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迷宮災厄戦④〜デフォルメロボット・ワンダーランド(作者 高天原御雷
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●愉快なデフォルメロボットたち
「皆さん、アリスラビリンスの戦争、迷宮災厄戦(ラビリンス・オウガ・ウォー)が開始されました!」
 グリモアベースで猟兵たちに向かって声を上げるアイ・リスパー(f07909)が、いよいよ開始されたアリスラビリンスでの戦争『迷宮災厄戦』についてのミッション説明を開始する。
 アイは手元のホロキーボードを操作すると、中空にアリスラビリンスの『大きな愉快な仲間のいるところ』という不思議の国の一角を映し出した。
「この不思議の国には不思議な力が働いていまして、『愉快な仲間』の皆さんの身長を二倍にし、さらに『背中にチャックのついた着ぐるみ』にしてしまうのです」
 三次元映像が拡大されると、現地に住む『愉快な仲間』たちの姿が表示される。

 ――その『愉快な仲間』たちは、デフォルメされたようなロボットの姿をしていた。

「ええ、不思議の国のこの一角には、元々デフォルメされたロボットのような姿の『愉快な仲間』の集落があったのです。彼らは戦争の影響を受けて、身長が二倍になり、背中にチャックのついた着ぐるみになってしまっています」
 だが、そんな『愉快な仲間』たちが暮らす集落にもオウガの魔の手が迫っていた。

 立体映像が切り替わって表示されるのは、これもデフォルメされているが凶悪そうな『愉快な仲間』の着ぐるみだった。全身が真っ黒なデフォルメロボットの着ぐるみだ。
「漆黒の機体の名前は『シュヴァルツ』。彼は元々、地元のチョイ悪な『愉快な仲間』だったのですが、着ぐるみ化したところをオウガに無理やり乗り込まれ、悪の手先として利用されているのです」
 オウガは自らを伝説の魔王だと思い込み、魔王のロボット『シュヴァルツ』の力で善良な『愉快な仲間』たちを支配しようとしている。
 このオウガを倒し『愉快な仲間』たちに平穏を取り戻さなければならない。
「幸い、着ぐるみに対するダメージはすべて中の人に通りますので、『愉快な仲間』である『シュヴァルツ』さんが傷つく心配はありません。本気で攻撃してオウガを倒してしまって大丈夫です」
 オウガを倒せば、支配されていた『シュヴァルツ』も正気に戻り、元のチョイ悪としての生活に戻ることだろう。

「ですが、問題は『シュヴァルツ』さんに乗り込んだオウガがパワーアップしていることです」
 元々は能力に疑念を生じると弱体化する程度のオウガなのだが、『シュヴァルツ』に乗ることによって自分が選ばれし魔王だと思い込んでしまっているため弱点を突くのは難しい。さらに魅了の魔眼も10倍に強化されているため、レベル100までの相手を魅了可能だという。
「このオウガに対抗するための方法はただひとつ。猟兵の皆さんも、地元のデフォルメロボットの『愉快な仲間』の皆さんの力を借りることです」
 事情を説明すれば、着ぐるみになったデフォルメロボットの『愉快な仲間』たちは喜んで力を貸してくれる。その背中のチャックを開けて内部に乗り込み、『シュヴァルツ』に乗るオウガと戦うのだ。それにより、猟兵の戦闘力は数倍にパワーアップするので、オウガとも互角に戦うことができる。
 なお、ダメージは『愉快な仲間』ではなく猟兵が直接受けることになるので『愉快な仲間』が傷つく心配をする必要はない。

「それでは、皆さん、どうかアリスラビリンスをよろしくお願いしますね」
 そう言うとアイは猟兵たちを戦場に転移させるのだった。


高天原御雷
 このシナリオは「戦争シナリオ」です。1章で完結し「迷宮災厄戦」の戦況に影響を及ぼす特殊なシナリオとなります。

 オープニングをご覧いただき、どうもありがとうございます。高天原御雷です。
 アリスラビリンスの戦争が始まりました。他の世界にも影響を与える戦争ということで、思った以上に大掛かりで驚いているところです。
 とはいいつつも、『デフォルメロボットに乗ってバトルしましょう!』という趣味に走ったシナリオになります。(着ぐるみですが)
 魔神な英雄伝とか、SDな機動戦士とか、スーパーなロボットの大戦とか、そういうデフォルメロボに乗って戦うイメージです。
 以下、詳細です。

●目的
 オウガ『力に溺れた少年』の撃破。
 オウガは『シュヴァルツ』に乗り込むことでパワーアップしています。また、ユーベルコードの他に状況に応じて『シュヴァルツ』の様々な武装を使ってきます。
 攻撃しても『シュヴァルツ』にはダメージは入りませんのでご安心ください。

●プレイングボーナス
 着ぐるみ化した『愉快な仲間』に乗り込んで戦うとプレイングボーナスが得られます。
 『愉快な仲間』にはダメージは入らないのでご安心ください。

●『愉快な仲間』について
 意思を持ったデフォルメロボットが着ぐるみ化した『愉快な仲間』たちです。
 色々な『愉快な仲間』がいますので、プレイングで外見や名前、性格、武装などを指定していただけば描写に反映します。
 空を飛ぶとかビームライフルを装備しているとか変形するとか合体するとか、自由に設定していただいて構いません。

 『愉快な仲間』に乗り込んでも、ユーベルコードは従来通りに使用可能です。また『愉快な仲間』の武器からユーベルコードを放つなどしてもOKです。

 なお、種族『愉快な仲間』の猟兵(PC)も、着ぐるみ化の対象です。
 他の猟兵(PC)が中に入るという共同プレイングもOKですし、デフォルメロボットの『愉快な仲間』と合体するとかアーマーのように纏うというようなプレイングもOKです。

 それでは、どうぞよろしくお願いいたします。
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第1章 ボス戦 『力に溺れた少年』

