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完全凍結まで残り僅か

#スペースシップワールド

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#スペースシップワールド


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●凍り付く前に
 ――寒い。
 空調の故障なのか、それとも何か別のことがあったのか。
 このスペースシップの艦内温度が急激に下がり始めていた。
 住民たちの大半は日常生活をすることが難しくなり、避難スペースに身を寄せ合っていた。
「寒いよ」
「凍えてしまいそうだ」
「……眠い」
 だが、体の弱った年寄りや、体力のない子供たちがもう持ちそうにない。
 着る服を工夫したり毛布を巻いたり、火を起こして暖を取ろうとしたけれど、それも限界がきているようだ。
 救難信号を送ろうとしたが、区画を繋ぐ扉が凍り付いてどうしようもなかった。避難スペースにある食糧も、心許なくなってきている。
「このままだと、皆が凍ってしまう。ああ、誰か……」
 誰か、助けてくれ。
 広い宇宙の片隅で、住民たちは助けを求めていた。

●完全凍結まで残り僅か
「みんな、聞いて! スペースシップワールドで、助けを求める声だよ」
 ルビナ・ベイビーブルー(スペースノイドの電脳魔術士・f01646)が猟兵たちに呼びかけた。
「スペースシップが凍り付こうとしているの」
 住民が平和に暮らしていたスペースシップが、突如凍り始めたというのだ。魔法的な何かと言うよりも、艦内の空調やコントロールが全く利かなくなり、艦内温度が急降下。扉や機材が凍り始め、普段の生活ができなくなったと言うのだ。
「私が転送できるのは、住民の皆さんが避難しているスペースなんだよ。とにかく、まずは住民の皆さんに暖を届けること。気持ちを盛り上げてあげたり、温かい飲み物を届けたり、その場を温めたり、とにかく生き残っている人たちを励ましてあげて欲しの。避難スペース用の暖房機器もあるみたいだから、修理してあげるのもいいかもね」
 希望を失い凍えている人々を助けるのが第一だ。
「住民の皆さんの安全を確保できたら、避難スペースから出て艦内の様子を探ることができると思うよ。だって、急に宇宙船が凍り付くなんて絶対変だよね。きっと何かあるはずだよ。いろいろ気になるけど、まずは住民の皆さんの安全確保だね。みんな、よろしくお願いします!」
 スペースシップが凍り付くまで、残り僅かな時間しかないのかもしれない。
 だからこそ猟兵の出番だ。
 凍えた住民の安全確保のため、スペースシップワールドへ急ぎ出発の準備を始めた。


陵かなめ
 こんにちは、よろしくお願いします。寒くて凍り付きそうです。
 さて、1章では凍えた住民たちを励ましたり、温かいものを届けたり、避難スペースの暖房機器を修理したりしてください。寒い場所が苦手な猟兵さんは、寒さ対策もお忘れなく。
 2章は原因究明や艦内に残った住民たちの確保、避難。3章は今回の事件の黒幕との対決などが予想されます。

 それでは、プレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『凍えた宇宙船』

POW   :    騒いだり気合いで盛り上がって熱くなろう!

SPD   :    震える手で環境調整の機械を直す

WIZ   :    温かい飲み物や道具を用意して暖を取ろう

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

エメラ・アーヴェスピア
…っ…この温度は堪えるわね…
あまり悠長にしていると、住民どころか私達まで酷い事になりそうね
手早く作業を始めましょう、助けを求める住民の為にも、ね

最初から大本の修理に行きたい所だけど…どうやらそれは難しいみたいね
『我が工房に帳は落ちず』、魔導蒸気機械の工兵に指示
私も含めて手分けして片っ端から【メカニック】で暖房機器を直すわよ
それと最初から使えなかった奴も持ってきなさい、一緒に直してしまうわ

兎に角時間との勝負、人命がかかっている以上時間は無駄にはできないわ
…一応艦にハッキングして大本も直そうと試みるけれど…
多分「原因」がそれをさせてくれないわよね…

※アドリブ・協力歓迎


レイチェル・ケイトリン
わたしが得意な念動力技能でパイロキネシスをつかって炎をだすよ。

24の炎をバラバラにだせるから環境調整の機械を直す人のとこにもちゃんとおくるね。手を震えさせたくなんかないもの。
もちろん、指示に従うし、丁寧な操作で凍っちゃったとこをとかすのもてつだうからね。

そして、キマイラフューチャーであつめてきた飲み物とお菓子を温めていっしょにくばるね。

暖かさはもちろんだいじだけど、あまいもので体の暖かさもたもってあげないとね。

カロリーがあればうごける、うごけば暖かくなれる、そして、心にもゆとりができるとおもうもの。

そして、お年寄りには念動力で丁寧にマッサージもするよ。

血行をよくするのもたいせつだものね。


弦切・リョーコ
SPD
電磁場制御による雷の【属性攻撃】を応用して電流を流すことで無理やり備え付けの暖房を仮復旧して暖をとる。
根本的には【ハッキング】で環境調整機器システムを掌握し避難区画だけでも本復旧させる

宇宙ってのは人が住めるような場所じゃないってことを思い出させてくれるね。
科学技術の庇護がなくなれば私達なんて脆いもんだ。
だが、それに身を預けて星の海に新天地を求めるっていうのが私達スペースノイドだ。それは猟兵になってからも変わってないつもりだ。
よし、アンタらの航海が続けられるようこの私がなんとかするよ。何処かの船のご同輩たち。
アンタらが身を任せるに足る世界をこの私が取り戻してくる。…まずは、気温からだがね。


オリヴィア・ローゼンタール
宇宙というのは空気がなく、とても寒いのだと聞きました
私には想像の及ばない世界ですが、寒さに凍える辛さはよく分かります
まずは身体を温めましょう

【トリニティ・エンハンス】【属性攻撃】で聖槍に炎の魔力を宿し攻撃力増大
ただし敵を討つためではなく、この凍える寒さを破壊するために
一点に集中して焼き切るのではなく、穂先全体から熱を放出する
皆さん、どうか諦めないでください
私とこの槍が健在な限り、決して凍えさせません
住民の方々を【勇気】付けます(【コミュ力】【パフォーマンス】【言いくるめ】)
臨界状態を維持して部屋全体を温め続けます(【全力魔法】)


紫谷・康行
少し、懐かしい話だ
俺が生まれた船も環境維持装置が不調でずっと冬だったから

寒さは心を弱らせる
だから希望が必要だ

寒さ対策に高機能の温かい服を用意

確証がなくても自信をもってできると言い
機械の修理をする
信じてるものの言葉は力を持つ
それも魔法の一つ

まずは原因を探る
艦内の配線
機械のプログラム
パーツの損傷の有無

詳しいものがいたら勇気づけて協力してもらい
機械や船のマニュアルも参照しながらチェックを行う
チェック用のプログラムは事前に準備していったものを使い必要ならハッキングを行う

修理時はコール・ミーミトリィを使い黒い梟のような精霊を呼び出し手伝わせる
部品の調達、パネルの開閉など人手が必要な時に手伝ってもらう


セレスティア・ナイトリー
私の体内を循環する魔導蒸気エネルギー、この熱を利用することにしましょう。
機械の修復が完了するまでの間はできるだけエネルギーを高水準で循環させ、体外へ放熱することでその場の温度を上昇させることを試みます。
熱とは即ち物質の振動にほかならないので、蒸気振動剣の高周波振動もその一助としましょう。
放熱と剣の振動が皆さんを傷つけてしまう恐れがあるので、人々があまり近づきすぎないよう注意をしておきます。

私は機械の体を持つ猟兵ゆえ、エネルギーが尽きて凍ってしまってもあくまで一時的な機能停止で済むでしょうが(希望的観測)、一般人の皆さんはそうはいかないでしょうから、かの方々の生存優先で臨みます。


シン・ドレッドノート
まずは宇宙船の修理ですね。
ちゃんと直して、住民の皆さんを安心させてさしあげないと。
宇宙船のオペレーター(女性)に暖房機器の場所を聞き、修理しようと申し出ます。

まずは【業火の向日葵】でヒマワリの形の炎を発生させ、セラミックの容器に入れて暖房機器の周辺に配置。
「寒いと修理もうまくいきませんからね。」

続いて怪盗の単眼鏡の電脳ゴーグル機能で環境調整の機械にアクセス、エラーコードから故障原因を調査します。
「どこだ…故障の原因は…?」

故障原因が艦そのもののコントロール系が原因だとすると、一度制御系を独立させた方が良いかも。
修理が終わり、暖房機械単体で制御できるようにしたら、再起動して具合を確かめましょう。


ヘスティア・イクテュス
急に空調のコントロールが効かなくなるなんて…どういうことかしら…
考え事は後、ひとまずは温かいものね…


温かいスープを皆に振舞うわ【料理】
体が温まるよう香辛料を入れて体の底から温まるようにね
温めるのはビームセイバーを使えば凍らないでしょう?

