迷宮災厄戦③〜蟲の嘆き(作者 ののん
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●森に集うは蟲の声
 静かな森にゆらりゆらり。
 地を歩く音と、空を羽ばたく音。
 でも、どちらの音も何処かたどたどしくて。

 わたしは何もしていない。
 普通に生きたいだけなのに、みんなが追って来る、捕まえる、虐める。
 みんなが怖い、そして憎い。

 例えみんなに千切られて、ボロボロにされて、燃やされても。
 わたしは羽ばたきたい。

●ゆうとろどきの森
 突如始まったアリスラビリンスの大戦争。グリモアベースに集うグリモア猟兵の中にハイン・ジャバウォック(虚空の竜・f28296)も混ざり、猟兵達に戦場の案内を行おうとしていた。
「他の世界にも影響が及ぶかもしれないってか? 何時の時代も戦争ってのは面倒事しか起きないな」
 しかし起こってしまったからにはもはや止められない。戦う道しか残ってはいないのだ。敵は多いが、まずは一つ一つ先へ進む事を考えよう。愚痴りながらもハインは説明を始める。
「ええと、俺が見たのは『夕闇に支配された不気味な森』だ。不気味ってのも、そこにはオウガの群れが住み着いてるからな」
 オウガなら何処にでも存在している。何ら変わりはないようには聞こえるのだが。
「いや、それが普通のオウガじゃねぇんだ。その森にいるオウガは全員、『身体に新たな部位』を移植されているんだ。異様な姿で徘徊しているから、不気味な森って言われているって訳だよ」
 その森に住むオウガの群れの一部を排除して貰いたい。そうハインは伝える。
「俺からお前達に頼む目標は、『マユラ』というオウガだ。乱獲された鱗翅目の怨念がオブリビオン化したものだそうだ。外見は少女だが、この森に存在するマユラは、身体の至る場所から翅が生えているらしいぜ」
 森に到着し現場に向かえば、すぐに発見できる事だろう。背中だけでなく、顔や腕、足、あらゆる場所から翅を生やした異様な少女の群れがゆらりゆらりと森の中を歩いているのだから。
「もはや哀れな姿だな。だが、新たに生えた翅だって飾りじゃねぇ。あいつ等、動くと共に鱗粉を撒くんだよ、それも周囲を覆う程の量を、な」
 オウガの群れは攻撃と共に、身体の翅から大量の鱗粉を撒き散らすようだ。視界を奪われた中で戦闘を続けるのは危険であり不利だ。十分に注意しなければならないだろう。
「パッと見、身体中の翅をどうにかすれば鱗粉攻撃を弱める事ができるんじゃねぇかなーって思うけど、ま、そこはお前達に任せるぜ。何とかなるだろ!」
 そうハインは笑顔を見せると、グリモア猟兵としての説明を終えるのだった。
「んじゃ、暫くは忙しくなるみたいだが頑張れよ。俺も久々に仕事してやるからよ」
 大きく伸びを一つ。気合いを入れ直した所でグリモアを輝かせると、彼は猟兵達を戦場へと送り出した。


ののん
 お世話になります、ののんです。

 ●状況
 アリスラビリンス『迷宮災厄戦』の戦争シナリオとなります。
 1章で完結します。

 ●敵について
 身体のあらゆる場所に多数の翅を移植されたオウガの群れが襲って来ます。
 ユーベルコードと共に『相手の視界を覆う程の鱗粉を撒き散らす』攻撃を追加で行いますので、
 そちらも視野に入れた上でのプレイングをお願い致します。

 プレイングボーナスは以下の通りです。

 ====================
 プレイングボーナス……「不気味な身体部位」への対抗手段を考える。
 ====================

 ●敵ユーベルコード補足
 POW:発動と同時に視界を覆う程の鱗粉を撒き散らします。
 SPD:【マヒ効果の有る鱗粉】が視界を覆う程の量へパワーアップします。
 WIZ:発動と同時に視界を覆う程の鱗粉を撒き散らします。

