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ヌン!フッ!!ハッ!!!!ドリャア!!!!

#キマイラフューチャー

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#キマイラフューチャー


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「おいおい、その程度かよ。情けねぇぜ」
「はぁ…はぁ…」
 その動画には二人の人物が映っていた。
 一人はだれがどう見てもやせっぽっちだと思える、骨と皮しか無いようなキマイラ。
 もう一人は逞しいの一言が似合う、筋骨隆々の屈強な怪人。
 怪人は片手で軽々と本来両手で持ち上げる筈のバーベルを上下させながら(※危ないので真似しないで下さい)、膝をつき息を荒げるキマイラを見下ろしていた。
「生温い環境で育ってるから、そんな弱っちい体になっちまうのさ。だからこんな簡単な事も出来ねぇ」
 怪人はバーベルを放り投げ(※危ないので絶対にしないで下さい!)、画面へ向けて指を突きつける。
「動画を見ているお前らに告ぐ!我こそはという猛者がいるのなら、俺と勝負しな!いい加減雑魚をいたぶるのも飽きてきてんだ。今度の生放送で、キッチリ決着を付けようぜ!ま、どんな奴が来ようとも、一捻りに潰してやるがな!」

「はぁ…はぁ…敗北者…?」
「言ってねぇから黙ってろ」


「…以上が、現在キマイラフューチャーの動画サイトで公開されている動画の内容です。あ、挨拶出来てないじゃないですか!ハメられました!Hello、ハロー!ガラテアですよー!」
 騒がしい声でガラテア・オートマトン(アスタリスク・f12062)は挨拶をする。
「今見て貰った通り、動画で強そうな怪人が弱そうなキマイラ住民をスポーツや競技で勝負を挑んでは負けた相手をメチャクチャに虐めているのです。このままではキマイラ住民達に悪い影響を与えてしまい、危険なのです」
 ですが!ガラテアは言葉を続ける。
「今の今まで居場所を掴めなかった怪人の所在が今回の動画で分かりました。これは非常にチャンスです!皆さんにはこの怪人が行う生放送の現場へと向かい、そこで勝負を行って貰います。猟兵の皆さんであれば、きっと怪人にも負けることはありません!え、勝負をする必要性?そのまま戦って倒せばいいじゃない?何言ってるんですか生放送ですよ。そんなのキマイラ住民の皆さんに見せられる訳ないじゃないですか。だって、つまらないもの!」
 言い切るガラテア。呆れる猟兵達。暫しの沈黙が流れる。
「…コホン。怪人に競技を挑む姿は、今までに怪人に負けてきた人達が再起する希望ともなります。猟兵の皆さんには、その役割もあるのです」
 そしてその手段は、何も相手に勝利するだけではない、とガラテアは言う。
 例え敗北したとしても、背筋を伸ばし堂々とした姿を見せる事が出来れば、それも住民達の希望となれる。
「あ、勝ったとしても、相手を貶める事はしないように!それは怪人がやってる事と同じですからね!」
 注意深く、釘を刺す。

「以上が今回の冒険の説明となります。かっこいい姿を見せられるよう、張り切って頑張って下さい!」


赤黒い
 赤黒いです。今回はキマイラフューチャーでの冒険となります。

 第一章の冒険では怪人とのスポーツ或いは競技による勝負を行って貰います。勝負を行うのはボスのアルパカマッスルになります。方法は何でも構いません。勝負であればマッスルは何でも受け付けます。本当に何でも。

 よろしくお願いします。
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第1章 冒険 『フンッ!ハァッ!フンハッハッァ!』

POW   :    重量挙げなどパワー系で競う

SPD   :    100m走などスピード系で競う

WIZ   :    eスポーツもスポーツだ、知恵や戦略を競う

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●生放送当日
「ハッハー!ご機嫌よう、画面の前のお前達。いつもは動画を上げているが、今回は初の生放送だぁ!」
 生放送の画面には、筋骨隆々の屈強な肉体に可愛らしいアルパカの頭を持つ怪人。アルパカマッチョが映し出されていた。
「宣言通り、今この場でやって来た挑戦者と勝負をし、オレの強さを改めて証明してやろうじゃないか!勝負の方法は挑戦者共に任せてやる。そのくらいのハンデはくれてやるって事だ。ま、どんな勝負であろうとも、俺が負けるはずがねぇがな!」
 ポージングにて力強さをアピールしながら、アルパカマッチョはそう言い放つ。

