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迷宮災厄戦⑩〜Dのラビリンス

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦

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●アリスラビリンス・ハートの女王が住んでいた城
 ハートの女王の石像は、小さな部屋に佇んでいた。ハートの女王は、オウガ・オリジンに戯れに殺された、かつての忠臣。その怨念は城内に籠もり、複雑な迷宮を生み出した。
 迷宮は、床と天井がサイザル麻を圧し固めたブロックで組み上がっており、ブロックは所々ほぐれた形で穴を塞いでいる。
「例え死しても……この城はわらわのものじゃ……」
 呟いた石像の背後に、柱と呼べるほどの巨大な鉄の針が、天井を突き抜けて突き刺さった。
『ワンハンドレッドセブンティーセブン……!』
 迷宮内に、女王のものではないとても低い声が、謎の「数」の宣言を響き渡らせる。
「6本で『357』……残りは『144』か……」
 石像は、その「数」を頼りにするかのように、部屋を後にした。その直後、鉄の針は上へと抜けて部屋から消え、ほぐれたサイザル麻が穴を塞いだ。誰もいなくなった部屋の壁面は鋼鉄でできており、壁面には部屋の名が彫られていた。
『TRIPLE19』と。

●グリモアベース
「皆さん、お集まりいただき、ありがとうございますぅ。アリスラビリンスの闘いの予知をお話ししますぅ」
 グリモア猟兵の少女、ミント・キャラメル(眠兎キャラメル・f25338)は猟兵達に語り始める。
「皆さんもご存じの通り、アリスラビリンスは『迷宮災厄戦(ラビリンス・オウガ・ウォー)』で大変なことになっていますぅ。この闘いは、オウガ・オリジンを今月中に倒さないと、アリスラビリンスが消滅してしまいますぅ。猟書家も気になりますけど、皆さんにはオウガ・オリジンの方に駒を進めてもらいますぅ」
 ミントはグリモアに城の映像を浮かべる。
「このお城は、ハートの女王のお城ですぅ。このお城を抜けるのが早いのですけど、お城の中は迷宮になっていますぅ」
 グリモアの映像は、迷宮の俯瞰図に切り替わる。迷宮は円形で、中心に二重丸があり、その二重丸からは放射状に19本の壁が伸びていて、20等分された区画にも壁が弧を描くように、細い小部屋を中心と円の端に設けていた。外側には、何故か俯瞰状態で読めるように、時計回りに「20」「1」「18」「4」……という数字が三つの連続区画に割り当てられていた。
「もしかしたら判る方もいるかもしれませんが、迷宮はダーツボード状になっていますぅ。真ん中の二重丸の部屋が迷宮のスタート地点で、外側の細長い部屋に設けられた出口を目指しますぅ。出口は部屋に『針』が刺さっている間だけ開くので、どの番号の部屋を目指すかで脱出のしやすさが変わるかもしれませんねぇ」
 ミントはグリモアの映像をハートの女王に切り替える。
「ハートの女王の石像は、結構な数がいますぅ。倒せなくもないですけど、手数でジリ貧になって捕まると思いますぅ。触られると城外にテレポートさせられるので、逃げ回る方が楽で確実ですぅ。それじゃあ行きますよぉ。グリモア・イリュージョン! ワぁン・ツぅー・スリぃー!」
 ミントの声に応じて、グリモアは大きくなり、実物大の映像になる。
「転移の準備は完了しましたぁ。皆さん、よろしくお願いしますぅ」
 猟兵達は、次々にグリモアの中に駆け出して行った。


鷹橋高希
 2020年8月の戦争イベント「迷宮災厄戦(ラビリンス・オウガ・ウォー)」の戦争シナリオで、全一章となります。
 オープニングが承認され次第、プレイングを受け付けます。
 今回は、オウガ・オリジンへの最短ルートへ、アリス適合者のミントがご案内します。

 このシナリオには、下記の特別な「プレイングボーナス」があります。これに基づく行動をすると有利になります。

 プレイングボーナス……地形を利用して女王の石像と追いかけっこする。

 それでは、よろしくお願い致します。
 びびびびびび。
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第1章 冒険 『女王の石像から逃げろ』

POW   :    女王の石像の集団に追いかけられながら、迷宮内をマラソンしつつ迷宮を探索する

SPD   :    女王の石像に見つかる度に、全速力で振り切って安全を確保しつつ迷宮を探索する

WIZ   :    女王の石像に見つからないように隠れ潜みながら迷宮を探索する

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

水心子・静柄
ダーツね…6本投げて残り144なら残り3本で最短を狙うわよね。それならtriple20が2回続いて最後にdouble12だから、最初に目指すのは20の区画で、真ん中の細長い部屋を通過したら、12の区画から外側の細長い部屋を通過してゴールかしらね?とりあえず、そういう目標を立てて迷路を突き進むわ。道順で悩むだけ無駄だから第六感と野生の勘でノータイムに判断して突き進むわ。途中のハートの女王の石像はやり過ごして、どうしようもない時は錬成カミヤドリで複製した脇差を操作して遠距離から壊すわ。



