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迷宮災厄戦⑥〜スターダストクルセイダーズ~

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦

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●アリスラビリンス・魔空原城
 その少女達は星になりたかった。物語の主役という星に憧れた。
 だがそうはなれなかった。王子様に手を取られることもなく、花の一輪も貰うことはなかった。虚しき願いだけが彼女達に残った。
 オウガと成り果てた今でも、星に成れると思い、信じて彼女達は踊り続けた。アリスを妬みながら、ずっと死の舞踊を続けてきたのだ。
「ああ、ぱらいそ預言書の導きよ」
「わたし達はずっと間違っていたのですね」
 だがこの魔空原城の彼女達は幸せそうな表情で踊り続けている。その舞踊は星屑ではなく、主役のアリスのような精錬されたものだった。
「ぱらいそ預言書に従えば間違えない」
「そう、猟兵を殺せばわたし達は間違えない」
 そしてパライソ預言書の導きのままに彼女達は猟兵達を躊躇なく殺すだろう。それこそが救いとなると信じて。
 星屑であった彼女達が主役となる為に。クルセイダーという十字軍と化した彼女達は命を惜しむことなく、信仰に殉じるだろう。
「星屑であったわたし達、ぱらいその導き手であるわたし達」
「さあ、ぱらいそ預言書に捧げる踊りを」
 星屑であった少女は踊り続ける。死へ誘う踊りを。

●グリモアベース・ブリーフィングルーム
「実際、信仰とやらに支配された連中というのは怖いものがあるのー。実際の十字軍然りじゃしのー」
 そう言いながら空に浮かぶ魔空原城を電脳ウインドウに映しながら、グリモア猟兵メイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)は呟く。死を恐れぬ、向こう見ずの兵ほど怖いものはない。
「今回のオウガの少女は全員、ぱらいそ預言書とかいう書物に魅入られて信奉している状態じゃのー。聞く耳は一切もたん」
 そしてその狂信者達の役目こそ、魔空原城に乗り込んできた侵入者を排除すること。それをするためならば自身の命を捨て石にしてもやり遂げるだろう。彼女は主役になれなかった故に星屑というオウガとなった。そして今や、星となりたかったことすら覚えておらず、ただ命を散らすを惜しまない信仰に身をゆだねてしまっている。
「ま、こういう信仰心を逆に利用するのも手ではあるのー。オウガである以上、情けは無用じゃけー、逆に解放してやるのも慈悲じゃろーのー」
 そう言ってメイスンは転移術式を展開し、魔空原城への橋頭保を築く。この星屑の少女のエリアを攻略することで城内の制圧に近づく。迫り来る狂信に支配された星屑達の戦いが始まろうとしていた。


ライラ.hack
 ぱらいそ! ぱらいそじゃないか!(狂信者)
 どうも皆様こんにちわ、ライラ.hackです。

 今回は虚空に浮かぶ、洋風めいたサムライエンパイアの城「原城(はらじょう)」攻略戦です。
 城内のオウガは謎の「ぱらいそ預言書」を信奉する狂信者と化しており、「謎の亡霊」のようなものを纏い、負傷や死を厭わず捨て身で襲いかかってきます。
 謎の亡霊とは、クルセイダーの扱う秘術「魔軍転生」の不完全バージョンであり、特定の誰かが「憑装」されているわけではなく、蠢く亡霊のようなものをまとっている状態です。

 以下、特殊ルールとなります。
 プレイングボーナス……オウガの捨て身を逆に利用する。

 以上です。狂信に支配された星屑の少女達を解放して差し上げましょう。
 それでは皆様の素晴らしいプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『星屑のわたし達』

POW   :    パ・ド・ドゥをもう一度
【ソロダンスを披露する】時間に応じて、攻撃や推理を含めた「次の行動」の成功率を上昇させる。
SPD   :    我らがためのブーケ
いま戦っている対象に有効な【毒を潜ませた美しい花束】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ   :    そして、わたし達は星になる
【星のような煌めきを纏う姿】に変身し、武器「【白銀のナイフ】」の威力増強と、【魔法のトウ・シューズ】によるレベル×5km/hの飛翔能力を得る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

