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【節分】フィッシュ&ビーンズ

#サムライエンパイア

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#サムライエンパイア


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「何じゃと!?蔵の……鍵が開かない?」

 睦月も終わりを迎えようとしたある朝、ここ──緒豆藩(おまめはん)の豪商、仁尾輪(におわ)屋の当主、夏斗(なつと)の邸宅では早くから慌ただしく人の出入りがあった。
 緒豆藩は山がちの地形に周囲を囲まれた小さな藩である。だが、今代藩主の『緒豆・旨男(おまめ・うまお)』の政策の下、領民らは荒れた土地でも良く育つ特産品の『豆』の交易を基に手堅く富を築いてきた。
 仁尾輪屋もまた、十頭立ての馬車や牛車を活用した『豆』の大量輸送によって富を為した商人である。厩舎や蔵、使用人小屋に囲まれた……そんな、商人の屋敷にて。

「へぇ、ご主人様。その通りでごぜぇやす」
 下男が傅いて夏斗へ報告するには、江戸へ向けて発つ荷馬車へ荷積みしようとしたところで異変に気が付いたのだとか。

「このままでは徳川様へ献上する『豆』を江戸へ届けることが出来ぬではないか。早う、なんとかせい!」
 夏斗は下男を叱責する。


「大規模なオブリビオンの活動が、サムライエンパイアで予知されました」
 猟兵らがグリモアベースへ赴くと、そこには複数のグリモア猟兵たちがあなた達を出迎える。その中の一人……ジョルジュ・ドヌール(咎人が来たりて咎を討つ・f05225)もまた、彼が視た予知の内容を要約した紙の束をあなたに手渡してくる。

「緒豆藩という小さな藩で、複数のオブリビオンが同時期に活動を開始したようです」
 グリモア猟兵同士、それぞれに見た予知の内容は違うのですが──不思議と場所だけは奇妙な符合がみられました。何が起こっているのか……詳細は不明ですが、良くない事態であることに間違いはありません。
 ジョルジュがそう言葉を続けると、居並ぶグリモア猟兵たちも口々にその深刻さを訴えかける。

「あなたたちには、手分けしてそれぞれの事件の真相を追っていただきたいのです」
 私の予知に関して言うのであれば……なぜ、蔵が開かなくなったのか。オブリビオンは蔵を閉ざして何を狙っているのか。
 それを突き止めて欲しい──。

 頭を下げて助力を請うと、ジョルジュは仁尾輪屋の中庭へと続くゲートを開く。


かもねぎ
 こんにちは、かもねぎです。この依頼は【節分】連動依頼となります。
 かなで彩羽MS・君島旭MS・ねこですMS・椰野MS(五十音順)
 本シナリオは上記の四名+かもねぎによる節分イベントとなります。

 それぞれのシナリオは独立していますので、複数の依頼に同時に参加いただいても勿論問題ありません。季節の催し物となりますが、多くの皆様にお楽しみいただければ幸いです。それでは、緒豆藩にてご参加お待ちいたしております。
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第1章 冒険 『天岩戸』

POW   :    蔵の扉をこじ開ける

SPD   :    扉以外の蔵への侵入方法を探す

WIZ   :    店の者や蔵の中の者から情報を得る

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

レイチェル・ケイトリン
蔵、念動力技能とサイコエッジできりさけるとおもうよ。
しっかりした造りだけどオブリビオンよりはかたくないだろうし。
でもね、

天下自在符をみせていうね。
「猟兵の力でしたら切り裂けます。お望みの場所を丁寧に」
「でも、壊さずに開けようとする方がおられたらそちらを先に」

「上様は治安を重んじられる方、そして蔵は治安を護るもの」
「もちろん、約定の重さを否定なさることはありませんが」
「その上様のために、可能な範囲で猟兵にお時間を頂けませんか?」

「運ぶことや直すこともお手伝いしますから」

女の子がやぶれる蔵だったなんて商人さんの信用にかかわるよね。

「わたしは将軍様を大事に想う猟兵です」ってはっきりしておかないとね。


エルデラント・ズィーマ
【SPD】なんでわざわざ蔵を閉めたのでしょう。オブリビオンにとって豆がとても嫌なものだった……?
まぁそれはともかくとして何とかして開けましょう
力押し、というのも考えたのですが壊しちゃまずいですよね。とはいっても豆を管理する蔵に他の入り口があるのかと言うと……とりあえず探してみましょう。
義眼での探索や必要であれば尻尾のアームで内側で何か引っかかってたり詰まってたりしてないかチェックです


ゼパル・パラドキア
グリモアベースで一緒になったサンディ殿(f03274)と協力して扉をこじ開けようとするでござる。

鍵が開かないなら、鍵自体を壊してしまえば開いたりしないでござるかね?

なに、サンディ殿。鍵の構造でござるか?
ふふー、拙者こう見えてニンジャを志す者。(ただニンジャに憧れてるだけです)
鍵の構造くらい簡単…ええい、叩いたら壊れるでござるよ、たぶん。
他に鍵を調べたりする人がいなければ、そのまま鍵に実力行使でござる。
そのへんの石とかも使って叩…サンディ殿、なんか手慣れてるでござるね?

鍵を壊しても開かなければ次は扉を壊そうとするでござるよ。
なんなら壁も壊すかもしれないでござるよ?
出てくるなら今のうちでござる!


サンディ・ノックス
ゼパルさん(f00209)と一緒に行動
グリモアベースで初対面なんだけど、話の流れで手伝うことになったんだ

蔵の鍵が開かなくなった、なら鍵をまず壊してみるよ

鍵の仕組みはどうなってるかな
俺の知識だけじゃわからないかもしれないし
ゼパルさんに見解聞いて
鍵開けしようとしている猟兵がいたらそちらにも聞く

壊し方は力ずく
【怪力】使って
鍵の構造によるけど小刀が使えるなら差し込んでこじあける

え、手慣れてるかなぁ?
鍵破りは今日が初めてだよ

鍵を壊したあと扉が開くかどうか確認
開かなければ同じく力技で扉も壊すつもりだけどそれで解決するかなぁ
あとは相手の出方次第だもの
開けられたくないって飛び出してきてくれたら楽なんだけどね


月山・カムイ
倉の鍵が開かない、ですか?
南京錠等で鍵が掛けられていて開かないというのなら、鍵を壊してしまうのが手っ取り早い、と思いますが
どうでしょう、ここはひとつ試させていただけませんでしょうか?

文字通り南京錠が錆びついた、といったような理由で鍵が開けられないのなら、鍵を剣刃一閃にて断ち切って壊してしまう事を提案してみる
こちらは困っている人の手助けができれば……あー、成功したらお茶でもおごって下さい、程度の報酬で

鍵を壊しても扉が開かないなら、豆を出す事だけを優先して扉を切り開く事もやってみますが
如何なさいますか?
扉の修理が必要となるので気は進みませんが、優先順位によっては試してみますけども


摩訶鉢特摩・蓮華
う~ん、オブリビオンは蔵を開かなくしてどうするつもりなんだろ?豆を運ばれたら困るのかな?それとも豆を使って何かしようとしてるのかも…?どっちにしても蔵の扉を開けないことには始まらないね!
「(鍵を開けるのを)手伝ってあげようか?ただし(蔵の扉は)真っ二つだよ♪」

まず弐指真空波(ユビパッチン)のかまいたちで錠前を切断して扉を開けようとしてみるよ。
ダメだったら今度は扉自体を切ってみよう!
「開かないんだから仕方ないよね…ねっ!」

