#アルダワ魔法学園
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●一つの世界にて
「強者求むですの」
まるい琥珀色の瞳でじ、と猟兵たちを見遣りながらルーチェ・パディントン(シャーマンズゴーストのウィザード・f05334)はそう告げた。
「アルダワ魔法学園の学園迷宮のひとつに噂があるんですの。
何でも奥に咲き誇る美しきバラを手に入れられるのは強者だけ……!
それから、それから、その薔薇には『夢を叶える力がある』と――根も葉もないうわさなんですの」
くちばしをぱくりと動かして彼女は猟兵たちへと「迷宮に住まうフロアボスを倒してい欲しいんですの」と淡々と告げた。
フロアボス。迷宮の主。幾重にも存在する迷宮のひとつの構造を変化させながらそこに来る存在を待っているというその存在――フロアボスと呼ばれたは『薔薇』をその身に宿した災魔の存在だ。
「災魔が凶暴化している以上、その迷宮に学生たちが立ち入るの事は禁じているはずですの……けど、『強者のみ』という言葉を聞けば、学生さんも黙ってられないんですの」
迷宮へと足を進めてしまった、と。探索する学生たちが猟兵よりも先に災魔に遭遇した場合、その命はない。
「目的はオブリビオンに辿り着いてどかーんとやっつけることですの!」
犠牲が出ぬよう、最善を尽くし薔薇の迷宮を踏破して欲しい。
●薔薇の迷宮を進め
アルダワ魔法学園の地下――深く寝静まった筈の災魔(オブリビオン)の気配がする。
幾つも存在する学園迷宮のその一つ。災厄の悪魔の名を冠するは凍て付く気配をその身に侍らせる一輪の薔薇。
再構築されるその場所へと踏み入れた魔法学園の生徒たちを餌食とせんとその花は咲く時を待っている。じっとりと、獲物を喰らうその瞬間を楽しむかのように。
かの氷の迷宮には美しい花が咲くらしい。その花を手に入れるのは至難の業で強者でなくては迷宮の奥には辿り着けない。――そんなうわさ話を耳にしたことはないだろうか?
さあ、その噂に躍る学生たちよりも早く皆は力を振り絞りその迷宮を進んで欲しい。
美しきは薔薇の迷宮。雪色の花が咲き誇り、悴む寒ささえも忘れさせるかの如き幻想が広がっている。ちらりと降る雪の気配は光の如くふわりと周囲を舞い踊る。
薄い氷の壁は力で潰す事が出来るだろうか? 知恵を絞り氷の回廊を抜けることが出来るだろうか?
まるでそこは氷の迷路。冷たい気配を感じさせ、誘う様に『冷気』が一定の方向に流れてゆく。
息は白く、冷たく肌を刺し、指先を悴ませるその気配に誘われながら迷宮の奥へ奥へと足を踏み入れることになるのだ。
その奥、何処にいるかもわからぬ災魔を探し求めて。
日下部あやめ
猟兵の皆様、はじめまして。日下部あやめと申します。
アルダワ魔法学園の迷宮のひとつの主の撃破をどうぞ、よろしくおねがいします。無数に存在する迷宮が一つ『雪色の薔薇の迷宮』です。
●『雪色の薔薇の迷宮』
おおむねオープニングに描写された通りの場所です。
美しい薔薇の花が咲くという氷の回廊、雪色の薔薇の迷宮です。
その奥には氷の肢体に雪色の薔薇を咲かせる災魔が存在しています。
氷の迷路を抜け、その奥に存在する災魔たちを倒すがため進んでください。
どのように迷宮を踏破するか(迷宮の攻略方法)のプレイングをお待ちしております。
感じるは凍て付く冷気と何者かの気配。
進む途中、魔法学園の生徒と蜂合う可能性もございます。彼らの対応もまた、おまかせいたします。
皆様の素敵なプレイングをお待ちしております。
第1章 冒険
『冒険競争』
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POW : 力技で迷宮を攻略する
SPD : 速度を活かして迷宮をショートカットする
WIZ : 競争相手の生徒達の行動を読んで出し抜き先行する
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
フレズローゼ・クォレクロニカ
「願いを叶えてくれる魔法の薔薇!なんて素敵なんだろう!そんなの、見て、そして描かなきゃ損だもの!」
WIZ選択
画家としての好奇心に後押しされていざ迷宮へ
冷気の流れる方向へ進めばいいのかな?雪色の花咲く氷の迷宮を「野生の勘」に従いながら物陰にかくれつつ忍び足で探索
滑らないように、気をつけてね!
迷わないように地図を書きながら進むよ!この地図もアートみたいでしょ?
学園生徒に遭遇or接触しそうな時は「ボクはチェシャ猫」で様子をみつつやり過ごす
疲れるから連発は厳禁
危険のなさそうな生徒なら姿を現して…「ボクはこの迷宮を描きにきたんだよ!」って誤魔化して
あっちに変な扉があったよって偽物の地図を渡すのもいいかな
「願いを叶えてくれる魔法の薔薇! なんて素敵なんだろう!
そんなの、見て、そして描かなきゃ損だもの!」
ストロベリィミルクを思わせる甘い髪を揺らしてフレズローゼ・クォレクロニカ(夜明けの国のクォレジーナ・f01174)はきらりと瞳を輝かせた。
凍て付く氷の壁は装飾がないためか伽藍を思わせる。何所かよりはらりと落ちた雪の気配に金の瞳を輝かし、野生の勘を頼りに進んでいく。
桃薔薇に色付く唇から吐く息さえ白く、フレズローゼは握りしめたペンで書き示す地図が途方もなく廻り捻られ続けている事を知る。
――これが、災魔の迷宮なんだね。
小さく、心の中で重ねた認識。薔薇の庭園を思わせる箇所に辿り着いたとき、何処からかささめきことの様に声が聞こえた。
こっちだ。
こっちだ。
魔法学園の学生か、と蔓絡んだ壁に背を押し付けて息を潜める。
――猫のように笑ってごらん。見えるも見えないも、同じだからね!
すぅ、と姿を消して見せる。小さな体躯を縮めて、この迷宮には探索する者が数多くいる実感が幼い少女には確かにあった。
成功
🔵🔵🔴
戒原・まりあ
薔薇はいいわ、薔薇は素敵だわ。
生徒達が心躍らせるのも分かる気がしちゃうの。
だって私だってこんなに楽しみなんですもの!
より冷気が強まっている気のする方、流れる冷気の発信源へ、急いで向かっていくわね。
ただくれぐれも、雪や氷で滑らないように気をつけなくちゃ!
