迷宮災厄戦⑦~混沌燃えて
●題『竜でも出来る世界征服』
秩序のある世界を征服するのは、容易な事ではない。
秩序とは即ちある種の安定だ。傍から見れば混沌としていても、その根底には秩序があると言う事は、ままある。
故に秩序のある世界に於いて、その恩恵にある民衆は団結し、世界征服に反抗する勢力となり得るのだ。
ならば秩序ある世界を征服するためにはどうすれば良いか?
反抗勢力を端から抑えるのか?
そんな必要はない。
世界の方を変えれば良いのだ。世界から秩序がなくなれば良いのだ。
秩序の対義語は『混沌』である。
即ち――世界征服に必要なのは、混沌である。
●読者
『ふむ――ふむふむ?』
図書館の国の一角で、興味深げに書物を捲っている巨大な姿があった。
今は畳まれているが、背中に真紅の翼を持つ存在。
体表を覆う翼と同じ真紅の鱗の所々から、禍々しい黒炎が漏れ出ている。
それは――竜である。
『ふむふむ……』
巨大な竜がちょこんと腹ばいになって、黒い爪で器用に書物の頁を捲っているのだ。
やがて、ページを捲る竜の手が止まった。
――世界征服に必要なのは、混沌である。
そこに書かれていた一節が、竜に手を止めさせたのだ。
竜の爪が、パタンッと書物を閉じる。
『なんとまあ――容易い事』
まだ書物には先があり、世界に混沌を撒く方法が続いているのだが、竜はもう、その先を読む必要などなかった。
混沌なる力ならば、常にその身の内に、溢れんばかりに燃えているのだから。
●混沌を切る正義を探しに
「もう聞いてると思うけど、何だか、大変な事になったね」
ルシル・フューラー(ノーザンエルフ・f03676)は集まった猟兵達を見回して、溜息交じりに告げる。
アリスラビリンスのオブリビオン・フォーミュラ『オウガ・オリジン』。
そしてその力を奪った、7人の『猟書家』達。
「考えることも多いけどね。どうするにせよ、まずは道を開かなくてはね。と言うわけで行って貰いたいのは、世界征服大図書館だ」
世界征服大図書館。
歴史書や図鑑、ノウハウ本に果ては自己啓発本まで。古今東西の世界征服に関するあらゆる書物が収められていると言う、図書館の国。
「今回戦って貰うオウガは、竜だ。魔炎竜ジャバウォック。混沌を生む母、とも伝えられている赤き雌竜だよ」
――その黒炎は触れたものを『混沌』と化す。
――その咆哮は聞いたものを『混沌』と化す。
――その心眼は数の概念をも『混沌』と化す。
そんな伝承が残っているだけで、ジャバウォックについて詳しい事は判らない。
だが、世界征服大図書館の書物は、読んだオウガに力を与える。世界征服の書物によって高められたジャバウォックの力は、伝承の域に近づいているだろう。
「混沌に呑まれない為には、読書と正義で対抗だ」
猟兵達が息を呑んでいると、ルシルが訳の分からない事を言い出した。
図書館世界にあるのは、世界征服に関する書物だけではない。
数ある本の中には、『正義の書』と言うものが眠っている。
「何処かにあるそれを探し出し、読んでから『正義の味方っぽいこと』をすると――不思議な事に、皆の方が強化されるのさ」
何故か、という理屈はこの際気にしない事だ。
不思議あふれるアリスラビリンスの国のひとつなのだから。
「別に善人ぶれと言うわけじゃない。綺麗な正義でも、どす黒い正義でも良いんだ。それぞれの正義を、けしにぐの剣にすれば良いだけさ」
泰月
泰月(たいげつ)です。
目を通して頂き、ありがとうございます。
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、『迷宮災厄戦』の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
迷宮災厄戦⑦『世界征服大図書館』のシナリオです。
今回も、恒例のプレイングボーナスがあります。
『正義の味方っぽい行動・言動をする』です。
ポージングとかそういうセリフとか、何でも良いです。何かする事でパワーアップできます。
具体的には、それぞれの見つけた『正義の書』にはこんな事が書いてあった、という形になります。
そして正義の味方『っぽいこと』なのです。
別に、無理やり善人ぶる事もないかと思います。一見、悪に見える事でも正義となる事だってあるでしょう。それぞれの正義の味方っぽいこと、をすれば良いのです。
プレイングは公開後から8/3(月)いっぱい受付の予定です。
ではでは、よろしければご参加下さい。
第1章 ボス戦
『魔炎竜ジャバウォック』
|
POW : Manxome
【混沌の呪詛】を籠めた【咆哮】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【正気】のみを攻撃する。
SPD : slithy
【全身から無意識に噴出し続ける混沌の炎】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を焼き尽くして】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
WIZ : mimsy
レベル×1体の、【掌】に1と刻印された戦闘用【複製ジャバウォック】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
イラスト:山庫
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠ジャスパー・ドゥルジー」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
終夜・嵐吾
あや君(f01194)と
書にも書いておったしわしは日曜朝のテレビみとるからよう知っとる
戦隊は正義、あの真似をすれば良い
相手が混沌を撒くのであれば、それを正義の炎で燃やし尽くすのみ
あとは呼び名を決めんといかんな
あや君は鍵レッドなど…いや、収まり悪いの
綾華レッドでどうじゃろ?
わしは嵐吾グレー…グレーは地味じゃし狐シルバーにしよ
メメも連れて!
そこまでじゃ!
盛る炎は正義の印、ゆらゆら狐火躍らせ狐シルバー推参!
汝の混沌全てをわしらが燃やし尽くそう!
メメの炎も借り一体ずつ確実に燃やしていく
綾華レッド、最後はあのデカブツを燃やそう
メメもそれがいいと言うておる
合体――必殺技じゃね!
皆の炎を合わせ派手にやろう
浮世・綾華
嵐吾さん(f05366)と
本に分かりやすく書いてあったし
俺も大体把握しました
りょーかいデス
嵐吾さんが言うならそうするまで
って、そうだった
戦隊は呼び名が大事
綾華レッド
ちょっと恥ずかしい気もするがそうも言っていられない
狐シルバー…うん、行きましょう、らん、狐シルバー
メメ、ララも!
(おわ、嵐吾さんめちゃ成りきってる
俺も負けてらんねー…!)
地獄の…(これは正義っぽくねーな
清き炎は正義の証、綾華れっど……ー!(片手で顔を覆う
そうですネ
ララも悪は燃や…浄化すべきって言ってる気がします
(多分暴れたいだけなんだろうなぁと思いつつ
みんなの炎を合わせて(嵐吾さんの肩に両手置く
合体ファイヤーをお見舞い…だ!(やけ
ガーネット・グレイローズ
む、あれがジャバウォックか。アリスラビリンスにも
ドラゴンはいるのだな。
お前の混沌の力、果たしてあの「帝竜」たちにも匹敵するのか……
見せてもらおうか!
