迷宮災厄戦③〜恐怖に支配された森(作者 吾妻 銀
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●迷宮災厄戦
 アリスラビリンスのオブリビオン・フォーミュラ「オウガ・オリジン」は、「猟書家」と名乗る者達に力の殆どを奪われた。
 猟書家達は、オウガ・オリジンから奪った現実改変ユーベルコードにより「他世界の侵略」を開始する。
 オウガ・オリジンを倒せば、迷宮災厄戦の勝利となるが、生き残った猟書家は他世界に逃げ込んでしまう。
 だが猟書家を倒してしまえば、オウガ・オリジンは奪われた力を取り戻す。
 アリスラビリンスを守り、多世界の侵略を阻止する。
 迷宮災厄戦の始まりである。

●ゆうとろどきの森
 オウガ・オリジンへと辿り着く為のルートの1つである、夕闇に支配された不気味な森。
 そこには不気味なオウガの群れが、森に侵入してきた者達を恐怖と絶望のどん底へと叩き起こそうと襲い掛かってくる。
 そんなオウガの群れを退治するのが、猟兵達に課せられた任務であった。
「それでオウガの特徴だけれど・・・」
 グリモア猟兵のリリスフィア・スターライト(プリズムジョーカー・f02074)が、猟兵達に説明を始める。
「オウガの名前はアルプトラオム、犠牲となったアリス達の抱いた苦痛や恐怖、絶望といった記憶や感情がオウガ化した存在なんだ・・・」
 犠牲となったアリス達の事を想い、表情を暗くしながらリリスフィアは話を続ける。
「森にいるアルプトラオムには共通した特徴があるよ。どの個体も黒い翼を生やしているんだ。ただでさえ馬の形態に変える事の出来る能力を持っているから、その機動性は脅威になるかな。そして何より気を付けないといけないのは、アリス達が抱いた負の感情がそのまま精神攻撃となって襲い掛かってくることだね・・・」
 高機動で負の感情をばら撒き、森を蹂躙していく厄災そのものと言っていい存在である。
 無策で挑めば、アリス達の恐怖と絶望をそのまま体験する事となり、同じ末路を迎えてしまうだろう。
「対策を考えないと苦戦は免れないよ・・・緒戦ではあるけれど、油断はしないようにだね」
 集まっている猟兵達を信頼しているのだろう、あまり多くは語らずに、リリスフィアは支度を始める猟兵達に頭を下げるのであった。


吾妻 銀
●挨拶
 吾妻 銀です。
 今回は『迷宮災厄戦』の戦争シナリオとなります。
 1章構成、集団戦シナリオとなります。
 期間は設けず出来る限り早くリプレイをお届けしたいと思います。

●補足
 不気味な身体部位を持つオウガの群れとの戦いとなります。
 OPの説明でもありました黒い翼がそれに該当します。
 プレイングボーナスは『不気味な身体部位」への対抗手段を考える。』となります。
 リプレイの傾向ですが、アリス達が体験した恐怖・苦痛・絶望の記憶を描写しながらの戦いを想定しております。
 プレイングでその辺りの記憶を指定して頂ければ、可能な限り反映するつもりです。
 皆さんの参加をお待ちしております。
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第1章 集団戦 『アルプトラオム』

POW ●劈く嘶き
命中した【悲鳴】の【ような嘶き声に宿る苦痛の記憶や感情】が【対象に伝わり想起させることでトラウマ】に変形し、対象に突き刺さって抜けなくなる。
SPD ●狂い駆ける
【自身を構成する恐怖の記憶や感情をばら撒く】事で【周囲に恐怖の記憶や感情を伝播させる暴れ馬】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ ●もがき苦しむ
攻撃が命中した対象に【自身を構成する記憶や感情から成る黒紅の靄】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【かつてのアリス達が抱いた絶望の記憶や感情】による追加攻撃を与え続ける。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


