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迷宮災厄戦④～大きな愉快な仲間のいるところ

作者：ゆうきつかさ

●アリスラビリンス
　不思議の国にやってきた愉快な仲間（ウサギ）にとって、それは違和感以外のナニモノでもなかった。
　まるで自分の身体が、自分ではないような感覚……。
　その上、不思議の国に来てからというもの、まわりのものがすべて小さくなっていた。
　だが、不思議の国を歩き回っているうちに、ようやく気付いた。
　まわりが小さくなっているのではなく、自分自身が大きくなっていた事を……。
　それは愉快な仲間にとって、衝撃的な事実であった。
　しかし、その事実に気づいた時には、すべて手遅れ。
「ようやく見つけたわよ、リトルバニー！　さあ、私の手足となって、猟兵達と戦いなさい！」
　『七罪』憤怒のアリスが背中のチャックを開け、愉快な仲間ことリトルバニーに乗り込んんだ。
　そして、リトルバニーは戸惑いの中、猟兵達が乗り込んだ愉快な仲間達と戦う事になった。

●ガジルからの依頼
「みんなに頼みたい事があるんだよ」
　ガジル・コリアンダー（キマイラのスカイダンサー・f00907）が真剣な表情を浮かべ、今回の依頼を説明した。
　今回の目的は、きぐるみ化した愉快な仲間に乗り込み、『七罪』憤怒のアリスを撃破する事。
　きぐるみ化した愉快な仲間は、身長が2倍になっており、背中にはチャックがついているようである。
　その上、きぐるみに乗り込む事によって、戦闘力が数倍にパワーアップするようだ。
　ただし、すべてのダメージは、着ている人が喰らい、きぐるみ自体はノーダメージ。
　そう言った事も踏まえた上で、『七罪』憤怒のアリスを撃破する事が今回の目的である。

第1章 ボス戦 『『七罪』憤怒のアリス』

POW   :    憤怒に染まる真実の剣/ヴォーパルソード 【無敵の鎧と真実の剣を持つ最強の騎士姫 】に変身し、武器「【あらゆる防御を無効化するヴォーパルソード】」の威力増強と、【憤怒の魔焔と魔力を操り、想像の天翼】によるレベル×5km/hの飛翔能力を得る。 SPD   :    憤怒を宿す勇者 全身を【全てを焼き尽くす憤怒の焔と真実の剣の力 】で覆い、自身の【世界への怒りと他のアリス達を守る強い意思】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。 WIZ   :    真なるアリス 無敵の【困難に打ち勝ち希望に満ちた無垢な自分 】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。 イラスト：おきな 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

