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迷宮災厄戦②〜それは救うためではなく、防ぐために

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦

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●兎が呼ぶは大量の『アリス』
『さあさあ、もっと来るんだ! もっと、もっとだ!』
 迷宮のような図書館で本がなぜか空中に浮かんで舞う中、一体の時計ウサギは召喚を繰り返していた。
 開くは時計ウサギの穴『時繋穴』。呼ぶは勿論『アリス』たち。
『どこ、ここ……』
『こわい、助けて』
『ねえ、なんで私達――』
 突如召喚されて数多のオウガと一体の時計ウサギに囲まれ困惑の『アリス』たち。
 だが言葉の先は聞き取れない。一陣、吹いた風が『アリス』達をどこかに連れ去ったから。
『もっと、もっとだ! もっと大量のアリスを召喚し、オリジン様に渡すんだ!』
 召喚は続く。そしてその召喚士を守るように大量のオウガたちがいた。

●兎が呼ぶは大量の『猟兵』
「緊急事態だ、他の世界から『アリス』が突如アリスラビリンスに大量召喚される事態が起きている」
 水島・可奈(少女自由に夢幻を掴め・f01117)が告げる緊急事態に猟兵たちの中に緊張が走る。
「現在、オウガの大軍団が『アリス』を大量に召喚し、オウガ・オリジンという存在に喰わせているみたい。残念だけど、オウガ・オリジンによる捕食を阻止する方法は現状見つからない……だから、『阻止』というより『これ以上させない』作戦を出すよ」
 現在、現地となる図書館では召喚する時計ウサギを守るオウガと別途サバイバルで赴く猟兵たちによる乱戦が起きている。
「これを絶好の機会とみて、時計ウサギを暗殺するのが今回の作戦だよ」
 成功すればサバイバルの情勢も上向くだろうから、やらない手はない。
「さらに私達グリモア猟兵の力を使うことで、相手の陣容が把握しやすい場所を確保できそう。これは確実にアドバンテージだから、使わない手はないよっ」
 なればこそ、オウガの群れ、そしてこの乱戦をそこから潜り抜け時計ウサギに接近、そして一気に倒してこれ以上召喚させない。
「これしかできないのが辛いところではあるけど、被害を広げるわけにはいかない。行こう、みんな!」
 展開されたグリモアの先に見える図書館は、すでに乱戦状態だった――。


結衣謙太郎
 こんな異世界召喚、哀しすぎるだろ――!
 結衣(戦争モード)です。
 召喚士の時計ウサギの討滅をお願いします。
 以下詳細。

●成功条件
 戦場をかいくぐり、『『時繋穴の番兎』クロノス』を討滅。
 配下のオウガ軍や味方猟兵の生死は不問。
 基本それはサバイバル部分になるので描写しませんが、プレイングに何か利用するような記載あれば描写します。

●章構成
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「迷宮災厄戦(ラビリンス・オウガ・ウォー)」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 今回はボス戦となります。
 敵は現在大量召喚中の時計ウサギです。
 メタ情報ですが猟兵達を見つければ召喚の手を止め応戦するでしょう。

 繰り返しますが、ロケーションは戦場です。オウガの群れやサバイバル中の猟兵のユーベルコード、その他もろもろの攻撃が飛んでくるでしょう。うまくかわしつつ素早くクロノスに接近するプレイングには特別プレイングボーナスが入ります。

 それでは戦争シナリオということで。皆様の魂のこもったプレイングをお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『『時繋穴の番兎』クロノス』

POW   :    時絶ち鋏~タイムストップ・シザー~
【切断した物の時間を停止させる『時絶ち鋏』】が命中した対象を切断する。
SPD   :    時繋穴~タイムリープ・ホール~
【時間の流れが異なる『時繋穴』の出口 】を向けた対象に、【先制攻撃】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ   :    時経ち鋏~タイムパス・シザー~
命中した【時間経過を操作する『時経ち鋏』 】の【取っ手に絡みついたリボン】が【対象に複雑に絡みつく形状】に変形し、対象に突き刺さって抜けなくなる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠幻武・極です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

