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迷宮災厄戦④〜大きな愉快な仲間と物語る魔女

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦

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●物語に誘われて
 無数に点在する不思議の国の一つ、『大きな愉快な仲間のいるところ』。
 のんびりと辺りを闊歩する愉快な仲間達は、その身長が通常の二倍はあろうかという巨体を誇っており、なぜか背中にチャックがついている。
「──『すると愉快な仲間の一人が言いました。「ぼくの背中のチャックを開けて、中にお入りよ!」と』」
 突如涼やかな声が響くと、ひと際大きな水晶ゴーレム型の愉快な仲間が、雷に打たれたかのように胸を押さえた。そのままきょろきょろ辺りを見回して本を手に持つ魔女を発見すると、一目散に彼女の元へと馳せ参じ、ごうごうと不明瞭な低い声で友好的に話しかけ、無防備に背中を向けてチャックを開いてみせた。
「ありがとう。いい子ね」
 覆面で口許を隠している魔女は形ばかりに微笑んで、巨大な水晶ゴーレムの体内にもぐりこんだ。ぬいぐるみ化してなお水晶の性質を残している肉体は光を透かし、内部で悠然と書物をめくる魔女の姿が角度によってとりどりの縮尺で垣間見えている。
「『こうして守るべき魔女を受け入れたゴーレムくんは、力強くこぶしを打ち鳴らし、魔女を害そうとする敵への怒りに燃えるのでした』」
 魔女の朗読どおり、ゴーレムは拳を打ち付け吼え猛る。
 凶暴な咆哮轟く中心で、魔女は覆面の下の形の良い唇を妖しく微笑ませた。

●グリモアベース:ゲネ
「よくぞ集まってくれた諸君! 迷宮災厄戦開幕だ!」
 ゲネ・ストレイ(フリーダムダイバー・f14843)は溌溂と宣言すると、数多の不思議の国の点在するアリスラビリンスの俯瞰図をホロモニターに映し出した。
「今回諸君に攻略してもらいたいのは、この第四経路上の不思議の国。オウガ・オリジン、猟書家『鉤爪の男』 、猟書家『クルセイダー』に繋がる経路だ」
 不思議の国の名は『大きな愉快な仲間のいるところ』。
 その名の通り、この不思議の国の愉快な仲間は軒並み大きい。どうやらぬいぐるみ化しているらしく、身長が通常の二倍、背中にチャックがついている。
 もともとこの国にいる愉快な仲間はもちろんのこと、外部からこの国を訪れた愉快な仲間もまたぬいぐるみ化してしまう。これは愉快な仲間であるのならば猟兵も例外ではない。この国限定の一時的効果だ。
「この状態の愉快な仲間は、チャックを開けて他者が中に乗り込めば、乗り込んだ人物の戦闘力が数倍にパワーアップする。しかも戦闘中の全てのダメージは「着ている人」が被ることになり、きぐるみである愉快な仲間自身はダメージを受けないという、なかなかオイシイ仕様となっている」
 しかし、とゲネは新たなモニターを展開し、オブリビオンの姿を映し出した。黒衣に身を包んだ、白い髪の『クチナシの魔女』だ。
「敵もまたこのきぐるみによるパワーアップを利用してくる。この場合も、こちらの攻撃が通るのは魔女に対してだけなので、きぐるみの心配はいらない。が、厄介なのはこの魔女が愉快な仲間を操る能力を持っていることだ。困ったことにコイツはこの国とやたらと相性がいい」
 魔女が乗り込んでいる水晶ゴーレムは非常に好戦的な状態になっている。そのうえ、周辺には他にもきぐるみ化した愉快な仲間が多数いるため、魔女は手駒に事欠かない状況だ。
「この状況を生身で戦うのは心もとない。そこで推奨されるのは、猟兵諸君もきぐるみ化した愉快な仲間に乗り込んで戦う方法だ!」
 前述した通り、きぐるみに乗り込んだ状態で戦えば、ダメージは全て着ている猟兵が負うことになる。きぐるみにする愉快な仲間に気兼ねする必要はない。
「くんずほぐれつきぐるみ対決ってところだな! 愉快な仲間は多種多様に存在するので、乗り込みたいきぐるみ、自分の能力と相性のいいきぐるみに協力を頼むといい。もちろん愉快な仲間種族である猟兵がきぐるみになって共闘するのも有効だろう」
 ゲネはモニターを重ね合い、画面いっぱいに転送術式を輝かせた。
「さあ、乗っ取られたゴーレムを魔女の手から解放し、オウガ・オリジンへの道筋をつけるぞ! いざ迷宮災厄戦へ、出陣!」


