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名浮世絵師の災難

#サムライエンパイア

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#サムライエンパイア


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 関ヶ原の戦いで戦国時代は終焉を迎え、若干の戦の爪痕は残しつつも、人々の努力と幕府の安定した治世もあって、もはや力こそは正義、な、遺風は消えつつある、サムライエンパイヤの世界。

 と、いうわけで。今は剣術(やっとう)や柔術などの格闘技のみならず、歌や戯曲などの技量を競い愛でることはもとより、絵画に価値を見いだす者も少なく無くなった。領主や高官、豪商や豪農達の中には、絵師を見いだし、自らの希望する一品物の、豪華な肉筆の浮世絵を依頼し蒐集、これをお互いに披露しあう風習が出来ていた。

 中には作品を次々と依頼、購入する者もいて、口さがない庶民に、
「あれは、沼にはまっている。」
 等と言われる者もいるが、それはまた別の話。

 ところが。納期を過ぎても浮世絵が完成しないという事態が、一人ならず何人も出ているではないか。領主達は桜の樹木見と併せておこなわれるはずだった、披露会に持ち寄ることも出来ず、やきもきしている。

「と、いうわけで。かなり妙な事件が起きているんだ。」
 何故かスケッチブック片手に、サリー・オーガスティン(鉄馬の半身・f02199)は、猟兵達に語りかける。
「実はボク、前に依頼を受けてお城下へ行ったことがあるんだけど、絵師、と呼ばれる浮世絵を描くことに長けた方々がいるんだ。」
 ここで、スケッチブックを広げる。自らの肖像画と、鵺の絵が、単色ながら力強いタッチで描かれていた。

 その絵師達が、複数の「座」ごと、行方不明になっているというのだ。
「その、座、とは?」
 サリーは慌てて説明を追加した。
 原画を描き、一点物はそれに豪華な表装を施し、依頼者へ引き渡す、いわば「技能士集団」の事をそう呼んでいる、と。

「本来なら、完成品を領主や高官達が持ち寄って、桜の樹木見に併せて品評会をするはずだったんだけど…。」
 古地図風の地図を持ち出して、桜の絵が描かれている小山を、指さした。

 ここで、樹木見の準備にかこつけて、会場にいる者に聞き込むが、関係者に紛れて客人から情報を得るか、兎に角手がかりを得ることが第一の目的となる。

「そして、もうひとつ気になるのが。」
 サリーは話を続ける。
 演劇や音曲の、いわばポスターを作成する、版画を作成する「座」の者達まで行方不明になっている。その捜索と保護も必要となり、そこまでしてようやく、その犯人の割り出しと退治に至る、というのだ。

「どうも嫌な予感がするんだ。ほっといたら、大げさかも知れないけど、世が乱れるかもしれない。どうか、この集団行方不明事件を解決してください!」
 本当なら自分が先陣を切って、向かいたかった。が、猟兵達の転移能力にその力を専念しなくてはならない事を悟り、内心の不安を心に抱きながら、サリーはその力を使うのであった。


ザムザム
 ザムザムです。2作目です。
 まさか自分の参加した依頼から、こんなオープニングを思いつくとは…感謝!

 肉筆の浮世絵の品評会は、本当にあったそうで、年始の挨拶の際にカレンダー仕立てのそれを持ち寄ったという、なにそのセレブな有明漫画祭り?

 第1章と第2章で「座」の方々を捜索し、第3章で主犯を倒す、という流れになります。

 何卒事件解決の程、よろしくお願いいたします。
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第1章 冒険 『桜の樹木見と桜餅』

POW   :    緋毛氈引いたり、傘立てたり、会場準備を行う。桜餅を勢いに任せていっぱい食べる。

SPD   :    小物や飾りを運んで飾ったり、会場準備を行う。素早く桜餅を確保する。

WIZ   :    魔法や、いろんな力で会場準備する。桜餅は計画的に確保しておく。

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ここはお城下の桜の小山。
 本来なら、ここで、樹木見と併せて、豪華な肉筆の浮世絵の品評会がおこなわれるはずだった、が。

 作品は間に合わず。
 雰囲気はそう言ったわけで少々暗くはなってはいるが、今更予定も変更できず、桜の樹木見会として決行となった。

 さて、絵師様や「座」に何があったのか?「天下自在符」を手に、猟兵達は行動を開始したのであった。
トリガー・シックス
目的は失踪した座及び絵師たちの捜索、救助。
彼らを知っている者に接触できれば、失踪する直前の様子がわかるかもしれない。
不審な影を発見したらユーベルコード『影の追跡者の召喚』を使い、対象を追尾させる。



