7
壊すモノ、壊される者。

#ダークセイヴァー

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#ダークセイヴァー


0




●全てを切り裂く者
 夜な夜な現れる黒い影。それによって壊されるのは何も人だけではなく、建物でさえも跡形もなく壊されてしまう。
 人々が対抗しても、それは無為なものであると言わんばかりに、かの者は佇む。
 それは人々にとって恐ろしい切り裂き魔であった。彼女は、目の前立つ脅える者に静かに告げる。

「お前達の生など意味がないに等しい」

 果たして、人々は生き残る事が出来るのだろうか?だが、そんなものは愚問に過ぎないのだろう。
 そうして──人々はまだ来ぬ助けを夢にみる。

●手を差し伸べるのは
「皆、集まってくれてありがとう。実は新しい情報が入ったんだ」
 所変わって、ここはグリモアベース。その一角では戎崎・蒼(f04968)が予知した事象を話して聞かせていた。

「オブリビオンによって破壊された村があるらしくて……見た限り酷い有様なんだ」
 彼の話によると、その事象がおきているのは【ダークセイヴァー】という世界のある村。
 その村でオブリビオンは、人々を傷つけるだけでは飽き足らず、村自体も破壊してしまったのだという。
「そこでなんだけど、まず皆には人々の救助に当たってもらいたい」
 そう言うと彼は、くだんの村の全体図を表した平面地図を、タブレットで映して示しはじめた。色んな場所にバッテンがつけてあり、どうやらそこが破壊された場所諸々らしい。それを見る限り、オブリビオンが甚大な被害をもたらしたことは猟兵達の理解出来る所ではあるだろう。
「瓦礫を退かしたり、治療をしたり、場合によっては村人の話に耳を傾けて欲しい。色々やる事は沢山あるけれど、皆にしか出来ないことなんだ」
 彼はそう述べると、続け様に語りかける。
「オブリビオンが絡んだ重要な事象、皆の力で解決に導いてほしい」
 そう丁寧に頭を下げられ、猟兵達は依頼を受ける他ないなと感じることだろう。人々を助ける為、オブリビオンを倒すために彼らはその村へ向かうのであった。


Parmigiano
 はじめまして、初投稿させて頂くParmigianoです。気軽にパルとでもお呼び下さい。
 はじめてなので、上手く猟兵の皆様方を満足させられるか心配ではありますが、精一杯取り組ませて頂きます!

 第一章は救助活動をして頂きます。
 第二章で神出鬼没に現れるオブリビオンの在処を暴き、隠し通路を探して頂きます。
 そして第三章のBOSSと対峙、という流れになっております。

 皆様の素敵なプレイング、お待ちしておりますのでどうぞよろしくお願い致します!
36




第1章 冒険 『救助活動』

POW   :    力で瓦礫を退かしたり、治療の障害となるものを壊す

SPD   :    怪我人を見つけたりテントを建てたり、治療に必要なことを行う。

WIZ   :    患者の治療を行ったり、話を聞いてあげて安心させる。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

イデアール・モラクス
弱肉強食…相変わらず我が愛しき故郷ダークセイヴァーは愉快な場所だ。
まぁ、哀れな弱者どもを戯れに救うのも嫌いではない…我が魔力の真髄を見せてやろう。

・行動
「我が名は魔女イデアール!お前達を救い奇跡を齎す者だ、傷を負った者は我が前に集うがいい!」
怪我人とショックで心を病んでしまった者を集めて、『全力魔法』で罪深き接吻を行使し淫らなシスター達の愛で村人達を心身共に癒し尽くす。
「全てを失った、だが世界には未だこれだけの快楽と癒しがある…死ぬには惜しいだろ?」
これでも立ち直らない者は、私が誘惑してじっくり"対話"してやる。

シスター達『あぁん…もっと私達の癒しを受け取ってくださいませ…』

※アレンジ大歓迎


ブイバル・ブランドー
ダークセイヴァーには初めて来たが…何だコレは?なるほど、これがオブリビオンに支配されてるセカイか…取り敢えず救助活動を進めていくぜ。

ビルドロボットを使ってデッカくなって、【怪力】で瓦礫をどかす。もしかしたら瓦礫の下敷きになってるヒトがいるかもしれんから、気をつけねえとな。



●それぞれのやり方
 転送された村は、おおよそ見聞きした通りの有様であった。瓦礫の山に、傷ついた人々という、なんとも痛ましい光景だ。
 しかし、そんな村を救わんとやってきた猟兵がいた。ブイバル・ブランドー(ソニックアタッカー・f05082)とイデアール・モラクス(暴虐の魔女・f04845)の2人だ。
「さて、私は弱者どもを救ってやろう。偶の気紛れ……いや戯れに救うのもやぶさかでないからな」
「なるほど。じゃあオレは、取り敢えず救助活動に移るぜ」
 そんな言葉を交わした後、彼らは互いに行うべき行動に移りはじめたのであった。

 示し合わせた内の一人───イデアールにとって、ダークセイヴァーとは故郷である。だが、彼女はふっと不敵に笑うのみ。
「……我が愛しき故郷、ダークセイヴァーは今日も愉快な場所だ」
 全くもって哀れなことだな、と。そう言い表情を崩ない彼女は、村人達に歩み寄る。すると村人は、助けが来たのだとすかさず彼女に縋る事だろう。
「ああ、猟兵様………!どうか、息子だけでも助けて下さりませんか………!このままでは死んでしまいます!」
 とある一人の村人がうら若き青年を抱えてきたのだ。彼女はそれを静かに一瞥したのち、唇を美しく三日月に描かせ、高らかに告げた。
「我が名は魔女イデアール!お前達を救い奇跡を齎す者だ、傷を負った者は我が前に集うがいい!」
 それを聞いた村人達は、イデアールにわっと集まりはじめ、助けを求める声を一層深くさせた。だが、なにも助けを乞う声だけではない。
「もう全てを失ってしまったんだ……生きている意味なんてない…………」
 そんな声も一声、また一声と上がっていたのだ。彼女はその全ての言葉を受け止めると、詠唱をし始める。
「罪に癒されよ、罰に赦されよ、全ての傷痕へ口づけせしとき汝らの業は祓われる…そうあれかし!」
 詠唱されたのは彼女のユーベルコード、罪深き接吻(シンフル・キス)。それによって召喚されたシスター達を見て、村人は感嘆の声を上げた。しかし次の瞬間、そのシスターの行動に皆が驚く事となる。
 くだんの運びこまれた青年に接吻………つまりキスを落としたのだ。続け様に、集まった人々にもキスをするシスター達。それには流石に、村人も青年も皆が困惑し、固まってしまった(中には頬を赤らめている者もいるが)。だがそんな中、艶やかな黒髪を揺らした彼女は、優美な笑みを浮かべたまま述べる。
「全てを失った?……そうだとしても、だ。世界には未だこれだけの快楽と癒しがある。死ぬには惜しいだろ?」
 溜飲した音が何処からか微かに聞こえる。誰かがその美しさに息を飲んだのだろう。何故なら彼女は、偉大なる“美しい”魔女、なのだから。
「これでもまだ立ち直らぬ者には、私が話し相手になってやろうか?ふふ、対話しようではないか………じっくりとな?」
 くつくつと笑うイデアール。だが、流石ともいえるその御業によって、彼らが癒されない訳がないのであった。続けて、イデアールに召喚されたシスターも乞う声を発する。
『あぁん…もっと私達の癒しを受け取ってくださいませ…』
 ────その後、シスター達の接吻によって人々が心ゆくまで癒された事は、言うまでもない。

 その一方では、ブイバルが瓦礫の山を含め辺りを見つめていた。
「それにしても何だコレは?……オブリビオンに支配されてるセカイってのは酷でぇもんだぜ」
 実は彼がダークセイヴァーに訪れたのは初めてなのである。その初めての土地で最初に見たものが、オブリビオンによってもたらされたこの惨状だ。それは彼にとっても、喜ばしいことでは決してない。
「………よし」
 意を決したブイバルはユーベルコード、ビルドロボットを行使した。するとたちまち身体が560cm超の大きさに変化したのだ。身体強化の究極とも言えるそれは、ウォーマシンである彼ならではの技である。そうして自動車と合体し強力なエンジンを得たブイバルの前では、瓦礫の山も形無しであった。
「よいしょ、と。こんなもんか?」
 次々と退かされる瓦礫たち。ブイバルは迅速に、尚且つ慎重に作業を進める。すると、何処からか声が聞こえた。
「………だれ、か…………たすけて…………」
 微かな声であったが、人がいるかもしれないと踏んで行動していた彼が聞き逃すはずがない。
「待ってろ、今助けてやるから!」
 悲痛な声を上げ悲しげに泣く、閉じ込められてしまった村人に、彼は元気づけるよう語りかけた。
 すると、少しづつ村人の視界が開けていき、暗闇だった空間に暖かな日が差し込む。…彼があっという間に瓦礫を退けていたのだ。
 泣いていたのは、どうやらまだ幼い少年少女だ。彼女らはブイバルを見て驚く。だが、ようやく暗闇から解放されたことに安心し、気が抜けたのか泣き始めてしまった。これにはブイバルの方が今度は驚く。
「……もう大丈夫だぞ。頑張ったな、二人共」
 そうブイバルが落ち着かせようと語りかければ、少年少女は顔を綻ばせ、ありがとうと礼の言葉を述べた。そんな二人をブイバルは治療を行う猟兵達の元へと連れていく事だろう。
「ここで治療してもらうんだ。オレにはまだやんなきゃいけねぇ事があるからな」
 そう言って作業に戻ろうとするブイバル。しかし、それを子供たちが引き止めた。彼は、なんだ?と二人に向き直る。
「たすけてくれてありがとう!かっこいいおにいちゃん!」
 ブイバルも嬉しさを滲ませ、当然だと彼女らに返事を返した。
 彼もまた、二人の尊い命を救った第一人者なのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

