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迷宮災厄戦②〜Blitzkrieg!

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「早速だが任務の概要を説明する。作戦目標は敵指揮官の強襲撃破。夥しい数のオウガの群れをくぐり抜けて一気に指揮官を排除してもらう」
 ユウキがそう言って地図を広げた。
 やけに広い図書館のような構造のその作戦域で、大量のオウガ達が跋扈しているとユウキは言う。
「今回、雑魚の殲滅は他の猟兵が行う。よって貴君等はこの戦域の指揮官が居ると思わしき場所へ出来る限り素早く接近。雑魚どもが集まってくる前に一気呵成に敵指揮官を叩き撤収して貰いたい」
 いわゆる電撃戦(Blitzkrieg)というやつだとユウキは付け加えた。
「今回、事前に【Qの儀式】の成功によって指揮官の位置に比較的近い位置へと君たちを送り込むことが可能となっている。それでも雑魚共に一切感づかれずに接近するのは隠密能力に優れた者でなければ難しい。叩きのめしながら進むか、無視して一気に駆け抜けるのか。その辺の判断は君たちに任せるが、ともかく敵が防御の態勢に入る前に叩いてくれ」
 そう言ってユウキが指揮官へのルートプランを見せた。
 隠密で行くか。
 叩きのめしながら最短ルートを行くか。
 敵の少ないルートを一気に駆け抜けるか。
 それぞれに応じたルートを解説する。
「さっきも言ったが、あまりに時間を掛ければ作戦は失敗に終わるだろう。ともかく早さが肝だ。その辺はしっかり覚えておいてくれ。あと⋯⋯⋯⋯」
 ユウキは少し唸ると言葉を続ける。
「セイレーン、ローレライ、人魚姫。なんだっていいが、ああいう連中の歌には極力耳を傾けん事だ」
 突然そんなことを言うユウキに怪訝な顔を向けると、ユウキは小さく笑う。
「なに、アドバイスさ」
 そしてユウキはゲートを開いた。
「行って来い猟兵!! お前たちなら必ず成功できると信じているぞ!!」


ユウキ
 はじめましてこんにちわ。
 (´・ω・)bはじめちわ!!
 ユウキです。
 今回は敵の雑魚をいかに潜りぬけて敵指揮官を叩けるかが重要です。
 ちなみに、ユウキさんのアドバイスについてですが、戦場には敵指揮官の歌う声が響いています。
 もの悲しげな歌ですが、絶対に聞こうとしないでください。
「絶対だぞ!!」
 というわけで。
「それではみなさん、良い狩りを⋯⋯⋯⋯」
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第1章 ボス戦 『スウェル』

POW   :    リップル
【魚に飲みこまれかけた人のような、奇怪な姿】に変身し、レベル×100km/hで飛翔しながら、戦場の敵全てに弱い【奇声と、ヘドロ混じりのどす黒い津波】を放ち続ける。
SPD   :    サージ
【歌声】で攻撃する。[歌声]に施された【自己暗示】の封印を解除する毎に威力が増加するが、解除度に応じた寿命を削る。
WIZ   :    アンジュレーション
骸魂【ク・リトル・リトル】と合体し、一時的にオブリビオン化する。強力だが毎秒自身の【肉体の形状における「人間らしさ」】を消費し、無くなると眠る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ジズルズィーク・ジグルリズリィです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 戦場に歌が響く。
 歌声は、切なく悲しいこの歌は、いったいどこから響いている?
 ……誰かが呼んでいる。
 誰かがあなたを呼んでいる。


 小舟をあやつる舟人を、切なき歌は魅了する。
 迫る暗礁意にもせず、彼はひたすら仰ぎ見る。
 あげくは小舟もろともに、波にのまれることだろう。

―Heinrich・Heine―
フィロメーラ・アステール
「フリかな……?」
なにか期待されている気が。
でもあたしは素直な良い子だから対策するぞ!

【暁天さやけし万象の星図】を発動!
自身の周囲に宇宙空間のような小世界を展開!
つまり空気が無いので音が伝わらない!
周囲の空気を吸い込んだりすると困るのだろうし領域外には影響しないよう性質を調節しとくぜ!

