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迷宮災厄戦⑦〜スタンドアップヒーロー!

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦

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●アリスラビリンスにて
 薄暗い図書館の中心。閲覧室のようなスペースに一人の少女がいた。アニメや漫画でよく見る敵幹部の登場シーンの如く、顔は影で隠れ、その表情を窺うことは出来ない。
 彼女は手に抱えた書物を天に放り投げる。
 かと思った次の瞬間には書物は切り刻まれ散り散りとなっていた。
「次は誰を斬ってやろうかしら?」
 甲高い笑い声が館内に響き渡った。

●グリモアベースにて
「皆さんは、困ったときに手を差し伸べてくれるヒーローがいたら、なんて思ったことはあるでしょうか」
 桐島院・師走(シザーレッグズ・f20989)が、猟兵達に疑問を投げかける。
「そうであっても、なかったとしても、今回は皆さんに『正義の味方』になっていただきます」
 首を傾げる猟兵達を見つめながら、師走は続けた。
「皆さんが向かうのは、図書館の国です。世界征服に関する様々な書物が揃っており、そこにいるオウガは書物によって強化されています」
 今回の場合、時計ウサギが相手だという。武器の鋭い鋏と、時間を操る能力は、強化されたことでより厄介なものとなっている。
「ですが、図書館のどこかには『正義の書』も眠っています。これらを読み、『正義の味方』っぽい言動をすれば、敵と同様に猟兵もパワーアップが可能というわけです。相手は強力ですが、書物を上手く利用すれば勝ち筋を太くすることが出来るでしょう」
 師走は説明を終えると、グリモアを展開した。
「力というものは正しく使うべきものです。刃を不用意に人に向けてはなりません」
 鋏の脚をカツンと鳴らし、猟兵達に期待の目を向ける。
「それでは、よろしくお願いします。皆さんに、神の加護がありますように」


はんぺん
 時間を操る系の能力ってかっこいいですよね。はんぺんと申します。今回はアリスラビリンスでの戦争シナリオとなります。一章で完結する特殊シナリオです。お手柔らかにお願いします。以下は、シナリオの補足です。

●目的
 『『時繋穴の番兎』クロノス』とのボス戦です。敵は図書館の書物による効果で、悪役っぽい言動をとるとパワーアップする性質があります。
 逆に猟兵達は正義の味方っぽい言動によってパワーアップすることが出来ます。ぜひ活用して敵を撃破してください。

●特殊ルール
 以下に記述した行動をプレイングに盛り込むと、プレイングボーナスが発生します。戦闘で有利になる効果があるため、積極的に盛り込むことを推奨します。

●プレイングボーナス
 「正義の味方」っぽい行動をする。

 今回は戦争シナリオのため、全てのプレイングの採用と反映が難しいです。人数が集まり次第、プレイングは締め切らせていただきます。また、内容やタイミングによってはプレイングを流す場合があります。予めご了承ください。
 公開された時点でプレイングの受付を開始します。それでは、よろしくお願いします。
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第1章 ボス戦 『『時繋穴の番兎』クロノス』

POW   :    時絶ち鋏~タイムストップ・シザー~
【切断した物の時間を停止させる『時絶ち鋏』】が命中した対象を切断する。
SPD   :    時繋穴~タイムリープ・ホール~
【時間の流れが異なる『時繋穴』の出口 】を向けた対象に、【先制攻撃】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ   :    時経ち鋏~タイムパス・シザー~
命中した【時間経過を操作する『時経ち鋏』 】の【取っ手に絡みついたリボン】が【対象に複雑に絡みつく形状】に変形し、対象に突き刺さって抜けなくなる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠幻武・極です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

草野・千秋
世界征服大図書館、何やら面妖な雰囲気の名前ですね
確かにヒーローは困っている人に手を差し伸べるものですが
正義の味方という呼び名だとなかなか定義が難しいですね
正義って人によって違いますから
場合によっては独善や狂気になり得る

僕も、過去絶望に打ちひしがれた時に
「ヒーローがいれば」なんて思ったことがありました
でも現実は自分でヒーローになるしかなかった
そう、ヒーローとは「なるもの」なのです!
かけがえのないものを守るためなら、誰にでもなれます
きっと

変身して勇気で敵に立ち向かいます
UCで攻撃力を上げ
鋏は怪力でねじ伏せようとし
拳に属性攻撃で炎を纏わせ
2回攻撃、怪力で攻撃
敵攻撃は激痛耐性、盾受けで耐える


数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

正義の書、なぁ。
予習はしっかりしておいて、備えておこうじゃないのさ。
実際にやるんならまぁ、やっぱアレしかないよなー?