風嶺・陽
捨て身……、いいですねぇ。譲れないものがあるのなら猶の事です。それでも私達は貴方達を踏み砕き、この戦争の勝利を掴んで見せます。


この戦争用に間に合わせた撲殺金砕棒『逢魔』を【怪力】で振り回しながら【鎧無視攻撃】【範囲攻撃】ついでに【鎧砕き】込みでUC(名前はまだない)をぶち込みますよ。
相手が捨て身で来るならそれ以上の力で蹂躙するまでです!
歩みを止めず、暴力を止めず、ただ只管に……!

「嗚呼、嗚呼……! 吹けば飛ぶよなその体躯で! 私を! 捻じ伏せて見せなさい!」



 魔空原城。猟書家「クルセイダー」が構築したともいわれる西洋風のサムライエンパイアの城である。その城は虚空に浮き、並大抵では落とすことはできないだろう。
 だがそれ以上にその城の攻略を難しいものにさせる者がいた。狂ったように踊り続ける少女達が侵入者を迎え撃つ。
「ぱらいそ預言書の言う通り、侵入者が来ました」
「猟兵、ぱらいその導きに反する存在」
 その少女達はすでに正気ではない目をしている。オウガになった時ですらここまで色を失っていなかったであろう。それほどまでに強く、星屑だった少女達に狂信という名の亡霊が憑りついているのだ。
「捨て身……、いいですねぇ。譲れないものがあるのなら猶の事です」
 だがそんな少女達を一瞥し、憐憫の感情など一切持ち合わせない風嶺・陽(鬼刹猟姫・f06532)。伽藍の鬼はただ、狂信者という厄介な敵を見据える。
「それでも私達は貴方達を踏み砕き、この戦争の勝利を掴んで見せます」
 すでに少女の命を粉砕する決意を固めてきた。そう言わんばかりに陽は最近新調した撲殺金砕棒『逢魔』を肩に乗せる。この戦争のために間に合わせた、まさしく鬼に金棒という奴である。
「暴力、野蛮、粗野ですね」
「ワルツを刻みましょう、ぱらいそ預言書の通りに」
 そう言って星屑の少女達はソロダンスを披露し始める。そうすることで自身の力を高め、次のステップで陽を仕留める為だ。
 もちろんあの金砕棒で多くが撲殺されるであろう。だがそれでもいいと狂信者達は思う。誰か一人でも陽の生命に届けばいいのだと。
 そしてソロダンスが終わった瞬間、陽の四方八方から少女達が襲い掛かる。手にはナイフが握られており、その凶刃が陽の身体に迫ろうとしていた。
「相手が捨て身で来るならそれ以上の力で蹂躙するまでです!」
 それに対して陽が取った戦法は到って単純であった。有り余る怪力をもって、少女達をねじ伏せる。3mを超える金砕棒をまるでおもちゃのバットを振り回すかのように、少女達の身体に炸裂させる。
 腕が折れ、内臓が破裂し、骨が砕け、脳漿が弾け飛ぶ。誰かが届けばいいと言ったが、陽はそんなことを容認するほどやわではない。それはまさしく「羅刹旋風」、修羅の技であった。
「来い……来い! ただ只管に……!」
 さらに振り回すことで陽の中の羅刹の血が解放されていく。歩みを止めず、暴力を止めず、血と肉を量産しながら、前進する。敵を屠殺する為に。

「ああ、なんて暴力! だけどこれがぱらいそへの道!」
「パライソ預言書の為に、この命惜しくはありません!」
 だが陽の圧倒的なる蹂躙をもってしても、星屑の少女を止めることはできない。ナイフを突き立てようと、身体で動きを封じようと、喉を噛み千切ろうと、陽に殺到する。
「嗚呼、嗚呼……! 吹けば飛ぶよなその体躯で! 私を! 捻じ伏せて見せなさい!」
 その無謀な突撃に呼応するように陽も金砕棒を振るって応える。鬼の旋風はただただ、被害を甚大なものへと拡大させる。もはやこれは戦いではなく、虐殺であった。それほどの力を陽は示したのだった。

