狂気!海上に踊る謎の【影】!!
#UDCアース
タグの編集
現在は作者のみ編集可能です。
🔒公式タグは編集できません。
|
「おやっさん、今日はどうも調子が上がりませんね」
「そうだなぁ……魚共、どっかに行っちまったんか?」
時刻は夜半。青く変わった星空の下、黒く染まった海上を一つの漁船が走る。
暗闇の中をライトで照らし、また魚群探知のレーダーを動かし。当たり前だと航海は止めずに求めた獲物を、連日探る。
だが、手慣れた動作とは裏腹に、彼等の貌には影が差していた。
ここ数日何故だか知らないが……魚が全く見えなくなっているのだ。
オマケに、原因不明の不気味な「凪」が支配する時さえある。船を止めた際の異様な『止まり具合』などいっそ恐ろしくなって来るだろう。
……遠間に見える仲間の漁船も、どうやら得た成果は無く同じらしい。
「今日も帰るか……仕方ねえ」
タオルを額に巻いた男性が、紫煙を吐きつつ独り言ちる。
それに手伝いだろう、彼よりも少し若い男が口を開こうとし――目にした【それ】に硬直した。
「おい、どうし――」
船長らしきタオルの男性もまた、その光景に絶句する。
―――何かが居る。
高速で、水上を移動する大きな【影】が、レーザーのように伸びる光を伴い、視界の向こうに映っている。
仲間の漁船も気が付いたらしい。
そして何事かと一応確認のために近づいて…………刹那、木っ端に消えた。
余りにもあっけなく。
「な――何が………いや船長、こっち、こっちに!?」
「不味い、向かってきやが―――」
理解させてくれる時間すら与えず迫りくる【影】。
船長はもうただ体が、恐怖が突き動かすままに舵を切る……!
いや――もう、遅い。
「「うわあああああぁああぁぁ!?」」
「―――以上が、アタシの予知した事件の一部だよ」
ザッと集まった猟兵達を見まわしてから……グリモア猟兵、フロッシュ・フェローチェス(疾咬の神速者・f04767)が、開口一番口そう告げた。
次いで疑似ARの画像を次々表示し、場を粗方整えてから改めて『事件』の詳細を説明しだす。
「UDC組織からの情報によると、なんでもとある海域で……次々と船が行方知らずとなるらしい。まあ幸い船は見つかっているよ? 【破壊された】その上で、ね」
浮かぶ画像に写った船は、どれも潰されたり、引き裂かれたり、砕かれたりと無残な姿をさらしている。
――乗っていた船員がどうなったかなど、語るまでもない惨状だった。
画像を切り替えながらにフロッシュが続ける。
「殆どの人が行方不明か、死亡している……けど幸運にも生き残った人はいて、何でも『海上を走る巨大な影を見た』って証言しているらしい」
そんな事件が何度も続くためか、現在この海域はUDC組織も介入して、一切の進入を禁止された状態となっている。
近海故に、そう深くないのが救いだが――広くはあるらしい。
一般の者からすれば不安になりこそすれ、具体的な像はつかめまい。
だが猟兵達は感じ取る。予知すらあったのだ、つまりこれは間違い無く――。
「オブリビオン一択だね。……ただ一つ不可解なのが、邪教の類が辺りに存在しない事かな。つまりあのバカ共が呼んだ訳じゃない」
ならば何故……と誰かが問いかける前にフロッシュは疑似ARを繰り、次の画像へと移行した。
それは一見、遥か昔に沈んだ【何かの遺跡】のようにも見える。
「海域の中心近く――その何処かにこれがある、と調査データから分かった。此処にヒントがあるんじゃない? 詰まる所『海域内を調査して遺跡を見つけ【影】が何かを突き止める』ことが、一連の事件解決の糸口になるかもね」
その為のモーターボートや水上バイク、潜水具諸々は貸して貰えるらしく、各々で用意出来ずとも大丈夫らしい。
――身軽一番なら水上を走るのも良いと思うよ――当然とばかりに呟かれた彼女の発言に、猟兵全員が『無茶言うな』と思ったのは……まあ至極尤もな事だろう。
場の空気が崩れかけてしまったのを察し、フロッシュは〆の言葉に入った。
「兎も角、今回の事件は不可解な部分も多い。【影】が何を目的にしているのかもわからない。だからこそ油断しないで―――健闘を祈るよ」
青空
一度でいいからやってみたい、スキューバダイビングでの海底散歩……。
と言う訳で今度は海での依頼です。
第一章では海底探査。証拠や遺跡を見つけて、【影】の正体を突き止めましょう。
第二章は少し戦闘が入ります。海上・海中戦になるのでそこらへんにご留意を。
ボートなどはモブキャラが捜査してくれますが、使う技能やUCなどは吟味を。
第三章で、いよいよ邪神と戦闘! ただし、陸上戦になるとは決まっていません。
さあ、未知の脅威を潰す為……謎の海域へ向かいましょう!
(※自分はアドリブを入れる方向で書いています。
なので基本は、指定が無くてもアドリブ付きです。
またアドリブが趣味全開でもOKという方は「※OK」を。
プレイングから外れずそのまま書いて欲しい方は「※NG」をお願いします)
第1章 冒険
『深海からの呼び声』
|
POW : 送風ホースを付けて長時間の海底探索
SPD : 空気ボンベを付けて広い範囲の海底探索
WIZ : レーダー・海底探査艇を使って無人での海底探索
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
|
種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ジニア・ドグダラ
さて、私自身は貧弱で水中は……しかし、何もしないというわけにはいきません。道具もありますし、試してみます。
【奇霊招集】による探索を行いたいと思います。死霊なので使い捨てでも大丈夫ですし、視覚や聴覚は道具を使えば十分に生かせるはずです。五感を共有するため、水圧による頭痛も起きるかもしれませんが【鎮痛剤】による【激痛耐性】で耐えましょう。
奇霊を海底に向かわせ、怪しそうな所は片っ端から【追跡】して探索しましょう。
私自身はレーダーを使用してなんとなく変なのを感じ取った所をを【第六感】で見つけられば程度で、努力はしておきましょう。死霊を操作しているので、あまり動けませんし……
※アドリブ・他者との協力歓迎
木目・一葉
今度の仕事は、遺跡探索というわけか
不謹慎ながら、ちょっと心躍る自分がいるのを否定はできない
――とはいえ、人を守るのが本命だ
改めて気を引き締めよう
【WIZ】レーダー・海底探査艇を使っての海底探索
まずは【情報収集】だ
生き残った船員から丁寧な【礼儀作法】で【コミュ力 】を用い、話を聞く
それに昔から遺跡があるとしたら、古くからの言い伝えがあるかもしれないので、港の周辺住人からも同様に情報を集めておく
情報の中でも、特に場所を示すものは地図上に予めマッピングする
これで大体の位置は掴めるはず
あとは海上のボートからレーダーを用いて怪しい場所を調査し、反応があったところの調査を仲間にお願いしよう
※OK
薄暗くなってきた海上を行くボートを駆る陰2つ。また背後に2つ。前者は操縦役を買って出たUDC職員達だ。
そして後者は猟兵――叩き付ける潮風にロングコートを揺らす金髪の少女・木目一葉と、ローブのフードが脱げないよう必死に抑えている茶髪の女性・ジニア・ドグダラである。
「集っ、めた情報のお陰で……! この近海にまで絞り込めましたね……!」
「ああ!後は指定箇所でお互いに取れる手段を取り、広く探査だ!」
風の影響から自然と声を張り上げて会話する二人の言う『情報』――その詳細はどうあれ効いてそんなの無いモノだったらしい。
――少し遡り、数時間ほど前。
ボートの準備が終わった一葉とジニアはまず近辺の住民達や、生き残った船員から情報を集めることにした。
何もかも全てが手探り、行き当たりばったりでは時間切れになってしまう可能性も有る。……何より【影】の明確な情報も無いまま探索し続けた所で、無駄に体力を使うだけ。
下手すると不意を撃たれて、自分達が窮地に陥りかねない。
出航の前にできるだけ情報を集めておけるようにと――二人で聞き込みに乗り出したのである。
その甲斐あってか、幾つもの情報は得られた。
ジニアの柔らかな雰囲気と、何より一葉が確り礼儀作法を守り、尚且つコミュニケーション能力の高さを見せたおかげで……被害者からも何とか教えてもらう事に成功したのだ。
―――被害者曰く。
『影の正体は分からない。ただ巨大で何処となく【角形】な気がした』
『何故だか、藻ともまた違う臭いがした』
『甲高い奇妙な音を聞いた気がした……船の汽笛とはまるで違う』
―――住民達曰く。
『あのあたりに、昔は何かしらの神様を祭る遺跡があった』
『ただ元々は海ではなかった。陸地だったが自然災害などにより地形が変わった』
等と言った情報の他にも。
『大体こんな感じで配置されていた』――と、市販の古い書物も渡された。
またUDC職員達から大体の事件発生場所は聞いており、絞り込みも……流石に容易とはいかなかったが、どうにかある程度は限定出来た。
(しかし妙だな。本当に、風が無い……)
普通ならば少しでも風が吹いたっておかしくは無いのに、起き得る潮風は全てボートが空気を割くことにより荒れるモノのみ。
この空気に、しかし一葉は『海底探査』というロマンある単語も合わさり、どこか心躍ることを否定できなかった。同時に……改めて気を引き締める自分が居ることも。
――やがて指定のポイントでボートが止まり、次いで引いて来ていた二つ目のボートにジニアが、そしてもう一人のUDC職員が乗り込む。
「ここからは二手。AポイントとBポイントに分かれましょう。私はユーベルコ-ドを使って――」
「……そして僕はレーダーで、だな」
先にも行ったが、限定こそ出来たもののそれでもまだ候補はバラけている。だから特定するためにより詳しく絞り込むべく動いたのが、この二人だった。
一葉にも探査系ユーベルコ-ド【影の追跡者】はあるが、ジニアと同様の策では幅が広がらず盲点が生まれる――と、機械選んだのだ。
……何よりまだ本格的な捜索は進んでいなかったのだから、文明の利器を借りるのもまた尤もな判断である。
そうして二つの船はそれぞれのタイミングで、別方向へと進んでいった。
暫く探査し。初めに反応があったのは、Aポイントに居る一葉の方だった。レーダーに大きな反応が複数見られたのだ。
どうやら彼女の方は大きな反応が群をなす海域だったらしい。同時に他の反応も大きすぎる為、己で考えて打ち込む必要がありそうだ。
――地図を取り出して確認し、目印を即座に付けてゆく。
今スキューバなどの道具は持って来ていない……というよりレーダー機器の所為でギリギリ持ち込めなかったために、潜って探査するのは不可能。
いやだからこそ、こうした情報収集に集中できると言えよう。
「――!またか……よし」
次にレーダーが反応した場所へ向かい、また記し。それを繰り返してゆく。
違うものを省き。目当てのものを見つけ、特殊なマークを入れて。
そうし続けて、一体何回目の反応音が鳴った時だろうか。
これで確か幾つめか……と、ペンを動かそうとした一葉の手が、止まる。
「―――なんだ、これは?」
不意に何かを思いつき、記した場所を徐になぞって行き、現れたのは―――。
「これは……?」
「私の担当するポイントは、確か此処でしたね」
一方。Bポイントについたジニアは徐に、己の内から力を組み上げ、練りだす。
先の通り彼女はユーベルコードで探査するつもりな為、船には余り機材を乗せておらず、レーダー探知機の性能も低い。ジニアメインの合わせで探り当てて行くのだ。
「――『人の背後に来たれり者よ、動き出せ』――」
ジニアが言霊を紡いだその瞬間……彼女の背後より現れし、彼女と語感を共有する存在・【奇霊(スペクター)】。
あまり肉体的に強いとは言えない彼女は元よりダイビングなど予定していない。この【奇霊】での探査に力を注ぐつもりだった。
機動力では彼女よりもずっと上で、何より敵に察知されにくく、またギリギリまで使い捨てても何とかなる存在――これに各種道具を装備させればさらに頼もしくなる。
「……行ってください」
ジニアの言に従い、【奇霊】は海中へ飛び込んでいく。呼吸器系に問題はなく、視界も良好。後は此処から段々と強くなるだろう水圧に……五感共有中のジニアがどれだけ耐えられるかだ。
(岩礁――魚群――岩柱?――鉄、材?―――海底近、く――!)
