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迷宮災厄戦④〜第二次デフォルメロボット・ワンダーランド

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦

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●愉快なデフォルメロボットたち再び
「皆さん、迷宮災厄戦(ラビリンス・オウガ・ウォー)、お疲れさまです」
 グリモアベースで猟兵たちを労うのは、グリモア猟兵のアルテミス・カリスト(正義の騎士・f02293)だ。
「今回、皆さんに向かっていただきたいのは、『大きな愉快な仲間のいるところ』という不思議の国です。ここには『愉快な仲間』の皆さんの身長を二倍にし、さらに『背中にチャックのついた着ぐるみ』にしてしまうという不思議な力が働いているのですが、そこに魔王を名乗るオウガが現れたのです」
 この一角に住む愉快な仲間たちは、二頭身のデフォルメされたようなロボットの姿をしている。
 オウガはそのロボットたちの一体、漆黒のボディをしたちょいワルな愉快な仲間、『シュヴァルツ』の中に無理やり入り込み、自らを魔王と称して善良な愉快な仲間たちを支配しようとしているのだ。
 着ぐるみに入ったオウガは何倍にもパワーアップし、強敵となっている。
 元々は能力に疑念が生じると弱体化してしまう程度のオウガだが、パワーアップで自信を付けている上に、魅了の魔眼の効果もパワーアップしているようだ。本人曰く、レベル100の相手まで魅了できると豪語しているらしい。

「そこで、皆さんにも地元の愉快な仲間たちと協力して魔王を名乗るオウガを倒していただきたいのです」
 着ぐるみとなった愉快な仲間の中に入ることでパワーアップするのは、猟兵たちも同じである。
 そのため、地元のデフォルメロボットたちに協力を要請し、中に入らせてもらい、一緒に戦うのが有効だ。
「なお、着ぐるみの皆さんが受けたダメージはダイレクトに中の人に伝わりますので、着ぐるみの皆さんが傷つく心配はありません」
 これは、オウガが入っている『シュヴァルツ』も同様だ。
 愉快な仲間たちのことは気にせずに存分に戦ってほしい。

「それでは、皆さん、気をつけて行ってきてくださいね」
 アルテミスはグリモアを輝かせ、猟兵たちを送り出したのだった。


高天原御雷
 このシナリオは「戦争シナリオ」です。1章で完結し「迷宮災厄戦」の戦況に影響を及ぼす特殊なシナリオとなります。

 オープニングをご覧いただき、どうもありがとうございます。高天原御雷です。
 本シナリオは前回に引き続き、『二頭身のデフォルメロボットに乗ってバトルしよう』(着ぐるみですが)というシナリオです。
 以下、詳細です。

●目的
 オウガ『力に溺れた少年』の撃破。
 オウガは『シュヴァルツ』に乗り込むことでパワーアップしています。また、ユーベルコードの他に状況に応じて『シュヴァルツ』の様々な武装を使ってきます。
 攻撃しても『シュヴァルツ』にはダメージは入りませんのでご安心ください。

●プレイングボーナス
 着ぐるみ化した『愉快な仲間』に乗り込んで戦うとプレイングボーナスが得られます。
 『愉快な仲間』にはダメージは入らないのでご安心ください。

●『愉快な仲間』について
 意思を持った二頭身デフォルメロボットの『愉快な仲間』たちです(着ぐるみ化しています)。
 色々な『愉快な仲間』がいますので、プレイングで外見や名前、性格、武装などを指定していただけば描写に反映します。
 空を飛ぶとかビームライフルを装備しているとか変形するとか合体するとか、自由に設定していただいて構いません。

 『愉快な仲間』に乗り込んでも、ユーベルコードは従来通りに使用可能です。また『愉快な仲間』の武器からユーベルコードを放つなどしてもOKです。

 なお、種族『愉快な仲間』の猟兵(PC)も、着ぐるみ化の対象です。
 他の猟兵(PC)が中に入るという共同プレイングもOKですし、デフォルメロボットの『愉快な仲間』と合体するとかアーマーのように纏うというようなプレイングもOKです。

●本シナリオについて
 戦争シナリオのため、全員採用はできない可能性があります。予めご了承ください。

 それでは、どうぞよろしくお願いいたします。
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第1章 ボス戦 『力に溺れた少年』

POW   :    ドラゴンの力を秘めた、無双の魔剣
無敵の【魔剣『ドラグカイザー』】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
SPD   :    魔法創造
無敵の【魔法】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
WIZ   :    魅了の魔眼
【両眼】から【レベル10未満の女性だけを魅了する呪詛】を放ち、【自身に対して、強い恋愛感情を抱かせる洗脳】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はフェル・カーモルトです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



『ふははは! アリスラビリンスよ、僕は再び帰ってきた!』
 漆黒の二頭身着ぐるみロボ『シュヴァルツ』に乗った魔王を名乗るオウガの少年が自信ありげに笑った。
 『シュヴァルツ』は無双の魔剣ドラグカイザーの巨大版をその手に持ち、大きく振るう。
 ドラゴンの意匠が施された長剣は、転がっていた大岩をまるで豆腐でも斬るかのように鮮やかに斬り裂いた。大岩の鏡のような切断面に『シュヴァルツ』のボディが写し込まれ、その身から吹き上がる黒いオーラを映し出す。

 魔王は、支配下に置いた愉快な仲間『シュヴァルツ』を駆り、この国を支配せんと愉快な仲間たちが住む集落に向かって進軍を開始したのだった。
徳川・家光(サポート)
『将軍なんだから、戦わなきゃね』
『この家光、悪は決して許せぬ!』
『一か八か……嫌いな言葉じゃありません!』
 サムライエンパイアの将軍ですが、普通の猟兵として描写していただけるとありがたいです。ユーベルコードは指定した物をどれでも使いますが、全般的な特徴として「悪事を許せない」直情的な傾向と、「負傷を厭わない」捨て身の戦法を得意とします。
 嫁が何百人もいるので色仕掛けには反応しません。また、エンパイアの偉い人には会いません(話がややこしくなるので)。
よく使う武器は「大天狗正宗」「千子村正権現」「鎚曇斬剣」です。
普段の一人称は「僕」、真剣な時は「余」です。
あとはおまかせ。よろしくです!


アレクサンドル・バジル
よーし、お前に決めたぜ!
外見:SDモビルファイター(近接主体二頭身ディフォルメロボット)
性格:超強気
名前:ゴドガム
武装:両手が輝いて灼熱したりする

殴る、蹴る、極める、投げる等を駆使してステゴロで戦います。
機をとらえて『クライシスゾーン』を発動。
超次元の竜巻でシュヴァルツを絡めとり、そこに真っ赤に燃えた拳を叩き込みます。

WIZUC対策
俺が女だと思ったのか? まあ、着ぐるみじゃ中身は見えんか。
それにしたってな……

アドリブ歓迎です



●格闘型ロボと謎のサムライロボ
 魔王が進軍してきているという情報を受け、集落に住む愉快な仲間たちは大騒ぎになっていた。
 魔王を名乗る痛いオウガといえども、オウガはオウガ。愉快な仲間たちの力で対抗できる相手ではない。
 ましてや、相手は着ぐるみとして巨大化した愉快な仲間の『シュヴァルツ』に乗り込みパワーアップしているのだ。そんな魔王に愉快な仲間たちが敵うはずがなかった。

『くっ、まさか、あのシュヴァルツが魔王の手先になるなんてっ!』
 二頭身の着ぐるみロボが、悔しげな声とともに大木に拳を打ち付けた。
 白色をベースにしたボディに、青い装甲をプロテクターのように装着した機体だ。肩と腰、足の先に入った赤いカラーリングが強気な性格を伺わせる。
 まるで見えない敵がいるかのように、デフォルメロボは虚空に拳を打ち込み、蹴りを入れ、投げ飛ばし、関節を極める。
『くっ、やはり、今の俺の力では魔王に……シュヴァルツには勝てない……』
 がくり、と膝を突くロボ。彼の脳内で繰り広げられた仮想的なシュヴァルツとのバトルは、彼の完敗だったのだ。

 そんなロボに、黒髪金髪の青年、アレクサンドル・バジル(黒炎・f28861)が声をかける。
「ほう、近接攻撃主体のロボか。俺の戦闘スタイルとマッチしてるな! よーし、お前に決めたぜ!」
『あ、あんたは一体……』
 突然現れた青年に、ロボは驚きの声を上げた。
 格闘タイプのロボは、周囲の気配を探るのにも長けている。だが、ロボはこの青年の気配を一切感じられなかったのだ。
「俺はアレクサンドル・バジルだ。魔王との戦い、一緒に行ってもらえないか?」
 ロボは一目見ただけでアレクサンドルの実力を悟る。無造作に立っているように見えるアレクサンドルだが、その身には一分の隙もない。ロボがどのように攻撃しても、自分が地面に倒れるイメージしか湧いてこない。
『ああ、俺の方から頼む! 俺の名はゴドガム。あんたがいればきっと魔王に……シュヴァルツに勝てる!』
「よし、それじゃあ頼んだぜ、ゴドガム」
 アレクサンドルは、ゴドガムの背中のチャックを開けると、内部に乗り込んだ。
『はぁっ!』
 全身にフィットするような着ぐるみの感触を感じながら、アレクサンドルは拳を突き出す。
 中の人の動きに追従して正拳突きを放つゴドガム。その拳からは衝撃波が放たれ、正面の大岩を粉々に打ち砕いた。
『なるほど、きちんと俺の動きをトレースしてくれる操縦形式だな』
 着ぐるみのゴドガムの中から、くぐもったアレクサンドルの声が響く。触れもせずに大岩を砕いたというのに、その声は平然としたものだった。