さ~て、蔵の中には何があるのかな~…って、そりゃ豆があるんだろうけどんね…たぶん。
あるいはナニカがいたりするのかな?
それともな~んにもないのかも…



 仁尾輪屋の中庭は、それはもうひどい有り様であった。
 蔵は大小無数にあれど、徳川家へ献上する──あるいは、江戸の市で商いをするための『豆』を納めた蔵だけが、頑としてその扉を開け放たぬ。下男たちが槌で力の限り突こうとも……馬を並べて綱で括り、鞭打って嘶きと共に砂埃立ち込めんばかりに引こうとも蔵の扉はぴくりともしない。
 それはあたかも不可思議な神通力でもって、天岩戸が閉ざされたかの様であった。

「えぇい、まだ扉はあかんのか!?」
 夏斗は苛立ちの色を隠せず、男衆たちがあれこれと手を尽くす姿を眺めながら爪を噛む。
「──あれが、『豆』が売れなければ今年の商いは大赤字じゃ……」
 気が気でない様子の主人の姿を見て、女中たちも遠巻きに様子を窺う。一向に解決の方策が見えぬまま、無情にも昼九ツの鐘が鳴る。

 そんな最中に、ゲートを通って猟兵たちが屋敷に中庭に現れたのだから彼らの混乱は如何ばかりであったか……想像に難くない。

「何者じゃ──!よもや、妖、化生の類かっ!?」
 見慣れぬ異国装束を身に纏った猟兵たちの姿に、下男たちは農具や槍、槌など思い思いの獲物を手にしてぐるりを取り囲む。

「いやいや、わたし達は怪しい者ではございません」
 懐から天下自在符を取り出し、レイチェル・ケイトリン(心の力・f09500)が御辞儀と共に語り掛ける。場の一同を見渡して夏斗を見つけると、「上様のお墨付きを受けた、身分確かなるものにございます」と葵の御紋を示して彼女は更に続ける。

 天下自在符の表に施された家紋を見れば、確かに贋作とは思えぬ精緻な細工が施されたその意匠は夏斗も話に伝え聞く通り。
「……失礼申した」
 取り乱した様子を恥じ入るように頭を下げると、夏斗は猟兵たちに改めて事の次第を説明する。

「誰が、何の為にわざわざ蔵を閉めたのでしょうか」
 エルデラント・ズィーマ(ロストメモリーズ・f02581)は感情の感じ取れぬ平坦な口調で、思いついたままの疑問を口にする。

「いや、それがさっぱり分からんのです。蔵の中には豆しかございませんが、それもこれもこの地では珍しくもない品物」
 だからこそ、蔵から出して江戸へ運ばなければ商いになどならないのだ──と、夏斗もまた首をひねって言う。

「豆を江戸に運ばれたら困る事情があるのかな?それとも……」
 蔵の中の豆を盗んで、何かしでかそうとしているのかも?そんな想像を披露したのは摩訶鉢特摩・蓮華(紅蓮眼・f09007)だった。外見から推し量られる歳よりも若く──子供らしささえ感じられる語り口に反して、彼女の話した推理は場の一同を「なるほど」と納得させるに十分な説得力を持っていた。
「あるいは、オブリビオンにとって『豆』は蔵を封印するほどに嫌なものなのかもしれないですね」
 エルデラントはこの事件の裏にいるであろうオブリビオンの存在に考えを巡らせて、彼女なりの意見を補足する。

「鍵が開かないのなら、鍵そのものを壊してしまえばよいのではないでござるか?」
「そうだね……鍵の仕組みが分かれば壊すのはそう難しくなさそうだ」
 ゼパル・パラドキア(エルフの死霊術士・f00209)とサンディ・ノックス(飲まれた陽だまり・f03274)は鍵を手慰みしながら顏を見合わせる。扉に下がっているのは、この世界としては立派な細工ではあるが──それでもごくありふれた造りの南京錠であった。蔵を閉じる為のものであるが故に、錠を閉じるツルは相応に太く丈夫に見えるが、大の大人が寄ってたかって開けきれない程とは到底彼らには思えなかった。
 二人はもともと顔見知りではなかったが、たまたま縁あってグリモアベースからこの地へ同行してきた猟兵たちである。その考え方はどうやら似通ったものがあるようだった。

「──錠前は当然、回らなかったのでしょうね?」
 錆びついて鍵が使えないのであれば、やはり一刀の下に鍵を壊してしまう他にないのではないか──と、ここまで黙して語らずに様子を見守っていた月山・カムイ(絶影・f01363)が涼やかな声で問いかける。
「それはもう、真っ先に試しましたが……」
 そう言って口ごもる夏斗から「念のために」と鍵を受け取ってカムイは鍵穴へと差し込んでみるが、やはり錠前は何かに引っ掛かったかのようにビクともしない。

「私どもにお時間を頂ければもちろん鍵を切り裂くことも可能でございましょうが」
 それではこの屋敷を預かる仁尾輪様にも、それと約束を交わした上様にも不都合がございましょう──と、レイチェルは商家の面子を慮って提案する。
「おぉ……おぉ!確かに蔵や鍵を壊さずに済むのであればそれがもちろんありがたい!」
 彼女の提案を聞いて、夏斗は困り顔を一転させて希望に満ちた目でレイチェルを見つめる。色素の薄い髪と肌、そして服の印象も相まって夏斗にとっては眼前の少女は聖母が遣わした御使いのように思えたかもしれない。

「それならば、まずは私が中の様子を窺ってみましょう」
 エルデラントは自らの身体に備えられた『バックアーム』を器用に伸ばし、屋根近くの壁に開けられた明り取りの窓にそれを引っかける。サソリの尾にも似たアームに力を籠めて身体を支えつつ、ひょいと地を蹴ると彼女の身体は易々とその窓へたどり着く。サイバーアイを起動して蔵の中の僅かな明かりを拾って様子を見て取ると、視界の端に何か人影のようなものが動く気配があった。

「……中に、誰か潜んでいます」
 同じ要領で開かずの扉となった蔵の全てを見て取ると、彼女は一同を集めて小声でそう囁く。何者か、素性は分からないまでも──この事態を引き起こしたのは蔵の内部にいる者とみて間違いなさそうであった。

「──本当に、あなた方にお任せして大丈夫なのですな?」
 中に賊が潜んでいると聞き、夏斗の不安はますます募っていく。
「いやいやあなた様は本当に運がよいのですよ。今日は何と猟兵がこんなに来ているのですから」
 蔵の中に潜む賊も、問題なく成敗して差し上げましょう──と蓮華が笑みと共に請け負えば、ゼパルも「こう見えて拙者、ニンジャを志す者でござる。曲者の一人や二人、簡単に始末して見せましょう」と胸を張る。

 当初の計画とは想定が狂ったが、中に賊が潜んでいるのであれば悠長に鍵開けを試みるのは上手くないだろう。そう判断した猟兵たちは、それぞれの技能を使って強引に鍵や扉を破壊し、そのままの勢いで蔵の内部を制圧する算段を立てた。

「屋敷の皆さんは……下がっていてください」
 カムイは蔵の中に潜む曲者を警戒し、屋敷の者を母屋へ下がらせる。
「すぐに、終わりますから──」
 首尾よく終わったら、お茶でもいただけますか?そんな口実にも似た交換条件を付けて自然と仁尾輪屋の人々の安全を確保する彼の様子は、それなりに修羅場を潜り抜けた者だけが持つ頼もしさを醸し出していた。
「は……はいっ、分かりました──」
 それであれば、女中らも彼の言葉に素直に従うのであった。