 そして動く少女がいなくなるころにはこの広間は肉と血で覆い尽くされていた。結局、陽は傷を負うことなく少女達を全滅させたのだった。
 その内なる力と新たなる武器に手ごたえを感じながらも、陽は突き進む。感傷に浸るのならばあとでいいと、その部屋を振り返ることはついぞなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神埜・常盤
はは、救いを求めるあまり
抱いていた願いすら忘れて仕舞ったのかね
実に寓話的じゃァないか

捨て身の特攻は、甘んじて受けてあげよう
君達の信仰に付き合うとも
モチロン、死なない程度にね
傷は激痛耐性で凌いで見せるよ

此の身がある程度、血を流したら
宙に五芒星を描いて悪魔を呼ぼう
――出でよ、ビフロンス!

契約の代償に、黒き騎士へ捧げるは僕の血だ
奮発したんだから命令、聴いてくれるだろう?
さァ、あの娘達へ
亡者のあるべき姿を見せてやれ

闇を纏った亡者の軍勢を嗾けて
恐怖と呪詛で彼女達を呑み込んで仕舞おう
さて、「ぱらいそ」は見えたかね?

君達の魂が辿り着く先に
夜の帷が広がっていることを願っているよ
今度こそ、星になれますように


馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。

・第三『侵す者』武の天才
一人称:わし/わしら
対応武器『黒燭炎』
亡霊憑きと悪霊。はは、なんと似合いな!
しかし放っても置けん。いくぞ『静かなる者』。
わしは前衛にて【なぎ払い】【2回攻撃】を行う。
なるべくならわしに集中させたいが、さて。
毒は【毒耐性】でしのぐ。

・第二『静かなる者』霊力使いの武士
一人称:私/我ら
対応武器『白雪林』
あなたとの連携は生前以来ですか。
ですが、それはブランクとも言えませんな。
後衛。なるべく【早業】で射撃速度をあげ【制圧射撃】【援護射撃】に。
接近されたのならば、借りた武器『漆黒風』で刺す対処を(持ち主別人格)。