春霞・遙
医者なので、命に意味がないなんていう暴言を許すわけにはいかないんですよ。
救うことが出来る命も、間に合わず見送ることになる命も、大切な命には変わりがないんです。

【WIZ】
人の力で癒せなくても世界法則さえも覆す謎の超常能力ならば…。
本来医療資源の多寡によっては見捨てる可能性のあるギリギリの方から「医術」で見極めて【生まれながらの光】も使いながら手当する。
「救助活動」訓練を思い出しつつ患者さんの数や重症度を「情報収集」して、一人でも助けるために駆け回る。
命に関わるレベルの人がいないようであれば、その後は心のケアとして子供を中心に話を聞きつつ手当していきたいです。



●根底にある想い
 医師が本業である春霞・遙(子供のお医者さん・f09880)もまた、この世界に送り出された猟兵の1人である。
 だが、彼女は憤慨していた。
「一体命を何だと思っているのでしょうか……!」
 そう。命を軽んじるその言葉が、彼女は気に入らなかった。医師にとって命とは救うべき存在。それがオブリビオンによって脅かされ、挙句多大な被害を及ぼしたのだ。……なら彼女のとるべき行動はもう決まっている。
 まずは重症度の高い患者を優先的に見るべく、情報収集をするため奔走した。本来なら見捨てられる可能性のある怪我人を、一人でも多く救う為に。刻一刻と迫り来る命のタイムリミットを、彼女だけが心得ているのだから。
 そうやって駆け回っていた遥に、ある村人が助けを求めてきた。…村人の一人が応急処置をしていたようだ。だが患者を見れば、瓦礫に埋まってしまっていたようで酷い損傷を起こしていた。
「圧迫骨折に、胸腔内、腹腔内臓器の挫傷……それに心臓損傷による喀血も起こしてる……数えたらきりがありませんね……」
 顔を僅かに顰めてそう言うと、必死に応急処置を行なっていた村人が項垂れる。
「やはり………もう、駄目……でしょうか」
 しかし、それに応えられぬただの医師ではない。彼女は助ける手段を持ち合わせている。
「いいえ、救ってみせます!……人の力では癒せなくても、世界法則さえも覆す超常能力ならきっと救えるはず…………!」
 ───それは暖かな光だった。淡く、まるで春のうららかな陽射しのような、そんな優しい光が村人を包み込む。
 彼女のユーベルコードの力だ。
 生まれながらの光……それが彼女が授かった類まれなる能力の一つであった。この力で、幾度となく人々を救ってきたのだ。
「ああ!何ということだ、信じられない!本当にありがとうございます、先生!」
 見る見るうちに治っていくその様子を見て、村人は感謝を溢れんばかりに伝えた。
「医師として、当然の事をやったまでです。…助けられて本当に良かった」
 そう言うと、心身ともに治療を施すため、患者を探しに戻っていく。
 加えて、彼女は治療だけでなく、脅える子供たちの心のケアをも、誰よりも率先して行った。それが幸をそうし、子供たちに笑顔が戻る手助けとなるのであった。
 …………また、彼女のその懸命な姿に、心打たれる者も少なく無かったとかなんとか。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イリス・ウィルター
私は治療の術を持たないが力が強いからな、治療は仲間に任せて、瓦礫の撤去や障害になるものを壊すことにする。
助けの声や仲間から呼ばれたら駆けつけて、瓦礫を退かそう。
他にも治療する広い場所が必要だろうから、そこにある瓦礫や破片を壊したり片づけたりもするよ。
壊すときは鞘に納めたままの刀でしようか、もちろん、折れないように加減して。
作業の間に暇な時間ができれば、村人たちの話を聞く、オブリビオンのことは詳しく聞かずに落ち着くまで話に付き合う。

大丈夫だ、助けに来た
瓦礫が重いのか、よし、任せてくれ。鍛えているし、元々、力は強いほうなんでな。
礼とかは治療が済んで、元気になった時にでも。



●ともすれば手段を選ばず
 次々と猟兵達がアクションを起こす中、彼女は涼やかな目で瓦礫と対峙していた。男の麗人とも見紛う彼女の名は、イリス・ウィルター(刀の技を磨くもの・f02397)。彼女は治療の術を持たない猟兵だ。だが、力では誰にも負けぬ自信があった。
「障壁になりそうなものから、壊させてもらうよ 」
 そう言うと、彼女はおもむろに刀を取り出し…たのだが、鞘から刃を出すようなことはしない。壊すのであれば、切る必要がないと判断したのだろう。そうして、鞘に納めたままの刀を瓦礫に振り翳す。するとドゴォッ!!と通常刀から出る音としては有り得ない音が鳴り響いた。………あの華奢な身体の、何処にそんな力があるのだ。そう考える村人も、少なくなかったはずだ。
 兎にも角にもそうやって壊して回っていた彼女であったが、突然声がかかる。
「ああ、猟兵さん丁度いい所に!どうか、助けていただけないでしょうか!」
 村人達は自力である程度の瓦礫を退かそうとしていたらしく、大人数での作業を行なっていたようだ。しかし大きすぎる瓦礫が、彼らの行く手を阻む。
「大丈夫、私が助けにきた。瓦礫が重いんだろう?それなら任せてくれ」
 鍛え抜かれた彼女の技による一撃が、瓦礫をいとも簡単に砂利へと変化させる。これによって、彼らの退かそうとしていた瓦礫が無くなり、身動きが取れなかった者も取れるようになった。
「ありがとうございます!」
 村人達は誠心誠意、感謝の言葉を送った。そう礼を述べられ、彼女は村人達に笑いかける。
「礼とかは治療が済んで、元気になった時にでも。今は取り敢えず、自分の事を気にかけた方がいい」
 村人達を気遣いそう言う彼女は、足早に作業に戻る。彼女には気づいた事がもうひとつあったのだ。
 それは治療スペースの不足である。
「………治療スペースをもう少し作るためにも撤去作業をした方がよさそうだ」
 村人が集まる場所には、瓦礫があったり明らかに危ない破片があったりと、綺麗ではない事が明らかだ。そんな場所の瓦礫を次から次へと粉砕し、片していった。
 彼女の撤去作業はまだまだ続く。それは名前も知らない誰かを救う為に。

成功 🔵​🔵​🔴​

ジョー・グラム
さて、とりあえずは怪我人の相手だな。
「そら、退いてなっ!」
ガジェットショータイムで、クレーンゲームみたいなアームで瓦礫を除けたり、怪我人を運んだりして、まずは治療できるように集めていく。

動ける奴ぁ他の怪我人の面倒見てやんな。おれはこっちで忙しいからよ。

めんどくせぇが地道に探していくっきゃないかね、誰かが見つけられるような技術を持ってれば協力してもらおう。


ヘンペル・トリックボックス
生に意味はない···成る程、過去が未来を虐げる世界であれば、或いはそんな暴論も罷り通るのやもしれませんが──さりとて看過も出来ますまい。えぇ、紳士ですので。

浄三業神呪符で、傷ついた人々を一人ひとり治療していきます。体の傷はもとより、深刻なのは心の傷のはず。まずは心に安息を。次いで現状に励ましを。最後に明日への希望を添えて、心身の治療に臨むとしましょう。それなりに疲労はすると思いますが、限界まで術の行使を続けるつもりです。
······なに、つまらない紳士としての意地です。腹の足しにもなりませんが──冷や汗一つかかずに、治療しきってみせますとも。えぇ。



●阿吽の連携
 ここにも助けに駆けつけた猟兵がいた。
 ジョー・グラム(サイボーグのブラスターガンナー・f02723)と、ヘンペル・トリックボックス(仰天紳士・f00441)の二人だ。
「俺が怪我人を集める。ヘンペルっていったっけ?───アンタは治療に専念してくれ」
「おや、お気遣い有難う御座います、グラムさん。……では、お言葉に甘えて此方の仕事に集中させて頂くと致しましょう」
 二人は二三会話を交わしただけで、示し合わせたように行動に移り始めるのだった。

「さて、取り敢えずは怪我人の相手だな」
 未だ怪我人の多い村を見渡したグラムは、村の入り口にある瓦礫の山に目をつける。
「これじゃあ、物資が行き届かないんじゃねぇか?」
 グラムがそう考えるのも無理もない。…入り口は僅かに隙間があるのみで、とても荷車や馬車が通れるような状態ではないからだ。しかも向こうから微かに声が聞こえるということは、誰かが閉じ込められているという事である。それを確認すると彼は、瓦礫を片付けつつ救助を行んとする為、技を繰り出す。
「そら、退いてなっ!」
 彼がそう勢いよく召喚させたのは、瓦礫撤去、救助活動特化型のガジェットである。使い方をよく理解している彼にとって、そのガジェットを操作することは造作もない。それが、ガジェットショータイム……彼のユーベルコードだった。有効なものに変異する特殊なガジェットを扱う彼の前では、よもや瓦礫はただの石塊に等しい。
 途端、ガラガラと障壁のように積み重なっていた瓦礫が粉々に崩れていく。瓦礫によって閉じ込められていた村人は、安心したように感謝しつつ彼に何度も頭を下げることだろう。さらには、動けない者もガジェットを簡易式自動タンカーのように変異させて運び出す。さも当然の事であるかのように。
「あっちにゃ治療してくれる猟兵がいる、怪我人はそっちに行け。ああ、動ける奴ぁ他の怪我人の面倒見てやんな。おれはこっちで忙しいからよ」
 彼が言えば、村人たちも徐々に動き始めることだろう。村人達のその様子を横目に、面倒臭いと何だかんだ言いつつもしっかりと仕事をこなす彼は、地道な作業を進めつつ共に来た猟兵に言葉を述べる。
「後はまぁよろしく頼むぜ、紳士な猟兵さんよ」
 彼のこの行動が命のみならず、復興にも役立ったことは間違いない。だが、それは彼の知ったことではないのだろう。何せ、彼は気紛れに助けたつもりだろうから。