そらばる
 迷宮災厄戦、大きな愉快な仲間のいるところ。
 きぐるみ(愉快な仲間)に乗り込み、きぐるみ(愉快な仲間)を乗っ取った魔女を倒しましょう!

●プレイングボーナス
 このシナリオでは、特別なプレイングボーナスが発生します。
=============================
プレイングボーナス……「きぐるみ愉快な仲間」の許可を得て、乗り込んで戦う。
=============================
 以上に基づく行動をすると有利になります。

●基本ルール
 この戦場では、愉快な仲間は身長が二倍になり、背中にチャックのついたきぐるみ状態になります。
 きぐるみ化した愉快な仲間の内部に乗り込めば、戦闘力が数倍に跳ね上がります。
 敵もきぐるみ化した愉快な仲間に乗り込んで戦うので、戦闘力が跳ねあがっています。
 きぐるみに乗り込んだ状態で戦うと、きぐるみを「着ている人物」が全てのダメージを被ることになるので、きぐるみに損害はありません。
 現地には多種多様な愉快な仲間がいます。協力を頼めば快く受け入れてくれるでしょう。
 種族が愉快な仲間である猟兵をきぐるみとして乗り込むような共同プレイングも可能です。この場合でもプレイングボーナスがつきます。

●ボス戦『クチナシの魔女』
 絶望からオウガとなった、元・絵本作家のアリス。
 物語を即興で紡いで読み上げることで、その場を『描いた物語の舞台』に造り変えるUCを扱います。
 不思議の国の住人達にも、その力は強く作用します。
 身体が透けている水晶ゴーレムきぐるみに乗り込んでいるので、姿は随時確認できます。

 執筆の進捗やプレイング締め切りなどは、マスターの自己紹介ページで呟いております。目安にどうぞ。
 それでは、皆さんの自由なプレイングをお待ちしています!
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第1章 ボス戦 『クチナシの魔女』

POW   :    「ものがたりのはじまりはじまり」
【絵本から飛び出す建物や木々】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を描かれた物語に応じた形に変化させ】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
SPD   :    「すると、愉快な仲間達は言いました」
【愉快な仲間達が登場する物語】を披露した指定の全対象に【朗読された言葉通りに行動したいという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
WIZ   :    「まあ、なんということでしょう!」
無敵の【愉快な仲間達が合体したりして巨大化した姿】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。

イラスト:Kirsche

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠八津崎・くくりです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

エルネスト・ポラリス
また奇妙な不思議の国ですね……。
しかし、操られる愉快な仲間も、オウガに成り果ててしまった元アリスも捨ておけません。
馬の姿の愉快な仲間に協力してもらい、オウガを止めましょう!

敵のユーベルコードは絵本からの攻撃。
それそのものはよく観察して『見切り』、蹄を武器に見立てた『武器受け』で防御していきますが……ただでさえゴーレムに乗り込んだ彼女が陣地を構えれば、攻撃を通すことは難しくなりますね。

ですが、戦いに協力してくれる着ぐるみ達の勇気には応えねば!
ユーベルコード、着ぐるみの力も借りて一気に巨大化です!
建物だろうが木だろうが、纏めて踏み潰して更地にさせていただきます!


ミスト・ペルメオス
【POW】

…すみませんが、どなたか力を(身体を)貸していただけませんか?
あの魔女を倒し、あなた方の「仲間」を助けるためにッ。
鎧装騎兵の力、お見せしましょう…!
(なるべくゴーレムや甲冑、はたまた機械人形のような身体の「愉快な仲間」が望ましい)

ただ災いなすオブリビオンならば容赦しない。
愉快な仲間の協力を得て乗り込み、念動力を最大限に発揮して戦いに臨む。

疾走、跳躍、念動力の補正・強化も含めた近接戦闘。
…簡単には押し切れない。ならば…【フォースド・アサルト】。
愉快な仲間が目を回すかもしれない、自身としても負担が過大…、
故に一撃だけでいい。敵の反応を超えて、痛撃を加える…!