(──あれ?意外と……)
 ゼパルは内心の焦りを隠しながら額を伝う冷や汗を拭った。石を持ってガンガンと力任せに叩いていたが、何かオブリビオンの魔力に護られているのか、その表面に傷一つ付けられないのである。
「……ゼパルさん、大丈夫?手伝うよ」
 苦戦している様子のゼパルを見て、サンディはそっと覆いかぶさるように覗き込んで視線を屋敷の者から隠す。彼が見れば、ゼパルが手にした石では大きすぎて錠前のバネに上手く力が伝わっていないようだ。
「俺の小刀なら──届くかな?」
 懐から『玉桂の小刀』を抜くと、その黒い刀身を鍵の隙間にねじ込んでサンディは力任せにバネを跳ね上げようとする。
「サンディ殿、なんだか手馴れているでござるね?騎士殿と伺っていたでござるが、他にも何か色々と経験してきたのでござろう?」
 興味深げに問いかけるゼパルの追求を曖昧な笑みでいなしながら、作業に集中することややあって。
 ──バチンッ!
 バネが弾ける音がすると、扉を戒めていた錠前が跳ねてかちゃりと地に落ちる。
「え……手馴れているように見えたかなぁ?鍵破りなんて、今日が初めてだよ」
 壊れた南京錠を拾い上げ、サンディは扉に手を掛ける。

「蓮華も鍵を開けるの、手伝ってあげようか……?」
 ただし、(蔵の扉ごと)真っ二つだよ♪と──物騒なことを言いながら蓮華もまた、別の扉の前に立つ。だが、その両手は空手であった……背には自身の上背よりも長大な大剣を背負っているにも関わらず、だ。
 訝し気に見つめる周囲の視線をよそに蓮華は腰を落として足を軽く曲げると、両手のスナップを効かせて「パチンッ」と【弐指真空波】(ユビパッチン)を放つ。白く光の筋が十字に扉に走ったかと思うと、「ズ──……」と滑るように厚い扉板は切り裂かれた。

(それでは、私も仕事をすることにしましょうか)
 周囲の猟兵らがそれぞれの技能で以って鍵に取り掛かったのを確認して、カムイもまた一つの扉に向かう。ツ──と目を細めて扉に掛かった鍵を、年季の入った木の肌を向けている扉を……そして、扉の向こうにいるであろう「気配」を見切って『絶影』が、二度煌めいた。オブリビオンの手によって掛けられた妖の術ごとそのままに、カムイの剣は破魔の力を以ってそれら全てを断ち切った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『切支丹武者』

POW   :    騎馬突撃
自身の身長の2倍の【軍馬】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
SPD   :    後方支援
【切支丹女武者】の霊を召喚する。これは【鉄砲による援護射撃】や【一斉掃射】で攻撃する能力を持つ。
WIZ   :    主の裁き
【ハルバード】を向けた対象に、【天からの雷】でダメージを与える。命中率が高い。
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「──封印ヲ解ク者ガイタカ」
 猟兵たちが開かずの扉を切り開くと、土煙上げて崩れ落ちた扉板を蹴り飛ばして黒い甲冑で全身を覆ったオブリビオンらしき戦士の姿が見えた。ガチャガチャと鎧を鳴らして蔵から出でること一人、二人、三人……。
 両手の指ほどの人数の異国の武芸者が猟兵たちの前に立塞がる。その表情は顔全体を覆う兜が邪魔をして伺い知ることはできない。彼らの真意を知るためにも、まずは眼前の脅威を打倒する必要があるだろう。
レイチェル・ケイトリン
え、家光さんたちの食べ物の蔵にオブリビオンがひそんでた!?

とんでもないよね、毒や病気、針や刃物、なにいれられててもおかしくない、たべるのはもちろんばらまくのもあぶないよ。

ひどいよ!
荒れた土地でも藩主さんと領民さんたちががんばってそだててたのに……

念動力と吹き飛ばし技能でパイロキネシスつかって26の炎で攻撃して敵も敵の攻撃もふっとばすよっ!

炎はプラズマだから電気をとおす。
かみなりも炎で受け止め地面に流してアース効果でふせぐよ。

かばう技能もあるからほかの猟兵さんへの攻撃もふせぐよ。



豆、ぜんぶおわったらキマイラフューチャーであつめたのと交換するしかなさそうだよ。

そのあと、藩主さんにあやまらないとね。


藤野・いろは
・心情
何とか間に合ったようですね、遅ればせながら助力致します
それにしてもこの世界で見慣れない相手ですね……まるで西洋の騎士のようです。
・攻撃
動きをよく観察し【見切り】を狙っていきます
相手の大技に合わせてユーベルコード【先の先】、【カウンター】を叩き込みましょう
【破魔】の力を込めた刀で【なぎ払い】です
好機と見れば【2回攻撃】で攻めの手を緩めずいきましょう
・防御
相手の攻撃には【勇気】をもってギリギリまで見定め【残像】を残すような速さで最小限な回避を試みます
回避が困難な攻撃には狙いに合わせて【オーラ防御】で対応し、ダメージを可能な限り軽減
・その他
アドリブ、猟兵の絡み歓迎


摩訶鉢特摩・蓮華
うわ~なんかいっぱい出てきたよ。そんなに大勢で一体何してたんだろうねぇ…あとできっちりと聞かせてもらうから!とりあえず…全員まとめてフルボッコだよ!

敵の数が多いから、まずは1体ずつ確実に倒していくよ!
敵が避けにくくなるように、味方が攻撃してる相手に別の方向から攻撃をかけるね。連携大事!

騎馬がいたら、鉄塊剣で馬の足を攻撃すると見せかけて敵の直前で(怪力+念動力で)大きくジャンプ!そのまま武者に切り下ろし攻撃!
命中したら追撃で壱指凸弾をお見舞いするね。
「これはおまけだよ、とっといて!」

切り下ろしを防がれたら
「残念、こっちが本命だよ!」
と言いつつ壱指凸弾を叩き込むよ!

「どう?ちょっと痛いでしょ♪」


ゼパル・パラドキア
真の姿はまだ秘密。出さないでござるよ。

んー…?なんかたくさん出てきたでござるね。
思ってたより多いでござるなぁ。

とりあえず、視界内に一般の人がいたら、危ないから逃げてもらうでござる。

拙者はサンディ殿の後ろあたりに位置を取って、戦うでござるよ。
ユーベルコードは、リザレクト・オブリビオンを使用。
使用時は狙われないように、サンディ殿のうしろに身を隠す感じでござる。
すまぬでござるよ、サンディ殿。拙者、忍びの者ゆえ、隠密行動が得意でござるから…(とか言ってみるけど、ニンジャに憧れるだけでニンジャではない)

ところでどうして扉を閉ざしたでござるか?
外に出したくないものでもあるのでござるか?


サンディ・ノックス
うっかり現地の人への気遣い忘れちゃったよ、俺もまだまだだね
失態は戦闘で挽回しよう

普段の姿のまま前線で戦う
ゼパルさん(f00209)が攻撃受けないよう注意しながら
敵のユーベルコード(以下UC)を潰すため【武器落とし】を狙う

でも本命は自分に攻撃を向けさせること
小柄な俺が前にいたら狙ってくれるよね

敵のUCを防御と同時に真の姿(特徴は真の姿イラスト参照願います)に変化し
UC・魂喰らいで反撃という【だまし討ち】を行う

制圧後に質問

ね、いったい何が目的なの
お前達なら力で人々を黙らせるのだって簡単なはず
蔵を開かなくして終わらせるってどうしてかな

回答無しなら笑顔のまま傷口をえぐるなり腕を折るなりして口を割らせる


月山・カムイ
一体なんの為にこのような封印を施したりしたのか、聞かせてもらいますよ?
そもそも、無駄に商いの邪魔をする等と、何を考えているのやら
……一体何を企んでいたんですか?