 ●プレイングについて
 受付期間は特に設けておりません。

 キャラ口調ですとリプレイに反映しやすいです。
 お友達とご一緒する方はIDを含めた名前の記載、または【(グループ名)】をお願い致します。
 同時に投稿して頂けると大変助かります。

 申し訳ありませんがユーベルコードは基本的に【選択したもののみ】描写致します。

 以上、皆様のご参加お待ちしております。
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第1章 集団戦 『マユラ』

POW ●飛んで火に入る夏の…
【攻撃的な紋白蝶の群れ】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【嫌がる音域】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
SPD ●花蝶風月
【泣く事】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【追加でマヒ効果の有る鱗粉】で攻撃する。
WIZ ●羽化
戦闘中に食べた【花の蜜】の量と質に応じて【いつもより強気になり】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 森の中、ゆらりゆらりと歩く少女達。
 顔に手を当てすすり泣く声を響かせる。
 しかし、その身体にはびっしりと翅が生えていた。
 頭に、腹部に、脚に、腕に、指に、目に、耳に……。彼女達はありとあらゆる美しい翅を手に入れた。
 それなのに、どうして飛べないのだろう。

 不気味な姿の少女達は、その身体から鱗粉を撒きながら夕闇の森を彷徨っている。
灰神楽・綾
【梓(f25851)と】
翅が無ければ普通の女の子って感じだよね
戦うのは好きだけど
泣いている女の子を斬り刻む趣味は無いんだけどなぁ…

鱗粉の対処は梓に任せて
ナイフを構え少女の群れへ突っ込む
まずはそっとUC発動し、蝶の群れを戦場に放つ
蝶の意図を悟られないように普通に戦うフリをする
ジャンプやスライディングで少女の攻撃を躱しつつ
ナイフで邪魔な翅を切り落としていく
ただ、あくまで少女本体には攻撃しない

ああ、そろそろ効いてきたかな?
蝶の攻撃によって少女達が眠りに落ちていくのを見届ける
斬り刻むのは気が乗らないから
眠るように逝かせてあげる事にした

おやすみ
あの世でこの蝶みたいに羽ばたけるといいね


乱獅子・梓
【綾(f02235)と】
翅だけ見れば綺麗と思えなくも無いが
こうも身体中の至る所から生えていると
正直グロテスクだな…

まぁ確かに、何だか弱い者いじめをしているようで
気が引ける気持ちは分かるが、割り切るしかないだろう

俺は面倒な鱗粉の対処を引き受ける
UC発動し、水、風、雷属性のドラゴンを召喚
風属性ドラゴンは羽ばたきやブレスで風を起こし
可能な限り鱗粉を吹き飛ばせ
水属性ドラゴンはブレスで攻撃すると同時に
戦場を湿らせて鱗粉が舞いにくい状態にする
そこへ更に雷属性ドラゴンがブレスを放ち
敵を感電させて動きを封じる(マヒ攻撃
悪いな、じっとしててもらうのはお前達の方だ

トドメは綾に任せるが…
…はぁ、あいつらしいな


 森の中は暗く静かであったが、目的の少女は容易に発見する事ができた。
 少女達に意識はあるのだろうか。すすり泣くような声を響かせながら歩いているのだが、果たしてその『目』や『耳』は機能しているのかすら分からない。
「正直グロテスクだな……」
 乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)は呟く。背中の大きな翅は美しい。しかし、身体中の至る所から生えている翅は美しさとは異なるものを感じると。
「翅が無ければ普通の女の子って感じだよね。泣いている女の子を斬り刻む趣味は無いんだけどなぁ……」
 戦うのは好きだけどね、と付け足し。灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)も異様な光景をまじまじと眺める。
 その言葉が何を意味するのかは梓のみが知る事だろう。
「ま、あの姿とは言え生前は蟲か。心当たりがない訳ではないが……割り切るしかないのか」
 姿形が変わるだけでこれほど印象が変わるものなのかと、梓は思う。少女に手を掛ける事は弱い者いじめをしているようにも感じるが、既に彼女達はオウガとなってしまった者だ。自分達に行える手立てはない。
「仕方がないね」
 反対に綾はあっさりと言い放つ。簡単に言える残酷な言葉ではあるが、それが現実でもあった。