※二人とも武人なので血は騒ぐ。



 その星屑だった少女達は今や狂信者と成り果てていた。主役であるアリス達を妬むこともなく、ただひたすらに預言書ぱらいその言葉に従って動く。
 何も考えず、何に囚われることもなく動くことに心の軽さを感じていたであろう。何かを信じてただ無心に動くことに身体の軽さを感じているのであろう。
「ああ、幸せです」
「これが預言書ぱらいその導きなのですね」
 だがそれは所詮は偽りの導きに過ぎないことに気づいていない少女達。もはや質の悪い悪霊にでも取り憑かれているかのように少女達は踊り続けて敵を排除するのみである。
「はは、救いを求めるあまり、抱いていた願いすら忘れて仕舞ったのかね。実に寓話的じゃァないか」
「亡霊憑きと悪霊。はは、なんと似合いな!」
 そんな滑稽な少女達を笑い飛ばす二人の不敵なる男達。優雅な物腰の探偵、神埜・常盤(宵色ガイヤルド・f04783)。そして生前は親友同士だったという複合型悪霊、馬県・義透(多重人格者の悪霊・f28057)である。
 もはや星屑の少女に哀れと思う感情は必要はないであろう。それほどまでに命をゴミのように扱う狂信者に対して、説得など無価値だ。ならば、その捨て身の特攻を受けきるのもよしと、常盤の父譲りの三白眼が少女達を見据える。
「君達の信仰に付き合うとも。モチロン、死なない程度にね」
 攻撃をする気配も、防御をする気配も見せない常盤。義透も怪訝そうな表情で前に立つ男を見つめている。だが星屑の少女達は白銀のナイフを構えて一切躊躇をすることはない。
「わたし達は星になる」
「ぱらいそ預言書の星となる」
 星のような煌めきを纏い、光速の突撃で一気に常盤の身体にナイフを突き立てる。数十本に及ぼうかというナイフの刺突に、さすがの常盤も盛大に吐血する。
 だが痛みに対しては強い常盤はその姿でも笑って見せる。そしてナイフを一本抜きながらも、言葉を紡ぐ。
「契約の代償に、黒き騎士へ捧げるは僕の血だ」
 そう言って能力「蝋燭燈す地獄伯(ヒートヘイズ・ビフロンス)」が発動する。宙に描いた五芒星から、黒騎士のような容貌の悪魔が召喚される。
 死を冒涜する者。ネクロマンシーの術を操り、墓場に火を灯し、亡者達に仮初の命を与える悪魔。名をビフロンス伯爵と言う。
「奮発したんだから命令、聴いてくれるだろう? さァ、あの娘達へ亡者のあるべき姿を見せてやれ」
『いいだろう。その血の代価、しかと拝謁する といい』
 そう、常盤がわざと星屑の少女達の攻撃を受けたのは、血を流す為。その血をビフロンス伯爵へと捧げることで命令権を得るためである。その代償に見合うほど、悪魔の力は凄まじい。
 黒騎士の剣が地面に突き刺すと、原城の地面に闇の瘴気が漂い、すかさず亡者の軍勢が出現する。それこそが恐怖と呪詛をばら撒くビフロンス伯爵の地獄の軍勢である。
 そして指示の元に襲い掛かってきた星屑の少女達を闇の軍勢が飲み込んでいく。狂信者が恐怖を与える闇の瘴気に飲まれ、呪詛に生命を蝕まれていく。
「さて、『ぱらいそ』は見えたかね?」
 そう言って優しく言葉をかける常盤。だがその行いは残虐であり、地獄の悪魔を従えるに相応しい風格を身に纏っている。

「こいつはやるな。わしらも負けておれんか」
 そう言って義透は悠然と一歩前に出る。ビフロンス伯爵の手勢とは別方面からこちらに攻撃を仕掛けてくる星屑の少女達を相手にするためだ。
 恐るべき秘術「魔軍転生」の犠牲者。亡霊を宿す術というのは義透にとって放置できるものではない。故にこの少女達を斬り伏せても進む必要があるのだ。
「放っても置けん。いくぞ『静かなる者』」
 そう言う今の義透の悪霊は第三の『侵す者』と呼ばれる武の天才。そして能力「オルタナティブ・ダブル」によって出現したもう一人の義透こそ、第二の悪霊『静かなる者』と呼ばれる霊力使いの武士である。
「……あなたとの連携は生前以来ですか」
「そうか。なら他の奴を呼ぶか?」
「戯れを。それはブランクとも言えませんな」
 そう言って軽口を叩きながらも、生前は戦友同士であった二人。迫る星屑の少女という敵を前に自然と体が動く。『侵す者』の義透が前衛に配置し敵を食い止め、『静かなる者』の分身体が後衛で援護射撃で敵を殲滅していくスタイルが自然と取られる。
 義透が持つのは黒燭炎と呼ばれる黒いスピアだ。何の変哲もないと思われるが、その身の怒りを体現したかのように義透は思いっきり薙ぎ払い、星屑の少女を吹き飛ばす。豪快な範囲攻撃を前に次々と両断されたり、斬り伏せられていく。
「ならば花束を贈りましょう」
「ぽらいそ預言書の祝福を贈りましょう」
 武の天才たる義透の攻撃に隙を見いだせない星屑の少女は搦手に出る。猛毒を放つ花束を放ち、毒で弱らせようとする作戦だった。義透は武人らしく、毒に対してはある程度の耐性はあるものの、喰らい続ければ身体は浸食され思うように動けなくなるだろう。
「させませんよ?」
 そう言って花束や少女達を華麗に射抜いていくのは分身体である『静かなる者』である。白雪林と呼ばれる白い雪のような長弓から放たれる射撃は正確無比。
 前線で戦い続ける義透を援護するかのような射撃は凄まじく高速であった。まるで銃を乱射するかのように矢が放たれ続け、花束が義透に届く前に粉砕し、少女の頭蓋を撃ち抜いていく。
「さて、これならわしに敵を集中できるな」
「ええ、念の為に借りた漆黒風を使わずに済みそうですね」
 そう言って前線で暴れる義透の奮闘と、分身体の射撃による援護があって次々と星屑の少女達は戦場へと散っていく。だがそこに悲愴な感情はない。
 故に二人は戦場を思い出す。そこで戦う者は無心で命を奪い合っていた。故にその空気は二人の武人の血を滾らせる。それこそがさらに被害を拡大させることに気づかずに、狂信者達は血を捧げ続けるのだった。