 傍らでは、ヘンペルが傷ついた人々を癒そうと準備を進めていたが………彼もまた、人々の命を冒涜するようなオブリビオンのその言い方に疑問の念を抱いた一人であった。
「生に意味はない···成る程、過去が未来を虐げる世界であれば、或いはそんな暴論も罷り通るのやもしれませんが」
 ごく丁寧、かつ冷静な言い方であるが彼も確かに遺憾に感じていたのだろう。静かな落ち着いたその声は聞く者によっては恐ろしくも感じる程だ。……それだけ彼は冷静だった、というだけであるのだが。
「───さりとて看過出来ますまい。えぇ。紳士ですので」
 柔らかに笑みを浮かべるヘンペルはそう述べると詠唱をし始める。
「……身中諸内境 三萬六千神 動作履行蔵 前劫並後業 願我身自在 常往三寶中 當于劫壊時 彼身常不滅 誦此真文時 身心口業皆清浄」
 詠唱によって生成された呪符は、一人一人の傷を癒すために使うことが可能だ。これが治療を高い効力で促す事の出来る、浄三業神呪符という彼の持つユーベルコード特有の能力である。そうしてその呪符を使い村人達の治療をすれば、たちまち傷がなくなっていく事だろう。もちろん、彼も疲弊していく筈なのだが、彼がその片鱗を見せる事はない。
「ありがとうございます……」
 だが、誰もが怪我の治療だけで全てが癒された訳ではなかった。ヘンペルの思った通り、深刻な心の傷を負った者も少なくはないのである。
「私達猟兵が事象の解決を致しますので、どうか御安心下さい」
 あくまでも紳士的に、彼は村人達の心身の治療も行うべく語りかける。彼の柔らかな言葉や声は、村人達に酷く安心感を与えた。そして安息をもたらすように静かに話すのだ。……不安に揺れる者、大事な人を失った者、その全ての者の言葉に耳を傾けながら。
 ヘンペル・トリックボックス───彼は猟兵であり、紳士である。そんな彼が辛抱強く介抱し、それによって沢山の人が心身共に救われたのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

キファ・リドレッタ
ええ。私でよければ、出来る限りのことはしましょう。

私、『毒』のことには詳しいの。
だから薬草の事にも少しだけ自信があるのよ。
辺りを見回って薬になる草花がないか見てくるわ。自生していると今後も役に立つのだけど。無ければ私のものを分けるわね。
ひとり旅が長いものだから、いくつか調合も知っているわ。
誰か、村の方。手許を見ていてくれますか。
私たちはずっとここに居られるわけではないから、覚えておいて。

ごめんなさい、私話すことができないの。
必要なら水で空に綴るわね。


八剱・忍
こりゃえらい有様やなあ。
村人はん無事やとええんやけど。

とにかく、怪我人を見つけて救護テントに運ぶんが先決やな。
幸いほかの猟兵が瓦礫やら退けてくれとるし、村中歩き回って怪我人探そか。
他猟兵と上手く連携できるとええな。

一人見つけては肩貸して運ぶのを繰り返す感じやで。
暗がりなんかはスキル「暗視」で捜索に当たるわ。



●援護前線にて
「こりゃえらい有様やなあ。…村人はん無事やとええんやけど」
 呑気な関西弁でそう話す彼女は八剱・忍(黒の囀り・f13028)。口調は呑気ではあるが、声はいたって真剣である。そんな彼女の声に反応したのは、共に転送されてきたキファ・リドレッタ(涯の旅・f12853)であった。
「ええ。無事であることを祈って、私たちのできる限りのことはしましょう」
 そう水で空間に綴ると、水鞠に乗った彼女は辺りを見渡し、薬草を探そうかしら、と小さく綴る。
「私、『毒』のことには詳しいの。だから薬草のことにも少しだけ自信があるのよ」
 それを聞くと忍は、じゃあそっちは任せるわ、と言って行動を始める。

 幸い多くの猟兵が瓦礫の撤去、治療にあたっているため、あとはまだ散らばっている怪我人を救護テントに運ぶだけになっていた。が、簡単のように思えてそう簡単には行かないのが救助活動なるものである。
「なんだ……?暗くて見えないぞ………?」
 村人が一人呟く。瓦礫は退かされているものの、それが影になってあまりよく見えないのか、助けを求める声に対応出来ない事態が発生していたのだ。
「ふぅん……ならうちに任しとき」
 それを静かに見ていた忍は、そっとその暗がりに溶け込む。村人達は、まだ年の若い忍が探せる訳がないし、もし探せても暗所は危険だと言って慌てる。しかし彼女もただの少女ではない。猟兵であり、一端の暗殺者なのである。故に暗所は彼女の得意とする所であった。
「……あの子やな」
 暗がりの中を奥へ奥へと進むうちに、助けを求める声の持ち主を目視する事ができた。……どうやら小さな女の子のようである。その泣いている少女を安心させるように、忍は声を掛けた。
「もう大丈夫や、姉ちゃんが安全なとこまでつれて行ったるからな」
 忍がそう語りかけると、少女は安心感からかわーんと泣き出してしまったが、そんな少女をなだめて出口まで導く。それにしても………あんな暗がりにずっと一人では寂しかったろうな。そう考えていると、少女が暗い迷路のようになった瓦礫を抜けた所で、礼を述べてきた。
「ありがとう………!お姉ちゃん…!」
 稼業では滅多に言われることのない礼の言葉であった。だが、その言葉は彼女にとっても嬉しくない訳がない。
「さぁて、次の怪我人は何処におるんやろ」
 気分を若干良くさせながらも、彼女は村中を歩き回る。怪我人や助けを求める人々を救う為。後は…少しだけ。もしかして面白い事があるかもしれない、と期待させながら。しかし、その彼女の好奇心が、図らずも助けになっていたりもするのだが。

 同じ頃、辺り周辺に薬となる草花がないか探していたリドレッタは、連れてきた村人と探索を続けていた。
「見たところ薬もなくなりそうなところだったし、これを機に知っておいて損はないとおもうわ」
 ほら、ここにもあるでしょう?彼女はそう綴って草花を示唆する。
「はぁ……これが薬ですかい?道端にあるもので薬が出来るだなんて…本当に?」
 半信半疑に彼らが疑問の声を上げると、本当だと言わんばかりにおもむろに調合をし始めた。彼女の細い指先によって選び取られた草花が、すり鉢によってすり潰される。すると魔法がかかったかのように薬へと転じたのだ。
「!!」
 目の前でそんな現象を見せられれば、村人達はますます驚く他ない。そうして感嘆の声を上げた村人達は、リドレッタの手許をじっと観察し始める。
「これは傷口にぬる塗り薬。調合するものを一つ変えるだけで、飲み薬にもなるの」
 そう綴って次々と手に取った草花を並べれば、まるで勉強会のように村人達は書き写し始めた。どの辺りに薬草が生息しているのか、一つ一つ確認しつつ歩き回り、どんな種類の薬が作れるのかもリドレッタと一緒に見ていったのだ。………その様子はさながら薬屋のうであったが、みな真剣に話に聞き入っていた。
「私たちはずっとここに居られるわけではないから、どうか覚えておいて」
 その習得せんという姿に頬を緩ませながらも、リドレッタは自分の持ち合わせた知識を教え始める。…………私たちがいなくても、村人同士で手を取り合って助け合えるように。そう願ったリドレッタの教えこんだ知識が、後に村で大活躍したのだが、それはまた別の話。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 冒険 『侵入経路はどこにある?』

POW   :    周囲をくまなく探して回る

SPD   :    鍵開け穴開け道具と技術でこじ開けろ

WIZ   :    構造から入れそうな場所を予想する

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵達の活躍によって救助された村の人々。
 しかし、これだけでは何の解決にも至らない。君達は村人に聞くことだろう。……騒ぎを起こしたオブリビオンについて。
「そのオブリビオンってのが神出鬼没で……」
 話をしてくれた村人からの話を聞けば、オブリビオンは何処に現れるのか分からないらしい。いきなり現れては人々を傷つけ、一夜にして、まるで争い事に巻き込まれた村落のように壊滅状態にしてしまったのだという。
 ────君達は、オブリビオンの在り処を、神出鬼没のトリックを暴かなくてはならない。これ以上の被害を出さない為にも。
 そうして意を決して侵入経路を探す事だろう。

「……馬鹿な猟兵どもめ。まぁいい。そうそう私の居場所など掴めないだろうが、足掻く惨めな姿もまた一興、楽しませてもらおう」

 お前達に私が見つかるとでも?───高みの見物と言わんばかりに嗤うオブリビオンも、また一人。
ヘンペル・トリックボックス
「私は東回りで探索をしてきます。わかったら、踊っていないでさっさと西回りで探索をしてきなさい、シルエット。」

シルエットと手分けして、まずは村内の破壊された場所を中心に【情報収集】を行います。私自身が見つかると厄介ですので、『摩利支天隠形符』で姿を消して行動するとしましょう。ある程度の情報が手に入ったら【WIZ】判定で侵入経路を割り出してみます。
もしもアテが外れても、知り得た情報は他の猟兵に共有できるように纏めておきましょう。

これは単なる勘ですが···このテの手合いは高みの見物を決め込むもの。村全体を監視できて、尚且つ姿を隠せる──高い座標に位置した隠密性の高い場所であれば、或いは見つかるやも。


ブイバル・ブランドー
わからん、わからん、分からんぞ!

オブリビオンが出入りする場所か…予想がまったくつかん!!どうすればいいのだ!?
…フゥー、落ち着け、もしあるとするなら…何か隠し通路みたいなものがあるのか?扉とかに魔法やら何やらで光学迷彩めいたモノを施して…何かに偽装させてしているのだとしたら??
もしそうだと仮定するならば…そうだな。そう思えるようなものにとことんパンチしてぶっ壊し、侵入経路を見つけ出せることが出来るはずだ!
まあ、それよりさらに高度な隠し方をしているんならそりゃもう仕方ないから他のイェーガーに任せちまおう。
オレみたいなヤツがいくら考えたとて解決できそうなもんじゃなさそうだしな、うん。そうしよう!!



