迷宮災厄戦⑪〜鏡に質問する魔女
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アリスラビリンス『迷宮災厄戦(ラビリンス・オウガ・ウォー)』。
オウガ・オリジン、猟書家、猟兵、三つ巴の戦いが始まり、オウガ・オリジンと猟書家の駆け引きが行われる中、猟兵達はまず各戦場の敵戦力を削り、両勢力の居場所へと近づこうとしている。
5日地点で「②砕かれた書架牢獄」の制圧が完了し、猟兵達は外側へと足を踏み出すことが可能となった。
「『⑪真実を告げる鏡の間』に向かってみましょう」
セレイン・オランケット(エルフの聖者・f00242)が集まる猟兵達へと話す。
この地を制圧することで、猟書家だけでなく、オウガ・オリジンの元へと向かうことが可能となる。
現状、オウガ・オリジンも少しずつ力を取り戻してきているが、下手に倒すと猟書家達が十分な戦力をもって他世界へと侵攻を始めてしまう。
オウガ・オリジンの情勢を見ながら、猟書家を叩いていきたいところだが……。
「ともあれ、今は目の前の戦場の制圧に力を注ぎましょう」
改めて、『⑪真実を告げる鏡の間』はオウガ・オリジンに戯れに殺された、かつての忠臣「鏡の女王」の怨念が籠もった国である。
あちらこちらに「真実の鏡」が生えており、鏡に質問することで、「この不思議の国内部のこと」限定でなんでも答えてくれる。
「この場にいるオウガは真実の鏡を使って、皆の正確な位置を把握し、襲ってくるわ」
鏡は、敵の位置や死角、ユーベルコードの弱点など、この国の内部にあるものの情報ならなんでも答えてくれるのだ。
相手が鏡を利用するなら、こちらも利用するまで。
上手く相手を追い込むことができそうな質問を投げかけて有利を確保し、オウガを撃破したい。
この場にいるオウガは、『人喰いの魔女』。
鏡に魔女とくれば、白雪姫に登場する魔女を思い浮かべるところ。
ただ、この魔女は眠りの雲、魔女の呪い、影絵のドラゴンと様々なユーベルコードと合わせて炎などの魔法を行使する恐るべき相手だ。
下手に突っ込めば、それらの魔法の餌食となってしまいかねない。仲間と協力するのと合わせ、折角なのでこの世界にある真実の鏡を使って攻略したい。
戦争はまだ序盤。全ての猟書家が生き残っており、当然ながらオウガ・オリジンも健在だ。
両者の戦力をうまく削りながら、戦争をいい形で終結できるよう皆で協力したい。
「それでは、よろしくお願いするわね」
説明を終えたセレインは頭を下げ、この戦場の制圧を猟兵達へと託すのだった。
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真実を告げる鏡の間。
いくつもある大きな広間とその連絡通路のあちらこちらに、真実の鏡が設置されており、それら全てが質問に答えてくれる。
「どれ……、ここから一番近いアリスの居場所を教えてくれるかい?」
問いかけるのは、大きなつばのついた三角帽子に黒いローブを纏った女性。大きな鼻と赤く光らせた目が特徴的な魔女だ。
『右手側の通路に、1人のアリスが歩いています』
鏡は問われたことは誰の質問であってもしっかりと答えてくれる。それでアリスが不利になったとしても関係ない。そういう風に作られた鏡に思考能力などないのだ。
にやりと笑う魔女は、右手の通路へと眠りの雲を向かわせる。
射程ギリギリのところを歩いていたアリスの少年がそれによって気を失い、倒れてしまう。
その間に、魔女はゆっくりとアリスの少年へと歩み寄って。
「ヒヒ、どうしてくれようかね」
呪いで動物に変えるのも一興だし、影絵のドラゴンと追いかけっこさせるのも面白い。魔女はこの鏡の間でアリスを弄び、楽しんでいるのだ。
その時、鏡の間に多数の足音が聞こえてくる。
異変を感じた魔女は真実の鏡を探して。
「今の音は、何が起こったんだい!?」
『猟兵が貴方を倒す為にやってきたようです』
「……アリスと遊んでいる場合じゃなさそうだね」
その返答に魔女は表情を歪め、どうすべきかと対策を練りながらその場から離れていったのだった。
なちゅい
猟兵の皆様、こんにちは。なちゅいです。