「さぁ!記念すべき、最初の挑戦者はコイツだ!」
レイチェル・ケイトリン
パワー系で競うね。
まあ、わたしのパワーって念動力技能でつかうサイコキネシスなんだけど。

種目は重量挙げ、階級とかあるみたいだけど、かんがえないでいいよ。
あ、でも、わたしの方が体重かるいからおなじならわたしの勝ちだからね。

にぎったバーベルを吹き飛ばし技能もつかって上にふっとばして
するっと下にはいってささえるの。

「わたし、10才のおんなのこだけど、きにしなくていいんだよ」

「わたしがつよくなれたやりかた、
とくべつにおしえてあげるから泣かないで」
「よくたべてよくねる!
そう、おかあさんにおしえてもらったんだよ」

「すききらいしないでよくかんでたべてはやねはやおき!」
「わたし毎日してるから、すっごいでしょ!」




「わたしだよ」
 ふわり、と柔らかに舞台へと上がってくるのは、レイチェル・ケイトリン(心の力・f09500)。彼女が怪人、アルパカマッチョの前へと立つ。
「(ふん、これは楽勝だな)それで、お前は一体何の勝負で俺に挑むっていうんだ?」
「ちからくらべをしましょう。ジューリョーアゲでしょうぶするわ」
 生放送画面のコメントに動揺が走る。真っ白な肌にか細い腕、触れてしまえば壊れてしまうそうなガラス細工の様に美しい少女が、あのマッチョと重量挙げで勝負するだなんて。
 動揺は放送を見ているキマイラ住民だけでない。眼の前のアルパカマッチョもまた、困惑していた。
「何…ッ?本当に良いんだな、種目の変更は受け付けないぞ!」
「ええ、ホントにいいわ。わたし、10才のおんなのこだけど、きにしなくていいんだよ」
「ぐぐ…!良いだろう!そこまで言うのなら俺も受けて立つ!」

 暫くして、二人の眼の前に巨大なバーベルが用意される。
「重量500キロ!コレが今回用意した最大重量だ!俺から行くぞぉ!」
 そう言ってアルパカマッチョはバーベルを掴み、雄叫び上げて高々にバーベルを掲げ上げた。
 その様子を、レイチェルはただ首を傾げて眺めていた。
「ぬぅん…!どうだッ…次は…お前の番、だ…」
 バーベルを下ろし、息も絶え絶えなアルパカマッチョが促す。
 どうせ最初から持てはしない。俺が持ち上げた時点で勝ちは決まった!マッチョはそう考えていた。
 だが、実際に起こった事は、マッチョの、視聴者の、想像を超えた出来事であった。
 なんとはなしと言った表情でレイチェルが自分の細腕でバーベルを掴んだ、瞬間。
 バーベルが宙に浮くように跳ね上がり、そのまま重力にしたがって落ちていき、真下にいるレイチェルに片腕のみで受け止められる。
 誰もが目を疑った。マッチョも疑った。
 タネはレイチェルのUC【サイコキネシス】でバーベルを浮かしているだけだが、彼女自身の器用という域を超えた念動力操作によって、あたかも本当に怪力を発揮している様に見せかけているのだ。
 レイチェルは涼しい顔で、マッチョへと語りかける。
「もちあげたわ、わたし。まだまだつづけられるけど、どうする?」
 まだやれる。それ以上を持ち上げられる。彼女から発せられた言葉は、マッチョの心へとダメージを与える。
「お…俺の、負けだ…」
 マッチョは素直に敗北を認める。その様子に、彼女はにこりと笑い、バーベルを下ろした。
「そんなにおちこまないで。わたしがつよくなれたやりかた、とくべつにおしえてあげるから」
 そう言うとレイチェルは、カメラへと目線を向ける。
「よくたべてよくねる!そう、おかあさんにおしえてもらったんだよ。すききらいもしないで、よくかんでたべてはやねはやおき!」
 ごく当たり前な事を根気よく続ける事が、強くなる秘訣なのだと、少女は自慢げに主張する。
「わたし毎日してるから、すっごいでしょ!」
 そう胸を張る姿は、視聴者を心を掴み、称賛のコメントで溢れかえさせる。

「おのれぇ…次だ!次の挑戦者を呼べぇ!」
 まだ初戦も初戦。放送は始まったばかりだ。この後の展開で巻き返せばいいだけの事。
 アルパカマッチョは挫けずに、新たなる挑戦者を呼んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フォー・トラン
【SPD】
二頭がテレビウム(上腕二頭筋の盛り上がり具合がテレビウムほどもあるという意味の褒め言葉)のてめぇ!
野球で勝負だ!
てめぇの投げたボールをアタシがエレメンタルロッドで引っ叩いて、かっ飛ばせばアタシの勝ち、それ以外はてめぇの勝ちだ!

というわけで作戦会議っす。
【野生の勘】で球種を読んで、インパクトの瞬間に自分の持つ全魔力をロッドに乗せて爆発させる(【全力魔法】)エレメンタル打法で狙うのは、もちろんホームランっす。
勝負の後はガラテアさんも言っているように、その結果に関係なく爽やかな握手(【手をつなぐ】【優しさ】)で健闘を讃えてグッバイしたいっす。
29歳のいい大人っすからね。




「次はアタシっす!」
 声と共に現れるは、赤褐色の肌に獣の耳を生やす長身女性。フォー・トラン(人狼の精霊術士・f12608)が、己の持つエレメンタルロッドをブンブンと振り回しながら舞台へと上がってくる。
「二頭がテレビウム(※上腕二頭筋の盛り上がり具合がテレビウム程もあるという意味の褒め言葉)のてめぇ!野球で勝負するっす!」
「そんな例え初めて聞いた。だがそれはそれとして、その勝負、受けて立とう!」