●転調のOutro
「私は東回りで探索をしてきます。わかったら、踊っていないでさっさと西回りで探索をしてきなさい、シルエット」
 そう何者かと話しているのは、引き続き調査を続けるヘンペル・トリックボックス(仰天紳士・f00441)だった。
 大した情報もない中、それでもオブリビオンを見つけようと彼も奮闘している。
 現に彼が話す相手は、彼のユーベルコード、視界の隅にて踊れ我が薄影(デッドスポット・シルエット)によって召喚された自身の影であるからである。やけに滑稽な動きをする影は、彼がそう命令すれば西回りの経路を辿り始めるのだ。だが、侮ってはいけない。非常に目視がし難いそれは、五感の共有をも持ち合わせている。
「さてと……まずは情報収集でも致しましょうか」
 シルクハットをクイと被り直すと、彼もニコリと笑みを浮かべたまま歩み始める。しかし、優雅に足を踏み出した途端、ふわりと姿が直ぐに見えなくなってしまった。………これもまた、彼のユーベルコードの力なのだが。
 摩利支天隠形符────彼の身体を透明に隠すその護符は、足音や体温こそ消すことは出来ないものの、隠密活動には必要不可欠ともいえるシロモノだろう。しかし彼の不思議な歩き方なのか、技術なのか…………なんにせよ(足音は消すことが出来ないのにも関わらず)音すらも拾えない。そうなれば、たちまち静寂が広がるだけの空間が取り残されてしまう。
「摩利支天に帰命し奉る。我らを陽炎の内に隠したまへ」
 そういえば護符を使う僅かの時間に、そんな言葉を唱えていたかもしれない。………ほんの一瞬過ぎて、彼の動きを事前に知っていなければ、確実には気づけないだろう。
 さて、透明な彼が行く先はとある時計塔。長らく使われていない塔には、誰も寄り付く者などいなかった。故にオブリビオンがいてもおかしくはない。
「これは単なる勘ですが……このテの手合いは高みの見物を決め込むもの」
 そう考え見つけたのが、この時計塔である。村全体を監視でき、尚且つ姿も隠し易い。絶好の場所であった。ここであれば所在が掴めるかもしれない。
 すると。
「…………おや、彼処様も爪が甘いようですね」
 一瞬であったが、黒衣を纏うペストマスクの人物が、祭場として使われているらしき塔にいるのが伺えた。
 にこりと笑みを浮かべたままのヘンペルは、あくまでも紳士的に、確実に敵に迫っていた。コツ…と一つ響いた足音はまた闇に溶け、彼の者の根城に近づく。

 一方で、ヘンペルとその影が探索に向かう様子を見ていた、ブイバル・ブランドー(ソニックアタッカー・f05082)はすげぇな………と言葉を零す。ただの好青年な紳士のようにも思えるヘンペルに、あんな事が出来るのだと驚いたのだ。……そんな同じ猟兵達の姿を見て、自分も早速行動に映るかと彼も意気込むことだろう。
 しかし。
「わからん、わからん、わからんぞ!」
 数分後には彼の頭がパンクしそうになってしまった。何せ情報がない上に敵を確実に見つけなくてはいけないのだ。こうなってしまうのは仕方がないともいえる。だが、彼はそれだけで諦める者ではない。
「オブリビオンが出入りする場所か………予想がまったくつかん!どうすればいいのだ!?」
 そう言いつつも、フゥーと一旦息を吐き、落ち着きを取り戻すように思案する。そうしてシアンの瞳を四方六方へ動かし、観察し始めた。
 もしあるとすれば隠し通路があるはず………そしてそこには何か施してある事は確実だろう。彼は、限られた時間の中考えを巡らせる。
「扉に魔法やら何やらで光学迷彩めいたモノを施して、何かに偽装させているのだとしたら……?」
 彼は思い至ったが吉日、それらしき場所にとことんパンチを打ち続け始めた。ドォンッ、ガンッ、と閑静な村に似合わない位の音が鳴り響く。高度な隠し方をされているのだとしたら、他の猟兵達に任せればいい。
「オレみたいなヤツがいくら考えたとて解決できそうなもんじゃなさそうだしな!」
 手を休める事無く彼は攻撃を繰り出す。
「ん?」
 パンチをそのまま続けていた筈なのだが、彼はある違和感に気づく。…………同じような瓦礫がそこら辺にあるような?というそんな違和感に。だが、その法則性ともいえるものにブイバルが気づくことはない。彼は勘だけで答えに近づいているからだ。
「取り敢えずやっちまおう!」
 ヴヴ、ツ────何かの電子音がしたかと思えば、破壊された瓦礫に“道”のようなものが現れた。言ってしまえば転移装置とでもいえるだろう。………魔法と科学の力で巧妙に隠されていたはずの通路は、いとも簡単に見つかってしまった。
 こうして通路のうち一つが、彼によって暴かれたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

イデアール・モラクス
フン、神出鬼没に現れ破壊を振り撒くオブリビオンか…姑息なヤツもいたものだ。
まぁよい、我が魔術の深遠を以てその正体を暴いてやる。

・行動
高い隠密性と相反する破壊力、このオブリビオンは間違い無く何らかの魔術やユーベルコードを使うはずだ。
私は魔力探知の術式を使い、場を丹念に調べてそれらの痕跡が残っていないかを探す。
残留する魔力や破壊の痕、そこには必ず犯人の能力や侵入経路を示す手がかりがあるはずだ。
「かなり狡猾なヤツなのは間違いあるまい…既に近くに来ている可能性は高いな…」
念の為、我が愛欲の軍勢を『全力魔法』で多数召喚しておき、侵入経路になりそうな場所には歩哨として待機させておく。
「目は多い方がよい」


イリス・ウィルター
周囲をくまなく探して回ろうか。
死角になるような草むらのような場所を見てみる。
他には地面におかしなところからくる足跡のような痕跡がないかを見る。
もしも、見られないときはあちこちを歩き回って音をよく聞いてみる。
おかしな音があれば空洞になっている可能性が高いと思う。
むやみやたらに壊したりはしないが、仲間や村人の迷惑にならなそうなら、やってみてもいいかな。
他の猟兵たちともコンタクトを取って、情報交換もしてみたい。

あちこち見て回ってみよう、何かあるかもしれないし、なければ、無かったという事実が掴めるわけだし
もっと、頭が良ければよかったんだが…



●その極彩色、侮るなかれ
 夜闇の中で、動かぬ双眸がじっと見つめていた。
 彼女はイデアール・モラクス(暴虐の魔女・f04845)。村人の治療から、引き続き調査を行っている猟兵の一人だ。
「フン、神出鬼没に現れ破壊を振りまくオブリビオンか…姑息なヤツもいたものだ」
 彼女はそう言えば、まぁよい、と続ける。
「我が魔術の深淵を以てその正体を暴いてやる」
 そうして彼女は行動を開始する。
 ───彼女が考えるに、高い隠密性と相反する破壊力を持ち合わせたオブリビオンが、何らかの魔術やユーベルコードを使用してくる事は確実だった。故に魔術探知の術式を用いて痕跡を探そうと考えたのだ。
「残留する魔力や破壊の痕……そこには必ず犯人への手掛かりがあるはず」
 魔女である彼女は高度な魔法を使い、痕跡を探し始める。………すると数箇所、その魔術に反応した場所があった。
「これか…………?」
 見れば微かに魔力の痕跡がある(というのはもちろん彼女にしか分かり得ない事なのだが)。その反応を示した場所は、瓦礫だったり、とある壁面だったりと、幾数にも及んでいた。何れにせよ、法則性に気づかなければ、犯人への糸口は簡単には見つからないだろう。だが、それに気付かぬイデアールではない。
「全く、舐められたものだな。この程度の魔術を把握していない訳がないというに」
 彼女はそう零すと、そっとその痕跡をなぞる。
 ──切り裂くような傷。それは切り裂きジャックの名を欲しいままにしたオブリビオンの、特徴的な攻撃手段。
「これを見る限り、かなり狡猾なヤツなのは間違いあるまい……それに、既に近くにきている可能性も高いな」
 ある程度の予測を立てると、イデアールはおもむろに詠唱の言の葉を紡ぎ始めた。
「愛しき下僕達よ…あの日の代償を支払う時が来たぞ。出でよ、ルストレギオン!」
 イデアールの“全力魔法”によって幾数も召喚された、愛欲の軍勢(ルストレギオン)。神出鬼没に現れるという事は、それこそ沢山の隠し通路を駆使していると考えるほか無い───そう考えたイデアールは、侵入経路になりそうな場所に、愛欲の軍勢を歩哨として待機させておく事で根城の特定をせんとしていた。
「目は多い方がよい」
 オブリビオンの影を見据えた緋色は、今まさに敵へと迫ろうとしていた。