当シナリオを目にしていただき、ありがとうございます。
アリスラビリンス、戦争シナリオへの参加を願います。
『迷宮災厄戦』、及び戦争マップについては以下のURLのページをご参照くださいませ。
(https://tw6.jp/html/world/event/014war/014_setumei.htm)
こちらのシナリオは1章構成、ボス戦シナリオです。断章執筆の予定はありません。
大量のアリスを召喚する儀式を行う『オウガの大軍団』を率いる首謀者『ドロシー・ヘイヤ』の討伐を願います。
強力なオウガ『人喰いの魔女』があちこちに生えた「真実の鏡」を使ってこちらの居場所を特定し、ユーベルコードを使って襲ってきます。
こちらも「真実の鏡」に有効な質問をすることで、プレイングボーナスが付きますので、ご配慮いただければと思います。
●執筆予定について
戦況を顧みて、執筆スタンスを少し変更いたします。
今回の戦争は、依頼の総本数が命運を分けると現状把握しております。
その為、5~6人ほど集まった地点で執筆予定を組みます。1依頼当たり、6~10名の執筆を想定しております。
(目安は規定人数が揃ったタイミングから1日以内の執筆を目指します)
当シナリオのご参加が10人を超えても全員執筆は目指しますが、できれば、別シナリオに協力していただけると幸いです。
(どうしても該当依頼に参加したいという方は大歓迎です。それはそれですごく嬉しいです……!)
シナリオの運営状況はマイページ、またはツイッターでお知らせいたします。
それでは、行ってらっしゃいませ。
第1章 ボス戦
『人喰いの魔女』
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POW : 眠りの雲
【大釜から自身以外を昏睡させる紫の雲】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全対象を眠らせる。また、睡眠中の対象は負傷が回復する。
SPD : 魔女の呪い
【魔法の杖】から【変化魔法】を放ち、【小鳥か子豚か子羊に強制的に変身させること】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ : 影絵のドラゴン
無敵の【影絵のドラゴン】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
イラスト:猫家式ぱな子
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠渡月・遊姫」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
夕月・那由多
んむ…こういう情報チートはわらわのおハコじゃったのに
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『ナユタの瞳』による【情報収取】で敵の情報を探り
そういや『正確な位置を把握し、襲ってくる』んじゃったな
解るのは『位置』か
細かい気配りをする鏡でもなさそうじゃし、『同じ位置』におったら敵はどう勘違いしてくれるんかの?
UCで粘土をこねこねして知性が人間以上の人形を作り【変装】させ、わらわ自身は【化術】で飾りに化けて人形にくっつこう
そのまま喋れば人形が喋ってるように聞こえるかの?
鏡への質問は、『影絵のドラゴンの欠点』
能力に疑念を抱かせてやるのじゃ
いい感じのタイミングで元に戻り【怪力】による【だまし討ち】の【カウンター】からそのままバトろうぞ
御影・響子
過去を穢すもの、堕ちたる魔女、それを滅ぼす為に私は居る
鏡に問いかけるのは「眠りの雲で眠らない方法」
魔女の秘薬、霧に化ける、あるいは純粋に気合などですかね
それが来ると分かって対策が打てるなら、あとは食らって寝たふりをして釣り出しましょう
これみよがしに奇襲を警戒しているという雰囲気もだしていれば、こちらの狙いも気づかずに居てくれるのではないかと
上手いこと近づいてきてくれたら斬ります
斬るのに理屈が必要ですか?