 義透達が屍を積み重ね、ビフロンス伯爵の軍勢が敵を呑みこんでいく様を見ながら常盤は優雅に微笑む。
「君達の魂が辿り着く先に、夜の帷が広がっていることを願っているよ」
 その視線の先には星屑の少女が呪詛に飲まれて死んでいくところであった。恐怖はないが、死は間近であった。義透達もそろそろ殲滅する頃合いであろうと思い、常盤は片手で十字を切る。
「今度こそ、星になれますように」
 その願いと共に、星屑は闇へと消えていった。いずれ星となって現れ、もう一度輝くと信じて常盤は闇に向かって一礼をした。戦場にもはや星屑の少女達は一人も立っていなかったという。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

須藤・莉亜
「あー、なるほど。そういう敵さんか。」
優しく殺してあげるかな。

不死者の血統のUCで吸血鬼化して戦う。
捨身で来てくれるなら、そっちの方が殺りやすいんだよねぇ、僕は。
近づいて来た敵さんの生命力を奪い、再生と強化に回す。牙が届く距離なら噛み付いて全力で吸血。少し離れた敵さんには僕の髪、強欲髪を伸ばして触れる事で吸血していく。

大丈夫。僕ぐらいになると、痛みを感じさせる事もなく血を奪えるから。きっと眠る様に死ねるよ。

悪魔の見えざる手には僕のフォローに回っといてもらうのも忘れずに。

「おやすみ。良い夢見れると良いね。」


琴平・琴子
その覚悟、嫌いじゃないですよ
貴女がたの足が戦いに扱われるだなんて勿体無いですが
その足、縫い取らせて頂きましょう
ですが己のその身を投げ捨てるその心が嫌いです!