んで、あたし自身には【環境耐性】がつくけど、敵は窒息したり、無重力で【空中浮遊】しちゃったりでまともに行動できないというわけ!
味方が入ってくるなら【オーラ防御】バリアで保護したり【念動力】で移動させてやるぞ!

対策を思いつかれる前に【ダッシュ】で【先制攻撃】しつつ突破!
指揮官にも勢いのまま【踏みつけ】キックだ!



● 一番槍の一番星。

 転送先。
「フリかな……?」
 グリモア猟兵のアドバイスにむしろ逆らって歌を聞いてみようかとも思ったが、今回はそういう状況ではない。
 だからこそルートはばっちり、対策も考えてきた。
「よっし!!」
 ペンペンと小さく頬を叩いて気合を入れると、一番槍の妖精は扉を開く。
「ひらけ! 異空の扉!」
 妖精を中心に広がる小宇宙。
 広がる漆黒に瞬く星々の中で、もっとも輝く一番星が、このフィロメーラ・アステールだった。
「⋯⋯⋯⋯!!」
 行くぞ。
 そう叫んだはずの声は宇宙の漆黒に飲み込まれた。
 飛翔する星の瞬きに余計な音は不要。
 警備にあたっていたオウガ達は、彼女が通り抜けたことにすら気付かぬ有様だった。
 その一筋伸びる流星が脇を飛び抜けて行っても、オウガ達の目には星々のきらめきが一瞬映るのみ。
 ⋯⋯幻覚か?
 遂にそんなものまで見るようになったのかと警戒を解く。
 だが、それでいて一番星は着実に目標へと進んでいた。
 ⋯⋯見えた。
 儚げな人魚の少女。
 だが、それでいてどす黒い身体はその性根を映し出すかのようだった。
 速度を上げる。
 一撃必殺。
 煌めく星の弾丸となりて、一番槍の矛先が敵へと迫る。
「⋯⋯⋯⋯(いやっふー!!)」
 衝突。
「うひゃあ!?」
 迫りくる漆黒と光に気付いた時には時すでに遅し。
 思い切り何かが叩き付けられたかのような衝撃に頭部を押さえて蹲る。
 何が起きたのかもわからぬまま、オウガの指揮官は周囲を見渡すが、そこには何一つ変わらない空間。
 そこに何かが居た証拠も、何かが起きた形跡もありはしない。
 いまだかち割れそうな頭を押さえて唸るオウガ。
 早くここから抜け出したいものだ。
 儀式は成功させたいが⋯⋯いかんせんここは不気味にすぎる。
 一瞬目の端に映った星の軌跡に小さな悪態をつくと、再び痛む頭を押さえて歌を歌う。
 早くおいで、アリス達。
 お腹を空かしたオウガの群れが、あなたを待っている。

大成功 🔵​🔵​🔵​

化野・花鵺
「人魚から人間らしさをなくしたらぁ、ただのおっきなお魚になるんじゃないかなぁ。食いでがありそうでいいよねぇ」
狐、目を細めた

「…こっちかなぁ」
狐、野生の勘で敵が少ないルートを判断した

「早くお魚にな~れ」
狐、敵が寝るまで戦場を野生の勘で逃げ回る
時間稼ぎに衝撃波で相手の攻撃を弾いたりオーラ防御で防いだりもする

「よっしゃぁ!お魚ゲットぉ!」
魚が寝たらすぐ「剣気招来」
お魚を三枚に下ろしてさくにして食べる気満点

「せぇふくも着られない下等なお魚なんて、食べるしか有効活用できないもんねぇ。美味しかったら持って帰ってグリモアさんにも食べさせてあげあげるんだぁ」
水辺でさくを洗った狐、そのままぱくっとかぶりついた


御形・菘
敵陣ド真ん中で無双するのも映えて素晴らしかろうが、此度は別コンセプトでいくとしようかのう
現地に飛んだら最速で攻撃開始だ!

