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狂気へのパスポート

#UDCアース

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#UDCアース


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●――淵より誘う
 UDCアース世界のとある地方都市。
 周囲には人通り所か車の姿も無い。
 度重なる再開発と駅の新設を経てすっかりゴーストタウンと化してしまった区画。
 民家に人影は無く、経年劣化で崩れ落ちるその瞬間まで静かに佇んでいる。
 役所も手を出さないのか、数箇所だけ灯っている街灯が何とも侘しさを感じさせる。
 そんな街の一角に聳える巨大な古びた美術館。
 街の活性化を担う為に鳴り物入りで建設され、当時は館内で迷子になる人が続出したと伝わる程の敷地面積を誇る。
 内部も入り組んでおり、半ば迷路の様な設計も話題となった。
 それも昔の話、今は見る影も無い。
 集うのは屋根下に巣を設けた椋鳥くらいのものである。
 そんな誰も居ない筈のその場所で、夜に誰かの気配がすると言う。
 怪奇本や心霊特集の片隅で取り上げられた事も有り、時折若者達や撮影スタッフが遊び半分で訪れるらしい。
 事が動き始めたのは一週間程前。
「さぁ、噂の知る人ぞ知る心霊スポット!今回我々が取材して来たのは此方の美術館!なんでも誰も居ない筈の美術館で、複数の人の気配がするとか!果たしてその正体とは!?」
 ゴールデンタイムの特番で取り上げられた事で知名度を上げた美術館。
 昼夜を問わず人が押し寄せる事となったが、中に入り込んだ人が戻って来ない、と騒ぎになった。
 直ちに規制が敷かれ警察が捜索に当るも、その警察の一部も行方不明になる始末。
 只事ではないとUDCエージェントが捜査した所、オブリビオンの痕跡が見付かった。
 果たして美術館の内部で起きた事件の真相とは。

●――抗える狂気
「と、言う訳で話が回って来ました。話題になったのは此処最近ですけど、いつからオブリビオンが潜伏していたかは……余り考えたく無いですねぇ」
 いつもより多少テンションダウンした様子で望月・鼎は語り出す。
 顔色も普段より悪く、気落ちした様にも見受けられる。
「あー……アレ、アレなんです。この美術館にはどうやら人を誘い込む為の仕掛けが施されているみたいでして。壁に展示されている絵なんですけどね、それがどうにも、こう……見ているだけで不安定になる代物でして」
 そう言って鼎は一枚の写真を取り出す。
 現地で捜査をしていたエージェントが撮影したものだ。
 写真には古惚け所々塗装の剥がれた壁と、一枚の絵画が写っている。
 その絵画は異形の魚のような生き物が口から幾つもの人間の足を生やしている、と言うものだった。
 何とも言い難いタッチと題材に口を閉じる猟兵達。
「皆さん、コレを見て何を感じましたか?不安、嫌悪……まぁ、そんな所だと思います。こうした絵画が並んでいて、奥に進むに連れてどんどん意識と言うか自我が不安定になっていくそうです。事実、一人のエージェントさんが狂気に陥り奥へ向かって逃げる様に駆け出して行ってしまったそうです。今も、そのエージェントさんの消息は途絶えたままだとか」
 つまり被害者は正気を失い美術館の奥を目指し、帰ってこなくなる。
「皆さんは突入する際、何らかの方法でこれら美術館の仕掛けを無力化する必要が有りますね。そうして突破した先では、恐らくオブリビオンが待ち構えている筈です。予知によれば何らかの神を呼び出す為の生贄を求めているとか。……中に入り込んだ人達は、もう助けられない状態かもしれませんね。ともあれ、戦闘の用意もしておいて損は有りません」
 どうぞ宜しくお願いします、と鼎は頭を下げた。


一ノ瀬崇
 ブルトンは強敵。(確信)
 どうも、一ノ瀬崇です。

 今回は廃美術館の探索・突破、敵オブリビオンとの戦闘、復活した邪神との戦闘と言う流れになります。
 余程の事が無ければSANは減少しないと思いますので、奮ってご参加ください。
 そんなに狂気度は強くないです。
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第1章 冒険 『狂気の廃美術館』

POW   :    気合で耐える/美術品を破壊する

SPD   :    感覚を活かし、危険を避ける

WIZ   :    対抗策や安全なルートがないか調べる

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ミアス・ティンダロス
UDCの力が悪用される事件、また起きましたか?
やはり、ほっとけるわけにはいきませんよね。このままではいつまでも本当の共存に至りません。
とても叶わないかもしれませんけれども、UDC達を傷つけるのが必要になる前に事件を解決できればいいよね……
っと、頼みますよ、吸血鬼(ヴァンパイア)さん。

召喚されたスターヴァンパイアを先に探索させ、安全そうな道を見つけ出したから進みます。移動する時は【忍び足】を使って余計な物音を減らそうとします。
狂気には抗わなく、それを自然体で浴びたまま前進します。


カイジ・レッドソウル
POWヲ選択
「危険ナラバ破壊シタ方ガ今後モ良イト判断スル」
機械故ニ感情ノ揺サブル絵トハ興味ハアルガ破壊シタ方ガ、被害ハ少ナイト判断スル
【天獄の雷】ヲ発動シナガラ絵ヲ枠ゴト雷炎デノ破壊
呪詛ガキテモ【呪詛耐性】デ耐エツツ絵ヲ破壊シ、石像等ハ【怪力】ニマカセ呪剣デ破壊ダ
「・・・、芸術ハ良ク分カラナイガ。コウイウ利用ハ間違ッテル」

アドリブ、共闘歓迎
機械故に淡々と芸術品の破壊等を行う


テラ・グゥスター
自ら進んで奥に、か…蜘蛛の巣、蟻地獄?何にせよロクでもねぇのは確かだなぁ。手早く片付けんとよろしくはなさそうだ。

展示物がトリガーなら壊して進むのが早くて確実だろうが…客や警察はともかくUDCエージェントまでとなると破壊も一筋縄じゃいかねぇと見るのがいいだろう。後続の為にも探っといて損はないはずだ。
邪神、又はその復活を目論む何かの能力って線は?まず釘を打ち込みUCが有効かどうかを確かめる。有効なら目につく展示物を片っ端から封印して回る。
駄目なら別の手。展示物そのものじゃなく周りの壁ごと削り取ってみるか。破壊できなくても絵が地面向いてりゃ目に入ることはなくなるからな、多少は妨害できればいいが。


ノルナイン・エストラーシャ
悍ましい絵で人を誘い込む廃美術館ですか。気をつけないと深淵に飲み込まれるかも……既に入った人は無事に帰って来れるでしょうか。助からないかもしれませんが、祈る位はしましょう。

【学習力】や【世界知識】を用いて美術館の情報を集めます。特番が組まれたなら情報にはアクセスできると思うんですが……できたら良し。駄目なら駄目。情報共有をしたりしなかったりして、美術館へ入ります。

【選択したUC】を使い、シーフとしての感覚を活かし、気をつけながら奥へと進んでいきます。危険そうな場所には入ったら駄目と印をつけ、ピッキングなどで開けられる通路があれば開けておきます。
何かあれば情報共有も。

※アドリブなど大歓迎です!


ナックル・バーバリアン
こんな怪しい美術館……普通に歩くのは危険すぎる!
爆破解体してから探索したいが、行方不明者が気がかりだ。
正面から入って片っ端から美術品を壊すしかあるまい!

【ビルドロボット】でロボットに変形!
そして自分に【スチームエンジン】で蒸気エンジンを搭載!
美術品を見つけ次第、装備している巨大な斧で【グラウンドクラッシャー】を使って粉砕!