我々も『混沌』に負けぬよう、書物を探して対抗だ。
「いけ、たまこ!」
にわとり型ドローン・メカたまこEXを放ち、<宝探し>機能
を使って蔵書を検索。
正義……いや、私の場合「大義」というべきか?
たまこが持ってきた書物を手に取り【灰薔薇の旗の下に】を発動。
新天地を求めて地球を旅立ち数千年、一族の敵は悉く排除してきた。
――血腥い正義と言われても構わない。
銀河帝国と剣を交えた精鋭たちがお相手しよう。
私も二刀流による<二回攻撃>でジャバウォックに斬りかかるぞ!
司・千尋
連携、アドリブ可
『正義はヒトの数だけある。』
どれが正しいとか間違ってるとかはない。
俺は俺の『正義』に従ってお前を倒す!
…とか正義の味方っぽく宣言してみよう
こんな感じで大丈夫だろうか
攻撃は基本的には『子虚烏有』を使う
範囲内に敵が入ったら即発動
近接武器や投擲で攻撃も混ぜたり
死角や敵の攻撃の隙をついたりフェイント等を駆使
確実に当てられるように工夫
片っ端から消失させてやるぜ
複製ジャバウォックはなるべく早く倒したい
鳥威で攻撃を防ぎつつ優先的に狙う
合体するなら数は減るから多少は楽になる…はず
数の暴力が一番厄介だからな
敵の攻撃は細かく分割した鳥威を複数展開し防ぐ
割れてもすぐ次を展開
回避や防御する時間を稼ぐ
リリー・リャナンシー
随分とまあ、陳腐な夢を抱いてしまったものよな
世界を思い通りにしたいなどといった戯言は子供のうちに済ませておくべきだ
果たしておまえのその混沌とやら
本当に世界征服など可能なのか?
ならばオウガ・オリジン如き、さっさと討伐してくれば良いだろう
我々も楽が出来る…おっと今のは正義に反するかな
私の知った正義は此れだ
くるりとポーズを決めて【ドレスアップ・プリンセス】
昨今の「正義の味方」は
衣装の愛らしさも重要なポイントと聞く
プリンセスハートから何やららぶりぃな光線を出して戦うぞ
図体がでかい複製の群れをドレスの裾をふわふわさせながら飛び交うのだ
―ふむ、存外悪くないな
ごっこ遊びに興じるというものも
●mimsy
ジャバウォックは気づいていた。
この『世界征服大図書館』に、自分以外の存在が現れた事を。
(『一体、何を企んで――』)
周囲を駆けまわる猟兵達の気配に、ジャバウォックは訝しむ。
猟兵達が何をしているのか、判らなかったのだ。
『まあ良いでしょう。来ないものを座して待つほど私の気が長いと思っているなら、その愚かさを後悔なさい』
ジャバウォックが長い首を擡げて、周囲をぐるりと睥睨する。
その視線が走った先に――ジャバウォックが現れた。
その心眼は数の概念をも『混沌』と化す。
まるで最初からそこに存在していたかの様に現れた、ジャバウォックの複製体。
数百はいようかという竜の群れが、動き出す。
敵が向かってこないならば、複製体で蹂躙する。
そんなジャバウォックの意を受けて、複製体が動き出し――。
●ヒーロータイムがはっじまるよー
「そこまでじゃ!」
ジャバウォックの複製体が動き出したそこに、声が響き渡る。
灰青の尾をゆらりと揺らし、不敵な笑みを浮かべた終夜・嵐吾(灰青・f05366)が真紅の竜の群れの前に立ちはだかっていた。
ひとりではない。
すぐ隣には、浮世・綾華(千日紅・f01194)が立っている。此方は何故か、何かを考え込んでいる様子である。
その理由は、すぐに明らかとなった。
「盛る炎は正義の印、ゆらゆら狐火躍らせ狐シルバー推参!」
左足を前に右半身を下げた嵐吾がびしっとポーズを決めて名乗りを上げた瞬間、綾華が「え、もう?」と言いたげな表情を浮かべたからだ。
(「おわ、嵐吾さんめちゃ成りきってる。俺も負けてらんねー……! けど、地獄の炎だと正義っぽくねーし、えーと、えーと」)
「そしてわしらの相棒の正義の炎、ゴールドメメとスカーレットララじゃ」
どう名乗ろうかと綾華が胸中で迷う間に、嵐吾が精霊たちの紹介も終えてしまう。
そう言えば、先ほど読んだ本にはこんな事も書いてあった。
曰く――名乗りはテンポも大事だぞ!
「清き炎は正義の証、綾華れっど……ー!」
逡巡はそこら辺に投げ捨てて、綾華も右足を前に左半身を下げたポーズを決めて名乗りを上げる。
左手で顔を覆っているのは、そういうポーズなのである。多分。
恥じらいを捨てきれていないわけではない。多分。
2人が何でこんな登場の仕方をしているのか――それは、彼らが見つけた『正義の書』に関係していた。
●ただの設定資料集とか言ってはいけない
「あや君、見つけたのじゃ!」
嵐吾が誇らしげに掲げて持ってきたのは、なんだか妙に煌びやかと言うか表紙の装丁に原色がふんだんに使われている本だった。
『正義の戦隊白書』
「せん、たい」
嵐吾から受け取った本のタイトルの中の2文字を、綾華がぽつりと呟く。
「うむ。わしは日曜朝のテレビみとるからよう知っとる」
半信半疑と言った様子で本を開く綾華の横で、嵐吾は真顔で口を開く。
「戦隊は正義じゃ」
「うん、マジで書いてあるし」
――戦隊は正義。
嵐吾がきっぱりと言い切ったその言葉は、綾華が捲った最初の頁に、目次よりも先に、太字縁取り付きのフォントでデカデカと書かれていた。
まあ、綾華も判ってはいたのだ。
これが正義の書だと――感覚的には。タイトルにも正義って入ってるし。
「つまり、あの真似をすれば良い」
「分かりやすく書いてあるし、俺も大体把握しました。りょーかいデス」
すっかり戦隊路線で行く気になっている嵐吾がそう言うならと、綾華も頷く。
実際、本には色々書いてあった。