【奇霊】の性質故に通常よりも弱いが、それでも圧し掛かる水圧からジニアをズキ、ズキリと鈍い頭痛が襲う。
「まだです……!」
されどジニアは耐える。同時に荷物内から鎮痛剤を取り出して呑み込み、精神論合わせて一時的に激痛への耐性を上げた。
尚も、広い海底で【奇霊】を操る手を止めはしない。
(怪しいものは一瞬見えました……もっと、もっと南――もう少し――っ!)
いっそ貧弱と言えてしまう彼女は、しかし意地をみせ覗きこむレーダーからも、【奇霊】からも情報を探り当てようとする。
……瞬間、彼女の脳裏に走った予感と、そして視界のわずかな変化に希望を見出した。
「あった……!遺跡の一部、と――鉄くず?」
視界に映った明らかな【人工物】に、ジニアは知らずの内にガッツポーズ。
だがレーダー探知機はほぼ届かないし、【奇霊】の行使も限界が近い。なればこそ――とジニアが遺跡跡で見つけた特異な物。
「これって……?」
それは奇しくも一葉が口走ったものと、ほぼ同じだった。
「「――何で、太陽?」」
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
エルデラント・ズィーマ
こんな真冬に海底探索ですか。ワタシの身体も錆びちゃいますよ。嘘ですけど
【SPD】そんなわけで空気ボンベを使用した探索と洒落込みましょうか。底は暗いとは思いますけど義眼でなんとかしましょう。暗視なだけに安心ですね。
もし、ほかの猟兵さんと行動してて何か情報を得たのなら情報解析を使うのも面白そうかもしれません
さぁ、レッツダイビング
※OK
トリテレイア・ゼロナイン
【POW】 ※OK
騎士と海底、少々ミスマッチですが被害をこれ以上看過できません
真空の宇宙空間でも活動できるウォーマシンの私なら、長時間の海底探査もこなせるのではないでしょうか
UDC組織に支援してもらって、各部に防水処置を施したうえで私を海に沈めてもらいましょう
「暗視」センサーで深い場所でも問題なく探索は行えますし、「怪力」で障害物を取り除く作業もこなせるかと
ただ私の重量では自力浮上が難しそうなので、海上のUDC組織の船に引き上げをお願いすることになりそうです。
「礼儀作法」「優しさ」で現地の隊員との連携を深めていきたいですね
突発事態にはUCで防御します
レイチェル・ケイトリン
わたしの得意な念動力技能でユーベルコード「星海の船」を海底で使うね。
念動力の力場を小型の宇宙船として展開する力。
海の中だから普通に飛べるわけじゃないけど、ほかの猟兵さんたちにも
自由に出入りしてもらえる、なかには普通に空気がある。
だから、わたしがいればそこを海底での拠点にできる。
つかれたらやすんでもらえるし、なにかひろったら
もってきてすぐしらべてもらえる場所にできる。
べんりなとこをおしえてくれれば移動して展開しなおすし、
ひつようなものはもちこんでくれてもいいからね。
みんなが安心してがんばれる、そういう場所になってあげたいから。
ノルナイン・エストラーシャ
なるほど、海での調査ですか。水上を走れるほど早くはありませんから、モーターボートで走り出せ~っと。まあ途中から海底調査なんですけどね。
まずは疑似ARの画像なんかを使って、【学習力】や【世界知識】で、遺跡に関しての情報を調べましょう。他の猟兵さんの情報なども有れば、それも参考にします。
その後、二人分のダイビング装備を借り、【選択したUC】で広い範囲の海底探索をしたいと思います。もう一人の私は結構な範囲を動けるので、複雑な地形や、遺跡などは探索しやすいかと思います。
しかし【影】とは何なんでしょう……気になります。
恐ろしい魚の怪物などであれば……味が気になりますね……
※アドリブは大歓迎です!
……日が傾いた頃。
持ち帰られた幾つもの有益な情報と、印を入れた特別なマップを元に、四人の猟兵がそれぞれ調査に乗り出した。
「それでは私達がAポイントの【大きな太陽】と……」
「こんな季節に海底探査とはね、ワタシの体も錆びちゃいそうです」
「えっ、錆びてしまうんですか?」
「嘘ですけど」
「ちょっとどっちなんですか~……?」
そんなちょっとコント染みたやり取りを交わしながら、モーターボートに乗り込むのは女性二人。
先ほどのジョークを、機械的な無表情で事務的に話すのは、橙眼と機械眼を持つサイボーグ、エルデラント・ズィ-マ。
それを真に受けて、また否定されてちょっと慌てているのは、藍色の瞳美しいミレナリィドール、ノルナイン・エストラーシャだ。
潜水具は三つあり……双方ともにダイビングして探す気らしい。
が、UDC職員は同乗しない上に仮にしても危険すぎる――ならばなぜ三つあるのだろうか?
「わたし達はBポイント【小さな太陽】ね」
「レイチェル様のお陰で、当初よりも効率は上がりそうです。有難う御座います」
「わたしのユーベルコードなら問題はある程度解決できるしね。その点はお任せっ」
対する此方は幾分か和やかな会話をしつつ、しかして乗り込むのは常識外。
片や3m近い体躯を持ち、翠緑の瞳を輝かせるウォーマシンの男性……名を、トリテレイア・ゼロナイン。
片や彼の白髪と似て非なる銀の髪をたなびかせる、第一印象で『繊細』との四文字が浮かぶだろう美麗な女性、ヤドリガミのレイチェル・ケイトリンである。
幾ら猟兵の力で『違和感ないように』なっているとはいえ、それを入れてなお傍目にも非常に目立つ四名は……二班に分かれて行動する腹積もりだった。
一か所に人手を集中させれば確かに効率は上がるだろう――しかし片方がなおざりになってしまい、いざと言うときに情報が得られていない可能性が首を擡げてくる。
【万が一】が起き得るのが現在の状況なのだ。
故に技能による向き・不向きで一組ずつに分けて行動した方が良い、との考えで情報を共有し――この組み合わせになったのである。
「よし、行きましょうか!」
「では良い結果を探りあてられるよう、頑張りましょうか」
「皆様方……御武運を」
「準備は万端、何時でも行けるよ」
それぞれ、思いを口にした一行は船に乗り込み――二手に分かれて進んでいった。
○
モーターボートを駆り、エルデラントとノルナインは指定の【大きな太陽】につく。
彼女たちは『ユーベルコードも込みで数を確保でき、個人の機動力が四人の中では高め』との理由で、比較的広いこのエリアを担当することになったのだ。
アクアラングを装備し早速探査開始――と行く前に。
エルデラントが先に飛び込んだのを見計らって……まず、もう一人分用意した潜水具を持ち出すと。
「……ブラックボックス解放『コマンドコード・パラドクス』――来なさい。私でない、【私】」
ノルナインがここでユーベルコードを解放。
現れたのは――犯罪者として道を歩んだ『かもしれない』並行未来のノルナイン。現状何も語りこそしないが、纏う空気には邪な物がくっきりと浮かび上がっている。
「……戦場ではありませんが、驚異の探査に協力してもらいますよ」
喋れない筈ではないのに、未だに何も言わず肩をすくめた【ノルナイン】は……次の瞬間、一足お先にと物凄いスピードで潜っていく。
(余り離れると『非認証機能・矛盾存在(ブラックボックス・パラドクス)』が解けてしまいますね……)
慌てて、と言うには少し足りない速度で彼女もまた潜っていった……。
――先に潜行していたエルデラントはまず、潜りつつも今までの情報とて――新たにノルナインから得た情報を反芻する。
何処に目標物があるかは特定できたのだし、なら次に考え、用意しておくべきは【今向かっている物の大まかな詳細】であろう。
実は、ノルナインも一葉達が情報を得たのとは別ルートで情報を手に入れており……今までの事柄を積み上げた学習力と、出立前に見た疑似ARからはじき出した世界知識が、それを可能としていた。
(確か追加情報だと、『大地の恵みをつかさどる神様の居場所だった』『一応の内部構造地図』が遺跡関連、『撤去されるはずだったとある物が消えた』が事件関連でしたか)
改造されたからだ故、薄暗いこの海底でも眼が利く彼女は、見えているからこそ躊躇うことなくチェックポイントへ遠泳。
調査の甲斐あってすぐ近くに立っていたらしい【建造物】へと近寄る。
(随分古い――書いてある文様も、消えていないのが不思議なほど……)
柱へはやはり【太陽マーク】が彫られており、レーダーに反応した物体がそういう風に配置されていたのは意図的だったとうかがえる。
そして奥には……崩れたか随分規模が小さくなっているが、遺跡の本殿らしきものが鎮座していた。
(エルデラントさん、奥へ行きましょう!)