これは古き友である『刃金の魔女』より授かりし御業
それを断つべきと思うなら、我が手、我が目、我が霧は、等しく刃と成る故に
ダメなら他の猟兵に情報を流して戦います
とにかく私はあの魔女を滅ぼしたいのです
筒石・トオル
「真実の鏡」への質問は、次の魔女の行動。
移動して誰を狙うのか、どのユーベルコードを使って攻撃するのかが分かれば、こちらも行動しやすいはず。
僕はその行動に合わせて『オルタナティブ・ダブル』を発動し、狙われている人がいれば【かばう】。
とは言え、怪我したくないので【オーラ防御】で防御力は上げておく。
【見切り】出来れば【早業】+【カウンター】で攻撃もありかな。【吹き飛ばし】すれば、距離を取って仲間が態勢を立て直す【時間稼ぎ】出来るかも。
エウトティア・ナトゥア
アドリブ・連携歓迎
むむ、『変化魔法』が飛んでくるのじゃ。
技能:属性攻撃で矢に【浄化】属性を宿し迎撃するかのう。
なるほど、魔女はこの鏡でわしらの様子を覗っておるのじゃな。
魔女が真実の鏡を使って攻撃しているのなら、わしもこの鏡を使って攻撃してもよい筈じゃ。
これ真実の鏡よ、『人喰いの魔女』へ至る最短の道筋を教えておくれ。
魔女の居場所を発見したらLv84の鷹を召喚し 『人喰いの魔女』の居場所を伝えて魔女へ向けて放つのじゃ。
ついでじゃ、風の精霊を宿した矢を上空に放って鷹を【追跡】してもらい魔女を発見次第攻撃してもらうかのう。
魔女が矢に気をとられている隙に鷹に【魔法の杖】を奪って貰うのじゃ。
月夜・玲
ふーん真実の鏡か…
解析したら面白そうだけど時間無いなー
向こうもコレ使えるんだろうし、めんどいな…
まあ、道具は使い様ってね
●行動
真実の鏡に問いかけよう
人喰いの魔女の現在地までの経路はどうか聞き出そう
教えて貰う経路は複数あれば良いな
相手はこっちの動きを封じるつもりだろうから、封じられる前に攻撃を放ってしまえばいいや
《RE》Incarnationと空の記憶を抜刀
経路さえ分ればそれでいいよ、【神器複製】で両剣を複製
『念動力』で分った経路を通って魔女に対して複製剣を射出
いっておいで、しっかり『串刺し』にしてくるんだよ
あとはどっしり構えてるだけだね
さてどんな動物に変化させてくれるのかな?
楽しみだね
夢咲・向日葵
●心情
・鏡よ、鏡よ、鏡さんって奴だね。
・真実の鏡に色々と教えてもらえれば有利に戦えそうだね。
・じゃ、今回は白の魔法王女で行こうかな。鏡と光は切っても切れない関係だからね。じゃ。やるのよ!
●戦闘
・鏡よ、鏡よ、鏡さん。敵さんがどの方向から攻撃してくるのか教えて
・鏡よ、鏡よ、鏡さん。敵さんがいつ攻撃してくるか教えて
・攻撃が来る方向とタイミングさえわかれば、ソレイユシールドで盾受けして受け止められるのよ。んで、UC発動なの
・後は動けなくなったところを光属性魔法の属性攻撃。周囲の鏡の反射も使いつつ、鏡に聞いた位置に向けて光属性のビームを放つのよ。んで、距離を詰めて魔力込めしたシャイニングソレイユパンチ
ネーヴェ・ノアイユ
質問に答えてくれる真実の鏡様……。そのお力はとても頼もしいのですが……。人喰いの魔女様もこちらと同様に……。と、考えると油断は出来ませんね……。
一先ず……。真実の鏡様。人喰いの魔女様はどのような攻撃手段を行ってくるのでしょうか?
ふむ……。ではもう一つ質問です。無敵と称される影絵のドラゴン様ですが……。もし人喰いの魔女様がその力に疑念を感じるとしたらどのような時でしょうか……?