彼女たちの足元に食い込むUCの棘によって切り込み、滲み滴る血
踊れやしないのに赤い靴みたいになったんじゃないでしょうか

信じる者は救われるのでしょうが
その身を投げ捨ててもいい様に仕向けるなんて碌なもんじゃないと思います



「ああ、多くの星屑のわたし達が消えていく」
「ですがぱらいそ預言書の思し召しの通り。逝きましょう、楽園へ」
 魔空原城内にて猟兵達による戦闘が繰り広げられている。その中で多くの星屑が散っていったのだろう。だがそれでも悲しみも、絶望もその表情にはない。
 そこには死しても救われる確信があるからだ。その想いを抱いて死んでいけるのならば、救いはあると星屑だった少女達は思っている。
 主役である必要はない。ただ信仰という崇高なものに飲まれて死んでいけばいいという安堵。そんな少女達の前に須藤・莉亜(メランコリッパー・f00277)は現れる。
「あー、なるほど。そういう敵さんか」
 この手の敵は厄介だということを莉亜はよく知っていた。異端を殺すことに躊躇はなく、自身も使命に殉じることで救われると思っている愚か者。だからこそ星のような煌めきをもって襲い掛かってくる少女達に対して、莉亜が欠ける慈悲はただ一つである。
「優しく殺してあげるかな」
 そう言って発動したのは「不死者の血統(イモータル・ブラッド)」。その身は吸血鬼と化し、他者の生命力を奪う夜の支配者へと化す。莉亜が贈るのは、葬送という名の蹂躙であった。
 星屑の少女達も抗う為に流星にように跳び回り、白銀のナイフで莉亜を切り裂こうとする。銀というのは吸血鬼に対して特攻というが、莉亜の生命力を奪うオーラは、負傷を上回る回復強奪を再現する。
「捨身で来てくれるなら、そっちの方が殺りやすいんだよねぇ、僕は」
 ナイフで刺されると同時に星屑の少女の頭を掴み、問答無用で生命力を奪う。回復と同時に身体強化も行い、力を漲らせる。そしてもちろん、吸血鬼の本領である噛み付きによる吸血も行っていく。
 莉亜の口に広がる甘美なる血の味。それがさらなる力と高揚する感情を与えてくれる。血への渇望はさらなる美血を求め、莉亜の強欲髪が少女達に憑りつく。髪が触れた相手からも問答無用に血を啜っていく様は、まさしくヴァンパイアであった。
「大丈夫。僕ぐらいになると、痛みを感じさせる事もなく血を奪えるから。きっと眠る様に死ねるよ」
 その言葉通り、莉亜の吸血は痛みはなく苦しみもない。牙を突きつけられる時は多少は痛むが、その血を奪われる感覚はまるで午睡に陥るような感覚であった。
 眠るように血を失い死んでいく星屑の少女達に、莉亜は微笑みながら血を味わう。
「おやすみ。良い夢見れると良いね」

 そして吸血の宴が繰り広げられる中で、莉亜の悪魔の見えざる手が死角や遠距離からの攻撃のフォローに回っていたが、それでもすべてを捌き切れるものではない。
 だからこそ琴平・琴子(まえむきのあし・f27172)が立ち塞がる。アリス適合者として、アリスに憧れ嫉妬した星屑の少女達の前に立つ。
「アリス、アリス、ぱらいその教えの元に一つに」
「もう妬みはいらない。さあ、一緒に死にましょう?」
 その表情は穏やかであった。とてもアリスを喰らうオウガとは思えない表情に琴子は一つため息をつく。
「その覚悟、嫌いじゃないですよ」
 だがその表情は強い拒絶を示していた。琴子の強い正義感が、諦めてしまった星屑の少女達に強い嫌悪を感じさせる。それが能力「棘の道の縫い留め(イバラノミチノアシドメ)」が発動する。
 足元から棘が生えて、足元へと食い込み、深く切り込んでいく。その滲み滴る血はまさしく赤い靴を履いているように見えた。
「貴女がたの足が戦いに扱われるだなんて勿体無いです。その足、縫い取らせて頂きました」
 もはやソロダンスを踊る暇などない。琴子はそう思っていたが、星屑の少女達は棘から足を引き抜こうとしながら、踊りを続けようとする。そしてその表情は痛みを感じさせるものではない。
 まるで夢幻の夢に酔っているかのよう。そのことに琴子はさらなる嫌悪の感情が宿る。
「……その己のその身を投げ捨てるその心が嫌いです!」
 その琴子の感情に呼応するように棘はさらに進化を果たし、星屑の少女達を縫い留めるように複雑に根を伸ばし始める。まるで身体から浸食する植物のようであったその棘は、やがて星屑の少女達の心臓や脳に達して死へと誘う。
 棘が体内に浸食しても恍惚そうに踊りそうになっている少女達を見て、琴子は頭を横に振る。
「信じる者は救われるのでしょうが、その身を投げ捨ててもいい様に仕向けるなんて碌なもんじゃないと思います」
 信仰も人次第とはいえ、こんな使い方をするものを許せるはずもない。だからこそ琴子は己の感情が許せない存在に対して、はっきりとした拒絶を突きつける。
 彼女が清く正しい故に、苛烈にもなるのであろう。その報いを元凶たる猟書家「クルセイダー」に払わせるために、今は原城制圧へと邁進するのであった。