良い香りにお腹を満たすことで少しでも不安も和らげれたらいいのだけど…


大丈夫よ、猟兵がこう来たんだもの、
すぐに艦内の状態も戻って普段通りの生活ができるわ
っと元気づけ



●あたたかな炎とスープ
 転送によって宇宙船の避難スペースに着いた猟兵たちは、凍えるような寒さを実感した。息を吸い込むだけで喉に突き刺す痛みがある。露出している肌は、冷たいとも痛いとも感じられた。これが、寒いということ。
 エメラ・アーヴェスピア(歩く魔導蒸気兵器庫・f03904)はウェーブヘアを押さえながら眉をひそめた。
「……っ……この温度は堪えるわね……」
 このままでは、住民どころか自分たちの身までどうにかなってしまいそうだと思う。
 目の前の住民たちは、ひっそりと身を寄せ合って床に座り込んでいた。猟兵たちが来たこともよく理解していない様子だ。
 オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)は聖槍を取り出し、住民が座り込んでいる場所まで歩いた。
 この船は宇宙空間を航行している。宇宙と言うのは空気がなく、とても寒いと聞いた。自分の想像が及ばないような世界だが、それでも寒さに凍える辛さはよく分かる。
「まずは体を温めましょう」
「そうだね。わたしは炎を出すよ」
 そう言って、オリヴィアの後に続いたのはレイチェル・ケイトリン(心の力・f09500)だ。
 二人は住民に熱が届く位置まで歩み寄り、それぞれの方法で周辺を温めはじめた。
 レイチェルが発動させたのはパイロキネシスだ。24の炎を次々と放ち、バラバラに飛ばした。
「……火だ!」
 住民の一人が声を上げる。ただ凍り付くのを待つだけだった彼らのそばで、レイチェルの炎が舞う。住民たちは顔を上げ、現れた猟兵たちを見た。
「あなたたちは……?」
「皆さん、どうか諦めないでください」
 凍えた表情の住民たちに向かってオリヴィアが言う。
「私とこの槍が健在な限り、決して凍えさせません」
 そして、手にした聖槍に炎の魔力を宿した。ただし、それはこの凍える寒さを破壊するためだ。部屋全体が温まるよう、全力で魔力を込めた状態を維持する。
「ああ、助けが、来てくれた」
 青い顔で虚ろな瞳をしていた住民がほっと息を吐き出した。
 二人の炎の力で、住民たちを包む空気が温まっていく。
 そんな様子を見ていたセレスティア・ナイトリー(流転の機士・f05448)も行動を開始した。利用するのは自身の体内を循環する魔導蒸気エネルギーだ。
「エネルギーを高水準で循環させます」
 そう言うと、体内の魔導蒸気エネルギーをどんどん循環させ、放熱を開始した。
 同時に蒸気振動剣の高周波振動を使い熱を発生させる。痛いほどの寒さだった避難区画が、徐々に熱を取り戻していく。
「こちらに来ませんか?」
 オリヴィアが、住民から少し離れた場所に位置を取っていたセレスティアを見て声をかけた。
「放熱と剣の振動が皆さんを傷つけてしまう恐れがあるので、私はここで熱を起こします」
 セレスティアは丁重に言葉を選び、首を横に振る。自分は機械の体を持つ猟兵だ。エネルギーが尽きて凍ってしまってもあくまで一時的な機能停止で済むはずだと思う。しかし、今目の前で凍えている一般の住民たちはそうはいかないだろう。住民たちの生存を第一に考えたセレスティアの、優しい気遣いだった。
 オリヴィアはセレスティアの心情をくみ取り、その場で頷く。
 周辺が温まり始めたことで、住民たちの表情が和らいでいった。
「猟兵が本当に来てくれたのか?」
 その声にこたえるように、ヘスティア・イクテュス(SkyFish団船長(自称)・f04572)が温かいスープを差し出した。
「体が温まるよう香辛料を入れておいたわ」
 急に空調のコントロールが効かなくなるとは、どういう事だろうとは思う。しかし、考えるのは後だ。ビームセイバーを器用に使い、温めながらスープを器に盛っていく。
「ああ、ありがたい」
「美味しいね」
 住民たちはヘスティアから受け取ったスープを少しずつ口に運んだ。ふわりと、周辺にスープのにおいが漂う。
「良い香りにお腹を満たすことで少しでも不安も和らげれたらいいのだけど……」
 ヘスティアはそう言って、住民たちを見た。
 温かさが戻ったことと、スープを飲み始めたことで、少しずつ表情を取り戻しているようだ。だが、住民たちは、まだ固まって座り込んでいるだけだ。
 そこに、火を配置し終えたレイチェルがやってきた。
「カロリーがあればうごける、うごけば暖かくなれる。そして、心にもゆとりができるとおもうもの」
 そう言いながら、飲み物とお菓子を組みにして配り始める。住民のためにキマイラフューチャーから集めてきたのだ。
「ありがとう。食べてもいい?」
 お菓子に手を伸ばした子どもが、うかがうようにレイチェルを見上げた。
「どんどん食べてね。あまいもので体の暖かさもたもってあげないとね」
 答えると、子どもはにっこりと笑顔を浮かべお菓子を口に運ぶ。
「飲み物も、温めるならわたしも手伝うわよ」
「それじゃあお願いしようかな。体の中からも、暖かくなれるよね」
 ヘスティアとレイチェルが協力して食糧を配っていった。
「大丈夫よ、猟兵が来たんだもの」
 ヘスティアは住民を元気づけるように言う。
「すぐに艦内の状態も戻って普段通りの生活ができるわ」
「本当にありがたい」
「ああ、ずいぶん温まってきた」
 住民たちが口々に感謝の言葉を述べた。
「少しずつですが、温まってきましたね」
 周辺へ熱を放出しながらオリヴィア。聖槍の穂先からは、今なお全力魔法により熱が放出され続けている。
「こちらも、周辺温度の上昇を確認しています」
 セレスティアも、状況を見て頷いた。
 転送されてきた当初に比べ、周辺の状況は改善されてきている。温度が上がったし、飲める者、食べることができる者から、徐々に表情も落ち着いてきているようだ。
 ひとまず住民たちは危険な状況を脱したと言って良いだろう。
 ならばとエメラが仲間たちを見た。
「それじゃあ、こっちも手早く作業を始めましょう」
 避難スペースには、壊れた暖房器具もあったはず。それらを修理するために、猟兵たちは動いた。