「厄介な鱗粉は任せるね、梓」
「引き受けた」
 短いやり取りを終えると、綾はナイフを握り彷徨う少女達の群れへ襲い掛かった。
 驚いた少女達は翅の間から覗く片目を大きく見開き、ざざ、と一斉に綾を見つめる。
「っ――!!」
 一瞬にして溢れる涙。刃物に反応した少女達が恐怖に慄き声を上げようとしたその瞬間。
「『吹き飛ばせ』」
 その声と共に森に突風が吹き荒れた。梓によって複数体召喚された風ドラゴン達によるものだ。少女達が翅から撒こうとした痺れる鱗粉が周囲を覆う事なく遠くへと吹き飛んでいく。
「まだ残ってるね」
 それでも全てを除去したとは言えない。鱗粉は次々と翅から撒き散らされる。綾は突風で身動きの取れない少女達の間を掻い潜り、慣れた手つきでナイフを滑らせる。彼が通った後に残るのは傷ではなく、斬り離され落ちた身体の翅だ。
「なら、こうか。『舞い落ちろ』」
 少女達へ腕を向け指示を出す梓。森の木々の枝に乗った水ドラゴン達が少女達に向かって水のブレスを吐く。それはやがて霧のように細かく舞い散り、空気を湿らせた。視界から鱗粉が消えてゆく。
「呼吸しやすくなった、かも」
 はらり、地面に広がる翅、翅、翅。少女の身体からも徐々に翅が消えていく。
「そうか、じゃあ最後は仕上げに。『照らせ』」
 梓の最後の命令に、雷ドラゴン達が空へと舞い上がる。湿った空間を見下ろすと、雷のブレスを吐き出し少女達を攻撃した。しかし焦げた臭いは漂わない。ただ少女達が地面に膝をつき体を震わせるだけだ。
 やがて少女達はぱたりと倒れ、静かに眠りにつく。見開いていた目も静かに閉ざされ、それは二度と開く事はなかった。
「よかった、眠ってくれた」
 ようやく綾は足を止め、ナイフをしまう。足元で眠る少女の顔を少し覗き、静かに微笑む。
 気付けば戦場には紅い輝きが舞っていた。それは美しい蝶の形を模した花びらだった。綾は少女達の姿を本来のものへと変えながら花びらを散らせていたのだ。
「斬り刻むのは気が乗らないから、眠るように逝かせてあげる事にしたんだ。きっと彼女達も、こんな風に生き生きと舞いたかっただろうからね」
 夢を見させてあげたんだ。そう彼は言う。
「……そうか」
 梓の返しは短い。
「……せめて別れの言葉くらい、言っておこうか」
「あぁ、そうだね」
 ――おやすみ。あの世でこの蝶みたいに羽ばたけるといいね。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

桜夢・瑠璃
アドリブ・アレンジ可

あれがマユラか
話に聞いた通り不気味な姿だ
移植された経緯も気になるけれど

さあ、僕に君たちの怨念を聞かせておくれ
君たちが今まで生きてきて感じた事、辛かったこと
何でも受け止めるよ
誘うように手を伸ばし囮になろうか
甘く柔い声も忘れずに
――まあ、罠なんだけど

そんなことがあったんだ
同情するように、心から心配するように演じて見せる
予め用意しておいた小人たちに合図をし、
マユラの身体部位を封じるよう命ずる
飛びついて身体部位を掴んでくれたら理想かな