少人数の場合の並び方とか、ポーズの取り方とか。どういう角度で立てば良いかとか、腕を上げる時の角度まで、何か無駄に細かく色々と詳しく判り易く書かれているのだ。
「あとは呼び名を決めんといかんな」
「それも書いてありますね。戦隊は呼び名が大事」
嵐吾が思い出したように告げた事も、綾華が次々と捲った頁の後半に書いてあった。
「あや君は鍵レッドなど……いや、収まり悪いの。綾華レッドでどうじゃろ?」
「綾華レッド……じゃあそれで」
ちょっと恥ずかしい気もしていたが、そうも言っていられないと綾華は嵐吾の案を首肯してレッドに収まる。
「それでいくと、嵐吾さんは、嵐吾グレー?」
「わしは……グレーは地味じゃし狐シルバーにしよ。メメがゴールドで!」
「じゃあララは……炎が橙と緋色だから、スカーレット?」
こうしてそれぞれの色と呼び名が決まったのである。
●戦隊だけじゃ終わらないヒーロータイム
炎が躍る。
「汝が混沌を撒くのであれば、それを正義の炎で燃やし尽くすのみ。汝の混沌全てをわしらが燃やし尽くそう!」
――フォックスファイア。
琥珀の左目を爛々と輝かせ、嵐吾が幾つもの狐火を放ち、操り、広げていく。
「メメもそれがいいと言うておる!」
その炎に重なるのは、精霊メメの橙と金色の炎。
「そうですネ」
嵐吾に頷きながら、綾華も多くの炎を放っていた。
――鬼火踊ル、花ハ舞ウ。
綾華の武器が変わった緋色の鬼火の数は、数で言えば嵐吾の炎よりも多い。
「ララも悪は燃や……浄化すべきって言ってる気がします」
そこに精霊ララが、橙と緋色の炎を重ねていく。
(「ま、ララは多分暴れたいだけなんだろうけどなぁ……でも嵐吾さんも、燃やすの好きだしなぁ」)
普段はのんびり屋な嵐吾だが、実は燃やすの大好きなのは綾華も良く知る所だ。
『この私の複製体を、炎で燃やすとは――』
その身の内に、意識せずとも溢れるほどの混沌の炎を秘めるジャバウォック。
複製体と言えども、炎に対する耐性は備えている。
にもかかわらず、2人と2精霊の炎はジャバウォックの複製体を燃やしていたのは、後ろにある『戦隊白書』の力であろう。
『よくもやってくれるものです。ああ、そう言えば、書いてありましたね。世界征服には障害が付き物だとか』
「本当に世界征服する気なのか? 随分とまあ、陳腐な夢を抱いてしまったものよな」
まだ燃やされていない複製体を合体させようと身を起こしたジャバウォックに、新たな声がかかる。
「世界を思い通りにしたいなどと言った戯言は子供のうちに済ませておくべきだ」
まだ少し幼さが残る声で子供らしからぬ事を言いながら、古びたヴェネツィアンマスクをつけた少女、リリー・リャナンシー(ましろ・f20368)が本棚の間から姿を現す。
ジャバウォックが視線を向けた瞬間――リリーの小さな身体が、眩い光に包まれた。
●ただの設定資料集とか言うな2
――可愛いは正義である。
リリーが開いた本は、そんな一文から始まっていた。
「ふむふむ? 昨今の『正義の味方』は『衣装の愛らしさ』も重要なポイント? そう言えばそんな事を聞いたことがあるな」
リリーが正義の書の頁を捲っていくと、色々なタイプの衣装が1つ1つに正面図、背面図、横向きと、様々なイラスト付きで詳細に説明されていた。
「ふむ……愛らしい衣装に変身する際は、ポーズも重要なポイントか」
リリーがさらに読み進めていくと、各衣装毎に変身シーンの駒割りやら、ポップンな背景も網羅されている。
それが、リリーが見つけた『正義の書』であった。
●可愛い、そしてらぶりぃ
シャラーンと言う音が聞こえてきそうな――実際には無音だが――星型の光が幾つも煌めいて、光が溢れて弾ける。
その光が収まった時、リリーの姿は豪華絢爛なドレス姿になっていた。
その豪華絢爛さは、その手のそういうもので最初から変身できるものではなくて、なんやかんやあって終盤になって変身できるようになるものっぽい感じである。
「私の知った正義は此れだ」
リリーがその場でくるりと回ってポーズを決めれば、飾られたドレスのスカートが花の如くふわりと揺れる。
変身の何処かでくるりと回るのも、衣装の愛らしさをアピールする大事な要素――とかなんとか、書いてあったそうだ。
『あらあら、可愛い事。そんな姿で戦えると――』
「戦えるさ」
嘲る様なジャバウォックの言葉を遮って、リリーは花びらを纏って飛び出した。
ドレスアップ・プリンセスは、ただの変身業ではない。
「攻撃で重要なのは、らぶりぃ、だったな。こんな感じか?」
更にリリーはプリンセスハートから、らぶりぃ、を意識して光を放つ。
ハートから放たれたハート状のキラキラのピンク色の光は、『正義の書』の効果で強化され浴びたジャバウォックの複製体に、苦悶の叫びを上げさせる。
「――ふむ、存外悪くないな。ごっこ遊びに興じるというものも」
悶えるジャバウォックの複製体を見下ろし、リリーが小さな笑みを浮かべる。
なお、ヒーローマスクであるリリーの身体は、『千鶴』という少女のものである。千鶴は大人しく引っ込み思案な性格だと言う。
リリーが『ごっこ遊び』と称したこの立ち回りを千鶴がどう思っているかは――本人のみぞ知る所である。
黒歴史になっていても、それはそれである。
●正義と歴史
「あれがジャバウォックか」
本棚越しにも見える赤竜に、ガーネット・グレイローズ(灰色の薔薇の血族・f01964)が紅い瞳を向けていた。
(「アリスラビリンスにもドラゴンはいるのだな」)
まだ数多くのドラゴンと戦った記憶が新しいからか、ガーネットは胸中でそんな感想を抱いていた。
コケコケッ!