(了解)
すぐ近くまで来ていたノルナインのハンドサインに、同じくハンドサインで返し……【ノルナイン】が戻って来るまで待って隙間から奥へと突入していく。
中はやはりというか、真っ暗だ。
手に持ったライトは勿論のこと、持っていた拙いながらも記された遺跡図、エルデラントの暗視、【ノルナイン】の水泳法があればこそスムーズに進めただけで――本来ならかなり時間がかかったに違いない。
(大広間……ですかね?)
(の、ように思えますが)
やがて見えたのは、此処だけは崩れていなかったらしい円形の部屋。
三人は何処か圧倒されたように立ち泳ぎを繰り返し……やがて我に返ったように、視界の先に見えた【ソレ】目掛け泳いでゆく。
―――ソレは何と壁一面に描かれた一つの物語を記す、壁画―――
正確な話の内容は分からないが、大地から生まれた神様が成長しまた学び、やがては太陽に手が届くまでになった。……という事のようす。
されど、ノルナインとエルデラントが一番気になったのは、でかでかと書かれた中心に添えられている1つの絵だった。
植物の茎の様な、葉の生えた身体がドンドンと上に登っていき、そこにあったのは――あの太陽マーク。
(……じゃないですよ、ね?)
(少し違いますね。上はそっくりですが、下は丸いです。)
ノルナインが思い、そしてエルデラントの言った――ハンドサインで示した通り、若干形が違う。
これはいったい何を意味しているのか……?
(―――おい!)
と、其処でいきなり【ノルナイン】がハンドサインと目線で、切羽詰まったように訴えかけて来た。
(ふむ。長居はしない方がよさそうです、何か居るかのような……)
(え……ってことは……)
邪神の類だろうか? そう考えたノルナインの脳裏に浮かぶのは『魚』の図。危機的状況ではあるが、それでも脱出口へ迎うにつれて「美味しいのだろうか?」といった感想さえ浮かんでしまう。
焦っていたからか、行きよりも早めに外へ出た一行は、停泊させたモーターボートへと浮上して行った。
―――直後、【影】が背後に映り―――
○
【小さな太陽】探索へ、トリテレイアとレイチェルが選ばれた理由は、どちらともに共通項は無く分かれていた。
トリテレイアは暗視センサーは勿論の事、その怪力を誇る腕ならばがれきの撤去も容易とされた為である。
……そう。この【小さな太陽】ことBポイントは狭いがその分障害物だらけであり、楽しむだけなら普通に避けて泳いでいも良い。
が……今回の場合は避けて行っても見逃しが多くなり、またどかせず埒が明かないのだ。だから彼が選ばれたのである。
(UDC組織の力はありがたいですね……わたしも貸せられた期待に応え、また連携を取れるよう確り友好を結ばねば)
防水加工を施された彼はどんどん沈んでいき、途中にある瓦礫を粉砕しつつ、海の底へと降り立った。
……此処で皆疑問に思うだろう。ならばレイチェルの役割とは何か? それは―――。
「調子はどう、トリテレイアさん」
『ええ問題ありません。そちらの【船】はどうでしょうか?』
「わたしの方も、今のところ何もないよ」
――と、いきなり後方から声がし、見やってみればなんと【宇宙船の様な力場】が存在しているではないか。
……これこそが彼女の役割であり、本来ならば送風ホースにより時間はともかく、限られた範囲しか動けない彼。
だがこのユーベルコード製の空間によりその問題が解消され、行動範囲はぐっと広がったのだ。――宇宙用の為、潜水艦よろしく動かすわけにはいかないのだが、それでもホースを底からじかに伸ばせるのは大きい。
『それでは探索を開始します……』
度々注意しながらに、レイチェルの【宇宙船の様な力場】から延びるホースを引き連れトリテレイアが海底を歩き出す。
幸い、遺跡にはすぐにたどり着けたが――どうも位置からして『参道』だったらしく、マーク以外に目ぼしいものは何もなかった。
……しかし何の成果も無かったわけではない。寧ろ【大きな太陽】組とはまた違う、重要な物を次々と拾い上げている。
送風機とホースの調子をチェックしつつ、レイチェルもまた拾い上げられた“それ等”を整理しては、数名のUDC職員と何やら検分していく。
『どうでしょうか? レイチェル様、何かわかった事は』
「うーん……あの、UDCの人たちが言うには、なんだけど」
どうも歯切れが悪いその返答に、しかしトリテレイアは作業しつつも急かさない。
今焦る理由が無いから、というのもそうだが……レイチェル自身が『信じられない』と暗に語っているようにも思えたからだ。
もっと言えばある程度ながらその物体たちを、トリテレイア走っているから。
そして――少し間を置き、その『重要な物』の正体が告げられた。
「車の部品みたいなの」
『……やはり、ですか』
海底にあった鉄くずの正体。
それはどういう訳なのか、自動車の部品たちだったのだ。
当然ながら、全部が全部そうではないが、鉄くずの中に目立って混ざっていたのは間違いない。
そして無論、エルデラント達が利いた情報は、トリテレイア達も知っている――【撤去しようとして消えたもの】があると。
(それがこの車達……なので、しょうか?)
確証は持てない。
もっと言えば、この車達と今回の事件のかかわりが見えない。
ともあれ一旦休憩するべきだとトリテレイアはレイチェル達の待つ【宇宙船の様な力場】へと戻って行った。
―――否、戻っていく「筈だった」。
(……!? なんですか、この悪寒は……何故私が……)
まずトリテレイアの背筋に、冷たいものが走る。
周囲を見渡し、だが暗視でもまるでその正体はつかめずにいた。
その瞬間。
「トリテレイアさん!北西!!」
「っ!」
次に気が付いたレイチェルが声で示したその先に、不気味な二条の光を放ちつつ【影】の様なものが迫りくる。
まさか、こいつが件の……!
『させませんよ!!』
あわや激突という所で『無敵城塞』を発動させたトリテレイアが割込み、重苦しく響き渡る波紋と激流こそ広がったが、事なきを得る。
予想外の迎撃にひるんだか【影】の追撃は来ない。
その気を活かし、勢いのまま急いで船へと上がってみれば―――なんとすぐ近くまでエルデラントやノルナインも来ているではないか。
「……ワタシの目がおかしくなったかと思いました、が違うようです」
「おかしい、絶対おかしいって!!なにアレ!?」
心なしか焦っているように見え、また口調が荒くなっているその様子に、トリテレイアとレイチェルは顔を見合わせた。
何が来ている? 何を見たんだ?
(いや、まって……“車の部品”って……まさ、か!?)
そして。
思い当たったレイチェルの貌へ驚愕が広がったのと、正に同時。
その【影】の正体が飛び出してくる―――!
「冗談、でしょう……!?」
「本当みたい……だから、あの部品が落ちてたんだ」
「どうやらワタシ達……予想以上の件に関わっていたようです」
「ホントに予想以上すぎる! なんで、なんでっ―――」
「なんで【大型バス】が海を突っ走ってる!?」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 冒険
『暴走車を止めろ!』
|
POW : 強引にバスに乗り移り止める!
SPD : バイクや車を使って追いつく!
WIZ : 先回りして待ち構える!
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
|
種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
正に悪夢だった。
海上を、また海中を、【大型バス】が脅威のスピードで突っ走っているのだから。
十中八九オブリビオンの仕業だろう。
だが、正体は何だ。
――どことなく何かが張り巡らされているように見えるのは、気のせいか。
しかし考えている時間などない。
こうしている間にも【大型バス】は突っ込んでくる。
幸いにも一定距離を保ち、かつ突進しかしてこない上、猟兵達の反応の速さならば避けられないスピードではない。
どうにかして……止める必要がありそうだ。
外から打撃を加えるか、中から直接破壊するか。
海上の追走戦―――いざ、開幕である。
ノルナイン・エストラーシャ
大型バス。目を疑いましたが、大型バスが走っています。予想外です……いや、予想なんてできてたまるものですか!
魚料理の献立をこっそり検索していた私の期待を返してください!
少し気になるのは、何かが張り巡らされているように感じる事……何か仕掛けがあるのでしょうか? 他の猟兵さんを【援護射撃】しながら、【学習力】と【世界知識】で出来る範囲で調べます。
何か分かれば儲け物。そうでなければ仕方なし。他の猟兵さんに出来る範囲で情報共有しつつ、私ともう一人の私で援護を頑張ります。【スナイパー】と【零距離射撃】を同時に使える日が来たかも知れませんね……
※OK!!!