 トリガー・シックス(傭兵・f13153)は、絵師達を知る者に接触することで、直前の様子を聞き込みしよう、と、会場準備をする家来と共に行動を供にしていた。
「ちょっと聴きたいことがある。」
 普段世話になっている絵師の住まいや、所属する座、傾向を、領主や高官達から聴き出そうというのだ。
 相手は一瞬訝しげな表情を見せるも、「天下自在符」を見るや、
「なるほど。幕府も早速に捜索を始めているか。拙者の知っている事だけではあるが。」
 と、一転して協力的な態度に出る。

 ただ、領主や高官達の知る情報は、極めて限定的でもあった。
 大まかな傾向として、風景画を得手とする絵師よりも、人物画を得手とする絵師がより多く行方不明になっている事までは判明した。
「知っていることは全て話した、というが、これは信用出来るだろう。隠し立てをする理由もない。肝心の犯人像とか絵師の行方の手かがりとかにまでは、至らず、か。」

 トリガーは、聞き込みの成果である紙の束を手に、再考するのであった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

天花・雪兎
胡蝶(f12549)と一緒に参加

WIZ
ぼく達が手伝えそうな簡単な仕事を手伝いながら[礼儀作法]と[コミュ力]で様々な人々と交流
絵師さんや座の人達の話題を出す時には[第六感]を駆使し、会話や仕草に何かしらの違和感が混じってないか探る
違和感を感じれば、胡蝶と[誘惑]さらに情報を引き出そう
「お願い。ぼく達に協力して」
お願いは一途に、健気に、ぼく達に協力したいって気持ちを煽ろう

その時の相手がハズレでも、彼ら独自の情報網に有益な情報があるかも
絵師さん達が失踪する直前に不自然な行動がなかったか、怪しい人物の有無、彼ら自身に気になることはなかったか、聞きたい事は沢山ある
ぼくの[第六感]を信じて粘り強くいこう


鬼灯・胡蝶
同行者:雪兎(f02304)

WIZ
いなくなった人達に関わりがありそうな人達を中心に、雪兎と一緒に交流
胡蝶も…噂話とか聞いて…気になることがあれば、教える…ね
雪兎の技能が見事、目標の人達の居場所や情報に繋がれば、彼だけに分かるように小さい声で
「雪兎…ぐっじょぶ…」

胡蝶は…雪兎の[第六感]を信じて行動する、ね…?
相手を揺する時は上目遣い、尻尾も可愛く揺らして[誘惑]
「胡蝶達…どうしても…知りたいの…お願い…聞いて?」
留めにこてんと首も傾げてみる

胡蝶達…子供だから、心配されるかも…その時は
「胡蝶達…サイキョーだから…おっけー…安心…して?」
天下自在符を預けられるのが、証拠だ…って強引に納得させておく



 傍目から見たら。それは和菓子の大店(おおだな)の丁稚さんふたりが、桜の樹木見の準備をしているように見えたに違いない。しかし、その2人は、絵師失踪の捜査に動いている、猟兵だ、
 天花・雪兎(雪の子供・f02304)と鬼灯・胡蝶(旅する玄蝶・f12549)は、丁稚や手代、さらには現場に派遣されている小番頭にまで、手がかりを掴もうと丁重に丁寧に聞き込みを重ねていた。
「お願い。ぼく達に協力して。」
 元より人間に好意的な妖狐。天花の一途かつ健気な声と瞳で訴えられたら、そうそう断れまい。
「胡蝶達…どうしても…知りたいの…お願い…聞いて?」
 さらに、鬼灯に上目遣いに、こてんと首も傾げる仕草までされたら、もう如何しようも無い。
「まぁ、ここまで準備の手伝いも良くして貰ったし…何か知っていることあったら、このお二人さんに教えてやってくれ。あ、それと桜餅も、このお二人さんの分を用意してやってあげな。」
 小番頭は手代に、テキパキと指示を出したのであった。

 程なくして。手代は書き付けを持って、小番頭の元に戻ってきた。
「丁稚から他の手代から、絵師失踪の件で、何か気が付いたことはあるか?と、聞き込んで参りました。これをどうぞ。」
「ご苦労。」
 書き付けを一枚一枚読み上げる。
「雪兎…ぐっじょぶ…。」
鬼灯は小さく、天花に向けて小さい声と笑顔で

 得意先の話として、絵師失踪に際し、画材や紙まで持ち出しているが、この会の為に準備中だった絵は、何故かそのままにされていた、という手代の証言があった事。
 紙問屋へ菓子の納品に行った丁稚によれば、この半月の間にかなりの枚数の版画用紙の納品をした、と言う話を聴いた事。
 先の丁稚の証言と全く同様に、画材屋からもかなりの絵の具の納品をした、と言う話を別の丁稚が聴いた事。
 