敵は10体程度と多いと言えば多いが、猟兵の数もそれなりに居るし、確実に1体ずつ仕留めて行くのが良いでしょう
軍馬に乗るようなら軍馬ごと剣刃一閃にて一刀両断してやるとしましょう
天からの雷への対処が難しそうですが、敵がこちらにハルバードを向けているという合図がある訳ですから
その仕草を見切って回避行動をとれば、ある程度は対処出来るでしょう
……まぁ、全て避けられるとは思いませんが
多少の攻撃には平然とした顔で、力の限り戦いましょう


エルデラント・ズィーマ
なるほど……これがマメですか。マメとは鎧を纏って喋るのですね
普通に危ないので蹴散らしましょう。重武装の集団であるならばアームを使って足払いをします
援護射撃については義眼での解析とブラスターでこちらも対応します
仲間との連携も視野に入れてバックアップに専念しましょう
蔵の中で何があったのかちょっと気になりますね……オブリビオンから話が聞けるとは思いませんが




「なるほど……これが、『マメ』ですか」
 鎧を纏って喋るのであれば、見世物として江戸で人気が出るのも頷けます──そんな、どこかズレた感想をエルデラントは呟いた。任務の出発前に確かに説明を聞いたような気がしないでもないが、記憶を代償に強大な力を振るう彼女の常識のなかから『マメ』に関する知識はぽっかりと穴が開いたように抜け落ちてしまっていたのである。

 一人で納得した風のエルデラントの言葉を遮って、慌ててゼパルが彼女の認識を修正するべく声を掛ける。
「いやいや、そんな訳はないでござろう。これはオブリビオン、敵にござるよ」
 それにしても思っていたより数が多い……と、視線は蔵から外さずにゼパルは周囲の猟兵たちに警戒を促す。
「そうですか、確かに重武装でもあるようです。ワタシはこれらを危険な存在であると認識しました」
 ゼパルの言を聞いて、エルデラントもまた、認識を改める。バックアップは私が──そう言ってエルデラントが手にした『ノヴァブラスター』から熱線を放つと、機先を制されたオブリビオンらは距離を取り遠巻きにエルデラントを囲む。
 
「それであれば、やはりここは忍法を使わせてもらうでござるよ」
 拙者、忍びの者ゆえに……切った張ったの殺陣よりは搦手の方が得意でござる──そう宣言した言葉は彼女が投げ割った煙玉の破裂音にかき消されて最後までは聞こえなかっただろう。
 もくもくと白煙を吐く煙玉を脇に蹴りやって現れたのは、ゼパルが自身のユーベルコ―ド【リザレクト・オブリビオン】で呼び出した死霊騎士と死霊蛇竜。
(すまぬでござるが……サンディ殿、守りは任せたでござる)
 煙に紛れてゼパルはこっそりとサンディの背の裏へ。彼女のユーベルコ―ドは自身が戦うことには向いておらず、技の発動中は無防備となってしまうのだ。

(──任せておいて)
 背に隠れた気配を感じて、サンディはしっかりと頷く。
(う~ん、サムライエンパイアの現地の人については気遣いできてなかったなぁ。まだまだ俺も甘いね)
 如才なく仁尾輪屋の人々に対応する周囲の猟兵たちの様子を見て、彼は心の中で己を省みていた。これまでに十を超える戦場を駆けてきたが、やはりまだまだ学ぶことは多い。これまで以上に過酷な任務もあるだろう。それであれば……これからも止まることなく成長し続けるしかない。そんなことをサンディは考えながら、手にした『暗夜の剣』を鞘から抜き放つ。
「戦闘での俺は、一味違うよ」
 真意を悟られぬように、一歩、自然に足を前に進めながら彼は目の前の『切支丹武者』に立ち向かう。

「……ふむ、いったい何のためにこんな事をしでかしたのか。あなた方の企み、その狙いをきかせてもらいましょうか」
 カムイはオブリビオンらの真意を測りかねていた。商いの邪魔をするにしては、蔵の戸を封印するだけ──というのは些か中途半端に思える。中身を盗み出すなり、道中を襲うなりもっと直接的に被害の大きくなる方法もありそうなものであった。
 そんなカムイの問いかけに対して返答はなく、答えの代わりとばかりにオブリビオンが向けたハルバードの切っ先から光が迸ると、天からの雷がカムイに向けて一直線に稲光を走らせる。
「──ッ!まったく問答無用ですか」
 武者から放たれる殺気の流れに気を払っていなければ、離れた間合いから放たれた雷を避けることは難しかっただろう。咄嗟の予感に従ってザッと飛び退ったカムイの影を、異国の騎士の魔力が焼く。

「カムイさん、大丈夫!?」
 なおも追撃を掛けようとしたオブリビオンの動きを遮るように、敵の側方から『鉄塊剣』での薙ぎ払いを放ったのは蓮華である。
「うわ~……それにしても、いっぱい蔵から出て来たね。こんなに大勢で何をしてたんだろうねぇ。みんなまとめて蓮華がフルボッコにしてあげるから、後でキッチリぜんぶ話してもらうんだからね!」
 身の丈程の大剣を振り回して戦う彼女を警戒して切支丹武者が散開すると、猟兵ら数人で一体のオブリビオンを囲んで分断する形となる。
「たくさんいるからね──。一人ずつ、やっつけるよ!」
 蓮華がそう宣言すると、周囲の猟兵らも同意するように軽く頷いた。

「オブリビオンの狙いがどこにあったとしても……」
 何か毒や針なんかの仕込みをされているかもしれないし、そんなの──危なくて江戸に運ぶなんて出来ないよ。そういってレイチェルは静かに内心の怒りを募らせる。
(絶対に、許さないんだから)
 ここまで豆を育てるのにも、たくさんの苦労があっただろう。顔も知らぬ緒豆藩の領民たちの悲しむ顏を想像してか、レイチェルは眉根を寄せる。彼女を猟兵たらしめる根源であるサイコキネシス。その本質は、彼女の心の力。『心ある』人形であるレイチェルの悲しみと怒りが大きく燃えて、悪しき武者たちを討たんと26の炎が仁尾輪屋の中庭を明々と照らす。


 猟兵たちとオブリビオンらの攻防は、いずれも後れを取らぬ互角であった。忍術による攪乱を中心としながら、ユーベルコ―ドで召喚したオブリビオンの亡霊らやサンディがヒット&アウェイで切り結ぶ。的を絞らせず、間合いを絶えず変化させながら入り乱れるように連撃を繰り返す彼らの連携は、次第に切支丹武者へ傷を重ねていく。オブリビオンが身に纏う漆黒の鎧は次第に金具が弾け、その下の肉からはどろりと鮮血が滴る。

 一方で、近距離を主体としたカムイと蓮華は、徹底して距離を取るオブリビオンの戦法を攻めあぐねていた。
「まったくもぅ……この馬、邪魔だよっ!」
 幾度となく武者が召喚した軍馬に攻撃を阻まれては、蓮華が悪態をつく。
「──蓮華さん、まずは軍馬を倒してしまいましょうか」
「……そうだねっ、それが良いと思う!」
 カムイの提案に、蓮華も同調してそれぞれ左右から阿吽の呼吸で黒い毛並みの馬へと切りかかる。カムイが構えた異形を断つ破魔の一撃は馬の無防備な胴へ。オブリビオンを存在ごとすり潰すかのような巨大な鉄塊剣による蓮華の一撃は高く嘶いた馬の後ろ脚へ。
「もらった──」「逃がさないよ……!」
 それぞれが互いの死角を補って放った必殺の一撃は、確かに軍馬を両断した。
 ──だが。

 ──ダダダダダンッ!