POW ●ドラゴンの力を秘めた、無双の魔剣
無敵の【魔剣『ドラグカイザー』】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
SPD ●魔法創造
無敵の【魔法】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
WIZ ●魅了の魔眼
【両眼】から【レベル10未満の女性だけを魅了する呪詛】を放ち、【自身に対して、強い恋愛感情を抱かせる洗脳】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はフェル・カーモルトです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 アリスラビリンスの『大きな愉快な仲間のいるところ』という国の一角を、ミサイルやビームライフル、大剣などの武装で禍々しく武装した漆黒のロボットが威風堂々と歩みを進めていた。
『ふははは! 魔王である僕とその愛機シュヴァルツが揃った今、たとえ勇者であろうとも敵ではない!』
 鋭角なフォルムをした漆黒の機体――『シュヴァルツ』から、操縦者であるオウガの少年が勝ち誇ったような哄笑を響かせる。
 その声に驚いたように森の鳥たちが一斉に飛び立ち、周囲に静寂が落ちる。
 『シュヴァルツ』に乗り込んでいるオウガこそ、この世界に絶望をもたらさんとする『猟書家』の尖兵なのだ。

 なお、この一帯に住む愉快な仲間たちは二頭身デフォルメロボットである。当然、地元でちょいワルとして有名な『シュヴァルツ』も、二頭身デフォルメロボットだ。さらに、今は『猟書家』の力によって、この国の愉快な仲間たちは身長が二倍の着ぐるみ姿となっていた。
 つまりオウガの少年は、全高4メートル弱の漆黒のデフォルメロボットの着ぐるみの中に入っている状態で、ぽてぽてと森の中を闊歩し、高笑いをしているのであった。

 ちなみに、彼のセリフが『』で書かれているのは、ロボットの通信越しのセリフという意味ではなく、単純に着ぐるみの中からの声でくぐもっていることを表現しているので、ご理解いただきたい。
星群・ヒカル
ふふふ、無敵の魔法だろうと怖くはない
このおれと共に戦う彼のことを紹介しよう
「コメットくん」だッ!(白い機体に青のラインが映えるロボ)
しかもただのコメットくんではない!足元をよく見るといい
そう、バランスをうまくとっておれの宇宙バイク『銀翼号』に『騎乗』しているのだッ!!
今や彼は超宇宙コメットくん!魔王に負ける道理なし!

と一通り啖呵を切り、『ゴッドスピードライド』を発動
ここまで言ったらおそらく敵も対抗して啖呵を切り出すだろうから、敵の魔法発動タイミングは分かりやすくなる
発動より早く銀翼号で接敵し、「超宇宙コメットくん居合斬り」をキメるぞ!
(コメットくんのビームサーベル的な武器でズバッと)


●超宇宙ロボ
 魔王が向かってきているという報を聞き、デフォルメロボットの愉快な仲間たちは混乱に陥っていた。突如、自分たちの身体が着ぐるみに変化してしまった上にオウガが現れたと聞けば仕方のない反応と言えるだろう。
 だが、愉快な仲間たちの中には諦めない勇気を持った者たちがいた。

 白を基調としたスリムな二頭身ボディに、青いラインが映えるデフォルメロボットの『コメットくん』も勇気を持つ愉快な仲間の一人だ。
 青い髪を後ろで縛った銀色の瞳の高校生、星群・ヒカル(超宇宙番長・f01648)が『コメットくん』の中から声をかける。
『協力してくれて助かったぜ、コメットくん!』
『気にするなヒカル。これは俺たちの集落の問題でもあるからな』
 『コメットくん』が正義感に溢れた熱い魂を感じさせる声でヒカルに答えた。
 ヒカルは着ぐるみになった『コメットくん』に頼み、その中に入らせてもらっているのだ。
『コメットくんとなら、伝説の魔王だろうと敵じゃないぜ!』
『ああ、俺も頼りにしているぞ、ヒカル』
 意気投合した二人は、魔王を迎撃するため、ヒカルの愛車『銀翼号』に二頭身のボディで器用に跨ったのだった。


 森の広場に、甲高いエンジン音が木霊した。
 まるでまっすぐに向かってきているように徐々に大きくなるエンジン音を聞いたオウガが『シュヴァルツ』の中で耳を澄ますと、その音源が森の木々を突き抜けてオウガの前に姿を現した。
『見つけたぜ、魔王!』
 銀翼号に跨った『コメットくん』の中からヒカルが声を上げ、ビシリ、と二頭身の腕で『シュヴァルツ』を指差す。
『この僕を魔王と知りながら、わざわざ死にに来たのかい?』
 突然現れた白と青のカラーリングのロボットに対してオウガが自信満々な声を放つが、ヒカルは怯まない。その程度で怯んでいるようでは、宇宙を超える番長――超宇宙番長は名乗れないのだ。
『ふふふ、おれとコメットくんのコンビなら、無敵の魔法だろうと怖くはないぜ』
『ほう、それは聞き捨てならないセリフだな』
 『コメットくん』と『シュヴァルツ』、白と黒の二機の二頭身ロボットの間で視線が交錯し火花が散った。
 森の広場に、銀翼号のエンジン音だけが響いている。――そう、『コメットくん』が跨る銀翼号のエンジン音が。
『見ろ! コメットくんはただのコメットくんではない! おれの宇宙バイク銀翼号を乗りこなす超宇宙コメットくんだ! 魔王に負ける道理なし!』
 ヒカルは魔王を名乗るオウガに対して、堂々と啖呵を切ったのだった。

『面白い、ならば僕の無敵の魔法を味わってあの世に行くがいい!』
 『シュヴァルツ』の二頭身の両腕の先に、まるで太陽を思わせるような灼熱の炎の玉が浮かび上がり、周囲に激しい熱波を巻き起こす。
 オウガの生み出した魔法を見て、ヒカルの乗る『コメットくん』が焦りをあらわにして呟いた。
『くっ、魔法を放つ前からこの威圧感とは……』
 あの炎の玉が炸裂したら、たとえコメットくんの超耐熱ボディでも耐えられる保証はない。
 しかし、ヒカルは冷静に答える。
『大丈夫だ、あれだけの啖呵を切ったんだ。相手は真正面から魔法を撃ってくるはず。魔法の発動のタイミングさせ分かれば避けるのは難しくないぜ』
『なるほど。わざわざ敵を挑発したのはそのためか。わかった、ヒカルに命を預けよう!』 
 『シュヴァルツ』の動きを凝視し、ヒカルは魔法の発動のタイミングを測る。
 炎の玉から発せられる熱でヒカルの額に汗が流れるが、それを拭いもせず、ただひたすら敵の呼吸を読む。
 ヒカルの顎から、一滴の汗が垂れ落ちた瞬間――。