 こうして多くの血が莉亜の元に集まり、琴子の棘によって星屑の少女達は踊りを披露する間もなく縫い留められていった。
 それが幸せであったのかはまだわからない。だが使命によって殉じることができない中でも、無意味に生命を消費していく少女達は後悔も恐怖もなかった。それは正しいことであるのか、今はわからない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

緋奈森・鈴音
星屑って見てる側はロマンチックだけどー。星屑自身は何か思うのかしらねー。

トリニティ・エンハンスで風の魔力を集め気圧を高めて動きを鈍らせるわー。
そこに手裏剣や彼岸花で遠距離から攻撃を仕掛けていくわ。
折角のソロダンスだけど踊れなかったら何の効果もないわよね?

捨て身になってるのなら、風の圧力に負けまいと無理してでも踊ろうとするかもだけど、そのタイミングで風を解除したら余計に力のこもった貴女のステップはどうなるかしら?

相手がバランスを崩したら、そこに全力の一撃を叩きこむわねー。
「こういう状況じゃなかったらのんびり踊る姿見せて欲しかったかもねー」
パ・ド・ドゥだからおねーさんは相手になれないのが残念ねー。


ファラン・ウルフブラッド
クハハハハ!!十字軍?クルセイダー?知らねぇなぁ!!神の使途を騙る俗物の糞共だろうがよォ!

オレは神なんざ信じねぇ!オレが信じるのは金に地位に名声!それを与えてくれるお宝と、それを信じるオレ自身よ!!さぁいくぜクソッタレの狂信者共!オレの奴隷にならねぇなら、全員壁や地面の染みにしてやるぜ!

手に持ったバルムンクを【怪力で振り回し、範囲攻撃と衝撃波、殺気を振り撒き、恐怖を与え】ながら片っ端から叩き斬ります。

そこに慈悲はなく、そこに救いもない。狂信者は殺す、すべからず殺す!目的はそれだけだ!



 魔空原城の一角を占めたエリアである踊り場の星屑の少女達はすでに多くはない。だがその顔に悲愴な表情はなく、ただぱらいそ預言書の通りに死ねることに喜びすら感じていた。
「ああ、猟兵達を道連れにすることで」
「わたし達は救われる。星屑でもなく、アリスでもなく、救われる」
 その想いと妄執こそ、信仰の恐るべきであることか。生命は終わりであるにも関わらず、本来の星屑の少女達さえも歪めてしまうもの。
 ぱらいそ預言書が作り出した教えと、秘術「魔軍転生」もどきが生み出した亡霊達の御業ともいえるのか。だが蹂躙する者達にとっても、それは関係のない話であろう。
「クハハハハ!! 十字軍? クルセイダー? 知らねぇなぁ!! 神の使徒を騙る俗物の糞共だろうがよォ!」
 下品な笑いと共に海賊商人たるファラン・ウルフブラッド(紅嵐の航海者.EX・f03735)は星屑の少女達を笑い飛ばす。欲望こそ人の業と言わんばかりに、略奪こそ人の本性と言わんばかりに信仰などという者を笑い飛ばす。
「オレは神なんざ信じねぇ! オレが信じるのは金に地位に名声! それを与えてくれるお宝と、それを信じるオレ自身よ!!」
 まさしく海賊たる論理。神は金を与えてくれるのか。地位や名声を齎してくれるのか。宝という煌びやかなモノに変わるものなのか。
 否、断じて否である。ファランは故に神を拒絶する。信じて救われないものなどより、己自身がそれらを齎すものだと信じて、ただ己が道をまい進する。それこそが、ファラン・ウルフブラッド。
「さぁいくぜクソッタレの狂信者共! オレの奴隷にならねぇなら、全員壁や地面の染みにしてやるぜ!」
 ファランの手に持つのはウルフブラッド王家に伝わる黒き神剣バルムンク。禍々しさすら感じさせるオーラを刀身に宿しながら、ソロダンスを披露して力を上げようとしている星屑の少女達を片っ端から両断していく。
 さらにバルムンクを持つファランの身体にも変化が生じる。ドラゴンにあるであろう角と尻尾が生え、身体も巨大化していく。これこそ能力「龍殺しの歌(ジークフリート)」、龍殺しの英雄の姿である。
「狂信者は殺す、すべからず殺す! 目的はそれだけよ!」
 強烈な龍の殺気をまき散らし、身体が硬直した星屑の少女を容赦なく叩き斬っていくファラン。そこに慈悲はなく、救いも一切ない。
 恐怖に苛まれない死こそ救い。蹂躙こそが救済と言わんばかりに圧倒的な暴力を振るっていく龍の化身。強欲なる龍はやがて動く者がいなくなるまで肉塊を作り続けるのだろう。