「きゃぁっ!?」
 攻撃を振り抜いたその無防備な一瞬を狙って、いつの間にか援軍として現れた【切支丹女武者】らが放った種子島の援護射撃が蓮華を狙う。

 つるべ打ちにも似た絶え間ない後方からの火縄銃の攻撃を受け、腕に、脚にと無数の傷を受ける蓮華。
「危ない……!」
 レイチェルが咄嗟にパイロキネシスを放って銃弾もろともに女武者数体を吹き飛ばしたその隙に、エルデラントが『アームシールド』で傷を負った蓮華を庇いながら後方へ下がらせる。
「なかなかの強敵です」
 蓮華の傷の深さを見て取りながら、エルデラントが歯噛みする。

 ──何か、戦況を大きく変えるような。そんな一手が無いものか。猟兵たちのそんな想いに応えて、「何とか間に合ったようですね──」と応じる声がひとつ。
 それは艶やかな戦化粧姿に妖刀を構えた、藤野・いろは(天舞万紅・f01372)であった。
「遅ればせながら、猟兵の一員として僕も皆さんに助力いたします」
 突然の闖入者に少なからず浮足立ったオブリビオンらの動揺を見逃さず、いろはは素早い動きで先手を取っていく。
「あなたの一撃、太刀に映せぬ前に終わらせます」
 勇気と共に大きく踏み出した踏み込み足は力強く大地を踏み、気合と共に振り抜いた刀の一閃は抵抗ひとつ許さずに切支丹女武者を切り捨てる。
「さぁ、今が好機です!」
 返す刀で一体の切支丹武者を打ち払いつつビッと血糊を振り落とすと、その殺気は女性にしては長身のいろはの姿を更に大きく見せ、オブリビオンらへ無意識の恐怖を与える。


 いろはの加勢によって、猟兵らは弾みを受けて一気に攻勢へと転じる。
「今度こそ、本当に許さないんだから!」
 レイチェルはパイロキネシスの炎を26に分け、その全てで敵を焼き尽くしていく。一つ一つが骨をも炭と化すほどの熱量を持った焔が、縦横無尽に切支丹武者らの身を焦がしていく。
「……もう今さら反省したって、遅いんだからね」
 決別の言葉と共に炎を収めると、後にはオブリビオンだった白い灰が風に舞う。

「解析、終わりました。再度援護します」
 キュイイィン──と左眼に装着したサイバーアイを起動させ、エルデラントは敵の動きを予測してはブラスターでそれを封じていく。再演算を終えた彼女の攻撃は狙い過たず、的確にオブリビオンの行動を妨害する。
「……敵の困惑を確認。バックアームズ稼働、追撃に移ります」
 敵の足が止まったのを見て、エルデラントは腰から生えた武骨な尻尾状のアームを大きくしならせ、オブリビオンの一団の足を払うように薙ぎ払っていく。
(──あれ、昨日の夕飯は……なんでしたっけ)
 脱落していく記憶の欠片にちらと意識を取られるも、雑念を振り払って無心に繰り出す彼女の攻撃は盾となるものがいなくなった切支丹武者の態勢を大きく崩す。

「あまりこの世界では見ない相手ですね……」
 まるで、『西洋』の騎士のようです──そんなことを思いながら、いろはもまた追撃の手を緩めない。このオブリビオンが発生する元となった記憶は、どこの誰のものか……海の向こうには何もないといわれるサムライエンパイアに生まれ落ちたこのオブリビオンの素性を訝しみながらも、その剣筋にはひとつもの曇りもなく。

「まったく、往生際が悪いとは思わないのかな?」
 破れかぶれのように雷撃を繰り出す切支丹武者の姿に苦笑しながら、サンディはなおも味方を庇いながら前に立ちはだかる。
「いい加減にその攻撃も見切ったよ」
 予備動作が大きく、狙いが分かりやすいハルバードからの雷を手にした盾でいなしながら、彼は切支丹武者の眼前へとたどり着く。
「さて……やれるものなら、やってみろよ」
 ぞっとするほど低い声でそう呟いたサンディへ、至近距離から天からの雷が降り注ぐ。
(──掛かったな)
 普段の穏やかな表情は鳴りを潜め、一転して冷たく凍てつく笑みを湛えると彼は真の姿を解放する。紅蓮の鱗を持つ竜人の姿へと転じると、その強固な鎧はオブリビオンの攻撃を難なく弾き返す。行き場を失ったエネルギーの奔流を捕まえて手にした竜槍へ纏わせると、くるりと穂先を回して切支丹武者の鳩尾を貫く。

 ──グシャ。

 槍の先端に宿った力場がオブリビオンの肉を喰らいつくす音がして、辺りは静寂に包まれる。


「──結局のところ、彼らの狙いは何だったのでしょう」
 切支丹武者らを討伐し、蔵の中を検分しながらカムイは再び疑問を口にする。
 オブリビオンは黙して語らず、ある者は猟兵らに打ち倒され、またある者は敗北を悟って自害した。跡形もなくどろどろとした黒い汚泥となって消えゆくオブリビオンらを見送りながら、猟兵らは何か事件の背景を知るための手がかりが無いかと痕跡を探す。

「──んっ、これは……?
 蔵の片隅でカムイはひとつの書簡を拾い上げる。置き忘れたかのように無造作に転がるその書簡には「仁尾輪屋の豆を江戸へ届けさせるな──淡海屋」との短い走り書きが残されていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『悪代官』

POW   :    ええい、出会え出会えー!
レベル×1体の、【額】に1と刻印された戦闘用【部下の侍オブリビオン】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
SPD   :    斬り捨ててくれる!
【乱心状態】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
WIZ   :    どちらが本物かわかるまい!
【悪代官そっくりの影武者】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠犬憑・転助です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

摩訶鉢特摩・蓮華
これは…淡海屋さんが仁尾輪屋さんを陥れて利益を独占するためにやったってことなのかな?
とりあえず書簡を持って淡海屋さんのとこに行って、そしたら悪代官さんと淡海屋さんが密会してて悪事をペラペラしゃべってて、そこに乗り込んで「上様に代わっておしおきだよ!」ってすればいいのかな?

前回は不覚を取ったけど、今回はそうはいかないよ!
敵の数が多くなりそうだから範囲攻撃の紅散華で着実に数を減らしていくよ。
なるべく自分の周りに敵を集めたいから派手な立ち回りで注意を引くね。
「ほらほら!そんなへっぴり腰じゃ、か弱い女の子一人倒せないよ!」

勝てたら
「よかった~!これで仁尾輪屋さんも安心してマメを運べて事件解決だね!」


月山・カムイ
状況と書簡からの情報から考えて、淡海屋がオブリビオンを雇った?
いえ、オブリビオンが背後に居てそれをさせたと考えるのが妥当ですか
ならば次にやるべき事は、討ち入りですかね

淡海屋と悪代官の密談現場へ踏み込む
企みがバレたと判った時点で、慌てて集まっているでしょうから、一網打尽にしてやるのが流儀でしょうね

なんの為に仁尾輪屋の倉を封じたのか、答えて貰いますよ
恐らくは献上品を収められなかった為評判を落とし、可能ならお取り潰しされた所をシェアの強奪、辺りを目論んでいたのでしょうが
我々に感知されたのが運の尽きですね、淡海屋には罰を
そして、そこの悪代官には死を差し上げましょう