 同じ頃、村人達の救助活動を終えオブリビオンの捜索にあたっていたイリス・ウィルター(刀の技を磨くもの・f02397)は、周囲をくまなく探して回っていた。
「あいにく魔法にそんなに詳しい訳じゃないからね」
 そう言う彼女は、あくまで魔法に頼らない方法で調査を行う。得手不得手を心得た上での判断だった。
 まずは死角になるような草むらを探した。地面等におかしなところからくる足跡などがないか、確認するためだ。もっとも、ほとんどが瓦礫や壊れた窓、食器などの破片が散らばっていて分かりにくく、足跡を探すのも一苦労といった感じなのだが。それでも彼女の目は誤魔化せない。
「……これは足跡、だろうか」
 雨でも降っていてぬかるんでいたのだろうか。ちょっとした靴跡が、乾いて残っている。しかし不自然に消えたり、また現れたり………つまりは転々と残っていたのだ。のらりくらりと現れるオブリビオンらしいといえばそうなのだが、確証に迫るためのチケットとしては足りない。
「これだけじゃ、痕跡としては役に立たないか」
 そう言って彼女は別の痕跡がないか探し始める。………何も“痕跡”とは視覚情報だけの話ではない。それは多くの者が心得ているようで、多くの者が気付かない盲点である。イリスが今度は、耳をそばだてる。聴覚情報を得るためだ。先程探していたのとおなじく、またあちこち歩き回り、音を聴いて回った。
「……何やら空洞がありそうだ」
 彼女が耳をすましていたある1点から、響くような音がしていた。
「しかも僅かだが、風音もする」
 響くような音だけでなく、風音も感知することによって見えてくる情報は変わってくる。この空洞は、こちら側だけに空いているものではないと言う事だ。つまりはトンネルのようなものになっているという訳である。
「壊すかどうかは悩むな……」
 壊してしまっては困る、となれば此方も出来ることが無い。万一にも村人が作った通路なのかも、という可能性は捨てることが出来なかった。
「イデアールさん、この場所を少し見てくれないか」
 なら他の猟兵の力も借りるしかない。そう考えたイリスは、近くで調査を行っていたイデアールへと声を掛ける。
「良いだろう………ふむ」
 実はこの二人、以前からの知り合いで同じ旅団にも入っている。そんなイリスからの頼みには、イデアールにとって別に応えるに越したことはないのだろう。
 そうして二つ返事で快諾したイデアールは、イリスに言われた場所をついと眺める。そして先程と同じように魔術式を展開させる。すると口が弧を描いた。
「当たり、か」
「ああ、そのようだな」
 不思議な魔術で閉じられていた───ようにも思えたそこは、カモフラージュされた隠し通路。
 こうして鮮やかな蒼色の彼女の超直感によって、また一つ道が閉ざされる。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

八剱・忍
オブリビオンや言うたからって、ぱっと現れ消えることはあらへんやろ。

可能性があるのは空からと──地下からやろか。わからんけど。

とりあえず、地下やと地下水路とかになるんかな。それらしき施設があるかどうか、生き残った村人はんに聞いてみるのもええな。
古い地下道とかなら長老とかのおじいちゃんおばあちゃんに聞いてもええかもしれん。
このへんはスキル「コミュ力」で聞き取りしよかな。

もし目星がついたなら、捜索やな。案外あちこちに隠れた出入り口があるかもしれへん。


春霞・遙
WIZ
神出鬼没ってことは隠し通路とか地下水路とか様々なところへの抜け道があるかもしれない、ってことかな。
で、その痕跡を消すためにその付近の建物も壊してる、とか?
それなら住人の手当をしながら村の人たちでなにか思い当たる人がいないか尋ねてみる。
そして話と村の地図からそういう通路の構造を予測して壊れてない出口を探してみる。
外れなら瓦礫の付近を探ってみるかなぁ。がれきをどかすような力はないのでシャドウチェイサーで瓦礫の中を確認する。
何もなければないで可能性をひとつ潰した、ということで。



●黒い羊は何処に在るべきか
 たまたこれまでの猟兵とは別の路線から調査する者もいた。
 八剱・忍(黒の囀り・f13028)と春霞・遙(子供のお医者さん・f09880)の二人である。彼女達は村人に聞いて回ることで、より確実な情報を得んとしていた。

「村人はん、ちょっと聞いてもええ?」
 うち1人である忍は、助けた村人に話を聞くことにした。彼らは助けられたという事もあり、快諾して話してくれる事だろう。
「それなら、地下には実はオブリビオンの軍団がいつ襲ってきてもいいように、通路と言いますか避難場所がありまして………」
 忍が地下水路などの施設がないかそう問えば、地下水路も御座いますが、とそれに続けてそう言った。
「……守る為のそれが、上手く活用された可能性もあるわけやな」
 彼女はうーんと頭を悩ませたが、百聞は一見にしかず、見てみる他ない。
 ────そうして向かってはみたものの、まず使われた形跡がなかったのであった。
「なんやぁ……外れやったわ」
 彼女はそう肩を落とす。意気込んで行ったとして、必ずしも当たりにあたるとは限らない。分かっていたつもりだったが、改めて落胆してしまう。だが、そうであれば気を取り直して、違う方向から調べていくだけだ。それから空へ地へ、視線をさ迷わせながら行動に移す。
「あ、そこのおばあちゃんちょっと聞きたいんやけど。地下道とかここら辺あったりする?」
 先程の村人とは別の、少しお年を召した女性に伺ってみた。すると暫し考えてから答えてくれる事だろう。………これも彼女の“コミュ力”の賜物だろうか?
「あぁ……古い地下道ならあるよ。でも最近にゃあ、あんまり使われなくなっちまったがねぇ………」
「(そこや!)………なぁ、そこまで案内してくれへん?」
 心の中で小さくガッツポーズしながらも案内されたそこへと移動する。案内された古い地下道は、寂びた感じの、如何にもな場所だった。最近では全く使っていないというのは本当のようで、所々雨漏りしてるし、今にも崩落しそうだ。そう観察しながらも、案内してくれたおばあさんを見送る。姿がいなくなったのを確認したら、彼女は直ぐさに調べ始めた。
「んんー?なんや怪しいなとは思っとったけど………これ、最近誰かに使われとるんやない?」
 僅かながらであるが、その痕跡が残っていた。彼女はそれをしっかり見つけてしまった。ついでに───隠された出入口のようなものも。
「ふぅん………ここも利用してたって訳やな」
 彼女から影踏みされるのが早いのか、彼の者の足の方が早いのか。かくれんぼであり等しく鬼ごっこにも近いそれは、まだ始まったばかりである。

 そのころ遙は引き続き村人達の手当てをしながら、独自に調査を進めていた。
「神出鬼没ってことは、隠し通路とか地下水路とか様々なところへの抜け道があるかもしれないってことかな」
 着目する点はやはり同じく、地下や隠し通路だろう。彼女もそう考え辺りを見渡す。辺りは瓦礫の山ばかりで何てことのない、先程からよく見る風景だ。
「………もしかしてその痕跡を消すために、付近の建物も壊してるのかも?」
 その推察は半ば当たっているのだが、彼女は何か思い当たることがないか村人に聞きにいくようだった。
「腕の調子はどうですか?痛みも多分引いたと思うんですけど……あ、腫れはしっかり引いてるみたいですね、良かった!」
「先生!怪我を治療して下さりありがとうございます!おかげさまで痛みは全然ないですよ!」
 村人達の手当てを必死に行っていたためか、はたまたその格好からか、すっかり“医者の先生”として馴染んでいた。………彼女の本業も医者であるので、あながち間違ってはいないのだが。
「所でなんですけどね………オブリビオンが建物とか壊してきたのってどのタイミングなんでしょうか?」
 そう話を切り出してみれば、彼らも快く話してくれた。
「うーん、覚えている限りだと、切り裂かれた後追いかけようとしたら動けないように瓦礫を落としてきたのかもしれないと思っていたんですが………」
「成程……」
 確かに村人達のいうそれも一理あるかもしれない。だが本当のところはどうなのだろうか?それを確かめる為にも彼女はあるモノを召喚し始める。
 ────現れる影法師。それはユーベルコード、影の追跡者の召喚によって召喚されたものだった。影の追跡者(シャドウチェイサー)に瓦礫に隠れた痕跡を探ってもらおうと考えたのだ。
「どう?ありそうかな?」
 彼女がそう問えば、それに呼応するように瓦礫の中に視界が引き込まれる。影の追跡者とは五感の共有が可能であるので、その影の視界に切り替わったのだろう。
「これは……………」
 これだけ瓦礫に隠れてしまえば見つけることは容易ではないが────そこには、オブリビオンによって作られた通路が確かに存在していた。
 次々と減ってきた通路。同じくらいに敵も追い込まれていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

西院鬼・織久
【POW】
【心情】
逃げ隠れする獲物を追うのは面倒です
が、我等が敵を狩る為ならば是非もなし
炙り出してやるとしよう

【行動】
「視力」「暗視」でまず肉眼で確認
「聞き耳」で風の音や足音のなどの反響も確認
「殺意の炎」で周辺を焼き、炎の進行方向を見る
または物理的な肉体を持たない「影面」を走らせる
炎や影が肉眼で見た景色ではありえない動きをしていないか、音の反響がおかしい所はないか確かめる
「第六感」も働かせ、僅かな違和感を逃さないようにする

違和感はあるがよく分からない
何かあるような気がするがはっきりしない
そんな時は「なぎ払い」や「殺意の炎」による「範囲攻撃」で破壊する



●業火の影とDal Segno
 新たに助けに駆けつけた猟兵がいた。西院鬼・織久(西院鬼一門・f10350)だ。彼はオブリビオンの調査に加わってくれるらしい。
「逃げ隠れする獲物を追うのは面倒です。が、我等が敵を狩る為ならば是非もなし。炙り出してやるとしよう」
 赤い瞳のダンピールは、そう語ると当たりを散策する。………その真っ直ぐな瞳に迷いの色はない。
 まずは視覚情報を得ることを目的とするようで、「視力」や「暗視」を元にデータを集め始めた。
「………成程、瓦礫によって判断し難い状況を作り出しているのか」
 辺りをそうやって一つ一つ確認しながら彼は述べる。すると瓦礫にはやはり、彼の者の印ともいえる痕跡が残されているのが僅かながら確認出来た。空間移転のような魔法や、一般的に人々が活用する通路を利用し、あたかも神出鬼没に現れたかのように見せていたのだ。彼はふぅと一息、息をつき零す。
「こんなものか」
 視覚によって得られた情報を鑑みて、次は聞き耳を使っての聴覚情報を得ようと試みる。コツ、と靴を鳴らし地下空洞がないかを試す。靴音の響きはするものの、風の音を聴く限りでは入口はここら近辺ではない事が見て取れる。それを確認すると、彼は周りに被害が及ばないような、広く開けた村の一角に移動した。
「………我等が怨念尽きる事なし」
 織久がそう唱えれば、黒い炎が辺りを燃やし始めた。彼のユーベルコード、殺意の炎(サツイノホノオ)である。炎のその行先を見据え、怪しげな動きをしていないか観察する。すると、ある一点で動きを止めた。………というよりは透明な壁にでも遮られたかのように、炎が先に進まないのである。
「ここに何かある事は確実だろうな」
 それを見、彼は殺意の炎による範囲攻撃を行った。何処からか無機質な、それでいて硝子が割れるような鋭い音が鳴り響く。それは─────閑静な村にカモフラージュされて見えなくなっていた筈の通路が現れた音。
 そう、第六感を携えた彼は少しの違和感も見逃すはずがない。こうして名もなきオブリビオンは、猟兵達によって追い込まれる事となった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『切り裂き魔・ナイトフォグ』