 舞台は球場へと移り、バッターボックスにはフォーが、マウンドにはマッチョがそれぞれに立つ。
「勝負は簡単。てめぇが投げたボールをアタシがかっ飛ばして、ホームランが出ればアタシの勝ち、それ以外は全部てめぇの勝ちだ!」
「随分と俺有利な条件じゃねぇか…そうとうな自信があるみたいだな、お前」
「無ければ挑んでいないっすから。さぁ!いつでも来るっすよ!」
 自慢のエレメンタルロッドを球場外野へと向け、改めて構え直し、強く握りしめる。絶対にホームランを放つ、その闘志に溢れていた。
 マッチョもまた、ボールを強く握りしめ、闘志を高めていく。
 ―――プレイボール。審判員(マッチョ配下の集団怪人)が、勝負の始まりを告げる。
 大きく振りかぶり、極太いマッチョの豪腕より速球が投げられる。
 ど真ん中ストレート。それはマッチョの信念の現れ。正面から捩じ伏せるという絶対の意思。
 フォーもまた、自らの獣としての野生の勘により、ストレート一本に狙いを定め、完璧なタイミングでロッドを振っていた。
 ボールとロッドが当たる、瞬間。フォーは更に仕掛けをしていた。わざわざエレメンタルロッドをバットとして利用していた理由である。
 ロッドから放たれる魔力の爆発。名付けて『エレメント打法』。全力魔法を乗せた衝撃はボールを場外まで運ぶ、はずであった。
 だが、爆発直前。インパクトのその時、ロッドから伝わる情報が、フォーの計算を狂わせる。
 (お、重いッ!)
 純粋な力の差。轟音と共に打ち上げられたボールは、高くは上がるが飛距離が伸びない。それはそのまま、外野内にポテン、と落ちてしまう。
「か~っ!負けちまったっすー!」
 悔しさから思わず叫ぶフォー。だが、彼女よりもショックを受けていた人物がいた。
 マッチョである。
 絶対の自信を持って投げ放たった渾身の一球。彼女のロッドごとへし折り、そもそも打たせないつもりでいた。
 だが結果はどうだ。勝ちこそすれど、己の一球は外野にまで運ばれた。マッチョの心を暗い靄が覆っていく。
「負けちまったっすが、とても良い勝負だったっす!ありがとうっすよ!」
 そんなマッチョにフォーの感謝の声と、右手が差し出される。
「…ああ」
 放心しかけていたマッチョはその声に答え、互いに握手を交わす。
 フォーの笑顔が、今のマッチョには眩しすぎて直視できないでいた。

 場所は戻って、再び生放送舞台へ。
「…ええい、悩んでいてどうする、俺!次の挑戦者だ!出てこい!」

成功 🔵​🔵​🔴​

ルパート・ブラックスミス
【POW】

思えば、民衆の前で剣技以外の競技など初めてだ。
無意識に鎧の中の炎が滾ってしまう。柄にもなく熱くなっているのがわかる。
【本人は気づいてないが物理的に鎧が凄まじく熱くなっている】

勝負内容は「アームレスリング」だ。我が【怪力】を見せてくれる。

この姿?そう、この黒金の鎧こそ自分の身体だ。文字通り鋼の筋肉というわけだ

熱気が凄い?ああ、ウォーミングアップは済ませてきた

白熱している?そうだな、自分の精神は既に臨戦態勢だ

自分に触れると火傷する?急にどうした、悪いがおだてには慣れていない

さぁ、今更逃げるつもりもあるまい。いざ尋常に勝負だ

【勝敗に関わらず終了後】
……見事な筋肉だ、感服した(握手を求める)




「自分だ」
 くぐもった声が聞こえ、カメラがそちらへと向く。
 鉄の兜、鉄の甲冑、キマイラフューチャーでは見かけることもない、古風な騎士が其処に立っていた。
 ルパート・ブラックスミス(独り歩きする黒騎士の鎧・f10937)がガチャリ、ガチャリと音を立てながら、マッチョの前まで歩み寄る。
「ほう…次はお前か。勝負内容は!」
「勝負はアームレスリングを希望する」
「良いだろう!では準備だ!」

 思えば、民衆を前に剣技以外を見せるのは初めてだ。ルパートは一人、そう考えていた。
 騎士としてオブリビオンを倒す旅を続けてはいたが、この様な催しに参加する事にもなろうとは。真、生とは不思議である。
 民に希望をもたらす騎士として、不甲斐ない姿は見せられないな。
 ルパートの体より、彼自身も気づかない内に、青い炎が吹き出してきていた。

「さぁ準備は整った!純粋な力比べ、先の少女のような醜態は見せないとここに誓おうじゃないか!」
「そうか。では早速始めよう」
 自身の内より炎を燃え上がらせ、白く熱した鎧と化したルパートが、そう言い放つ。
「…随分熱くなってるなお前」
「ああ、ウォーミングアップは済ませてある」
「…いや、そうじゃなく」
「民衆達も白熱してきたようだ。見ると良い。アレ程の言葉が流れていく様は見たことがない」
「…そうだな、白熱しているな。触れたら火傷しそうな程に」
「急にどうした。それこそソチラの本懐ではないか」
「いやそうじゃなく」
「それとも、今更怖気づいたか?」
 ピッキーン。マッチョは挑発に弱かった。
「そんな訳が無いだろうが!上等だやってやろうじゃねぇか!」
「それでよい。いざ、尋常に勝負」
 燃え上がりながらも冷静なルパートと、頭に血が上り燃え上がっているマッチョ。
 二人の腕が、互いの腕を繋ぎ合う―――