●情報と修復と
「寒さは心を弱らせる」
 紫谷・康行(ハローユアワールド・f04625)は少し暖かくなってきた区画の片隅でぽつりとつぶやいた。康行が生まれた船も、環境維持装置が不調でずっと冬だったのだ。船の中で、宇宙の中で、寒いということがどういう事なのか、懐かしくも思う。
 寒さについて、スペースノイドである弦切・リョーコ(世界演算機・f03781)も感じるものがあった。
「この寒さ、宇宙ってのは人が住めるような場所じゃないってことを思い出させてくれるね」
 科学技術の庇護が無くなれば、自分たちなど脆いものだと思う。
「だが、それに身を預けて星の海に新天地を求めるっていうのが私達スペースノイドだ」
「そうかもしれないね。そして、希望が必要だ」
 康行は頷く。
「まずは暖房機器の修理からですね」
 シン・ドレッドノート(真紅の奇術師・f05130)はそう言って、身を寄せ合っている住民の中からこの船のオペレーターを探した。
 今は仲間たちが熱を発生させて周辺の温度を保っているが、それをずっと続けるわけにはいかない。暖房機器をきちんと修理するためにも、住民の協力は必要だ。
 ところが、ざっと見たところ船の運航業務に携わっているような者の姿が見当たらなかった。
「詳しい人がいないのかい? 少し変だね」
 船のマニュアルが見たかった康行も首を傾げる。
「……そうね。確かに、船の乗組員がいないって言うのは……不自然よね」
 気になったのか、エメラも住民たちをもう一度見た。
 大人も子供もいる。だが、船の乗組員のような、例えば制服を身に着けたものは一人もいない。だが、見たところ今は凍り付いてほとんど機能していないが、この船を運行するのには人手が必要だったはずだ。
「どうしたんだ? トラブルか?」
 住民の一人が不安そうな声で尋ねる。
「大丈夫だ。アンタらの航海が続けられるようこの私がなんとかするよ」
 リョーコが住民に不安を与えないよう、はっきりと言い切った。
「頼む!」
「俺たち一般市民だけじゃあ、何もかもうまくできなくてさ。君たちが来てくれて、本当に救われた思いだよ」
 住民たちが胸をなでおろす。
「誰か、機材に詳しい方はいませんでしょうか?」
 落ち着いたところで、シンが呼びかけを行った。
 顔を見合わせる住民たち。
 その中から、一人の女性がおずおずと手を上げた。
「私は一応、乗組員の資格を持っています。……ですが、採用はされていないので、詳しい事情は分からないんです」
 女性は、避難している中に船の乗組員が見当たらないこと、周辺の宙域に他の船もいるはずで、救難信号を送ることができたら避難できるかもしれないこと、などを簡単に説明してくれた。
 また、就業ルールのデータを持っていたため、避難区画の暖房機器の配置は猟兵たちに行き渡った。
「一度制御系を独立させた方が良いかもしれません」
 配置を見ながらシンが言う。これらの故障の原因が艦そのもののコントロール系だとすると、この区画だけではどうにもならない。
「……一応艦にハッキングしてみたけど、駄目ね。物理的に線が遮断されているのよ」
 エメラによると、ここから艦のコントロールをどうにかすることはできないようだ。
「兎に角時間との勝負、人命がかかっている以上時間は無駄にはできないわ」
 猟兵たちはエメラの言葉に頷いた。
 それぞれ手分けして、暖房機器を修復していく。
「この区画は、もしものための場所だから、暖房はたくさんあるが」
 住民たちは不安そうに康行を見ていた。
「これくらいなら大丈夫。できるよ」
 コール・ミーミトリィを発動させ、黒き羽のミーミトリィを呼び出した康行が答える。信じている者の言葉は力を持つ。だからこそ、はっきりと「できる」と言ったのだ。
 暖房機器を確認したところ、凍結による基盤の損傷や、コードの物理的欠損が主な原因のようだった。
 パーツは近くにあるものは交換し、無ければミーミトリィに探させた。
 寒さ対策にあたたかな服を着てきたので、手先はきちんと動く。康行は落ち着いて機器を修理した。
 業火の向日葵でヒマワリの形の炎を発生させ、作業場所周辺に配置しているのはシンだ。寒いと手先が思うように動かなくなる可能性もある。セラミックの容器に入ったヒマワリの形の炎は、ゆらゆら揺れてシンの手元を温めた。
「どこだ……故障の原因は……?」
 明かりと温かさを確保し、怪盗の単眼鏡の機能を使って故障原因を探す。
 物理的に問題のある場所やプログラムの制御など、やれる場所から復旧していった。
 『我が工房に帳は落ちず』を発動させたエメラは、魔導蒸気機械の工兵に指示を出し、手分けして暖房機器の修復にあたった。メカニックの知識を総動員し、凍り付いたり結露で回線が駄目になっている機材を修理する。
「最初から使えなかった奴はある? あるなら持ってきなさい、一緒に直してしまうわ」
 エメラはそう言って、手際よく暖房機器を修理していった。
「アンタらが身を任せるに足る世界をこの私が取り戻してくる」
 そう言いながら、この区画の環境調整システムをいじっているのはリョーコだ。まずは気温から、住民のために取り戻そうと言うのだ。
 仲間たちは壊れた暖房を次々に修理している。
 だが中央でコントロールされていたものは、制御プログラムが流れてこないため、うまく動かない。
 そこでリョーコはハッキングを仕掛け、この区画の環境制御プログラムを掌握した。
 シンの言うように、制御系を独立させるのがいいだろう。
 リョーコが作業を終えスイッチを入れると、一斉に暖房がオンになった。
「暖かい風が来るよ!」
 子どもが歓喜の声を上げる。
「おお、これで、凍えなくても良いんだ!」
「暖かい」
 住民たちの表情がまた一つ綻んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『SOS!宇宙船の生存者を救え!』

POW   :    救助最優先!人を探す

SPD   :    宇宙船を修理する

WIZ   :    事情を説明して応援を呼ぶ

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●探索、生存者を求めて
 避難区画に温かさが戻った。住民たちは、安心して笑顔を見せ始めている。
 気になるのは船の乗組員が見当たらないことだ。もしかしたら、まだ艦内に生存しているのかもしれない。どこかで助けを待っているのかも。
 避難区画の安全を確保し、猟兵たちは艦内の捜索に移ることにした。
 もし乗組員がいるのなら、見つけて保護したほうがいいだろう。救助を最優先して艦内を捜索する手もある。
 また、避難区画から一歩出ると、凍り付くような寒さが待っている。避難区画と同じように暖房を修理して、仲間の進む道を切り開くのも一つのやり方だ。
 さらに、救援信号を送ることができたら、周辺にいる船に住民を避難させることもできるかもしれない。
 しかし行動は慎重に。
 船の中には、この船が凍り付いた原因を作った者が潜んでいるかもしれない。暖房機器と中央を繋ぐ線が物理的に遮断されていたのがまずおかしいことなのだ。

 避難区画は艦の最下層。上昇していくと居住区や管理区画、更に中央制御室などがある。集団でも単独でも、行動方法は自由だ。しかし、たとえこの事件の仕掛け人に出会ってしまったとしても、十分な備えなしに戦うことはできない。ここは、艦内の捜索をして生存者の救出を目標にしたいところ。情報だけを持ち帰るのが良い。
 猟兵たちはそれらを確認し、探索に進んだ。
エメラ・アーヴェスピア
さて、避難区画はこれで良かったとして…
…やっぱり、乗組員が居なかったことが気になるわね
このままだと漂流船になってしまうし、探してみましょうか

何処で物理的に切断されているかはわからないから移動しつつこまめに【ハッキング】を試してみるわよ
繋がった場所は繋がっている範囲内で人員が居ないか監視カメラを確認
それと同時に空調の温度を上げる…つまり直していくわ、やり方は判ったのだしね?
特に人が確認できたエリアは優先、電脳的なトラブルが発生しているならそちらも解決するわよ
私から遠いエリアなら同僚さん達に連絡するのもいいわね

