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迷宮災厄戦②〜王子様ガチャはやめられない!

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦

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●いつまで経っても来ないなんておハーブが生えましてよ
「はぁ~~~お願いしますぅ~~~出て下さい~~~……!!!」
 アリスラビリンス、『迷宮のような図書館の国』のある場所にて。そこではネズミや馬、鳥のオウガ達が集まり、何やら怪しい儀式を行っていた。
 彼らは地面に描かれた魔法陣を取り囲み、正座をしながらひたすら頭を下げ、何かをぶつぶつと呟いている。
 魔法陣から何かを呼び出そうとしている事には間違いなさそうだが、どうも雰囲気的には強そうな魔人であったり最強の神を呼び出そうとしているようには見えない。
「どうかイケメンでカッコいいアリスを~……あ、できれば外見も中身もイケメンが良いです……!」
「高身長でスポーツ万能なイケメンアリスをお願いします~……!」
「ショタでもおじさんでも良いです、どうかイケメンを、イケメンを……!」
 どうやらイケメンのアリスを呼び出そうとしているようだが……魔法陣は動きを見せず、儀式は少々難航しているらしい。

「ちょっと動物さん達、まだですの!?」
 そこへ現れたのは青いドレスを纏ったガラスの靴の少女。甲高い声にオウガ達は驚きざわつく。
「はっ、お嬢様! すいませんもう少しお待ちを……!」
「今回は大勢のアリスを一気に召喚するのです! ですから心配などご無用、さっさと実行しなさい!」
「し、しかし、お嬢様がお気に召すような王子様が今度こそ現れるかどうか……」
「当たり以外は今まで通り素材に変えるだけですわ! 10連だろうが100連だろうが! 懐を気にせず! 私の王子様が現れるまで! 無限に続けなさい!」
「は、ははぁ~~~!!! イケメン王子様お願いします今度こそ出て来て下さい~~~!!!」
 全ては少女が求める素敵な王子様を見つけ出す為。配下のオウガ達はひたすら魔法陣に向かって祈り続ける。
「はぁ……私をお姫様に導いてくださるUR王子様……必ず引き当てて運命の出会いを叶えてみせますわ!」
 少女は王子様を引き当てた時の素振りを何度も繰り返しながら儀式を見守るのだった。

●砕かれた書架牢獄
「集まったか。じゃ、説明を始めるぜ」
 グリモアベースにて、ハイン・ジャバウォック(虚空の竜・f28296)は自身のグリモアを揺らしながら猟兵達に話を掛ける。
「ええと、今回俺が見たのは『迷宮のような図書館の国』だ。言葉そのままの国なんだが、その一角でアリスを大量に召喚しようとしているオウガの大群がいる事を認知したぜ」
 迷宮のとある場所にて儀式は行われるのだが、幸いな事にその場所を特定する事ができた。その為、迷宮を探索する必要はない。
「とはいえオウガの数があまりにも多い。全部を相手にするのはちと無理だ、時間もねぇしな。だからお前達は雑魚を退けてボスだけを狙え。ボスさえいなくなれば儀式も止まるだろうからな」
 ボスの配下達はネズミや馬や鳥の姿をした動物型のオウガがほとんどのようだ。一体の力こそ弱いが、数も多ければ陸だけでなく空からも襲って来る。厄介な軍団だ。
 その為、どうにかして軍団を潜り抜け素早くボスの元へと向かう事ができれば、戦闘は長引く事無く決着がつけられる事だろう。
「で、ボスの正体も認知済みだぜ。あれはどう見ても『シンデレラ』だった。ガラスの靴を履いていたからな」
 しかし、ハインは疑問を抱え込む表情を浮かべている。
「……でも、ガチャとか、ウルトラレアとか、スーパーレアとかやたら言ってたけど……あぁ、あれか、儀式用の魔法の言葉かな、うん」
 気にする必要はないな、と自己解決したようだ。
「ま、何にせよアリスを呼ばれたら全員オウガ・オリジンの餌食だ。とにかく阻止するんだ。頼んだぜ?」
 最後にハインは笑顔を見せ、猟兵達を戦場へと送るのだった。