「これが俺のやり方だ!」


デナイル・ヒステリカル
急ぐべきです。
邪神の復活阻止のためだけではなく、もしかしたら居るかもしれない生存者を助けられる可能性が、時間と共に消えていくのですから。
僕は僕のプログラムに従い、助けられる人を助ける努力をします。
たとえそれが無駄に終わったとしても、です。

さて。オブリビオンが潜む建物、それも絵画による視覚から影響を与える精神不調ですか。
何の問題ありませんね。

電脳ゴーグルを使用して電脳空間を展開、建物内部の絵画の位置を情報収集します。
座標の確定が終われば、後は簡単です。
僕自身の視界に迷彩処理を施し、絵画の存在する場所だけを塗りつぶします。
これで良し、絵画に関してはイージーでしたね。


芦屋・晴久
【WIZ】
ほほぉ、これはまたUDCアースらしい依頼となっておりますね。
正に蟻地獄、一度入れば抜け出せずに引きずり込まれる罠ということで。

こう言った類は各々の呪いを相乗させて一つの呪とする物も多いですが……
ふむ、思い切ってそのバランスを崩させて頂きましょうか、私の【写し世の扉】で。

館内にて顕現させて扉を開きます、ここが力場の“陣地”であるならば診療所は私の力場の“陣地”となり扉が開いた時点でそれ等がぶつかり合います。
何、それ自体はきっかけで良いのですよ。
乱れた力場に【破魔】の力を込めた簡易的な式神を生成し点と点を繋げ一つの結界を発生、この呪いの流れの【破壊工作】を試みましょう。


アマータ・プリムス
美術館ですか。来るのは結構久しぶりです
実は美術はあまり分からないのですが……

人形としての感覚を活かし【学習力】で仕掛けの位置を把握しながら進みます
気になる箇所がありましたら指先から伸ばした鋼糸で仕掛けを解除しながら進みます
鍵がかかっている何かがあれば【鍵開け】で解錠
監視カメラがあれば【ハッキング】で【情報収集】して見取り図でも探しておきましょう

絵画を見ながら
「写真の方が精巧で簡単だと思うのですが……」
いまいち理解できない芸術に一言ぼやいておきましょう

※アドリブ連携大歓迎です。自由に動かしてください


ウィルトス・ユビキタス
俺は普通の人間だから屋根から侵入する。
奥ってことなら一番上か一番下のどっちかだろうし奥あたりの屋根をぶち破って侵入する。
「全員手を挙げろ!猟兵だ!」

ナニカヤバい物を見てしまったときは手記に書き残しておく。
後から続く猟兵が拾って、その助けとなるように。



 日も昇り切らぬ早朝。
 噂の廃美術館へと乗り込む人影が一つ。
「鬼が出るか蛇が出るか」
 マントを翻してウィルトス・ユビキタスは外付けの非常階段を上る。
 人が美術館の奥へ消えたと言うのなら、奥側から調べてみれば近いのではなかろうか。
 そう考えたウィルトスは屋上へ行き、屋根をぶち抜いて侵入しようと考えていた。
 カンカンカン、と警戒に階段を上っていくと屋上へと辿り着いた。
 換気の為のパイプや排気口が錆び付いたまま残っており、左手側には御誂え向きに館内への扉も有った。
 どうやらぶち抜かずとも中へ入る事は出来そうだ。
 封鎖の為に付けられていた南京錠を壊し扉を開くと、役目を果たし終え寿命尽きた誘導灯と、階下への階段が見える。
「これは楽に進めそうだな」
 今度は出来る限り音を立てない様に注意しながら階段を下りていく。
 踊り場に到着する頃には、すっかり暗くなってしまっている。
 非常灯も切れている為視界は悪い。
 持って来た懐中電灯で足元を照らしながら、静かに扉を開けて中の様子を窺う。
 窓から差し込む僅かな光に照らされ浮かび上がっているのは大きなテーブル。
 慎重に入ってみれば、此処は如何やらスタッフの為の休憩室だと解る。
「おっ、随分と攻めたラインナップだな……」
 電気の入らなくなった自販機には色々と珍しい種類の飲み物が並んでいる。
 冷たい抹茶コーンポタージュは一体誰の要望で揃えられていたのだろうか、興味は尽きない。
 大きなテーブルの上には当時のままなのか、職員用マニュアルと書かれた冊子が置かれている。
「これは……何かの手掛かりになるかもな」
 さっと目を通し、取り敢えず経路案内図を抜き取っておく。
 そしてこれまでの事を手記に書き留めた。
 後程見返す事で新しい発見に繋がる事も有るだろう。
 或いは、万一の際も後に続く猟兵への手助けとなるように。
 すると、奥の方から何かの気配を感じた。
 気を引き締め様子を窺う。
 奥は給湯室の様だ。
 息を潜めて近付き、ガジェットを構えて飛び出す。
「全員手を挙げろ!猟兵だ!」
 しかし答える者は居ない。
 不気味なまでに静まり返った給湯室。
 何かの気配だけが微かに蠢いているが、どうやら敵意は無いらしい。
 入り込んだ鼠か何かだろう、とウィルトスは結論付けた。
 それにしても広い。
 給湯室だけでも、軽く二十畳は有りそうだ。
 ピーク時にはこれでも足りない程にスタッフが動き回っていたのだろうか。
 そんな事を考えながら、ウィルトスは一際存在感を放つ大きな扉に近付いていた。
 流し台の丁度反対側に取り付けられている、高さが成人男性の平均身長くらいはあろうかと言う扉。
「さて、何が待っているのやら」
 どうやら鍵は掛かっていないらしい。
 油断無くガジェットを構えてウィルトスは扉を開け放つ。
 ――その後の彼の描写は、彼が携えていた手記に委ねよう。
『そろそろこの階の探索を終わらせてしまおう。給湯室では何かが動き回る気配を感じる。何か小さなものがコソコソと逃げ回っているかの様な気配を。しかし出て来た所で俺に害を与える事も出来ない。――いや、そんな!あの黒光りする身体は何だ!床一面に!床一面に!』