亞東・霧亥
これより戦場に侵入する。

【UC】を使用し、向上した技能を得る。

またUCで得た技能の他に、敵や味方ですら欺く外套、隠密服、更に目立たない、ダッシュ、足場習熟を併用。
ダッシュと忍び足による緩急自在の歩法は、足場習熟も相俟って、物音を立てる事なく迅速に戦場を駆け抜ける。

時計ウサギを見付け次第、手にした雷迅で暗殺する。



●時計はウサギに叛逆す
「これより戦場に侵入する」
 外套を纏いサバイバルの乱戦の中を駆け抜ける亞東・霧亥(峻刻・f05789)、目立たずに駆けられる場所から走り跳び、クロノスの居場所を目指す。
「俺は懐中時計のヤドリガミではあるが、こいつのために働きたくはないな。時計の身でも叛逆させてもらっていいだろう? 俺はもはや猟兵なんだから」
 緩急自在の走りはメトロノーム、否、懐中時計が時を刻むかのようにリズムよく、しかしどこか不調和で。しかし足場に合わせてそれをすれば物音も立てず迅速に戦場を抜ける事なぞ、容易だ。
「オウガたちは抜けたようだが、時計ウサギは――」
 周囲を見渡す霧亥。そして視界に入ったのが――
『さあ、まだだ! まだ足りないぞ!』
『ひぃぃ……』
『怖い、助けて……』
『いや、誰か、あそこに――あぁ、遠ざかってく!』
 霧亥がクロノスの姿を見つけるや否や、一陣の風が吹き、召喚されたアリスたちを連れ去っていく。
 が、同時に霧亥も走りだした。雷迅を右手に持ち、クロノスのもとへ。
 しかしそれは向けられた穴によって防がれ――否! 出てきたのは巨大な鋏の一部だ! 雷迅とそれが一瞬のぶつかり合いをし、甲高い音が響く。
「ちっ、先制持ちか!? そんなこと言われなかったぞ!?」
『ふっふっふっ、ボクのこの穴は時間の流れが違うんだよn――』
 ――と、勝ち誇ったような煽りをしようとしたクロノスは次の瞬間、仰天した。
 なぜなら、己が右肩にはしっかり雷迅が刺さっていたのだから。
『な、なぜあの状況から!?』
「ああ、先制は痛かったさ――だが、一度かわせばどうということはない」
 そう、霧亥は先の攻撃を鋏を蹴飛ばして後ろへ跳びかわし、着地の勢いそのまま左、右と踏み込み穴をかわしてクロノスのもとへ回り込んだのだ! いつもならできないだろう、しかし今ならシャドウスキルの力で力が向上している。
『ぐっ、痛い! 放せ! ボクの柔肌に傷が!』
「放すもんかよ」
 しばらく取っ組み合いがされているうちに新しい召喚は失敗してしまう。
『ああ! そんな、召喚が――ええい、離れろ!』
 クロノスはまだ元気だ、霧亥を大きく吹き飛ばすと雷迅を抜いて乱雑に落とした。
『ったくもー、ボクのかわいい服が赤くなっちゃったじゃーん……さて』
 クロノスは即召喚をやり直すかと思えば。
『紛れ込んだネズミさんはボクが追い出さないといけないよね!』
 オブリビオンとしての本能で猟兵の方に気が向いたようだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

片桐・公明
【SPD】分身と分かれて行動し、分身に注意が向いている隙に本体が敵指揮官の首を取る

分「あたしの名は片桐公明!!私を殺す力があり、私に殺される覚悟がある奴はかかってきやがれ!!」
妖刀を掲げて大仰に自己紹介することで敵の注意を一手に引き受ける

本体は分身の反対側を意識して、物陰に潜みながら敵指揮官に接近する。
本体が攻撃して意識が向いたら多少強引に分身が突貫し指揮官に攻撃、その隙に本体は離れ再び隙を伺う

終始敵の死角から本体による攻撃を試みる

(絡み、アドリブ歓迎です。)



