迷宮災厄戦⑫〜ぅゎガチョウっょぃ
●狩られるのはどっちだ
『ザ・ゴールデンエッグワールド』。
この世界にはかなり変わったガチョウが存在する。普通とは違い金色の体毛を持つそれは産み落とす卵も黄金なのだ。
この黄金の卵を持つ者はパワーアップという特徴がある。それをオウガが狙わないわけが無かった。
……ここまで書くとオウガがか弱いガチョウを乱獲してると思うだろう。
違うんだよなぁ。
「いたぞ! 捕まえろ!」
緊迫した声が国中に響き渡る。声の主は甲冑に身を包んだオウガ、『トランプの巨人』。
がちゃんがちゃんと鎧を鳴らしながらオウガ達が追いかける先いるのは黄金の影――
『ぐわっぐわっ!』
めっちゃ早いスピードでガチョウが爆走していた。
翼を広げて走るという空気抵抗のハンデもあるのにオウガが追いつけていない事からそのガチョウがどんだけ早いかお分かりいただけるだろう。
もう飛べとか言っちゃいけない。
『ぐわーぐわーっ!』
「な、なんだ後方からも……!」
息を切らしかけていたオウガが振り向くとそこには黄金ガチョウの群れ。仲間を追いかけられてキレたガチョウがオウガに攻撃を仕掛けに来たのだ!
「ふんっ、飛んで火にいる夏の虫とはこのこと……あっ、いたっ!めっちゃいた!」
先方のガチョウを追い駆けるのを止め後方のガチョウの群れを一網打尽にしようとするも、ガチョウたちはすかさず足首や関節の柔らかい所を的確にかつ無慈悲につっついてくる!
「い、一旦退却、たいきゃーく!」
『グワー――――ッ!!!!』
そんなオウガの悲鳴とガチョウたちの鳴き声が国中に響き渡るのであった――。
●
「と言う事で皆には『ザ・ゴールデンエッグワールド』に現れたオウガを倒しに行ってほしいの」
上の話聞いたら俺らいらなくね? と一部の猟兵達は思ったが、ひとまず話を聞くことにした。
「この世界には黄金のガチョウが存在していてね、このガチョウが産む黄金の卵を持つ者はこの国限定だけれどパワーアップできるのよ。オウガは私たち猟兵がこの国に来る前にガチョウを捕まえて卵を大量に所持し、猟兵達を迎撃しようとしていたわ」
結果はまぁ残念だが、今後運よく黄金の卵を入手されればガチョウはおろか猟兵達の手にも追えなくなってしまうだろう。
「だから皆には黄金の卵の入手を妨害しながらオウガを倒してほしいの」
妨害の方法は産み落とされた黄金の卵を横取りは勿論、ガチョウをオウガの手の届かない場所へと誘導、あるいは連行していくというのもありだろう。
「この黄金の卵、どうやっても使って問題はあるけれど、猟兵も卵を所持すればするほどパワーアップできるから上手く使ってちょうだい……ああ、ちなみに黄金の卵をいっぱい持つと自分も黄金に光り始めるそうだから、気にする人は注意してね」
ちょっぴり大事なことを言い残し、マリアベラはグリモアを起動させるのだった。
遭去
遭去です。最近ガチョウになって人間に悪戯するゲーム始めました。
●プレイングボーナス
黄金の卵をオウガに取らせず、自分が取る旨のプレイングをかかれると戦闘が少し有利になります。
●黄金の卵
所持する数だけパワーアップできる凄い卵です。複数個持つためは何かしらの工夫も必要です。
なお中身も黄金でできてるので食べるのはおススメしません。
●ガチョウ
戦闘になると卵を産みはじまめます。が、簡単には取らせてはくれません。
デカい。強い。つっつかれると青タンできる位には痛い。攻撃喰らってもなんやかんや神回避するので死なないです。
●プレイング受付とリプレイ執筆について
7日の8時31分以降随時受付します。
プレイングを頂いても全て書けないかもしれませんが遅筆ゆえです。ご理解のほどよろしくお願いします。
第1章 集団戦
『トランプの巨人』