もし行き止まりになったら、薄い壁ならサモニング・ガイストの炎で氷を溶かすことはできるかしら。
でも、少し温めて、壁が厚くて時間がかかりそうならすぐにやめておくわ。時間が惜しいもの。
モモヤ・アミノ
「うわっ、寒いの。誰か暖かそうな上着を着ている人がいたら借りパクできるようにねだってみるの」
寒い迷宮なら簡単なの。吐息が空気の流れを教えてくれる。
分かれ道で空気の流れを読みながら深部へ進むよ。
一応目印に、分かれ道では壁にダガーで傷をつけていくの。
人に出会ったらどんなルートで来たのか聞いて
まだ進んでない道を進むように協力を促す。
「迷宮なんかで足止めされたくないサクサク進んでいくの。モモが深部へ連れて行くから、戦闘は大体任せるの」
薄い壁の場合は練成カミヤドリで無数の鍵をぶつけて氷壁を破壊し極力ショートカットする。
「冷えてきたね、ここから出たらキミの奢りで暖かいもの食べに行くよ。よろしくね」
入り組んだその場所をぐんぐんと進みながら
「薔薇はいいわ、薔薇は素敵だわ。
生徒達が心躍らせるのも分かる気がしちゃうの――だって、だって! 私だってこんなに楽しみなんですもの!」
戒原・まりあ(御名を呼ぶ・f00556)は黒髪をふわりと揺らし、迷宮を進み往く。
より冷たく――入口から感じていた冷気とは差を感じさせるその場所に向けて進んだまりあの前で身を縮ませる様にして悴む手を擦り合わせたモモヤ・アミノ(鍵っ子選手権優勝・f04698)が「はふ」と息を吐く。
「うわっ、寒いの」
上着が欲しいと強請る視線にまりあはくすりと笑う。良家の子女には抜かりなく。腹を撫でた指先は古代の英霊を呼び覚ます。
「サモニング・ガイストで温めてみましょうか!」
「氷は溶けるの?」
ぱちり、と瞬くモモヤ。まりあはどうかしらと小さく首を傾げて見せる。ダガーで傷つけられた氷の壁の周囲は溶ける事無く――温もりを只、感じさせるだけだ。
「どっちからきたなの?」
「あちらからよ。貴女は――その『標』の通り来たのね」
まりあが指先でなぞったのはダガーで傷つけられた壁。てん、てん、と当たりに並ぶその傷は入口よりモモヤが辿ってきたルートなのだろう。
その傷とは別の場所を、と。指し示すはモモヤとは別ルート。それならば早い。
迷路を思わせる状況では有効な戦略と言えば情報を持っているかどうか、だ。
ただし、それは『一人』ではどうすることも出来ないが――二人ならば一人である時よりもより、効率は良いだろう。
人が集まれば集まるほどに迷宮の攻略度が上がっていくと情報を収集しながら二人は進む。
「ああ……壁を溶かして最短を進みたいけれど、無理なら諦めて堅実に行きましょう。時間が惜しいもの」
「迷宮なんかで足止めされたくないサクサク進んでいくの。モモが深部へ連れて行くから、戦闘は大体任せるの」
ふふん、と鼻鳴らす。任せなさいという様に胸張った乙女は堂々たる様子で告げた。
――その代わり、ここから出たらキミの奢りで暖かいもの食べに行くよ!
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
秋稲・霖
【WIZ】
綺麗な花は強いヤツにこそ相応しい…ってわけで、一番乗りになってやっぜー!
薔薇見物がてら、周りの様子を観察しながら進んじゃお
つめたーい罠とかもありそうだよねえ…そーゆーのも気にしとこ
力任せに行っても何があるか分かんないし怖いからねえ
考えんのも苦手なんだけど、ま、俺の超絶なひらめきに任せれば何とかなるっしょ!
競争相手の生徒に遭っちゃったら炎で周囲を囲んで足止めさせてもらっちゃお
本気じゃないから安心してよね
ごっめーん、悪気はないんだけど…その先進んじゃうと、今よりもーっと危ない目に遭っちゃうかもだから、行かせらんないんだわ
蓮花寺・ねも
足元や壁等の様子を注視。
行って戻られていない道は当たりかも知れん。
道中で生徒に行き会ったら、そうだな。
ここにあるのは、うわさだけだ。それを逆手に取ろう。
あの、わたし、見たの。
ここではなくて――むこうに、隠されるみたいに扉があって。
迷宮だもの。奥へ続く道なのだわ。
必要なのは『強者』でしょう?
きっと、見つける知恵と、開ける力と、戻る判断力と、その速さを試されているのよ。
わたしはもう、体力がなくて無理だから――ねえ、あなた、わたしの『夢』も連れて行ってくださらない?
入口近くに誘導したい。
結果的に生徒を巻き込まなければ良い。
ぼくの出遅れ程度は許容範囲だ。
皆、この隙に距離を稼いでくれるだろう。多分。
花邨・八千代
やァれやれ、どこでも無茶するガキってのは居るもんだなァ
しかしそんなのを出し抜いてやるのも悪くはねェな、面白そうだ
災魔の花、なんて中々洒落てるのも気に入ったぜ
◆攻略法
防寒に気を付けつつ冷気のより強い方へと進むぜ
ショートカットできそうな氷の壁は力技で割って進むがある程度迷宮内に高さがあるんなら【空躁】を使って高所から迷宮内がどうなってるか確認しつつ攻略してェな
もし途中で生徒に会ったら?無視だ無視、相手になんてしてらんねェよ
「ちょっと上通るぜ」って【空躁】使って先に進むぜ
まァ、もし命の危機に陥ってるってんなら多少の手助けはするがな
「綺麗な花は強いヤツにこそ相応しい……ってわけで、一番乗りになってやっぜー!」
昏く茫と照らす明かりとほの灯りの雪よりも尚、『明るく』秋稲・霖(ペトリコール・f00119)はへらりと笑ったそう告げた。
噂話を耳にして、行くしかないと前のめりに迷宮に乗り込んだ霖は鼻歌交じりに冷たい迷宮を進みゆく。凍て付く風に幾許か肩を竦めたその頭上をたん、たん、とリズミカルに走り抜けるひとつの影。
鼻先を擽るは甘い煙のかおり。花邨・八千代(羅刹華・f00102)の煙管から漏れたその気配は惹きつける様な冷気に攫われていることに気付く。
「やァれやれ、どこでも無茶するガキってのは居るもんだなァ。
しかしそんなのを出し抜いてやるのも悪くはねェな、面白そうだ」
「概ね同意だぜ」
笑う狐に、返す笑みは何処か意地悪に。釣り上げた唇は三日月の形を思わせる。
「ちょっと上通るぜ、じゃあな」と最短ルートを見つけたという様に宙を歩んでく。
「おっと、先客か?
災魔の花、なんて中々洒落てるのを気に入った奴らが大勢詰め寄せてるようだな」
八千代がからりと笑う。道行く先に学生たちの姿が見える。
咲き誇る災魔と出会う前にお引き取り頂きたいものだと毒吐く様に告げた八千代の纏う烟はどうやらこの先に続いているようで。
「先に『いる』な」
脅威と呼べる、何かが。
足止めた八千代の傍らで霖はゆるゆると頷いた。
学生への対応はまかせて、と二人の傍をすり抜ける様に進んだ蓮花寺・ねも(廃棄軌道・f01773)は先へ先へ、深くへ進まんとする学生に「ねえ」と『わざと』声をかける。
「あの、わたし、見たの。
ここではなくて――むこうに、隠されるみたいに扉があって」
藍の瞳は怪し気に細められる。物覚えには自信があるの――普段のねもを知って居るならば嘘だと彼女に笑う事だろう――そう言う人形めいた猟兵に学生たちはどうしたものかと顔を見合わせる。
「迷宮だもの。奥へ続く道なのだわ。必要なのは『強者』でしょう?