「見つけたか、たまこ」
ガーネットの視線を、足元で鳴った小さな鳴き声が引き戻す。
見れば鉄のにわとり――にわとり型ドローン・メカたまこEXが、巻物を咥えていた。宝探し機能を使って、『正義の書』を探させていたのだ。
「成程。巻物も書物か」
予想と違う形の書物に少し驚きながら、ガーネットは巻物を開く。
正義は必ず勝つ。
そんな言葉があるが、これは順序が逆である。正義が必ず勝つのではない。勝利した側が、自分達の大義こそが正義だと喧伝してきたのだ。
勝った側の掲げた旗の元には、多くの者が集まっていた筈だ。故に勝てたのだ。
或いは、寡兵で大軍に勝っても同じことだ。
その旗の元には、結果的に多くの者が集まる事となるだろう。
そうして、勝利した側が正義となり得るのだ。
故に、誰もが旗を掲げるのだ。
その旗に込めた大義が正義であると、胸を張って旗を掲げて来たのだ。
「ふむ……これは見事に私向きだな」
ガーネットが手にした巻物の『正義の書』は、歴史書の類の様だ。
具体的な正義に関する話と言うより、歴史の中での正義の話。だがそれは思わず呟いていたように、ガーネットに向いている『正義の書』であった。
●灰薔薇の旗を掲げて
「今こそ闇の中より蘇れ、我が血族よ」
高らかに告げたガーネットの頭上に、灰薔薇の模様が刻まれた幻影の旗が翻る。
どこからか飛んできた強襲宇宙船が、ジャバウォックの群れの中に突っ込んだ。
「銀河帝国と剣を交えた、グレイローズの精鋭たちがお相手しよう」
ガーネットが告げると同時に、宇宙船の中からフォースセイバーとアームドフォートで武装した兵士達が降りてきて、ジャバウォックの群れに飛び掛かっていく。
その武装には、先ほど翻った旗と同じ灰薔薇の模様が刻まれていた。
灰薔薇の旗の下に――アンダー・ザ・フラッグ。
ガーネットの先祖、グレイローズ家が新天地を求めて地球を旅立ったのは、別の世界の暦で数千年は前の事だと伝えられている。
それほどの長きに渡って、グレイローズ家は生き残ってきたのだ。
一族の敵を、悉く排除して。
ガーネットがいるのは、そんな歴史の先であり、その歴史を作ってきた嘗てのグレイローズ家の精鋭達。銀河帝国とも剣を交えた兵士の霊を、ガーネットは呼び出したのだ。
元々精鋭だった兵の霊。そこに『正義の書』の力も加われば――複製体の竜を狩る事くらいはやってのける。
『何ですか、これは……』
兵霊が複製体を狩る光景に、ジャバウォックの口からも驚嘆の声が漏れる。
「これが正義……いや、『大義』というべきか?」
ガーネットの手が、『朱月』と『躯丸』の柄に伸びる。
「――血腥い正義と言われても構わない。これがグレイローズ家だ。そして私も、グレイローズだ」
朱と白、二振りの刃を手に、ガーネットもジャバウォックの複製体に斬りかかった。
●正義はそれぞれの中に
『正義はヒトの数だけある』
司・千尋(ヤドリガミの人形遣い・f01891)が見つけた『正義の書』につけられていたのは、そんなタイトルだった。
正義と悪。
歴史上を見れば、多い方は明らかだ。正義である。
最初から悪だと旗を掲げるものなど少ないに決まっている。
例え歴史上で悪の侵略者とされていても、そのものの側からすれば、そうすることが正義であったはずなのだ。
そうして正義と正義がぶつかる内に、正義の中で正義を見失う。
ならば見失わない為にはどうすれば良いのか。
正しいとか間違っているとか、考えない事だ。
ただ自身の正義に従えばいい。
――と、言葉にすれば短い事だが、それはとても難しい事である。
「わぁ、真面目」
まるで正義の指南書とでも言えそうな書物を一通り読んで、千尋は思わずそんな感想を声に出してしていた。
あまり物事に正対しないのが、千尋のスタンスだ。
皮肉やからかいの言葉だって言うし、必要なら嘘だって吐く。
だから――。
「まあ、たまには正義の味方、してみるか」
必要なら、正義の味方にだってなってみせるというものだ。
●光の剣って正義っぽい説
「どれが正しいとか間違ってるとかはない。俺は俺の『正義』に従ってお前を倒す!」
読んだ『正義の書』を思い出しながら、千尋は正義の味方っぽくジャバウォックの複製体の群れに言い放つ。
こんな感じで良いのだろうかと思っていると、ふつふつと力が湧いてきた。
「いけそうだな――よし、消え失せろ」
千尋が小さな笑みを浮かべた瞬間、その前で幾つもの光が閃く。
子虚烏有。
数百を超える光の剣を放つ業。
その力は、触れたモノの存在否定。
千尋が操る光の剣の切っ先が触れると、ジャバウォックの複製体の身体がごっそりと抉れたように忽然と消えていく。
「これだけいると死角も隙もあったもんじゃないが、逆に当て易いな」
射程の有限は光剣の数と、千尋自身が群れの中に飛び込む事でカバーする。
「片っ端から消失させてやるぜ」
千尋の視界の中で閃く光の軌跡が幾何学模様を描き、ジャバウォックの複製体の群れが崩れていった。
●最後は合体するものです
「どうした。自慢の複製体も、次々やられているじゃないか」
複製体の中を、ふわりふわりとドレスの裾を翻し花びら回せて飛び交いながら、リリーは挑発的にジャバウォックに向けて言い放つ。
果たしておまえのその混沌とやら本当に世界征服など可能なのか?」
『このジャバウォックを侮辱する気ですか』
リリーが続けた物言いに、ジャバウォックの声に苛立ちの色が混ざった。
「可能ならばオウガ・オリジン如き、さっさと討伐してくれば良いだろう。我々も楽が出来る……おっと今のは正義に反するかな」
『小娘が。先に貴女から潰してやりましょう』
出来ないのだろうと言外に嘲るリリーに向けたジャバウォックの瞳が光る。
直後、残っていた複製体が、たった2体に集約された。
「そう来ると思っていたさ」
その片方の頭上に飛び上がったリリーが、ハートの光を浴びせる。
しかし重なった複製体は先ほどまでの様に苦悶を上げず、リリーの光はその動きを抑えるまでに留まっていた。
だが、それで良かったのだ。
リリーがちらりと、嵐吾と綾華の方に視線を向ける。
「綾華レッド、最後はあのデカブツを燃やそう」
「うん、やりましょう、狐シルバー」
リリーの意図を察して、嵐吾と綾華が顔を見合わせる。
「皆の炎を合わせ派手にやろう」
「みんなの炎を合わせて……こうですネ」
炎を合わせようと提案した嵐吾の肩に、綾華が両手置く。
しかし嵐吾はするりと抜け出すと、逆に綾華の肩に両手を置いた。
「ン!?」
「こういう時、レッドは中心になるもんじゃ」
何故と振り向く綾華に、嵐吾が良い笑顔で返す。
「メメ、ララも! 合体――必殺技じゃね!」
綾華に有無を言わせる暇もなく、嵐吾が炎の精霊達を集める。
そもそも、言い合っている時間もない。
「合体ファイヤーをお見舞い……だ!」
「合体ファイヤー!」
やけくそ気味な綾華の声に、嵐吾の楽しそうな声が重なって。放たれた2人と2精霊の4つの炎は1つの大きな炎となって、ジャバウォックの複製体を飲み込んでいく。
「合体したか」
「この方が数が減ってるから多少は楽になる……はず!」
まだ多くの兵霊を従えたガーネットと、周囲に幾つもの光剣を浮かべた千尋も、集約されたジャバウォックの複製体のもう1体と対峙していた。
「一番厄介だった数の暴力は、ないからな!」
告げて千尋が放つのは、まさに数の暴力。700を超える光剣が、合体したジャバウォックの複製体に襲い掛かる。
『その光、この黒炎に耐えられますか』
それを見たジャバウォックが、複製体の口から黒炎を放つ。
空中でぶつかる、光と黒。
だが――千尋の放った光剣は、触れたもの存在を拒否することで消失させるのだ。混沌と化される事を拒否する。炎が燃える事を拒否する。
千尋自身、その力が攻防一体になり得ると気づいていたのだろうか。
黒炎を消してその力が尽きても、まだ残っていた光剣が、ジャバウォックの複製体の首を消失させる。
「今だ!」
「我が血族よ――撃て!」
複製体と言う壁が消失した瞬間、千尋の声でガーネットがグレイローズの兵霊達に指示を告げた。精鋭の兵達が構えたアームドフォートの砲口が、一斉に火を噴く。
炎に呑まれたジャバウォックを、砲撃の爆炎が更に包み込んだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ディルク・ドライツェーン
おおっ、本がいっぱいだ!