 アレクサンドルの実力が本物であることを実感したゴドガムが、感激の声を上げた。
『俺を弟子にしてください、師匠! どこまでも付いていきます!』
『……まぁ、魔王を倒すまでの間なら、な』
 諦めたようにアレクサンドルは嘆息する。
 こうして、即席の師弟は魔王を倒しに向かったのだった。


 魔王の乗る黒き機体『シュヴァルツ』が、二頭身の短い脚で大地をふよんふよんと踏みしめながら、愉快な仲間たちの住む集落に向かって進んでいた。まさに破壊の権化とでもいうべき黒き機体の着ぐるみ。魔王が乗る『シュヴァルツ』が集落に辿り着いたら、愉快な仲間たちにどれだけの被害が出るか想像だにできない。
 だが、その侵攻を阻むように、白い格闘機『ゴドガム』が立ちふさがった。
 二頭身の短い右腕でまっすぐに『シュヴァルツ』を指差し、『ゴドガム』が熱く吼える。
『シュヴァルツ! 今日こそはお前に勝つ! そしてお前を止めてみせる!』
『ほう、この僕に挑戦しようという愚か者が現れるとはな……』
 『ゴドガム』の言葉を受け、『シュヴァルツ』を支配している魔王が冷たく言い放った。

『ゴドガム、どうやらシュヴァルツは魔王のやつに操られてるようだぜ』
 アレクサンドルは、『ゴドガム』の言葉に反応しない『シュヴァルツ』を見て、彼が魔王の支配下にあることを一目で見抜いた。
『なんだって!? シュヴァルツ! あんたほどの実力者が魔王なんかに操られるなんて!』
『冷静になれ、ゴドガム!』
 アレクサンドルが言葉をかけるが、熱くなっている『ゴドガム』の耳には入らない。『ゴドガム』は、中で操縦しているアレクサンドルを無視し、勝手に『シュヴァルツ』へと向かっていく。
『ならば、俺がシュヴァルツの目を覚まさせてやる! うおおおっ!』
 気合の声とともに『ゴドガム』が『シュヴァルツ』に向かって右拳を振り抜き――。

 ――直後、『ゴドガム』の身体が宙を舞い、大岩に叩きつけられていた。

『ふははは! その程度の攻撃がこの僕に通じると思ったか! この未熟者がっ!』
 魔王の哄笑を聞きながら、『ゴドガム』がよろよろと立ち上がる。
『すみません、師匠……俺が頭に血を上らせたせいで……』
『どうやら冷静になったようだな、ゴドガム。魔王は強い。力を合わせて戦うぞ!』
『はいっ、師匠!』
 アレクサンドルの乗る『ゴドガム』は魔王に向き合い、格闘戦の構えを取った。

 再び構えを取った『ゴドガム』を見て、魔王は『シュヴァルツ』にも構えを取らせる。
『ふん、ようやくまともになったようだが……それで僕に勝てるとは思わないことだ!』
 『シュヴァルツ』の二頭身のボディから漆黒のオーラが吹き上がった。

『いくぞ、ゴドガムっ! 魔王を倒すため、力を貸してくれ!』
『ふんっ、甘いなっ!』
 アレクサンドルが操る『ゴドガム』が、拳を打ち付け、蹴りを放つ。
 だが、魔王の乗る『シュヴァルツ』の方が一枚上手だった。『ゴドガム』の攻撃を紙一重で見切り、かわし、カウンターの攻撃を放っていく。
『ぐっ、ぐあああっ』
 反撃を受けた『ゴドガム』は声を上げ、がくり、と膝をついた。
 魔王の乗る『シュヴァルツ』は強い。このまま正面から戦っても不利な状況は覆せない。
『こうなったら奥の手しかないが、敵に隙を作れないと難しそうだぜ……』
 アレクサンドルは『ゴドガム』の中で悩ましげに呟いた。


『どうした、威勢の割にはその程度かっ!』
 魔王が『ゴドガム』に向かって勝ち誇った言葉を放ったその時――。
 青年の澄んだ声が戦場に響いた。
『なるほど、隙を作ればいいのですね。ならば僕にお任せを!』
『何奴っ!?』
 声の主を探し、魔王の乗る『シュヴァルツ』が周囲を見回す。
 そして、崖の上に立つ一体のデフォルメロボの着ぐるみの姿を見つけた。
 腰に差すのは二本の刀。編笠を目深にかぶったサムライタイプの二頭身のロボット。『羅刹大伽藍』という名の愉快な仲間であった。
『名乗るほどの者ではありません! 火産霊丸よ、焔の底より出ませい!』
 『羅刹大伽藍』に乗った謎の若者、徳川・家光(江戸幕府将軍・f04430)は、燃える白馬『火産丸』を召喚した。『羅刹大伽藍』は、二頭身の脚で器用に『火産丸』に騎乗すると、崖を一気に駆け下りる。

 崖から下りてきた『羅刹大伽藍』は馬上から魔王の乗る『シュヴァルツ』を見下ろしつつ、腰の二本の刀、大天狗正宗と千子村正権現を引き抜いた。
『ほう、この僕と正面から勝負しようというのか』
『ええ、悪は決して許せませんからね』
 『羅刹大伽藍』と『シュヴァルツ』の視線が交錯し――謎の若者の乗る『羅刹大伽藍』が動く。
 乗騎の『火産丸』を突撃させ、『シュヴァルツ』に接近したところで馬上から跳躍。
 二本の刀を大きく振りかぶった。
『なにっ、馬を捨てて突撃だとっ!?』
 驚愕の声を上げる魔王に向かって、謎の若者は『羅刹大伽藍』の中で不敵な笑みを浮かべながら言い放つ。
『一か八かは嫌いな言葉じゃありません! 受けてください! 柳生新陰流、バツの字斬りいぃ!』
『ぐわああっ!』
 『羅刹大伽藍』が二刀を交差させて放った一撃は、『シュヴァルツ』の身体に大きくバツの字の傷を付け、魔王の動きを一時的に止めることに成功した。

『僕の役目はここまでです!』
 アレクサンドルの乗る『ゴドガム』に声をかけ、『羅刹大伽藍』は『火産丸』に乗って駆け去っていったのだった。


『どこの誰かは知らないが、助かったぜ! いくぞゴドガム! やれるな!』
『はい、師匠!』
 構えを取った『ゴドガム』のボディが黄金色に染まっていく。
 これこそ、アレクサンドルと『ゴドガム』が心身共に一体となった証だ。
『なんだ、この気迫は……!? 今までの奴のものとは違う……!』
 『ゴドガム』の変化に気付いた魔王が『シュヴァルツ』の中で驚愕の声を上げ、両眼の魔眼から呪詛を放つ。だが、魔王の強力な呪詛は『ゴドガム』の纏った黄金のオーラによってかき消された。
 『ゴドガム』の全身から放たれるオーラが一際強く輝き、戦場を黄金色に染めていく。
『貴様ぁっ!』
 焦りをあらわにした魔王は『ゴドガム』に殴りかかろうとするが、周囲の無機物が超次元の竜巻に変化し、『シュヴァルツ』の動きを絡め取っていく。
『少しは利口になったか! だが、つけあがるなっ!』
 動きを阻害されながらも『シュヴァルツ』は『ゴドガム』に殴りかかる。
 しかし『ゴドガム』は、その一撃を左手一本でガードした。そして反撃の一撃を放つ。
『はぁっ!』
『ふっ……』
 打ち出される『ゴドガム』の右拳。それを見切った魔王は余裕の表情で『シュヴァルツ』の身体を傾けて回避しようとし――その顔面に右拳の直撃を食らった。
『うおおおっ!?』
 魔王の口から、驚愕の言葉が漏れる。

 だが、今の一撃は反撃の狼煙にすぎない。
『まだまだぁっ!』
 アレクサンドルと『ゴドガム』の動きが完全に同期し、『シュヴァルツ』へと連続攻撃が繰り出されていく。
『肘打ち! 裏拳! 正拳!』
『なんだと!? こんな馬鹿なっ! この魔王が手も足も出せんなどということがあって……たまるかぁ!!』
 反撃に移ろうと、一旦『ゴドガム』から距離をとった『シュヴァルツ』。
 だが、すでに『ゴドガム』は『シュヴァルツ』の背後に回り込んでいた。
『俺の拳が真っ赤に燃える! たあああっ!』
 アレクサンドルと『ゴドガム』の気合の声が重なり、『シュヴァルツ』の顔に灼熱した拳が叩き込まれる。
 吹き飛ばされ、崖にボディをめりこませた『シュヴァルツ』は、そのままがくりと大地に膝をついた。

『どうやら俺とゴドガムの勝ちのようだな』
『くっ、おのれ、覚えていろっ!』
 アレクサンドルの言葉を聞きつつ、魔王の駆る『シュヴァルツ』は戦場から離脱していったのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

上野・イオナ
いい事思いついた!
大声で呼ぼう
「たまにはー!操縦される側じゃなくてー!操縦する側になりたいー!って子がー!もし居たらー!コッチ来てー!」

きぐるみでパワーアップした今らならば召喚出来るはずだ!いつもよりも巨大な僕の《MC-16XO》型が!
UC【エンドタイタンロボ】使用
召喚からの最終アップグレード&巨大化
きぐるみのまま乗り込むぞ!
リアル寄りの頭無しの人型ロボ(超巨大)を前にその自信が持つかな?
※アレンジ・連携大丈夫です