『さあ、僕の無敵の魔法を受けてみろっ!』
『いまだっ!』
 『シュヴァルツ』から炎の玉が撃ち出されるのと、ヒカルが【ゴッドスピードライド】を発動させたのは同時だった。
 銀翼号が高速形態に変形し、その後部スラスターから激しいジェットが吹き出した。
 超加速した銀翼号は、飛んできた炎の玉をスレスレで回避し、『シュヴァルツ』に肉薄する。
『バカなっ!?』
 オウガの驚愕の声が漏れ――。
『今だ、コメットくん! ここでキメるぞ!』
『応! 必殺、超宇宙コメットくん居合斬りぃぃ!!』
 『コメットくん』がビームサーベルを抜きつつ『シュヴァルツ』の横を通り過ぎ――。
 遥か遠方でオウガの魔法が炸裂するのと同時に、ビームサーベルで斬られた『シュヴァルツ』が二頭身の脚の膝をつくのだった。
大成功 🔵🔵🔵

雛菊・璃奈
世界の危機だけど、見た目はなんだかほのぼのするね…。

わたしに協力してくれたのは近接型ロボの『シュベルト』くん…。
彼(彼女?)と頑張るよ…。

わたしの魔剣達も力を貸してくれるしね…。

敵の魔法をアンサラーの反射【呪詛、カウンター、オーラ防御、武器受け、早業】で跳ね返しつつ接近…。

【九尾化・天照】の封印解放で金ぴかに…。はいぱーもーど的な…?
【天照】の効果で光速化して敵を翻弄し、【呪詛】を纏った光速剣でダメージを与えていき、シュベルトくんとの必殺技、ハイパーカース斬り(命名:さっき)で切り捨てるよ…。


(魅了の魔眼で見られて)…ごめん、タイプじゃないから…(【オーラ防御、呪詛耐性】で防ぎ、ペコリ)


●騎士ロボ
『私たちの集落を守るのに、力を貸してくれるというのですか?』
 一振りの長剣を携えた騎士のような姿の二頭身ロボット『シュベルト』が、銀髪の妖狐の少女、雛菊・璃奈(魔剣の巫女・f04218)に声をかけると、魔剣の巫女である少女は無感情に見える表情のまま、言葉少なに頷き返した。
『オウガは共通の敵。一緒に頑張ろう……』
 一見、無気力気味に喋る璃奈だが、この喋り方は彼女の普段通りのものであり、むしろその言葉にはオウガから愉快な仲間たちを守ろうという強い意志が感じられる。
『それでは、どうぞ中へ、我が主』
 璃奈が背中を向けてくれた『シュベルト』の背中のチャックを開けて二頭身の機体の中に入り込むと、『シュベルト』の騎士のように精悍なロボット顔の瞳に緑の光が灯り、戦闘機動状態に移行する。
 そして璃奈を乗せた『シュベルト』は、魔王を迎撃するために出撃した。

 ――二頭身のデフォルメロボットの着ぐるみ姿で、ぽてんぽてん、と歩きながら。

『世界の危機だけど、見た目はなんだかほのぼのするね……』
 璃奈は着ぐるみの中で、ぽつりと呟いたのだった。


 愉快な仲間たちの集落に向けて侵攻してくる漆黒の二頭身ロボット『シュバルツ』に乗ったオウガが、目の前に立ちはだかった騎士のようなデフォルメロボットに向かって尊大な態度で言葉を放つ。
『くくく、魔王である僕の行く手を阻むとは、その不敬、死をもって償う覚悟はあるのだろうな?』
『くっ、これが魔王だというのですか!? なんという禍々しいオーラ!』
 魔王の乗る『シュヴァルツ』と対峙した騎士ロボット『シュベルト』だが、魔王の圧倒的なまでの威圧感に気圧されて、構えた長剣の切っ先が震えていた。本来、ボス級オウガに太刀打ちすることのできない、ただの愉快な仲間である『シュベルト』にとって、それは仕方のないことだろう。
 だが、『シュベルト』に璃奈の心強い声がかけられる。
『大丈夫、わたしがいるから……。それにわたしの魔剣達も力を貸してくれるしね……』
『璃奈殿……! わかりました、この剣、貴女に捧げましょう! 騎士シュベルト、参ります!』
 長剣を構えた騎士『シュベルト』が距離を一気に詰めその鋭い刃を振り下ろすと、魔王の乗る黒き機体『シュヴァルツ』もまた腰の魔剣を引き抜き一閃する。

 キィンという甲高い金属音が周囲に響き渡り――真ん中で断ち斬られた『シュベルト』の長剣の刃が遠くの地面に突き立った。

『そんな、私の剣が……!?』
 驚愕の声を上げる『シュベルト』に向けて『シュヴァルツ』がゆらりと剣をかざすと、魔王が勝ち誇ったような声で言い放つ。
『ふははは、これは僕の最強の魔剣ドラグカイザーだ! ドラゴンをも倒す無双の魔剣に、そのような無銘の剣がかなうわけなかろう! さあ、僕の最強魔法でもがき苦しみながら死ぬがいい!』
 『シュヴァルツ』は、二頭身の両腕を前に突き出すと、その先端に巨大な火球を生み出した。
 魔王が創造せし無敵の破壊魔法が渦を巻いて火炎を撒き散らし、周囲の温度を徐々に高めていき――その火球が『シュベルト』に向かって解き放たれた。