トリテレイア・ゼロナイン
※OK
まさかバスが海を走るとは…
とはいえまだ謎が多いこの事件、あのバスが何らかの手がかりになるのは確実。なんとかして止めて調べておきたいですね
「防具改造」で脚部に大型のフロート(浮き)とスクリューモーターを装備
脚部スラスターと連動させ水面を「スライディング」するかのように移動します
バスに接近し、ワイヤー付き隠し腕を発射して「怪力」でしっかりと保持。ワイヤーを巻き取って接近しバスに乗り移ります
このバスの推進力が何なのか「世界知識」で判断できればいいのですが、最悪「鎧砕き」の要領でバスを壊して止めることも考慮しましょう
なんとかして原型を留めたまま止めて原因を調査したいところですが…
『バストは地上の、道路の上を走る物だ』
――いくら常識外の存在が揃っている猟兵達とは言え、そう言った一般常識はそう外せないし、早々逃れられない。
だからこそ影の正体であった【海を走るバス】には流石に初動が遅れ、遠く離れていくのを見守るだけとなっていた。
「……っ!」
蛇行しながら猟兵達を次々狙う隙をついて、まずノルナインが【ノルナイン】と共に水上バイクを二つ駆り出す。
「これはまさかの、ですね……」
後に続く形で『海でのあらゆる戦い』を想定していたトリテレイアが防具を改造。フロートで浮力を確保しつつ、大型のスラスターとスクリューを推進力として水上を走行。
先陣を切ったのは――この二名の猟兵だった。
「敵が敵だった……とはいえ、まさかバスが海を走るとは……!」
その間にも狙いを定めて来た【大型バス】を、トリテレイアは小回りの差で難なく回避。
後方にいたノルナイン達も兆候が見えていたため、易々回避して見せる。
そのまま敵を追いかけつつ……ノルナイン達とトリテレイアはまず、作戦相談のためにと並走した。
「目を疑いました。でも、夢じゃないですね――大型バスが海の上を走ってます」
「ええ、度肝を抜かれましたよ。これは予想できません」
「……って言うかこんなの、予想なんて出来てたまるものですかっ!」
【海で見かけた巨大な影】。
等と聞いたら普通は魚か、蛇か、はたまたタコか竜か。そんな物を思い浮かべる筈だ。もっと言えば人型でも良かったかもしれない。
それがどうだ――ふたを開けてみればなんとバス。この理不尽にノルナインは精一杯声を張り上げた。
「返してください! ……魚料理の献立をこっそり検索していた、正直どんな味がするのかワクワクしていた、私の期待をっ!」
――食べ物の恨みは恐ろしい――
正にその言葉を問答無用で連想させる怒りと、この場の雰囲気に沿う鋭い空気を持って放たれる。
トリテレイアは彼女に少し苦笑いしつつも、すぐに真剣なモノに変えて問いかけた。
「わたしは接近の後に、中を調べようと考えています。ノルナイン様の取ろうとしている策は、どの様な物でしょうか?」
「私は、もう一人の【私】と連携して援護役に回ろうかと。その間に外見上からでも何か情報がつかめればと思うのですが……」
見た感じでも何やら【張り巡らされている】のは分かるのだが、詳細の分析にはより近づくか時間を要するだろう。そして後者の案を取れば確かに安全だが、その間に何かが起きないとも限らない。
――方針は決まった。
「あの場で得た情報を、出来る限り話し……ます!」
またもや突っ込んできたバスをかわしつつ、遺跡で見た『上はギザギザで下は丸い太陽モドキが付いた、植物の様な絵』などの情報を渡していく。
太陽の絵。植物の先端にあるその不可思議な図、そして元々は陸地にあった事。
それらを念頭に置き……反芻する間も無く、再びあの鉄の塊が此方へ迫ってきた。
「……トリテレイアさんは接近してください!」
「了解いたしました。――援護射撃をよろしくお願いします、ノルナイン様!」
その言葉を最後に……無音の気合一発、トリテレイアはスクリューとスラスターを同時稼働させ、水上スキーもかくやのスライディング走行で海を割り、突撃していく。彼に追随する構えを見せながら、ノルナインは【ノルナイン】に声をかけた。
「機を見て、熱線銃を!」
「了解……!」
荒事が楽しいのか【ノルナイン】は二つ返事で了解し、同時に水上バイクが飛び出していく。
「私は少し離れて……狙い撃ちます!」
ノルナインもまた突っ走りながらトリテレイアよりも、そしてもう一人の彼女よりも離れた位置で【特注狙撃銃】を構えた。
カスタマイズ式であるそれは、組み立てやすくバラしやすい――今回の様な限定的状況にはぴったりな代物である。
水面を裂く巨大な影へと、いよいよ三つの光が突撃して行った。
「中々に速い……」
離れていた時も感じたそのスピード感を、トリテレイアは改めて口にせざるを得ない。
並走自体は可能なのだ。しかし跳びつくための『秘策』を撃つために必要な隙が、僅かに足りない。
「それに――っと!」
「危ない!」
此方へと身を傾けて吹き飛ばそうともしてくる為、その並走自体も中々に難易度が高かった。
しかもその体当たり自体が不可思議で、踏み切るタイミングは傾けも無く唐突なうえ、向かって来るまでの早さが尋常じゃあない。ノルナインの援護射撃が無ければ少し危ういタイミングも多かっただろう。
存在が予想外ならな、その挙動すら予想の外にあるというのか……。
(いずれチャンスは来る筈……全体的には時間がそう無い、とはいえ焦れてはなりませんね)
再び圧し掛かって来るかのような、大型バスにトリテレイアは加速して対処。派手に水煙を巻き上げバス前方へと出る。
逃すものかとバスも追撃しようとする……!
「止まっていろ!」
しかし横から【ノルナイン】により撃たれた熱線を嫌がったのか、斜め後方へと距離を取っていく。――それ同時にタァン!と銃声がもう一発鳴り響き、遠間から撃たれたノルナインの狙撃が命中した。
「やっぱりダメ、ですか。けれど……」
それはまともに受け、ダメージこそあったらしいが速度を保っている。
けれども違和感は大きかった。
(奇妙ですね。攻撃が嫌ならばどちらも回避しようとする筈……)
(熱線は避けたのに?……それが関係しているのでしょうか)
二人の考えはシンクロし、そのまま目線を合わせて頷く。【ノルナイン】も当然感づいたらしく、また二人の意思を偶然にも汲むようなタイミングでバスへと接近した。
「これが!苦手!なんだな!!」
次から次へと熱線が飛び、【ノルナイン】の叫びがほとばしり、またバスがしぶきを噴き散らす。
瞬間的に眩く照らされる車内から、緑色にも思える謎の物体が絡みついて見えた。
それでも相手は正体不明。
いい加減にしろ、とばかりに【ノルナイン】へ隙をついた変則タックルをバスがかまそうとする。
(まるで振り子のようですね……何かに繋がれて見える)
急減速で避けつつ再びブラスターを放った様子を見やり、トリテレイアの脳裏へそんな感想がよぎった。
疑問はやはり尽きない。ならば解消するため乗り込むほかない。それは【ノルナイン】に注意が行っている今がチャンス――!
「はぁぁぁ……ッ!」
一瞬の溜めから放たれたブラスターを大きく避けた……そのチャンスに全力でスラスターを吹かせ、トリテレイアは突撃。
それに気が付いたらしき大型バスは、思い切り急加速して振り切る姿勢をとった。
「させません!!」
トリテレイアの突入をサポートするべく、ノルナインの狙撃銃が火を噴く。
今まで本体、タイヤ、後部、エンジン、車内へと幾つか弾丸を撃ちこんでいたがどこも一定しか効果が無い。
だからこそ彼女は、撃つ場所をあえて大きく変更した。
「――そこですっ!」
……『車体の上部の屋根』と『ボディ下』へと。
そしてどういう訳か車体は大きくグラグラと揺れ、見事急加速は失敗に終わる。
それでもと、バスは逆にその揺れを利用してトリテレイアを吹き飛ばそうと――。
「忘れるな……よ!」
だが0距離で放たれた【ノルナイン】のブラスターが一部を抉り取り、バスは驚いたようにピタッと静止……今度こそチャンスだ。
「とどけっ!!」
裂帛の声と共にトリテレイアの秘策、『腰部稼働装甲格納型 隠し腕(ワイヤード・サブ・アーム)』が勢いよく伸びて……見事バスに食らいつく。
そのまま引っ張り多少バス本体を壊しながらも、思い切り乗り込んで見せた。
何があっても良いようにと、【特注狙撃銃】を担ぎなおしたノルナインと、熱線銃を構えた【ノルナイン】はバスを鋭く見据える。
「トリテレイアさん……」
――中に広がっていた光景を見て、トリテレイアはまず第一声を失った。
緑だ。……見渡す限り『緑』なのだ。
当然錆びている部分も覗いてはいるが、基本的に緑がずっと絡みついている。
その緑の正体は良く知っている自然物。
「植物の根と茎、ですね。コレは」
恐らくは実もあるのだろう。そう思わせる程に青々育っている植物が絡みついていた……コレが『張り巡らされている何か』の正体らしい。
時折大きく揺れ、他の猟兵達の雄々しき叫び声が聞こえる中、トリテレイアは目ぼしいヒントはないかと探しつつ思考する。
(植物の壁画はコレを表していたのでしょうか……ならば太陽は? 上がトゲトゲで下が丸い謎の図は?)
普通の植物ならば日の光を求めるのだろうが、これは当てはまる物なのだろうか。
思考が廻る中……ふとトリテレイアの視界内に木の実らしきものが、映る。
そこで彼の頭へ――1つの考えが徐に浮かんだ。
(海底にはない、日の光を求めて、出てきた?)
ならばこのバスが動いている理由は……。
「まさか…………む、あれは……?」
思い至ったと同時に、力を感じる得意に物体が目に入る。
その赤く丸い大量の『何か』をトリテレイアは目にし、何かがぶち当たる轟音と共にそれが弾けたのを見て――そこまでが限界だった。
「植物が急成長を……!」
内部を探られたのを大いに嫌がり、絞め殺そうとバスがその手を、触手の様な根やツタを伸ばしてきたのだ。
慌てて壁をぶち破り、トリテレイアは再び着水、海上を再びスライディング走行でひた走る。
なおも追ってくる植物達だったが、ノルナイン達の援護射撃により貫かれ、焼かれ、大人しく引っ込んでいく。
「どうでしたかトリテレイアさん!」
「ええ……情報はありましたよ――色々とね」
まだまだ向かてくるバスから一旦遁走しつつ、彼は開口一番、こう言った。
「燃料用なのか、バスの後部座席近くに赤い実が生っていました――そこを壊せば早急に止められる筈です」
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ジニア・ドグダラ
「……おかしいです。こんなこと、知らない筈なのに、何故か見たことあるような気が……!?」
奇妙な既視感に苛まれつつも奇怪な現場に乗り込むため、乗ってきたボートを加速してバスに追い付こうとしてみます。操作方法は詳しく知りませんが、【メカニック】を生かして操作してみましょう。
バスに接近した際は、探索者としての経験を活かし、味方の猟兵さんが撃った箇所にワイヤーフックを仕掛けて乗り込もうとしましょう。当然バスに振り回されると思いますが、【空中戦】は慣れてます。振り回されたまま、死霊銃での【呪詛】による攻撃を仕掛けます。赤い実に当たらずとも、行動阻害は可能かも、です。
※アドリブ・他者との協力大歓迎
木目・一葉
バス?