 曇天。
 厚い雲が空を覆い太陽の光を遮っている。
 雨は降っていないが、それでも多少身体を動かすのが億劫になる様な、そんな雰囲気の漂う天気。
 生憎の空模様では有るが、これから猟兵達が探索するのは廃墟とは言え美術館の中。
 天候に左右されないのは有難い話なのかもしれない。
 とは言え相手は幾人もの行方不明者を出した魔窟。
 一筋縄では行かないだろう。
 そこで、猟兵達はフォーメーションを組んで探索する事にした。
 先陣としてテラ・グゥスター、デナイル・ヒステリカルが絵画を始めとした美術品を捜索・封印し無効化。
 続くカイジ・レッドソウル、ナックル・バーバリアン、芦屋・晴久が美術品の破壊を試み無力化。
 後詰のミアス・ティンダロス、ノルナイン・エストラーシャ、アマータ・プリムスが周囲の探索と情報収集を行う。
 なお、先んじて屋上からの単独潜入を試みたウィルトスは職員向けのマニュアルから抜き出してきた経路案内図を携え、何かしら心にダメージを受けた様子で戻って来ていた。
 そっとメモ代わりに使っていた手記をアマータに手渡し、大人しく後詰に加わっている。
「ウィルトスさんはどうしたんですかね?」
 それを見て首を傾げるノルナインに、アマータは手記を見てうわぁと嫌そうな声を上げた。
「多数のオブリビオンではない敵に囲まれたみたいですね」
「オブリビオンじゃない敵?」
「あー……職員用の給湯室に冷蔵庫が有ったそうです。まぁ電源入ってないので中の物は全滅、そこでじっくり繁殖した黒いアレが」
「いやーーーーっ!?」
「うへぇ……」
 ノルナインは悲鳴を、ミアスは辟易した声で嫌な想像を振り払ってから、ウィルトスを見た。
 何処と無く精根尽き果ててそうな雰囲気はその所為か、と妙な納得を覚える。
「……まぁ、オブリビオンの群れじゃなくて良かったと思うさ。それじゃ切り替えて行くか。前衛の二人、頼んだ」
「任されました。もしかしたら生存者も居るかも知れませんからね、急ぎましょう」
「だな。早速行ってみるか」
 何処か元気の無いウィルトスの言葉にデナイルが頷き、テラが歩き出す。
 ぞろぞろと進む猟兵達の姿は、此処がオブリビオンの潜伏する根城で無ければ和気藹々と休日を楽しむグループに見えたかもしれない。
 古びたドアを開け放つと、廃墟特有の粉っぽい空気が出迎える。
 最近人の行き来が有った所為か然程足元に埃は積もっていない様だが、窓枠や案内板の上と言った場所は白っぽい堆積が見られる。
「どうやら入って直ぐ狂気の世界がお出迎え、って訳じゃ無さそうだな」
 テラは顔の高さに構えた懐中電灯で周囲を照らす。
 窓の付近はそれなりに明るいが、それ以外の場所は薄闇に隠れ不気味に佇んでいる。
「流石に入って直ぐに何かが鎮座しているって訳じゃないのか」
「いえ、そこの曲がり角。早々に展示スペースが有る様です。左手に壁掛けの何か、右手には窓ですね」
 ウィルトスから経路図のデータを貰ったデナイルが電脳ゴーグルに情報を打ち込み現実世界と電脳空間をリンクさせていく。
 事前に展示物の場所が判ると言うのは探索の上で大いに助けとなる。
「絵画なら良いですが、実際には彫刻やその他色々なものが展示されていると考えた方が良さそうですね。油断せずに行きましょう」
「どっかに当時の展示パンフレットみたいなのが有れば良いんだがなぁ」
 テラが顔だけ出して通路の先を窺う。
「絵画だな。古き呪詛の儀、その一端を顕現せよ」
 黒、灰、深紅の釘が絵画に打ち込まれる。
 テラのユーベールコードが命中した展示物がオブリビオンの手によるものならば封印され、ただの展示物であるならやや前衛的な芸術と変わり果てるだけだ。
 今回は後者だったらしく、釘が刺さる音が鳴っただけ。
「……何もなし、と」
「ふと気付いたんですが目的の場所に辿り着くまでこの妙な緊張感は続きっぱなしですかね?」
 流石にこの暗さでは見え辛いのか、サングラスを少々下げずらしている晴久。
 割と普段は胡散臭いが、流石に仕事となるとプロフェッショナルの空気を醸し出す。
「まぁ面倒なら壊してしまえばオッケーだ!」
「危険ナラバ破壊シタ方ガ今後モ良イト判断スル」
「いやいやいやいや。下手に壊して建物崩れても困りますからね?」
 マッルスレボリューション溢れる発想をするナックルとカイジ。
 その二人に晴久は塗装が剥がれ罅の走った壁をコンコンと叩いて指し示す。
「おかしい、本来なら私はボケ役な筈なんですが」
「えっ」
「えっ」
 晴久の呟きに、彼の人となりを良く知るデナイルが驚きの声を漏らす。
 それに疑問の声を返すが、デナイルはそっぽを向いて誤魔化した。
「……如何にも緊張感が保てませんね」
「ギスギスしているよりは……良いんじゃないでしょうか?」
 そんな遣り取りを、アマータがジト目で見ている。
 ミアスはフォローしつつも、どこか楽しそうに周囲を見回している。
 彼は本来争いを望まず、出来る事ならUDC達と共存したいとまで考えている。
 猟兵にしては少々珍しい考えの持ち主だがやるべき事はしっかりと把握しており、今も姿の見えないゼリー生物を召喚して探索に当たらせている。
 それは彼曰く吸血鬼らしい。
「流石に入り口付近に怪しい場所や仕掛けは有りませんね」
 ノルナインはゆっくりと壁や床を調べながら歩いていく。
 経年劣化はそれなりに有るが、それでも元が確りした作りだったのか多少吹き飛ばした程度ではぐらつかない事が解る。
 だがそれを言うとマッスルセンセーションな二人が盛り上がってしまいそうなので、心の奥に秘めて置く事にした。
(……とは言え、此処まで頑丈な作りにしますかね?)
 事前の情報収集の序に様々な噂話も聞いたノルナインだったが、その中に一つ都市伝説染みた当時の噂が有った事を思い出した。
 友達の友達が曰く、実はこの場所の下には古代の悪霊が封じられており、当時の人は祟りを恐れて社を建てたが、土砂崩れで埋まってしまった後に都市開発で一帯が切り開かれ、破壊された社の上に美術館が建てられたのだ。
 旧い記録も当ってみたが土砂崩れの記載は無いし、そもそも崩れる様な山も近場には無いし、都市開発で切り開かれた区画は此処ではない。
 突っ込み所満載な噂だが、気になるのは地下に悪霊が封じられていると言う部分。
「……もしかしたら、この美術館には地下が有るのかもしれませんね」
「地下、ですか?」
 呟きにアマータが反応する。
「えぇ。ちょっと建物の作りと言うか、そう言うのが気になっちゃいまして」
「ふむ。有り得なくはないですね。光による変色を極力抑える為に展示中以外は暗所に保管しておきたいものも有るでしょうし」
「そうなると……一般の人が立ち入らないスタッフルーム側に階段やエレベーターが有るのかな?」
 かもしれません、とアマータはミアスへ頷いた。
 今の所はただの美術館と変わり無さそうだが、何せ館内は広い。
 おまけに妙に入り組んだ構造な為、何処に展示物を設置するにせよ行き来する為の中継点は必要になってくる。
 流石に一箇所から全てを運んでくる訳でも無いだろう。
「お、漸く今までの平和な展示物とは違う反応が有りますね」
 先頭を進んでいたデナイルがそう言い皆の足を止める。
 前方に有るのは学校の教室程度の広さの部屋で、正面には通路へ繋がる扉が見える。
 それなりに進んで来たので各自ライトを手に探索しているが、それでも部屋全体を照らすには至らない。
「テラさん、お願いします」
「解った」
 短く応えたテラが右奥の隅へと釘を放つ。
 三つ全てが突き刺さり、ぱんと軽い破裂音がした。
「……良し、ちゃんと効果は出たな。これで問題は無い筈だ」
「では早速中へ。……ん?」
 そう言ってスタスタと部屋へ入った晴久。
 途中でカコンと音が鳴り足元が軽く沈み込む。
 すると、右奥の隅から不恰好な人型の彫像が迫って来た。
「うぉ!?」
 堪らずビックリして声を上げる。
 が、近付いてきた彫像は晴久の前で止まり、ゆっくりと元の位置へと戻って行った。
「何してんすか芦屋さん」
「ちょっと魚が食べたいなぁって」
「お腹が空いたからって、サカナって言わずにウオなんて言う訳無いでしょう」
「クッソ、良い笑顔しよる……!」
 漫才を始めた二人はさておいて、ナックルとカイジとテラは興味深げに彫像を眺める。
「これは……何だ?新手のマッスルアピールか?」
「芸術トハ奥深イノダナ」
「投げた釘が目と口の位置に……謎の愛らしさが出てるなコレ」
「まぁ壊しておくか。ビルドロボットで変形だ!」
「いやいや、アンタが変形したら天井に穴空くぞ?」
「ナラバ本機ガ手ヲ下ソウ」
 カイジはそう言って呪剣アオス・シュテルベンを抜き放ち、力任せに振り下ろす。
 何がモデルなのかも解らない彫像は呆気無く瓦礫の山と化した。
 これで狂気を誘う様な事はもう出来ないだろう。
「あ、見てください。足元のタイルが」
「これで連動させてたんですね。踏むと彫像の下で磁石が動き、一緒になって彫像も動くんですね」
 一方此方は後詰の四人。
 鏡像の仕掛けを見付けたのはミアスとノルナイン。
 壊れた彫像の中から転がり出た丸い磁石が、タイルの浮き沈みに合わせてスライドしている。
 タネは子供騙しの様なものだが、演出が上手い。
 この辺りも当時の美術館では人気に寄与していたのだろうか。
「お、見付けたぞ」
「やはり有りましたか」
 入り口から死角となる隅に置かれていた真新しいカメラを発見したのはウィルトスとアマータ。
 侵入者の様子を探る為にオブリビオンが何か仕掛けを打つとしたらこの部屋だろう、と当りをつけて重点的に捜索した結果見付けたものだ。
「これで一つはっきりしましたね。此処に居るのは迷い込んで来た獲物を捕食する怪異タイプでは無く、何らかの目的を持って人を狙う狂人タイプのオブリビオンです」
「おまけに文明の利器にも或る程度明るいタイプか。お馴染みの邪神でも復活させる気なのか?」
「仮にそうだとしたら悪いニュースが一つ増えますね」
「……生贄か」
 邪神を呼び出す為の生贄として今回の事件の行方不明者が選ばれていたとしたら、生存している可能性は無いに等しい。
「まぁ、希望は捨てずに行きましょう。此処で悲観してても仕方ないですし。それにもし全員手に掛けている様なら……」
 いつの間にか側に来ていた晴久が、帽子を深く被り直して呟く。
「完膚無きまで潰しましょう」
「……だな。良し、どんどん進もう。但し油断はしない様にな」
 ウィルトスの掛け声に皆が頷き、一行は先へ進む。
 その道中で様々な異物が待ち構えていたが、猟兵への対抗を主としたものは無かったらしく次々に解除されていく。
 特に猛威を振るったのはデナイルと晴久のコンビ。
 二階へ上がる広間で念願のイベントパンフを発見した事で電脳世界でのマッピングが完璧なものとなった。
 詳細な展示物の位置関係が解った所で、晴久の変り種ユーベルコード【写し世の扉】が予想外の活躍を見せる。
 奥に進むに連れ、絵画や彫像と言った単体で効果を発揮する異物は少なくなり、代わりに部屋全体が一つの作品となっているものが増えてきた。
 それらは各々の箇所に呪いを込め、重なり合う事で一つの呪い、狂気へ誘う効果を出していた。
 そこへ突如現れる、流れを無視した空間。
 言うなれば、風景画の中に落とされた修正液の様なもの。
 穿たれた箇所は綻びとなり突破口と成る。
 後は破魔の力で呪いを退ければ完了だ。
「そう言えば陰陽師だったな……」
「歴とした陰陽師ですよ!?」
 ウィルトスの小さな呟きにも律儀に突っ込みつつ、破魔の力を込めた結界を要所要所に発生させて仕掛けを無効化する。
「よし、解除しました。ナックル君、部屋の処理は任せますよ」
「任された!うおおおっ、唸るぜ俺のマッスルディメンション!」
「……くれぐれも部屋そのものを崩さないでくださいね?」
 やる気に満ち溢れるナックルへ苦笑を返す晴久。
 その体躯故、狭い場所では真価を発揮出来なかった彼だが広い部屋ならば十分に活躍の場は有った。
 担うのは斧で広範囲を叩き潰して狂気を発生させる美術品を機能不全に追い込む事。
「粉砕撲滅!これが俺のやり方だ!」
 勇ましい掛け声と共に幾多の異物を除去していく。
 狭い通路や対象が一つだけの場合はオーバーキルになるので、そこでは今まで通りテラとカイジのコンビが無力化・破壊処理を行う。
「良し、成功だ」
「処理シヨウ」
 釘が刺さった彫刻を、自身の体から出る高圧電流で燃焼させ黒焦げにするカイジ。
 慣れて来たのか二人でさくさくと処理していくので、通路が続く箇所では歩みが止まらない程だ。
 とは言え思う所は有ったらしく、二人は美術品を処理しながらぽつりと零す。
「……芸術ハ良ク分カラナイガ。コウイウ利用ハ間違ッテル」
「だな。出来る事なら賑わってた頃に来てみたかったもんだ」
 前方でそんな遣り取りが有る中、後方ではアマータがぼんやりしながら壁の絵画を眺めていた。
「写真の方が精巧で簡単だと思うのですが……」
 イマイチ芸術と言うものがピンと来ていないが故のぼやきを拾ったのはデナイル。
「写真は写真で良いと思いますよ、正しく現実を切り取った絵ですから。ただ、手描きの絵はまた方向性が違うんです」
「方向性ですか?」
「えぇ。写真は言わば、皆が見た一つの世界を皆で見る楽しみを。絵画は一人から見た世界を皆で見る楽しみが有るんです」
「中々難しいですね」
「そうでもありませんよ。例えば懐いてくれている子がアマータさんを撮った写真をくれるのと、アマータさんを描いた絵をくれるのと、それぞれ違った喜びが有るでしょう?」
「……成程。デナイル様、有難う御座います。当機にも芸術の一端が理解出来ました」
「そりゃ何よりです」
 ニカッと笑うデナイルに礼を返し、やや軽くなった足取りで進んでいく。
 数分後、一行は目標としていたスタッフルーム横の階段まで来ていた。
 しかし此処で問題が一つ。
「……通れませんね」
 ノルナインが下へ続く階段をライトで照らす。
 踊り場には大量の瓦礫が詰まれており、道を塞いでいた。
 足元に積もる埃から見ても、誰かが此処を行き来したり新たに瓦礫を積み上げて道を塞いだとは考え難い。
「別のルートを探しますか?」
「片付けるのも手では有るが、どうするかな」
 腕を組んで首を傾げるテラの横で、ミアスが微かな違和感に気付いた。
 伝わってくるのは、ひんやりとした空気。
「……いえ、ちょっと待ってください」
 導かれる様に、階段の下へ意識を向けた。
 再び感じる冷たい空気の感触。
 それを捉えたのは、探索当初から使っていた【鋭霊召喚・星から訪れたもの】で呼び出していた姿の見えないゼリー生物。
 彼が吸血鬼さんと呼ぶそれだ。
 自分一人分の感覚では見逃していたであろう、その感覚のズレ。
「テラさん、その瓦礫に釘を打ち込んでみて頂けませんか?」
「……古き呪詛の儀、その一端を顕現せよ」
 多少訝しみながらもテラは三本の釘を投射する。
 三本目の深紅の釘が瓦礫へと命中した瞬間、その姿は掻き消えた。
「お?」
「やはり」
 自分の感覚は間違いで、吸血鬼さんの感覚は正しかった。
「美術品ばかりが狂気を孕んでいた為見逃してしまいそうでした。しかしそれらはブラフ、本質は何の変哲も無い場所に潜ませた狂気で感覚を狂わせる事」
 ミアスが見破った事で、他の皆も正しい感覚を取り戻した様だ。
 途端に、階下から漂ってくる冷気と錆びた鉄の様な臭いが鬱陶しく感じる。
 知らず知らずの内に自分の感覚さえ狂わせてくる様な相手。
「これは……気を引き締めて行かないといけませんねぇ」
 サングラスをくいっと持ち上げて晴久が階段を睨み付ける。
 戦闘の予感をひしひしと感じながら、猟兵達は地下へと降りて行った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『黄昏の信徒』