※他の方との共闘等、歓迎です


木霊・ウタ
心情
絶望の前に手を差し伸べてやりたかったな
残念だ
せめて早く解放してやる

着ぐるみ
火蜥蜴へ声掛け

水晶ゴーレムや仲間を助ける為
国を守る為
力を合わせて魔女を倒そうぜ(ぐっ

戦闘
焔摩天を核とした炎剣で薙ぎ払い砕く
魔女の本も燃やす勢い意で火達磨に

飛び出した建物や木々を切り払い焼却
火壁を創り出し武器受け

変形した地形に剣突き立て
炎を迸らせ砕く

強烈な炎の輝きを水晶内に乱反射させ
視界を奪う

で火蜥蜴の炎と
俺の獄炎とを束ねた長大な焔刃一閃

魔女
間に合わず悪ぃ
そして今度こそは救わせてくれ
もういいんだ
紅蓮に抱かれて休め

事後
鎮魂曲
「そして魔女じゃなくなった魔女は
海の微睡みで素敵な物語に包まれ
平穏を得るのでした」

サンキュ>火蜥蜴



●森の要塞攻略戦
「また奇妙な不思議の国ですね……」
 愉快な仲間達が大きな姿で闊歩する見慣れない光景を、エルネスト・ポラリス(たとえ月すら錆びはてるとも・f00066)は興味深げに見渡した。
「しかし、操られる愉快な仲間も、オウガに成り果ててしまった元アリスも捨ておけません」
 背後を振り仰げば、黒目がちな瞳と視線が交差する。交渉に応じて協力してくれることになった、立派な青馬の愉快な仲間だ。
 エルネストは青馬の背中に登り、チャックを開いて中に乗り込んだ。
「さあ、共にオウガを止めましょう!」
 青馬は前肢を上げて勇ましく嘶くと、不思議の国を駆け抜けた。
 明るい平原を闊歩していた水晶ゴーレムの体内で、クチナシの魔女は馬の足音に気づいて振り返った。
「……来たのね。『さあ、ものがたりのはじまりはじまり。水晶ゴーレムと平和に暮らしていた魔女の元に、不届き者の暴れ馬が攻め込んできました。しかしその行く手を、魔女を守る森の木々が阻みます』」
 滔々とした朗読と共に水晶ゴーレムの正面に絵本が浮かび上がり、ファンシーな絵が書き込まれた見開きから大量の木々を吐き出し始めた。
 自在に動く蔓草の如く襲い来る木々を、エルネストは野性的な視力で見極め、青馬の蹄で幹を蹴って弾き飛ばしつつ四つ足で軽やかに回避していく。
 だが、攻撃を反らしたところで木々は辺りに森の地形を広げていく。ただでさえ頑健なゴーレムに乗り込んで防御を固めた魔女が陣地を構えれば、攻撃を通すことは難しくなる……
「ですが、戦いに協力してくれる着ぐるみ達の勇気には応えねば!」
 意地を迸らせるエルネストに応えて、青馬も高々と嘶いた。
 と同時、その姿が一気に膨れ上がった。三倍の体高持つ狼へと変じるエルネストに合わせて、青馬もまたさらに巨大化したのだ。その巨体は辺りに根付いた木々の全長を優に越し、巨大な蹄で豪快に森を踏み潰していく。
「くっ……『さらに森に点在する砦の遺跡が』──」
 魔女は咄嗟に新たな防壁を築こうとしたが、古めかしい石造りの要塞も生え出たそばからあっけなく踏み砕かれた。
「建物だろうが木だろうが、纏めて踏み潰して更地にさせていただきます!」
 ヒヒヒィィ──ン!!
 巨大な馬の嘶きと、巨大な蹄が森を踏み潰す足音が、一帯に響き渡った。
 戦場は整えられつつある。ミスト・ペルメオス(銀河渡りの黒い鳥・f05377)は騒ぎを遠巻きに見ている愉快な仲間達に声を掛けて回った。
「……すみませんが、どなたか力を──身体を貸していただけませんか? あの魔女を倒し、あなた方の「仲間」を助けるためにッ」
 すると、ガシャガシャとレトロな駆動音を上げながら、立派な甲冑の下に機械仕掛けが覗ける愉快な仲間が歩み出た。ゴーレムに負けない体躯の機械人形の兵士だ。
 ミストは深々とした会釈で感謝の意を表すと、背後のチャックを開けて内部に乗り込んだ。
「鎧装騎兵の力、お見せしましょう……!」
 機械人形の全身を念動力が包み込み、機敏な動きで戦場へと突き進んでいく。
 時を同じくして、木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)もまた相棒となるきぐるみを見出していた。