右手を上げ、指を鳴らし、さあ降り注げ流星よ!
特に狙いは定めず、弾数(攻撃回数)を限界まで上げて全周にド派手にブチ込み続けてやろう
はっはっは、この程度に耐えられん程度の雑魚はお呼びではないのう
攪乱されている間に、最短ルートを一気に突っ込む!

はーっはっはっは! BGMを自前で用意してくれるとはありがたい!
まあそんなバトルに直接関係しないこと、今の妾には知ったことではない! 後から編集の時に堪能してやるから安心せい!
流星のまぐれ当たりに頼る気はない、左腕にボコられブッ飛ぶがよい!



●残虐の二番手 蛇神と天狐。

「人魚から人間らしさをなくしたらぁ、ただのおっきなお魚になるんじゃないかなぁ。食いでがありそうでいいよねぇ⋯⋯⋯⋯」
 転送されて早々そんなことを呟く狐。
「いや⋯⋯もしや喰うつもりか、お主?」
 そんな姿に流石に驚いた邪神さま(自称)
 美味しかったらグリモアさんにも食べさせてあげるんだと気合を入れる天狐、化野・花鵺のその曇りのない目に御形・菘の表情は引きつる。
「そ⋯⋯そうか⋯⋯⋯⋯(やべーヤツだ!?)」
 ヤバい奴である。
 まぁ、気を取り直して配信準備である。
 本当だったら並み居るオウガ達をバッタバッタと蹴散らす動画を録りたいのだが、いくらなんでも大暴れして作戦を失敗に導いたら流石に怒られるだろう。
 御形・菘は空気の読める優良配信者であった『妾がいろんな世界で怪人どもをボコってみた』大好評配信中! 刮目して見るのじゃっ!!
「さあて⋯⋯」
 最短ルートの情報を思い出し、さてどうやれば動画映えするかを緻密に計算する。
 配信者とは役者であり編集者であり演技監督でもある。
 全部一人でやらなきゃなんないってのが配信者のつらいところであった。
「早く行こうよぉ」
 そんな折、先程のヤベーやつがひょこひょこと手招きしている。
「む?」
 その姿はまるで道は知っていると言わんばかりであった。
「ふふん♪ 今日のカヤはいい子だから、しっかりお話聞いてるんだもんねぇ♪」
 それはつまり普段は聞いていないという事である。
 ちょっとグリモア猟兵に同情した。
 まぁそんなわけで道を知っているならば最短ルートを突き進んでくれるだろうと後を付いて行くことにしたのだが、ここでちょっと問題がある。
 たとえ“話を聞いて”いても“憶えている”とは限らない。
 この狐にはちょっと天然入っているのである。