ののん
 お世話になります、ののんです。

 ●状況
 アリスラビリンス『迷宮災厄戦』の戦争シナリオとなります。
 1章で完結します。

 ●戦場について
 オウガの大軍団が他の世界からアリスを大量に召喚する儀式を行おうとしています。
 現地到着後、オウガの大群が襲って来るので、サバイバルの乱戦を潜り抜け、アリス召喚儀式改め王子様ガチャの首謀者を撃破して下さい。
 首謀者を倒した所で成功です。オウガの軍団は撤退し、儀式は中断されます。
 (儀式が成功した所でUR王子様やSSR王子様が現れるとは限りませんが、全員もれなく素材と化してしまうでしょう)
 この戦場でのシナリオ成功ひとつにつき🏅2万を加算します。

 プレイングボーナスは以下の通りです。

 ====================
 プレイングボーナス……オウガの群れを潜り抜け、司令官に素早く接近する。
 ====================

 ●プレイングについて
 受付期間は特に設けておりません。

 キャラ口調ですとリプレイに反映しやすいです。
 お友達とご一緒する方はIDを含めた名前の記載、または【(グループ名)】をお願い致します。
 同時に投稿して頂けると大変助かります。

 申し訳ありませんがユーベルコードは基本的に【選択したもののみ】描写致します。

 以上、皆様のご参加お待ちしております。
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第1章 ボス戦 『シンデレラ』

POW   :    カボチャキャバリア
自身が操縦する【カボチャの馬車に乗り、そ】の【UC耐性を持つ馬車の重装甲】と【轢き逃げ攻撃の威力・速度】を増強する。
SPD   :    魔性の硝子細工
【ガラスの靴】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、ガラスの靴から何度でも発動できる。
WIZ   :    ビードロキック
【防御貫通効果を持つ、蹴り】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。

イラスト:月乃

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はアララギ・イチイです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。

第一『疾き者』のほほん忍者
一人称:私/私たち
対応武器『漆黒風』

…UDCアースでちらほら聞いた単語ですねー。
生前請け負った任務と似てますしー。犠牲は出したくありませんからー。
そう、生前『鬼』とも言われた私の矜持にかけて、ね。

(口調『複合型悪霊』。語尾伸ばし消滅)
【暗殺】の要領で。駆け抜けられる場所は【ダッシュ】し、慎重に行く場所は【忍び足】。
敵からの攻撃は【見切り】、目標を見つけたのなら30cmの間合いに入らないようにし【早業】で指定UC使いつつの武器を【投擲】。
オウガには『鬼』を。

※他三人(全員武士)
『あいつが一番怖い』



 戦場は広く、敵の数は非常に多い。遠くから息をひそめる馬県・義透(多重人格者の悪霊・f28057)は魔法陣を囲むオウガ達の様子をそっと窺う。
「どうかお願いします~~イケメン王子様ぁ~~……!」
 これでもかというくらいの土下座。そして発火しそうなくらい擦り合わせる両手。動物のオウガ達は命に代えてでもイケメンなアリスを大量召喚しようと試みているようだが……今のところ進展する雰囲気は確認できない。
「全く、ガチャと言い、イケメンとやらを求める声と言い……UDCアースでちらほら聞いた単語ですねー」
 世界は違えど今どきの若い子なのでしょうねー、と義透は呟く。のんびりと眺めているが、決して気を抜いている訳ではない。
「ふむ……まぁ正直、隙の多そうな戦場ですねー。目標に近付くだけなら簡単かもしれません」
 生前請け負っていた任務を思い出しながら彼は戦場全体を把握する。例えどのような状況だろうと手は抜かない。ましてや『あの時』のような犠牲は二度と出さないと、固く誓ったのだから。
「何、手は抜きませんよ。生前『鬼』とも言われた私の矜持にかけて、ね」
 己の中の誰かに向かって、義透はそう語り掛けた。

 直後、彼の表情は一変した。和やかな表情が消え失せ、一気に戦場を駆け抜ける。オウガ達の死角を見抜き、そして死角が生まれたその瞬間を逃がさず地を蹴る。
 幸いだった事は馬の姿をしたオウガが多かった事だ。馬のオウガの陰に隠れ足を止め、そして再び次の場所へと転がり込む。その姿は影を這う忍者の如く。
 オウガ達も稀にきょろきょろと周囲を見渡すのだが、気のせいか、とあっさり警戒するのをやめてしまうのだった。お陰で義透は予想通り、簡単に目的の場所へと到着する事ができたのだった。