きっと、見つける知恵と、開ける力と、戻る判断力と、その速さを試されているのよ」
「君は……いかないのか」
学生の声音に八千代はどう答えた物だろうかとねもを見やった。
此処にいるのは何れも『迷宮攻略を目指して競争し合っている者』ばかりだ。見つけたのなら君が、そう言われるのも妥当な事だと咲き誇る凍薔薇を見詰めた紅色の瞳は値踏みするようにスペースノイドの少女を見やった。
「わたしはもう、体力がなくて無理だから――ねえ、あなた、わたしの『夢』も連れて行ってくださらない?」
問答の合間、八千代は「上を失礼」と冗談めかし空中を蹴る。たん、と学生の上空を『踏む』様にして過ぎた彼女が振り仰ぎ、霖とねもへと『意味ありげな視線』を向けた。
成程、と霖は小さく頷き指先で宙を手繰る。ちりちりと、冷たい冷気を感じさせなくなる様に、鮮やかな赤がふわりと宙に浮きあがる。
それが彼の作り出した狐火。帰ることを渋る学生たちをちらちらと包み込む。
「ごっめーん、悪気はないんだけど……。
その先進んじゃうと、今よりもーっと危ない目に遭っちゃうかもだから、行かせらんないんだわ」
冗談めかして笑って見せて。霖は尾をゆらりと揺らす。
眼鏡越し、細めた瞳は只、怯えて逃げ出した学生達のその背の向こうを見詰めている。
「はは、確かに『危険』だ」
氷薔薇が萎れる様に咲いている。鮮やかな景色とは一転し、蔓絡むその場所は『迷路あそび』の終わりを思わせた。
――そこに見えるは頁を揺らした書物の魔物。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『書物の魔物』
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POW : 魔書の記述
予め【状況に適したページを開き魔力を蓄える】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD : ページカッター
レベル分の1秒で【刃に変えた自分のページ】を発射できる。
WIZ : ビブリオマジック
レベル×5本の【毒】属性の【インク魔法弾】を放つ。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ナナ・モーリオン
(ひょっこり後方から進み出て)
ん。みんな帰ったんなら、後はボクらの出番。
遠慮せず、思いっきり、やっちゃおうか。
おいで、みんな。小さな怨嗟の獣たち。遊び相手がいるよ。
食べて、破いて、燃やしちゃえ。
他にも前衛さんはいるだろうからボク自身は適当に離れてるね。
他の猟兵さんや魔法弾の合間を縫って、獣たちに飛びかかってもらうよ。
小さいから小回りは利く。みんなの隙、上手く潰してあげてね。
ティエル・ティエリエル
「うぅぅ、ボク、こんなに寒いの初めてだよ……」
いつもぽかぽか陽気の故郷と正反対、氷に囲まれた迷宮の温度に弱音を吐いてもしょうがないよね。
【ライオンライド】で体長40cm程度の黄金の子ライオンを呼び出すと毛皮に埋まるように暖をとりながら迷宮を抜けてきたよ。
迷路を抜けるとよく燃えそうな本がいっぱい。
「あれ、燃やしたら温かくなるよね♪ よし、ライオンくん、焚き火の準備だよ☆」
子ライオンくんにきちんと跨り、レイピア型の獣奏器を構えてると【SPD】に任せて本のページをどんどん切り裂いていくよ!
吐く息は白く。
悴む手を重ね合わせたティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)は肩を竦め、白薔薇の迷宮の中、「うぅ」と小さく唸る。
「ボク、こんなに寒いの初めてだよ……」
常春の故郷は芽吹きを感じさせ、暖かな太陽が常に降り注ぐ。その陽光に負けず劣らずの柔らかな色味をした黄金のライオンのふかふかとした毛へと埋もれる様にしてティエルは段をとった。
頁が捲れるたびに何処からか感じさせる冷たい風がティエルの頬を撫でる。嫌だという様に首をふるふる振った彼女は何か思いついたかのように青の瞳を輝かせた。
「あれ、燃やしたら温かくなるよね♪ よし、ライオンくん、焚き火の準備だよ☆」
「ん、『焚火』の準備は十分みたい。遠慮せず、やっちゃおっか」
幼さを感じさせる容貌にはたっぷりの余裕を湛えて。ナナ・モーリオン(スケープドール的なモノ(本人談)・f05812)は魂寄せの小鈴のりんと鳴らす。
怯えて逃げ出した学生たちに危害が及ばぬのならば書物を思わすその災悪を相手とるには十分なシチュエーションだ。
「後はボクらの出番――おいで、みんな。小さな怨嗟の獣たち。遊び相手がいるよ」
子犬と子猫。小さな黒炎が模るは愛らしくも、凶悪なる獣の姿。
――♪
奏でた音色は獣と疎通するためのもの。ティエルのその音色に合わせて動き出す『ライオンくん』はクルルと喉を鳴らし彼女を前線へと誘っていく。
「食べて、破いて、燃やしちゃえ」
切り裂く様に、爪先がページを破れば、それに倣う様にナナの獣たちは楽し気に――まるでじゃれつくかのように――ページを破り続ける。
蛇腹のように無数の頁が宙に浮きあがり、凍て付く気配を纏い乍ら、ナナの許へと飛び込んでくる。
子犬はそれを口でキャッチしぶんぶんと頭を振り回す。されど、自身がダメージを受けては愛らしい相棒たちが姿を消してしまう事を知る少女は一歩、後退するしかない。
――♪
聞こえる音に耳を澄ませて。
書物から浮き上がったインクが勢いよく猟兵へ向かって撃ち込まれた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
蓮花寺・ねも
どうやら、あるじではなさそうだけれども。
外に近い場所に居られても難だ、除外しよう。
【サイキックブラスト】で動きを封じるように動く。
ぼくが強力な一撃をお見舞いできなくても、
誰かにその機会が巡れば上々だ。
ひとりではないのがぼくらの強みだと思う。
魔力を蓄えるような素振りが見えたら、警戒を。
声を掛けて、皆とも状況は共有する。
ここから誰が欠けても厳しかろうし、――ぼくが見ているうちに倒れて貰っても困る。
精々当たらないよう気をつけよう。
正面が疎かにならない程度に、後方、ここに続く道にも注意を。
念のため。
後ろから生徒がやってきたら、芝居を打った意味がないのでね。
素直に危険を伝えてお帰り願うとしよう。
戒原・まりあ
ページや魔法弾の手数が厄介そう。
【オルタナティブ・ダブル】で増えたもう一人の自分と協力して捌いていくわ。
視界が二つならカバーできる範囲も増える事でしょう。
直接燃やしたり破ったりするのは、私はあまり慣れてないけど
まりあ、あなたなら出来るわよね?
――そうよ!バラバラにしてあげるわ!
頁は破いて引き裂いて、あとでたっぷり造花の薔薇にしてあげる。
燃やしたらきっとすぐに燃え落ちるの、素敵よ、素敵だわ!