さぁ、あまり時間はかけられないし、手早く行きましょう

※アドリブ・協力歓迎


紫谷・康行
人捜しは得意なほうだ
まだ生きている人がいるなら可能な限り助けたい
宇宙は厳しく孤独だ
でも手を差し伸べることはできる
人は人を勇気づけるものだから
救える命があるなら命を賭ける

人命優先で行動する
【グラッハルゥの眼】を使い艦内の生存者を探す
可能なら乗組員や行方不明者の人相や名前を聞いておきグラッハルゥに探させる
艦内の見取り図があれば参照し、仲間と手分けして連絡を取りつつ艦内を捜索する
寒冷地用の服を着るなどして体を冷やさないようにする
行方不明者を見つけたときに掛ける毛布と温かい飲み物を魔法瓶に入れて持っていく
行方不明者を見つけたら安心させるよう大丈夫だと声をかけながらできるだけ早く拠点に連れて行く



●最下層
 避難区画の安全を確保した猟兵たちは、さっそく艦内の探索へ向かった。
「……やっぱり、乗組員が居なかったことが気になるわね」
 エメラはそう言って、避難区画を出た通路のコンソールに触れる。実際、乗組員がいなければこの船は漂流船になってしまうかもしれない。生存者を探すためにも、まずは艦内の監視カメラを制御しているシステムを探し始めた。
 まだ生きている人がいるのなら可能な限り助けたい。康行もそう思って艦内の捜索に加わった。
 宇宙は厳しくて孤独だと思う。けれど、手を差し伸べることもできる。
「地獄の門の上を飛び咎を見通すもの――」
 と、康行が呼んだのはグラッハルゥ。グラッハルゥの眼を使い、艦内を探させることにしたのだ。
「物理的に切断されているケーブルは、すぐには修理できないみたいよ。でも、内部のプログラムからストップがかかっている部分は修復できそうね」
 その横で、エメラはコンソールの端末をいくつか触った。
 なるほどケーブルが切断されている部分はどうしようもない。しかしプログラム部分の問題ならハッキングを仕掛ければ動きそうだ。
 とは言え、この場所では監視カメラの映像を確認できなかった。代わりに空調管理のプログラムを独立して動かすことができたので、通路周辺の温度を上げておく。避難区画で暖房を復活させた要領だ。
 周辺の温度が上がり始めた。康行は寒冷地仕様の服のファスナーを少しだけ下げてみる。
「待って、この先に下層のコントロールルームがあるみたい」
 グラッハルゥが何かを見つけたようだ。
 康行はエメラを呼んで艦内の見取り図と照らし合わせた。この見取り図は、一般向けに配布されていたものをコピーさせてもらったもの。細部が不鮮明だが、今は無いよりましだった。
 二人はグラッハルゥの発見した最下層のコントロールルームの扉を開く。
 そこには、椅子に縛り付けられた者が凍えていた。制服を着ていることから、おそらく乗組員だろう。
 急いで康行が駆け寄る。縄をほどいてやり、まだ息があることを確認した。縛られていたということは、おそらく敵の仕業だろう。しかし考えるよりもまずは用意した毛布で乗組員をくるみ、温かい飲み物を差し出した。
「しっかり。俺たちが来たから大丈夫だ」
 そう言って、励ましながら体をさすってやる。
 エメラもコンソールを見つけ操作し、周辺の温度を上げるよう調整した。ここは下層専用の独立したコントロールルームのようだ。
 だが、ずっと凍えていた乗組員は、すぐには言葉が出ない。
「動くことはできるかい? ゆっくりでいい。ここまでの通路は温かくなっているから、移動できるよ」
 拠点である避難区画まで連れ帰ったほうが良いと判断した康行は、乗組員に寄り添いながら手を差し出した。人は人を勇気づけるものだからという思い。それが伝わったのか、乗組員は康行に促されるようにゆっくりと立ち上がった。
「ここ、上の階層の監視カメラの映像を一部見ることができるみたいね」
 コンソールを触っていたエメラがアーカイブの一部を見つけた。発見した乗組員を康行に託し、他の階層の生存者を捜索する。
 康行が振り向いてエメラに声をかけた。
「俺はこの人を避難させるよ。ここは一人で大丈夫かい?」
「そうね。ここで生存者を見つけて同僚さん達に連絡を取ってみるわ。何か所か、生存者の可能性のある場所があるのよ」
 時間はあまりかけられない。遠いエリアなら、その近くへ捜索に向かった仲間を頼るのが良いだろう。幸い下層コントロールルームまでの通路は安全のようだ。エメラは画像や情報を精査しながら答えた。
 それならばと、康行は乗組員を運び出す。
 二人は各々のやるべきことを見つけ、行動に移した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

セレスティア・ナイトリー
まず筒型ガジェットを用いた【模造機士】で機体(肉体)を複製
互いに離れすぎない距離を保って移動し生存者を捜索しましょう
移動と同時に艦内マップをメモリーに記録
速度を出せる所は蒸気推進器を、方向転換の多い所はワイヤーアンカーを活用
生存者を発見したら体内の魔導蒸気エネルギー循環による放熱で当該領域を加温
落命した方がいれば、その瞼を閉じて弔いを
その間に別の機体は猟兵へ情報を伝達すべく、踏破済の比較的安全な経路で帰還します

敵と遭遇した際も本格的な交戦は避けて情報を収集しつつ転進

生存者発見地点が移動限界距離を超えていたり、何らかの理由で離脱不能な状況に陥った場合は機体を投棄し、残った機体で帰還します


レイチェル・ケイトリン
まだとってもさむいんだよね。

ほかの猟兵さんたちもそれぞれみんな
あったかくするようにしてるとおもうけど、
すすむ中心にわたしがいて念動力技能で
パイロキネシスをつかいつづけるね。

わたしがみんながやすめる場所になれるように、
そして、わたしのとこでおはなしして
それぞれにみかけたことをつたえあって
協力できるように。

そしてわたしは区画の地図と情報をまとめつづけるね。
まず最初に住民さんたちからお話をきいておいて
ほかの猟兵さんのみつけたことをつけくわえていくの。

わたしの炎は心の炎。

みんなをあたため、道をてらしだすものであってほしいから。



●上層階、居住区
「連絡が来たよ。やっぱり、生存者はいるんだよね」
 レイチェルは下層コントロールルームにたどり着いた仲間からの連絡を受け取った。いくつか上層階のポイントになりそうな場所と、そして生存者発見の知らせだ。
 すぐに手元の地図に情報を書き込む。
 そして避難区画から出た通路にパイロキネシスで炎を出した。
 仲間が空調をいくつか復活させて、周辺の温度は上昇している。最初に避難区画を訪れた時のように、凍えて喉が痛いような感じもしない。しかし、まだ寒い。仲間たちも寒さ対策はしているとは思うが、皆を温めるためにもと、パイロキネシスを使い続けているのだ。
「それでは私は上層階へ進みましょう」
 情報を聞いたセレスティアは、この階層のマップ情報を更新し、まだ仲間が捜索していない上層階を目指すことにした。
 模造機士を発動させ、自らの機体を複製する。情報も同期できるため、比較的広い範囲を一気に捜索することが可能だ。
 レイチェルはセレスティアを温めるように炎を発し、こう言った。
「もし何かあればお話も聞かせてね」
「分かりました。情報の伝達も視野に入れて行動します」
 セレスティアは頷いて蒸気推進器を使い、一気に通路を駆け抜ける。仲間からの情報により、この階層が安全なことが判明していた。上層部へ移動する避難通路を発見、すぐに飛び込む。
 ついた場所は居住区のようだ。念のため周辺を捜索しながら進んだ。
「マップをメモリーに記録します。生存者、発見できません」
 機体間で情報を共有しながらセレスティアは生存者を捜索する。
 寒さで動きが鈍る体ではないので、かなり広い居住区を短時間で捜索し終えた。残念ながら、この区画には生存者の姿は無いようだ。
 ふと、記録したマップの情報と艦内マップ情報を見比べる。この階層には、他に居住区をコントロールする施設があるようだ。
 さっそくコントロールルームの扉を開ける。
 そこには、椅子に縛り付けられた乗組員の姿があった。
 空調は切れている。気温が極度に低い場所での監禁により、かなりの衰弱が見て取れた。
「すぐに温めましょう」
 セレスティアは体内の魔導蒸気エネルギーを過剰に循環させ、熱い蒸気を放出した。周辺に熱が伝わり、気温が上昇していく。
 レイチェルのつけてくれた炎も、気温を上げるのに一役買ってくれた。
 何か情報を引き出したいのだが、乗組員は歯をガチガチと鳴らし凍えるばかり。
 乗組員をこの場に残すことはできない。しかし、セレスティアの取った移動手段では、乗組員を運ぶのは難しかった。セレスティアは室内を温めながら、別の機体を仲間の元へ向かわせることを決める。
 機体の一つが生存者の情報を伝えるため、踏破した道を急ぎ戻った。