●ロボットの少年
「いい事思いついた!」
 二頭身ロボたちが暮らす愉快な仲間たちの集落に、白髪の青年、上野・イオナ(レインボードリーム・f03734)の大声が響き渡った。白いコートを纏ったイオナの背には純白の翼が生えており、短い髪の間からは半ばで折れた角が伸びている。それは彼がキマイラであることを示していた。
 イオナは両手をメガホンのように口元に当てて再び叫ぶ。
「たまにはー! 操縦される側じゃなくてー! 操縦する側になりたいー! って子がー! もし居たらー! コッチ来てー!」

 この集落に住んでいるのは、二頭身デフォルメな格好をしているとはいえ、ロボットな愉快な仲間たちだ。ロボットがロボットを操縦する――イオナのその言葉に心を揺り動かされないロボットがいるだろうか。
『本当に、ボクもロボットを操縦できるんですか……? 喧嘩に一度も勝ったことがないボクでも……?』
 白いボディにヒョロリとした体型――といっても、着ぐるみ化している今はイオナの二倍程度の身長がある――の二頭身のロボットの少年が、気弱そうにおずおずとイオナに声をかけてきた。
 それに対してイオナは自信たっぷりに返事を返す。
「ああ、もちろんだ! 魔王を倒して世界を救う物語の英雄に――主人公にしてあげよう!」
『よろしく、おねがいしますっ!』

 イオナは少年ロボットの着ぐるみの中に入ると、魔王を倒すために出発したのだった。


 イオナと少年ロボは、魔王の駆る『シュヴァルツ』の前に辿り着いた。だが――。
『ほ、本当にあの怖い魔王と戦うの……?』
『ああ、もちろんだ。僕を信じて』
 迷いの言葉を発した少年ロボだが、イオナの力強い言葉を聞いて自信をつける。そして勢い込んで魔王の前に飛び出していった。
『まっ、魔王っ! このボクが相手だっ! やっつけてやるからなっ!』
 少年ロボは、両足を震えさせながら、力いっぱい叫んだ。

『ほう、魔王であるこの僕に楯突こうとは生意気な……』
 魔王が乗る漆黒の二頭身機体『シュヴァルツ』が、黄金に輝く無双の魔剣ドラグカイザーを鞘から抜き放った。ヒュンっという音と共に無造作に振るわれた剣閃の先。森の木々がスッパリと斬り裂かれ、メキメキという音を立てて倒れていく。
『えええっ』
 そのあまりの破壊力を見て、少年ロボは泣きそうな声になる。
『イオナさんっ、やっぱり、あんな強そうな魔王に勝てっこないよー』
 だが、魔王は待ってはくれない。
 『シュヴァルツ』の両手の先に灼熱の火球が生み出された。
 それこそ、魔王が得意とする無敵魔法だ。
『魔王に逆らったことを後悔しながら焼け死ぬのだなっ!』
 魔王が少年ロボットに対して無敵魔法を解き放った。

 ――だがその時、少年ロボの着ぐるみの中からイオナのくぐもった声が響き渡った。

『戦闘ロボ《MC-16XO》型、出撃!』
 少年ロボの中で、ビシィッと魔王を指差したイオナ。それにつられて、少年ロボも魔王を指差す形になり――大地を割って巨大な戦闘用ロボ《MC-16XO》型が現れた。
 元々巨大な《MC-16XO》型だが、イオナが少年ロボに乗っているため、普段よりもさらに巨大な姿となっている。
 呼び出された《MC-16XO》型は、その腕を振るうと魔王の無敵魔法を弾き飛ばした。
『馬鹿なっ!? 僕の無敵魔法を防いだだとっ!?』
『おっと、それだけじゃない! 最終アップグレード! 僕だけの「最強ッ!」で「グレイトッ!」なハイエンドロボの凄さ、しっかりと目に焼き付けろ!』
 イオナの声に応え《MC-16XO》型が最終形態に変形していき、そのコックピットを解放した。
『さあ、中に乗り込もう!』
『う、うんっ!』
 少年ロボが《MC-16XO》型のコックピットに身体を滑り込ませると、コックピットハッチが閉じていく。
 それと同時に、コックピット内のモニターや計器類が点灯し、起動準備が完了していることを告げる。
『わぁっ、本当にロボットの中だっ!』
 自身もロボである少年ロボが、驚愕と歓喜の入り混じった声を上げた。
『さあ、遠慮せずに操縦してごらん』
『う、うんっ』
 イオナに促され、少年ロボが恐る恐る《MC-16XO》型の操縦桿に手を伸ばした。
 二頭身の着ぐるみの腕が操縦桿をなんとか握り、その両脚をフットペダルに伸ばし――。
『あの、イオナさん、足が届かないんですけど……』
『おっと。ごめんごめん』
 操縦席の高さを下げ、ようやくフットペダルに二頭身の足が届いた。
 こうして、少年ロボットが操縦する《MC-16XO》型が起動したのだった。
『さあ、ここからは君が主人公の物語だ。見事魔王を倒して英雄になろう』
『は、はいっ、イオナさんっ!』

 少年ロボの操る《MC-16XO》型は、その巨体から魔王の乗る『シュヴァルツ』に向かって、パンチやキックを繰り出していく。
 単調な攻撃とはいえ、巨体から放たれる破壊力は想像を絶するものだ。《MC-16XO》型は、まるで台風のように破壊の嵐を巻き起こす。
 魔王の乗る『シュヴァルツ』は、それをかわすのが精一杯だ。
『くっ、この魔王を……なめるなぁっ!』
 魔王が無敵魔法を連発し、《MC-16XO》型が爆煙に包まれた。
 ――だが、その魔法は《MC-16XO》型の装甲の表面を焦がしただけだ。
『馬鹿なっ!?』
 自慢の魔法が通じないことに動揺する魔王。
 そこにイオナと少年ロボの声が響く。
『よし、今だっ』
『はいっ、イオナさん!』
 少年ロボが操縦桿のトリガーを引くと、《MC-16XO》型に装着された巨大チェーンガンが火を吹いた。
 雨のように降り注ぐ弾丸が『シュヴァルツ』のボディを貫いていき――。

『くぅっ! 覚えていろっ!』
 大きなダメージを負った魔王は、捨て台詞を残して撤退していった。

『イオナさん――ボク――?』
『ああ、君の勝利だ。君こそ魔王を追い払った英雄だよ』
 優しくかけられたイオナの言葉に、少年ロボットは――。
『やったぁ! ボクでも魔王に勝てたんだっ!』
 喜びの声を上げたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

音取・金枝
なんというか、変わった愉快な仲間達もいるのですね
金枝も今から変身して……え、そのままでいて欲しいですか?
う、うーん……分かりました。協力してもらうのですから変身はしません
はい?これで必殺武器の条件満たせる?はぁ、気にするなですか
では行きますよ。凶鳥さん!

武器は頭部バルカンにビームの剣、それとライフルですか……バランスはいいですね
くっ、火力不足で決定打が……
はい?必殺武器ですか、分かりました。使いましょう!
え、乳揺れカットインがないと使えない?いや、意味不明ですよ!?
あー、もう!わかりました!やればいいのでしょう!
来なさい!【ブラックホール・インパクト】!
これで、デッドエンド……シュートですっ!



●凶鳥
 変身ヒーロー『ナイアルティン』音取・金枝(若奥様は秘密の変身ヒーロー・f25315)は強化人間である。彼女を改造した邪教組織は邪神の復活を目論む邪悪な組織である。ナイアルティンはオブリビオンの野望を挫くため、そして一般人である夫との平穏な日常を守るため、オブリビオンたちと戦うのだ。

 というナレーションがどこからともなく聞こえた気がするのは気のせいであろう。

 絹のように細い紫色の髪に光を反射させながら、金枝は赤い瞳で目の前のロボットを見る。
 二頭身のデフォルメされた機体ながらも、スマートな印象を与えるフォルムの水色の機体だ。
『私の名はパーソナル・トルーパーの凶鳥だ。よろしく頼む、金枝』
「はい、よろしくお願いします。では、金枝も早速ナイアルティンに変身して……」
 変身ヒーローとしての姿『ナイアルティン』に変身しようとする金枝だが……。
『待ってくれ金枝。君にはそのままの姿で私に乗り込んで欲しい』
「う、うーん……わかりました。協力してもらうのですから変身はしません」
 金枝は変身せずに、デニムのホットパンツにトレーナーという軽装で、二頭身の着ぐるみ『凶鳥』の中に入っていった。

『これで必殺武器の使用条件が満たせるな』
 小さく呟いた『凶鳥』の言葉に金枝が反応して聞き返す。
『使用条件……ですか?』
『いや、気にしないで欲しい』
 誤魔化すように答える『凶鳥』に首を傾げながらも、金枝は気合の声を上げた。
『よく分かりませんが、では行きますよ、凶鳥さん!』