その後は一匹ずつ鋭刃で切りにかかる
苦しまないように一発で
厳しいのなら2発3発と刻む

おやすみ
君たちの死は無駄にしないよ
せめて、あの世では幸せにお過ごし


「こんばんは」
 それはとある夜の出来事。男は現れた。
「悲しそうだね、どうしたんだい」
 男、桜夢・瑠璃(桜瑠璃・f24928)は優しく微笑む。少女達の視線に合わせて片膝を地に着け、甘い声を響かせる。
 びっしりと顔から生えた翅の間から瞳が輝く。曇ってしまった瞳からは、怯えと悲しみの感情がひしりひしりと伝わる。瑠璃に近付く者は誰一人としていない。
「僕で良ければ聞かせてくれないか。君たちが今まで生きてきて感じた事、辛かった事……君たちの怨念、何でも受け止めるよ」
 そっと手を伸ばしながら少女達に語り掛ける。それ以外の動きなど見せず、彼はただ風に髪を揺らされるだけ。
 強く警戒していた少女達は徐々に力を抜いていく。逆立つように広げていた身体中の翅が静かに閉じていく様子は、まるで咲いた花が蕾へと戻っていくようにも見えた。

「――痛かったの」
 一人の幼い声が聞こえた。
「痛くて、怖かったの」
 近付く事はなかったものの、それはとても小さく、震えた声だった。勇気を振り絞り、我慢していた言葉を吐くかのように。
 それを聞いた瑠璃は、そっか、と呟く。
「……よく言ってくれたね、偉いよ。もう我慢しなくて良いんだ、もっと僕に聞かせておくれ」
 それは心から安心するような優しい声と言葉。そんな事を言われたのは初めてだった。不思議な気持ちに包まれる。
 声を出した少女の気持ちが周囲に伝染していく。もう我慢しなくていいのか、心から泣いてもいいのかと。
 ……少し、ほっとした。

「君たちは本当に可哀想だ」
 それは心から同情しよう。瑠璃は悲し気に少女達を眺める。
「君たちは……話に聞いた通り不気味な姿だ」

 ぞわ、と身体が固まった。恐怖で固まった訳ではない。自らの意思で動かす事ができないのだ。
「悲しみの果てにそんな姿になってしまった。どうしてそうなってしまったのかは気になるけれど……大丈夫、解放してあげる」
 いつの間にか少女達の身体にしがみ付いていたのは桜瑠璃に輝く小人達。小人達は少女達の身体から生える翅を掴み、握り締める。痛い、痛い。それは生前の記憶を鮮明に思い出させるようで。
「せめて苦しまないようにしてあげるね。――おやすみ」

 ああ、結局あなたも同じなんだ。
 そうやってわたしを捕まえて、切り刻むのね。

 少女の首に、刃が刺さる。
大成功 🔵🔵🔵

春霞・遙
美しい羽も、増えすぎれば不気味が過ぎます。
それが本人の望みを叶える姿だというのなら尚の事、ほかの方法で叶えられる道に連れ戻してあげたい。
戦争中だから今回のマユラちゃんには安らかに眠ってもらえるように、戦いましょう。

【葬送花】を使用して花吹雪で鱗粉を吹き飛ばし、無数の花びらで異形の羽を破壊します。
姿を確認できて攻撃できるようになったら出来るだけ苦しむ時間が長くならないように銃で急所を「部位破壊」。

次にどこかで会えたなら、そのときは恐怖を拭ってあげられればいいな。


 どうしてあのような姿に成り果ててしまったのだろうか。少女達の姿に春霞・遙(子供のお医者さん・f09880)は心を痛めた。
 身体中から無造作に生えた複数の翅。その一枚一枚に意味などあるのだろうか。
「あなたが欲しかったのは、美しい翅だったのでしょうか、それとも自由を求める翅だったのでしょうか?」
 それを問い掛けた所で、答えは返ってくるのだろうか。
 ……思い浮かぶ事が後を絶たない。今できる事は、彼女達に安らかに眠って貰う事だけ。オウガとなった今では仕方のない事だと、そう強く思うしかない。