POW   :    ジェノサイド
【コートに仕込んだ隠しナイフ】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    ミスリーディング
【無数のトランプ】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ   :    ミスディレクション
自身が装備する【ナイフ】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠鈴・月華です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●3章幕間
「成程………私が思っていた程馬鹿ではないらしい」
 猟兵達に囲まれた状況でなお、彼女は不敵に嗤う。
 彼の者の名は────切り裂き魔・ナイトフォグ。
 夜闇に現れ村人達を苦しめてきた元凶そのものだ。
 そうして、高く聳え立つ塔の先端に立っていた彼女は、囲む猟兵達の元へ優雅に舞い降りる。

「だが、貴様らに私を倒す事など出来はしないだろう。ましてや村人達を救う?………笑わせる」

 これだけ酷いジョークを聞いたのは初めてだと、君達を嘲笑う事だろう。

「無理だ、無理だ。倒すことも出来ず村人すら救えない……結局の所、滅びるしか道は残されていないのだからな!」

 高らかに哂うオブリビオンは、猟兵達の神経を逆撫でするように告げ、それが切り裂き魔・ナイトフォグとの最終戦の火蓋を切る事となったのだった─────。
イデアール・モラクス
クク…いよいよ出て来たなぁ臆病者のオブリビオン!
こんな村程度、正面から蹂躙出来る力を持ちながら何故しない?
それが趣味ぃ?アッハッハ!じゃあ貴様は臆病者じゃなくて根暗の変質者だ!

・行動
「フン、ナイフの複製と操作か…面白い芸だが、私の方が凄いぞ?」
『高速詠唱』『全力魔法』で鏖殺魔剣陣を行使、空を埋め尽くすほど無数の魔剣を生み出して『範囲攻撃』で広範囲に射出し敵の操るナイフを全て叩き壊す。
「串刺しにされる気分も味わってみるがいい」
更に魔剣を『一斉射』でボスに殺到させて『串刺し』にし動きを止め、私が『踏みつけ』て『傷口を抉り』ながら噛みついて『吸血』し『生命力を奪い尽くす』


春霞・遙
人も物も壊すだけ壊して、困っている人たちを眺めて楽しんで、質が悪くて悪趣味ですね。
八方を猟兵に囲まれてこれ以上逃げられませんけど、どうするおつもりで?

WIZ
基本的には放たれたトランプやナイフを拳銃の射撃や木の杖で撃ち落としてほかの方が戦いやすいよう援護しましょう。
また、生まれながらの光で多少目立つように周囲の回復も行い、敵の攻撃を誘います。
自分が狙われたときは覚悟をして攻撃を受け、相手が油断したところで零距離射撃、だまし討ちをする。攻撃を避けない行動に疑問を感じてくれたなら、謎を喰らう触手の群れで攻撃を。



●最終決戦にて
「クク………いよいよ出て来たなぁ臆病者のオブリビオン!」
 そう言ったのは、ここまで敵を追い込んだ猟兵の一人、イデアール・モラクス(暴虐の魔女・f04845)だった。
「正面から蹂躙出来る力を持ちながら何故しない?」
 こんな村程度、と吐き捨てるように彼女が言えば、切り裂き魔もまた口を開く。だが────。
「それが趣味ぃ?アッハッハ!じゃあ貴様は臆病者じゃなくて根暗の変質者だ!」
 イデアールが切り裂き魔の発言を、そう簡単に許すはずがなかった。売り言葉に買い言葉とはこの事。
 しかし、切り裂き魔もまた苛立ち始める。相手の神経を逆撫でして挑発するつもりが、そっくりそのまま返すように馬鹿にされ、怒りが収まらないようだ。
「っ…………!!ミスリーディング!!!」
 切り裂き魔がそう唱えた途端、周囲に二十数個のナイフが浮かぶ。そして、念力によってバラバラに動かされたナイフの矛先が、イデアールに向けられた。
「フン、ナイフの複製と操作か……面白い芸だが、私の方が凄いぞ?」
 攻撃の矛先を向けられてもなお、彼女は不敵な笑みを崩さない。もちろん、恐れすらも毛頭ない。それを不審に思った切り裂き魔は、イデアールに追加攻撃を繰り出そうとした。しかし、彼女はこの時すでに詠唱をしていたのである。
 彼女の技能である高速詠唱と全力魔法によって放たれたユーベルコード、鏖殺魔剣陣(オウサツマケンジン)。それは、見たもの全てをターゲティングする。こうして放たれた、空をびっしりと埋め尽くす程の無数の魔剣は、広範囲に射出され幾数のナイフをも砕いた。
「串刺しにされる気分も味わって見るがいい」
 彼女がそう告げれば、一斉に磔の刑にするかのように───切り裂き魔を貫いた。串刺しになった場所をわざと踏みつければ、傷口が抉りとられオブリビオンから苦悶の声が上がる。さらには、噛み付いて吸血し、生命力を奪わんとした。
「おのれ…………小癪な!」
 だが、切り裂き魔もタダでは転ばない。彼女の奮うナイフは猛攻を増し、イデアールに襲い掛かる。

「危ない!」

 そこに助けに駆けつけたのは、春霞・遙(子供のお医者さん・f09880)だった。彼女の射撃によって次々とナイフが撃ち落とされていく。
「助かった、礼を言おう。………流石に、猪口才な奴の相手が一人では疲れる」
「いえいえ!同じ猟兵同士、助け合うのは当然ですから」
 イデアールがそう言えば、遙も反撃の期を伺いながら応える。ナイフが四方六法と飛んでくるが、止む様子はない。そうして引き続き、拳銃の射撃や木の枝(投擲)等でナイフを撃ち落としながら援護していった。
「……………」
 イデアールもまた動きだした。しかし、ナイフを全ては防ぎきれていなかったのか多少の傷が出来ているようだ。
「回復します、イデアールさん診察させてください」
「………あぁ。だがこんな所でやれば目立つぞ?」
 彼女の、“生まれながらの光”で回復の恩恵を受けつつ、イデアールがそう注意喚起すれば、追加攻撃がまたさらに加わる。それに反応するように、彼女は一通りのナイフを次から次へと壊していった。そして合間があればまた回復────と能力を重ねていく。その暖かな………そして少々目立ちすぎる強く柔い光は、的にするには最適であった。
「…………………っ」
 切り裂き魔の放つナイフやトランプが、無慈悲にも彼女を切り裂く。
「…………!(何故避けない?避けれなくはない筈だが………いや、単に反応が遅れただけ、か?)」
 遙のその様子に、切り裂き魔も疑念を抱かざるを得ない。しかし遙は怯むことはなかった。────否、彼女はこれが目的だったのだ。
 刹那、零距離射撃、だまし討ちがオブリビオンにクリーンヒットする。それから謎を食らう触手の群れが食らいついてきたのだ。堪らず、切り裂き魔は少し後ずさり気味になっていく。謎を食らう触手の群れ、それは遙のユーベルコードだった。
「人も物も壊すだけ壊して、困っている人たちを眺めて楽しんで、質が悪くて悪趣味ですね」
 この時初めてオブリビオンが、いつもは温厚な彼女が怒っている事に気付ける。……それは、等しく患者に向けられてきた瞳とは別種の、嫌悪に満ちた瞳。
 後ずさるオブリビオンに、彼女は続けて述べる。
「八方を猟兵に囲まれてこれ以上逃げられませんけど、どうするおつもりで?」
 よもや形勢を立て直す時間など、与えられていなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ブイバル・ブランドー
遠距離攻撃がそれなりにでき、さらに仕込みナイフによる強力な不意打ちのようなことをできる相手か。厄介だが…手を打てないというわけでもないな!
ならばオレも同じような戦術を取る!
オレは近接戦闘が得意だが、あえて距離を取り、【早業】と【地形の利用】で素早く走り回りつつ【アサルトウェポン】と【VALZA】の荷電粒子砲モードで射撃を続ける!作戦を決めるため、奴には、オレを遠距離型のウォーマシンだと誤認させてやる必要がある。そして、隙を見つけたらバイクに変形、速攻で突撃を仕掛け、間合いを詰めたら即座に人型に戻り【VALZA】をチェーンソー形態に移行する!そしてそれを脚に装着して回し蹴りをぶち込んでやるぜ!


