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せんちめんたる・すうぃーつ

#アルダワ魔法学園

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#アルダワ魔法学園


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●じぇらしー・せんちめんたる
 ぷよん、ぷよん、ぷにっ、ぷにぃ。
「まったく、まぁったく!」
 濃密な花の香りに包まれて、ミルクココア色の髪をした女が不機嫌そうに肩をいからせる。
 ぷにっ、ぷにぃ、ぷよ、ぷににっ。
 飛んで、跳ねて。転がって。
 その度に、ふわんふわんと甘い香りを漂わせるそれら――蜜ぷに達は、どこからどう見ても愛らしい。可愛いもの好きでなくとも、思わず頬が緩んでしまうくらいに愛らしい。
 だのに、どうしてか。
 いっそあざといくらいに愛らしい蜜ぷに達がぷにぷにする度、女は顔を顰め、眉根を寄せて。ついにはプイっとそっぽを向いて、上を目指す足を止めた。
「私はチョコレートしか認めないわ!! だからおまえ達はおまえ達で勝手になさい!!」
『ぷに?』
『ぷにぃ?』
『ぷにににい!』
 理不尽に叱られても、蜜ぷに達のぷにぷにぶりは変わらない。
 ぷにぷに、ぷにぃぷにぃ、ぷるるん、ぷよん。
 花の蜜でできたスライム達は、ぷにぷにぷるぷるぷよんぷよんと大群を成して迷宮をぷにぷに進む。ぷに。

●すうぃーつすうぃーつすうぃーつ
「や~、アレを倒すのはしんどいよねぇ。僕はちょっと厳しいかなぁ? え、だからって皆にお願いするんじゃないよ? 断じてそんな理由じゃないからね?」
 アルダワ魔法学園世界の、とある学園。その迷宮を蜜ぷに達が上層を目指し進んでいる。
「『可愛いは正義』って言葉もあながち嘘じゃない気がするよね。いや、学園の脅威だし、オビリビオンだし。間違っても正義じゃないんだけど。それにほら、強くないし! と言うか、弱いし。数が多いのがちょーっと厄介で、ついでに倒しちゃうとすぺしゃるに美味しい蜜になっちゃうし。ふわふわなパンケーキとかにかけて食べたい誘惑と戦うのはしんどいかもだけど! 塩気の強いチーズにかけたり、紅茶に入れるのも美味し……じゃなくて!」
 そこでようやく我に返った黒髪の青年――グリモア猟兵の連・希夜(いつかみたゆめ・f10190)はニコと紫色の瞳を細め、己が失態を見守ってくれていた猟兵たちへ改めて向き直った。
「とどのつまりが、皆にこの学園の迷宮へ赴いてもらって、蜜ぷにを倒して欲しいんだ。肩慣らしのつもりで良いよ。その後、バレンタイン前にどんぴしゃな敵と遭遇する気もするけどね、するけどね?」
 不穏なおまけに語尾を躍らせ猟兵たちを送り出そうとした希夜は、最後に思い出したように満面の笑顔で付け足す。
「可愛い蜜ぷに達との戦いは、センチメンタルな気分にさせられるかもしれないし? お仕事が終わったら学園の調理実習を体験させて貰える手筈は整えておいたよ。美味しい蜜料理を作るも良し、味わうも良し、奇天烈な新作メニューでカオスを生み出すも良し。チョコレート菓子とか作っちゃうのもいいかもね。チョコレート!」


七凪臣
 ご覧下さりありがとうございます。
 七凪と申します。
 初第六猟兵シナリオ。どうぞ宜しくお願い致します。

●シナリオ傾向
 勢い重視のネタ寄り。
 ぷにぷにって、チョコったり恋語りしたりして、お料理楽しむ系。
 はっちゃけ歓迎。
 ハイテンション方向へキャラ崩壊を防止したい方は『ハ禁』と明記下さい。

●シナリオの流れ
 第1章:集団戦(蜜ぷに)
 第2章:ボス戦(迷宮ショコラティエール)
 第3章:日常(アルワダ的調理実習)
 ※日常章は全ての敵を撃破出来た場合のみ。

●戦闘補足
 戦闘は迷宮内で行われます。
 広さは十分。
 戦いの邪魔になるものはないとします。

●第3章(日常)について
 学園の調理室にてお料理、試食などが行えます。
 心の赴くままに、ご自由にどうぞ!
 3章のみのご参加も歓迎です。
 なお、こちらのみお誘いあらば希夜がご一緒させて頂きます。
 お毒味役にでも、何でもどうぞ。
 のらりくらりと気儘にあれこれ楽しみます。

●同行者ありの場合
 全ての章において、お連れ様がいる場合はプレイング内に【お相手の名前(+ID)】を明記下さい。
 (グループの場合は【グループ名】でOKです)
 記載がない場合は迷子になる可能性があります。

●その他
 許容量を超えた場合、早めに締め切る、或いは不採用にさせて頂く可能性があります。
 予めご了承下さい。

 以上になります。
 皆様のご参加、心よりお待ちしております。
 宜しくお願い申し上げます。
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第1章 集団戦 『蜜ぷに』

POW   :    イザ、ボクラノラクエンヘ!
戦闘用の、自身と同じ強さの【勇者ぷに 】と【戦士ぷに】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
SPD   :    ボクダッテヤレルプニ
【賢者ぷに 】を召喚し、自身を操らせる事で戦闘力が向上する。
WIZ   :    ミンナキテクレタプニ
レベル×1体の、【額 】に1と刻印された戦闘用【友情パワーぷに】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

カーティス・コールリッジ
こちら『CC』!
コール、『Stingray』、でまー、すっ!?(ボヨン)

愛機と共に飛び出した瞬間、緩衝材に衝突したような
えっ今のなに……ウワーッ!
でっかいゼリーがひとつ、ふたつ……いっぱい!!
こ、これ、倒すの?

半信半疑でデバイスを覗き込めばしっかり『Enemy』の表記
シミュレータでももうちょっといかつい敵でてくるよ!
しかもあまくておいしそうなにおいする!

なんかちょっとおなかすいてきた
でもでも、これがおれの初陣だ
おれ、負けないよ!

初手ゴッドスピードライド
クイックドロウを主軸に攻撃
残HPの低い対象を優先して攻撃、各個撃破を目指す

構えて、狙って、"Blast 'em!"
こいつはちょっぴりはじけるよ!



●対蜜ぷに戦、開戦!
「こちら『CC』! コール、『Stingray』、でまー、すっ!?」
 とん、とん、とととと、ととっと、とっ、とっ――ぽよんっ。
 威勢よく愛機を飛び出し、そのまま華麗に迷宮入り口へ着地したとカーティス・コールリッジ(CC・f00455)は思った。
 それが『思った』だけだったのは、彼のリズミカルを超越しかかってる足音で知れよう。
 初陣の気負いか、勢い余ったのが運の尽き。階段を転がるように突進し、耐ショック態勢を整え――予期せぬ柔らかなモノにカーティスはぶち当たった。それはまるで、緩衝材にでも衝突したような、一切の衝撃を丸っと吸収された優しい感触。
「えっ!? これ、なに……ウワーッ!」
 そして齢8歳の幼い宇宙艇『Clunker』の乗組員兼パイロットは空色の瞳を見開く。
 だって、そこに。カラフルなゼリーが、ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ……数え切れないくらいたくさん居たのだ!
『ぷにぃ?』
『ぷににぃ?』
『ぷに!』
 しかも、可愛い。もにゅっとした口元(?)とか、ぽかんと見つめてくる瞳(?)とか、ぶつかった衝撃で何体か潰してしまったのが申し訳なくなるくらい可愛い。
「こ、これ、倒すの?」
 当然、カーティスは戸惑う。これ、本当に敵? 倒しちゃっていいの? けれど幾度デバイスを覗き込もうと、表示されるのは真っ赤な『Enemy』の文字。シミュレーターだってもっと厳つい敵が出てくるのに!
 や・り・に・く・いぃいいいい!!
 ――だ、が。
「あまくておいしそうなにおいする!」
 先ほど潰しちゃった蜜ぷに達がとろりと溶けた、あまぁい蜜の香りに鼻先を擽られたなら、申し訳なさより腹ぺこ加減が上回る。そういえば、ちょっとお腹だって空いてきた。
「よぉし! おれ、負けないよ!」
 弾かれるよう、後方へ飛んだカーティスは態勢を整え直して熱線銃を構える。
 ――Blast 'em!
「こいつはちょっぴりはじけるよ!」
『ぷにぃ!?』
 目にも留まらぬ速さで放たれたビームに、蜜ぷにはパチンと弾けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アール・ダファディル
ぷに……ふむ、ぷにがいるなら出向く迄のこと
さて、以前は黄み掛かった個体が美味かったが此度はどうか
美味しい御褒美の為に頑張ろうか、Echo

ロープワーク駆使し編み疑似網の準備
目立たぬ糸と無害な陽動で一網打尽といこう

【錬成カミヤドリ】を用い、
糸の儘動く分身たちと≪彼女≫…Echoをぷにへ向かわせる
我儘な妹がちょっとずつ味見をしたいというからね
無害なぷにはそのままに
攻撃してくるぷには所定の場所に誘導するよう囮の分身を操り動かす
「さあ、Echo。彼等がよく動く美味しそうな個体たちだよ」
罠の糸引き絡まった敵をいとも簡単に生け捕りに
此れだけいれば吟味も楽しそうだ
一体ずつ倒して≪彼女≫の道楽に付き合って貰おう


誘名・櫻宵
🌸フレズローゼ(f01174)と
アドリブ歓迎

うふふ、あたしの日だなんて嬉しいことを言ってくれるわね
フレズと手を繋ぎ笑顔で迷宮を進む
この子の笑顔を守れるようにあたしも頑張って、そしてとびきりのショコラを作りましょ!

まぁ!この子が蜜ぷになのね!
良い蜜がとれそうね、フレズ
あら、まだお預けよ?

フレズを庇いながら前へ出るわ
あなたの鼓舞、受け取ったわよ!
広範囲攻撃やなぎ払いでまとめて斬って
衝撃派を纏わせた刀で斬り裂いて
踊るように見切り攻撃を躱して
『散華』で甘い蜜にしてあげる!

フレズが潰すならあたしは斬るわ
甘い蜜で美味しいショコラにしましょ!

だってあたし
あなたの笑顔がみたいんだもの
だからごめんね
ぷにちゃん


フレズローゼ・クォレクロニカ
🍓櫻宵(f02768)と!
アドリブ歓迎!

バレンタインはチョコの日
チョコと言えばショコラティエの櫻宵の日!ボク楽しみなんだー!
櫻宵にチョコ作り習うのー!

みて!蜜ぷに、うわわー!美味しそうだね!
食べていい?ダメ?
美味しい蜜になるなんて、たくさん倒して集めなきゃ

櫻宵いくよ!
キミがボクを守るならボクはキミを鼓舞しよう
さぁ美味しい色彩に塗り替えよ!
攻撃はオーラ防御や空中戦、見切りを駆使して躱してく

全力魔法の炎で焼き蜜に
2回攻撃や範囲攻撃で踊るように魔法を描いて
櫻宵が斬りやすいようにマヒ攻撃ものせて動きをとめる!

キミが斬るならボクは潰す
dump dump Humpty Dumpty!

美味しい蜜になぁれ!



●激闘、蜜ぷに!!
 バレンタインデーと言えば、やっぱりチョコレートの日。
 そしてチョコレートと言えば――。
「ショコラティエの櫻宵の日!」
「あらまぁ、あたしの日だなんて。嬉しいことを言ってくれるわね」
「だってだって、ボク、楽しみなんだー! 櫻宵にチョコ作り習うのー!」
 好奇心に苺月の円らな瞳をキラキラ煌めかせ、わくわくに乳白色の頬を薔薇色に染めるフレズローゼ・クォレクロニカ(夜明けの国のクォレジーナ・f01174)は、長い階段を今にも鞠のように転げていってしまいそう。でも、大丈夫。少女の手は、しっかり誘名・櫻宵(誘七屠桜・f02768)に繋がれている。
「それならあたしも張り切って準備しなきゃ」
 本日の櫻宵の命題は、フレズローゼの笑顔を守ること――これは今日に限ったことではない――と、美味しいショコラに材料になりそうなとびっきりの蜜を手に入れること。
 そうして迷宮を進んだ星詠みの娘と麗しの人型をとる木龍の青年は遂に出会う、
「櫻宵、見て! 蜜ぷにだよ!」
「まぁ! この子が蜜ぷになのね!」
『ぷにっ』
「美味しそうだね!」
「そうね、良い蜜がとれそうよフレズ」
『ぷにににっ』
「先に味見していい? ダメ?」
「あら、まだお預けよ?」
『ぷににぃいい!!』
 まるで宝の山――もとい、美味なる食材となる蜜ぷにの群れに! そして来るバレンタインデーに期待を寄せる二人には、蜜ぷに達の愛らしさなど関係ない。例えどれだけ可愛かろうが、美味は美味。
「櫻宵いくよ! キミがボクを守るならボクはキミを鼓舞しよう」
「えぇ! あなたの鼓舞、受け取ったわよ!」
 フレズローゼの声に、少女の手をひと時解いた櫻宵が蜜ぷにたちとの距離を一気に詰める。花あかりの淡墨の髪が、さらりと靡く。そうして、一閃。
「舞い散る桜の如く美しく。さぁ、お退きなさい!」
『ぷにぃ!』
『ぷぷぷにぃ』
『ぷにょん』
 不可視の斬撃に、数体の蜜ぷにが弾けて蕩ける。
 ふわり漂う甘い甘い、あまい、花の香り。ともすれば誘われそうになるが、しかしフレズローゼの瞳は迷わない。
「さぁ、美味しい色彩に塗り替えよ!」
 魔法石を砕いた岩絵具で絵を描く少女は、全力で放つ炎で瑞々しい蜜を瞬く間に香ばしい焼き蜜へと変えてゆく。
 舞うように、戯れるように、櫻宵とフレズローゼは蜜ぷに達と相対す。
「キミが斬るならボクは潰す! dump dump Humpty Dumpty!」
 そうしてフレズローゼが一視線。果てに潰れた蜜ぷにを櫻宵は軽やかに超え、歌うように次々に押し寄せる蜜ぷにたちへ告げる。
「フレズが潰すならあたしは斬るわ。甘い蜜で美味しいショコラにしましょ!」
 ――だってあたしが見たいのは、フレズの笑顔。
 だから蜜ぷにたち、ごめんね?

 こうして櫻宵とフレズローゼによる華麗なる戦いが繰り広げられる頃。ほんの僅かに蜜ぷにの山を越えた処でアール・ダファディル(ヤドリガミの人形遣い・f00052)も美味しい美味しい敵たちと向き合っていた――否、無数の蜜ぷに達をすっかり罠へとかけていた。
「さて、以前は黄み掛かった個体が美味かったが此度はどうか」
 大きなリボンが目を惹くテディベアを抱える少年の顔立ちには、未だ幼さが滲む。だのにその唇が紡ぐ言葉は成熟した老人が如く。
 錬成カミヤドリにて生成した分身たちを用い、張り巡らせた糸の檻。弾けさせてしまわぬよう、細心の注意を払って誘導する先には、これまた大きなリボンが飾られたテディベア。
「申し訳ないね。我儘な妹がちょっとずつ味見をしたいというからね」
 ぷに、ぷにっ。
 ぽよん、ぷにんっ。
 威勢よく跳ねる赤と緑の個体に狙いを定め、アールは糸を引き、分身たちを繰り、≪彼女≫――Echoへ捧げる。
「さあ、Echo。彼等がよく動く美味しそうな個体たちだよ」
 蜜ぷにがいると聞けば、出向くまで。
 此れだけいれば、吟味もさぞや楽しかろう。
 ヤドリガミの少年は、ヤドリガミになれなかった双子へ、甘い至福の時を贈る。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

メーアルーナ・レトラント
みつぷにしゃん!!
メア、みつぷにしゃんとははじめましてなのです!
はわわわわ、こんなぷにぽよぷよっ
メアはもふもふはしなれてるけど、このぷににはじょうずにできる…するのです!!

まずはごあいさつ!
はじめまして、メアです!
つんつんぷにぷに、さーせーてっ!
あっ、メアのおともだちもみつぷにしゃんにしょうかいするのです!
ひよこしゃーん!ひよキングしゃんです!
あっあっ、つついちゃだめなのです!
みつぷにしゃんが、みつぷにしゃんがー!
あっ、みつに…ひよキングしゃんもべとべと…
……ちょっとだけあじみ……ひゃあ!あまい!おいしい!
はわわ、これが、みつぷにしゃんの、おあじ…!


フィオリーナ・フォルトナータ
噂には聞いていましたが、あれが、蜜ぷに…
皆様、あのような可愛い生き物をその、討伐…出来るのですか…?(ふるえ)
……い、いえ、学園の平和のために、倒さなければならないことは理解しています。
けれど、でも…、…いいえ、いいえ、わたくし達は猟兵ですから
せめて苦しませずに一瞬で…、……ごめんなさいっ…!

共にいらっしゃる猟兵の皆様と、協力して戦います
トリニティ・エンハンスで自身を強化し、一思いに蜜ぷにの群れをなぎ払いましょう
鳴き声を聞いたら良心が痛むような心地がしそう、ですが、
あなた達を此処から先へ行かせるわけにはいかないのです…!

せめて、せめて蜜で美味しいお菓子を作ってみせます、ので!


エトワール・フィラントゥ
なんということでしょう!ぷにさまが、いっぱい…!
そっと指でついたら、
ぷにぷに?ぷるぷる?…にゃあ、なんと良い香り
もふってしたら、どうなのでしょう…どうなるのでしょう!(そわそわ)

…はっ、そうでした!エトワールはお使いできているのでした
蜜を沢山採ってきてほしいと、頼まれたの
エトワールが、あまーい蜜のお菓子を食べすぎちゃったから…あれ?
(ぷにさまと蜜を交互にみつめて)
…ぷにさまごめんなさい、お、おかくごくださいませっ!

*戦闘
災魔ならば放ってはおけません、うぅ…
外に出そうなぷにさまは、吹き飛ばしで止まって頂いて
あとはひたすらぷるぷるしながら(ふかこうりきなのです)
はたきちゃんで、えいえいってしますわ



●ぷるぷる蜜ぷに!
「なんということでしょう! ぷにさまが、いっぱい……!」
 真っ黒夜色もふもふのケットシーのメイド幼女が肉球ふにふになお手手を頬にぺたんと当てて感極まっていた。
「みつぷにしゃん!! メア、みつぷにしゃんとははじめましてなのです!」
 はわ、はわ、あわわわわわっ。
 ぷにんとぽよんぽよんした桜色の蜜ぷにへ、膝を折って顔を近づけた真っ白な幼女が、耳元から生えた羽をひこひこさせて大きなお目目をキラッキラさせていた。
 そして。
「噂には聞いていましたが、あれが、蜜ぷに……皆様、あのような可愛い生き物をその、討伐……、出来るのですか……?」
 ちったい幼女たちからすると、すっかりお姉さんに見えるミレナリィドールの少女はオールドローズ色の髪をふるふるさせて震えていた。
『ぷにっ!』
『ぷにいい?』
『ぷににっ、ぷに!』
「ぷに、さまっ!!」
「はわわ、ぷよぽよ!! ぷよんぽよんです!!」
「いけません。これは、いけませんっ」
 順にエトワール・フィラントゥ(小さな星・f06523)、メーアルーナ・レトラント(ゆうびんやさん・f12458)、フィオリーナ・フォルトナータ(ローズマリー・f11550)の三人は、蜜ぷに達の魅力にめろめろきゅんきゅん。
 どうやったらこれが倒せるのだろう? いや、これは無理。思わず顔を背けてしまったフィオリーナ対し、幼女二人は我が道を突っ走る。
「もふもふさん! メアはもふもふしなれてるけど、このぷににはじょうずにできるとおもうですか?」
「大丈夫ですよ。ぷにさまはこうやって優しくそぉっと指でつついたら――」
「わかりました。メア、じょうずにできる……するのです!!」
 居合わせた偶然でエトワールから教えを授けられたメーアルーナは、優しく優しく、指先でちょん。そこからさらに、柔らかく指を滑らせ、開いた掌でやんわりと蜜ぷにを包み上げた。
『ぷにん!』
「はうわっ、みつぷにしゃん!! あのですね、あのですね。あ、あ! まずは、まずはごあいさつですよね!! はじめまして、メアです!!」
『ぷにぃい♪』
 小さな手の平から零れ落ちそうになった桜色の蜜ぷにが、ぷよんと震える。あぁ、まるで挨拶に挨拶を返しているようではないか。見守るフィオリーナの鼓動がトゥンクと早さを増す。
「たいへんお上手です! エトワールも……ぷにっ」
 ぷるぷるぷにぷにと蜜ぷにと戯れるメーアルーナを横目に、触れ合い方を伝えたエトワールもそぉっと指を近づける。ただ、うっかり。爪を仕舞い忘れていたのは偶然か、必然か。
 ――ぱちん。
 シャボン玉が割れるのとよく似た音をたて、黄色い蜜ぷにが弾けた。途端、春めいた花の香りが幼女と少女の鼻腔を擽る。
「……にゃあ、なんと良い香り。これは、もふってしたら、どうなのでしょう……どうなるのでしょう!!」
(「きっと大変な事になってしまうと思います……思います!」)
 エトワールの小さな爪にも弾けてしまったのだ。もふっとすれば、ぱちんぱちんの連鎖が起きて、一帯は魅惑の香りに包まれてしまうに違いない。十九年を生きれば容易に想像がついてしまう未来に、フィオリーナの胸はきゅんっとなる。
 可愛いのに、あんなに可愛いのに。美味しくもあるなんて!
 でも、気は確かに保たねばならない。何故ならアレは、あんなにキュートでぷるんぷるんでもオブリビオン。
(「……学園の平和の為に、倒さなければならないことは、理解しています」)
 空色の瞳を苦し気に細め、フィオリーナは意を決す。
 戯れてばかりでは、終わらない。ならば――しかぁし!
「あっ、メアのおともだちもみつぷにしゃんにしょうかいするのです!」
 肩から掛けた大きな郵便鞄を右へ左へと跳ねさせながら、上手に蜜ぷにたちと追いかけっこを始めていたメーアルーナがユーベルコードを発動させる方が一歩先。
「ひよこしゃーん! ひよこさんひよこさん! だいしゅうごうなのです! ひよキングしゃんです!」
 ひよひよ、ひよひよ。
 無数に召喚されたかに思えたひよこ達は、一瞬にして合体し。メーアルーナの身長の2倍はあろうかというひよこキングへと相成った。そしてメーアルーナを背に乗せたひよこキングがとった次なる行動は何か!?
『ぷにににっ!?』
『ぷにいいい!!』
『ぷにぃ、ぷにぃっ』
「あっ、あっ、ひよキングしゃん。つついちゃだめなのです! みつぷにしゃんが、みつぷにしゃんがー!!」
 メーアルーナの意に反し、ひよこキングは蜜ぷに達をつっつき始めたのだ。ひよこだもの。エサは啄みたいもの!!
(「ああ、これもまた、可愛らしい……っ」)
 それでもひよこならではのプリティフォルムもあって、丸いものと丸いものがじゃれているようにしか見えず、フィオリーナはまたしてもきゅんっきゅんっ、きゅんっっ。
「……はっ、そうでした! エトワールも蜜を沢山採ってきて欲しいと頼まれたのでした。 お使いで来ていたのでした。エトワールが、あまーい蜜のお菓子を食べすぎちゃったから……あれ?」
 きゅるるるっとお腹を刺激する香りに、エトワールも現実を思い出し。メーアルーナ――の、ひよこキングが――生成する蜜の大河と、蜜ぷにを交互に眺めて――にこ。いち早く察した蜜ぷにが、ぷにぷにっと回れ右したけど、もう遅い。
「……ぷにさま、ごめんなさい。お、おかくごくださいませっ!」
 アメリカンカールなケットシーがもふもふんっと蜜ぷにの海へダイヴする。ぱちんぱちん、ぷちん、ぷちん。もふってする度、どんどん弾けて蜜になる。ぷるぷるふるふる、もふもふはエトワールにとっても不可抗力!
「そ、そうですね。えぇ、そうですとも」
 幼女たちが作り出すいっぱいの蜜に、フィオリーナは今一度、意を決し直す。
 ただ戯れているだけに見えようと、食べすぎちゃったお菓子の補填のお使いであろうとも――。
「……わ、わたくし達は猟兵なのです」
 そうだ、猟兵なのだ。オブリビオンを屠り、学園を脅威から守らねばならないのだ。どんな相手が敵であろうとも!!
「せめて苦しませずに一瞬で……、……ごめんなさいっ……!」
 すいっと宙を掻く指の動き一つで、フィオリーナは炎、氷、風の魔力を我が身に纏う。特化させるのは攻撃力。蜜ぷに達を恐れさえ抱かせぬ間に、逝かせられるよう。
『ぷに?』
『ぷにに?』
『ぷにい??』
(「――っ!」)
 見つめてくる瞳(っぽいもの)に、異変を察した声(っぽいもの)に、フィオリーナの良心は軋み、足元がぐらつく感じさえ覚える。
 でも、でも。
「あなた達をここから先へ行かせるわけにはいかないのです……!」
「あっ、ひよキングしゃんがみつでべとべと……ひゃあ! あまい!! おいしい!! はわわわ、これが、みつぷにしゃんの、おあじ……!!!」
 途中、蜜まみれになったひよこキングを一拭い、ちょっぴり蜜を味見しちゃって感極まってるメーアルーナの声が聞こえたりしたが。
「甘い蜜のおかしは、とっても美味しいのです」
「せめて、せめて蜜で美味しいお菓子を作ってみせます、ので!」
 にゃーと引っ掻き、えいっと吹き飛ばしては蜜を瓶へと収めていくエトワールの奮戦を傍らに、フィオリーナは一心不乱に蜜ぷに達を掃討するのであった。まる。ぷにぃ!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