太陽という時点で、エジプトで聞くような船等の乗り物が関わってると思ったが、バスはさすがに――
「予想斜め上すぎるな……」
あと僕も、魚料理食ってみたかった
【WIZ】先回りして待ち構える
巨大バスには『影の追跡者の召喚』を行って追いかけさせる
ある程度観察すれば、行先も自然と予測できる筈だ
そして大小二つの太陽は、間違いなくバスと関係する
中に潜入した仲間の話では植物もあったのだ
「植物を実らすのに、水も太陽も必要不可欠だな」
【情報収集】でより精度の高い位置の予測を行い、先回り
僕自身は正面からバスへUC『グラウンドクラッシャー』を、同時に僕が放った影の追跡者からはUC『影の蹂躙舞踏』で挟み撃ちを試みる
――後部にある赤い実を叩け――
齎された情報により、猟兵達は大きく分かれて大型バスを追いかけ始めた。
囮になったりまた受け手になる役と、後部から攻撃する役である。
……当然、まだ『振り子のように動いていた』理由は不明瞭だが、それでも一見そこまでダメージ被害を受けなさそうな、バスの上下を叩けば良いともわかった。
必死の追随により解明される情報を頭の中で整理しつつ、乗ってきたボートの速度を上げながらに……ジニアは思考していた。
先の者達と同じく、彼女もまた海上を突っ走るバスという余りに奇怪な物への驚きを隠せない。
「おかしいです……何故、こんな……」
戸惑うのも無理はない超減少を前に、ジニアは自然と一拍置いて口を開いた。
「――何故あのバスに、デジャブを感じるのでしょうか?」
……その驚きはどうも他の猟兵達とはまた違ったものの様子。
全くの初見で知らない筈。なのに無視できない既視感を覚えていれば、そりゃあ驚いて当然だろう。
「と、兎に角!まずはバスに追い付いて、何とか後方を狙いましょう」
実の所ジニア自身、モーターボートの操作方法自体は、全くと言う訳ではないがそう詳しい訳でもない。
だがメカニックとしての知識が彼女を支えてくれる。
今まで見てきた物を、技術を応用して、海上を依然疾走中の【大型バス】へと接近する。
――時を同じくして。
彼女と共に調査をしていた一葉もまた、心持を探査から戦闘へと切り替え、蛇行と直行を繰り返すバスをボートで追跡していた。
実は一葉、太陽というワードが出た時点で『この件には何らかの乗物が関わっているのでは?』、とも考えていた。
それはある意味、見事に当たった訳なのだが。
「……だがバスって……流石に予想の斜め上過ぎるだろう」
いったい誰がこんな事予測できるのだろうか。オブリビオン……UDCの仕業とは言えど、此処まで思惑を外されては呆気に取られるのも無理はない。
魚ならばそれを料理して食べて見たかった、という一抹の期待が外れたのも、恐らくは拍車をかけたのだろう。
だが――その驚きは決して長引かない。
先に突入した猟兵達からもたらされた情報を手に、一葉は自分が捕るべき戦法と策を既に考えていた。
(僕はそう機械に強い訳でもない……なら、待ち伏せだ)
必ず何かしらの法則性はあるはずだ、と一葉は考え大型バスから一定の距離を保ってその挙動を見切るべく、戦闘情報の収集を開始した。
そしてその動きに応えるかのようにジニアはバスから数メートルの距離まで肉薄、そのまま飛び移るためのワイヤーフックを準備する。
先の猟兵達の攻め手が功を奏しているようで、また向こうも向こうでスタミナの様な物があるらしく、開始直後と比べれば格段に追いつきやすい。
問題はワイヤーフックをかける場所。
――されどその問題も、あっけなく解消された。
「ありますね、先の競り合いでついた傷が……!」
熱線やら狙撃弾やらをしこたま撃たれ、また超質量が中から飛び出した影響もあり、確りと内まで通る傷がついていたのだ。
(あの辺りなら、ちゃんと食い込んでくれそうです)
これで後は乗り移るタイミングを見計らうだけとなる。それも難しい――と思いきや。
「既視経験(デジャヴ)でしょうね――なんとなく、予測できます……!」
奇しくも最初に抱いていた、【見覚えある】この感覚がジニアを支えていた。
“いま反転して突進してくるだろう”という予感通りにバスが動き、スムーズに舵を切って難なく回避。そのままワイヤーフックを擦れ違い様に放って見せる。
見事に引っかかったそれを手繰り、思い切りバスに飛び乗っていく。
「わ、わっ!?」
だが件の【赤い実】を視認した瞬間に、バスは大きく暴れ始めた。
二度も不意を突かれて、流石に耐えかねたのだろう。飛び交う弾丸等を食らってでも、彼女を優先して振り落とそうとしている。
だが……。
「こう見えても、空中戦は得意なんですよ……!」
時折バスの外壁を蹴りつつ、振り回されたままジニアは死霊銃を取り出し――狙い定まらないまま発砲。
二度、三度、続けて放たれし呪詛湛える弾は、確実にバスへと命中してく。
1つがバス上部へ。1つがバス内部へ。それぞれ弾けて呪詛をまき散らし定着させてゆく。
「っ……! 軌道が変わって……」
込められた呪詛をまともに受けたからか、バスの動きは更に変化する。
遂にジニアは放り出されるが戦況は確実に傾いただろう。
そしてそれを逃す一葉ではない。
「動きが変わった――いや分かりやすくなった、か」
放っていた【影の追跡者】からの情報を合わせて、より可能性を絞り込み終えた彼女は呟く。
そも大小二つの太陽や書かれていた壁画と、この状況に何の関連も無い筈がない。
(植物が育つのには、水も太陽も必要不可欠だ……そして栄養も)
船を襲う事件、猟兵が居るとはいえ水上に出てきた事、そして挙動の法則性。
それぞれのピースが一葉の頭の中で、かっちりとハマってゆく。
暴れながらバスが向かう先――それは清流のありかで、尚且つ東――太陽の昇る方角だ。
(見えた……!)
彼女がボートを操り、向かう先は……バスの真正面。構えた【グリューアンクル】により重厚なる一撃を叩き込むつもりだ。
しかし突出してパワーが高い訳ではない、そんな彼女一人だけであの鋼鉄の塊相手に勝る事など可能なのか。
――否、可能なのだ。彼女だからこそ。
(走れ、【影の追跡者】!)
ずっと偵察させ続けていた【影の追跡者】を引き戻し、軌道をバスの背部と交差させるような位置まで突っ走らせる。
前後から挟み込む――これが彼女のとる最善の策。
残り五メートル。四メートル。三、二、一―――。
「はああぁぁっ!!」
刹那、正面から撃ち込まれた【グラウンドクラッシャー】が、背部から撃ち込まれた【影の蹂躙舞踏】が類まれなる威力で海水を爆ぜさせ飛び散らさせた。
余波で海水が砕けたが如く荒れ狂う一葉本人の重撃もそうだが、背後から撃ち込まれた【影の追跡者】のユーベルコードも後部座席の実を穿ち抜き、またブレーキのような役割を果たし、大幅にスピードを落とさせることに成功していた。
「明らかに、弱っているな……いける」
そして一葉が『奴が向かっている』と見抜いた方角へ、大型バスは必死に走っていく。
狂おしくそれを求めているかのように。
――あと一押しだ。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
エルデラント・ズィーマ
これがバス……なるほど、バスとは水を走る乗り物だったのですね。
ワタシは特別足が速いわけでも知恵があるわけでもありませんので力づくでなんとかしましょう
爆走するバスにはアームで車体の何処かに組み付いて私の身体を引っ張りあげましょうか
あとは植物が根付いてるとかなんとか。よし、よく分からないので燃やしましょう。車体上部でユーベルコードを使います。爆破の勢いで燃えれば最高ですね。汚物は消毒に限ります
「あと少し、ですね」
無線で入った情報のお陰で、一足早くエルデラントはバスの前方近くまでボートを走らせていた。
速さを武器としているわけでもなく、また知恵の面でもそう自信がある訳ではない。 そんな彼女が選んだ策はたった1つ――【力尽く】。
先に乗り込んだ者たち以上に、より強引に張り付きなんとかしてしまおうという事なのだ。
幸い、バスの速度はまだ早いの領域にあるとはいえ、当初と比べればもう虫の息同然。さらには次々明かされた情報もあるのだから、ボート操作技術関係なく追い付ける。
「しかしこれが、バスという乗物ですか」
バスを始めて見たような、或いは少し何かが違うような、そんな状態で感想をつぶやくエルデラント。……傍からの印象が確定せぬまま、彼女は自然と抱いた感想をそのまま口にした。
「まさか水上を走る乗物だったとは。ワタシの聞いていた情報とは少し違いましたね」
……盛大に勘違いしながらも真剣に、エルデラントはその水上を走るバスという『常識』を受け止めて風を切りつつ、ふら付くバスまで接敵。
それでもやはり、振り子のような動きで体当たりを食らわせようとしてくるバス。
動きのノロさで容易に見抜いてつかず離れずの距離のまま回避して見せるエルデラントは……静かに分析した。
「この振り子運動のような――上から下というより、下から上ですね、まるで」
言いながらもう一度バスへと急接近し、宛らサソリの尾にも似た【バックアーム】をバスの窓側目掛けて伸ばした。
その力で己を引き上げ……三度、猟兵がバスの中へと乗り込むこととなる。
中は大型なだけあって広く、また情報通り『植物が張り付いて』緑に覆われていたが、何処となく剥がれ落ちかけているように思える。
対応も……遅くも余裕あった前とは違う。
危機的状況に慌てたが如く、すぐさま植物達が伸びてきたのだ。しかし最初期と比べて遅くも脆く、対処不可能ではない。
「よし」
そう言うが早いかエルデラントは右腕を構え――刹那、【融合カノン砲】となった右腕がビームを照射。前方の鉄材諸共ぶち抜いてゆく。
そのまま上へと向け、穴を開けるとそのまま車体上部へ飛び出す。
更に【ノヴァブラスター】を構えて発射。近距離でこそ威力を発揮しうるその熱線銃が、彼女を捕えんとしていたツタ達を焼き尽くす。
「どうも……良く分からないので、ここは一つ簡単に」
更に顔を見せたのは【ミサイルポッド】。小型ミサイルが飛び、後部座席の赤い実から周りの根っこからツタから、茎からすべて吹き飛ばす。
再び【融合カノン砲】が熱光を噴出し悪あがきの一手を消し飛ばす――と同時に宣言して見せた。
「――焼き尽くして、しまいましょう」
最早抵抗できない大型バスをしり目に、エルデラントはトドメとばかりに拳を振り上げた。
その向かう先は『真下』。しかも車体上部から、床下までをぶち抜かんばかりな迫力を感じさせている。
……それは彼女の持つ改造された体が秘める力が、そう感じさせるのか。
「痛覚があるのかはわかりませんが、ご安心を。仮に存在していたとしても――」
静かに紡がれる言葉を鍵として、今h。
「――その前に殺しますから」
彼女のユーベルコードが解放される……!
