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迷宮災厄戦⑧〜オペレーション『アンラックキャリアー』

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦

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「アリスラビリンスで戦争――『迷宮災厄戦』が開始された」
 グリモアベースに集まった猟兵達も、既にそれを聞いて駆けつけたのだろう。
 確認するように仙堂・十来が口にした言葉に、彼女の周囲にいる猟兵達は頷く。
「今回の戦いは『オウガ・オリジン』の撃破、同時に他世界への侵略を試みる『猟書家』への対策、その両方が求められる。が、まずはいつも通り、戦線を押し上げ『オウガ・オリジン』や猟書家達との直接対決を可能にするために、地道に戦場を踏破していくことになる」
 そう言いながら十来が示したのは『覗いた星空を奪う望遠鏡のある国』の資料――この領域には高い塔状の天文台が存在し、オウガ達はそこに設置された望遠鏡によって発見した猟兵に対して一方的に遠距離攻撃を浴びせることができる。
 こちらは視認不可能な超遠距離であっても構わず襲ってくる攻撃、それは射程においても命中率においても『猟兵達が目の前にいるかのように』距離を無視するのだ。

「なので、今回はいかに『望遠鏡に発見されずに接敵できるか』が重要になるだろう。オウガそのものの戦闘力は高くはない。また、塔となっている天文台の内部には防衛のための戦力や罠などもない。だが、この天文台からかなり離れた位置までしかグリモアベースからは転移できないことを確認している――どのように発見されず接敵するかは、猟兵の皆に任せることになってしまう」
 力不足で申し訳ない、と眉を寄せ十来は頭を下げる。――けれどすぐに、普段通りの表情でまた顔を上げた。
「今回担当してもらうオウガは元から遠距離戦闘に対応したユーベルコードを使用するが、望遠鏡で捕捉した目標に対しては実質的に無限の射程を持つと考えてほしい。幸運をもたらすという四つ葉のクローバーを愛しつつ、『アリス』達や猟兵に己に喰らわれるという不幸を強いる……皮肉な話だ。彼女達の『幸運』を叩き潰し、我々の先陣を飾るとしよう」
 どうかよろしく頼む、と再び深く頭を下げて、十来はアリスラビリンスへの転移の準備へと入った。


炉端侠庵
 こんにちは、炉端侠庵です。
 夏は!
 大規模作戦の!
 季節!!

 というわけで迷宮災厄戦の『覗いた星空を奪う望遠鏡のある国』戦線、お届けします。
 プレイングボーナス条件は『望遠鏡に発見されない工夫をする』です。
 ちなみに望遠鏡は『超鮮明に拡大できて、映っている対象を目の前にいるのと同じように攻撃できる』という以外は至って普通の望遠鏡です。
 転移先は天文台からの距離は遠いものの木立で死角となっています。そこから天文台までは、身を隠すものは初期状態では存在していません。

 というわけでよろしくお願い致します!
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第1章 集団戦 『四つ葉の使者』

POW   :    ぐちゃぐちゃにすれば食べやすいものね?
【クローバーの魔法陣から放つ魔力の矢】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    あなたも素敵な四つ葉になりたいでしょう?
対象への質問と共に、【クローバーの魔法陣】から【白詰草で出来た犬型の怪物】を召喚する。満足な答えを得るまで、白詰草で出来た犬型の怪物は対象を【牙による噛み付きや体当たり】で攻撃する。
WIZ   :    綺麗でしょ、あなたもこの一部になるのよ!
自身からレベルm半径内の無機物を【四つ葉のクローバーと白詰草の嵐】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

村崎・ゆかり
望遠鏡は、無限の視力があるだけで透視が出来るわけじゃないのよね。
それなら、視界を遮る。

浄玻璃紫微宮陣展開。「範囲攻撃」「結界術」を併用して。
迷宮の屋根や壁を越えて、中を見通すことは出来ないわよ。
これの出口に至ったら、また新しく紫微宮陣を展開して、視界を遮りながら前進していく。
これを繰り返して塔まで接近するわ。

塔に入ったらこっちのもの。
中を急いで駆け上がり、オウガに対して「全力魔法」炎の「属性攻撃」「破魔」「神罰」の不動明王火界咒で焼き払う。

オウガの攻撃は「呪詛耐性」で耐えきれるかしら?

この望遠鏡は壊しておきましょう。また別のオウガに利用されると面倒だもの。

まずはこの戦争の第一歩。さあ、開戦よ!