●兎が呼んだのは灼滅者と『闇』
「あたしの名は片桐公明!! 私を殺す力があり、私に殺される覚悟がある奴はかかってきやがれ!!」
 サバイバルの中で妖刀を掲げ名乗りを上げる片桐・公明(Mathemの名を継ぐ者・f03969)。思わずオウガとサバイバル参戦中の猟兵たちがそっちの方を向く。
「来ないか!? 来ないなら、こちらから行かせてもらうぞ!!」
 あーあー、乱戦の中に混ざっちゃったよ彼女……

「よしよし、順調ね」
 え、こっちにも公明!? 嘘、孔明ならぬ公明の罠!?
「どうせ体が闘争を求める■■■■■よ、あっちにいた方が本望でしょ」
 よく見ればあっちの公明は体から何か黒いものが出ている。
「おかげでこっちはやりやすいわ」
 黒いものが出ている分身の反対側を意識し、物陰に潜みながら一歩ずつ歩みを進める公明。
『ぐっ、痛い! 放せ! ボクの柔肌に傷が!』
『放すもんかよ』
 と、何やら争うような声が聞こえた。チラ見すればクロノスがすでに視界内にいる。すぐに死角に回ってグローブのようなものを構える公明。
『ったくもー、ボクのかわいい服が赤くなっちゃったじゃーん……さて』
(あと少し……この距離なら――!)
『紛れ込んだネズミさんはボクが追い出さないといけないよね!』
(行ける!)
 ――そしてクロノスが鋏を構えなおした、その瞬間!
「覚悟!!」
 飛び出した公明が殴りかかりに行く――が! 再び穴から出た鋏がそれを防ぐ!
『甘いよ! ボクは何度もそういう手にかかるもんか!』
「へえ……なかなかやるアル……おっと口癖が」
 すぐにバックステップで距離を取るが、これで暗殺の機会は失われた。

 ――失われた?
 否!

「甘いのはそっちもよ!」
『!?』
 なんと、乱戦の中から飛び出した分身がクロノスに死角からの一撃を浴びせたではないか!
『くそ、なんで――!? いつの間にこっちに!?』
 分身だからなのかクロノスが気づく様子もない。似ているから仕方ない。

(一撃で灼滅できるかと思ったけどそううまくはいかないか)
 こちらは再度距離を取って分身とクロノスの戦いを眺める公明本体。
(とはいえこっちも何度も戦争体験してきて――ああいや、それは母さんたちの話だった)
 そう、今や二代目であり、灼滅者にとって『癒し』がない状況。だからこそ目の前の黒いのが溢れたともいえなくもないかもしれないが――コードで制御しているとはいえ。
(……っ)
 そして彼女は駆け出す。
(ここで、仕留める! あまりあいつを呼ぶと■■■しかねない!)
 そして穴が分身に向けられた瞬間――
「はあああっ!」
 渾身の拳がクロノスの脇腹を直撃!
『ぶぐはぁっ!?』
 せき込みながら後退するクロノス。
『痛いじゃないか、中身が出たらどうするつもりだったんだい!?』
(くっ、まだ灼滅には程遠いわね)
 まだ余裕を見せるクロノスを見ながら公明は舌打ちを一つした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ラモート・アンゲルス
対(レーパー)と連携
「協力お願いします。対」
 お姉さん姿で闘います。
 UC【技の祝福】を発動して、対にUC【白馬の王子様】と白剣を渡します。UCは他の猟兵に渡しても構いません。
対がワープ直後、白剣を投げるはずですからそれに合わせてUC【主の守護者】を発動して、軍勢及び敵の影を従えてそれぞれその影の持ち主の動きを封じ込めます。
敵が動けないうちに私は飛翔して白剣を回収しつつ対と合流。白剣を様々な武器に変化させるなどして戦います。
対を始め対の猟兵との連携攻撃だってします。