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POW : 巨人の剣
単純で重い【剣】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD : トランプ兵団
レベル×1体の、【胴体になっているトランプのカード】に1と刻印された戦闘用【トランプ兵】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ : バインドカード
【召喚した巨大なトランプのカード】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
イラスト:はるまき
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
リコリス・ガレシア
普段はおっとりした穏やかな少女。
戦闘時には神剣に宿る鬼の少女に切り替わる。
「ガチョウさんを虐めるのは止めるのです!」
帽子を脱ぐと人格が切り替わる。
夜のような黒髪、血のような赤眼、彼岸花柄の着物、帽子の代わりに般若の面を斜めに被った少女が、隻腕の右手で天叢雲剣を構える。
「面倒な仕組みだな」
残像を伴う縮地で落ちた卵を拾おうとしたオウガの前に移動して不意打ち。怪力で振るう神剣で薙ぎ倒す。
「手に持てないなら、こうするしかないか」
UC使用。少女を核にヤマタノオロチを顕現し地面に落ちた卵を飲む。
その後は尻尾やブレスで薙ぎ倒した相手の卵を飲み込んでいく。
変身が解けると眠る少女の隣に卵が山積みになっています。
『グワッ、グワーッ!』
『ようやっと捕まえたぞ!……大人しくしろ!』
そよそよと風が吹く丘の上、黄金のガチョウがどこからともなく姿を現した戦場ではオウガと猟兵達の戦いが始まっていた。
その中で一匹のガチョウがオウガに翼を掴まれた、その時である。
「ガチョウさんを虐めるのは止めるのです!」
駆けつけたのは一人の長いピンク色の髪の少女――リコリス・ガレシア(多重人格者の神器遣い・f28348がオウガを止めるべく動き出す。
とはいえ。白いシャツと茶のロングスカート、そしてつばが広い帽子を身に着ける少女に何かを止められそうな雰囲気は無い。
『うるさい、邪魔をするな!』
「きゃっ……!」
そんなリコリスを嘲笑うかのように、オウガが手にしていた剣でリコリスを斬り付ける!幸いにもリコリスはギリギリの所で尻もちを突きながらも回避できたが、すこしだけ服が汚れ、頭に被っていた帽子は風に飛ばされてしまう。
ふんっ、オウガが鼻を鳴らしてガチョウに再度目線を向け、黄金のガチョウと卵に再度手をかけたその時。ぞくり、オウガの背中に悪寒が走る。
「やってくれるじゃないか」
オウガが慌てて振り向くとそこにいたのは先ほどの少女とは全く違う少女の姿。
夜をほうふつとさせる黒い髪、赤い瞳、彼岸花の花柄があしらわれた和服。そして先ほどまであったはずの右腕が無い。
見た目もそうだが雰囲気も何もかも違う少女の姿にオウガは一瞬判断が遅くなる。
そこをリコリスは見逃さず縮地で一気に距離を詰め、左腕と同化した神剣でオウガをひと凪で斬り伏せればオウガは大きな音を立てながら地面に突っ伏した。
「なんだ、あっけないな」
剣についた血を払うと今度はリコリスが黄金のガチョウと卵に目を向けた。
卵を手に入れればパワーアップできるというが、さて。片腕しかなく、左腕も剣と同化してる俺は卵をどう持てばいいのか。
『おいなにがあった!?』
『あれは卵!? くそっ取らせるな!』
考えていると騒ぎを聞きつけやってきたのはオウガの増援。
「やれやれ、面倒だ……」
騒がしい声にげんなりしたところで、そうだ、リコリスは妙案を思いつく。
「出てこい、ヤマタノオロチよ」