 ―――結果はルパートの圧勝であった。言うまでもない。
 火傷をおった右手を急遽用意された氷水で冷やしながら、マッチョは悶ていた。そこへルパートが歩み寄る。
「…握った瞬間に解る程の、見事な筋肉であった。感服いたした」
 握手を求め、手を伸ばすが。
「お前わざとやってねぇか?!」
「?」
 あくまでもルパートは自身の異変に気づかずに、首を傾げている。

「はぁ…はぁ…くそ!次だ!俺はまだやれるぞ!」
 火傷も早期の処置で軽く済み、マッチョは次の挑戦者を迎え入れる。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月山・カムイ
怪人もそろそろ、勝負事に対して勝っても負けても互いを称え合う
そんなスポーツマンシップというものに気付いてくれていたりはしませんかね?

手の火傷も少々気になりますので、私からはサドンデス高跳び勝負を提案
己の肉体のみ(ただしユーベルコードは使う)で徐々に高さの上がっていく高跳びに挑む、という趣旨のものです
無空跳躍を使えば10m級程度なんとかなると思いますが……相手はどれくらい跳躍出来るのでしょうね
ギリギリまで互いに挑みたいと思います

・終了後
いやはや、感服いたしました
筋肉の重さで余り飛べないかと思って挑みましたが……その筋肉とそれを支える貴方の土台は私の予想以上でしたよ

そう言って握手を求め健闘を称える




「次は私が相手です」
 長身の青年、月山・カムイ(絶影・f01363)が舞台に現れる。
 怪人もそろそろ、勝負事に対して勝っても負けても互いを称え合う、そんなスポーツマンシップというものに気付いてくれていたりはしませんかね?などと考えてはいるが、
「今度こそ俺が勝つ!さぁお前は何で勝負する!」
 これはまだまだ気づきそうにも無いなと、月山は首を振り、
「では高跳びを提案します。どちらがより高く跳べるか、勝負です」

 場所はまた代わり、競技場へと移る。
「ルールは単純。徐々に高さを上げながら交互に跳び続け、失敗した方の負け、というものです」
「ふん!俺のこの筋肉を見て高跳びを選んだつもりだろうが、俺はこう見えて身軽、甘く見ないことだな!」
「そうですか。それでは始めましょうか」
 軽く流すように温和な笑顔を月山はマッチョへと向ける。最後の火蓋が切られた。

 マッチョの言葉に偽りは無かった。鈍重かと思われていた筋肉の塊は靭やかに跳び上がり、軽々とバーを越えていく。
 だが月山には【無空跳躍(スカイ・ダイヴ)】、空中を再度蹴り上げ、跳躍するUCが存在していた。
 マッチョが一度の跳躍でどれだけ高く跳ぼうと、空中で20回も再度跳べる月山に敵う筈もなく、
 マッチョの体がバーに触れ、落とす。その時が来た。
 月山の勝利であった。

「馬鹿な…こんな…こんな事が…」
 膝を付き、落胆するマッチョ。月山はそんな彼に近づき、
「いやはや、感服しました」
 そう言葉を掛け、右手を差し出す。
「筋肉の重さで余り飛べないかと思って挑みましたが……その筋肉とそれを支える貴方の土台は私の予想以上でしたよ」
 相手の健闘を称え、握手を求める。だが、

「もう…もう納得できるかぁ―!」
 差し出されていた右手を払い飛ばす。マッチョの心に積み重なった敗北感は、彼を限界にまで追い込んでいた。


「全ッ然、気持ちよくならねぇ…こうなったら、もう勝負なんざどうでもいい!」
 その言葉と同時に、今まで舞台の準備を行っていた怪人達が集まってくる。
「お前達をぶん殴って、俺の本当の強さを証明してやる…!まずは手下ども!コイツラを弱らせろ!」

「…やれやれ、本当にどうしようもない相手ですね」
 月山は表情を変え、臨戦態勢に。ここからは怪人達との戦闘だ!