「何に手間取っているのです? 王子様が来るのは確定なのですから、早く儀式を始めなさいな!」
 青いドレスの少女が苛々しながらオウガ達に呼び掛ける。間違いない、彼女が目標であるシンデレラだ。
「私は既に心の準備はできていますのよ!」
「本当か?」
「えぇ! 当たり前ですわ! いつでもヘイカモンですわよ……え?」
 彼女が気付いた時には既に遅く。背後から投げられた棒手裏剣を避け切る事ができず脚と腕に刺さってしまう。
「何ですって!?」
 シンデレラはぐるりと後方へ鋭い蹴りを放った。ガラスの靴は剣の如き。輝く軌跡を残しながら一回転し刺客から距離を取る。
「流石、親玉はそれなりの力があるようで」
 蹴りの間合いから離れていたものの、更に距離を取る義透。じゃらりと得物を手に握れば、背を低く身構えシンデレラを見上げる。
「……しかしもう遅い。私はあんたから逃げる事はない。いずれ起こる」
「いずれ……一体何がですの? さっきは油断しただけでっっっ、あらーッ!!??」
 ずるり、突然シンデレラはドレスのスカートの裾を踏んで派手に転んでしまった。
「うぅー痛い……って、あら!? いつの間にか靴擦れで足が痛いですわ!?」
 ガラスの靴から見える足は赤く染まり、とても痛そうだ。
「くっ、歩けなければ馬車に乗るまでですわ! ヘイカモンカボ……チャーーッ!!??」
 呼んだカボチャの馬車に撥ねられ空を飛ぶシンデレラ。その後も次々と彼女の身に不幸な出来事が襲い続けた。
 なるほど、これが『不慮の事故が起こり続ける』呪いの力。……なんと恐ろしい攻撃なのだろうか!

成功 🔵​🔵​🔴​

シルヴィエート・ラーヴル
王子様を探しているなんてちょっとシンパシーを感じてしまいますが…ガチャ、とは?
それにオウガである以上止めねばなりません!

まずはオウガのもとへ、ですわね!
周りを巻き込む必要がなければこの力も全力を出せますわ
氷の【属性魔法】【全力魔法】【範囲攻撃】で強力な吹雪を発生させ近寄るものを凍らせ、【吹き飛ばし】ながら前進あるのみですわ

王子様を待つだけではないをの心意気は良し!
ですが、そのように王子様を呼び付けるようなやり方はお姫様道から外れていましてよ!!
カツンとヒールを鳴らし氷の【衝撃波】を放ち彼女の足元を氷結で【捕縛】
その性根、叩き直してやりますわ!(物理)でUC発動素手で全力でお殴り差し上げますわ!