「やっぱり、上層階にも生存者はいるんだね」
 セレスティアから情報を聞いたレイチェルが手元の地図に情報を書き入れる。
 こうして情報を共有できれば、きっとみんなで協力しあえる。レイチェルは炎で周辺を温めながら、猟兵たちに送る情報を整理した。
 常に炎を発動させるのは負担ではないのだろうか。
 セレスティアが炎を見ていると、レイチェルは静かに頷いた。
「わたしの炎は心の炎」
 それは、みんなをあたため、道をてらしだすものであってほしいから、と。
 この炎があれば、周辺が凍り付くことは無いだろう。
 レイチェルはまとめた情報を、探索している仲間に送った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ヘスティア・イクテュス
船の乗務員が見当たらない…?
まだ、艦内のどこかで助けを求めてるならいいけど………


とりあえずわたしは最悪を想定して
外の他の艦へ救援を求めてみることにするわ。

アベルを使って外に通信……
艦内の状態を伝えて住人の避難を求めるわ


もしつながらないなら他の探索の人について行って上の中央制御室や管理区画の方へ、そこからなら流石に外へ連絡できると思うわ
【ハッキング】してそこから外へ救援を


シン・ドレッドノート
ここは宇宙空間、いつまた別の危機が訪れるか分かりません。
少しでも艦の機能を復旧させ、乗組員の安全を確保するとしましょう。

「コントロールが取れないところを見ると、中央制御室が一番怪しいとは思いますが…」
電脳ゴーグル『怪盗の単眼鏡』で手近なコントロールパネルにアクセス、物理的に破壊されている箇所を特定すると、避難区画に近い所から中央制御室に向けて順に修復していきます。

「あれが原因…?」
万が一、事件の原因となるターゲットと遭遇した場合は、【天翔ける紅彗星】で速度を増した『ノーブル・スカーレット』で一気に離脱、仲間と合流しに戻ります。
行動を共にしている方がみえましたら、後ろに乗せて一緒に後退しますね。


オリヴィア・ローゼンタール
POW
機械の知識には疎いので、地道に歩き回って生存者の救助をして回ります

【トリニティ・エンハンス】【属性攻撃】で聖槍に炎の魔力を纏わせて攻撃力増大
油断なく槍を構え、周辺を警戒しつつ探索する(【情報収集】【救助活動】)
生存者を発見したら、手持ちの保存食を炎で温めて分け与え、避難区画に行くように指示
我々は救難を聞き駆けつけた者です
これをどうぞ、少しは身体が温まるでしょう
今は避難区画の暖房が復帰しています、あちらの通路の安全は確認しているので避難してください
ところで、この異常事態、何か心当たりはありませんか?


弦切・リョーコ
WIZ
ラインが切断されたということは、敵はより中枢側にいると考えるべきだろうね。
生命線を握らさせたままなのはまずいし、目的も気になる。
さっさと制御室を掌握したいが…どうなるかね
封鎖されていることを考え、【鍵開け】と【ハッキング】を併用して区画を突破する。その際に【目立たない】ように行動、必要に応じ【迷彩】で隠れる。ハッキングは偵察にも用いる。
目指すのは上層。管理区画か中央制御室には何らかの通信手段があるはずなので、それで救難信号を出すことを目標に行動。
味方との通信手段は用意し、救助に向かう者がいたら同道して鍵開けなどのルート確保の補助を行う。
【視力】や【暗視】で敵を発見したら味方に報告する



●上層部へと続く中間階
 中央制御室か管理区画が重要なカギとなると考えた猟兵たちは、上層階を目指していた。
「どうやら、生存者を発見したらしいね」
 仲間からの通信で情報を得たリョーコが言った。
 各階のコントロールルームに、縛られた乗組員が居たというのだ。
「なるほど、やはり何者かの仕業ですね。このケーブルも意図して破壊されているようです」
 コントロールパネルを調べていたシンが、切断されたケーブルを持ち上げる。物理的に破壊されたケーブルは、決して自然に破損したものではないと感じていた。
「ずいぶんいろいろな箇所が切断されているみたいね」
 そこへ、ヘスティアがやってきた。
 ヘスティアはサポートAI端末のアベルを使い、外部の艦へ救援を求めるつもりだ。だが、アベル単体では通信が安定せず、外部へ連絡を取る方法を探していた。
「中央制御室か管理区画なら確実に連絡可能だとは思うのよ」
 せっかくなのでいくつか周辺のコンソールを確認したが、外部通信を行えるようなものは見当たらない。
「賛成だね。その辺りの区画なら、何かしら通信手段があるだろう」
 その案にリョーコも賛成した。目標として、救難信号を出すためにそれらの区画を目指したいところだ。
「そうですね。それに艦内の子の様子、コントロールが取れないところを見ると、中央制御室が一番怪しいとは思いますが……」
 シンは手元のパネルの修復を終え、周辺の空調機能を取り戻した。しかし、外部との通信や艦全体のコントロールを回復させるのは難しい。
「ラインが切断されたということは、敵はより中枢側にいると考えるべきだろうね」
 リョーコも頷いた。生命線を握られたままはまずいと思う。
 その時、槍を構えたオリヴィアが三人の元へと近づいてきた。どうやら生存者を求めて地道に歩き回っていたようだ。
「皆さんはまっすぐ上層階に向かわれますか? 実は、奥の通路に鍵のかかった部屋を発見しました」
 現在は、下層階と上層階の間を繋ぐフロアにいる。この、中間階ともいえるフロアの探索はほぼ終えたものの、先に鍵のかかった部屋があったので、仲間の元へとやってきたらしい。
「それなら、私の鍵開けが役に立つはずだ」
 そう言って、リョーコが同行し部屋の鍵を開けた。