萎れた氷の薔薇の向こう側から飛び込むインクは、その迷宮を埋め尽くす白とは対照的な黒。光を帯びて、何所か青く光って見せたその色を目ざとく見つけて見せたのは『薔薇原・まりあ』であった。
美しく頁を辿るが為に整列した文字列が弾丸となって打ち出されるのは余りにもナンセンス。
『ふたり』でそのインクの弾丸を見据えた戒原・まりあ(御名を呼ぶ・f00556)は土塊の鳥を握りさよならと告げる様に書物へとその凶刃を突き立てる。
頬を掠めたインクの気配に蓮花寺・ねも(廃棄軌道・f01773)は僅かに目を細める。
「――どうやら、あるじではなさそうだけれども」
けれど、とねもは静かに息を付く。丁重に『お帰り頂いた』彼らの許へと下らない御伽噺を携えてその凶弾を届かせるわけにもいかないだろう。
「ここから誰が欠けても厳しかろうし、――ぼくが見ているうちに倒れて貰っても困る」
「ええ。そうね。だから好機を狙う。『まりあ』、あなたならできるわよね?」
直接的にその手を下す。まりあにできなくても『まりあ』ならば。
魔力の気配を感じ取り、ねもが上げた一方に『まりあ』はにぃと唇で弧を描く。
「――そうよ! バラバラにしてあげるわ!」
前線に飛び込む乙女の聖刻が淡い光を帯びていく。
書物が『まりあ』へ向けて打ち出した弾丸をせせら笑う様にねもは美しい宙色の瞳を細めた。
「生憎、ぼくらはひとりではないのでね」
物覚えが悪い。ならば、今、目の前で行われるその一撃一撃を『憶える』事はできる。
書物が打ち出す弾丸は何時の日か誰かがなぞった物語。失はれる物語は夢の後先、希望の欠片、誰かが夢見た未来のかけ。
一つ一つを確かめる、高圧電流がじわりと書物の端を焼く。
焔のちりりとした気配にまりあは「まあ」と口元を抑え、もう一人の自分を見つめた。
「頁は破いて引き裂いて、あとでたっぷり造花の薔薇にしてあげる。
燃やしたらきっとすぐに燃え落ちるの、素敵よ、素敵だわ!」
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
アヤネ・ラグランジェ
【冬青と一緒に行動】
僕の猟兵としての初任務。ちょっと勝手が違うケド。目の前の書物みたいなアレもUDCと思ってクリアするしかないネ。冬青とタイミングを合わせて攻撃するよ。
「書物の化け物ならこれは苦手だろう?」
謎を食らう触手の群れを発動。
「ソヨゴ、呼吸合わせていくよ!」
敵さんの「魔術の記述」は警戒しておく。動きは大きいケド、当てられると厄介そう。
モーションが見えたら「ソヨゴ!大きいの来るよ!」と伝えるネ
城島・冬青
初めてのオブリビリオン対決
頑張ろう!
同じ旅団のラグランジェさん(f00432)と息を合わせて攻撃していきます
迷宮寒さで身体が動かないのは困るので動きやすい防寒着で迷宮内を移動
【Wiz】選択
適度に間合いを取りサモニング・ガイストで攻撃していきます
書物の魔物が攻撃モーションに入るのを感じたら警戒し
まともに喰らわないようにします
隙は見逃さず攻撃を仕掛けます
この機会、逃しませんよ
燃える気配は只、その書物の頁をぺりぺりと捲り『戸惑い』さえも感じさせる。
「僕の猟兵としての初任務。ちょっと勝手が違うケド」
それはアヤネ・ラグランジェ(颱風・f00432)も同じであっただろうか。UDC職員たる母が相対した相手とはあまりにかけ離れた書物のまもの。
「確かに……本と戦うのは変な感じだ。だけど、がんばろう!」
僅かに尖る牙を見せて笑った城島・冬青(先見の明・f00669)は妖刀を構えて地面をしかと踏みしめる。ちらちらと舞う雪が鮮やかな陽の色のかみに落ちる様子を見詰めアヤネは悠々と頷いた。
「OK、ソヨゴ。いこう!」
ぞろり、と姿を現すは無数の手。巻き付く気配にアヤネは書物へ『疑問』を投げかける。
「書物の化け物ならこれは苦手だろう?」
本は知識の宝庫だ。但し、そこに記載されているもののすべてだけだが。
謎喰らいは大喰らいか。昏い色を纏わせて萎れた薔薇を通り抜けぞろりと巻き付くその気配に書物の頁が抵抗するようにインクをじわりと浮かせ続ける。
失はれる。言葉。
それは知識と呼ぶに相応しい――ならば。
「ソヨゴ、呼吸合わせていくよ!」
「この機会、逃しませんよ」
古代の英霊を呼び覚まし、その知識のかけらを槍で貫く冬青はそのかんばせに――兄や弟のおもかげは自分にはないとそう、信じている――余裕さえ浮かべて見せる。
「中々、しぶとい『本』……」
静かにぼやいた冬青の声にアヤネはくすくすと笑う。
「確かに『しぶとい本』だ。読書感想文があったなら『面倒だった』と書きたいレベルのね」
冗談めかしてそう言ったアヤネはハッと顔を上げる。
「ソヨゴ! 大きいの来るよ!」
書物は浮き上がる文字の渦さえもすべて『状況に適したように魔力』へと変換してゆく。
その記述は何処までも猟兵を追い掛け、そして、追い詰めるために適しているという様に。
「了解しました。分かっていたならこちらのもの」
けれど、余りに大仰であったその動きは最早『見えている』
ずずん、と音立て迷宮さえも揺さぶる様に撃ち出された一撃を避け、冬青の唇には笑みが浮かび上がっていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
誘名・櫻宵
フレズローゼ(f01174)と一緒よ!
「全く、どこ出掛けてるのかと思ったらこんな危ない……!ちょっと!うちの子が怪我したらどうするの!」
寒いし危ないしダメよダメ!
この子はあたしがしっかり、守らなきゃ……!
ええ、協力していきましょ!
フレズをかばいながら、攻撃してくわ
「もうっ、あんまり近づき過ぎないでよ、なんか飛ばしてきそうだから」
残念、それは残像よ!なんてね
紙って案外痛いのよ
避け無きゃ
フレズが渾身の魔法で隙を作ってくれたなら、一気に剣刃一閃でぶった斬るわ
シュレッダーにかけられたみたいにしてやるんだから!
氷の薔薇を見ながらショコラを食べるのもまた一興だもの
あの子の笑顔のために殺ってやるわよ!
フレズローゼ・クォレクロニカ
★櫻宵(f 02768)と一緒に戦う!
「いた!魔物がいたよ、櫻宵!」
この魔物を倒さなきゃ、薔薇は観れないんだ
お花、元気ない…災魔のせいかも
2人で協力して倒すよ!
そしたら学園の危機もひとつ、減るよね!
身軽に動き回り、攻撃を見切りながらも動きをよーく観察して第六感を働かせて弱点や隙を探るんだ
書物の魔物ってことは、炎が効くかな?
ページも燃やしてしまおう!
櫻宵が守ってくれるから大丈夫
でも櫻宵が傷つくのは嫌
全力で攻撃する
「キミはなんの蝶?」画用紙に描くのは燃え盛る翅の蝶
ほーら、とんでいけ!
キミの暴虐(クビ)を焼い(はね)たげる!