藤原・忠重
POW。
【覚悟】決めて【気合い】入れて【ダッシュ】で突撃。
小手調べ程度の精神攻撃なら、こちらも精神力でねじ伏せる。

「恐怖、苦痛、絶望……そんなものはッ」

「俺の足を止める理由にはならねえッッ」

本命の精神攻撃でトラウマを叩き付けにきたらUC発動。
理性などなければ心が傷付く道理はない。これで精神攻撃は無効。

そして黒い翼で飛び回ろうが、馬の姿で駆け回ろうが、
物理攻撃をするには近寄る必要があるだろう。
それ即ち、拳足の間合いに飛び込んでくるということ。
敵方から距離を詰めてくれるなら、自慢の高い機動力も価値は半減。
ノコノコとやってきた馬面を殴り砕いてやろう。


節原・美愛
黒い森に黒い馬、随分不気味な戦場だけど。
呪詛の怖さなら、あたしの"猫三味線"だって負けちゃいないわよ…贋作だけど。


暴れまわる馬と力比べもいいけれど。ここは風来人らしく、一太刀で決めちゃいましょう!
"猫の第六感"を発動した状態で居合の構え、突っ込んでくるオウガをすれ違いざまに両断する!
"狂気耐性"で平常心を保ちながら精神を研ぎ澄まし、"見切り"で必殺の一撃を叩き込む。
暴れまわるだけの獣なら、動きを見極めることも容易い…!と思うし。