POW   :    堕ちる星の一撃
単純で重い【モーニングスター】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    神による救済の歌声
自身に【邪神の寵愛による耳障りな歌声】をまとい、高速移動と【聞いた者の精神を掻き毟る甲高い悲鳴】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    黄昏への導き
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【自身と全く同じ『黄昏の信徒』】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 地下へと降り立った猟兵達。
 彼らを出迎えたのは壁に飛び散って乾いた血の飛沫と、何とも言えない饐えた臭いだった。
 左右には廊下が伸びており、正面には保管庫と書かれたプレートが下がる大きな両開きの扉が有る。
 恐らく敵のオブリビオンはこの先だ。
 複数の気配を察し、猟兵達は戦いに備える。
アマータ・プリムス
前奏曲は軽やかに。フィナーレに向けて曲を進めましょう
相手が歌ってくると言うのなら当機も仮にもシンフォニア受けて立ちます

イーリスをトランクから取り出しトランクを【武器改造】でアンプに変形、イーリスにアンプと鋼糸を接続
そのまま【楽器演奏】、【歌唱】と歌【属性攻撃】で歌声の【衝撃波】で【範囲攻撃】
今回の曲調は場所が美術館ですしバラード調でいきましょう

相手が歌いだしたらこちらの歌を止め脱力状態で聞き入ります
そしてそのままネロを取り出しUCで無効化しつつ反撃します
「歌とはこうやって歌うものですよ。ネロ、お返ししてあげなさい」