「『対象を爆砕します』」
その一言を最後に振り下ろされる拳は、機械的に放たれた一言に違わぬ“爆激”の鉄拳。
――【レッドホットイクスプロージョン】――
そう名付けられた必殺の一撃は、脆くも車体を貫き、爆撃と共に粉砕される。
ツタをねじ切り、根を吹き飛ばし、残る赤い実も根こそぎ消す。
……『薄らと見える緑の何か』をも引き千切ってすべてが爆ぜ飛んで行く。
後に残る物は大ぶりな残骸のみであり、それもまた、何時の間にやら近づいていた陸地へと座礁した。
「ふむ、破壊残しがありましたが……戦果は上場と言ったところですね」
エルデラント本人は既に脱出しており、ジェットパックでボートへと戻りながら独り言ちる。
ともあれ、バスは止まった。
これでこの海域に手起きた怪事件も、終幕を見る事だろう。
――否。これだけで終わりなど、少し虫の良い考えだったかもしれない――
「……! 何かが飛び出てくる……」
猟兵達が、エルデラントが見つめる先。かろうじて残っただけの小さな残骸の中。
どういう訳かガタガタと、暴れる様に動き出しているではないか。バスが浮かび上がる様子も走り出す素振りも無いが、残骸の振動は止まらない。
ひと際強くなった……刹那、弾かれたように残骸が飛び散り、中からその正体が飛び出してくる。
恐らくは、【根】を千切られた為にこれ以上ない危機感を感じたのだろう。恐らくは、【実】を削られた故に動き切れなくなったのだろう。
飛び出してきた海上を走る大型バスの、その正体。
ソレはなんと真っ赤な輝きを湛えた――
「え」
―――巨大トマトだった。
巨大な、巨大な、トマトだったのだ……!
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『正気を奪う赤い果実』
|
POW : 硬化する赤い果実
全身を【硬質の物質】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD : 振動する赤い果実
【高速で振動することで衝撃波】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : 空腹を満たす赤い果実
【空腹】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【無数のトマトの塊】から、高命中力の【トマト弾】を飛ばす。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠赤城・傀」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
突如現れた真っ赤なトマト。
……何なんだこれは、一体どうすれば良いんだ……。
本来ならば見ただけで正気すら奪う力を持つこのUDCも、猟兵達の前では強敵オブリビオンの一種でしかない。
だがだからこそ、このトンデモない光景に三度、度肝を抜いていた。
要するにあの遺跡が祭っていた太陽の植物は、このトマトの事で。
海底に沈んでしまったのが今力を得て。
そしてエサや光を探して放置されたバスなどを使い、事件を起こしていたのだと。
……いったい誰が気が付けるのだろうか。
そんな驚きに理不尽を重ねる所業を行ったトマトは、その果実の体を激しく震わせている。
言わずもがな、怒りを抱いているのだろう。
完全な復活を果たすべく、このまま戦うつもりなのだろう。彼らを糧とする為に。
今は猟兵達も確り地を踏みしめられている。故に全力で戦える。
―――さあ、決戦の時だ。
ノルナイン・エストラーシャ
なんですかそれ。海からバスが出てバスからトマトが出るとか……
私は海に来たから魚料理が食べたいんです! なぜトマトなんですか! なぜトマトなんですか!?
……いいでしょう。どうせあなたも食べ物には違いないんです……倒して料理にしてやります!
……とは、いったものの。どうやって攻撃しましょうか。
もう一人の私にも手伝ってもらいましょう。ずっと出っ放しでしょうから。私の持つ攻撃手段で有効そうなのは狙撃銃とダガー……熱線銃は「光だから吸収するよ!」なんて言われたら大変です。【スナイパー】で他の猟兵さんを【援護射撃】しつつ、隙があればダガーも使って攻撃します。スライスにしてやります。
※アドリブ絡みOK大歓迎!
ジニア・ドグダラ
『………………全くもって、意味が、分からん!』
困惑しつつも戦闘のため、人格を第二人格である『ヒャッカ』に変更し、出来うる限りの効果を発揮できるよう【高速詠唱】を行いつつ、棺桶の【封印を解く】ことで真の姿を解放する。少なくとも相手はバスを操作して海を走破する化け物だ、注意を怠ってはいけない。
現れたる巨大な骸骨の霊は海面を【拳】で叩きつけて波や衝撃で攻撃しようとしたり、呼び出した無数のトマトの塊へ【怨嗟の声】による【呪詛】を付与し、無力化しようとします。自身は詠唱を続け、死霊を出し続けることで骸骨を強化しようとしています。
※アドリブ・他者との協力歓迎
座礁したバスへ追い付いた猟兵達が、上陸一番に見てしまったその巨大な赤い果実――『トマト』。
当然とでもいうべきか、怒りに震えるトマトと違い、猟兵達は思わず足を止めて固まってしまっている。
そんな中、一番に口を開いたのはノルナイン……未だに『非認証機能・矛盾存在(ブラックボックス・パラドクス)』で【ノルナイン】を出現させたまま、何時でも戦闘態勢に入れるようにして、そのまま固まっていた彼女だった。
「……なん、ですかそれ。海からバスが出てバスからトマトが出るとか……ホントに……」
『………もう全くもって! 意味が! 分からん!!』
援護をしようと傍にいたジニアもまた――戦闘用に第二人格・ヒャッカへ切り替えたその途端、目にしたトマトへ尤もなセリフを叩き付ける。
ジニアでも混乱して語気が乱れただろうこの物体に、常冷酷な性格をしているヒャッカが、抑えて叫ばない訳が無かった。
海の上をバスが走り、それを操っていた正体が陸地を目指していたトマトでした――などと目の前でカオスが繰り広げられれば、呆然や叫びの一つもしたくなる。
されど。
広がって止まない困惑の空気は、直後に目の前のトマト……この事件の一連の黒幕が動き出したことにより一変する。
異常な存在だというのに発声器官が無いからか、当然の如く無言のまま真っ赤に光るトマト弾を撃ち放ってきたではないか――!
牽制程度の攻撃なのか、数はあるがそこまで早くも強くも無い。
『チィ……!』
素早い反転でヒャッカは背の棺桶を盾にして見せる。
やはりそこまで威力は持っていないようだ。衝撃こそ来たが、たたら踏まずに弾くのもまた容易だった。
ノルナインもしゃがむ様にして身体を傾け、追加で飛来するトマト弾を前方へ跳躍し、難なくやり過ごして見せる。
そして――狙撃銃をトマトに力強く突きつけた。
「いいでしょう――貴方も食べ物には違いないんです、倒しておいしくいただいてやりますよ!!」
『じゃあ、やってやる……!』
【特注狙撃銃】を構えたノルナインがまず発砲し、トマトへとお返しの牽制を叩き付ける。やはりこちらもそうダメージはないが、この銃声が猟兵達を強引に呆然から引き戻してくれた。
彼女の援護射撃を受けながら、【ノルナイン】もまたトマトへと近づき熱線銃とダガーを構える。
『これなら……!』
熱線銃を嫌がっていた先の1戦を思い出し、【ノルナイン】が銃を構えるも――すぐにひっこめる。まるで待ち構えているかのように……ツルと葉っぱが飛び出て来たからだ。
全部でなくても良いから、ある程度光を吸収してしまおうという魂胆なのだろう。……撃つにしてもアソコじゃあ駄目だ、トマト本体に撃つべきだと、そういう判断で一旦銃を収めた様子。
代わりにダガーを持ち出してノルナインや猟兵達の援護を得ながら、トマトをスライスしてやるべく一気に詰め寄った。
『く……っ!1』
だがすぐに引く。……その理由はトマト本体の猛烈な振動から放たれた広範囲への無差別【衝撃波】だ。とっさに放たれたノルナインの援護射撃も、その空を震わせる無色の大波によって、脆くも散らされていく。
それも一瞬で、すぐさま銃撃やダガーによる攻撃をヒットさせることに成功する―
―のだが、火力に欠け小さく攻撃を重ねて行くのが精いっぱいだった。
「また来た……!」
その間にも【衝撃波】は大小と次々放たれて行き、思うような攻撃ができない。
何かしら『重い』攻撃でもあれば、一気に戦況は傾くのだろうが……彼女等の手元には決定打無い。
――そこで、ヒャッカの方から生じた巨大な力を、ノルナイン達は察知した。
『準備は……整った』
高速詠唱を重ね、背後の棺桶の封印を解こうとしていたらしいヒャッカ。
原理はどうあれ……あれだけの質量を持つバスを操作し海上を突っ走らせていたのだ。だからこそ“彼女達”は最初からすべてをつぎ込む算段で居た。
『集え――!』
重々しき封印が科せられているだろうそれを、戦闘開始からそう時間掛からない内に解くとは、どれほどの速さを持つ言霊が紡がれたのだろうか。
現れるは生命の埒外、その象徴……。
『己に刃を突き立てた者への惨劇を祈る、怨恨晴れぬ朽ちた者よ!!』
――ジニアの、そしてヒャッカの【真の姿】が解放される――
『オオォォオオオオオォォォオ……!!』
そうして姿を見せるは、大髑髏。戦場で、路傍で、大地の上で……朽ちて行った者達が幾重にも組み合わさり一体の髑髏を形成している。
閉じる目蓋なき眼下の奥には、幾万もの怨嗟を練り固めたような、おどろおどろしく光を放つ歪な眼球が見える。
これは『悪夢』か、それとも不完全なる『蘇り』か。
――『蛾者髑髏襲来(スケルトン・カタルシス)』――
骸の霊王、此処に現る……!