そういえば、UDCアースには馬刺しってのがあるらしいわね。
お酒にも合いそうだし、今回の戦争後の楽しみにしておこうかしら。


「黒い森に黒い馬、随分不気味な戦場だけど・・・」
 羅刹の風来人、節原・美愛(妖刀使いの鬼姉さん・f25351)は、アリス達の負の感情によりオウガと化した存在、アルプトラオムを撃破すべく、夕闇に支配された森に足を踏み入れる。
「それじゃ、気合を入れていくか!」
 美愛と目的を同じとする藤原・忠重(じぶんだいじに・f28871)も覚悟を決め、オウガが潜んでいる森の奥へと突入しようとしていた。
 だが2人が探すまでもなく、森の奥から狂った馬の嘶きが響き渡り、黒くどんよりとした空気が流れ出すのがはっきりとわかった。
 猟兵達の気配を嗅ぎつけ、黒で塗り潰されたいびつな馬の群れが姿を現したのである。
 恐怖、苦痛、絶望、あらゆる負の感情が、森に足を踏み入れた猟兵達にへと押し寄せる。
「これは・・・!」
「早速、本命が来たのかよ!」
 2人が構えを取る前に、アルプトラオムから発せられる黒紅の靄を受けてしまう。
 黒紅の靄は、アリスラビリンスに召喚され、そしてオウガ達の犠牲となったアリス達の感情そのものであった。
 2人の脳裏にアリス達の断末魔の記憶が浮かびあがる。
 アリス達の届く事のなかった助けを求める声が、2人を狂気へと誘う。
 何の力を持たないまま異世界へと召喚され、何も理解できないままにオウガ達の餌食となっていた記憶が、今度は2人をも食らいつくさんとばかりに襲い掛かかる。
 だがアリス達と違い、2人にはオウガに抗う力があった。
「恐怖、苦痛、絶望……そんなものはッ」
 忠重は押し寄せるアリス達の感情を堪えながら、UCオーバー・グラビテーションを発動させた。 
「俺の足を止める理由にはならねえッッ」
 敢えて自らの理性を吹き飛ばして、忠重はアルプトラオムの精神攻撃を跳ねのけたのである。
 それに対して美愛は、理性と平常心を保ちながら、神経を研ぎ澄ます事で、負の感情に耐えてみせる。
「呪詛の怖さなら、あたしの"猫三味線"だって負けちゃいないわよ」
 …贋作だけどね、と美愛は付け加えてから、猫又オーラを全身に纏わせて、妖刀"猫三味線"(偽)を手に居合の構えを取った。 
 そこへ暴れ馬と化したアルプトラオムの数体が黒い翼で飛翔し、2人に向けて突進する。
 アリス達による負の感情から生まれたアルプトラオムには、理性という概念が存在せず、相手が力のある猟兵であろうと本能のままに行動するのみだった。
 そんな暴れ馬の突進を、忠重は本能のままに正面から受け止め、美愛は最低限の動作で難なく回避した。
「俺は重い、俺は、俺、俺俺俺俺俺―――――おおおおおッッ」
 忠重は闘争本能の赴くままに、ノコノコと接近してきたアルプトラオムに、気合と根性による一撃を叩きつけた。
 重い一撃を受けたアルプトラオムから悲鳴があがる。
「暴れまわる馬と力比べもいいけれど。ここは風来人らしく、一太刀で決めちゃいましょう!」
 美愛はアルプトラオムをすれ違いざまに妖刀で一閃した。
 妖刀は暴れ馬の動きを正確に捕捉し、急所を斬り裂いた。
 その言葉の通りアルプトラオムを一太刀で仕留めたのである。
「猫は何でもお見通し、なんてね!」
 2人の反撃を受けたアルプトラオムは、地に伏し黒い霧を霧散させ、その姿を消した。
 内包していたアリス達の記憶も、共に消えていく。
 だが息つく間もなく、別の個体がアリス達の負の感情を運びながら2人に飛び掛かる。
 森を埋め尽くさんとばかりに次々と現れるアルプトラオムの群れが、これまでに数えきれない程多くのアリス達がオウガの犠牲となっている事を示していた。
「その馬面を殴り砕いてやろう!」
 だが忠重の闘争心は幾重にもなって襲い掛かる負の感情に屈することなく、宣言の通りに間合いに飛び込んできたアルプトラオムを片っ端から殴り砕いていく。
 アルプトラオムが黒い翼に馬の姿で高速で駆け回ろうと、直接攻撃をするのであれば近寄らなければならない。
 向こうから距離を詰めてきた僅かな隙を、忠重は突いているのである。
「結構な数がいるけれど・・・所詮は暴れまわるだけの獣だね・・・」
 ならば動きを見極めることも容易い…と美愛は確信するが、猫又オーラを維持するのは相当の負荷がかかる。
 決して気を抜ける状況ではないが、美愛の平常心は崩れる事は無かった。
 化猫を退治した逸話を持つ妖刀で、美愛は忠重の戦い方に習って、接近してきた暴れ馬を次々と切り伏せていく。
「そういえば、UDCアースには馬刺しってのがあるらしいわね。お酒にも合いそうだし、今回の戦争後の楽しみにしておこうかしら」
「それはいい考えだな」
 負の感情に負けないよう、2人は明るい話題を持ち出す事で自身を奮い立たせ、アルプトラオムの群れと対峙する。
 戦いはまだ始まったばかりである。
成功 🔵🔵🔵🔵🔴🔴

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。

第四『不動なる者』盾役でありまとめ役
一人称:わし/我ら
対応武器:黒曜山

『誰かの故郷がなくなるかもしれぬ』
そんなこと、『我ら』が放っておけるはずもなし。

その恐怖、苦痛、絶望は『我ら』も経験したもの。
ああ、腹部の傷跡(四人共通の生前致命傷)が疼く。
まあ…実は別戦場での暗殺行で、『一番怖いもの(第一の『疾き者』)』を見たあとでな。
わりと今は平常心なのよな…。

翼とは奇遇よな。『我ら』も翼を生やすことができる。
まあ、こちらは虎に翼…ということになるが。
絶えずの雷鳴で悲鳴なぞ聞こえぬ。
絶えるがよい、オブリビオン。

疾き者「そんなに怖かったですー?」
怖いわ!!
他二人(頷き)


ウィータ・モーテル
WIZ
「どうするー? ウィータ。お話は出来そうにないみたいだけど」

"アリス達の絶望や感情……"
"助けられるなら、助けたい"

情報収集、あえてアリス達の記憶や感情を受け止め、UCでその想いごと癒してみる。
アリス達の苦しみから、誰もかも、私以外死んでしまったあの日の事が目に浮かぶ。
ユランとの誓約で泣く事は無いけれど、それでも、アリス達の事を想うと胸が苦しい。
だから……あなた達の苦しみを、この力で癒す。
それが、生まれ持ってこの力を得た私の、唯一の存在意義だから。
助けること……出来たの、かな……