泉宮・瑠碧
※ハ禁

…何度見ても、可愛いものは可愛いな
花に関係があるだけでも、何となく

暫く、見切りで避けたり
精霊の守護によるオーラ防御で防ぎつつ
蜜ぷに達を和んで眺める
大丈夫なら、少し触ってみたいが…嫌がるか?

…本当はあまり倒したくは無いが
放っておく訳にもいかないからな…すまない

主は精霊祈眼
氷の精霊へ願う
蜜ぷに達を氷へ閉じ込めて、そのまま眠れるように…
風の精霊へ
冷気を運んで、彼らの足を止めて

合間に
杖を弓へ変え援護射撃
射った水の矢を宙で分散させ範囲攻撃

…いや
オブリビオンだと分かっているが、可愛いから辛い…
ああ、聞き慣れないせんちめんたるとは
つまり感傷的という事か、把握した
…軽い現実逃避を挟むが、すべき事はするぞ


チロル・キャンディベル
蜜ぷにさん、あそびましょー
ころころぴょんぴょん、かわいい…

ぷにぷに、つつくのはもうやったことあるから…別のこと…
あ、でもあのみわくのぷにぷにはもう一回
蜜ぷにさん、つんつんしていい?
ぷにぷに…お花のかおりもしてとってもしあわせなのー!
蜜ぷにさん、お花がすき?
チロもお花だいすきなのー、いっしょね
何のお花がいちばんかしら?どの蜜がおいしい?
つつきながらおしゃべりしたいの

やっぱり1匹つれて帰りたい!
どうにかしてできないかしら?
…なんて考えてたら、やっぱりまじめにやれってソルベ(白熊)におこられちゃった
そうよね、かわいくてもダメよね…
最後はあきらめて、エレメンタル・ファンタジアの氷でこおらせちゃうのー


深青・祁世
※皆との絡み、アドリブ、はっちゃけ歓迎☆

深く考えたら負けな気がするのよね~
罪悪感とか愛くるしさに

それに
ほら
一度やってみたかったのよ
良い香りのお風呂とか
ボールの海にダイブする奴

同情心なんてないわよ
私は私が一番可愛いから!
幾らあいつ等が
うるうるっと純粋な目をしていても!
私は!
私が一番!
可愛…ちょ、何で甘えてるの!?
(摺り寄り見上げて来る蜜ぷにに震える)

しゃがんで
ぷにっとほっぺを突けば解けていく脆さ
ほんのり笑って
だめだめと首を振る

アンタ達は様々な色があるのね
菫に薔薇に露草に…季節の花の味がするのかしら
色別に保存出来たら良いわねぇ

花蜜壜に「おやすみ」のキスをして懐に仕舞う
後できっと美味しく食べるからね



●せんちめんたる蜜ぷに
『ボクダッテヤレルプニ!』
『プニニ、ぷにぃ!』
 ガーベラに似た濃い橙色をした蜜ぷにが、気合を入れてぷにっぷにっ。すると何処からともなくアヤメの色を写したような蜜ぷにがぽよん。
 タイヘンダァ、タイヘンダ!
 僕ラノ邪魔ヲスルヤツガイル!!
 ……なんてことまで考えているかは不明だが。ぷよんぷよん、ぽよんぽよん、上層を目指そうと飛んで跳ね、跳ねては跳ぶ蜜ぷに達を、泉宮・瑠碧(月白・f04280)は淡い青に色付く髪を躍らせ躱し続ける。
 何とも可愛らしい生き物だ。
 時間が許す限り眺めて和んでいたい。
 感情の起伏が緩い眼差しに、ほんのりとした熱が篭る。叶うなら、本当は。少し触ってみたいのだ。けれど。
(「嫌がりは、しないだろうか?」)
 生真面目な性が先に立ち、少女はなかなか前へと踏み出せずにいた……の、だが。
 どすん、どすん、どすん。
「蜜ぷにさん、あそびましょー!」
 不意に吹き渡った新緑の風の如く、大きな白熊に乗った小柄な少女――チロル・キャンディベル(雪のはっぱ・f09776)が颯爽と前線へと飛び込み、瑠碧の概念を根底から覆す。
「えぇと。チロ、ぷにぷにつつくのはもうやったことがあるから……別のこと……」
 えいっと白熊――名はソルベ――の背から飛び降りた人狼少女は、アヤメ色の蜜ぷにの前にちょんと立ち。人差し指を頬にあてて、うーんと真剣に考え込む。そうして暫し思考を巡らせ、答えに至ったのかチロルは顔を輝かせた。
「あ、でもあのみわくのぷにぷにはもう一回。蜜ぷにさん、つんつんしていい?」
 膝を折って、小首を傾げ。チロルは蜜ぷにへ問う。然して蜜ぷにの応えは。
『ぷにぃ!』
「やったぁ! 蜜ぷにさんありがとう!!」
 その、『ぷにぃ』の意味が何だったのか。瑠碧には分からない。分からないけれど、眼前で繰り広げられる光景は和みそのもの。愛らしい少女が、ぷにぷにの蜜ぷにとぷにぷに戯れているのだ。
 ほんのちょっぴり、柔らかい蜜ぷにの表面が弾けぬように。チロルは上手に蜜ぷにをぷにぷにつつく。だけどその度、少しずつ蜜が漏れ出すのだろう。周囲は甘い花の香りで満ちてくる。
「ふふ、ぷにぷに。お花の香りもして、チロとってもしあわせなのー!」
 いや、傍目には見守る光景の方が幸せだ。
「ねぇねぇ、蜜ぷにさんはお花が好き?」
『ぷにに!!』
「やっぱり、そうよね。チロもお花だいすきなのー。いっしょね」
 意思を通わせるように見える少女と蜜ぷに達は、まさに陽だまりの花園。そこで瑠碧は、あぁ、と短く息を零した。
 幾度見ても、やはり蜜ぷには可愛い。可愛いものは、可愛いのだ。
 花に関係あるだけでも、何となく――。
「はぁい、ダメダメ。そこでおせんちになってちゃダメよぅ?」
 しかしここは迷宮。突然何が起きるか分からない。しかも原因はオブリビオンだけに非ず!
「ステキな香りに釣られてきたら、ちっちゃい女の子と蜜ぷにちゃんが戯れる様子をぼんやり見守る少女が一人。ダメよ、ダメダメ。深く考えちゃダメなのよ。深く考えたら負けな気がするのよ! 罪悪感とか、愛くるしさに!!」
 割って入った声に、瑠碧はゆっくりと瞬く。言葉遣いは、女性。だが響きはれっきとした男性。あと、外見もしっかりチャラ男(強調)。
「それにほら。私、一度やってみたかったのよ。よい香りのお風呂とか。ボールの海にダイブする奴」
 ――深青・祁世(遥かなる青・f13155)。年齢二十歳。バレンタインデーで+1。性別はきっちり男性。オネェなのは口調だけ。姉御肌でもあるけれど。
「同情心なんて私にはないわよ。だって私は私が一番可愛いから! 幾らあいつ等がうるるっと純粋な目をしていても!」
 祁世、ツラツラと訴える。蜜ぷになんて怖くない。怖くないったら怖くない。
 が、しかし(二重否定)。
「おにいさん、蜜ぷにさんきらい?」
「はうあっ」
 溶けたアイスクリームを匙で掬い上げるよう、チロルに「はい」っとアヤメ色の蜜ぷにを渡されて祁世、仰け反った。
「蜜ぷにさん、お花だいすきって。このこは、アヤメの蜜が一番おいしいってチロに教えてくれたよ?」
 ぷにぷに、ぷにぷに。チロから託された蜜ぷにが、祁世をよじ登っていく。よじ登って、ぷるぷるぷにぷに――。
「ちょっ、何で甘えてるの!? やめなさい、やめなさいってば……――」
『ぷに☆』
「――!!!!」
 頬に、ぷに。そこで、祁世の心が折れた。いや、折れたのではなく。やんわりと――敗北した。
「あぁ、もう。ダメね。アンタ達は様々な色があるのね。菫に薔薇に露草に……季節の花の味がするのかしら」
 一度絆されてしまえば、もうダメだ。ゆるゆると首を振って、祁世は愛らしい蜜ぷにへ敗北を認める。
 その仕草を、瑠碧は尊いと思った。美しいと思った。願わくば、ずっとずっとこのままで……なんてのは当然、問屋が卸さない。
「ねぇ、ソルベ。チロ、やっぱり一匹つれて帰りたい! どうにかできないかしら?」
『――!!!』
 ダメ、無理。それは、敵。
 ここまでじーっと我慢してきたソルベの堪忍袋の緒がぷちん。ちょっぴりオコな円らな白熊の瞳がじぃいいっとチロルへ訴える。
 無闇に生き物は連れて帰ってはいけません。
 ――と、言ったかどうかは定かじゃないが。ソルベに叱られ、チロルはしゅん。同時に、猟兵の責務を思い出す。
「そうよね、かわいくてもダメよね……」
 ここはきっちりお仕事をしなくちゃ。
 幼子のいじらしい決意に、瑠碧も己を鼓舞し、心の中で精霊へ唱う。
(「どうか、力を貸して……この願いを聞き届けて」)
 訴えかけるのは、氷の精霊。この愛くるしい蜜ぷにたちを氷へ閉じ込め、そのまま安らかに眠れるように。
「風の精霊も、お願い。冷気で彼らの足を止めるんだ」
 オブリビオンだと分かっていても、辛いものは辛い。
 この胸が締め付けられるような感覚がきっと、聞き慣れない『せんちめんたる』。
 そうしてぷにぷに消えていく蜜ぷに達を、祁世はそっと硝子の壜に丁寧に丁寧に集め、「おやすみ」の口付けをしてから懐へ仕舞う。
 ――待っていて? 後でちゃんと、美味しく食べるからね。

「あ、その小壜もかわいいー! チロにも後で一つくださいな」
「えぇ、勿論よ。白クマさんも、これなら許してくれるでしょ?」
『(ソルベ、こくこく)』

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

エール・ホーン
【イクス(f01775)】君と!
わあっ、これが噂の!
ぷにぷに、かわいい……!
ぷにっ、ぷにぷにっ!ってごあいさつ!
ふふ、こんにちはって通じたかな?

あっ、そうだったね!?
お友達になりにきたんじゃなかった……
ボクらは、敵同士……(崩れ落ちる)

イクス君の言葉にこくこく頷き
彼の言葉をぷにくんたちに伝えようと
ぷに語に翻訳(したつもり)でぷにぷに喋る

イクスくん、何だかボク、あまぁい香りに
ふわふわしてきた……(よだれが零れそうになる)

ぷにちゃん、ごめんね
ボクたち、お友達にはなれないけれど
おやつのお供にはしてあげられるから!(きりっ)
たっぷりかけて、おいしくたべるからね……っ
そうしてガチキマイラでかぷり……!


イクス・ヴェルデュール
【エール(f01626)】と

多分通じてるとは思うけどよ、
仲良くしとくとあとでしんどいぜエール…
そう、なぜなら俺等は敵同士
どんなに可愛くたって共には歩めねぇんだ…

…そんな目でみるなって?!
俺だって出来るなら見逃してやりてぇけど、
お前らそんな形でも立派に災魔だろ!
野放しにはしとけないの、分かる!?
これ以上俺の罪悪感を刺激すんなー!

…鬼…、俺は今鬼になったから
お前らの声は聞こえません!そんな顔しても無駄!
大人しく俺のパンケーキのお供になってくれ…!!

甘い香りにお腹の虫を擽られつつ、手にした深森の牙でぐさり
数が多い時はエレクトロレギオンでひとおもいに

…って今食べるなよ!?ちょ、エール?!聞こえてる!?



●誘惑の蜜ぷに!?
「!!!!! こ、これが、噂の!!」
 世界に散らばる春を集めて宝石にしたようなエール・ホーン(ドリームキャスト・f01626)の瞳が虹色に輝いた。
『ぷにぅ』
『ぷにに?』
『ぷにい!』
 お団子状に重なった三体が、振り子みたいにゆーらゆら。合わせてゆるーい蜜ぷに達の表情もぷにっぷに、もにゅう。
 ――正直、堪らなかった。
「噂の、ぷにぷに……ぷにぷに、か、わ、いい……!」
 堪らな過ぎて、エールは蜜ぷに達へ駆け寄り――、
「ぷにっ、ぷにぷに!」
 親愛の情いっぱいに、ぷに語(?)でご挨拶。そして「こんにちは」の意を込めたそれに、蜜ぷに達も『ぷに!』『ぷにぃ!』『ぷににににに!』。
「すごいよ、イクス君! ふふ、通じたかな? 通じたかな??」
「……多分、通じたんだとは思うけどよ……」
 頗る微笑ましい光景。なれどエールに振り返られたイクス・ヴェルデュール(春告のひかり・f01775)はちょっぴり渋面。
 いや、だって。
「仲良くしとくとあとでしんどいぜエール……」
 そうなのだ。蜜ぷにとエール達は敵同士。
「どんなに可愛くたって共には歩めねぇんだ……」
「!!! そ、そう、だった。お友達になりにきたんじゃなかった……ボクらは、敵、同士っ」
 思い出してしまったツライ現実に、エールの膝がかくりと崩れ落ちる。ついでにふわふわな大きい耳もぺしょんと項垂れる。
 それを蜜ぷに達はイクスがエールをいぢめたとでも思ったのだろうか。じとぉとイクスへ責める視線。
「……そんな目でみるなって」
「ぷにぷにぷ!」
 ――じぃ。
「俺だって出来るなら見逃してやりてぇけど」
「ぷぷぷ、ぷにぷにぷっぷっぷっぷ」
 ――じいいいい。
「野放しにはしとけないの、分かる!?」
「ぷにっに、ぷにに、ぷぷぷににー!?」
 ――じいいいいいいいい。
「これ以上俺の罪悪感を刺激すんなー!」
「ぷっぷぷぷー、にににいーー!」
 イクスは誤解を解こうと必死に訴えた。身振り手振りも交えて訴えた。因みに、合間に入ったぷにぷには、蜜ぷに達じゃなくてエールのぷに語翻訳(つもり)。
 だが思い出して欲しい。イクス達がこの迷宮へ至った理由を。そうだ、蜜ぷに達を倒しに来たのだ。それなら誤解を解く必要なんてなくない? さくっと倒してしまえばよくない??
 なんて無情な天啓がイクスに降りたか否かは定かではない。けれど続く蜜ぷに達の『じいいい』攻撃に、イクスの何処かで何かがぷちんと音を立てた。
「……鬼……」
『……ぷにぃ?』
「……俺は今、鬼になったから」
『ぷに!?』
「あーあーあーあー! お前たちの声は聞こえません! そんな顔をしても無駄!」
 開き直ったという宣言の割に、事態を悟った蜜ぷに達が逃げ惑うのを眺める明るい緑のイクスの瞳は森のざわめきのように揺れる。「大人しく俺のパンケーキのお供になってくれ……!!」という訴えの語尾にも哀惜が滲んでる。
 ――されど、彼を襲う真の混迷は『コレ』ではない。
 神経毒を刃先に仕込んだ淡い翠の長槍で一突き、二突き。蜜ぷに達が弾けて変わった蜜の香りにお腹の虫を擽られつつ、懸命にオブリビオン達を屠り続けた彼が見たものとは――。
「イクスくーん……えへへ、ボク。何だかあまぁい香りにふわふわしてきた……」
『ぷにっぷ!?』
 先ほどまでの蜜ぷに達との親密ぶりは何処へやら。香しい花の蜜の香りにエールは半ば酔っ払い状態。あと、よだれも零れそうでヤバい。
「ぷにちゃん、ごめんね。ボクたちお友達にはなれないけれど。おやつのお供にはしてあげられるから!」
 無駄にきりっと宣誓して、エールは肘から先をライオンの頭部へと変異させる。
「たっぷりかけて、おいしくたべるからね……っ」
「……って、おいエール! 今食べるなよ!? ちょっ、エール!? 聞こえてる???!!?」

 この後、迷宮内に響き渡った悲鳴(?)が、蜜ぷに達のものであったのか、そうでなかったかは、イクスのみぞ知る。乙!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ジゼル・スノーデン
【wizで行動!】
みつぷに!わたしの好物なんだ!みつぷに!ぷにー!
あ、頭から丸かじりはしないからそんな引かないで……
あ、でもでも!
今一番好きなものと聞かれたらみつぷに!って答えるぞ!もしかしたらこれが恋なのか?
だとしたら甘い恋だな!え?ちがう?

しかし、こんなかわいいみつぷにを倒さなきゃいけないなんて、いつもながらせつない。
でも、ガイストの炎でこんがりするとこんがりちょっと香ばしい蜜になるのも知ってる。おいしい。
そして合体させるとぷよんぷよんのカラフルぷにぷにになるのも知ってる。かわいい。
むしろ作りたい、カラフルぷにぷに。そして食べたい

倒したあとの蜜をつまみ食いして、ふあああ、あまーい!


都槻・綾
※絡み、アドリブ歓迎

「可愛いは正義」は
「美味しいは正義」へと
昇華されるのであった

大丈夫
寂しくないですよ
ぷに達は馨しき花蜜になって
私達の胸(と腹)を幸せで満たしてくれることでしょう
(ナレーション風)

愛らしさを討つ罪悪感に
誰かが苛まれる前に
範囲攻撃、2回攻撃を駆使して
ぷににっと一網打尽にしてしまいましょう

きらきらで綺麗ですねぇ
其々
花の種類も味わいも違うのでしょうか

硝子瓶に集めて光に翳せば
とろりと魅惑的で美しき煌き
香炉に入れたら流石に他のものが全滅してしまいますね
と笑って蓋をする、…その前に、
…味見しても許されますか?

さて、黒幕?を倒しに向かいますよ
きりと顔を引き締めた口元に
蜜が光っているとか何とか


バレーナ・クレールドリュンヌ
【心情】
蜜ぷに……どんな味がするのかしら?気になるあの人は気に入ってくれるかしら?
(採取したいみたい)

【戦闘?】
ぷにぷにがたくさん集まってきたら、始めましょうね。
いつもお世話になってる荒事担当の2人(UCの召喚された奴)に頑張ってもらって、私はその間に蜜ぷにのレシピを考えていましょう。
「パンケーキに乗せても美味しいなら、きっとおもちに乗せるのも美味しいはずよね……」
しばらく思案しながら、閃いて。
「ハニーすあまトースト……!今年はこれね……」(自信満々)

採取が失敗したら、すごく落ち込みますが、成功したらなぜかすごくいい笑顔で、今回のミッションクリアしたような顔をしてます。

●アドリブ絡みOKです。


鴛海・真魚
ぷにぷにしていてとてもかわいいの。
これなら私でも戦える気がするわ。
でも、やっぱり心配だから素敵な人……一緒にお願いね?
サモニング・ガイストで騎士を召喚して彼を盾に戦うわ。

んんんん、かわいい……!
噂には聞いていたけれど、とても可愛すぎて……。
素敵な人、貴方もそうおもわない?
ああっ……ぷにぷに攻撃だなんて卑怯よ…!
これじゃあなすすべもないわ…!