ボクが隙を作るからサクッと斬っちゃって
全部終わったらご褒美のチョコを食べるの
迷宮を奔り、進んでいたフレズローゼ・クォレクロニカ(夜明けの国のクォレジーナ・f01174)は聞こえた地響きに顔を上げ、誘名・櫻宵(誘七の屠桜・f02768)を振り仰ぐ。
「いた! 魔物がいたよ、櫻宵!」
「全く、どこ出掛けてるのかと思ったらこんな危ない……!」
きらりと瞳を輝かせ、ストロベリィミルクの髪を揺らした少女に櫻宵はむ、と唇を尖らせる。迷宮――それも『災魔』の前だなんて。
そう言い掛けた櫻宵の許へと飛び込んだはインクの弾丸。
「ちょっと! うちの子が怪我したらどうするの!」
枝垂れ桜の翼をばさりと音立てさせてあからさまな程に『お怒り』になった彼――いや、彼女かもしれない――は櫻守霊符に想いを込める。
「もうっ、あんまり近づき過ぎないでよ、なんか飛ばしてきそうだから」
「だ、だって……お花の元気がないし、倒さなくっちゃ、学園の危機!
それに、櫻宵が守ってくれるから大丈夫、でしょ?」
そう言われてしまっては櫻宵も型落ちだ。今は二人で大仰な攻撃を放ち隙だらけの書物を相手にするが一番か。
パラララララ。
静かに音立ててナイフの様に飛び付く書の一頁に反応示し、櫻宵はくすりと笑う。
「残念、それは残像よ! ……なんてね」
「書物の魔物ってことは、炎が効くかな? ページも燃やしてしまおう!」
翅を彩り描く蝶には炎の気配を。彩り、世界を模って魔法石を砕き作った岩絵具の赤はちりりと焦げた香りをさせて見せる。
「あら、いいじゃない。
じゃあ、あたしはあいつをシュレッダーにかけられたみたいにしてやるんだから!」
ゆっくりと構えたは屠桜。血桜の怨嗟を耳にしながら前線飛び交う櫻宵を追い掛けて、甘いロリィタドレスを揺らしたフレズローゼは楽し気に描き続ける。
「ねえ、櫻宵。キミの暴虐(クビ)を焼い(はね)たげる!
ボクが隙を作るからサクッと斬っちゃって」
不思議の国の女王の如く、首を切っておしまいと笑ったその声に櫻宵は美しい薔薇の下で剣舞を踊るのも悪くないわと冗談めかす。
「全部終われば薔薇を見ながらショコラを食べるんでしょ?」
「うんっ」
「――悪くはないわね。さっさと切刻んじゃいましょ」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
花邨・八千代
あっはっはっ!こりゃあ良い!
丁度寒いと思ってたんだ、裂いて火を点けりゃ手頃な焚火になりそうだぜ
誰かマシュマロ持って来いよ、焼こうぜ!
ビスケットもな!
◆戦闘
自分で掌を切り裂いて【ブラッド・ガイスト】始動、「恫喝」でこっちに意識を向けさせて全力で攻撃を仕掛けるぜ
先に傷を見付けたらそこの「傷口をえぐる」、もし相手のでかい一撃が来そうなら真っ向から相対して「捨て身の一撃」だ
俺ひとり程度で終わると思ってんじゃねぇぞ
てめェで焼きマシュマロパーティーしたいやつは山ほどいるんだぜ!
三岐・未夜
【多々羅・赤銅、花邨・八千代、セラ・ネヴィーリオと同行】 マシュマロ食べに来た。 チョコレート持ってきたから、溶かして焼きマシュマロに絡めたらおいしそう。 ……あぶない? へいき、赤銅いるし。追い込んでくれるでしょ。 赤銅と八千代が本を追い込んでくれたら、狐火で纏めて囲んで燃やすことにする。火力が足りなければ狐火を融合して強化するよ。 ……焼き終わった? まだ? マシュマロたべたい。おなかすいた。 燃費が悪いと空腹を訴える黒狐。陰気な見た目に反して、子供のような物言いだ。 周りを見回して、他に敵がいないか、燃やす本がまだ動いたりしないかを一応警戒しながら、マシュマロを串に刺し始めた。
多々羅・赤銅
【未夜、八千代、セラと同行】 本を焼いてマシュマロパーティするって聞いたんだけど、会場ここであってる?(アメリカンで大きくてめっちゃバニラの香りがするマシュマロ持参) 本の集団戦か、そんなら纏めて焼ければ早いだろ。みゃー、炎はよろしくね。 羅刹旋風、刀を大袈裟に振り回して本の追い込み漁だ。迂闊に切り刻んでページが勝手に動いても面倒だし、あえて斬撃を外して本だの頁だのを誘導するぜ。襲ってくるならそのまま惹きつけるさ、こっちだこっち、よってきな! 怪我は治癒役がいるからね、頼りにする気でガンガン受けとくか!
セラ・ネヴィーリオ
【赤銅さん、八千代さん、未夜さんと同行】
迷宮深部。出会ったのは本の怪物と、マシュマロを抱えた赤銅さん達…マシュマロ?
紙ってよく燃えますね?焼きマシュマロだ!
【使用値:WIZ】
僕は退がって回復を担当
傷が癒えれば恐れることなく戦えるはず
みんなが攻撃に専念できるよう、間断なく【シンフォニック・キュア】【技能:歌唱】で歌を届けよう!
特に追い込み役の二人のことはよく見ておいて
毒のインクは怖いけど目は背けない。それすら超えて歌を、声を!
「心の薪に火を灯せ――行こう、一緒に!」
戦闘が終わったら炎を囲んでマシュマロ会!
僕は苺でも持っていこうかな!
みんなで囲む焚き火とおやつって、いいよねえ。
凍える様な気配を感じながらも、そこに上がっている炎の気配に花邨・八千代(羅刹華・f00102)はからから笑う。
「あっはっはっ! こりゃあ良い!
丁度寒いと思ってたんだ、裂いて火を点けりゃ手頃な焚火になりそうだぜ」
すぅ、と紫煙を吐き出して多々羅・赤銅(ヒヒイロカネ・f01007)は「ところで」と八千代を振り返る。
「本を焼いてマシュマロパーティするって聞いたんだけど、会場ここであってる?」
アメリカンサイズ――甘いバニラのかおりを漂わせた赤銅に八千代は「ビスケットもな!」と冗談めかして笑って見せる。
「え……マシュマロ?」
氷の薔薇を見詰めながらの迷宮探索を行っていたセラ・ネヴィーリオ(涅槃西風・f02012)は赤銅と八千代の様子に長い睫を震わせて不思議そうに首を傾いで見せた。
「ん……マシュマロ」
こくりと頷いた三岐・未夜(かさぶた・f00134)。まるい陽の色の瞳は赤々と燃え盛る書物の魔物よりもその『炎』に夢中なのだろう。
「チョコレート持ってきたから、溶かして焼きマシュマロに絡めたらおいしそう」
「いいじゃねぇか。悪くない」
笑う八千代から滴る血液が拷問具へと絡みついた。前線へと飛び出して書物と相対する八千代の傍らで、卵雑炊――美味しそうな名をしているがれっきとした赤銅の得物だ――を手に、赤銅は書物との距離を詰める。
「んなら纏めて焼ければ早いだろ。みゃー、炎はよろしくね」
失はれる。文字の。
その弾丸が頬を切り裂けば赤が滴る。
「……焼き終わった? まだ? マシュマロたべたい。おなかすいた」
拗ねた様にそう言って。狐火が書物を包むそれをじいと見つめた未夜はこどもの様に『魔物の後にある焼きマシュマロパーティー』を夢想している。
心の芯までも蝕む様に飛ばされるインクの弾丸の雨を受け止めた赤銅と八千代へとセラはシンフォニックデバイス構えて歌い出す。
真白の髪先はその動きに合わせてふわりと揺れる。地面を踏み締め、謳うは希望。
「心の薪に火を灯せ――行こう、一緒に!」
傷が癒えれば、その心を蝕むものさえそこにはない。
「終わったらマシュマロパーティーをするんだ!