「うむ~。失踪に関する手がかりまでは、無かったか。…と、申し訳無い。名を伺うのを忘れていた。そなた達の名は?」 
 小番頭はふたりの名前を聞き、改めて丁重に失踪の手がかりが掴めなかった事へのお詫びと、この事件の解決のお願いをしたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

氷魚・晴天
原稿を書く絵師も、生産する版画師も纏めて行方不明、かい。原画が上がらないとなると、写し廉価の青本も黄表紙も出なくなるのかな、それは面白くないよね、うん、調べてみよう。

まずは、一人でも手掛かりを見つけて辿っていくしかないかな。

でも、天下自在符も善し悪し。注目されちゃうからね。一客に扮して、出店の団子の串片手に世間話から聞き込むよ。色んな棚を回って、情報拾えるといいな。
一番の人気物は役者物かな。人気絵師の二枚目役者姿絵の木版画辺りの話題から、情報を知っているか【第六感】も意識して、自分の【コミュ力】を試してみよう。緊張はあまりしないから多分大丈夫。

にしても、うわあ、肉筆の一点物は、高いなあ……。



 桜の樹木見会場からやや離れた団子店で、氷魚・晴天(空の青き透・f12827)は、青空の色をした毛並みを揺らしていた。その口元には、団子の串。
「天下自在符持ち出して下手に注目されるのは、ここは良く無さそうだね。」
 40cm強の珍しい色をした人語を解する猫、というだけでも充分に目立ちそうな気もするが、どうやら何らかの呪術法力で変身した者、と見なされているようであった。
一瞬は驚かれても、「そういう呪法の効果だ。」と。
「原稿を書く絵師も、生産する版画師も纏めて行方不明、かい。原画が上がらないとなると、写し廉価の青本も黄表紙も出なくなるのかな、それは面白くないよね。」
 氷魚はそうひとりごとを言い、一人の客として、そして役者物の浮世絵の愛好家として、聞き込みを始めた。
 その客の一人と世間話を始める。元はといえば、浮世絵の品評会会場となるはずであった場所。と、いうわけで絵の情報に明るい者もここにはいて、その一人が氷魚の話し相手であった。

 食べ終わった団子の串が何本か竹筒に入ったころ。
 「結構役者絵に明るいようだが、ひょっとして貴殿も肉筆の浮世絵を蒐集なさるかね?」
 話を繋ぐが、その依頼費を聴いて目を丸くする他なかった。

「そういえば、行方知れずとなった絵師の家の前で、このような紙を拾ったが、何かの手がかりとなるかもしれない。お前さんに渡しておくわ。」

 その紙には、なにやら妙な絵がいくつか描かれている。
 特徴のある山の形。これは、なにかの手がかりかも知れない。急ぎこの絵の写しを何枚か写しを作って仲間の元へ向かうのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

寧宮・澪
おー……大変、ですねー……。

ふむー……【謳函】、謳って、準備の方々の応援しつつー……ちょっと、地面をならすとか、荷物を軽くする、とか、世界にお願い、しましょー……。
【鼓舞】、【祈り】、込めて【歌唱】しますー……。

その中で、何か、座の人達にー……関係する、お話、とかー……聞けます、かねー……。
何か、変わったことがあったー、とかー……こんな噂、あったー……とかー。

あ、桜餅ー……好きなんですよー……とっといてくださいなー……。

なんでしたら、【失せ物探し】、も、請け負いますよー……肉筆画、とかー……。

アドリブ、連携、お任せ、ですよー……。



【謳函】が風に乗せる歌声が、桜の樹木見の準備をする者たちの力になる。謳函の主、寧宮・澪(f04690)は歌声…正確には、歌声を発するガジェットではあるが…の報酬としていただいた桜餅を片手に、聞き込みを開始していた。
「何か、変わったことがあったー、とかー……こんな噂、あったー……とかー。」
 歌声に惹かれてそこに集まってきた者達に、眠たげな特徴的な声で、絵師や座の人々が行方不明になった件を聞き出そうというのだ。
 そこに先程、氷魚の用意した、妙な絵の描かれた紙がもたらされた。
「これは、ひょっとして?」
 近所に住むという者の話によると、特徴のある山の形。この場から見て東にある小さな山がこの形をしているというのだ。
「あー……。そこへ連れて行かれると……咄嗟に描いたん……ですかねー。」

 寧宮は、この場にいる猟兵達を呼ぶ。
 それぞれのもたらした情報を照らし合わせた結果。
「この場から東の小山の麓に、絵師や座の人々が何らかの目的で集められている。」
 そう結論を出したのであった。