 するとそこには仲間からの通信で聞いていたような姿の――縛られた乗組員が横たえられていた。
 オリヴィアは急いで乗組員に近づき、縄をほどく。
 周辺の空調が回復したのはつい先ほどだ。それまで冷たい部屋に転がされていた乗組員は、意識ももうろうとしていた。
「我々は救難を聞き駆けつけた者です。これをどうぞ」
 手持ちの保存食を温め、オリヴィアは乗組員の身を起こしてやる。助けられた乗組員は、震える手で保存食を受け取った。
「今は避難区画の暖房が復帰しています」
 励ますように言い、乗組員がゆっくりと頷くのを見守る。安全を確保した避難区画へ逃がしたいが、無理に避難を促せるような状態ではない。あたたかい保存食を胸に抱きしめるようにして、乗組員は少しでも体を温めようとしていた。あと少しすれば、修繕した空調が入り、この周辺も温かくなるはずだ。
 オリヴィアは、乗組員の様子を見ながら慎重に話しかけた。
「ところで、この異常事態、何か心当たりはありませんか?」
 乗組員が顔を上げる。
「男だ……。襲ってきた……そして、中央、制御室で……」
 ぽつりぽつりと、言葉が出てきた。
 根気よく聞き取りを行ったところ、男が乗組員を襲い、縛りつけたことが分かった。その後、中央制御室が占領されたと暗号通信を受けた直後に連絡が途絶えたという。乗組員が襲われてから制御室の占領まで時間があったことから、犯人は少数、もしくは単独犯かもしれないと乗組員は語った。
 温まってから避難区画へ行くよう指示を出し、二人は部屋を出た。
「となると、中央制御室には敵がいるだろう。そこから救難信号を出すのは難しいかもしれない」
 リョーコは考えを口にする。
「そうですね。では、通信は管理区画からでしょうか? いずれにしても、機械的なことはお任せします。私は他に生存者がいないか見て回ります」
 オリヴィアはそう言い残して歩き始めた。
 部屋を開けた時の、縛られて転がされていた乗組員の姿が瞼に浮かんだ。まだ助けることができる命があるのなら。オリヴィアは槍を構えなおし、再び生存者の探索を始めた。

●管理区画、そして中央制御室
 乗組員の情報をリョーコから聞かされ、ヘスティアは考えた。中央制御室には敵がいる可能性が高い。ならば、管理区画を目指して救援を求めるのが妥当だろう。
 ヘスティアとリョーコは管理区画を目指した。シンは中央制御室を目指し、順にコントロールなどの修復を続けていくようだ。

 管理区画へは比較的すんなりとたどり着くことができた。リョーコの提案により、できるだけ目立たないよう行動してきたので、敵との遭遇は無かった。
 管理区画でも、数名の乗組員が縛られ放置されていた。二人は乗組員を助けながら、区画内を捜索する。
 ヘスティアは室内で型式の古い装置を発見したようだ。
「緊急用のシグナル発信装置を見つけたわ。これで通信することができれば、艦内の状態も伝えることができるわね」
「使えそうだね。救難信号を出せば、近くの船が助けに来てくれるはずだ」
 リョーコが頷いた。
 近くにいると言っても、おそらく船の距離は相当離れているはずだ。しかし、救援要請を送り続けていれば、きっと通信を拾ってもらえる。そうしたら、助けに来てくれるはずだ。それが広い星の海を生きる者同士の、生きていく上での助け合いなのだから。
 ホコリの具合から、どうやら古い型のようで、今は使われていないものらしい。しかし、通信機器に変わりはない。ヘスティアはさっそくアベルを使って外部へと通信を開始した。
「艦の空調コントロールは順調に回復してるようだね。ただ、他の機能は持っていかれているか。中央制御室には、さてどんな敵がいるんだろうね」
 リョーコは管理区画のコントロールパネルを見つめる。おそらくシンが修理しているのだろう。艦内の空調が少しずつ回復してきているようだ。だがその他の機能については、制御室からの命令が優先されているようだ。

 一方、シンはついに中央制御室の手前まで来た。
 さすがに正面から突入はできない。物陰に身を潜め、制御室の扉を注視する。
 すると、不意に扉が開いた。
「ハハハ。そろそろここまで来てるんじゃないかと思ったんだがねぇ」
 男の声がする。
(「あれが原因……?」)
 シンは忍び足でその場を離れた。
 気づかれない場所まで退避すると、変形させたノーブル・スカーレットに飛び乗り、一気にその場を離脱する。敵はやはり中央制御室にいた。そして、こちらの動きもある程度は把握しているようだ。
 ここまでの情報を持ち帰り、仲間とすり合わせたほうが良いだろう。
 シンの駆るノーブル・スカーレットが、探索していた仲間たちを拾いながら拠点へと戻っていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ファントム・ガンマン』

POW   :    ボムファイア
【ブラスター銃の最大出力放射】が命中した対象を燃やす。放たれた【ブラスター銃の熱線の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    クイックドロウ
レベル分の1秒で【熱線銃(ブラスター)】を発射できる。
WIZ   :    ブラストキャンセラー
対象のユーベルコードに対し【ブラスター銃の一斉射撃】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は麻生・大地です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ファントム・ガンマン
 猟兵たちが助けた乗組員たちも、少しずつ話ができる状態になってきた。
 彼らによると、敵は中央制御室にいるとのこと。そして、制御室ではおそらく乗組員たちが脅されて協力させられていることなどが分かった。
 目撃情報から考えても、敵は単独犯のようだ。
「艦内の空気循環を止められたら、我々は生きていけません」
 乗組員たちは、青い顔をして猟兵に訴えた。
「それに、区画を自爆されたり、艦砲を発射されたりすると、損害がかなり出てしまいます」
 中央制御室を取られているので、何をされるか分からないとのことだ。
 しかし、管理区画で壁の閉鎖や避難通路の開放などは制御できるとのこと。もし近隣から救助が来たらすぐに避難できる手はずになっている。
「ですが、お願いします!! 我々の船を……どうか取り戻してほしい」
 乗組員たちは頭を下げた。
 もし、犯人の好き放題に船を動かされたら、大変なことになってしまう。何より、住み慣れたスペースシップが好き放題に使われるのも辛いのだろう。

 制御室への道はすでに開けている。助けた住民たちの安全は確保されているので、気にしなくてもよさそうだ。
 問題は、扉の前から。真正面から戦いになれば、おそらく制御室にいる乗組員を人質に取られるだろう。正面から強引に突破するか、それとも排気口などから侵入し不意打ちを仕掛けるか、または様々な方法で乗組員をその場から逃がすか。戦い方はそれぞれあるだろう。いずれにせよ、中央制御室が戦場になる。
 求めるのは、この事件を引き起こした男の撃破だ。
 猟兵たちは戦う覚悟で制御室へと向かっていった。
エメラ・アーヴェスピア
単騎でこの被害…!?…これは、今後も注意する必要があるわね
まぁ今はこの状況を何とかするのが先決ね…お仕事、続けましょうか

…仕方ないとはいえ、さすがにこれは色々とキツイわね…
(排気口から侵入、監視カメラなどはハッキングで誤魔化す)
あぁ、他に人がいるなら前は譲るわ
…さすがに私のスカートでは、ね

到着後待機
全員の突入と同時に『出撃の時だ我が精兵達よ』
人質と敵の間に盾と銃を装備した24体の兵を召喚、銃撃メインならこれで防げる筈
私もその盾の影に着地、人質を兵に庇わせつつ避難させるわ
それと数体は私を防御、この場に端末があるのなら…制御は返してもらうわよ!
後は倒すだけ…やってしまいなさい!