ラモート・レーパー
対(アンゲルス)と連携
「わかった。協力するからUC頂戴?」
お姉さん姿で戦うわ。
 対から白剣とUC【白馬の王子様】を受け取り、UC【夜の領域】と一緒に発動する。
後者のUCで自分をオブリビオンに書き換え前者で敵に向けてワープ。オブリビオンにとって猟兵は敵だから敵の敵は味方の理論でできるはず。
ワープ直後にUCを解除して存在を猟兵に戻し、白剣を天高く投げる。
あとは黒剣を槍等の狩猟武器に変えて戦う。
対を始め他の猟兵との連携攻撃だってする。



●兎が呼ぶは一対の概念
「協力お願いします。対」
「わかった。協力するからUC頂戴?」
 共にJDくらいのお姉さんの形を取った概念体、ラモート・アンゲルス(生きた概念・f18548)とラモート・レーパー(生きた概念・f03606)が交差するようにサバイバル帯に向かうと思えば、言った瞬間から並行に走りクロノスの方を目指す。
「ええ。『』の名を以って力を授ける。敵を討つ力を」
 アンゲルスが発動したのはコードを相手に与えるという変則的なコード。転移のコードの力が投げられた剣と共にレーパーに与えられる。
「おっけ、いくわよ――」
 渡された転移コードでサバイバル帯に向かうレーパー。
「この刻は我が領域にして狩の刻なり! 天の星よ、夜を導け!」
 瞬間、サバイバル帯にワープしてきたレーパーはオブリビオンとなっていた。オブリビオンにとって猟兵は敵だ。敵の敵は味方という言葉通り――否、まともに判断するには乱戦で余裕がないのか――そのままサバイバル帯を抜けるレーパーはすぐに猟兵に戻ると剣を高く投げる。それは対の存在(アンゲルス)への合図。
「大丈夫みたいですね、ではこちらも」
 投げられた剣が光ったかと思えばそれらはサバイバルに参戦中の存在の影を作り出し、乱戦をさらに乱戦と化す!
 こうなれば乱戦を潜り抜ける危険度は少し減る。すぐに飛翔して剣を回収すると、クロノスの近くで対の存在(レーパー)に合流。
「うまくいきましたね、対」
「うまくいくもんだね、対の私」
「でもこの先決めてませんでしたね」
「まあ、そこは――」
 レーパーは黒い剣を。
「なんとか、なるっしょ!」
 アンゲルスは白い剣を。
「もう、仕方ありませんね」
 まるで相手の持つ鋏の刃のように、或いは白黒の一対のようなラモートはクロノスに交差するように跳びかかる。
『くそっ、2人同時とか見えないじゃないか!』
 クロノスも負けじと鋏で応戦するが、たとえ大きな鋏を2つに分けて双剣としても、それでもなお様々な形状、様々なレンジから攻撃する一対の存在には届けることができない。
 たった一太刀。たった一太刀浴びせれば、時を止めてこの動きを乱せるのに。
 無駄のない動きがそれを許してくれない。
「いくよ、対の私!」
「合わせてくださいね、対」
 瞬間、黒の剣と白の剣が交差する! 綺麗なXの字を書いた交差する剣閃はクロノスに確かにダメージを与えていった。
『ぐうぅ、でも大技を使った今のタイミングなら――』
 と、鋏を構えなおすクロノスだがどこにも一対の姿はない。
『嘘だ!?』

「転移系は便利だね、ありがとう、対の私」
「ええ、でもまだみたいですよ」
 陣を見渡しやすい安全地帯に転移していた一対の存在。そう、さっき転移系コード渡されたから二人とも転移ができるのだ! そもそもグリモア猟兵だしね二人とも!
 そしてその瞳に映ったのはまだ元気に探すクロノスの慌てる姿だった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ネーヴェ・ノアイユ
オウガの元へは空中を浮遊しそのまま移動することで地上のみで行われる攻撃は避けて進みます。空中へと飛んできた攻撃はUCにて迎撃。及び氷壁を作成して防ぎながら強行突破致します。