※アドリブ、連携歓迎です。自由に動かしちゃってください


テラ・グゥスター
この血の感じ、臭い…ダメかね、こりゃあ。まぁとにかく今はオブリビオンだな。

ここまで進んで来てわかったが、今回の味方は実に多彩だな
。俺は元々多数相手の大立ち回りは苦手分野、そこはできる奴に任せるさ。数が多けりゃできるだけ大振りなんかで一気に片付けたくなるが、全部をってのは無理な話。俺が狙うべきは撃ちもらしや何かしらおかしな動きを見せる奴、だな。刻参釘で手早く封印を。倒さなくていい、使えるはずのUCを封じてやれば勝手の違いで混乱を誘えるかもしれん。

ひとつ教えてやる。今を生きる命ってのはな、テメェらみたいにどうでもよくない、尊ぶべきものなんだよ。だから、それを蔑ろにするなら…死ね。


ミアス・ティンダロス
彼らは、行方不明になった人達、ですか?
結局、間に合いませんでした……
心が痛みますが、彼ら、そしてその邪神をここで倒さなければなりません。
死者に安らぎを与えるために。 これ以上、犠牲者を出さないために。

蝙蝠のような羽をもつ馬と昆虫の交雑体に見える【星間の駿馬】を召喚して戦います。
できれば僕自身も地形を利用しながら、衝撃波で敵の行動を邪魔してみます。


デナイル・ヒステリカル
やはり出ましたか。
精神を乱されている人が暗がり初遭遇するならば恐ろしく感じるのかもしれませんね。
しかし僕にとってはUDCアースの依頼で何度も見た顔です。
これまでもそうしてきた通り、蹴散らしましょう。

地下の制限された空間の中でたくさんの味方を召喚しても、味方の動きが制限されてしまって、利するどころか逆に邪魔になると判断します。
ユーベルコードは使用せず、装備している銃を抜き、後方から範囲攻撃をする方の傍に移動します。
前衛へ攻撃の隙間を縫うの援護射撃と、後衛の護衛役として働くとしましょう。

敵が振り回すモーニングスターの鎖を撃ち抜いて破壊し、武装を使用不能にして脅威度を下げるように狙っていきます。


ノルナイン・エストラーシャ
この血と臭い……地下に封じられた悪霊に捧げられでもしたのでしょうか。無事な人が居ればいいのですが……いえ、ひょっとするとこの敵たちが入って来た人のなれの果て……? そう考えると気が重くなりますね、敵は敵と割り切りたいものですが。

さて私は狙撃銃や熱線銃で【援護射撃】を行います。他の人の方がパワーがあるでしょうから、そう言った人たちが動きやすいようにセットアップできたらいいですね。相手が隙を見せれば、【選択したUC】で攻撃します。数を減らすのもまた援護の内です。

うーん……それにしても一体誰が、どんな目的でこのような美術館を作ったのでしょう……?

※アドリブなど大歓迎です!


立花・桜華
UDCアースは他の世界とはまた違ったタイプの敵が多いね

【信徒との集団戦】
敵に惑わされないよう【勇気】と【気合い】を持って【呪詛耐性】はしっかりとね!
UDCアースの敵は厄介な攻撃も多いから何かされる前に【先制攻撃】を仕掛けよう
【目潰し】気味にナイフを【投擲】して敵が怯んだ隙に【ダッシュ】で一気に接近
サムライブレイドを両手に構えて二刀流による雷華(UC)で雷【属性攻撃】の斬撃を放つ
「剣術の腕前を見せてあげるよ。……悲鳴を上げる間もなく斬り刻む!」
敵の攻撃はこれまでの戦闘から培った【戦闘知識】と【野生の感】で【見切り】、【残像】による【フェイント】で回避した後に燐火裂蹴(UC)で【カウンター】を狙う


カイジ・レッドソウル
無機質な機械音声が響く、ウォーマシンとして機械的処理を感情なく行う
「敵多数視認、殲滅開始」
呪剣、黒剣ヲ構エ【黒風鎧装】ヲ纏イ【先制攻撃】【2回攻撃】
前衛ニデテ集団ニ【なぎ払い】ヲシツツカラノ【串刺し】【生命吸収】デ回復
味方ニハ【かばう】
「損傷軽微、戦闘続行」
淡々ト処理を行ウ
背後カラ攻撃サレタ時ハ【天獄の雷】カラノ【怪力】ニ任セ振り返り斬り捨テ
遠クの敵ニハ【サイコキネシス】ニヨル遠隔攻撃
「殲滅完了、最終ふぇーず移行」

殲滅しても剣ヲ構エタママ、奥ニ向カウ

アドリブ、共闘歓迎



「この血と臭い……地下に封じられた悪霊に捧げられでもしたのでしょうか。無事な人が居ればいいのですが……」
「この血の感じ、臭い……ダメかね、こりゃあ。まぁとにかく今はオブリビオンだな」
 一歩足を踏み入れただけで猛烈な嫌悪感を呼び覚ます臭気。
 薄暗い地下を彩るのは濃い影と錆び果てた血の色。
 余りにも穢れたその空間にノルナイン・エストラーシャとテラ・グゥスターは顔を顰める。
 塗り重ねられた血飛沫の中には、比較的鮮やかさを保ったものもある。
 恐らく行方不明者はもう生きてはいないだろう。
 誰もがそう感じた時、低い音が響いた。
 何事かと構えるのと同時に天井の電灯が濁った光で室内を照らす。
 如何やら電気が通った音だったらしい。
 照らされて漸く地下の広さが解る。
 五メートルは有ろうかと言う高さの天井と、ちょっとした体育館の様な広さの空間。
 そして、猟兵達を待ち構えていたオブリビオンの姿が浮かび上がる。
「やはり出ましたか。黄昏の信徒、依頼で何度も見た顔です」
 幾度か対峙した事が有るデナイルはその正体を見抜く。
 それにミアスが驚きを以って応えた。
「彼らは、行方不明になった人達、ですか?」
「何体かはそうでしょうね。大半は悪趣味な芸術とやらの塗料として使われたみたいですが」
「では……結局、間に合いませんでしたか……」
 視線の先、此方の三倍は居ようかと言う異形達。
 薄汚れた白いフード付きの貫頭衣、目の部分だけが開いた白いマスク、脛の部分だけが白く他は黒い両足、千切れた繊維の様な黒い腕。
 ちぐはぐな長さの体躯に、棘付き鉄球――所謂モーニングスターを提げている。
 どう言った動きで仕掛けて来るのかが読み難い相手だ。
「UDCアースは他の世界とはまた違ったタイプの敵が多いね」
「ですね。鉄球の一撃には注意しましょう」
 足首をぷらぷらさせてストレッチをする立花・桜華。
 その横でトランクをごそごそと漁って南瓜頭の案山子を取り出すアマータ・プリムス。
 戦いへの気力は漲っていても、一切の気負いが無いのは流石猟兵と言った所か。
 皆が闘気を張ったのを確認して、カイジ・レッドソウルが『呪剣アオス・シュテルベン』を掲げた。
「敵多数視認、殲滅開始」