予知冒頭で書物を切り刻んで高笑いしているところに、
どこからともなく「おいおい、本は大事にしろって教わらなかったのかい?」と呼び掛ける。
誰何の返しがあったなら、「アタシはここさ!」と本棚の天板の上にすっくと立って不敵に笑い。
そのまま飛び降り片膝をついて着地!

後は立ち上がって名乗りながらゆっくり歩み寄り、
「アンタ、時を操るんだって?」と問いかけ。
「それじゃ教えとくれよ、『今はなんどきだい?』」
と自然に【時縛る糸】でクロノス側の時を止めて、
思い切りぶん殴る!


ネーヴェ・ノアイユ
なるほど……。正義の味方とはこのようなもの……。なのですね。ふむ……。

そこまでです……。悪逆非道のオウガ……。クロノス様。この私……。氷の魔法使いネーヴェが来たからにはあなた様の悪行もこれにて凍結です……。(戦う前に……。恥ずかしさで死にそうなほどのダメージですよ……。これは……)

戦闘時にはクロノス様の攻撃による痛みに耐えながら魔法の詠唱をひたすら唱え続けます……。今なら……。今だけなら物理的な痛みの方が耐えられそうな気もしますし……。
しっかりと詠唱が出来次第……。ここぞという場面で必殺のUCを放ちます……。ヒーローとは自身の必殺技にて悪を仕留めるみたい……。なので。


宙夢・拓未
正義の書をしっかり読んでから戦いに臨むぜ

「そこまでだ!」と本棚の上に仁王立ちして叫ぶ

『ガジェットブレスレット』に三枚のカードを通して、【ジャンプ】
【フォームG-O-S】で各種武装を展開しつつ宙返りし、着地

「罪なき人々を斬らせはしない。そのために俺は来た」
「『未知の運び手』宙夢・拓未。それが俺の名だ」
口上を終えると同時に、ダチョウの脚で【ダッシュ】

ユーベルコードは防御力重視で使用
ガントレットで覆った左腕を鋏に挟ませて防御
切断される前に、至近距離から反撃だ
まず、ガントレットに電流を流す【属性攻撃】。鋏を通じて感電するはず
【2回攻撃】で追撃。【怪力】を込めて、右手からオウガの胴体にパンチを繰り出すぜ


ナーシャ・シャワーズ
へえ、正義の書ね。
私だってこれでも結構な修羅場をくぐってきたから、使っちまった奴もあるが……
この辺なんかは言ったことないね。ま、私が味方かは怪しいところだが。

……よう、気分よくやってるところすまないな。
誰かって? 当ててみろよ。骸の海行きの旅行券をプレゼントするぜ?
ハッ、ご名答。この一撃は目録代わりだ、とっておきな!

おっと、速いな。言うだけのことはある。
だがどれほど鋭い技にだって必ず隙ってモノはあるもんだぜ!
こいつで決まりだ!

……ふふ、言ったぜ。決まりだ、って。
さっきお前さんは躱したと思ったのかもしれんが、ソウル・ガンは魂を追い続ける。
あばよ、今度はもっと悪役らしさを学んでから出てくるんだな。



●処刑用BGMと共に
 世界征服大図書館。仰々しい名前に反して、装飾の凝ったランプでほんのりと照らされた館内には、落ち着いた空気が流れている。
 予知の通り、クロノスが本を切り刻み、笑みを浮かべた次の瞬間。

「そこまでだ!」
「……よう、気分よくやってるところすまないな」
「おいおい、本は大事にしろって教わらなかったのかい?」
 どこからともなく響く声。
「なっ、私に気づかれずにこの部屋に侵入するなんて!何者!?」
 一話でやられる敵役のようなセリフを発すると、クロノスの頭上に光が走った。
「アタシはここさ!」