素敵な人……私の代わりによろしくね…。
私は……深呼吸をしてから衝撃波で後ろから攻撃するから…。
ううっ、素敵な人こんな私を許してほしいの。


スワニルダ・ロトゥンハート
【WIZ】
えっめっちゃ美味しそうじゃない!?
食べてもオッケーなのかしらアレ!
あっ倒してから? そうよね……そっか……

って事ならさっくり倒して美味しい蜜になって頂きましょう!
いらっしゃいなあたしの可愛いレギオンたち!
んふふ蜜ぷにちゃんたちも可愛いんだけどね、
アナタたちにはあまーくて美味しいおやつになって貰うのよ
あたしがそう決めたの! そうするの!
――ね、名案でしょう? そうよね、そうに決まってるわ

にま、と笑んで機械兵を召喚するわ
たぁくさんいるでしょう? そうよ逃げ場なんてないの!
大人しく斃されちゃって頂戴ね



●斯くして蜜ぷに達は沈黙する(かっこよく言った風)
 極彩色にプリズムをちらちら瞬かせ、電子のちょうちょ――スワニルダ・ロトゥンハート(墟・f11362)はUDCアースの女子高生もかくやとテンション高く宣った。
「えっめっちゃ美味しそうじゃない!?」
『ぷ、ぷ、ぷ、ぷぅッ!?』
 自分たちにも劣らぬ――と、蜜ぷに達が自覚してるかはさておき――愛され要素満載の少女の、いきなりのご挨拶に蜜ぷに達が波が引くようぷるんぷるんっと後退る。
 しかし蜜ぷに達を襲う恐怖はスワニルダだけではない。
「ねぇねぇ、食べてもオッケーなのかしらアレ!」
「大丈夫大丈夫! みつぷに、わたしの好物なんだ! みつぷに! ぷにー!」
 これまた誰かの憧れが詰め込まれたみたいな海色の人形少女、ジゼル・スノーデン(ハルシオン・f02633)のいきなりの熱烈すぎるラブコールに蜜ぷに達はじりじりと後退を続け――ジゼルに気付かれた。
「あ、頭から丸かじりはしないからそんなに引かないでも……」
 いや、そこは引かずにおれない。
「え? 丸かじりは駄目なの? 倒してから? そうよね……そっか……」
 でもテンションがた落ちなのが分かるくらいスワニルダにがっかりされると、申し訳なくもなってくる。
 蜜ぷに達は今、盛大に迷っていた。
 彼女らと戯れるべきなのか、はたまた本能の命ずる儘に退散すべきなのかを。
 ぶっちゃけると、答えは明らかに後者である。それでも蜜ぷに達は決断しそびれた。だって――。
「あ、でもでも! 今一番好きなものと聞かれたら『みつぷに!』って答えるぞ! もしかしたらこれが恋なのか?」
「恋なの? それはステキ!」
「いや、もしかしたらちがうかもしれない?」
「そんなことないわ! きっと恋よ。愛のトキメキよ!」
 箸が転がってもおかしいお年頃とはよく言ったものだ。
 ヤドリガミたる都槻・綾(夜宵の森・f01786)は、記憶の隅をつついて元の香炉によく似た青磁色の双眸を猫のように細める。
 かしましくもある少女らの熱烈――方向性はさておき――なラブコールに、蜜ぷに達も悪い気はしてはいないのだろう。多分。
(「愛らしさを討つ罪悪感に誰かが苛まれる前に、と思っていましたが。要らぬ心配だったようですね」)
 長じた男には、この後の展開がだいたい読めていた。
 なんだかんだで、彼女らは進んで蜜ぷに達と刃を交えるだろうと。
「しかし、そうなると。みつぷにたちを倒さなきゃいけないのが、つらいな。いつもいつもこのかわいさに、胸がせつなくなっていたんだ」
「そういう事なら、さっくり倒して美味しい蜜になって頂きましょう!」
「そうか! そうだな! そうだ、ガイストの炎でこんがりするとちょっと香ばしい蜜になるんだ。これも美味しいぞ」
 ……案の定である。
 さらば蜜ぷに。
 可愛いは正義、は。美味しいは正義に昇華される運命。
 大丈夫。寂しくはない。
 ぷに達は馨しき花蜜になって私達の胸(と腹)を幸せで満たしてくれることでしょう――以上、綾の心の声(なれーしょん風)。
『ぷにっ』
『ぷにに!!』
『ぷにぃい!!』
 遅ればせながら決断した蜜ぷに達がぽよんぽよんと身を翻す。しかしそこには既に新たな人影がふたぁつ。
「んんんん、かわいい……! 噂には聞いていたけれど、とても可愛すぎて……。素敵な人、貴方もそうおもわない?」
 まずは、ひとつめ。ジゼルとも親しき鴛海・真魚(恋心・f02571)。
「ああっ……ぷにぷに攻撃だなんて卑怯よ……!」
 透き通るクリスタリアンの女性はサモニング・ガイストで召喚した『素敵な人』と呼ぶ騎士を傍らに、流れる水のごとき肢体で見悶える。
 ぷにぷにして、とてもとてもかわいいから。これなら真魚も自分で戦えると思って迷宮へ参じてみたけれど。けれども、これは。これは!
「これじゃあなすすべもないわ……! 素敵な人……私の代わりによろしくね……」
 やっぱり無理。こういうこともあろうかと念の為に素敵な人を召喚しておいて真魚、大正解!
 そしてもうひとつの方は。
「後は……お願いね……?」
 ぽややん、ふにゃん。
 現と夢の狭間を揺蕩うように謳う人魚――バレーナ・クレールドリュンヌ(甘い揺蕩い・f06626)。
 果たして蜜ぷにとはどんな味がするのだろう?
 抑えきれない興味に導かれ迷宮へと至ったバレーナは、白銀色の髪をふるりと波立たせて戦いの行方を召喚した死霊騎士と死霊蛇竜に委ねる。
 で、本人がすることはというと。
「パンケーキに乗せても美味しいなら、きっとおもちに乗せるのも美味しいはずよね……」
 ――蜜ぷに……どんな味がするのかしら?
 ――気になるあの人は、気に入ってくれるかしら?
 白皙の肌がほんのり内側から輝くように、乙女の裡にあるのは秘めた悩み。然して泡沫に還ることなき人魚の頭は、採取した後の蜜ぷにレシピでいっぱいだ。
「ねぇねぇ、もう十分待ったよね? 遠慮は要らないのよね? 蜜ぷにちゃん達には美味しい蜜になって頂いちゃっていいのよね!」
 刻む時にすれば、ほんの僅か。けれどタイミングをずらされた乙女にとっては、無限に等しい一瞬。既に前のめりに構えたスワニルダは、高らかに――笑う。
「アナタたちにはあまーくて美味しいおやつになって貰うのよ。あたしがそう決めたの!  そうするの――ね、名案でしょう? そうよね、そうに決まってるわ。いらっしゃいな、あたしの可愛いレギオンたち!」
 にま、と。口の端だけを吊り上げる爛々たる笑みは、まるで小悪魔。
 そしてスワニルダが喚んだ機械兵器たちが蜜ぷに達の海へ飛び込んだのが、終焉の始まり。
「待って、待って。合体させるとぷよんぷよんのカラフルぷにぷにになるんだ」
「……え? それだと蜜も、カラフルになるのかしら……?」
「きっとそうだよ。かわいいし! あと、絶対美味しい!!」
「それなら……メニューは……」
「もう無理! たぁくさんいるから、少しくらい倒しちゃっていってもいいでしょう? 逃げ場なんてないんだし! ねぇ、ねぇ。だから大人しく斃されちゃって頂戴ね!」
 ぷにっ、ぷにっ、ぷにに、ぷに。
 ぽよん、ぱちん、ぱちん、ぷよん。
 スワニルダの繰る鋼の戦士の動き一つに蜜ぷにが弾け、待って待ってとカラフル蜜ぷにを求めてジゼルが右往左往する一歩で、また弾け。バレーナの脳裏にメニューの影がぼんやり浮かぶ度に、蜜ぷにたちが蜜へと変わる。
「ああ……皆さん、早い……でも、やっぱり私には無理……。素敵な人……お願いね……。私は……深呼吸をしてから衝撃波で後ろから攻撃するから……」
 ううっ、素敵な人。こんな私を許して欲しいの――なんて焦れ焦れしてる真魚もしっかり蜜ぷにたちを倒していってる。
 紅色の蜜ぷには、紅色の蜜へ。黄色い蜜ぷには、黄色い蜜へ。青は、青へ。翠は、翠へ。
 きらきら、きらきら。虹色の蜜が弾け飛び、濃密な花の香りが迷宮内に満ちていく。
 くらり酔ってしまいそうな甘やかさを、けれど綾は悪戯な微笑で堪能する。
 彩の一つ一つ、味わいが違うのだとしたら。そのまま楽しむも、混ぜて楽しむもそれぞれ趣深い。
「綺麗ですねぇ」
 逞しくも美しい女性たちの奮闘を陰ながら支えつつ、綾は蜜を封じた硝子瓶を光に翳して吐息を香らせる。
(「香炉に入れたら流石に他のものが全滅してしまいますね」)
 とろり、魅惑的で蠱惑的な煌めき。
 蓋をしてしまうのは勿体なく。後、拭いきれぬ興味に綾は蜜を一掬い――、
「一人でつまみ食いはずるいのだ! 私にも、私にも!」
「おや、気付かれてしまいましたね。えぇ、勿論ですよジゼルさん」
 しようとしてジゼルに気付かれ、無駄遣いなほどの笑顔と共に一足早い甘い幸福に身を浸す。
 そうして殆どの蜜ぷにが片付いた頃。
「……! そう、だわ……ハニーすあまトースト……! 今年はこれね……」
 バレーナがきっと他の誰も思いつかないだろうメニューを脳内で自信満々爆誕させたのであった。

 ――……え?
 ハニーすあまトースト……って、何????

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『迷宮ショコラティエール』

POW   :    チョコレート・ソルジャーズ
レベル×1体の、【頬】に1と刻印された戦闘用【チョコレートで出来た兵隊】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
SPD   :    チョコレート・コーティング
【溶かしたチョコレート】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    チョコレート・グラフティ
【溶かしたチョコレート】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を自分だけが立てるチョコの沼にし】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠御剣・誉です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●怒れるちょこ・ちょこ・ちょこれーと!
 ぷにん、ぽよん、ぷに、ぷに。
 枯れぬ泉が如く迷宮のそこかしこを埋め尽くしていた蜜ぷにたちは、ついに猟兵達によって退けられた。
 残された空洞には、噎せ返るような甘い甘い花の香りが未だ漂う。
 それが、彼女には許せなかった。
 なぜ、なぜ、どうして。
 花の香りなのか。
 甘い香りは、チョコレートの特権。
『いえ! チョコレートは全てに勝る! 人々はチョコレートを愛し、崇めるべきなのよ!!』
 一時の安堵に胸を撫で下ろした(あるいは、採取した蜜のつまみ食いに勤しんでいた)猟兵達の耳に、迷宮の更なる奥から怒気を孕んだ声が届く。

『それなのに、それなのに! なぜ、花の蜜!!』
 こつり、こつり。
『揃いも揃って、そんなものに魅了されるだなんて!!!』
 こつり、こつり。

 石畳に靴音が一つ歌う度、怒りは膨れ上がり。

 こつん。

 最後の一つが響き、猟兵達の前へその姿を現した直後、頂点に達して爆発する。
「チョコレート以外を愛でる……いいえ、口にする者はわたしが許さないわ。まぁ、恋する乙女には少しくらい優しくしてあげてもいいけれど」
 ――だって恋する乙女にチョコレートはつきものだもの!
 思い込みを決め付けで言い放ち、甘くてビターなチョコレートの香りを全身に纏ったオブリビオン――迷宮ショコラティエールは怒りのカーテシーで蜜ぷに達の残り香を吹き飛ばした。

 他の何も許せない程、迷宮ショコラティエールはチョコレートに狂う。
 猟兵たちは、正義のままに力をぶつけるのもいい。
 だが、戯れに言葉を紡いでみるのも良いかも知れぬ。
 甘い香りの攻防戦。
 それはある意味、恋の駆け引きにも似て――???
カーティス・コールリッジ
おねえさんが、このせかいをお菓子の国にしようとしているの?

チョコレートおいしいよね、おれもだいすき
おれの船では、物資のなかでもとびきり貴重なんだ
だからその提案は、とっても、とっても『みりょくてき』だけど……

でも、だめ!

そんなにたくさん食べたらみんな虫歯になっちゃうよ
オペはとびきり痛くて、おとなだって泣いちゃうんだって!
だから……だから、おれはおねえさんを止めなきゃだめなんだ

バトル・インテリジェンスで能力を底上げ
兵隊を撃ち抜き仲間が彼女と戦いやすいよう援護射撃
彼女の腕を狙ってチョコの弾丸を弾き飛ばそう

"Fire at will!"

あまいものはみんなをしあわせにするためのものだよ
ね、そうでしょう?


イクス・ヴェルデュール
【エール(f01626)】と

お、おう!
美味しく食べられて良かったな!(渾身の笑顔)

恋する乙女…
…よし!ここは頼んだぜ……って何で俺?!
いやちょっとまってエール
少し俺に考える時間を…だめだ全く聞こえちゃいねぇ!

…あーもう!わかったよ!やるよ!
これも仕事だからな…!(どうしてこうなった)

わ、私花蜜を使ったチョコをあの人に渡したくて…
あの人は花が好きだから、少しでも喜んで貰えたらって…
だからエールに頼んで遙々ここまでやってきたのに…

同情を誘う様に涙目で訴え
…なぁ、これ騙されるヤツいるの?

一握りの罪悪感をまたも抱えながら
恋もしてない男ですまん!許せ…!
可愛げもなくエレクトロンレギオンをどどんとお見舞い


エール・ホーン
【イクス(f01775)】君と!

おいしかったね、イクス君
えっと…恋する乙女…?
どうしようイクス君
ボク、まだそうゆうのってよく分からなくって優しくして貰えない…
イクス君は恋、したことある…?
(はっと思い付いた様子で)
イクスくんなら可愛いし
優しくして貰えるかも!
名付けて恋する乙女イクス姫大作戦!

イクス姫は一国のお姫様…(演劇風に)
愛する相手とは結ばれない運命
それでも健気にチョコを作ろうとこうやって…
今はお忍びの旅の途中
ボクはそんな愛らしい姫にお仕えする白馬さ♪(えへん

イクス姫、かわいい…!
あ、えと!できた隙は逃さずに
騙してごめんね
イクスくんは、本当は恋する男の子です!
そして一角獣座流星群でどーん!


海月・びいどろ
恋とは、どんな味だろう。
もしかして、チョコレート味、なのかな…。
あまい匂いをまとったら、おいしそうで、みんなに食べられてしまわない?
……おんなのこ、って。難しいんだね。

言いくるめ、というよりは言葉遊びの時間稼ぎ。
ううん、本当は、どうしてそれがすきなのか、知りたいの。

ふわふわ、ゆらゆら。
海月の人形を遊ばせて、フェイントを仕掛けたり
熱々のチョコレートが飛んできたら、力を抜いて
ーーいただきます。

海月のくちにもらったら、キミにもお返しするね。
恋する乙女には、チョコレートはつきもの、…でしょう?

キミに贈るのは、ピリリと刺激的。
マヒ攻撃を効かせて、どうぞ、召し上がれ。



●姫と白馬と、ふたりの子供
「わ、私はっ。ただ、花蜜を使ったチョコをあの方に渡したくて……」
「哀れイクス姫。一国の姫君たる『彼女』は、愛する相手とは結ばれない運命にあったのです」
 綻ぶ間際の桃花の蕾を思わせる春色の髪を切なげに震わせる人へ、四枚翼の一角獣が励ますように懐く。
「でも、でも。あの人は花が好きだから。少しでも喜んで貰えたらって……」
「だからこそ健気な姫はチョコを作ろうと、こうやって……えっと、あ、そう! 今はお忍びの旅の途中なのです」
「ああ、エール。エール。私の頼みに応えてくれてありがとう。そして無事にチョコを完成させられる時までよろしくね?」
「……イクス姫、かわいい……!!!!!」
「…………えっと、えっと?」
 ショコラティエールの今の気持ちを代弁するならば、それは間違いなく『ぽかーん』。つい先ほどまで燃え盛っていた怒りも忘れて、ただただ『ぽかーん』。
 だって対峙した猟兵のうち二名――イクス・ヴェルデュール(春告のひかり・f01775)とエール・ホーン(ドリームキャスト・f01626)が余りに予想外の行動に出たからだ。

 ――恋する乙女……?
 ――乙女! ならここはエールの出番だな。
 ――……えっと、どうしようイクス君。ボク、まだそうゆうのってよく分からなくって優しくして貰えない……(ふわふわ耳ぺたしゅーん)。
 ――(イクス、真剣に考え込む顔)。
 ――ねぇ、イクス君。イクスくんは恋、したことある?
 ――(続・イクス真剣に考え込む顔)。
 ――!!!!!(エール、妙案が思い浮かんだ顔)。
 ――!?(イクス、何か不穏な気配を察した顔)。
 ――そうだよ! イクスくんなら可愛いし、優しくして貰えるかも!
 ――はぁああ?? いや、ちょっとまってエール。少しオレに考える時間を……。
 ――名付けて恋するイクス姫だいさくせ~ん!
 ――聞いちゃいねえええええええ!!!

 ……と、まぁ。放ったチョコレート兵士の攻撃の合間を縫って、こんな面白茶番が繰り広げられた結果、更なる茶番――ではなく、イクス姫と『彼女(強調)』に使える白馬の物語が始まったのだ(なお、白馬エールはナレーションも担当)。
 これでぽかーんとなるな、というのがまず無理。無理。120%不可能。その証拠に、
「え、え、えっと。このおねえさんが、このせかいをお菓子の国にしようとしていて、イクス姫とエール白馬さんがチョコレート修行にやってきて……」
 意気揚々とショコラティエールに立ち向かっていたカーティス・コールリッジ(CC・f00455)まで挙動不審。
 果たして恋とはどんな味だろう? もしかしてチョコレート味なのだろうか。しかしあまい匂いを纏ってしまえば、美味しそうで皆に食べてしまわれないだろうか――そんな押し問答で時間稼ぎをしようとしていた海月・びいどろ(ほしづくよ・f11200)も、傍らに漂う電子の海月とショコラティエール、そしてイクス姫らの間で視線を彷徨わせ。一つの結論に達する。
「……おんなのこ、って。難しいんだね」
 正しくは、イクスは男だけど。しかし提案したエールが女の子だから、びいどろ大正解とも言えなくない。この複雑ぶり、まるで乙女心だと思いませんか。
 ともあれ、まさかの超展開にショコラティエールの思考は一時停止。それ即ち、隙が生じたということ!
「やったよ、イクスくん。作戦成功だ! えっと、騙してごめんね! 実はイクスくんは恋する男の子です!」
 いや、そこは騙せてないから! 男の子だって最初から分かってたからっていうツッコミを入れる間もなく、迷宮ショコラティエールへエールが喚んだ美しくも巨大な一角獣の群れが襲い掛かる。
「……いや、恋もしてないけどな。ただの男だけどな。すまん、許せ……!」
 それじゃ完全に詐欺じゃなーい! という不満のツッコミをこれまた待たず、イクスも可愛らしさの欠片もない戦闘用機械兵器をオブリビオンへ差し向けた。
 状況的には、ほんのりショコラティエールが哀れな気がしないでない。幼い少年のぴゅあぴゅあなハートで感じるなら、尚の事。
「おねえさん、ごめんねっ」
 ぺこり、きちんと背筋を伸ばしてカーティスは一度詫び、尾を引く罪悪感を振り切る。
 チョコレートは、美味しい。カーティスがいた船では、とびきり貴重なこともあってショコラティエールの攻撃さえも魅力的に見えてしまうくらい。
 でも、だめ。
 あの敵は、ここで倒さなくては。
 だって世界がチョコレートで溢れたなら、みんな虫歯になってしまう。
「オペはとびきり痛いんだよ。おとなだって泣いちゃうんだって!」
 ツーンとした特有の匂いと、キーンとした治療音を思い出し、カーティスは奮い立つ。
 ――Fire at will!!
「ちょっ、何を!」
 横っ飛びに跳ねて、敵の死角へ回り。そうしてカーティスが撃った弾丸が、ショコラティエールのドレスの右袖を貫き裂く。
「全く、全く、全く!」
 我に返ったショコラティエールが、どろどろトロトロに溶けたチョコレートを指先から放つ。だがそれは、びいどろが待ち受けていたもの。
「――いただきます」
 ゆらゆら、ふわふわ。中空に遊ばせていた海月人形を隠れ蓑に、電子の子供はほぼ無防備な状態で、ショコラティエールから饗されたチョコレートをぱくり。
 甘い、甘い、チョコレート。
 蕩けてしまいそうな、チョコレート。
 本当は、どうしてショコラティエールがそんなにチョコレートが好きなのか知りたかったけれど。
 ――『ショコラティエール』、というのなら。
 彼女は多分、ショコラティエの成れの果て。
「恋する乙女には、チョコレートはつきもの、……でしょう?」
 仲間たちが作ってくれた時間に思考の海から掬い上げた答えを胸に、びいどろは何処か冷ややかな眼差しでショコラティエールを射抜く。
「キミに贈るのは、ピリリと刺激的。どうぞ、召し上がれ?」
 こくん。
 細い喉に嚥下されたチョコレートは、不可思議に転換。麻痺の毒を帯び、びいどろに寄り添う海月のぬいぐるみから、迷宮ショコラティエールへと返された。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ジゼル・スノーデン
マナ(f02571)と一緒でWIZで

ん?チョコレートの香り、か
花蜜の香りもチョコの香りも、どちらも甲乙つけがたいと思うけどな
そして、恋。恋か。
実は考えたことがない
出逢いもないしな!いや、恋愛できないわけじゃないぞ。きちんと感情回路があるから、機会があればそういうこともあると思うけど
でも、いまは、その……蜜ぷにの甘い蜜が好きというか。チョコレートが美味しいというか……
むしろそういうのは、マナが得意だろう?