「――っ!!」
 遙の気配に気付いた一人の少女が身体中の翅を広げる。他の少女達も驚き翅を広げる。翅の間から見える瞳からは今にも涙が溢れそうだ。
 徐々に周囲がもやりと曇っていく。これは霧ではない、身体中の翅が羽ばたき出し舞い散らす鱗粉だ。
「飛ぼうとしているのですか? いえ、逃がしはしません。あなたのお顔、私にしっかり見せて下さいな」
 遙はすぐさま杖の先を少女達に向けた。輝く光から溢れるのは薄桃色の花吹雪。さらさらと優しく舞っていた花吹雪はやがて竜巻の如く激しく吹き荒れる。鱗粉を巻き込み視界を晴れさせると同時に、刃の如く鋭くなった花びらが少女達の翅を切り刻む。
 少女達は身を屈め、隠し持っていた花の蜜をびしゃりと落とし地面を濡らす。腕で顔を多い隠しているが、初めて彼女達を見た時と比べれば、その姿はより鮮明で。
「……可愛い、綺麗な顔をしているのね」
 遙はふと微笑んだ。それは子供に語り掛けるような、優しく落ち着いた声。だからこそ、遙の心は痛んだ。
 翅が切り取られ、少女の本来の姿が見えるようになればなるほど、見慣れた人の姿がはっきりと理解する事ができてしまい――。

「……ごめんね」

 ――彼女の銃口は、少女の急所を容易に狙えてしまうのだ。
「……次にどこかで会えたなら、そのときは恐怖を拭ってあげられればいいな」
 悲しそうな呟きとは裏腹に、発砲音は止め処なく森に鳴り響く。
成功 🔵🔵🔴

ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵f02925と

鱗粉を巻く少女か
視界を覆う程の鱗粉とは厄介だが…と考え込むも
少女達に襲われたならば咄嗟に宵を引き寄せマントで包み宵に鱗粉が付かぬ様『かば』おうと思う
瞳に鱗粉が入ったならば厄介だからな
俺は…多少『激痛による耐性』はある故に。大丈夫だとそう声を投げつつ【狼達の饗宴】にて呼び出した狼達の炎にて周囲の鱗粉を燃やし視界を得んと試みる
宵の声音には腕に力を込める事で応えよう
…お前の目に何かあったならば困るだろう?
向かってくる敵は狼で攻撃且つ『オーラ防御』にて宵を守ろうと思う
鱗粉が減り視野が戻れば腕を緩めて行く
…宵、後は任せても良いか…と
……説教というが後悔はして居らんからな。…あ…謝らんぞ?


逢坂・宵
ザッフィーロ(f06826)と

そうですね、鱗粉と翅の対策を考えねばなりません
とにかく先に鱗粉を……
そこまで言いかければ不意に強い力で引き寄せられ、マントで包まれ視界を覆われれば目を見張り

……は?きみ、何を言ってるんです?
激痛とか、そういう話ではないでしょう!
反駁しつつも周囲の状況が分からぬ中では動けずに
解放されれば溜息をつきつつちらりと視線を
……お任せください、その代わりきみはあとでお説教ですからね

『高速詠唱』『多重詠唱』『2回攻撃』『一斉発射』を付加した
【天撃アストロフィジックス】にて攻撃しましょう
身体じゅうの翅は余裕があれば『部位破壊』で狙っておきたく
……僕とて、ザッフィーロを守れるのです


 森の中、少女達は歩いていた。身体中にびっしりと生えた翅で遮られ、見える世界は狭い。でも、それで怖いものが見えなくなるのならば、それでも良いと思っていた。
 しかし今夜は騒がしい。がさがさと自分達を狙う何者かが何処からともなくやって来るのだ。
 少女達は目を見開き、必死に周囲を見渡す。怖い、怖い、怖い!