『――やれっ!!』
『オオオオォォオオオォオオ……!!』
ヒャッカの命が下るのに合わせ、蛾者髑髏が思い切り拳をトマトへと、幾度どなく叩き付けた。
見た目通りの質量と威力がぶつかり合い、衝撃波や牽制など意味もなさずに吹き飛ばされていく。……そのあまりの迫力に、猟兵達の中には圧倒され過ぎ援護の手が止まりかけている者すら居た。
『…………まだだ……!』
更にヒャッカは詠唱し続け、死霊を呼び寄せ続けることをやめない。そのたびに、蛾者髑髏が放つ威圧感も増してゆく。
しかしその間、ヒャッカは当然無防備だ。
トマトもまた強化させてなる物かと、無数のトマト塊を呼び出した――瞬間四方八方へと、先とは比べ物にならない威力をもつ【トマト弾】が射出されていく。
『ゴ、オ、オ゛オオオオオォォオオオ!!!』
大部分を蛾者髑髏の放つ咆哮――怨嗟の乗ったその声により叩き落されていくが、トマトもまた第二波、第三波と撃ちだす事をやめない。
結果間に合わず、危いところで蛾者髑髏の腕が防御し……切れない。無慈悲にもそのままヒャッカへ迫りくる……。
(『しまっ……!』)
「させません!!」
寸前でノルナインの射撃が割込み、正確無比なその銃弾が幾つもトマトを撃ち落としてゆく。
何処か気まずそうに、しかし確りと感謝を示すように――かき消され聞き取り切れない声で発せられた、ヒャッカの言葉。
それにノルナインは笑顔で答えて、敵へと目じりを吊り上げ向き直った。
「さて――大技の前に、ちゃんと下処理しませんとね!!」
気合一声。そして同じ個所へと次々狙撃を命中させるノルナインは……敢えて位置取りを変えてトマトの真正面らしき場所までズレて行く。
逃してなるかとトマトが再びトマト弾を構える。
『かかってくれたな……!』
……後に居る【ノルナイン】にも気が付かずに。
ダガーで何度も執拗に、思い裂かれて驚いたように体を震わせるトマトは、その震えも利用してあの衝撃波を周囲へ放とうとしてきた。
クリーンヒットさせた代償か【ノルナイン】の距離は近すぎる、必死に狙撃するノルナインのそれも敢えて無視されている。――今度こそ危うし。
「なんて」
『そんな訳が無い』
……突如としてニヤリ、笑ってみせたノルナイン達。
トマトが解したかは分からない。が彼女達の放つ重き弾と、逃げながらに置き土産と打ち込まれる斬撃は何ら迷い無いものだ。
それもその筈だろう――完了したのだから。
『オ、オ、オ、オ、オ……オォォオ……ォォオ!!』
ヒャッカ従える蛾者髑髏のパワーアップが、遂に。
一回り、いや二回りも大きく見えるその大骸骨相手では“神”と称えられてきたらしきこのトマトもおびえざるを得なかったのだろう。
そのまま蔦やツルを伸ばして後ろへ……もしかすれば、出て行きたかっただろう海の中へと戻ろうとしたが、やはり遅い。
「そこっ!」
『フン!』
続いた狙撃とダガーがツタを斬り裂き、一瞬の間隙を作り出したからだ。
ヒャッカは迷わず蛾者髑髏の手を伸ばさせ、トマトを掴み、持ち上げてみせる。
『――叩き付けてやれっ!』
その言葉に合わせて今度は声にならぬ咆哮を迸らせつつ、両の腕で抱えて内陸へ近づけ、更に思い切り拳をぶち込んで指令通り叩き付けてみせた。
このコンボにはさしものトマトも無視できないダメージを被り、様子が分かり難い筈のそれから明らかな不詳の気配を感じる。
「行けますよ……これは!」
『ああ。きっちり、仕留める……!』
「そして、倒して料理にしてしまいましょう!」
それぞれ個性ある一声を元に、二度目の攻勢へと乗り出していった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
レイチェル・ケイトリン
遺跡とかいろんなことおもうけど、オブリビオンだから敵だよね。
念動力と吹き飛ばし技能でサイコキネシスをつかって
空気を操って真空のかまいたちがたくさんはいった強い風を
叩き付けて攻撃してふっとばすよ。
振動は真空をつたわらない、衝撃波は進行方向にしかうまれない。
もちろんほかの人への攻撃もかばう技能もつかってふっとばしてふせぐね。
トマトはもともとは南アメリカの植物で、そのへんのむかしの文明ってモンゴロイドだったかな、日本のひとたちにも近い感じのひとたちがつくってて……とかいろいろおもしろそうだけど、まずはいま生きてるひとたちがもうころされないでいいようにすることがいちばんだいじだものね。
トリテレイア・ゼロナイン
※OK
まさか謎の太陽の正体が邪神トマトとは
そしてまたトマトと闘うことになるとは…(これで二回目の遭遇)
…気を取り直して戦いましょう。海上に移動される前に叩かなければ
前に戦った経験を活かし、トマトの行動を「見切り」、トマト弾や衝撃波から仲間を「怪力」「武器受け」「盾受け」で「かばい」ます
もちろん個体差による変化も考慮に入れますが
召喚されたトマトは「スナイパー」技能を使って格納銃で破壊しましょう
硬質化されるとやっかいですが……、そう言えばUDC組織に海底の障害物を破砕する爆薬を用意させていました
身動きがとれない間に取り付けて解除と同時に爆破してみましょう
取付中に解除されたらUCを使いつつ私ごと爆破
動揺と混乱、そして呆然。
海のバスから飛び出したトマトを目の前に猟兵達が、皆々そんな感情に陥っていた中で――最初からある程度ながら冷静だった、とある二人の猟兵がいる。
それは海底探査でも協力したトリテレイアとレイチェルの二人。
「遺跡にまつられていたとか、いろいろあったけど……オブリビオンなら敵だよね」
片や猟兵とオブリビオンの【亀裂】に従い、戦意と念動力を高めるレイチェル。
「まさか謎の太陽の正体が、トマト――しかも再び戦う事になるとは……!」
片や以前の戦闘経験から状況に対しての驚愕のみで済んだ、トリテレイア。
その理由は双方まるで違うものの、トマトの与える衝撃を序盤で乗り切った事に変わりなかろう。
(ここは前に戦った経験が活かせそうですね)
先の猟兵達の活躍によってトマトは陸地へと大きく投げ込まれた。
戦況が動いていく中で、トリテレイアはまず後方より味方を援護しつつ、前回の【トマト】との相違点を見抜くことに集中する。
(依然とは違う個体に見受けられます……慢心は、禁物でしょう)
今彼が考えた通り……正確な見切りを行うには過去のモノだけでなく『生の情報』も必要だ、とそう考えたからである。
彼は腕より現出させる、格納された銃器【多目的速射砲】によるバラ撒きを行い。
間に合いそうにない――と思った反撃は頭部に仕込まれ、其処が牙を向くように開き現れる【展開式機銃】で勢いを殺し、順調に差異を見分けていく。
【高感度マルチセンサー・収集情報解析ユニット】を使う事も怠らない……熱、音、振動などの様々な情報を読み取り、以前の一戦との違いを細かく算出していた。
(……若干のパワーバランスの相違こそありますが、大きな違いはないようですね)
ならば『あれ』が利くだろうと、トリテレイアは簡易的に作戦を組み立てていく。本来ならば別の個所で使う予定だったのだが、今この場でも充分使用可能だろう。
――芯までダメージが通るかなど不明な所はあれど、決まりさえすれば、それは追撃で十分カバーできる。
「後は私自らも接近するのみ、ですね……!」
その重き鋼の足に力を籠めて蹴りだし、近距離でトマトと戦う猟兵達へとかけていく。
「ふぅ……!」
トリテレイアが後衛の立場から飛び出したよりも早く、軽やかな足取りでレイチェルもまたトマトへと接近。……彼女は以前戦ったことこそ無いものの、この奇天烈な経緯から思わずか、トマトそのものについての情報が頭の中を巡っていた。
元々は南アメリカの植物であったこと。
それを源流とし、今降り立っているUDCアースのこの地の人間達と、似た民族が育てて居た事。
それを源流とし積み上げられただろう歴史。
面白いが故、少し踏み込んでみたいと、またトマト自身に何があるのだろうかと、レイチェルは思いを馳せてもいた。
―――だがそれ以前に。
(いま、生きている人たちがころされないようにすることが……だいじだもんね)
猟兵であるという事以前に人として……善の側としての教示と決意が、レイチェルの思考を一瞬で戦闘の方へと傾かせる。
「……いくよ……!」
指輪型のウェポンエンジン、計五個の【サイコブースター】が起動する。加え、幾重にも重なった不可視のオーラが『揺らぎ』を見せた事を感覚へと伝えてきた。
……その力の渦を感じ取ったらしいトマトは、何度メカになるトマト弾を無数に連射。一瞬ばかり無防備な格好となったレイチェルへと紅の弾丸が迫る。
「させません!」
だがトリテレイアが怪力を発揮して武器と立てて受け、庇って見せた。いつのまにやら其処まで近づいていたらしき彼は続いてくる衝撃波にも対抗しようとし――
「振動は、真空をつたわらない……」
剃刀の如き鎌鼬を含んだ、荒く渦巻く強風がレイチェルの手により巻き起こされ、先に叩き込まれた大ダメージもあってか衝撃の威力は激減していた
「……そして、衝撃波は進行方向にしか、うまれない」
「見事……!」
ユーベルコード同士だからこそ生まれた『自然の摂理』の際現に、トリテレイアは思わず賛辞を口にする。
まだまだレイチェルの繰りし暴風は勢いを止めず。
寧ろ威力を引き上げたまま当たりの砂礫を巻き込んでいく……天然の刃が二乗と重なり乱れ裂く旋風を顕現させてみせる。
―――しかし力押しの一撃だと見抜いたのだろう。トマトは何と全身を【硬質の物質】へと変換させ、その刃のミキサーから身を守っていた。
「……ええ、そう来ると思っていましたよ」
それすらも作戦の範疇だったと、果たしてトマトは見抜けていただろうか。
何時の間にか至近距離まで寄っていたトリテレイアに、気が付いたかのように傾くトマトだったが……もう遅い。
「元はUDC組織提供の爆薬。探査時の障害物爆破の為の物でしたが―――」
【硬質の物質】化を解くための時間すら与えられず、サイズに違わぬ爆風を臭家と解き放ち、顔を背けて程の熱量を発する巨大な爆破に呑み込まれていくトマト。
「ふっとべ……!」
追加で念動力を込めた『サイコキネシス』がより猛々しき螺旋の刃風を巻き上げては叩き付け、爆発に気を取られていたトマトを更に内陸の方へと押し戻していく。
トリテレイアの腕から、そして顔から放たれる追撃の銃撃がトマトへと無数の切り傷を付けていく。
やがて等々ツタでの固定ですら耐えられずに、赤い果汁をまき散らしながら吹っ飛んだ。
ずうぅうん……! と派手に音と土煙を挙げて墜落したトマトに、二人は油断なく戦意籠る視線を向ける。
……気のせいか。
陸へ飛ばされたトマトの怒りと敵意に、少しだけ別のものが混じったように思えた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
木目・一葉
――ハ!?
ぼ、僕としたことが思考を放棄していた
今日のご飯はトマト!
「って、違う!