まぁ、後学のためだ
話を聞くのもいい。恋とは、いかなるものであるのか教えてくれ

……あとこっそり、チョコレート・グラフティのチョコ沼で溺れてみたい気もしている
落ちたらマナに引っ張り上げてもらうつもり


鴛海・真魚
ジゼル(f02633)とWIZ

恋。恋をしている人はとても美しいの。
目がきらきらとしていて、宝石よりも綺麗だわ。
そう、恋とは甘くて美味しいものを食べた時と少しにている気がするわ。

蜜ぷにやチョコレートを食べるととても満たされるでしょ?
恋ってきっとそんなものよ。
ジゼルも甘くて美味しいものをおなかいーっぱい食べて
優しく満たされましょう!

ジゼルが落ちてしまったらサモニング・ガイストで素敵な人を召喚して
一緒に引き上げるわ。大丈夫?チョコは美味しい?
宝石の身体にチョコはあまり良くないかもしれないからね?


エトワール・フィラントゥ
(指に付いた蜜をぺろり。うっとりと)
…しふくにございました
蜜も沢山頂けて。ありがたや

(くんと。次なる香りにしあわセンサーがビビビ)
…はっ、失礼しました!お客様がいらっしゃるとは
慌てて【身だしなみチェック】して、挨拶を

チョコレートも大好きですわ!
飛んでくるビターはちょっと苦いけど。これが大人の味?こいの味?
はて。こい?鯉?…恋とはなんでしょう?
お尋ねします

…素敵だとおもう気持ちもそうでしょうか
(浮かぶのは金色の凛々しい瞳のお方)…にゃああ!

*戦闘
整えた毛並みでするりと避け
ぴょんとジャンプで陽動を
チョコはモップちゃんでえいえいしながら、受止めたり吹き飛ばして弾いて
甘いゆうわく?から皆様をかばいます


深青・祁世
※皆との絡み、アドリブ、はっちゃけ歓迎☆

はっ
蕩けるような甘い香り…
黒幕だけにダークチョコちゃんとご対面という訳ね
って、
チョコモチーフのお洋服めっちゃキュートじゃない⁉
どこで買ったの⁉

でも
ぷんぷんしてたら
折角の可愛いお顔とお洋服が勿体ないわよ
優しさを籠めて作らなきゃ完成しないのではない?
まさか
真のチョコの美味しさを伝えるショコラティエールが
愛情なんか関係ねぇ!
なんて言わないわよね?
アナタの大事なチョコを私憤で不味くしちゃうの?

攻撃時は狐火
湯煎じゃなくて直火でゴメンナサイ
…焼きチョコ?

コイバナのお仲間に入れて貰いたいわぁ
きらきらしてて可愛いんだもの!
私、美容員やってます☆
綺麗のお手伝いしちゃうわよ



●二人の乙女と、幼メイドと、オネェさん
 毛繕いも兼ねて、指に残った蜜をエトワール・フィラントゥ(小さな星・f06523)はペロリ。途端、エトワールの小さな体の中は、いっぱいの花の香りと甘さで満たされる。
「……しふくにございました」
 うっとりと紫水晶の瞳を潤ませて、エトワールは誰とはなしに両手を合わせた。蜜も沢山頂けて、こんなにありがたい事はない。
 しかしメイドの嗅覚は次なるしあわせセンサーをびびびっと嗅ぎ付ける。
「……はっ、失礼しました! お客様がいらっしゃるとは」
 メイドの心得、そのいち。小さいの、大きいの、しゃかしゃかなの、ふわふわなの。様々なブラシちゃんズでエトワールは身形を整えた。
 そうして毛艶つやっつやになった幼メイドは見る。
 チョコレートの沼に、ジゼル・スノーデン(ハルシオン・f02633)が溺れている様を。
「これは、これで、興味深い体験だが……っ!」
「あぁ、待っていて。大丈夫、チョコは美味しい?」
「美味しいには美味しいが、さすがに食べきれ――いや、だからそうじゃなくて」
「そうね、そうね。ちょっと待ってね。お願いよ、素敵な人。ジゼルを助けてあげて?」
「そうはさせるもんですか! アナタも落ちてしまいなさい!」
 エトワールは、どうやら蜜ぷに達の余韻にどっぷり浸かっていたらしい。新たなお客様こと迷宮ショコラティエールとの戦いは既にたけなわ。彼女が作り出したチョコレートの沼に、ジゼルがどっぷり。引き上げようとする鴛海・真魚(恋心・f02571)はあたふた。だってチョコレートは宝石の体にあまりよくなさそう。だから際まで近付けるのはサモニング・ガイストで召喚した『素敵な人』だけ。
 しかも次なる沼を生み出そうと、ショコラティエールの手の中ではチョコレートがとろ~り溶けている。
「これは、いけません。チョコレートは大好きですが、いけません」
 エトワールは小さな体で必死に走った。
 ててて、とととっと走った。
 けれどショコラティエールが腕を振り被る方が早い。
「ああ! おまち、ください……!」
 丁寧に丁寧に、テンパリングされたのだろう滑らかなチョコレートの弾が、美味しい飛沫を散らしながら宙を飛ぶ。目指す先には、ジゼルを引っ張り上げようとする素敵な人と、その素敵な人を懸命に引っ張る真魚。
 このままでは、真魚がチョコレートで汚れてしまう。或いは、敢えて反らした着弾で生成された沼に、素敵な人ごと落ちてしまう。
 思い描いた未来に、エトワールはきゅっと瞳と閉じた。
 だが、続く悲鳴は――ない。
「大丈夫よ、ネコちゃん」
 何故ならそこには、長身の男が立ち塞がっていた。
「本当に蕩けるような甘い香りねぇ。黒幕だけに、ダークチョコちゃんって呼んじゃおうかしら。でも、ぷんぷんしてたら折角の可愛いお顔とお洋服が勿体ないわよ」
 ……長身の男、だ。うん。間違いない。深青・祁世(遥かなる青・f13155)は立派に、長身の男性だ(大事なことなので繰り返す)。台詞だけ聞いたら、素敵なお姉さんに感じるけれど。オネェさんなだけ(本人申告、口調のみ。けれどショコラティエールと対面するや否や「やだそのチョコレートモチーフの洋服めっちゃキュート! どこで買ったの!?」って大騒ぎしたのをエトワール以外の全員が目撃している)!
 然して、祁世。我が身を盾とし、少女たちを守り抜いた。
「そ・れ・に。話も聞かず、沼に沈めちゃダメよ? 彼女たち、アナタが優しく出来そうな、恋する女の子かもしれないじゃない」
 守り抜いて、むしろ自分も聞きたいコイバナをジゼルと真魚へ振った!
「なん、です、って!?」
「え」
 唐突なバトンタッチと期待に満ち満ちた眼差しに、ようやく沼から助け出されたジゼルが狼狽える。確かにジゼルはお年頃の十五歳ではあるけれど――。
「実は……考えたことが、ない」
 そうなのだ。憧れだけを詰めて作られた守護者たる人形少女は恋愛初心者。
「出逢いもないしな! いや、恋愛ができないわけじゃないぞ。きちんと感情回路があるから、機会があればそういうこともあると思うけど」
 しどろもどろ。
「でも、いまは、その……蜜ぷにの甘い蜜が好きというか。チョコレートが美味しいというか……」
 甲乙つけがたい甘味を引き合いにだし、ジゼルは続・しどろもどろ。
「む、むしろ! そういうのはマナが得意だろう? こ、後学のためだ。私にも聞かせてくれないか」
 そして華麗に真魚へ重責を押し付けた。
 されどそこは『素敵な人』がいる真魚だ。水を得た魚のように、つるつるするする恋とは何かを透明な唇が紡ぎ出す。
「恋は、人を美しくする魔法よ。目がきらきらして、宝石よりも綺麗になるの。そう……甘くて美味しいものを食べた時と少し似ている気がするわ」
 蜜ぷにやチョコレートを食べると、とても満たされる。
 恋ってそういうもの。
「ジゼルも甘くて美味しいものをおなかいーっぱい食べて、優しく満たされましょう!」
「……にゃあああああ!!」
「「「「え」」」」
 ジゼルへ、延いては祁世とショコラティエールの希求に応えた筈だった真魚の語りに上がった黄色い鳴き声に、敵と味方入り乱れて綺麗に疑問がハモった。
「いえ、いえ、そんなっ、そんなっ」
 じた、じた、じた。うにゃ、うにゃ、うにゃ。
 ふわふわの毛並みをもふもふさせて、エトワールが身もだえる。
 甘くて美味しい、チョコレート。飛んでくるビターなチョコは、ちょっぴり苦くてお口がそわっとしてしまうけれど。大人の味と思えば、ドキドキ。
 もしかすると、これが『こい』の味?
 こい?
 鯉?
 恋とは、なぁに?
 エトワールの恋への認識は、そんな風だったのに。真魚の話を聞いているうちに、ぴょんっと浮かんだ金色の凛々しい瞳の――あの、お方。
「にゃっ、にゃっ、にゃああ!!」
「何かよくわからないけど。そこのネコには優しくするわ。そう決めたわ」
 うにゃ、にゃう、うにゃあああ。ほんのり赤くなった――黒毛なので分かりにくいが――頬を両手でサンドし、じたばたするエトワールにショコラティエールがぼそり。だが、その一言が祁世を刺激する。
「駄目よ、ダメダメ!! 目に見えるもので真のチョコレートの美味しさを伝えるショコラティエールが恋の有無を計っては! それじゃとびきり素敵な愛情を見落としちゃうかもしれないわ! ま、まさか『愛情なんて関係ねぇ!』なんて言わないわよね? 言わないわよね? チョコレートは優しさを籠めなきゃ完成しないって、アナタくらいのショコラティエなら知ってるわよね??」
 ――そもそも。アナタはアナタの大事なチョコを私憤で不味くしちゃうような人なの??
「……う、ぐぅ」
 祁世が繰り出す正論の口撃に畳みかけられ、迷宮ショコラティエールがむぎゅっと口を噤む。だが、敵は災魔。掲げた勝手を思い出せば、正論なんて見る間に打破してくる。
「そっ、そうよ! わたしはチョコレートしか許さないの。蜜ぷになんかに魅了されたあなた達なんて、一人残らずチョコの海に沈めてやるわ!!」
 ――とはいえ、迷った一瞬があるのは事実。
 その隙にジゼルも真魚の素敵な人も、しっかりちゃっかり攻撃態勢整えてしまったし。
「だーかーら。怒ったら可愛い顔が台無しですって。もっと綺麗になりたいならお手伝いするわよ? 私、美容員やってるし☆」
 祁世は祁世で、チョコレート『湯煎じゃなくて直火でゴメンナサイ?』と狐火のスタンバイ。
「っは。とりみだしてしまいもうしわけございません」
 ようやく落ち着きを取り戻したエトワールは、なんだかんだでショコラティエールに優しくされながら、構えたモップちゃんで皆へと放られるチョコの弾丸を、摩擦抵抗を極限まで減らした動きで打ち落としていくのであった。適材適所、まる!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

都槻・綾
※絡みアドリブはっちゃけ歓迎

怒り心頭な程の
カカオ95%(苦)な記憶の産物だろうか

…でも想いが通じ合えば
チョコ以外を愛でるのは必然で
愛するのも唇寄せるのも食べたくなるのも
――どんな菓子より、恋仲なのでは?

なんて
大人の事情を
涼しい顔でさらり

ですが
一途な想いは美しい
とても好きですよ(チョコが)

私自身は恋に縁遠いですけど
毎年幾つか頂戴します故に美味しさは疑うべくもなく

あ、チョコに想い添える書簡屋も営んでおりますので
どうぞ御贔屓に
(さり気なく商売)

恋話や甘露への想いを聞けば
何れも愛らしく微笑ましい

符縛で皆を援護
第六感、見切りで回避
オーラで自他(主に女性)防御、回避

「恋」そのものが花めく蜜の香に思えますね


泉宮・瑠碧
※ハ禁

チョコレート…
そういえば、作る事に興味はあったな
僕にはまだ馴染みが薄いから
初心者でも出来るレシピを訊いてみよう
教えて貰えたら礼と頭を下げる
色々駄目でも謝罪で頭は下げる

…何故、恋する乙女にチョコレート…?
僕は恋する乙女でも無く
ただ作りたいという方面なので…何か、すまない

チョコだけでは味が似通うだろう、
他の食材で
気分を新たにチョコと向き合えると思うのだが…
それでも他の物は駄目だろうか

戦闘は精霊祈眼で属性攻撃
氷の精霊へ
溶けたチョコから皆を守って
相手の攻撃には溶けたチョコが多いから、放たれれば凍らせる
本体へも氷の精霊で
安らかな眠りを…と全力魔法で凍結を狙う

…災魔な以上、見逃せはしないが…すまない



●一方その頃、オトナな男と生真面目少女は
「良ければ一つ、お勧めのレシピを教えて貰えないだろうか?」
 チョコレートの剣を振り回す、頬に『Ⅶ』と書かれたチョコレート兵隊の攻撃を掻い潜り、泉宮・瑠碧(月白・f04280)は間合いを詰めた迷宮ショコラティエールに真顔で請うた。
「僕は作る事に興味はあるんだ。だから初心者でも出来るレシピがあれば、と」
「――はい?」
 ぺこり。
 礼儀正しく頭を垂れられ、ショコラティエールの掲げた右手が固まる。なお、これ。思わぬ申し出に困惑したのと、瑠碧の意思もつ視線の効果――つまりが攻撃――の効果だったりするのだが。あっちこっちから攻め立てられて余裕を失いつつあるショコラティエールは後者に気付きそびれた。
「ああ、驚かせてしまっただろうか。申し訳ない」
 もう一度、ぺこり。
 律儀に生真面目に幾度も、瑠碧は頭を下げる。別に何かを狙ってやっているわけではない。彼女はただ純粋に、チョコレート菓子のレシピを学びたいだけなのだ。そして――。
「……ところで、何故。恋する乙女にチョコレート……なのだろうか?」
「!?」
「すまない。僕は恋する乙女でも無く……本当にただ作りたいという方面で……ああ、すまない。申し訳ない」
 真摯に訴えた瑠碧も、ショコラティエールの顔色が変わって行くのに気付いたのだろう。後半はひたすら詫びに徹する。なんでそんなにショックを受けられたのか、分からぬ儘に。
 え? え? だって、十八歳くらいの女子といったら、恋も盛りの季節でしょう? 春爛漫? 青春って眩しいって頃でしょう? それなのに、それなのに!???
「世の中には様々な種類の人間がいるということですよ。どうかそんなに肩を落とさないで下さい」
「!?!?」
 心の叫びが漏れでもしたのだろうか。固まったままの肩へ触れてきた都槻・綾(夜宵の森・f01786)の慰撫に、関節をぐきりとやって災魔たる女は後退った。
 同時に、ショコラティエールの中で警鐘が鳴り響く。
 この男は危険だ。他の連中とは違う匂いがする。
「さっ、触るな!」
「おやおや。怒り心頭なのは、カカオ成分多めなせいですか? 95%にもなると、苦すぎと感じる人も多いでしょうし」
「80%でも苦いと思うわ! いえ、私はいかなるチョコレートも愛すけれど!!」
「おや、存外甘くていらっしゃる。ですが……そうですね」
「ひゃっ」
 じりじりと、間合いをあけようとするショコラティエールを綾は許さない。するり回り込んで、斜め後ろ――内緒話をより近くで耳朶に吹き込める位置で、くすり。
「恋する乙女、と仰っておられましたが。想いが通じ合えばチョコ以外を愛でるのは必然で、愛するのも、唇寄せるのも、食べたくなるのも――」
「貴方は今すぐ殺す、絶対殺す、チョコレート漬けにして、二度と浮上できない海へ沈めてやるわ!!!」
 涼しい顔した綾に皆まで言わせず、ショコラティエールはミルクココア色の髪を振り乱した。
「それは残念です。私は一途な想いは美しいと思いますよ。とても、好きですよ」
 かっこ、チョコが、かっこ閉じる。語尾に真意をさり気に潜ませる綾、完全にショコラティエールで遊んでいる。どうやらこのショコラティエール、大人なレンアイには不向きなようだった。
「チョコレート兵士、来なさい!」
「そこまで嫌われると悲しいものですね。私自身は恋には縁遠いですけど、毎年幾つか頂戴します故、チョコレートの美味しさは疑っておりませんのに」
「その口、今すぐ閉じさせてやるわ!」
「ちなみに、チョコに想いを添える書簡屋も営んでおりますので、宜しければ御贔屓に」
「――!!!!!」
 荒れ狂う、溶けたチョコレートの奔流が綾を襲う。その一撃には、丸飲みにして、固めて、砕いて、粉々にしてやろうという意思に満ち満ちていた。けれど一歩、届かない。
「話の途中を、すまない。チョコだけでは味が似通ってしまうだろうか? 他の食材を使うというのも良いと思うのだが。気分を新たにチョコと向き合えるだろう?」
 止めたのは、言うまでもなく瑠碧の視線。瞬時に冷え固まったチョコレートは、教えを乞う瑠碧の真摯さを前に、ほろほろと崩れてゆく。
「それとも、他の食材を使うのは邪道なのだろうか?」
「あぁん、もう! 今から超簡単なフォンダン・オ・ショコラの作り方を言うから、きちんとメモなさい!!」
「すまない、ありがとう。災魔な以上、見逃せないが。感謝する、すまない、ありがとう」
「っ、感謝するか謝罪するか、どっちかになさいな!! あと、勝つのは私よ!!」
 何と愛らしい攻防だろうか。
 さり気なく護符でショコラティエールの動きを制しつつ、綾は乙女たちに気取られぬよう口元だけで笑む。
 恋話も甘露への想いも、何れも愛らしく微笑ましい。
(「――そう言えば」)
 『恋』そのものが、花めく蜜の香と言えなくないだろうか?

 芽吹く前の乙女もまた――?

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フレズローゼ・クォレクロニカ
🍓櫻宵(f02768)と一緒
アドリブ等歓迎

いい香り
ショコラティエ
櫻宵のライバルだー!
美味しいチョコ沢山食べれる気配にドキドキ
櫻宵の顔をみて気を引き締め

ボクは櫻宵のしか食べない!
それにさ、色んな食材とチョコが協力して一つの美味しいチョコになるって素敵だと思う
チョコを粗末にするのは許せない

櫻宵、怪我しないで
キミの背中はボクが守る
属性魔法で炎を描いて全力魔法で攻撃してく
マヒ攻撃も乗せていって櫻宵が戦いやすいように
空中戦や見切りを駆使して躱していって、第六感で攻撃を察知して『黄金色の昼下がり』で動きを止めちゃうんだ
さぁ今だ

キミの暴虐を塗り替えて(はねて)あげる!

美味しいチョコがボクらを待ってるんだ!


誘名・櫻宵
🌸フレズローゼ(f01174)と
アドリブ歓迎

あら!あなたもショコラティエなの?
あたしもなのよ!
親近感湧いちゃうわぁ……まぁ殺すんだけれどね!
蜜もどんな食材もショコラに活かしショコラを美しく美味しい1粒の芸術品にするあたし達の役目なのに……ダメね

フレズ
あの子のショコラじゃなくてあたしのを食べなさい
フレズを庇い前へ出て
炎を纏わせた刀でなぎ払い、衝撃波も込めてぶった斬る
兵隊さんは広範囲攻撃でバラバラに
傷が出来れば抉るように何度でも
攻撃は見切りと残像でいなし躱し
懐に飛び込んだら『絶華』で斬り伏せる

ショコラで人を傷つけるのも許せない

ショコラティエ失格よ!
あなたのショコラはいらないわ
――変わりに首を頂戴



●決戦、ショコラティエ
 三輪の薔薇が飾る金十字のロザリオをしゃらり謳わせ、フレズローゼ・クォレクロニカ(夜明けの国のクォレジーナ・f01174)は中空に絵を描くように紅蓮の炎を舞わす。
「櫻宵、怪我しないで」
 背中に回り込まれたチョコレートの兵隊たちはフレズローゼに焼き払われた。どろりと溶けて甘い香りを放つ水溜まりとなったそれらを一瞥した誘名・櫻宵(誘七屠桜・f02768)は、その後フレズローゼを見返りふふと微笑む。
「大丈夫よ、ショコラで人を傷付ける人にあたしは負けない。それはフレズが一番よく知っているでしょう?」
 だって櫻宵はショコラティエ。ショコラティエールと邂逅一番「あら! あなたもショコラティエなの? あたしもなのよ!」なんてテンションを上げたくらい。
 しかし、だからこそ。
 櫻宵は迷宮ショコラティエールを許せない。
「蜜もどんな食材も、ショコラに活かしショコラを美しく美味しい一粒の芸術品にするのがあたし達の役目なのに……ダメね」
「そんなの紛い物よ!」
 肩で息をするショコラティエールは、最初の面影が遠い。可愛らしかったドレスはフリルが千切れ、ミルクココア色の髪も不揃いになってしまっている。
「チョコレートはわたしの誇り、私の愛、私の全て! 人々は、チョコレートをもっともっともっと愛するべきなのよ!!」
 原型を失いつつあるオブリビオン。だが形が欠ければ欠ける程に妄執は膨れ上がるのか、彼女の怒りは激しさを増し、攻撃の威力も損なわれない。
 濃度の上がった甘い香りに、フレズローゼの視野がくらりと揺れる。
(「うん、やっぱりいい香り!」)
 苺にバゲット、マシュマロを浸して食べたらさぞや美味しいに違いない。流石は櫻宵のライバルともいえるショコラティエ。
 とは言え。
「――フレズ。あの子のショコラじゃなくてあたしのを食べなさい」
 いつの間にやらチョコレートの兵隊を薙ぎ払い、ショコラティエールと直に切り結ぶ櫻宵が、フレズローゼの気配だけで何をか察してちくり。
 勿論、フレズローゼだって。
「うん、ボクは櫻宵のしか食べない!」
 歌うように花開くフレズローゼの宣言に、櫻宵の胸に何かが灯る。それは、続く彼女の言葉で輝きを強めた。
「それにさ、櫻宵の言う通り。色んな食材とチョコが協力して一つの美味しいチョコになるって素敵だと思うし。何より、こんな攻撃でチョコを粗末にするのは許せない」
 ――そうなのだ。
 それこそが、誇り高きショコラティエたる櫻宵のショコラティエールに対する思いの源。そしてフレズローゼが同じ気持ちでいてくれる事が櫻宵を無限に強くする。
「キミの暴虐を塗り替えて(はねて)あげる!」
 瞳を閉じて、長い睫毛で温かみのある白い肌に影を落とし。フレズローゼはゆっくりと唱え、奇蹟を描く。
 完成した華やぐ茶会が閉じ込められたキャンバスから、耀き纏う蝙蝠と紅茶の砂糖の嵐が吹き荒れる。
「美味しいチョコがボクらを待ってるんだ!」
「くう、っ」
「あたしはショコラで人を傷つけるのも許せない」
 時間を奪われ、現在に磔にされて歪んだショコラティエールの顔を見据え、櫻宵はぐっと踏み込み間合いを詰めた。
「つまり、あなたはショコラティエ失格! あなたのショコラはいらないわ」
 ――変わりに首を頂戴。
 ほぼ零距離。抜いた刃は万の妖の血で鍛えた紅。然して剣閃は、春の薄紅。目にも留まらぬ一撃に、迷宮の災魔はまた一歩、終焉に近付く。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

境・花世
ここのところご飯食べてなくて
次のお給金まであと三日、
うう、飢える…死んじゃう……!