あ、僕は苺を用意したから、おやつを楽しみにしようね?」
「……はやく。お腹空いた」
大人びた外見乍ら幼さを感じさせる口調の未夜にセラはくすくすと笑う。
炎の気配に焦れた狐の感情を感じ取り赤銅は「腹が減っては戦も出来ず、だ。あいつはいい焚火だ!」と唇にゆったりと笑みを浮かべて見せる。
満身創痍になりつつもその弾丸を、書物のかけらを飛ばし続ける災魔をひきつける様に赤銅は背を通過する傷跡の気配を感じ手招いた。
「こっちだこっち、よってきな! 」
惹きつけるだけ惹きつける。それはセラというヒーラーが居るからこそできる彼らなりの戦い方だ。
彼らは夕暮れ時に立ち寄ったある団地の住民たち。コンビニまで15分、ちょっと遠いけれど、ならば目の前の本で焚火をして食事をとる位はお手の物だ。
真っ向勝負を仕掛けて飛び込む八千代の肚を切り裂く書の気配は、渾身の一撃か。
何処までも、魔力を貯め込み著しいほどの魔力の気配を重ねたその書に反撃するように食らいつく。
「俺ひとり程度で終わると思ってんじゃねぇぞ」
体内に埋め込まれたドライバーの許容を越える程の血潮が突き動かす様に前線へと飛び込ませた。
癒しの音色歌ったセラの傍らで、首より下げた『おうちのかぎ』に触れた未夜の炎が追いかける。
皆が大事な居場所からこの場所へと来た。誰一人欠ける事無く――そして、言葉なくても分かっていると『マシュマロパーティー』の準備を進め乍ら。
「てめェで焼きマシュマロパーティーしたいやつは山ほどいるんだぜ!」
ちりちりと。音立てて。
鮮やかな程の炎の気配を上げて、消え去っていくその魔物の気配に、マシュマロを食べれると顔を上げた未夜は首を傾げた。
「……寒いから、いい焚火だね?」
――さあ、おなかが空いたから食事にしよう。きっと、何時もよりおいしいはずだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『錬金術ドラゴン』
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POW : 無敵の黄金
全身を【黄金に輝く石像】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD : ドラゴンブレス
【炎・氷・雷・毒などのブレス】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : アルケミックスラッシュ
【爪による斬撃】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【に錬金術の魔法陣を刻み】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑17
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
鳴宮・匡
ちょっとした好奇心はあるんだよな。
――ヒトでないものを、どれくらいちゃんと殺せるか。
ユーベルコードによる狙撃を軸に、出来るだけ近づかれないように対応。
距離が取れるなら相手の射程外から一方的に撃ちたいんだが、
まあ地下迷宮だし高望みはしない。
一応壁とか床とかを利用して、ブレスの直撃だけは避けるかな。絶対痛そう。
他にも猟兵がいるならしっかり「援護射撃」のていで動くよ。
拳銃よりどー見ても剣とか斧とかのほうが強そうだろ。な。
魔法陣の構築時、もしくは敵の様子が変化して攻撃が通らなくなった場合。
アサルトウェポンを引っ張り出して、足元の床を狙って「破壊工作」。
相手の敷いたフィールドで律儀に戦う義理はないよな?
誘名・櫻宵
*フレズローゼ(f01174)と一緒
アドリブ歓迎
いよいよ頭の登場ってわけね
上等じゃない!
大丈夫よフレズ、あなたはあたしが守るか―って泣けること言ってくれるわね
あたしとあなたなら、大丈夫よ!
とは言ったものの強敵、油断大敵ね
上手く攻撃を残像や見切りで躱しながら鱗や関節とか弱点……より攻撃が通りそうなとこを探しましょ
スナイパーでよく狙って…爪が斬れなきゃ指ごと斬るわ!
フレズが動きを止めてくれたなら、一気に距離を詰めて『絶華』を叩き込む!
あの子の勇気と想いを無駄にはしない、ええもちろん、全部まるごと、その首たたっ斬ってやるわ!
あなたの大好きな苺チョコを持ってきたの
美味しいって食べた時の笑顔が楽しみだわ
フレズローゼ・クォレクロニカ
★櫻宵(f02768)と一緒に
ドラゴンだ!
いよいよボス戦だね!こいつを倒して平和を取り戻す
ボクだって、櫻宵が傷つくのは嫌だし負担をかけたくないもん
気持ちを奮い立たせて、いざ勝負!
一撃が重そうだからよく様子を観察して、間合いをとって攻撃の気配を感じたら退避するよ
持てる限りの力を持って、見切ったり衝撃波で牽制したり、絵具で目潰ししたり
皆を支援しながら戦うよ!
防御されないタイミングで「黄金色の昼下がり」をつかってボクがあいつの動きを止めるよ
だからその隙に、櫻宵は渾身の一撃をぶち込んで!
さぁ、首をはねておしまい!
そして櫻宵と一緒に、薔薇を見ながら至福のショコラタイムを楽しむんだからー!
*アドリブ等歓迎
城島・冬青
ひえぇ、本物のドラゴン…!
大きいなぁ
おっと今回もラグランジェさん(f00432)とツーマンセルです
って今の発言は聞こえてないよね?(ちらりと確認)
こほん、今回も成功を目指しましょう
ドラゴンなので一撃一撃が重いものとなるでしょうから
まともに喰らわないよう
一定の距離を保ち死神の矢で攻撃
一発でも多く被弾出来るよう死角から狙い撃つ
ドラゴンが金色の時は攻撃を中止
相手も動けないのでこの間は敵の様子を伺いつつ
体力を回復させます
ブレスは避けるか遮蔽物があればそこに身を隠してやり過ごす
あとは1つの所に留まらない様に動く
無事倒せたら
そうですね
ラグランジェさんとハイタッチしましょう
改めて…これからも宜しくですよ
アヤネ・ラグランジェ
「そろそろ最後かな?薔薇はどこに?」
「っと、いかつい相手だネ。探し物は後回し」
敵と地形を観察して把握
今回は前後ろに分かれての戦闘だ
でも前回でお互いのタイミングは測れているはず
僕が前
まずはエレクトロレギオンで機械兵器を60体召喚
攻撃は機械に任せて、自分自身は出来る限り相手の死角に回り込む
あんなブレスは受けたくない
爪による斬撃が見えたら少し動きを変えて
魔法陣の上から敵を移動させる
もしも敵がソヨゴに向かったら全力で攻撃してこちらに注意を引き付ける
敵が黄金に輝いたら手を上げて合図
攻撃をいったん中止するよ
「このまま動かなければ楽だネ」
動き出したらまた合図をして再開する
倒し切れたら何か見つかるだろうか?