「フハハハハハッ!! 良かったのう、ブッ倒れるまで願い事の唱え放題であるぞ!!」
 ⋯⋯こうなりゃヤケである。
 降りしきる流星群の中をひた走る二人の猟兵。
 ⋯⋯いや、まぁ動画映えはするさ。
「児戯かどうか、その身で味わうが良いわ。剣気招来、急急如律令!!」
 先程と打って変わってやけに仰々しい口調に変わった花鵺が召喚する複雑な軌道の剣たちが舞い踊り、菘の流星群が撃ち漏らした敵を切り刻んでいく。
 ⋯⋯こちらに合わせてくれているのだろうか?(どっちかというと本性である)
 半分以上野生の勘で導き出されたルートは確かに最短ルートである。
 ただ、グリモア猟兵が緻密に計算し、敵の数や分かりやすさなどを考慮したそれとは違い、あくまでも“距離だけなら”最短ルートであった。
 よく車のナビに「え? こんな道行くの!?」と思わせられたことのある方々ならわかるだろう。
 ただ距離だけで最短ルートを選んだ場合、えてして“道中の障害”までは考慮してくれないものである。
 そんな案内をしてくれる『お狐様の野生の勘ナビ』今すぐアプリストアでチェックだ!(ありません)
 ただし、この二人の殲滅能力に掛かればそんなルートでもなんとかなるものである。
 確かにオウガ達は数こそ多いものの、低級なそれらは大規模な殲滅火力の前には舞い散る埃ほどの障害にすらなりはしない。
 もはや響き渡る悲哀な歌なんて聞こえすらしない程の阿鼻叫喚地獄がそこにはあった。
 オウガの悲鳴がBGMである。
「居たぞ!!」
 敵の指揮官を発見。
 情報に差異無し。
 ここからは速攻勝負である。
「よっしゃあッ!!」
 振りかぶるは左腕。
 数々のオブリビオンを骸の海へと送り返してきた必殺必滅の豪腕。
「え⋯⋯ちょ!?」
 もはやどっちが災厄なのかわかったもんではない。
 突然の嵐に見舞われた子供のように、オウガの司令官に為す術などありはしなかった。
「死ねぃッ!!」
 こういう時はストレートな物言いの方が視聴者もわかりやすい。
 吹き飛ぶ人魚はまるで打ち上げられた魚のよう。
「よっしゃぁ!お魚ゲットぉ!」
 おぉっと、どこからともなくお魚(おそらく低級オウガ)咥えたドラ狐の登場だ。
 飛び掛かってその勢いのままかぶりつく。
 ⋯⋯が。
「うぇえ!? まずいぃぃぃ!!」
 早くぺっぺしなさい。
「ぺっぺっ!!」
 よしいい子。
 齧り付いた瞬間口いっぱいに広がる何とも言えないえぐみと苦味。
 食えたもんじゃない(というか、人魚に噛みつくやつもそうはいない)
 とは言ってもあまり戦闘を長引かせることはしない。
 後はそのまま退散するのみであった。
 そして一瞬にして吹き荒れた台風は、戦場全体をかき乱していつのまにやらその姿を消していた。
――⋯⋯⋯⋯今日はいったいなんなの⋯⋯?
 最初に喰らった謎の衝撃も痛かったが、次に突然現れた二人組は有無を言わさずストレートでぶん殴って来るわ、噛みついてくるわ⋯⋯⋯⋯
 ⋯⋯訳が分からないよ!!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

黒髪・名捨
●心境
絶対に聞くな…か。
しかし、見るなのタブーのアドバイスとしてはもう少し言い方があるような。
耳栓持ってくか。

●行動
オウガを一々相手している暇はない。
オレはオウガの少ないルートを隠密で隠れていく。
『闇に紛れる』と闇に『迷彩』し『目立たない』ように『存在感』を消して『忍び足』で突き進む。
オレは今…無…闇そのものだッ

●戦闘
現場到着。耳栓つけて一気に行くぞ。
長い髪の毛を伸ばして、『なぎ払い』敵の『体勢を崩す』
隙アリだ。
一撃必殺ッ
『怪力』+『部位破壊』+『毒使い』で喉を潰すつもりで首を攻撃する。
その歌声を(物理的に)止めてやるッ!!

●その他
アドリブ、他猟兵との協力はOKだ。


ユージィーン・ダイオード

―ム。
バギーに乗り、全力疾走で最短ルートを突き進む。
途中のオウガはバギーで轢いたり、アサルトライフルで『制圧射撃』で対応。
止まらんぞ…。というか、追突の衝撃でブレーキが壊れた。止まれんぞ。