リボンに鋏……。ですか。クロノス様とは親近感を感じますね。
こんな時こんな出会いでなければ語らいの一つでも……。と、思ったのですが……。あなた様行動……。アリスの一人として見逃せませんので……。応戦させていただきます。
戦場を突破する際に使用したUCでクロノス様を包囲し、包囲が完了した後に一斉に攻撃を開始します。
クロノス様がUCへの対応をしている間にicicle scissorsを作成。一気に間合いを詰めて切り込みを狙いますね。



●兎が呼ぶは『アリス』
「お待ちくださいな」
 空を浮遊してサバイバル帯の攻撃を氷の壁を作りながらかわしてきたネーヴェ・ノアイユ(冷たい魔法使い・f28873)がクロノスに急接近する。
「リボンに鋏……クロノス様とは親近感を感じますね。
 こんな時こんな出会いでなければ語らいの一つでも……と、思ったのですが……」
『んん? おお、君はアリスじゃないか! 早速』
「いえ……あなた様の行動……アリスの一人として見逃せませんので……」
 オリジンのもとへアリスを届ける一陣の風が吹くが、それがノアイユを吹き飛ばすことはない。氷の壁が風から彼女を救う。
「応戦させていただきます」
『ふうん、アリスなのに導き手に歯向かうんだ』
「何とでも言いなさい」
 サバイバル帯を突破する際に使用したUCがクロノスを包囲していくが、それらは、全て叩き落される。
『ボクの力を舐めてもらっては困るんだよね!』
 見れば双剣と化した巨大鋏に巻きついているリボンが複雑な動きをしてノアイユのコードを片っ端からはたき落としている! なかなか包囲が完成しない!
「……いえ、まだ大丈夫です」
 ノアイユの両手に氷の鋏が精製される――が! それを叩き落とすようなリボンの進撃!
「……うそ」
 そしてリボンがノアイユに絡みつき、そして本棚の一つに、また一つに刺さっていく! それは正しく、ノアイユを括り付けている!
「くっ……」
 動こうにも動けないノアイユの顎をクロノスがつかむ。
『まったく、みんなして邪魔してくれるね』
 そしてそのまま鋏をノアイユの頭の大きなリボンに当てる。
『綺麗なそのリボンを切ってあげれば少しは絶望に落ちてくれるかな?』
 ゆっくり、その刃がリボンをはさみ――

 ――ジョキン。
 とても残酷な切れる音がした。

『――え?』
 が、驚いたのはクロノスの方。切れたのはノアイユの大きなリボンではなく――ノアイユを縛っていたリボンたち。
「そちらから近寄ってくれましたからね――魔法を使えばこれくらい容易です」
 力なく零れるクロノスのリボン、そしてノアイユを囲むように舞い上がる数多の氷の鋏――
「私のこの魔法は手から放つものではなく――私から放たれ、降り注ぐもの」
 そう、クロノスが縛り付けている間にも、魔法による鋏の生成を続け、反撃の機会をうかがっていたのだ――!
「今こそ私の怒りの炎纏いて、降り注げ、氷の鋏よ」
 クロノスのもとに言葉と共に襲い掛かる氷の台風!
「ああ、そうでした、私のリボンと同じように――クロノス様のリボンも切ってあげれば絶望に落ちますかね?」
 ジョキン、という音がしたのとその言葉は同時。クロノスが見れば髪を結わく赤いリボンが切れ、はらりと地面に落ちれば髪が力なく垂れる。
『え――?』
 絶望に落ちたような顔をするクロノスの顔は次の瞬間には氷の鋏の台風に包まれ見えなくなった。

『――でも!』
 氷の鋏の台風が過ぎ去った後、あちこちのリボンは切れ、髪の毛が力なく落ち、服もところどころ切れたり赤く染まっても。
『それでもなお――ボクは!』
 残った全力で、召喚を開始する――!
『オリジン様のために、役立つんだ――!』

大成功 🔵​🔵​🔵​

ナイ・デス
まだ召喚は行われておらず、儀式を阻止すれば、と思っていましたが
もう召喚、行われているところが、ありましたか!
これ以上は……召喚、防がせてもらいます!
イグニッション――