オレでも読める本あるかなぁ…
っと、ええと正義の書ってのを探さないと
アイツラと戦えねぇんだよな
よしっ、がんばって探すぞ~っ!
【第六感】と【野生の勘】でそれっぽい本を探して見つけ出す
えーっと…自分が戦うための想い…?を言えばいいんだな
うんっ、それなら簡単だな!
この世界は初めてきたけど、ここのみんな面白くていいヤツらだ。
アイツら楽しく暮らしてんのに、邪魔してんじゃねぇっ
お前は絶対オレがぶっ倒すっ!
敵のUCは野生の勘で回避しつつ
炎を拳の衝撃波で【吹き飛ばし】ながら接近して
UCを使用して【怪力】【鎧砕き】で全力でぶん殴るっ!
(UCの仲間への攻撃はしない)
月夜・玲
正義…正義かあ…
まあ解釈は色んな正義がある訳で、何か面白そうな本探してみようか
●行動
私が見付けた本はこれ!
『正義のマッドサイエンティスト』
メカニックが本職だからね、こういうのが似合ってるでしょ
という訳で本に従って行動!
まずは高い所からの名乗り!
コツコツ本を積み上げてお立ち台を作ろう…こういう地道な所も科学者っぽい
照明!
後ろから照らすように自分のガジェットとかで工作して作ろ
そして名乗ってからとうっとジャンプして【Code:F.F】を起動!
寿命を縮ませながら攻撃するのもマッドっぽいでしょ
「ふふふ!聞いているのかね邪悪な魔炎竜くん!正義のマーッドサイエンティスト・Drアキラが成敗して…まって文字数」
比野・佑月
混沌……?それはいただけないなぁ。
俺、おまわりさんやってるんだよ。
秩序を守るお仕事だからさ、見逃せないなぁ。
そうそう、さっきいい本も見つけたんだけど
UDCの方の警察って大声で自己紹介するらしいんだよね。
名乗って、正々堂々と仕掛けるって考えるとなるほど正義っぽい。
「それじゃそれっぽく。……秩序警察だ!覚悟しろ!!」
噴き出す炎は【眷属招来・冥】で呼び出した亡霊に食らって貰おう。
そもそも図書館で放火って言うのが良くない良くない。
冥に炎を食い止めて貰ってる間に拳銃を構えて攻撃開始。
秋暁の弱い攻撃で油断させてから、逆に威力特化な春宵でズドン!
逃げそうならわんわんトラップで足止め、確実にダメージを。
泉宮・瑠碧
…正義は、難しいですね
例え一方的でも
掲げている本人には、正義で…
対抗するのも、正義ですし
えと、正義の書、より…
魔炎竜よ…図書館の床を、焼いてはいけません
…駄目ですか?
では…図書館では、静かに
(図書館の)平和を乱す者は、赦しません
炎は無意識のようなので
魔炎竜を悪いとは、言い切れませんが…ごめんなさい
私は杖を手に相照加護
噴出タイミングは炎の動きと精霊達が察する気配と直感で
噴出したら地に着く前に精霊達により
風を避けて真空を作るか
着弾すれば水を流して、炎を消すように
破魔と浄化を乗せた氷の槍を撃ち出して攻撃
混沌も、悪いとは思いません
秩序も、混沌も、結局は人の心に、掛かっている気がします
…どうか、安らかに
●slithy
『そういう事、ですか』
プスプスと焦げた身体から煙を上げながら、ジャバウォックの瞳がギラリと強い輝きを放つ。
『この世界――あなた達に力を与える図書もあると』
猟兵達がすぐにせめて来なかった理由に、ジャバウォックが気付く。
『ならば全て燃やして、混沌に変えてあげましょう』
ジャバウォックの体から、黒い炎が立ち昇る。
何もしなくとも全身から無意識に噴出し続ける混沌の炎を、意図的に燃え上げる。
周囲一帯の本を燃やそうと言うのだ。
だがその行動は――もう遅かった。
「秩序警察だ! 覚悟しろ!!」
比野・佑月(犬神のおまわりさん・f28218)の声が、そこに響き渡った。
●街の正義の味方
秩序警察。
佑月がそんな名乗りを上げたのは、彼が見つけた『正義の書』に関係する。
『街の正義を守る警察官』
それが、佑月が見つけた『正義の書』だ。
おまわりさんを自称している佑月に、これ以上合う正義の書も他にないだろう。
パラパラと頁を捲ると、警察官の服装規定や装備の解説などから始まって、警察官の心得や行動基準について書かれていた。
「警察官の心得か」
佑月の指が少し頁を飛ばして捲る。
まず最初の心得は、自ら警察だと名乗る事、と書かれていた。
まずは警察だと名乗る事だ。
それは対外的に警察だと所属を明らかにする意味もあるが、何も後ろ暗い事がない証明する意味もある。
正義は我にあるのだと知らしめ、それでも抵抗する輩には正々堂々と挑むのだ。
それは周囲の不安を解く事にも繋がるし、心根から悪に染まっていない者には、それだけで思い留まらせる事も不可能ではないのだから。
「成程。UDCの方の警察って大声で自己紹介するらしいのは知ってたけど、こういう理由で名乗って、正々堂々と仕掛けるってことか」
それはとても――正義っぽい。
その頁を見る佑月の目は、なんだか輝いていた。
●集う秩序の守り手たち
「それはいただけないなぁ」
そんな『正義の書』のお陰か、黒炎を燃え上がらせるジャバウォックに向かって、佑月は怖れる事無く、諭すように声を上げる。
「俺、おまわりさんやってるんだよ。秩序を守るお仕事だからさ、燃やすとか混沌に変えるとか、見逃せないなぁ」
佑月がおまわりさんと言うのは、誰かに保証された立場ではな。
憑き従っていた一族が滅んでカクリヨファンタズムに移り住んでから、警官の真似事をしているに過ぎない。
だが、公的にはどうあれ――本人の心持は、おまわりさんだ。
「そもそも図書館で放火って言うのが、良くない良くない」
「それは全くその通りです」
佑月の言葉に同意する声が、少し後ろから響いてきた。
珍しく眼鏡(おそらく伊達)をかけた泉宮・瑠碧(月白・f04280)が、凛とした足取りで近づいてくる。
「魔炎竜よ。その炎、無意識に出ている部分もあるのはわかっています。ですから悪いとは、言い切れませんが……ごめんなさい」
そうして瞳を伏せて断りを入れてしまうのは、オブリビオンでも討つことに悲しみを抱いてしまう瑠碧の性質の表れと言えよう。
だがこの時の瑠碧は――すぐに伏せていた瞳を上げて、きりりとジャバウォックを見上げてみせる。
「ですが魔炎竜よ……図書館の床を、焼いてはいけません」
そして、諭すと言うか――静かに叱った。
●規律と秩序と
瑠碧の言葉も、やはり『正義の書』に関係していた。