朱酉・逢真
警戒もせずのんびり出てくよぉ。恐怖だ警戒だの感情とは無縁でね。ああ、とうぜん見つかるさ。怪物が襲ってくるんだろう? いいぜ。おいでおいで。かわいいもんさ。
ところでお嬢ちゃん。触らぬ神に祟りなしってェ言葉をご存知かい? ―いまのお前さんのことだよぉ。
俺を襲うなら、その怪物は消えちまうのさ。魔法陣だって、そら。跡形もねえ。質問なんか関係ェないさ。それより大事なことがある。ほォら、聞こえるだろう? 虫どもの羽音が。鳥どものぎゃあぎゃあ鳴く声が。獣が唸る音がさァ。
望遠鏡ばっか覗いてていいのかい。振り返ってごらんよ。たっくさんの眷属たちが襲いかかってきてるぜ。(▻好きな場所 敵の背後から)


紫谷・康行
そこにある光を映す
それが望遠鏡の仕組み
なら、自分以外の光を望遠鏡に届ければ
映らないことになるだろう
見えないことになるだろう

コード・イン・メモリーを使い
望遠鏡と自分の間に自分がいなかった時の映像を映し出し
望遠鏡に届く光に自分が映らないようにしながら天文台に近づく

時折遠くにホログラムで光速で天文台に近づく
飛び跳ねながら進むなど
目を引く人影を作り相手の意識をそちらに向けようとする

仲間がいる場合は仲間を隠したり他のところに気が行くようにホログラムを調整してサポートする

天文台に着いたらホログラムで分身を作って相手を翻弄しようとする
隙を窺い機を見たら剣で攻撃
仲間がいる場合は相手の気を引き攻撃の隙を作る


グルクトゥラ・ウォータンク
【アドリブ歓迎】
到着直後から強烈熱視線とは、わしも捨てたもんじゃないのう。まぁ普通に迷惑なので勘弁してほしいが。

現着したら見られる前に煙幕を張っておいて。
地上を歩けば見つかるのなら、地下を行けばいいじゃない、と昔のドワーフの王妃が言ったそうな。もちろん嘘じゃが。とりあえずユーベルコードでガジェットボールズと電脳妖精を召喚したなら、【トンネル掘り】で目標地点まで掘り進むぞい。方角を間違えんようにたまに電脳妖精を地上に派遣して修正し(出る位置は偽装する)、到着したなら天文台の地下で【破壊工作】【罠使い】で爆弾を仕込み、派手に崩してやろう。
戦争開始の喇叭じゃ、派手にいくぞい!


鬼桐・相馬
【POW】
[軍用鞄]の中にいる[ヘキサドラゴン]へ話しかける
モモ、お前はこの木立周辺をうろついて少しの間囮になってくれればいい、ついて来るなよ
UC発動、成竜のヘキサドラゴンへ

最大のスピードで移動し、下降と上昇や急激に方角を変える等捕捉され辛い動きで敵へ接近
魔力の矢は[野性の勘と視力]を駆使し回避
命中率を重視されたら[結界術]の障壁で軽減を試みる
戦場全体に滲み湧き出る冥府の炎、敵も望遠鏡を操作する手が覚束ない筈

天文台に到達したらそのまま体当たりし[ブレスによる範囲攻撃で焼却、蹂躙]
尻尾による[なぎ払い]で床も敵も魔法陣も破壊

ぐちゃぐちゃにして食べる、か……なら、自分がそうされても文句言えないな?



 転移した次の瞬間に張り巡らせた煙幕の中、グルクトゥラ・ウォータンクは強化電脳妖精と戦闘用強化ボールズを呼び出しながらニヤリと笑う。
「『地上を歩けば見つかるのなら、地下を行けばいいじゃない』と昔のドワーフの王妃が言ったそうな」
 確かにドワーフの王妃ならそのくらい言いそうだ。
「もちろん嘘じゃが」
 嘘かよ!
 むしろ王妃が先陣切ってトンネル掘って攻城戦で勝ったくらいの逸話はドワーフ界ではゴロゴロしてると思ってた!
 ――しかし。
 古のドワーフ王妃ならぬ現代を生きるドワーフ工兵のグルクトゥラは、今から天文台まで掘り進む気満々である。
「さて、お立ち会い。グルクトゥラのワンマンサーカス、開演じゃ!」
 この男、ドワーフでガジェッティアで電脳魔術師である。もはや『掘る』ことにかけてのシナジーは凄まじいことになっていた。
 もちろん地下も掘る。ガジェットのパワーと電脳妖精による方向確認を兼ね備えれば、掘れない地盤は存在しない。
 しかも電脳魔術師だからネットワーク上の情報とかも掘ってくる。多分セキュリティも掘って抜けたりしてくる。
 強いな。
 というわけで蒸気モーターの音を軽快に響かせながら、グルクトゥラは元気に地下を掘り進むのであった。