『くっ、ここまでかっ!』
『いえ、まだよ……。これを使って……』
 『シュベルト』の手に、璃奈の持つ『魔剣アンサラー』が巨大化して現れる。
 アンサラーは敵の攻撃を跳ね返し報復をおこなう魔剣だ。
『これなら! はあっ!』
 気合の声とともに『シュベルト』がアンサラーを一振りすると、迫ってきていた火球を明後日の方向に弾き飛ばした。
 彼方で起こる爆発を聞きながら、魔王が舌打ちする。
『くっ、小賢しい!』
 魔王は火球の魔法を連発してくるが、『シュベルト』はアンサラーでそれをことごとく弾き飛ばしていく。

 だが、連発される魔法を弾くのが精一杯で、『シュベルト』もその場を動くことができない。
 『シュヴァルツ』の着ぐるみの中でにやりと笑った魔王が、さらに火球の数を増やし、空中に数え切れないくらいの炎の玉が浮かび上がった。
『くくく、このまま押し切ってくれる!』
『さすがにこの数は捌ききれないっ!』
 ロボットアイ全面を埋め尽くす火球の魔法を見て、『シュベルト』が絶望の声を上げたその時。
 璃奈が力強い声を放った。
『準備できたよ……。我らに仇成す全ての敵に太陽の裁きを……封印解放……!』
 璃奈の【九尾化・天照】が発動する。
 それは本来は璃奈の封印を解き、彼女を金髪金毛の九尾の姿へと変化させるもの。
 だが、今、その効果は璃奈が乗り込む『シュベルト』の力を解放するものとなっていた。
 『シュベルト』の二頭身ボディが金色の光に包まれ、まるで太陽のような眩いばかりのオーラを纏っていく。その背中には、九尾の代わりに璃奈が持つ九本の魔剣が放射状に展開された。
『こ、これは……!? 身体の底から力が湧き上がる……!!』
『ふっ、今さら何をしても遅いわっ!』
 魔王は問答無用とばかりに無数の無敵魔法を解き放った。
 まるで流星雨のような火球の雨が回避不能と思われる密度と速度で『シュベルト』へと降り注ぐ。
 数え切れないほどの火球が地面に着弾。辺り一帯を爆風が吹き荒れた。

 ――爆煙が収まった時、そこには璃奈と『シュベルト』の姿は残っていなかった。

『くははは、口ほどにもない! 我が無敵魔法で塵と消えたか!』
『そう思い通りに行くとは思わないことですねっ!』
 哄笑する魔王の背後に、金色のオーラを纏った『シュベルト』の姿があった。当然、中の璃奈も一緒だ。
 突然、背後からかけられた声に、魔王の乗る『シュヴァルツ』が慌てて振り向く。
『バカなっ!? 僕の魔法を耐え抜いたというのかっ!?』
『いえ。ただ避けただけよ……。光の速さでね……』
 狼狽する魔王に、さも簡単そうな口調で璃奈が告げるが、それを実現するのがどれだけ困難なことかは明らかだ。
『おのれ、おのれ、おのれぇっ!』
 魔王は無闇に魔法を乱打するが、光速で動くことのできる『シュベルト』は、それを容易にかわして魔王の乗る漆黒の機体の目の前に姿を現した。
『行くぞ、魔王よっ!』
 金色のオーラを纏った『シュベルト』は、背中に展開した剣の中から翼状の一対の双剣を抜き放ち、『シュヴァルツ』に斬りかかる。
『くうっ』
 その一撃は、『シュヴァルツ』の持つドラグカイザーを弾き飛ばし、彼方の地面へと突き刺した。
 丸腰となった『シュヴァルツ』に魔法を使う余裕を与えないよう、璃奈が『シュベルト』に指示を出す。
『シュベルトくん……光速剣の必殺技、ハイパーカース斬りで切り捨てるよ……』
『璃奈殿、承知っ! 必殺! 光速剣!! ハイパー・カース・斬りーーーッ!!』
 光を束ねた剣が『シュヴァルツ』のボディを斬り裂く。
『ぐっ、ぐああああっ!』
 乗り込んだ『シュヴァルツ』を斬られた魔王がダメージを受け、苦痛に満ちた悲鳴が轟いた。

 ――だが、まだ魔王は倒れていない。

『くっ、かくなる上は!』
 魔王は『シュベルト』に乗る璃奈に向かって魅了の魔眼を発動する。
 視線を向けただけで効果を発動する魔眼ならば、相手が光速で動けようとも避けることはできない。
 魔王はあらゆる女性を虜にする言霊を璃奈に向けて放った。
『さあ、僕に惚れて下僕となるがいい!』
『……ごめん、タイプじゃないから……』
 璃奈は魔剣や妖刀を祀り鎮める魔剣の巫女だ。そのため、家系的に魔剣や妖刀に好かれやすいので、当然、その対処として呪詛の類への高い抵抗力を持っている。
 魔王の魅了の魔眼の魔力など、危険な魔剣や妖刀に比べれば大した脅威ではなかった。
『そんな……この僕の魅力が通用しないなんて……』
 璃奈によってバッサリ斬られた魔王は、心に深い傷を負ったのだった。
大成功 🔵🔵🔵

シスカ・ブラックウィドー
牙がビームサーベルになってるサーベルタイガー型着ぐるみに搭乗

ぬいぐるみをいじめる奴は許せない!
みんな、ボクに力を貸してくれ! シュヴァルツ君は必ず連れ戻してみせる!
愉快な仲間にボクを載せてもらおう。よし、そこのサーベルタイガーっぽい子で!

敵に近づけたらコックピットから身を乗り出して姿を見せよう。魅了を使うように挑発する。

「確認するよ! 魅了の魔眼はあらゆる女性に効くんだな? お前の魔力は完璧なんだな?」

フッ。そんな魔眼、ボクには全く効かないね。精神的ダメージを与える為、鼻で笑ってこっぴどく振ってあげよう。
「ごめん。生理的にムリ」

ショックを受けたところを攻撃だ!
本物の魔王の力を見せてやれ!