甘い誘惑に鼻ひくつかせ
ふらふらっと吸い寄せられる
チョコって、おいしいよね
無意識でも第六感で察して見切って
攻撃は早業で出来る限り避け――

ああ、なんて甘い、

被弾しても心なしか嬉しそうに
ますます敵のすぐ近くまで
さすが凄腕のショコラティエール、
折角だからもっと食べさせて

“紅葬”

滑らかに動く指先で扇を翻せば
巻き起こる衝撃波は風のよう
甘い匂いが満ちて、ぐるぐる、
もうだめ、ね、食べちゃいたい
半泣きで張本人に問いつつ

え? 倒したら調理実習……?

ごめん、きみに恨みはないけど
倒させてもらうよ!(キリッ)

※アドリブ・絡み大歓迎


スワニルダ・ロトゥンハート
【WIZ】
――おなかが減ったわ!(ドン!)

んもうどーいう事なの蜜のつまみ食いどころじゃなくなったわね?
チョコレートの薫りだなんて暴力的でとっても素敵
だってもう、おなかに何か入れないと我慢が出来なくなってるもの!

でもね甘いものは世界に限りなくあるの
ぜんぶぜーんぶ素敵で可愛くって美味しくって幸せなの
あたしにはチョコレートだけを選ぶなんてムリ! 出来ない!
ところで最近アナタはどーお? 恋してる?
なあんてね!

可愛くとも手強そうだわ
ならばあたしは後ろで皆を支えましょ
チョコレートよりも甘く蕩けるヴォイスはお好み?
傷ついたアナタの為に、
恋する気持ちをぎゅっと詰めたとびきりの恋愛ナンバーお届けしちゃうわ!



●腹ペコ女子たちの大勝利
 境・花世(*葬・f11024)がこの迷宮に辿り着いた時、彼女はある意味で限界に達していた。
『ここのところご飯食べてなくて』
 花世は麗しの女子である。
『次のお給金まであと三日……っ』
 喪われし右の瞳に、八重咲の牡丹を咲き誇らせる絢爛たる二十代半ばの女子である。
『うう、飢える…死んじゃう……!』
 繰り返すが、女子である。されど如何な女子でも貧乏である。そしてこの上なくマイペースである。
 そんな彼女がどうしてこの地へ至ったのか。答は単純明快。甘い香りがしたから!! 美味しそうな匂いがしたから!!! 文字通りの甘い誘惑に鼻をひくひくさせて、ふらふら~っと吸い寄せられちゃったから!!!!
 だってチョコは美味しい。目の前にあったらかぶり付きたい。ぱりっとでも、さくっとでも、ふわっとでも、トロっとでも素敵。
 想像するだけで湧き出す涎をぐっと堪え、裾にいくにつれ紅に色付く衣を軽やかに翻し、オブリビオンの攻撃を花世は躱し続けた。
 が、チョコレートの沼に足を取られたのか。はたまた他の誰かを狙った流れ弾だった故に殺気が不十分だったのか。
 てろてろっと飛んだチョコレート弾が花世の額にぺたり。封じの呪いが込められたそれは、確かに威力を発揮した……の、だけれど。
『ああ、なんて甘い』
 滴り落ちたチョコレートの雫をぺろっと舐めてしまった花世の理性が、空腹の限界値に引きずられる。
『さすが凄腕のショコラティエール、折角だからもっともっと、もーっと食べさせて』
『何言ってるの? アナタはチョコレートだけでいいの? 世界には、甘いものは限りなくあるのに! ぜんぶぜーんぶ素敵で可愛くって美味しくって幸せなのに??』
『!!!!』
 その時の、花世の衝撃を一言で現すならば『天啓』だろうか。
 目もあやなちょうちょの少女――スワニルダ・ロトゥンハート(墟・f11362)は、花世にしてみれば天の御使い。空腹に耐えかねて、目先の欲(強調)に眩みかけたのを叱咤してくれた天使(ちょうど羽もあるし)(翔べないのは気にしない)。
 だがこの時、この瞬間。きらきらプリズムを振り撒くスワニルダの『何か』も極限に達しようとしていた。
 粗野で粗暴な挙措とは無縁に見えるスワニルダの暴挙に気付いた者は、きっといないが。実は花世が悶えてる間に、スワニルダは壁ドンしてた。当然、胸きゅんな壁ドンではない。
 ――おなかが減ったわ!
 の、ドン!! だ。
 花色の蜜たちが最も似合いの少女の銀の眼差しに、不可視の熱が宿る。
 いったい、どういうことなの? 蜜のつまみ食いどころじゃなくなってしまったじゃない。
 でも、そうね。チョコレートの薫りだって、暴力的で、とっても素敵。
『あたしだってもう、おなかに何か入れないと我慢が出来なくなってるもの!』
 ……結局は、それである。
 乙女たちは腹ペコなのだ。
『あたしにはチョコレートだけを選ぶなんてムリ! 出来ない!』
 凛然と言い放ち、スワニルダはショコラティエールへにっこりと微笑みかける。
『ところで最近アナタはどーお? 恋してる?』
 パチンと音がしそうなウィンクを一つ投げ、スワニルダは『なあんてね?』と敵のお株を奪い、
『チョコレート以外を語るその口を、チョコレートで閉じさせてあげるわ!!』
 ショコラティエールの怒りの導火線に火を点けて、苛烈な戦いの引金をひいたのだった――……と、ここまでは少し前のお話で。
「やっぱりもうだめ。ね、食べちゃいたい。折角だからもっと食べさせて? ね? ね??」
 半泣きでショコラティエールに縋りつく――エネルギー消費した分、飢餓感がガチでヤバい――花世へ、スワニルダは甘い歌声を響かせる。
「あらあら、ダメよ。そんなアナタへはチョコレートより甘く蕩けるヴォイスで恋する気持ちをぎゅっと詰めたとびきりの恋愛ナンバーをお届けしちゃうわ!」
「っ!!」
 後方から届けられたポップでキュートな癒歌に、花世の目に理性が兆す。
 されどもう一声、もう一押し。
 求められるものを、腹ペコ同盟なスワニルダは知っていた。それは――。
「この戦いが終わったら、調理実習ですってよ。きっと色んなお料理が楽しめるわ!!」
「ちょ・う・り・じ・っ・しゅ・う!!!」
 きらーん。花世の左目が爛々と光り輝く。
「――ごめん、きみに恨みはないけど」
 変わり身の早さは天下一品。既に虫の息なショコラティエールもびっくりなほど!
「え、ちょ、あなたチョコレートをあんなに食べたがって……」
「ごめん。倒させてもらうよ!」
 キリッ&ドヤァ。
 ――こんなにきれいに咲いたんだ、きみへの餞に。
 迷宮に吹き込んだ花風は刹那。花世は八重の牡丹の嵐を纏いショコラティエールへ肉薄すると、終いの一撃を放つ。
「わたしは、わたしは、わたしはチョコレートをおおおおお」
 無数の花弁が、散った。
 散って、命を啜って、染まって、また散って。災魔を跡形もなく消し去って。
 逝く間際の断末魔ともいえる訴えに、猟兵たちの「チョコレートが美味しいのはみんな知ってる!」という賛同が優しい彩を添えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『アルダワ的調理実習』

POW   :    レシピなんて見なくても気合いと間隔で料理できるさ!

SPD   :    料理もスピードがいのちだよね!

WIZ   :    料理は科学だ。正確に計量して料理する、

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●甘くて美味しい時間の後は?
 蜜ぷに達と迷宮ショコラティエールの脅威から学園を守った猟兵たちは今、その学園の家庭科室にいた。
「今日は沢山の転校生の皆さんもいらっしゃってますからね。皆さんも学ぶ事も多いでしょう。では授業の前に、使用する道具のお復習いをしておきましょうか――」
 教壇で、白髪交じりの女がエンプロンを身につけ乍ら、様々な調理器具の解説を始めている。
 そう、ここはアルダワ魔法学園。蒸気と魔法が発達した世界。
 包丁ひとつとっても形状や機能は様々。幾つもの煙突が生えた鍋に至っては謎が多すぎて、不慣れな者が不用意に触れると爆発でも起きるんじゃなかろうかなんて思ってしまう。
 だが心配は要らない。滅多な事じゃ事故は起きないようにセーフティ機能だって仕込まれ済み。想定外の珍妙な料理が出来上がってしまう可能性がゼロではないのは、ご愛敬として。
「では皆さん、始めましょう」
 斯くして猟兵たちも思い思いの調理にとりかかる。
 オーソドックスに美味しいものを作るのも良し。不思議に任せ、何かを爆誕させるも良し。出来上がった品々を囲んで、家庭科室パーティを始めるも良し。気になる誰かへのチョコレートを作るも良し。それに何かを仕込むーー以下省略。
 過ごし方は十人十色。
 さぁ、楽しい調理実習の始まり始まり……?
カーティス・コールリッジ
もうすぐバレンタインでしょう?
だから、おれ、船のみんなにチョコレートをあげたいんだ!
みんないつも、いちばん年下のおれに譲ってくれるから

バートン、ベック、イライザ、レイチェル
いまもきっと、おれがちゃんとやってるか心配してくれてる
おれにはおとうさんもおかあさんもいないけど
船のみんながだいじなかぞくなんだ

料理がとくいなひとがいたら、そのひとに教わりながらがんばるぞ
いちばんかんたんなのにする!

形はばらばらで、大きさもまちまちなチョコレート
でも、ひとつつまみ食いしたなら
とびきりあまくておいしい!

船のみんなの驚く顔がみたくて、ぎゅっとプレゼントを抱きしめた
コール、『CC』!ミッション、オールクリア!です!


破魔・案山子
アドリブ連携歓迎

料理……っ
未知の領域じゃん!たすけて男爵!
(ぶかぶか白い割烹着に調理台には踏み台使用
包丁や鍋って、こんな形なのかッ(これが全世界の常識だと知った

で、何作りゃいいの(きょろきょろ
俺の好きな食べ物? そだなー……
麦で作った物、好き(昔、麦畑に立っていたカカシだから
ぱん、めん、かし(菓子
ぱん!
パン作ろー
焼きたてパンにバターと蜜塗ったら、美味いと思うんだ
センセー!作り方教えてクダサイ!(てか、手伝ってオーラMAX


必死にこねこねこねこね
発酵&焼き時間うろうろそわそわそわ

ナンダカンダと完成したら男爵と一緒に食べたいかな!
焼きたて+とろける蜜って美味しそー♪
いっぱい食う

料理経験ゼロ
器用さ:並


境・花世
調理実習、それはすなわち
タダ飯を意味する言葉――
アルダワ最高あいしてる

フライパン片手に双眸潤ませ
背景にしょった花は、
たぶん蜜ぷにの原料だと思う

女子力? よく分からないけど
料理はふつうに出来る方だよ
さかさか混ぜて焼く手際の良さは
全て空腹の為せる業――
見てこのきつね色! 完璧だ!

ふわふわのパンケーキは
リコッタチーズ入り
仄かな塩気に濃厚な蜜の甘さに、
はらはらと涙を流して

うう、我ながら傑作……っ

そういえばさっき食べ損ねた女子、
じゃなくてチョコもいいな
お裾分けしてくれる誰かがいるなら、
御礼にパンケーキの追加を焼こう

三日分食いだめするんだ、と
ハムスターのほっぺたで
幸せそうにもぐもぐと

※アドリブ・絡み大歓迎



●少年たちは女子力を崇む
「アルダワ最高あいしてる」
 腹ペコ境・花世(*葬・f11024)――調理実習モード――はいきなりクライマックス。
 フライパンを片手に花色の左目をうるうると潤ませ――失いし右目に咲いた大輪は瑞々しさを増してるかもしれない――、序にUDCアースの少女漫画よろしく背後にグロリオサ(幻)を背負った女は宣った。
 調理実習、それは即ち。
 タダ飯を意味する言葉だと!
「なるほど! それが世界常識なのか!」
 ……そして破魔・案山子(今日も男爵に怒られた・f05592)8歳は、それを信じた。料理経験ゼロの、アルダワ式の包丁や鍋が世界常識だと思い込んだ少年は、花世の言葉を丸っと信じた。調理台まで届かぬ背を補う踏み台にちょこんと乗って、ぶかぶかの割烹着に袖を通しながら――信じてしまった。
 更に。
「へぇ、調理実習ってそういうものなんだね。船にかえったらおれもみんなに教えてあげよう」
 カーティス・コールリッジ(CC・f00455)まで信じてしまった。
 キラキラ輝く純粋無垢な少年たちの瞳。それは花世の罪悪感を刺激……しない。だって腹ペコ女子の定義は揺るがない。調理実習イズ正義。さぁ、早くお腹一杯食べさせて!
 されど花世は立派なおねえさん。慣れぬ作業に右往左往戸惑う子らを無視なんて出来やしない。
「たすけて男爵……って、男爵は廊下だった。えぇと、えぇと。何作りゃいいの?」
 古い友人であるカラスは『衛生上の問題』とやらで、他の参加者が連れる巨大ひよこやシロクマさんと仲良く廊下で授業を見学中。おかげでいつか自分の足で歩きたいと夢見ていたカカシに宿った命は、そもそもの問題にぶち当たった所で、
「好きな物を作ればいいと思うよ」
「好きな食べ物? そだなー……麦で作った物、好き。ぱん、めん、かし――パン!」
 花世の一言で天啓を得たし。
「おれ、船のみんなにチョコレートをあげたいんだ! みんないつも、いちばん年下のおれにゆずってくれるから。いまもきっと、おれがちゃんとやってるか心配してる」
「じゃ、チョコレートの味が一番わかりやすいのがいいね」
 指折り家族であるクルーの名前を挙げるカーティスへは、湯煎して型に流し込むだけの簡単レシピを一等素敵なものへ変える魔法をふわり。
 少年たちの目には、花世は女子力抜群の料理上手に映った事だろう。それが貧乏を凌ぐゆえに身に付いた自炊スキルであったとしても!
 然して一人は溶かしたチョコレートを型に流し込んでは、少し不格好な『素敵』を作り続け。一人は懸命に捏ねて、発酵と焼き上がりをそわそわ待ち。もう一人は、手際よく完璧なきつね色のふわふわパンケーキを超絶手際よく焼き上げる。
「とびきりあまくておいしい!! はやく船のみんなにもたべさせてあげなきゃ!」
 ――コール、『CC』! ミッション、オールクリア! です!
 天辺がちょこっと欠けたお星さまをつまみ食いしたカーティスは、プレゼント用にラッピングしたチョコレートたちをぎゅっと抱き締め。
「ヤバい、俺って天才かも!! 男爵、男爵!! 外で一緒に食べようぜ!」
 ビギナーズラックか、ふんわり白パンを焼き上げた案山子は、蜜のお裾分けを貰ってカラスの男爵の元へ猛ダッシュし。
「うう、我ながら傑作……っ」
 リコッタチーズ入りのふわっふわパンケーキを焼き上げた花世は、感涙に咽び泣く。
 確かに花世製パンケーキは、ほんのり塩気にとろり蜜ぷにの蜜のコンビネーションが最強にして無敵。幾ら食べても飽きないし、折角だからチョコソースも作っちゃおうかな、なんて新たな欲求もむくむく。
 育ち盛りの少年たちも、完成の興奮が一頻り落ち着いたなら、きっとパンケーキに惹かれて戻ってきてしまうに違いない。だって調理実習は『タダ飯』三昧なのだから。
「カーティス君なら、家族のお土産用かな?」
 美味美味、幸せ。三日ぶりの食事に顔を蕩けさせていた花世は、ゆっくり立ち上がって材料の山と再び対峙する。
 三日分にはまだまだ足りない。
 何だったら、これから先の三日分まで食べてしまおうか?
 ハムスターが頬袋をぷきゅっとさせるよう、たっぷりの幸せで両頬を膨らませた花世は、パンケーキの量産を開始する。

 余談。
 この後、花世が築き上げたパンケーキの山が学園で語り継がれる伝説になるのを、未だ誰も知らない――……。
 もちろん、完食。ごちそうさま! タダ飯美味い!!!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​


●花の涯
 蜜ぷに達の種類にも負けぬ、四季折々の花々が風に揺れるお宿の名前は『花の涯』。
 千桜・エリシャ(春宵・f02565)が営む、和の情緒に溢れた旅館。そこに集う乙女たちは、バレーナ・クレールドリュンヌ(甘い揺蕩い・f06626)が手に入れた蜜ぷにの蜜を前に暫し試案。
 バレンタインが近いのだからチョコレートは外せない。つまり蜜とチョコレートを如何に掛け合わせるかが腕の見せ所。バレーナは既にハニーすあまトーストを作ると決めているけれど!
 花の色を閉じ込めた蜜は、想像力を掻き立てる。
「蜜ぷに……興味深いわね。大丈夫、勉強してきたし……完璧よ」
 割烹着に袖を通した佐々・夕辺(チャーミングステップ・f00514)は、蜂蜜を押し込んだような髪をきゅっと後ろで一纏め。
「ここの調理器具は謎が多いのですね。面白いものが出来上がってしまいかもしれませんのね!」
 此方も女将らしく割烹着をさっと着こなしたエリシャは、見慣れぬ道具たちに桜色の眼に煌めく花吹雪。料理の経験は相応にあるが、チョコレート菓子は初挑戦ゆえ胸も高鳴ろうというもの。
「……きっとなんとかなります!」
 これまたチョコレート菓子作りは初めましてのセリア・エーデルワイス(善白に満ちて・f08407)は、エプロンを身に着けて材料をしっかり指差し確認。
 流石はお年頃の女子たち。なんやかんやで危うげない――そんな彼女らを「お手並み拝見といこうかしらね?」と謎の自信で眺めるバレーナでさえ見なかったフリをした神羽・リオン(OLIM・f02043)を除いては。
「ああ、それは知っているわ。こうするんでしょ!?」
 今日の為に可愛いエプロンを買ったリオンは社長令嬢。自宅にはお抱えシェフがいるから、当然のように料理経験は皆無。
「ちょっと何コレッ!? 混ざらないッ!!」
 湯煎したチョコレートと蜜ぷにの蜜を攪拌しようとして、ボウルをひっくり返す。
「え? え? 何で固まって来るのッ!? ちょっと、ちょっと待ちなさいってば!!」
 果ては直火にかけたり、欠片を飛ばしたり、怪しげな調味料を投入したりと――控えめにいっても、THE☆一人戦場。
「えぇと、この部分は繰り抜いて……そこに蜜を流し込んで……」
「成程、夕辺は蜜をそう使うのね」
「生地にも蜜を少量加えてみましょう。焼く時間はどれくらいだったでしょうか……? あ、紅茶に入れる分の蜜も残さないといけませんね」
「セリアは紅茶も準備してるの? 気が回るわね」
「まぁ、凄い! このフライパン、蓋を閉めると虹色の蒸気が出ますわ!」
「エリシャは危なげないわね。これは期待大だわ」
 一人一人の手元を観察するバレーナさえ、リオンの事は徹底的にスルー。あれは見てはいけない。経過は見ずに、結果を受け止める事こそ情けというもの。それにほら、戦禍が他へ拡大させていないリオンの努力は、十二分に評価できる(最低限の努力だとか言ってはいけない)。
 斯くして徐々に自分たちの手元に集中していく乙女たちは言葉少なになってゆく。
 夕辺は時間と温度をきっちり計測する緻密さで。エリシャはフィーリングに任せてうきうきと。セリアはレシピと手元を交互に眺め。バレーナは独自路線を突っ走り。
 かちかち、かちかち。
 時間を刻む、歯車は規則正しく回り続け。
 どきどき、どきどき。
 花盛りな乙女たちは、来るバレンタインデー本番の為に最善を尽くす。
 そうして――。
「よし、出来た……! 女将、女将! 見てくださ……はっ」
 少し形は歪になってしまったけれど、蜜ぷにの蜜をたっぷり中に湛えたチョコレートボンボンを夕辺が完成させたタイミングで、彼女らの寡黙タイムも遂に終了。
「……ごめんなさい、私ったら。ついはしゃいで……」
 笑顔が苦手で、人に優しくするのも苦手な夕辺のふわふわの狐耳がぺしょりとなれば、鬼人の娘はすかさず微笑む。
「お上手ですわよ? よく頑張りました、なんて」
「女将、女将! わたしのハニーすあまトーストも完成したわ。チョコペンで、一つ一つに似顔絵を描いたの」
 蜜を含ませた香り豊かなすあまを乗せた似顔絵付のハニートーストを、バレーナは謎の自信でご自慢の逸品をずずい。
「まあ! バレーナさんの似顔絵、とても可愛らしいですわ。それにセリアさんのブラウニーは紅茶も添えてあってオシャレですわ!」
「ありがとうございます。エリシャさんの虹色のチョコパンケーキも素敵な仕上がりですね。その虹色は蜜の色なのでしょうか?」
 興味津々に皿を見つめる白い少女の問いに、エリシャは緩く首を振って、またにこり。
「蜜ぷにの蜜は仕上げでかけますの。だからこの虹色は、アルダワ製フライパンの魔法の力ですわね」
 銀色の調理台の上に、次々並ぶ蜜ぷにとチョコレートのコラボレーション菓子たち。それらは彼女たちの努力の結晶であり、どれもこれも魅力的。バレーナの一見謎なハニーすあまトーストだって、もちもちとふわふわ食感の共演で新たなジャンル爆誕の可能性に満ち満ちている。
 ――で、だ。
「やっぱり今年は諦めよう……こんなの、あげられないもの……」
 当たり前だが、誰一人リオンの事も忘れてはいない。どこからどう見ても『ヤバい』もの――敢えて文章での表現は避ける。してないけないブッタイなのだ――を味見した直後から、顔面蒼白を通り越し、ふさふさ狐耳と尻尾をしゅんと萎ませ、半氷像と化した彼女の項垂れぶりに、声をかける事さえ躊躇われていただけで。
「リオンさんも……もし良ければ、一緒にいかがですか?」
 けれどそこは慈愛の人。シスターであるセリアが水を向ければ、氷が春の日差しに当てられたように、リオンの表情もぎこちなく綻ぶ。
「……いいの?」
「勿論ですわ。私のパンケーキを一緒にいかが? セリアさんが淹れてくれた紅茶が冷めないうちに」
「そうよ、リオンさん。これから沢山、練習すれば良いのよ。大丈夫」
「そ、そうかしら?」
 エリシャに豊かに蜜が香る七色のパンケーキを差し出され、他人も自分も甘やかすのが苦手な夕辺にも励まされ。リオンの貌にも笑顔が戻る。
 甘い甘いお菓子もだけれど、素敵な笑顔も絶対無敵な乙女の武器。
「さぁさぁ皆さん、席について。紅茶には、ぜひ蜜ぷにの蜜を入れて飲んで下さい」
 温められ花の香りを増したセリアの紅茶に、お宿の仲間たちの心は春爛漫。食する美味に、頬はますます緩む。
 それは蜜ぷに達から蜜を勝ち取ったバレーナにとっても、この上なく幸せで豊かな一時。
 来るバレンタイン本番を前にした乙女たちの、優しく甘い休息タイム。
神羽・リオン
【花の涯】 で参加
可愛いエプロンで気合い十分。今日の為に買ったのよ。うちにはシェフがいるし、私は料理しないもの。

チョコ菓子作りに挑戦。
ああ、それは知っているわ。
こうするんでしょ??
ちょっと何コレッ!?混ざらないッ!!
蜜ぷにの扱いに手間取り、零すはひっくり返すは一人で大苦戦 !(みんなに迷惑をかけない場所が戦場と化す)
どうしてこうなるのかしら?