 こうして、金枝を乗せた『凶鳥』は、魔王の元に向かったのだった。


 森の木々の間を水色の機体が高速で駆け抜けながら、頭部のバルカン砲を放つ。
 それを漆黒の機体が剣を構えて受け流す。
『接近しますよ、凶鳥さん!』
『了解だ』
 金枝の乗る水色の機体、『凶鳥』が森から飛び出すと、ビームサーベルを引き抜き、黒い機体に斬りかかった。
『甘いなっ!』
 ビームの剣を、黒い機体――魔王の乗る『シュヴァルツ』が持つ魔剣ドラグカイザーが受け止め、押し返す。
『これならどうですっ!』
 後方に跳躍すると同時に、『凶鳥』は手に持ったビームライフルを連射する。
 だが、ビームの光弾はことごとく『シュヴァルツ』の魔剣によって切り払われた。

『ビーム兵器まで切り払うなんて、非常識な敵ですね……。凶鳥さんも武器のバランスや機動力は良いのですが、これでは火力不足で決定打が……』
『ふははは! どうした! 僕の無双の魔剣ドラグカイザーの前に手も足も出ないようだな!』
 金枝の乗る『凶鳥』が、魔王の乗る『シュヴァルツ』と戦闘を開始してからどれだけ経っただろうか。
 機動力に優れ、武装のバランスも良い『凶鳥』だが、『シュヴァルツ』の持つ魔剣ドラグカイザーの守りを突破できずにいた。

『どうした、来ないならこちらから行くぞ!』
 『シュヴァルツ』が魔剣ドラグカイザーを振るうと、見えない真空の刃が『凶鳥』を襲う。
『くっ!?』
 それを変身ヒーローとして鍛えてきた経験と勘で回避していく金枝。
 再び、『凶鳥』と『シュヴァルツ』の距離が大きく開いた。
『凶鳥さん、どうにか事態を打破できませんか……?』
 金枝が額から汗を流しながら『凶鳥』に尋ねる。
 『凶鳥』は、一瞬押し黙ると、小さく呟いた。
『金枝。ようやく必殺武器の発動条件が整った!』
『ようやく使えるのですね! 分かりました、使いましょう!』
 金枝は『凶鳥』を操り、上空へと飛び上がった。

『いいか、金枝。必殺技を撃つときに気をつけてもらいたい点がある』
『はい、どうやらこの武器は、凶鳥さんのブラックホールエンジンに直結させて放つ兵器……一歩間違えば、ブラックホールエンジンの暴走で消失……』
 コックピットに表示された必殺兵器の詳細データを見ながら、金枝はごくり、と喉を鳴らした。
 そう、『凶鳥』の動力源はブラックホールエンジン。それは一歩扱いを間違えれば大事故に繋がりかねない危険な技術なのだ。
『いや、重要なのはそこではない。――乳揺れカットインだ』
『――は?』
 『凶鳥』の言葉に、金枝は思わず呆けたような声を出してしまう。
『聞こえなかったならもう一度言おう。必殺技に重要なのは乳揺れカットインだ。それも、十分に汗をかいた状態での色気たっぷりの、な。24歳の人妻というのは、それはそれで一部の人間には破壊力抜群だ』
『いえいえいえ、乳揺れカットインがないと必殺技が使えないとか意味不明ですよ!?』
 混乱する金枝。だが『凶鳥』は冷徹に告げる。
『魔王を倒すには、このチャンスしかないぞ』
『あー、もう! わかりました! やればいいのでしょう!』
 汗で額に張り付いた紫色の長髪をかきあげ、金枝が魔王に視線を移した。

『む、奴ら、なにかするつもりか!? ならば、この魔剣ドラグカイザーで……』
 魔王は上空を飛翔する『凶鳥』を見上げると、『シュヴァルツ』にドラグカイザーを構えさせ――。

 ――そこで動きが止まった。

『な、なんだとっ!?』
 『シュヴァルツ』の中で目を見開く魔王。
 その目は、『凶鳥』の外部プロジェクターから虚空に投影された金枝の艶姿に釘付けになっていた。
 長時間、着ぐるみの中で戦っていて汗に濡れた身体。
 デニムのホットパンツから伸びる、すらりとした両脚。
 豊満な胸にぴったりと張り付くトレーナー。
 そして、汗で顔に張り付いた美しい長髪。
 金枝の人妻の魅力は、彼女いない歴=年齢の魔王には、非常に刺激的なものだった。

『よし! 魔王の動きが止まった! 今だ金枝!』
『……なんだか釈然としませんが、いきますよ! 来なさい! 【ブラックホール・インパクト】!』
 どこからともなく射出されてきた『凶鳥』の全高ほどもある長銃身の砲身を受け取る『凶鳥』。
 そして、その銃身を胸部のコネクタに接続。動力炉であるブラックホールエンジンと直結させた。
『準備完了だ、金枝!』
『これで、デッドエンド……シュートですっ!』
 金枝は、大きく上体を動かしながら、ブラックホール・インパクトのトリガーを押し込んだ。
 それと同時に、中空に投影されている映像内で、金枝の胸が大きく弾んだ。

『おおっ……』
 魔王は思わず、その金枝の動きに見入ってしまう。
 そして、それは致命的な隙であった。

 『シュヴァルツ』の周囲に隔離結界が形成されたかと思うと、その全身が拘束される。
『くっ、し、しまった……!』
 こうなっては、自慢のドラグカイザーも役に立たない。
 身動きが取れない『シュヴァルツ』に対して、『凶鳥』が構えた長銃身の砲身の先端から漆黒の重力弾が放たれ――結界内のすべてを超重力で圧壊させていく。

『ぐっ、ぐあああっ!』
 『シュヴァルツ』の中の魔王は、超重力により大きなダメージを負ったのだった。

『よくやった金枝! 見事な乳揺れカットインだったぞ!』
『知りませんっ!』

大成功 🔵​🔵​🔵​

茅乃・燈
いちごさんにぼくの中に入ってもらいます

ディフォルメされた着ぐるみのようなエゾヒグマの姿になったぼく
んんっ…やっぱり変な感じ
ぼくの中にいちごさんが入る感覚…慣れないなぁ…

次は愉快な仲間の武者駄無さんと合体します
合体意識したら、ぼくの着ぐるみボディがロボットのような質感に代わり
武者駄無さんの鎧が分解してぼくの身体に装着されます

現れたのは赤い武者鎧を纏った熊のロボ

最初は日本刀で斬りかかり
隙があれば刀を手放して直接掴み【びったんびったん】
2人の力を合わせた怪力で敵を振り回してぶん投げて
宙に浮いた敵を種子島ライフルで撃ち抜いて
最後には力任せに振り回した薙刀でフィニッシュ!

これがぼくら3人の力です!


彩波・いちご
愉快な仲間の燈さんとペアで

協力してもらうのは、武者姿のSDロボの愉快な仲間さん
五月人形のような鎧姿に、V字アンテナと2つの目
薙刀と日本刀と種子島を装備した……名前は、武者駄無(ムシャダム)さん?
よろしくお願いしますね!

まずは、燈さん、中に入らせてもらえますか?
愉快な仲間としての正体、エゾヒグマ姿の燈さんの背中のチャックを開けて、中に入り込みます

燈さんは大丈夫です?
くすぐったかったり、変な所に触ってしまったら言ってくださいね?

中で【異界の顕現】して私の邪神の力を込めて
さらにSDロボの愉快な仲間と合体して武者姿となってパワーアップした燈さんの怪力を見せてあげましょう!



●邪神と山の神と武者
『よろしくお願いします、いちごさん』
「はい。こちらこそ、よろしくお願いしますね、燈さん」
 茅乃・燈(“キムンカムイ”は愉快な仲間で力持ち・f19464)が、同行してきた彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)に声をかけた。
 漆黒の黒髪を腰まで伸ばし、アイヌの民族衣装に身を包んでいる燈だが、実は山の神を意味する『キムンカムイ』の化身たる熊が人間の姿を取った『愉快な仲間』なのである。
 愉快な仲間である燈にとって、デフォルメロボットたちの集落が襲われているというのは放置できない事件だ。そのため、いちごに協力を頼んで二人で集落にやってきたのだった。
 なお『愉快な仲間が巨大化して着ぐるみになる』という効果は、愉快な仲間の猟兵も例外なく適用されている。すなわち、今の燈は、もともと高身長なところに、身長が二倍くらいまで大きくなった着ぐるみになっていて、背中にチャックが出来ている状態だ。――なお、元々豊満なバストも巨大化にあわせてたわわになっていることは言うまでもない。

「では、燈さん、さっそく中に入らせてもらいますね?」
 青い髪を腰まで伸ばし、ふさふさの尻尾と狐耳を生やしたいちごが、燈に声をかける。
 妖狐としての姿にマッチする和風のアイドル衣装に身を包んだいちご。豊満なバストを持つ燈とは対照的にスレンダーな体型のいちごだが、見た目だけは紛れもない美少女と言えるだろう。――男の娘であるという事実に目を閉じれば。
 そんないちごが背中のチャックを開けようとしたところで、燈は真っ赤になって慌てて制止した。 
『ふぇっ!? ちょ、ちょっと待ってもらえますか!?』
 両手を背中に回し、チャックを開けられないようにとっさに塞ぐ。
「けど、私が入る想定で一緒に来たんでしたよね?」
 不思議そうな表情で燈を見つめるいちご。その顔には一点の邪念も混じっていない。
 実際、ここに来る前に向かった別の場所では、燈の中にいちごが入ることで敵を撃破してきたのだ。いちごが不思議そうにするのも無理はない。
 だが、その戦いの最中のことを思い出した燈は両眼を閉じながら両手をブンブン振り回して叫んだ。
「あ、ああいうのは良くないと思うんですっ」
 どうやら、燈にとっては、いちごに中に入られることは特別な意味を持つようだった。