●ハニーチョコレートトラップ
「ぬいぐるみをいじめる奴は許せない!」
 金髪紫眼のダンピール、シスカ・ブラックウィドー(魔貌の毒蜘蛛・f13611)の声が愉快な仲間たちの集落に響き渡り、愉快な仲間たちが何事かと顔を見合わせた。自宅をぬいぐるみで一杯なぬいぐるみ御殿にするほどのぬいぐるみ好きで、ぬいぐるみたちを操る人形遣いでもあるシスカにとって、着ぐるみとなった愉快な仲間を悪用し、あまつさえ着ぐるみになった愉快な仲間たちの集落を襲おうとしているオウガを許すことはできなかったのだ。
 怒りに燃えるあまり瞳の色を赤く変化させたシスカは、背中が大きく開いたエメラルドグリーンのロングスカートワンピースの裾を揺らしながらグレーのパンプスの踵を踏み鳴らし、大きな声で叫んだ。
「みんな、ボクに力を貸してくれ! シュヴァルツ君は必ず連れ戻してみせる!」
 あまりの剣幕にたじろいだ愉快な仲間たちの沈黙が周囲に落ちる。
 頭の両サイドで小さなツインテールを作り、残りを腰まで流した黄金の絹のようなシスカの長髪が風に流れた。
「……わかった、もういい! ならボクだけで行く!」
 ザッ、と踵を返したシスカ。
 だが、歩き出そうとしたところで突如、襟首をひょいと咥えられ、気がつけば一体の着ぐるみの上にぺたんと座り込んでいた。
『ガルルル』
「そっか、君はボクに協力してくれるんだね! よし、一緒に行こう!」
 シスカはサーベルタイガー型ロボットの愉快な仲間の上でその首筋を優しく撫でる。
「えっと、ここに入ればいいのかな?」
 サーベルタイガーの後頭部にあるチャックを開けてシスカが中に入るのと同時に、サーベルタイガーは魔王に向けて駆け出した。

 ――二頭身の虎の着ぐるみは、ふわふわぽよぽよした肉球で大地を蹴りながら、シスカが自分で走ったほうが速いくらいの速度で魔王が待つ森へと向かっていったのだった。


『がぅ……がぅ……』
『き、君、大丈夫?』
 全力疾走(だけどシスカが走るより遅い)したサーベルタイガー君が息を切らしながらも、魔王の乗る『シュヴァルツ』の前に到着した。
『ありがとう、あとはボクに任せて休んでて』
 シスカはサーベルタイガーの着ぐるみに優しく声をかけると、チャックを開けてコックピット――着ぐるみの中から身を乗り出した。
「よっこいしょっと。ふぅ、着ぐるみの中は暑かったな……」
 サーベルタイガーの後頭部から抜け出し、その背中に腰掛けるシスカ。
 森を吹き抜ける爽やかな風がシスカの全身を撫で、金髪とロングスカートを揺らす。汗ばんだ全身に当たる風が心地良い。
 まさに国民的スタアであるシスカらしい、一枚の絵画のような光景だった。

『おお、これぞまさに女神……!』
 『シュヴァルツ』の中から魔王のオウガの声が響く。
 先程、魅了の魔眼が通じずに心に大きなダメージを受けた魔王にとって、目の前に現れたシスカは、まさに女神のような存在だった。こっぴどく振られたことを一瞬で忘れ、魔王はシスカに目を奪われる。
 自分は選ばれし存在で、モテるイケメンだと錯覚しているオウガの少年だが、彼女いない歴=年齢だ。――骸の海にたゆたっていた時間を含めると、きっと、ものすごい時間になることだろう。
 そんな少年の前に女神のようなシスカが現れたのだ。
 魔王を自称する少年はシスカのアメジストのような瞳と、汗でうっすらと透けるエメラルドのワンピースをじっと見つめ、無意識のうちに叫んでいた。

『女神よ! 僕と結婚してください!』
「はぁっ!?」

 魔王の突然の告白に、シスカは思わず呆れた声を出してしまった。
 シスカと『シュヴァルツ』に乗った少年の間に気まずい沈黙が降りる。
『おっと、失礼。思わず本音が出てしまった。だが、君はさっき僕を振った巨乳とは違う! その慎ましやかな胸! それこそ女神に相応しい謙虚さの証! 魔王の后になるのに相応しい!』
「ふぅん? それで告白のつもり? 告白するならロマンチックな雰囲気の一つでも作るべきじゃないかな?」
 金髪をかきあげながらシスカは魔王に冷たい視線を送る。
 だが、仕方がないのだ。これまで幾度となく女性に告白しては振られてきたオウガの少年だ。ロマンチックな告白ができるくらいなら、とっくに彼女ができて成仏しているに違いない。

『そうか……。残念だな。せっかくこの僕が誠心誠意口説いているというのに……。こうなったら僕の魅了の魔眼で無理矢理にでも惚れさせてやろう! この魅了の魔眼に抵抗できる女性は存在しない!』
「確認するよ! 魅了の魔眼はあらゆる女性に効くんだな? お前の魔力は完璧だな?」
 シスカの問いかけに、先程の魅了が効かなかった一件を思い出し、一瞬沈黙する魔王。
 だが、あれは相手が着ぐるみに入っていたためだ。目の前の女神は生身。これならレベル100までの女性を魅了する魔眼(自称)が効かないはずがない。
『無論だ! さあ、僕の魅了の魔眼に隷属するがいい!』
 オウガの少年の両眼から、魅了の呪詛が放たれる。

 魔王の視線がシスカを捉えると同時に、その瞳からふっと意思の光が消え、先程までの勝ち気な態度が鳴りを潜めた。
 シスカはまるで貞淑な少女のようにサーベルタイガーの背中から降り、魔王に向かって上目遣いで言葉を紡ぐ。
「……ご主人さま、ボクのこと、大事にしてくれる?」
『ふははは! 口ほどにもない! 当然だ、この僕が一生可愛がってやろう! さあ、まずは誓いの口付けでもしてもらおうか!』
 魔王がガッツポーズをしながら勝ち誇った笑い声をあげた。
 シスカは、おずおずと魔王の乗る『シュヴァルツ』に近づいていく。
『おっと、これではキスしてもらうこともできんな』
 魔王たるオウガの少年は『シュヴァルツ』のチャックを開けて外に出てくると、鼻の下を伸ばした満面の笑みで両手を広げてシスカを受け入れようとし――。