●1st Leg
「ダーツね……6本投げて『上がり』の目があれば残り3本で最短を狙うわよね」
脇差のヤドリガミにして理系猟兵の女性、水心子・静柄(剣の舞姫・f05492)は必要な数字を弾き出した。
「残り144なら、triple20が2回続いて最後にdouble12だから、最初は20を目指すことになる。180点が2連続で残り141でも最後のdouble12は同じね。triple19を打つ順番が8本目か早いラウンドかの違いだけ」
彼女は、二重丸の部屋から延びる20等分された区画から20を進む。末広がりの部屋の突き当たりの壁に、ドッ、という鈍い音と共に起きた震動を合図に壁に穴が開いた。その部屋に入ると、部屋は予知で見た通り狭く、「針」が突き立っており、三方に今くぐったのと同じ穴が開いている。さらにハートの女王の石像が迫っている。
(恐らく、あの「針」が刺さった部屋の四方の壁に穴が開いて通れるようになるのね)
静柄の判断は、この部屋を左に――5の小さな部屋に進むことだった。逃げ回りやすさなら正面の20の大きな部屋に行くべきだ。しかし彼女の第六感はその理を否んだ。二本目の「針」は、彼女が通った直後に、穴を塞ぐ形で突き刺さった。5の小さな部屋に石像はなく、20で遭遇した石像は追ってこなかった――あるいは「針」に圧し潰されたか。城外追放を免れた静柄は一息つくが、三度目の震動が右斜め前から響くと再び身構える。
『ゲーム・ショット……!』
低く響く声は獲得点数を読み上げなかった。つまり、今ので「上がり」だ。しかし、今いるのは5の小さな部屋だ。刺さっているはずのナンバーからして違う。どうする、と静柄が考える前に、部屋の正面――12に通じる壁だけに穴が開いた。野生の勘が行くしかないと告げ、身体は既に駆け出していた。
 12の小さな部屋は「針」もなしに四方全ての壁面に穴が開いており、右に曲がった先の部屋も全ての壁に――二つ隣の14および20までは開いていない――穴が開き、両側、そして正面から石像が迫っている。「針」が抜かれる前に向こうの細長い部屋に辿り着かねばならない以上、もはや正面突破しかない静柄はユーベルコード「錬成カミヤドリ」で脇差を75個複製し、自分の周囲と正面に念力で舞わせて、石像を壊しながら駆け抜け、天井へと「針」が抜けていくのを見ながら壁に開かれた出口をくぐった。その瞬間に出口は姿を消し、おのれ猟兵め、と石像達は『DOUBLE12』と書かれた壁を睨み付けていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

アルミィ・キングフィッシャー
要するに、だ。
脱出口はランダムに決まるからそこで待つってのが得策って言うことと、石像達は開いた道を目指すって事。あとはダーツのルールってのを考えれば最初の方は大きな数字の部屋が開くだろうとそういうことか。やったことねえから知らないが。

話を聞く限り501ってやつか。ならどこかで奇数を一回は狙う必要がある、なら2の方向を目指そう。両脇に17、15があるしそっちに移動をしやすい。

部屋の形としては見通しが良いから、接触しやすい。気配を感じたら隠者の指輪で隠れてやり過ごすか、少なければ先制してクロスボウで撃ち殺そう。

最後の部屋は隠者の指輪でスルーしよう。相手が固まっているのが分かってりゃ楽なもんさ。



●2nd Leg
「要するに、だ。脱出口はランダムに決まるからそこで待つってのが得策って言うことと、石像達は開いた道を目指すってこと。あとはダーツのルールってのを考えれば最初の方は大きな数字の区画が開く、そういうことか」
やったことねえから知らないが、と二重丸の部屋で呟いたのは、アルミィ・キングフィッシャー(「ネフライト」・f02059)。彼女は、二重丸の部屋から延びる20等分された区画を見渡す。どの区画も形状は全く同じで末広がり。これといった障害物もなく、見通しが良い。つまり、見つかりたくない形状の迷宮だ。
「話を聞く限り『501』ってやつか。ならどこかで奇数を一回は狙う必要がある、なら……」
ドッ、ドッ、ドッ、と鈍い音と共に迷宮がかすかに震動し、
『ワンハーーンドレッドエーーイティ!!』
「……2を目指そうか。両脇に17と15がある」
20の区画の先に開いた穴から、部屋の中にハートの女王の石像を見て、アルミィは素早く身を隠し、左に15、右に17のある2の区画を進む。
 点数は着実に減り、たまに遭遇する少数の石像をでクロスボウで打ち壊しながら、残りの点数は100点――謎の低い声が読み上げているので間違いない。
「奇数は先に処理されたか……だけどね」
何度も感じた鈍い音と震動を、また身体に感じる。一度――二度目が来ない。しかし、100点は一本では「上がれない」。
「……そう、『絶対』はないのさ」
二度目はアルミィの言葉より後に響き、三度目はさらに遅かった。明らかなリズムの乱れ――つまり、このラウンドはミスプレイだ。
『エイティファーイブ……!』
このラウンドでの得点は85点で、残りは15点と再び奇数になった。これで出口になり得る部屋は4・2・1の三つ。
(ここからの計算ならアタシでも判る。最初は7……)
一度目は右側から響いた。
(そして次の4の端が外れてくれれば……)
二度目は左斜め後ろから響く――「上がり」の声は、ない。
「《ヒドゥン》」
(この2の端が決まって、アタシが「上がり」!)
 三度目を待たず、アルミィはユーベルコード「隠者の指輪」に力を込め、自身の姿を消し、駆け出した。一拍置いて三度目の震動。
『ゲーム・ショット……!』
低く響く声を合図に2の区画に面した全ての壁――最奥の細長い部屋は正面のみ――に穴が開き、両側から石像が迫るが、アルミィは既にいない。最奥の部屋に辿り着いたアルミィは、部屋に突き立った「針」と、石像の集まっていない場所を巧みにすり抜け、『DOUBLE2』と書かれた壁に開かれた出口をくぐる。
 天井へと「針」が抜けていくと、壁に開かれた出口は最初からなかったかのように姿を消し、来なかったのう、と口々に呟く石像達も姿を消した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