殺戮捕食態となった絶影で戦う




「ふむふむ──なるほど?」
 切支丹武者が残した書状を拾い上げた猟兵らは事の次第を推理する。
「淡海屋さんが利益を独占するために、仁尾輪屋さんの蔵を開かないようにしたってことなのかな?」
 蓮華が目を閉じて思案顔で考え込んでいると、その横でカムイが彼なりの想像を披露する。
「──いや、それだとオブリビオンの説明が付かないよ」

 聞けば、淡海屋自体はもとから仁尾輪屋と同様に、この緒豆藩で商いをしている商家の一つだとのこと。
「それなら、淡海屋もまた、オブリビオンに唆されたのではないでしょうか」
 真に討つべきはオブリビオン。背後で糸を引くその姿を想像して、カムイは悪を打倒する決意に燃える。

「なるほど!分かったよ……お豆は季節のもの。楽しく食べればみんな笑顔になれる。それを蔵にしまい込むだなんて──商売人の恥さらしだねっ」
 江戸の上様に代わって、自分達が悪のオブリビオンは成敗するよ──!迷いが晴れた顔で蓮華も大きく頷いた。

「──淡海屋は、ここから半里ほど離れた場所に別宅を設けておりますじゃ」
 淡海屋の本宅と店屋は大通りに沿って建てられており、切支丹武者やその他の見慣れぬ顔がうろついていれば必ず目立つ。おそらく密談や悪だくみをするのであればそちらではないかと……と、夏斗は猟兵らに淡海屋の別宅についての情報をもたらす。


 一方その頃──。
「仁尾輪屋へ差し向けた切支丹武者はやられてしまったと、忍びが──」
「ええい、騒ぐでないわ。既に時間稼ぎは為して居ろう」
 あとは仁尾輪屋の豆の代わりに、儂の仕入れた『魚の天麩羅と甘煮豆』を売りさばけば巨万の富間違いなしよ──。ガハハと笑う下卑た男の声と、対照的におどおどと声を上げる線の細い男の声。
 淡海屋の別宅。行灯に照らされた障子の向こうには、二つの影があった。


「話はすべて聞かせてもらったよ──!」
 スパーンッと勢いよく障子を開け放ち、蓮華が叫ぶ。

「──っ!賊か、出会え、出会えぃ──!!」

「それは……させませんよ」
 応援を呼ぶのは分かっていましたからね、と事も無げにカムイは告げる。猟兵らに先行して、目立たないように予め屋敷に潜んだ彼は、屋敷を警護した淡海屋の手の者を無力化してしまっていた。
「屋敷の者は私が始末しました。悪巧みを目論んでいたのでしょうが……私たちに気取られたのが運の尽きですね」
「真実と愛の美少女(?)戦士。この蓮華ちゃんが……お天道様に代わってお仕置きするよ!」
 敢えて悪代官と淡海屋の目を惹くように、二人の猟兵は朗々と名乗りを上げる。

「ひ……ひぃっ」
「下がっておれ。このような小童ども、この儂が返り討ちにしてくれるわ」
 悪代官は淡海屋を蹴りだすように後ろへ下げると、猟兵たちに向き直って。
「ずいぶんと調子に乗っておる様じゃが……この儂を誰と思っているのか!」
 片腹痛いわ──!と猟兵らを一喝する。その怒号に応じてか、とぷり──と邸宅の中庭広く整えられた日本庭園が泥の沼となり……そこから無数の侍オブリビオンが湧き出てくる。

「やはり、お前が黒幕か」
 絶影を抜き、月光を反射して煌めく朱き刀身を殺戮捕食態と変じたカムイは……油断なく横目で新たな敵を確認しながら悪代官へ向かう。
「お前のような世界を侵す毒は、許せない──死ね」
 言葉少なに断罪を告げると、飛ぶように奔る事、一歩、二歩、三歩──!
「むぅっ──、速いな!」
 儂を守れと命ずるオブリビオンの首を切り落とすべく、猟兵は駆ける。

「ほらほら!蓮華もいるんだからねっ」
 そんなへっぴり腰じゃ、か弱い女の子一人倒せやしないよ──と煽るように声を掛けながら、蓮華はスカートを翻して舞う。自らの名を冠した鉄塊──『紅蓮華』をめらめらと紅く燃える花びらに変えて、カムイを止めるべく殺到した侍オブリビオンをまとめて焼き払っていく。
「ひらひらと、舞い散る命──」
(それは、お百姓さんたちが丹精込めて育てたお豆さんだって一緒なんだ。だから──)
 それを無駄にするオブリビオンの悪行は許さない。そんな決意と共に、蓮華は彼女の思いを解き放つ。
「紅散華──!」
 千々に舞い散る蓮華の花が──轟と燃えた。全てを焼き尽くす劫火は侍オブリビオンに過たず命中し、それらを白い灰へと変えた。

「お前が遅いんだよ。逃がさない」
 倒れ込むほどに低く上体を倒し、地を這う軌道から三日月のような美しい弧を描き。振り抜いたカムイの刀から遅れること数拍。
 ザシュ──!と、肉を裂く音がした。

 トス、と軽い音がして。転がったのは左の手首。
 首こそ刎ねるには至らなかったものの、カムイの一撃は悪代官に深い傷を負わせた。

「貴様あぁぁぁ!この不埒者が、許さん。許さんぞおぉッ!」
 痛みには慣れていないのだろうか。鮮血を噴き出す傷口を抑えながら、般若の形相でオブリビオンが叫んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

レイチェル・ケイトリン
蓮華さんとカムイさん、すごいね。

敵は配下や影武者を呼び出す……なら、「念動力」と「吹き飛ばし」と「目潰し」と「武器落とし」を「範囲攻撃」にした「刹那の想い」を「クイックドロウ」と「早業」でさらに加速してどんどんつかうね。
武器を落とさせ、目を見えなくした敵たちをふっとばしてオブリビオンを中心にまとめてくよ。

敵からの攻撃もふっとばしてふせぐし、ほかの猟兵さんをおそってもふっとばしてふせぐよ。
「かばう」もつかえるから。

オブリビオンがあばれだしたら配下や配下の死体をその目の前にふっとばしてそっちをおそわせるし。

この後、豆をキマイラフューチャーのと交換しなきゃいけないんだからさっさとやっつけるよ。


加藤・光廣
どこの世界も悪党ってーのは変わんねーもんだな
ちょっとした利益のために、いいように唆されやがって
ここの言葉を借りるなら「浜の真砂は尽きるとも世に悪人の種は尽きまじ」ってか
俺も人のこと言えた義理じゃねーけどよ

さてまずは一九式ぶっ放して威嚇でもするか
怯えろ!竦め!
弾切れ起こしたら悪代官に投げつける
後で回収するなり支給してもらえばいいや
距離が詰まったら、スローイングナイフを両手から投擲だ
おっと、もう一組残ってるからオマケもつけてやるぜ!っと
近距離戦になったら右手にダガー、左手にマンゴーシュ持って手数で勝負
悪代官さんよお、高価そうな武器持ってんな
俺がもらっておいてやるぜ
隙を見てUCの一撃でも喰らえよ!