※アドリブ・絡み歓迎


シン・ドレッドノート
【乱舞する弾丸の嵐】で右手のスカーレット・ブラスターと左手の精霊石の銃を複製、待機させます。

「怪盗・紅の影、この宇宙船を奪い返させていただきます。」
味方が行動を始めたら、敵の注意を惹きつけるべく、真紅のマントを目立つように翻して存在感をアピール。
その隙に複製した銃たちを敵の視界の外から乗組員の所へ移動させます。
敵が乗組員を攻撃しようとしたら、複製した銃を割って入らせて受け止め、残った銃で乗組員から引き離すように一斉射撃します。

「さぁ、今のうちに逃げて!」
逃げる途中の乗組員が狙われるようであれば、複製した銃で受けるか、ビームシールドで割って入ってかばいます。

後は味方を援護射撃し、敵を狙撃します。


紫谷・康行
そこで生まれたものにとって
船は家だったり世界そのものだったりするだろう
俺に帰るべき船はないしもういらないけど
大切にしている者がいるなら守りたい

エアダクトなどからこっそり制御室を目指す
可能なら仲間と突入時間を打ち合わせておき、一気に突入する

突入したら【無言語り】を使い
相手の意識を虚無に飲み込もうとする
一撃で決めるつもりで、覚悟を持って言葉を紡ぐ
助けるつもりなら、初手で決めるつもりで言葉に命を懸ける
「ここにあるのは静寂のみ、恨みも、怒りも戦う意思もここにはない。
お前の前には何もない、お前は何をするつもりなのか、何物でもないというのに。」
意識を乱せれば上々、隙を作れば仲間が人質を助けるだろう


オリヴィア・ローゼンタール
潜入し占拠する手腕は見事、ですが単独犯とは驕りましたね

【トリニティ・エンハンス】【属性攻撃】で聖槍に炎の魔力を纏い攻撃力を増大

正面からドアを派手に蹴破って突入し、注意を自分に向かせ(【存在感】【パフォーマンス】【殺気】)、
不意打ちを仕掛けたり乗組員を逃がそうとする方の援護とする
追い詰めましたよ、海賊
逃げ場はないと思いなさい

乗組員の救助が済めば戦闘開始
神速で踏み込み(【ダッシュ】【先制攻撃】)、【怪力】を以って聖槍を振るう
遠距離は向こうの間合い――攻め込みますっ!

熱線は炎の【オーラ防御】【火炎耐性】【激痛耐性】で耐える
手近な味方が撃たれたときは身を挺して【庇う】
炎熱への防御ならば心得ています!


ヘスティア・イクテュス
自分の生まれ育った艦を好きにされる怒り
同じ世界の人間としてよく分かるわ…

制御室での戦闘…人質もそうだけど機器が戦闘の余波で壊れないかも心配…

オプティカル・カモフラージュで自身と他の猟兵一人の姿を消して
正面から他の猟兵が入る時、またはさっきみたいに敵が制御室から出てくるのを待ってこっそり侵入

敵の背後にこっそり回って
戦闘が始まる、もしくは乗組員が人質にされそうな時にガーディアンズでバリアを展開【オーラ防御&拠点防衛&かばう】

「機械も乗組員もわたしが守るわ!皆は思いっきりやって頂戴!」
これで皆が周りを気にせず好きに戦えるはず…

後は任せたわよ


セレスティア・ナイトリー
敵の意図は気になるところですが、艦と人質の安全確保が優先です
正面からの戦闘以外は苦手なため、状況が整うまでは可能な限り味方に合わせた行動を

【模造機士】にて機体を複製

〇機体1
制御室正面に、敵の攻撃を誘って受けるように配置
砲撃で牽制しつつ、敵からの銃撃を防ぐ仲間の盾となります
突入成功後には援護射撃をしつつ制御室へ進入、盾で護衛しつつ人質を解放します

〇機体2
入口側面に隠れて様子を窺いながら待機
敵がコンソールや人質から離れたり、他の猟兵が通風孔を使って進入に成功した際などに突入
加速突撃と同時にワイヤーアンカーを発射、可能ならば敵を拘束、成功しなければ近接戦闘を挑む
戦闘による艦への被害は最小限に抑える


レイチェル・ケイトリン
排気口とかから制御室にいくね。
狭かったり、音がしそうなとこは念動力をつかって浮いて通るよ。
ほかの猟兵さんがいっしょにいってくれるなら、その人にも
念動力をつかってあげておなじようにとおしてあげるね。

制御室への突入はほかのひととあわせるけど、
敵が隙をみせるまでまつとかはむずかしそうだから、
さっさとはいる方がよさそうかな。
なにかで隙をつくるなら念動力でおてつだいもするね。

なかにはいったらすぐに人質さんを含むように念動力で
まもりぬく心をつかうね。

最大で直径52mの範囲までまもれる力。
そのかわりにわたしはそれ以外できなくなる。
でも、わたしはひとりじゃない。

ほかの猟兵さんが敵をにがさないとしんじてるから。


弦切・リョーコ
仲間との連携を重視し、良さそうな作戦があればそれに乗る
味方との通信手段は用意する
自らの行動としては、小さい体を利用し通気口から侵入。【目立たない】よう、光学【迷彩】を活用。
通気口に隠れた状態で正面から侵入する味方とタイミングを合わせてアクセラレイターと『集束電磁放射』の同時【一斉発射】で多数の敵が通気口から奇襲したように見せかけて扉の方から注意を逸らす。
同時に乗組員たちに扉から逃げるように促す。
本格的に戦闘になったら距離をとって【援護射撃】で味方を助ける

結構な手際で乗取ったみたいだが…乗組員に私達、全員を相手にするにはアンタ一人じゃ荷が重すぎる。たっぷり後悔しながら船の制御を返してもらおうかね



●侵入
 単騎でこの被害とは恐れ入る。これは今後も注意が必要だとエメラは思った。
「まぁ今はこの状況を何とかするのが先決ね……お仕事、続けましょうか」
 猟兵たちの作戦開始にあたり、ハッキングで排気口の出入り口付近の映像をすり替える。
 仲間がそれぞれのルートから侵入を始めた。ひとまず監視カメラの映像は誤魔化せるが、ばれるのも時間の問題だろう。ハッキングを完了し、エメラは排気口へ侵入した。仲間たちはどんどん進んでいるはずだ。
 排気口では先頭のレイチェルが這うように進んでいた。続けて康行、リョーコ、最後にエメラだ。狭い箇所や音が気になる場面では、レイチェルが念動力で対応している。また、リョーコの目立たないような行動や光学迷彩の効果も活用しているので、今のところ、敵に気づかれた様子はない。
 そこで生まれたものにとって、船は家だったり世界そのものだったりするのだろうと康行は思う。
(「俺に帰るべき船はないしもういらないけど、大切にしている者がいるなら守りたい」)
 船を取り戻してほしいと頭を下げた乗組員や一般の住民たちの姿が思い出される。
 排気口の出口からそっと室内の様子をのぞき込むと、迷彩服の男がブラスター銃を構えているのが見えた。正面入り口に照準を合わせている様子だ。さらに、乗組員が複数名、椅子に縛られ拘束されている姿も確認できる。
 敵もこちらの侵入を警戒しているだろう。時間はあまりないはずだ。打ち合わせた突入時間を確認し、猟兵たちはその時を待った。