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『大頭頭ズ』

POW   :    x形拳
【様々な生物や機械、自然現象等を模した拳法】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    i極拳
【健康体操のようにも見える連続した攻撃動作】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ   :    n卦掌
完全な脱力状態でユーベルコードを受けると、それを無効化して【大地の中を走る気の流れの噴出点(龍穴)】から排出する。失敗すると被害は2倍。
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

月山・カムイ
まったくもって、往生際が悪いというか……勝つためだけに戦いを挑んでくる輩というのは救いようがありませんね
そして、負けたら逆ギレですか?
本当に、ちょっと本気でぶっ飛ばして上げますので、そこで待ってなさい

大頭頭ズの頭部分を真っ二つにしていく
x形拳には真っ向から攻撃を見切ってカウンターで
i極拳にはその性質上距離を置いて終了するタイミングを待つ
n卦拳にはまぁ、この一撃をいなせるものならやってみろ、の気概で挑みます

勝負に負けたら途端にどうでもいい、等と言い出すボスを持って大変ですね、貴方達も
ですが、挑んで来たのですから全力で来なさい、正々堂々相手になりましょう




 大頭頭ズがゆらり、怪しい足運びで迫ってくる。
「まったくもって、往生際が悪いというか……勝つためだけに戦いを挑んでくる輩というのは救いようがありませんね」
 月山・カムイはそんな様子にも意を介さず、己の武器、小太刀『絶影』を手にする。
「そして、負けたら逆ギレですか?本当に、ちょっと本気でぶっ飛ばして上げますので、そこで待ってなさい」
 怒気を放ちながら、月山もまた大頭頭ズへと向かっていく。
 大頭頭ズも迎撃しようと、拳を、蹴りを、月山へと放つが、
 【剣刃一閃】。小太刀『絶影』による斬撃により、攻撃を行った二人が左右に両断され、地に落ち消滅する。
 その様に、大頭頭ズは動揺する。自分達の拳法が掠る事もなく斬り伏せられた事実に怯えている。
「勝負に負けたら途端にどうでもいい等と言い出すボスを持って大変ですね、貴方達も…ですが、挑んで来たのですから全力で来なさい。正々堂々相手になりましょう」
 『絶影』についた血を振り払い、月山は再び敵を斬りつける為に走り出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルパート・ブラックスミス
そこで新たな境地を開けず暴走するのがオブリビオンの性、か。

……ところで、このまま生放送は戦いの光景を映すのか?
だとすればあまり凄惨な戦い方はしない方がいいのか?
燃える鉛で周囲を火の海にして火炙りとか敵を火達磨にするとか、自分の基本戦法なのだが。

UC【燃ゆる貴き血鉛】起動し燃える鉛を纏った大剣で【なぎ払い】。
振る度に燃える鉛を周囲に撒き炎上、短剣の【投擲】も合わせて敵を牽制。
一度に大多数が攻められないようにしながら戦う。

この敵、拳法の使い手だそうだな。
様々な生物や機械、自然現象等を模した拳法? 興味深い……

が、何を模して構えようが結局はまとめて燃やしてなぎ払うだけだ。
自分はそれしか出来ん。許せ。


フォー・トラン
良い子のみんな、猟兵が悪い怪人に負けないように応援お願いっす!
(耳に手を当てて頷く)
ありがとう! 頑張るっす!

◆方針
モニター前のキッズを意識して、技の名前を叫んだりチームワークを大切にする、ヒーローとして振る舞うっす。

サイバーパンク都市在住の電気の精霊さんを「精霊召喚魔法!(叫ぶ)」で呼び出して、攻撃に合わせてバチッとエフェクトを入れて貰うっす。
あとは「エレメンタルロッド!(叫ぶ)」で戦闘員を殴りながら、アタシよりパワフルな猟兵さんの近くまで【おびき寄せ】て、「今っす!」とカウンター攻撃を狙うっす。
そうそう、その猟兵さんには忘れずにお礼を。
「サンキューっす!」




「そこで新たな境地を開けず暴走するのがオブリビオンの性、か」
 己の中の熱をより高めながら、ルパート・ブラックスミスはそう呟く。猟兵とオブリビオン、所詮は互いに解りあえぬ関係でしか無かった、と。
「……ところで、このまま生放送は戦いの光景を映すのか?私の戦い方は、あまり大衆へ見せられる様な戦い方では無いが」
「そこら辺は仕方がないっすよ。キマイラフューチャーの住民にとって、アタシ達猟兵はヒーローっすから、そういう訳で…」
 答えるのはフォー・トラン。彼女はカメラへ向かって大きく叫ぶ。
「良い子のみんな、猟兵が悪い怪人に負けないように応援お願いっす!」
 耳に手を当て、聞こえているかのようにフンフンと頷き、
「応援ありがとう! 頑張るっす!」
 少年少女達への好感を意識した動きで、彼女はカメラへとアピールし、大頭頭ズへと向かっていった。
「…ヒーロー、英雄、か。この身には些か過ぎた称号だが…求められるのならば、演じなければな」
 くつくつ、と兜の奥で小さく笑いながら、ルパートもまた、青い炎を滾らせる。

「さぁ行くっすよ!精霊召喚魔法!」
 フォーは大声で技を叫びながら、【精霊召喚魔法】により電気の精霊を呼び出す。
 大頭頭ズも、健康体操に似た動きで精霊へと攻撃を行おうとするが、
 触れた瞬間にバチバチと電撃が迸る。電気の身体を持つ精霊とは直接攻撃しか手段のない大頭頭ズには相性が悪かった。
 では、フォー本体を狙えば。そう思って迫ってゆくが、
「今っす!」
 合図と共にフォーが下がると、後方より青い炎を纏わせた大剣を振りかぶる、ルパートの姿が。
 薙ぎ払う大剣は大頭頭ズを切り伏せるだけでなく、周囲へと溶けた鉛を撒き散らす。
 溶けた鉛より青い炎が吹き出し、更に続け様にルパートより放たれる短剣の投擲により、大頭頭ズは二人の周辺へ近づくことも出来ない。
「サンキューっす!ナイスっすよルパートさん!」
「何、自分はこれしか出来ん。続けるぞ」
 青い炎に電撃飛び交う戦場が、二人の周辺に出来上がっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