 しばらく思案した燈は、ぽんと手を打つと、自らの身体を本来のエゾヒグマの姿に変化させた。
 背中にチャックがつきデフォルメされた、可愛い熊のぬいぐるみのようになった燈が、ほっと息をつく。
「――えっと、これなら入ってもいいんですか?」
『はい、どうぞ……』
 燈の許可を得たいちごは、熊の背中のチャックを開けて、燈の中へと入っていく。
 熊の着ぐるみの中は、燈の体温を感じさせる不思議な空間になっていた。そこに、いちごが線の細い身体を滑り込ませる。
『燈さんは大丈夫です? くすぐったかったり、変なところに触ってしまったら言ってくださいね?』
 いちごのくぐもった声が、燈自身の中から聞こえてくる。
 耳で聞くのではなく身体全体に直接響く声。
 そして、自分の体内でもぞもぞと動き回られる感覚が燈の全身に未知の刺激を走らせた。
『んんっ……だ、大丈夫。ぼくの中にいちごさんが入る感覚……やっぱり変な感じで慣れないけど……』
 頬を赤く染め熱い吐息を漏らしながら、燈は熊のぬいぐるみ姿で呟いたのだった。


『拙者の名は武者駄無(ムシャダム)。集落を救う手助けをしていただけるとのこと、かたじけない』
 いちごが中に入った燈の前に、武者姿のデフォルメロボットが姿を現した。
 五月人形のような真紅の鎧姿に、薙刀と日本刀、そして種子島――火縄銃を装備した侍タイプのデフォルメロボットだ。
 『武者駄無』はV字の飾りが付いた兜の下の2つの瞳で燈たちを見て真摯に懇願する。
『拙者、この集落を守るべき武者なれど、魔王の力に太刀打ちできず……。どうか、お力をお借りしたい』
 頭を下げる『武者駄無』に、燈といちごは自信をもって答えた。
『うん、ぼくたちに任せてください』
『ええ、私たちが力を合わせれば、魔王なんて敵ではないです』

 ――こうして、デフォルメロボットの愉快な仲間『武者駄無』を加えた三人は、ぽてぽてという足音を響かせて魔王の元に向かったのだった。


『見つけたぞ、魔王! 拙者たちが退治してくれる!』
 魔王の元に辿り着いた、燈、いちご、武者駄無の三人。
 黒きデフォルメロボット『シュヴァルツ』に乗った魔王に向かって、武者駄無が刀を抜いて構えた。
 対する魔王は、慌てる素振りも見せずに悠々と返事を返す。
『くくく、この僕を倒しに来るとは片腹痛い。無双の魔剣ドラグカイザーでお相手しよう』
 『シュヴァルツ』が、腰に差した黄金の剣をすらりと抜いた。柄の竜の意匠がきらりと陽光を反射して輝く。
『そのような剣に負ける拙者の日輪丸ではない!』
『ああっ、無闇に飛び込んではダメですっ、武者駄無さんっ!』
 いちごの制止の声も聞かず、『シュヴァルツ』に斬りかかっていった『武者駄無』が、刀を袈裟斬りに振り抜いた。
 だが、『シュヴァルツ』は冷静にその剣筋を見切る。
『ぐ、ぐわああっ』
 黄金のドラグカイザーが閃いたかと思うと、『武者駄無』が刀ごと吹き飛ばされた。
 宙を舞い、仰向けに大地に転がった『武者駄無』。その横の地面に日輪丸が突き刺さった。
『さすがは魔王……』
『一撃で武者駄無さんを……』
 燈といちごは、一瞬の攻防を見て、魔王と『シュヴァルツ』の力が本物であることを確信した。
 いちごが燈の中に入ることでパワーアップしているとはいえ、あのドラグカイザーの攻撃をかいくぐり、懐に入り込めるか。
 いちごが思案していると――。

『武者駄無さん、こうなったらあれです!』
 熊の着ぐるみの格好になっている燈が『武者駄無』に視線を投げた。
 熊と武者がアイコンタクトを交わすと、二人はこくり、と頷き合う。
『承知つかまつった! 行くでござる、燈殿!』
『来て、武者駄無さん!』
 熊の姿の燈が仁王立ちすると、そこに『武者駄無』が駆け寄っていく。
 燈の身体が、ふさふさの着ぐるみ素材から金属質な材質に変化する。
 さらに『武者駄無』のボディが分離してパーツとなり、燈の身体に装着されていった。

『なんだと……!? 合体したというのか!?』
 魔王が驚愕の眼差しを向ける先。
 真紅の武者鎧を纏った熊のロボがそこに立っていた。
『すごいです、燈さん! これは一体!?』
『なんか、ぼくと武者駄無さんが合体できそうな気がしたから……』
 愉快な仲間同士の合体。それは、従来の力を何倍にも強化することができる奥の手だ。
 そこにいちごも気合の声を上げる。
『では、私の力も燈さんにっ!』
 いちごが発動させるのは【異界の顕現】だ。
 本来、いちごの体内に封じられている邪神の力を解き放ち、自身を強化するものだ。
 だが、燈の中に入っている今、その力は別の形で発動する。
『なに……? いちごさんの熱いものがぼくの中に……!』
 本来、いちごに注ぎ込まれるはずの力が、燈に流れ込んでいき――燈の熊の尻尾が4つに増えた。
 瞬間。燈の身体が二頭身のデフォルメ形状から八頭身のリアル形状に変化した。
『燈さん、これこそ、私と燈さんと武者駄無さんの力を合わせた真の姿――真ベアッ武者駄無です!』
『……真ベアッ武者駄無!?』
 燈は、自身から溢れ出す力を確かめるように両手を握って開く。
 そして、地面に突き立つ刀、日輪丸を引き抜いて構えた。

『ふん、合体した程度で、僕のドラグカイザーにかなうと思わないことだ!』
『それは……どうでしょうっ』
 燈が地を蹴ると、その姿がかき消え、一瞬のうちに『シュヴァルツ』へと肉薄する。
 振り下ろされる日輪丸。
 閃くドラグカイザー。
 ――だが、今度は両者は正面から打ち合い、鍔迫り合いの形で均衡した。
『馬鹿な……!? 僕のドラグカイザーと同等の力だというのかっ!?』
『真ベアッ武者駄無の力は、これだけではないですっ! フレ・クンネ! レタル・ホロケゥ!』
 燈の呼びかけに、シマフクロウ型サポートメカの『フレ・クンネ』が天空より飛翔し、白狼型サポートメカの『レタル・ホロケゥ』が森から駆け寄ってくる。
 燈の持つ山の神『キムンカムイ』の力によって顕現させた眷属たちであった。
 呼び出された二体の眷属は、燈と鍔迫り合いをしていて動けない『シュヴァルツ』に対して、爪や牙で攻撃をおこなっていく。

『ちぃっ、小癪な真似をっ!』
 鍔迫り合いは不利と見て、魔王が『シュヴァルツ』を下がらせようとした瞬間――。
 燈は刀を手放して、『シュヴァルツ』の腕を掴んだ。
『えいっ』
 燈はそのまま、怪力で『シュヴァルツ』を振り回し、びったんびったんと地面に叩きつけていく。
 大地がひび割れ、岩が砕け散る。
『ぐっ、は、放せぇっ!』
『ならば、飛んでいってもらいますっ』
 燈は、掴んでいた『シュヴァルツ』の腕を放すと、その機体を空中へと放り投げた。
 そして、背中に背負っていた火縄銃、種子島雷振を『シュヴァルツ』へと向ける。
『燈さん、私たちの力を見せてあげましょう!』
『これが――ぼくら三人の力です! 大自然の力、受けてください!』
 燈の山の神としての大自然の力が込められた一撃が、火縄銃の銃口から放たれ――。

『ぐ、ぐわあああっ』
 空中の『シュヴァルツ』に命中して大爆発。
 魔王と『シュヴァルツ』を、空の彼方に吹き飛ばしたのだった。

『やりましたね、燈さんっ!』
『ひゃあっ、いちごさんっ、中でそんなに動かないでもらえますかっ!?』
 艶っぽい声で悲鳴を上げる真ベアッ武者駄無であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

マイエ・ヴァナディース
「何してんのよ、シュヴァルツー?!」

あら、カリカリお怒りの方が?
声は高く、四肢や胸が丸みを帯び、目もクリクリ
十字槍を持つ姿は愛らしき女騎士…

「あたし?ガーベラ!一応アイツの幼馴染だけど…」

暴れる彼に敵わない上、近づくと胸が高鳴るとか
魅了の魔眼を察知してるのでしょうか

「とっ、とにかく力貸してよっ!」

異論はありませんわ
彼女の中へ入ると『シルフェリオン二世・精鎧形態』が
彼女の紅い身体へ翠の甲冑・翼として分離変形装着
そして左手に鎖鎌…コレです!

【フルメタル・ヴァイン】の応用で彼を絡め取り
空へ放り投げた所をガーベラさんの槍で追撃…!