ゼパル・パラドキア
サンディ殿(f03274)と参加。

真の姿は晒さない。まだまだ秘密でござる。

魚の天麩羅と甘煮豆も美味しそうでござるがね。
儲けたいなら普通に頑張って商売すればいいでござるよ。
こんなずるい手を使うのは悪!仕入れた食材も泣いてるでござるよ。…知らないけど。たぶん。

と、偉そうに言い放ってから、サンディ殿の後ろにスッと潜む拙者。
リザレクト・オブリビオンで後ろから攻撃でござる。狙う敵はサンディ殿と同じやつ。確実に仕留めていきたいでござるね。

鬼は外、福は内というでござろう?
悪いこと企むお主らは鬼。鬼は外、でござるよ。豆より少し痛いでござるがね(攻撃体制を取り)
覚悟は、いいでござるな?


サンディ・ノックス
オブリビオンの行動理念って悪意だと思っていたけどそうとは限らないんだね
こんな手間かけるほど富っていいものなの?よくわからないや


真の姿発現(特徴は真の姿絵を参照下さい、利き手は右です)
暗夜の剣は大剣へ変形させる

ゼパルさん(f00209)が攻撃されないよう『解放・宵』を攻撃回数に特化させて部下侍を確実に狩っていく
駆除が間に合わなくても割り込んで【かば】い
実際のダメージ以上に苦しんでみせて
悪代官が追い打ちをかけに来たら小刀でぶすっと【だまし討ち】


討伐が終われば淡海屋さんに笑顔で話しかける

俺は乗せられただけの一般人には手荒なことしないよ
ただ何があったか説明する場所でちゃんと話してくれれば…嬉しいなぁ?


摩訶鉢特摩・蓮華
不埒者って…失礼ね!蓮華はちゃんと真っ当に生きてるもん!不届きな事してるのはそっちでしょ!(ぷんぷん)
もう怒ったからね!泣いて謝っても許さないんだから!

全身を青い炎に変えて真の姿になるよ!
「これで終わりじゃないよ!」
青い炎の周りに地獄の炎を纏って自分を強化する獄炎闘気を使って、さらにパワーアップするね!
「こうなった蓮華は誰にも止められないよ、覚悟してね!」
防御を捨てて攻撃だけに集中して、全力の一撃をお見舞いするよ!

勝てたら―
やったー!悪巧みしてたオブリビオンを倒すことができたよ!
うん、これで仁尾輪屋さんもお豆さんを江戸に運ぶ事ができるね!
オブリビオンもお豆さんで追い払えたら簡単なのにねっ!


エルデラント・ズィーマ
密談とか策略とかよくわかりませんがオブリビオンであればとりあえずボコりましょうか

悪はお縄に封じるか斬り捨てられるのがお約束です。ワタシ剣持ってないので代わりにこの拘束具で縛り上げましょう。

ワタシは悪代官が泣くまで殴るのをやめません。流石に兵器を使ったら木っ端微塵でエライことになるのでユーベルコード以外は肉弾戦で勝負です。鋼の腕が斬れますかね




「──不埒者って、また失礼しちゃうわね!あなたと違って、蓮華はちゃんと真っ当に生きてるもん!」
 『紅蓮華』を「キンッ──」と鋼が打ち付ける音立てて鞘へ納めると、蓮華は悪代官に向かって叫び返した。びしっと音がするばかりに勢いよく腕を振って、人差し指で敵を指しながら「もう怒ったんだから……泣いて謝っても許さないんだからね!」と宣言するその声は朗々と淡海屋の屋敷へ響き渡る。
「やかましい、この小娘が!この世で真っ当も何もあったものではないわ!」
 一喝して彼女の言を切り捨てる悪代官。素直な心のままに正直に生きる蓮華と、記憶の海から盲執に囚われて湧きあがる過去の記憶たるオブリビオン。その価値観が相容れないのは致し方ないことであった。

「それなら──とりあえず泣くまで殴ってみましょうか」
 右の拳を閉じたり開いたり。ぐっと握ってパンチを繰り出す真似をしながら、エルデラントが蓮華を振り返った。密談や策略──そういった難しいことはもう十分だと言わんばかりに身体を小刻みに左右に振る彼女は、もう待ちきれないといった様子だ。
「悪人はお縄に封じるか、切り捨てられるのが古今東西のお約束です──」
 オブリビオンは悪、悪は漏れなく断罪する。そんなエルデラントは見せつけるように鋼の腕をたくし上げると、「ポンポン」と逆の手で二の腕を叩き悪代官を挑発した。

「貴──様ァ!!」
 切り落とされた腕の痛みのままに半狂乱になった悪代官は、エルデラントへ向き直ると顔を紅潮させて彼女へ突進する。そのゆったりとした衣服や恰幅のいい体格からは裏腹に、乱心状態となったオブリビオンはこれまでとは見違えるほどに素早い動きを見せた。

「みんな、すごいね──」
 だから、わたしも頑張るよ。周囲の猟兵の働きにそんな感嘆の呟きを漏らすと、レイチェルは横合いから見えない念動力の弾丸を……否、巨大な不可視の壁を呼び出した。その白魚のような指に嵌められた指輪がオーラの輝きを纏うと、彼女の念動力と呼応して光は瞬く間に目を潰さんばかりに眩くなる。
「──ッ!」
 通常よりも念動力の出力が強いのは、レイチェルがこの任務に懸ける想いの強さが天に適ったか。
「この後、まだまだやる事があるんだから……!」
 口を真一文字に結んで悪代官を見据えて、彼女は高密度に練り上げた念動力を発動させる。
「──!? ぐあぁっ」
 横槍に何かに殴られたような衝撃を受けて、大きく悪代官は吹き飛ばされる。

「さて……と」
 ゴロゴロと砂埃上げて吹き飛ばされた悪代官の、伸びあがった喉元を蹴り上げて加藤・光廣(人狼のグールドライバー・f06416)は手にしたアサルトライフル──『一九式突撃銃』を突きつける。ぐぇ、とうめき声を漏らす悪代官に冷ややかな目線を向けて光廣は言葉をなおも紡ぐ。
「浜の真砂は尽きるとも世に悪人の種は尽きまじ──ってか」
 救えねぇな、と呟くと長い銃身を持った突撃銃を軽々と操り、狙いを定めて引き金を絞る。
 ──カチリ、ッターン!
「怯えろ……竦め!」
 そして泣いて詫びろ──と光廣は敢えて二の腕を、頬をかすめるように弾丸を降らせていく。

「っ、ひぃ……!」
 よたよたと這うように光廣から逃れようとする悪代官。
 その前に立塞がる二つの影があった。

「やれやれ。オブリビオンの行動理念って悪意だと思っていたけど、こんなのもあるんだね……」
 随分と手間を掛けたみたいだけど、そんなに富が欲しかったの?──と訝しんだのはサンディだった。その言葉とは裏腹に、ニコニコした表情を崩さない彼の様子からは、その真意を伺い知ることは出来ない。得体のしれない恐怖を感じ、悪代官はまた後ろ手をついて、じり……と後ずさる。

「鬼は外、福は内……とこの世界では言うでござろぅ?」
 こんな悪い事を企むお主らは鬼、でござるよ。なれば──後は言わなくても分かる、でござろう?ゼパルは悪代官に問いかける。
「魚の天麩羅と甘煮豆もなかなか美味しそうではござるが……」
 それでも、商売敵を陥れるのは良くないことでござる。覚悟、召されよ。そう言ってゼパルが召喚した死霊騎士と死霊蛇竜が、腰が抜けたのか──満足に動く事も出来ない悪代官を左右から追い詰める。

「ゼパルさん、そのまま捕まえておいてください!」
 蓮華は悪代官の動きが封じられたのを見ると、真の姿を解放する。
 両の瞳から噴き出した、碧い焔と地獄の炎。二重の炎をその身に纏って全身を大きく強化する【獄炎闘気】を発動すると、『紅蓮華』を大きく振りかぶって天高く跳躍する。
「──てええぇぇいッ!」
 気合と共に振り下ろした大剣からは周囲の全てを焼き尽くす蛇の舌がめらめらと燃え盛り、がっちりと拘束された悪代官をばっさり。一文字に切り裂いた。