 シンデレラは王子様を探し求めているらしい。そんな所に少しだけシンパシーを感じながらも、オウガであれば話は別。だからこそ止めに向かわねばならない。
 長い髪を揺らし、シルヴィエート・ラーヴル(お姫様Lv1・f25627)は戦場を闊歩する。
「お願いしますぅ~イケメン王子様ぁ~……って、何者!?」
「王子様かと思ったら違うな、女だ! 何者だ!?」
 シルヴィエートに気付きざわざわし始めるオウガ達。
「私は猟兵、シルヴィエート。貴方達を止める者ですわ!」
 カツン、と高らかにヒールを鳴らすと、足元から瞬時に氷が広がっていく。オウガ達は驚き凍り付いた床から逃げていく。
「な、何していますの!? 邪魔が来たのならばやっておしまいなさい!」
「あ、あいさっさー!!」
 遠くから響いた甲高い声。間違いなく首謀者であるシンデレラのものだろう。逃げていたオウガ達だが、上からの命令によって再びこちらの方へと戻り襲い掛かって来た。
「確かにこれは数が多いですわね……けれど、逆にこの数ならば、どれだけ全力を出しても良いという事でしょう?」
 シルヴィエートは涼しげに微笑むと、ふわりと腕を振り上げた。直後、彼女の背後から氷の礫を含んだ猛吹雪が発生する。
「な、なんだこれ寒いいぃぃ!!!」
「冷たいのは嫌だあぁぁ!!!」
 強大な吹雪と風の力にオウガ達は近付く事もままならず、ある者は飛ばされ、ある者は氷の礫に弾かれ、ある者は全てを諦め安らかに冬眠を始めた。
 混乱する戦場の隙間をシルヴィエートはスケートのように滑り駆け抜ける。吹雪の中、そのスピードに追い付ける者などいるはずがなく。
「もう! 肝心な時に使えない動物さん達ですわね!」
 気付けば目の前にはシンデレラが立っていた。目標はもうすぐだ。
「貴方も何ですの? 他人のガチャの邪魔をしないでくださいます?」
「が……ガチャとは? アリスの召喚の事を仰ってます?」
「そう! イケメンアリスピックアップの運を高めているのですわよ! それを乱さないでくださいまし!」
「ぴっくあっぷ……えぇ、ともかく王子様を待つだけではない心意気は良し! ですが、そのように王子様を呼び付けるようなやり方はお姫様道から外れていましてよ!!」
「なんですって!? 私はガラスの靴に選ばれたお姫様確定の存在なのですわよ! 道から外れる訳がありませんわ!」
「まぁ? そんな物にしがみ付いているだけで失格なのでは?」
「ムキーッ!! おふざけが過ぎましてよっ!!」
 しかしシンデレラは不覚を取っていた。長話が過ぎたのだ。
「ヘイカモンカボチャ馬車! ……あらら???」
 気付けばシンデレラの周囲は氷で覆い尽くされていた。自身の足元も凍り付き、呼ばれたカボチャの馬車も氷で滑って大事故を起こした。
「あまりにも会話が弾みましたので有利な戦場に作り替えてしまいましたわ。それでは早速一発……」
 ぐるりと腕を回すと、シルヴィエートは拳を強く強く握り締め、冷たい冷気を纏わせる。
「全力でお殴り差し上げますわ!!」
 重く冷たい一撃は、周囲の氷もろともシンデレラの何かを粉々に叩き割った。

成功 🔵​🔵​🔴​

真幌・縫
ガチャって?あれだよね。ゲームとかで仲間を増やしたりするやつ♪
なるほど王子様をガチャ。王子様を召喚しようとしてるんだね。でもグリモア猟兵さんも言ってたけど…どんなにレアな王子様を引いてもオウガ・オリジンに食べられちゃうよ?

UC【蛹から蝶へ】でお空を飛べるようにしたら地上の敵さん達は無視してばびゅーんとシンデレラのところまでひとっ飛びしよう♪
シンデレラの攻撃に当たらない所で止まって。
花咲く杖で【属性攻撃】虹で攻撃!