蓮花寺・ねも
嗚呼、流石は魔法の世界。
ドラゴンを間近で見られるとは。出掛けてみるものだな。
ぼくは回復支援に努めよう。
特に、ブレスで此方の態勢が瓦解するのは避けたい。
可能な限り迅速に【生まれながらの光】で回復を。
此方の疲弊を勘定していられる状況でもなかろう。
立っていられる限りは治す。
ドラゴンの様子はよく観察しよう。
ブレス前の予兆が見て取れるなら、散開する助けにはなるだろう。
ノータイムで吐かれたら如何ともし難いな。回復は精々頑張るとする。
同様に、黄金に変わる様子も見逃さないよう気を付ける。
その隙に回復や射程内からの離脱をするように。
この記憶を持ち越せなくても、今があるならそれで良い。
三岐・未夜
【八千代といっしょ】
ん、マシュマロおいしかった。満足。
……ドラゴン。ファンタジー系ゲームの鉄板。素材になるのかな。
ていうか、倒したあとって残るっけ……?
首を傾げつつ、まあいいかと乗っかる姿勢。
「……羅刹はパワフル」
うん、と独りごちつつ、15個の狐火を全てひとつに融合し、最大火力を作り出す。ついでに、八千代の戦闘が少しは楽になるように、催眠術と誘惑で時折ドラゴンの意識を自分の方に向けて隙を作らせようと試みたり。自分の直感を信じて、最大火力をドラゴンの弱点になりそうな場所に叩き込むことにする。幾ら硬くたって、目や口の中は柔らかいでしょ。
……きらきら、取れた?
取れるかなーだめかなー。
花邨・八千代
【未夜と同行】
さて、楽しい迷宮探索とおやつタイムも終わったしあとは土産だけだな。
大家さんにイイもん持って帰ってやりてェなァ。
お、丁度いい感じのドラゴンじゃん。
なー未夜ァ、アレの鱗か爪引っぺがして大家さんとこ持って帰ろうぜ! 団地のオブジェに使える!
【羅刹旋風】で思いっきり拷問具振り回すぜ、「恫喝」でドラゴンの意識を引っ張りながら未夜の近くまで移動。
全力で攻撃を叩き込み、返す刀で「2回攻撃」を仕掛けるぜ。
ドラゴンが瀕死なら「捨て身の一撃」で一気に勝負を仕掛けるか。 未夜の狐火で少しでも外殻が柔らかくなればキラキラした部分を引き千切るぜ。 大家さんへの良い土産だ。
ティエル・ティエリエル
書物の魔物で暖を取ったけど、吐く息はまだまだ真っ白。さっさと倒して暖かいお家に帰りたいね!
「ようやくボスの登場だね。でもでも、さくっと倒してボクの冒険譚の1ページにしてやるよ♪」
何十倍もの大きさのドラゴンに怯むことなく戦いに加わるよ。
【スカイステッパー】と背中の翅を羽ばたかせた複雑な軌道での空中戦から、【SPD】を活かしたヒット&アウェイで戦うよ。
ダメージは微々たるものだろうけど、周りを飛び回ることで敵の意識をこっちに引き付けるんだ!
「ようやくボスの登場だね。
でもでも、さくっと倒してボクの冒険譚の1ページにしてやるよ♪」
にんまりと笑み浮かべティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)は獣奏器を構える。背の翼は小さな乙女の動きに合わせゆるりと羽ばたいて見せた。
眼前にあるは雪薔薇を咲かせるドラゴン。
「ちょっとした好奇心はあるんだよな――ヒトでないものを、どれくらいちゃんと殺せるか」
静かに、そう、囁いて――鳴宮・匡(凪の海・f01612)は秋色の瞳を細めて口元に笑みを浮かべる。
手にしたRF-738Cは彼の掌に良く馴染み、ドラゴンを屠るが為の準備は整っていると、そう告げるかのようだ。
地を蹴り空飛ぶようにティエルは雪薔薇揺らした竜の許へと肉薄した。
ひらり、ひらりと蝶の様にその翼を揺らし距離を詰めたティエルはに、と唇で弧を描く
(ダメージが多くなくても意識をこっちに逸らすんだ……!)
気を惹きつければその合間を縫う様に弾丸が飛んで行く。息潜め観察眼を磨き上げた匡の撃ち出す千篇万禍。
「拳銃よりどー見ても剣とか斧とかのほうが強そうだろ。な」
援護射撃を行う彼の言葉に反応した様に小さく笑うはアヤネ・ラグランジェ(颱風・f00432)。
ぞろり、その姿を現すエレクトロレギオンは弾丸を追い掛けドラゴンへ向けて飛び込んだ。
「そろそろ最後かな? 薔薇はどこに?」
ドラゴンに飾られた薔薇はとても見れたものではない。その巨躯を飾る雪薔薇は翼を守る装甲の様に固く凍っている。
「ひえぇ、本物のドラゴン……! 大きいなぁ」
余りの大きさに口許抑えた城島・冬青(先見の明・f00669)。今の発言は聞こえてしまっていないかとぱちりと瞬いた彼女は柔和な表情浮かべ、ドラゴンから距離をとる。
撃ち込まれていく匡の弾丸を追い掛けて、飛び込ませた死神の矢。
「――切り裂け、疾風!!」
ヒュウと風切る音と共にドラゴンにぶつかれば、その巨躯からははらはらと白色の花弁が落ちていく。まるで、花が枯れるかのようなその仕草、迷宮飾った雪薔薇にアヤネは「もっとキレイなものがみたいんだ」
氷を纏うブレスが放たれ、その一撃に冬青が遮蔽物探し身を隠す。足元の床を引っ張り上げ、『破壊工作』を以て隠れることに成功していた匡はに、と小さく口元に笑み浮かべる。
「相手の敷いたフィールドで律儀に戦う義理はないよな?」
「勿論♪」
宙を踊る様に動くティエルはけほけほと小さく咳き込んだ。凍て付く冷気を吐き出すドラゴンでその身を蝕まれてはその身を削った爪先での傷口も妙にじくじく痛むというものだ。
「書物の魔物で暖を取ったけど、吐く息はまだまだ真っ白。さっさと倒して暖かいお家に帰りたいね!」
表情顰めたティエル。前線で踊り、動き回る彼女はたん、たん、たたん、とリズミカルに空中蹴ってその一撃一撃を届かせ続ける。
少女の動きに合わせ後方から弾丸で援護する匡の視界では『背後に回り込んだ』アヤネが映り込んだ。
「――あんなブレスは受けたくない」
毒吐くようにそう言ったアヤネは「ソヨゴ!」と友人の名を呼んだ。
澄んだ緑の瞳と克ち合えば、琥珀色は楽し気に細められる。
二人でタイミング合わせて攻撃なんて、なんて――クレバーなんだろうか!