レイチェル・ケイトリン
わたし、競技とかほとんどしてないの。

競技できるひと、うらやましいよ。
ふつうにやれるならそれでふつうにたのしめばいいのに。
そう、おもうの。


念動力と吹き飛ばし技能で敵をふっとばすね。
サイコキネシスでの攻撃はつかったりつかわなかったりで。

念動力だけの吹き飛ばしはユーベルコードじゃない。
だから敵は無効化できないの。
脱力してたらおもいっきりふっとばせるんだよ。

念動力だけの吹き飛ばしに身構えてたら脱力に失敗しちゃう。
そこにサイコキネシスの吹き飛ばし攻撃あてたら二倍だよね。

敵は攻撃してたら脱力できないから
サイコキネシスでふっとばしてふせぐね。

ほかの猟兵さんへの攻撃もかばう技能もつかってふっとばしてふせぐよ。




 大頭頭ズが、無造作に吹き飛んでいく。壁に叩きつけられ、地面へと押し付けられ、かと思えば宙に浮き、空へ飛び上がり、重力に従い落ちてゆく。
 レイチェル・ケイトリンは【サイコキネシス】で蹂躙しながら、一人孤独に考えていた。

 先の勝負でもそうだった。自分はこの念動力に頼り切っていて、まともに勝負など出来ていなかった。
 否、最初から、自分の身体ではそもそも競技で勝負など適していないと解ってもいた。
 だからこそ、真っ当に競技を行えている他の人達が羨ましく思えた。
 それは他の猟兵だけでなく、オブリビオンであるアルパカマッチョにも、同じ様に感じていた。
 だが、マッチョの在り方だけは違うと、レイチェルは感じ取る。

「ふつうにやれるなら、それでふつうにたのしめばいいのに」
 勝ちに拘り過ぎているマッチョの姿に、レイチェルは純粋無垢な感情のままに呟く。

 気づけば、大頭頭ズの姿はいなくなっていた。他の猟兵達の活躍もあり、全ての集団を倒すことに成功した。
「いよいよ、あなただけだね」
 レイチェルの視線は、舞台上のアルパカマッチョに向けられていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『怪人アルパカマッスル』

POW   :    ポージング
自身の【肉体美の誇示】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD   :    鋼の筋肉
全身を【力ませて筋肉を鋼の如き硬度】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
WIZ   :    つぶらな瞳
【つぶらな瞳で見つめること】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【瞳から放たれるビーム】で攻撃する。
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はニィ・ハンブルビーです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



「全ての部下達を倒したか…なかなかにやるじゃねぇかお前達」
 舞台上より、ゆっくりと降りてくるアルパカマッチョ。
「だが部下達が時間を稼いだお陰で、お前らとの勝負での疲労も取れた…感謝、しなくちゃあな…」

「さぁ!最後の勝負、始めようじゃねぇか!」
 屈強な身体をポージングにて魅せつけて、アルパカマッチョが襲いかかる!
ルパート・ブラックスミス
本来なら燃える鉛で火炙りにして消耗させながら斬りかかるのだが……
(カメラの方をチラリと見て)……いいだろう、今回は小粋に決めるとしよう。

燃える鉛で形成した翼を展開、【空中戦】だ。
UC【燃ゆる貴き血鉛】を怪人の周囲にばら撒き炎上。大頭頭ズの時同様、短剣の【投擲】も合わせて牽制し怪人の動きを封じる。

「行くぞ、怪人アルパカマッスル。……真っ向勝負だ!」

燃える鉛を纏わせ刀身を巨大な銛型に変形させた大剣を大上段に構え、錐揉み回転。
そのまま反転し怪人へ向かって高高度からの急降下突撃、炎の大剣にて【串刺し】にする!
さぁ、その肉体で受け止めれるか!?

【いつも通り共闘・アドリブ歓迎】




 本来なら燃える鉛で火炙りにして消耗させながら斬りかかるのだが。ルパートはそう考えていた。
 合理を突き詰め確実に屠るのが自分の戦い方、ではあるのだが。
 目線を向けるのは、大頭頭ズ無き今も自分達を映し続けるカメラ。
「……いいだろう、今回は小粋に決めるとしよう」
 そう一人呟き、大剣を担いでアルパカマッチョへと向かっていく。

「まずはお前か、鉄兜ぉ!」
 マッチョの叫びに意を介さず、牽制として短剣を投擲するルパート。
 マッチョもまた、自慢の豪腕を振るい軽々と短剣を叩き落とす。
 そんな僅かな一瞬。マッチョは気付く。眼の前に走ってきていた筈のルパートの姿が見えない。
「此方だ」
 声がかかるのは上。すかさず見上げれば其処には、甲冑より青い炎の翼を広げるルパートがいる。
 己の溶けた鉛で出来た翼。『飛行』するにはあまりにも重く、しかし噴出する炎により『浮く』程度は可能にしていた。
「行くぞ、怪人アルパカマッスル。……真っ向勝負だ!」
 その言葉にアルパカマッチョがピクリ、と反応する。
 ルパートは更に溶けた鉛を大剣に纏わせ、その形状を鋭い銛のように変化させる。
 翼の炎が大きく噴出し、錐揉み回転しながらアルパカマッチョ目掛けて上空よりルパートは突撃する!