「ごめん。生理的にムリ♪」

 女神のような可憐な表情でシスカは少年を鼻で笑い拒絶した。
 ――シスカの言葉に魔王の少年が、ピシリ、と石のように固まる。
 その隙を見逃すシスカではない。
「さあ、ショコラ! 本物の魔王の力を見せてやれ!」
「くくく、仕方ないな、坊や」
 シスカによって呼び出されたのは、チョコレートを操る魔王である【悪魔王ショコラ】だ。
 ショコラは両手の間に大量のチョコレートを召喚しながら、オウガの少年に言い放つ。
「ふむ、お主が自称魔王か。じゃが、魔王を名乗るなら、もう少し眼力を鍛えるべきじゃったな。この坊やが男の娘だと気付く程度には、な」
 振られたショックでショコラの声も耳に届かないまま、オウガの少年はチョコレートの津波に巻き込まれ『シュヴァルツ』とともに流されていったのだった。
大成功 🔵🔵🔵

紫・藍
レベル100までの女性だけを魅了する魔眼、でっすかー。
ではではレベルを問わず性別問わず魅了するステージをお魅せしちゃうのでっす!
デュエットしていただくのは特別ゲスト、『ゆーちゃん』でっす!
とってもファンシーなギタリスト、SDロボコーデもばっちりなのでっす!
その上で、必殺のステージ落とし!
ぶち当てるのも良いのでっすが、いつもの築城強化も一味違うのでっしてー!
なんと今回はゆーちゃんとステージが合体するワールド・イズ・アイ&ゆーなのでっす!
ステージが変形して鎧ドレスになるグレート合体というやつなのでっす!

……あや、魅了の魔眼、でっすかー?
いえいえ藍ちゃんくんもゆーちゃんも男の子でっすのでー!


●少年たちの純情
 チョコレートの洪水に流されてきた魔王であるオウガの少年と、黒き二頭身ロボの着ぐるみ『シュヴァルツ』。
「ずいぶんと流されてしまったか……」
 魔王が周囲を見回すと、そこにハイテンションな声が響き渡った。

「藍ちゃんくんのステージにようこそでっすよー!」
 声の主は、紫の瞳に藍色の長髪をなびかせた紫・藍(覇戒へと至れ、愚か姫・f01052)だ。
 ミニスカートのステージ衣装を着て、マイクとエレキギターを持った藍が立っているのは、一段高くなった岩の上。そこがステージということなのだろう。
 藍がチャームポイントであるギザギザの歯を見せてにこりと笑う。

 まさにアイドルといった雰囲気の藍を見て、魔王たるオウガの少年が口を開いた。
「可憐だ……」
「おお、おにーさん、藍ちゃんくんの魅力が分かるとは見る目がありまっすねー! けど、今日のステージは藍ちゃんくんだけのオンステージではないのでっす! なんと特別ゲストをお招きしてまっす! さあ、特別ゲストのゆーちゃん、どうぞっ!」
 藍が草むらに向かって手招きをすると、そちらからか細い声が聞こえてきた。
『あ、あの、本当にこの格好でいかないと……ダメでしょうか……?』
「ゆーちゃん、当然なのでっすよ―! ゆーちゃんみたいな美人さんがおしゃれなコーデをしないのは、この世界の損失! 人類へのぼーとくなのでっす!」
 しびれを切らした藍が草むらから引っ張り出したのは、一体の美少女ロボットだった。二頭身なので、美人というよりも可愛らしいという表現の似合うメカだが、純白のボディに纏った同じく純白のミニスカートのステージ衣装がよく似合っている。背中に広がった放熱板がまるで天使の翼を思わせた。
『可憐だ……』
 『ゆーちゃん』の姿を見た『シュヴァルツ』が頬を染めながら呟いた。
 ――ていうか、『シュヴァルツ』、お前喋れたのか。
『そんな、私なんて……』
 可憐と評された『ゆーちゃん』が、『シュヴァルツ』から視線を外しながら頬を染める。
 だが、藍は見逃していなかった。『ゆーちゃん』もまた、ちょいワルな格好の『シュヴァルツ』にチラチラと視線を送っていることを。
「おーっと、シュヴァルツくんとゆーちゃんもいい雰囲気でっすねー!」
『あっ、そ、そんなんじゃないですから……』
 バタバタと二頭身な両腕を振りつつ真っ赤になって否定する『ゆーちゃん』だが、逆にその仕草が感情を雄弁に物語ってしまっていることに気づかない。
「ではでは、魔王くんとシュヴァルツくんを魅了するための特別ステージ、お魅せしちゃうのでっす!」
 藍とゆーちゃんがギターをかき鳴らしながら歌を披露し、情熱とパッションとエモーションに満ちたエキサイティングなステージが繰り広げられる。
「おお……」
『これは……!』
 一緒に見に行く友達がいなかったため、ライブステージ初体験なオウガの少年と『シュヴァルツ』が、揃って感嘆の声を上げた。

 だが、藍のライブの真骨頂はここからだ!
「ステージがお望みですかー? それとも藍ちゃんくんとゆーちゃんをお望みでっすかー!」
 【藍ちゃんくんオンステーッジ!】(ワールド・イズ・アイチャンクーッン)――否、ワールド・イズ・アイ&ゆーが発動し、なんと天から巨大なステージが降ってきた。
 藍と『ゆーちゃん』が立つ地形が煌めくステージへと変化していく。
 ――いや、それだけではない。
 ステージが変形し、『ゆーちゃん』用の衣装がせり上がってくる。まさに巨大な舞台装置とでもいうべき衣装を身につけることで、『ゆーちゃん』は舞台と一体化。一大ステージのトリを務めるのにふさわしい姿に変形合体した。
「これこそ、ゆーちゃんの究極の姿、グレートゆーちゃんなのでっす!」
 超巨大ドレスに身を包んだ『ゆーちゃん』の背中から、巨大な天使の翼が広げられていく。頭上から当てられたスポットライトに浮かび上がる『グレートゆーちゃん』の姿は、見るものを魅了する大天使だった。