「嗚呼、流石は魔法の世界。ドラゴンを間近で見られるとは。出掛けてみるものだな」
宙の色を映し込んだ瞳が細められる。人形めいた美貌に識ることへの笑みを浮かべて蓮花寺・ねも(廃棄軌道・f01773)は祈る様に指先組み合わせる。
「此方の疲弊を勘定していられる状況でもなかろう。立っていられる限りは治す」
回復薬とし、ふわりと周囲に広がるは聖なる光。ねもの華奢な体には重石の如き疲労が圧し掛かる。
後方より回復を行うねもはドラゴンブレスのタイミングを見測らんと目を細めていた――もう少し、あと少し――ドラゴンの胸元に咲き誇った白薔薇が僅かに色付くと共にその息が吐き出されていく。
ティエルを癒した光に「ありがとう!」と可愛らしく笑う小さな乙女。ゆるゆると頷いて、『憶えている』為にその目はしかと黄金に氷を飾ったドラゴンの様子を眺めていた。
「大きいわね? 上等じゃない! 大丈夫よフレズ、あなたはあたしが守るか――」
櫻の瞳を細め、微笑んだ誘名・櫻宵(誘七の屠桜・f02768)の傍らでフレズローゼ・クォレクロニカ(夜明けの国のクォレジーナ・f01174)はストロベリィミルクの髪先を揺らし、ぴょんと跳ねる。
「ボクだって、櫻宵が傷つくのは嫌だし負担をかけたくないもん。
こいつを倒して平和を取り戻す――ボス戦だもん! 気持ちを奮い立たせていくよ! いざ、勝負!」
幼さを感じさせるかんばせには柔らかな笑みが乗せられている。幼い彼女を守るのだとやる気を見せていた櫻宵はぱちりと瞬き、屠桜を握る指先に力を込めた。
「……って泣けること言ってくれるわね。あたしとあなたなら、大丈夫よ!」
吹き荒れる凍て付く気配。その氷から仲間を守るべく癒すねもの傍らで櫻宵は小さく笑み浮かべる。
「とは言ったものの強敵、油断大敵ね」
こくりと頷き、ステップ踏む様に距離詰めて。流れる髪を揺らしたフレズローゼは彩る声音を震わせる。
ローズブーケを模した月色の絵筆を握るほっそりとした指先はドラゴンの目を逃れる様に黒のインクで塗りつぶして。
「ドラゴン! これがこの迷宮の『ボス』なんだよね!」
「ええ、そうよ。フレズ――とっても怖くて強い童話の最終章よ」
お姫様を王子様が守るその場面によくあるでしょうと冗談めかして。櫻宵に頷くフレズローゼは楽し気に距離詰める。
そう言えば、そのような話を何時か読んだことがあっただろうかとねもは小さく独り言ちた。
けれど、それは何時の事だったかをねもは思い出す事が出来ない。
赤く浮かび上がる般若千手。猛る花邨・八千代(羅刹華・f00102)は前線でからから笑う。
「さて、楽しい迷宮探索とおやつタイムも終わったしあとは土産だけだな」
「ん、マシュマロおいしかった。満足」
おうちのかぎに僅かに触れて三岐・未夜(かさぶた・f00134)はぱちりぱちりと瞬いた。
後方より支援に飛び交う匡の弾丸や冬青、アヤネの一撃の中、茫と宿された狐火はひとつひとつが合わさっていく。
「……ドラゴン。ファンタジー系ゲームの鉄板。素材になるのかな。ていうか、倒したあとって残るっけ……?」
傭兵達の戦闘の中、未夜は「まあいっか」と小さく呟いた。
「お、丁度いい感じのドラゴンじゃん」
しかし、八千代はそうはいかない。大家さんにイイもの持って帰るのだ。
「なー未夜ァ、アレの鱗か爪引っぺがして大家さんとこ持って帰ろうぜ! 団地のオブジェに使える!」
嬉々とした色を乗せた紅色の瞳に未夜はきょとんとした雰囲気で返す。
拷問具を振り回し、ティエルに夢中なドラゴンの横面を叩きつけた八千代は「大家さんも喜ぶんじゃねェかなァ」と紫煙揺らして小さく笑う。
ブゥン、と宙を切り裂く様に振り回される拷問具。見詰めていた未夜は瞬きながら首を小さく捻った。
「……羅刹はパワフル」
前線で攻撃を重ねる八千代の一撃には、とドラゴンの動きが止まる。
「ソヨゴ!」
「わかりました」
アヤネが顔上げ冬青に合図送る。それがドラゴンが魔法陣を刻む合図か。地形の上で立ったドラゴンは黄金をその身に纏う様に方向を上げ続ける。
「やらせません……!」
冬青の矢と共にフレズローゼの描いたいキャンバスから紅茶と角砂糖を連れた輝く蝙蝠が溢れ出す。
「……きらきら、取れた?取れるかなーだめかなー」
どうだろうかと首を傾げる未夜に八千代は笑いながら手を伸ばす。焔の気配でドラゴンを呼び寄せて。
ギャアアアア――――!
叫声が耳を劈く。フレズローゼは耳塞ぎ「あわわ」と慌てて見せればティエルも僅かに肩を竦める。
「おっと、ドラゴンもそろそろおねむじゃねェか。……未夜ァ、この鱗、傷ついてるわ」
「……あっちの、薔薇のがいいかもー?」
マイペースにドラゴンから鱗剥ぐ二人はドラゴンの胸元に咲いた氷薔薇を見つける。光帯び、今にも息を吐きださんとするその動きを縫い留めるは『女王陛下の気紛れのお茶会』。
――――さぁ、桜のように潔く……散りなさい!
空間ごと断ち切るは不可視の剣戟。櫻宵の一撃合わせ、フレズローゼはにんまりと笑って見せた。
「さぁ、首をはねておしまい!」
ドラゴンの『上』と『下』が分かれていく。
手を伸ばし、凍て付く氷の薔薇を掴んだ八千代は「土産ゲット」と小さく笑い、周囲に漂う凍て付く気配が消えた事を確かに知った。
「……倒した……?」
ぽそりと呟く冬青に「みたいだね。進もうか?」と咲き誇る雪薔薇を見に行こうとアヤネが誘う。
ドラゴンの後ろに広がるは鮮やかな薔薇の景色。まるで雪の様に咲いた白薔薇はその冷たさを感じさせる。
倒したことをハイタッチ一つ、アヤネに「改めて……これからも宜しくですよ」と告げたその言葉はアヤネにとっても十分な収穫だったのではないか。
ねもは静かに目を伏せる。此度の迷宮探索は『存外に不思議な事が多かった』
だから――『この記憶を持ち越せなくても、今があるならそれで良い』――そう、思う。
この時のためと用意したは花見世小箱。硝子に朱塗りの枠で飾った小箱を「ほら、フレズ」と櫻宵は差し出した。
「なあに?」
中には甘く可憐に蕩ける、美味の花咲くチョコレェトを詰め込んで。
この薔薇の中、今は幸福な時間を楽しもう。
ここは雪色の迷宮。凍て付く気配は遠のき、何時かはこの薔薇も枯れてしまうのだろう。
願いが叶うというのは――『本当かは分からない』。
冷たい気配を感じさせた氷の薔薇は今、最深部に辿り着いた勇気ある強者を祝福するように只、静かに咲いて。
大成功
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