 鈍い斬撃音。鉛により血液が蒸発する音。鋭き銛の如き大剣は確かに命中した。だが、
 (浅い…!)
 ポージングにより大きく隆起した筋肉が、大剣の一撃を押し止める。
「まずはぁ…俺の勝ちだぁ!」
 お返しとばかりに、アルパカマッチョは大剣を引き抜き、宙に浮いたルパートへ蹴りを叩き込む。
 鉄甲冑などお構いなしに、吹き飛ぶルパート。

 しかし致命傷とならずとも、ダメージは確実に与えた。焼けた傷より立ち上る血の湯気こそがその証。
 ルパートも立ち上がり、再び剣を構え直した。

成功 🔵​🔵​🔴​

月山・カムイ
そうか、疲労も回復したか……なら、覚悟は出来ているな?
行くぞ、残念マッチョ

等と失礼な呼び名を勝手に付けて、ブラッド・ガイストを発動
絶影を殺戮捕食態へと変形させる

何が残念かって?
結局見掛け倒しのその筋肉、勝負に負けて拗ねるその子供っぽさだ!
あと、魅せるにしてももうちょっと絞った方がいいと思うぞ

特に上半身、腕の辺りのアンバランスさを指摘しながら切り結ぶ
切り結ぶというより斬り喰らう
鋼の筋肉を見せてきたら、蹴り倒す
動けないなら、このアンバランスさだと頭を蹴れば倒すのは容易いだろう

戦いの後、勝っても負けても相手を称える事
これが出来ないのなら、貴方に戦う資格はない

とまぁ地味に握手拒まれた事を根に持ってる


レイチェル・ケイトリン
敵はわたしをみたらパワーを警戒するよね。

だからスピードでかきまわすよ。

念動力と吹き飛ばしとフェイントの技能で
スカイステッパーをつかって
敵をけっとばしてふっとばすね。

スカイステッパーのジャンプは高くとぶだけじゃないの。

低いところで一気に向きをかえるためにもつかえるから。

視線をわたしにむけつづけさせたりしない。

敵の大きな体はわたしにとっては死角がおおいんだよね。

もちろん、いっしょにたたかってくれる猟兵さんが
攻撃されたときもけっとばしてふっとばしてふせぐよ。
かばう技能もつかえるから。

念動力は心の力。幅広い応用性がそのつよさ。

まえに力のつかいかたのひとつをみせたことも、
つぎの攻撃の準備になるんだよ。




「そうか、疲労も回復したか……なら、覚悟は出来ているな?残念マッチョ」
 月山が、己の小太刀『絶影』を【ブラッド・ガイスト】により殺戮捕食態へと変形させ、そう言い放つ。
「誰が残念マッチョだぁ!」
 アルパカマッチョも相変わらず反応し、月山へと走り出すが、
「いかせないよ」
 その間にレイチェルが入り込む。
 あの小娘はマズイ。今までの戦い方を見ているマッチョは、レイチェルのパワーを最も驚異に感じている。
 急ブレーキを掛け、全身に力を込める。筋肉は比喩ではなく鋼の如き硬度となり、レイチェルの一撃を受け止めようとするが、
「…ひっかかった」
 タン、タン、タン、と。少女は空を駆け上がる。【スカイステッパー】により高く跳び上がり、レイチェルの両足がマッチョの顔に乗る。
「自分も援護しますよ」
 月山もまたマッチョの側面へと回り込んでいた。
 そして二人の全力を込めた蹴りが放たれる。
 レイチェルは念動力と共に正面上空から。
 月山は後方より引っ掛けるように足元を蹴り飛ばす。
「?!」
 完全に虚を突かれたマッチョは、盛大に音を立てて仰向けに倒れた。
 そこへ月山の追撃が入る。
 殺戮捕食態となった『絶影』が、すでに切り開かれた傷口を抉る。血を啜り、肉を貪り、『絶影』が斬り喰らう。マッチョはたまらず、苦痛の声を上げる。
「さっきの、何が残念かって…結局見掛け倒しのその筋肉と、勝負に負けて拗ねるその子供っぽさだ!」
 月山が『絶影』をより深く突き刺しながら、マッチョの稚拙さを指摘する。
「戦いの後、勝っても負けても相手を称える事。これが出来ないのなら、貴方に戦う資格はない…!」
「黙れ…黙れぇ!」
 月山の腕を掴み、投げ飛ばすマッチョ。
「あぶない!」
 すかさずレイチェルの念動力が、月山を捕らえ、その落下を緩やかにする。