うーん、何十回も何百回もガチャを引くよりもあなたみたいなシンデレラなら自分で王子様をみつけられそうだけどなぁ。



「ガチャって、確か……?」
 真幌・縫(ぬいぐるみシンドローム・f10334)は物陰から召喚を試みるオウガ達の様子を窺う。
「あれだよね。ゲームとかで仲間を増やしたりするやつ♪ って事は……あの魔法陣から王子様がいっぱい出てくるのかな?」
 少し見てみたい気もするが、ここでは召喚された王子様は力を貸してくれる味方……などという平和的なものではない。オウガの餌に過ぎないのだ。
「だからつまり、ごはん……ごはんを召喚しようとしているんだね」
 人を食べる、なんて事を想像してみたらぶるっと震えた。やはり召喚の儀式は何としてでも阻止しなくてはならないようだ。
「うーん、まずはシンデレラに近付かなくちゃ……ひとっ飛びできるかな?」
 縫は花咲く杖をくるくると回すと、じゃじゃーん、と天高く杖をかざした。
「メタモルフォーゼ!」
 元気に唱えた直後、縫の全身が光り輝く! 気付けば縫は可愛らしい服装に身を包んでおり、杖も少しパワーアップしたようなデザインに変わっているではないか。
「うん、落ちないように掴まっててね、サジ太」
 ぬいぐるみのサジ太を片腕にしっかりと抱き締め、縫は小さな翼を羽ばたかせ高く高く飛び上がる。
「王子様ぁ~お願いします~……って何あれ!?」
 魔法陣に祈り続けていたオウガ達が空を仰ぎざわざわとし始める。輝く少女がひらりひらりと舞う花びらを纏いながら空を飛んでいるのだ。
「あれ、魔法少女じゃね!?」
「初めて見た……良い事起こりそう……ガチャもレア出そう……」
「いやいやいや!! 動物さん達っ!! あれはどう見ても敵ですわよっ!!」
「はっっっ!!!?」
 シンデレラの一喝により正気に戻るオウガ達。空飛ぶ少女、縫を止めたいがネズミと馬のオウガ達にはどうする事もできない。鳥のオウガ達が慌てて飛び上がり縫を捕まえようと追い掛けたが、縫の飛ぶスピードには誰も追い付く事ができない。勿論、シンデレラ本人は飛ぶ能力など持っておらず、彼女に手は届かない。
「あの人がシンデレラ? うーん、とっても素敵な人に見えるけど……」
 王子様を食べちゃう人には見えない。あの姿でもオウガなのだ。
「残念だなぁ……」
「あぁん? 誰が残念ですって!? 失礼でしてよ!?」
 距離があるというのにシンデレラの耳にはダイレクトに入ったようだ。ブチギレるシンデレラだがやはり手は届かない。
「ひゃっ!? 違うよ、あなたみたいな人なら、自分で王子様を見つけられそうだなぁって思っただけだもの!」
 やっぱり中身は怖いオウガなのかも。そう考えを改めた縫はシンデレラに向けて魔力を籠めた杖を振りかざす。
「せめて綺麗に、やっつけてあげるね!」
 杖の先端から放たれる虹色の光線。花びらの渦を纏った輝きはシンデレラを包み込み、そして極彩色の爆発を起こすのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

琴平・琴子
兵隊達、どうか力を
この邪魔なオウガ達を撃ち放ち切り込んでください!
拓いた道は勢いよく走って向かいましょう

アリスと王子様を当て……?
確かに私はそのどちらでもありますけど
ご希望のアリスでも王子様でもないと思います
…いえそうであって欲しいです

やんちゃなお姫様は嫌いではないですが
少々足がお転婆がすぎましてよ
ダンスのお相手でしたら私と兵隊がお相手しますよ
30cmより離れる様に囲って一斉射撃
蹴りが届くようであればレイピアで武器受け



 魔法陣を取り囲み祈りに祈るオウガ達。琴平・琴子(まえむきのあし・f27172)はその様子を静かに眺める。
 あのような魔法陣から新たなアリスが誕生するのかと思うと、正直ぞっとする。何故なら自身もアリスであったからだ。それを王子様ガチャなどと呼ぶオウガは、やはり恐ろしい存在なのだと改めて思う。
 これ以上不幸なアリスが増えない為にも。そう誓い琴子は立ち向かう。
「兵隊達、どうか力を。……この邪魔なオウガ達を撃ち放ち切り込んでください!」
 幼い少女はスカートをふわりと揺らしながら闊歩する。彼女の後に続いて次々と現れるのは銃剣を持った玩具の兵隊達。
「おいおい何だあれ!」
 堂々たる行進にオウガ達は驚き、思わず後ずさる。
「あれ? いつの間に王子様が召喚されたんだー?」
「いやいやよく見てみろ。女の子だってば」
「なんだ……お嬢様の待ち人じゃないのか……」
 少しがっかりするオウガ達。王子様じゃないと分かればそれは邪魔な敵だ。オウガ達は琴子達に向かって一斉に襲い掛かる!
「一斉射撃準備!」
 琴子は足を止め腕を上げる。片膝を曲げた木製の兵隊達が、がちゃりと武器を構え銃口をオウガ達に向ける。
「射撃準備良し! 放て!」
 号令と共に銃弾が放たれる大きな音が響く。銃弾に倒れるオウガ達。切り開いた道を琴子とブリキの兵隊達が素早く駆ける。
 まさにそれは不思議の世界ならではの光景だった。木製の兵隊達と動物のオウガ達が盛大に争っているのだ。そんな戦場の間を掻い潜った琴子が辿り着いた先には、動物達を統括するシンデレラが立っている。
「ふふ、その勇気は立派だと褒めて差し上げますわ」
 シンデレラは高笑いを見せつける。琴子はそんな彼女を睨み付ける。
「私はアリスでもあり王子様でもありますが、あなたのご希望にあったアリスではないと思います。だから、ここまで来ました」
 必ず倒すと。しかし。
「確かに女の子の王子様など求めてはいなかったけれど、その勇ましさを見逃してしまうのは少々勿体ない気もしますわ。どうです? 私が貴方を、立派な王子様として育ててあげてもよろしくてよ!」
 本気で言っているのだろうか? どちらにせよ良い事などある訳がない。
「ある意味当たり、という事でしょうか。そこだけは有り難いと思い……いえ、やっぱり思いたくもありません」
 ざ、と琴子の指示に従い武器を構えるブリキの兵隊達。
「あらあら、有り難く思ってくれてもいいのですわよ、王子様っ!!」
 シンデレラは琴子に近付くと、ドレスを翻しガラスの靴で彼女を蹴り上げようとした。琴子は緑色に輝くレイピアで瞬時に弾き返すと、後退しながら兵隊達に呼び掛ける。
「少々足がお転婆がすぎましてよ。――放て!」
 琴子とシンデレラを囲んでいた兵隊達は一斉に発砲した。銃口はシンデレラだけを狙い、彼女はガラスの靴と共に銃弾と踊った。
「くっ、私は……こんな小さな子にさえ手が届かないというの……っ!?」
 舞踏会の為に見繕ったドレスは、もうボロボロだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