「っ!!」
 突然、一人の少女が声にならない悲鳴を上げ身体中の翅を広げた。暗い森の影からゆらりと長身の男が現れたのだ。その驚きと恐怖はすぐさま他の少女に連鎖していき、皆が翅を広げる。
「おっと」
 長身の男、ザッフィーロ・アドラツィオーネ(赦しの指輪・f06826)は突然撒き散らされた鱗粉から逢坂・宵(天廻アストロラーベ・f02925)を庇うようにマントで覆い隠す。
「ちょっと、何を」
 歩いていたらいきなり視界を塞がれた。何が起きたのかすぐには理解が追い付かなかったが、咄嗟の動きであった事から目標の少女がいたのだろうと察する。
「大丈夫だ、例の鱗粉が舞ったものでな。すぐに収まる」
 ザッフィーロは目を細めながら片腕を伸ばす。狼の姿を模した炎が彼の足元から飛び出す。唸り声の如き火の粉舞う音を響かせながら、空間を汚す鱗粉を振り払い燃やし尽くす。
「しかし流石だ、これほど細かな粒が目に入ればさぞかし痛いだろう。俺は激痛には慣れている故、構わないが」
「目に激痛? きみ、何を言ってるんです?」
 宵の声は低い。未だマントに包まれ、そしてザッフィーロの抱く腕が強すぎる為、身動きは取れない。だが状況と激しい音で起きている事は分かる。
「そういう話ではないでしょう! きみという人はいつもそうやって――」
「お前の瞳に何かあったならば困るだろう?」
「――っ」
 叱る声が遮られる。一瞬言葉を失ったが、宵はすぐに口を開き。
「……酷い人ですよ」
 そう呟いた。

 霧のように視界を覆っていた鱗粉は次第に消え、少女達が狼に怯え小さく屈む姿が見えた。ザッフィーロはやっと腕の力を弱め、宵を解放する。
「……宵、後は任せても良いか」
「お任せください」
 やっと視界が晴れた、と宵はザッフィーロから自ら放れ彼の前に歩み出る。普段よりも目が薄く開かれたその顔を横目で見ると、はぁ、と溜め息を一つ。
「その代わりきみはあとでお説教ですからね」
 宵は夕闇の空を見上げる。うっすらと見える輝きに合図を送れば、その輝きは徐々に増えていき、そして雨のように森へと落ちる。
 幾度と降り注ぐ流星の矢は少女達を襲い、その不気味な身体と翅を貫き焼き尽くす。

 ――全く、後悔していないような様子をきみは見せていますけれど。僕とて、ザッフィーロを守れるのですよ。
成功 🔵🔵🔵🔵🔴🔴

紫・藍
藍ちゃんくんでっすよー!
青空を届けに来たのでっす!
夕闇の森を塗り替えるような、青空を模したステージを召喚!
アート&パフォを駆使して、藍ちゃんくんではなく、思わずそちらに目を向けてしまうような、そんな舞台なのでっす!
一瞬でも泣くのも忘れて見入る空をお贈りしたいとこですがー。
白い雲なふわふわ飾りで視線を妨げるなども!
鱗粉が飛んできてしまうようなら、ギミック発動!
風が吹き上げ鱗粉をあらぬ方向に飛ばすのです!
いっそおじょーさんたちも少しでも上空に打ち上げられないでっしょかー!?