みんなの見様見真似をするのに……結果として悲惨な味の物が完成。
味見すれば顔面蒼白。

やっぱり今年は諦めよう……
こんなの、あげられないもの……。
耳を下げ、尻尾も脱力。肩を落として人知れず呟き。

けれど、みんなの試食となれば再び笑顔が復活。ワイワイ楽しくね。


佐々・夕辺
【花の涯】 WIZ

蜜ぷに……興味深いわね
チョコと合わせて…こう…ボンボンのようにやってみるわ
作り方は勉強してきたし……完璧ね
割烹着を着て…と

一度型に入れて、余分なチョコをだして、蜜ぷにを入れて……
きっちり時間と温度を測りながらボンボンを作成
蜜がこぼれて手を汚すような事のないように…

よし、出来た……!
少し不格好だけれど、はみ出さないように出来たかしら!
女将、女将!見てくださ……はっ。
…ごめんなさい、私ったら。ついはしゃいで…


出来上がったら皆で食べるわ
女将のパンケーキ、とても美味しい…
バレーナさんの似顔絵、可愛いわね
セリアさんは…蜜をかけるのね?面白い
リオンさん…練習すれば良いのよ、大丈夫


バレーナ・クレールドリュンヌ
【花の涯】
みんなの作るお菓子、どういうものが出来るか楽しみじゃない?
お手並み拝見といこうかしらね?

私はせっかく蜜ぷにが手に入ったんだし、
ハニーすあまトーストを作ってみましょう。
すあまのもちもち感に蜜ぷにの甘さも加わっておいしいはず。(謎の自信)
(とても甘く、おまけにチョコペンで似顔絵つき)

エリシャはすっかり決め込んでるし期待大ね。
夕辺は、蜜ぷにをそう使うの?面白いじゃない?
セリアは紅茶を準備してるの?気が回るわね。
リオンは‥‥。(見なかったことに)

みんなのお菓子をおいしく頂いて、お祭りの前日祭としゃれこみましょう。
紅茶の香りに甘い蜜ぷに、こんなに豊かな日はないわね。


千桜・エリシャ
【花の涯】
バレンタインに向けて旅館の皆さんと挑戦しますわ!
私は『チョコパンケーキの蜜ぷにシロップがけ』を作ってみましょう
私、お料理はそれなりですが、チョコ菓子は作ったことがありませんの
それにこの謎の調理器具…面白いものが出来上がってしまうかもしれませんのね!
それもまた一興かしら?
割烹着に着替えてフィーリングに任せて作ってみましょう
出来上がったら皆さんで実食ですわ!

まあ!バレーナさんの似顔絵、とても可愛らしいですわ!
夕辺さんのボンボンもお上手ですわよ?よく頑張りました、なんて
あら…リオンさん、私のパンケーキを一緒にいかが?
紅茶まであってセリアさんのはオシャレですわ!

これで本番もばっちりですわね!


セリア・エーデルワイス
【花の涯】
バレンタインに向けてお菓子作りに挑戦します
チョコレートのお菓子を作るのは初めてですが…きっとなんとかなります!

今回はブラウニーを作ります
エプロンを身につけたら材料を確認して…生地に蜜ぷにの蜜も少量加えてみましょう
生地ができたらあとは焼くだけですが…焼く時間はどれくらいだったでしょうか…?

失敗しても諦めずに完成を目指します!
蜜ぷにのシロップは瓶詰して別で用意しましょう
紅茶に淹れてもきっといい甘さになるはずです

エリシャさん、バレーナさん、夕辺さんのお菓子も素敵な仕上がりですね。
リオンさん…もし良ければいかがですか?
皆さんの出来上がったお菓子も一緒に頂きながら、楽しみましょう

※アレンジ歓迎



●花の涯
 蜜ぷに達の種類にも負けぬ、四季折々の花々が風に揺れるお宿の名前は『花の涯』。
 千桜・エリシャ(春宵・f02565)が営む、和の情緒に溢れた旅館。そこに集う乙女たちは、バレーナ・クレールドリュンヌ(甘い揺蕩い・f06626)が手に入れた蜜ぷにの蜜を前に暫し試案。
 バレンタインが近いのだからチョコレートは外せない。つまり蜜とチョコレートを如何に掛け合わせるかが腕の見せ所。バレーナは既にハニーすあまトーストを作ると決めているけれど!
 花の色を閉じ込めた蜜は、想像力を掻き立てる。
「蜜ぷに……興味深いわね。大丈夫、勉強してきたし……完璧よ」
 割烹着に袖を通した佐々・夕辺(チャーミングステップ・f00514)は、蜂蜜を押し込んだような髪をきゅっと後ろで一纏め。
「ここの調理器具は謎が多いのですね。面白いものが出来上がってしまいかもしれませんのね!」
 此方も女将らしく割烹着をさっと着こなしたエリシャは、見慣れぬ道具たちに桜色の眼に煌めく花吹雪。料理の経験は相応にあるが、チョコレート菓子は初挑戦ゆえ胸も高鳴ろうというもの。
「……きっとなんとかなります!」
 これまたチョコレート菓子作りは初めましてのセリア・エーデルワイス(善白に満ちて・f08407)は、エプロンを身に着けて材料をしっかり指差し確認。
 流石はお年頃の女子たち。なんやかんやで危うげない――そんな彼女らを「お手並み拝見といこうかしらね?」と謎の自信で眺めるバレーナでさえ見なかったフリをした神羽・リオン(OLIM・f02043)を除いては。
「ああ、それは知っているわ。こうするんでしょ!?」
 今日の為に可愛いエプロンを買ったリオンは社長令嬢。自宅にはお抱えシェフがいるから、当然のように料理経験は皆無。
「ちょっと何コレッ!? 混ざらないッ!!」
 湯煎したチョコレートと蜜ぷにの蜜を攪拌しようとして、ボウルをひっくり返す。
「え? え? 何で固まって来るのッ!? ちょっと、ちょっと待ちなさいってば!!」
 果ては直火にかけたり、欠片を飛ばしたり、怪しげな調味料を投入したりと――控えめにいっても、THE☆一人戦場。
「えぇと、この部分は繰り抜いて……そこに蜜を流し込んで……」
「成程、夕辺は蜜をそう使うのね」
「生地にも蜜を少量加えてみましょう。焼く時間はどれくらいだったでしょうか……? あ、紅茶に入れる分の蜜も残さないといけませんね」
「セリアは紅茶も準備してるの? 気が回るわね」
「まぁ、凄い! このフライパン、蓋を閉めると虹色の蒸気が出ますわ!」
「エリシャは危なげないわね。これは期待大だわ」
 一人一人の手元を観察するバレーナさえ、リオンの事は徹底的にスルー。あれは見てはいけない。経過は見ずに、結果を受け止める事こそ情けというもの。それにほら、戦禍が他へ拡大させていないリオンの努力は、十二分に評価できる(最低限の努力だとか言ってはいけない)。
 斯くして徐々に自分たちの手元に集中していく乙女たちは言葉少なになってゆく。
 夕辺は時間と温度をきっちり計測する緻密さで。エリシャはフィーリングに任せてうきうきと。セリアはレシピと手元を交互に眺め。バレーナは独自路線を突っ走り。
 かちかち、かちかち。
 時間を刻む、歯車は規則正しく回り続け。
 どきどき、どきどき。
 花盛りな乙女たちは、来るバレンタインデー本番の為に最善を尽くす。
 そうして――。
「よし、出来た……! 女将、女将! 見てくださ……はっ」
 少し形は歪になってしまったけれど、蜜ぷにの蜜をたっぷり中に湛えたチョコレートボンボンを夕辺が完成させたタイミングで、彼女らの寡黙タイムも遂に終了。
「……ごめんなさい、私ったら。ついはしゃいで……」
 笑顔が苦手で、人に優しくするのも苦手な夕辺のふわふわの狐耳がぺしょりとなれば、鬼人の娘はすかさず微笑む。
「お上手ですわよ? よく頑張りました、なんて」
「女将、女将! わたしのハニーすあまトーストも完成したわ。チョコペンで、一つ一つに似顔絵を描いたの」
 蜜を含ませた香り豊かなすあまを乗せた似顔絵付のハニートーストを、バレーナは謎の自信でご自慢の逸品をずずい。
「まあ! バレーナさんの似顔絵、とても可愛らしいですわ。それにセリアさんのブラウニーは紅茶も添えてあってオシャレですわ!」
「ありがとうございます。エリシャさんの虹色のチョコパンケーキも素敵な仕上がりですね。その虹色は蜜の色なのでしょうか?」
 興味津々に皿を見つめる白い少女の問いに、エリシャは緩く首を振って、またにこり。
「蜜ぷにの蜜は仕上げでかけますの。だからこの虹色は、アルダワ製フライパンの魔法の力ですわね」
 銀色の調理台の上に、次々並ぶ蜜ぷにとチョコレートのコラボレーション菓子たち。それらは彼女たちの努力の結晶であり、どれもこれも魅力的。バレーナの一見謎なハニーすあまトーストだって、もちもちとふわふわ食感の共演で新たなジャンル爆誕の可能性に満ち満ちている。
 ――で、だ。
「やっぱり今年は諦めよう……こんなの、あげられないもの……」
 当たり前だが、誰一人リオンの事も忘れてはいない。どこからどう見ても『ヤバい』もの――敢えて文章での表現は避ける。してないけないブッタイなのだ――を味見した直後から、顔面蒼白を通り越し、ふさふさ狐耳と尻尾をしゅんと萎ませ、半氷像と化した彼女の項垂れぶりに、声をかける事さえ躊躇われていただけで。
「リオンさんも……もし良ければ、一緒にいかがですか?」
 けれどそこは慈愛の人。シスターであるセリアが水を向ければ、氷が春の日差しに当てられたように、リオンの表情もぎこちなく綻ぶ。
「……いいの?」
「勿論ですわ。私のパンケーキを一緒にいかが? セリアさんが淹れてくれた紅茶が冷めないうちに」
「そうよ、リオンさん。これから沢山、練習すれば良いのよ。大丈夫」
「そ、そうかしら?」
 エリシャに豊かに蜜が香る七色のパンケーキを差し出され、他人も自分も甘やかすのが苦手な夕辺にも励まされ。リオンの貌にも笑顔が戻る。
 甘い甘いお菓子もだけれど、素敵な笑顔も絶対無敵な乙女の武器。
「さぁさぁ皆さん、席について。紅茶には、ぜひ蜜ぷにの蜜を入れて飲んで下さい」
 温められ花の香りを増したセリアの紅茶に、お宿の仲間たちの心は春爛漫。食する美味に、頬はますます緩む。
 それは蜜ぷに達から蜜を勝ち取ったバレーナにとっても、この上なく幸せで豊かな一時。
 来るバレンタイン本番を前にした乙女たちの、優しく甘い休息タイム。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

影守・吾聞
友達の瑠碧(f04280)とお菓子作りの練習だ!

瑠碧の故郷では、調理器具も素朴な感じなんだね
世界ごとに文化が違って面白いなぁ

ホットケーキくらいしか自信ない俺だけど
今回はチョコスコーンにチャレンジだ!
材料が似てるから
レベルアップにぴったりなはず!

材料はしっかり混ぜて
刻んだチョコを加えてさらに混ぜて纏めて
寝かせた生地を等分してオーブンで焼けば
できた!こんがりチョコスコーン!

瑠碧のフォンダン・オ・ショコラはどんな感じになってるかな?
すごいすごい!チョコ、とろっとろだ!
あったかいチョコと生地のコンボ、美味しいよ!

俺のスコーンも半分どうぞ!
トッピングに蜜ぷにの蜜を付けると美味しいらしいよ
試してみよっか


泉宮・瑠碧
友達の吾聞(f00374)と菓子作りの練習

調理器具の解説は有難い…解説の女性に感謝を
竈とかなら僕の故郷にもあったから使えるが…
オーブンやレンジとなるとよく知らないんだ
吾聞は機械にも詳しそうだな

僕はショコラティエールに教えて貰った
フォンダン・オ・ショコラを作ってみる
彼女も親切に教えてくれたな…感謝だ

オーブンを温め、チョコを湯銭で溶かし…
初めは湯銭とは何だろうと思ったが
知らない料理や食材は調理法も不思議だな

焼き上がればフォークで切り、チョコが蕩けてたら完成
そのまま半分にして片方を吾聞に
僕もスコーンを半分貰えてほくほく
良い香り…吾聞は料理上手だな

合わせるならベリー風味の蜜も良いな…色々試してみようか



●料理上手の少年と、生真面目な少女と
 泉宮・瑠碧(月白・f04280)はショコラティエールが残してくれたレシピをじっと見つめる。オブリビオンでありながら、親切に教えてくれたものだと――そこはおそらく、ショコラティエの意地――感心しながらレシピを見つめる。
 見つめて、見つめて。声に出して、読んで。そうして掴んだフォンダン・オ・ショコラ作りの流れを今一度脳内で再生し、瑠碧はようやくアルダワ製の調理器具らと向かい合う。
「瑠碧の故郷では、調理器具も素朴な感じ?」
「そうだな。竈なら僕の故郷にもあったから使えるが……」
 並ぶ目線の高さはほぼ同じ。未知の道具への戸惑いを影守・吾聞(先を読む獣・f00374)に悟られて、瑠碧は生真面目に頷く。
「世界ごとに文化が違って面白いね」
「そういう吾聞は機械にも詳しそうだな」
 オーブンやレンジは謎でしかないという瑠碧の少女に、バトルゲーマーな少年はほんのり得意げに狼の耳をピンと立てた。
「任せてよ。さっきの先生の解説だってばっちりだよ」
 料理そのものはホットケーキくらいしか自信のない吾聞だけれど、今回は『材料が似てるからレベルアップにはぴったりなはず!』とチョコレートスコーン作りに挑戦すると言う。齢で言えば、瑠碧の方が五つお姉さん。上下が逆転している気がしないでないが、元より吾聞にとって瑠碧はお得意様。分からない事があれば手助けするし、その逆もまた然り。
 程よい距離感を保ちつつ、少女と少年は理想を目指して手を動かす。
「まずは、しっかり混ぜる」
 バターを溶かしてしまわないのがコツだとか。情報を小耳に挟みつつ、吾聞は完成した生地に今度はチョコを投入。
「吾聞のオーブンも予熱とやらをしておくのか?」
 そこで瑠碧からかかった声に、はたと思い出す。
「そうだった! 200℃でお願い」
「分かった」
 幾度も手順をシミュレートした瑠碧ならではの機転。斯くして『湯煎』すら最初は『??』だった瑠碧も一つ一つ、確実に丁寧に手順を熟していく。
 更なる高みを目指す挑戦も、未知なる料理や食材、調理方法との不思議な出会いも、貴重な経験。完成に近づくごとに、自然と高揚してしまう。
 そしてその頂点は。焼き上がりの歌を奏でたオーブンから、目的の品を取り出し皿に盛り、フォークを刺した瞬間!
「こんがりチョコスコーン、さっくさく!!」
「おおお……中からチョコレートが蕩け出して来た」
 歓喜は、見る間に感激へと昇華して。思わず顔を見合わせ、そのまま半分こで交換すれば感動になる。
「すごいすごい! チョコとろっとろだ! あったかいチョコと生地のコンボ、美味しいよ!」
 子供らしい手を泳がせた吾聞のリアクションに、瑠碧もほっこり。そのまま分けて貰ったスコーンを口に運んで――ほくほく。
「良い香り……吾聞は料理上手だな」
「ありがとう! あのね、トッピングに蜜ぷにの蜜を付けると美味しいらしいよ。試してみよっか」
「僕ならベリー風味の蜜を合わせてみたいな。いや、色々試してみるのも面白そうだ」
 幸い、スコーンはまだまだ沢山。二人の楽しい美味の追及は、今しばらく続きそう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

東雲・咲夜
【水響館】
🌸ハ禁

もうすぐバレンタインやさかい
フォンダンショコラね
フリルエプロンにたすきがけ

お菓子は分量と温度さえしっかりまもれば
大きな失敗はしぃひんの
燈華くん、チョコを湯銭で溶かしてくれはる?
お湯が入らんよう気をつけて
可愛いお弟子さん…ふふ

うちが泡立てた卵と砂糖に
溶かしたチョコをまぜまぜ
ふるった薄力粉とココアも入れて
疲れたら交代してもろて
おいしくなぁれ、おいしくなぁれ…(祈り)
型に入れオーブンで焼いたらできあがり

わぁ…ええ匂い
試しに一つお匙を入れて…うん、大成功っ
やったなぁ燈華く……ひゃあ!?
だ、抱き付かれ……わあぁっ
…でも、こんなに喜んでくれはってうちも嬉しい
また一緒にお料理しましょうねっ


篝・燈華
【水響館】WIZ
どきどきの調理実習、割烹着と三角巾で準備もばっちりだよ!
師匠(咲夜ちゃん)に教えを乞いながら、フォンダンショコラに挑戦するよっ

なるほど、分量をしっかり……湯煎でチョコをとろとろ……
根気も必要になってくるんだね、食べたひとが笑顔になってくれるのを願いつつ、交代して材料を練り練り
わ、魔女のお婆さんになったみたい! 美味しい魔法がかかるといいなっ

焼きあがったお菓子の匂いにふらふら、ひと匙入れたら蕩けるチョコに感動して、思わず師匠に抱きついちゃう
「やったー! ありがとう師匠!」
(ほっぺにチョコをつけたまま満面の笑み)
蜜ぷにさんの隠し味の紅茶と一緒に試食会しよー

また一緒に料理しようね!