 先ず飛び出したのはカイジだ。
 右手の呪剣で信徒達を薙ぎ払いに行く。
 唸りを上げて迫る刃に何体かは機敏な反応を見せるが、三体程が巻き込まれ吹き飛ばされていく。
 攻撃を逃れた信徒の一体が腕を伸ばしてモーニングスターを振り上げる。
「行動予測的中、反撃ニ移ル」
 それを読んでいたカイジは左手で黒剣を抜き放つ。
 鞭の様にしなりながら振るい上げられた黒剣が、振り上げられた信徒の右手首を打ち据える。
 勢いに飲まれそのまま後ろへと倒れ込む信徒へ刃を伸ばした黒剣を突き立てつつ、右腕を戻して大きく踏み込む。
 数体は逃れようと動き出すが、それよりもカイジの攻撃の方が早い。
 再度放たれた薙ぎ払いで、少なくとも二体の信徒が地面に倒れ伏した。
「目標沈黙、引キ続キ攻撃ヲ行ウ」
「流石カイジさん、頼もしいですね。僕も行きます!漆黒く、素早く、力強く――舞い降りなさい、翼の貴婦人さん!」
 ミアスが続き、ユーベルコード【鋭霊召喚・星を駆けるもの】を行使する。
 現れたのは蝙蝠の様な羽を持つ、馬と昆虫の交雑体に見える星間の駿馬。
 貴婦人と評された彼女は鉤爪を振り上げ、手近な所に居た信徒へと襲い掛かる。
 天井近くまで飛び上がってからの攻撃に信徒は対応出来ない。
 それもその筈、信徒達が手にしているモーニングスターは振り回したり振り下ろすには十全な攻撃力を発揮するが、その特性故に自分より高い位置を攻撃するのには向いていない。
 振り回して攻撃しようにも下手に動かせば仲間に鉄球が当ってしまう状況。
 出来る事と言えば回避くらいだった信徒達は次々にその鉤爪で貫頭衣を切り裂かれていく。
 縦横無尽に空を翔る貴婦人に、信徒達は手も足も出ない。
 ミアス自身も柱の影で上手く隠れながら衝撃波を放ち、信徒の動きを牽制している。
 その反対側で攻撃を仕掛けているのは桜華だ。
「先手必勝!てぇいっ!」
 両手の指の間に挟んだナイフを気合と共に投擲する。
 計六本のナイフが信徒達のマスクへを飛び向かい、内二本が直撃した。
 避けた四体の信徒へ駆け出し、左右の腰に吊り下げていたサムライブレイドを交差させる様に抜き放ち、二体を斬り捨てる。
 残る二体が警戒した様子でモーニングスターを縦に振り回して迎撃の姿勢を取るが、桜華は突っ込まず一度距離を取った。
 「剣術の腕前を見せてあげるよ。……悲鳴を上げる間もなく斬り刻む!」
 手の内でくるくるとサムライブレイドを弄びながらユーベルコードを発動する。
「雷光の刃は全てを斬り裂く!貴方にこれが見切れるかな?」
 空を撫ぜる剣閃と共に雷が奔り抜ける。
 瞬時に伸びる雷光に鉄球で対処出来る筈も無く、無数の斬撃に切り刻まれて二体の信徒は崩れ落ちた。
「いよっし!」
 ガッツポーズを決める桜華。
 此処まで先手を取られていた信徒達だったが、漸く反撃に移る。
 突如、地下に響き渡る酷く耳障りな歌声。
 そこへ入り混じるのは、聴いているだけで胸元を掻き毟りたくなる様な不快な悲鳴。
 その悲鳴に猟兵達は思わず攻撃の手を止める。
 同時にゆっくりと倒れ伏していた信徒達が起き上がる。
「歌とはこうやって歌うものですよ。ネロ、お返ししてあげなさい」
 しかし一人だけ意にも介さず動く者が居る。
 アマータは脱力状態になる事で信徒達の歌声、ユーベルコード【神による救済の歌声】を無効化していた。
 そうして無効化した歌声が、ネロの口から放たれる。
 ぶつかり合う二つの歌声。
 更に重ねられたのはギターの音色。
 トランクから取り出した変形機能を搭載した蒸気機関式ギター型マイク『イーリス・カントゥス』と、武器改造の技能を駆使してアンプへと変化させたトランクを鋼糸で繋ぎ即席のステージライブを行う。
「前奏曲は軽やかに。フィナーレに向けて曲を進めましょう」
 歌声に力を乗せてバラードを奏でていく。
 力を持った歌声は信徒達に届き、衝撃波として襲い掛かる。
 直接的なダメージは無いに等しいが、代わりにあの耳障りな悲鳴を止めさせる事には成功した。
「当機もシンフォニアですからね。相手が歌ってくると言うのなら受けて立ちます」
 猟兵達も立ち直り、攻撃を再開する。
 剣戟が飛び交い信徒達も高速で動き回る様になった最中、皆のカバーに回っているのはノルナインとデナイルの二人だ。
 ノルナインはブラスターと『特注狙撃銃』を巧みに操り、離れた場所でモーニングスターを振り回し攻撃を仕掛けようとしている信徒を狙い撃っている。
「敵は敵と割り切りたいものですが……!」
 放った銃弾は真っ直ぐにマスクに空いた右目の空間へと入り込み、黒い飛沫を撒き散らせながら信徒を貫く。
 ブラスターから放たれた熱線は今正にカイジの背後から襲い掛かろうとしていた信徒の腕を焼き切る。
 気付いたカイジは慣性のままに飛んで来た鉄球を肩で受けながら信徒を切り伏せ、ノルナインへと頷きを返す。
「損傷軽微、感謝スル。戦闘続行」
「はいっ!」
 応えた時、右手から信徒が飛び出して来た。
 差し違え覚悟で突っ込んだのであろうが、ノルナインは慌てず右手の人差し指を向ける。
「ブラックボックス起動。コマンドコード・レーザーバレット。エネルギーチャージ、発射!」
 ユーベルコード『非認証機能・圧縮光弾』による迎撃。
 人差し指の発射機構から放たれる光の弾丸が信徒の胸元を抉り取り、黒い墨を背中側から撒き散らした。
「早撃ちでは負けません……!」
「華が有りますねぇ……」
「それほどでも!」
 派手に信徒を倒していくノルナインへ羨ましそうな口調で囃し立てるデナイル。
 自身でそう評する通り、デナイルの戦い方に派手さは無い。
 手持ちの『スマートガン』をホルスターから抜き去り、的確に射撃する。
 銃口は視線を向けた場所に自動で補正される為、格段に命中精度は高い。
 狙う先は信徒達が持つモーニングスターの鎖部分。
 振り回される際の一瞬の硬直を狙って撃った弾丸は鉄球との接合部を弾き飛ばし、ただの鉄の棒へと貶める。
 一撃の重さが最大の武器だった信徒達はその強みを失い、次々に蹴散らされていく。
「静かに勝ってこそプロです」
「わ、なんかカッコイイ台詞ですね!」
「でしょう?ふっ……格好付けてみました」
 そんな軽口を交わしながらも視線は目まぐるしく戦場を見渡している。
 本来なら平面的な視界しか有せないが、デナイルには電脳空間を介して三次元的に捉えられると言う強みが有る。
 視界を向ければ銃口はどんな場所の信徒でも捉えられる。
 そう、例え正面からは見えない場所でも。
「見逃しませんよ」
 いつの間にか起き上がっていた信徒がミアスを狙う。
 信徒の位置は丁度ミアスが隠れていた柱の反対側。
 不意を突いた筈の信徒の一撃は届かず、勢い余ってカコンと間の抜けた音を柱で奏でるだけ。
 気付いたミアスが衝撃波で吹き飛ばし、貴婦人がそれを引き裂く。
 信徒が動きを止めたのを確認してミアスは振り返った。
「有難う御座います!」
「いえいえ、攻撃はお任せしますよ」
 メガネをクイっと上げるデナイル。
 次々に攻撃が放たれる戦場。
 その中で、テラは静かに信徒達を観察していた。
 斃したはずの信徒が何事も無かったかの様に起き上がり動き出す。
 つい今し方ミアスに奇襲を仕掛けようとしていた信徒も、随分前に貴婦人の鉤爪を受けて頭を捻じ切られていた。
 だが、起き上がった時にはそんな傷は無かったと言わんばかりの五体満足状態。
 モーニングスターもデナイルが吹き飛ばしたりカイジが諸共叩き砕いたりしたものも一緒に修復されている節が有る。
「何だ……何がおかしい……?」
 観察を続ける中で、テラは謎の違和感を覚えていた。
 動き回る信徒達が少しずつ変わって行っている様な気がする。
 果たしてそれが何なのか。
 何を意味しているのか。
(恐らく、それが突破口になる……!)
 目を凝らし、戦いを見詰める。
 だが信徒達に変わりは無い。
 新たに起き上がってくる信徒達も他の信徒達と【何一つ】変わっている所は無い。
(…………ん?)
 一瞬の閃き。
 気付いた瞬間、テラはデナイルへと声を上げた。
「デナイル!敵の中で殆ど動きが無い奴はどれか解るか?」
「ちょっと待ってください……、……、……!見付けました、テラさんの正面、奥から二つ目の電灯の真下に居る奴です!」
 その声を受けてテラは飛び出す。
 両足の『ミニマムブースター』を点火させ一直線に空を翔る。
 周りの信徒はモーニングスターを構えるが、狙っている信徒だけは動きが鈍い。
 と言うよりも動きたくとも動けずに居る様だ。
「古き呪詛の儀、その一端を顕現せよ!」
 左腕に内臓されたネイルガンが黒・灰・深紅の三色の釘を放つ。
 タタタン、と小気味良い音を立てて着弾した信徒が膝を付く。
 同時に信徒のユーベルコードが封印される。
 対象となったのは【黄昏への導き】だ。
 これこそ、何度でも起き上がる信徒達のトリック。
 仕掛けを暴かれた信徒達は次々に元の骸へと戻って行く。
 そのまま眼前の信徒へ膝蹴りを叩き込み、馬乗りになるテラ。
「ひとつ教えてやる。今を生きる命ってのはな、テメェらみたいにどうでもよくない、尊ぶべきものなんだよ。だから、それを蔑ろにするなら……死ね」
 左手を銃の様に構え、マスクへ人差し指を押し当てる。
 人差し指に仕込まれていた『フィンガーレーザー』が音も無く信徒を貫き、息の根を止めた。
 僅かに残っていた信徒達も程無く制圧され、静けさが戻ってくる。
 終わったか、と思った直後。
「……ォォォォォオオオ……」
 淵より出でし響きが聴こえてきた。
 信徒達は倒した。
 ならば残っているのは。
「邪神か……!」