天津・麻羅
ふむ、ダーツか…よォわからん。とりあえずは点の取り合いなんじゃろ?なら一番大きい点を狙うのが世の常じゃのう。この場合は20点じゃったかのう?そっちの方向に向かうのじゃ。まぁ20点付近をうろちょろしておればいずれ出られるであろう。

おっとその前に、石像の対策をせねばのう。そこら辺にあるものでハートの女王の石像に似せたものを造るのじゃ。それでこの神自らゴッド・クリエイションで生命を吹き込んでやろう。能力は硬度が良いかのう。あとはわしの後を着いて来させて、本物の石像の気配を感じたら造った石像の影に隠れ、本物の石像に追いかけられたなら造った石像を間に入れて追いかけらておるフリをするのじゃ。



●3rd Leg
「ふむ、ダーツか……よォわからんが、点の取り合いなら、一番大きい点を狙うのが世の常じゃのう」
天津・麻羅(天目一箇神・f16621)は迷宮の中心にある二重丸の部屋から、周囲の細い小部屋を見渡していた。
「最も大きい数字は20じゃな。こちらへ向かおう……おっと、その前に」
麻羅は人差し指で天井のサイザル麻のブロックを指差して、一つ一つなぞるように指を動かす。一通りなぞったら次は床のブロックへ。すると、それぞれのブロックから少しずつ繊維がほぐれて麻羅の目の前に集まってくる。その繊維のかたまりは徐々に人型を形成し、こうじゃな、と彼女が頷いた時には、繊維のかたまりはハートの女王の姿になっていた。
「女王の器よ、神であるわしの力の下に生命を吹き込んでやろう」
麻羅が人差し指で繊維の女王をつつくと、その姿はぎゅっと圧し固められたように輪郭がはっきりする。手の甲でコンコンと小突いたそれは、石像と呼んでも差し支えない硬度を有していた。
「我ながら素晴らしい出来じゃ。さあ、付いて参れ」
少女の姿をした神と、ユーベルコード「ゴッド・クリエイション」で生み出された女王は、20の区画を行く。
 麻羅の推測通り、「針」は20の小さな部屋とその周囲に突き刺さり、その度に部屋を行き来できる穴が開いて、いくつもの石像が往来する。石像の気配を感じる度に麻羅はサイザル麻の女王にその小さな身を隠してやり過ごし、読み上げられた残り点数は――120点。
「これで決まりじゃな。出口へ向かおうかのう」
一本目の「針」が小さな部屋を開けると、サイザル麻の女王の背後から麻羅は飛び出し、それに不意を打たれたと言わんばかりに一拍遅く――追い付かないよう同じ速度で――石像が彼女を追う。さらに本物の石像が追走するが、サイザル麻の女王は走路と速度を調整し、石像を妨害する。次の大きな部屋に二本目の「針」が突き刺さると、左右の壁から麻羅を追放すべく石像が殺到するが、サイザル麻の女王が後続の石像を打ち壊し、麻羅に迫る石像をも破壊する。三本目の「針」が先の部屋に突き刺さり、点数を読み上げていた声が「上がり」を宣言すると、出口が開く。しかし、逃がすまいと大量の石像が立ちはだかる。
「もう追われておるフリは通用せぬな。申し訳ないが、お役御免じゃ」
麻羅が指を鳴らすと、サイザル麻の女王は弾け飛び、女王の石像に網となって降り注いだ。一網打尽とされた女王は、神に触れることも叶わず、小柄な少女が悠々と迷宮を後にする様を眺めているしかなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2020年08月16日


挿絵イラスト