人喰いの魔女様がこちらの情報を得ていることを前提に警戒をしつつ……。質問で得た情報を元に影絵のドラゴン様と対峙……。人喰いの魔女様の疑念により影絵のドラゴン様が弱体化をしたその隙を狙ってUCを人喰いの魔女様へと放ちますね。
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アリスラビリンスで勃発した『迷宮災厄戦』。
次なる戦場……『真実を告げる鏡の間』へとやってきた猟兵達の前に広がる空間には多数の鏡が立ち並んでいた。
それらは空間へと無造作に置かれていることもあれば、壁の一部として設置されていることもある。
「鏡よ、鏡よ、鏡さんって奴だね」
アリス適合者であるウェーブヘアの少女、夢咲・向日葵(魔法王女・シャイニーソレイユ・f20016)が鏡をじっと見て呼びかける。
『何か御用でしょうか』
言葉を返してくる真実の鏡。これも、オウガ・オリジンに殺された「鏡の女王」の怨念が遺したものだ。
「ふーん、真実の鏡か……」
メカマニア兼サブカルマニアである月夜・玲(頂の探究者・f01605)はこの地にある鏡にも興味津々。
解析すれば面白そうな品ではあるが、生憎今は戦争中とあって時間がない。
「向こうもコレ使えるんだろうし、めんどいな……」
「質問に答えてくれる真実の鏡様……」
渋い顔する玲に、こちらもアリス適合者、白い髪に大きなリボンを付けたネーヴェ・ノアイユ(冷たい魔法使い・f28873)が呟く。
「そのお力はとても頼もしいのですが……。人喰いの魔女様もこちらと同様に……」
「過去を穢すもの、堕ちたる魔女……」
真実の鏡を使うオウガと化した老婆、『人喰いの魔女』。油断はできないと、ネーヴェが警戒心を高めると、無表情な黒髪の魔女、御影・響子(虚霧の魔女・f28364)は呟いて。
「それを滅ぼす為に私は居る」
彼女の視線、そしてその口調には並々ならぬ敵意が込められていた。
どうやら、人喰いの魔女はすでにこちらの居場所を把握しているらしく、的確な狙いで変化魔法が飛んでくる。
それを、褐色肌の金髪キマイラ少女、エウトティア・ナトゥア(緋色線条の巫女姫・f04161)が察し、『手製の短弓』から【浄化属性】を籠めた矢を射放って迎撃した。
魔法を霧散させたエウトティアは小さく息つく。
「なるほど、魔女はこの鏡でわしらの様子を覗っておるのじゃな」
実際に、鏡の有用性を目の当たりにし、エウトティアと向日葵は小さく唸って。
「真実の鏡に色々と教えてもらえれば、有利に戦えそうだね」
鏡と光は切っても切れない関係だと考え、向日葵は白の魔法王女へと姿を変えてオウガである魔女の討伐に臨む。
「まあ、道具は使い様ってね」
同意にする玲に合わせ、少し離れた所で黒髪短髪の眼鏡少女、筒石・トオル(多重人格者のマジックナイト・f04677)も鏡を眺めて人食いの魔女の攻略法を考えていたようだ。
「んむ……こういう情報チートはわらわのおハコじゃったのに」
見た目は妖狐の少女を思わせる夕月・那由多(誰ソ彼の夕闇・f21742)が少しだけ頬を膨らませていたのはさておき。
「じゃ。やるのよ!」
オウガの魔女が次の手を仕掛けてくる前に。向日葵の声に合わせて、猟兵達はその討伐に動き出すのである。
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オウガ『人喰いの魔女』の討伐に当たり、猟兵達もまたこの戦場のあちらこちらに設置されている真実の鏡を利用する。
「鏡よ、鏡よ、鏡さん。敵さんがどの方向から攻撃してくるのか教えて」
向日葵はまず、次なる魔女の攻撃について問いかける。
『向かって左方向から、小鳥へと変化させる魔法を放ってきます』
「わかった、ありがと!」
すぐさま向日葵は左方向へと『ソレイユシールド』を構え、相手が放ってきた変化魔法を【受け止める】。
これで、自身のユーベルコードの条件を満たした向日葵。
「鏡よ、鏡よ、鏡さん。敵さんがいつ攻撃してくるか教えて」
『次は月夜・玲を狙い、30秒後に攻撃してきます』