……虐められて流す涙を、藍ちゃんくんも知ってるのでしてー。
少しでも飛べてる間にお歌でおやすみなさいしたいとこなのでっす。


「はいはい! 藍ちゃんくんでっすよー!」
 夕闇の森に響き渡る明るい声。例えどのような場所であろうが紫・藍(覇戒へと至れ、愚か姫・f01052)のテンションが変わる事はない。
 勿論、彼がどれだけ笑顔を見せていようが少女達は驚き怯える。全身から生えた翅がふるふると震え、翅から見えた瞳には涙が溜まっている。
「藍ちゃんくん、今回は青空を届けに来たのでっす! なので今夜はなーんと……泣くのは禁止でっす! あ、感動で泣くのはおっけーですよ!?」
 少女達は怯えながらも彼の言葉にきょとんとする。何を言っているのかがよく分からない。そのような反応になる事など、藍の中では織り込み済みだ。
「それではそれでは、行ってみましょー! まるでミュージックビデオのようなステージをお届けしちゃうのでっす! 参加型のステージなのでっすよー!」
 注目が高まっている中、彼は早速ユーベルコードを発動する。ショータイムの始まりだ。
 森に地響きが走る。少女達と藍の足元から巨大なステージが召喚されたのだ。ドーム状のステージは彼らを囲むように壁を造り上げていく。
 全く知らない場所に作り替えられていく森に、少女達は身を寄せ合い泣き出しそうになった。
「見る所はそこじゃないですよ! じゃじゃーんと、お空をご覧あれっ!」
 藍は両腕を広げる。それ以上の事を行う様子は一切見せない。少女達は怖がりながらも恐る恐る周りを見てみる。
「……!」
 彼女達は驚いた。あれだけ暗かったはずの空が、眩しいくらいに青いのだ。
 別の場所へと飛ばされてしまったのだろうか? いや、もしかして生前の時の世界に戻ったのだろうか? あの青空と風の匂いが、とても懐かしい気持ちを思い出させてくる。
「どうです? 藍ちゃんくんの事はいいので、是非堪能してくださいなー!」
 と、少女達に呼び掛けはしたのだが、これで解決しない事は重々承知している藍。
 本当は嘘偽りなく楽しんで欲しい。だが、それでも彼女達は救えないのだ。
「……えぇ、えぇ。藍ちゃんくんも知ってるのですよー、分かってるつもり、なのですよー」
 虐められて流す涙は悲しく、辛く、悔しい事を。
 だからこそ、少しでも泣く事を忘れてくれたら本望だ。
「……ではではみなさん! お空の上へごしょーたい!」
 藍の元気な合図でステージは動き出す。突然白いスモークが噴き出したかと思いきや、それは雲のようにふわふわと少女達の体を包み込んだ。勿論、それに驚いた少女達は身体中の翅を広げ鱗粉を撒き散らす。
「おおっと、汚すのは厳禁ですのでっ! ではいっきまっすよーっと!」
 雲の次は突風。どこからか吹き上げた強い風に、少女達は鱗粉や雲と共に青空へと舞い上がる。
 驚いて強く瞑っていた目をそっと開くと、少女達は不思議な気持ちに襲われた。

 ――飛んでいる。
 怖いものなんてどこにもいない青空の中を飛んでいる。……こんなにも気持ちよかったっけ。
 ああ、また飛びたかったなぁ。何にも恐れる事なく、心地の良い風と空に包まれた世界で。

 少女達は静かに目を閉じる。まだ恐怖は残っているが、少しだけ生前の美しかった記憶を思い出し、穏やかになったような気持ちになれたら、何だか眠くなってきた。
 このまま眠るのも、良いかもしれないと。そう感じた。
 風は眠る少女達を優しく抱き上げ、静かに地上へと降ろし、体を寝かせる。
 ステージ上に響く藍の歌声は静かながらも力強い。フィナーレを飾った哀愁漂う子守唄が最高潮のまま終わると、彼のステージは幕を閉じた。拍手はない。だが、どこか優しそうな表情を浮かべた少女達の姿が何よりも嬉しく感じられた。
「……おやすみなさい、ありがとうでっした!」

 蟲の嘆きは、この世界から消え去った。
大成功 🔵🔵🔵

最終結果:成功

完成日2020年08月05日
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