 日の光の届かぬ場所で、邪神の産声が響き渡る。
 果たして猟兵達は如何立ち向かうのか。
 今、決戦の幕が開く――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『残響の女神』

POW   :    信者の供物
自身の装備武器に【生贄になった者の身体部位の一部 】を搭載し、破壊力を増加する。
SPD   :    叫ぶ
【絶叫 】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
WIZ   :    凝視
小さな【狂気 】に触れた抵抗しない対象を吸い込む。中はユーベルコード製の【トラウマに応じてダメージを与える空間】で、いつでも外に出られる。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はナハト・ダァトです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 信徒達を倒した猟兵達の前に、遂に復活した邪神が姿を見せる。
 奥の扉を吹き飛ばして現れた痩躯の女性の様な姿の異形。
 その両手には歪な形の剣と盾が提げられている。
「……オォォォォォォオオオ……」
 おぞましい声を響かせながらゆっくりと顔を上げる姿は、宛ら古代の闘剣士。
 幾多の血を吸い復活した邪神との戦いが、今始まろうとしている。
アマータ・プリムス
フィナーレは目前、アゲていきましょう

先程から引き続きイーリスと【武器改造】でアンプに変形させたトランクを接続【歌唱】と歌【属性攻撃】【楽器演奏】を用いたライブを継続
歌声による【衝撃波】で攻撃

相手の叫ぶに対してはUCを使用し歌声で相殺、その際【Ars longa, vīta brevis】も同時に発動し傷ついた味方の回復を

「信徒よりも歌の下手な邪神ですね。こちらの歌をよく聴きなさい」
曲調はロックに、ギターを掻き鳴らしながら歌いましょう
他の皆様を鼓舞する意味も込めて

「如何でしたか?今回の当機のライブは。満足していただけましたか?」

※アドリブ、連携歓迎です


カイジ・レッドソウル
「邪神ヲ確認、排除スル」
黒風鎧装ヲ発動、呪剣ト黒剣ヲ構エ
勢イヲツケ【串刺し】【先制】カラノゆーべるこーど発動【天獄の雷】
生贄ノ体ニナッタ者ヲ見テモ躊躇イハ無イ
「敵ハ敵。ただ排除スルノミ」
POW攻撃もウォーマシンでアルガ故ニ残虐ニ、邪神ノ縫い目ノ【傷口をえぐる】装備武器ノ火力ガ落トセレバ構ワナイ

機械故ニ狂気ハ分カラナイガ、WIZ攻撃ノ空間ニ囚ワレ無イ【呪詛耐性】モアルそのまま前衛維持ダ

仲間ニハ【武器受け】【かばう】
「問題無イ、戦闘続行」


共闘、アドリブ、改変歓迎


ミアス・ティンダロス
今回も、ダメですか。
分かっています……既に覚悟ができています。
相手が共存する気がないなら、僕も、倒すしかありません。
これも必要な犠牲……だと思いませんけど、僕がやらなければいけません。

ユーベルコードを【高速詠唱】し、吹雪を放て敵の行動を封じようとします。


デナイル・ヒステリカル
この邪神が復活するまでにどれほどの犠牲が発生したのか……
過去は変えられませんが、未来は違います
これ以上の被害を防ぐために、今ここで打ち倒します

剣と盾を持つオブリビオンを確認して予測される攻撃行動に思考を巡らし、
今この場にいる猟兵の顔ぶれに目を走らせ、こちらが取り得る攻勢方法を思い返します

一人一人は強力な猟兵が揃っていますが、やや前衛が不足してると判断します。
まったく得意では無いのですが、仕方ありません。
僕も前に出て、敵をこちらの後衛に寄せ付けないように奮戦しましょう。

UC:オーバーロードを選択。実行。
耐久力は他の方に劣りますが、速度を活かした打撃と、雷属性攻撃を織り混ぜた先制攻撃を仕掛けます。


ウィルトス・ユビキタス
あの邪神の【凝視】……使えるな。
邪神に近接戦闘を仕掛けるぜ。
装備している【イクリプス・フリティラリア】を大鎌形態にして振り回す。
【スチームエンジン】で蒸気エンジンを搭載、歪な盾を削り落とす。
敵の武器による攻撃は【凝視】を利用して回避だ。
トラウマなど俺にはない、はず……飯テロは勘弁な!