骸魂【ヤマタノオロチ】を顕現し、同化。少女は瞬く間に八本の蛇の頭を持つ大蛇へと姿を変える。
『ひぃ……!』
後退りするオウガ。その隙に一本の蛇の頭が卵をばくりと丸呑みする。
喉を通り腹に卵が収まった途端、力があふれ出る、そんな気がした。
「なるほど、確かにこれはオウガが求めるのもおかしくない」
大蛇は地を這うように低い感嘆の声をあげた。
「……じゃあこれが気のせいじゃない事を確認するか」
大蛇は鎌首をもたげると、オウガ達に襲い掛かっていった。
「……ん、あ、あれ?わたしどうしてこんなところで寝てるのかしら……」
ぱちり。リコリスが瞼を開ければ茶色い瞳が姿を現す。
一つ伸びをして目をこすりながら周りを見渡す。
「こんなに卵が……」
そこには少女の目覚めを待つように、大量の卵が転がっていた。
大成功
🔵🔵🔵
トレーズ・ヘマタイト
※アドリブ自由
無理に持っていくのはオブリビオンと同じ結果になりそうだな
ガチョウを探して、刻印の異空間に入れてきたガチョウが好みそうな食料や水、羽の手入れに使えそうな物資や寝床作りに使えそうな諸々と卵を交換してもらい
更に異空間から大量の土と水を出して降魔錬成、泥の大蛇を創り卵を降魔の体内に入れる
卵を奪おうとしている敵に対しては●呪詛で片足を数秒封じ、●念動力で卵を遠ざけ●時間稼ぎをし
降魔の●怪力で叩き潰したり、自分が鎧の隙間から内部に入り、内側から●生命力吸収しつつ●捕食して倒していく
降魔が剣の一撃を受けても飛び散った破片を集めれば元に戻るので、卵が巻き添えにならないようにだけ注意させる
以上
ガチョウの声が鳴り響く戦場。そこで不定形な体を有するトレーズ・ヘマタイト(骸喰らい・f05071)は思案していた。目下の悩みは黄金の卵をどう手に入れるか。
「ガチョウを捕まえるのが一番いいのだろうが……」
トレーズは横をちらとみやる。
『イヤーッ!』
『グワーッ!』
『イヤーッ!』
『グワーッ!』
「……無理に持っていくのはオブリビオンと同じ結果になりそうだな」
悲鳴をあげながら逃げるトランプの巨人と雄たけびをあげながら追いかけるガチョウからそっと目を反らすと別の手段を講ずることにした。
にぎやかな戦場の片隅で一匹のガチョウが座り込んでいた。怪我をしていたからというわけではなく、何かを守る為にじっと。
「そこにガチョウ、ちょっといいか?」
『ぐわっ?』
トレーズに声をかけられたガチョウが振り向くと、そこにはいつの間にか大量の食糧となる虫や穀物、藁の山がこんもりと積まれている。
「これを渡す代わりにその黄金の卵を渡してくれないか?」
トレーズの提案に対してガチョウはしばし考えるかの様にトレーズの赤い目をじっと見つめる。やがてその場から立ち上がるガチョウ。そのガチョウの下には黄金の卵が鎮座していた。
「ありがとう」
『あったぞ、黄金の卵だ!……よこせっ!』
譲られた黄金の卵に触れようとした時、トレーズの前方からオウガが声をあげ、強引に奪おうとこちらに向かって走り出す。
「これは自分が貰った物でな。おまえには渡さんぞ」
トレーズが赤い目を輝かせるとオウガの体ががくりとバランスを崩す。
『……くっ!』
倒れこみながらも腕を伸ばし黄金の卵を手にしようとここ試みるトランプの巨人。あと数センチ、そこで突如黄金の卵がひとりでに動き出す。
「……積み上げし物を糧として、偽りの器を生み出し……」
トレーズの周囲にあった泥がふわりふわりと飛ぶ黄金の卵を核にする様に包み込む。
最初は球形だったそれはだんだん細長い形を取り……やがて大きな蛇の様な形へと変形していく。
大蛇は倒れこんだオウガの姿を認めると尾を振り上げ――
「我等が道を阻む災いを、己が力を以て討ち滅ぼせ」
ダァンッ! その長い尾を振り下ろした。