●水響館のお師匠さんとお弟子さん
 ――もうすぐバレンタインやさかい、フォンダンショコラね。
 甘いレースがふんだんにあしらわれたエプロンにたすき掛けした東雲・咲夜(桜歌の巫女・f00865)がはんなりたおやかにそう言うから、篝・燈華(幻燈・f10370)もしっかり倣って割烹着に袖を通し――ポケットに大好物のじゅわーっとこんがりお揚げさんがラップに包まれ入っているのはご愛敬。大好物だから仕方ない。別腹別腹――、もふもふふさふさの狐耳を三角巾にぎゅっと押し込める。
 常は『燈華くん』『咲夜ちゃん』と呼び合う二人も、今日は咲夜がお師匠さんで、燈華がお弟子さん。
 ――お菓子は分量と温度さえしっかりまもれば、大きな失敗はしぃひんの。
 ――なるほど、分量をしっかり……。
 ――チョコを湯煎で溶かしてくれはる?
 ――湯煎で、チョコを……。
 ――あ。お湯が入らんよう気をつけて。
 ――うん、分かったよ。とろとろになるまで、ゆっくり丁寧に……。
 咲夜の一言一言に律儀に返して応じる燈華は、思わずふふと笑んでしまいたくなる程の可愛いお弟子さんっぷり。こんなお弟子さんなら、秘伝の奥義伝授も惜しくない。まぁ、今回のお菓子作りにそんな大それたものはないけれど。
 でも。
「お菓子作りは根気も必要になってくるんだね」
 咲夜から、生地を掻き混ぜるのを交代した燈華の様子を見ると、特別な事をしている気分。元は泡立てた卵に砂糖と溶かしたチョコレート、それから丁寧に揮いにかけた薄力粉とココアという至って普通の材料なのに。
 練り練り、練り練り。生地を滑らかにしてゆく工程は、
「魔女のお婆さんになったみたい!」
 言われてみれば、確かにそうかもしれない。だから咲夜は燈華の感嘆に魔法をかける。
「じゃあ、とっておきの呪文を唱えよか。おいしくなぁれ、おいしくなぁれ……」
「!」
 素敵なとっておきに燈華は目を輝かせ、美味しい魔法を成就さるよう一層丁寧に生地を練り。こうして出来上がったフォンダンショコラが失敗する筈がない。
 オーブンから取り出す時点で、甘い香りが二人の鼻を擽り。試しに咲夜が一匙入れれば、中からとろぉり艶やかなチョコレートが溢れ出す。
 その感動たるや――。
「うん、大成功っ。やったなぁ燈華く……」
「やったー! 凄いよ、師匠。ありがとう師匠!!」
 焼きあがったばかりの香りにふらふらしてたのと合わさって、熱烈の極致。一回りは体格の良いお弟子さんにハグっとされて、お師匠さんの口からは「ひゃあ!?」という驚きしか出ない。
 しかし満面笑顔のお弟子さんの頬にチョコレートが付いているのを見止めれば、可愛らしさと喜びが込み上げる。
「……こんなに喜んでくれはって、うちも嬉しい」
 陶器のように澄んだ雪肌を微かに淡く染め、咲夜も燈華と同じ心地にふわふわ酔う。
 これはきっと一人では味わうことの出来なかったしあわせ。師匠と弟子の二人で築き上げた素敵。
 ――また一緒に料理しようね!
 ――また一緒にお料理しましょうねっ。
 次に繋がる約束もぴたり重ね合わせつつ、咲夜と燈華の二人は蜜ぷにの蜜が隠し味の紅茶とバレンタインのスウィーツ試食会に、まずは花を咲かす。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フレズローゼ・クォレクロニカ
🍓櫻宵(f02768)と一緒
アドリブや絡み等歓迎

さぁ櫻宵!
チョコ作りだよー!ボクに教えて!教えて!
お揃いのエプロンを着てご満悦
大好きな櫻宵……大好きなショコラティエと一緒に作るチョコ!
たっぷりの蜜ぷに蜜に、チョコ!
あまーい香りにワクワクが止まらない!

ボクは、とろーっとしてじゅわーっとした恋するように甘くて美味しいチョコがいい!
櫻宵の提案にはきらきら瞳を煌めかせて
チョコを刻んでまぜて溶かして……櫻宵が作った蜜グミを包んで
あとは櫻宵……迎櫻館名物の花チョコはかかせない
桜を一輪飾ってできあがり
蜜ぷにジュレの花ショコラ!
わーいと大喜び

櫻宵、あーんして!
ボクの初めてのチョコはキミにって決めてたんだもん


誘名・櫻宵
🌸フレズローゼ(f01174)と
絡み、アドリブ歓迎

甘くていい香り!フレズ、チョコ作りよ!
待ってましたと用意をしたなら、うきうき気分のフレズにウインク
あら!褒めて貰えて嬉しいわ
最高のチョコを作りましょ

なら
ミルクチョコでとろーりとぷにぷにの二層の蜜ぷにジュレを包んだチョコはどうかしら
じゃあフレズはチョコを刻んで溶かしてね
火傷には注意よ
その間に作るのは蜜を使った美味しい二層ジュレ
フレズのチョコと合わされば、美味しくて幸せになれるわ!

出来上がったチョコに桜のチョコも添えて
よく出来たわねと褒める

あらあたしに?
嬉しいわ
お言葉に甘えて(あーん

うふふ
美味しいわ
今まで食べたチョコの中で1番かも
ありがと
フレズ!



●Magie du Chocolatier
 ずっとずっと、ずぅっと。
 フレズローゼ・クォレクロニカ(夜明けの国のクォレジーナ・f01174)はこの時を待っていた。
 大好きで、大好きなショコラティエの誘名・櫻宵(誘七屠桜・f02768)。彼と一緒にチョコレートを作れるなんて、とても幸せ。お揃いのエプロン姿を、ぴょんぴょん跳ねてみんなに自慢して回りたい気分。
 櫻宵、櫻宵。名前を呼んで。
 教えて、教えて! 僕に教えて、と熱烈にせがんで。
 色とりどりの蜜ぷに蜜とチョコレート。思わず頬が緩んでしまいそうな甘い香りに全力疾走なワクワクを全身で櫻宵へ訴えたら、満開の桜がけぶるようなウィンク一つ。
「最高のチョコを作りましょ」
 その一言で、フレズローゼもショコラティエの魔法にかかる。

「フレズ、火傷には注意よ」
「ありがとう、気を付ける!」
 それほど危ういわけではないけれど。ミルクチョコレートを湯煎する手元へ注意を促したなら、素直で元気の良い応え。これなら何も心配は要るまいと、櫻宵は自分の作業に集中する。
 ――ボクは、とろーっとしてじゅわーっとした、恋するように甘くて美味しいチョコがいい!
 そんなお姫様の願いを叶える為に櫻宵が考えたレシピは、とろーりとぷにぷに二層の食感が楽しく嬉しいジュレをチョコレートで包み込むというもの。もちろん、使うのは蜜ぷに達から頂戴した蜜。
(「だって。蜜もどんな食材も、ショコラに活かしショコラを美しく美味しい一粒の芸術品にするのがあたし達の役目ですものね」)
 オブリビオンへ言ってやったからには、有言実行。
 櫻宵は慣れた手つきで、花の蜜たちを乙女の心を浮き立たせる美味しい宝石へと変えてゆく。そこへフレズローゼが刻んで溶かしたチョコレートを合わせるのだ。これが美味しくならない筈がない。むしろ一つ口に放り込んだだけで、世界は薔薇色になるに決まっている。
 けれど、これだけで完成ではない。
「櫻宵、櫻宵。やっぱり迎櫻館名物の花チョコはかかせないと思うんだけど、どうかな?」
 迎櫻館。櫻宵が営むギャラリー兼ショコラトリー。花のチョコレエトたちが手招く艶やかな大見世。
「ほら、桜を一輪。かわいい」
 瞳の耀きを是と取ったのだろう。硝子の皿に並べたチョコレート達に、フレズローゼは用意しておいた桜を一輪一輪飾ってゆく。
 増す彩に、皿の上が一瞬で春に華やいだ。
「フレズったら、最高よ。大変よく出来ました」
「わーい、やったー! 櫻宵に褒められたー!」
 エプロンの裾をひらり躍らせ、フレズローゼは歓喜に跳ねる。跳ねて、浮かれて、一番大事なことをポンっと思い出す。
「櫻宵、あーんして!」
 口を開けるよう可愛らしく強請られて、人派の木龍はきょとり。
「あら、あたしに?」
「うん! ボクの初めてのチョコはキミにって決めてたんだもん」
 続いた『初めて』へは、甘く破顔せざるを得ない。
「では、お言葉に甘えて?」
 小柄なフレズローゼも届くよう、膝を折って望まれる儘にお口をあーん。やがて近付く指の気配。ぽんっと放り込まれたチョコレートのお味は。
「どう?」
「うふふ、美味しいわ。今まで食べたチョコの中で一番かも」
 それは贔屓目なしの、本気の賛辞。
「ありがと、フレズ!」
 ――ショコラティエの魔法にかかったのは、フレズローゼか櫻宵か。果たしてどちらなのだろう?

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アリア・アクア
私、なぜか故郷ではお料理を禁じられていたのですけど
調理実習にお邪魔させていただけるなら、大丈夫ですよね!
この世界の器具の扱いには慣れていますので、お任せください!

チョコレートのパウンドケーキを作ります
作り方の通り材料を用意、花蜜もたっぷり混ぜて、型に入れて、オーブンへ
蜜ぷにさん達の死、無駄にはしません!
焼き上がったら取り出し……あら?思っていたのと、違うような……
(噴火した火山みたいな見た目のチョコレートケーキが完成)
(溶けきらなかったチョコがあちこち突き刺さっている)

うん!でも味はちゃんとチョコレートです!
あ、希夜様、少しいかがですか?見た目は悪いですが、自信作です!
(反応ご自由にどうぞ)



●禁じられたのには理由(わけ)がある
 アリア・アクア(ミレナリィドールのビーストマスター・f05129)の四肢には球体関節がある。それらの中には駆動の蒸気を吹き出すもする。
 つまりアリアはアルダワの技術の粋の結晶。他の世界の者たちが扱いに戸惑う調理器具だって慣れたもの。
「まずは、このダイヤルをこうして……」
 分量を自動で計測してくれるボウルへ、アリアは材料を順に投入する。バターに卵に、砂糖に、薄力粉に、ベーキングパウダー。
「そして、次は……これを、こう」
 掻き混ぜるのだってお手の物。自動制御機能がついた泡だて器は、ボタン設定一つで温度設定までしてくれる優れもの。
 にこにこ、ふふふ。
 時にじぃっと、時にふわりと。表情をくるくる変えながら、アリアは唇に歌を乗せなパウンドケーキの生成に勤しむ。
「忘れるところでした。今日のポイントは、蜜ぷにの花蜜をたっぷり入れることと、チョコレートを効かせることです♪」
 ――蜜ぷにさん達の死、無駄にはしません!
 そう張り切っていたアリアの手順は、おそらく左程まちがっていなかった筈だ。いや、随所にショートカットがあったのは事実だが。でもそんな些細な事をアリアは気にせず料理を楽しんでいた。
 何故か?
 彼女は故郷で料理を禁じられていたからだ。
 嗚呼、自由にお料理を楽しめるって素敵。甘いお菓子を自分で作れるなんて、幸せ。普段は既製品しか食べていないから尚更に。
「最後は型に注いで。オーブンの時短焼き上げモードをセットして……完璧です!」
(「いやいやいや?」)
 不穏な気配を察し見守っていた連・希夜(いつかみたゆめ・f10190)は心で否を唸る。どうしてだか、さっきから胸騒ぎが止まらないのだ。
 果たしてその予感は華麗に的中する。
 かち、かち、かち。
 残り時間を示す歯車たちは規則正しく回り続け。
 かち、かち、こち。
 最後の一つを刻んだ直後――。
 ――ふっ、しゅううううう!!!!
「あらあら、何事かしら?」
(「――男たるもの!」)
 吹き上がったどどめ色の蒸気に、アリアは小首を傾げ、希夜は己が未来を悟る。
「……おかしいです、思っていたのと、違うような……」
 取り出した、どこからどう見ても噴火した火山に酷似したチョコレートパウンドケーキに、アリアの首の傾度は増す。
(「ああ、溶けきれなかったチョコが針山みたいにっ」)
「あら、でも。味はちゃんとチョコレート。希夜様、少しいかがですか? 見た目は悪いですが自信作です!」
「ありがとう」
(「なんとかなるなる! 人生って、そんなもの!」)

 意を決した希夜は、アリアが料理を禁じられていた理由を我が身をもって知る事になる。顔色一つ変えず、笑顔を貫けたのは持って生まれた前向きさ故。
 後に希夜は言う。ちゃんとチョコレートの味はしたよ。チョコレートの味はね――と。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メーアルーナ・レトラント
ひよキングしゃんは……えーせーてきに中にはいるのはメッ!なのでろうかに
できたらごちそうするのです!

おりょうりは……はじめて!
メアは……ふれんちとーすとをつくるのです!みつたっぷりかけたらおいしい…ふふー!
やくのはきっとあぶないから……きやおにーさまにおねがいします!

たまご! みるく! おさとう!
これをがしゃがしゃしてぱんにひたひたするのです

まず、たまご
たまごを……おもいきりしたらぐしゃあ!
ひよきんぐしゃんわってくだしゃ…おそと!
うう、おたすけしてくれそなひとをさがすのです!
はっ!さっきたすけてくれたばらいろのおねーさまは…! どこに…!

ぶじできたらうれしいのです!
えへへ、たのしくつくれたら!


チロル・キャンディベル
チロ、なんども蜜のおかし作ったからとくいなのよ(えへん)
この前おともだちが作ってくれた、フレンチトースト作るのよ
ソルベがまどの外からおうえんしてくれてるから、がんばるの!

えーと
材料なにかしら?
たまご?ミルクとおさとう?
よし、まずはたまごね
えい!!(力いっぱいやってぐしゃ)
たまご!むずかしい!
どうしてみんな、きれいにわれるの?
どうやればいいのかしら?
だれか分かる人におしえてもらいたいのよ

いっぱい助けてもらって、あとはぐるぐるして焼くの
希夜、チロのフレンチトーストもてつだってほしいの
きれいでおいしいの作って、蜜いっぱいかけて食べるのよ!
助けてくれた人に、ありがとうのフレンチトーストごちそうするの!


フィオリーナ・フォルトナータ
皆様、お疲れ様でした
折角ですから私は…プリンでも拵えてみましょうか
蒸気があるなら美味しく作れると思うのです
カラメル代わりに蜜をかけて
希夜様、お味見などいかがでしょう?

こういった賑やかな空間で、皆で作業を楽しむなんて
随分と久しいものですから
つい鼻歌なんかも交えてしまったりして…、…
…いたら、何やらちいさなお嬢様方の悲鳴…のようなものが…

見れば先程のお嬢様
主に卵がだいぶ悲惨なことになっているご様子
あああ、そんな力強く握り締めては
美味しく食べる所が潰れてしまいます…!
卵の割り方を出来る限りわかりやすく教えつつ
混ぜる所はお手伝いをして
無事に出来上がるのを見守ります
ふふ、美味しく作れましたか?



●卵たちの幸せの行方
 ガラス窓の向こう、懸命に助けを求める主と家族の姿に、巨大ひよこと白熊は困り果てていた。
『ひよキングしゃん、ひよキングしゃん。メアをたすけてほしいのらっ』
 透明な壁ごしのメーアルーナ・レトラント(ゆうびんやさん・f12458)の悲痛な訴えと、全力でひこひこする耳元から生えた羽根の動きが巨大ひよこの胸を刺す(多分)。
『ソルベ、ソルベ。チロ、どうしたらいいかしら? どうすればいいかしら?』
 いつもは自分の背中に乗せているチロル・キャンディベル(雪のはっぱ・f09776)の尋ねと、若葉色の瞳を潤ます涙に、白熊の心もきゅうっと軋む(きっと)。
 だがしかし。ひよこと白熊は『えーせーてきなもんだい(byメーアルーナが教師にとった確認)』で家庭科室へは入れない。というか、それ以前に。
『ひよキングしゃん、メアのためにたまごを、たまごを、うんで!!』
 ――いえ、無理です。ひよこキングは大きくてもまだひよこですから。
『チロもお願いするの。ソルベ、たまごを。たまごをちょうだい』
 ――すみません。白熊は卵は産めないのっ。
 と、ひよこキングとソルベが考えたか分からないけれど。ひよこキングもソルベも、メーアルーナとチロルの奮闘を応援しながら、案じていたのは間違いあるまい。
 だって二人とも……卵が割れなかったのだ。
 お料理が初めてなのだとメーアルーナはうきうきと笑っていた。フレンチトーストを作ろうとしているのだと聞きつけ、同じくフレンチトーストに挑もうとしていた――先日、お友達が作ってくれたのがとっても美味しかったのだ――チロルはメーアルーナへ共闘(ちょっと違う)を申し出た。
 卵にミルクにお砂糖。ピカピカの銀のボウルに不思議なボタンがいっぱいの泡立て器。それから外はカリカリ、中はしっとりのフランスパン。
 二人の準備は万端だった。未来だって前途洋々なはずだった――二人が卵を手に取る瞬間までは。
『はあっ! たまごが、たまごしゃんがっ』
 メーアルーナ、ボウルの縁に卵を力一杯叩きつけた。
『えい! えい! えええ、どうして??』
 何度も蜜のお菓子を作った事のあるチロルも以下同文。
 二つ、三つと試せど、卵がぐしゃあとなってしまう。中身は何とかボウルの中に滑り込ませているが、殻も混ざって大惨事。そうこうする間に、二人用の卵はなくなり……冒頭に戻る。
「あ、あ! そうです、そうです。ばらいろのおねーさん!!」
「ばらいろのおねーさん?」
「そうなのです! めいきゅうで、メアをたすけてくれたおねーさんが、きっとどこかにいるはずなのです!!」
 天啓は、突然だった。

 一方その頃。
「希夜様、お味は如何です?」
「最高。プリンの蕩ける食感を蜜ぷにの蜜が包み込むのが、また何とも♪」
「まぁ、ありがとうございます」
 ばらいろのおねーさんこと、フィオリーナ・フォルトナータ(ローズマリー・f11550)は希夜を味見役に、花のように微笑んでいた。
 蒸気の力を活用するアルダワなら、きっとプリンを美味しく拵えられると閃いた瞬間から、心はときめいていた。賑やかな空間で、人の気配を感じながら作業をするのも随分と久しぶり。あまりの楽しさに鼻歌なんかも、交えてしまった。
 こうして、カラメル代わりに花蜜を使ったプリンは希夜の言葉通りの絶品。
「では、わたくしも一口――」
「おねーしゃん、みつけたのらああああ!!!」
「ばらいろのおねえさあああんん!!!!」
「まぁ、先程のお嬢様と……白熊を連れていたお嬢様?」
 ――せっかくだから、自分も味わおう。そう思った瞬間、フィオリーナは幼女二人の救世主となる運命が決定づけられた。

「よろしいですか? 卵は、コンコン――あああ、そんなに力強く握り締めなくて大丈夫」
「コンコン、なのれすかぁ?」
「はい、ドアをノックするように。コンコン」
「ドアをノック! それならチロも出来る!!」
 メーアルーナとチロルは踏み台に乗ってもらい。作業しやすい『高さ』から伝授したフィオリーナは、二人を背中から、文字通り手を取って料理の世界へ誘う。
 ぐしゃぐしゃになってしまった卵液も、後でこれらもフィオリーナにプリンへ作り変えてもらう心づもりで、希夜が殻を取り除いている。
「ドアを、コンコン」
「ドアを、コンコン!」
 ――コンコン。
 ――パカっ。
 メーアルーナとチロルの声がぴたりと重なり、教師から貰い受けた新たな卵をボウルの縁へ軽くぶつける音も綺麗に調和し。そうしてぱぁあっと二人の幼女の顔が輝く。
「たまご、たまご! メア、たまごをわれたのれす!!」
「チロも、チロも! たまごをきれいにわれたの!!」
 わぁいとハイタッチする主と家族の様子に、ぷるぷるっとじぃっと見守っていたひよこキングとソルベも安心。子供たちのはしゃぐ姿にフィオリーナの頬も薔薇色に染まる。
「メーアルーナ様もチロル様もお上手です。今度は混ぜて行きましょう。こちらも……あぁ、そう。ここも力一杯になりすぎないように」
 幼い子らの成長とは早いもので。一度掴んだコツは、すぐに次に生きる。二人シンクロするように泡立て器を小さな手でむんずと掴んだ瞬間は焦りもしたが、上手に割れた卵を飛び散らせまいと心を砕くメーアルーナとチロルに、フィオリーナは満面の笑みを零す。
「きや、きや。やくのはメアにはまだあぶないから、おてつだいしてほしいのです」
「チロもお願いするの。きれいでおいしいの作って、花蜜いっぱいかけて食べるのよ!」
 新たにミルクをボウルへ注ぎ入れる子らから求められれば、希夜に否やはない。
「仰せの儘に、姫君たち――ごめん、火加減教えてもらっていいかな?」
 希夜の耳打ちに、フィオリーナも「もちろんです」とこっそり返す。とはいえ、混ぜ混ぜに夢中な幼女二人の耳には、年長さんのやりとりなど届かなかったろうが。
 やがて熱々に熱したフライパンがじゅわっと美味しそうな音を立て、甘くて香ばしい匂いが立ち込める。
 数は、沢山。ありったけ。ひよこキングにもソルベにも食べさせてあげたいし、卵を余分に工面してくれた教師(せんせい)にだって『ありがとう』の気持ちを伝えたい。フィオリーナ特製プリンもお裾分けで。

「ふふ、美味しく作れましたか?」
「もちろんなのです! えへへ、おりょうりたのしかったのら!」
「これでチロもフレンチトーストかんぺきなの!」
「うん、完璧完璧。美味しかったよ、ごちそうさま」
 乱れ咲く笑顔達に、花蜜を纏った卵であったものたちも、きっと幸せ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

深青・祁世
※絡みアドリブ、はっちゃけも歓迎!

この花蜜達、唇パックにもなりそうね
花の香りを纏ったぷるぷるうるうるのく・ち・び・る☆
意中の男子ぃの視線もく・ぎ・づ・け☆

なんて
チョコレートやお菓子を渡して告白したい女子達や
コイバナに憧れる女子達に混ざって
きゃっきゃうふふお話を楽しみつつ
手慣れた様子でチョコ作り
湯煎もテンパリングもお手の物

教壇のセンセにもウィンクして
お料理の喜びと楽しみを分かち合いたいわ

あぁん
イマドキ料理男子なんて当然よぉ!
でも不器用な子を放っておけないって気持ちも分かるわ
だって私も乙女だもの!

男なのか女なのかどっちだなんて
聞く野暮の口には
特製のげんこつチョコ(拳大トリュフ)を
ぶち込んじゃうゾ☆


都槻・綾
※絡みアドリブ歓迎
希夜さんも宜しければご一緒に――味見役を如何?

何せ私いつも世話人へ
料理は勿論家事全般を任せているもので
作る方は手順すらさっぱりです

次々仕上がる魅惑の菓子は
正に魔法のよう

チョコレートを融かす方法に感心したり
摘まみ食いをさせて頂いたり
贈る相手の話を聞いて回ったり
ハニーすあまトースト?の謎に迫ったり
味廻りの航海・冒険気分
試食王に私はなる!