 息を荒げながら、再び立ち上がるアルパカマッチョ。深く傷を負いながらも、その闘志は未だ一切の衰えを見せない。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

フォー・トラン
てめぇのために戦ってくれた部下に対して掛ける言葉はないんすか?
何はともあれ最終決戦っす。
アルダワ精霊術士の奥義でお相手するっす。

◆方針
火傷必至のアームレスリングで垣間見せた“挑発耐性の低さ”をまだ克服できていないなら、「アタシの魔法とてめぇの筋肉、どっちが強いか決着つけるっす!」とでも叫べば、必殺技を回避せずに筋肉で受け止めてくれるのでは?
という推測から【合成魔法】で作った電気の竜巻を正面からぶつけてダメージを与えるっす。

勝負に乗ってくれなかったら「敗北者」とぼそっと呟くっす。




「いよいよ、最終決戦っす…!」
 気合改め、覚悟を決め、フォーは己のエレメンタルロッドを強く握りしめる。

「てめぇ!次はアタシが相手っす!」
「あぁん?」
 フォーの呼び声に、アルパカマッチョは苛立ちげに振り向く。
「アタシの魔法とてめぇの筋肉、どっちが強いか決着つけるっす!アルダワ精霊術士の最大奥義でお相手するっす!」
 フォーの考えが正しければ、奴は乗ってくる筈。だからこそ声高々に挑発していく。
「それとも…負けるのが、怖いっすか?」
「……良いだろう…来い…」
 両手を広げ、攻撃を待つマッチョ。まさかここまで通用するとは。
「では…行くっすよ!」
 エレメンタルロッドに力を込める。フォーのユーベルコード、【合成魔法】により引き起こされるは『電気の竜巻』。それを真正面よりブチ当てる!
 マッチョは一切避ける様子もなく、電撃の竜巻を受け止める。
 風により切り刻まれ、雷により焼け焦げる。
 フォーの攻撃が終わった後に残っていたのは、
 それでも尚、立ち続けるマッチョの姿。
「耐えるっすか…!」
「次はコッチの番だぁ!」
 マッチョのつぶらな瞳が光ったかと思うと、次の瞬間にはビームが放たれる。
 ほぼノーモーション。奇襲にも近い攻撃は、油断していたフォーへ直撃する。
「負けるのが怖いかっつたなぁ、お前…その通りだよ…」
 直撃を受けて地に転がりながらも立ち上がろうとするフォーへ、マッチョは言葉を返す。
「負けたくねぇ、晒し者になりたくねぇ。だから勝つ!勝って勝って勝ち続ける!それが俺だ!このアルパカマッチョだ!」
 ―――凡百の、アルパカマッスルじゃねぇんだよ!

 マッチョの叫びが舞台中に轟く。勝負はまだ決していない。

成功 🔵​🔵​🔴​

月山・カムイ
そうか、それでもまだそう吠えるか
ならばこちらもソレに応えよう
なに、お前が負けても晒し者にするつもりはない、だが……代わりにここでお前のその下らない意地は終わりにさせてもらうとしようか!

殺戮捕食態の絶影を一旦鞘へ収めて抜刀術の構え
鞘の中より血に飢えた獣の様な歯軋りがギリギリと枷を外せと訴える
ジリジリと、最後の一撃を叩き込む為に力を貯めつつ少しずつ間合いを測る

……どうせ、ビームでも撃ってくるんでしょう
ならばその一撃を見切り、カウンターで抜刀を叩き込み、決着を付けましょう
肉体美を誇示しようが関係ない、完全にたたっ斬る!

思った以上の歯応えでした、だが敗因は……もう言いますまい




 そうか、それでもまだそう吠えるか。
 ならば、こちらもソレに応えよう。
 月影が、殺戮捕食態となっている『絶影』を一度鞘に収める。
 鞘の中より、血に飢えた獣の様な歯軋りがギリギリと「枷を外せ」と訴える。今ではないと、月山は強い意志で刀を抑えつける。

 異様な気配。明らかな殺気。アルパカマッチョも月山の様子に気付く。
「やる気満々じゃねぇか…良いぜぇ…乗ってやる!」
 ドン!と弾かれたかのように走り出すマッチョ。小細工不要の真っ向勝負。
「なに、お前が負けても晒し者にするつもりはない、だが……代わりにここでお前のその下らない意地は終わりにさせてもらうとしようか!」
 最後の一撃。
 無限と思える程に時間が引き伸ばされた感覚の中、月山は力を貯めつつ少しずつ迫るマッチョとの間合いを測る。

 ―――【剣刃一閃】
 繰り出された強烈な捕食衝動を持つ居合抜きは、マッチョの身体を上下に切り分けた。
「負けた…また、俺が…」
 地面へと落ちていく間、マッチョの口から無念の絶叫が吐き出される。
「まだ…全ッ然、満足できてねぇのにいぃぃ!」
 伸ばす手は月山へ向けて。しかし何も掴めないまま、アルパカマッチョは地面へと溶けるように消滅した。

「……もう何も言いますまい」
 『絶影』を通常態へと戻し、鞘へ収める月山。形にするべき言葉は既に無く、故に静かに戦いは終わった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月30日


挿絵イラスト