尾が再び持ち上がると、そこにはひしゃげた鎧と物言わぬトランプの巨人の姿だけがあった。
大成功
🔵🔵🔵
ローゼマリー・ランケ
※共闘・アレンジ・遊び等可
「今回は物取りが肝要、任せてもらいますよ……ロミィ」
「ベル、荒事になったら代わりマスヨ」
金の卵に迫っている敵>ガチョウに迫っている敵
の順で狙いを定め、戦闘より回収を優先する
【目立たない】を利用し敵の頭部に煙幕の投擲弾を【投擲】
【ロープワーク】【罠使い】で敵の動きを阻害するワイヤートラップを設置
ガチョウは抵抗してくる時のみ捕縛
【盗み】や【盗み攻撃】で金の卵を回収し戦闘へ
身体が光る様なら周囲の仲間に譲るかロミィに交代
戦闘は正面から戦わず、死角からのヒット&アウェイを遵守する
「盗賊の恐ろしさは死角からの毒牙、存分に振るいましょう……」
「ンー、効果的デスガ、陰湿デスネェ」
ローゼマリー・ランケ(ヴァイスティーガー&シュバルツシュランゲ・f01147)は少し小高い丘の上より下を覗きこむ。
目線の先にいたのは複数体のトランプの巨人。黄金のガチョウをどうにかこうにか追い払い目当ての物にありつこうとしていた。
「今回は物取りが肝要、任せてもらいますよ……ロミィ」
少女はその場で跳躍。重力に従いそのままオウガ達の元へと落ちていった。
『グワッグワッ!』
『おう、邪魔だ邪魔だ! お前らに用はねえんだよ!』
卵を抱卵していたガチョウを(どうにか)押しのけたオウガが黄金の卵に手をかける。……同時に、彼の後頭部に爆発音と衝撃、そして煙が巻き上がる!
『ぐわ……っ!?』
たまらず後頭部を抑え悶えるトランプの巨人。その隙に何かがオウガの前を通り過ぎる。
『卵が……!?』
「目的を達成できるその直前。人間が一番油断するタイミングです」
静かな口調で語るはローゼマリー……否、ローゼマリーのもう一つの人格、ベルトーシカが黄金の卵を抱く。
『それは俺の卵……!』
『グワッグワッ!』
「貴方のではないでしょう……あら」
オウガに対して冷静に返答すると少し驚いたような声を出すベルトーシカ。卵を抱いた腕の色が段々と金色へと変化していったのだ。
「ふむ……それではロミィ、よろしくお願いします」
静かに目を伏せるベル。次の瞬間、その目をパチッと開いた。
「もゥ、こういう時ニ交代するというのもどうかと思うワ!」
自分ではない自分に文句をいうとベルトーシカ、否ローゼマリー。
「ガチョウさん、ここは危ないから引いててくださいネ」
『グワッ』
声に従う様にガチョウはとても速いスピードでその場を後にする。
ローゼマリーはガチョウを見届けると得物を構え、切っ先をオウガへと向けた。
オウガの一撃がローザマリーへと叩きこまれる。それを横跳びで回避した彼女はそのままオウガへとかぎ爪付きワイヤーを放つ。念動力によって一本一本が意志をもったかのようにうねりながらオウガへと向かっていく。
拘束する様に巻き付くワイヤーたち。しかしそれはあっという間にオウガによって引き千切られ、結果として関節部分と鎧に小さな傷をつけるだけに終わった。
『ふん、わざわざこんなひ弱なワイヤーで攻撃なんぞ……その斧は見掛け倒しか!』
ニヤリと笑うトランプの巨人。胴体からトランプ兵を召喚するとローゼマリーへと差し向ける。
「あら、また増えルの?」
うっとおしいとばかりに今度はローゼマリーが得物を変えて斧を振るい、トランプ兵を叩きつけていく。
一進一退の戦いが続いたそれはオウガが膝をついたところで終わった。
『貴様、一体何をした……?』
息も切れ切れにローゼマリーを睨み付けるトランプの巨人。
「盗賊の恐ろしさは死角からの毒牙。それがわずかに体に入ればどんなに傷が小さくても良いのです」
先ほどの鍵爪付きワイヤーへには毒が塗られており、その毒が小さな傷から侵入。長い時間をかけて徐々にオウガの体を蝕んでいったのだ。