しばらくは自分が狙われないことを幸いとし、向日葵は回り込むように通路を移動して魔女の捕捉に当たる。
こちらは、次に狙われるとされた玲。
「人喰いの魔女の現在地までの経路を教えてほしい。複数あるとありがたい」
『まず、左手前の直線上までまっすぐ。左の通路から回り込んで相手の背後に……』
全てを聞きだす前に、変化魔法が飛んできたことを察した玲は左の通路へと退避する。
変化魔法が不発に終わったのを確認し、玲は相手の背後に向かって移動しながらもう一度、別の真実の鏡へと同じ問いかけをしていた。
すでに一度、相手の変化魔法を迎撃していたエウトティアも別所で真実の鏡にこんな質問を。
「これ真実の鏡よ、『人喰いの魔女』へ至る最短の道筋を教えておくれ」
相手がすでに真実の鏡を使って攻撃している状況なのを視認していたエウトティアだ。彼女もまた、鏡を使っての攻撃を試みることにしていた。
トオルもまた別の角度から放たれてきた変化魔法をやり過ごしてから、近場の真実の鏡へと質問して。
「次の魔女の行動を教えて」
『人喰いの魔女は攻撃を切り替えて、影絵のドラゴンを使って次の獲物を探しています』
移動しながら、魔女は片っ端から猟兵を片付けていくつもりらしい。
トオルは魔女の狙いを見定め、仲間のカバーに当たろうと身構えていた。
「そういや『正確な位置を把握し、襲ってくる』んじゃったな」
那由多もまた『ナユタの瞳』を使って、『人食いの魔女』の行動について【情報収集】する。
「解るのは『位置』か。細かい気配りをする鏡でもなさそうじゃし……」
なら、『同じ位置』に居続けたなら、敵はどう勘違いしてくれるのか。
そう考えた那由多は粘土をこねこねして人形を作って。
「可愛い子よ、その短き命でわらわを愉しませておくれ」
那由多は知性を人間以上としたその人形に【変装】をさせ、那由多自身は【化術】で飾りに化けて人形にくっつく。
あとは、人形が喋っているように見せかけながら那由多はいい位置を探って移動するのだが、その前にもう一つだけと那由多が真実の鏡へと問いかける。
「『影絵のドラゴンの欠点』を教えてほしいのじゃ」
『その欠点は……』
返答を聞き、那由多はにっこりと笑う。
別所では、ネーヴェも真実の鏡へと問いかけを行っていて。
「真実の鏡様。人喰いの魔女様はどのような攻撃手段を行ってくるのでしょうか?」
『人喰いの魔女は、ユーベルコードとして眠りの雲、魔女の呪い、影絵のドラゴンを使います』
加えて、炎など魔法を使って追い詰めた相手を捕らえ、煮詰めた鍋に獲物を突っ込んで調理し、本当に喰らってしまうらしいと鏡はネーヴェに教えてくれる。
「ふむ……ではもう一つ質問です」
そこまで聞いたネーヴェはもう一つ、無敵と称される影絵のドラゴン様について尋ねる。
「もし人喰いの魔女様がその力に疑念を感じるとしたら、どのような時でしょうか……?」
『それは……』
真実の鏡は嘘偽りなく、問われたことを全てネーヴェへと答えてくれるのである。
並々ならぬ敵意を魔女へと抱く響子。
最初に眠りの雲が近づいてきていたこともあり、彼女が鏡へと問いかけたのは……。
「眠りの雲で眠らない方法を教えてください」
『眠り耐性、雲を霧散させる、雲の範囲から逃れる、霧に変化する……』
すぐに、鏡は様々な対策について提示してくれるが、それと同時に紫色の眠りの雲が湧きたつ。どうやら、敵は比較的近い距離の死角からユーベルコードを使ってきているらしい。
(「これ見よがしに奇襲を警戒しているという雰囲気を出していれば……」)
敢えて咳き込むような仕草をし、響子はこちらの狙いが気づかれないようにする。
「見えるものが全てではない」
彼女はユーベルコード【ブロッケンの魔物】によって一時的に霧へと姿を変え、雲の範囲から逃れて雲が消えるのを待つ。
姿を戻した響子は喰らって寝た振りをして、相手を釣り出そうとする。
そこにゆっくりと近づいていく黒いローブを羽織った老婆。
「ヒヒヒ……」
ゆっくりと近づく『人喰いの魔女』は念には念をと、振り上げた魔法の杖に魔力を籠めていくのである。