「ありがとうございますー……」
 物憂げな声で、この場にいる者達へ礼を言い、寧宮達は絵師達を探しにこの場を離れたのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 冒険 『幸運の浮世絵』

POW   :    歩き回って手がかりを探す

SPD   :    関係者に聞いて回る

WIZ   :    絵の出所を調べる

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種別『冒険』のルール
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 桜の樹木見会場から見て東。
 特徴ある稜線をもつ小山の麓に、小さな村がある。

 氷魚・晴天の持つ絵に、その山の姿はそっくりであった。
 さらにその村で、妙な浮世絵の下絵が複数枚見つかった。

 女性の姿を象ってはいるが、にしては、頭上にツノのような物が描かれているではないか。
 描き方からして複数の絵師によるものには間違いなく、行方不明となった絵師や座の方々が村の何処かに集められているようだ。

 その場所を探すべく、猟兵達は行動を開始するのであった。
天花・雪兎
胡蝶(f12549)と一緒

事前に村や村周辺の地理も把握しておこう

単純に考えたら、絵の出所が絵師さん達がいる場所だよね
あと敵は自分達が有利に立ち回れる場所に、複数の行方不明者を集めているんじゃないか
ぼくはそう考えてるんだ
[地形の利用][[戦闘知識]の知識と、
これまでに入手した複数の下絵の情報から条件に合う場所がないか探してみよう

幾つか候補を絞ったら、さらに胡蝶の意見も照らし合わせてみる

それらしい場所に当たりをつけたら、早速その場所に行ってみよう
なるべく人の目を避けつつ、慎重に行動しながらね

さぁ、あと少しだ!
一緒に頑張ろうね、胡蝶!


鬼灯・胡蝶
同行者:雪兎(f02304)

可能であれば、村とその周辺の地図を入手
地図は簡易なものでも可

雪兎と一緒に…絵を確認する、の
「女の人…頭に…ツノ…敵は羅刹…?」
人の絵はこれ、だけ…?なら、敵は…1人…もしくは数人…?

敵が少数、なら…
行方不明の人達…何人かに分けて閉じ込めてる可能性は…低い…かも…
それなら…捕まってるのは…広くて、大きい場所…?

小さい村なら…余所者の匂いに敏感な…はず
これだけの絵が見つかった、なら…飛ばされたとしても、そんなに遠くない…?

疑問に思ったことは雪兎に何でも伝える
胡蝶…役に…立って、る…?

早く…終わらせて…お礼に桜餅…いっぱい貰えたらいい、な…
美味しかったもん、ね…?



 天花・雪兎(雪の子供・f02304)と鬼灯・胡蝶(旅する玄蝶・f12549)は、連れだって村の表通りを歩いていた。
「事前に村や村周辺の地理も把握しておこう。」
 天花は、戦闘知識他持てる能力を全て、絵師達が捕らえられていそうな場所の割り出しに使っていた。
「村とその周辺の地図が欲しいな。」
 鬼灯もまた、妖狐の持つ誘惑の力を使って、村人に尋ねてみる。
 余所者と警戒されたか元々無いのか、流石に地図までは入手は出来なかった。肩を落とす鬼灯だったが、天花は笑顔を見せる。地図がなければ、自分達で書けばいいじゃないか、と。
 天花は地形利用の能力を生かして、村を見渡せる場所の割り出しに成功したのだ。そこで急ぎ地図らしき物を書いてみる。
 もっとも出来たのは略図程度のもので、建物の正確な形まではキチンとしたものまでは書けなかったが、それでも充分に役に立つだろう。
 
「敵は自分達が有利に立ち回れる場所に、複数の行方不明者を集めているんじゃないか?」
「行方不明の人達…何人かに分けて閉じ込めている可能性は…低い…かも…。それなら…捕まっているのは…広くて、大きい場所…?」

 二人は自分達の作った略図と、先刻拾った浮世絵の下絵を手に、お互いの考えを照らし合わせる。
下絵を描いていると言うことは、絵師の方々は無事だけど、かどわかされて、何らかの目的でこの絵を描かされているのかも?
「女の人…頭に…ツノ…敵は羅刹…?人の絵はこれ、だけ…?なら、敵は…1人…もしくは数人…?」
 そうすると、この絵の人物…頭にツノがあるが…こそが、この事件を指揮する重要人物ではないか?そう推理した。

 ただし、広くて大きな場所、という推理に当てはまりそうな場所は…地図の上にはいくつかあった。
「よし。それでは、この地図を仲間に渡して探して貰おう!」
 急ぎ高台からまた村に戻っていくのだった。

「早く…終わらせて…お礼に桜餅…いっぱい貰えたらいい、な…。美味しかったもん、ね…?」
 鬼灯は、ふわりとした笑顔を見せた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