●ある日、森の中
「愉快な仲間の森のくまさん！　自分はあなたから逃げないでありますゆえに、あなたに乗り込ませてほしいであります！　そして、すべての元凶であるうさぎさんと戦ってほしいのです！」
　ポーチュラカ・ハイデルベーレ（六翼の聖獣使・f01720）は、森の中で愉快な仲間（クマ）に出会い、祈るような表情を浮かべて説得を試みた。
　愉快な仲間（クマ）は戸惑い気味ではあったものの、ポーチュラカからの説明を聞いて、一緒に戦う事を了承した。
　おそらく、悪いうさぎ（リトルバニー）を倒せば、元の姿に戻る事が出来るかも知れないと思っているのだろう。
　実際には、どうなるか分からないものの、わずかな可能性に賭けて、要求を受け入れた感じであった。
　もちろん、それはリトルバニーを倒せたらの話。
　リトルバニーに勝てなければ意味がない。
　しかし、ポーチュラカの覚悟は決まっていた。
　すぐさま、【ほしぞら綺想曲（ホシゾラカプリチオ）】で、空からこぐま座のコカブとフェルカードを召喚し、愉快な仲間（クマ）に乗り込むと、力強い足取りで歩き出した。
「まさか、たった一人で私と戦うつもり？　だとしたら、愚かね！　実に愚か……。まるで死亡フラグが服を着て歩いているようなものよ！」
　その行く手を阻むようにして、リトルバニーに乗った『七罪』憤怒のアリスが高笑いを響かせながら、ポーチュラカの前に陣取った。
　それとは対照的に、リトルバニーは困り顔。
　だが、リトルバニーに拒否権はないらしく、逆らうだけの気力も失っているようだった。
「それは言い過ぎやろ。……と言うか、死亡フラグと恋仲なのは、そっちや！　今も横におるで！　ウチには見える！」
　そんな中、オオカミのきぐるみに乗ったクリミネル・ルプス（人狼のバーバリアン・f02572）が仲間達と現れ、憤怒のアリスをからかった。
「そ、そんな訳ないでしょ！　死ぬのは、あなた！　いえ、あなた達よ！」
　憤怒のアリスがイラついた様子で、クリミネルに答えを返した。
　いつの間にか、猟兵達に周りを囲まれ、少なからず焦っているものの、いまさら泣き言を言えないというのが本音のようだ。
「やれやれ、自分の立場が分かっていないようでござるな」
　イヌのきぐるみに乗った灘・岸科（人間の剣豪・f25350）が、深い溜息を漏らした。
「何よ、それ！　私が負けるって訳？　そんな訳がないでしょ！　だって、ここは庭のようなものだもの。そこで負けるなんて、あり得ないわ！　悪いけど、一掃！　ハッキリ言って瞬殺だから！」
　憤怒のアリスが躊躇う事なく、キッパリと断言をした。
　おそらく、敗北した自分の姿を、まったく想像する事が出来ないのだろう。
　とにかく、強気。
　前向きな考えではあるものの、何か策があるという訳では無いようだ。
　そのため、死亡フラグと肩を組みながら、記念撮影をしているレベルで、無謀な事を口走っているような状態であった。
　しかし、本人にその自覚は皆無。
　その時点でヤバげな雰囲気が漂っているのも、事実であった。
「確かに、凄い殺気ね」
　ウサギのきぐるみに乗った赤嶺・愛（愛を広める騎士・f08508）が、納得した様子で答えを返した。
　殺気だけなら、ケタ外れ。
　まるで刃物の如く鋭く尖った殺気だけで、常人であれば、ばたんきゅーと倒れてしまう事だろう。
　だが、猟兵達を恐怖させるだけの力はない。
　むしろ、殺気が真っ直ぐ過ぎて、隙だらけの印象を受けた。
「まあ、ハイカラの僕が来たからには、恐らくなんとかなるだろう！　ならなかった場合は……まあ、運命に身を任せるって事で」
　そんな中、ネコのきぐるみに乗った比良野・靖行（Mysterious BAKA・f22479）が、軽く流した。
　最悪の場合は、逃げの一手。
　それで何とかなるパターンが多かったため、今回も大丈夫……のはず。
　何やら死亡フラグが真横でサムズアップしている気もするが、あえて気にしない事にした。
「随分と余裕ね。これから死ぬって言うのに……。だったら、その願い、叶えてあげるわ！」
　憤怒のアリスが難に打ち勝ち希望に満ちた無垢な自分を想像から創造した。
　しかも、そのアリスは無敵ッ！
　その上、何の迷いもなく斬り掛かってくるため、本物を上回るほどの勇ましさを感じた。
「だからと言って、ふたりでわしを狙う意図は、なんじゃ！　一掃のはずじゃろ！　フルボッコではなく！」
　巨狼のきぐるみを乗り込んだエウトティア・ナトゥア（緋色線条の巫女姫・f04161）が涙目になりつつ、自らの身を守った。
「まず手始めに……ってヤツよ。それに、ほら……傍にいたから！」