平平・晴
ガチャイベ終了させればいいんですね、わかりました…

私はモブキャラ並みに【目立たない】ので
馬マスクを被って馬オウガに【変装】してボスへ接近してみます…

「描いたら出るらしいです!僭越ながら私めに書かせて頂きたく!」
お嬢様の理想の王子様像やシチュを聞き出してUC発動
仮初ですが推しを神引きし神イベストが尊いシチュを見せ満足して頂きます

「アッそれわかりみが深い…沼…わかりみラビリンス…」
一緒になってなぜか私も尊がるかと思います…イケメンは正義。
心の中でフレンド申請しますね…

満足して頂けたらUC解き【だまし討ち】すいませんごめんなさいっ!
URを狙うのもいいですがコモンをじっくり育てていくのも良きものですよ



 魔法陣に祈り続けるオウガ達のあの姿、とても既視感を感じる。
「(そうだ、あれは……スマホを囲んでみんなで祈りまくっているのと同じ!)」
 規模こそ違うがやっている事は全く同じだ。平平・晴(一般人・f27247)は頷く。
「(イケメン狙いの王子様ガチャ……そのガチャイベを終了させればいいんですね、分かりました……)」
 あの数のオウガ達の集団を掻い潜るのは正直怖い。何よりも見つかって襲われた時が怖い。
「お願いしますぅ~王子様出て下さい~……」
 しかし何故だろう、あの人混みも何処かで見知っているような……。ともかくここまで来たからには頑張らないと。
 深呼吸をして心の準備を終えると、晴は馬のマスクを装着した。これなら何処から見ても部外者には見えないだろう! しかも顔が隠れていると少しだけ安心したような気にもなる。晴はモブキャラ並みの影の薄さを表しながらしれっとオウガの集団の中へと侵入していく。
「中身がイケメンであれば良いです、外見よりもそこが大事です~……そんな王子様お願いします!」
「いやいや、外見も中身もイケメンであるのが理想だから!」
「年上なら甘えられるし、ショタだったらどうにだって育てられる。イケメン要素があれば何でもいいだろ……なぁそう思わない?」
「あ、そうですね……同意します……」
「でもショタ育ててたらお嬢様、年取っちゃうぞ。まぁオウガだから年取らないけど」
「おねショタというものがあります故、それも十分に有りだと思いますよ」
「あーなるほど、一理ある」
 ナチュラルにオウガ達と話す晴。変装は全くバレていないようだ。周囲と話しながらオウガの群れを歩く彼女は、一つの答えに辿り着く。
「(この混み具合、そして聞こえてくる会話……オフ会改め即売会の雰囲気と似ています!)」
 そう思ったら途端に怖くなくなった。こちらの正体がバレない限りは逆に楽しくなってきた気にもなってくる。
 しかしこの召喚は遊びではない。何が何でも止めなければならない。周囲の雰囲気に少しだけ後ろ髪をひかれながらも、晴は目標であるボス、シンデレラの姿を発見した。シンデレラは一人、王子様を当てた時の素振りをまだしている。