(「……正義は、難しいですね。例え一方的でも、掲げている本人には、正義で……対抗するのも、正義ですし」)
そんな事を考えながら本棚の中を歩き回る内に、瑠碧はタイトルに『正義』の2文字が入っている本を見つけた。
『風紀は正義』
正義と言うのは簡単なようで難しい。
絶対的な正義と言うものは、特にそうだ。
だが、特定の空間、特定の場所に限った場合であれば、話は変わる。その場所に合わせた正義の為の規律と言うものならば、立場を超越する難しさは下がるであろう。
正義の為の規律。
それは秩序を作り、保つ為のもの――即ち、風紀である。
故に風紀を守ると言う事は、正義の行為と言えよう。
そんな風紀=正義説のあとに、具体的な風紀の例が幾つも続いていた。
「これは……中々偏ってますね」
眉間を寄せかけた時、瑠碧は見つけた。
風紀の例の目次の中に「図書館の場合」がある事に。
●亡霊と精霊
『いけませんとは何ですか。このジャバウォックに対して――』
「駄目ですか? では……図書館では、静かに」
憮然と返すジャバウォックを遮って、瑠碧は穏やかながらぴしゃりと告げる。
「図書館の平和を乱す者は、赦しません」
『……』
風紀を記した『正義の書』に書かれていた事を告げる瑠碧の声は、いつにない静かな力強さを秘めていて、その声にジャバウォックも押し黙る。
「赦されない事は、しちゃだめだぞ。地獄に落ちて、怖い閻魔様の仕置きを受けたくなかったらな」
それを見た佑月も、自身の正義感を告げて畳みかける。
『私を――私を赦さないなどと言うその愚かさを、混沌に染まって後悔なさい』
絞り出すように、或いは自身に言い聞かせるように。
瑠碧と佑月に言い放ったジャバウォックの身体から、黒炎が放たれた。
「ちょっと構ってるヒマないからさ、食べちゃってよ」
迫る黒炎を前に、ちょっとごみを捨ててきて、くらいの気軽さで佑月が呼びかける。
何に?
佑月の傍には誰も――誰もいなかった空間に、犬の亡霊が現れていた。
眷属招来・冥。
犬の亡霊は、犬神としての佑月の眷属。
その顎で黒炎を食い千切り、飲み込んでいく。
『愚かな。黒炎を食らってただで済むものですか。混沌に染まったその獣に、逆に牙を突き立てられるのが――』
上げた言葉を言い終わる前に、ジャバウォックが息を呑んでいた。
佑月の呼んだ犬の亡霊は、平然と黒い炎を食らい続けていたから。
攻撃を呑み込み無効化する――それが冥の力。
「大人しくしろ!」
これもまた『正義の書』に書かれていた言葉を告げて、佑月は回転式拳銃を構えて、引き金を引く。
特殊な改造をした銃――『秋暁』の銃口から、殆ど音を立てずに弾丸が放たれた。
だが、カンッと乾いた音を立てて弾丸が赤い鱗に弾かれる。
「ありゃ。全然効いてない、ね」
『当然でしょう。そんな玩具で竜の鱗が貫けると――』
銃を構えたまま思わず固まる佑月に向けてほくそ笑んだジャバウォックの言葉を、飛来した氷の槍が遮った。
『っ!』
砕け散った氷を払いのけ、ジャバウォックが視線を向ける。
氷の槍を放ったのは、瑠碧だ。
『小賢しい』
「全てに宿る数多の精霊達……力を貸して」
ジャバウォックが苛立たし気に黒炎を放つと、瑠碧は『精霊杖:水精霊』を手に黒炎から距離を取りながら、精霊達の助力を願う。
応えた数多の精霊の力が、瑠碧に迫る黒炎の軌道を教えてくれる。
相照加護――ディヴァイン・スピリット。
「風よ――そして、水よ。お願い」
精霊の力を借りた予測の後に続けるのは、常に瑠碧に寄り添う水と風の精霊の力。
風を避けて真空を作り、それでも遮れなければ着弾前に水で流す。
「床だけではありません。図書も燃やしてはいけません。踏んでもいけません。もっ図書を大事にしましょう」
まだ風紀を守る立場を続ける瑠碧は、自身よりも本を燃やさせまいとしていた。
そしてその声は――。
「うーん、これ大丈夫かな? 竜に突っ込まれたりしないかな?」
本棚の上にコツコツと本を積み上げていた月夜・玲(頂の探究者・f01605)に、若干の不安を抱かせていたりしたのである。
●狂気でも正義
玲が何故、本を積み上げているのか。
その行為もまた、玲が見つけた『正義の書』に関係する。
解釈は色んな正義がある。
そんなの、書を見るまでもない。
故に玲は『何か面白そうな本探してみようか』と言う独特の基準で、数多の本の中から正義の書を探して――見つけた。
『正義のマッドサイエンティスト』
タイトルの時点で、既に何かがおかしいのは気のせいだろうか。
マッドサイエンティストと言うのは、大抵、倫理観とかそういうものを何処かに忘れてきた異端な研究者につけられる呼び名である。
まあ異端であるから正義ではない、とは一概に言えないのも確かだが。
「私はメカニックが本職だからね、こういうのが似合ってるでしょ」
当の玲はそんな事は気にせずに、その本を開いた。
「何々? 正義とは力だけではない。知もまた、正義である」
玲が頁を捲ると、正義の研究者のスタイルが記されていた。
ヒーローを支える技術者としての心得とか、『こんな事もあろうかと』の一言で、何を作っても大抵は許される為にはその裏で寿命が惜しくないかの様に睡眠時間を削りまくる生き方をしているのだとか――あと登場するときは高い所からとか。
「よし。出来そうだし、この本に従って行動してみようか!」
こうして玲は、コツコツ本を積み上げてお立ち台を作り始めた。
●マッドサイエンティストが地味に行くなどあり得ない
「まあいいか。ここまで作ったんだし」
結局開き直って、玲は本棚の上に積み上げた本のお立ち台の上に登る。
「照明よし。I.S.T起動よし。さて、それじゃ――お仕事しますか」
パチンッと玲が指を鳴らすと、ガジェットで作った照明が、玲の背後からその姿を照らし出した。
「そこまでだよ! 邪悪な魔炎竜くん!」
突然灯った眩い照明と響いた声に、ジャバウォックが玲に視線を向ける。
「正義のマーッドサイエンティスト! このDrアキラが来たからには、その黒炎、自由に放てると思わない事だね」
『……待て。待ちなさい。それ、乗ってるの本でしょう?』
突然のマッドサイエンティスト登場に驚きながらも、ジャバウォックは気づいた。気づいてしまった。玲が立っているのが、本の上だと。
「ふふふ! 聞いているのかね邪悪な魔炎竜くん! 正義のマーッドサイエンティスト・Drアキラが成敗してくれる――とうっ!」