●正義と悪
 時は遡ること数十分前。
 一同は、予知での出来事が起こるより先に、図書館に到着した。
「なんか……思っていたよりは……物騒じゃないです……」
 ネーヴェ・ノアイユ(冷たい魔法使い・f28873)は知識の集合とも呼べる館内に興味深々だ。
「ふーん、私は牢獄みたいでちょっと落ち着かないねえ……」
 一方、ナーシャ・シャワーズ(復活の宇宙海賊【スペースパイレーツ】・f00252)は少し居心地が悪そうだ。やはり海賊に似合うのは自由で広い世界ということだろうか。
「予習はしっかりしておいて、備えておこうじゃないのさ」
 数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)がそう言うと、皆は同意を示した。
 手始めに、草野・千秋(断罪戦士ダムナーティオー・f01504)と宙夢・拓未(未知の運び手・f03032)目の前にあった本棚を物色してみる。
『破壊の壁』
『60歳から始める世界征服』
『誰でも魔王になれる本』
 やたら自己を啓発してきそうなタイトルの本が、こちらを威圧する勢いでびっしりと並んでいた。
「う、うわあ……」
「新書コーナーにありそうなやつばっかりだな……」
「ビジネスマンの方がこういうの読むの好きですよねえ……」
 周囲を見渡してみると、他の本棚も同様に、新書サイズの書物で溢れていることがわかる。
「私……これを全部探すのは、ちょっと……」
「目的の本が見つかる前に、敵に見つかっちまうよ」
「グリモア猟兵の予知が大外れするなんてことは、無いと思うけどねえ……」

 皆が口々に感想を漏らしていると、何かに気づいた拓未が突如屈んで隅っこに置かれた本を漁り始めた。
「どうしました?」
「これなら、いけるかもしれない……!」
「何だって!?一体どんな本が……!」
 そう言って拓未が取り出したのは、月一で発行される子ども向けのヒーロー雑誌だった。
「これは……UDCで日曜の朝によく見るやつじゃないか!」
「なぜこんなものがここにあるんでしょうか……?」
「ここを見てくれ」
 拓未が指で示した箇所には、太い字で「怪人特集」と書かれている。
「もしかして、この号だけは怪人を特集していたから『悪の書』として引っかかったってことかい!?」
「意外と……管理が杜撰……」
 多喜とネーヴェは困惑の表情を浮かべた。
「ですが、これは使えるかもしれません。少しでも正義について書かれていれば、活用できます」
 正義と悪は表裏一体。悪について書かれているのなら、正義について多少は触れざるを得ないだろう。
「私だってこれでも結構な修羅場をくぐってきたから、使っちまった奴もあるが……この辺なんかは言ったことないね」
 五人は顔を突き合わせ、わずかに書かれたヒーローについての記事を念入りに眺めた。

●五人揃ってなんとやら
 時は戻って冒頭の場面。
「い、一体……!?」
 クロノスが光を追って頭上を見上げると、五人の猟兵が本棚の上でポーズを決めて立っていた。ヒーローと煙は高い所が好きなのだ。
 多喜が不敵に笑みを浮かべるのに合わせて、全員が一斉にジャンプする。
 まず、多喜とナーシャが片膝をついて着地、続けて千秋と拓未が武装を展開して着地。最後にネーヴェが恐る恐る床に降り立った。
「あなた達、何者なのよ!?」
 クロノスに問いかけられると、五人は顔を見合わせた。ここまでは手筈通りだ。
「僕は断罪戦士ダムナーティオー、お前のような悪を駆逐する者だ!」
「罪なき人々を斬らせはしない。そのために俺は来た。『未知の運び手』宙夢・拓未。それが俺の名だ」
「アタシは数宮・多喜。アンタを倒しに来たのさ」
「誰かって? 当ててみろよ。骸の海行きの旅行券をプレゼントするぜ?」
 四人の口上が華麗に決まった。そして皆の視線が、まだ発言していないネーヴェへと自然に集まっていく。
「そ、そこまでです……悪逆非道のオウガ……クロノス様。この私……氷の魔法使いネーヴェが来たからには……き、来たからには……」
 ネーヴェは、慣れないヒーロームーブによる恥ずかしさで手が震えている。
「最後まで言い切らないと、逆にもっと恥ずかしくなりますよ!」
「もうちょっとだよ!頑張って!」
「女を見せな!」
「あ、あなた様の悪行もこれにて凍結です……!」
「よく言い切った!偉いぞ!」
 ネーヴェが名乗りを終えると、四人は全力で喝采を送った。優しい世界。