「頑張ったよ、ウィータ」


ナギ・ヌドゥー
未だ揺蕩うアリスの記憶の残滓達か……
死の祝福をもってその絶望から解放してやろう

UC発動し武器サイコパームの【リミッター解除】
【先制攻撃】で【誘導弾】を放つ
光弾の誘導先はあの黒い翼【部位破壊】
まず奴等の機動力を断つ
負の感情に耐える事には慣れているさ【呪詛耐性】
オレの精神は既に絶望で満ちているからな
この掌より放つ光弾は己の精神力……殺戮衝動そのものなのだ
【呪詛・殺気】を込めた【呪殺弾・制圧射撃】の【弾幕】を張る
いかにスピードの上げようがこの数の光弾全てを躱しきれまい
死でもってしか救われぬ絶望の記憶達よ……忘却の彼方に消え去れい!


 猟兵達とアルプトラオムの群れとの戦いは激しさを増していた。
 戦場と化したゆうとろどきの森は、負の感情が飛び交い、猟兵達の精神をじわじわと蝕んでいく。
 だがそんな中でも、猟兵達は止まる事はなかった。
「その恐怖、苦痛、絶望は『我ら』も経験したもの・・・ああ、腹部の傷跡が疼く!」
 四人で一人の複合型悪霊である、馬県・義透(多重人格者の悪霊・f28057)は、生前に負った致命傷である腹部の傷跡を疼くのを感じながら、新たに出現したアルプトラオムの群れと対峙していた。
 義透が今表に出ている人格は、第四の人格『不動なる者』盾役でありまとめ役である。
「誰かの故郷がなくなるかもしれぬ・・・そんなこと、『我ら』が放っておけるはずもなし!」
 異なる4人の人格ではあるが、その想いは一つであった。
 そしてこの場にはもう一人、多重人格者が存在している。
「どうするー? ウィータ。お話は出来そうにないみたいだけど」
「アリス達の絶望や感情……助けられるなら、助けたい」
 死霊術士である少女、ウィータ・モーテル(死を誘う救い手・f27788)は、もう一人の人格であるユランの問いかけに、強い意志を胸に抱いて答えた。
 暴れ馬となって黒い翼で戦場を駆け回るアルプトラオムが漂わせている黒紅の靄からは、アリス達の苦しみの感情がひしひしと伝わってくる。
 少しでも気を緩めてしまえば、猟兵達といえども、負の感情に引きずり込まれてしまうだろう。
「未だ揺蕩うアリスの記憶の残滓達か……死の祝福をもってその絶望から解放してやろう」
 強化人間である青年、ナギ・ヌドゥー(殺戮遊戯・f21507)は、その光景を目の当たりにしながら、静かに決意を固めるのであった。
 高速で動き回っていたアルプトラオムの群れは3人を包囲すると、悲鳴にも似た馬の嘶きをあげて、漂わせていた黒紅の靄を拡散した。
 恐怖、苦痛、絶望、ありとあらゆる負の感情が3人の精神に一気に流れ込んでくる。
 もがき苦しむアリス達の幻影が、3人の猟兵を捕らえ、死の淵へと引きずり込もうとしていた。
「わりと今は平常心なのよな」
 そんな地獄にも等しい状況下にあっても、義透は平常心を保っていた。 
 つい最近の戦いでも同じような体験をしていた事で、ある程度耐性がついていたのである。
 だがそれも長くはもたないだろうと、義透は冷静に状況を分析し、打開すべく思考を巡らせる。
「うう・・・」
 その一方、敢えてアリス達の記憶や感情を抵抗せずに受け止めていた、ウィータから苦悶の表情が浮かぶ。
 アリス達の幻影が自分と重なりあって、溺れるような感覚に苛まれる。
 そんなアリス達の苦しみの記憶から、誰もかも、自分以外死んでしまったあの日の事が、ウィータの目にフラッシュバックされた。
 オウガに犠牲となった数多くのアリス達の事を想うと、ウィータは胸が苦しくなるが、別人格であるユランとの誓約により涙は流さなかった。
「"数多の命と私の命、繋げて灯す、生命(いのち)の糸"」