寧宮・澪
ううん、この絵の人にー……たぶらかされ、たんです、かねー……。

絵の出処、どこ、でしょかー……。聞いた情報や、出始めた、時期……初めて、の、一枚はどこから、とか……。
【情報収集】、してー……結果、電脳ゴーグル、で、整理しましょー。
【世界知識】も合わせてー……出処、とか分かれば……きっとそこに、いますよねー……。


氷魚・晴天
 技能集団を囲ってる、て事は、技術目当て。刷りたい絵があるって事だよね。それも秘密裏に。
 気になる絵だけど、聞き込みかな。

 絵師さんの家の前で拾った山の絵を見せて、「この山に行ってくるって聞いたきり、戻らないんだけど知らないかな」と知り合いを装って、鎌を掛けてみる。【コミュ力】高めに、僕の毛色じゃ上手く繕ってもプラマイゼロかもだけどね。
 何人かに聞いて、視線の泳ぐ先に、結べる点が無いか観察だ。
 一座毎監禁してるなら、人手も必要だろうし。家屋と表に出てる人の数も少し見てみるかな。
 自主的な籠りなら、意味無いけど。攫われた時は手掛かりを残す状態だったわけだし、どうだろう。

 アドリブ、絡み描写歓迎。



 天花と鬼灯からもたらされた略図を、電脳ゴーグルConsole.logにそれを読み込ませている寧宮・澪(澪標・f04690)の傍らで、氷魚・晴天(空の青き透・f12827)は、誰ともなしにつぶやいた。
「技能集団を囲っているって事は、技術目当て。刷りたい絵があるって事だよね。それも秘密裏に。」
「ううん、この絵の人にー……たぶらかされ、たんです、かねー……。」
 略図読み込ませ完了とともに、浮世絵の下絵に持ち替えた寧宮は、眠たげな声をあげる。
「絵の出処、どこ、でしょかー……。」
「一座毎監禁しているなら、相当の敷地や人手も必要だろうし、な。よし!」
 氷魚はまた別の紙を持ち出した。
 そう。団子屋で貰った、絵師捜索の手がかりになったあの絵だ。
「この絵を使って聞きこみをしよう。」
 
 コミュ力を発動させて、大きな建物の周りから聞きこみをしようという作戦だ。
 最近変わったことはないか?人の出入りが急に増えたとか、物資の出入りとか。これだけの人や物資…紙だの画材だの…が動けば、隠しとおそうとしたら、絶対にどっかにボロが出るはずだ。

 何軒目だろうか。高官の屋敷のあるあたりの家でのことである。
「ちょっと聴きたいことがあるんだ。知り合いが、この山に行ってくるって聞いたきり、戻らないんだけど知らないかな。」
 家の主の目が一瞬泳いだのを、二人は見逃さない。
「知らん!知らぬと言ったら知らぬ!」
 その時、寧宮のゴーグルに文字情報が流れる。
「……あのー。その袖の汚れ、なんでしょー。」
 主は、はっ!として袖を隠したが、もう遅い。
「一体、何だ?薄いピンク色のように見えたが?」
「……えとー。コランダム……ですね。」
 コランダム!氷魚は思わず声を荒げた。特に綺麗な石はルビーとかサファイアとか言われて宝石に加工されるが、と同時に「紅玉末」という岩絵具の顔料として用いられる。
「ということは。」
「世界知識も合わせてー……推理するとー……。浮世絵の顔料にー……関わっていますよねー……。」

 さらに間の悪いことに。中に客人のいるのを気が付いていない手下の声。
「えーと。これを前のお屋敷に、持って行けばいいんでしたっけ?」
 これで決まりだ!二人は急ぎその家の主と手下を拘束するや否や、他の猟兵に連絡を付ける。
寧宮のハッキングツール、Func:Change_Worldの出番だ。
「高官屋敷の中が怪しい」と。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​


 寧宮・澪と、氷魚・晴天の働きで、高官屋敷の中の何処かに、絵師達は監禁されていることが判明した。

 潜入に成功はしたものの、屋敷の広さは敷地もあわせてかなりのもの。屋敷の部屋なのか?離れなのか?それとも…?