「水晶ゴーレムや仲間を助ける為、国を守る為、力を合わせて魔女を倒そうぜ」
 ぐっ、とサムズアップして見せると、ノリの良い火蜥蜴は尻尾をくるりと巻いてOKマークを作ってみせた。
 かくしてウタを乗せた巨大火蜥蜴が四つん這いで地上を這い進み、意外な速さで戦場へと向かう。
「絶望する前に手を差し伸べてやりたかったな。残念だ」
 低い視点から見上げた先には、鬱蒼たる緑の森が踏み潰されては生えるを繰り返している。
「せめて早く解放してやる」
 火蜥蜴の口許に焔摩天を核とした巨大な炎剣を顕現させるウタ。火蜥蜴はその柄を咥えて森へと飛び込んだ。首を大きくしならせ、一気に木々を薙ぎ払う。
 逆巻く獄炎が木々を火達磨にして根本へと遡り、宙に浮かぶ絵本にまで引火した。
「面倒ね……『しかし森は何度となく木々を生やし、要塞を築き、幾度も幾度も侵入者の行く手を阻みます』」
 魔女が朗読を追加すると、焼け焦げながらも炎を振り払った絵本から新たな木々と要塞が飛び出してきた。
(「速い……」)
 魔女の攻撃速度にミストは眉を顰める。だが、スピードはこちらも得意分野だ。
「ただ災いなすオブリビオンならば容赦しない」
 機械人形は地を疾駆する。蛇の如く襲い来る木々を足場に軽々と跳び越え、ひと際高く魔女の頭上へと跳躍。念動力で強化したハンマー型の拳が水晶ゴーレムめがけて振り下ろされ──
「『森の中の要塞は幾重にも張り巡らされ、敵を寄せ付けません』」
 瞬間的に飛び出した石造りの建造物が、ゴーレムの代わりにハンマーを受け止めた。
 強烈な一撃に、石灰のように脆く砕けた要塞の破片が飛び散り、水晶ゴーレムに降り注いだ。ゴーレム自身は平然としたものだが、内部の魔女は苦痛らしき表情に小さく顔を歪めた。
「ゴウッ、ゴウゴウゴウッ!」
 魔女を害する猟兵を敵とみなし、水晶ゴーレムが機械人形を振り払った。と同時に伸び迫る木々が、再び魔女からミストを引き離してしまう。
「……簡単には押し切れない。ならば……」
 サイキック・フィールドとエネルギーバリアが吹き上がらんばかりに機械人形の全身を覆いつくした。機械人形の背部の噴射口が火を噴き、バーニア全開のとてつもないスピードで一気に空中へと舞い上がる。
 魔女は舌打ちし、さらなる要塞で防御を固めようとした──その瞬間。
 炎剣が森の芯部に突き立ち邪魔な要塞を砕くと共に、獄炎が瞬く間に魔女の周囲を取り囲んだ。強烈な輝きが水晶ゴーレムの肉体に乱反射し、その視界を白く焼き切る。
「きゃっ!? 目が……!」
 少女のような悲鳴に本来あるべき魔女の姿を見たようで、火蜥蜴を全速で走らせ距離を詰めながら、ウタの唇からは感傷めいた言葉が漏れる。
「間に合わず悪ぃ。そして今度こそは救わせてくれ」
 火蜥蜴の炎とウタの獄炎とを束ねた長大な炎の刃が、大きく振りかぶられる。
 魔女が手当たり次第に要塞を顕現させて抵抗する。でたらめに配置された要塞はしかし、エルネストの青馬の蹄によって現れるや否や踏み砕かれていく。
「もういいんだ。紅蓮に抱かれて休め」
 焔刃一閃。潰された森の残骸をも薙ぎ払い焼きつくしながら、炎の刃が水晶ゴーレムを燃え上がらせた。
 火達磨になった魔女は絶叫を上げながら、燃え上がる木々を接近を拒むようにでたらめに蠢かせる。
 なりふり構わぬその動きをスピードで凌駕して回避するミスト。仕様にない速度に機械人形が目を回し、その負担は全てミストへと過大にのしかかる……
(「故に一撃だけでいい。敵の反応を超えて、痛撃を加える……!」)
 錐揉み飛行で急降下する機械人形。襲い掛かる木々を全身でドリルの如く抉り引き裂きながら、魔女の元へ。
 速度と回転運動を加えた一撃が、水晶ゴーレムの頭部に涼やかな──致命的な破砕音を叩きこむ。
 辺りを揺るがすのは魔女の絶叫ばかり。
「そして魔女じゃなくなった魔女は、海の微睡みで素敵な物語に包まれ、平穏を得るのでした」
 ウタは願いを籠めた曲を奏でると、火蜥蜴にもう一度親指を立ててみせた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