　憤怒のアリスがまったく悪びれた様子もなく、エウトティアに答えを返した。
　絶対に負けない自信があるためか、かなり強気。
　何の迷いもなく、エウトティアの息の根を止めるべく、剣を何度も振り下ろした。
「なんじゃ、その理由は！　もう少しマシな理由があるじゃろ。じゃ、じゃが、わしも、まだ死ぬ訳にはいかないんじゃ！」
　エウトティアが身の危険を感じつつ、【細流の調べ（ササラガワノシラベ）】を発動させ、水精霊の歌で自らの身体を癒した。
　冷静になって考えてみると、死ぬような思いをしているだけで、意外と耐えられるレベルであったが、それでもストレスになっている事は間違いない。
「なかなか、しぶといわね！　だったら、私も本気を出すだけよ！」
　憤怒のアリスがリトルバニーに乗ったまま、無敵の鎧と真実の剣を持つ最強の騎士姫に変身した。
「それなら私も全力で受け止めるだけ」
　それと同時に愛がエウトティアを護るようにして陣取り、【無敵城塞】で全身を超防御モードに変えた。
「……！」
　その途端、無垢なアリスが、違和感を覚えた。
　どんなに攻撃しても、愛には傷ひとつつけられない。
「えっ？　嘘？　嘘、嘘、嘘！　何で傷がつかないの？」
　それを目の当たりにした憤怒のアリスが、力任せてヴォーパルソードを振り下ろした。
　しかし、不安は膨らむ一方。
　その不安を示すようにして、無垢のアリスが幻の如く消失した。
「それはアンタの力が紛い物だからや！」
　次の瞬間、クリミネルが間合いを詰め、【グラウンドクラッシャー】を仕掛け、単純で重い一撃で周辺の地形ごと、憤怒のアリスに膝をつかせた。
「……許さない。絶対に許さない！」
　憤怒のアリスが怒り狂った様子で、全てを焼き尽くす憤怒の焔と、真実の剣の力で、リトルバニーごと全身を覆った。
「行け！」
　それを迎え撃つようにして、岸科が【生きた羽織り（イキタハオリ）】を出現させ、憤怒のアリスの注意を引いた。
「そんなモノ、叩き斬ってあげるわ！」
　憤怒のアリスが真実の剣を握り締め、生きた羽織に斬り掛かった。
　だが、あまりにも殺気が剥き出しになっているせいで、斬るどころか、かすりもしなかった。
「わっはっはっ！　油断したな！　僕はここだ！　ほら、ここ！　ちゅーもく！」
　それに合わせて、靖行が高笑いを響かせながら、【ハイカラさんは止まらない】を発動させ、激しく後光を光らせた。
「う、鬱陶しいわね！　……邪魔よ、退きなさい！」
　憤怒のアリスが薄目を開けながら、真実の剣を振り下ろした。
　だが、何度攻撃を当てても、靖行は無傷。
　涼しい顔をしながら、憤怒のアリスの攻撃を受けていた。
「ところで、憤怒のアリス殿……。そのうさぎさんの許可は、ちゃんと取って乗り込んでるでありますか？」
　そんな中、ポーチュラカが間合いを取りつつ、憤怒のアリスに問いかけた。
「……許可？　なんで、そんな面倒な事をしなきゃイケないの？　だって、そうでしょ？　私が乗ってあげているんだから！　むしろ、感謝されたって、イイくらい」
　憤怒のアリスがイラついた様子で、大袈裟に鼻を鳴らした。
　その途端、コカブとフェルカードがリトルバニーに張りつき、ポコポコ、ガジガジと攻撃し始めた。
「こ、こら！　やめなさい！　こ、こら！」
　憤怒のアリスが動揺した様子で、コカブとフェルカードを振り払おうとしたが、背中にあるチャックの傍にいるため、届かない。
　しかも、コカブとフェルカードは、悪戯好き！
　そのため、憤怒のアリスの気持ちに反して、背中のチャックをジィーッと開けた。
「きゃあ！？」
　その拍子に、憤怒のアリスがリトルバニーから放り出され、ころころ、ころりんと地面に転がった。
　しかし、それは憤怒のアリスにとって、予想外の出来事。
　リトルバニーから下りた事で、パワーダウンをしたせいで、死亡フラグに関節技を決められているような感じで無防備だった。
「……トドメであります！」
　その隙をつくようにして、ポーチュラカが一気に間合いを詰め、聖者の御旗（ロングメイス）を振り下ろした。
「いやああああああああああああああああああああ！」
　次の瞬間、憤怒のアリスが悲鳴を上げ、頭から大量の血を流しながら、血溜まりの中に沈んでいった。
「ありがとう、くまさん！　くまさんのおかげで、悪いうさぎさんを倒す事が出来たであります！」
　そして、ポーチュラカは愉快な仲間（クマ）から飛び降り、ホッとした様子でお礼を言った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

最終結果：成功 完成日:2020年08月04日