「ふーん、あなた達『正義の味方』ってわけ。倒せるものなら倒してみなさいよ」
 いつものように、時を止めようと鋏を展開する。しかし。
「遅い」
「なっ……!?」
 抜けていくは一陣の風。鋏の一閃よりも速く、拓未のダチョウの脚がクロノスの懐に入り込む。
「ちょっと!どきなさいよ!」
 負けじと鋏を開くが、それを見た拓未は左腕を覆うガントレットを刃と刃の間に挟んで妨害した。動きを阻害し、切断もままならない。
「力を過信すると、痛い目を見るぜ!」
 ガントレットからバチバチと光が走り、鋏を通じてクロノスに電気が流れる。
「……っ!」
 その隙を突いて、拓未はクロノスの胴体を殴り飛ばした。

「……ただのヒーローごっこじゃないってわけね。でも、それでヒーローになったつもり?」
「ヒーローとは『なるもの』なのです!」
 敵の目を見据え、千秋は言い放った。
「そんなの綺麗事よ」
「……負けない!」
 今度こそ、誰も失うわけにはいかない。目の前で何も出来ないなんて、二度と御免だ。
 炎が振り下ろそうとした鋏をねじ伏せる。
「どうして……!?」
「僕が『ヒーロー』だからだ!」
 燃ゆるは正義の心。怪力がクロノスに直撃した。

「痛ったいわね!」
 手痛い一撃をくらって飛び退いたクロノスに、ゆっくりと歩み寄る影。
「アンタ、時を操るんだって?」
「だから何だって言うのよ?」
「それじゃ教えとくれよ、『今はなんどきだい?』」
 目には目を歯には歯を。時には時を。多喜が放った思念波がクロノスの「時」を縛り付ける。
(身動きが……!?)
 身体が動かなくては、肝心の時を止める攻撃も意味をなさない。
(まさか、同じような能力を持つ奴がいたなんて……)
「アタシだって、もう何も失いたくないのさ!」
 思いを込めた重い拳が、クロノスを鋏ごと吹き飛ばした。

「あ……あなた達一体……?」
 図書館の本で強化されたはずなのに。攻撃が尽く通用しない。
「今度こそ……」
 クロノスが手をかざし、『時繋穴』を展開する。時空を歪め、出口の先で攻撃を仕掛けるのだ。
「こいつで決まりだ!」
 クロノスの動きに気づいたナーシャがソウルガンを連射する。
 どちらの攻撃がより速いか。勝者は穴を抜け出たクロノスに軍配が上がったかに見えたが。
「それはどうかな?」
 不敵な笑みが零れる。それは紛れもなく。
「……ふふ、言ったぜ。決まりだ、って」
 魂を追尾するソウルガンの弾が、クロノスを貫いた。
 クロノスはその場に崩れ落ちる。

 その時だった。脚に覚える違和感。
「あ、脚が……!?」
 時既に遅し。クロノスが足元を見ると、氷が張って身動きが取れなくなっている。
「恥ずかしさで死にそうなほどのダメージでした……今ならあなたの攻撃も怖くありません……」
 至るは悟りの境地。四人の攻撃によって、充分に時間は稼げた。詠唱を重ねあげ紡がれた巨大な冷気の塊が、ネーヴェの頭上を飛び交う。
「みんな行くよ!」
 多喜の掛け声に皆が頷く。
「「「「「いっけーーーーー!!!!!」」」」」
 炎、電撃、氷、思念波、ソウルガン。
 重なり合った強力な一撃が、クロノスに向かって飛んだ。クロノスは咄嗟に鋏で弾こうとしたが、五人の『正義の味方』に通用するはずもなく。
 本を粉々に切り刻んだ鋏が、今度は粉々に砕け散る。
「お、覚えてなさいよ!」
 クロノスは、悪役らしいセリフを残して消滅した。

「あばよ、今度はもっと悪役らしさを学んでから出てくるんだな」
「正義は必ず勝つ、ですね!」
「でも……もうあの口上はこりごりです……」
 ネーヴェは頭のリボンを揺らしながら、へにょへにょとへたり込んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月03日


挿絵イラスト