詠唱も置き去りにするように
陣容把握しやすい高所から『怪力ダッシュ』で跳び出して『迷彩』纏い
『野生の勘で見切り』流れ弾など様々な攻撃避けるよう【念動力で自身吹き飛ばし】『空中戦』
上からの『暗殺』に動く

『勇気』【覚悟、激痛耐性、継戦能力】先制攻撃もし避けられず受けても、怯まない、止まらない
黒剣鎧の刃で【鎧無視串刺し】て【零距離生命力吸収】喰らう光の『誘導弾』複数で

あなたに時間は、もう使わせない

『トンネル掘る』ように
光球が、喰らい尽くす



●兎が呼んだ、結末
「まだ召喚は行われておらず、儀式を阻止すれば、と思っていましたが、もう召喚、行われているところが、ありましたか!」
 ゴーグルを外し、アイコンのような真剣な表情をするナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)。
「これ以上は……召喚、防がせてもらいます! イグニッション――」
 ダッシュから力いっぱい高所から飛び出したナイはコードで防具と融合し完全なシンクロを果たすや否や、言葉も置き去りに迷彩状に『なり』、念動力で自分をクロノスの方に吹き飛ばしながらサバイバル帯の流れ弾を避けていく。ついでに漏れてきた氷の鋏も。
「――エクストリガー【ディリゲント】(エクステンドオーブ)!」
 上空からクロノスに一撃が迫る――
『もう、邪魔させない!』
 ――それを防ぐかのように穴が開き、鋏が飛び出す!
 一瞬の激突。失敗を確信したナイは後ろに飛びのくが、そこで止まらないのがナイ・デスという存在。それは相棒の勇者ゆずりの、胸に秘める大きな勇気! すなわち、怯まず、止まらず、勝利を目指し勇猛果敢に邁進すること!
「あなたに時間は、もう使わせない!」
 ナイの身からあふれる光が弾丸となり、クロノスが最後の力を振り絞った召喚を砕いていく! 穴を掘るように、地面を砕き、そして物理的に!
『ボクにも意地がある! 悪いけど止まらない――止められないんだ!』
 巨大鋏を双剣として構えナイに向き合うが、ナイが体当たりする方が――否! ただの体当たりではない! これは――黒剣! それが鎧の形を成した――黒剣鎧! その刃が体当たりと共に零距離でクロノスを串刺しにする!
「っっああああーーー!!」
 そのまま近くの本棚に巻き込むように激突すれば黒剣鎧の刃がクロノスを括り付け、さらに串刺しにしていく! 胸を、肩を、腕を、足を、その柔肌を貫いていけば、そこが輝きだす――!
『くっ、もはやここまでなのか――なら!』
 顔を上げたクロノスが叫ぶ。
『オリジン様、ボクの体を喰らってください! この身はオウガなれど、少しは血肉となり得るでしょう!』
「いいえ、させない!」
 ――だが、これはナイのもう一つの戦法と相性最悪! ナイの戦法のもう一つにしてメイン、それは――『相手からの生命力吸収』――!
「このまますべて、奪い取る――! 防いで見せる――!」
 輝いた部分がクロノスから生命力を奪い取っていけばクロノスから力が奪われていく!
 せめて、オリジン様に向かう風が吹けば――! ボクを運んでくれれば――!
 ――だが、もはやその風も吹かない!
『なんで……オリジン様……』
 その瞬間、クロノスの手から鋏が零れ落ち、顔は深い絶望と涙に染まった。
『ボクでは……満足できないのですか……ボクは……役に立てないのですか……!』
 ガラン、という音が響くと共に、クロノスの伸ばされた手は力なく、垂れ下がった。
 それは、戦いの終わりを意味していた。これ以上の召喚は防げたのだ。

「……」
 ナイは少し同情の感情も見せ――
「……いえ、迷ってるわけには、いかない、です」
 頬を叩き、それを『迷い』の一言で吹き飛ばし、すぐに次の戦場へ向かう。
 こうして、この一帯での召喚は防がれ、この遺体と場所がサバイバル帯の乱戦に巻き込まれて見えなくなるのに時間はかからなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月02日


挿絵イラスト