「──終わった、でござるか?」
「意外とあっけなかったな」
「……泣かせる暇もなかったです」

 蓮華の放った炎に焼き尽くされ、オブリビオンは塵となって消えていく。肉の焦げる匂いが周囲に立ち込め、黒い煙が天に上る。最後に──悪代官の手にした趣味の悪い扇子がバチンと爆ぜて、辺りには一筋の風が吹く──はずだった。


「貴様ら、くらえぃ!」
 庭園に置かれた石灯篭。その陰から飛び出した黄衣を纏った人影が一つ。腰に下げた剣を抜いて後方に下がっていたゼパルに斬りかかるその姿は、正しく今しがた倒したはずの悪代官であった。
「──切支丹武者に続き、影武者までも。貴様らの血でその罪を雪ぐがいい!」

 一瞬の弛緩した空気の隙をついた悪代官に対し、猟兵らは反応が遅れてしまう。
 ──ただ、一人を除いて。

「ゼパルさんにケガさせるのは、この俺が許さないよ」
 真の姿を解放し竜人と化したサンディがその背に生えた翼を羽ばたかせると、滑るように低空を滑空して悪代官とゼパルの間に大剣を捻じ入れる。
 ガキイィンッ──と火花が散り、サンディが手にした大剣『暗夜の剣』と、オブリビオンの手にした日本刀がその鎬を削る。

 すんでの処で刀を押しとどめたものの、サンディは体勢を崩してたたらを踏む。
「……クッ、細身の刀の割にどこにこんな力が!?」
「フハハ、大仰なのは見た目だけのようじゃな。存外大したこともないわっ」
 両手に力を籠めてじりじりとサンディを押し込む悪代官。
「──喝ァッ!」
 吐息がかかるほどの距離に肉薄すると、敵はサンディの腹を蹴って彼を突き飛ばす。カラカラとサンディの手から大剣が離れて地を転がった。
「まずは──貴様から冥土に送ってやるわっ!」
 倒れ込んだサンディへ、なおも日本刀を突き立てようと振りかぶって迫るオブリビオンの動きを……周囲の猟兵が止めようとする。

「あぁっ、サンディさん!危ないっ」
 泡を食って召喚した死霊騎士と死霊蛇竜を差し向けるゼパルは、いつの間にか素に戻って普段のニンジャ口調が鳴りを潜めてしまっている。そんな彼女と、サンディの目線が合った。
(心配、いりませんよ)
 声にこそ出さねど、そのメッセージは確かにサンディからゼパルへ伝わった。
 短い時間ではあったがグリモアベースで意気投合して任務へと赴いた二人。その間には単なる同行者を越えた絆があった。

「死ねぃッ──」
「それは御免被るよ。死ぬのはお前だ」
 嵩に掛かって自身の勝利を疑わず突進した悪代官の背から、いつの間にかサンディが抜いた『玉桂の小刀』の黒い刀身がにょっきりと生える。

「全く小悪党だな、お前も!」
 影武者に隠れてコソコソと機を窺っていた悪代官のやり口を目の当たりにして、光廣は怒りも露に吐き捨てる。
「──俺も……似たようなもんかも知れねえが」
 それでも、意地と誇りってもんが無いもんかよ!──そう叫んで、彼はダガーとマンゴーシュの二刀流で手数を頼りに悪代官に斬りかかる。
「くははっ、儂が生き残るためなら、何でもしてくれるわっ」
 胸を黒刀に貫かれてなお、無尽蔵に思える耐久力で立ち上がり刀を振るう悪代官が、これを迎え撃つ。
「ハハッ、言うねえ。お前のその剣、ずいぶんと高価そうじゃねぇか。お前を倒して、その剣は俺がもらっておいてやるぜ!」
 剣戟は数合の打ち合いを経てなおも続く。闘いに高揚した光廣の表情は、活き活きと愉しそうですらあった。

「まったく……肝を冷やしたでござるよ」
 倒れたサンディを助け起こしながら、ゼパルはユーベルコ―ドで召喚した死霊を悪代官へ差し向ける。
「もう、奥の手も出し尽くしたでござるか?今度こそ確実に仕留めさせていただく」
 多数に無勢か。超攻撃力と超耐久力にモノを言わせて猟兵たちに立ち向かう悪代官も、さすがに疲れを知らぬ死霊らからの波状攻撃を受けて次第に疲れの色が見え始める。

 ──内蔵兵器を使ったら屋敷が木っ端みじんになると思って、手加減していましたのですが。そんな呟きと共に、エルデラントは死霊蛇竜の影から悪代官に肉薄する。巨体を誇る死霊蛇竜の体躯が死角を生み、悪代官はエルデラントの接近に気が付くのが遅れてしまう。
「さっき、言いましたよね」
 あなたが泣くまで──殴るのをやめないと。そう言って放ったアッパーカットが一閃、悪代官の顎を確かに撃ち抜いた。メキョリと骨が砕ける鈍い感触が……エルデラントの拳に伝わる。
「さぁ……泣いて、ください」
 スルスルと伸びた拘束ロープが悪代官の四肢を縛り上げ、手枷と猿轡が視覚と声を奪う。マウントを取って馬乗りになったエルデラントは、無表情なまま悪代官へ鋼鉄の拳を振り下ろした。くぐもった音と……声にならない嗚咽にも似た声が聞こえた。
「……猿ぐつわを噛ませたら、聞こえませんね」
 淡々とエルデラントは事実を観察しながら、拳に付いた鮮血を布で拭った。


 猟兵らの総攻撃を受け、今度こそ悪代官は討たれた。一部始終を物陰から見守っていた淡海屋は、悪代官が塵となって虚空に消えたのを見てぺたりと座り込む。

「さて、もう抵抗はしないよね?何があったか、然るべきところでちゃんと説明してくれれば──嬉しいなぁ?」
 真の姿を解いて聖者の笑みを湛えると、サンディは淡海屋へ話しかける。
「──ちゃんと嘘無く洗いざらい話せば……手荒なことはしないから、さ」
 言外に秘められた圧力に屈して、こくこくと頷く淡海屋。

「……仁尾輪屋が江戸で豆を売り捌くから、他の商家の豆が売れないのですじゃ」
 そう淡海屋は猟兵たちに語った。その成功を妬み、いろいろな特産物……『太巻き』や『蒟蒻』、『蕎麦』などを江戸に持ち込んでみたが売れ行きはいま一つ。
 そんな折に……悪代官が『天麩羅と甘煮豆』の組み合わせを淡海屋へ持ち込み、同時に仁尾輪屋の豆を売れなくする企みを彼に持ちかけたそうな。

「江戸の民らは『鰯と煎り豆』に首ったけですからの。その組み合わせに似た物であれば人気は間違いなし──そう奴は言ったのですじゃ」

「……ふぅ、それでこんなことをしたの」
 レイチェルが溜息を吐く。いつの間にか……彼女は両手に枡に入った『マメ』を持っていた。
「これ?キマイラフューチャーでコンコンコンってしてきたの」
 これなら安心して食べてもらえるから。これ──藩主さまに渡して、謝ろ?そう提案したレイチェルの言葉に、また、淡海屋は頷いた。

「──何にしても、これでこの事件は決着かな」
 『豆』を、急いで江戸に運ばなきゃね……。誰かは分からねど、誰かがそう呟いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月09日


挿絵イラスト