 『グレートゆーちゃん』によるラストの曲が終わると同時に、魔王と『シュヴァルツ』は膝から崩れ落ちた。
「僕たちは一体、何をしていたんだろうな……」
『ああ、魔王よ。無益な争いはやめ、我らの天使のために生きるべきではないか?』
 まるで憑き物が落ちたかのような顔で、藍と『ゆーちゃん』を見つめる。
 オウガの少年は早鐘を打つ鼓動を必死に抑えながら、今度こそロマンチックな雰囲気でと心に誓いながら、藍に向き合う。
 『シュヴァルツ』もまた、自分の黒いボディをハンカチで磨いて、『ゆーちゃん』の前に立つ。
「どうか僕と……」
『付き合ってくれないだろうか』
 オウガと『シュヴァルツ』、二人の声が同時に響き――。

「あや、告白でっすかー? 嬉しいですけど、藍ちゃんくんもゆーちゃんも男の子でっすのでー! それに、アイ&ゆーは、皆のものなのでっす!」

 藍が言い放った衝撃的な事実に、オウガの少年と『シュヴァルツ』がピシリ、と固まった。

「あれれ? 最初に自己紹介し忘れましたっけー?」
『けど、私は男の人でも……シュヴァルツさん、かっこいいですし……』
 首を傾げる藍と、真っ赤になって爆弾発言をする『ゆーちゃん』。

「おのれーっ、僕の純情を弄ぶ世界なんて、嫌いだーっ!」
『魔王よ、同感だ! このような世界、滅ぼしてくれよう!』
 少年と『シュヴァルツ』は、再び精神の暗黒面に堕ち、世界を滅ぼすことを心に固く誓ったのだった。
大成功 🔵🔵🔵

シャルロッテ・ヴェイロン
〇乗り込む(?)愉快な仲間
・名前:ヴァンガード
・外見:無骨な造りの戦闘ロボ
・性格:冷静沈着・無感情。敵に対しては無慈悲。
・武装:基本はマシンガン。他にも様々な兵装を使用可能。

――背中にジッパーがついたロボって…。まぁいいでしょう。あの中二病な中の人を【蹂躙】しちゃいましょう。

てなわけで、似たような戦闘ロボを召喚して、そいつらに敵を囲んで攻撃させましょう(【一斉発射・制圧射撃】)。で、その間に私が【操縦】するのが接近して倒す、ていう流れで行きましょう(【先制攻撃・鎧無視攻撃・捨て身の一撃・覚悟】)――あぁ、一応、敵の魔法にでかい疑念を持たせるような【演技】でもしましょうか?

※アドリブ・連携歓迎


●無敵魔王VS最強ゲーマー
『ふははは! この国に住むものどもよ! 魔王たるこの僕が恐怖のどん底にたたきおとしてくれよう!』
『ああ、魔王よ、俺も力を貸すぞ!』
 色々と理不尽な現実を突きつけられた魔王を名乗るオウガの少年と、漆黒のボディの二頭身ロボ『シュヴァルツ』は、なんかもう完全に精神の暗黒面に堕ちていた。
 『シュヴァルツ』の背中のジッパーの中に乗り込んだ魔王は、この国に破壊を撒き散らさんと、デフォルメロボたちの集落を目指す。

 一方その頃、銀髪をツインテールにした10歳の少女、シャルロッテ・ヴェイロン(お嬢様ゲーマーAliceCV・f22917)が、デフォルメロボの集落で住民たちに鋭い視線を向けていた。
 プレイヤーネーム『AliceCV(アリス・セ・ヴィ)』。それがエンタテイメント企業の社長令嬢である彼女が持つもう一つの顔、冷静沈着で無慈悲な凄腕ゲーマーとしての姿だ。
「――背中にジッパーがついたロボに乗り込んで戦うって、まるで安っぽい体感型FPSですね。まぁいいでしょう。どんなゲームでも『AliceCV』に負けはありません。中二病な自称魔王を蹂躙しちゃいましょう」

 シャルロッテがその緑色の瞳で捉えたのは、愉快な仲間の一人、無骨な造りの戦闘ロボだった。
「基本兵装はマシンガンで、戦況に応じて様々な武器を切り替えて戦えるタイプのオールラウンドな機体ですか。この機体ならわたしの操縦にも付いてこられそうです」
『君は――そうか、魔王を倒す手助けをしにきてくれたのか。俺はヴァンガード。よろしく頼む』
 冷たい鉄のような声音の『ヴァンガード』の言葉を聞き、シャルロッテは満足そうに微笑んだ。そして、『ヴァンガード』に向かって手を伸ばし、握手を求める。
「冷静沈着な相棒は助かります。よろしく頼みます、ヴァンガード」
 今回の『ゲーム』に使う自機を決めたシャルロッテは、『ヴァンガード』と固く握手をすると、その背中のジッパーを下ろして中に入っていく。

『――体感型FPSなら、フルダイブ型とか機械式コックピットとかの方が好みなんですが、この着ぐるみ装着型の操縦形式しかなかったんでしょうか……?』

 着ぐるみの中で嘆息しつつも、『ヴァンガード』の基本操作を一瞬のうちに把握したシャルロッテは、ボス敵である魔王の乗る『シュヴァルツ』との戦いに胸を踊らせるのだった。