「本当に略奪が好きよねー……」
 そんな知り合いの姿を見ながら緋奈森・鈴音(火に願う華・f03767)が憂いを帯びた視線で、踊っている星屑の少女達を見据える。ファランだけに向かうのが敵というわけではない。それほどの数はまだいるというわけだ。
「星屑って見てる側はロマンチックだけどー。星屑自身は何か思うのかしらねー」
 星屑の少女達の華麗なるソロダンスを見ているのは美しさを感じる。可愛いものに目のない鈴音ならばなおさらであろう。
 だがそれを許していては油断となり、思わぬ落とし穴に嵌るかもしれない。その点はしっかり考えている鈴音は指をパチンッと鳴らす。
「折角のソロダンスだけど踊れなかったら何の効果もないわよね?」
 その瞬間、星屑の少女達は急な息苦しさを感じ、動きが鈍くなる。まるで急に標高の高い山に連れ去れたような内臓の圧迫感を感じたからだ。
 その原因は鈴音が能力「トリニティ・エンハンス」の風の魔力操作で、気圧を高めたからだ。その動きが鈍った姿はまさしく格好の的、鈴音の手裏剣や巨大手甲「彼岸花」の餌食である。
「悪いとは思うけど、おねーさんも必死だからね?」
 そう言いながらも動きの鈍った星屑の少女の額に的確に手裏剣を叩き込み、彼岸花の巨腕が容赦なく叩き潰す。だが踊り切れば能力が向上し、せめて道連れにできると少女達はダンスを強行する。
 だがそんな姿を見て悪戯っぽく笑う鈴音の本性は小悪魔であった。
「風の圧力に負けまいと無理してでも踊るのは立派だけど、風を解除したら余計に力のこもった貴女のステップはどうなるかしら?」
 まさに力を込めて無理矢理動こうとしたタイミングで風の魔力を解除する鈴音。そうすればどうなるかなど、語るまでもないだろう。
 バランスを崩した星屑の少女達は転倒し、ソロダンスは中断される。そしてその隙を見逃さずに鈴音は距離を詰めて彼岸花による拳で血の花を咲かせる。
「パ・ド・ドゥだからおねーさんは相手になれないのが残念ねー」
 全力の一撃をもって葬る。鈴音の容赦のない連撃は止まることを知らずに、それでも抵抗しようとする星屑の少女達の命を散らしていった。
 そんな悲しき存在と成り果ててしまった鈴音は少し残念そうにその顔を見る。攻撃の手は一切緩めることはせずに、呟く。
「こういう状況じゃなかったらのんびり踊る姿見せて欲しかったかもねー」

 ファランと鈴音が戦い終える頃には星屑の少女達が踊る姿はなかった。狂信者となった彼女達に降伏も撤退もない。ただその命果てるまで猟兵を殺すという使命を全うし終えたのだ。
 その魂がぱらいそ預言書の記されている通り、救いとなるかはわからない。だがファランは否定し、鈴音もまた首を縦に振らないだろう。信仰で本当に救われるとは限らないのだ。
 だからこそ猟兵達は進み続けるだろう。本当にアリスラビリンスを救う為に戦い続け、元凶となるオウガ・オリジンを、その力を利用する猟書家達を倒すまでその歩を止めることはない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月02日


挿絵イラスト