御影・響子
水晶ゴーレムの友達であるきぐるみに声をかけて、助力を請います
私は魔女を滅ぼしたいが、魔女の犠牲を減らすほうが重要だ
必ず水晶くんを助けましょう
水晶ちゃんですか?
水晶くんちゃんを助けましょう
やり方は単純に全て斬るだけです
飛んでくる木々や建物を全て斬ります
斬れば地形もかわらないでしょう
そしてそれが、魔女の紡ぐ物語、その一部だと言うならば
(ふわふわした動きのきぐるみ)
我が古き友、『刃金の魔女』の御業は、ソレを斬ることが出来る筈
(おしあいへしあいするきぐるみ)
さえずるのは終わりだ、ことばに屈した哀れな魔女よ
(ごろごろ転がるきぐるみ)
すいません、もうすこしシリアスにお願いできませんか?
(むり)
はい……。



●猫は思い通りに動かない
 御影・響子(虚霧の魔女・f28364)が声をかけたのは、ふわふわほんわかした猫のきぐるみだった。
「おや、水晶ゴーレムくんのお友達ですか」
 平均よりだいぶふとましい猫は、にゃあん、と一声肯定して、すぐに興味をなくしたように顔を洗い出した。
 マイペースな猫へ、響子もマイペースに対応する。
「ならば丁度良い。私は魔女を滅ぼしたいのですが、それ以上に魔女の犠牲を減らすほうが重要です。一緒に戦い、必ず水晶くんを助けましょう」
「にゃぁん」
「え、水晶ちゃんですか?」
「なぁん?」
「どっちだったっけな、ですか? まあいいじゃないですか、水晶くんちゃんを助けましょう」
 響子はのんびりしている猫の内部に乗り込み、早速魔女の待つ戦場へと飛び込んだ。
 新たな敵の出現に、余裕をなくした魔女は凶悪な視線を飛ばす。
「……っ、これ以上好きにはさせないわ。『それでも森は魔女を守ります。守ることがその存在意義なのだから』……!」
 再度出現する絵本に魔力を集束させる魔女。
 響子は猫の爪を掲げ、絵本が木々を吐き出す瞬間を見極める。
「やることは単純、全て斬るだけです。斬れば地形も変わらないでしょう」
 瞬間、爪が鋭く一閃した。飛んできた木々が真っ二つに斬り裂かれ、地面に落ちる前に消失していく。
「そしてそれが、魔女の紡ぐ物語、その一部だと言うならば」
「なーん」(ふわふわした動きで木々を薙ぎ払うきぐるみ)
「我が古き友、『刃金の魔女』の御業は、ソレを斬ることが出来る筈」
「にゃんにゃーん」(ぽよんぽよん飛んだり跳ねたりしながら爪を走らせるきぐるみ)
「さえずるのは終わりだ、ことばに屈した哀れな魔女よ」
「ゴロゴロゴロゴロ」(ごろごろ転がりながら爪を振り回すきぐるみ)
「すいません、もうすこしシリアスにお願いできませんか?」
「なん」(むり)
「はい……」
 なんとも緊張感に欠ける剣豪と猫のコンビによって、絵本の守護はいとも順調に破られていくのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ニオ・リュードベリ
愉快な仲間達に乗り込むだけじゃなくて操るなんて
酷いことするオウガだね
早く倒さないと……!