 猟兵達は屋敷の敷地に散ったのであった。
トリガー・シックス
(さて、どこにいるのか)
屋敷の天井裏へと入り込み、【忍び足】で移動。
【野生の勘】で人の気配のする場所へと向かい、【聞き耳】を立てて【情報収集】を行う。

※アドリブ、他の猟兵との絡みOK


エルーゼ・フーシェン
「うーん、結構広いわね」
聞いてはいたけど、普通に探していると、発見されて捕まってる絵師さんたちに危険が及ぶ可能性は高くなるから、素早く動かないと。
目撃している人……人じゃないけど、動物なら?
【動物と話す】と、なにか分かるかも。鳥なら何かを見ている可能性はあるわね。
あとは【野生の勘】と【第六感】も使ってみるわ



 トリガー・シックス(傭兵・f13153)は、屋敷の敷地を忍び足で移動していた。過去に潜ってきた修羅場での経験だろうか。冷静に、屋敷の状況を探っていた。
「さて、どこにいるのか。」
 素っ気なく、そう小声でつぶやいた。

 トリガーから少し離れ、屋敷の敷地を探る者がもう一人。
「うーん、結構広いわね。」
 エルーゼ・フーシェン(双刃使い・f13445白狐の耳)の白い狐の耳は、何事かが起きてやしないかとせわしなく動く。潜入が発覚して、捕まっている絵師達に危険が及んでは、元も子もない、と。
 
 かさり。

 頭の上からの物音。見張りか!それとも忍者か!
 全神経を、音のした方向に集中させる…が、それは雀であった。

 一息大きく息を吐き、動物と話せる能力で雀に心当たりを聞いてみるエルーゼ。
「…なるほど。そうか。」
「何と言っている?エルーゼ。」
 雀の話に寄れば、北に面した大部屋で、何やら作業をさせられている人が大勢いて、そこに屋敷の人間が出たり入ったりしている、と。
「それにしても、何故に北向きの部屋なのだ?」
「…なるほど。そうか。」
 今度はトリガーが、先刻のエルーゼと同じ感嘆をする。
 陽の光が安定して入るのが北向きの部屋になるので、絵師の仕事場は自然とそうなる、とトリガーは語った。

「よし、屋敷の北だな。」
 野生の勘が二人の脚を、人の気配を感じる場所へ向かわせる。
「それでは、俺は天井から忍び込んで、絵師達のいる部屋を見付け、脱出させる好機を探ろう。」
「すまないが、頼んだ。」
 屋敷の天井裏へと入り込むトリガー。用心深く足音や物音を消し…見付けた!しかし、絵師達に危害を加えられるような事はあってはならない。好機は何時だ。
見張りの者達の詰所だろうか?そちらへ移動すると、声が天井にまで聞こえる。
「次の寺の鐘が鳴ったら、全員お頭の所へ。すぐに終わる。」
 鐘の音が鳴ったら、見張りは手薄になる。この情報を持って急ぎエルースの所に戻った。そしてこの情報は、この地にいる猟兵達にももたらされた。
 
 陽が傾き、鐘の音があたりに響く。
 見張り達が席を外したところで、トリガー、エルースら猟兵の急襲で、絵師達の脱出と保護に成功したのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『女流くだん』

POW   :    件の如く
自身の【告げた予言の実現】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD   :    らぷらすの悪魔
【対象がこれからとる行動を予言することで】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    終末の大予言
【予言として告げた通りの災害や疫病など】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は世良柄野・奈琴です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 戻ってきた見張り達、さらに異変に対応した者達は、しかし猟兵達の敵ではない。

 あっという間にある者は倒され、またある者は逃亡した。

「何事じゃ?いったい?」
 頭上にツノをもつ女性。浮世絵の特徴そのままの女性は、異変に声を上げる。

 どうやら、彼女がこの事件の首魁。
 彼女との決着、さらにはこの事件の決着を付ける時は今!
レイチェル・ケイトリン
パティさんのおしらせきいておてつだいにきました。

……ってあの、「何事じゃ?いったい?」って……白騎士相手にしてた猟兵とそれでたたかえるのかな……

と、とりあえず、わたしは「念動力」と「クィックドロー」と「早業」で「刹那の想い」を発動、空気を動かし真空のカマイタチをぶつけて「吹き飛ばす」ね。

わたしの行動、予言したいならすればいい。
一秒間を26分割した時間でうごくわたしの心がはなちつづける力。
早口言葉でもおいつかせないよ。

そして、真空は音をつたえない。予言の言葉もいわせないよ。

敵からの災害とかも刹那の想いでふっとばしてふせぐね。

「かばう」技能もつかえるから他の猟兵さんへの攻撃もふっとばしてふせぐね。


宴・段三郎
珍しい原料があると聞いての…鍛刀しにきたのじゃ

目的は敵首魁を鍛刀し、一振りの妖刀にする事

話に聞けば予知をするとな
中々鍛刀の面白そうな原料じゃ
まずは、敵の攻撃方法を確認する為に刃を交えよう

終末の大予言とやらは特に面倒そうじゃな
味方と連携し、少しでも変わったモーションをすれば即座に【残像】で回避したいの

予知によって回避をするのじゃから、決して逃れ得ぬ攻撃をくりだしたいのぅ…

例えば、儂のユーベルコード『地国炉開闢』を発動し、妖刀『化生炉』の焔を展開して相手の回避を制限したりしてのう。



 女流くだんの前に現れるは、2人の少年少女。
「おしらせきいて、おてつだいにきました。」
「珍しい原料があると聞いての……鍛刀しにきたのじゃ。」
 レイチェル・ケイトリン(心の力・f09500)と宴・段三郎(刀鍛冶・f02241)の、2人の猟兵だ。