バギーをオブビリオンに目標にぶつけ、スピードが落ちた隙に飛び降りて戦闘開始だ。

―――目標確認。殲滅(ターミネイト)を開始する。
―武装展開(オープンコンバット)掃討火鼠

零式直接支援火砲とビームキャノンの装備を選択。このまま目標を殲滅(ターミネイト)する
全弾【一斉発射】【爆撃】【制圧射撃】で殲滅する。

大破したバギーだったものを『怪力』でひっくり返し『武器受け』で盾代わりに利用する。


連携やアドリブ歓迎だ。



●三番手 黒い影と断ち切る者。

 ブロロロロロロ⋯⋯⋯⋯
 低いエンジン音が鳴り響き、狭い通路を一台のバギーが滑走していく。
 その上に跨るのは鉄面皮の大男、名をユージィーン・ダイオード。
 むしろ少し薄暗いともいえるこの空間でも外さぬサングラスの奥に、赤く光る瞳が恐ろしい。
 そして、別ルートを行く黒い影は、軽やかな身のこなしで闇に紛れオウガ達の目を欺いていく。
――オレは今…無…闇そのものだッ!!
 黒髪・名捨の普段はのらりくらりとした掴みどころのない性格が意志を持って動いているかのように軽やかなステップは、オウガの目に一瞬でさえ映る事は無かった。
 遠くで響くエンジン音も、今は彼の耳には届かない。
 耳に嵌った小さな耳栓(105円税込)が、外の音を全てかき消し自身の鼓動と筋肉の収縮する音だけで名捨の世界に存在していた。
――ム⋯⋯?
 ユージィーンの行く手に、小型のオウガ達が群がってきた。
 確かに少ないと言っても、やはり多少の数はいたらしい。
 小さくため息をつくとアクセルを思い切り捩じりこむ。
 急加速したバギーのエンジンが嘶いて、目の前の障害物を踏みつけるとがたりと揺れた。
「ジャマをするな」
 ただ一言呟いたユージィーンの目が煌めく。
 もう目標は目前なのだ。


――⋯⋯どうにもおかしい。
 先程の猟兵たちもそうだったが、一撃加えて即座に撤退。
 ⋯⋯暫く様子を見ても襲ってくる気配はない。
 再び歌を再開すると、静寂に切ない悲恋の歌が響く。
 この歌を止めるわけにはいかない。
 この場に大量のアリス達を呼び集め、喰らうため。
 そのために、私は歌うのだ。
 だが⋯⋯⋯⋯。
 ブロロロロロロ⋯⋯⋯⋯。
 遠く響くエンジン音に、さっと身構える。
 ⋯⋯また何かが来た。
 歌をやめるわけにはいかないが、それでも身構えることは出来る。
 それにたとえ弱くとも護衛は居るのだ。
 先程の様に大音響の悲鳴が響いているわけでもない。
 戦う用意を整えることなど容易い⋯⋯⋯⋯はずだった。
「殺ッ!!」
 不意に何かに足鰭を絡め取られてその場に転倒する。
 一体何が?
 そう思う間もなく今度は伸びてきた腕に首を掴まれた。
「か⋯⋯ひゅ⋯⋯⋯⋯」
 無言でキリキリと締め上げていく。
 その赤い双眸は、ただ静かにこちらを見下ろしていた。
 その時だった。
 不意にその腕が離れ、赤い目が飛び退くのが分かる。
「ゲホッゴホッ!!」
 喉を潰されたのか⋯⋯声がうまく出ない。
 苦し⋯⋯⋯⋯
 そこで飛び込んできたバギーに撥ねられたオウガの指揮官が、吹き飛んでいった。
「⋯⋯邪魔をしたか?」
 そう言って固い靴音を響かせながらゆっくりと歩み寄って来るのは、ユージィーンだ。
「へ、目的は果たしたさ」
 そう言って返すのは、名捨。
「そうか⋯⋯なら⋯⋯⋯⋯」
 ぞろぞろとユージィーンのバイクが飛び込んできた入口からオウガがなだれ込んでくる。
「先に行けッ!」
 素早くライフルを構え、敵へと掃射を開始する。
 目的を果たしたのなら長居は無用だ。
 だが、追われながら撤退するというのも⋯⋯⋯⋯
「やだね」
「なにを⋯⋯うぉ!?」
ヒョイとユージィーンの襟元を引っ掴み、容易く引きずり走り出す。
「先に逃げるってのはオレの意に反する」
 その細腕で、よくもまぁこれだけの大男を引きずれるものである。
 しかし、そこは猟兵だ。
 でたらめなその力にいちいち驚いていてはキリがない。
 ユージィーンは迫る敵を引きずられながら正確な射撃で寄せ付けず、名捨は敵をかく乱するように迷路のような通路をジグザグと逃げていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月04日
宿敵 『スウェル』 を撃破!


挿絵イラスト