花蜜入りの瓶が余っていれば
土産に頂いて帰りたいところ

カカオ80%のホットチョコに一匙落とせば
苦みと花めく香りや甘さがきっと絶妙
ショコラティエールさんと蜜ぷにさんの共演ですね
どちらも美味しいですよ

当然よ、と胸を張る声が聞こえて来そうで
ふくふく笑み零す


トトリ・トートリド
戦い、お疲れさまだ
…落ち込んでる人、たくさん…?
元気、出して。美味しいもの、食べよう

潰したバナナと、たくさん刻んだ胡桃と
チョコレートのカップケーキ
蓋をあけたらオーブンが煙を吐いて、びっくりしたけど
たくさんの煙突がぽっぽっ、て歌うのは、ちょっと楽しい
少し怖い。けど、おもしろい
アルダワはすごいところ

思ってたより、ずっと、賑やかだった
いつも静かなところにいるから、ちょっとどぎまぎするけど
みんなが楽しそうに笑ってるのは、好き
本屋の仲間のこと、考えて、たくさん作った。でも
…今日は元気がない人たちにも、食べてほしい
教えてくれた先生、と、希夜にも、よかったら、ひとつ
連れてきてくれて、ありがとう


海月・びいどろ
料理は分量の正確さが、大事
はじめて料理するけれど…大丈夫、かな

電子の海から映像パネルを喚び出して、動画を再生しながら作っていくよ
作るのは、チョコレートドラジェ
海月たちも、手伝ってね

お砂糖でコーティングするために、アーモンドを炒るのだけど
…思っていたより、焦げるの、早いね

すこし香ばしくなったアーモンドを、湯煎したチョコレートに潜らせて…てんぱりんぐ…?
固まるのも、早い…
画面の向こうで誰かが言うの

『――隠し味は、まごころです』

……お菓子作りって、むずかしいね

アイシングのあと、最後に花とアラザンを飾ったら
いびつな形のドラジェを手に、希夜にもおすそわけ

よければ、いっしょに味見してもらえると、うれしいな


リル・ルリ
*アドリブや絡み歓迎

「料理、なんてしたことがないけれど…ばれんたいんだから、僕も」
えぷろんをつけて、材料を前にして
で、どうすればよいのか分からなくて尾鰭をひらり
話を聴きながら、他の人の様子を見ながら
見様見真似で作り出す

「ばれんたいん、感謝の日。僕もチョコを……贈りたい、から」
チョコは甘くて美味しくて大好き
蜜を入れて、あと乾燥させた果物も入れたら美味しいかな?
白の肌に甘茶色が飛び散って
不器用そうに刻み混ぜる

「あ、れ?皆のと違う気がする……」
おかしい
なんでこんなに、ぷにぷにしているんだろう
僕の知ってる
櫻宵のチョコはこうじゃなかったのに不思議
小首を傾げながら、チョコ?を摘む
喜んで貰えるかな、これ……



●男たちの戦場、かっこかり
 料理、なんてしたことない。けど、ばれんたいんだから……僕も。
 熱された心が冷えぬ間に、月光で編み上げた糸で姿形を整えたような人魚の少年――リル・ルリ(瑠璃迷宮・f10762)はエプロンのリボンを後ろ手にきゅっと結ぶ。
 けれど前知識の一切を持たぬ少年は、見る間に躓く。何を、どうすればいいのか。初手から分からぬのだ。
 うるり、薄花桜色の瞳に透明な幕が張る。
 現実に打ちのめされて、泣いてしまいそう。けれどそんな時こそ、トトリ・トートリド(みどりのまもり・f13948)の出番。
「だい、じょうぶ? ほら、笑って」
 寡黙なシャーマンズゴーストの青年も、悲しみに沈む人の前ではほんの少し雄弁。驚かせてしまわぬようパーソナルスペースには踏み込まず、鍵爪のような指で握ったバナナを、空を泳がすようにゆうらゆら。
 星を運ぶ小舟を彷彿させる三日月に、俯き落ちていたリルの視線が上がる。そこへ音もなく映像パネルを差し出したのは海月・びいどろ(ほしづくよ・f11200)だった。
「ボクもはじめて料理するけれど……ここに、分量の正確さが大事って、書いてある」
 電子の海から現世の浜辺に打ち上げられた子供は、苦も無く電脳の海を渡って必要な情報を拾い上げる。心の在り様を、人と異にするびいどろだ。トトリのようにリルの悲しみに同調したわけではないだろう。ただ、そこに分け与えられるものがあったから。
 でも、それは深海にまで届いた光明。
「凄い。これなら、美味しいものが、たくさん出来る」
 よかったね、と告げるトトリの眼差しに、リルもこくり。しょぼくれていた貌も、星砂を撒いたように煌めく。
「うん。ばれんたいん、感謝の日。僕も、チョコを……贈りたい、から」
 甘くて美味しいチョコレートは、リルも大好き。花蜜を入れて、乾燥させたフルーツも入れたらもっと美味しくなるだろうか?
 ぽろぽろと零れ始めた理想を、びいどろが連れる海月たちが即座に検索し、理想に叶ったレシピを次から次へと実態を持たぬディスプレイへ映し出してゆく。その万華鏡を思わす光景に、トトリはゆっくりとした瞬きをぱちぱち二回。これは、何だか面白い。そして面白いと言えば、アルダワの調理器具たち。
「あっちで、煙突が歌ってた。これも、歌う?」
 専用にと割り振られたオーブンに、興味津々。予熱の時点で、赤い輪っかの煙をぽっぽぽっぽと吹いて歌っている。
 ――少し怖い。けど、おもしろい。
 アルダワはすごいところ。しかし感銘に浸り、オーブンの歌に聞き入っている場合ではない。
「作らなくて、いいの?」
 問う二つの眼差しに、思い出す。そうだ、トトリはカップケーキを作る途中。早くバナナを潰して、胡桃も刻んでしまわないと!
 毛並みをそわつかせ始めたトトリに、びいどろもチョコレートドラジェのレシピ動画を再生し始めた。
「お砂糖でコーティングするために、アーモンドを……炒る」
 画面の向こうの知らない誰かが言う手順にびいどろは懸命に倣う。でも何やら漂う海月たちが慌ただしい。
「なぁに……あ」
 チェックポイントに見入っていたら、意外に焦げるのが早いアーモンドは予定より香ばしくなり過ぎていた。その後も、動画の速度と実作業のペースのズレがびいどろを惑わす。コーティング用のお砂糖は、なかなか艶やかになってくれないし。かと思えば、アーモンドに纏わせる為に溶かしたチョコレートが再び固まり始めてしまう速度は予想以上。
 ――お菓子作りって、むずかしいね。
 でも、小さい四角の中の人は言う。
『――隠し味は、まごころです』
「全くもってその通り! 料理に大事なのは、愛! 愛をトッピングする事! 愛と言えば、やっぱり恋だって語りたいわよねっ。見て見て! この花蜜たちの色鮮やかさ。唇パックにしたら艶々のぷるぷるになっちゃうこと間違いなぁし! おまけにお花の香りもふんわり! これで、意中の男子の視線もく・ぎ・づ・け☆」
「祁世さん、祁世さん。皆さん、思いっきり引いていらっしゃいます」
 ……和やかな雰囲気を、不意に怒涛が突き抜ける。
「えええ、なんでええ?? ううん、私だって私だって、チョコレートやお菓子を渡したいって女の子達や、コイバナに憧れてる乙女たちのきゃっきゃうふふトークに混ざってにこにこしてるつもりだったのよ!」
「祁世さん、私と身長並んでらっしゃいますよね。そんな男性に混ざられては、女性たちも遠慮してしまうと思うのですが」
「だまらっしゃい! っていうか、アナタはさっきからお菓子も作らず何なの!? ふらふら試食三昧?? 試食キングがどうとか言ってたの聞こえてたわよっ」
「すみません。何せ私、いつも世話人へ料理は勿論、家事手伝いを任せているもので。作る方は手順すらさっぱりなのです。それに次々仕上げられる魅惑の菓子たちは、正に魔法のようではないですか。これをお試しさせて頂かず何とするのでしょう。味廻る旅路はまさに大航海。航路は無限に――」
 しつこいようだが、怒涛だった。大嵐だった。巨大ハリケーンも真っ青だった。
 ただ中に立つのは二人の長身男性。深青・祁世(遥かなる青・f13155)――口調がおねぇさんの方。見た目はチャラ男――と、都槻・綾(夜宵の森・f01786)――生活臭が一切しない、笑顔が無駄に美しいお兄さん――の二人。
 両者とも、家庭科室を右に左に前に後ろにとしていたのは同じ。ただし目的は真逆。料理に慣れた祁世は料理慣れせぬ女子生徒たちへ教師よろしく教えを施してまわり、綾は出来上がったお菓子たちを少しずつ分けて貰って(保存が効きそうなものはちゃっかり硝子瓶に封入してお持ち帰りコース)いたのだ。
 そんな彼らがここで激突したのは、ただの偶然。そうと分かれば、最初は驚いた少年たちもせっせと自分の作業に戻る。だが、手元が危うい子らにとて祁世は良き指導者でもあった。
「あ、れ? 皆のと違う気がする……」
 ようやく仕上がったチョコレートの摘まみ上げた触感のぷにぷに具合に、リルは尾鰭をひらひら、小首をこてり。
 目指したのは、気になるショコラティエたる櫻宵のチョコレートだったのに。先ほど垣間見たそれとは随分違う。
「喜んで貰えるかな、これ……」
 込み上げる不安に、尾鰭がしゅんとなる。でもそんな時こそ祁世先生の出番!
「あらぁ、大丈夫よぅ。見た目より、感触より大事なのはお・い・し・さ! その点、アナタのそれは隠し味のまごころたっぷりそうだし」
 可愛い女の子は放っておけない。しかぁし、それより不器用なオトコノコを見て見ぬフリなんて出来ない! だって私も乙女だもの!
「イマドキ、料理男子なんて素敵よ。それだけで100点満点(はぁと)」
「あ、ありがとう」
「――ところでオレ、さっきから悩んでたんだけど。祁世って実際、どっちなの?」
「はあああ?? そんなことを今訊く野暮天へは愛のお仕置きよ!!」
 きっと万人が抱えていただろう疑問を口にしたのが希夜にとって天運の岐路。いや、口に押し込まれた特製げんこつチョコこと拳大トリュフは頗る美味だったのでご褒美だったかもしれないが。
 ここで綾、窒息手前でじたばたする希夜の姿を見て、一つ気付く。
 彼の履く靴底が、存外厚いことに。
 そういえば、試食行脚に同道を「ごめーん」とやんわり断られた時、彼の眼は自分の身長を気にしたようではなかったか。
「おやおや、これは、また」
 藪から蛇を出してしまわぬよう、綾は蜜ぷにの蜜を一匙垂らしたカカオ80%のホットチョコレートに舌鼓を打つ。
 鼻先から全身を温める香りは、花とチョコレートが絶妙に絡みあったもの。即ち、蜜ぷにとショコラティエールの共演。どちらも美味しいですよと呟けば、「当然よ!」と胸張る声が何処かから聞こえてきそう。
「……そこ、何をふくふく笑ってるんだい」
 気配に敏い希夜に、漏れ出た何かを察せられてしまったのは、少しばかり想定外。
「これだから、これだからっ。背の高い、同世代の男の余裕はー!」
「だから男も女も関係ないのよ!」
「いや、そこはあってよくない??」

「希夜、希夜。元気、ない?」
 喧騒を暫し離れ、頭を冷やす希夜へトトリは焼きあがったばかりのカップケーキを出し出す。
 調理実習というものは、思っていたよりずっと賑やかだった。いつも静かなところにいるトトリにとって、それはどきまぎだったけど。
 みんなが楽しそうに笑っていたのは――とても、好き。
「これ食べて、元気、出して。それから……今日は、連れてきてくれて、ありがとう」
 ふるびた古書堂跡地に集う仲間を考えたくさん作ったケーキを、感謝を込めてお裾分け。笑ってくれたら、なお嬉しい。
「希夜、これも。よければいっしょに味見をしてもらえると、うれしいな」
 アイシングのあと、仕上げに花とアラザンを飾ったドラジェを手に、びいどろも希夜を尋ねる。
「形はちょっと、いびつになったけど」
 喩え形はいびつであろうと、隠し味は込められている。その本質を、びいどろ自身が理解できずとも。
 だから――。
「二人とも、ありがとう。ん……幸せの味。美味しい」
 少しばかり調子に乗り過ぎ自滅した男は、二人お手製の菓子を頬張り、トトリの好きな笑顔になった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

エトワール・フィラントゥ
最後は【払暁】の皆様と
うちあげ、で美味しいものを頂くのでございます

エトワールは、とりたて蜜様入りの蒸しプリンを作ります
作った事があるから手順は大丈夫…にゃ、はず
巴先生にアドバイスを頂きながら混ぜ
(ふと。先の戦闘を思い出し、恥しくなって。
行き場のない想いは、混ぜる力にかえるのです…)

蒸している間は、ホイップ作りとクッキーの型抜きですね
星や花の形が可愛いの
メヤ様、リヒト様、ご一緒にぺたぺたしましょう

パンケーキが焼けたらホイップと蜜様をたっぷりと
良い香り…!ぷに様に感謝なのです

出来たお菓子達に、笑顔の花咲かせ
皆様と作って、食べて、笑って、冒険を語って
にゃあ。おなかいっぱい
皆様、ありがとうございました


メヤ・トゥスクル
【払暁】
みんなと、冒険の打ち上げ、に。お邪魔します。

料理は、できない、から。片付けとか、準備とか。
できることを、しよう、かな。
……教えてもらって、ちょっと、やってみるのも、いい、のかな。
教えて、ほしい。

巴は、料理も得意で、すごい。
何でも、できる、イメージ。
エトワールは、女の子、だから、かな。
飾りつけ、とても、おしゃれ。かわいい。
リヒトは、苦手? 僕も、だけど。
教えてもらって、一緒に、がんばろう。
簡単なものを、なにかひとつ。

出来上がったら、いただき、ます。
蜜ぷにヨーグルト。クッキー。パンケーキ。マフィン。
どれも、おいしい、ね。また、たべたい、くらい。

冒険、おつかれさま、でした。ありがとう、ね。


五条・巴
【払暁】の皆と
エトワールはお疲れ様。
蜜ぷに美味しそうだね。
さて、何を作ろうか?

巴先生なんて恥ずかしいな···。
僕が教えられることなら、一緒にやっていこう。
メヤは砂糖を、リヒトは卵を割ってくれるかな。
泡立てて、混ぜて、皆でやるからあっという間に出来ていく。
エトワール、プリンは160℃くらいが「す」が入らないらしいよ。
クッキーの型抜き、パンケーキの盛りつけ、仕上げは任せたよ。
あとはオーブンに入れたら完成、だね。

蜜ぷに、初めて食べたけど本当に美味しい。
これは癖になりそう。

後片付けも勿論皆で、役割分担。
誰かと一緒に料理するのは久しぶりだった。楽しかったよ。メヤ、リヒト、エトワール、ありがとう。


リヒト・レーゼル
【払暁】

皆で打ち上げを。
エトワールはお疲れ様。とてもハッスルしていたのかな?
そして巴先生、よろしくお願いします。

クッキーを作りたいんだけどどうやったら良いかな?
これ全部いれても良い?
テーブルに並ぶ材料を全部まとめてぶちこもうとしてみる
後片付けをするメヤに迷惑にならないように
調理は綺麗に、慎重に。

皆が作った密ぷに、とても美味しそうだね。
ええっと、冒険お疲れ様でした。
みんなと一緒に冒険できて楽しかったよ。
乾杯。なんてクッキーをかかげてみる。



●払暁の皆様へお話します、本日の冒険譚を
 ――……と……ル。
 うにゃ、うにゃ、うにゃにゃっ。
 ――……トワ……ル。
 いえ、ですから。あの、その、で。ございましてっ。
「エトワール?」
「にゃっ、にゃんでございましょうっ!?」
 派手にひっくり返ったエトワール・フィラントゥ(小さな星・f06523)の語尾に、五条・巴(見果てぬ夜の夢・f02927)は常に湛える笑みの柔らかさを増す。
「手、力入り過ぎだよ」
「!!! こ、これは失礼致しましたっ」
 蜜が漂わす花の香を嗅いでいたら、うっかり先の戦闘――で過った甘酸っぱい何か――を思い出してしまい、意識が何処かへ飛んだエトワールは、巴の指摘に蒸しプリン用の卵液を混ぜる力加減の迷走に気付く。
 あわわ、何たる失態。メイド失格でございますっ。
 行き場のない想いと、メイドらしからぬ不心得とにエトワールのふさふさ尻尾は膨らんだり萎んだり。
(「こういう時は、暫くそっとするのが一番かな」)
 エトワールのことだ。きっとすぐに落ち着きを取り戻すだろうと、巴はクラシカルなメイドキャップの頭を軽くひと撫でし、水の向け先をメヤ・トゥスクル(憑代・f09104)とリヒト・レーゼル(まちあかり・f01903)へ移す。
「じゃあ、メヤは砂糖を。リヒトは卵を割ってくれるかな」
「わかった。やって、みる」
 料理は出来ないからと片付けと準備に徹しようと考えていたメヤも、皆の様子を黄昏と冬空を灯すそれぞれ映す双眸に映す内、やってみようの気持ちが頭を擡げた。
「巴先生、よろしくお願いします」
 対し、クッキーを作ってみたかったリヒトは早速作業に取り掛かり――早速、やらかし十秒前。
「巴先生、これ全部入れても良い?」
 よくぞ聞いてくれました! ぴかぴかの作業台に並ぶ一式を指差してのリヒトの問いに、巴はほっと胸を撫で下ろす。先生と呼ばれるのは少々こそばゆいが、今日はそのスタンスで在った方が良さそうだ。
「ううん、順番があるから。それに一度に全部入れたら、混ぜるの大変そうだと思わない?」
「なるほど」
 頭ごなしの否定ではなく、かつ理詰めでもなく。巴らしい柔らかい導きに、リヒトはポンと両手を打って納得。そんな二人の様子に、メヤはまた感心しきり。
(「巴は、料理も得意で、すごい」)
 何でも出来るイメージはメヤの勝手な幻想だろうか?
 そしてエトワールも女の子だから、やっぱりすごい。
 さっきの動揺はどこへやら。巴の読み通り、すぐに落ち着きを取り戻したケットシーの少女は、もう作業を再開している。
「エトワール、プリンは160℃くらいが『す』が入らないらしいよ」
「160℃でございますね。巴先生、ありがとうございます」
 貰ったアドバイス通りにオーブンを設定。温度が上がり切る前の時間を上手に使って、エトワールは花蜜をたっぷり注いだプリン液を一度濾して、花型のカップへ注ぎ分け。オーブンにお任せの段階になるや否や、メヤとリヒトのクッキー作りに参戦。
「メヤ様、リヒト様。ご一緒に、型抜きぺたぺた致しましょう」
「うん、わかった」
「ちょっと待った。そこ少し汚れてるから、作業はテーブルを拭いてからにしよう」
 先ほどまでの豪快さは、すっかり鳴りを潜め。メヤの後片付けが大変になってはいけないからと、綺麗で慎重な調理を心がけるリヒトに、巴は胸裡で感嘆を零す。
 今日はエトワールの冒険の、打ち上げの会。
 作りたいお菓子はまだまだ沢山あるけれど、この調子ならあっという間に作り終えてしまえるだろう。

「で、ございましてね……」
 ふかふかに膨らんだパンケーキには、雪のように真っ白なホイップクリームと蜜ぷにの蜜をたーっぷり。そこに星や花の形に仕上げたクッキーを散りばめて。
「それから、あの時は――」
 勿論、ヨーグルトにだって花蜜は欠かせない。オーブンから取り出したばかりのプリンとマフィンが漂わすふくよかな花の香りには、知らずお腹が鳴ってしまいそう。
「――でございまして、それからそれから」
 それらをナイフとフォークでさくり、スプーンでとろり。エトワールの冒険譚に耳を傾けながらのひと時は、美味しいと楽しいと幸せがぎゅうぎゅうに詰まっている。
「それにしても。僕は蜜ぷに初めて食べたけど。これは本当に美味しいね。癖になりそう」
 ようやく『先生』のお役目から解放された巴も、蜜ぷにスウィーツたちを口に運んでは、感動に酔う。
 甘すぎず、完熟フルーツにも似た仄かな酸味も感じる花蜜は、青年にも、少年にも、少女の口にもぴったり。
「どれも、おいしい、ね」
 メヤも思い切ってチャレンジしてみたクッキーをさくりと噛んで、ほぅっと丸い息を吐く。
「また、たべたい、くらい」
 きっとこれを頬っぺたが落ちそうというのだ。出来ないからと最初から遠慮をせずに、教えてほしいと言えて良かった。皆と一緒に、作り上げられて、嬉しい――と、メヤの裡に春が兆す。
「蜜ぷにも、こんなに美味しく生まれ変われて良かったね」
「そうなのでございます! ぷに様に感謝なのです」
 エトワール特製の蒸しプリンを一口。ううん、と幸せに目を細めたリヒトの言葉に、エトワールは全身全霊で同意を返す。
 全ては蜜ぷにがいてくれたから。
 冒険は始まり、こうして皆で一緒にお料理をして、出来上がったものを囲んで楽しいお喋りも出来ている。
 もしかしたら、蜜ぷには幸福の使者だったのかもしれない。となると、ショコラティエールはエトワールの胸に何かを刻んでいくことが役目だったのだろうか? そこのところは、エトワールも冒険譚から外しているので、払暁にて集った他の三人が気付くことはないかもだけれど。
「楽しかったよ。メヤ、リヒト、エトワール、ありがと――」
「感謝の気持ちは皆一緒かな。だからこれで乾杯?」
 誰かと一緒に料理をしたのは久しぶりだった巴が口にしかけた言葉尻を掬い上げたリヒトが、星のクッキーを掲げる。
「それは良い考えでございます!」
 確かに、皆の想いが同じなら。美味しい素敵で乾杯するのがきっとお似合い。すかさずエトワールが倣えば、メヤも巴も。
「じゃ、冒険お疲れ様でしたと、美味しいをありがとう!」
「ありがとう」
「ありが、とう」
「ありがとうでございます!」
 家庭科室に、花の香纏う四つの星が煌めく。
 分かち合えば、幸せはビッグバンのように膨れ上がる。
 だから後片付けも、メヤ一人に任せず、皆で仲良く役割分担。
 せんちめんたるな気持ちなんて程遠い甘い時間は、もう少しだけ続くのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月14日


挿絵イラスト