「……ってあの、『何事じゃ?いったい?』って……。それでたたかえるのかな……。」
「ゆ、油断しただけじゃ。わらわの目的遂行の為の、考え事をしておったのじゃ。」
 明らかに狼狽するくだん。
「成就までは、斃れるわけにはいかぬ。そこな男の子(おのこ)。……『鍛刀』とな?わらわを焔で攻め立てるつもりかの?」
 くだんは宴を一瞥しそう言い放つ。
「まずは、刃を交えようぞ。」
 宴から放たれた、地国炉開闢による化生炉の焔の放射は、くだんを焼くことはなかった。その予言どおりかわされたのだ。
「これがわらわの本気、というものよ。」
 不適に笑みを浮かべるくだんに対し、淡々と答える宴。
「攻撃方法を確かめてみたが、なるほど面倒じゃな。くだん、とやら。」
 自分一人だけであったら。くだんを自らの妖刀とするどころか、ただの一撃も与えることも出来ず、消耗させられるのは火を見るよりも明らか。
 しかし。宴に慌てる様子は全く無い。

「次はわたしの番ね!」 
 レイチェルの腕は空気を掴む!
「ふむ。そこな女の子(めのこ)。おぬしはわらわに、大気をぶつけようとしておるな。かわしてみせようぞ。」
 発せられた攻撃は、予言どおりであった。念動力で放たれた大気はくだんを目がけ吹き飛ばさんと迫り来る!
「予想どおり、であったな。先刻のわらわの動きを見ておらぬ……ぐはっ!」
 挑発も兼ねたかのようなくだんの台詞は、全てを言い終えることは無かった。なるほど最初の一撃はかわせた。が、2つ目3つ目とくると、そうはいかなかった。26分の1秒という恐るべき短い間隔で放たれては、全てを予言し回避は適わなかった。
 さらに。宴が再度展開した「地国炉開闢」の焔は確実に、くだんの逃げ場を失わせている。
 
 一つ、また一つと。くだんの身体に傷と紅い血の筋が増えていく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

フィロメーラ・アステール
「運命を操るのは、お前の専売特許じゃないぜ!」
あたしが来たからには、もう好き勝手はさせないぞ!

【星の遊び場】を発動だ!
いや、発動というのは正確じゃないかもしれないな!
【第六感】を通じて霊的チャンネルを開き、星に【祈り】を捧げ……!
『無属性の自然現象』を起こす!

……あるがままの自然を維持してもらう!
暴走しやすい技だけど、全力で沈静化の方向に持っていくなら暴走もしにくいはず!
えーい、足りないなら【全力魔法】でも【気合い】でも込めて、とにかく抑制するぞ!
コイツで都合のいい不自然な現象は全部ガードだ!

予言攻撃さえ封じてしまえば、あたしの【空中戦】は捉えきれまい!
【踏みつけ】攻撃をお見舞いしてやるぞ!



「運命を操るのは、お前の専売特許じゃないぜ!」
 あたしが来たからには、もう好き勝手はさせない、と気炎をあげるのはフィロメーラ・アステール(f07828)。
 運命の風に乗って漂流する、という彼女にとって「予言」を操るくだんの存在は、まるで自分の存在理由を貶されているように思えた。

「ふむ? 人にあらざるか? そこな妖精、か?」
「それはお互い様だー!」
 言うや否や、星の遊び場(トリッキー・スター・ファンダム)を発動させようとする。
「ふむ? 自然現象を引き起こして、わらわを傷つけるのか? ……豪雨には、日旱(ひでり)で封じてみせようぞ」
 しゃく熱と光で無差別攻撃を仕掛けるくだん。
 ところが。先を読んだはずの手は、くだんの予言とは異なっていた。
「あるがままの、無属性の自然現象で対抗するぜ!」」
 フィロメーラの第六感を読み損なうくだん。日旱(ひでり)で対抗するはずが、突風でしゃく熱を押し返され、しまいにはフィロメーラを焼くはずだったしゃく熱で己の身を焼く始末。
「都合のいい不自然な現象は、全部ガードだ!」
 力強く宣言はするが、その実、星の遊び場を発動させた魔力よりも、より多くの力をその抑制のために使わねば、暴走あるのみ。気合いも入ろうもの。