「えいや、せいやっ!シュヴァルツの、ばかぁあっ!」

乙女心は複雑ですわね♪



●騎士ロボと乙女心
『まったく! シュヴァルツってば何してるのよ、もう!』
 不思議の国の一角、愉快な仲間たちの集落に、少女らしい可憐な声に似合わない怒声が響き渡った。
 声の主は二頭身のデフォルメロボット――その愉快な仲間が着ぐるみ化した姿だ。丸みを帯びた手脚と胸、それにクリクリとしたつぶらな瞳。
 十字槍を持ったその姿は、まさに凛々しくも愛らしい女騎士のものだ。

 そんな女騎士型のロボットに歩み寄る人影があった。
「あら、どうされましたの? もしお力になれることがありましたら、ご協力しますわ」
 女騎士型の二頭身デフォルメロボットに声をかけたのは、透明感溢れる緑色の長髪を風になびかせ、髪と同じ色の大きな瞳をした少女、マイエ・ヴァナディース(メテオールフロイライン・f24821)だ。エルフ特有の長い耳を持ったマイエは、頭上に防塵用ゴーグルをかけ、一見すると貴族用の服にも見える若草色の旅装を身に纏っていた。編み上げブーツと太ももまでの白いニーソックスはともかく、ミニ丈のキュロットスカート――元来、女性の乗馬用スカートとして考案された――を履いているのは、彼女が魔術で作られた大型オフロードバイクの『シルフェリオン二世』の乗り手であるからに他ならない。

 声をかけてきたマイエを見て、女騎士は喜びの声を上げた。
『あたし、ガーベラ! 実は魔王とかいうやつに操られちゃってるシュヴァルツの幼馴染なんだけど、暴れるアイツにかなわない上に、なんだが視線を向けられただけでも胸がドキドキして戦えなくなっちゃって……もう、なんなの、この気持ち!』
 マイエが細い顎に指を当て、ガーベラの心境を冷静に分析した。
 視線を向けられただけで胸が高鳴る――それは魔術で稼働するシルフェリオン二世を駆るマイエにとって、原因を特定するのは容易い現象だ。
 自信をもってマイエが言い放つ。
「魔王は魅了の魔眼を操ると聞きましたわ。それは魔王の魅了の魔術の影響ですわね!」
『なるほど、魅了の魔眼の影響だったのね! じゃあ、それを魔王に使わせなければ……』
 ガーベラの言葉に、マイエが力強く頷く。
「ええ、わたくしが中に入らせていただき、魔王に魅了の魔眼を使わせなければ問題ありませんわ」
『お願いっ! 力を貸してっ!』

 ガーベラの頼みを受けたマイエが、彼女の背中のチャックを開けると中に入り込んでいく。
『わたくしはマイエですわ。よろしくお願いしますわね、ガーベラさん』
『ええ、マイエ、よろしくね! シュヴァルツのヤツ、ぶっ飛ばしてあげるんだからっ!』

 ――こうして、乙女心に鈍感なコンビが結成されてしまったのだった。


『シュヴァルツ―ッ! 目をさましなさーいっ!』
 ブォン、という風切り音とともに、十字槍が猛スピードで振るわれた。
 それを、間一髪のところで、魔王を名乗るオウガの少年に操られた黒きデフォルメロボット『シュヴァルツ』が回避した。
『……危ないじゃないか、ガーベラ』
『ちょっと、何で避けるのよっ!?』
 なお、『ガーベラ』に対して声を発したのは、中に入っている魔王ではなく、『シュヴァルツ』本人である。
『あら? シュヴァルツさん、きちんと自我は残ってらっしゃるのですね?』
『ククク、当然だ。魔王である僕とシュヴァルツは魂の絆で結ばれた存在! その意思を奪う必要などあるまい!』
 マイエの疑問の声に答えたのは、自信満々な魔王の少年だ。
 魔王は『シュヴァルツ』の身体を操作し、腰から無双の魔剣ドラグカイザーを引き抜かせた。
 煌めく黄金の刀身は、あらゆるものを両断する力を秘めている。まさしく無敵の魔剣である。
『ガーベラ、俺はお前に怪我をさせたくはない。わかったら、おとなしく村から避難していてくれ』
 ドラグカイザーを突きつけながら『シュヴァルツ』が冷たく言い放つ。
 だが、それにおとなしく従う『ガーベラ』ではなかった。

 『ガーベラ』は腰に両手を当てて胸を反らすと、勝ち誇ったように『シュヴァルツ』に告げる。
『ふふん、残念だったわね! マイエの力を借りた今、魔王の魅了の魔眼なんか効かないんだからね!』
(『……魅了の魔眼? そんなもの使っていたのか?』)
(『いや、僕はこのメカ娘に魅了の魔眼を使ったことはないが? ロボは別に好みじゃないしな』)
 ボソボソと言葉を交わす、黒きロボットと中の人。
 『ガーベラ』は、そんなことはお構いなしに叫んだ。
『例のヤツ、いくわよ、マイエッ!』
『心得ましたわ! 来てくださいませ、シルフェリオン二世!』
 マイエの声に応え、流線型ボディの多機能魔導バイク『シルフェリオン二世』が、テールノズルから清浄なる魔力の奔流を吹き出しながら姿を現した。その魔力は『シルフェリオン二世』の動力源たる風の精霊セフィロの精霊力だ。
 風の精霊力による結界で車体を包んだ『シルフェリオン二世』が不意打ち気味に『シュヴァルツ』に体当たりをし、黒きロボに隙をつくる。
 『シルフェリオン二世』のタイヤに付けられた青い精霊石が、まるでマイエたちにウィンクするように明滅した。
『今ですわ、いきますわよ、ガーベラさん、シルフェリオン二世!』

 マイエの言葉と同時に、『シルフェリオン二世』がオフロードバイクの双環形態から、双腕四脚歩行型の歩行戦車、精鎧形態に姿を変え、パーツごとに分解される。
 さらに『ガーベラ』の周囲を『シルフェリオン二世』のパーツが取り囲むことで風の結界が形成された。
『ちぃっ、何を企んでるかは知らないが、この魔王に逆らう気かっ!』
『……ま、待て、魔王っ!?』
 魔王によって『シュヴァルツ』の身体が無理やり操作され、『ガーベラ』に魔剣ドラグカイザーが振り下ろされる。

 ――だが、その一撃は『シルフェリオン二世』の風の結界によって阻まれた。

『わたくしのシルフェリオン二世――セフィロの力を甘く見ないでくださいませ?』
 マイエの声が風の結界の中に響き渡り、『シルフェリオン二世』のパーツが『ガーベラ』の真紅の装甲の上に装着されていく。
 両腕には巨大なガントレット。両脚には風の精霊力を吹き出しホバー移動を可能にするグリーブ。胴体には新緑の色を思わせる鮮やかなブレストアーマー。
 そして背中に広げた翼状のパーツから、風の精霊力をジェットのように吹き出し、『ガーベラ』は重力の楔から解き放たれた。
『ちょっ、なによこれ、マイエッ!? あたし、飛んでるっ!?』
『あら? 空を飛ぶのは初めてでした?』
 くすり、とマイエがいたずらっぽく笑うと、『ガーベラ』の手中に【フルメタル・ヴァイン】によって生成された鎖鎌が現れた。

『おのれっ、空を飛んだ程度で勝ったと思うなよっ!』
 魔王は『シュヴァルツ』を操り、魔剣ドラグカイザーを振るう。
 超音速で振られたドラグカイザーの剣身からは衝撃波が発生し、空中を飛ぶ『ガーベラ』を撃ち落とさんと真空の牙を剥いた。
『ちょっと、マイエッ!? なんか飛んできてるんだけどっ!?』
『落ち着いてください、ガーベラさん。ほら』
 マイエは、慌てる『ガーベラ』に優しく微笑むと、飛んでくる衝撃波の方を指し示した。
 『ガーベラ』が、そちらに目を向けると――。
『うそ……。あの魔王の魔剣の衝撃波が打ち消されてってる!?』
『風属性の攻撃でセフィロの結界を突破できるはずがありませんわ』
 二人の言葉通り、『ガーベラ』に向かって飛んできた衝撃波は、衝突する直前に『ガーベラ』を包む風の結界によって霧散させられていた。
『馬鹿な……僕の無敵のドラグカイザーが……!?』
 地上の魔王が信じられないものを見たかのように呟いた。

『今ですわ、ガーベラさん!』
『よくわからないけどチャンスねっ!』
 『ガーベラ』が手に持った鎖鎌を、魔王の乗る『シュヴァルツ』に向かって投擲した。
 それは『シュヴァルツ』をがんじがらめに絡め取る。
『はぁっ!』
 気合の声と共に『ガーベラ』が鎖鎌を引くと、『シュヴァルツ』の身体が空へと放り投げられた。
『なっ、なにぃっ!?』
 突如、上空に投げ出された『シュヴァルツ』の中から、魔王の驚愕の声が上がり――。
 両翼から風の精霊力を吹き出した『ガーベラ』が、その緑と紅の混じり合ったボディで風を切り、魔王の乗る『シュヴァルツ』に高速接近した。さらに両足からジェットを噴射して加速し――。
『あっ、ちょっ、ガーベラッ!?』
『シュヴァルツの、ばかぁあっ!』
 『ガーベラ』の十字槍が、『シュヴァルツ』の身体を貫いたのだった。(注:ダメージは魔王が受けているのでご安心ください)
 
『さあっ、私が勝ったんだから、両親に反発するのはやめて集落に帰ってきなさいよ、シュヴァルツ。弟のゴドガムも心配してるじゃない』
『……俺は、まだ一人前になれていない。村には戻れないっ!』
『あっ、ちょっと、シュヴァルツーっ!?』
 駆け去っていく『シュヴァルツ』を見送る『ガーベラ』の顔に笑顔が浮かんでいるのを見て、マイエは呟いたのだった。
「乙女心は複雑ですわね♪」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミスタリア・ミスタニア
ほー、ロボっぽい着ぐるみの愉快な仲間ねぇ?
で、オレに協力してくれるのはどいつだ?
へぇ、お前か……うん?なんというか、随分細いというかやせっぽっちだな?
まぁいいけどよ。んじゃ、中に入らせてもらうぜ?