玲はそれに取り合わず、掛け声つけて飛び掛かる。
わざわざ付けた照明。
高い所から名乗ってから飛び掛かる。
玲の行為はどれもこれも、ジャバウォックの注意を引くもの。
それによって生まれた隙を、1人の猟兵が伺っていた。
●叫べ、正義を
「おおっ、本がいっぱいだ!」
見渡す限り本がぎっしり詰まった本棚が並んでいる光景に、ディルク・ドライツェーン(琥珀の鬼神・f27280)が目を輝かせる。
「この中から、正義の書ってのを探さないと、アイツと戦えないんだよな」
本棚の向こうに見える赤い竜の頭を横目で見てから、ディルクは視線を周囲の本棚へと戻した。中には、見た事もない文字が背表紙に書かれているものもある。
「オレでも読める本あるかなぁ……」
ディルクは、その生い立ちのせいで、一般常識や教養と言ったものがあまりない。もしかしたら、この世界の中で読めない文字がある本の方が多いかもしれない。
だからと言って、ディルクは諦めるような性格ではなかった。
「よしっ、がんばって探すぞ~っ!」
己の第六感と野生の勘を信じて、ディルクは自分でも読める本を探し回った。
そうして見つけたのは、『正義の言霊』とタイトルが付いた正義の書。
戦いには、何かしら想いがあるものである。
その想いを内に秘めるのも良かろう。
百の言葉よりも行動で示すのも良かろう。
だが、敢えて言葉にするのも、正義だ。
自分が何のために戦うのか――その想いを言葉にする。たったそれだけの事で、自分も周りも奮い立つものである。
「えーっと……自分が戦うための想い……? を言えばいいんだな」
最初は首を傾げる事も多かったが、その書物はイラストも多く、何度か戻って読んでいる内に、肝心な事はディルクも理解していた。
「うんっ、それなら簡単だな!」
これならオレでも出来る――確かな自信を胸に、ディルクは戦場へと駆け出した。
●集い、結ばれる正義
そして――。
とうっと跳躍した玲にジャバウォックが気を取られた所に、ディルクが本棚の隙間から飛び出した。
『次から次へと!』
気づいたジャバウォックが、全身から黒炎を噴き上げ――。
そこに、ドンッと低い音が響いて、ジャバウォックの身体が揺らぐ。
『!?』
ジャバウォックが視線を向けると、佑月がまた拳銃を構えていた。
「さっきは効かなかったのに――って顔だな」
ドンッと、同じ低い音が、佑月が構えた銃口から響く。
同じ回転式拳銃だが、先ほどと今とで、佑月が手にしているのは違う拳銃だ。今構えている『春宵』は、威力特化に改造したもの。
大口径から放たれた弾丸が、赤い鱗にヒビを入れる。
「混沌も、悪いとは思いません」
先ほどよりも大きな氷の槍に破魔と浄化の力を込めながら、瑠碧が呟く。
「秩序も、混沌も、結局は人の心に、掛かっている気がします、から」
正義の書の内容に合わせ、まるでどこかの風紀委員みたいな言動をしていたけれど、こちらの方が瑠碧の本音に近いのだろう。
そして――敵であれ認めるのもまた、正義と言える。
瑠碧が投じた氷の槍が、ジャバウォックの翼に風穴を空けた。
「最終公式起動、全てを零に!」
ジャバウォックの上から、玲の声が響く。
Code:F.F――コード・ダブルエフ。
I.S.T――模造神器の全ての形態を解放し、全ての力を纏う業。
だがその模造神器は、玲がUDCの力の再現を目指して作り上げた兵器。その力を全て解放すれば、猟兵であってもその身に余る寿命を削る力となる。
『あれは――よろしくないですね』
それほどの力、ジャバウォックが気付かない筈もない。
だが――。
「ぶっ飛ばしてやるぜっ!」
上に気を取られたジャバウォックに、ディルクが拳を叩き込んだ。
その右手の甲にあるメガリスが、輝きを放っている。
鬼神の破壊欲。
メガリスの力で拳の速度を上げて、ディルクは更に拳を叩き込――。
『五月蠅いですよ』
ジャバウォックの全身から、黒炎が噴出した。
猟兵も本も――周囲を焼き尽くさんと、炎が燃え上がる。
だが、黒炎が猟兵達に届く事は無かった。
佑月の冥が食らい、瑠碧が精霊の力で消していく。
「この世界は初めてきたけど、ここのみんな面白くていいヤツらだ!」
2人が消しきれなかった分の黒炎を野生の勘で避けながら、ディルクが声を大きく張り上げる。
「アイツら楽しく暮らしてんのに、邪魔してんじゃねぇっ! お前は絶対、オレがぶっ倒すっ!」
正義の書に書かれていた通りに。
ディルクは己の中にある想いを叫んで、拳を叩き込んだ。
メガリスの力は、味方を一度も攻撃しなければ、ディルクにも向かい寿命を食らう。それでも、ディルクはジャバウォックだけを殴り続ける。
そして寿命を削っているのは、もう1人。
昇って来る黒炎がかすりもしない程に速く、I.S.Tで高速移動しながら、玲はその先端にエネルギーを集めていた。
「この業、寿命を削るんだ。寿命を縮ませながら攻撃するのもマッドっぽいでしょ」
球状のエネルギーは、寿命の結晶と言って良いだろう。エネルギー体の大きさは、そのまま玲が削った寿命の量と言える。
だが、玲は――嗤ってそれを放ってみせた。マッドサイエンティストらしく。
大成功
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レスティア・ヴァーユ
読書【正義とは、より大いなる力の執行で得られる、道徳的な平和と平等である】
…混沌は、正義であろうか。混沌は、世界に平和をもたらすだろうか。混沌は平等をもたらすだろうか。
(瞳を閉じ照らし合わせてから)
――否、混沌は大いなる力の許に消え去るべき邪悪である。
滅せよ、正義は我にあり。
(宣言
紡ぐは途切れる事のない聖歌
「歌唱」と共に「シンフォニックソード」を「武器改造」の力で
マスケット銃に変化
敵UCは「オーラ防御」で防ぐ…が
一心に歌いながら神の力を借り受けるという時点で、
正義は疑わぬが、若干正気であるかの自信はない。
銃を構え歌声に「神罰」の力を乗せ、
UCを高らかに謳い上げて、狙い澄ました銃弾として敵に発動
サフィリア・ラズワルド
POWを選択
【白銀竜の解放】で四つ足の飛竜になり青い炎で戦います。
物語だと世界を狙う魔の竜がいるなら対となる正義の竜がいるものです。それを演じましょう!
何事も程よくなくてはならない、混沌だらけの世界など征服したところで長くは持ちません、世界の崩壊を速めるだけです!