 さて地上である。
「モモ、お前はこの木立周辺をうろついて、少しの間囮になってくれればいい、ついて来るなよ」
 鬼桐・相馬が軍用鞄の中のヘキサドラゴンに話しかけると、モモと名付けられた漆黒の幼竜はきゅいっと鳴いてから飛び出した。
「さて――行くぞ」
 ユーベルコード『双竜燮』、普段は幼竜へと封じられているモモの力を解き放って成竜の姿へと変え、同時に己も同型のヘキサドラゴンへと姿を変える。漆黒と漆黒、けれどモモが仄かに纏うのは白色の純高温の炎、相馬がはっきりと纏うのは冥府の力たる紺青色の炎。
「キュオオオオオオオン!!」
 一声モモが咆哮を上げ、白き炎を撒き散らす。木立や他の猟兵を巻き込まぬように加減された炎は、けれどどうやら敵の気を散らすには充分だったようだ。そのままふわふわと挑発するように飛びつつも、飛んでくる魔力の矢はひょい、ひょいと器用に避けている。
 その間に相馬は一気に斜め上に舞い上がると、落下しつつの滑空で加速をかけ一気に最高速度へと達した。およそ時速8000km――6.5マッハ。音速を遥かに超えるスピードと上下左右への法則を掴ませない変則挙動は、もはや望遠鏡に映させることすら許さない。望遠鏡の拡大性能という長所は、視界の狭さという弱点と表裏一体だ。

「望遠鏡は、無限の視界があるだけで透視ができるわけじゃないのよね。それなら」
 す、と村崎・ゆかりが呼吸を整える。今から作り上げるのは、超遠距離攻撃に対する巨大な防具――
「急急如律令! 天に坐す北辰と傅く二十八の星宿を今この大地に降ろし、星界の彷徨のいや果てに、不浄を清め天の高みへと昇らしめん!」
 ユーベルコード『浄玻璃紫微宮陣』、夜空を統べる神々の力を借りて、この地上に星空で形作った迷宮を作り出す術。内部は星の輝きによりある程度の光量を生むが、外からの光を透過することはない――結界術によって迷宮そのものの強度も高め、もはや望遠鏡に映るとしてもそれは深い夜空色に星々を散りばめた迷宮の外観のみ。
 無論、敵のユーベルコードや攻撃を通してやるほど軟弱な陣ではないし、この迷宮そのものが破魔の力をも宿している。ついでに言うならば、星空という実質的には『空間』であるものをベースにしたこの結界は、有機物・無機物という概念をも超越する。
 そして彼女の防具として使用する以上、迷宮としての機能は最低限にとどめてある。
 すなわち、彼女から出口までほぼ一直線。出口から内部が見通せないように、直前で曲がり角による死角を挟むのみ。
 そしてその死角に半ば身を隠しつつ、再びゆかりは声を張る。
「急急如律令! 大地に下りし星界の宮、不浄を清めるその気を高め、おわします北辰と傅く星宿の御座を新たに広げさせん!」
 その詠唱に応えるは、出口より続く新たな浄玻璃紫微宮陣――繰り返し、迷宮を拡張し、通り過ぎたかの結界は己の霊力が尽きる前に天へと力を返して消し去り、ただ前へと突き進む防具として美しき迷宮を召喚する。浄玻璃紫微宮陣そのものを望遠鏡の内部に捉えるは容易、けれど破魔の力と結界としての強度を併せ持った陣を貫くは、まして中のゆかりを狙って攻撃するは不可能。きぃんと清らかに響いた音は、おそらく魔力の矢でも弾いたのであろう。
 美しい星空の守りの中を駆け抜けるゆかりの艷やかな下げ髪が、ゆらり、残像のように揺れた。

「そこにある光を映す、それが望遠鏡の仕組み。なら」
 ふわりと柔らかな口ぶりで、紫谷・康行は目を細める。スペースシップワールドを出身とする彼にとっては、そういった光学的な知識は馴染み深いものでもある。
「自分以外の光を望遠鏡に届ければ――」
 映らないことになるだろう。
 見えないことになるだろう。
 そう、歌うように呟いた康行は、そっと胡桃木の杖を構えた。魔術と同時に電脳チップが埋め込まれたそれは、康行の言霊と共に彼の『魔法』を形作る。
「忘れられた星の、失われた世界の、時の果ての記憶であろうと余すことなく再現しよう」
 ユーベルコード『コード・イン・メモリー』、それは言霊のプログラムによって世界そのものの記憶にアクセスし、精巧なホログラムとしてその『記憶』を映し出すもの。康行が己の周囲に映し出したのは『自分のいない世界』――原理としては光学迷彩とほぼ同じ、自分のいる場所に『自分の背後にあるべき風景』を映し出しているにすぎない。けれど世界の記憶から直接呼び起こし構築したホログラムは、康行が己の目で調整せずとも草木の揺れ一つすらも再現してみせる。
 ――時折、天文台に近づく人影が現れては、白詰草で作った犬のような魔物に襲いかかられて消える。全てまた、康行が作り出したホログラムだ。超高速で飛び回る相馬から注意を逸らしたり、グルクトゥラが方角確認のために出した電脳妖精を庇うように飛び出したり、仲間の猟兵達をなるべくサポートするように、そして自分からも視線を引き離すように、自在にホログラムの人影を囮として作り出す。
 踏みしめた草の跡すらもホログラムで覆い隠し、真っ直ぐに――けれど一切捉えられることなく、康行は歩を進めていく。