ヘンペル・トリックボックス
命を軽んじる三流手品師には、ここで退場していただきましょう。
こちらは見つけた。あちらからは見つかっていない。で、あれば──正々堂々、奇襲といきますか。えぇ、紳士的に。

先んじて『ブラックボックス』を召喚し、自分の周囲に浮遊させておきます。引き続き『摩利支天隠形符』で姿を隠しつつ、召喚していた『シルエット』を相手の視界の隅にチラつかせて気を引きます。隙を見て【忍び足】で接敵、【暗殺】の有効範囲内に入ったら、『影縫い』による居合で急所を貫くと同時に姿を現すとしましょう。驚いていただけると良いのですが。

人を笑顔にするのが手品師の本懐。殺戮奇術の先に待つのは、無味乾燥な感情だけです。──このように、ね。



●最終決戦にて-2
 次々と猟兵達が刃を交えるなか、ブイバル・ブランドー(ソニックアタッカー・f05082)とヘンペル・トリックボックス(仰天紳士・f00441)もまた、切り裂き魔を倒さんとしていた。
 ………ただ、他の猟兵とはアプローチ方法が異なっているようだ。

「命を軽んじる三下手品師には、ここで退場して頂きましょう」
 落ち着いた様子で述べるヘンペルは、状況を鑑みつつそう言った。その瞳には、切り裂き魔の姿が映されている。
「遠距離攻撃がそれなりにでき、さらに仕込みナイフによる強力な不意打ち攻撃が出来る相手か…………ヘンペルはどう出るつもりなんだ?」
 これまで共に、というよりかは適材適所で行動を行ってきた二人。そんな中で、同じ現場に居合わせたブイバルは彼に問う。そうすれば、ふむ、と考える素振りをみせながらもヘンペルは口を開く事だろう。こちらは見つけた、あちらからは見つかっていない─────そうであるなら。
「で、あれば───正々堂々、奇襲と行きますか」
「奇襲!?確かに見つかってはいないぜ?けど正気か?」
「ええ勿論。紳士的に、ではありますが」
 彼の唐突な作戦にブイバルが困惑するも、それに構わずニコリと笑みを崩さないままのヘンペルが言う。
 敵には強い意志で出た方がいい。そう考えつつもブイバルは、今一度切り裂き魔の攻撃を見る。そして、攻略法を考えた少しの間の後、言葉を放った。
「厄介だが……手を打てないというわけでもないな!」
「と、いいますと?」
「オレも同じような戦術を取る、ってことだ!」
 彼のいつもの戦闘方法からにして、近接戦闘のほうが得意である事は明らかである。だが、あえて距離を取る戦法に出るようだ。
「成程、眼には眼を歯には歯を……という事で御座いますね」
 ヘンペルのその言葉が聞こえたか否か、目にも止まらぬ速さで目の前からブイバルが消えた。
 これは早業と地形の利用という技能によるものだ。彼はそのまま、アサルトウェポンやVALZA³の荷電粒子砲モードによる射撃を行っていった。
「なに…………!?」
 その一つが見事命中。くっ……と苦しげな呻き声を洩らし、鋭く射撃を行ってきた相手を睨む切り裂き魔。そこには遠くの方から射撃を行うウォーマシンが一人。
「………遠距離射撃などと、小賢しい」
 それが彼女の標的が絞られた瞬間だった。さらに驚く事に、彼女は自ら接近してきたのだ。
「(よし、しめた!)」
 それはブイバルにとっても絶好のチャンス。素早くバイクに切り替わり、間合いをグンと詰める。
「…………!!!」
 驚いたのも束の間、即座に人型にブイバルが戻った。そして、甲型多目的兵装VALZA³はチェンソー式破砕ブレードに変形し、且つ、脚に装着される。
「ぶっちぎれろォォッ!!」
 ヴゥンッ
 重量が重いものを振り回したときに鳴るその風切り音を発したのは、真刃脚(マッハレッグ)。黒衣のオブリビオンを切断せんと振るわれた、ブイバルのユーベルコードのものだった。これぞ電光石火の早業。
「…………っ」
 しかし狙いは少し外れ、彼女の脚を一本持っていくに留まった。……哀れなその姿は案山子のよう。
 それでもと足掻く切り裂き魔の前に、突然タキシード姿の者が現れる。そして一気に急所を突かれた。
「!!!」
 突然の事に驚きが隠せない切り裂き魔であったが、それはブイバルも同じである。
「てっきり遠くから攻撃してくるものかと思ってたぜ……………」
「ふふ、お客様を楽しませるのは、手品師の鉄則ですよ」
 紳士ですから。…………そう告げる彼が、彼女に近付くまでには様々な準備を要した。が、それをすんなりこなしてしまうのだから、この紳士、只者ではない。

 ───時を遡る事、数分前。ブイバルが目の前から姿を消した(実際にはそう見えるだけだが)後、彼は先んじてブラックボックスを召喚していた。そのブラックボックスとは、彼のユーベルコード、驚嘆すべき混沌の坩堝(クリック・クラック・ブラックボックス)によって召喚された、謎の立方体だ。それを周囲に浮遊させたヘンペルは、なんてことも無いように歩き出す。このままでは目立つのでは?と思うだろうが、彼は引き続き摩利支天隠形符を使用している為、オブリビオンに見つかる事はない。
 そうして忍び足で近づけば、丁度よくブイバルが彼の者のと対峙していた時だった。あとは暗殺可能な有効範囲に入ったその瞬間に、影縫いによる居合で急所を突き、目の前でパッと姿を現して見せれば彼のシナリオ通り。
 ……………そして現在に至る、という訳だ。
「人を笑顔にするのが手品師の本懐。殺戮奇術の先に待つのは、無味乾燥な感情だけです」
 くいとシルクハットを被り直して彼は続ける。
「────このように、ね」
 片手に浮かぶブラックボックスを黒檀の杖でコンと軽く叩く。
 中には、夥しい数のパーティーグッズ。
 それは黒衣の彼女をあっという間に飲み込み、傷跡を残す。命の灯火を消さんとしたそれは、確実に彼女を死へと近づけていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

西院鬼・織久
【POW】
貴様が強者であるなら尚の事
我等が怨念の良き糧となろう
互いに血肉を啜り合ってこその死合い
それでこそ我等の狩よ

【行動】
敵の動向を「見切り」隙を狙う
回避や防御は常に「カウンター」も狙い攻撃の手数を増やす

【戦闘】
「先制攻撃」は「殺意の炎」
炎の影から背後に回り「残像」による「フェイント」
背後に反応して攻撃した所を狙い横合いから「二回攻撃」「なぎ払い」
負傷させて「傷口をえぐる」

間合いを取ろうとしたら「影面」で捕らえ「怪力」で振り回して地面に叩きつけ
起き上がる瞬間を狙って「ダッシュ」の勢いと「怪力」を乗せて「串刺し」


イリス・ウィルター
はん、闇に隠れてこそこそしている臆病者が何かほざいても同じだ。
戦場において慢心する愚かさ、その身に分からせてやろうじゃないか。
村人達の痛みや苦しみ、しっかりと味ってもらうぞ!

切り裂き魔が相手なら、主に妖刀を使って戦う。
剣の一閃にバーバリアンの力を込めて戦闘する。
動きは軽い獲物を持っている分、相手が有利だろうから、相手の攻撃を避け、その隙に攻撃していく。
攻撃に生命力吸引を使い、相手を弱らせながら戦う。


ジョー・グラム
面白れぇ、その冗談はてめぇの顔の次に笑えるぜ。

顔面めがけて熱線銃で攻撃する。
近づいてきたらクイックドロウでぶちぬいてやる。

仲間の攻撃で足を止めやがったら狙い撃ちだ。
妙な仮面なんざ被りやがって、てめぇ方が不気味だぜ。



●最終決戦にて-3
 このボスとの決戦において、一番危惧すべきは戦力不足の場合であるが、そんな心配が必要でない程に他の猟兵達も続々と駆けつけていた。
 そしてここにも、敵を睨めつけている者が。
「はん、闇に隠れてこそこそしている臆病者が何をほざいても同じだ───戦場において慢心する愚かさ、その身に分からせてやろうじゃないか」
 イリスは、妖刀:紅葉姫を片手に持ち、そっと力を篭める。静かに自ら(切り裂き魔)を見つめる彼女の瞳に気付いたのか、オブリビオンも何とも歪な笑みを浮かべた。
「村人達の痛みや苦しみ、しっかりと味わってもらうぞ!」
 眼光を鋭くさせながら、イリスは跳躍し言葉を放つ。勿論、オブリビオンとて軽快な動きに違いはないのだが彼女の動きはその比ではない。………流石は人狼のバーバリアン、とでも言うべきか。
 そんな次々と降り注ぐ、ナイフやトランプ等による攻撃を避けその隙に攻撃を繰り出していたイリス。それによって多少の傷が少しづつだが、つけられていく。だが、それだけでもオブリビオンの体力を削るには十分だった。
「ぐっ…………!?」
 切り裂き魔も驚いたのだろう。何故、こんなにも体力を持っていかれているのだろうと。それは、生命力吸引による特殊な攻撃を食らわされていたからである。それを少量なりとも受けていた切り裂き魔は、弱るに至っていたのだ。
 それだけでなく、突如として彼女から眩い閃光が放たれた。それはイリスの剣刃一閃による、切断攻撃系のユーベルコードだ。
「……………っっ」
 しかし間一髪の所で避けるオブリビオン。…………案山子のような成りになりながらも、攻撃を躱していく姿はやはり強敵であると言わざるを得ない。
 ────そんな刃を交える者達の姿を見ていた者が、一人姿を現す。オブリビオンの根城を捜索し此度の戦いにも参戦していた、西院鬼・織久(西院鬼一門・f10350)である。
「…………貴様が強者であるのなら尚の事。我等が怨念の良き糧となりましょう」
「ほう………お前如きが私を倒せるとでも?」
 彼の言葉を聞いた切り裂き魔は、そう挑発するように問うが、彼がそれに応えることはない。が、代わりに攻撃を繰り出してきたのだ。
 放たれた炎が彼女の黒衣を微かに掠める。その小さな炎を見て、切り裂き魔も嘲り笑うかのように鼻を鳴らした。こんなもので倒せるものか、と。
 しかし次の瞬間には掠めただけだった筈の小さな炎が、おぞましさをも纏う黒い炎に変わり切り裂き魔を包み込もうと、前から背後からと襲い掛かる。
「互いに血肉を啜り合ってこその死合い…それでこそ我等の狩よ」
 切り裂き魔である者が狩りなんぞに怯むなど、そのような事はありますまい。彼は密やかに、紅い瞳を逆さ三日月に細め言葉を述べた。
「こんな単純な攻撃に騙される私ではない…………!」
 彼女は即座に背後に回ったものに反応をする。が、しかしそれは実体ではなく残像………つまりはフェイントであった。
「!」
 気付いた時には時すでに遅し。横合いからの二回攻撃、薙ぎ払い、そして負傷した傷口をえぐるという見事な連続コンボがオブリビオンをさらに追い込んでいく。到底、13歳の少年がなせる技ではないように思うが、彼はさも当然のようにこなすのだ。───何故なら、「個」を捨てた彼等一門はオブリビオン狩りを至上目的としているのだから。
「まだだ…………まだ弱い。私を狩るには足りていないぞ……!」
 織久からの殺意の炎を食らっておきながらも、彼女は未だ倒れない。そんな、どこまでも狂乱に満ちたままのオブリビオンは、そんな言葉を発した。
「………面白れぇ」
 しかし、その言葉に反応したのはイリスでも織久でもなく、ジョー・グラム(サイボーグのブラスターガンナー・f02723)であった。
「その冗談はてめぇの顔の次に笑えるぜ」
 そう言う彼は、切り裂き魔の顔面めがけて熱線銃での応戦をしはじめる。そうしてオブリビオンの攻撃にも屈さず遠距離からの攻撃を計っていた。
「……………チッ」
 双方、遠距離での攻撃を行っているためか彼女も中々近づけない。切り裂き魔にとって邪魔でしかないその喧しい攻撃は、彼女の早く元凶を潰そうという意志を駆り立てた。
 刹那、距離を縮めた彼女がグラムの目の前に現れる。それは本当に一瞬のことであったが、彼はそれを決して見逃さない。普段だらけた様子ばかり見られ、実際にだらしがないように見える彼は、口数が少ないながらも相手取る事を得意としているからだ。
 故に。しまった、と思っても意味が無い。
「脇がガラ空きだ」
 ドンッ、ドンッと鈍い音を立てて相手に命中したそれは、彼のユーベルコード、クイックドロウによるのものだった。放たれた熱線銃のなんと鋭い事か。咄嗟の事に反応出来ず、彼女のペストマスクも半分が欠けていた。
「妙な仮面なんざ被りやがって、てめぇの方が不気味だぜ」
 カチ。
 そう鳴ったのは彼の引き金を引く音なのか、はたまた切り裂き魔の歯音であるのか。………なにはともあれ容赦のない猟兵達による連撃には、彼女もよもや血濡れのボロ雑巾のようになるしかなかった。
 ──────その破滅を呼ぶカンテラが消えるまであともう少し。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