 身を焼かれ、辛うじて立っているだけのくだんに、フェアリーならではの空から踏みつけの一撃! ついにそのダメージから、膝を突いてしまう。

成功 🔵​🔵​🔴​

レイチェル・ケイトリン
はやく、もっとはやく、

わたしのはやさについてこれないならそれでいい。

刹那の想いの念動力。

一秒間を31分割した時間でうごくわたしの心がはなつ力でふきとばしつづけるよ。

未来を利用してたたかう相手にわたしは時のながれをあげない。

刹那の今を必死にたたかいつづけるんだから。


はやく、もっとはやく、


アレクシア・アークライト
 件。
 私達の世界では、凶事を予言し、その絵姿は凶事を防ぐ護符にもなるって妖怪だけど、こっちでも一緒なのかしら?
 凶事を予言しておいて、それを防ぐための護符として自分の絵を配ったり売りつけたりして、力の拡大や金儲けを狙っていたのだとしたら、こっちの件は随分と世俗的ね。

・相手の攻撃は力場で防御。
・予言に対抗し、【超感覚的知覚】で敵の思考を読み、また、その動きを予知する。[情報収集]
・武術と[念動力]による二重攻撃を行う。[2回攻撃、グラップル]
・武術を予言で躱すなら、躱した先を予知して念動力で攻撃する。その逆も同じ。それらを予言するというのなら、その先も予知し、先読みが通じない土俵に立たせる。



「私たちの世界では、凶事を予言し、その絵姿は凶事を防ぐ護符にもなるって妖怪だけど、こっちでも一緒なのかしら?」
 アレクシア・アークライト(f11308)は、そう、くだんに問いかける
「凶事を予言しておいて、それを防ぐための護符として自分の絵を配ったり売りつけたりして、力の拡大や金儲けを狙っていたのだとしたら、こっちのくだんは随分と世俗的ね」
 立つのもようやく、という風体ながら、くだんは目の色を変えた。
「金儲け、とな? 否!」
 どこにそんな力が残っているのか? という通る声で、反論する。
「江戸幕府のやりかたに不満を持つ者たちの望みに応じたまで。決して金儲けではない!」
 強く金儲けを否定する、くだん。もっとも。目的が江戸幕府への不満分子の軍資金とは言っても、結果は力の拡大と資金稼ぎという名の金儲けには違いはないが。

「とは言っても。配下の者も無し、わらわもこのけがでは、もはやここまで。名も無き者に討たれて屍(かばね)をさらすよりは、そなたら猟兵に討たれる方が良かろう」
 そう言い終えると、くだんは膝を落とした。遂(つい)に観念したか? それならばせめて苦しまぬよう、とどめを刺す。それが慈悲であろう。そう思いを巡らせるアレクシアに、彼女のユーベルコード=超感覚的知覚は警告する!
「これは、反撃を狙い、自らの身体能力を増大させるための、偽りの行動」である、と!
 果たせるかな。くだんの体軀(たいく)が目に見えて分かるほどに、筋肉で大きく姿を変えたではないか。
 
 そのまま突っ込んでいっていたら、恐らくはレイチェルは、ひとたまりもなかったであろう。しかし、先んじてかわしつつの武術と念動力で、くだんを足止めさせた所に、レイチェル・ケイトリン(f09500)の、念動力で放たれた大気が再びくだんを襲う!
「はやく、もっとはやく」
 しかし、強化されたくだんの体軀(たいく)には、なかなか致命傷を与えることができずにいた。
「未来を利用してたたかう相手に、わたしは時のながれをあげない。刹那の今を必死に、たたかいつづけるんだから!」
 レイチェルのその言葉どおりに、くだんを襲う大気の間隔は先刻よりも更に短い! もう予言も間に合おうはずもなく、くだんは遂(つい)に全身に傷を受け……二度と立ち上がることはなかった。
「……ふ、再び、反徳川幕府の勢力を束ねようという、わらわの野望も、ここまで、か」
 それがくだんの絶句となった。
「未来を予知して、過去の力に頼って倒幕を目指そうとは、随分と後ろ向きな敵でした……」
 レイチェルは肩で息をしながら、そうつぶやいた。

 幕府への不平不満を利用して、太平の世を厭(いと)い、戦乱の世を望む輩(やから)(オブリビオン)が、更に強くなって再びのさばるときは確実に来るだろう。

 とはいえ。
 絵師と「座」の面々はとうに、無事全員脱出することに成功している。
 時期こそ遅れはするであろうが、浮世絵の品評会は平和裏に行われるだろう。

 今は、くだんの討伐成功を喜ぶ、猟兵たちであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年03月23日


挿絵イラスト