騎士鎧みたいなきぐるみさんはいるかな
そんな子がいるなら声をかけよう
このままだとあの魔女さんがどんどん酷いことをしちゃう
操られてる子だってきっと仲間を傷つけたくないよ……
だから一緒に戦って!
あの子を、みんなを助けよう!
こんな風に話をしよう

きぐるみさんに乗り込む許可が貰えたら一緒に戦う
【オーラ防御】【激痛耐性】で飛び出す色々を防御しつつ敵に接近
アリスランスで【串刺し】を狙うよ
命中したらすかさずUC!
薔薇で相手を拘束してそのまま力ずくに足止めするね

物語の上には立たせない
この世界の物語はあなたのものじゃないんだよ!



●騎士は大輪の薔薇を咲かせる
「愉快な仲間達に乗り込むだけじゃなくて操るなんて、酷いことするオウガだね。早く倒さないと……!」
 急ぎ協力者探しに走るニオ・リュードベリ(空明の嬉遊曲・f19590)。
 協力してくれそうなきぐるみは多種多様。中でもピンときたのは、白銀甲冑の白騎士だ。
「このままだとあの魔女さんがどんどん酷いことをしちゃう。操られてる子だってきっと仲間を傷つけたくないよ……」
 大きな騎士を見上げて、ニオは思いの丈を真摯に訴える。
「だから一緒に戦って! あの子を、みんなを助けよう!」
 姿勢よく佇み静かに聞き入っていた白騎士は、沈黙を保ったままゆっくりと膝を折った。差し出した掌の上にニオを乗せ、背中のチャックへと導いてくれる。
「……ありがとう!」
 無口な騎士に感謝を告げて、ニオは素早く内部に乗り込んだ。
 ニオと共に白騎士は戦場を駆け抜ける。先鋒の猟兵達によってすでに荒らし尽された木々と遺跡の要塞は、すでに防御の用をなしていない。
 白く輝く美しいその姿を捉え、魔女は荒げた呼吸を整えさらなる朗読を開始した。
「っ……『森はどんなに荒らされても何度でも蘇ります。何度でも、何度でも……魔女のために』!」
 木々が、要塞が、狂ったように絵本から吐き出される。
 大質量が乱舞する戦場を、しかし白騎士は一切たじろぐことなく前進していく。襲い来る木々は鎧に纏わせたオーラでしのぎ、岩や要塞のきれっぱしは盾で弾く。衝撃は白騎士の肉体をすり抜けてニオ自身に重くのしかかるが、痛みは耐えてやり過ごす。
 瞬く間に縮まる敵への距離。白騎士は執拗に伸び迫る木々を姿勢を低くして躱し、宙に浮かぶ絵本をそのままパスして、防御の構えを取る水晶ゴーレムへとランスを突き出した。
 水晶ゴーレムの身体が後方へと飛び退こうとする動作が、コマ送りに見える。
 ならばもう一歩。背後から迫りくる木々の気配をも振り捨てる速度で、強く、勇ましく、大きく踏み込む。
「──届け!」
 抉るように突き出されたアリスランスの先端が、逃げるゴーレムの脇腹に触れた──瞬間。
「物語の上には立たせない。この世界の物語はあなたのものじゃないんだよ!」
 ランスの穂先が赤い大輪を咲かせた蔓薔薇へと変じ、急速に生長してゴーレムの全身を包み込んだ。
「……っ」
 力ずくで囚われた水晶ゴーレムの内部で、魔女は棘の痛みと屈辱に顔を歪めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ビリー・ライジング
いつもは妹と一緒だが、たまには一人で頑張ってみるか。