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ひたり、ひたりと近づいてくる足音。
ヒヒヒ……。
腰を曲げ、引き笑いする影は、たぬき寝入りする響子へと迫る。
杖に灯る禍々しい光。だが、その隙を突いて、響子は『サムライブレイド』を一閃させた。
「ギャアアアッ!」
人喰いの魔女から迸る鮮血にも、響子は眉すら動かさずに。
「斬るのに理屈が必要ですか?」
「アタシを騙そうなんて、100年早いよ!」
杖に籠めていた魔力を放出する『人喰いの魔女』。
そこに、【オルタナティブ・ダブル】を発動させたトオルが飛び込んで【かばい】に当たる。
もう1人のトオルが小鳥にされてしまうが、次なる攻撃を警戒した彼は【オーラ防御】で全身を包みつつ、【早業】で【カウンター】として『ルーンソード』で斬りかかる。
「ヒッ……!」
その一閃で大きく人喰いの魔女を【吹き飛ばす】トオル。
仲間達が態勢を立て直す【時間稼ぎ】ができればと考えていた彼だったが、どうやらその必要はなかったようだ。
大きく吹っ飛んで態勢を崩す魔女の傍にいたのは、那由多だ。
好機と判断した魔女は、倒れた状態のままでこの場に無敵の影絵のドラゴンを出現させる。
「行きなドラゴン。奴らを喰らいつくすんだよ!」
最初の獲物として那由多へとドラゴンが食らいつく。
だが、魔女が那由多だと思っていたのは、粘土の人形。
その飾りとなっていた本物の那由多が元の姿へと戻り、【だまし討ち】して【カウンター】を叩き込むべく、【怪力】で『白銀の大鎌』を叩き込む。
「おや、無敵のドラゴンを従えておるのに、無様よのう」
丁度、自分と同じことを考えていた猟兵がいたことで、ネーヴェもドラゴンと対峙しやすくなる。
人喰いの魔女は影絵のドラゴンさえいれば、無傷で敵を屠れると自負していた。
それだけに、不意を突かれて傷つけば、ドラゴンの力に疑問を抱き、その力は大きく弱体化することを那由多もネーヴェも真実の鏡から聞きだしていた。
「影絵のドラゴン様も大したことは無いようですね」
ネーヴェは立ち上がろうとしていた魔女へと【ice bomb】を放つ。
巨大な氷の塊を打ちつけられて身体を凍らせた魔女は、自由になっていた右腕の杖へと魔力を溜めて。
「調子に乗るんじゃないよ!」
強引にでも猟兵達を無力化しようと、変化魔法を発射する魔女。
だが、それは向日葵の構えた『ソレイユシールド』にまたしても遮られてしまう。
「いっておいで、しっかり『串刺し』にしてくるんだよ」
その前にと、玲が複製した剣『《RE》Incarnation』と『空の記憶』を射出し、魔女の全身を貫いてしまう。
「さて、どんな動物に変化させてくれるのかな? 楽しみだね」
どっしりと叶える玲。傷付きながらも、魔女は魔法を使おうとするのだが。
「ほれ、行くのじゃ」
エウトティアは背に84と刻印された戦闘用の鷹を放ち、続けて、『手製の短弓』から風の精霊を宿した矢も射放つ。
その矢が向かう先にいた魔女の居場所を捉えたエウトティア。
魔女がその矢に気をとられている間に、エウトティアは鷹に命じて魔女が手にしていた魔法の杖を奪ってしまう。
「さあ、自分の力を存分に味わいなさい! ソレイユ・リフレクション!」
そこで、向日葵が敵の変化魔法をソレイユシールドから放ち、魔女の体を子豚へと変化させてしまった。
「ブ、ブー!」
子豚となった魔女を向日葵は直接狙わず、発射した【光属性】のビームを鏡に反射させてからその魔女へと浴びせかける。
その間に、響子は次なる攻撃の為の態勢を整えて。
「これは古き友である『刃金の魔女』より授かりし御業」
再び、サムライブレイドを煌めかす響子。
彼女は滅ぼすべき魔女の体を、刃となした自らの体を持ってして断ち切る。
「シャイニングソレイユパンチ!」
トドメに、距離と詰めた向日葵が魔力を籠めた【光属性】の拳を叩き込む。
「ブ、ブィィ……」
自らの魔法によって動きを止めてしまった人喰いの魔女は見るも無残な姿で倒れ、その場から消え去っていったのだった。
大成功
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