「お嬢様!!」
 馬マスクを被ったまま、晴は大胆にシンデレラへ近寄る。それはとても危険な行為にも見えたのだが。
「何ですの? 何かありまして?」
 何という事でしょう。シンデレラは腕組みをして大人しく話を聞く態勢に入ったではないか。
「ガチャというのは祈るだけでは足りないのです、私の経験上では……描いたら出るらしいです!」
「か、描いたら、ですって!?」
「僭越ながら私めに書かせて頂きたく!」
 そう伝えると、晴はユーベルコードを発動した。晴が地面に向かって頭をつけただけ……のように見えたのだが。

「シンデレラ?」
 それは突然の出来事だった。名前を呼ばれたシンデレラが振り向いた先に立っていたのは、金髪で美形の青年だった。貴族風の服装を身に纏っている事から察するに『王子様』なのだろう。
「え、お、王子様……?」
 驚くシンデレラ。さっきまで何度も行っていた素振りなど頭からすっぽ抜け固まってしまう。王子様はシンデレラと目が合うと、速足で近付きシンデレラの手を取り強く握り締める。
「すまない……すまないシンデレラ! やっと見つけた、やっと出逢えた! 私はずっと君を探し続けていた!」
 王子様は頬を赤らめるシンデレラに顔を近付け言葉を続ける。
「ガラスの靴を履いた君が消え去って幾年……私は様々な国を旅した。ずっと言えなかった事をやっと伝える事ができる……」
 ドキ、とシンデレラの鼓動が高まる。

「君は忘れてしまったかもしれないが、実は私と君は幼い頃の幼馴染だったんだ。しかし私は王族の血を引いていた隠し子で城へと戻ってしまった。巡り巡って君はガラスの靴を履いて私の元へ来たんだ。しかし私は城へ戻ってもう一つの真実に気付いていた……君は私の実の妹だったんだ! 私達は……愛し合えない!」

 設定盛りすぎィ!! これがシンデレラの求めていた王子様だったとは!!
「……そんなもの知った所で何も変わらないですわ! 私がずっと求めていたのは……貴方なのですから!」
 嗚呼、禁断の愛。全てがシンデレラの妄想とはいえシチュエーションの設定はゴリゴリに考えられていた。そんな様子を眺めながら、晴は地べたに倒れ込み全身を震えさせる。
「幼馴染両想いかと思いきや涙の兄妹関係……繋がりたいのに繋がれない……ン゙ン゙ン゙ン゙ッ無理ィ……」
 そんな尊い設定を思い付く乙女シンデレラさんすごい。語彙力。いいねとフレンド申請投げまくりたい。敵じゃなかったら一日中語り合いたかった!
「ン゙ン゙ッ……こんな尊いシチュを自らの手で壊さなければいけないとかマジしんどい、悪魔かよ……ぴえん……」
 しかしやらねばならない。心を鬼にした晴は頭を上げた。彼女が動いたと共に王子様は消え去り、尊かった雰囲気も瞬時に消え去った。
「はあああすいませんごめんなさいっ!! URだけでなくコモンも愛さなかったあなたが悪いんですからねっ!!」
 晴は握り締めた派手な団扇で思い切りシンデレラを殴った。まだ現実から戻り切っていなかったシンデレラは後頭部に強い打撃をモロに喰らった。鈍くヤバい音が聞こえた後、シンデレラは安らかな表情を浮かべたまま倒れるのだった。
「偽りとはいえ神引きした上に尊みに包まれたまま永眠するなんて……なんて羨ましい……ッ」
 せめて自分もこんな風に逝きたいものだ。ああ、シンデレラ。あなたの事は(いろんな意味で)忘れない。

 かくしてシンデレラの消滅により配下のオウガ達は慌てて逃げていった。それはアリスの大量召喚の阻止に成功した合図でもあった。
 次の戦場へと向け猟兵達は帰還する。しかし晴だけは残された魔法陣の真ん中に座り込み、スマホを置いて10連ガチャを引こうとしていたという。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月06日


挿絵イラスト