決着をつけようか



 怖気立つ異形の怪物。
 人に似た形をした人ではない何か。
 右手に人の腕を繋ぎ合せて出来た様な剣を、左手に人の顔を張り合わせて出来た様な盾を持った、継ぎ接ぎの身体を持つ邪神。
「……ォォォォォォォオ……」
 空気が押し潰され擦れ合う様なこの音は果たして声なのか、それとも別の何かなのか。
 一つ確かなのは、これが倒すべき敵であると言う事。
 もし平和に解決出来るならと、この事件に関わるまでは希望を抱いていたミアス・ティンダロスも、今では油断無く邪神の動向を探っている。
「今回も、ダメですか。分かっています……既に覚悟ができています。相手が共存する気がないなら、僕も、倒すしかありません」
 右手の魔導書『旧き鍵』をぎゅっと抱え直す。
「この邪神が復活するまでにどれほどの犠牲が発生したのか……」
 デナイル・ヒステリカルはくいと眼鏡を掛け直して醜悪な剣と盾を見遣る。
 使われている人体のパーツは大きさも長さもバラバラで、文字通り老若男女の区別無くこの邪神の為の生贄に捧げられてしまった事が解る。
「過去は変えられませんが、未来は違います」
 思考はクールに。
 しかし内には燃え盛る炎を。
「これ以上の被害を防ぐために、今ここで打ち倒します。優先順位変更。ターゲット捕捉。喰らって倒れろ……!」
 ユーベルコード【君が泣くまで殴るのをやめないシステム】を発動する。
 青白く瞬く稲妻が奔り抜けデナイルの身体を覆っていく。
 自身の寿命を削りながら戦闘能力を大きく引き上げる、捨て身の技だ。
「デナイルさん、僕が邪神の動きを止めます!最初の一撃をどうぞ!」
「任せますよ、ミアスさん」
「はい!その小さな祈祷(ささやき)に耳を傾けてください、最も気高い翼をもつ者よ――今こそ、嵐(おもい)が吹き荒れるのです!」
 デナイルが一歩を踏み出すのと同時、ミアスはユーベルコード【激凍極嵐・風に乗りて歩むもの】を発動する。
 宙に魔法陣が浮かび上がり、輝きを放ちながらゆっくりと回転する。
 中央の紋様から指向性の極寒の吹雪が放たれ、邪神に吹き付ける。
「……ォォォォォォオオ……」
 相変わらずの不気味な声を響き渡らせるが、一歩前に出ようとした所で邪神の上体が傾いた。
 吹き付けた猛烈な吹雪は瞬く間に邪神の両足を凍り付けにし、その場へと縫い止めていた。
「良いアシストです……!」
 一瞬で距離を詰めたデナイルが腰を落とし真っ直ぐに邪神の腹を突く。
 返るぶよぶよとした手応えに顔を顰めながら伸び上がる様にハイキックを見舞う。
 光を灯さない窪んだ眼窩と目が合った気がするが、次の瞬間には爪先が顳顬を穿つ。
「……ォォォォオ……」
 クリーンヒットした筈だが邪神は意に介した様子も無く右の剣を振り翳す。
「ちっ!」
 素早く飛び退くが離脱が間に合うかは微妙な所だ。
 鈍い衝突音が響く。
「問題無イ、戦闘続行」
「カイジさん!助かります!」
 切れ味を捨て打撃力に特化した歪な剣が捉えたのはデナイルではなく、寸前で割り込んだカイジ・レッドソウルの持つ『呪剣アオス・シュテルベン』の腹だった。
 外へと歪な剣を打ち払い、正眼に構え直す。
「邪神ヲ確認、排除スル」
「ォォォォオオ……」
 再び力任せに振り回される歪な剣を受け流し、邪神の体勢が崩れた所へ左手で黒剣を抜き放つ。
 空いた右脇腹を刺した所でユーベルコード【天獄の雷】を放つ。
「天獄の雷始動」
 自身の体から出る高圧電流が黒剣を伝い、雷炎が邪神の肉を焼いていく。
「オォォァァァ……!」
 此処に来て初めて邪神はリアクションを見せた。
 外からの攻撃には強くとも、内部から破壊されるのは堪えるらしい。
 鬱陶しげに悍ましい盾を構え、弾き飛ばそうとする。
「おっと、そいつは通らないぜ」
 シールドバッシュを阻んだのは大鎌の一撃。
 ウィルトス・ユビキタスが外套を翻らせながら邪神の左側面に陣取っている。
 ユーベルコード【スチームエンジン】によって強化された変形機構を備えた黒い大口径狙撃鎌『イクリプス・フリティラリア』を大鎌形態で巧みに操り、邪神の左腕を重点的に攻撃していく。
 邪神が盾を構えるならその盾を削ぎ落とし、構えないなら腕を切り刻んで行く。
「……ォォォォォオ……!」
 遂に足を止めていた氷が割れ、邪神が動き出す。
 学習でもしたのか、初手で受け止められない様時計回りに――カイジの居ない方から先に攻撃出来る様に回る。
 遠心力を加えた歪な剣が暴力となって周囲を薙ぎ払う。
「La――……!」
 そこへ届いた澄んだ声色。
 歌声に力を乗せて放ったアマータ・プリムスの援護で邪神の腕が一瞬止められた。
 ほんの僅か生まれた猶予が、剣先を遅らせる。
「おっとぉ!?助かったぜアマータ!」
 咄嗟に飛び退いた事で難を逃れるウィルトスだったが、此処で或る事に気付いた。
「拙い、如何にかしてあの攻撃を止めさせるんだ!柱を全部崩されたら天井が落ちてくるぞ!」
 この広い地下空間を支えているのは四隅と左右の中程に有る、計六本の柱。
 崩される場所によっては全てが破壊される前に天井が崩れてくる事も有り得るだろう。
 そして今、邪神の左背後に有った柱が瓦礫の山と化した。
「柱は僕が支えます!!」
 ミアスが魔法陣から吹雪を放ち、砕けた柱の欠片を巻き込み、氷柱となって上部を支える。
「飛び込みます、援護を!」
 デナイルは高速移動を駆使して邪神の薙ぎ払いを潜り抜け、足元へと肉薄する。
 人型のものがぐるりを何かを振り回して回る時、必ず自身を支える為に軸足と言うものが必要になる。
 それを攻撃する事で、回っている最中にスリップさせる事が可能だ。
「切った張ったは得意では無いんですがね……!」
 低く飛び、ドロップキックの要領で邪神の右足を蹴る。
 同時に雷撃を放ち、踏ん張りが利かない様に間接部を焼いていく。
「ォォォオ……!」
 目論見通り、邪神はバランスを崩した。
 尻餅を突く様に背後に倒れる。
「好機ト判断」
 その隙を逃す筈も無く、カイジが呪剣を振り翳す。
 真っ直ぐに呪剣を突き立てられた右手が拉げ、その手から歪な剣が離れる。
 即座にそれを蹴り飛ばして武器を奪う。
 こうなってしまえば如何に邪神と言えども恐るるに足りず。
「ナイスだデナイル!」
 蒸気による推進力と弾丸の発砲による加速を乗せた大鎌を振るうウィルトス。
 鈍く光るその刃が空を切り裂きながら迫る。
「ォォォオオ……ッ!」
 ぞぶんっ、と水気を多く含んだ切断音が鳴り、邪神の左手から先が切り飛ばされる。
 持っていた人面の盾も一緒に飛んで行き、壁に当ってべちゃりと落ちた。
 両手の得物を失った邪神。
 此処まま一気に倒せるかと思ったその矢先、耳を劈く金切り声が上がった。
「――――キィィィィェェェァァアアアアアアアア!!!!!」
「うおっ!?」
「わっ!」
「うるせぇっ!!?」
「……ッ!!」
 狂気を孕んだ絶叫。
 声量も凄まじく、鼓膜こそ破れていないが酷い頭痛を伴う耳の痛みに四人は頭を抱えて後退った。
「信徒よりも歌の下手な邪神ですね。こちらの歌をよく聴きなさい」
 その絶叫の最中、涼しげな顔で変形機能を搭載した蒸気機関式ギター型マイク『イーリス・カントゥス』を構えるアマータ。
 イーリスの弦を掻き鳴らし、ロックな曲調で音色を重ねていく。
「聴きなさい、この歌を。味わいなさい、歌の力を。――――Mens agitat molem」
 低く鳴り響くイントロから最上級にメロディアスな歌声を乗せて、情動的な歌詞を歌い上げる。
 届いた歌声は邪神の叫びを打ち消し、同時に音響が衝撃波となって邪神の下顎を打ち上げる。
 強制的に口を閉ざされた邪神はくぐもった様な唸りしか発せずに身動ぐ。
「まだまだ行きますよ、――――この歌は誰かのために」
 続くのは普段しっとりとした曲調の【Ars longa, vīta brevis】を熱くアレンジした絶唱バージョン。
 皆を鼓舞する意味も込めて情熱的に奏でられた音色と、更に熱く燃え上がれる様改変した歌詞が、四人の傷を癒していく。
「傷が……癒えていく……」
「おっ、この歌は!」
「フィナーレは目前、アゲていきましょう」
「やってやりますか!」
「気力充填、片ヲ付ケル」
 叫びの影響も無く全快した猟兵達と、武器を失い口を塞がれた邪神。
 如何にか起き上がり、両手を叩き付ける様に振り回すがテンションの上がり切った猟兵達には届きもしない。
 吹雪に飲まれ、黒剣で貫かれ、雷撃で穿たれ、大鎌で斬られ。
 見る間に動きを鈍くしてフラフラの状態に追い込まれる邪神。
 ラストアタックを飾ったのはカイジ。
「敵ハ敵。ただ排除スルノミ」
 振り翳した呪剣を構え駆け抜ける。
 迎え撃とうと開かれた邪神の口をアマータの歌声が塞ぎ、如何にか逃れようと顎を上げ無防備な喉元を晒す。
 そこへ叩き込まれる一閃。
 研ぎ澄まされた斬撃が邪神の首を刎ねた。
 宙を舞い床に転がり落ちた首はそのまま墨汁の様に黒い血を零しながら、やがてさらさらと溶ける様に消えて行った。
 丁度歌い終えたアマータが首を傾げながら問う。
「如何でしたか?今回の当機のライブは。満足していただけましたか?」
 四人は笑顔と共にサムズアップで応えた。
 ――邪神、撃破。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月03日


挿絵イラスト