武器は……ビームセイバーと頭にバルカンだけ?
ちっ!ぐあっ……なんだ、この感情は?
ぐっ!あ、あぁ助かったぜ。お前は平気だったんだな
はぁ?強化パーツがあるとか先に言えよ!その所為で突っ込んで敵の妙な魔眼の影響受けたじゃねぇか
【鎧装瞬間転移装着】でサポートメカと合体だ
ったく、今度はちゃんと武器があるじゃねぇか。お誂え向きにオレの得意な物がよ!
おら、奴にエースの機動と戦い方を見せてやる。いくぜ、あわせろよ!



●19歳の乙女
「ほー、ロボっぽい着ぐるみの愉快な仲間ねぇ?」
 緑色の長髪をポニーテールにしている美人鎧装騎兵、ミスタリア・ミスタニア(宇宙を駆ける翠の疾風・f06878)が、二頭身デフォルメロボットたちの集落を歩き、周囲を見回しながら呟いた。
 今日のミスタリアは、トレードマークともいうべき際どいデザインの軽装型鎧装を身に着けていない。それどころか、露出度が高くて彼女の豊満な胸を強調するようなフィルムスーツすら身に着けていなかった。
 ダメージジーンズにタンクトップという、タンスから適当に引っ張り出してきた――こほん。動きやすさを優先してじっくり吟味して選んだ服装で、デフォルメロボたちの集落にやってきているのだった。
「んー、やっぱ、鎧装着てないと、裸で歩き回ってる気分だな……。それに、この服、いつ買ったやつだっけか? 胸のところが苦しいな」
 豊満なバストで、はちきれんばかりになっているタンクトップの胸元を引っ張りながら、ミスタリアは思案する。
 ――銀河通販で適当にポチったのは何年前だったか。そんなことを思うミスタリア19歳の夏であった。

 そのミスタリアの前に、突然、デフォルメロボの着ぐるみが姿を現した。
 白い装甲が眩しい全身がスラリとした体型の人型ロボット(ただし二頭身)だ。
「ん? なんだ、お前。オレに協力してくれるのか?」
 ロボは無言でミスタリアに背中を向けて、膝をついた待機姿勢を取る。
「ああ、会話機能が付いてないタイプか……。ま、それなら鎧装の感覚で装着できるな! んじゃ、中に入らせてもらうぜ?」
 ミスタリアは、ロボの背中のチャックを開けると、その中に入り込む。
 両腕を着ぐるみの腕部に通して操縦レバーを握ると、着ぐるみロボの瞳に緑の輝きが灯った。
 重厚な起動音とともに脚部モーターが甲高い音を立てて、着ぐるみが一歩を踏み出す。
 
 ――ぽてん。ぽてん。

 着ぐるみ特有の足音を立てながら発進した着ぐるみロボの中でミスタリアは思った。着ぐるみの中は暑い。ラフな服装で来て良かった、と。


『というわけで、早速、倒してやるぜ、魔王!』
『ほう、この僕に挑むとは面白い!』
 魔王の元へと駆けつけたミスタリアは、先手必勝とばかりに魔王の乗る漆黒のデフォルメロボット『シュヴァルツ』に攻撃を仕掛けようとし――。
『さて、武器は――って、なんだよ、ビームセイバーと頭部バルカンだけ!?』
 コックピット(着ぐるみの中)のモニタに表示された武装を見て毒づいた。
 どうやらミスタリアの乗り込んだ機体は、軽装タイプの機体だったようだ。
『ちいっ!』
 せめてバルカンを『シュヴァルツ』に向けて放つが、そのような軽武装では鳩に豆鉄砲を食らわせる程度の威力しかない。
『いや、鳩に豆鉄砲は微妙に痛いんだぞ!?』
 バルカンのダメージが中の人に届いて、魔王がちょっと涙目で叫んだ。

『くっ、よくも魔王である僕を驚かせてくれたな! これでも食らうがいい!』
 魔王は両眼から魅了の魔眼を放った。本来はレベル10未満の女性しか魅了できない猟兵に対しては役に立たない魔眼だが、『シュヴァルツ』に乗っている今は違う。従来とは一桁違う出力を発し、ミスタリアに対して『魔王に恋愛感情を抱かせる』という呪いを与える。
『ちっ、ぐあっ……なんだ、この感情は!?』
 魔王の魅了の魔眼が直撃したミスタリアは、呪いにかかり、魔王への恋愛感情を強引に埋め込まれてしまった。

 ――とくん。

 ミスタリア19歳の胸が、一際高い鼓動を打つ。
 魔王の乗る『シュヴァルツ』を見るだけで、その息遣いが荒くなり、ぎゅうっ、と心臓を掴まれたような気持ちになる。魔王に見つめられていると思うだけで、顔が火照り、熱を帯びてきた。
『な……!? 急に胸が苦しく……!? それに顔も熱くなってきて……!? こ、これがまさか……』
 ミスタリアがロボのモニタに目を向けると、パイロットモニタリングシステムの数値が、明らかに異常な値を示していた。心拍数は急上昇し、体温も上がっている。
 それを見たミスアリアは確信した。

『ちっ、こんなときに動悸・息切れに発熱……風邪か!』

 未だ恋を知らない、ミスタリア19歳の夏であった。

『まあ、風邪程度で戦闘不能になるようなやわな鍛え方はしてねぇから問題ないけどな!』
『馬鹿なっ!? 僕の魅了の魔眼が通用しないなんてっ!?』
 気合の声とともに魅了の魔力を打ち払ったミスタリアを見て、魔王が驚愕の声を上げる。
『ハッ! 風邪程度で倒れてちゃ、宇宙じゃ生きていけないんでなっ!』
『魅了と風邪に何の関係がっ!?』
 ミスタリアの発言の意図がわからない魔王。彼も彼女いない歴=年齢だが、ミスタリアの思考に追いつけない。

 魔王が混乱している隙に、ミスタリアはロボのモニタに操作マニュアルを表示させた。
『マニュアル読むのは苦手なんだけどな……ったく。って、強化パーツがあるのかよ!』
 マニュアルにざっと目を通したミスタリアは、ロボのサポートメカの説明ページ『つよいぞ、ぼくらのがったいロボ!』と書かれている項目に目を通す。そしてロボの操作パネルに【鎧装瞬間転移装着】のコマンドを叩き込んだ。
『サポートメカ転送っ!』
 叫びと同時に、空を斬り裂いてジェット機型のデフォルメロボットのサポートメカが飛来した。
 サポートメカは空中で分離すると、ロボの身体に強化パーツとして装着されていく。
 それはまるで、ミスタリアが普段纏っている鎧装のような漆黒のパーツから構成されており、背部に巨大なプラズマジェットスラスターユニット、手にはメガビームランチャーを携えていた。
『なにっ、合体しただとっ!?』
『ったく、今度はちゃんと武器があるじゃねぇか。おあつらえ向きにオレの得意な物がよ! おら、奴にエースの機動と戦い方を見せてやる。いくぜ、あわせろよ!』
 ミスタリアの機敏な操縦に、本来、機動タイプであるロボが正確に答える。背中のプラズマジェットを全開にすると、ミスタリア得意の3次元立体機動で魔王を翻弄していく。
『馬鹿なっ、なんてスピードだっ!?』
 魔王は、再び魅了の視線をミスタリアに食らわせようとするが、ミスタリアの乗ったロボの動きを目で追うこともできずにいた。
『へっ、視線を合わせられないと発動できないみたいだなっ! システムおよび全武装オールグリーン、何時でもいけるぜぇ!』
 ミスタリアの乗るロボがプラズマジェットの輝きを爆発させ、死角から一瞬で魔王に近づいた。
 そして、右手に持ったメガビームランチャーの銃口を魔王の乗る『シュヴァルツ』に接触させる。
『こいつを……くらいなっ!』
『なっ、馬鹿なアアアッ』
 ゼロ距離からミスタリアが放ったメガビームランチャーの一撃は、『シュヴァルツ』に直撃し――搭乗者である魔王に大きなダメージを与えた。

「――ちっ、帰りに服買って帰るか……」
 魔王の魅了の力がまだ残っていたミスタリアは、自分の格好を見て、お洒落という単語が頭に浮かんだのだった。
 ――なお、すぐに魅了の効果は切れたため、彼女が服を買って帰ったかどうかはわからなかったという。

大成功 🔵​🔵​🔵​

織笠・アシュリン
少し前!
「こんな細い手じゃ勝てないよ」
「足が遅いんだ」
「図体だけでさ」
小さめの双子ロボの仲間2組と、ちょっと大きめの仲間の説得をしてるよ
「……そうだ、こんな手があるよ!」

「五体着身(ちゃくしん)!コンバァァァァンッ!」
そう、あたしは体の大きな銀色ボデイの仲間を着込み、腕の小さな双子はその足に入ってもらい、足の遅い双子は、こちらの手に入ってもらう
そう、これがあたしのアイデア、着ぐるみによる擬似合体だよ!
あ、五体着身コンバーンって名前は全員の合意だからね!