 負の感情に引きずり込まれながらも、ウィータは懸命に両手に灯る治癒の光で、アリス達の想いを癒す事を試みた。
 治癒の光が黒紅の靄を照らすと、3人を取り囲んでいたアルプトラオムの動きが鈍りだした。
 ウィータが生み出した光に導かれるように、アリス達の感情がアルプトラオムから離れていっているのだ。
「貴様等オウガに心など、不要!」
 元より絶望の中にあったナギは、負の感情を受けても正気を保つ術を知っている。
 押し寄せる負の感情を冷静に耐えていたナギは、アルプトラオムが怯んだ隙を突いて、体内に埋め込まれた光線兵器『サイコパーム』のリミッターを解除し、掌から誘導弾を発射した。
「まずは貴様等の機動力を断つ」
 ナギの狙いは、アルプトラオムの機動力を高めていた異形の黒い翼である。
 いかにスピードの上げようと無数に放たれた光弾全てを躱しきる事は、アルプトラオムにも出来なかった。
 光弾により黒い翼は傷つき、ナギの目論見通り、アルプトラオムの機動力が失われていく。
「翼とは奇遇よな。『我ら』も翼を生やすことができる。まあ、こちらは虎に翼…ということになるが」
 これを好機と見た義透は、翼の生えた虎へと姿を変えると空高く飛翔する。
 同時に義透が所持している漆黒の剣『黒曜山』が、強い輝きを放ち始めた。
「我らの怒りを」
 そして声を高らかに、義透はアルプトラオムの群れに向けて雷を放った。
 機動力を失ったアルプトラオムは、回避もままならず雷に打たれ、苦痛の悲鳴をあげた。
「そんな悲鳴なぞ聞こえぬ。絶えるがよい、オブリビオン!」
 アルプトラオムの悲鳴は、雷の轟音によって、打ち消されるのであった。
 雷としては威力は弱めだが、絶える事無く振り続ける雷の雨に、アルプトラオムは次々と倒れていく。
「死でもってしか救われぬ絶望の記憶達よ……忘却の彼方に消え去れい!」 
 ナギが撃ち続けていた呪詛を込めた弾幕が、倒れたアルプトラオムに止めを刺していく。
 力を失ったアルプトラオムから、黒紅の靄が霧散していく。
 このままではアリス達の負の感情も、永遠に森の中を彷徨う事になるかもしれない。
「あなた達の苦しみを、この力で癒す・・・それが、生まれ持ってこの力を得た私の、唯一の存在意義だから」
 そんな状況に対して、ウィータは癒しの光で、黒紅の靄を優しく照らし出した。
 すると黒紅の靄に残されていたアリス達の負の感情が浄化されていくのが、ウィータは感じとれた。 
 アルプトラオムから解放された、アリス達の感情がそれぞれの『自分の扉』へと還っていく・・・
 そんな幻覚をウィータは目撃する。
「助けること……出来たの、かな……」
 ウィータは消え行く黒紅の靄を見届けながら、不安そうに呟いた。
 幻覚であったとしても、それはアリス達が真に望んでいた事だったのだと、ウィータは信じたかった。
「頑張ったよ、ウィータ」
 ウィータの中のユランが、励ましの言葉をかけるのであった。
 ユランにもウィータと同じ光景が見えていたのである。
「そんなに怖かったですー?」
「怖いわ!!」
 戦いが終わって、緊張の糸が解けた義透も別人格同士で、軽口を叩き合っていた。
 何度経験しようと怖いものは怖いのである。
「どうやら静かになったようだな・・・」
 ナギはアルプトラオムの全滅を確認してから、安堵の表情を浮かべた。
 ゆうとろどきの森は本来の静けさを取り戻したのだ。
 こうして一つの戦いは終わったが、迷宮災厄戦はまだまだこれからなのである。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

最終結果:成功

完成日2020年08月03日
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