 その青年は、ポケットに手を入れたまま現れた。
 警戒心は一切なく、ただふぅわり羽織った深紅の打掛の裾と共に長い三つ編みがゆらりと揺れる。
 当然とばかりに襲いかかる白詰草の怪物に「おいでおいで。かわいいもんさ」と手招きすらしてみせる。
「ところでお嬢ちゃん、触らぬ神に祟りなしってェ言葉をご存知かい?」
 素敵な四葉になりたいでしょう、と魔獣と共にかけられる問いかけを無視し、逆に問い返す。触らぬ神に祟りなし――つまり、神に『触れた』ならば。
 ふっ、と牙を剥き襲いかかろうとした白詰草の魔獣が跡形もなく消えた。
「魔法陣だって、そら。跡形もねえ」
 ひらりひらりと手を振ってみせる。瘡も触らにゃ伝染るまいに――疫病を、毒を司る神、その本性は凶星たる朱酉・逢真はくっくと喉の奥で笑ってみせた。
「それより大事なことがある。ほォら、聞こえるだろう?」
 虫どもの羽音が。
 鳥どものぎゃあぎゃあ鳴く声が。
 獣が唸る音がさァ……望遠鏡ばっか覗いてていいのかい。
「振り返ってごらんよ。たっくさんの眷属達が」
 振り向いたオウガの少女達が、恐怖に凍りつくかあるいは悲鳴を上げて飛びすざる。
 病を運び、仲介し、広める虫、鳥、獣――彼らは全て凶星の、逢真の眷属に他ならぬ。どこにでも現れ、疫毒を撒く。病の生じること神出鬼没たると同じように、逢真が意志でどこにとて現れる。
 今ならば、望遠鏡を覗く白詰草の少女達の背後から一斉に。

 その瞬間、白紙のトランプが塔の上を舞い踊った。
「ノウマク サラバタタギャテイビャク――まずはこの戦争の第一歩、さあ開戦よ!」
 一斉にトランプが炎と化し、白詰草のオウガ達を焼き払っていく。叩き消しても絡みつき続ける不動明王の不浄を灼く炎が、ゆかりの手からトランプの形状を取った符を通して次々に放たれる。
「戦争開始の喇叭じゃ、派手にいくぞい!」
 地下ではグルクトゥラがとっくに地下に爆弾を仕込み、ちょうど爆破ボタンを押していた。
「コオオオオオォ!!」
 そして6.5マッハの最高速度を一切落とさないまま、相馬が塔へと体当たりをぶちかます。前足で掬い上げるように塔の上からゆかりをキャッチすると、そのまま上昇して青黒の炎を吐いて一気に焼き上げる。
「みんな天文台ごと粉々にする気満々よね……」
 相馬の前足に捕まりつつ、符を放つ手も止めないままゆかりが呟いた。
 もちろんゆかりも壊す気満々で来ている。
(ぐちゃぐちゃにして食べる、か……なら、自分がそうされても文句言えないな?)
 ばっさりと塔の床に尻尾を叩きつけ、相馬はそう独りごちた。実際オブリビオンの悪意とか恐怖とか、その辺りを武器にちょくちょく喰らわせているので『食べる』というのもあながち間違いではない。
 地下からの爆発と地上からの体当たり、さらには炎にテイルアタックと大盤振る舞いでそのまま消える白詰草の少女達も多い。それでも地面に落ちただけでほとんど無傷のオウガには、すいと詰め寄った康行の『闇払い』、白く光る剣筋がその命運を断ち切った。
 ホログラムの分身で惑わす康行に気を取られれば、逢真の眷属達が容赦なく喰らう。眷属から逃げようとすれば、ゆかりの不動明王火界咒が絡みつくように不浄を灼く。どちらに逃げればいいかと惑えば康行の剣に払われる。その間にもグルクトゥラがあちこちで仕掛けた爆弾が次々に爆ぜ、相馬が達磨落としでもしているのかという勢いで塔ごとオウガ達を『壊して』いく。
 ――殲滅。
 タワーディフェンスゲームで言えば立派な敵側の動きであった。完封勝利。
 迷宮災厄戦、開戦の烽火はここに上がった。オウガ・オリジンと猟書家を相手取る両面作戦が、幕を開ける。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月03日


挿絵イラスト