「行くよっ、コンバーン!」
「「僕たちにこんな力があるなんて!これなら!」」
呪いを弾き返して、決めポーズからの【未来繋ぐ和合の剣】!
技名も叫ぶよ!



●5体合体
 デフォルメロボットたちの集落の一角。
 そこで、5体の二頭身デフォルメロボたちが集まって相談していた。

『くっそー、オイラたちももうちょっと力があればなあ』
『オイラたち、足の速さには自信あるんだけどなぁ』
 青色のボディの二体のそっくりなロボットがぼやいていた。双子らしき二体のロボット。その振り上げた腕は細く、胴体も小柄でずんぐりしている。だが、周囲をチョロチョロと駆け回る足の速さは眼を見張るものがあった。

『私達は足が遅いのよね』
『腕力なら、そこらへんの男性型ロボにも負けないんだけどね』
 丸みを帯びた赤いボディの姉妹ロボットは、小柄で細身な身体にも関わらず、周囲の大岩を素手で砕くほどの怪力をみせつける。しかし、その動きは機敏とはいい難い。

『俺は身体は頑丈なんだけど、それしか取り柄がないしなぁ』
 銀色のボディをした巨体のロボットがため息をついた。その肉厚の装甲は、どんな攻撃をも跳ね返しそうなほどの輝きを放っているが、腕力にも足の速さにも自信がないのだった。

『魔王が近づいてきてるっていうのに、オイラたちは何もできないのか……!』
 青色の双子が悔しがり。
『私達じゃ、近づく前にやられちゃうわよ!』
 赤い姉妹が苛立たしげに叫び。
『俺は役立たずだしなぁ』
 銀色の巨体のロボットが小さく呟くのだった。

 だが、その様子を見ていた一人の人影がいた。
「話は聞かせてもらったよ! あたしにいい考えがあるよ!」
 突如飛び出してきた金髪碧眼の少女、織笠・アシュリン(魔女系ネットラジオパーソナリティ・f14609)が、青色のリボンでポニーテールに結んだショートヘアを風に揺らして叫んだのだった。


 使い魔の黒猫『スー』が木陰からアシュリンの様子を眺めていた。
 日本人とアイルランド系アメリカ人の血を引くアシュリンは、首から下げた太陽十字の首飾り――ケルト系の装飾品である――が示すように、ケルト魔女の血を引いている。そのため、使い魔の黒猫とも話ができ、猟兵の力にも目覚めることができたのだ。
 元気が取り柄の彼女だが、その実フォロー体質なところもあり、デフォルメロボットたちの会話につい飛び込んでしまったのであった。

 青色の瞳を輝かせると、アシュリンは5体のロボットたちに言い放った。
「みんな、それぞれ取り柄があるんだから、それを活かせばいいんだよ!」
 ロボットたちは、それぞれ顔を見合わせる。
『けど、オイラたち、腕力ないし……』
『私達、足が遅いし……』
『俺は図体がでかいだけだし……』
 それぞれ、自分の欠点のことを挙げる、双子と姉妹と巨体ロボットたち。
 だが、アシュリンがそれを一喝する。
「そーやって悪いところ探しをしない! 欠点はカバーしあって、強みを活かしていくんだよ!」
『強み? オイラ達、足が速いことくらいで……』
『私達は腕力しか……』
『俺は身体の硬さくらいで……』
 それを聞いたアシュリンは、にこり、と笑顔を向けた。
「ほら、そんなにいっぱい『良いとこ』があるよね!」

 アシュリンの言葉に、デフォルメロボットたち5体は、はっと顔を見合わせたのだった。


『ふははは! この魔王である僕の前に現れた勇気は褒めてやろう!』
 魔王を名乗るオウガの青年が、黒きデフォルメロボット『シュヴァルツ』の中から声を張り上げた。
 最強の魔剣を持ち、最強の魔法を操る魔王の機体。
 それを前にして、5体の愉快な仲間たちが震えた声をあげる。
『やっぱり、オイラたちじゃかなわないんじゃ……』
『さすが魔王だけあって凄まじいオーラよ……』
『あんな剣で斬られたら痛そうだしなぁ……』
 しかし、魔王を見つめるアシュリンの瞳は自信満々だ。
「いくよっ、みんなっ!」

 アシュリンが、銀色ボディの巨体のデフォルメロボを装着――着ぐるみの背中のチャックを開けて中に入り込んだ。
 胴体の大きさと硬さだけが取り柄の二頭身ロボが、魔王の『シュヴァルツ』と向かい合う。
『ふっ、そんな機体で僕のシュヴァルツに勝てるとでも?』
 余裕の表情の魔王の言葉。
 だがその言葉に構わず、アシュリンは、すうっと大きく息を吸い込むと大きな声で叫んだ。
「五体着身! コンバァァァァンッ!」
『『『『『おうっ!!!!!』』』』』
 銀色のロボの両足に、足の速さが自慢の双子のロボがすっぽりとはまる。
 銀色のロボの両腕に、腕力が自慢の姉妹のロボがガシッと装着される。
 銀色の胴体に、両脚の青いグリーブ、両腕の赤いガントレット。五体のロボが合体した『五体着身コンバーン』は、ビシィっとポーズを決めた。

『合体した程度で、この僕にかなうと思うなよっ!』
 魔王は『シュヴァルツ』の周囲に無数の魔法の火球を生み出した。
 ありとあらゆる物を燃やし尽くす地獄の劫火だ。
『合体して図体が大きくなれば、これはかわしきれないだろうっ!』
 『シュヴァルツ』の周囲の火球が撃ち出され、アシュリンが纏う『コンバーン』へと迫りくる。
 だが、アシュリンは冷静だ。
『足の双子たち、お願いっ!』
『オイラたちに任せとけっ!』
 『コンバーン』の青いグリーブが高速で地を走り、迫りくる火球を回避していく。

『馬鹿なっ!? あれを避けただとっ!? なんという機動性だ! ――だが!』
 魔王は『シュヴァルツ』に魔剣ドラグカイザーを抜かせると、『コンバーン』に向かって斬りかかった。
『僕の無敵の魔剣、耐えられるかっ!?』
『巨体ロボ!』
 アシュリンに呼ばれた銀色ボディのロボが唸り声を上げる。
『うおおおおっ!』
 金色の魔剣が、銀色の装甲とぶつかり合い、激しい火花が散った。
 ――だが、それだけだ。
 魔剣で斬られた『コンバーン』の銀色のボディには傷一つ付いていなかった。
『僕のドラグカイザーで斬れない材質だと!?』
『俺のミスリル製のボディは、この集落で一番硬い!』
 銀色の巨体ロボはその装甲で光を反射させて自信をもって答えた。

『さあ、反撃、いっくよーっ! 両腕の姉妹ロボ!』
『ええ、任せて!』
『いくわよ、姉さん!』
 『コンバーン』の左腕に装着された小さめの赤いガントレットが閃光のごとく閃いた。
 まるで銃弾の雨のように連射されるジャブが、『シュヴァルツ』の装甲を叩いていく。
『ぐっ、ぐわぁっ』
 着ぐるみである『シュヴァルツ』が受けたダメージは、内部の魔王に直接伝わる。
 機体の中から、魔王のくぐもった声が聞こえてきていた。
『今よ、姉さん!』
『オッケー、いっくわよー!』
 左腕の妹が、右腕の姉――大型のガントレットに声をかけた。
 大きく振りかぶられた右腕。その肘の部分からジェットが吹き出し、右腕が超高速で突き出された。
 『シュヴァルツ』のボディに、渾身の右ストレートが突き刺さった。
『ぐわああああっ!』
 大きく吹き飛ばされた『シュヴァルツ』の中から、魔王の悲鳴があがる。

『くっ、こうなったら、僕の魔眼の力で……』
 魔王が魅了の魔眼を発動しようとし――。

 『コンバーン』の姿にその動きを止めた。

『光の王と、祖父たる邪眼の王の加護で、道を拓くよ!』
 聞こえるのは、『コンバーン』の中にいるアシュリンの声だ。
 アシュリンは、戦闘が始まってから『コンバーン』の操作をしながらずっと呪文を詠唱していたのだ。
 詠唱時間に応じてその威力を無限に上昇させる【未来繋ぐ和合の剣(マグ・トゥレド・ソーラス)】。
 それは5体のロボたちの力も借りて、『コンバーン』の右手の指先に赤黒い稲妻を纏う極光を生み出していた。

『馬鹿な、馬鹿な、馬鹿なぁっ!』
 無敵魔法をも上回る強大な出力を前に、魔王は取り乱しながら魅了の魔眼の呪いを放った。
 ――だが、それは極光によってあっさりとかき消される。

『それじゃ、いっけー!』
 アシュリンの合図と同時に極光が撃ち出され――。

『こ、この魔王である僕が敗れるなんてっ……! あ、ありえないっ……!! ぎゃあああっ!』
 黒き機体ごと極光に飲み込まれた魔王は、『シュヴァルツ』を残して骸の海に還ったのだった。

「ほらね、皆のいいとこを合わせれば、魔王にだって勝てるでしょ?」
 にっこりと笑ったアシュリンの前で。
『オイラたちの足の速さが役に立つなんて!』
『私達の力が役に立ったわ!』
『俺の硬いだけの身体でも役に立てるのか』
 5体の愉快な仲間たちは、自分の良さを活かして、仲間と力を合わせることの大事さを学んだのでした。

 めでたしめでたし。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月22日


挿絵イラスト