こんな動くトマト食いたk……それも違うぅ!」
そうだ!
僕には分かる、これが巧妙な罠だと
あの姿で僕達の油断を誘っていると
そうに違いない
「ふ、フフフ
そんな手にかかる僕ではない」
・戦闘
真の姿を解放
トマトから常に一定距離を保ち、『妖剣解放』の衝撃波でトマト弾を迎撃
振動し始めたら射程外へと退き、終わったらまた距離を詰める
隙ができたら影の追跡者から『影人の縫い針』を放ってUC封印を行う
豊作の神への信仰が篤かったのか
恵みへの感謝が深い民族がいたのか
トマト自体が何か信仰の証だったのか
とにかく
「遺跡のロマンが、トマト……」
ガクッ
澪織・梅
巨大トマトがなんぼなものですか!唐揚げより偉大な食べ物はこの世にありませんっ!!
持参してきた唐揚げを尽きないように食べつつ、唐揚げから貰ったパワーで全力を持って【戦闘知識】を駆使して巨大トマトを強化警棒でひたすらタコ殴りです!
そして巨大トマトを戦闘しつつ動き、特性などを【情報収集】し、弱点を見つけてそこを叩きます!
表面を硬化させようとしたら強化警棒で【気絶攻撃】をして防御される前に動きを止めさせます、衝撃波は安全を考え回避に専念です!
無数のトマト玉?唐揚げ食べてるから味方を危険に晒しそうなの以外は無視です!
▼アドリブ・他猟兵との協力歓迎
――どこか空気の変わり目を感じつつも戦闘は続いて行く――
だがあと少し。……トマトを討伐するまで、残り少しを切ったと言えよう。
敵から感じる圧力が、見て解るほど徐々に弱まってきているのだ。
叩き付け、投げ飛ばし、吹き付け、刻み、爆破する――それら怒涛の攻撃にはさしもの【神の器】も耐えきれていないらしい。
まさにチャンスである。
「―――ハッ!?」
……そんなチャンスな光景の中で、トマト弾を【グリューアンクル】で弾き、また【妖の小太刀】で蠢くツタを切り落としながら。
まさに『眼が死んでる』としか言いようのない一葉が、そんな声を上げてトマトに向き直った。――どうも今までの捌きは無意識の内に行っていたらしい。
「そうだ僕の今日の晩御飯はトマト……じゃないこんなトマト食べたくな――じゃなくて!」
何時もの性格が崩れてしまい、根っこの部分が表に出てきてしまう始末。
が、無理もないだろう。
彼女の中に伝来していた思いが、彼女の意識を半ば刈り取っていたのだから
不謹慎だと思いつつ、ロマンを感じずにはいられなかった海底遺跡。
二つの太陽というキーワード。
そして海上を走るバスというトンデモない怪異。
……その果てに現れた赤い果実。
豊作の神への信仰という分かりやすい指針か、恵みへと深い感謝をもつ民族という感謝の念の発露か、珍しい【トマト】そのものが信仰の証であった可能性か。
――だがそのいずれにせよ……。
「遺跡のロマンが、トマトって……!」
ガックリ来てしまっても可笑しくはないだろう。まして、人一倍期待が強かったなら猶更の事である。
何故トマトなのか――トマトこそ偉大なのか……!
「なぁにが巨大トマトがですかっ!」
半ば流されるようにして剣を振るいかけていた一葉の自棄染みた足取りを、其の勇ましき少女の声が止める。
振り向いてみれば、その声色の高さから想像できる通りの――齢7~9歳程の少女だった。
彼女もまた猟兵であり、且つUDCエージェントの一員。黒っぽい紫の髪をツインアップに纏めており、確りとした意志ある瞳がただの小児でないことを告げている。 胸を張り、そして何処か起こっているような口調で、少女・澪織・梅は……『あるもの』を取り出しつつ気炎を吐きながら告げてみせる……!
「真に偉大な食べ物は『唐揚げ』っ! 唐揚げに勝る食べ物はこの世にありませんっ!!」
「―――え?」
……一瞬、場の空気が最も混沌に染まったのは、気のせいではあるまい。
そんな空気など何のその。
梅は信望たまらんとばかりに唐揚げを食べては呑み込み、口に持って行っては咀嚼し、また次の持ってくるとエンドレスで繰り返している。しかもその勢いで尚尽きぬよう調整している細やかさだ。
「外はカリカリ! 中ジューシ~……どこ齧っても同じなトマトと比べるまでもなく、唐揚げはまさに天上を頂く最高の食物と言えるでしょう!!」
此処まで来て何やってるんだ貴方――など、そう思う暇もない。
何故ならば梅の内側からコンコンと、莫大なパワーが湧きで、全身にみなぎっていくからだ。
(あ、アレもユーベルコードなのか!?)
カラクリに気が付いた一葉と時を同じくして、内陸の方へ進もうとしていたトマトもまたツタをうならせ、その力に気が付いた。
「パワー全・開! いきますよぉっ!」
棒状武器――【特殊作戦用電撃式強化警棒】を手にした梅の速さは、筆舌に尽くしがたい超速の域。飛び出す間際まで唐揚げを食んでいたその分まで、一気に上乗せされているかのようだ。
とことん進行の邪魔をされてトマトも等々キレ始めている様子か、トマト弾に続いてのツル攻撃から衝撃波のコンボまで繰り出してくる。
「はぁっ!!」
梅はトマト弾を何個も叩き落し、ツル攻撃は回避して其処へカウンターを叩き込み、衝撃波に対しては大きく後ろに下がりながら……なおも唐揚げを食して己のテンションをどんどん引き上げていく。
唐揚げは確かに揚げたてが美味い。
しかし冷めたものがまずいわけでは決してない――寧ろ、揚げたてでは味わえない旨味がある。
「この前後半の二重奏こそ唐揚げの真骨頂! トマトのこんな真似できますか、いいやできません!!」
海から出たバスにトマトが取り付いていたというカオスへ、戦場に飛び込んで唐揚げを食しパワーアップという更なるカオスで対抗した、その判断は大正解だったらしい。
「ハハ……みんなが道を作った、そして彼女も頑張っている、か。なら呆けている場合じゃないな!」
まるで喜劇の様な、トンデモない大活躍を目の前にして……一葉は苦笑いしつつも己へと檄を飛ばし、改めて両の刃をを握る。
そうとも、呆れて突っ立っている暇などない。
此処からは今まで呆気に取られてしまい、刃を差し込めなかった分を挽回する時だ。
「あ! ま、待ちなさいっ!? ……危な、うわっ! このぉ!!」
命を削るが如く赤き果汁を噴き出して、そのまま声なき咆哮を上げ猛攻を始めたトマトは、その上に攻撃の威力と勢いで遠ざかろうとしていた。
梅の手持ちの武器と、彼女の素のスペックでは一歩追いすがれない。唐揚げを食べ続けてテンションを維持してはいるが、時間の問題だ。
……更にこのままトマトが進み、行き付くだろう先にあるのは、民家。
犠牲になった、もしくは巻き込まれた漁師たちの居場所。
猟兵として守るべきモノ達だ。
「させる――ものかぁ!」
逆転に次ぐ逆転を、更に逆転で返すべく、一葉は全てを解き放つ。
刹那。
赤黒い噴煙が巻き起こったかと思えば、活火山の如きエネルギーでそれらが吹き飛び……隠れていた一葉の姿をさらけ出す。
文様のように刻まれた筋より耐える事ない焔を吹き、罅割れようとも堅牢さを醸し出す焼けたような角。この闇の中でもより『黒く』見える影。
木目一葉の【真の姿】のお目見えだった。
「さぁ、本番だ!」
そして何時の間に開放した妖刀の怨念を、彼女がその灼熱の身へ纏いきったとき――その場から一瞬で消える。
「せええぇっ!!」
次に現れた場所は、トマトのすぐ近くだ。
【グリューアンクル】の重い一撃はトマトを再び逆方向へ押し戻し、反撃と放たれたトマト弾は衝撃斬波により脆くも散ってゆく。
ツル攻撃など熱波で押し戻され、またバターの如く斬られ、モノの役に立たない。
トマトの放つ衝撃波など言わずもがな。……射程外ギリギリまで下がられやり過ごされるだけ。またもや残像が現れ、それが消える間もなくトマトへ振るわれた二刀が灼炎の軌跡を描く。
焦れに焦れたトマトは全方位へと無数のトマト弾を放射してくる……のだが、大多数は一葉に押し戻され、落とし残しも猟兵皆軽々と避けていく。
更に梅は追加で唐揚げを食す。
「む……!? 不味い!」
されど相手は最後の最後で攻めの手の抵抗を選ばなかった。その身を【硬質な物質】へと変え始めたのだ。
耐えきられ、日の出まで待たれた時、何が起こるか分からない。
「そんなこと……っ!」
だがトマト弾に対処していた一葉の刃は、ほんの一瞬、足りなかった。
「させてたまりますかぁ!!」
そう、彼女の刃は届かなかった――代わりに、唐揚げパワーで再復帰してきた梅の痛烈な一打がクリーンヒット。【硬質な物質】への変化はあと一歩で無に帰す。
『今だ』……その直観に従った一葉は小太刀を目にもとまらぬ速さで振り抜き、赤の六花咲く連撃を決めてみせる。
その威力すら利用し最後の悪あがきを行おうとしたトマトは、しかし。
「『影よ、仇なす業を縫いつけよ』!」
後ろに回らせていた【影の追跡者】を媒介に発した、無数の縛針【影人の縫い針】に見事縫い留められてしまう。
それはほんの一瞬の事。そして戦いは一瞬で切り替わる無情の理。
だからこそ、それが明暗を分け―――。
「か・ら・あ・げ……ストラアアアアアァアアアイク!!」
剥き出しになった中身へと、電撃を纏った強化警棒による、梅渾身の一撃が思い切りぶち当たる。
それで終。
全身に亀裂を走らせたトマトは、どこか『安らぎ』の感情を見せながらに、光の粒を飛散させて……消えて行った。
……かくして海の影はバスであり、そのバスからはトマトが現じ、其のトマトは唐揚げの手により葬られた。
オブリビオンとしてならば、かの器はまた戻ってくるだろう。
だがそれでも、トマトが安寧へ還れたことを。
そして何よりも犠牲者たちが報われたことを。
切に切に皆が祈り、紅の光粒が消えるまで、何時までも見つめ続けている。
――彼らの勝利を湛えるかのように、東の空はうっすらと白見始めていた――
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