貴女が混沌を撒き世界を手に入れるというなら、全力で阻止します。
『世界のために同族殺しの罪を背負いましょう』
本当は殺したくないけど世界のために対となる同族を手にかける、こんな感じで行こう!
アドリブ協力歓迎です。
●Manxome
『よくもよくもよくも』
エネルギー体に圧し潰されたジャバウォックが、よろめきながら立ち上がる。
その口から洩れる呪詛。
『正気のままでは、帰さない!!!』
混沌の呪詛が図書館世界に響き渡る。
『混沌に呑まれてしまえ!!』
その咆哮は聞いたものを『混沌』と化す。
だが、ジャバウォックがその咆哮を上げる前に――。
「私の竜よ、私の人間を喰らって完全な者となるがいい」
サフィリア・ラズワルド(ドラゴン擬き・f08950)の声が響いて、本棚の向こうから、白銀の身体に青い炎を纏った竜が現れる。
白銀竜の解放――ドラゴン・リベレーション。
人工のドラゴンを創ると言う実験の中で得たドラゴンの姿と力。それを解放したサフィリアが、ジャバウォックに突っ込んで行った。
●正義の竜として
『闇黒竜と光銀竜』
サフィリアが見つけた正義の書は、魔の竜と正義の竜を主役とした、どこかの世界の伝承を元にした物語であった。
それは、様々な種族が生きる世界。
その種族の中には、竜もいる。
だが竜はたびたび、滅びの危機を迎えた。
最後の2匹の竜になる度に、竜同士は争う事になる。
片方はそんな境遇に追いやった世界を憎み、世界を滅ぼさんとして。
片方はそんな境遇でも世界と、そこに生きる者との共存を望んで。
「物語だと、世界を狙う魔の竜がいれば、必ず対となる正義の竜がいるものですね」
パタンと本を閉じて、サフィリアはひとり呟いた。
ならばどちらの役を演じるか――それは、迷うまでもない事だ。
●名もなき正義の書
「混沌、か」
目の前で始まった竜と竜のぶつかり合いにを見やりながら、レスティア・ヴァーユ(約束に瞑目する歌声・f16853)はジャバウォックから何度も聞いた単語を呟いていた。
本当に何度も聞いた。
まるで、あの赤い巨体の中に、それしかないとでも言うかの様に。
「……混沌は、正義であろうか」
レスティアは小声で呟くと、その瞳を閉じる。
瞼を閉じれば、脳裏に少し前に読んだ書物の事が思い浮かんできた。
正義とは勝つものである。
正義とは力なきものの縁になるべきである。
正義とは道徳的で平等であるべきである。
正義の為された世は平和になるものである。
故に――正義とは、より大いなる力の執行で得られる、道徳的な平和と平等である。
レスティアが見つけた『正義の書』にタイトルは無かった。
その中に記されていたのは正義の解説。と言うよりは、正義の在り方を謳っているものであった。
その内容は、見る者によっては受け入れにくいものになったかもしれない。
だが――上流階級に生まれ、狡猾さや傲慢さがなく実直・誠実を己の指標とするレスティアには、受け入れられるものであった。
●そして正義の歌が響く
混沌は、正義であろうか。
混沌は、世界に平和をもたらすだろうか。
混沌は、平等をもたらすだろうか。
レスティアは瞳を閉じ、名もなき『正義の書』に謳われていた正義の在り方と、混沌を脳裏で照らし合わせていく。
正義はどちらであるかを、確認する作業。
「――否。混沌は大いなる力の許に消え去るべき邪悪である」
そしてレスティアは閉じていた瞳を開く。
「滅せよ、正義は我にあり」
両目でジャバウォックを見据えて、己こそが正義だと宣言すると、レスティアはシンフォニックソードをスラリと抜き放った。
蒼に透き通る剣身を撫でるように触れると、それだけで剣は銃へと変わる。
それは、神罰の弾丸を放つための形。
「コノ身ヲ捧ゲ、歌イ、紡ガン――我ガ手ニスルハ、御主ノチカラ」
マスケット銃に似た形へと変えたシンフォニックソードを掲げ、レスティアは一心に聖歌を歌い出し、朗々とした声を響かせた。
●混沌、燃え尽きて
「貴女が混沌を撒き世界を手に入れるというなら、全力で阻止します」
『借り物の竜の姿で、出来ると?』
サフィリアを押し戻そうと、ジャバウォックが身体に力を込めてる。
「阻止してみせます。何事も程よくなくてはならない、混沌だらけの世界など征服したところで長くは持ちません、世界の崩壊を速めるだけですから!」
ジャバウォックに負けない様に4つの足で踏ん張って、サフィリアは言い返した。
『世界など、滅びようが構いません。どうでもいいですよ』
込めた力とは裏腹に、ジャバウォックが淡々と告げる。
『世界征服など、ここで力を得るためにその気になってみただけ――混沌を撒くのは止められないのだから』
世界を手にしたところで、ジャバウォックは混沌を撒き続ける。
そう言う存在なのだ。
竜の力を使って戦い続ける限り、サフィリアがやがて竜になる運命を持っているのと同じように。
「ならば、世界のために同族殺しの罪を背負いましょう」
本当は殺したくないけど世界のために、同族に手をかける決意をした竜。
『そんなに竜になりたいなら――なってしまえ!』
正義の竜と言う役になり切っていたサフィリアの耳元に顔を寄せ、ジャバウォックが咆哮を響かせた。
レスティアが途切れる事のなく紡いでいた聖歌が、消える。
歌声が止まったのではなく、あまりに大きく響き出したジャバウォックの咆哮に、音の大きさで消されてしまったのだ。
その衝撃をオーラを纏って耐えながら、それでもレスティアは歌っていた。
自分の声が聞こえなくなっても、歌える。歌い続ける。
神の力を借り受ける。その為に。
(「正義は疑わぬが、正気であるとは言えないかもしれんな」)
自嘲気味に呟いたレスティアの手に、重みが加わる。
銃の中に、弾丸が込められた重み。
「――響け! 代理執行・神罰!」
神罰の歌声の力を込めた弾丸が、蒼い銃身から放たれる。その弾丸がジャバウォックの長い首を撃ち抜いた瞬間――耳を劈く咆哮が、消えた。
竜になれ。
それは、サフィリアが昔、実験体であった頃にも言われた言葉だ。
いつか竜になる、本物の竜になる、人の姿はいらなくなると。
そう言われたのは、いつの事だったか。
そしてその言葉が、サフィリアの中に、ひとつ明確な意思を作らせた。
「竜になっちゃっても私は私!」
人であろうが竜でだろうが。
正気であろうが狂気になろうが――それは変わらない。
サフィリアは無意識に竜の牙を突き立て、その身体の内に青い炎を放つ。
『……世界征服など……慣れない事を企むものではないですね。別にしたいことも……ないと言うのに』
ジャバウォックの声が聞こえて――初めて、世界に音が戻ってきた事に気づく。
くたりと倒れたジャバウォックの身体に、もう混沌は燃えていなかった。
大成功
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