八剱・忍
「おもろい冗談やろ?」

くるりと大鎌ひと回転させて構えて、言葉続けるわ。

「でもすまんな。本気や。滅びるのはあんたやで」

トリッキーな印象を受ける相手やな。
ほなこっちも搦手や。

撹乱を主軸として、敵の混乱を狙うで。
間合いを詰めてスキル「残像」で攻撃のタイミングをずらしてのスキル「なぎ払い」や。
敵の攻撃をスキル「見切り」でかわしてスキル「暗殺」で死角に回り込むで。
後は隙を突いて、抱擁からのユーベルコード 「痺れる誘惑」や。

「身も心も痺れさしたるで?」

決まれば、スキル「なぎ払い」で、胴の両断狙うて思いきり大鎌振るうわ!


蛇塚・レモン
物陰に隠れて学習力で敵の攻撃パターンを覚えるよ
なるほど~っ、あのナイフを壊せば敵は丸腰だねっ

ユーベルコードで蛇神様を召喚(先制攻撃
他の猟兵たち丸ごと入る結界を作成(範囲攻撃+地形の利用
これで攻撃と防御を強化!
あたいは更にオーラ防御と盾受け、それと蛇神様自身でナイフを受け切るよっ!(勇気+激痛耐性
蛇神様の念動力で敵の持つ本物のナイフを砕いてもらっちゃえば、もう複製は出来ないよねっ!(スナイパー+念動力+武器落とし
そして二回攻撃で蛇神様の念動力を再発動!
敵の心臓をマヒさせるよっ!(念動力+マヒ攻撃+呪詛

この世界は滅ばないよ
だって神様が味方だからねっ!

トドメは蛇腹剣+鎧無視攻撃+衝撃波+生命力吸収



●最終決戦にて-Final Attaco
 未だ不気味に笑いながら此方を見ているオブリビオン。それを捉えた双眸は紅く、血をも連想させる。
 彼女は八剱・忍(黒の囀り・f13028)。暗殺を商いにする………にしては呑気な関西弁で話す猟兵である。
 彼女は切り裂き魔を見つめながら口を開く。
「おもろい冗談やろ?」
 くるん、と優雅に大鎌を一回りさせた彼女はそれに続けて言葉を発する。
「でもすまんな。本気や。滅びるのはあんたやで」
 そんな事を言ってしまえば、当然挑発ととられる事になる。これに対し切り裂き魔は、自身を貶されたものとし、怒りに慄えるのだ。……巫山戯るな、と歯を軋ませて。
 そして怒りを滲ませたオブリビオンは、四方六方とナイフやトランプを飛ばし、忍を切り裂こうと攻撃を繰り出してきた。
「(トリッキーな印象を受ける相手やな……ほなこっちも搦手や)」
 すると、相手の攻撃手を見ていた忍は、撹乱を主軸として敵の混乱を誘う行動に出たのだ。間合いをギリギリまで詰め、攻撃したかのような残像を見せた後、ワンテンポ遅れた薙ぎ払いをする。
 これによってオブリビオンも、彼女の思惑通り混乱する事となる。焦る切り裂き魔に、追い詰める猟兵達………と、流石に焦ったのか攻撃も猛威を増してきた。それでも彼女に攻撃が当たる事はない。それどころか、見切りで躱した後、併せ持った暗殺スキルによって死角に回ってくるのだ。
「…………猪口才な!」
 血濡れの切り裂き魔はそう暴言を吐く。
 そんな彼女達の死闘をこっそり見ていた猟兵が一人………いた。物陰で密やかに、敵の行動パターンの学習を行っていた彼女の名は、蛇塚・レモン(叛逆する蛇神の器の娘・f05152)。彼女もまた、オブリビオンを倒すため依頼に参加した猟兵のうち一人だ。
「………なるほど〜っ、あのナイフを壊せば敵は丸腰だねっ」
 そんな彼女が注目したのは、切り裂き魔のもつナイフだった。………これは目から鱗である。ナイフを壊したり、避けたりというのは考えの範疇にあるものの、誰もがそのサイクルー自体には疑問を抱かず、ましてや注目もしていなかったからである。
「まずは蛇神様の実力、思い知らせちゃうんだからっ!やっちゃえ、蛇神様っ!」
 兎にも角にも、切り裂き魔を無効化するため彼女はユーベルコードを放つ。戦闘召喚使役術式・崇めよ、偉大なる白き大蛇神様を(バトルサモンコード・メドゥーサ・オア・アイギス)によって召喚された白き大蛇神様。それは大きな結界を作成し、猟兵達を丸ごと飲み込む。………これにより攻撃力、防御力共に大幅に強化された。それはまさに、多大な恩恵を得られたともいえるだろう。
 そうした行動を行った後、彼女はたんっと軽やかに敵に向かう。だが、オーラ防御や盾受けなどで守ってばかりで、中々攻勢にでない様子に彼女は嗤う。
「は…………守ってばかりでは何も進まんぞ!これではそちらが負けるだけ……いや、弱き者は淘汰されなければならんな?」
 にやりと口角を上げて話す彼女はしかし、蛇神様が何をしようとしていたのかなど眼中になかった。
 バキィィンッッ!!
 その瞬間、蛇神様の念動力によって、替えのきかない本物のナイフが壊されたのだ。
「なんだと……………!」
 だが驚いたのも束の間、背後から声が聞こえた。………いや、それはもっと近く、耳元で聞こえる気がする。
「なぁ、忍びの三禁って知っとる?1つ目は恐怖を抱く事、2つ目はあれこれ思い悩む事。そして3つ目は─────」
 するり、と何かが後ろから抱きつく。
「“敵を侮る事”………さぁて、身も心も痺れさしたるで?」
 それは彼女のユーベルコード、痺れる誘惑(パラライズ・テンプテーション)によるもの。囚われた切り裂き魔は、突如として動きを止めた。………唐突にまた現れた彼女は、先ほどまで姿が見えないようになっていただけで、実は死角に潜んでいたりしたのだ。
「おぉ〜心臓をマヒさせる必要がなくなったねっ!ありがとう!」
「どういたしまして、ほんならもうトドメ刺したろ?」
 互いに頷きあう二人。じゃあいくよ!とレモンが勢いよく、蛇腹剣クサナギを振りかぶる。
「この世界は滅ばないよ、だって神様が味方だからねっ!」
 柄まであっさり通った剣は、オブリビオンを鋭く貫く。………それは呆気なく訪れた、静けさにも似た“終わり”。
 ……切り裂き魔のとうに果てた防御力では、もう抵抗らしい抵抗もする事が出来ないとは見ているだけで分かる。何かを吸い取る感覚と、ぬるりとした生暖かい血の感覚。吹き出た水の様に、じわじわ広がる赤いシミがオブリビオンの死を物語っていた。

 ─────ようやくこの村にも平穏が訪れる。村人達を脅かすオブリビオンという脅威は去ったのだ。だが、オブリビオンがいる限り猟兵達は今後も戦い続けるのだろう。……血生臭く、硝煙立ち込める戦場で。

 この日、また新たなカンテラが灯る。
 それはもう恐ろしい灯火ではない。もっと暖かなものへと変化したもの。
 ………赤緑のフィルターと反射鏡にはゆらりとした小さな火が映りこんで、それから微かにアセチレンの匂いが漂っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月02日
宿敵 『切り裂き魔・ナイトフォグ』 を撃破!


挿絵イラスト