そうして彼女はオウガに近づくと……斧を振り上げる。
「ンー、効果的デスガ、陰湿デスネェ」
大成功
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セルマ・エンフィールド
戦闘が始まると卵を産み始めるのも何か理由があるのでしょうか……おっと、今考えることではありませんね。
凄い卵ということですが、中身も黄金でできているならば……
【吹雪の支配者】を使用し、半径86m内の黄金の卵を吹雪へと変換します。これならガチョウに近寄らずに済みます。
さらに吹雪は自在に操ることができる。いくらかは手元へと操作したうえで変換を解除、卵に戻して持ちましょう。
両手に2つと、抱えるようにして……大きさにもよりますがそれなりには持てるでしょう。敵が集める妨害も兼ねていますし十分です。
両手が塞がっても吹雪は操作可能。そのまま巨大なトランプを吹き飛ばし、敵を凍てつかせます。
戦いが始まると同時に黄金のガチョウが現れ、黄金の卵を産んでいく。
「戦闘が始まると卵を産み始めるのも何か理由があるのでしょうか……」
『『グワッグワッ!』』
そんな黄金の羽毛に覆われた戦場内で考えていたセルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)はガチョウたちの鳴き声で現実に引き戻される。
辺りを見やれば既にガチョウたちが産んだ黄金の卵が散乱しており、オウガ達が我先にと卵を拾いに拾っていた。
「今考える事ではありませんでしたね」
冷静な声色と表情で周囲を判断するとセルマは目線を戦場へと向ける。すると戦場内――正確には彼女から半径86m以内の空間だ――にあった黄金の卵たちに変化が表れる。
『お、おいナンダこれ!?』
トランプの巨人が驚きの声をあげる。それは周囲の気温が急激に寒くなったからではない。両手に、鎧に隠し持っていた温かな卵が急激に温度を失い、端から雪に変わっていったからだ。
『貴様か、何をした!』
先ほどまで力を与えていた卵が今度は雪となりオウガ達の生命力を奪う。それを悟ったオウガは術者であるセルマに向かって行動を封ずるトランプのカードを投げつける。
「卵が貴方たちの手から逃れたいと言っていたような気がしたのでそのお手伝いを」
さらりと言ってのけたセルマが両手を目の前にかざすと周囲を待っていた雪が急速に集まり、形作り――彼女の両手には4つの卵が鎮座する。
「おっと、以外に大きい物ですね」
鶏の卵より少々大きい卵を見て声色にわずかな感嘆を滲ませると落とさないようにそのまま抱きしめる。
「両手が塞がっていようと私の吹雪を止める事はできません」
瞬間、先ほどより広く、先ほどよりも激しく吹雪が吹き荒ぶ。あまりの激しさに先ほど彼女に投げつけられたトランプのカードは届く前に何処かへ空の彼方へと吹き飛び、トランプの巨人たちも暴風に負け体勢を崩し、転がっていく。
「この領域に足を踏み入れたが最後です……逃しません」
吹き荒ぶ吹雪の領域。中に入ろうものなら問答無用で生命力を奪われ近づくことはできない。遠距離で攻撃するにも吹雪によって阻まれる。
この空間を作らせた時点でオウガ達の敗北は決まったいたのかもしれない。
やがて吹雪が収まるとそこには氷像となり何も言わなくなったトランプの巨人たちの姿。
『グワ~~』
そしてちょっと放心状態のガチョウたちの姿がそこには有った。
●
こうして黄金の羽毛が舞うその国に平和は訪れた。
ガチョウたちに見送られながら猟兵達はまた違う戦場へと駆けて行くのだった。
大成功
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