乗り込むきぐるみ:
色々な水玉模様のサイ

交渉の際には大声で行う。
「大丈夫か? 俺にいい考えがある。
だけど、それをやるにはお前の身体が必要なんだ。
痛みは全部俺が請け負う……頼む!」

乗り込んだら、サイには火炎耐性を与える。
サイの角にだけ魔力溜め・全力魔法・高速詠唱で俺のUC効果を込める。
「大丈夫だ。その証拠に全然熱くないだろ?」

水晶ゴーレムに切り込み、残像を発生させながら突進。
捨て身の一撃・鎧砕き・吹き飛ばし・焼却の技能も攻撃に加える。



●燃える角
 ビリー・ライジング(輝く黄金・f05930)は珍しく一人だった。日頃行動を共にしている妹は、今回は別行動だ。
「たまには一人で頑張ってみるか」
 気負いなく呟き、早速きぐるみ探しに取り掛かる。
 魔女の登場によって騒然としている愉快な仲間達。その中からふと目に留まったのは、大きさも色も配置も様々な水玉模様のサイだった。
「大丈夫か?」
「ブオッ?」
 大きな声で呼びかけてみれば、サイはちょっと驚いてみせたものの、友好的に頷き返してきた。
 気骨はありそうだ。ビリーは交渉を持ち掛ける。
「俺にいい考えがある。だけど、それをやるにはお前の身体が必要なんだ。痛みは全部俺が請け負う……頼む!」
 熱い訴えに、サイは少し考える仕草を見せたのち、ゆるりと反転して背を見せた。乗り込め、と言っているようだ。
「恩に着るぜ!」
 チャックを開けてサイの内部に乗り込むや、ビリーは力を開放した。
 口内で素早く詠唱を転がし、極限まで魔力を溜めて、サイの角にありったけの魔法を付与する。まず炎に対する耐性が宿ったのち、炎の魔力が角を灼熱させた。
「ブッ、ブオォッ!?」
「大丈夫だ。その証拠に全然熱くないだろ?」
 ビリーは身体の異変に驚くサイを落ち着かせると、その全身を自らのものとして自在に操り、戦場へと駆け出した。
「行くぞ! 何があっても怖がる必要はないからな!」
 ブオッ、と腹の据わった頼もしい答えを得て、さらに加速。もはやわめくような魔女の朗読から飛ばされてくる木々を、残像を描いて躱しながら敵へと突進していく。
「──吹っ飛ばす!」
 サイの巨体から繰り出される、捨て身にも等しい突撃。
 角に宿る炎の魔力、鎧を砕くサイの突進力、速度から生み出される強烈なエネルギー。
 轟音、衝撃、燃え上がる炎。
「──キャァアアアァァァ──ッ!」
 魔女の悲鳴をたなびかせながら、満足に身動きとれぬ水晶ゴーレムの身体はあっけなく後方に吹き飛ばされ、背後の木々にめり込む形で激突した。
「やったな!」
「ブオッ!」
 舞い散る絵本の頁が焼却され消えゆく中、ビリーとサイは誇らしげに歓喜の声を上げた。

●水晶ゴーレム救出完了!
「結局……この世界も、私の求める物語には……ならな、かっ──」
 水晶ゴーレムの体内で、クチナシの魔女の姿は静かな絶望に燃え尽きて消えた。
「ウゴゴゴ……?」
 中の人を失った水晶ゴーレムの攻撃的な表情が、ゆっくりと穏やかさを取り戻していく。
 その周囲に、馬、機械人形、火蜥蜴、猫、騎士、サイ……等々、多種多様な愉快な仲間達が集まり、喜んだりはしゃいだり、混乱するゴーレムをなだめたりしてやっている。
 かくてクチナシの魔女は滅び、水晶ゴーレムも他の仲間達も危機から救われた。
 新たな経路が開かれ、次なる不思議の国への道筋が開かれるのも時間の問題だろう。
 次なる戦場を見極めるため、猟兵達は帰還の途につくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月08日


挿絵イラスト