●突入
 模造機士で機体を複製したセレスティアは、各機を配置して突入の時を待った。一体は制御室正面で敵の攻撃を受けるように。もう一体は入り口側面に配置している。
 ヘスティアはオプティカル・カモフラージュを使用し、自身の姿を透明にした。
 正面から突入するオリヴィアとシンが頷き合う。皆の配置は完了した。頃合いだろうと猟兵たちは心を決める。
 聖槍に炎の魔力を纏わせたオリヴィアが一つ息を吐き出し、勢いに任せてドアを派手に蹴破った。
 ドアが破壊される派手な音が辺りに響く。それは猟兵突入の合図だった。
「来たか!」
 ファントム・ガンマンは、猟兵たちが突入したと同時に構えていた銃から最大出力で熱線を放射してきた。
「させません!」
 とっさに、正面に配置していたセレスティアの機体が仲間をかばうように前に出る。
 敵の攻撃を一身に受け、何とか仲間をかばい切った。
 その後ろから、オリヴィアが飛び出す。
「潜入し占拠する手腕は見事、ですが単独犯とは驕りましたね」
 そう言って、炎の魔力を纏わせた聖槍の切っ先を敵に向けた。
 その隣にシンも立つ。
「怪盗・紅の影、この宇宙船を奪い返させていただきます」
 真紅のマントを翻し、大きな声で宣言した。
「おっと、正義の味方気取りか?」
 ファントム・ガンマンが、現れた二人を値踏みするような目で見て銃口を向ける。それから、余裕の表情で制御室上部に向けて銃を放った。威嚇のような一撃は、乗組員の悲鳴を誘う。
「聞いたかい? 俺と戦う時には注意するんだな。うっかり一般人を殺してしまうかもしれないぞ」
 乗組員たちが青ざめて震えている。このままでは、人質となった彼らの精神も長くは持たないようだった。
 その様子を見ていたリョーコが武器を構えて現象演算『集束電磁放射』を発動させる。
「ルーティン01。波長選定、光波収束、完了。……これより疾い弾丸を知っていたら教えてくれ」
 一斉に発射されたレーザーが敵に襲い掛かった。
「おっと」
 攻撃を避けるように敵がステップを踏む。
 乗組員に向いていたガンマンの銃口が逸れた。
 突入してきた康行も追い打ちをかける。
「ここにあるのは静寂のみ、恨みも、怒りも戦う意思もここにはない」
 無言語り。
 虚無属性の言霊が、敵に襲い掛かった。
「お前の前には何もない、お前は何をするつもりなのか、何物でもないというのに」
 初手で決めるつもりで紡いだ言葉は、ガンマンの心を捕え込んだ。
「……よく、ご存じで」
 不快にゆがむ顔。
 ファントム・ガンマンの意識を虚無に飲み込もうと、康行の語りは広がっていく。
 敵がそれを振り払うように首をふった。
 一瞬の隙。
 康行は促すように仲間たちを見た。

●守護
 排気口から突入したレイチェルとエメラは、すぐに乗組員を守ろうと行動に出た。
「これからわたしはまもることしかできない。でも、それだけはやりとげるよ」
 レイチェルが発動させたのは『まもりぬく心』だった。あらゆる攻撃に対してほぼ無敵になれるが、自身は全く動けなくなる。
 ファントム・ガンマンが銃口を向ける姿が見えた。レイチェルには、敵を捕縛することはできない。だが、それでも守ることを選んだのだ。
 乗組員を守り込むように、ただそこに立つ。
「ほかの猟兵さんが敵をにがさないとしんじてるから」
 だが、乗組員は一か所に集められているわけではなかった。それぞれがコンソールの席に縛られており、レイチェルの力だけでは届かない場所にいる者の姿もある。
 それを見つけ、エメラは『出撃の時だ我が精兵達よ』を発動させた。
「さぁ出番よ、私の勝利の為に出撃なさい」
 敵から乗組員を守るように、銃と盾を持った魔導蒸気兵を召喚する。さらに、自身も兵の盾の陰に着地して周辺を見回した。
「ハハ、そんなにソイツらが大事かい?」
 ファントム・ガンマンが構えていたブラスター銃から熱線を発射する。
 レイチェルには熱線は効かなかった。
 エメラの兵たちは、盾でその攻撃を防いで見せた。
 敵の舌打ちが聞こえる。
 弾かれた熱線や弾丸が、無尽に飛んだ。
 だが、それらは何も傷つけない。
 ヘスティアがガーディアンでバリアを展開し、守り抜いたのだ。人質はもちろんのこと、戦闘の余波で機器が壊れることまでを考え、備えていた。
「くっ、いつの間に! ああ、面倒くさいねえ」
 敵は突然姿を現したヘスティアを見て、眉をひそめる。
「こっそり侵入させてもらったわ」
 派手に登場した仲間に紛れて、姿を透明にして忍び込んでおいたのだ。物音などは消せない力だが、仲間が派手に突入したので、気づかれずに守りのバリアを展開できた。
「機械も乗組員もわたしたちが守るわ! 皆は思いっきりやって頂戴!」
 ヘスティアが声を上げる。
「艦の制御を取り戻すことなら、任せてね。バッチリ返してもらうよ」
 エメラは、すでに安全な位置から艦の制御を取り戻そうと、パネルを操作していた。
(「わたしは、ひとりじゃない」)
 レイチェルも安心した表情で仲間たちを見つめる。
 守りは完璧だった。
 避難こそ難しいが、戦いで拘束された乗組員が傷つくことは無いだろう。
 ファントム・ガンマンに向かっていった猟兵たちは、ここぞとばかりに攻撃を畳みかけた。

●包囲網、それから
 シンはあらかじめ複製しておいた全ての銃を、ガンマンに向ける。
「ターゲット、マルチロック……目標を乱れ撃つ!」
 複製されたスカーレット・ブラスターと精霊石の銃たちが、一斉に火を噴いた。
 ガンマンと乗組員を隔てる様な配置から、弾丸の嵐がガンマンに襲い掛かる。
 いくつかはガンマンのブラスターが撃ち落としたが、シンの攻撃全てを相殺することなど不可能だった。ガンマンの体を、弾丸が撃ち抜いていく。
「ぐっ」
 ガンマンの体が傾いだ。
 それを見て、リョーコも援護射撃で追撃する。
「結構な手際で乗取ったみたいだが……乗組員に私達、全員を相手にするにはアンタ一人じゃ荷が重すぎる」
 右から左から、次々にレーザーを放ち、敵の体を貫いていった。
「たっぷり後悔しながら船の制御を返してもらおうかね」
「ハハハ、手際の良さは褒めてくれるんだな」
 ガンマンは笑ってみせたが、受けた傷は隠しきれていない。
 その真横に向かって、セレスティアの残りの一体が加速して突入してきた。
「アンカーを発射します」
 同時に狙いをつけて、ワイヤーアンカーを射出する。
 仲間の攻撃でダメージを受けているガンマンの動きを捉えることは、セレスティアにとってはたやすいことだった。ワイヤーが敵の体に巻き付き、自由を奪う。
 暴れる敵を押さえながらセレスティアは言った。
「逃がしません」
 そして、オリヴィアが神速で踏み込んできた。
「そのまま、抑えていてください」
 聖槍を構え、一気に敵の懐に入り込む。
「く、なんの!」
 ガンマンが体を反らして逃れようとした。
「この機を逃がすわけにはいかないね」
 リョーコが遠距離から援護射撃を行い、敵の動きを最小限にとどめる。
 攻撃の手がある仲間たちも、一斉に攻撃を集中させた。
 ここで逃がしてしまえば、敵の間合いで戦うことになってしまう。
「追い詰めましたよ、海賊。逃げ場はないと思いなさい」
 敵に一番近い位置で、オリヴィアが聖槍で敵の体を一突きした。
「ず……ぁ……」
 最後の抵抗と、ガンマンのブラスター銃が火を噴く。
 その攻撃を、オリヴィアはオーラで防御して耐えた。
「炎熱への防御ならば心得ています!」
 と、熱線に耐え、告げる。
「……っ」
 ガンマンが震える唇で何かを言ったけれど、それは声にはならなかった。
 単独犯でここまで船を占拠したのは頑張ったと思うが、猟兵たちの前ではそれも空しい犯行だったようだ。
 正面と排気口、二か所からの攻略に、ガンマンは対応できなかったのだから。
 見ると、致命傷を負ったファントム・ガンマンが息絶える。
 猟兵たちは縛られている乗組員たちを解放し、助けに来たことを伝えた。
「コントロールも完全に戻ったわ」
 パネルを操作していたエメラが言うと、乗組員たちはほっと表情を緩めた。
「良かった。守れたんだね」
 喜ぶ乗組員たちの笑顔を、康行は見る。
「そうね。一件落着、かしら」
 ヘスティアが頷いた。

 艦のコントロールが戻り、艦内の温度も各所正常に戻ることだろう。体調の悪い者や至急の手当てが必要な者は、救難信号を受信した船が回収してくれるはずだ。
 これでも、この船の住民も安心できる。
 笑顔でお礼を述べるスペースシップの住民たちに見送られ、猟兵たちはベースに帰還した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月02日


挿絵イラスト