ、見た目も防御もパンクだね」
そんな恭介の言葉の通り、防御力重視なそのお菓子の家は、トゲトゲ溢れる何ともロックでパンクな出来栄え。
これもこれで味があると満足していると、ふと足りていない部分が目に入る。
「あれ? 屋根はどんな風に作るか決めてたっけ、ハルト君」
お菓子の家の中に入った恭介の視線の先には、青空を映し出す天井部分の姿。
お菓子作りで汚れる為と、どこかに置いておいたメモ紙の計画図には天井ははたしてどう書いてあっただろうかと……どうにも思い出せず共に挑む晴翔へと声をかけるのだ。
「屋根? なんか固くて薄い……どこかの祭りで食ったな、アレだよアレ」
何とか思い出し二人が共同で作り上げたのは、硬くて丈夫で美味しい煎餅の屋根。
これならば例えトンカチでも破壊できないだろうと、晴翔はその出来栄えに満足気な面持ちだ。
「おやおや、罠にかかった子供がいるね」
おそらく綿菓子フェンスと最中落とし穴にはまったのであろう。
何かに落ちた水音と、子供の悲鳴が耳に入る。
邪悪な子供たちを改心させねばと二人はその音源へと向かうのであった。
願わくば、正気に戻った子供たちがこの家を気に入ってくれますようにと。
美味しいと喜びながら、暮らしてくれますようにと――そう願いながら。
大成功
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