『ほう、この僕に挑みに来る愚か者がまだいたとはな!』
 黒く光る二頭身メタルボディの着ぐるみ『シュヴァルツ』の中から、魔王を名乗るオウガの少年の声が響く。
 対峙するのはシャルロッテが操縦する着ぐるみ二頭身ロボ『ヴァンガード』だ。
 『ヴァンガード』はマシンガンを構えて、いつでも『シュヴァルツ』を撃てる体勢になっていた。
『そっちは、ファンタジーらしく剣と魔法を基本にした攻撃でしょう? なら、こちらは遠距離攻撃でHPを削りきらせてもらいましょう』
 シャルロッテは『ヴァンガード』のマシンガンで的確に『シュヴァルツ』を狙い打ちながら、森の木々の間を駆け抜けていく。デフォルメロボットのずんぐりとした巨体で、森の木々に引っかからないように俊敏に動けるのも、シャルロッテが積み重ねてきたFPSゲームの経験ゆえに他ならない。
 姿を隠しながら射撃攻撃をしてくる『ヴァンガード』に向かって、魔王が苛立たしげな声を上げた。
『おのれ、ちょこまかと! ならば、森ごと消し炭にしてくれるわ!』
 魔王の乗る『シュヴァルツ』の頭上に、無数の炎の玉が浮かび上がった。
 灼熱の光球は、魔王の意思に従って四方に解き放たれ、森の木々を巻き込んで大爆発を起こす。
『大丈夫か、シャルロッテ!』
『ええ、直撃は免れたから機体にダメージはないですけど……』
 シャルロッテを心配する『ヴァンガード』に答えつつ周囲をみまわし――。
『フィールド上のオブジェクトを全部吹き飛ばすとか、どんなチートかってとこですか』
 爆煙が晴れて、更地となった周囲の地形を見て、シャルロッテはこのゲームのレビューは☆1にしようと心に決めたのだった。

『くくく、これでちょこまかと逃げ回ることはできまい!』
 見渡す限り、遮蔽物のない荒野と化した戦場で、魔王が勝ち誇った声を上げる。
 ゆっくりと『シュヴァルツ』の右腕が掲げられ、そこに無数の火球が生み出された。
『まずいぞ、シャルロッテ。さっきの一撃を正面から食らったら――』
 魔王から放たれる圧倒的な魔力の前に、冷静沈着な『ヴァンガード』でさえも焦りを隠しきれない。
 なにしろ、どこにも姿を隠す場所がないのだ。一撃必殺の威力を持つ無敵魔法を撃たれたら、そこでゲームオーバーだ。
『さあ、僕の無敵魔法の前に屈するがいい!』
 死刑宣告をするかのごとく、魔王から無数の火球が放たれる。
 高速で飛翔した無敵魔法の火球は『ヴァンガード』の周囲に次々と着弾すると、激しい爆発を巻き起こした。

『ふははは! 小鼠一匹、所詮はこの程度よ!』
『さあ、それはどうでしょう?』
 シャルロッテの声が爆煙の中から響き――黒煙が風で流されると、そこには無傷の『ヴァンガード』の姿があった。当然、中のシャルロッテも無事だ。
『馬鹿なっ!? 僕の無敵魔法を受けて無事でいられるはずがない!』
『あら? じゃあそれは、あなたの魔法が無敵ではなかったということではないでしょうか?』
 さらりと言い放つシャルロッテだが、もちろんそれは魔王を動揺させるための演技だ。
 だが、一体どうやって魔王の無敵魔法をしのいだのか。それは『ヴァンガード』自身にも理解できていなかった。
 『ヴァンガード』は小声で中のシャルロッテに問いかける。
(『シャルロッテ、君は一体何をしたのだ? あれだけの威力の魔法、俺の装甲で耐えきれるはずがない』)
(『そうですね、あんなデタラメな威力の魔法、当たったら一撃でゲームオーバーです』)
(『ならば、いったいどうやって――』)
(『え? 当たったらゲームオーバーなら、当たらなければいいじゃないですか?』)
 さも当然とでも言うようなシャルロッテの言葉に、『ヴァンガード』は絶句する。
(『だが、あれだけの数の火球魔法だぞ……』)
(『ああ、あの魔法の当たり判定なら、最初の時にミリ単位で把握しました。あの程度の弾幕なら、安地を見つけるのは簡単です。直線的な固定弾だけで攻撃とは舐められたものですね』)
 肩をすくめてみせるシャルロッテに、『ヴァンガード』は言葉もない。
『馬鹿な馬鹿な馬鹿なっ! 僕の無敵の魔法が無敵じゃないだなんて、そんなはずは……ないよな?』
『なら、この戦闘ロボたち相手に試してみたらどうでしょうか?』
 シャルロッテは、【バトルキャラクターズ】によって80体の戦闘ロボたちを召喚した。そのロボたちは『ヴァンガード』と似た外見をしており、マシンガンやロケットランチャーなどの武装を構えて、魔王の乗る『シュヴァルツ』をぐるりと取り囲む。
『いいだろう! 僕の多分無敵な魔法を受けて倒れてくれるといいな!』
 『シュヴァルツ』の周りに無数の火球が生まれて、シャルロッテのロボ軍団に向かって放たれた。
 だが、ロボ軍団のボディに当たった火球は、ぽんっという軽い音を立てただけで消え失せてしまった。
 ――能力に疑念を持ったがゆえの弱体化である。

『そんな……僕の無敵魔法が効かないなんてっ!?』
『では、そろそろエンディングを見せてもらいましょうか』
 シャルロッテの指示でロボ軍団が一斉にマシンガンとロケットランチャーを『シュヴァルツ』に向かって放つ。
 『シュヴァルツ』の漆黒のメタル着ぐるみボディの表面にマシンガンの弾が傷を作りロケットランチャーの爆発が装甲をへこませていく。
『くっ、その程度の攻撃で僕を倒せると思うなっ!』
『なら、これはどうですか?』
 言葉を発したのは、ロボ軍団の一斉攻撃に紛れて『シュヴァルツ』との距離を詰めていた『ヴァンガード』に乗るシャルロッテだ。
 『ヴァンガード』はビームサーベルを抜くと、『シュヴァルツ』に向かって一閃。その装甲に深い傷を付けた。

『おのれっ、勝負は預けたっ!』
 シャルロッテの攻撃で深手を負った魔王は、『シュヴァルツ』の背面ブースターを吹かすと、上空に飛翔し撤退していったのだった。

『――まったく、チートボスを倒しても撤退イベントにしかならないなんて、ほんとにこのゲームは……』
 改めて、レビューは☆1にしようと心に誓うシャルロッテだった。
大成功 🔵🔵🔵